(1)概要
以下、本実施形態の中継通信装置(負荷制御装置2)及びそれを備える通信システム10について、図1〜図5を用いて説明する。本実施形態の通信システム10は、例えば、オフィスビル、店舗、病院、学校、又は工場等の施設に用いられ、施設に設置されている電気負荷等を制御するためのシステムである。本実施形態では、通信システム10が、複数の照明器具4を制御するための照明制御システムである場合を例として説明する。
通信システム10は、図1に示すように、制御ユニット(上位通信装置)1と、複数の負荷制御装置(中継通信装置)2と、複数の制御端末(下位通信装置)3と、を備えている。複数の負荷制御装置(中継通信装置)2の各々は、制御ユニット(上位通信装置)1と通信する機能を備えている。また、複数の負荷制御装置(中継通信装置)2の各々は、複数の制御端末(下位通信装置)3と通信する機能を備えている。
制御端末3は、ここでは、複数の照明器具4のうちの一つの照明器具4(より詳細には、後述の第2照明器具42)と、一体に構成されている。制御端末3及び第2照明器具42は、例えば、一つの筐体に収容されて、ユーザにより持ち運び可能(可搬)となるように構成されていてもよい。もちろん、第2照明器具42は、施設の天井などに固定的に取り付けられていてもよい。
制御ユニット1は、ユーザからの操作入力を受け付ける操作部14を備えている。制御ユニット1は、ユーザからの操作部14への操作入力に応じて、第2照明器具42の制御状態を変更するための制御命令を生成する。制御命令は、操作入力によって指定された第2照明器具42に対応する制御端末3に、制御対象の第2照明器具42を制御させる指令を含む。制御ユニット1は、生成した制御命令を含む無線信号を、負荷制御装置2に送信する。以下では、制御ユニット1から送信される無線信号であって制御命令を含む信号を、「命令信号」ともいう。図1では、無線信号を、点線の矢印で模式的に示してある。
負荷制御装置2は、制御ユニット1から命令信号を受け取ると、制御命令を含む無線信号を生成して、制御端末3へ送信する機能を有している。以下では、負荷制御装置2から制御端末3に向けて送信される無線信号であって制御命令を含む無線信号を、「制御信号」ともいう。
制御端末3は、負荷制御装置2から送信される制御信号に含まれる制御命令に従って、例えば、第2照明器具42のオン及びオフ、調光、又は調色等の制御を行う機能を有する。本実施形態の通信システム10では、複数の負荷制御装置(中継通信装置)2の各々は、複数の制御端末(下位通信装置)3のうちの任意の制御端末3を指定して、制御信号を送信することが可能である。各制御端末3は、複数の負荷制御装置2のうちのいずれかの負荷制御装置2から制御信号を受信すると、受信した制御信号に含まれる制御命令に従って、第2照明器具42を制御する。
複数の負荷制御装置(中継通信装置)2の各々は、第1通信部21と、第2通信部22と、制御部23と、記憶部24と、を備えている。
第1通信部21は、制御ユニット(上位通信装置)1と通信を行うための通信インタフェースである。第1通信部21は、無線通信により、制御ユニット1からの命令信号を受信する。なお、第1通信部21は、ここでは無線信号を用いて制御ユニット1と通信しているが、制御ユニット1との間に接続されている信号線等を用いて、有線で制御ユニット1と通信する構成であってもよい。
第2通信部22は、複数の制御端末3との通信を行うための通信インタフェースである。第2通信部22は、制御端末3との間で、双方向に無線信号の送信及び受信を行う。第2通信部22は、複数の制御端末3の任意の制御端末3と通信する機能を有している。第2通信部22にて通信可能な複数の制御端末3の識別情報(アドレス)は、記憶部24に予め記憶されている。第2通信部22は、例えば、無線信号に送信先の制御端末3の識別情報を含めることで、複数の制御端末3のうちの任意の制御端末3に向けて無線信号を送信する。
制御部23は、通信制御部231としての機能、及び通信判断部232としての機能を備えている。
通信制御部231は、第1通信部21及び第2通信部22を制御する。通信制御部231は、第1通信部21を制御して、制御ユニット1から送信される無線信号を、第1通信部21にて受信させる。通信制御部231は、制御ユニット1から送信される命令信号を、第1通信部21にて受信させる。
通信判断部232は、第1通信部21が命令信号を受信すると、命令信号に含まれる制御命令と通信情報とに基づいて、制御端末(下位通信装置)3への制御信号の送信についての判断を行う。ここで言う通信情報とは、負荷制御装置(中継通信装置)2と制御端末(下位通信装置)3との間の無線通信に関する情報である。
通信判断部232は、制御命令で指定される、制御信号の送信先である制御端末3の情報を参照する。また、通信判断部232は、送信先の制御端末3との間の無線通信に関する通信情報を参照する。通信情報は、ここでは、送信先の制御端末3との間で過去に送信された無線信号の受信信号強度の情報を含む。送信先の制御端末3との間で過去に送信された無線信号の受信信号強度の情報は、例えば、上記送信先の制御端末3から送信された無線信号であって、この制御部23(通信判断部232)が設けられている負荷制御装置2の第2通信部22で受信した無線信号についての、受信信号強度である。通信判断部232は、通信情報に基づいて、制御端末3に制御信号を送信するか送信しないかの判断を行う。
要するに、負荷制御装置(中継通信装置)2では、制御部23は、第1通信部21が制御ユニット(上位通信装置)1から命令信号を受信すると、通信情報及び制御命令に基づいて、制御端末(下位通信装置)3に制御信号を送信するか送信しないかの判断を行う。制御部23は、制御信号を送信すると判断した場合、第2通信部22から制御端末3に向けて制御信号を送信させ、制御信号を送信しないと判断した場合、第2通信部22から制御信号を送信させない。
上述のように、本実施形態では、負荷制御装置(中継通信装置)2の制御部23は、制御ユニット(上位通信装置)1からの命令信号を第1通信部21にて受信すると、制御端末(下位通信装置)3への制御信号の送信の判断を行う。制御信号の送信の判断は、命令信号に含まれる制御命令と、負荷制御装置(中継通信装置)2と制御端末(下位通信装置)3との間の無線通信に関する通信情報と、に基づいて行われる。そのため、本実施形態の通信システム10によれば、制御ユニット(上位通信装置)1から命令信号を受信した場合に無条件で制御信号を送信する構成と比較して、複数の負荷制御装置(中継通信装置)2から送信される制御信号同士が干渉する可能性が小さくなる。すなわち、本実施形態の負荷制御装置(中継通信装置)2では、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる、という利点がある。
(2)構成
本実施形態に係る通信システム10の構成について、図1〜図4を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の通信システム10は、上位通信装置としての制御ユニット1と、複数の中継通信装置としての複数の負荷制御装置2と、複数の下位通信装置としての複数の制御端末3と、を構成要素として備えている。上述のように、ここでは、通信システム10は、複数の照明器具4を制御するための照明制御システムである。
複数の照明器具4は、ここでは、複数の第1照明器具41と複数の第2照明器具42とを含んでいる。
複数の第1照明器具41は、複数の負荷制御装置2に1対1に対応付けられている。各第1照明器具41は、商用電源等の電源9(図3参照)からの電力により、点灯する。複数の第1照明器具41の各々は、複数の負荷制御装置2のうちの対応する負荷制御装置2によって、電源9からの給電が入り切りされる。つまり、各第1照明器具41の直接の動作は、対応する負荷制御装置2によって制御される。
また、複数の第2照明器具42は、複数の制御端末3に1対1に対応付けられている。各第2照明器具42は、商用電源等の電源9からの電力又は内蔵の電池の電力により、点灯する。複数の第2照明器具42の各々は、複数の制御端末3のうちの対応する制御端末3によって、電力の供給が入り切りされる。つまり、各第2照明器具42の直接の動作は、対応する制御端末3によって制御される。
複数の第1照明器具41及び複数の第2照明器具42の各々は、1以上の光源を備えていてもよいし、1以上の筐体(器具本体)を備えていてもよい。
(2.1)制御ユニット
制御ユニット1は、ユーザからの操作入力を受け付け、ユーザからの操作入力に応じて制御命令を生成して無線で送信することで、複数の照明器具4を制御する。図2に示すように、制御ユニット1は、通信部(上位側通信部)11と、制御部(上位側制御部)12と、記憶部(上位側記憶部)13と、操作部(上位側操作部)14と、を備えている。制御ユニット1は、例えば、施設内の壁に取り付けられた状態で使用される。制御ユニット1の各部は、電源9からの電力供給を受けて電源回路(図示せず)で生成される動作用の電源電圧を用いて、動作する。
通信部11は、複数の負荷制御装置2の各々の第1通信部21と通信を行うための通信インタフェースである。通信部11は、負荷制御装置2(第1通信部21)との間で、電波を媒体とする無線信号を用いて通信する。通信部11と第1通信部21との間の通信方式は、例えば、免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)、又はWi−Fi(登録商標)等の無線通信である。この種の小電力無線については、用途等に応じて使用する周波数帯域や空中線電力などの仕様が各国で規定されている。日本国においては、920MHz帯又は420MHz帯の電波を使用する小電力無線が規定されている。
記憶部13は、例えばフラッシュメモリ等の電気的に書換可能な不揮発性の半導体メモリで構成される。記憶部13は、制御部12によって種々のデータが読み書きされる。記憶部13には、複数の負荷制御装置2の識別情報が、記憶されている。また、記憶部13には、複数の制御端末3の識別情報が、記憶されている。識別情報としては、例えばMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。
操作部14は、ユーザからの操作入力を受け付ける。操作部14は、例えばタッチセンサから構成される。操作部14は、制御ユニット1の筐体の前面に配置されており、その前面(操作面)に人の手が触れたことを検知することで、操作面に対するユーザからの操作入力を受け付ける。操作部14は、複数の電極とグランドの間に生じる静電容量を計測し、静電容量の計測値が所定のしきい値を超えて変化したときに、それぞれの電極に人の身体(手指)が近接した、すなわち、タッチ操作されたと判断する。
制御部12は、例えばプロセッサ及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。つまり、制御部12は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部12として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
制御部12は、通信部11、記憶部13、操作部14の動作を制御する。
制御部12は、操作部14に対するユーザからの操作入力に応じて、制御命令を生成する。制御命令は、複数の制御端末3のうちの少なくとも1つの制御端末3に、対応する第2照明器具42を制御させるための指令を含んでいる。つまり、制御命令は、複数の制御端末3のうちで第2照明器具42の制御を行わせる制御端末3(以下、「対象端末」ともいう)の情報(識別情報)と、その制御内容の情報と、を含んでいる。制御命令に含まれる対象端末の数は、1つの場合もあれば、複数の場合もある。
また、制御部12は、操作部14に対するユーザからの操作入力に応じて、制御指示を生成する。制御指示は、複数の負荷制御装置2のうちの少なくとも1つの負荷制御装置2に、対応する第1照明器具41を制御させるための指令を含んでいる。つまり、制御指示は、複数の負荷制御装置2のうちで第1照明器具41の制御を行わせる負荷制御装置2(以下、「対象装置」ともいう)の情報(識別情報)と、その制御内容の情報と、を含んでいる。制御指示に含まれる対象装置の数は、1つの場合もあれば、複数の場合もある。
制御部12は、制御命令を生成すると、生成した制御命令を含む命令信号を、通信部11から無線で送信させる。また、制御部12は、制御指示を生成すると、生成した制御指示を含む指示信号を、通信部11から無線で送信させる。
なお、制御部12は、制御命令と制御指示とを、同じ信号に含めて通信部11から無線送信させてもよい。以下では、説明の便宜上、通信部11から送信される無線信号であって、制御命令と制御指示とのうちの少なくとも一方を含む信号を、「制御要求信号」ともいう。つまり、制御部12は、操作部14に対するユーザからの操作入力に応じて制御命令と制御指示とのうちの少なくとも一方を生成し、生成した制御命令及び/又は制御指示を含む制御要求信号を、通信部11から送信させる。制御要求信号には、1以上の負荷制御装置2(対象装置)の識別情報及び1以上の制御端末3(対象端末)の識別情報が、同時に含まれ得る。
(2.2)負荷制御装置
図3に示すように、複数の負荷制御装置2の各々は、第1通信部21と、第2通信部22と、制御部23と、記憶部24と、を備えている。負荷制御装置2は、更に、スイッチ素子25と、操作部26と、を備えている。また、制御部23は、上述の通信制御部231としての機能と通信判断部232としての機能とに加えて、機器制御部233としての機能と受信感度測定部234としての機能とを備えている。負荷制御装置2の各部は、電源9からの電力供給を受けて電源回路(図示せず)で生成される動作用の電源電圧を用いて、動作する。
スイッチ素子25は、電源9から第1照明器具41への給電路上に挿入されており、電源9から第1照明器具41への給電を入り切りする。スイッチ素子25は、メカニカルな(機械式の)接点を持たない半導体スイッチ素子、例えば双方向性三端子サイリスタ等で構成されていることが好ましい。
操作部26は、例えばタッチセンサから構成される。操作部26は、負荷制御装置2の筐体の前面に配置されており、その前面(操作面)に人の手が触れたことを検知することで、操作面に対するユーザからの操作入力を受け付ける。操作部26は、複数の電極とグランドの間に生じる静電容量を計測し、静電容量の計測値が所定のしきい値を超えて変化したときに、それぞれの電極に人の身体(手指)が近接した、すなわち、タッチ操作されたと判断する。操作部26は、タッチ操作されたことを示す操作信号を、制御部23に出力する。
制御部23は、例えばプロセッサ及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。つまり、制御部23は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部23として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
制御部23の機器制御部233は、操作部26からの操作信号に従って、スイッチ素子25を制御する。本実施形態では、第1照明器具41の点灯・消灯の切替制御だけでなく、第1照明器具41の調光制御が可能となるように、機器制御部233はスイッチ素子25の位相角制御が可能に構成されている。
各負荷制御装置2の外観は、ここでは、一般的な壁スイッチに類似している。負荷制御装置2は、施設内の壁に取り付けられた状態で使用される。負荷制御装置2の基本的な使い方は、一般的な壁スイッチと同様であって、人が負荷制御装置2の操作部26を直接操作することによって、電源9からこの負荷制御装置2に対応する第1照明器具41への給電が制御される。
上述のように、第1通信部21は、制御ユニット1と通信を行うための通信インタフェースである。第1通信部21は、制御ユニット1からの無線信号の受信を行う。
また、第2通信部22は、複数の制御端末3との通信を行うための通信インタフェースである。第2通信部22は、制御端末3との間で、双方向に無線信号の送信及び受信を行う。第2通信部22(負荷制御装置2)と制御端末3との間の通信方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の無線通信である。負荷制御装置2と制御端末3との間の通信方式は、制御ユニット1と負荷制御装置2との間の通信方式と、異なっていてもよい。第1通信部21と第2通信部22とは、共用されてもよい。
記憶部24は、例えばフラッシュメモリ等の電気的に書換可能な不揮発性の半導体メモリで構成される。記憶部24は、制御部23によって種々のデータが読み書きされる。記憶部24には、この記憶部24が設けられている負荷制御装置2の識別情報が、記憶されている。また、記憶部24には、第1通信部21にて通信可能な制御ユニット1の識別情報が、記憶されている。また、記憶部24には、第2通信部22にて通信可能な制御端末3の識別情報が、記憶されている。
また、記憶部24には、通信情報が記憶されている。通信情報は、負荷制御装置2と制御端末3との間の無線通信に関する情報である。ここでは、記憶部24に記憶されている通信情報は、この記憶部24が設けられている負荷制御装置2と複数の制御端末3との間で送受信される無線信号の、受信信号強度の情報を含んでいる。通信情報は、特に、複数の制御端末3の各々から送信された無線信号であって、第2通信部22で受信された無線信号についての、受信信号強度の情報である。受信信号強度の情報は、制御端末3の識別情報と紐付けて、記憶部24に記憶されている。
要するに、負荷制御装置(中継通信装置)2は、通信情報を記憶する通信情報記憶部(記憶部24)を備えている。通信情報は、負荷制御装置(中継通信装置)2と複数の制御端末(下位通信装置)3の各々との間で送信される無線信号の受信信号強度の情報と、この制御端末3に割り当てられている識別情報と、の組み合わせを含む。
制御部23の受信感度測定部234は、複数の制御端末3から送信される無線信号に対する受信信号強度を測定する。受信感度測定部234は、複数の制御端末3に対して、無線信号の送信を要求する要求信号を送信するように第2通信部22を制御する。受信感度測定部234は、要求信号に応答して制御端末3から送信される無線信号(応答信号)を受信し、受信信号強度を測定する。受信感度測定部234は、測定した受信信号強度の情報を、制御端末3の識別情報と紐付けて記憶部24に記憶させる。受信感度測定部234は、例えば、定期的に要求信号を送信する。受信感度測定部234は、複数の制御端末3に対して、異なるタイミングで要求信号を送信することが好ましい。
制御部23は、第1通信部21によって制御ユニット1からの制御要求信号を受信すると、制御要求信号に制御指示が含まれているか否かを判定する。制御要求信号に制御指示が含まれている場合、制御部23は、この制御部23が設けられている負荷制御装置2が、制御指示で指定される対象装置に含まれているか否かを判定する。すなわち、制御部23は、制御要求信号を受信すると、第1照明器具41の動作を変更する必要があるか否かを判定する。制御部23の機器制御部233は、この負荷制御装置2が制御指示の対象装置に含まれている場合、制御指示の制御内容に従って、第1照明器具41の動作状態を変更する。
つまり、本実施形態の通信システム10では、ユーザは、対応する負荷制御装置2の操作部26に対する直接操作だけでなく、制御ユニット1の操作部14に操作を行うことによっても、第1照明器具41の制御状態を変更可能である。
また、制御部23は、第1通信部21によって制御ユニット1から制御要求信号を受信すると、制御要求信号に制御命令が含まれているか否かを判定する。制御要求信号に制御命令が含まれている場合、制御部23の通信判断部232は、記憶部24に記憶されている通信情報に基づいて、制御命令で指定される対象端末に対して制御信号を送信するか否かを判定する。通信判断部232は、例えば、対象端末の識別情報と紐付けて記憶されている受信信号強度が、所定の閾値以上の場合、対象端末に対して制御信号を送信すると判定し、閾値よりも小さい場合、対象端末に対して制御信号を送信しないと判定する。制御命令に複数の対象端末が含まれている場合、通信判断部232は、複数の対象端末の各々について、制御信号の送信の要否の判定を行う。
制御部23の通信制御部231は、通信判断部232が制御信号を送信すると判定した対象端末に向けて、第2通信部22から制御信号を送信させる。
また、制御部23の通信制御部231は、通信判断部232が複数の対象端末に向けて制御信号を送信すると判定した場合、複数の対象端末に向けて送信される制御信号同士が干渉しないように、制御信号を送信する。例えば、通信制御部231は、複数の対象端末それぞれに向けて、異なるタイミングで制御信号を送信する。或いは、通信制御部231は、複数の対象端末それぞれに向けて、異なるチャネルで制御信号を送信する。
要するに、制御部23は、第1通信部21が制御ユニット(上位通信装置)1から命令信号を受信すると、第2通信部22から複数の制御端末(下位通信装置)3への制御信号の送信の判断を行う。制御部23は、複数の制御端末3のうちの2以上の制御端末3に対して制御信号を送信すると判断した場合、第2通信部22から2以上の制御端末3それぞれに送信する制御信号の干渉を回避するように、第2通信部22から2以上の制御端末3それぞれへ制御信号を送信させる。
(2.3)制御端末
制御端末3は、負荷制御装置2から送信される制御信号に応じて、対応する第2照明器具42を制御する。図4に示すように、制御端末3は、通信部(下位側通信部)31と、制御部(下位側制御部)32と、記憶部(下位側記憶部)33と、を備えている。制御端末3の各部は、電源9からの電力供給を受けて電源回路(図示せず)で生成される動作用の電源電圧又は内蔵の電池からの電源電圧を用いて、動作する。
通信部31は、複数の負荷制御装置2の各々の第2通信部22と通信を行うための通信インタフェースである。通信部31は、負荷制御装置2(第2通信部22)との間で、電波を媒体とする無線信号を用いて通信する。上述のように、負荷制御装置2(第2通信部22)と制御端末3(通信部31)との間の通信方式は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信である。
記憶部33は、例えばフラッシュメモリ等の電気的に書換可能な不揮発性の半導体メモリで構成される。記憶部33は、制御部32によって種々のデータが読み書きされる。記憶部33には、自身が設けられている制御端末3の識別情報が、記憶されている。また、記憶部33には、複数の負荷制御装置2の識別情報が、記憶されている。
制御部32は、例えばプロセッサ及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。つまり、制御部32は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部32として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
制御部32は、通信部31及び記憶部33の動作を制御する。
制御部32は、通信部31を制御して、負荷制御装置2からの制御信号を受信させる。制御部32は、制御信号を受信すると、制御信号に含まれる制御命令に基づいて、第2照明器具42を制御する。
また、制御部32は、通信部31を制御して、負荷制御装置2からの要求信号を受信させる。制御部32は、要求信号を受信すると、要求信号に対する応答である応答信号を、通信部31から送信させる。
(3)動作
次に、本実施形態に係る負荷制御装置(中継通信装置)2の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
制御部23の受信感度測定部234は、複数の制御端末3に対して、第2通信部22から要求信号を定期的に送信させる(S101)。受信感度測定部234は、制御端末3から要求信号の応答として送信される応答信号を、第2通信部22にて受信させる(S102)。受信感度測定部234は、応答信号の受信信号強度を測定し(S103)、応答信号の送信元の制御端末3の識別情報と紐付けて、記憶部24に記憶させる(S104)。受信感度測定部234は、全ての制御端末3について、受信信号強度の測定及び記憶(S101〜S104)を行う。
また、制御部23は、制御ユニット(上位通信装置)1からの制御要求信号を待ち受ける(S105)。制御要求信号を受信しない場合(S105:No)、制御部23は、定期的に工程S101に戻って、受信信号強度の測定及び記憶(S101〜S104)を行う。
制御ユニット1から制御要求信号を受信する(S105:Yes)と、制御部23は、制御要求信号に、自身が設けられている負荷制御装置2を対象装置とする制御指示が含まれているか否かを判定する(S106)。制御部23は、自身が設けられている負荷制御装置2が対象装置に含まれている場合(S106:Yes)、制御要求信号に含まれる制御指示に従って、対応する第1照明器具41を制御する(S107)。制御部23は、自身が設けられている負荷制御装置2が対象装置に含まれていない場合、対応する第1照明器具41について、現在の制御を維持する(S108)。
また、制御部23は、制御要求信号に、いずれかの制御端末3を対象端末とする制御命令が含まれているか否かを判定する(S109)。制御命令が含まれていない場合(S109:No)、制御部23は、制御要求信号についての判断を終了する。
制御命令が含まれている場合(S109:Yes)、制御部23の通信判断部232は、制御命令で指定される1以上の対象端末の各々について、記憶部24に記憶されている受信信号強度(測定値)が閾値以上であるか否かを判定する(S110)。
通信判断部232は、受信信号強度が閾値以上である対象端末の台数を判定する(S111)。受信信号強度が閾値以上である対象端末が1台の場合(S111:1台)、制御部23の通信制御部231は、対象端末に向けて、第2通信部22から制御信号を送信させる(S112)。受信信号強度が閾値以上である対象端末が2台以上の場合(S111:2台以上)、通信制御部231は、2台以上の対象端末に向けて、異なるタイミングで、第2通信部22から制御信号を送信させる(S113)。受信信号強度が閾値以上である対象端末がない場合(S111:0台)、制御部23は、制御信号を送信することなく、制御要求信号についての判断を終了する。
(4)利点
上述のように、本実施形態の負荷制御装置(中継通信装置)2では、制御ユニット(上位通信装置)1からの信号を第1通信部21にて受信すると、制御端末(下位通信装置)3への制御信号の送信の判断を行う。特に、本実施形態では、負荷制御装置2は、受信信号強度が閾値以上である対象端末にのみ、制御信号を送信する。そのため、本実施形態の通信システム10によれば、制御ユニット(上位通信装置)1から命令信号を受信した場合に無条件で制御信号を送信する構成と比較して、複数の負荷制御装置(中継通信装置)2から送信される制御信号同士が干渉する可能性が小さくなる。すなわち、本実施形態の負荷制御装置(中継通信装置)2では、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。
また、本実施形態の負荷制御装置(中継通信装置)2では、通信情報は、対象端末から送信される無線信号の受信信号強度を含む。また、負荷制御装置(中継通信装置)2は、通信情報(受信信号強度の情報)を更新するための受信感度測定部234を備えている。そのため、例えば制御端末3がユーザによって持ち運ばれる等して、負荷制御装置2に対する制御端末3の相対位置が変わった場合(すなわち、受信信号強度が変わった場合)でも、負荷制御装置2は、受信信号強度の大きな制御端末3にのみ制御信号を送信できる。そのため、負荷制御装置2から、離れた(無線信号が届かない位置にある)制御端末3に対して制御信号が送信される可能性が低くなり、更なる無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。
制御信号の送信の判定に用いられる閾値(受信信号強度と比較される閾値)の大きさは、制御ユニット1から命令信号が送信された場合に、複数の負荷制御装置2のうちの少なくとも1つの負荷制御装置2が制御信号を送信できるように、設定されていることが望ましい。もちろん、制御ユニット1からの命令信号に応じて、2以上の負荷制御装置2が制御信号を送信してもよい。閾値は、複数の負荷制御装置2の間で同じであってもよいし異なっていてもよい。
(5)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、負荷制御装置(中継通信装置)2の通信判断部232と同様の機能は、中継通信方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係る中継通信方法は、中継通信装置(負荷制御装置2)によって実行される。中継通信装置は、上位通信装置(制御ユニット1)と通信する第1通信部21と、電波を媒体とする無線信号を用いて、1又は複数の下位通信装置(制御端末3)と通信する第2通信部22と、を備える。中継通信方法は、制御ユニット1から送信される命令信号であって、1又は複数の制御端末3のうちの少なくとも1つの制御端末3(対象端末)に対する制御命令を含む命令信号を、受信することを含む。中継通信方法は、受信した命令信号に含まれる制御命令と、負荷制御装置2と対象端末との間の無線通信に関する通信情報と、に基づいて、第2通信部22から対象端末への制御命令を含む制御信号の送信の判断を行うことを含む。
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサによって実行されたときに、プロセッサを負荷制御装置(中継通信装置)2の通信判断部232として機能させるためのプログラムである。
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下の種々の変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上述の実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
本開示における通信システム10は、例えば制御部12,23,32等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部12,23,32としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(UltraLarge Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、制御部12,23,32における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは通信システム10に必須の構成ではなく、制御部12,23,32の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、通信システム10の少なくとも一部の機能、例えば、制御部12,23,32の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
反対に、通信システム10において、複数の装置に分散されている通信システム10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、負荷制御装置2と第1照明器具41とに分散されている通信システム10の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
(5.1)変形例1
通信システム10において、複数の負荷制御装置(中継通信装置)2は、他の負荷制御装置2についての通信情報(以下、「他装置通信情報」ともいう)を更に参照して、制御信号の送信の判断を行ってもよい。
以下、本変形例の負荷制御装置2及びそれを備えた通信システム10について、図3、図6を参照して説明する。
本変形例の通信システム10は、基本例と同様に、制御ユニット(上位通信装置)1と、複数の負荷制御装置2と、複数の制御端末(下位通信装置)3と、を備えている。ここでは、説明の便宜上、通信システム10は、3台の負荷制御装置2と3台の制御端末3とを備えていることとする。以下、3台の負荷制御装置2を区別する場合、第1負荷制御装置、第2負荷制御装置、第3負荷制御装置と呼ぶ場合がある。また、3台の制御端末3を区別する場合、第1制御端末、第2制御端末、第3制御端末と呼ぶ場合がある。
本変形例の負荷制御装置2の構成は、基本例の負荷制御装置2と同様である。ただし、第1通信部21は、制御ユニット1と双方向に無線信号の送受信が可能である。また、通信制御部231は、受信感度測定部234によって測定された複数の制御端末3との間での受信信号強度の情報を、第1通信部21から制御ユニット1に送信させる機能を有している。
また、制御ユニット1は、複数の負荷制御装置2の全てから受信信号強度の情報を受信すると、複数の負荷制御装置2の各々に対して、複数の負荷制御装置2と複数の制御端末3との間の受信信号強度の情報(他装置通信情報)を含む他装置情報信号を送信する。
負荷制御装置2の通信制御部231は、制御ユニット1から、第1通信部21を介して他装置情報信号を受信すると、他装置情報信号に含まれる複数の負荷制御装置2と複数の制御端末3との間の受信信号強度の情報(他装置通信情報)を、記憶部24に記憶させる。
例えば、各負荷制御装置2の記憶部24には、下記の表1に示すようなデータテーブルが記憶される。
表1において、「負荷制御装置」は、複数の負荷制御装置2を区別する名称を表し、「制御端末」は、複数の制御端末3を区別するための名称を表している。
また、「受信信号強度」は、一つの負荷制御装置2と一つの制御端末3との間の受信信号強度の値(dBm)を表している。受信信号強度は、負の値であって、0に近い(大きい)ほど無線信号の強度が強いことを示している。
本変形例の負荷制御装置2では、制御ユニット1から受信した制御要求信号に制御命令が含まれている場合、通信判断部232は、制御指令で指定される対象端末に対する受信信号強度が、複数の負荷制御装置2の間で最も大きいか否かを判定する。受信信号強度が、複数の負荷制御装置2の間で最も大きい場合、この負荷制御装置2は、対象端末に向けて制御信号を送信する。
例えば、表1の例の場合、第1負荷制御装置は、第1制御端末に対する受信信号強度が、複数の負荷制御装置2の中で最も大きい。そのため、第1負荷制御装置は、第1制御端末を対象端末とする制御命令を含む制御要求信号を制御ユニット1から受信すると、第1制御端末に向けて、制御命令を含む制御信号を送信する。第2負荷制御装置及び第3負荷制御装置は、第1制御端末を対象端末とする制御命令を含む制御要求信号を制御ユニット1から受信しても、第1制御端末に向けて制御信号を送信しない。
また、表1の例の場合、第2制御端末についての受信信号強度は、第1負荷制御装置、第2負荷制御装置、第3負荷制御装置の間で同じである。そのため、第1〜第3負荷制御装置の各々は、第2制御端末を対象端末とする制御命令を含む制御要求信号を制御ユニット1から受信すると、第2制御端末に向けて制御信号を送信する。
また、表1の例の場合、第2負荷制御装置は、第3制御端末に対する受信信号強度が、複数の負荷制御装置2の中で最も大きい。そのため、第2負荷制御装置は、第3制御端末を対象端末とする制御命令を含む制御要求信号を制御ユニット1から受信すると、第3制御端末に向けて制御信号を送信する。第2負荷制御装置及び第3負荷制御装置は、第3制御端末を対象端末とする制御命令を含む制御要求信号を制御ユニット1から受信しても、第3制御端末に向けて制御信号を送信しない。
以下に、本変形例に係る負荷制御装置(中継通信装置)2の動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。
図6の工程S201〜S204は、基本例の図5の工程S101〜S104と同じである。すなわち、負荷制御装置2は、制御端末3に要求信号を送信し、制御端末3からの応答信号の受信信号強度を測定し、記憶部24に記憶させる。
次に、負荷制御装置2の制御部23は、受信信号強度(測定値)を、第1通信部21から制御ユニット1に送信させる(S205)。また、負荷制御装置2の制御部23は、制御ユニット1から、第1通信部21を介して他装置情報信号を受信し(S206)、他装置通信情報を記憶部24に記憶させる(S207)。
また、制御部23は、制御ユニット1からの制御要求信号を待ち受ける(S208)。制御要求信号を受信しない場合(S208:No)、制御部23は定期的に工程S201に戻って、受信信号強度の測定及び記憶(S201〜S204)、受信信号強度の情報の送信、他装置情報信号の受信及び他装置通信情報の記憶(S205〜S207)を行う。
制御ユニット1から制御要求信号を受信する(S208:Yes)と、制御部23は、制御要求信号に、自身が設けられている負荷制御装置2を対象装置とする制御指示が含まれているか否かを判定する(S209)。制御部23は、自身が設けられている負荷制御装置2が対象装置に含まれている場合(S209:Yes)、制御要求信号に含まれる制御指示に従って、対応する第1照明器具41を制御する(S210)。制御部23は、自身が設けられている負荷制御装置2が対象装置に含まれていない場合、対応する第1照明器具41について、現在の制御を維持する(S211)。
また、制御部23は、制御要求信号に、いずれかの制御端末3を対象端末とする制御命令が含まれているか否かを判定する(S212)。制御命令が含まれていない場合(S212:No)、制御部23は、制御要求信号についての判断を終了する。
制御命令が含まれている場合(S212:Yes)、制御部23の通信判断部232は、制御命令で指定される1以上の対象端末の各々について、受信信号強度が複数の負荷制御装置2の間で最も大きいか否かを判定する(S213)。
通信判断部232は、受信信号強度が複数の負荷制御装置2の間で最も大きい対象端末の台数を判定する(S214)。受信信号強度が複数の負荷制御装置2の間で最も大きい対象端末が1台の場合(S214:1台)、制御部23の通信制御部231は、対象端末に向けて、第2通信部22から制御信号を送信させる(S215)。受信信号強度が複数の負荷制御装置2の間で最も大きい対象端末が2台以上の場合(S214:2台以上)、通信制御部231は、2台以上の対象端末に向けて、異なるタイミングで、第2通信部22から制御信号を送信させる(S216)。受信信号強度が複数の負荷制御装置2の間で最も大きい対象端末がない場合(S214:0台)、制御部23は、制御信号を送信することなく、制御要求信号についての判断を終了する。
要するに、本変形例の負荷制御装置(中継通信装置)2は、他装置通信情報を含む他装置情報信号を受信する第3通信部(ここでは、第1通信部21が兼用されている)を更に備える。他装置通信情報は、他の負荷制御装置2と1以上の制御端末3の各々との間で送信される無線信号の受信信号強度の情報と、この制御端末3に割り当てられている識別情報と、の組み合わせを含む。制御部23は、他装置通信情報に更に基づいて、第2通信部22から制御端末3への制御信号の送信の判断を行う。
これにより、無線信号間の干渉を、更に抑制することが可能となる。
なお、本変形例の負荷制御装置2では、第1通信部21が、他装置通信情報を含む他装置情報信号を受信する第3通信部と兼用されているが、これに限らない。例えば、複数の負荷制御装置2は、第3通信部を介して互いに無線通信可能に構成されていてもよい。複数の負荷制御装置2は、第3通信部を介して、他装置通信情報を含む他装置情報信号を互いに送受信してもよい。言い換えれば、複数の負荷制御装置(中継通信装置)2は、制御ユニット(上位通信装置)1を介することなく、他装置通信情報を送受信してもよい。これにより、複数の負荷制御装置2間の無線信号(他装置情報信号)の送受信のみで、複数の負荷制御装置2間で他装置通信情報を共有可能となる。より詳細には、例えば、負荷制御装置2の制御部23は、上述の工程S205〜S207の代わりに、第3通信部から他の負荷制御装置2に対して他装置情報信号を送信させる工程と、第3通信部によって他の負荷制御装置2から送信された他装置情報信号を受信する工程と、他装置通信情報を記憶部24に記憶させる工程と、を行ってもよい。
(5.2)変形例2
通信システム10において、負荷制御装置(中継通信装置)2は、第1通信部21を介して命令信号(或いは制御要求信号)を受信してから、他の負荷制御装置2が制御信号を送信したか否かを判定してもよい。そして、負荷制御装置2は、(閾値又は他装置通信情報に基づいて)制御信号を送信しないと通信判断部232が判定していた場合であっても、所定の待機時間が経過しても他の負荷制御装置2から制御信号が送信されない場合には、第2通信部22から制御信号を送信させてもよい。
要するに、制御部23は、第1通信部21を介して命令信号を受信してから待機時間が経過するまでの間に、他の負荷制御装置(他の中継通信装置)2から制御信号が送信されない場合、第2通信部22から制御信号を送信させる。
制御部23は、第1通信部21を介して命令信号を受信してから待機時間が経過するまでの間に、他の負荷制御装置2から制御信号が送信されない場合、所定の条件が満たされると、第2通信部22から制御信号を送信させることが好ましい。
通信情報が受信信号強度を含む場合(基本例参照)、所定の条件は、例えば、対象端末に対する受信信号強度が、制御信号の送信の判定に用いられた上記の閾値(以下、「第1閾値」ともいう)より小さな第2閾値以上であることであってもよい。つまり、制御部23は、命令信号を受信した場合に、対象端末に対する受信信号強度が第2閾値以上であっても第1閾値より小さいと、制御信号を送信しない。ただし、制御部23は、待機時間が経過しても他の負荷制御装置2から制御信号が送信されない場合には、第2通信部22から制御信号を送信させる。これにより、制御信号が制御端末3に届かないという不具合の発生が抑制される。
また、通信判断部232が、他装置通信情報を参照して制御信号の送信の判断を行う場合(変形例1参照)、所定の条件は、例えば、対象端末に対する受信信号強度が、複数の負荷制御装置2の間で2番目に大きいことであってもよい。つまり、制御部23は、命令信号を受信した場合に、対象端末に対する受信信号強度が複数の負荷制御装置2の間で最も大きくない場合、制御信号を送信しない。ただし、制御部23は、対象端末に対する受信信号強度が、複数の負荷制御装置2の間で2番目に大きい場合、待機時間が経過しても他の負荷制御装置2から制御信号が送信されないと、第2通信部22から制御信号を送信させる。これにより、制御信号が制御端末3に届かないという不具合の発生が抑制される。
制御部23は、第1通信部21を介して命令信号を受信してから待機時間の経過後、所定の条件を満たして第2通信部22から制御信号を送信させた場合に、所定の条件を変更してもよい。例えば、所定の条件は、第1の所定の条件と第2の所定の条件とを含んでもよい。待機時間は、第1の待機時間と、第1の待機時間よりも長い第2の待機時間と、を含んでもよい。例えば、制御部23は、第1通信部21を介して命令信号を受信してから第1の待機時間が経過するまでの間に、他の負荷制御装置2から制御信号が送信されない場合、第1の所定の条件が満たされると、第2通信部22から制御信号を送信させてもよい。また、制御部23は、第1通信部21を介して命令信号を受信してから第2の待機時間が経過するまでの間に、他の負荷制御装置2から制御信号が送信されない場合、第2の所定の条件が満たされると、第2通信部22から制御信号を送信させてもよい。そして、制御部23は、第1通信部21を介して命令信号を受信してから第2の待機時間の経過後、第2の所定の条件を満たして第2通信部22から制御信号を送信させた場合に、所定の条件を変更し、命令信号を受信してから第1の待機時間が経過するまでの間に他の負荷制御装置2から制御信号が送信されない場合に第2の所定の条件が満たされると、第2通信部22から制御信号を送信させるようにしてもよい。これにより、制御信号が制御端末3に届かないという不具合の発生が、更に抑制される。
(5.3)その他の変形例
一変形例において、負荷制御装置(中継通信装置)2の制御部23は、受信した命令信号に含まれる制御命令と、対象端末との間の無線通信に関する通信情報と、に基づいて、制御信号(無線信号)を送信するチャネルを変更してもよい。例えば、制御部23は、他の負荷制御装置2から送信される制御信号と異なるチャネルで、制御信号を送信してもよい。
一変形例において、通信情報は、送信先の制御端末(下位通信装置)3の設置位置を示す位置情報を含んでもよい。例えば、負荷制御装置(中継通信装置)2の記憶部24には、複数の制御端末3の設置位置を示す情報(例えば、「トイレ」、「リビング」等の、施設の部屋であって制御端末3が設置されている部屋を示す名称)が記憶されている。また、負荷制御装置2の記憶部24には、この負荷制御装置2が設置されている部屋を示す名称が記憶されている。負荷制御装置2の通信判断部232は、例えば、制御命令で指定される対象端末が設置されている部屋の名称が、この負荷制御装置2が設置されている部屋の名称と一致する場合、制御信号を送信する。要するに、通信情報は、負荷制御装置(中継通信装置)2と送信先の制御端末(下位通信装置)3との間で送信される無線信号の受信信号強度の情報と、送信先の制御端末(下位通信装置)3の設置位置を示す位置情報と、のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。
一変形例において、通信情報は、制御端末3との間で送信される無線信号の受信信号強度の情報を含み、かつ、制御端末3の識別情報を含まなくてもよい。つまり、負荷制御装置(中継通信装置)2は、いずれかの制御端末3が近く(無線信号が届く範囲)に存在すれば、制御信号を送信してもよい。
一変形例において、負荷制御装置(中継通信装置)2の記憶部24は、通信情報を記憶していなくてもよい。言い換えれば、負荷制御装置2は、通信情報記憶部を備えていなくてもよい。
一変形例において、受信感度測定部234は、第2通信部22から要求信号を送信させなくてもよい。この場合、例えば、制御端末3は、制御端末3の識別情報を含む無線信号を、定期的に送信する。受信感度測定部234は、定期的に送信される制御端末3からの無線信号に基づいて、受信信号強度を測定する。
一変形例において、通信制御部231は、ある対象端末に対して、複数の負荷制御装置2から制御信号が送信される場合、複数の負荷制御装置2の第2通信部22から異なるタイミングで制御信号が送信されるように、第2通信部22から制御信号を送信してもよい。例えば、各負荷制御装置2がタイマーを備え、制御要求信号を受信してからタイマーの計時時間の終了後に、制御信号を送信してもよい。
一変形例において、通信システム10に含まれる負荷制御装置(中継通信装置)2の台数は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。通信システム10に含まれる制御端末(下位通信装置)3の台数は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。
なお、「上位通信装置」における「上位」、「下位通信装置」における「下位」は、単に装置同士を区別するための標識であって意味はなく、例えば制御ユニット1を「下位通信装置」、制御端末3を「上位通信装置」と呼んでもよい。
(6)まとめ
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
第1の態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)は、第1通信部(21)と、第2通信部(22)と、制御部(23)と、を備える。第1通信部(21)は、上位通信装置(制御ユニット1)と通信する。第2通信部(22)は、電波を媒体とする無線信号を用いて、1又は複数の下位通信装置(制御端末3)と通信する。制御部(23)は、第1通信部(21)及び第2通信部(22)を制御する。制御部(23)は、上位通信装置から送信される命令信号であって、1又は複数の下位通信装置のうちの少なくとも1つの下位通信装置に対する制御命令を含む命令信号を、第1通信部(21)に受信させる。制御部(23)は、受信した命令信号に含まれる制御命令と、少なくとも1つの下位通信装置との間の無線通信に関する通信情報と、に基づいて、第2通信部(22)から少なくとも1つの下位通信装置への制御命令を含む制御信号の送信の判断を行う。
この態様によれば、上位通信装置から命令信号を受信した場合に無条件で制御信号を送信する構成と比較して、他の中継通信装置から送信される制御信号と干渉する可能性が小さくなる。すなわち、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。
第2の態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)は、第1の態様において、通信情報を記憶する通信情報記憶部(記憶部24)を更に備える。
この態様によれば、通信情報記憶部に記憶された通信情報に基づいて、制御信号の送信の判断を行うことが可能となる。
第3の態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)では、第1又は第2の態様において、制御部(23)は、第1通信部(21)が上位通信装置(制御ユニット1)から命令信号を受信すると、通信情報及び制御命令に基づいて、少なくとも1つの下位通信装置(制御端末3)に制御信号を送信するか送信しないかの判断を行う。制御部(23)は、制御信号を送信すると判断した場合、第2通信部(22)から少なくとも1つの下位装置に向けて、制御信号を送信させる。制御部(23)は、制御信号を送信しないと判断した場合、第2通信部(22)から制御信号を送信させない。
この態様によれば、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。
第4の態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)では、第1〜第3のいずれか1つの態様において、1又は複数の下位通信装置(制御端末3)は、複数の下位通信装置を含む。制御部(23)は、第1通信部(21)が上位通信装置(制御ユニット1)から命令信号を受信すると、第2通信部(22)から複数の下位通信装置への制御信号の送信の判断を行う。制御部(23)は、複数の下位通信装置のうちの2以上の下位通信装置に対して制御信号を送信すると判断した場合、第2通信部(22)から2以上の下位通信装置それぞれに送信する制御信号の干渉を回避するように、第2通信部(22)から2以上の下位通信装置それぞれへ制御信号を送信させる。
この態様によれば、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。
第5の態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)では、第1〜第4のいずれか1つの態様において、通信情報は、中継通信装置と1又は複数の下位通信装置(制御端末3)の各々との間で送信される無線信号の受信信号強度の情報と、この下位通信装置に割り当てられている識別情報と、の組み合わせを含む。
この態様によれば、無線信号を受信し得る下位通信装置に向けて制御信号を送信することが可能となり、下位通信装置が受信し得ない制御信号が送信されることが抑制されるので、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。
第6の態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)は、第5の態様において、他装置通信情報を含む他装置情報信号を受信する第3通信部(第1通信部21)を更に備える。他装置通信情報は、他の中継通信装置と1又は複数の下位通信装置(制御端末3)の各々との間で送信される無線信号の受信信号強度の情報と、この下位通信装置に割り当てられている識別情報と、の組み合わせを含む。制御部(23)は、他装置通信情報に更に基づいて、第2通信部(22)から少なくとも1つの下位通信装置への制御信号の送信の判断を行う。
この態様によれば、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。
第7の態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)では、第1〜第6のいずれか1つの態様において、制御部(23)は、第1通信部(21)を介して命令信号を受信してから待機時間が経過するまでの間に、他の中継通信装置から制御信号が送信されない場合、第2通信部(22)から制御信号を送信させる。
この態様によれば、制御端末(3)に制御信号が届かないという不具合の発生が、抑制される。
第8の態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)では、第7の態様において、制御部(23)は、第1通信部(21)を介して命令信号を受信してから待機時間が経過するまでの間に、他の中継通信装置から制御信号が送信されない場合、所定の条件が満たされると、第2通信部(22)から制御信号を送信させる。
この態様によれば、制御端末(3)に制御信号が届かないという不具合の発生が、抑制される。
第9の態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)では、第8の態様において、制御部(23)は、第1通信部(21)を介して命令信号を受信してから待機時間の経過後、所定の条件を満たして第2通信部(22)から前記制御信号を送信させた場合に、所定の条件を変更する。
この態様によれば、制御端末(3)に制御信号が届かないという不具合の発生が、抑制される。
第10の態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)では、第1〜第9のいずれか1つの態様において、通信情報は、中継通信装置と少なくとも1つの下位通信装置(制御端末3)との間で送信される無線信号の受信信号強度の情報と、少なくとも1つの下位通信装置の設置位置を示す位置情報と、のうちの少なくとも一方を含む。
この態様によれば、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。
第11の態様に係る通信システム(10)は、第1〜第10のいずれか1つの態様に係る中継通信装置(負荷制御装置2)と、1又は複数の下位通信装置(制御端末3)と、を備える。
この態様によれば、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。
第12の態様に係る中継通信方法は、中継通信装置(負荷制御装置2)によって実行される。中継通信装置は、上位通信装置(制御ユニット1)と通信する第1通信部(21)と、電波を媒体とする無線信号を用いて、1又は複数の下位通信装置(制御端末3)と通信する第2通信部(22)と、を備える。中継通信方法は、上位通信装置から送信される命令信号であって、1又は複数の下位通信装置のうちの少なくとも1つの下位通信装置に対する制御命令を含む命令信号を、第1通信部(21)で受信することを含む。中継通信方法は、受信した命令信号に含まれる制御命令と、中継通信装置と少なくとも1つの下位通信装置との間の無線通信に関する通信情報と、に基づいて、第2通信部(22)から少なくとも1つの下位通信装置への制御命令を含む制御信号の送信の判断を行うことを含む。
この態様によれば、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。
第13の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第12の態様に係る中継通信方法を実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、無線信号間の干渉の抑制を図ることが可能となる。