JP2018186813A - 単球を含む細胞含有液の取得方法 - Google Patents

単球を含む細胞含有液の取得方法 Download PDF

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敬太 山下
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Abstract

【課題】単球を含む粗細胞含有液をフィルター部材に供給して、単球をフィルター部材に捕捉させ、捕捉された単球をフィルター部材から回収する方法であって、高い回収効率で単球を回収できる、単球を含む細胞含有液の取得方法を提供すること。【解決手段】フィルター部材を収容する細胞分離用フィルター装置に、単球を含む粗細胞含有液を供給して、フィルター部材に単球を捕捉させた後に、細胞分離用フィルター装置内に、フィルター部材両面での圧力差である差圧が20kPa以上200kPa以下の範囲内であるように、回収液を供給して、単球を含む細胞含有液を取得する。【選択図】図2

Description

本発明は、単球を含む細胞含有液の取得方法に関する。
近年、血液学や科学テクノロジーの急速な進歩に伴い、全血・骨髄・臍帯血・組織抽出物をはじめとする体液から必要な血液分画のみを分離して患者に投与することで治療効果を高め、さらに、治療に必要のない分画は投与しないことで副作用を抑制するという治療スタイルが広く普及している。
例えば、血液輸血もその1つである。赤血球製剤は、出血又は赤血球が不足する場合、又は赤血球の機能低下により酸素が欠乏している場合に使用される血液製剤である。赤血球製剤には、異常な免疫反応や移植片対宿主病(GVHD)等の副作用を誘導する白血球は不要であり、フィルターで白血球を除去する必要がある。場合によっては白血球に加えて血小板も除去することもある。
一方、血小板製剤は、血液凝固因子の欠乏による出血ないし出血傾向にある患者に使用される血液製剤である。血小板製剤の製造のためには、遠心分離により、血小板以外の不要な細胞や成分は除去され、必要とされる血小板成分のみが採取されている。
加えて近年、白血病に向けた造血幹細胞移植が盛んに行われるようになり、治療に必要な、造血幹細胞を含む白血球群を分離し投与する方法がとられている。この造血幹細胞のソースとして、ドナーの負担が少ない、増殖能力が優れている、等の利点から、骨髄や末梢血に加えて臍帯血も注目を浴びている。また近年、月経血中にも幹細胞が豊富に存在することが示唆され、これまで廃棄されていた月経血も貴重な幹細胞ソースとして利用される可能性がある。
また固形癌の治療に対しては樹状細胞療法が盛んに行われており、患者の血液や細胞培養液から治療のもととなる単球を含む細胞群を分離するケースがある。
細胞分離方法として、最近では、赤血球と血小板は捕捉されず白血球のみを捕捉するフィルター材料を用いて白血球を回収する方法も報告されている(特許文献1、特許文献2、及び特許文献3を参照)。従来は遠心分離又は比重液を使用した密度勾配遠心法によって分離操作を行っていたが、フィルターを用いることで操作の簡略化や大型のセルプロセッシング施設が必要ない等の利点がある。
しかしながら、特許文献1〜3等に記載の白血球の回収方法を、単球の回収に適用してみても、十分に高い回収率で単球を回収しにくい問題がある。
特表2001−518792号公報 国際公開第98/32840号 特開平10−313855号公報
上記のような事情に鑑み、本発明は、内部にフィルター部材を収容する細胞分離用フィルター装置を用いることにより、高い回収効率で単球を回収できる、単球を含む細胞含有液の取得方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、フィルター部材を収容する細胞分離用フィルター装置に、単球を含む粗細胞含有液を供給して、フィルター部材に単球を捕捉させた後に、細胞分離用フィルター装置内に、フィルター部材両面での圧力差である差圧が20kPa以上200kPa以下の範囲内であるように、回収液を供給して、単球を含む細胞含有液を取得することにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕単球を含む細胞含有液の取得方法であって、
単球を含む粗細胞含有液をフィルター部材の第1面から第2面に通液して、単球をフィルター部材に捕捉させることと、
フィルター部材の第2面から第1面に回収液を通液して、フィルター部材に捕捉された単球を回収液中に遊離させて細胞含有液を生じさせることと、
細胞含有液を回収することと、
を含み、
フィルター部材の第1面と第2面とでの差圧が20kPa以上200kPa以下である条件で、回収液のフィルター部材への供給と、細胞含有液の回収とが行われる方法。
〔2〕粗細胞含有液を、フィルター部材をその内部に収容する細胞分離用フィルター装置を通過させることで、フィルター部材に単球を捕捉させ、
細胞分離用フィルター装置が、液体導入口と、液体導出口とを備え、
細胞分離用フィルター装置内において、液体導入口と、液体導出口との間にフィルター部材が収容され、
粗細胞含有液が、液体導入口から液体導出口に向けて、細胞分離用フィルター装置内を通過し、
回収液が、液体導出口から細胞分離用フィルター装置内に供給され、
細胞含有液が、液体導入口から回収される、〔1〕に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
〔3〕回収液の供給と、細胞含有液の回収とを行う際に、フィルター部材の液体導出口側の面での圧力が、フィルター部材の液体導入口側の面での圧力よりも高い、〔1〕又は〔2〕に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
〔4〕回収液を、細胞分離用フィルター装置内に供給する際の流速が、5mL/秒以上30mL/秒以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
〔5〕細胞分離用フィルター装置の容量が、4mL以上50mL以下である〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
〔6〕フィルター部材のろ過面の面積が、4cm以上100cm以下である請求項〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
〔7〕単球を含む粗細胞含有液が、血液及び/又は骨髄液である〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
〔8〕フィルター部材の通気度(cc/cm・sec)と、厚み(mm)との積である通気度係数Mの値が、7以上14以下である、〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
〔9〕フィルター部材が繊維で構成される織布又は不織布であり、フィルター部材を構成する繊維の繊維径が、2μm以上6μm以下である、〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
〔10〕フィルター部材の圧縮されていない状態での充填密度が、0.05g/cm以上0.17g/cm以下である、〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
〔11〕フィルター部材の目付けが、20g/m以上80g/m以下である、〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
本発明によれば、単球を含む粗細胞含有液をフィルター部材に供給して、単球をフィルター部材に捕捉させ、捕捉された単球をフィルター部材から回収する方法であって、高い回収効率で単球を回収できる、単球を含む細胞含有液の取得方法を提供することができる。
細胞分離用フィルター装置の1例の概略を示す図である。 フィルター部材を収容した状態の細胞分離用フィルター装置の1例についての断面を示す図である。 実施例及び比較例で用いた細胞分離用デバイスの回路の概略を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
≪単球を含む細胞含有液の取得方法≫
単球を含む細胞含有液の取得方法は、
単球を含む粗細胞含有液をフィルター部材の第1面から第2面に通液して、単球をフィルター部材に捕捉させることと、
フィルター部材の第2面から第1面に回収液を通液して、フィルター部材に捕捉された単球を回収液中に遊離させて細胞含有液を生じさせることと、
細胞含有液を回収することと、
を含む。
また、回収液のフィルター部材への供給と、細胞含有液の回収とは、フィルター部材の第1面と第2面とでの差圧が20kPa以上200kPa以下である条件で行われる。
なお、本願明細書において、単球を含む液のうち、フィルター部材によって処理される液を「粗細胞含有液」と記し、フィルター部材による処理後に回収される液を「細胞含有液」と記す。
単球を含む細胞含有液を取得するために使用される装置は、フィルター部材を用いて、上記の所定の操作を行うことが出来れば特に限定されない。通常、フィルター部材をその内部に収容する細胞分離用フィルター装置を用いて、細胞含有液の取得が行われる。
細胞含有液の取得に用いられる好ましい細胞分離用フィルター装置は、液体導入口と、液体導出口とを備える。また、細胞分離用フィルター装置内において、液体導入口と、液体導出口との間にフィルター部材が収容される。
以下、上記の好ましい細胞分離用フィルター装置を用いる、細胞含有液の取得方法について説明する。
上記方法により単球を含む細胞含有液を取得する際には、粗細胞含有液をフィルター部材の第1面から第2面に通液して、単球をフィルター部材に捕捉させる。ここで、第1面と第2面とは、互いに表裏の関係にある。また、第1面は、粗細胞含有液を導入させる液体導入口側の面であり、第2面は液体導出口側の面である。
具体的には、粗細胞含有液は、液体導入口から液体導出口に向けて、細胞分離用フィルター装置内を通過するように、細胞分離用フィルター装置内に供給される。
また、フィルター部材の第2面から第1面に向けて回収液を通液する。具体的には、液体導出口から細胞分離用フィルター装置内に回収液が供給される。
回収液の供給により生じた、単球を含む細胞含有液は、液体導入口から回収される。
上記方法における、回収液の供給と、細胞含有液の回収とは、フィルター部材の両面(第1面と第2面と)での差圧が20kPa以上200kPa以下である条件で行われる。
このような条件下で細胞含有液を生じさせることで、単球を含む細胞含有液を取得する際の単球の回収率を高めることができる。
理由は定かではないが、上記の条件で回収液の供給と、細胞含有液の回収とを行うことによって、よりカラム内の圧力変化が小さくなる。つまり外部刺激がより少ない環境となり、フィルター部材に捕捉された物理強度面で脆い単球の破壊を抑制しつつ、単球を回収液中に遊離させることができ、その結果、単球の回収率が向上していると考えられる。
以下、単球を含む粗細胞含有液を、フィルター部材をその内部に収容する細胞分離用フィルター装置に通過させることで、単球をフィルター部材に捕捉させることを、「単球捕捉」とも記す。
また、細胞分離用フィルター装置内に回収液を供給することで、フィルター部材に捕捉された単球を回収液中に遊離させて細胞含有液を生じさせることを、「細胞含有液生成」とも記す。
さらに、細胞含有液を細胞分離用フィルター装置内から回収することを、「細胞含有液回収」とも記す。
以下、単球を含む細胞含有液の取得方法が備える各工程について説明する。
<単球捕捉>
単球捕捉では、単球を含む粗細胞含有液を、フィルター部材をその内部に収容する細胞分離用フィルター装置に通過させることで、単球をフィルター部材に捕捉させる。
細胞分離用フィルター装置は、液体導入口と、液体導出口とを備え、液体導入口と、液体導出口との間にフィルター部材を収容できるものであれば特に限定されない。
〔細胞分離用フィルター装置〕
以下、細胞分離用フィルター装置の好ましい一例について、図1、図2(a)、及び図2(b)を用いて説明する。
細胞分離用フィルター装置1は、細胞分離用フィルター容器2と、フィルター部材11とを備える。
細胞分離用フィルター容器2は、液体導入口9と、液体導出口10と、フィルター部材収容部3とを有する。
以下、細胞分離用フィルター容器について、単に「容器」とも記す。
かかる細胞分離用フィルター容器2内に、不織布等からなるフィルター部材11を収容することにより、細胞分離用フィルター装置1が構成される。細胞分離用フィルター容器2内に収容されたフィルター部材11において、液体導入口9側の面が第1面であり、液体導出口10側の面が第2面である。
以下、細胞分離用フィルター装置について単に「フィルター装置」とも記す。
上記の細胞分離用フィルター容器2の構成について以下説明する。
(細胞分離用フィルター容器)
例えば、図1、2(a)、2(b)に示される、容器2の好ましい態様では、円筒形状の容器2が、円筒状の収容部3と、その上部及び下部にある開口部に蓋をすることができるノズル付内蓋4、5と、収容部3とノズル付内蓋4、5とを固定するための環状外蓋6、7とで構成される。
フィルター部材収容部3は、両端に開口を有する筒状の部材である。フィルター部材収容部3は、後述するフィルター部材11を収容する。
以下、フィルター部材収容部3について、収容部3とも記す。
収容部3の形状は、両端に開口を有する筒状である。筒状について、径方向の断面の形状は円形であっても、多角形のような円形以外の形状であってもよい。
収容部3の形状の好ましい具体例としては、例えば、容量約0.1mL以上400mL以下程度、内径0.1cm以上15cm以下程度、厚さ0.1cm以上5cm以下程度の円筒状や、底面に当たる両端の形状が一片の長さ0.1cm以上20cm以下程度の正方形又は長方形で、厚さが0.1cm以上5cm以下程度の四角柱状等が挙げられる。
良好な回収率で単球を回収しやすい点からは、細胞分離用フィルター装置1の容量は4mL以上50mL以下が好ましく、10mL以上25mL以下がより好ましい。
なお、細胞分離用フィルター装置1の容量は、筒状の収容部3と、筒状の収容部の両端を封鎖する二つの面とで囲まれる空間の容量である。図1、図2(a)、及び図2(b)に示される細胞分離用フィルター装置1では、細胞分離フィルター装置1の容量は、液体導入口9を含むノズル付き内蓋4と、液体導出口10を含むノズル付き内蓋5と、収容部3とで囲まれる内部空間の容量である。
また、同じく、良好な回収率で単球を回収しやすい点からは、収容部3に収容されたフィルター部材11のろ過面の面積が、4cm以上100cm以下であるのが好ましく、12cm以上35cm以下であるのがより好ましい。
ノズル付内蓋4、5には、容器2内部に液体を導入するための液体導入口9と、容器2から液体を排出するための液体導出口10とがそれぞれ設けられている。
液体導入口9及び液体導出口10は液体を送液するためのチューブを接続しやすくするために、ノズルで構成されている。前記ノズルの形状や大きさについては特に限定はない。
なお、便宜上、液体導入口9、液体導出口10と称するが、フィルター装置1の使用時には、液体導入口9から液体が排出されてもよく、液体導出口10から液体が導入されてもよい。
ノズル付内蓋4、5は栓型になっており、収容部3の内腔に押し込むことで、収容部3の内面と接して固定される。
ノズル付内蓋4、5と収容部3との接触面にはシール8が設けられるのが好ましい。このシール8により、ノズル付内蓋4、5と収容部3との気密性を確実にして外部からの微生物等の侵入を防ぐことができる。シール8としては、例えば、図2(b)に示すように、ノズル付内蓋4、5の表面に設けた溝の周囲に樹脂製のパッキン(Oリング)を設けることが挙げられるが、シール8の配置や構成については特に限定はない。
ノズル付き内蓋4、5は、収容部3に直接固定できるようにしてもよい(図示せず)。ノズル付き内蓋と収容部とが接触する面に、例えば、ネジを設けることでノズル付き内蓋と収容部とを固定することができる。この場合、図2(b)に示す環状外蓋6、7は不要となる。
また、ノズル付き内蓋4は、フィルター装置1に取り付けた場合にフィルター部材11と対向する面に、1つ又は複数の第1突起12aを備えていてもよい。第1突起12aは、ノズル付き内蓋4において、収容部3の内壁面近傍に設けられた第1環状支持体12bにより支持されるのが好ましい。
ノズル付き内蓋5も、ノズル付き内蓋4と同様に、第2突起13aと、第2環状支持体13bとを備えていてもよい。
ノズル付き内蓋4,5が、それぞれ、第1突起12a、第1環状支持体12b、及び第2突起13a、及び第2環状支持体13bを備える場合、収容部3内で、フィルター部材11が、第1突起12a、第1環状支持体12bと第2突起13a、第2環状支持体13bとで挟み込まれてしっかりと支持される。これによって、収容部3内で、フィルター部材11が弛んだ箇所を、粗細胞含有液、回収液、細胞含有液等がショートパスすることを防ぎつつ、細胞含有液を取得する操作を行うことができる。
容器2内では、フィルター部材11として前記細胞分離材が積層されて充填される。例えば、繊維径の異なる細胞分離材を2層以上積層したフィルターとすることにより、細胞を捕捉する箇所が分散され、目詰まりの発生が抑制されるとともに、フィルターからの細胞の分離・回収も効率的に行うことができる。なお、繊維径が同じ細胞分離材が連続して積層された部分は、積層された細胞分離材の枚数によらず1層として扱う。
また、容器2には、液体導入口9側に独立して細胞分離材内に留まっている非付着細胞を洗浄するための洗浄液導入口を設けたり(図示せず)、液体導出口10側に独立して細胞分離材に捕捉された細胞を回収するための細胞回収液導入口(細胞含有液及び洗浄液の流れとは逆方向から細胞回収液を流すため)を備えていたりしてもよい(図示せず)。
容器2は、任意の構造材料を使用して作製することができる。構造材料としては、具体的には非反応性ポリマー、生体親和性金属、合金、ガラス等が挙げられる。非反応性ポリマーとしては、アクリロニトリルブタジエンスチレンターポリマー(ABS)等のアクリルニトリルポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ポリマー;ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリドアクリルコポリマー、ポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。容器の材料として有用な金属材料(生体親和性金属、合金)としては、ステンレス鋼、チタン、白金、タンタル、金、及びそれらの合金、並びに金メッキ合金鉄、白金メッキ合金鉄、コバルトクロミウム合金、窒化チタン被覆ステンレス鋼等が挙げられる。特に好ましくは、耐滅菌製を有する素材であるが、具体的には、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。
(フィルター部材)
フィルター部材11の形態は、特に限定されず、連通孔構造の多孔質体、繊維の集合体、織物等が挙げられる。好ましくは繊維で構成される織布又は不織布であり、より好ましくは不織布である。
フィルター部材11の材質としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレン等)、ポリエステル、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、レーヨン、ビニロン、ポリスチレン、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリレート等)、ナイロン(例えば、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド(アラミド))、ポリウレタン、ポリイミド、キュプラ、ケブラー、カーボン、フェノール樹脂、テトロン、パルプ、麻、セルロース、ケナフ、キチン、キトサン、ガラス、綿等を挙げることができる。中でも、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、レーヨン、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の高分子を好適に用いることができる。フィルター部材11は、これらの材質のうち、単一の材質からなってもよいし、複数の材質を組み合わせた複合材からなってもよい。
フィルター部材11の平均繊維径としては、目的の細胞の種類に合わせて適宜選択すればよく特に限定はない。
フィルター部材11の性能をより向上させるために、フィルター部材11に親水化処理を行ってもよい。
親水化処理により、目的とする必要細胞以外の細胞における非特異的な捕捉の抑制、細胞含有液を偏り無くフィルター部材11中に通過させる性能の向上、必要細胞の回収効率向上等の効果が付与され得る。
親水化処理方法としては、
水溶性多価アルコール、又は水酸基やカチオン基、アニオン基を有するポリマー、あるいはその共重合体(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、あるいはその共重合体等)を吸着させる方法;
水溶性高分子(ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等)を吸着させる方法;
疎水性膜に親水性高分子を固定する方法(例えば、表面に親水性モノマーを化学的に結合させる方法等);
電子線照射する方法;
含水状態で細胞分離フィルターに放射線を照射することで親水性高分子を架橋不溶化する方法;
乾燥状態で熱処理することにより親水性高分子を不溶化し固定する方法;
疎水性膜の表面をスルホン化する方法;
親水性高分子と疎水性ポリマードープとの混合物から膜をつくる方法;
アルカリ(NaOH、KOH等)の水溶液による処理により膜表面に親水基を付与する方法;
疎水性多孔質膜をアルコールに浸漬した後、水溶性ポリマー水溶液で処理乾燥後、熱処理や放射線等で不溶化処理する方法;又は、
界面活性作用を有する物質を吸着させる方法等が挙げられる。
親水性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、多糖類(セルロース、キチン、キトサン等)、水溶性多価アルコール等が挙げられる。
疎水性ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、アクリル、ウレタン、ビニロン、ナイロン、ポリエステル等が挙げられる。
さらに回収目的とする細胞のフィルター部材への付着性を向上させるために、細胞付着性のタンパク質や、目的とする幹細胞上に発現されている特異的抗原に対する抗体を、フィルター部材上に固定化してもよい。細胞付着性のタンパク質としては、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、コラーゲン等が挙げられる。抗体としては、CD73、CD90、CD105、CD166、CD140a、CD271等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、固定化方法としては、例えば、一般的なタンパク質の固定化方法である、臭化シアン活性化法、酸アジド誘導体法、縮合試薬法、ジアゾ法、アルキル化法、架橋法等の方法を任意に用いることができる。
フィルター部材11の厚さは特に限定されない。フィルター部材11の厚さは、前述の第1突起12aと第1環状支持体12bと、第2突起13aと第2環状支持体13bとの間隔を考慮して適宜決定される。典型的には、フィルター部材11の厚さは、3mm以上20mm以下が好ましく、5mm以上10mm以下がより好ましい。
フィルター部材の開口径としては、通気度(cc/cm・sec)と厚み(mm)の積(通気度係数M)から定義することができる。範囲としては7以上14以下が好ましく、8以上12以下がより好ましく、9以上10.5以下が最も好ましい。
また、細胞に対するふるい効果の観点から、目付け(g/m)は20以上80以下が好ましく、25以上70以下がより好ましく、30以上50以下が特に好ましい。
フィルター部材11が繊維で構成される織布又は不織布である場合、単球回収率を高めやすい点からフィルター部材を構成する繊維の繊維径(μm)は2以上6以下の範囲内が好ましく、2以上5.5以下がより好ましく、2以上5以下がさらにより好ましく、2以上4.5以下が最も好ましい。繊維径(μm)の下限は、例えば、2.5以上、3以上、又は3.5以上であってもよい。
繊維径が上記の範囲内でもやや細めであるほうが、単球の回収率を高めやすい。繊維が細いことに起因して、繊維が細胞の形状に応じて変形しやすいと思われる。これにより、単球のフィルター部材11への捕捉と、単球のフィルター部材11からの遊離が容易である。
細胞含有液の回収時のフィルター部材11の目詰まりを抑制しつつ、良好な単球回収率を達成しやすい点から、フィルター部材11の充填密度(g/cm)は、0.05以上0.17以下が好ましく、0.055以上0.15以下がより好ましく、0.06以上0.14以下がさらにより好ましく、0.07以上0.125以下が特に好ましい。なお、充填密度は、フィルター部材11が圧縮されていない状態での密度である。
なお、上記の、通気度係数M、目付け、繊維径、及び充填密度のそれぞれについて、フィルター部材11が2種以上の異なるフィルター部材を積層して構成されている場合、2種以上の異なるフィルター部材の少なくとも1つにおいて、上記の範囲内であるのが好ましく、2種以上の異なるフィルター部材の全てにおいて、上記の範囲内であるのがより好ましい。
〔粗細胞含有液〕
粗細胞含有液としては、少なくとも単球と、単球よりも平均サイズが同等、もしくは小さな細胞とを含む細胞を含む懸濁液であれば特に限定されず用いることができる。かかる細胞の好適な具体例としては、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、リンパ球、赤血球、血小板等が挙げられる。例えば、臍帯等の生体組織を酵素処理や破砕処理や抽出処理や分解処理や超音波処理等をした後の懸濁液、血液や骨髄液、臍帯血、末梢血等の体液、血液や骨髄液を密度勾配遠心処理やろ過処理や酵素処理や分解処理や超音波処理等の前処理をして調製された細胞懸濁液等が粗細胞含有液として例示される。これらの中でも、粗細胞含有液としては、血液及び/又は骨髄液が好ましい。
また、粗細胞含有液は、上記した白血球等の細胞を生体外で培養液や刺激因子等を用いて培養や増殖等をした後の懸濁液であってもよい。
ここで、「粗細胞含有液」とは、細胞分離用フィルター装置1による細胞を取得する処理に供される細胞含有液を意味する。
〔フィルター部材での単球の捕捉〕
細胞分離用フィルター装置1の液体導入口9から粗細胞含有液を導入する際には、液体導入口9と液体導出口10との間に差圧を生じさせればよい。差圧を生じさせる方法は、特に限定されず、粗細胞含有液を加圧させたり、重力差を利用することで細胞分離用フィルター装置1内へ粗細胞含有液を導入させたりする方法や、液体導出口10側を減圧して、細胞分離用フィルター装置1内へ粗細胞含有液を吸入する方法等が挙げられる。
このようにして、細胞分離用フィルター装置1内に粗細胞含有液を供給し、粗細胞含有液をフィルター部材11と接触させて、単球をフィルター部材11に捕捉させる。
差圧の程度としては、容器2や、フィルター部材11に破損が生じたり、粗細胞含有液に含まれる細胞の過度の破砕が生じたりしない程度であれば、特に限定されない。好ましい差圧の範囲としては、200kPa以下が好ましい。差圧は、液体導入口9及び液体導出口10に三方活栓を介して圧力センサーを付けることによって測定することができる。
フィルター部材11は、単球を捕捉できるものを使用すればよい。
以上説明した操作は、室温下で行ってもよいし、冷蔵温度下で行ってもよい。冷蔵温度下で行う場合、冷蔵された粗細胞含有液を処理することが挙げられる。粗細胞含有液の保管としては、冷蔵温度に設定した冷蔵庫による保管、ウォーターバスによる保管、及びドライアイスによる保管等が挙げられる。汎用性から冷蔵庫で保存することが好ましい。冷蔵温度としては、1℃以上6℃以下が好ましく、より好ましくは3℃以上5℃以下が好ましい。冷蔵温度が1℃未満では細胞は死滅し、6℃を超えて保存すると細菌が繁殖しコンタミネーションを起こす可能性がある。
また、フィルター部材11の状態を整えて、単球を捕捉しやすくする観点から、細胞分離用フィルター装置1内に粗細胞含有液を供給する前に、液体導入口9又は液体導出口10から生理食塩水又は緩衝液を細胞分離用フィルター装置1内に導入し、フィルター部材11と生理食塩水又は緩衝液とを接触させてもよい。
<細胞含有液生成>
細胞含有液生成では、細胞分離用フィルター装置1内に回収液を供給することで、フィルター部材11に捕捉された単球を回収液中に遊離させて細胞含有液を生じさせる。
細胞含有液生成において、回収液は、液体導出口10から、細胞分離用フィルター装置1内に供給される。
なお、細胞分離用フィルター装置1で生成した単球を含む細胞含有液は、通常、生成後すぐに、液体導入口9から回収される。
細胞含有液生成の際には、フィルター部材11の液体導出口10側と、液体導入口9側との圧力差である差圧を生じさせつつ、回収液の供給が行われる。差圧は、20kPa以上200kPa以下であり、50kPa以上200kPa以下が好ましく、70kPa以上190kPa以下がより好ましい。
差圧は、細胞分離用フィルター装置1内に回収液を供給する際に、回収液を加圧して細胞分離用フィルター装置1に導入することで生じさせてもよく、細胞分離用フィルター装置内のフィルター部材11よりも液体導入口9側を減圧することで生じさせてもよく、これらの双方を行って生じさせてもよい。
回収液の供給と、細胞含有液の回収とを行う際には、フィルター部材11の液体導出口10側の面での圧力が、フィルター部材11の液体導入口9側の面での圧力よりも高いのが好ましい。このようにして差圧を生じさせる場合、フィルター部材11に捕捉された単球を、フィルター部材11の液体導入口9側の面に向けて遊離させやすく、より高い単球の回収率を実現しやすい。
このような差圧を生じさせた状態で、回収液を液体導出口10から細胞分離用フィルター装置1内に供給することで、単球を回収液に良好に遊離させることができ、その結果として、高い単球の回収率にて、単球を含む細胞含有液の取得が可能である。
なお、回収液は、差圧を生じさせる操作の後に細胞分離用フィルター装置1内へ供給されてもよく、差圧を生じさせる操作と同時に細胞分離用フィルター装置1内へ供給されてもよい。
通常、加圧された回収液が細胞分離用フィルター装置1内へ供給されることが多く、この場合、差圧を生じさせる操作と、回収液の供給とは実質的に同時である。
また、回収液の供給と、細胞含有液の回収とを行う際に、回収液を、細胞分離用フィルター装置1内に供給する際の流速は、5mL/秒以上30mL/秒以下が好ましく、8mL/秒以上25mL/秒以下がより好ましく、10mL/秒以上25mL/秒以下が特に好ましい。このような流速で回収液を供給することにより、単球の破壊を防ぎつつ、フィルター部材11から回収液に単球を遊離させやすく、より高い単球の回収率を実現しやすい。
回収液は、細胞と等張である溶液であれば特に限定はないが、生理食塩液やリンゲル液等の注射溶剤として使用実績のあるものや、緩衝液、細胞培養用の培地等が挙げられる。特に、培養工程を経る際はそのまま培養が行える培地が好ましく、培養工程を経ずそのまま治療に用いる際は、生理食塩液等の点滴等に使用実績のある等張液等、安全性が保証されている回収液を使用することが好ましい。
細胞含有液生成の操作は、単球捕捉の操作と同様、室温下で行ってもよいし、冷蔵温度下で行ってもよい。
回収液を用いて単球を含む細胞含有液を生じさせる前に、生理食塩水又は緩衝液を液体導入口9から導入して液体導出口10から導出させることにより、フィルター部材11内の夾雑成分を除去でき、これにより回収される細胞(単球)内へ不要成分を低減することができる。
<細胞含有液回収>
細胞含有液回収では、細胞含有液生成で生成させた単球を含む回収液を、細胞分離用フィルター装置1内から回収する。
回収方法は特に限定されないが、液体導入口に回収専用の所定のバッグを接続して、単球を含む細胞含有液を、当該バッグ内に回収すればよい。
以下、実施例において本発明に関して詳細に述べるが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜7、比較例1、及び比較例2)
表1に示すフィルター容量、濾過面積の細胞分離用フィルター装置1を用いた。
具体的には、円筒状の収容部3に、丸型にカットしたフィルター部材11を充填し、収容部3の上下の開口部に、第1突起12aを備えるノズル付内蓋4と、第2突起13aを備えるノズル付き内蓋5とを差し込み、その上から環状外蓋6、7でネジ止めし、図1、2(a)、2(b)に示すような構造を有する細胞分離用フィルター装置1を作製した。
フィルター部材11としては、以下の不織布A〜Cを用いた。各実施例、及び比較例で使用されたフィルター部材11の種類を表1に示す。
不織布A:ポリエステル不織布(目付け:35g/m、繊維径:4μm、充填密度:0.116g/cm、通気度係数M:10.4)
不織布B:ポリプロピレン不織布(目付け:50g/m、繊維径:3.5μm、充填密度:0.083g/cm、通気度係数M:9.6)
不織布C:ナイロン不織布(目付け:62g/m、繊維径:5μm、充填密度:0.135g/cm、通気度係数M:9.2)
次に、細胞分離用フィルター装置1の液体導入口9と液体導出口10に、図3で示した回路を接続して細胞分離用デバイス22を作製した。
図3に示す回路において、液体導入口9にはチューブ14aを接続し、このチューブ14aには、細胞懸濁液を収容する手段15及びプライミング用生理食塩水を収容する手段16に接続したチューブ14bと、フィルターを通過した回収液を収容する手段(回収バッグ)17及び回収バッグ等に回収された回収液を回収する手段18に接続したチューブ14cとを、流路切り替え手段19cを介して接続した。
チューブ14bには流路切り替え手段19bを介して、細胞懸濁液を収容する手段15とプライミングやカラムの洗浄に用いる生理食塩水を収容する手段16とを接続した。
チューブ14cには流路切り替え手段19cを介して、フィルターを通過した回収液を収容する手段17と回収バッグ等に回収された回収液を回収する手段18とを接続した。
また、液体導出口10にはチューブ14dを接続し、流路切り替え手段19dを介して、フィルターを通過した細胞懸濁液を収容する手段(廃液バッグ)20及び回収液を回収する手段21と接続した。
細胞分離用デバイス22を用いて細胞(単球)分離操作を実施した。なお、各流路切り替え手段の操作は、細胞分離用フィルター装置1に通液する液体の種類、送液する目的の手段に応じて、適宜行った。
まず、生理食塩水を収容する手段16の生理食塩水50mL〜150mLを用いて細胞分離用フィルター装置1のプライミング操作を行い、廃液バッグ20に細胞分離用フィルター装置1を通過した生理食塩液を回収した。
次に、細胞懸濁液を収容する手段15から白血球濃厚液(CPDで抗凝固したブタ血液)100mLを、細胞分離用フィルター装置1に重力を利用して通液し、通過液は廃液バッグ20に回収した。
上記操作で使用した白血球濃厚液は、CPDで抗凝固したブタ血液を3000rpm、30分遠心分離して得たバッフィーコートより、処理する白血球数が1.0×10cells〜4.0×10cellsになるように調製した。
その後、流路切り替え手段19bを用いて、生理食塩水を収容する手段16の生理食塩水100mLを細胞分離用フィルター装置1に重力を利用して通液し、通過液は廃液バッグ20に回収した。
最後に、生理食塩水50mLを、表1に記載の差圧に加圧し、また表1に記載の流量で、細胞分離用フィルター装置1の液体導出口10より導入し、液体導入口9に接続した回収バッグ17に回収した。
差圧に関しては、導入口及び導出口に三方活栓を介して圧力センサー(FP101−C31−L20A*B、横河電機)を接続し、測定した。
回収液(細胞含有液)、及び、処理前の細胞懸濁液(粗細胞含有液)の白血球濃度を、血球カウンター(K−4500、シスメックス社)により測定した。また、単球濃度に関しては、細胞表面マーカーであるCD14に対して蛍光標識し、上記血球カウンター及びフローサイトメーター(FACS canto、BD社)により測定した。その後、処理前の細胞懸濁液と回収液の体積より白血球数及び単球数を算出して、白血球回収率、単球回収率をそれぞれ求めた。
それぞれの結果は表1に示した。
Figure 2018186813
実施例1〜7によれば、単球を捕捉したフィルター部材11を収容する細胞分離用フィルター装置1に、フィルター部材11両面での圧力差である差圧が20kPa以上200kPa以下の範囲内であるように、回収液を供給して、単球を含む細胞含有液を取得する場合、高い単球の回収率を実現できることが分かる。
他方、200kPaを超える差圧で回収液を供給して、単球を含む細胞含有液を取得した比較例1及び比較例2では、単球回収率が著しく低かった。
表1によれば、実施例2と、実施例5と、実施例7との条件は、フィルター部材として用いた不織布の種類を除いて、互いに類似していることが分かる。実施例2及び実施例5と、実施例7との比較によれば、フィルター部材の充填密度(g/cm)が、例えば0.07以上0.125以下である場合に、フィルター部材の充填密度(g/cm)が0.125超である場合よりも、単球回収率を高めやすいことが分かる。
また、実施例2及び実施例5と、実施例7との比較によれば、フィルター部材の目付(g/m)が、例えば30以上50以下である場合に、フィルター部材の目付(g/m)が50超である場合よりも、単球回収率を高めやすいことが分かる。
さらに、実施例2及び実施例5と、実施例7との比較によれば、フィルター部材を構成する繊維の繊維径(μm)が、例えば2以上4.5以下である場合に、フィルター部材を構成する繊維の繊維径(μm)が4.5超である場合よりも、単球回収率を高めやすいことが分かる。
実施例2、及び比較例1で得られた細胞含有液に関して、横軸をFSC(前方散乱光)、縦軸をSSC(側方散乱光)とするFSC−SSC平面状に、上記フローサイトメーターにより測定されたFSCの値とSSCの値とに基づいてプロットを行った。これにより、実施例2、及び比較例1で得られた細胞含有液中の細胞分布を確認した。
その結果、実施例2で得た細胞含有液中の細胞分布と、比較例1で得た細胞含有液中の細胞分布とでは、単球画分のみに大きな違いがあった。具体的には、比較例1で得た細胞含有液では、実施例2で得た細胞含有液よりも、単球画分がFSCが小さい方向(細胞が小さい方向)に変動していた。この分布の違いは回収時の単球の破壊に起因する。
以上より、実施例によれば、高品質で単球純度の高い細胞含有液を得ることができることが分かる。
1 細胞分離用フィルター装置
2 細胞分離用フィルター容器
3 フィルター部材収容部
4、5 ノズル付き内蓋
6、7 環状外蓋
8 シール
9 液体導入口
10 液体導出口
11 フィルター部材
12a 第1突起
12b 第1環状支持体
13a 第2突起
13b 第2環状支持体

Claims (11)

  1. 単球を含む細胞含有液の取得方法であって、
    前記単球を含む粗細胞含有液をフィルター部材の第1面から第2面に通液して、前記単球を前記フィルター部材に捕捉させることと、
    前記フィルター部材の前記第2面から前記第1面に回収液を通液して、前記フィルター部材に捕捉された前記単球を前記回収液中に遊離させて前記細胞含有液を生じさせることと、
    前記細胞含有液を回収することと、
    を含み、
    前記フィルター部材の前記第1面と前記第2面とでの差圧が20kPa以上200kPa以下である条件で、前記回収液の前記フィルター部材への供給と、前記細胞含有液の回収とが行われる方法。
  2. 前記粗細胞含有液を、前記フィルター部材をその内部に収容する細胞分離用フィルター装置を通過させることで、前記フィルター部材に前記単球を捕捉させ、
    前記細胞分離用フィルター装置が、液体導入口と、液体導出口とを備え、
    前記細胞分離用フィルター装置内において、前記液体導入口と、前記液体導出口との間に前記フィルター部材が収容され、
    前記粗細胞含有液が、前記液体導入口から前記液体導出口に向けて、前記細胞分離用フィルター装置内を通過し、
    前記回収液が、前記液体導出口から前記細胞分離用フィルター装置内に供給され、
    前記細胞含有液が、前記液体導入口から回収される、請求項1に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
  3. 前記回収液の供給と、前記細胞含有液の回収とを行う際に、前記フィルター部材の前記液体導出口側の面での圧力が、前記フィルター部材の前記液体導入口側の面での圧力よりも高い、請求項1又は2に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
  4. 前記回収液を、前記細胞分離フィルター装置内に供給する際の流速が、5mL/秒以上30mL/秒以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
  5. 前記細胞分離フィルター装置の容量が、4mL以上50mL以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
  6. 前記フィルター部材のろ過面の面積が、4cm以上100cm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
  7. 前記単球を含む粗細胞含有液が、血液及び/又は骨髄液である請求項1〜6のいずれか1項に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
  8. 前記フィルター部材の通気度(cc/cm・sec)と、厚み(mm)との積である通気度係数Mの値が、7以上14以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
  9. 前記フィルター部材が繊維で構成される織布又は不織布であり、前記フィルター部材を構成する前記繊維の繊維径が、2μm以上6μm以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
  10. 前記フィルター部材の圧縮されていない状態での充填密度が、0.05g/cm以上0.17g/cm以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
  11. 前記フィルター部材の目付けが、20g/m以上80g/m以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の単球を含む細胞含有液の取得方法。
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