JP2020195944A - プラスチック成形品の塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、水性塗料を用いて低VOC化を図りつつ、3コート1ベークによる塗装方法を採用しても、ガラスとの高い密着性、及び優れた仕上がり外観を兼ね備えた複層塗膜を形成可能な、プラスチック成形品の塗装方法を提供する。【解決手段】本発明は、プラスチック成形品に水性プライマー(I)、水性ベースコート塗料(II)、クリヤーコート塗料(III)を順次塗装し、形成された3層の塗膜を同時に加熱硬化させるプラスチック成形品の塗装方法であって、前記水性プライマー(I)が特定の特性を有する塗装方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチック成形品の塗装方法に関する。
プロピレン樹脂等のプラスチック成形品は、軽量でありかつ機械的強度等に優れ、バンパー等の自動車部品として多く使用されている。該プラスチック成形品は、通常、プライマー塗料、ベース塗料及びクリヤー塗料が塗装される。このうちプライマー塗料は、プラスチック成形品と、ベース塗料との密着性を向上させる機能を有する塗料である。
最近は環境保護の観点から、プライマー塗料及びベース塗料として水性塗料を使用することが望まれている。しかし水系塗料は有機溶剤によるプラスチック素材の膨潤等の効果が期待できないため、プラスチック素材への付着性が劣り、耐水性が低下するという問題があった。また、上塗り塗膜への付着性が劣り、上塗りへのリコートが必要になった場合には別途溶剤型プライマーを用意する必要がある等の問題があった。
このような水系塗料に関する問題につき、下記特許文献1には、塩素化ポリオレフィンとポリウレタンディスパージョンを組み合わせた系にさらに活性メチレンブロックポリイソシアネート化合物を含有せしめたプラスチック成形品用水性プライマー組成物が開示されており、プラスチック素材との付着性、及びベース塗料等の上塗り塗膜との密着性を向上させている。
特開2004−307684号公報
しかしながら、特許文献1のプライマー組成物を用いた場合、プラスチック成形品と上塗り塗膜との密着性は向上するものの、塗装されたプラスチック成形品とフロントガラスやリアガラス等のガラス部材との密着性に必要な密着強度まで加味すると、その性能は十分とはいえず、特に高温耐水下でのガラス部材との密着性は不十分であった。また、形成される塗膜の仕上がり外観も十分ではなく、いまだ改良の余地があった。
したがって本発明は、水性塗料を用いて低VOC化を図りつつ、ガラス部材との高い密着性、及び優れた仕上がり外観を兼ね備えた複層塗膜を形成可能な、プラスチック成形品の塗装方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ガラスが接着されるプラスチック成形品に水性プライマー(I)、水性ベースコート塗料(II)及びクリヤーコート塗料(III)を順次塗装し、形成された3層の塗膜を同時に加熱硬化させる3コート1ベークによる塗装方法において、水性プライマー(I)の構成を特定化することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ガラスが接着されるプラスチック成形品に水性プライマー(I)を塗装し、プライマー層を形成する工程、
(2)前記プライマー層上に、水性ベースコート塗料(II)を塗装し、ベースコート層を形成する工程、
(3)前記ベースコート層上に、クリヤーコート塗料(III)を塗装し、クリヤーコート層を形成する工程、
(4)前記工程(1)〜(3)により形成された3層の塗膜を同時に加熱硬化させる工程、
を含むプラスチック成形品の塗装方法であって、
前記水性プライマー(I)が、その全固形分中、融点が85〜110℃の範囲内であり、重量平均分子量が80,000〜120,000の範囲内である水性ポリオレフィン系樹脂(A)を25〜50質量%、水性アクリル系樹脂(B)を26〜50質量%、ポリエステル樹脂(C)を4〜10質量%、メラミン樹脂(D)を2.5〜10質量%、ブロックポリイソシアネート化合物(E)を4〜20質量%及び下記一般式(1)で表されるジエステル化合物(F)を2.5〜10質量%含有し、
前記水性プライマー(I)を60℃で3分間加熱したときの粘度が100〜1000Pa・s(シェアレート0.1秒−1)の範囲内であり、かつ前記プライマー層の20℃、2分間水浸漬後における吸水率が50質量%以下である
ことを特徴とするプラスチック成形品の塗装方法に関する。
Figure 2020195944
[式中、R及びRは独立して炭素数4〜18の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは3〜20の整数であり、m個のRは互いに同一であっても異なっていてもよい]
本発明によれば、ガラスが接着されるプラスチック成形品に水性プライマー(I)、水性ベースコート塗料(II)及びクリヤーコート塗料(III)を順次塗装し、形成された3層の塗膜を同時に加熱硬化させる3コート1ベークによる塗装方法において、上記水性プライマー(I)に、融点及び重量平均分子量が特定範囲である水性ポリオレフィン系樹脂(A)、水性アクリル系樹脂(B)、ポリエステル樹脂(C)、メラミン樹脂(D)、ブロックポリイソシアネート化合物(E)、及びジエステル化合物(F)を特定量で含有させ、かつ、水性プライマー(I)の粘度及びプラスチック成形品に水性プライマー(I)を塗装して形成したプライマー層の吸水率を特定範囲に設定しているので、水性塗料を用いて低VOC化を図りつつ、3コート1ベークによる塗装方法を採用しても、ガラス部材との高い密着性、及び優れた仕上がり外観を兼ね備えた複層塗膜を形成可能な、プラスチック成形品の塗装方法を提供することができる。
特に、本発明の塗装方法では、水性塗料を用いていることから、低VOC化を図ることができる。
また、水性プライマー(I)に用いる水性ポリオレフィン系樹脂の融点が85〜110℃と高融点であり、重量平均分子量が80,000〜120,000と高分子量であることにより、ガラス部材との高い密着性、特に高温耐水下での高い密着性を図ることができる。
また、水性プライマー(I)を60℃で3分間加熱したときの粘度が100〜1000Pa・s(シェアレート0.1秒−1)の範囲内であることから、プライマー層のフロー性に優れるという理由で、優れた仕上がり外観を実現できる。さらに、プライマー層の20℃、2分間水浸漬後における吸水率が50質量%以下であることから、水性ベースコート塗料(II)からの水移行が抑制され、これによりプライマー層の過度の粘度低下及び水性ベースコート層の過度の粘度上昇が抑制されるという理由で、優れた仕上がり外観を実現できる。
本発明のプラスチック成形品の塗装方法(以下、単に「本発明の方法」ともいう)は、下記工程(1)〜(4)を順次行うものである。
(1)ガラスが接着されるプラスチック成形品に水性プライマー(I)を塗装し、プライマー層を形成する工程、
(2)上記プライマー層上に、水性ベースコート塗料(II)を塗装し、ベースコート層を形成する工程、
(3)上記ベースコート層上に、クリヤーコート塗料(III)を塗装し、クリヤーコート層を形成する工程、及び
(4)上記工程(1)〜(3)により形成された3層の塗膜を同時に加熱硬化させる工程。
本発明の方法では、特に上記水性プライマー(I)が上記(A)〜(F)成分の全固形分中、融点が85〜110℃の範囲内であり、重量平均分子量が80,000〜120,000の範囲内である水性ポリオレフィン系樹脂(A)を25〜50質量%、水性アクリル系樹脂(B)を26〜50質量%、ポリエステル樹脂(C)を4〜10質量%、メラミン樹脂(D)を2.5〜10質量%、ブロックポリイソシアネート化合物(E)を4〜20質量%及び下記一般式(1)で表されるジエステル化合物(F)を2.5〜10質量%含有し、上記水性プライマー(I)を60℃で3分間加熱したときの粘度が100〜1000Pa・s(シェアレート0.1秒−1)の範囲内であり、かつ上記プライマー層の20℃、2分間水浸漬後における吸水率が50質量%以下であることを特徴とする。
Figure 2020195944
[式中、R及びRは独立して炭素数4〜18の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは3〜20の整数であり、m個のRは互いに同一であっても異なっていてもよい]
以下、本発明の方法について詳細に説明する。
(プラスチック成形品)
本発明の方法におけるプラスチック成形品としては、ガラスが接着されるものである限り特に限定されないが、例えば、バックドア、ルーフ等の自動車外板部や、家庭電化製品の外板部等に使用される各種プラスチック成形品等が挙げられる。
プラスチック成形品の材質としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセン等の炭素数2〜10のオレフィンの少なくとも1種を重合せしめてなるポリオレフィンが特に好適であるが、これらに限られるものではなく、ポリカーボネート、ABS樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン等の材質であってもよい。また、これらのプラスチック成形品は、予め、それ自体既知の方法で、脱脂処理、水洗処理等を適宜行っておくことができる。
(水性プライマー(I))
本発明の方法に使用される水性プライマー(I)は、水性ポリオレフィン系樹脂(A)、水性アクリル系樹脂(B)、ポリエステル樹脂(C)、メラミン樹脂(D)、ブロックポリイソシアネート化合物(E)、及び上記一般式(1)で表されるジエステル化合物(F)を含有する。
[水性ポリオレフィン系樹脂(A)]
水性ポリオレフィン系樹脂(A)としては、ポリオレフィン及び変性ポリオレフィンのいずれも用いることができる。ポリオレフィンには、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセン等の炭素数が2〜10のオレフィンの1種又は2種以上を(共)重合せしめてなり、また、変性ポリオレフィンには、該ポリオレフィンの不飽和カルボン酸もしくは酸無水物変性物、アクリル変性物、塩素化物、又はこれらの変性を組合せて用いて得られる変性ポリオレフィン等が包含される。
本発明において使用されるポリオレフィンとしては、プロピレンを重合単位として含有するものが特に好適であり、ポリオレフィン又は変性ポリオレフィン中におけるプロピレン単位の重量分率は、他の成分との相溶性や形成塗膜の付着性等の観点から、一般に0.5以上、特に0.6〜1、さらに特に0.7〜0.95の範囲内にあるものが好適である。
ポリオレフィンとしては、後述する特定範囲の融点及び重量平均分子量を有する限り、それ自体既知のものを特に制限なく使用することができるが、得られるポリオレフィンの分子量分布が狭く且つランダム共重合性等にも優れている等の点から、重合触媒としてシングルサイト触媒を用いてオレフィンを(共)重合することにより製造されるものが好適である。シングルサイト触媒は、活性点構造が均一(シングルサイト)な重合触媒であり、該シングルサイト触媒の中でも特にメタロセン系触媒が好ましい。該メタロセン系触媒は、共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表の4〜6族又は8族の遷移金属化合物や3族の希土類遷移金属化合物であるメタロセン(ビス(シクロペンタジエニル)金属錯体及びその誘導体)と、これを活性化するアルミノキサンやボロン系等の助触媒、さらにトリメチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を組合せることにより調製することができる。オレフィンの(共)重合は、それ自体既知の方法に従い、例えば、プロピレンやエチレン等のオレフィンと水素を反応容器に供給しながら連続的にアルキルアルミニウムとメタロセンを添加することにより行うことができる。
不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィンは、例えば、ポリオレフィンに、不飽和カルボン酸又はその酸無水物を、それ自体既知の方法に従ってグラフト重合することにより製造することができる。変性に使用し得る不飽和カルボン酸又はその酸無水物としては、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1個の重合性二重結合を含有する炭素数が3〜10の脂肪族カルボン酸が包含され、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等を挙げることができ、中でも特にマレイン酸又はその酸無水物が好適である。ポリオレフィンに対する該不飽和カルボン酸又はその酸無水物のグラフト重合量は、変性ポリオレフィンに望まれる物性等に応じて変えることができるが、一般には、ポリオレフィンの固形分重量を基準にして1〜20重量%、好ましくは1.5〜15重量% 、さらに好ましくは2〜10重量%の範囲内が適当である。
アクリル変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンに対してそれ自体既知の適当な方法で、少なくとも1種のアクリル系不飽和モノマーをグラフト重合することにより製造することができる。このアクリル変性に使用し得るアクリル系不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸のC〜C20アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸のC〜C21ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等のその他の(メタ)アクリル系モノマーやさらにスチレン等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル又はメタクリル」を、そして「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
ポリオレフィンのアクリル変性は、例えば、まず、前述の如くして製造される不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン中のカルボキシル基に対して反応性を有するアクリル系不飽和モノマー、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル等を反応させてポリオレフィンに重合性不飽和基を導入し、次いで、該重合性不飽和基に上記アクリル系不飽和モノマーを単独で、又は2種以上組合せて(共)重合させることにより行うことができる。ポリオレフィンのアクリル変性における上記アクリル系不飽和モノマーの使用量は、変性ポリオレフィンに望まれる物性等に応じて変えることができるが、他の成分との相溶性や形成塗膜の付着性等の点から、一般には、得られる変性ポリオレフィンの固形分重量を基準にして30重量%以下、特に0.1〜20重量%、さらに特に0.15〜15重量%の範囲内とすることが望ましい。
ポリオレフィンの塩素化物はポリオレフィンを塩素化することにより製造することができる。ポリオレフィンの塩素化は、例えば、ポリオレフィン又はその変性物の有機溶剤溶液又は分散液に塩素ガスを吹き込むことによって行うことができ、反応温度は50〜120℃とすることができる。ポリオレフィンの塩素化物(固形分)中の塩素含有率は、ポリオレフィンの塩素化物に望まれる物性等に応じて変えることができるが、形成塗膜の付着性等の点から、一般には、ポリオレフィンの塩素化物の重量を基準にして35重量%以下、特に10〜30重量%、さらに特に12〜25重量%の範囲内とすることが望ましい。
本発明において使用する水性ポリオレフィン系樹脂(A)は、融点が85〜110℃の範囲内であることが重要である。水性ポリオレフィン系樹脂(A)の融点が上記範囲であることによってガラス部材との密着性を向上させることができる。これは水性ポリオレフィンの結晶化度が高くなることにより、塗膜のプラスチック成形品に対する密着性が向上するためと推測される。融点は好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上である。また、好ましくは105℃以下、より好ましくは100℃以下である。
水性ポリオレフィン系樹脂(A)の融点は、示査走査熱量測定装置「DSC−5200」(セイコー電子工業社製、商品名)により、水性ポリオレフィン系樹脂(A)20mgを用い、昇温速度10℃/分にて熱量を測定することにより得られたものである。水性ポリオレフィン系樹脂(A)の融点の調整は、ポリオレフィンのモノマー組成、特にα−オレフィンモノマーの量を変化させることにより行うことができる。
本発明において使用する水性ポリオレフィン系樹脂(A)は、重量平均分子量が80,000〜120,000の範囲内であることが重要である。水性ポリオレフィン系樹脂(A)の重量平均分子量が上記範囲であることによってガラス部材との密着性を向上させることができる。これは塗膜の破断強度が向上するためと推測される。重量平均分子量は好ましくは85,000以上、より好ましくは90,000以上である。また、好ましくは115,000以下、より好ましくは110,000以下である。水性ポリオレフィン系樹脂(A)の重量平均分子量の調整は、ポリオレフィンのモノマー組成や重合反応条件等を適宜調整することにより行うことができる。
水性ポリオレフィン系樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィにより測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値であり、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ装置として「HLC/GPC150C」(Water社製、60cm×1)及び溶媒としてo−ジクロロベンゼンを使用し、カラム温度135℃、流量1.0ml/minで測定したものである。注入試料は、o−ジクロロベンゼン3.4mlに対しポリオレフィン5mgの溶液濃度となるようにして140℃で1〜3時間溶解することにより調製した。なお、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィのためのカラムとしては「GMHHR−H(S)HT」(東ソー(株)社製、商品名)を使用することができる。数平均分子量も上記と同様にして求めることができる。
なお、本明細書において水性ポリオレフィン系樹脂(A)以外の重量平均分子量又は数平均分子量についても同様にして求めることができる。
また、得られる水性ポリオレフィン系樹脂(A)は、その水溶化又は水分散化を容易にするために、導入されたカルボキシル基の一部又は全部をアミン化合物で中和することが好ましい。中和に使用しうるアミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン;ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、モルホリン等の2級アミン;プロピルアミン、エタノールアミン等の1級アミン等が挙げられる。水溶化又は水分散化のために、これらのアミン化合物による中和と共に、界面活性剤を併用することも可能である。
[水性アクリル系樹脂(B)]
水性アクリル系樹脂(B)は、水酸基含有アクリル樹脂を好適に使用することができる。また、水への溶解性乃至分散性、架橋性等のために、カルボキシル基を有することが好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体及び必要に応じてその他の単量体を、既知の重合方法、例えば溶液重合法等により、重合することにより得ることができる。
水酸基含有単量体は、水酸基及び重合性不飽和基を有する化合物であり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜10のアルキレングリコールとのモノエステル化物等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のモノアルコールとのモノエステル化物等を挙げることができる。
その他の単量体としては、水酸基含有単量体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体以外の、重合性不飽和結合を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等を挙げることができる。
水酸基含有アクリル樹脂は、通常、水酸基価が10〜100mgKOH/g程度、好ましくは30〜70mgKOH/g程度であり、酸価が10〜100mgKOH/g程度、好ましくは20〜50mgKOH/g程度であり、数平均分子量が2,000〜100,000程度、好ましくは10,000〜70,000程度であるのが適当である。
[ポリエステル樹脂(C)]
本発明の方法に使用されるポリエステル樹脂(C)は、通常、多塩基酸と多価アルコールとのエステル化反応によって得ることができる。多塩基酸は1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物(無水物を含む)であり、また、多価アルコールは1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であって、それぞれこの分野で通常使用されるものを使用することができる。さらに、一塩基酸、高級脂肪酸、油成分等で変性することもできる。
ポリエステル樹脂は水酸基を有することができ、その導入は、2価アルコールと共に3価以上のアルコールを併用することによって行うことができる。また、ポリエステル樹脂には、水酸基と共にカルボキシル基を併有していてもよく、一般に、1,000〜100,000程度、好ましくは1,500〜70,000程度の範囲内の重量平均分子量を有していることが好ましい。
[メラミン樹脂(D)]
メラミン樹脂(D)は、具体的には、メラミンにホルムアルデヒドを反応してなるメチロール化メラミン樹脂;メチロール化メラミン樹脂に炭素数1〜10のモノアルコールを反応させて得られる部分又はフルエーテル化メラミン樹脂等が挙げられる。これらのメラミン樹脂はイミノ基が併存しているものも使用できる。これらは疎水性及び親水性のいずれでも差し支えない。特に、重量平均分子量が400〜6,000であることが好ましく、500〜4,000であることがより好ましく、600〜2,000であることがさらに好ましい。
[ブロックポリイソシアネート化合物(E)]
ブロックポリイソシアネート化合物(E)は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基にブロック剤を付加してブロック化して得られるものである。
ポリイソシアネート化合物としては、未反応のイソシアネート基を有する親水性のポリイソシアネート化合物が挙げられ、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添MDI等の脂環式ジイソシアネート;これらのジイソシアネート化合物を不揮発性化し、毒性を低くした形態の化合物;これらのジイソシアネート化合物のビューレット体、ウレトジオン体、イソシアヌレート体又はアダクト体;比較的低分子のウレタンプレポリマー;等のポリイソシアネート化合物を、親水性化したものを挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物の親水性化は、例えば、当該化合物にカルボキシル基、スルホン酸基、第三級アミノ基等の親水性基を導入し、中和剤、例えば、ジメチロールプロピオン酸等のヒドロキシカルボン酸、アンモニア、第三アミン等で中和することによって、行うことができる。また、例えば、ポリイソシアネート化合物に、界面活性剤を混合乳化させて、いわゆる自己乳化型のポリイソシアネート化合物として使用することもできる。
親水性のポリイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。市販品としては、例えば、「バイヒジュール3100」(商品名、住化バイエルウレタン社製、親水性ヘキサメチレンジイソシアヌレート)等が挙げられる。
ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチル等のフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム等のラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール等の脂肪族アルコール系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール等のエーテル系;ベンジルアルコール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミン等のアミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素等の尿素系;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリ等の亜硫酸塩系;アゾール系の化合物等が挙げられる。上記アゾール系の化合物としては、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−フェニルピラゾール等のピラゾール又はピラゾール誘導体;イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール又はイミダゾール誘導体;2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体等が挙げられる。
なかでも、好ましいブロック剤としては、活性メチレン系のブロック剤、ピラゾール又はピラゾール誘導体が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物のブロック化は、該化合物をブロック剤でブロックした後、一般に疎水性であることから、例えば、適当な乳化剤及び/又は保護コロイド化剤を用いて水分散することにより行うことができる。
[ジエステル化合物(F)]
ジエステル化合物(F)は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2020195944
[式中、R及びRは独立して炭素数4〜18の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは3〜20の整数であり、m個のRは互いに同一であっても異なっていてもよい]
ジエステル化合物(F)は、特に、上層の水性ベースコート塗料(II)からプライマー層への水移行を抑制し、これによりプライマー層の過度の粘度低下及び水性ベースコート層の過度の粘度上昇が抑制されるという理由で、高明度、優れた仕上がり外観、耐タレ性及び耐ワキ性を有する複層塗膜を形成できるという作用効果を発現する。
上記式(1)において、R又はRで表される炭化水素基としては、炭素数5〜11のアルキル基が好ましく、炭素数5〜9のアルキル基がより好ましく、炭素数6〜8のアルキル基がさらに好ましい。特に、R及びRが、炭素数6〜8の分岐状のアルキル基である場合、塗料を比較的長期間貯蔵した後に塗装した場合にも、形成される塗膜に優れた成膜性を付与することができる。また、Rは好ましくはエチレンであり、さらに、mは特に4〜10の整数であることが好ましい。
ジエステル化合物(F)は、例えば、2個の末端水酸基を有するポリオキシアルキレングリコールと炭素数4〜18の炭化水素基を有するモノカルボン酸とをエステル化反応させることにより得ることができる。
ポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロック共重合体、ポリブチレングリコール等を挙げることができ、この中でも特に、ポリエチレングリコールを用いることが好ましい。これらのポリオキシアルキレングリコールは、耐水性等の点から、一般に約120〜約800、特に約150〜約600、さらに特に約200〜約400の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
また、上記炭素数4〜18の炭化水素基を有するモノカルボン酸としては、例えば、ペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチルブタン酸、3−メチルペンタン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸、ヘプタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、4−エチルヘキサン酸、ノナン酸、2−エチルヘプタン酸、デカン酸、2−エチルオクタン酸、4−エチルオクタン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸等を挙げることができる。この中でも、ヘキサン酸、ヘプタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、4−エチルヘキサン酸、ノナン酸、2−エチルヘプタン酸、デカン酸、2−エチルオクタン酸、4−エチルオクタン酸等の炭素数5〜9のアルキル基を有するモノカルボン酸が好ましく、ヘプタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、4−エチルヘキサン酸、ノナン酸、2−エチルヘプタン酸等の炭素数6〜8のアルキル基を有するモノカルボン酸がより好ましく、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、4−エチルヘキサン酸、2−エチルヘプタン酸等の炭素数6〜8の分岐状のアルキル基を有するモノカルボン酸がさらに好ましい。
上記ポリオキシアルキレングリコールと上記モノカルボン酸とのジエステル化反応はそれ自体既知の方法で行うことができる。上記ポリオキシアルキレングリコール及び上記モノカルボン酸はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
得られるジエステル化合物(F)は、一般に約320〜約1,000、特に約400〜約800、さらに特に約500〜約700の範囲内の分子量を有することが好ましい。
本発明の方法に使用される水性プライマー(I)は、上記(A)〜(F)成分の全固形分中、融点が85〜110℃の範囲内であり、重量平均分子量が80,000〜120,000の範囲内である上記水性ポリオレフィン系樹脂(A)を25〜50質量%、上記水性アクリル系樹脂(B)を26〜50質量%、上記ポリエステル樹脂(C)を4〜10質量%、上記メラミン樹脂(D)を2.5〜10質量%、上記ブロックポリイソシアネート化合物(E)を4〜20質量%及び上記一般式(1)で表されるジエステル化合物(F)を2.5〜10質量%含有することが必要である。
これら成分の量的関係を一つでも満たさない場合は、本発明の効果を奏することができない。
上記水性プライマー(I)は、上記(A)〜(F)成分の全固形分中、上記水性ポリオレフィン系樹脂(A)を好ましくは30〜45質量%、上記水性アクリル系樹脂(B)を好ましくは27〜49質量%、上記ポリエステル樹脂(C)を好ましくは5〜9質量%、上記メラミン樹脂(D)を好ましくは4〜7質量%、上記ブロックポリイソシアネート化合物(E)を好ましくは8〜16質量%及び上記一般式(1)で表されるジエステル化合物(F)を好ましくは4〜7質量%含有することが好ましい。
また上記水性プライマー(I)は、上記(A)〜(F)成分の固形分中、上記水性ポリオレフィン系樹脂(A)をより好ましくは33〜40質量%、上記水性アクリル系樹脂(B)をより好ましくは32〜44質量%、上記ポリエステル樹脂(C)をより好ましくは6〜8質量%、上記メラミン樹脂(D)をより好ましくは4〜6質量%、上記ブロックポリイソシアネート化合物(E)をより好ましくは10〜14質量%及び上記一般式(1)で表されるジエステル化合物(F)をより好ましくは4〜6質量%含有することが特に好ましい。
また上記水性プライマー(I)は、さらに顔料を含有することが好ましい。
上記顔料としては、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料等を使用することができる。なかでも、水性プライマー(I)が、上記顔料の少なくとも1種として着色顔料を含有することが好ましい。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等が挙げられ、なかでも、酸化チタン、カーボンブラックを好適に使用することができる。
体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられ、なかでも、硫酸バリウム及び/又はタルクを使用することが好ましい。
光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料等を挙げることができ。これらの光輝性顔料は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。アルミニウム顔料には、ノンリーフィング型アルミニウムとリーフィング型アルミニウムがあるが、いずれも使用できる。
上記水性プライマー(I)の固形分含量は、通常、10〜80質量%程度とするのがよい。上記プライマー(I)は、水性タイプであるので、低VOC化等の観点から好適である。
(水性ベースコート塗料(II))
本発明の方法に使用される水性ベースコート塗料(II)は、自動車車体等の塗装用として公知の熱硬化性水性ベースコート塗料をいずれも使用できる。例えば、カルボキシル基、水酸基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の基体樹脂と、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂等の硬化剤からなる樹脂成分を、顔料、その他の添加剤と共に水に溶解ないし分散させて塗料化したものを使用することができる。
また、上記顔料としては、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料等を使用することができる。なかでも、水性ベースコート塗料が、上記顔料の少なくとも1種として光輝性顔料を含有することが好ましい。
上記着色顔料、体質顔料、光輝性顔料としては、例えば、前記水性プライマー(I)の説明欄に記載した着色顔料、体質顔料、光輝性顔料を使用することができる。
(クリヤーコート塗料(III))
本発明の方法に使用されるクリヤーコート塗料(III)は、上塗りクリヤーコート用の塗料としてそれ自体公知の塗料をいずれも使用でき、例えば、カルボキシル基、水酸基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の基体樹脂と、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂等の架橋剤とを、水及び/又は有機溶剤に溶解ないし分散させて塗料化したものを、好適に使用できる。
クリヤーコート塗料(III)は、その塗膜を通じて下層の水性ベースコート塗料(II)の塗膜、更には水性プライマー(I)の塗膜を観察できる透明性を有するものであるが、必要に応じて、着色顔料、メタリック顔料、体質顔料、染料、紫外線吸収剤等を適宜含有することができる。
次に本発明の方法の各工程について説明する。
本発明の方法における工程(1)は、プラスチック成形品に上記水性プライマー(I)を塗装し、プライマー層を形成する工程である。
プライマー層は、上記水性プライマー(I)を、公知の塗装方法により塗装することにより形成することができる。塗装方法としては、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等を挙げることができる。塗装膜厚は、通常、乾燥膜厚として、5〜45μm程度、好ましくは25〜40μm程度の範囲である。
形成されたプライマー層は、ワキ等の塗膜欠陥の発生を防止する観点から、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート、エアブロー等を行うことが好ましい。プレヒートの温度は、40〜100℃程度が好ましく、45〜90℃程度がより好ましく、50〜80℃程度が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間程度が好ましく、1〜10分間程度がより好ましく、2〜5分間程度が更に好ましい。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25℃〜80℃程度の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間程度吹き付けることにより行うことができる。また、予備加熱をする前に、適宜、セッティングを施してもよい。
また本発明の方法では、水性プライマー(I)を60℃で3分間加熱したときの粘度が100〜1000Pa・s(シェアレート0.1秒−1)の範囲内であり、かつ上記プライマー層の20℃、2分間水浸漬後における吸水率が50質量%以下であることが重要である。
上記粘度が100Pa・s未満では、耐タレ性及び耐ワキ性が悪化し、逆に1000Pa・sを超えると仕上がり外観が悪化する。上記粘度は、500〜1000Pa・sがさらに好ましい。
なお、上記粘度は、水性プライマー(I)について、シェアレート0.1秒−1において、測定温度を3分間で20℃から60℃まで変化させたときの、60℃における粘度を、粘弾性測定装置「HAAKE RheoStress RS150」(商品名、HAAKE社製)を用いて測定することができる。
また、プライマー層の20℃、2分間水浸漬後における吸水率が、50質量%を超えると、水性ベースコート塗料(II)からプライマー層への水移行が抑制されず、本発明の効果を奏することができない。上記吸水率は、35〜45質量%がさらに好ましい。
なお、上記吸水率は、以下の方法により測定できる。あらかじめ質量(W1)を測定しておいたブリキ板上に、水性プライマー(I)を乾燥膜厚が30μmとなるように塗装し、60℃で3分間プレヒートを行なった後、水性プライマー(I)が塗装されたブリキ板の質量(W2)を測定する。その後、水性プライマー(I)が塗装されたブリキ板を20℃の脱イオン水に2分間浸漬した後に取り出し、ブリキ板に付着している余分な水分をろ紙で軽く拭った後の該ブリキ板の質量(W3)を測定する。吸水率は以上のW1〜W3の質量測定結果から下記式(1)により求めた。
吸水率(%)={(W3−W1)/(W2−W1)−1}×100 (1)
上記粘度を調整するには、水性アクリル系樹脂(B)の配合量及び分子量を調整する等の方法がある。
上記吸水率を調整するには、ジエステル化合物(F)の配合量を調整する等の方法がある。
本発明の方法における工程(2)は、上記プライマー層上に、水性ベースコート塗料(II)を塗装し、ベースコート層を形成する工程である。
ベースコート層の膜厚は、通常、硬化膜厚として、5〜30μm程度、好ましくは10〜20μm程度の範囲内とすることができる。塗装後、適宜、セッティングを施してもよい。
本発明の方法における工程(3)は、上記ベースコート層上に、クリヤーコート塗料(III)を塗装し、クリヤーコート層を形成する工程である。該塗装は、必要に応じて、上記ベースコート層の予備加熱を行った後に行うことができる。
上記クリヤーコート層の膜厚は、通常、硬化膜厚として、10〜40μm程度、好ましくは20〜35μm程度の範囲内とすることができる。塗装後、適宜、セッティングを施してもよい。
本発明の方法における工程(4)は、上記工程(1)〜(3)により形成された3層の塗膜を同時に加熱硬化させる工程である。
この3層の塗膜の加熱条件としては、通常、80〜130℃程度で、5〜60分間程度であるのが好ましい。かくして、優れた仕上がり外観を兼ね備えた複層塗膜を、3コート1ベーク方式により、好適に形成することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものであり、また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づくものである。
実施例及び比較例では、下記の各成分を使用した。
<水性ポリオレフィン系樹脂(A)>
・水性ポリオレフィン系樹脂(A−1) 融点:95℃、重量平均分子量(Mw):90000
・水性ポリオレフィン系樹脂(A−2) 融点:80℃、重量平均分子量(Mw):90000
・水性ポリオレフィン系樹脂(A−3) 融点:80℃、重量平均分子量(Mw):120000
・水性ポリオレフィン系樹脂(A−4) 融点:95℃、重量平均分子量(Mw):75000
・水性ポリオレフィン系樹脂(A−5) 融点:125℃、重量平均分子量(Mw):75000
<水性アクリル系樹脂(B)>
撹拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応槽に、エチレングリコールモノブチルエーテル40部、イソブチルアルコール30部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから下記の単量体等の混合物を3時間かけて滴下した。
スチレン 10部
メチルメタクリレート 38部
n−ブチルアクリレート 25部
2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 20部
アクリル酸 7部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 1部
イソブチルアルコール 5部
滴下終了後、更に30分間100℃に保持した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部とエチレングリコールモノブチルエーテル10部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。さらに100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却し、イソブチルアルコール15部を加え、75℃になったところでN,N−ジメチルアミノエタノール4部を加え、30分間撹拌して固形分含量50%の水性アクリル系樹脂(B)溶液を得た。この水性アクリル系樹脂(B)の水酸基価は86mgKOH/g、酸価は54.5mgKOH/g、数平均分子量は20,000であった。
<ポリエステル樹脂(C)>
トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸及びアジピン酸を用いて常法によりエステル化反応せしめ、数平均分子量4500、水酸基価120、酸価10のポリエステル樹脂を得た。
<メラミン樹脂(D)>
重量平均分子量1200、イミノ基含有メチルブチル混合エーテル化メラミンを用いた。
<ブロックポリイソシアネート化合物(E)>
ヘキサメチレンジイソシアネ−トをマロン酸ジメチルでフルブロックした化合物を用いた。
<上記一般式(1)で表されるジエステル化合物(F)>
ジエステル化合物(F−1):ポリオキシエチレングリコールとn−ヘキサン酸とのジエステル化合物を用いた。当該化合物は、上記一般式(1)において、R及びRがそれぞれペンチル基であり、Rがエチレン基であり、mが5であり、分子量が434である。
ジエステル化合物(F−2):ポリオキシエチレングリコールと2−エチルヘキサン酸とのジエステル化合物を用いた。当該化合物は、上記一般式(1)において、R及びRがそれぞれ2−エチルペンチル基であり、Rがエチレン基であり、mが7であり、分子量が578である。
<顔料>
白色顔料:ルチル型酸化チタン(商品名「JR−806」、テイカ社製)
黒色顔料:カーボンブラック(商品名「MA−100」、三菱ケミカル社製)
上記各成分(A)〜(F)及び顔料を、下記表1および表2に示す配合割合(固形分の質量%)で混合し、ミキサーで十分に攪拌し、各種水性プライマー(I)を得た。水性プライマー(I)の60℃で3分間加熱したときの粘度、及び該水性プライマー(I)塗膜の20℃、2分間水浸漬後の吸水率を、上記の方法により測定した。なお、比較例15、16においては、ジエステル化合物(F)の替わりに、またはジエステル化合物(F)とともに、ポリプロピレングリコール(三洋化成工業社製商品名「サンニックス GP−1000」)を用いた。
(実施例1〜3、5〜18、比較例1〜17)
続いて、本発明の方法の工程(1)を実施した。
まず、プラスチック成形体として、黒色のポリプロピレンを用い、脱脂処理し、これに水性プライマー(I)を、乾燥膜厚で30μmになるようにエアスプレー塗装した。得られた塗装塗膜を、室温で3分間放置してセッティングしてから、60℃、3分間のプレヒートを施し、プライマー層を形成した。
次に、工程(2)として、工程(1)で得られたプライマー層上に、水性ベースコート塗料(II)である、水性の熱硬化性透明着色塗料(商品名「WBC−713T No.062」、関西ペイント社製)を硬化膜厚が15μmになるように非静電塗装し、室温で2分間放置してセッティングしてから、80℃、3分間のプレヒート加熱を施し、ベースコート層を形成した。
続いて、工程(3)として、工程(2)で得られたベースコート層上に、クリヤーコート塗料(III)である、アクリル樹脂・ウレタン樹脂系熱硬化性クリヤー塗料(商品名「ソフレックス7175」、関西ペイント社製)を硬化膜厚が25μmになるように非静電塗装し、室温で7分間放置してセッティングした。
次に、工程(4)として、工程(1)〜(3)により形成された3層の塗膜を同時に加熱硬化した。硬化条件は、120℃、30分間とした。
以上のようにして、プラスチック成形体に塗装を行い、実施例1〜3、5〜18、比較例1〜17の各サンプルを得た。
(実施例4)
工程(1)において、水性プライマー(I)を乾燥膜厚で15μmとし、工程(2)において、水性ベースコート塗料(II)である、水性の熱硬化性赤色塗料(商品名「WBC−713T No.3R3」、関西ペイント社製)を用いた点を除いては、実施例1と同様に、工程(1)〜(4)を実施した。以上のようにして、プラスチック成形体に塗装を行い、実施例4のサンプルを得た。
得られた各サンプルに対し、ガラス部材との密着性および仕上がり外観に関し、以下の項目を評価した。
[ガラス部材との密着性の評価]
<ウィンドウガラス用接着剤適合性>
各サンプルにさらにウレタン系接着剤(商品名「3740」、サンスター株式会社製、自動車用ウインドシールド剤)を、塗布形状が幅20mm、厚さ3mm、長さ100mm以上となるように塗布し、離型紙を被せた後、平板で均一に押さえつけた。平板を取り除いた後、温度23±2℃、湿度50±5%で72時間放置して硬化させた。その後、離型紙を剥がして、ウィンドウガラス用接着剤適合性試験用の試験板Aを作製した。
(初期)
上記作製した各試験板Aについて、以下の剥離試験を行った。
硬化した接着剤層を塗膜に対して90度以上の方向に手で引っ張りながら2〜3mm間隔で、塗膜に対以して約60度の角度で塗膜表面に達するところまでカッターナイフでカットを入れる。接着剤層を剥がした後の剥離状態を下記基準により評価した。なお、下記基準において、〇以上を合格とする。
◎:接着剤層の凝集破壊が発生し、塗膜表面の露出、及び塗膜内の凝集破壊も認められない。
○:塗膜表面の露出が認められず、接着剤層の凝集破壊が主であるが、引っ張る方向と平行な剥離長さが2mm以内での塗膜の凝集破壊が認められる。
△:塗膜が凝集破壊を起こして剥れる。
×:塗膜と接着剤層との界面で剥れが発生し、塗膜表面の露出が認められる。
(水浸浸後)
前記作製した各試験板Aを60℃に設定した恒温水槽中に240時間浸漬させ、その後、23℃の水中に1時間浸漬させて冷却した後、上記の剥離試験を行い評価した。
[仕上がり外観の評価]
仕上がり外観評価用試験板の作製
(実施例1〜3、5〜18、比較例1〜17)
11cm×45cmの大きさとしたポリプロピレン板の長尺側の端部から3cmの部分に、直径5mmのポンチ孔を、2cm間隔で21個一列状に設けたものを使用し、該ポリプロピレン板上に、水性プライマー(I)を、長尺方向にほぼ30μm〜60μmの膜厚が得られるように膜厚勾配をつけて塗装し、3分間放置後、60℃で3分間プレヒートを行なった。
次いで、該未硬化のプライマー層上に、水性干渉色ベースコート塗料「WBC−713T No.062」(製品名、関西ペイント社製)を、乾燥膜厚で15μmとなるように非静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。
さらに、該干渉色ベースコート層上に、クリヤーコート塗料「ソフレックス7175」(製品名、関西ペイント社製)を、乾燥膜厚で25μmとなるように非静電塗装し、該塗装板をほぼ垂直に立てて、塗装後7分間経過後、120℃で30分間加熱して、水性プライマー層、干渉色ベースコート層及びクリヤーコート層を硬化させることにより試験板を作製した。
(実施例4)
11cm×45cmの大きさとしたポリプロピレン板の長尺側の端部から3cmの部分に、直径5mmのポンチ孔を、2cm間隔で21個一列状に設けたものを使用し、該ポリプロピレン板上に、水性プライマー(I)を、長尺方向にほぼ15μm〜30μmの膜厚が得られるように膜厚勾配をつけて塗装し、3分間放置後、60℃で3分間プレヒートを行なった。
次いで、該未硬化のプライマー層上に、水性赤色ベースコート塗料「WBC−713T No.3R3」(製品名、関西ペイント社製)を、乾燥膜厚で15μmとなるように非静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。
さらに、該着色ベースコート層上に、クリヤーコート塗料「ソフレックス7175」(製品名、関西ペイント社製)を、乾燥膜厚で25μmとなるように非静電塗装し、該塗装板をほぼ垂直に立てて、塗装後7分間経過後、120℃で30分間加熱して、水性プライマー層、着色ベースコート層及びクリヤーコート層を硬化させることにより試験板を作製した。
<耐タレ性>
上記で得られた各試験板のポンチ孔下端部から5mmの塗膜のタレが観察される位置を調べ、該位置の膜厚[タレ限界膜厚(μm)]を測定し、以下の基準で耐タレ性の評価を行なった。タレ限界膜厚が大きいほど耐タレ性は良好である。
(実施例1〜3、5〜18、比較例1〜17)
◎:タレ限界膜厚が40μm以上
○:タレ限界膜厚が35μm以上40μm未満
×:タレ限界膜厚が35μm未満
(実施例4)
◎:タレ限界膜厚が25μm以上
○:タレ限界膜厚が20μm以上25μm未満
×:タレ限界膜厚が20μm未満
<耐ワキ性>
上記で得られた各試験板のワキが観察される位置を調べ、該位置の膜厚[ワキ限界膜厚(μm)]を測定し、以下の基準で耐ワキ性の評価を行なった。ワキ限界膜厚が大きいほど耐ワキ性は良好である。
(実施例1〜3、5〜18、比較例1〜17)
◎:ワキ限界膜厚が40μm以上
○:ワキ限界膜厚が35μm以上40μm未満
×:ワキ限界膜厚が35μm未満
(実施例4)
◎:ワキ限界膜厚が25μm以上
○:ワキ限界膜厚が20μm以上25μm未満
×:ワキ限界膜厚が20μm未満
<平滑性>
上記で得られた試験板について、「Wave Scan DOI」(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるWd値を用いて評価した。Wd値が小さいほど塗面の平滑性が高いことを示す。Wd値は小さいほどよいが、少なくとも、27未満という条件を満たす必要がある。
A:21未満
B:21以上24未満
C:24以上27未満
D:27以上30未満
E:30以上
<耐水性>
上記で得られた試験板を40℃の温水に240時間浸漬し、引き上げ、20℃で12時間乾燥した後、試験板の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作る。続いて、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存状態を調べ、下記基準で耐水性を評価した。
◎:ゴバン目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じていない
○:ゴバン目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じている
△:ゴバン目塗膜が90〜99個残存する
×:ゴバン目塗膜の残存数が89個以下である。
結果を表1及び表2に併せて示す。
Figure 2020195944
Figure 2020195944
表1及び表2に示すように、実施例では、プラスチック成形品に水性プライマー(I)、水性ベースコート塗料(II)及びクリヤーコート塗料(III)を順次塗装し、形成された3層の塗膜を同時に加熱硬化させる3コート1ベークによる塗装方法において、上記水性プライマー(I)の構成を上記のように特定化しているので、各比較例に比べて、水性塗料を用いて低VOC化を図りつつ、3コート1ベークによる塗装方法を採用しても、ガラスとの高い密着性、及び優れた仕上がり外観を兼ね備えた複層塗膜が形成されることが判明した。

Claims (1)

  1. (1)ガラスが接着されるプラスチック成形品に水性プライマー(I)を塗装し、プライマー層を形成する工程、
    (2)前記プライマー層上に、水性ベースコート塗料(II)を塗装し、ベースコート層を形成する工程、
    (3)前記ベースコート層上に、クリヤーコート塗料(III)を塗装し、クリヤーコート層を形成する工程、
    (4)前記工程(1)〜(3)により形成された3層の塗膜を同時に加熱硬化させる工程、
    を含むプラスチック成形品の塗装方法であって、
    前記水性プライマー(I)が、その全固形分中、融点が85〜110℃の範囲内であり、重量平均分子量が80,000〜120,000の範囲内である水性ポリオレフィン系樹脂(A)を25〜50質量%、水性アクリル系樹脂(B)を26〜50質量%、ポリエステル樹脂(C)を4〜10質量%、メラミン樹脂(D)を2.5〜10質量%、ブロックポリイソシアネート化合物(E)を4〜20質量%及び下記一般式(1)で表されるジエステル化合物(F)を2.5〜10質量%含有し、
    前記水性プライマー(I)を60℃で3分間加熱したときの粘度が100〜1000Pa・s(シェアレート0.1秒−1)の範囲内であり、かつ前記プライマー層の20℃、2分間水浸漬後における吸水率が50質量%以下である
    ことを特徴とするプラスチック成形品の塗装方法。
    Figure 2020195944
    [式中、R及びRは独立して炭素数4〜18の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは3〜20の整数であり、m個のRは互いに同一であっても異なっていてもよい]
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