JP2009236763A - コンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法及びコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラム - Google Patents

コンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法及びコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】年間平均の腐食速度を算出することが可能なコンクリート中の鉄筋の腐食速度の推定方法を提供する。
【解決手段】第1の工程において、中性化残り量が所定量未満の場合には、含水率と中性化残りと塩化物イオン量と気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出すると共に、中性化残り量が所定量以上の場合には、第2の工程を行い、第2の工程において、塩化物イオン量が所定量を越える場合には、塩化物イオン量と気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出すると共に、塩化物イオン量が所定量以下の場合には、鉄筋の腐食が発生しないと判断することを特徴とするコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法及びコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムの改良に関するものである。
コンクリートは、砂や砂利からなる骨材、混和材料、水などをセメント系材料で練り混ぜたものであり、強度と価格の面から、また施工の安易さから、現在最も優れている建築資材の一つである。その用途は、建築物、道路、ダム、高架橋、トンネル、港湾設備など幅広く用いられているが、このような実構造物に用いられた硬化コンクリートは、環境など様々な要因によって経年劣化が生じる。
この経年劣化により、コンクリート構造物内の鉄筋や鉄骨等の金属体が腐食した場合には、その構造物の耐荷性能、耐久性能の低下を招いてしまうという問題があった。また、鉄筋等に腐食が発生すること等により、鉄筋の断面積が膨張してかぶりコンクリート部分の浮きや剥離等が発生する原因になるため、このような鉄筋等の腐食が生じた場合には速やかに対処する必要がある。
しかしながら、このようなコンクリート構造物は、外観から内部の状態を検知することが出来ないため、非破壊の検査方法としてこれまでに多くのコンクリート中の鉄筋腐食速度推定方法が研究されている。
例えば、非特許文献1には、鉄筋腐食によるコンクリートの劣化予測を行うための、コンクリート中の鉄筋腐食速度を非破壊的に検知する方法が開示されている。非特許文献1のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法によれば、鉄筋の腐食速度に及ぼす劣化因子として、コンクリートの含水率、中性化残り(鉄筋かぶりから中性化深さを引いた値)、塩化物イオン量をパラメーターとして鉄筋腐食速度を求める推定式が構築されている。これにより、コンクリート中の鉄筋腐食速度を非破壊的に検知することができるとされている。
鉄道総研報告、Vol.21,No.2,2007.2
しかしながら、鉄筋腐食の原因となる化学反応は、一般に温度によって反応速度が異なるから、非特許文献1に開示されている従来のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法では、必ずしも正確に鉄筋腐食速度を推定することができないという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、コンクリート構造物が使用される地域において、年間平均の腐食速度を算出することが可能なコンクリート中の鉄筋の腐食速度の推定方法及びコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のコンクリート中の鉄筋の腐食速度の推定方法は、コンクリート中の含水率と中性化残りと塩化物イオン量とからコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出するコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法であって、前記中性化残り量を判定する第1の工程と、前記塩化物イオン量を判定する第2の工程とを備え、前記第1の工程において、前記中性化残り量が所定量未満の場合には、前記含水率と前記中性化残りと前記塩化物イオン量と気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出すると共に、前記中性化残り量が所定量以上の場合には、前記第2の工程を行い、前記第2の工程において、前記塩化物イオン量が所定量を越える場合には、前記塩化物イオン量と前記気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出すると共に、前記塩化物イオン量が所定量以下の場合には、鉄筋の腐食が発生しないと判断することを特徴とする。
また、本発明のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法は、前記気温が、前記コンクリートが使用される地域の年間の平均気温であることが好ましい。
また、本発明のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムは、コンクリート中の含水率と中性化残りと塩化物イオン量とからコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出するコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムであって、前記中性化残り量を判定する第1のステップと、前記塩化物イオン量を判定する第2のステップとを備え、前記第1のステップにおいて、前記中性化残り量が所定量未満の場合には、前記含水率と前記中性化残りと前記塩化物イオン量と気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出すると共に、前記中性化残り量が所定量以上の場合には、前記第2のステップを行い、前記第2のステップにおいて、前記塩化物イオン量が所定量を越える場合には、前記塩化物イオン量と前記気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出すると共に、前記塩化物イオン量が所定量以下の場合には、鉄筋の腐食が発生しないと判断することを特徴とする。
さらに、本発明のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムは、前記気温が、前記コンクリートが使用される地域の年間の平均気温であることが好ましい。
以上説明したように、本発明のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法によれば、コンクリート構造物が使用される地域において、年間平均の腐食速度を算出することが可能なコンクリート中の鉄筋の腐食速度の推定方法を提供することができる。これにより、年間の鉄筋の腐食量を算出することができ、また、鉄筋の積算腐食量からコンクリート構造物のひび割れ、はく離する時期が推測できる。したがって、コンクリート構造物の補修時期の算定等、中長期の維持管理に活用することができる。
また、本発明のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムによれば、コンクリート構造物が使用される地域において、年間平均の腐食速度を算出することが可能なコンクリート中の鉄筋の腐食速度の推定プログラムを提供することができる。
本発明を適用した一実施形態であるコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法は、非特許文献1に示されたコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法と、以下に示す試験結果から判明したデータに基づき、気温の影響を加味した鉄筋の腐食速度を算出している。
第1の試験では、塩化物イオン量として5水準(0,0.6,1.2,2,5kg/m)、水セメント比(w/c)として4水準(50,60,65,70%)、コンクリートかぶりとして2水準(20mm,40mm)の計40種類の供試体を用いて促進中性化試験を行い、気温とコンクリート中の鉄筋腐食速度との関係を調査した。
図1は、水セメント比(w/c)が65%、コンクリートの鉄筋かぶりが20mmにおける、塩化物イオン量による温度と腐食速度との関係の一例を示す図である。
先ず、各供試体について鉄筋の腐食速度を算出する。供試体の鉄筋の腐食速度は、上述した非特許文献1に開示されているような従来の方法を用いて算出することができる。本実施形態では、非破壊測定法である分極抵抗法を用いた。ここで、分極抵抗法による鉄筋の腐食速度の測定を精度よく行うため、供試体の鉄筋の面積を規定して、供試体ごとにステンレス製の対向電極を配置して測定を行った。なお、分極抵抗法により求めた鉄筋の腐食速度の信頼性については、経時的に測定した鉄筋の腐食速度を積算して算出した腐食量と、実際に供試体から鉄筋を取り出して重量変化から求めた鉄筋の腐食量との比較により行った。この結果、分極抵抗から算出した腐食量と腐食減量から算出した腐食量との関係がほぼ1:1の比例関係であることを確認した。
図1に示されるように、鉄筋腐食速度は、同じ温度において塩化物イオン量が多いほど大きいことがわかった。また、いずれの塩化物イオン量において、気温が高くなるにつれて鉄筋腐食速度が増大することが確認された。さらに、腐食速度への気温の影響は、腐食速度が大きい水準、すなわち塩化物イオン量が多いものほど増大することが明らかとなった。なお、図1に示される水準は一例であり、このような傾向は、他の水セメント比とコンクリートかぶりとの組合せにおいても同様であった。
次に、第2の試験では、気温による鉄筋の腐食速度の変化量を調査した。
まず、図1中に示す各塩化物イオン量の気温に対する鉄筋腐食速度を算出する。各塩化物イオン量の気温に対する鉄筋腐食速度は、図1に示すように、いずれの塩化物イオン量の水準においても温度と鉄筋の腐食速度とは所定の傾きを有する比例関係となった。
図2は、気温20℃における鉄筋の腐食速度と気温による増減する腐食速度との関係を示す図である。具体的には、図2の横軸は、図1に示す気温20度における腐食速度であり、図2の縦軸は、図1に示す各塩化物イオン量における腐食速度の傾きである。また、図2には、計40点がプロットされている。これは、図1に一例を示す水セメント比とコンクリートかぶりとの組合せの8水準と、塩化物イオン量の5水準との積を示している。なお、図2は、気温20℃における関係であり、図1に示したその他の各温度(10,30,40℃)についても同様にして算出する。
図2に示されるように、例えば、気温20℃における鉄筋腐食速度が30(mg/cm/年)である場所では、鉄筋腐食速度の気温による増減は約1.2(mg/cm/年/℃)であることが明らかとなった。
したがって、図2のような関係を算出することにより、コンクリート構造物が使用される場所の気温の影響を加味したコンクリート中の鉄筋の腐食速度を求めることができる。
ところで、コンクリート中の鉄筋の腐食速度は、非特許文献1に示されるように、コンクリート中の中性化残り、含水率、塩化物イオン量の3つのパラメーターにより算出される。以下に、本実施形態のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法で用いる判定基準、すなわち閾値について説明する。
第3の試験では、コンクリート中の中性化残りについて調査した。ここで、中性化残りとは、鉄筋かぶりと中性化深さとの差である。また、中性化残りは、例えばフェノールフタレイン法により求めることができる。図3は、フェノールフタレイン法を用いたコンクリートの中性化残りとコンクリートのpHとの関係を示す図である。
図3に示されるように、中性化残りは、コンクリートのpHが10〜11となった深さの位置を0mmとしている。そして、この中性化残り0mmの位置よりもコンクリート表面側を中性化域、内部側を非中性化域としている。しかしながら、中性化残り0mmの位置から非中性化域側である中性化残り10mm程度の位置までは、アルカリ性の低下が確認された。また、反対に中性化域においてもpHは一定ではなく、コンクリート表面側になるほどアルカリ性の低下が著しいことが明らかとなった。
次に、第4の試験では、気温20℃、湿度60%において、水セメント比(w/c)として4水準(50,60,65,70w/c)、塩化物イオン量として5水準(0,0.6,1.2,2,5kg/m)の計20種類の供試体の腐食速度を算出して、鉄筋腐食速度に寄与する因子を調査した。図4は、中性化残りと鉄筋腐食速度との関係を示す図である。
図4に示されるように、中性化残り10mm以上、すなわちアルカリ性の低下がない領域においては、水セメント比によらず塩化物イオン量が1.2kg/m以下では腐食せず、1.2kg/mを超えると腐食が発生することが明らかとなった。したがって、中性化残り10mm以上の領域では、塩化物イオン量によって鉄筋腐食速度が推定できることを確認した。
一方、中性化残り10mm未満、すなわちアルカリ性の低下がみられる領域においては、塩化物イオン量、中性化残り、含水率の関数で鉄筋の腐食速度を推定できることを確認した。
上記に説明したように、本実施形態のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法では、中性化残り10mm及び塩化物イオン量1.2kg/mを閾値となることが明らかとなった。
なお、本実施形態では、上述の中性化残り10mm及び塩化物イオン量1.2kg/mを閾値として用いるものであるが、本発明はこの値に限定されるものではない。すなわち、中性化残りおよび塩化物イオン量は、コンクリートの配合や水セメント比等により変化するため、試験片等から実験的に求められた他の値を閾値として用いても良い。
<コンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法>
以上の試験結果を基にして本発明のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法を発明した。その一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図5は、本発明の一実施形態であるコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法を示す図である。本実施形態のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法は、図5に示すように、中性化残り量を判定する第1の工程S1と、塩化物イオン量を判定する第2の工程S2とから概略構成されている。以下に各工程について、詳細に説明する。
(第1の工程)
先ず、中性化残り量を判定する第1の工程S1について説明する。
第1の工程S1は、先ず、中性化残り量10mmを閾値として対象となるコンクリート構造物の中性化残り量を判定する。ここで、中性化残り量が10mm未満の場合には、下記(1)式から気温補正前の鉄筋腐食速度を算出するS3工程を行う。
=aW+aC+aCl+aW・C+aC・Cl+aCl・W+a …(1)
上記(1)式において、
:気温補正前のコンクリート中の鉄筋腐食速度
W:含水率
C:中性化残り
Cl:塩化物イオン量
〜a:係数
なお、上記(1)式における係数a〜aは、上述の試験結果1〜4から算出されるものであり、本実施形態では、係数a〜aの一例として、下記(1)’式を例示することができる。
=0.084W−0.145C+1.32Cl+0.0293W・C−0.0917C・Cl
+0.0658Cl・W−2.52 …(1)’
次に、図5に示すように、S4工程を行ない、下記(2)式から気温による補正後の鉄筋腐食速度を算出する。
V=(1+b(T−20))V …(2)
上記(2)式において、
V:気温による補正後のコンクリート中の鉄筋腐食速度
T:気温
b:係数
:気温補正前のコンクリート中の鉄筋腐食速度
なお、上記(2)式における係数bは、上述の試験結果1〜4から算出されるものであり、本実施形態では、係数bの一例として、下記(2)’式を例示することができる。また、気温Tは、対象となるコンクリート構造物が使用される地域の年間の平均気温であることが好ましい。
V=(1+0.0381(T−20))V …(2)’
一方、第1の工程S1において、中性化残り量が10mm以上の場合には、第2の工程S2を行う。以上のようにして、第1の工程S1を実施する。
(第2の工程)
次に、塩化物イオン量を判定する第2の工程S2について説明する。
第2の工程S2は、先ず、塩化物イオン量1.2kg/mを閾値として対象となるコンクリート構造物の塩化物イオン量を判定する。ここで、塩化物イオン量が1.2kg/mを超える場合には、下記(3)式から気温補正前の鉄筋腐食速度を算出するS5工程を行う。
=c(Cl−c) …(3)
上記(3)式において、
:気温補正前のコンクリート中の鉄筋腐食速度
Cl:塩化物イオン量
,c:係数
なお、上記(3)式における係数c,cは、上述の試験結果1〜4から算出されるものであり、本実施形態では、係数c,cの一例として、下記(3)’式を例示することができる。
=1.32(Cl−1.2) …(3)’
次に、図5に示すように、S6工程を行なう。S6工程では、上述したS4工程と同様にして、上記(2)式から気温による補正後の鉄筋腐食速度を算出する。
一方、第2の工程S2において、塩化物イオン量が1.2kg/m以下の場合には、S7工程を行い、コンクリート中の鉄筋には腐食が発生しないと判断する。以上のようにして、第2の工程S2を実施する。
ところで、本実施形態では、上記(1)〜(3)式で用いた係数であるa〜a,b,c,cの値は、上述した第1〜4の試験を繰り返して精度を高めたり、変更したりすることが可能である。また、本実施形態では、上述のS3及びS5工程によっていったん気温補正前のコンクリート中の鉄筋腐食速度Vを算出し、その後にS4及びS6工程において気温による補正を行ってコンクリート中の鉄筋腐食速度Vを算出しているが、これに限定されるものではなく、同時に気温による補正を行っても良い。
以上説明したように、本実施形態のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法によれば、含水率Wと中性化残りCと塩化物イオン量Clと気温Tとのパラメーターを用いることにより、コンクリート構造物が使用される地域において、年間平均の腐食速度を算出することができる。これにより、年間の鉄筋の腐食量を算出することができ、また、鉄筋の積算腐食量からコンクリート構造物のひび割れ、はく離する時期が推測できる。したがって、コンクリート構造物の補修時期の算定等、中長期の維持管理に活用することができる。
<コンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラム>
次に、本発明の一実施形態であるコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムについて説明する。本実施形態のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムは、上述したコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法の判断をステップ化してプログラムとしたものである。
すなわち、本実施形態のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムは、図5に示すように、中性化残り量を判定する第1のステップS1と、塩化物イオン量を判定する第2のステップS2とを備えている。そして、第1のステップS1において、中性化残り量が10mm未満の場合には、含水率と中性化残りと塩化物イオン量と気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出する(ステップS3及びステップS4)。一方、中性化残り量が10mm以上の場合には、第2のステップS2を実行する。
次に、第2のステップS2において、塩化物イオン量が1.2kg/mを越える場合には、塩化物イオン量と気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出する(ステップS5及びステップS6)。一方、塩化物イオン量が1.2kg/m以下の場合には、鉄筋の腐食が発生しないと判断する(ステップS7)。
したがって、本実施形態のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムによれば、含水率と中性化残りと塩化物イオン量と気温とをデータ入力することで、鉄筋腐食速度を算出することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の効果をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
<実施例のパラメーター>
コンクリート構造物が設置されている場所の気温により、構造物の健全度がどのように異なるかを調べるため、年間平均気温が5℃(北海道)と25℃(沖縄)との値を用いて調査した。コンクリート中の鉄筋腐食速度は、上述の実施形態において説明した閾値及び(1)’〜(3)’式を用いて図5に示した推定方法に従って算出した。ここで、塩化物イオン量、中性化残り量、含水率、気温の各パラメーターを表1に示す。
また、鉄筋の質量減少率の算出は、コンクリート構造物が製造された年から毎年の腐食速度を算出して、その年間当りの腐食量を積算して求めた。
Figure 2009236763
<鉄筋の質量減少率>
図6及び図7は、鉄筋減少率の算出結果を示す図である。図6及び図7に示すように、劣化要因が中性化残りのみである試験例1〜4に対して、劣化要因が中性化残り及び内的塩害(塩化物イオン量の増加)である試験例5〜8は、共用年数に対する鉄筋の平均質量減少率(%)の増加の割合が大きいことが確認された。
また、同一の劣化要因及び同一気温の試験例を比較すると(例えば、試験例1と試験例3)、コンクリートの品質の違いによって共用年数に対する鉄筋の平均質量減少率(%)の増加の割合が大きいことが確認された。これは、表1に示すように、コンクリートの品質(水セメント比(w/c))が異なると中性化速度係数が異なるため、中性化残り量に差が生じることによる。すなわち、コンクリート中に空気中の二酸化炭素が拡散しやすく、中性化残り量の減少速度が異なるためである。
さらに、同一の劣化要因及び同一のコンクリートの品質において、年平均気温ごとに比較すると(例えば、試験例1と試験例2)、年平均気温5℃は年平均気温25℃と比較して、共用年数に対する鉄筋の平均質量減少率(%)の増加の割合が小さいことが確認された。
次に、図6及び図7から、鉄筋の平均質量減率1%に到達するまでの期間を算出した。結果を表2に示す。ここで、鉄筋の平均質量減率1%に到達するまでの期間とは、鉄筋の腐食状態が面錆になると想定される期間を示している。
Figure 2009236763
表2に示されるように、いずれの劣化条件においても、年平均気温25℃で鉄筋が面錆状態になるまでの期間は、年平均気温5℃の場合と比較して約1/2程度となることが確認された。
以上のように、本発明のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法によって年平均の鉄筋腐食速度を算出し、これを用いて各年の鉄筋の腐食量(mg/cm)を算出することによって、気温の異なる場所に設置されたコンクリート構造物であっても中長期の管理を非破壊で容易に実施することができる。
図1は、塩化物イオン量による温度と腐食速度との関係の一例を示す図である。 図2は、気温20℃における鉄筋の腐食速度と気温による増減する腐食速度との関係を示す図である。 図3は、コンクリートの中性化残りとコンクリートのpHとの関係を示す図である。 図4は、気温20℃における中性化残りと鉄筋腐食速度との関係を示す図である。 図5は、本発明の一実施形態であるコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法(推定プログラム)を示す図である。 図6は、本発明の実施例を示す図である。 図7は、本発明の実施例を示す図である。
符号の説明
S1…第1の工程(第1のステップ)、S2…第2の工程(第2のステップ)

Claims (4)

  1. コンクリート中の含水率と中性化残りと塩化物イオン量とからコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出するコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法であって、
    前記中性化残り量を判定する第1の工程と、前記塩化物イオン量を判定する第2の工程とを備え、
    前記第1の工程において、前記中性化残り量が所定量未満の場合には、前記含水率と前記中性化残りと前記塩化物イオン量と気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出すると共に、前記中性化残り量が所定量以上の場合には、前記第2の工程を行い、
    前記第2の工程において、前記塩化物イオン量が所定量を越える場合には、前記塩化物イオン量と前記気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出すると共に、前記塩化物イオン量が所定量以下の場合には、鉄筋の腐食が発生しないと判断することを特徴とするコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法。
  2. 前記気温が、前記コンクリートが使用される地域の年間の平均気温であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定方法。
  3. コンクリート中の含水率と中性化残りと塩化物イオン量とからコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出するコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラムであって、
    前記中性化残り量を判定する第1のステップと、前記塩化物イオン量を判定する第2のステップとを備え、
    前記第1のステップにおいて、前記中性化残り量が所定量未満の場合には、前記含水率と前記中性化残りと前記塩化物イオン量と気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出すると共に、前記中性化残り量が所定量以上の場合には、前記第2のステップを行い、
    前記第2のステップにおいて、前記塩化物イオン量が所定量を越える場合には、前記塩化物イオン量と前記気温とをパラメーターとしてコンクリート中の鉄筋腐食速度を算出すると共に、前記塩化物イオン量が所定量以下の場合には、鉄筋の腐食が発生しないと判断することを特徴とするコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラム。
  4. 前記気温が、前記コンクリートが使用される地域の年間の平均気温であることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート中の鉄筋腐食速度の推定プログラム。
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