JP2020197392A - 接点式ノギス、及び鉄筋減少度推定方法 - Google Patents

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俊斉 林
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祐治 村上
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Abstract

【課題】計測対象物に対して点で接触した状態でその外寸を計測することができる技術を提供し、既設鉄筋を切り出すことなくその鉄筋の減少度を推定することができる方法を提供する。【解決手段】鉄筋減少度推定方法は、接点式ノギスを用いて鉄筋量の減少の程度を推定する方法であって、対象鉄筋計測工程と減少率算出工程を備えた方法である。対象鉄筋計測工程では、接点式ノギスによって推定対象となる対象鉄筋の径を計測する104。減少率算出工程では、基準径(健全な鉄筋の径)と計測径(対象鉄筋の径)の差を基準径で除した値に基づいて減少率を算出する105。そしてこの減少率に応じて、対象鉄筋における鉄筋量の減少の程度を推定する107。【選択図】図3

Description

本願発明は、鉄筋の腐食の程度を推定する技術であり、より具体的には、点接触で鉄筋を挟むことによってその寸法を計測することができる接点式ノギスと、これを用いて計測した結果に基づいて鉄筋の減少度を推定する方法に関するものである。
我が国で建設された多くの鉄筋コンクリート構造物(以下、「RC(Reinforced Concrete)構造物」という。)は既に長い期間供用されており、特に東京オリンピックを目前にした昭和30年代(いわゆる建設ラッシュ)に建設された数多くのRC構造物は50年以上が経過している。一般にコンクリートの耐久性は50年とも100年ともいわれるが、仮に50年とすると、当時建設されたRC構造物は相当に老朽化しているはずであり、必要な耐力が失われていることも考えられる。実際、地方自治体を中心に近年実施された様々な構造物点検では、多くのRC構造物でひび割れ等の損傷が報告されている。
RC構造物は主にコンクリートと鉄筋で構成され、コンクリートが引張力に対して脆弱であることから引張力に対しては鉄筋が負担し、一方のコンクリートは圧縮力を負担する。したがって、劣化に伴いコンクリートが圧縮力を負担できなくなるか、あるいは劣化に伴って鉄筋が引張力を負担できなくなると、そのRC構造物は当初の要求性能のうち耐荷性能を失うこととなる。これまで種々のRC構造物の破壊メカニズムが解明されており、そのうちのひとつとして鉄筋の腐食が挙げられている。
コンクリートは、セメントの水和反応によって強アルカリ(pH12〜13)を示す水酸化カルシウムを生成し、その一部が細孔溶液中に溶出する。健全なコンクリートの細孔はこの水酸化カルシウム水溶液で満たされ、高アルカリ環境下となった鉄筋表面には不動態被膜と呼ばれる酸化物の層が形成される。そしてこの不動態被膜が、コンクリート中の鉄筋の腐食を防いでいることが知られている。
ところが、海水や凍結防止剤などからの飛来塩分がコンクリート内部に浸透することによって、あるいは海砂や海砂利など塩分を含む材料を使用したことによって、コンクリート内に許容値以上の塩化物イオン(Cl)を含むこともある。この場合、不動態被膜が塩化物イオンによって破壊されてしまい、その結果、コンクリート中に含まれる水と酸素により鉄筋の腐食が進行する「塩害」が生ずる。
また、塩害と同様、「中性化」によって鉄筋の腐食が進むこともある。自動車等の排気ガス中の亜硫酸ガス(SO)や、亜硫酸ガスを含んだ酸性雨、あるいは近年増加傾向にあるといわれる大気中の二酸化炭素濃度が原因で、コンクリート内に許容値以上の二酸化炭素が浸入すると、この二酸化炭素と水酸化カルシウムが反応することによってコンクリート内は高アルカリ環境から中性環境に変化する。中性環境(pH11未満)では不動態被膜が破壊されることが知られており、不動態被膜が破壊された結果、コンクリート中の水と酸素により鉄筋の腐食が進行するわけである。
RC構造物は、既述したとおり腐食等の劣化に伴って鉄筋が引張力を負担できなくなると当初の要求性能のうち耐荷性能を失い、そしてこのような場合は鉄筋の腐食の程度に応じた対策を講じられる。例えば、相当程度の鉄筋腐食が確認されたRC構造物に対しては補強対策が行われ、著しい鉄筋腐食が確認されたRC構造物に対しては部分的あるいは全体的な改築が行われ、一方、鉄筋腐食が軽微であればそのRC構造物に対しては特段の対策が行われないこともある。つまり、RC構造物の対策規模を決定するにあたっては鉄筋の腐食の程度が極めて重要であり、したがって効果的かつ効率的な対策工を考えるとき鉄筋の腐食の程度はより高い精度で診断することが望ましい。
従来、既設RC構造物の鉄筋の腐食程度を診断するにあたっては、切り出した既設鉄筋の腐食量を計測することで行われていた。具体的には、コンクリートを斫って切り出した鉄筋を特別な溶液(一般的には10%クエン酸二アンモニウム溶液)に一定時間浸漬し、その後ブラシ等で防錆材を除去したうえで質量を計測し、健全な鉄筋の質量を基準とした下式によって鉄筋腐食量を求める。
質量減少率=(健全な鉄筋の質量−計測した鉄筋の質量)÷健全な鉄筋の質量×100
上記した従来手法は、手間と時間がかかるうえに、鉄筋を切り出すなど必要以上にRC構造物を損傷することになる。そこで、鉄筋を切り出すことなく、すなわちRC構造物内に鉄筋を残したまま鉄筋の腐食程度を診断する手法が考えられる。例えば、鉄筋が露出するまでコンクリートを斫り、その露出した既設鉄筋の径と健全な鉄筋の径とを照らし合わせることで鉄筋の腐食程度を診断する手法が考えられる。この場合、既設鉄筋の径を計測する必要があるが、鉄筋のような外径を計測するにはノギスが適している。特許文献1では、鉄筋径を計測するための専用の計測器(鉄筋ゲージ)を提案しているが、やはりこの鉄筋ゲージもノギスを応用したものである。
特開2018−179729号公報
図7に示すようなノギスVCを用いて鉄筋径を計測する場合、ノギスVCが有する2本の外測用ジョウRDで鉄筋DBを挟み込んで計測する。より詳しくは、外測用ジョウRDの内側の面を両側から鉄筋DBに押し当てた状態でその外寸を計測する。この外測用ジョウRDの内側は細幅(一般的には幅3mm程度)で所定長さを有する概ね長方形の平坦面であり、したがってノギスを用いる場合、計測対象物に対して面で接触した状態で計測することとなる。なお、特許文献1の鉄筋ゲージは、内側固定計測片と内側可動計測片で鉄筋を挟み込んでその外径を計測するものであり、ノギス同様、やはり鉄筋に対してそれぞれ面で接触した状態で計測する。
ところで、腐食が進行した鉄筋の表面は、出荷時に比べて凹凸が顕著に表れていることが考えられる。また異形棒鋼は、その表面にリブやふしが設けられており、すなわち「リブ部」や「ふし部」、そして「一般部(リブ部やふし部以外の部分)」からなる凹凸があらかじめ設けられた鉄筋である。このように表面に凹凸がある鉄筋に対してノギスや特許文献1の鉄筋ゲージを用いて計測すると、鉄筋表面に対して面で接触するが故に、意図した寸法を得ることができないおそれがある。例えば、異形棒鋼のうち「一般部」の外径を狙って計測しようとしても、ノギス等では「リブ部」や「ふし部」でいわば高止まりしてしまうことから、「ふし部」の外径を計測できないわけである。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち計測対象物に対して点で接触した状態でその外寸を計測することができる技術を提供し、既設鉄筋を切り出すことなくその鉄筋の減少度を推定することができる方法を提供することである。
本願発明は、外測用ジョウの内側に突起体が設けられたノギスを用い、計測対象物に対して点接触した状態で計測する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の接点式ノギスは、両側の外測用ジョウの内側それぞれに突起体が設けられたノギスである。そして、計測対象物に対して突起体の先端部が点で接した状態で、計測対象物の寸法を計測することができるものである。
本願発明の接点式ノギスは、突起体の先端部が先鋭状であるものとすることもできる。
本願発明の接点式ノギスは、突起体の先端部が球面状であるものとすることもできる。
本願発明の鉄筋減少度推定方法は、本願発明の接点式ノギスを用いて鉄筋量の減少の程度を推定する方法であって、対象鉄筋計測工程と減少率算出工程を備えた方法である。このうち対象鉄筋計測工程では、接点式ノギスによって推定対象となる対象鉄筋の径を計測する。また減少率算出工程では、健全な鉄筋(対象鉄筋の公称直径と同じ公称直径)の径である「基準径」と、対象鉄筋計測工程で得られた対象鉄筋の径である「計測径」に基づいて対象鉄筋の減少率を算出する。より詳しくは、基準径と計測径の差を基準径で除した値に基づいて減少率を算出する。そしてこの減少率に応じて、対象鉄筋における鉄筋量の減少の程度を推定する。
本願発明の鉄筋減少度推定方法は、鉄筋の断面積に基づいて減少率を算出する方法とすることもできる。この場合、減少率算出工程では、基準径によって基準断面積(健全な鉄筋の断面積)を求めるとともに、計測径によって計測断面積(対象鉄筋の断面積)を求め、基準断面積と計測断面積の差を基準断面積で除した値に基づいて減少率を算出する。
本願発明の鉄筋減少度推定方法は、質量減少率算出工程をさらに備えた方法とすることもできる。この質量減少率算出工程では、あらかじめ設定された関係式に基づいて、減少率算出工程で得られた減少率から対象鉄筋の質量減少率を算出する。この場合、質量減少率に応じて、対象鉄筋における鉄筋量の減少の程度を推定する。
本願発明の鉄筋減少度推定方法は、コンクリート斫り工程と基準鉄筋計測工程をさらに備えた方法とすることもできる。コンクリート斫り工程では、鉄筋が露出するまで既設の鉄筋コンクリートを斫り、基準鉄筋計測工程では、露出した鉄筋のうち健全と判断された鉄筋の径(基準径)を接点式ノギスによって計測する。この場合、対象鉄筋計測工程では、露出した鉄筋のうち腐食していると判断された鉄筋の径(計測径)を接点式ノギスによって計測する。
本願発明の鉄筋減少度推定方法は、基準鉄筋計測工程において鉄筋のふし部とリブ部をそれぞれ複数個所で計測するとともに、対象鉄筋計測工程において鉄筋のふし部とリブ部をそれぞれ複数個所で計測する方法とすることもできる。この場合、減少率算出工程では、基準鉄筋計測工程で得られた複数の計測値の統計値(例えば平均値)を基準径とするとし、対象鉄筋計測工程で得られた複数の計測値の統計値(例えば平均値)を計測径としたうえで、減少率を算出する。
本願発明の接点式ノギス、及び鉄筋減少度推定方法には、次のような効果がある。
(1)外測用ジョウの内側に設けられた突起体が計測対象物に当接することから、表面に凹凸がある鉄筋に対しても点で接触することができ、その結果、例えば異形棒鋼のうちの「リブ部」や「ふし部」、「一般部」など目的とする位置の外径を狙って計測することができる。
(2)本願発明の接点式ノギスを用いて計測することによって、従来に比して高い精度で鉄筋の外径を計測することができる。
(3)既設鉄筋を残したまま計測することから。従来手法のように切り出した鉄筋を特別な溶液に一定時間浸漬する必要がなく、すなわち従来に比して極めて迅速に鉄筋の減少度を推定することができる。
本願発明の接点式ノギスを示す正面図。 (a)はその先端が先鋭状に形成された錐状の突起体を示す部分詳細図、(b)はその先端が球面状に形成された柱状の突起体を示す部分詳細図。 本願発明の鉄筋減少度推定方法の主な工程を示すフロー図。 既設の鉄筋コンクリートを斫り鉄筋が露出した状態を示す正面図。 (a)は複数個所で「ふし部」を計測する状況を模式的に示すモデル図、(b)は複数個所で「リブ部」を計測する状況を模式的に示すモデル図。 質量減少率と鉄筋径減少率の関係を示すグラフ図。 従来のノギスを用いて鉄筋径を計測する状況を模式的に示すモデル図。
本願発明の接点式ノギス、及び鉄筋減少度推定方法の一例を図に基づいて説明する。なお、本願発明の鉄筋減少度推定方法は、本願発明の接点式ノギスを用いて鉄筋の減少度を推定する方法であり、したがってまずは本願発明の接点式ノギスについて説明し、その後に本願発明の鉄筋減少度推定方法について説明することとする。
1.接点式ノギス
図1は、本願発明の接点式ノギス100を示す正面図である。この図に示すように本願発明の接点式ノギス100は、外測用ジョウ110と突起体120を含んで構成され、さらに本尺130や内測用ジョウ140、デプスバー150、スライダー160を含んで構成することもできる。なお本願発明の接点式ノギス100は、専用のものとして製造することもできるし、市販されているノギスを加工したもの(具体的には、突起体120を設置したもの)とすることもできる。
接点式ノギス100を構成する2つ1組の外測用ジョウ110は、それぞれ本尺130に対して垂直方向に延びるアーム状のものであり、一方の(図では左側の)外測用ジョウ110が本尺130に固定されるのに対して、他方の(図では右側の)外測用ジョウ110は本尺130に沿ってスライド移動するスライダー160に固定される。また、双方の外測用ジョウ110は互いに向かい合うように配置され、向かい合った側(内側)の側面にはそれぞれ突起体120が設けられている。
2つの突起体120は、対向する位置に、換言すれば本尺130から略等距離(等距離含む)となる位置に配置され、しかもその先端が内側に向くように配置される。そしてこの突起体120の先端(つまり内側端)は、計測対象物(図1では鉄筋DB)に対して点で接触することができる形状とされる。例えば図1の場合、突起体120を極細の柱状とすることによって、その先端は著しく面積が小さい平坦面で形成されている。あるいは、図2(a)に示すように突起体120そのものを錐状(円錐状や角錐状など)とすることでその先端を先鋭状に形成することもできるし、図2(b)に示すように柱状の突起体120の先端を球面状に形成することもできる。もちろん、柱状の突起体120の先端を図2(a)に示すような錐状に加工してもよい。
図1の矢印で示すようにスライダー160は本尺130に沿ってスライド移動可能であり、スライダー160に固定された外測用ジョウ110(以下、「可動側の外測用ジョウ110」という。)もやはり本尺130に沿ってスライド移動可能である。したがって、可動側の外測用ジョウ110をスライド移動することによって、2つの突起体120の先端の間隔を自在に変更することができる。具体的には、可動側の外測用ジョウ110を本尺130に固定された外測用ジョウ110(以下、「固定側の外測用ジョウ110」という。)に近づけることによって2つの突起体120の先端の間隔を縮めることができ、可動側の外測用ジョウ110を固定側の外測用ジョウ110から遠ざけることによって2つの突起体120の先端の間隔を拡げることができる。
図1を参照しながら、本願発明の接点式ノギス100を用いて計測対象物である鉄筋DBの外寸(外径)を計測する手順について説明する。まず、2つの突起体120の先端の間隔をある程度拡げた状態とし、その間に鉄筋DBを配置する。このとき、固定側の外測用ジョウ110に設けられた突起体120の先端が、鉄筋DBの一部(図では左側)に当接するように配置するとよい。そして、スライダー160を固定側の外測用ジョウ110の方向(図では左側)にスライド移動することによって、可動側の外測用ジョウ110に設けられた突起体120の先端を鉄筋DBの一部(図では右側)に当接させる。
2つの突起体120が鉄筋DBに当接した状態、つまり2つの突起体120で鉄筋DBを挟持した状態では、両側の突起体120の先端はそれぞれ鉄筋DBに対して点で接触している。そして主尺と副尺(バーニア)を読むことで、鉄筋DBの外寸を取得することができる。なお、専用のものとして接点式ノギス100を製造する場合は、あらかじめ突起体120の長さを勘案したうえで主尺を設けるとよいし、市販のノギスを加工した接点式ノギス100を用いる場合は、計測結果から突起体120の長さを差し引いた値を鉄筋DBの外寸とするとよい。このように本願発明の接点式ノギス100は、突起体120の先端が鉄筋DBに対して点で接触した状態で計測するものであり、そのため鉄筋DBのうちの「リブ部」や「ふし部」、「一般部」など所望の位置の外径を狙って計測することができるわけである。
2.鉄筋減少度推定方法
次に本願発明の鉄筋減少度推定方法について図を参照しながら説明する。なお、本願発明の鉄筋減少度推定方法は、ここまで説明した接点式ノギス100を使用して行う方法であり、したがって接点式ノギス100で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の鉄筋減少度推定方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.接点式ノギス」で説明したものと同様である。
図3は、本願発明の鉄筋減少度推定方法の主な工程を示すフロー図である。以下、この図を参照しながら説明する。まず、既設の鉄筋コンクリートのうち鉄筋の腐食が予測される範囲のコンクリートを斫る(Step101)。具体的には、コンクリートブレーカー等を使用して対象範囲のコンクリートを斫り(剥ぎ取り)、図4に示すように内部の鉄筋DBを露出させる。
コンクリートを斫ると、露出した鉄筋のうち健全な鉄筋と腐食している鉄筋とを選別する(Step102)。例えば、あらかじめ腐食ランク(例えば腐食ランク1〜4)を定めておくとともに、それぞれ腐食ランクごとに標準的な画像(写真)を用意しておき、実際に露出した鉄筋と標準的な画像とを照らし合わせることによって、鉄筋ごとに腐食ランクを判定するとよい。そして、腐食ランク1であればその鉄筋は健全であると評価するなど、判定された腐食ランクに応じて鉄筋の健全度を評価する。なお便宜上ここでは、健全であると評価された鉄筋のことを「標準鉄筋」、標準鉄筋以外の鉄筋(つまり腐食していると考えられる鉄筋)のことを「対象鉄筋」ということとする。
標準鉄筋と対象鉄筋を選別すると、標準鉄筋を計測して標準鉄筋の径(以下、「基準径」という。)を設定するとともに(Step103)、対称鉄筋を計測して対称筋の径(以下、「計測径」という。)を設定する(Step104)。このとき、本願発明の接点式ノギス100を用いて標準鉄筋の径を計測し、同じく本願発明の接点式ノギス100を用いて対象鉄筋の径を計測する。なお、基準径を設定するにあたっては、代表的な(例えば最も健全とみられる)1本の標準鉄筋を計測して設定することもできるし、複数の標準鉄筋の計測値の統計値(平均値や中央値、最頻値、加重平均値など)によって基準径を設定することもできる。一方、対称鉄筋に関しては、対象鉄筋ごとに計測径を設定するとよい。
また、基準径や計測径を設定する場合、鉄筋のうち1個所のみを計測して設定することもできるし、鉄筋の複数個所を計測したうえで設定することもできる。鉄筋のうち1個所のみを計測する場合は、当然ながら、その計測値を基準径の設定に利用し、その計測値を当該対象鉄筋の計測径として設定する。これに対して鉄筋の複数個所を計測する場合は、図5の矢印で示すように、「ふし部KN」を狙って複数個所の計測を行い、「リブ部RB」を狙って複数個所の計測を行うとよい。具体的には、同一の鉄筋に対して、図5(a)に示すように複数個所でふし部KNを計測するとともに、図5(b)に示すように複数個所でリブ部RBを計測し、これらふし部KNとリブ部RBにおける複数の計測結果の統計値(平均値や中央値、最頻値、加重平均値など)を、基準径の設定に利用し、当該対象鉄筋の計測径として設定する。もちろん、ふし部KNとリブ部RBに加えて「一般部(ふし部KNとリブ部RB以外)」を狙って複数個所の計測を行ったうえで、計測結果の統計値を求めてもよい。
基準径を設定し、計測径を設定すると、対称鉄筋ごとに減少率を算出する(Step105)。この減少率は、減少率を求めようとする対象鉄筋の計測径と、当該対象鉄筋の公称直径と同じ公称直径の標準鉄筋の基準径に基づいて算出することができる。換言すれば、減少率を求めるにあたっては、同一の公称直径の対象鉄筋と標準鉄筋が用いられ、例えばD29の対象鉄筋の減少率を算出するためには、やはりD29の標準鉄筋の基準径が用いられるわけである。また減少率は、計測径の減少に着目して算出することもできるし、対象鉄筋の断面積の減少に着目して算出することもできる。以下、計測径の減少に着目した減少率(以下、特に「鉄筋径減少率」という。)、対象鉄筋の断面積の減少に着目した減少率(以下、特に「断面積減少率」という。)それぞれの算出手法について説明する。
鉄筋径減少率は、基準径と計測径の差を基準径で除した値とすることができる。具体的には、基準径をDs、計測径をDmとすると、鉄筋径減少率Vdは下式によって算出することができる。
Vd=(Ds−Dm)÷Ds×100(%)
一方、断面積減少率は、標準鉄筋の断面積と対象鉄筋の断面積の差を標準鉄筋の断面積で除した値とすることができる。なお、標準鉄筋の断面積は基準径に基づいて求めることができ、対称鉄筋の断面積は計測径に基づいて求めることができる。ただし、ここで求められる断面積は、いわば「見かけの断面積」である。具体的には、基準径をDs、標準鉄筋の断面積をAs、計測径をDm、対称鉄筋の断面積をAm、円周率をπとすると、断面積減少率Vaは下式によって算出することができる。
As=Ds×π÷4
Am=Dm×π÷4
Va=(As−Am)÷As×100(%)
鉄筋径減少率や断面積減少率といった減少率を算出すると、この減少率に基づいて質量減少率を算出する(Step106)。質量減少率は、あらかじめ設定された関係式、すなわち質量減少率と減少率(鉄筋径減少率や断面積減少率)の関係を表す式を用いることで算出することができる。ここで質量減少率と径減少率との関係式を設定するにあたっては、過去の実測結果としての質量減少率と減少率に基づいて設定することができる。なお実測結果としての質量減少率は、既述した従来手法によって求められる。例えば、図6に示すように、横軸を質量減少率、縦軸を鉄筋径減少率としたグラフに、過去の実績データ(質量減少率と鉄筋径減少率)をプロットし、質量減少率と鉄筋径減少率の関係式(この場合は1次式)を設定する。なお図6からも分かるように、質量減少率と鉄筋径減少率は極めて高い相関関係にあり(この場合の相関係数は0.958)、また質量減少率と断面積減少率も極めて高い相関関係にある。このように、あらかじめ質量減少率と減少率との関係式を設定しておけば、鉄筋径減少率や断面積減少率といった減少率から質量減少率を算出することができるわけである。
対象鉄筋の質量減少率が得られると、当該対象鉄筋における鉄筋量の減少度を推定する(Step107)。例えば、あらかじめ質量減少率に応じた鉄筋量減少度ランクを設定しておき、実際に得られた質量減少率に基づいて、その対象鉄筋の鉄筋量減少度ランクを評価することができる。なお、鉄筋径減少率や断面積減少率といった減少率を算出した段階で、その対象鉄筋における鉄筋量の減少度を推定することもできる。この場合、実際に得られた鉄筋径減少率や断面積減少率に基づいて、その対象鉄筋の鉄筋量の減少度(例えば鉄筋量減少度ランク)を推定することができ、質量減少率を算出する工程を省略することができる。
本願発明の接点式ノギス、及び鉄筋減少度推定方法は、コンクリート床版のほか、コンクリートダムやトンネル覆工コンクリート、橋梁のコンクリート床版、コンクリート擁壁など種々のRC構造物に利用できる。本願発明によれば、供用中の建設インフラの劣化状況が把握でき、その劣化状況に応じた早期の補修、補強対策が可能となり、ひいては建設インフラの長寿命化につながることを考えれば、本願発明は産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
100 本願発明の接点式ノギス
110 (接点式ノギスの)外測用ジョウ
120 (接点式ノギスの)突起体
130 (接点式ノギスの)本尺
140 (接点式ノギスの)内測用ジョウ
150 (接点式ノギスの)デプスバー
160 (接点式ノギスの)スライダー
DB 鉄筋
KN (鉄筋の)ふし部
RB (鉄筋の)リブ部
VC (従来の)ノギス
RD (従来ノギスの)外測用ジョウ

Claims (8)

  1. 両側の外測用ジョウの内側に、それぞれ突起体が設けられたノギスであって、
    計測対象物に対して前記突起体の先端部が点で接した状態で、該計測対象物の寸法を計測し得る、
    ことを特徴とする接点式ノギス。
  2. 前記突起体の先端部が先鋭状である、
    ことを特徴とする請求項1記載の接点式ノギス。
  3. 前記突起体の先端部が球面状である、
    ことを特徴とする請求項1記載の接点式ノギス。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の前記接点式ノギスを用いて、鉄筋量の減少の程度を推定する方法であって、
    前記接点式ノギスによって、推定対象となる対象鉄筋の径を計測する対象鉄筋計測工程と、
    前記対象鉄筋の公称直径と同じ公称直径を有する健全な鉄筋の径である基準径と、前記対象鉄筋計測工程で得られた前記対象鉄筋の径である計測径と、に基づいて該対象鉄筋の減少率を算出する減少率算出工程と、を備え、
    前記減少率算出工程では、前記基準径と前記計測径の差を該基準径で除した値に基づいて前記減少率を算出し、
    前記減少率に応じて、前記対象鉄筋における鉄筋量の減少の程度を推定する、
    ことを特徴とする鉄筋減少度推定方法。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の前記接点式ノギスを用いて、鉄筋量の減少の程度を推定する方法であって、
    前記接点式ノギスによって、推定対象となる対象鉄筋の径を計測する対象鉄筋計測工程と、
    前記対象鉄筋の公称直径と同じ公称直径を有する健全な鉄筋の径である基準径と、前記対象鉄筋計測工程で得られた前記対象鉄筋の径である計測径と、に基づいて該対象鉄筋の減少率を算出する減少率算出工程と、を備え、
    前記減少率算出工程では、前記基準径によって健全な鉄筋の断面積である基準断面積を求めるとともに、前記計測径によって前記対象鉄筋の断面積である計測断面積を求め、該基準断面積と該計測断面積の差を該基準断面積で除した値に基づいて前記減少率を算出し、
    前記減少率に応じて、前記対象鉄筋における鉄筋量の減少の程度を推定する、
    ことを特徴とする鉄筋減少度推定方法。
  6. あらかじめ設定された関係式に基づいて、前記減少率算出工程で得られた前記減少率から、前記対象鉄筋の質量減少率を算出する質量減少率算出工程を、さらに備え、
    前記質量減少率に応じて、前記対象鉄筋における鉄筋量の減少の程度を推定する、
    ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の鉄筋減少度推定方法。
  7. 既設の鉄筋コンクリートを、鉄筋が露出するまで斫るコンクリート斫り工程と、
    前記接点式ノギスによって、露出した鉄筋のうち健全と判断された鉄筋の径を前記基準径として計測する基準鉄筋計測工程と、をさらに備え、
    前記対象鉄筋計測工程では、前記接点式ノギスによって、露出した鉄筋のうち腐食していると判断された鉄筋の径を前記計測径として計測する、
    ことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の鉄筋減少度推定方法。
  8. 前記基準鉄筋計測工程では、鉄筋のふし部とリブ部をそれぞれ複数個所で計測し、
    前記対象鉄筋計測工程では、鉄筋のふし部とリブ部をそれぞれ複数個所で計測し、
    前記減少率算出工程では、前記基準鉄筋計測工程で得られた複数の計測値の統計値を前記基準径とするとともに、前記対象鉄筋計測工程で得られた複数の計測値の統計値を前記計測径としたうえで、前記減少率を算出する、
    ことを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の鉄筋減少度推定方法。
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