JP2020195329A - 耐圧性細胞分離フィルタ容器 - Google Patents

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真弘 小嶋
Masahiro Kojima
真弘 小嶋
岩木 和男
Kazuo Iwaki
和男 岩木
敬太 山下
Keita Yamashita
敬太 山下
里衣子 八木
Rieko Yagi
里衣子 八木
保 嶋田
Tamotsu Shimada
保 嶋田
幸晋 牛崎
Koshin Ushizaki
幸晋 牛崎
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Abstract

【課題】内部に細胞分離材を収容する細胞分離フィルタの濾過面積を広げても変形せず、細胞回収率を減少させることがない細胞分離フィルタ容器であり、かつ細胞分離材の細孔の閉塞時における回収液通過時の応力集中に耐えられる、耐圧性の細胞分離フィルタ容器を提供する。【解決手段】細胞分離材を充填するための空間6を形成する側壁部7と、前記側壁部の一端側において前記空間を閉鎖する第1壁部8Aと、前記側壁部の他端側において前記空間を閉鎖する第2壁部8Bとを備え、前記第1壁部には、液体を導入又は導出するための第1通液口9Aが形成されており、前記第2壁部には、液体を導入又は導出するための第2通液口9Bが形成されており、第1壁部の端部と側壁部の端部が、U字もしくはC字形状部を介して繋がっている細胞分離フィルタ容器1。【選択図】図2

Description

本発明は、耐圧性の細胞分離フィルタ容器、それを用いた細胞分離フィルタ及び耐圧性の細胞分離フィルタ容器を利用した細胞濃縮液の製造方法に関する。
近年、血液学や科学テクノロジーの急速な進歩に伴い、全血・骨髄・臍帯血・組織抽出物をはじめとする体液から必要な血液分画のみを分離して患者に投与することで治療効果を高め、さらに、治療に必要のない分画は投与しないことで副作用を抑制する、という治療スタイルが広く普及している。
例えば、血液輸血もその1つである。赤血球製剤は、出血や赤血球が不足する場合、又は赤血球の機能低下により酸素が欠乏している場合に使用される血液製剤である。赤血球製剤には、異常な免疫反応や移植片対宿主病(GVHD)等の副作用を誘導する白血球は不要であり、フィルタで白血球を除去する必要がある。場合によっては白血球に加えて血小板も除去することもある。
一方、血小板製剤は、血液凝固因子の欠乏による出血ないし出血傾向にある患者に使用される血液製剤である。血小板製剤の製造のためには、遠心分離により、血小板以外の不要な細胞や成分は除去され、必要とされる血小板成分のみが採取されている。
加えて近年、白血病や固形癌治療に向けた造血幹細胞移植が盛んに行われるようになり、治療に必要な、造血幹細胞を含む白血球群を分離し投与する方法がとられている。この造血幹細胞のソースとして、ドナーの負担が少ない、増殖能力が優れている、等の利点から、骨髄や末梢血に加えて臍帯血も注目を浴びている。また近年、月経血中にも幹細胞が豊富に存在することが示唆され、これまで廃棄されていた月経血も貴重な幹細胞ソースとして利用される可能性がある。
骨髄や末梢血に関して、不要な細胞を除き白血球を分離・純化して投与することが望まれている一方で、臍帯血についても血縁者のためのバンキングが盛んになり、使用時まで凍結保存する必要性から、凍結保存による赤血球溶血を防ぐことを目的に白血球は分離・純化されている。
血液から治療に必要な血球成分を分離する方法として、比重液を用いた比重遠心法、赤血球凝集剤を用いた赤血球凝集法、抗体を用いたアフィニティ分離法などが挙げられる。しかしながら、比重遠心法は比重液に原料細胞を重層させる際に液面を乱してはならない等、非常に熟練を要する煩雑な操作である。また、赤血球凝集法では、ヒドロキシエチルスターチ等と混和して、赤血球の連銭形成により赤血球を凝集、沈降させ、白血球層を分離する方法であるが、作業は煩雑であり、分離性能も十分とは言えない。また、アフィニティ分離法では、特異性は高いものの分離した細胞を回収するためには、結合した抗体分子を酵素処理するため、細胞の損傷、コスト高、操作の煩雑さなどの問題があった。
前述の煩雑さを解決する方法として、例えば、特許文献1、特許文献2において、血液中の目的細胞をフィルタに捕捉した後、回収液をフィルタに通液することにより剪断力を利用して目的細胞を回収するフィルタ法が開示されている。
ところが、これらのフィルタ法においては、血液処理量が増加していくと、血液を濾過する際、血液中の目的細胞がフィルタの細胞分離材の深層に到達してしまい、少量の決められた量の回収液では細胞分離材の深層まで到達した目的細胞を十分に回収しきれずに、細胞の回収率が低減してしまう。さらに、血液中の血球などの凝集塊による細胞分離材の細孔の閉塞により、目詰まりを起こして回収液の通液時にフィルタ容器の一部に過大な応力が集中することによって容器が破損するといった課題があった。
この対策として、濾過面積を広げて単位断面積あたりの濾過量を低減させる方法が取られる。特許文献3にあるように、回収液整流化材を有核細胞分離材に対して特定の配列となるように併用し、かつ、フィルタの有効濾過膜面積と充填厚みが特定の比率にある比較的扁平なフィルタを用いることで、濾過時の流速確保と回収液の均一流れによる有核細胞の高回収を達成している。濾過面積を広げていくと、細胞分離材の細孔の閉塞のリスクは下がる。
特開平10−201470号公報 特開2016−10394号公報 特開2004−329034号公報
しかしながら、実際に処理する血液個体は、血液量も、血液の総細胞数やヘマトクリット値、血小板の活性度合い等の血液の特性が個体によって大きくばらつく。そのため、血液処理量が多い個体や、フィブリン塊や破壊した血球などの凝集塊が多い個体の血液処理時に、細胞分離材の細孔の閉塞により目詰まりを起こす可能性も存在する。目詰まりが起きている細胞分離フィルタに回収液を通液して細胞分離フィルタ容器に圧力をかけると、濾過面積を広げる前に比べてより大きな応力が容器の一部に集中し、容器の破損のリスクが高まる。さらに、回収液を通液する際の圧力負荷によって、ろ過面積を広げる前と比べて容器がより大きく変形することとなる。その結果、細胞分離材と容器の間にできた隙間から回収液が偏流する事で、細胞捕捉材に捕捉された細胞に十分な剪断力がかからず、細胞の回収率が低減してしまうといった新たな課題が発生する。
そこで、本願の発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、細胞分離フィルタの容器の応力が集中する箇所を均一な厚みの面一構造にせずにU字もしくはC字形状部を設ける事で、濾過面積を広げても、容器の変形を抑える事で細胞回収率を減少させることなく、かつ細胞分離材の細孔の閉塞時における回収液通過時の応力集中に耐えられることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
本発明は、
(1).
細胞分離材を充填するための空間を形成する側壁部と、
前記側壁部の一端側において前記空間を閉鎖する第1壁部と、
前記側壁部の他端側において前記空間を閉鎖する第2壁部と、を備え、
前記第1壁部には、液体を導入又は導出するための第1通液口が形成されており、前記第2壁部には、液体を導入又は導出するための第2通液口が形成されており、
第1壁部の端部と側壁部の端部が、U字もしくはC字形状部を介して繋がっている細胞分離フィルタ容器、
(2).
前記第1壁部の内面には、前記空間に前記細胞分離材が充填されたときに、前記第2壁部と協働して前記細胞分離材を挟み込んで圧縮するように、前記内面から前記空間に向けて突出する複数の第1放射状突起部が形成されている、(1)に記載の細胞分離フィルタ容器、
(3).
第1放射状突起部を囲むように第1環状突起部が形成されており、第1環状突起部は側壁部とともに環状の第1溝部を形成し、第1環状突起部は側壁部の内面よりも内側に配置されている、(1)または(2)に記載の細胞分離フィルタ容器、
(4).
前記第2壁部の内面には、前記空間に前記細胞分離材が充填されたときに、前記第1壁部と協働して前記細胞分離材を挟み込んで圧縮するように、前記内面から前記空間に向けて突出する複数の第2放射状突起部が形成され、
前記側壁部とともに環状の第2溝部を形成するように、前記側壁部の内面よりも内側に配置され、かつ第2放射状突起部を囲むように第2環状突起部が形成されている、(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞分離フィルタ容器、
(5).
前記側壁部と前記第1壁部とが一体的に形成されている、(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞分離フィルタ容器、
(6).
前記第1溝部が、前記U字もしくはC字形状部に形成されることを特徴とする、
(1)〜(5)のいずれかに記載の細胞分離フィルタ容器、
(7).
前記第1溝部の幅をR1、前記第1溝部の形状の曲率をκ1、前記第2溝部の幅をR2、前記第2溝部の形状の曲率をκ2とした場合に、以下の関係式を満たすことを特徴とする、
(1)〜(6)に記載の細胞分離フィルタ容器、

κ1≧2/(R1) かつ κ2≧2/(R2)

(8).
前記曲率κ1が、前期側壁部側κ1_outerと前期第1環状突起部側κ1_innerとで異なり、前記曲率κ2が、前期側壁部側κ2_outerと前期第2環状突起部側κ2_innerとで異なり、以下の関係式を満たすことを特徴とする、
(1)〜(7)に記載の細胞分離フィルタ容器、

κ1_inner > κ1_outer かつ/または κ2_inner > κ2_outer

(9).
前記曲率κ1_innerとκ1_outerおよび/またはκ2_innerとκ2_outerが以下の関係式を満たすことを特徴とする、
(1)〜(8)に記載の細胞分離フィルタ容器。

κ1_inner:κ1_outer = 6:5 かつ/または κ2_inner:κ2_outer = 6:5

(10).
(1)〜(9)のいずれか1項に記載の細胞分離フィルタ容器と、
前記細胞分離フィルタ容器の空間に充填された細胞分離材と、
を備える細胞分離フィルタ、
(11).
前記細胞分離材が不織布または多孔質セルロース粒子である(10)に記載の細胞分離フィルタ、
(12).
(10)または(11)に記載の細胞分離フィルタの前記第一通液口又は前記第二通液口から細胞含有液を導入し吸着材と接触させる接触工程、及び前記細胞分離フィルタの前記第一通液口又は前記第二通液口から細胞濃縮液を回収する回収工程、を有する細胞濃縮液の製造方法、
に関する。
本発明に係る細胞分離フィルタ容器によればU字もしくはC字形状部を有することで、細胞回収液通液時の圧力負荷時の応力集中を低減することが可能となる。応力集中の低減によりカラムの変形が抑制され、細胞分離材と容器の間にできた隙間から回収液が偏流することなく、捕捉された細胞に十分な剪断力がかかって、細胞の回収率を増加させ安定化させることが出来る。
さらに、細胞分離材の細孔の閉塞が起こった細胞分離フィルタにおいても、細胞回収液通液時の圧力負荷時に発生する応力集中に耐えられる構造になる。同様に、応力集中の低減によりカラムの変形が抑制され、細胞分離材と容器の間にできた隙間から回収液が偏流することなく、捕捉された細胞に十分な剪断力がかかって、細胞分離材の閉塞が起こった細胞分離フィルタにおいても、細胞の回収率は大きく低減しない。
蓋固定部材2を、細胞分離材を内包した蓋部材3とボディ部材4に取り付けて本発明の細胞分離フィルタを組み立てる流れを示す図である。(a)は、蓋固定部材2を取り付ける前の状態を示す。(b)は、蓋固定部材2の角ネジオスがボディ部材4の角ネジメスと接し、嵌合する前の状態を示す。(c)は、(b)の状態から蓋固定のみを回転させる事により、蓋固定部材2の角ネジオスがボディ部材4の角ネジメスと勘合して細胞分離フィルタ容器が組み立てられた状態を示す。 本発明の実施の形態1に係る、U字形状部を有する細胞分離フィルタの容器の構成例を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る、C字形状部を有する細胞分離フィルタの容器の構成例を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は斜視図である。 本発明の実施の形態1および2に係る、蓋部材3の構成例を示す図である。(a)は蓋部材3を、不織布と接する面から見た平面図である。(b)はボディ部材4を不織布と接する面から見た平面図である。 本発明の実施の形態1に係る環状突起部と側壁部7の間に形成される溝部の曲率を示す縦断面拡大図である。 本発明の細胞分離フィルタを用いて閉鎖的に細胞を分離する回路の例を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態1に係る細胞分離フィルタ容器1との比較検討のための、U字およびC字形状部を有さない細胞分離フィルタ容器1の相当応力分布の解析結果を示す。 本発明の実施の形態1に係る細胞分離フィルタ容器1の相当応力分布の解析結果を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
<細胞分離フィルタ容器>
図1(a)、図1(b)、図1(c)に、蓋固定部材2をボディ部材4の嵌合に合わせて容器1を組み立てる際の一連の流れを示す。容器1において、蓋固定部材2の嵌合部とボディ部材4の嵌合部とが嵌み合う事で、細胞分離材の圧縮率を一定に保ち、細胞回収液通液時に圧力が負荷された際に容器が耐えられるようになる。蓋固定部材2の角ネジメス15Bがボディ部材4の角ネジオス15Aの嵌合部に嵌る一連の流れを示している。図1(a)に示すように、細胞分離材が蓋部材3とボディ部材4に挟み込まれるようにして組み立てられている。ボディ部材4には、ボディ部材を一周取り巻くようにして角ネジオス15Aが配置されており、角ネジオス15Aによって溝が等間隔で4箇所に配置されている。蓋固定部材2の内側には前記角ネジオス15Aの溝と嵌合するように、角ネジメス15Bが等間隔で4箇所に配置されている。図1(b)に示すように、蓋固定部材2の角ネジメス15Bが、ボディ部材4の角ネジオス15Aの溝に嵌る。図1(c)に示すように、ボディ部材および蓋部材3を固定した状態で蓋固定部材2を時計回りに40°回転させる事で容器1が組み立てられる。ネジ部は角ネジに限らず、三角ネジ、台形ネジ、のこ刃ネジ、丸ネジ、ボールネジなどでもよい。また、ネジのピッチを細かく取ったメートルネジ、メートル台形ネジ、管用平行ネジ、管用テーパネジ、条ネジであってもよい。さらに、容易に蓋固定部材2が回転して外れないように、逆回転防止のためのスナップフィット構造を嵌合部に設けてもよい。さらに嵌合部は、ネジ式には限らず、超音波溶着や接着剤による固定でもよい。
細胞分離フィルタに用いられる容器は、任意の構造材料を使用して作成することができる。当該容器の構造材料としては特に限定されないが、非反応性ポリマー、生物親和性金属、合金、ガラス等が挙げられる。
非反応性ポリマーとしては、アクリロニトリルブタジエンスチレンターポリマー等のアクリロニトリルポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ポリマー;ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリドアクリルコポリマー、ポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。
生物親和性金属及び合金としては、ステンレス鋼、チタン、白金、タンタル、金、及びそれらの合金、並びに金メッキ合金鉄、白金メッキ合金鉄、コバルトクロミウム合金、窒化チタン被膜ステンレス鋼等が挙げられる。
滅菌耐性を有する点から、当該容器の構造材料として、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルペンテン等が好ましい。
本発明の細胞分離フィルタで使用される細胞分離材の形態は、特に限定されず、連通孔構造の多孔質担体、繊維の集合体、織物等が挙げられる。好ましくは繊維で構成されるものであり、より好ましくは不織布である。
不織布の材質は特に制限されないが、滅菌耐性や細胞への安全性の観点からは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、レーヨン、ビニロン、ポリプロピレン、アクリル(ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリレート)、ナイロン、ポリイミド、アラミド(芳香族ポリアミド)、ポリアミド、キュプラ、カーボン、ポリフェノール、ポリエステル、パルプ、麻、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート等の合成高分子、アガロース、セルロース、セルロースアセテート、キトサン、キチン等の天然高分子、ガラス等の無機材料や金属等が挙げられる。好ましくは、細胞捕捉能が高いポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリウレタンである。さらに好ましくは、有核細胞捕捉能が高いポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタラート、ナイロンである。2種以上の材質を組み合わせて繊維とする場合の繊維の形態としては、1本の繊維が異成分同士の材質よりなる繊維でもよく、異成分同士が剥離分割した分割繊維でもよい。また異成分同士の材質よりなる繊維をそれぞれ複合化した形態でもよい。ここでいう複合化とは、特に制限は無く、2種以上の繊維が混在した状態より構成される形態、あるいは単独の材質よりなる形態をそれぞれ張り合わせたもの等が挙げられる。さらに、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、糖類等のように、特定の細胞に親和性のある分子を固定してもよい。
また、不織布に親水化処理を施してもよく、親水化処理により有核細胞以外の細胞の非特異的な捕捉が抑制され、体液や生体組織の処理液が偏りなく細胞分離フィルタ中を通過するので、性能の向上、必要細胞の回収率の向上等を付与することができる。親水化処理としては、水溶性多価アルコール、又は水酸基やカチオン基、アニオン基を有するポリマー、あるいはその共重合体(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、あるいはその共重合体等)を吸着させる方法;水溶性高分子(ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等)を吸着させる方法;疎水性膜に親水性高分子を固定化する方法;細胞分離フィルタに電子照射する方法;含水状態で細胞分離フィルタに放射線を照射することで親水性高分子を架橋不溶化する方法;疎水性膜の表面をスルホン化する方法;親水性高分子と、疎水性ポリマードープとの混合物から膜をつくる方法;アルカリ水溶液処理(NaOH、KOH等)により膜表面に親水基を付与する方法;疎水性多孔質膜をアルコールに浸漬した後、水溶性ポリマー水溶液で処理、乾燥後、熱処理や放射線等で不溶化処理する方法;界面活性作用を有する物質を吸着させる方法等が挙げられる。親水性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、水溶性多価アルコール等が挙げられる。
不織布に固定するタンパク質としては、特定の細胞に親和性のあるタンパク質であれば特に限定されないが、具体的にはフィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、コラーゲン等が挙げられる。また、不織布に固定する糖類としては、細胞に親和性のある糖類であれば特に限定されないが、セルロース、キチン、キトサン等の多糖類やマンノース、グルコース、ガラクトース、フコース等のオリゴ糖等が挙げられる。
多孔質担体としては、セルロース、アセチルセルロース、デクストリン等の多糖類、及びポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコール等の、合成ポリマーからなる有機担体が含まれる。これらは、ヒドロキシエチルメタクリレートのようなヒドロキシル基含有のポリマー材料や、ポリエチレンオキサイド鎖含有モノマーや、他の重合化モノマーの共重合体のような、グラフト共重合体からなるコーティング層を有していても構わない。活性基が担体表面に容易に導入されることから、これらの中ではセルロースやポリビニルアルコールのような合成ポリマーが実用的には好ましい。特に多孔質セルロース粒子が最も好ましい。
多孔質担体(特に多孔質セルロース粒子)には、logP(Pはオクタノール−水系での分配係数)値が2.50以上の化合物を固定化してなるものであることが好ましい。
logP値が2.50以上の化合物としては、トリプトファン誘導体、ポリアニオン性化合物等が挙げられ、トリプトファン誘導体及びポリアニオン性化合物が多孔質担体に固定されていることが好ましい。
logP値とは、化合物の疎水性のパラメータであり、代表的なオクタノール−水系での分配係数Pは以下のように求められる。まず、化合物をオクタノール(又は水)に溶解し、これに等量の水(又はオクタノール)を加え、グリッフィン・フラスク・シェイカー(Griffin flask shaker)(グリッフィン・アンド・ジョージ・リミテッド(Griffin & George Ltd.)製)で30分間振盪する。そののち2000rpmで1〜2時間遠心分離し、オクタノール層及び水層中の化合物の各濃度を分光学的又はGLCなどの種々の方法で測定する。これらの値を次式に代入することにより、Pが求められる。
P=Coct/Cw(Coct:オクタノール層中の化合物濃度、Cw:水層中の化合物濃度)
これまでに多くの研究者らにより種々の化合物のlogP値が実測されているが、それらの実測値はシー・ハンシュ(C.Hansch)らによって整理されている(「パーティション・コーフィシエンツ・アンド・ゼア・ユージズ;ケミカル・レビューズ(PARTITION COEFFICIENTS AND THEIR USES;Chemical Reviews)、71巻、525頁、1971年」参照)。
また実測値の知られていない化合物についてはアール・エフ・レッカー(R.F.Rekker)がその著書「ザ・ハイドロフォビック・フラグメンタル・コンスタント(THE HYDROPHOBIC FRAGMENTAL CONSTANT)」,エルセビア・サイエンティフィック・パブリッシング・カンパニー・アムステルダム(Elsevier Sci.Pub.Com.,Amsterdam)(1977)中に示している疎水性フラグメント定数fを用いて計算した値(Σf)が参考となる。疎水性フラグメント定数は数多くのlogP実測値をもとに、統計学的処理を行い決定された種々のフラグメントの疎水性を示す値であり、化合物を構成するおのおののフラグメントのf値の和はlogP値とほぼ一致すると報告されている。
(実施の形態)
図2(a)の縦断面図に示すように、本発明の実施の形態1に係る細胞分離フィルタの容器1は、蓋固定部材2、蓋部材3、ボディ部材4、封止材5の4つの部材からなる。
また、容器1内は、ボディ部材4側面の側壁部7と、第1壁部8A、蓋部材3の第2壁部8Bによって細胞分離材を充填するための空間6が形成され、前記細胞分離材が収容される。なお、図面を見やすくするために前記細胞分離材の図示を省略している。
ボディ部材4には中央部に第1通液口9Aが、蓋部材3にも同様に中央部に第2通液口9Bが配置されている。
図4(a)に細胞分離材と接する面から見た蓋部材3の平面図を示す。図4(a)に示されるように、蓋部材3には、細胞分離材と接する面に第2放射状突起部10Bが中心から放射状に等間隔で配置され、さらに、第2環状突起部12Bが、ボディ部材の側壁部7よりも内側に配置される形で第2放射状突起部10Bを囲むように環状に形成されている。
図4(b)に細胞分離材と接する面から見たボディ部材4の平面図を示す。図4(b)に示されるように、ボディ部材4も同様に細胞分離材と接する面に第1放射状突起部10Aが中心から放射状に等間隔で配置され、さらに、第1環状突起部12Aが、側壁部7よりも内側寄せられた形で第1放射状突起部10Aを囲むように環状に形成されている。これらの第1放射状突起部10Aと第1環状突起部12Aが第2放射状突起部10Bと第2環状突起部12Bと共に細胞分離材を挟み込んで圧縮し、細胞分離フィルタとして機能を発揮する。
図2に示すようにボディ部材4の側壁部7と第1環状突起部12Aの間には、第1溝部11Aが、ボディ部材4の側壁部7と第2環状突起部12Bの間には、第2溝部11Bが形成されている。本実施の形態1においては、第1溝部11Aの溝の深さは、第1放射状突起部10Aの高さよりも深くなっており、ボディ部材4の下面から下の方向に膨らんだ形状の第1U字形状部13Aを形成している。第1U字形状部13Aと第1溝部11Aによって、回収液通液時の圧力付加時において第1溝部11Aへ応力を分散する事で応力集中を防ぎ、さらに、細胞回収率低下につながるカラムの変形を低減することが可能となっている。
第2溝部11Bも同様のU字形状となってもよいし、第1溝部11Aおよび第2溝部11Bの形状はU字形状に限定されるものではなく、図3(a)、図3(b)に示すようにC字形状であってもよい。
ここで、U字形状とは、溝部11の側壁部7側の曲面の曲率をκouter、環状突起部12側の曲面の曲率をκinnerとした場合に、溝部11のκouterとκinnerが等しいものをいい、C字形状とは、溝部11のκouterとκinnerが異なるものをいう。いずれもボディ部材4の下面から下の方向に膨らんだ形状を有している。
前記第1溝部11Aの幅をR1、前記第1溝部11Aの形状の曲率をκ1、前記第2溝部11Bの幅をR2、前記第2溝部11Bの形状の曲率をκ2とした場合に、κ1≧2/(R1)かつκ2≧2/(R2)とすることが望ましい。
図5(a)に第1溝部11Aを拡大した図を示す。第1溝部11Aの側壁部7側の曲面の曲率をκ1_outer、第1環状突起部12A側の曲面の曲率をκ1_innerとする時に、κ1_inner>κ1_outerとすることが望ましく、κ1_inner1_outer = 6:5とすることが更に望ましい。同様に、第2溝部11Bの側壁部7側の曲面の曲率をκ2_outer、第2環状突起部12B側の曲面の曲率をκ2_innerとする時に、κ2_inner>κ2_outerとすることが望ましく、κ2_inner2_outer = 6:5とすることが更に望ましい。
<細胞濃縮液の製造方法>
本発明の細胞濃縮液の製造方法は、前記細胞分離フィルタの第1通液口9A又は第2通液口9Bから細胞含有液を導入し、細胞分離材と接触させる接触工程、及び細胞分離フィルタの第1通液口9A又は第2通液口9Bから細胞濃縮液を回収する回収工程、を有する。
細胞含有液とは、末梢血、骨髄、臍帯血、月経血、組織抽出物等の有核細胞を含有する体液、あるいはこれらの体液を生理食塩液、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等の2価カチオンを含むリンゲル液、細胞培養に使用するRPMI、MEM、IMEM、DMEM等の培地、PBS等のリン酸緩衝液で希釈したもの、あるいは体液から細胞を粗分離したものであっても構わない。また動物種も、哺乳動物であれば特に限定されず、例えばヒト、ウシ、マウス、ラット、ブタ、サル、イヌ、ネコ等が挙げられる。細胞含有液が抗凝固剤を含有する場合も、抗凝固剤の種類は限定されず、例えばヘパリン、低分子ヘパリン、フサン(メチル酸ナフォモスタット)、EDTA、ACD(acid-citrate-dextrose)液、CPD(citrate-phosphate-dextrose)液等のクエン酸抗凝固が挙げられる。使用する目的に影響がなければ、保存条件も限定されない。
有核細胞とは、核を含有する細胞であれば特に限定されず、例えば、単核球、白血球、顆粒球、好中球、好酸球、好塩基球、赤芽球、骨髄芽球、前骨髄球、骨髄球、後骨髄球、リンパ球、単球、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞、NK/T細胞、樹状細胞、多核巨細胞、上皮細胞、内皮細胞、間葉系細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、ES細胞、iPS細胞及び幹細胞等が挙げられる。
細胞濃縮液とは、有核細胞を含有する液体であって、前記細胞含有液と比較して液体中における有核細胞数が多い、又は細胞密度が高い液体をいう。なお、幹細胞とは、体液中から分離され、多分化能及び自己複製能を有する細胞をいう。
間葉系幹細胞は、分化誘導因子の添加により骨芽細胞、軟骨細胞、血管内皮細胞、心筋細胞、あるいは、脂肪、歯周組織構成細胞であるセメント芽細胞、歯周靱帯繊維芽細胞等へ分化する細胞である。また、造血幹細胞は、白血球、リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球、顆粒球、単球、マクロファージ、赤血球、血小板、巨核球、樹状細胞等の血球系細胞を分化する細胞である。
本発明における細胞分離フィルタから細胞濃縮液を回収する工程は、フィルタを通過して得られる有核細胞を多く含有する液体を回収する工程であり、細胞分離フィルタの性質に応じて、細胞濃縮液を回収できればよい。
フィルタ内に充填された細胞分離材が、除去目的とする細胞や夾雑物と親和性を持つ場合は、フィルタの流入口から細胞含有液を導入し、細胞分離材と細胞含有液を接触させる接触工程の後、流出口から細胞濃縮液を回収することができる。フィルタの流出口から細胞濃縮液を回収する際に、回収液をフィルタの流入口から導入して細胞濃縮液を流出口から回収することが好ましい。除去目的の細胞としては、例えば顆粒球、単球、血小板、Bリンパ球、特定のサブクラスを有するリンパ球等が挙げられる。具体的には、顆粒球をフィルタに捕捉して除去し、単核球含有分画を回収する方法が挙げられる。
フィルタ内に充填された細胞分離材が、回収目的とする有核細胞と親和性を持つ場合は、フィルタの流入口から細胞含有液を導入して、除去目的とする細胞や夾雑物を流出口より流出させた後、流入口から細胞濃縮液を回収することができる。フィルタの流入口から細胞濃縮液を回収する際に、回収液をフィルタの流出口から導入し細胞濃縮液を流入口から回収することが好ましい。除去目的の細胞としては、例えば赤血球、Tリンパ球、特定のサブクラスを有するリンパ球等が挙げられる。具体的には、不要な細胞を通過させ、フィルタに捕捉された幹細胞を回収する方法が挙げられる。
また、回収液をフィルタの流出口から導入して細胞濃縮液を回収する場合には、回収の前に、洗浄液をフィルタの流入口から導入することで、より効率的に、除去目的とする細胞や夾雑物を流出口より流出させることができる。洗浄液は除去目的とする細胞や夾雑物のみを洗い流すことができれば特に限定されず、例えば生理食塩水、リンゲル液、細胞培養に用いる培地、リン酸緩衝液等の一般的な緩衝液、あるいはこれら溶液に血清やタンパク質を添加した溶液が挙げられる。
回収液は、フィルタ内に捕捉された有核細胞、あるいはフィルタ内に残留する単核球を回収する目的で好適に使用される。回収液は特に限定されず、例えば生理食塩水の他、マグネシクムイオンやカルシウムイオン等の2価カチオン、糖類、血清、蛋白質を含む液体、緩衝液、培地、血漿やそれらを含む液体等が挙げられる。フィルタに捕捉された有核細胞の回収率を上げるために、回収液の粘張度を上げても良い。粘張度を上げるために回収液に添加する物質は特に限定されず、例えばアルブミン、フィブリノーゲン、グロブリン、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、ヒドロキシルセルロース、コラーゲン、ヒアルロン酸、ゼラチン等が挙げられる。
細胞含有液及び回収液を通液する速度及びその方法は特に制限されず、例えば重力を利用して通液する方法、ローラークレンメやシリンジポンプを用いて流速を一定にしながら通液する方法、高い圧力をかけて一気に通液する方法等が挙げられる。フィルタ内に捕捉された有核細胞を回収する目的には、有核細胞回収効率の点から、回収液を高い圧力をかけて一気に通液する方法が好ましい。シリンジを用いて手動もしくは、ポンプを用いて90mL/min以上での流速で通液する方法が、より多くの有核細胞を回収することができる点で好ましい。
本発明の細胞分離フィルタを用いて閉鎖的に細胞を分離する回路の例を図6に示す。
図6に記載の回路は、細胞含有液を収容する容器16は通液口を備え、通液可能な配管24を通して三方活栓21に接続されている。同様に、プライミング用の液体を収容する容器17も通液口を備え、通液可能な配管25を通して三方活栓21と接続している。三方活栓21と三方活栓22は通液可能な配管26で接続されている。細胞濃縮液を収容する容器18は通液口を備え、通液可能な配管27を通して三方活栓22と接続している。本発明の細胞分離フィルタについては、流入口が三方活栓22と接続した配管28と、流出口が配管29と接続している。細胞回収液を収納する容器19は通液口を備え、通液可能な配管30を通して三方活栓23と接続している。同様に、細胞分離フィルタを通過したプライミング用の液体および細胞含有液を収容する容器20は通液口を備え、通液可能な配管31を通して、三方活栓23と接続している。
図6に記載の回路を用いた具体的な細胞濃縮液の製造手順は次の通りである。
まず初めに、細胞分離フィルタ内のエアーを除去する目的、細胞捕捉効率を向上する目的、及び血液流路を確保する目的でプライミングを行う為に、容器17に収納されているプライミング用の液体を、細胞分離フィルタを通過させて、容器20へと流す。この時、三方活栓21は配管25と配管26を導通し、配管24への流れを遮断している。三方活栓22は配管26および配管28と細胞分離フィルタを導通し、配管27への流れを遮断している。さらに三方活栓23は、細胞分離フィルタと配管29および配管31を導通し、配管30への流れを遮断している。
次に、細胞含有液を細胞分離フィルタ内の細胞分離材に接触させるために、容器16に収容されている細胞含有液を、細胞分離フィルタに通過させて、容器20へと流す。この時、三方活栓21は配管24と配管26を導通し、配管25への流れを遮断している。三方活栓22は配管28と配管26を導通し、配管27への流れを遮断している。さらに三方活栓23は、細胞分離フィルタと配管29および配管31を導通し、配管30への流れを遮断している。
最後に、細胞濃縮液を回収するために、容器19に収容されている細胞回収液を細胞分離フィルタに通過させて、容器18へと流す。この時、三方活栓23は配管30と配管29を導通し、配管31への流れを遮断している。さらに三方活栓22は、細胞分離フィルタと配管28および配管27を導通し、配管26への流れを遮断している。
回路は、液の流れを制御するために、三方活栓、ローラークレンメ、クランプ等を備えていることが好ましい。
細胞分離フィルタに細胞含有液を導入し細胞分離材と接触させる接触工程を、細胞分離フィルタの切り換え機構によりクロスフロー方式にした状態で行うことにより、細胞含有液の流れが、細胞分離材表面への粒子の堆積や目詰まりによる流動抵抗の上昇を緩やかにし、細胞分離材の全面を使って大量の細胞含有液を濾過できる。
<構造解析>
発明者らは、U字形状部およびC字形状部を有さない細胞分離フィルタ容器と、上述した実施の形態1に係る図2に示す細胞分離フィルタ容器に対して、構造解析を実施した。構造解析はアンシス・ジャパン株式会社が提供する構造解析ソフトウェア
ANSYS Structural 15.0(http://www.ansys.com/ja-JP/Products/structures)を用いて行った。
フィルタ内の細胞分離材が血液中の血球などの凝集塊による細胞分離材の細孔の閉塞により、目詰まりを起こして通血が完全に止まってしまうことを完全閉塞と呼ぶ。以下に示す解析において、完全閉塞の際に回収液を通液する場合の条件として、細胞分離フィルタ容器内部全体に0.80MPaの圧力を負荷した。この0.80MPaという数値は、実験で完全閉塞が起こった際に得られた圧力データを基にしている。更に、不織布の反発力を容器の第1放射状突起部10Aおよび第2放射状突起部10Bと第1環状突起部12Aおよび第2環状突起部12Bに0.30MPa、接触面に対して鉛直方向に付加している。この0.30MPaという数値も、実験により得られたデータを用いている。
材料に関しては、ポリカーボネートを想定し、材料の機械的物性値として、密度1.20(kg/m3)、ヤング率2,134(MPa)、ポアソン比0.38、引張降伏強さ62.0(MPa)、引張極限強さ70.5(MPa)として解析を実施した。
図7に比較検討のために、U字形状部およびC字形状部を有さない細胞分離フィルタ容器に完全閉塞時の0.80MPaと不織布の反発力0.30MPaを負荷した際の応力分布を示す。図7に示す解析モデルを(1)とする。
図8に、前記実施の形態1の細胞分離フィルタ容器に完全閉塞時の0.80MPaと不織布の反発力0.30MPaを負荷した際の応力分布を示す。図8に示す解析モデルを(2)とする。
表1に、解析モデル(1)、解析モデル(2)の最大相当応力の最大値を示す。解析モデル(2)は、U字形状部を有する事で、解析モデル(1)で見られた溝部の応力が分散し、最大相当応力値が低減した。
1 細胞分離フィルタ容器
2 蓋固定部材
3 蓋部材
4 ボディ部材
5 封止材
6 細胞分離材を充填するための空間
7 側壁部
8A 第1壁部
8B 第2壁部
9A 第1通液口
9B 第2通液口
10A 第1放射状突起部
10B 第2放射状突起部
11A 第1溝部
11B 第2溝部
12A 第1環状突起部
12B 第2環状突起部
13A U字形状部、C字形状部
15A 角ネジオス
15B 角ネジメス
16 容器
17 容器
18 容器
19 容器
20 容器
21 三方活栓
22 三方活栓
23 三方活栓
24 配管
25 配管
26 配管
27 配管
28 配管
29 配管
30 配管
31 配管

Claims (12)

  1. 細胞分離材を充填するための空間を形成する側壁部と、
    前記側壁部の一端側において前記空間を閉鎖する第1壁部と、
    前記側壁部の他端側において前記空間を閉鎖する第2壁部と、を備え、
    前記第1壁部には、液体を導入又は導出するための第1通液口が形成されており、前記第2壁部には、液体を導入又は導出するための第2通液口が形成されており、
    第1壁部の端部と側壁部の端部が、U字もしくはC字形状部を介して繋がっている細胞分離フィルタ容器。
  2. 前記第1壁部の内面には、前記空間に前記細胞分離材が充填されたときに、前記第2壁部と協働して前記細胞分離材を挟み込んで圧縮するように、前記内面から前記空間に向けて突出する複数の第1放射状突起部が形成されている、請求項1に記載の細胞分離フィルタ容器。
  3. 第1放射状突起部を囲むように第1環状突起部が形成されており、第1環状突起部は側壁部とともに環状の第1溝部を形成し、第1環状突起部は側壁部の内面よりも内側に配置されている、請求項1または請求項2に記載の細胞分離フィルタ容器。
  4. 前記第2壁部の内面には、前記空間に前記細胞分離材が充填されたときに、前記第1壁部と協働して前記細胞分離材を挟み込んで圧縮するように、前記内面から前記空間に向けて突出する複数の第2放射状突起部が形成され、
    前記側壁部とともに環状の第2溝部を形成するように、前記側壁部の内面よりも内側に配置され、かつ第2放射状突起部を囲むように第2環状突起部が形成されている、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の細胞分離フィルタ容器。
  5. 前記側壁部と前記第1壁部とが一体的に形成されている、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の細胞分離フィルタ容器。
  6. 前記第1溝部が、前記U字もしくはC字形状部に形成されることを特徴とする、
    請求項1〜請求項5のいずれかに記載の細胞分離フィルタ容器。
  7. 前記第1溝部の幅をR1、前記第1溝部の形状の曲率をκ1、前記第2溝部の幅をR2、前記第2溝部の形状の曲率をκ2とした場合に、以下の関係式を満たすことを特徴とする、
    請求項1〜請求項6に記載の細胞分離フィルタ容器。

    κ1≧2/(R1) かつ κ2≧2/(R2)
  8. 前記曲率κ1が、前期側壁部側κ1_outerと前期第1環状突起部側κ1_innerとで異なり、前記曲率κ2が、前期側壁部側κ2_outerと前期第2突起部側κ2_innerとで異なり、以下の関係式を満たすことを特徴とする、
    請求項1〜請求項7に記載の細胞分離フィルタ容器。

    κ1_inner > κ1_outer かつ/または κ2_inner > κ2_outer
  9. 前記曲率κ1_innerとκ1_outerおよび/またはκ2_innerとκ2_outerが以下の関係式を満たすことを特徴とする、
    請求項1〜請求項8に記載の細胞分離フィルタ容器。

    κ1_inner:κ1_outer 6:5 かつ/または κ2_inner:κ2_outer 6:5
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の細胞分離フィルタ容器と、
    前記細胞分離フィルタ容器の空間に充填された細胞分離材と、
    を備える細胞分離フィルタ。
  11. 前記細胞分離材が不織布または多孔質セルロース粒子である請求項10に記載の細胞分離フィルタ。
  12. 請求項10または請求項11に記載の細胞分離フィルタの前記第一通液口又は前記第二通液口から細胞含有液を導入し吸着材と接触させる接触工程、及び前記細胞分離フィルタの前記第一通液口又は前記第二通液口から細胞濃縮液を回収する回収工程、を有する細胞濃縮液の製造方法。
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