JP2020200209A - 単結晶育成に用いる種結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】垂直ブリッジマン法、垂直温度勾配凝固法による鉄ガリウム合金単結晶の育成において、側面が特定の結晶方位となるような角柱形状の単結晶を育成することができる種結晶を、簡便に製造する方法の提供。【解決手段】種結晶製造用の単結晶10を、切断面が所定の結晶方位に傾斜するように切断する切断工程と、切断工程後の種結晶製造用の単結晶11を円柱形状に加工する加工工程と、を有し、種結晶製造用の単結晶10は柱状形状であり、切断工程において、種結晶製造用の単結晶10の長手方向と垂直な面に対して所定の角度で種結晶製造用の単結晶10を切断する、VB法あるいはVGF法により単結晶を育成するための種結晶の製造方法。単結晶及び種結晶は、鉄ガリウム合金の単結晶である、種結晶の製造方法。種結晶製造用の単結晶10の長手方向は<100>方向であり、結晶方位は、長手方向と垂直な<100>方向である、種結晶の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、単結晶育成に用いる種結晶の製造方法に関する。
近年、IoT(Internet of Things)の発展に伴い、小型電子機器の電源として、エネルギーハーベスティング技術の一方式である振動発電が注目されている。
振動発電は、環境中に存在する力学的エネルギーを電力に変換して利用する発電方法である。振動発電の方式として圧電式、磁石可動式、静電気式等が提案されているが、高効率、低コストの発電方式として、磁歪材料を用いた振動発電方式が特許文献1に示されている。
磁歪材料としては、高い磁歪特性を有し、材料が比較的安価で機械加工が可能である鉄ガリウム合金が有望視されている。そして、磁化容易方向である<100>方向の方位集積度を高める観点から、鉄ガリウム合金単結晶の製造技術の開発が求められている。
単結晶成長方法としては、引き上げ法(チョクラルスキー法)が特許文献2に示されている。しかし、単結晶は円柱状に成長するため、これを板状に加工する際に工数が増加する、単結晶合金の加工ロスが生じるという問題があった。
これに対し、角柱形状の坩堝と種結晶を用いて垂直ブリッジマン法(以下「VB法」ともいう)、垂直温度勾配凝固法(以下「VGF法」ともいう)を行い、側面が特定の結晶方位となるような角柱形状の単結晶を育成する方法が、特許文献3に示されている。
しかし、特許文献3記載の方法では、坩堝を角柱形状にする際、坩堝の定径部の側面と種結晶を設置する細径部の側面が同一の方向となるように高い精度で加工する必要があった。また、坩堝の定径部の側面と種結晶の側面が平行となるように種結晶を設置する必要があるため、種結晶の設置にも高い精度が求められていた。
さらに、特許文献3で用いられる種結晶は、上下面及び側面が特定の結晶方位となる必要がある。このため種結晶の加工に高い精度が求められ、かつ加工工数が多くなるという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑み、VB法、VGF法による鉄ガリウム合金単結晶の育成において、側面が特定の結晶方位となるような角柱形状の単結晶を育成することができる種結晶を、簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、VB法あるいはVGF法により単結晶を育成するための種結晶の製造方法であって、種結晶製造用の単結晶を、切断面が所定の結晶方位に傾斜するように切断する切断工程と、前記切断工程後の種結晶製造用の単結晶を円柱形状に加工する加工工程と、を有し、前記種結晶製造用の単結晶は柱状形状であり、前記切断工程において、前記種結晶製造用の単結晶の長手方向と垂直な面に対して所定の角度で前記種結晶製造用の単結晶を切断することを特徴とする。
種結晶が所定の角度の傾斜面を有することでVB法やVGF法により単結晶を育成する際に、種結晶の傾斜面の方向と坩堝の定径部の所定の方向が一致するように、種結晶を坩堝に簡単に設置することができ、側面が特定の結晶方位となるような角柱形状の単結晶を育成することができる。また、この種結晶を特定の結晶方位を示す傾斜面を一時に作製した後、単結晶インゴットから個々の種結晶を作製することができるため、簡便にこの種結晶を製造することができる。
このとき、前記単結晶及び前記種結晶は、鉄ガリウム合金の単結晶としてもよい。
鉄ガリウム合金は体心立方構造を有するため、上下面及びすべての側面が(100)面である角柱形状の単結晶を育成することができる。
このとき、前記種結晶製造用の単結晶の長手方向は<100>方向であり、前記結晶方位は、該長手方向と垂直な<100>方向としてもよい。
このようにすれば、上下面及びすべての側面が(100)面である角柱形状の単結晶を育成することができる。
このとき、前記所定の角度は、5°〜20°としてもよい。
このようにすれば、坩堝の底に設置した種結晶に坩堝の上方から光を入射させたときに、傾斜面で反射した光を坩堝の上方で確認することができるため、種結晶の向きを特定の結晶方位に制御することができる。
このとき、前記切断工程において、前記種結晶製造用の単結晶を固定砥粒ワイヤー用いたワイヤーソーで切断してもよい。
このようにすれば、傾斜面を一時に作製することができる。また、切断時に傾斜面が鏡面状に加工されるため、加工工数を低減することができる。
このとき、前記切断面の算術平均粗さは0.1μm以下としてもよい。
このようにすれば、反射光を容易に確認することができる。
このとき、前記加工工程において、コアドリルを用いて、前記種結晶製造用の単結晶の長手方向と平行に円柱形状の種結晶をくり抜いてもよい。
このようにすれば、種結晶製造用の単結晶を短時間で種結晶に加工することができる。
このとき、前記加工工程において、ワイヤーソーを用いて、前記種結晶製造用の単結晶の長手方向と平行に角柱形状の種結晶を切り出し、センターレス加工機を用いて、該角柱形状の種結晶を円柱形状に加工してもよい。
このようにすれば、種結晶への加工における材料ロスを低減することができる。
本発明によれば、VB法、VGF法による鉄ガリウム合金単結晶の育成において、側面が特定の結晶方位となるような角柱形状の単結晶を育成することができる種結晶を、簡便に製造することができるため、種結晶の製造コストを低減させることができる。
以下、本発明の一実施形態にかかる種結晶の製造方法について説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能である。
以下、鉄ガリウム合金の事例を基に説明する。鉄ガリウム合金は、高い磁歪特性を有し、材料が比較的安価で引張強度が鉄と同程度で割れにくく加工し易いため、磁歪式振動発電に用いられる磁歪材料として注目されている。また、磁歪式振動発電に用いられる板状部材は長手方向、側面方向とも<100>のときに磁歪式振動発電の効率が高くなる。このため、<100>方向の方位集積度を高め、磁歪材料としての特性を高めるためには、多結晶よりも単結晶の使用が有利である。鉄ガリウム合金の板状部材は、結晶成長法により種結晶から単結晶を成長させてインゴットを作製し、このインゴットを上記の特定方位に切り出すことで作製される。
鉄ガリウム合金の単結晶成長方法としては、引き上げ法(チョクラルスキー法)(特許文献2)、VB法、VGF法が用いられている。
特に、VB法は、結晶成長方向の温度勾配を小さくできるため、低転位密度の単結晶が容易に得られるという優れた特長を有している。また、単結晶の外形は坩堝の形状によって決まり、坩堝の側面内壁の形状に倣って育成される。例えば、坩堝における細径部及び定径部について、その結晶成長方向の断面形状を四角形とすることで、上面及び側面結晶方位を特定方向に制御した角柱形状の単結晶インゴットを作製することができる(特許文献3)。
鉄ガリウム合金では、角柱形状の単結晶の上面および四つの側面が(100)面となるようにすれば、板状部材への切り出し加工における結晶面の方位出しや側面加工が不要となるほか、加工による重量ロスも減少するため、加工コストの低減が期待できる。そして、特許文献3の方法を用いる場合、長手方向の端面および側面が(100)面となるように種結晶を作製し、細径部に種結晶を設置すればよい。
しかし、このような種結晶を作製するには、長手方向の端面および側面の全てが特定の結晶方位となるように、単結晶を切断し加工する必要があった。このため、種結晶の加工に高い精度が求められ、かつ加工工数が多くなるという問題があった。
さらに、坩堝を角柱形状にする際、坩堝の定径部の側面と種結晶を設置する細径部の側面が同一の方向となるように高い精度で加工する必要があった。また、坩堝の定径部の側面と種結晶の側面が平行となるように種結晶を設置する必要があるため、種結晶の設置にも高い精度が求められていた。鉄ガリウム合金単結晶を育成する場合は、坩堝材としてアルミナを用いているため、一辺が10mm程度である細径部の断面形状を精度よく四角形に加工とすることは、高度の技術が必要であった。
そこで、本発明者らは、種結晶を円柱形状とし細径部を円筒状としつつも、細径部の側面が(100)面となるように種結晶の向きを制御できれば、種結晶を、長手方向の端面および側面の全てが特定の結晶方位である角柱形状とし、坩堝の細径部を角筒状とすることなく、各側面が全て(100)面である角柱形状の単結晶インゴットを作製することができることに着目した。
しかし、種結晶の向きを制御するためには、まず種結晶の結晶方位を確認する必要があった。そして、特定の結晶方位を示す目印やオリフラを円柱形状の種結晶に一ずつ設けることは、加工工数が多くなるという問題があった。また、このような目印やオリフラを設けても、種結晶の直径は小さいため、精度よく種結晶を坩堝に設置することには限界があった。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。そして、VB法及びVGF法において、単結晶の育成の際に種結晶の上部は原料と共に融解させるため、種結晶の上面形状は必ずしも融液液面に対し平行な形状である必要はないことに着目した。また、特定の結晶方位を示す目印として、種結晶の上面を傾斜形状とし、その傾斜方向を<100>方向と一致させることで、精度よく種結晶を設置できることを見出した。また、上記傾斜形状となるように単結晶を切断した後に個々の種結晶を作製することで、特定の結晶方位を示す目印を、多くの種結晶に一時に設けることを見出した。そして本発明者らは、かかる知見から本発明を完成するに至った。以下詳細に説明する。
(単結晶)
まず、種結晶を作製するための単結晶について説明する。単結晶の育成方法には特に限定はなく、例えば、引き上げ法であるチョクラルスキー法、あるいは、一方向凝固法であるVB法、VGF法を用いてもよい。なお、引上げ方向は、所定の結晶方位の方向に合わせ育成する。また、単結晶の形状は特に限定されないが、引き上げ法により育成されるような円柱形状、一方向凝固法において坩堝形状に倣って育成されるような、円柱形状または角柱形状の単結晶を用いるのが好ましい。
まず、種結晶を作製するための単結晶について説明する。単結晶の育成方法には特に限定はなく、例えば、引き上げ法であるチョクラルスキー法、あるいは、一方向凝固法であるVB法、VGF法を用いてもよい。なお、引上げ方向は、所定の結晶方位の方向に合わせ育成する。また、単結晶の形状は特に限定されないが、引き上げ法により育成されるような円柱形状、一方向凝固法において坩堝形状に倣って育成されるような、円柱形状または角柱形状の単結晶を用いるのが好ましい。
単結晶は、高い磁歪特性を有し、材料が比較的安価で機械加工が可能である鉄ガリウム合金の単結晶を用いることが好ましい。また、磁化容易方向である<100>方向の方位集積度を高める観点から、体心立方格子構造を有しており、ミラー指数における方向指数のうち第1〜第3の<100>軸が等価であり、ミラー指数における面指数のうち第1〜第3の{100}面が等価(すなわち、(100)、(010)および(001)は等価)である鉄ガリウム合金の単結晶を用いることが好ましい。
また、本発明の一実施形態に係る鉄ガリウム合金は、ガリウム含有量が17at%以上20at%以下であることが好ましい。ガリウム含有量がこの範囲であることにより、鉄ガリウム合金は、高い磁歪特性を得ることができる。ガリウム含有量が17at%未満のとき、またガリウム含有量が20at%を超えるときでは、鉄ガリウム合金は高い磁歪特性を得ることが困難となる。
(種結晶の製造方法の概要)
本発明の一実施形態に係る種結晶の製造方法の概要を、図を用いて説明する。図1(A)から図1(C)において、本発明の一実施形態に係る種結晶を製造するための、鉄ガリウム合金単結晶インゴットの切断方法を説明する。そして、図2及び図3において、切断した鉄ガリウム合金単結晶インゴットからの種結晶の加工方法を説明する。
本発明の一実施形態に係る種結晶の製造方法の概要を、図を用いて説明する。図1(A)から図1(C)において、本発明の一実施形態に係る種結晶を製造するための、鉄ガリウム合金単結晶インゴットの切断方法を説明する。そして、図2及び図3において、切断した鉄ガリウム合金単結晶インゴットからの種結晶の加工方法を説明する。
本発明の一実施形態に係る種結晶の製造方法は、特定の結晶方位を示す目印やオリフラに該当する傾斜面を一時に作製した後で、単結晶インゴットから種結晶を作製する。以下、詳細に説明する。
(単結晶インゴットの切断方法)
本発明の一実施形態に係る単結晶インゴットの切断方法を、図1を用いて説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態に係る種結晶を製造するための、鉄ガリウム合金単結晶インゴットの斜視図である。図1(B)は鉄ガリウム合金単結晶インゴットの切断方向を示す斜視図である。図1(C)は、切断後の鉄ガリウム合金単結晶インゴットの斜視図である。なお、以下は、角柱形状の単結晶インゴットから種結晶を製作する事例について説明する。
本発明の一実施形態に係る単結晶インゴットの切断方法を、図1を用いて説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態に係る種結晶を製造するための、鉄ガリウム合金単結晶インゴットの斜視図である。図1(B)は鉄ガリウム合金単結晶インゴットの切断方向を示す斜視図である。図1(C)は、切断後の鉄ガリウム合金単結晶インゴットの斜視図である。なお、以下は、角柱形状の単結晶インゴットから種結晶を製作する事例について説明する。
図1(A)に示すように、単結晶インゴット10は長手方向の端面および各側面が全て(100)面の角柱形状を有する。次に、図1(B)に示すように、この単結晶インゴット10を長手方向と垂直な(100)面と角度θをなす傾斜面に沿って切断する。
切断後の鉄ガリウム合金単結晶インゴット11は、図1(C)に示すように、長手方向と垂直な(100)面と角度θをなす傾斜面を有する。この傾斜面は、長手方向と垂直な<100>方向に傾斜する。
ここで、図1(C)に示すように、例えば長手方向に平行な<100>方向に沿って、この傾斜面にレーザー光等を照射すると、傾斜面の傾斜方向である、長手方向と垂直な<100>方向に沿ってレーザー光等は反射する。本発明の一実施形態に係る種結晶では、この特定の結晶方位に反射するレーザー光等を基に、種結晶の結晶方位を確認する。
傾斜面の角度θは5°〜20°が好ましい。詳細は後述するが、VB法またはVGF法で単結晶を育成するときに、種結晶は坩堝の底部に設置される。そして、坩堝の上方から種結晶の傾斜面に光を入射させ、反射光を観察することで種結晶の結晶方位を確認する。このため、坩堝の内径や坩堝の長さ等により傾斜面の角度θは適宜調整されるが、この反射光を確認するためには5°〜20°であることが好ましい。
単結晶インゴット10を切断する方法は、シングルワイヤーソー、内周刃切断機、外周刃切断機、バンドソーなど特に制限されないが、カーフロスが少ないシングルワイヤーソーが望ましい。また、上述したように、傾斜面で反射した光を坩堝の上方で確認するため、傾斜面で光が散乱することなく反射するように、傾斜面を鏡面状に加工することが好ましい。
傾斜面の表面粗さを表す算術平均粗さRaは、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以上0.1μm以下がより好ましい。このような表面粗さに鏡面加工することで、傾斜面で光が散乱することなく反射することができるため、反射光を容易に確認し、種結晶の向きを特定の結晶方位に容易に制御することができる。
ワイヤーソーは、固定砥粒ワイヤーを用いることが好ましい。固定砥粒ワイヤーで切断すると、切断時に傾斜面が鏡面状に加工されるため、加工工数を低減することができる。固定砥粒ワイヤーに用いるダイヤ砥粒の粒径は適宜決定されるが、表面粗さの観点から6μm以上40μm以下が好ましい。
上述の切断方法により、長手方向と垂直な<100>方向に傾斜した傾斜面を有する、単結晶インゴット11を得ることができる。そして、この単結晶インゴット11から作製される種結晶全てについて、1回の切断でこの傾斜面を作製することができる。
傾斜面の傾斜の方向が、単結晶の長手方向と垂直な<100>方向になるように、単結晶インゴットを切断することができれば、単結晶インゴットは円柱形状であってもよい。なお、円柱形状の場合は、単結晶の側面の結晶方位が特定されていないため、X線回折装置等を用いて測定し結晶方位を特定してから切断をする。また、種結晶製造用の単結晶が、長手方向の端面および各側面が全て(100)面の角柱形状であれば、<100>方向を容易に確認することができ、長手方向と垂直な<100>方向に傾斜した傾斜面を容易に作製することができる。
(種結晶への加工方法)
次に、上記の傾斜面を有する単結晶インゴットから種結晶への加工方法を、図を用いて説明する。種結晶への加工方法は、図2に示すような、単結晶インゴットを円筒状のコアドリルでくり抜いて種結晶に加工する方法と、図3に示すような、単結晶インゴットを角柱形状に切り出し、その後、円柱形状に研削して種結晶に加工する方法に分けられる。以下詳細に説明する。
次に、上記の傾斜面を有する単結晶インゴットから種結晶への加工方法を、図を用いて説明する。種結晶への加工方法は、図2に示すような、単結晶インゴットを円筒状のコアドリルでくり抜いて種結晶に加工する方法と、図3に示すような、単結晶インゴットを角柱形状に切り出し、その後、円柱形状に研削して種結晶に加工する方法に分けられる。以下詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る種結晶を製造するための、鉄ガリウム合金単結晶インゴットのくり抜き例を示す斜視図である。図2に示すように、鉄ガリウム合金単結晶インゴットの下面の法線方向は<100>である。
そして、この下面を基準面として基準面と垂直に、円柱形状の種結晶を円筒状のコアドリルを用いてくり抜く。また、くり抜いた種結晶の長さを揃えるために、種結晶の長手方向と垂直に、種結晶を適切な長さに切断する。これにより、長手方向の<100>方向に平行であり、かつ、長手方向と垂直な<100>方向に傾斜した傾斜面を有する、円柱形状の鉄ガリウム合金種結晶を得ることができる。
また、図3は、本発明の一実施形態に係る種結晶を製造するための、鉄ガリウム合金単結晶インゴットの切断例を示す斜視図である。図3に示すように、鉄ガリウム合金単結晶インゴットの下面及び側面の法線方向は<100>である。
そして、この下面及び側面を基準面として、シングルワイヤーソーを用いて角柱形状の種結晶を切り出す。また、切り出した種結晶の長さを揃えるために、種結晶の長手方向と垂直に、種結晶を適切な長さに切断する。その後、センターレス加工機を用いて種結晶を円柱形状に研削する。これにより、長手方向の<100>方向に平行であり、かつ、長手方向と垂直な<100>方向に傾斜した傾斜面を有する、円柱形状の鉄ガリウム合金種結晶を得ることができる。
上述した加工方法のうち、コアドリルによる加工方法は、短時間での加工が可能であり生産性が高い長所を有するが、取りしろが1mm前後必要であり材料ロスが高い短所を有する。一方、シングルワイヤーソー及びセンターレス加工機による加工方法は、加工工程が長くなり生産に時間はかかる短所を有するが、取りしろは0.2mm前後であり材料ロスは低い長所を有する。これらの加工方法は、状況に応じて適宜選択される。
(単結晶の育成用坩堝及び種結晶の設置方法)
本発明の一実施形態に係る種結晶を設置する、単結晶の育成用坩堝及び、種結晶の設置方法を、図4を用いて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る種結晶の設置方法を説明する概略斜視図である。本発明の一実施形態に係る種結晶は、VB法やVGF法等の一方向凝固結晶成長法により単結晶を育成する。
本発明の一実施形態に係る種結晶を設置する、単結晶の育成用坩堝及び、種結晶の設置方法を、図4を用いて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る種結晶の設置方法を説明する概略斜視図である。本発明の一実施形態に係る種結晶は、VB法やVGF法等の一方向凝固結晶成長法により単結晶を育成する。
(単結晶の育成用坩堝)
坩堝20は、種結晶を設置する井戸状の細径部20a、該細径部から上方に向けて直径が大きくなる逆四角錐台形の管状の増径部20b、および該増径部から上方に結晶成長部として続く角筒状の定径部20cを有する。
坩堝20は、種結晶を設置する井戸状の細径部20a、該細径部から上方に向けて直径が大きくなる逆四角錐台形の管状の増径部20b、および該増径部から上方に結晶成長部として続く角筒状の定径部20cを有する。
定径部20cは角筒状であるため、この形状に倣って、側面が全て(100)面である角柱形状の単結晶が育成される。また、種結晶12を設置する細径部20aを円筒状の井戸状にすることで、種結晶12を、鉛直方向を軸に回転させることが容易になり、種結晶12の傾斜面の結晶方位を容易に調整することができる。そして、種結晶12の傾斜面の結晶方位と角柱形状の坩堝20の所定の方向を容易に一致させることができる。
(種結晶の設置方法)
まず坩堝20の細径部20aに、傾斜面を上にして種結晶12を設置する。次に、坩堝上方の光源30から種結晶12の長手方向に平行に、レーザー光等を種結晶12の上面に照射する。
まず坩堝20の細径部20aに、傾斜面を上にして種結晶12を設置する。次に、坩堝上方の光源30から種結晶12の長手方向に平行に、レーザー光等を種結晶12の上面に照射する。
種結晶12上面の傾斜面は長手方向と垂直な<100>方向に傾斜しているため、反射光は、図4に示すように、種結晶12の長手方向と垂直な<100>方向に反射する。そして、坩堝上部で反射光を視認する。
そして、反射光が定径部20cの側面方向と平行になるように種結晶12を回転させることで、定径部20cの側面は<100>方向と垂直な(100)面となるため、側面が全て(100)面である角柱形状の単結晶インゴットが育成される。
上述したように、種結晶12において、傾斜の角度θは坩堝20の内径や坩堝20の長さ等により適宜調整されるが、5°〜20°が好ましい。傾斜角度が5°より小さい場合は、反射光が入射光と近いため坩堝上部で視認できない。傾斜角度が20°より大きいと、反射光が坩堝側面の深い位置に反射されるため反射光のズレを確認し難くなる。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
縦65mm、横65mm、長さ75mmの角柱形状であり、長手方向の端面および各側面が全て(100)面である、鉄ガリウム合金単結晶インゴットを用意した。鉄ガリウム合金のガリウム含有量は18at%とした。
縦65mm、横65mm、長さ75mmの角柱形状であり、長手方向の端面および各側面が全て(100)面である、鉄ガリウム合金単結晶インゴットを用意した。鉄ガリウム合金のガリウム含有量は18at%とした。
次に、素線の直径が120μmのピアノ線(高炭素鋼製ワイヤー)(JIS G 3522:2014)に粒径6〜12μmのダイヤモンドをニッケルメッキで電着保持したシングルワイヤーソーを準備した。
次に、角柱形状の鉄ガリウム合金単結晶インゴットをシングルワイヤーソーで、長手方向の一辺と15°傾斜するように斜めに切断した。長手方向の一辺と切断面の傾斜角度を測定したところ、15.1°であった。また、切断面の表面粗さを表面粗さ計(株式会社小坂研究所製)で測定したところ、算術平均粗さRaは0.05μm以上0.1μm以下であった。
次に、厚み1.0mm内径4.0mmのコアドリルを用いて、長手方向の端面から長手方向に沿って、鉄ガリウム合金単結晶インゴットを穿孔して、直径4.0mmの円柱形状の鉄ガリウム合金種結晶を得た。そして、得られた鉄ガリウム合金種結晶をシングルワイヤーソーで切断し、長さを28mmに揃えた。得られた鉄ガリウム合金種結晶は136本であった。
鉄ガリウム合金種結晶の傾斜面を肉眼で観察したところ、鏡面に近い状態であった。そして、レーザー光を、鉄ガリウム合金種結晶の長手方向に沿って傾斜面に入射したところ、レーザー光はほとんど散乱することなく反射し、反射光の位置を支障なく視認することができた。
(実施例2)
実施例1と同様の手順で、角柱形状の鉄ガリウム合金単結晶インゴットをシングルワイヤーソーで切断した。長手方向の一辺と切断面の傾斜角度を測定したところ、15.2°であった。また、切断面の表面粗さを表面粗さ計で測定したところ、算術平均粗さRaは0.05μm以上0.1μm以下であった。
実施例1と同様の手順で、角柱形状の鉄ガリウム合金単結晶インゴットをシングルワイヤーソーで切断した。長手方向の一辺と切断面の傾斜角度を測定したところ、15.2°であった。また、切断面の表面粗さを表面粗さ計で測定したところ、算術平均粗さRaは0.05μm以上0.1μm以下であった。
次に、シングルワイヤーソーを用いて、長手方向の端面から長手方向に沿って、鉄ガリウム合金単結晶インゴットを角柱形状に切断し、4.5mm角の角柱形状の鉄ガリウム合金種結晶を得た。
次に、得られた鉄ガリウム合金種結晶をセンターレス加工機(ミクロン精密株式会社製)で円柱形状に研削し、直径4.0mmの円柱形状の鉄ガリウム合金種結晶を得た。そして、得られた鉄ガリウム合金種結晶をシングルワイヤーソーで切断し、長さを28mmに揃えた。得られた鉄ガリウム合金種結晶は392本であった。
鉄ガリウム合金種結晶の傾斜面を肉眼で観察したところ、鏡面に近い状態であった。そして、レーザー光を、鉄ガリウム合金種結晶の長手方向に沿って傾斜面に入射したところ、レーザー光はほとんど散乱することなく反射し、反射光の位置を支障なく視認することができた。
なお、上記のように本発明の一実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、単結晶育成に用いる種結晶の製造方法の構成も本発明の一実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10、11 単結晶インゴット、12 種結晶、20 坩堝、20a 細径部、20b 増径部、20c 定径部、30 光源
Claims (8)
- VB法あるいはVGF法により単結晶を育成するための種結晶の製造方法であって、
種結晶製造用の単結晶を、切断面が所定の結晶方位に傾斜するように切断する切断工程と、
前記切断工程後の種結晶製造用の単結晶を円柱形状に加工する加工工程と、
を有し、
前記種結晶製造用の単結晶は柱状形状であり、
前記切断工程において、前記種結晶製造用の単結晶の長手方向と垂直な面に対して所定の角度で前記種結晶製造用の単結晶を切断することを特徴とする種結晶の製造方法。 - 前記単結晶及び前記種結晶は、鉄ガリウム合金の単結晶であることを特徴とする請求項1に記載の種結晶の製造方法。
- 前記種結晶製造用の単結晶の長手方向は<100>方向であり、前記結晶方位は、該長手方向と垂直な<100>方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載の種結晶の製造方法。
- 前記所定の角度は、5°〜20°であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の種結晶の製造方法。
- 前記切断工程において、前記種結晶製造用の単結晶を固定砥粒ワイヤー用いたワイヤーソーで切断することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の種結晶の製造方法。
- 前記切断面の算術平均粗さは0.1μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の種結晶の製造方法。
- 前記加工工程において、コアドリルを用いて、前記種結晶製造用の単結晶の長手方向と平行に円柱形状の種結晶をくり抜くことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の種結晶の製造方法。
- 前記加工工程において、ワイヤーソーを用いて、前記種結晶製造用の単結晶の長手方向と平行に角柱形状の種結晶を切り出し、センターレス加工機を用いて、該角柱形状の種結晶を円柱形状に加工することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の種結晶の製造方法。
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WO2022224974A1 (ja) * | 2021-04-23 | 2022-10-27 | 住友金属鉱山株式会社 | 磁歪部材及び磁歪部材の製造方法 |
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2019
- 2019-06-07 JP JP2019107456A patent/JP2020200209A/ja active Pending
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