JP2022159777A - 磁歪部材及び磁歪部材の製造方法 - Google Patents

磁歪部材及び磁歪部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁歪部材の磁歪特特性、特に磁歪定数について、磁歪部材の表面が平坦で平滑な面に仕上げられた鏡面加工等に仕上げられた磁歪部材の磁歪定数と同等の特性を有し、かつ、磁歪部材の生産性を向上させること。【解決手段】磁歪部材は、磁歪特性を有する鉄系合金の結晶からなる磁歪部材であって、少なくとも一面の表面粗さRaが2.4μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、磁歪部材及び磁歪部材の製造方法に関する。
磁歪材料は、機能性材料として注目されている。例えば、鉄系合金であるFe-Ga合金は、磁歪効果および逆磁歪効果を示す材料であり、100~350ppm程度の大きな磁歪を示す。そのため、近年、エネルギーハーベスト分野の振動発電用材料として注目され、ウェアラブル端末やセンサ類などへの応用が期待されている。単結晶の製造方法として、引き上げ法(チョクラルスキー法、以下「Cz法」と略記する)による単結晶の育成方法が知られている(例えば、特許文献1)。また、Cz法以外の製造方法として、垂直ブリッジマン法(VB法)や垂直温度勾配凝固法(VGF法)が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3)。
磁歪特性は結晶方位に依存する。Fe-Ga合金では、結晶の<100>方位に磁化容易軸を持ち、この方位に大きな磁気歪みを現出させることができる。従来、Fe-Ga合金の磁歪部材は、Fe-Ga合金の多結晶から<100>方位に配向した単結晶部分を所望サイズに切断することにより製造されているが(例えば、非特許文献1)、結晶方位は磁歪特性に大きく影響するため、磁歪部材の磁歪を必要とする方向と結晶の磁気歪みが最大となる<100>方位とを一致させた単結晶が磁歪部材の材料として最適であると考えられる。
Fe-Ga合金の単結晶は、単結晶の<100>方位に対して平行に磁場を印加したとき、正の磁歪が現出する(以下、「平行磁歪量」と称す)。一方、<100>方位に対して垂直に磁場を印加したとき、負の磁歪が現出する(以下、「垂直磁歪量」と称す)。印加する磁場の強度を徐々に強めていくと、平行磁歪量あるいは垂直磁歪量がそれぞれ飽和する。磁歪定数(3/2λ100)は、飽和した平行磁歪量と、飽和した垂直磁歪量の差で決定され、下記の式(1)によって求められる(例えば、特許文献4、非特許文献2)。
3/2λ100=ε(//)― ε(⊥) ・・・式(1)
3/2λ100:磁歪定数
ε(//):<100>方向に対して平行に磁場をかけて飽和したときの平行磁歪量
ε(⊥) :<100>方向に対して垂直に磁場をかけて飽和したときの垂直磁歪量
磁歪特性は磁歪材料の組成に依存する。Fe-Ga合金の磁歪特性は、磁歪・逆磁歪効果および磁歪式振動発電デバイスの特性に影響を与えると考えられており、デバイス設計をする上で重要なパラメータとなる(例えば、非特許文献4)。特に、磁歪定数は、Fe-Ga合金単結晶のGa組成に依存し、Ga組成が18~19at%と27~28at%で磁歪定数が極大になることが知られており(例えば、非特許文献2)、このようなGa濃度のFe-Ga合金をデバイスに用いることが望ましいとされる。
磁歪式振動発電デバイスは、例えば、コイルに巻かれたFe-Ga磁歪部材、ヨーク、界磁用永久磁石で構成されている(例えば、特許文献5、非特許文献3)。この磁歪式振動発電デバイスでは、デバイスの可動部のヨークを振動させると、ヨークの中央に固定したFe-Ga磁歪部材が連動して振動し、逆磁歪効果によってFe-Ga磁歪部材に巻かれたコイルの磁束密度が変化し、電磁誘導起電力が発生して発電する仕組みとなる。磁歪式振動発電デバイスでは、ヨークの長手方向に力が加わって振動が起こるため、デバイスに用いるためのFe-Ga磁歪部材は、磁化容易軸である<100>を長手方向になるように加工することが望ましい。
磁歪現象を利用する磁歪素子は機械的歪による磁気弾性エネルギー効果、いわゆる逆磁歪効果により、磁気特性や磁歪特性が影響を受けやすい。そのため、素子に適用する際の意図しない応力や局所歪などが無いことが望ましい。例えば、加工歪は磁歪特性の低下、素子としての強度低下、疲労特性の劣化、特性のばらつきによる歩留まり低下などを生じさせるおそれがある(特許文献6)。FeGa(Al)系合金材料の磁歪特性評価に関しては、合金試料表面の加工歪み面の除去および形状の調整を兼ねてSiC研磨紙で研磨処理する例が報告されている(特許文献7、非特許文献4、5)。
その他、磁歪素子は磁気要素と機械要素の結合および変換を利用する素子のため、機械的形状が重要となってくる。ゆえに、磁歪材の表面は平坦面、あるいはなめらかで凹凸の少ない曲面であることが望ましい(特許文献7)
特開2016-28831号公報 特開2016-138028号公報 特開平4-108699号公報 特表2015-517024号公報 国際公開第2011-158473号 特開2006-253614号公報 特許第4895108号公報
Etrema社,State of the Art of Galfenol Processing. A. E. Clark et al., Appl. Phys. 93(2003)8621. 上野敏幸, 精密工学会誌 Vol. 79, No.4, (2013) 305-308. S.Asano et al., IEEE Magnetics Letters, Volume 8(2017)6101004. C. Mudivarthi et al, J. Appl. Phys., vol.322 (2010)2023-2026.
磁歪式振動発電デバイス等のデバイス特性は、磁歪部材の磁歪特性によって影響を受けるため、磁歪部材は、高い磁歪特性を有し、磁歪特性のばらつきの少ないものが要求される。このような中で、磁歪部材が単結晶であり、結晶組成が均一であるならば、磁歪定数が均一となる。
上述したように磁歪部材の表面に機械的歪を受けると、磁気特性や磁歪特性、特に磁歪定数に影響を受ける。そのため、磁歪部材の表面は意図しない応力や局所歪などが無いように、鏡面加工等により、平坦で平滑な面に仕上げられている。
しかしながら、磁歪部材の表面を鏡面加工するには、研磨材で長時間加工する必要があり、生産性が低下する問題があった
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、磁歪部材の磁歪特性、特に磁歪定数について、磁歪部材の表面が平坦で平滑な面に仕上げられた鏡面加工等に仕上げられた磁歪部材の磁歪定数と同等の特性を有し、かつ、磁歪部材の生産性を向上させる磁歪部材及び磁歪部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様によれば、磁歪特性を有する鉄系合金の結晶からなる磁歪部材であって、少なくとも一面の表面粗さRaが2.4μm以下である、磁歪部材が提供される。
また、本発明の態様の磁歪部材は、板状であり、表裏面の表面粗さRaが2.4μm以下である構成でもよい。また、表面粗さRaが2.4μm以下である面は、研削加工面である構成でもよい。また、磁歪定数は、磁歪部材の表裏面が研磨加工面である際の磁歪定数の80%以上である構成でもよい。
また、本発明の態様によれば、磁歪特性を有する鉄系合金の結晶からなる磁歪部材の製造方法であって、少なくとも一面を、表面粗さRaが2.4μm以下に表面加工をすることを含む、磁歪部材の製造方法が提供される。
また、本発明の態様の磁歪部材の製造方法は、表面加工は、研削加工である構成でもよい。また、表面加工は、番手が#100以上#1000以下の砥石を用いる研削加工である構成でもよい。
本発明の態様によれば、磁歪部材の磁歪特特性、特に磁歪定数について、磁歪部材の表面が平坦で平滑な面に仕上げられた鏡面加工等に仕上げられた磁歪部材の磁歪定数と同等の特性を有し、かつ、磁歪部材の生産性を向上させることが出来る。
実施形態に係る磁歪部材の一例を示す図である。 実施形態に係る磁歪部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。 単結晶、薄板部材、磁歪部材の第1の例を示す図である。 単結晶、薄板部材、磁歪部材の第2の例を示す図である。 単結晶、薄板部材、磁歪部材の第3の例を示す図である。 実施例で用いた歪みゲージ法を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更することができる。なお、各図面においては、適宜、一部又は全部が模式的に記載され、縮尺が変更されて記載される。また、以下の説明において、「A~B」との記載は、「A以上B以下」を意味する。
図1は、本実施形態に係る磁歪部材の一例を示す図である。磁歪部材1は、鉄系合金の結晶からなる。鉄系合金は、磁歪特性を有するものであれば、特に限定されない。磁歪特性とは、磁場を印加したときに形状の変化が生じる特性を意味する。鉄系合金は、例えば、Fe-Ga、Fe-Ni、Fe-Al、Fe-Co、Tb-Fe、Tb-Dy-Fe、Sm-Fe、Pd-Fe等の合金である。また、上記合金において第3成分を添加した合金であってもよい。例えば、Fe-Ga合金においてBa、Cu等を添加した合金であってもよい。これらの鉄系合金の中でも、Fe-Ga合金は、他の合金と比較して磁歪特性が大きく加工も容易であるため、エネルギーハーベスト分野の振動発電用材料やウェアラブル端末やセンサ類などへ応用されている。本実施形態の磁歪部材1に用いることができる結晶は、単結晶でもよいし、多結晶でもよい。<100>方向の方位集積度を高め、磁歪材料としての特性を高めるためには、多結晶よりも単結晶の使用が有利である。なお、多結晶は、単結晶より磁歪特性は落ちるものの低コストで生産が可能であるため、多結晶を用いる場合もある。以下の説明では、磁歪部材1の一例として、磁歪部材1がFe-Ga合金の単結晶からなる構成の例を説明する。
Fe-Ga合金の単結晶は、体心立方格子構造を有しており、ミラー指数における方向指数のうち第1~第3の<100>軸(図3から図5参照)が等価であり、ミラー指数における面指数のうち第1~第3の{100}面(図3から図5参照)が等価(すなわち、(100)、(010)および(001)は等価)であることを基本とするものである。また、Fe-Ga合金は、結晶の特定方位に大きな磁気歪みを現出させる特性を有する。この特性を磁歪式振動発電デバイスに利用する場合、デバイスにおいて磁歪部材1の磁歪を必要とする方向と、結晶の磁気歪みが最大となる方位(方向)とを一致させることが望ましい。具体的には、上述したように、単結晶における磁化容易方向である<100>方向を、磁歪部材1の長手方向に設定することが望ましい。単結晶における磁化容易方向である<100>方向を、磁歪部材1の長手方向とすることは、例えば、単結晶の結晶方位を公知の結晶方位解析により算出し、算出した単結晶の結晶方位に基づいて単結晶を切断することにより、実施することができる。
磁歪部材1は、例えばエネルギーハーベスト分野の振動発電デバイス用の材料(部品)、ウェアラブル端末やセンサ類などの材料(部品)として使用される。例えば、上記の特許文献5に示すような磁歪式振動発電デバイスは、コイル、コイルに巻かれたFe-Ga合金の磁歪部材、ヨーク、及び、界磁用永久磁石により構成されている。この磁歪式振動発電デバイスは、デバイスの可動部であるヨークを振動させると、ヨークの中央部に固定された磁歪部材が連動して振動し、逆磁歪効果によって磁歪部材に巻かれたコイルの磁束密度が変化し、電磁誘導起電力が発生することにより発電する仕組みとなっている。このような仕組みで用いられる場合、磁歪部材1の形状は、薄板状であり、平面視において細長い長方形状に設定されることが好ましい。例えば、磁歪部材1は、図1に示す形状でもよい。図1に示す磁歪部材1は、平面視において長方形状の板状体であり、表面(おもて面)3、裏面4、及び側面5、6を有する。表面3及び裏面4は、互いに平行であるのが好ましいが、互いに平行でなくてもよい。
磁歪部材1の厚さには特に限定はない。厚さの下限は、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がさらに好ましい。また、磁歪部材1の厚さの上限は、1.5mm以下が好ましい。磁歪部材1の厚さは、0.3mm以上1.5mm以下が好ましく、0.5mm以上1.0mm以下がさらに好ましい。磁歪部材1による発電の仕組みは、上記で説明したように、磁歪部材に応力与えること(振動)で逆磁歪効果により発電する仕組みである。磁歪部材1の厚みが0.3mm未満の場合、振動中に破損しやすくなる。逆に磁歪部材1の厚さが1.5mmを超える場合、振動による応力を大きくする必要があり効率が悪くなる。磁歪部材1の形状及び大きさは、目的とするデバイスの大きさに応じて適宜設定される。例えば、磁歪部材1の大きさは、実施例1~6に示す大きさである。
なお、磁歪部材1の形状及び寸法は、それぞれ、特に限定されない。例えば、磁歪部材1は、平面視において長方形状でなくてもよい。例えば、磁歪部材1の形状は、平面視において、楕円状、トラック状、不定形でもよい。なお、磁歪部材1の形状が平面視において長方形状以外の場合において、長手方向は長径方向、長軸方向等であり、短手方向は長手方向に直交する方向である。
本発明者らは、Fe-Ga合金の単結晶からなり、主面が{100}面であり、磁化容易方向である<100>方向を磁歪部材の長手方向とした平面視の形状が長方形状である板状の磁歪部材を複数製作した。Ga濃度が均一なFe-Ga合金の単結晶から切り出して作製した複数の磁歪部材について磁歪特性(磁歪定数)を確認した結果、磁歪部材の表裏面の仕上げ状態により磁歪定数の測定値にばらつきがあること確認した。一般に、磁歪部材の表面に機械的歪を受けると、磁気特性や磁歪特性、特に磁歪定数に影響を受ける。そのため、磁歪部材の表面は意図しない応力や局所歪などが無いように、鏡面加工等により、平坦で平滑な面に仕上げることが好ましい。しかしながら、磁歪部材の表面を鏡面加工するには、研磨材で長時間加工する必要があり、生産性が低下する問題があった。本発明者らは、さらに調査した結果、磁歪定数と磁歪部材の表面状態に関連があることを見出した。本発明は、上記の知見を元になされたものである。
本実施形態の磁歪部材1は、少なくとも一面の表面粗さRaが2.4μm以下であることを特徴としている。以下詳細に説明する。
本実施形態の磁歪部材1の磁歪特性は、磁歪定数で評価する。上述したように、磁歪定数(3/2λ100)は、飽和した平行磁歪量と、飽和した垂直磁歪量の差で算出される。単結晶の<100>方位に対して平行に磁場を印加したとき、正の磁歪が現出し飽和した値を平行磁歪量とし、<100>方位に対して垂直に磁場を印加したとき、負の磁歪が現出し飽和した値を垂直磁歪量とする。これら磁歪量は、歪ゲージ法により評価する。なお、単結晶で組成が不均一な磁歪材料を用いた場合、磁歪定数が変化する。従って、磁歪定数については、単結晶の組成が均一な磁歪材料を準備することが重要である。なお、磁歪定数の測定方法の詳細については、後述する。
磁歪部材の特性、特に磁歪定数は、磁歪部材の表面状況に関連している。磁歪部材の表面に加工歪が残っている場合、その加工歪により、磁歪部材の磁区方向が変化して所定の磁歪定数が得られなくなることがある。このため、磁歪部材の表面は意図しない応力や局所歪などが無いように、鏡面加工等により、平坦で平滑な面に仕上げることが好ましいとされている。
そこで、本発明では、実施例に示すように、磁歪部材の表面状態(表面粗さ)と磁歪定数の関連性について試験を行った。
なお、実施例は、Fe-Ga合金単結晶を入手し、ICP分析によりガリウム含有量が原子量%で18~19at.%であるように濃度が均一なFe-Ga合金単結晶より切断し、表面を所定の表面粗さに加工した磁歪部材である。
参考例に示すように、磁歪部材の表裏面を鏡面仕上げに加工した磁歪部材の磁歪定数は300ppmであった。
これに対し、実施例1~6に示すように、磁歪部材の表面に対して、ワイヤーソーによる加工、または平面研削盤による平面研削加工を行い、表裏面の少なくとも1つの面(片面)の表面粗さRaを2.4μm以下にすることで、磁歪定数を、磁歪部材の表裏面を鏡面加工した磁歪部材と同等に維持することが可能となる。実施例1~6に示すように、磁歪部材の表裏面を鏡面加工した磁歪部材の磁歪定数に対し80%以上の磁歪定数を得ることが出来る。表面粗さRaは、小さい方が磁歪定数を高位とすることが出来る。例えば、表面粗さRaを1.0μm以下にすることで、磁歪定数を、磁歪部材の表裏面を鏡面加工した磁歪部材に対し、95%を超える磁歪定数を得ることが出来る。
表面粗さは、平面研削盤等で研削加工した場合、研削方向に対して垂直な垂直方向(以下、単に垂直方向と称す場合もある)の表面粗さRaが大きくなる。よって、上記表面粗さRaの数値は、研削方向と研削方向に対し垂直方向との2方向を測定した時の最大となる方向の値とした。同様に、本実施形態の磁歪部材1及び後述する本実施形態の磁歪部材の製造方法における表面粗さRaは、1つの面内において最大値となる方向における値とする。
なお、磁歪定数(3/2λ100)は、飽和した平行磁歪量と、飽和した垂直磁歪量の差で決定されるため、研削方向による差は生じない。なお、本実施形態の磁歪部材1及び後述する本実施形態の磁歪部材の製造方法では、平行磁歪量の測定方向は研削方向としている。
なお、上記磁歪部材の表面粗さRaが2.4μm以下の面は、磁歪部材の表裏面のうちの少なくとも1面であればよいが、表裏面の両面であってもよい。また、磁歪部材1において、表面粗さRaが2.4μm以下となる面の表面形状は特に限定されない。例えば、表面粗さRaが2.4μm以下となる面は、研削加工面であるのが好ましい。表面粗さRaが2.4μm以下となる面が研削加工面である場合、加工速度が高いため、生産性が高くなる。表面粗さRaが2.4μm以下となる面が研削加工面である場合、磁歪部材1において研削加工が施される方向は特に限定されないが、磁歪部材1の長手方向に沿った方向であるのが好ましい。ここで、長手方向に沿った方向は、長手方向に対して40°度以内で交差する方向を含む。また、表面粗さRaが2.4μm以下の面における、表面粗さRaの下限は、Raが鏡面よりも大きければ特に限定されないが、0.03μm以上であるのが好ましい。
以上のように、本実施形態の磁歪部材1は、磁歪特性を有する鉄系合金の結晶からなる磁歪部材であって、少なくとも一面の表面粗さRaが2.4μm以下である。すなわち、本実施形態の磁歪部材1は、表面粗さRaが2.4μm以下、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.8μm以下の面を備える。なお、本実施形態の磁歪部材1において、上記以外の構成は任意の構成である。本実施形態の磁歪部材1は、磁歪部材の磁歪特特性、特に磁歪定数について、磁歪部材の表面が平坦で平滑な面に仕上げられた鏡面加工等に仕上げられた磁歪部材の磁歪定数と同等の特性を有し、かつ、磁歪部材の生産性を向上させることができる。例えば、本実施形態の磁歪部材1は、磁歪定数が250ppm以上、より好ましくは280ppm以上、さらに好ましくは290ppm以上の特性を有する。また、本実施形態の磁歪部材1は、磁歪部材の表裏面を鏡面加工した磁歪部材の磁歪定数に対し80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の磁歪定数の特性を有する。本実施形態の磁歪部材1は、上記のように磁歪定数が高いため、優れた磁歪効果および逆磁歪効果を示す部材(材料)の最終製品として好適に用いることができる。
次に、本発明の磁歪部材の製造方法について説明する。
本実施形態の磁歪部材の製造方法は、上記した本実施形態の磁歪部材1の製造方法である。本実施形態の磁歪部材の製造方法は、磁歪特性を有する鉄系合金の結晶からなる磁歪部材において、磁歪部材の表裏面を表面粗さRa2.4μm以下に表面加工することを含む。なお、以下の説明では、Fe-Ga合金の単結晶インゴットから磁歪部材1を製造する方法を一例として説明するが、本実施形態の磁歪部材の製造方法は、以下の説明に限定されない。また、本明細書中の記載のうち、本実施形態の磁歪部材の製造方法に適用可能なものは、本実施形態の磁歪部材の製造方法でも適用されるとする。また、本実施形態の磁歪部材の製造方法の説明のうち、本実施形態の磁歪部材に適用可能なものは、本実施形態の磁歪部材でも適用されるとする。また、本実施形態の磁歪部材1を製造する方法は、以下に説明する本実施形態の磁歪部材の製造方法に限定されず、他の製造方法で製造されてもよい。
図2は、本実施形態の磁歪部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。図3から図5は、単結晶、薄板部材及び磁歪部材の第1から第3の例を示す図である。本実施形態の磁歪部材の製造方法は、結晶用意工程(ステップS1)、結晶切断工程(ステップS2)、表面加工工程(ステップS3)、及び、切断工程(ステップS4)を備える。
本実施形態の磁歪部材の製造方法では、まず、結晶用意工程(ステップS1)において、磁歪特性を有する鉄系合金の結晶を用意する。用意する結晶は、単結晶でもよいし、多結晶でもよい。また、用意する結晶は、育成したものでもよいし、市販品を用いてもよい。例えば、結晶用意工程では、Fe-Ga合金の単結晶を用意する。Fe-Ga合金の単結晶の育成方法は、特に限定はない。Fe-Ga合金の単結晶の育成方法は、例えば、引き上げ法や一方向凝固法等でもよい。例えば、引き上げ法ではCz法、一方向凝固法ではVB法、VGF法およびマイクロ引き下げ法等を用いることができる。
なお、Cz法により単結晶を得ることができるが、組成変動が大きいという問題がある。よって、Cz法と同様に高品質の単結晶が得られ、かつ組成均一性の高いVB法で育成した単結晶を用いることがより好ましい。
Fe-Ga合金の単結晶は、ガリウムの含有量を18.5at%又は27.5at%にすることで磁歪定数が極大になる。このため、Fe-Ga合金の単結晶は、ガリウムの含有量が16.0~20.0at%または25.0~29.0at%であるのが好ましく、17.0~19at%または26.0~28.0at%になるように育成されたものがより好ましい。育成された単結晶の形状は、特に限定はなく、例えば、円柱状でもよいし、四角柱状でもよい。なお、育成した単結晶は、必要に応じて種結晶、増径部または肩部(種結晶から所定の単結晶の径まで増やす部分)等を切断装置で切断することによって、円柱状の単結晶にしてもよい。育成する単結晶の大きさは、磁歪部材が所定の方向で確保できる大きさであれば、特に限定はない。Fe-Ga合金単結晶を育成する場合、育成軸方向が<100>になるように種結晶の上面又は下面を{100}面に加工した種結晶を使用して育成する。育成されるFe-Ga合金単結晶は、種結晶の上面又は下面に対し垂直方向に結晶が育成され、かつ種結晶の方位が継承される。
結晶用意工程(ステップS1)の次に、結晶切断工程(ステップS2)を実施する。結晶切断工程は、結晶を切断し薄板部材を作成する工程である。薄板部材は、本実施形態の磁歪部材1の材料となる部材である。結晶切断工程は、例えば、磁歪特性を有するFe-Ga合金の単結晶を切断装置を用いて切断し、{100}面を主面とする薄板部材を作製する工程である。切断装置は、ワイヤー放電加工機、内周刃切断装置、ワイヤーソー等の切断装置を用いることができる。中でも、特にマルチワイヤーソーを使用することが、同時に複数の薄板部材を切断することができるため好ましい。単結晶の切断方向は、Fe-Ga合金の単結晶の場合、<100>であり、切断面すなわち薄板部材の主面が{100}面となるように切断する。単結晶の切断方向は、特に限定されない。単結晶の切断方向は、例えば、図3から図5に示すように、単結晶の育成方向(結晶が育成される方向)に対し、垂直方向でもよいし、平行方向でもよい。
結晶切断工程(ステップS2)の次に、表面加工工程(ステップS3)を実施する。表面加工工程は、得られた薄板部材の表面3及び裏面4のうちの少なくとも1つの面を、表面粗さRaが2.4μm以下(以下、所定の表面粗さと称すこともある)になるように表面加工する。表面加工工程では、薄板部材を最終的に切断して磁歪部材1にした際に、磁歪部材1の表面粗さRaが2.4μm以下になるように、薄板部材に表面加工を行う。上記したように、結晶切断工程により得られた薄板部材の表裏面の少なくとも1つの面に表面加工を施すことにより所定の表面粗さRaを得ることができる。
この、表面加工は、所定の表面粗さRaに加工できれば特に限定はしない。例えば、平面研削盤で砥石を用いた研削加工、あるいは、両面ラップ装置で砥粒を含むスラリーを用いた研削加工でもよい。また、ワイヤーソーを用いた研削加工でもよい。更に、研削加工ではないが、ワイヤー放電加工機で加工条件を調整することで所定の表面粗さRaとすることが可能な放電加工などの加工でもよい。
以下、表面加工工程を薄板部材の平面研削加工により行う例を説明する。
平面研削加工は、平面研削盤を用いて行う。平面研削盤は、砥石又は加工テーブルの移動方向が直線的な方式で、平型砥石を使用し加工テーブルが往復運動する方式の平面研削盤を使用できる。また、カップ砥石を使用し加工テーブルが回転運動する平面研削盤を使用することもできる。
また、表面加工工程では、従来と同様に研磨加工を行い薄板部材(磁歪部材)の表面を鏡面に仕上げた後、平面研削加工を行ってもよいが、磁歪部材の生産性の効率の観点から好ましくない。なお、上記表面加工(平面研削加工)は、薄板部材の表裏面の双方に施すのが好ましい。
平面研削加工に使用する砥石は、所定の表面粗さになるように選定する。例えば砥石の荒さ(番手)の下限が#100以上であるのが好ましく、#200以上であるのがより好ましく。砥石の荒さ(番手)の上限は特に限定は無いが、磁歪部材の生産性の観点より、#1000以下であるのが好ましく、#600以下であるのがより好ましく、範囲が#100以上#1000以下であるのが好ましく、#200以上#600以下であるのがより好ましい。砥石の荒さ(番手)が上記範囲である場合、磁歪定数を鏡面仕上げ時の磁歪定数に対し80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の磁歪定数を得ることができる。なお、#100より小さい砥石を使用すると磁歪部材に加工歪が残り、磁歪定数を低下させるおそれがある。#1000を超える砥石を使用すると、加工中に、砥石の目詰まり等が発生し、生産性が悪化するおそれがある。
また、表面加工工程は、ワイヤーソーを用いた研削加工でもよい。ワイヤーソーで切断する場合、結晶切断工程(ステップS2)と表面加工工程(ステップS3)を共有することが可能であり、効率よく薄板部材を作製することができる。ワイヤーソーによる表面加工では、一定ピッチで並行する複数の極細ワイヤー列に被加工物を押し当て、ワイヤーを線方向に送りながら、被加工物とワイヤーとの間に砥粒を含む加工液(スラリーともいう)を供給することによって切断する遊離砥粒方式と、ダイヤモンド等砥粒を電着又は接着剤によって固定したワイヤーを線方向に送りながら、被加工物を切断する固定砥粒方式とがある。本実施形態では両方の方式を用いることができる。ワイヤーソーで用いる砥粒は、所定の表面粗さになるように選定する。例えば、砥粒はSiC、#1000を使用することができる。
更に、研削加工ではないが、所定の表面粗さRaになるような放電加工でもよく、例えばワイヤー放電加工装置で加工条件を調整することで上記の所定の表面粗さとしてもよい。
なお、磁歪部材の表面加工工程においては、加工速度の観点より、加工速度が速い研削加工がより好ましい。例えば、研削加工は、ワイヤソーによる研削加工、又は平面研削加工であるのが好ましい。
表面加工成工程(ステップS3)の次に、切断工程(ステップS4)を実施する。切断工程は、表面加工工程により所定の表面粗さRaとした薄板部材を切断し、本実施形態の磁歪部材1を得る工程である。
切断工程では、薄板部材を所定の大きさに切断する。切断工程では、磁歪部材1が平面視において長方形状の板状体となるように、薄板部材を磁歪部材1として切断する。切断工程では、切断装置を用いて薄板部材を切断する。切断工程で使用する切断装置は、特に限定されず、例えば、外周刃切断装置、ワイヤー放電加工機、ワイヤーソー等を使用することができる。薄板部材から磁歪部材を採取する方向には、特に限定はなく、例えば、磁歪部材の大きさ等より効率的に取得できる方向に設定すればよい。また、磁歪部材1の磁歪定数は、磁歪部材の表裏面の状態に依存され、側面の表面状態には影響を受けない。このため、磁歪部材1を製造する上では、磁歪部材1の側面の加工方法は特に限定はない。
以上のように、本実施形態に係る磁歪部材の製造方法は、磁歪特性を有する鉄系合金の結晶からなる磁歪部材の製造方法であって、少なくとも一面を、表面粗さRaが2.4μm以下に表面加工をすることを含む。なお、本実施形態に係る磁歪部材の製造方法において、上記以外の構成は、任意の構成である。本実施形態に係る磁歪部材の製造方法によれば、上記の本実施形態の磁歪部材1を製造することができるので、磁歪部材の生産性を向上させることができる。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
化学量論比で鉄とガリウムの比率81:19で原料を調整し、垂直ブリッジマン(VB)法で育成した円柱状の直径52mm、直胴長さ100mmのFe-Ga合金の単結晶を用意した。単結晶の育成軸方向は<100>とした。結晶育成軸方向に垂直な単結晶の上面または下面の{100}面をX線回折により方位確認した。なお、この時、島津シーケンシャル形プラズマ発光分析装置(ICPS-8100)で10mm毎に結晶組成を測定した結果、直胴開始位置から10~70mmの領域のガリウムの含有量が18.0~19.0at%であった。外周刃切断機を用いて、直胴開始位置から10~70mmの領域以外を切り落とした。
次のようにして、育成した単結晶から磁歪部材を製造した。初めに、遊離砥粒式ワイヤーソー装置より、#1000のSiC砥粒を用いて、単結晶育成方向に対し平行方向(<100>方位に対して平行)に単結晶を切断し、切断面すなわち主面が{100}である薄板部材を作製した。切断ピッチは1.2mm、切断厚さは1mmとなった。
次に、結晶中央部付近であり、約50×60mmとなるように切断した薄板部材2枚を選定した。次に、結晶中央部付近である、約50×60mmとなる薄板部材2枚について、ダイシング装置を用いて、10mm×10mm×1mm(縦×横×厚さ)に切り出し、ワイヤーソー仕上げ部材50個を作製した。
ワイヤーソー仕上げ部材から10個選定し、表面を表面粗計(株式会社キーエンス製)にて観察倍率20倍で、ワイヤソー装置のワイヤの走行方向、及び、前記ワイヤの走行方向と垂直な方向の2方向について、それぞれ5ヵ所ずつ表面粗さRaを測定し、その平均値をそれぞれの方向の表面粗さとし、その最大値となる方向における値をその部材の表面粗さRaとした。10個をそれぞれ測定し、その最大と最小とした。表面粗さRaは、0.5~0.6μmであった。なお、以下の説明において、測定した表面粗さRaがA、Bである場合、A~Bと表記する。
次に、磁歪定数を測定した。部材に歪みゲージ(共和電業株式会社製)を接着剤により接着した。尚、歪みゲージの長手方向が磁歪部材の<100>方向と水平になり、平行磁歪量の測定方向がワイヤの走行方向(研削方向)となるように接着した。
磁歪測定器は、ネオジム磁石、ブリッジボックス、コンパクトレコーディングシステム、ストレインユニット、ダイナミックデータ集録ソフトウェアで構成される。実際の測定は室温25℃、磁場0.2Tで行い、ゲージ率で補正して磁歪量を決定する。尚、ゲージ率の補正は、下式の式(2)とした。
ε=2.00/Ks × εi ・・・式(2)
(ε:ゲージ率, εi:測定ひずみ値, Ks:使用ゲージのゲージ率)
磁歪定数は式(1)に従って決定する。ワイヤーソー仕上げ部材10個の磁歪定数を測定したところ、平均値は303ppmであり、同領域から加工した鏡面研磨仕上げ部材10個の磁歪定数の平均値300ppmと同等となった。製造条件及び評価結果等を表1に示す。
[実施例2]
平面研削盤に#400砥石をセットし、実施例1で使用したワイヤーソー仕上げ部材10個を片面100μmずつ研削し、10mm×10mm×0.8mm(縦×横×厚さ)の#400研削仕上げ部材を作製した。この表面粗さを測定した。表面粗さRaは0.2~0.4μmであった。
#400研削仕上げ部材10個の磁歪定数を測定したところ、平均値は303ppmであり、同領域から加工した鏡面研磨仕上げ部材10個の磁歪定数の平均値300ppmと同等となった。製造条件及び評価結果等を表1に示す。
[実施例3]
平面研削盤に#600砥石をセットし、実施例2で使用した#400仕上げ部材10個を片面100μmずつ研削し、10mm×10mm×0.6mm(縦×横×厚さ)の#600研削仕上げ部材を作製した。この表面粗さを測定した。表面粗さRaは0.1~0.2μmであった。
#600研削仕上げ部材10個の磁歪定数を測定したところ、平均値は302ppmであり、同領域から加工した鏡面研磨仕上げ部材10個の磁歪定数の平均値300ppmと同等となった。製造条件及び評価結果等を表1に示す。
[実施例4]
平面研削盤に#1000砥石をセットし、実施例3で使用した#600仕上げ部材10個を片面20μmずつ研削し、10mm×10mm×0.56mm(縦×横×厚さ)の#1000研削仕上げ部材を作製した。測定した。表面粗さRaは0.03~0.05μmであった。
#1000研削仕上げ部材10個の磁歪定数を測定したところ、平均値は300ppmであり、同領域から加工した鏡面研磨仕上げ部材10個の磁歪定数の平均値300ppmと同等となった。製造条件及び評価結果等を表1に示す。
[実施例5]
実施例1で作製した10mm×10mm×1mmワイヤーソー仕上げ部材の残りより10個を準備した。
平面研削盤に#200砥石をセットし、ワイヤーソー仕上げ部材10個を片面100μmずつ研削し、10mm×10mm×0.8mm(縦×横×厚さ)の#200研削仕上げ部材を作製した。この表面粗さを測定した。表面粗さRaは0.3~0.6μmであった。
#200研削仕上げ部材10個の磁歪定数を測定したところ、平均値は299ppmであり、同領域から加工した鏡面研磨仕上げ部材10個の磁歪定数の平均値300ppmと同等となった。製造条件及び評価結果等を表1に示す。
[実施例6]
実施例1で作製した10mm×10mm×1mmワイヤーソー仕上げ部材の残りより10個を準備した。
平面研削盤に#100砥石をセットし、ワイヤーソー仕上げ部材10個を片面100μmずつ研削し、10mm×10mm×0.8mm(縦×横×厚さ)の#100研削仕上げ部材を作製した。この表面粗さを測定した。表面粗さRaは1.8~2.1μmであった。
#100研削仕上げ部材10個の磁歪定数を測定したところ、平均値は285ppmであり、同領域から加工した鏡面研磨仕上げ部材10個の磁歪定数の平均値300ppmよりは低めだがほぼ相当となった。製造条件及び評価結果等を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で作製した10mm×10mm×1mmワイヤーソー仕上げ部材の残りより10個を準備した。
平面研削盤に#40砥石をセットし、ワイヤーソー仕上げ部材10個を片面100μmずつ研削し、10mm×10mm×0.8mm(縦×横×厚さ)の#40研削仕上げ部材を作製した。この表面粗さを測定した。表面粗さRaは2.8~4.1μmであった。
#40研削仕上げ部材10個の磁歪定数を測定したところ、平均値は234ppmであり、同領域から加工した鏡面研磨仕上げ部材10個の磁歪定数の平均値300ppmより大きく減少した。製造条件及び評価結果等を表1に示す。
[参考例]
実施例1で作製した10mm×10mm×1mmワイヤーソー仕上げ部材の残りより10個を準備した。
次に、得られたワイヤーソー仕上げ部材の表裏面に対して平面研削加工を実施し部材の厚みを整えた。続いて、得られた薄板部材の表裏面に対して鏡面加工を施し、10mm×10mm×0.5mm(縦×横×厚さ)の鏡面研磨仕上げ部材を得た。鏡面研磨仕上げ部材10個の磁歪定数の平均値は300ppmであった。製造条件及び評価結果等を表1に示す。
Figure 2022159777000002
実施例1~5より、ワイヤーソー仕上げまたは#100~#1000研削仕上げでも、両面研磨仕上げと同等の磁歪定数になるため、両面研磨しなくとも磁歪定数の評価が可能であることが分かる。ワイヤーソー仕上げまたは#100~#1000研削仕上げでは、表面粗さRaは、0.03~0.6μmの範囲となることが確認された。
#100研削では磁歪定数が若干減少し、#1000では加工時間が長くなるため、磁歪定数を精度よく測定するには、ワイヤーソー仕上げまたは#200~#600研削仕上げがより望ましいことが確認された。
[まとめ]
以上の実施例1~5、参考例の結果より、表面粗さRa0.1μm以下の粗面仕上げにより、両面研磨仕上げと同等の磁歪定数となることが分かる。また、実施例1~6の結果より、表面粗さRaが2.4以下の場合、磁歪定数が高位となることが分かる。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態等で説明した態様に限定されない。上述の実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態等で引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
1 :磁歪部材
3 :表面
4 :裏面
5,6 :側面

Claims (7)

  1. 磁歪特性を有する鉄系合金の結晶からなる磁歪部材であって、少なくとも一面の表面粗さRaが2.4μm以下である、磁歪部材。
  2. 前記磁歪部材は、板状であり、
    表裏面の表面粗さRaが2.4μm以下である、請求項1に記載の磁歪部材。
  3. 前記表面粗さRaが2.4μm以下である面は、研削加工面である、請求項1又は請求項2に記載の磁歪部材。
  4. 磁歪定数は、磁歪部材の表裏面が研磨加工面である際の磁歪定数の80%以上である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁歪部材。
  5. 磁歪特性を有する鉄系合金の結晶からなる磁歪部材の製造方法であって、
    少なくとも一面を、表面粗さRaが2.4μm以下に表面加工をすることを含む、磁歪部材の製造方法。
  6. 前記表面加工は、研削加工である、請求項5に記載の磁歪部材の製造方法。
  7. 前記表面加工は、番手が#100以上#1000以下の砥石を用いる研削加工である、請求項5又は請求項6に記載の磁歪部材の製造方法。
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