JP2020194663A - スパークプラグの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スパークプラグを構成する絶縁体および主体金具の軸線が傾いている場合に、互いの組付け精度を向上させることのできるスパークプラグの製造方法を提供する。【解決手段】スパークプラグは、主体金具30と絶縁体50とを備え、絶縁体50の後方部52の先端が主体金具30の後端側筒状部36bの先端に係止されている。このスパークプラグの製造方法は、軸線O1に対する軸線A1の傾き方向Xを特定する主体金具偏芯測定工程と、軸線O2に対する軸線A2の傾き方向Yを特定する絶縁体偏芯測定工程と、主体金具30と絶縁体50とを組み付ける組み立て工程とを含む。組み立て工程では、先端側から見たときに、傾き方向Xと傾き方向Yとのなす角度θが0°以上90°以下の範囲内となるように、主体金具30と絶縁体50とを組み付ける。【選択図】図4
Description
本発明は、内燃機関に用いられるスパークプラグの製造方法に関する。
自動車用エンジンなどの内燃機関の着火手段として、スパークプラグが用いられている。スパークプラグは、軸状の中心電極と、その中心電極を先端側で保持し軸方向に延びる絶縁体と、その絶縁体を内側に保持する筒状の主体金具とを有している。スパークプラグは、中心電極の先端部と、主体金具の先端部に取り付けられた接地電極との間で火花放電が発生するように構成されている。
近年、スパークプラグには、内燃機関の設計自由度の向上などを目的として小径化が求められている。スパークプラグを小径化すると、主体金具の先端部の内径が小さくなる。一方、高電圧が印加される中心電極を保持する絶縁体の肉厚は、電気的あるいは機械的な特性等による制限から極端に小さくすることは困難である。そのため、スパークプラグを小径化することにより、絶縁体の先端部と主体金具の先端部との距離が短くなる。この場合、絶縁体の軸線と主体金具の軸線とのずれ量が大きくなると、絶縁体と主体金具との間の最短距離が短くなりすぎて、主体金具の先端部と中心電極との間で火花放電が発生しやすくなる虞がある。
特許文献1には、主体金具と絶縁体とを組み付ける際に、互いの軸線のずれ量をより小さくすることを目的としたスパークプラグの製造方法が開示されている。この製造方法では、主体金具の径方向への変位を規制するための第1の位置決め部材に主体金具の軸方向における先端部を当接させ、前記第1の位置決め部材に対して軸方向に相対的に移動可能であり、絶縁体の径方向への変位を規制するための第2の位置決め部材に絶縁体の軸方向における先端部を当接させて、主体金具と絶縁体とを組み付ける。このようにして各位置決め部材を用いて主体金具と絶縁体とを組み付けることで、互いの軸線のずれ量を小さくすることができる。
しかし、主体金具または絶縁体といった個々の部材を製造する場合には、各部材の加工精度のばらつきによって主体金具自体の軸線または絶縁体自体の軸線が直線状にならず、各軸線が途中で傾斜した形状で製造されてしまうことがある。それぞれの軸線が直線状ではない主体金具と絶縁体とを組み付ける場合には、互いの軸線の傾き方向の位置関係によっては、軸線のずれ量が非常に大きくなり、位置決め部材を用いて軸線の位置を調整しきれない場合がある。また、軸線位置を矯正するための治具を用いて絶縁体の軸線の位置を矯正しながら組付けを行うと、矯正の程度が大きくなることから、主体金具と絶縁体との接触部分に応力が集中し、この部分が損傷する可能性がある。
そこで、本発明では、スパークプラグを構成する絶縁体および主体金具の軸線が傾いている場合に、互いの組付け精度を向上させることのできるスパークプラグの製造方法を提供する。
本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法において、スパークプラグは、絶縁体と、略筒状の主体金具とを備えている。前記絶縁体は、軸方向に沿って延び、前記軸方向の先端側に向かって外径が縮径する先端部と、前記先端部の後方側に接続される後方部と、を有する。前記主体金具は、前記絶縁体の外周に配置され、前記絶縁体の前記先端部を内側に備える先端側筒状部と、前記先端側筒状部の後端に接続されて前記絶縁体の前記後方部を内側に備える後端側筒状部と、を有する。このスパークプラグにおいて、前記絶縁体の前記後方部の先端は、前記主体金具の前記後端側筒状部の先端に係止されている。このスパークプラグの製造方法は、主体金具偏芯測定工程と、絶縁体偏芯測定工程と、組み立て工程とを含む。前記主体金具偏芯測定工程では、前記主体金具において、前記後端側筒状部の内周面を基準とした軸線O1に対する前記先端側筒状部の内周面を基準とした軸線A1の傾き方向であって、前記軸線O1の延びる方向から見たときの傾き方向Xを特定する。前記絶縁体偏芯測定工程では、前記絶縁体において、前記後方部の軸線O2に対する前記先端部の軸線A2の傾き方向であって、前記軸線O2の延びる方向から見たときの傾き方向Yを特定する。前記組み立て工程では、前記軸方向の先端側から見たときに、前記傾き方向Xと前記傾き方向Yとのなす角の小さい方が0°以上90°以下の範囲内となるように、前記主体金具と前記絶縁体とを組み付ける。
上記の製造方法によれば、スパークプラグを構成する絶縁体および主体金具の各軸線が直線状ではない場合に、組み立て工程において、傾き方向Xと傾き方向Yとのなす角度θが0°以上90°以下の範囲内となるように主体金具と絶縁体とを組み付けることで、互いの組付け精度を向上させることができる。これにより、主体金具の軸線A1と絶縁体の軸線A2とのずれ量を小さくすることができる。したがって、主体金具の先端部と中心電極との間での火花放電の発生を抑制することのできるスパークプラグを得ることができる。
上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法において、前記絶縁体偏芯測定工程は、前記絶縁体の前記後方部を支持した状態で前記軸線O2を起点として前記絶縁体を回転させ、ピックテスターまたは撮影画像を用いて前記傾き方向Yを測定してもよい。
上記の製造方法によれば、傾き方向Yを精度よく測定することができる。
また、上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法において、前記主体金具偏芯測定工程は、前記主体金具の前記後端側筒状部を支持した状態で前記軸線O1を起点として前記主体金具を回転させ、ピックテスターを用いて前記傾き方向Xを測定してもよい。
上記の製造方法によれば、傾き方向Xを精度よく測定することができる。
また、上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法において、前記組み立て工程では、前記絶縁体の前記先端部に当接して、前記先端部の前記軸線A2を前記主体金具の前記先端側筒状部の前記軸線A1側へ位置を矯正するための治具を用いて前記主体金具と前記絶縁体とを組み付けてもよい。
上記の製造方法によれば、主体金具と絶縁体との組付け後の各軸線A1およびA2の相対位置を、より所望の状態に近づけることができる。また、軸線A1およびA2の相対位置を所定の関係にして主体金具と絶縁体とを組み付けるので、矯正の程度を小さくすることができ、主体金具と絶縁体との接触部分に過度な負荷がかかることを回避することができる。
以上のように、本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法によれば、スパークプラグを構成する絶縁体および主体金具それぞれの軸線が途中で傾いている場合に、互いの組付け精度を向上させることができる。したがって、主体金具の先端部と中心電極との間での火花放電の発生を抑制することのできるスパークプラグを得ることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態では、スパークプラグ1の製造方法を例に挙げて説明する。
(スパークプラグの構成)
先ず、スパークプラグ1の全体構成について、図1および図2を参照しながら説明する。図1には、スパークプラグ1の全体構成を示す。図1では、紙面下側をスパークプラグ1の軸方向の先端側、紙面上側をスパークプラグ1の軸方向の後端側という。図2には、スパークプラグ1の製造途中で得られる組立体40の先端側の内部構成を示す。図2では、紙面上側をスパークプラグ1の軸方向の先端側、紙面下側をスパークプラグ1の軸方向の後端側あるいは後方側という。スパークプラグ1は、絶縁体50および略筒状の主体金具30を備えている。
先ず、スパークプラグ1の全体構成について、図1および図2を参照しながら説明する。図1には、スパークプラグ1の全体構成を示す。図1では、紙面下側をスパークプラグ1の軸方向の先端側、紙面上側をスパークプラグ1の軸方向の後端側という。図2には、スパークプラグ1の製造途中で得られる組立体40の先端側の内部構成を示す。図2では、紙面上側をスパークプラグ1の軸方向の先端側、紙面下側をスパークプラグ1の軸方向の後端側あるいは後方側という。スパークプラグ1は、絶縁体50および略筒状の主体金具30を備えている。
絶縁体50は、スパークプラグ1の長手方向(軸方向)に延びる軸孔が形成された略円筒形状の部材である。絶縁体50は、絶縁性、耐熱性、および熱伝導性に優れた材料で形成されている。例えば、絶縁体50は、アルミナ系セラミックなどで形成されている。絶縁体50は、軸方向に沿って延びる先端部51と後方部52とを有している。
先端部51は、軸方向の先端側に向かって外径が縮径するテーパ形状を有している。先端部51の端部には、中心電極21が設けられている。後方部52は、先端部51の後方側に接続されている。後方部52は、先端部51よりも大径であり、絶縁体50の胴体部分を構成している。後方部52の先端には、先端部51に向かって外径が縮径するテーパ部52aが設けられている。後方部52の後方側の端部には、端子金具53が取り付けられている。軸孔の中には、中心電極21と端子金具53との間に、これらを電気的に接続する部材が配置されている。
中心電極21は、その先端部(電極先端部22)が絶縁体50の先端部51の頂面51a(図2参照)から突出した状態で、絶縁体50の軸孔に保持されている。中心電極21は略円柱形状を有しており、その先端部分は、電極先端部22へ向かってテーパ状に縮径している。電極先端部22は、縮径された中心電極21の先端部分と同径の略円柱形状を有している。
主体金具30は、内燃機関のネジ穴に固定される略円筒形状の部材である。主体金具30は、絶縁体50の外周に配置され、絶縁体50を部分的に覆うように設けられている。主体金具30は、導電性を有する金属材料で形成されている。主体金具30は、主に、加締め部31、工具係合部32、湾曲部33、座部34、および胴部36などを有している。
加締め部31は、主体金具30の後端側において絶縁体50側に屈曲する部位である。工具係合部32は、加締め部31の先端側に接続され内燃機関(シリンダヘッド)のネジ穴に主体金具30を取り付けるときに使用されるレンチなどの工具を係合させる部位である。座部34は、工具係合部32より先端側に位置し、主体金具30の径方向外側に張り出している。湾曲部33は、工具係合部32と座部34とを接続する薄肉の部位である。胴部36は、座部34の先端側に位置し、外周にネジ部が形成されている。座部34と胴部36のネジ部との間には、環状のガスケットが配置される。スパークプラグ1が内燃機関に取り付けられる際には、胴部36の外周に形成されたネジ溝(図示せず)が内燃機関のネジ穴に螺合される。このとき、座部34とシリンダヘッドとで環状のガスケットが挟まれることにより、ネジ穴における気密性が確保される。
図2に示すように、胴部36は、先端側筒状部36aと、後端側筒状部36bとを有している。先端側筒状部36aは、内部に絶縁体50の先端部51を備えている。後端側筒状部36bは、先端側筒状部36aの後端側に接続されており、内部に絶縁体50の後方部52を備えている。主体金具30の内周には、先端側筒状部36aと後端側筒状部36bとの間に、先端側に向かってその内径が徐々に縮小するテーパ面36cが設けられている。
絶縁体50は、後方部52の先端に位置するテーパ部52aが、主体金具30の後端側筒状部36bの先端に位置するテーパ面36cに対して係止されている。図示はしていないが、絶縁体50のテーパ部52aと、主体金具30のテーパ面36cとの間には、板パッキンが設けられている。
また、主体金具30には、接地電極11が接合されている。接地電極11は、全体として略L字形に屈曲した形状をなす。接地電極11の基端部、つまり、屈曲した部位からみた一方の端部は、主体金具30の胴部36の先端面36dに接合されている。接地電極11の先端部、つまり、屈曲した部位からみた他方の端部は、中心電極21の電極先端部22に対向する。そして、接地電極11の先端部には、中心電極21側に向かって突出する凸部12が形成されている。
中心電極21および接地電極11は、例えば、Ni(ニッケル)を主成分として含むNi基合金等の金属材料を母材として形成される。Ni基合金に添加される合金元素としては、Al(アルミニウム)等が挙げられる。中心電極21および接地電極11は、内部に熱伝導率に優れる芯材を有していても良い。この芯材は、例えば、Cu(銅)から形成される。
中心電極21の電極先端部22は、例えば、円柱状に成形された貴金属チップにて構成することができ、レーザ溶接や抵抗溶接等により中心電極21の先端に接合される。貴金属チップは、例えばPt、Ir、Rh、Ruを含有する。
接地電極11の凸部12は、中心電極21の電極先端部22と同様の貴金属チップにて構成することができる。凸部12は、例えば、レーザ溶接や抵抗溶接等によって接地電極11に設けられる。
(スパークプラグの製造方法)
続いて、スパークプラグ1の製造方法について説明する。本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、上述した構成を有する主体金具30と絶縁体50とが準備される。主体金具30および絶縁体50は、従来公知の製造方法などを用いて製造することができる。このときの主体金具30は、屈曲前の加締め部31、工具係合部32、湾曲前の湾曲部33、座部34、および外周にネジ溝が形成された胴部36を有し、屈曲前の接地電極11が接合されている。絶縁体50には、中心電極20と端子金具53とが固定されている。
続いて、スパークプラグ1の製造方法について説明する。本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、上述した構成を有する主体金具30と絶縁体50とが準備される。主体金具30および絶縁体50は、従来公知の製造方法などを用いて製造することができる。このときの主体金具30は、屈曲前の加締め部31、工具係合部32、湾曲前の湾曲部33、座部34、および外周にネジ溝が形成された胴部36を有し、屈曲前の接地電極11が接合されている。絶縁体50には、中心電極20と端子金具53とが固定されている。
その後、主体金具30と絶縁体50とを組み付ける組み立て工程が行われる。組み立て工程では、略筒状の主体金具30の後端部側から絶縁体50が軸線Oに沿って挿入されて図2に示す組立体40が得られる。図2では、スパークプラグ1の概略的な軸線を、主体金具30の後端側筒状部36bの内周面を基準とした軸線O1および絶縁体50の後方部52の軸線O2に沿った軸線Oとして図示する。ただし、図2では、接地電極11の図示は省略されている。絶縁体50は主体金具30の後端側筒状部36bの内周面に沿って主体金具30に挿入されるから、組み立て工程では、軸線O1と軸線O2とは略一致する。
図示はしていないが、主体金具30のテーパ面36cと、絶縁体50のテーパ部52aとの間に板パッキンを介した状態で、主体金具30と絶縁体50とは組み付けられる。また、図示はしていないが、絶縁体50の後方部52と、主体金具30の後端側筒状部36bの後端部との間には、タルクが充填される。
タルクの充填の後、主体金具30の後端に加締が施されることにより加締め部31が形成される。このとき、加締め部31の形成に伴ってタルクが軸線方向に押圧され圧縮される。タルクが軸線方向に押圧されることにより、絶縁体50は主体金具30内で先端側に向けて押圧される。この結果、絶縁体50は、主体金具30のテーパ面36cと加締め部31とに挟まれることによって主体金具30に組み付けられる。これによって、組み立て工程が完了する。
この組み立て工程は、絶縁体50を主体金具30に組み付けるための装置を用いて行われる。このような装置としては、例えば、特許文献1(特開2011−34677号公報)に開示されている組付け装置を採用してもよい。
この装置には、絶縁体50の先端部51に当接して、先端部51の軸線の位置を矯正するための治具が備えられている。このような治具としては、例えば、特許文献1(特開2011−34677号公報)に開示されている台座400(より具体的には、金具規制部430および絶縁体規制部450)が挙げられる。
組み立て工程の後、接地電極11は長手方向の中間部において屈曲される。これによって、接地電極11の先端部が中心電極21の電極先端部22に対向する。このようにしてスパークプラグ1が得られる。
さて、本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、絶縁体50と主体金具30との組付けを行う際に、互いの軸線の位置合わせが行われる。この位置合わせの方法について、以下に説明する。
主体金具30および絶縁体50などの個々の部材を製造する場合には、各部材の加工精度のばらつきによって主体金具自体の軸線または絶縁体自体の軸線が直線状にならず、各軸線が途中で傾斜した形状で製造されてしまうことがある。そこで、本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、個々の部材の軸線の傾き(偏芯)を測定し、得られた測定結果に基づいて、主体金具30および絶縁体50の互いの軸線の位置合わせを行う。
組み立て工程において互いの軸線の位置合わせを行うに先立って、主体金具30および絶縁体50それぞれの軸線の傾き(偏芯)の測定が行われる。主体金具30の軸線の傾きを測定する工程は、主体金具偏芯測定工程と呼ばれる。絶縁体50の軸線の傾きを測定する工程は、絶縁体偏芯測定工程と呼ばれる。
図3(a)から(c)には、主体金具30および絶縁体50の各軸線をそれぞれ異なる位置関係で組み付けた状態を示す。図3(a)および(b)には、本実施形態にかかる製造方法を用いて、各軸線が望ましい位置関係で組み付けられた組立体40を示す。図3(c)には、各軸線が位置関係の許容範囲を逸脱した状態で組み付けられた比較例にかかる組立体140を示す。
図3(a)から図3(c)において、上側の図は、組立体40を先端側から見たときの平面模式図である。図3(a)から図3(c)において、下側の図は、組立体40の断面模式図である。
図3(a)から図3(c)では、主体金具30における後端側筒状部36bの内周面を基準とした軸線をO1で示し、先端側筒状部36aの内周面を基準とした軸線をA1で示している。また、絶縁体50における後方部52の軸線をO2で示し、先端部51の軸線をA2で示している。
そして、後端側筒状部36bの軸線O1に対する先端側筒状部36aの軸線A1の傾き方向であって、軸線の延びる方向(具体的には、先端側)から見たときの主体金具30の軸線の傾き方向をXと規定する。主体金具偏芯測定工程では、この傾き方向Xを特定する。主体金具偏芯測定工程では、例えば、主体金具30の後端側筒状部36bを支持した状態で軸線O1を起点として主体金具30を回転させ、ピックテスターを用いて傾き方向Xを測定するという方法で、傾き方向Xを特定することができる。ピックテスターを用いて主体金具30の内周面の偏芯を測定する具体的な方法については、従来公知の手法を採用することができるため、詳しい説明を省略する。
また、後方部52の軸線O2に対する先端部51の軸線A2の傾き方向であって、軸線の延びる方向(具体的には、先端側)から見たときの傾き方向をYと規定する。絶縁体偏芯測定工程では、この傾き方向Yを特定する。絶縁体偏芯測定工程では、例えば、絶縁体50の後方部52を支持した状態で軸線O2を起点として絶縁体50を回転させ、ピックテスターまたは撮影画像を用いて傾き方向Yを測定するという方法で、傾き方向Yを特定することができる。ピックテスターまたは撮影画像を用いて絶縁体50の偏芯を測定する具体的な方法については、従来公知の手法を採用することができるため、詳しい説明を省略する。
上述の各測定方法において、主体金具30の軸線の傾き方向Xおよび絶縁体50の軸線の傾き方向Yを特定した後、組み立て工程では、互いの軸線の傾き方向が所定の位置関係となるように主体金具30と絶縁体50とを組み付ける。すなわち、組み立て工程では、軸方向の先端側(すなわち、先端部51側)から見たときに、傾き方向Xと傾き方向Yとのなす角の小さい方が0°以上90°以下の範囲内となるように、主体金具30と絶縁体50とを組み付ける。
図4には、主体金具30と絶縁体50との組付け時の各軸線の傾き方向の位置関係の一例を模式的に示す。図4に示す例では、主体金具30の後端側筒状部36bの軸線O1が、XY座標における(0,0)の位置にあるとする。つまり、軸線O1が(0,0)の位置において紙面垂直方向に延びているとする。そして、主体金具30と絶縁体50との組付けを行う場合には、絶縁体50の後方部52の軸線O2が、軸線O1と概ね重なるため、絶縁体50の後方部52の軸線O2のXY座標における位置も、実質的に(0,0)となる。
また、図4では、主体金具偏芯測定工程で測定された軸線O1に対する先端側筒状部36aの軸線A1の傾き方向Xを矢印で図示している。さらに、図4では、絶縁体偏芯測定工程で測定された軸線O2に対する先端部51の軸線A2の傾き方向Yを矢印で図示している。なお、図4、および、後述する図5から図7では、傾き方向を矢印の向きで表すとともに、傾きの大きさを矢印の長さで表している。
図4では、軸方向の先端側(すなわち、先端部51側)から見たときの傾き方向Xを0°の方向と仮定する。そして、同じ方向から見たときの傾き方向Xと傾き方向Yとのなす角のうちの小さい方の角度をθと規定する。本実施形態にかかる組み立て工程では、傾き方向Xと傾き方向Yとのなす角の小さい方(すなわち、角度θ)が0°以上90°以下の範囲内となるように、主体金具30と絶縁体50とを組み付ける。
図3(a)は、角度θが0°で組み付けられたときの組立体40を示す。また、図5には、このときの軸線A1、A2の傾き方向の位置関係を示す。なお、図3(a)および図5では、傾きXの大きさと傾きYの大きさとが、ほぼ同じ場合の例を示しているが、傾きXの大きさと傾きYの大きさとは、必ずしも同じである必要はない。より好ましくは、傾きXの大きさと傾きYの大きさとは、ほぼ同じであるのがよい。
角度θが0°となるように主体金具30と絶縁体50との組付けが行われた場合、組立体40の先端側において、軸線A1の位置と軸線A2の位置とが非常に近接した状態(あるいは、ほぼ一致した状態)となる(図3(a)の上側の図参照)。すなわち、絶縁体50の頂面51aの中心は、主体金具30の先端側筒状部36aの内径の略中心に位置する。これにより、主体金具30と絶縁体50の先端に取り付けられる中心電極21との間の距離を比較的大きく確保することができ、主体金具30の先端部と中心電極21との間での火花放電の発生を抑制することができる。
図3(b)は、角度θが90°で組み付けられたときの組立体40を示す。また、図6には、このときの軸線A1、A2の傾き方向の位置関係を示す。なお、図3(b)および図6では、傾き方向Xの大きさよりも傾き方向Yの大きさの方が小さい例を示しているが、それぞれの傾きの大きさは互いに同じであってもよいし、傾きXの大きさよりも傾きYの大きさの方が大きくてもよい。
角度θが90°となるように主体金具30と絶縁体50との組付けが行われた場合、組立体40の先端側において、軸線A1の位置と軸線A2の位置とがある程度近接した状態となる(図3(b)の上側の図参照)。これにより、主体金具30の先端側筒状部36a内の内径の中心に近い位置に中心電極21が位置することになる。すなわち、中心電極21と主体金具30との間の最短距離が短くなることが避けられる。そのため、主体金具30の先端部と中心電極21との間での火花放電の発生を抑制することができる。
以上のように、組み立て工程において、傾き方向Xと傾き方向Yとのなす角度θが0°以上90°以下の範囲内となるように主体金具30と絶縁体50とを組み付けることで、主体金具30の先端部と中心電極21との間での火花放電の発生を抑制することのできるスパークプラグ1を得ることができる。なお、角度θを0°により近づけることで、各軸線A1およびA2のずれ量を小さくすることができる。
ここで、比較のために、角度θが90°を超えた場合の構成例について、図3(c)および図7を参照しながら説明する。図3(c)は、角度θが180°で組み付けられたときの組立体140を示す。また、図7には、このときの軸線A1、A2の傾き方向の位置関係を示す。
角度θが180°の状態で主体金具30と絶縁体50との組付けが行われた場合、組立体140の先端側において、軸線A2は、軸線A1から大きく離れた状態となる(図3(c)の上側の図参照)。この構成では、主体金具30の先端側筒状部36a内における中心電極21の位置に偏りが生じ、ある位置(図3(c)の例では、図中右側)においては、絶縁体50の先端部51が主体金具30の先端面36dに近接する。このように、角度θが90°を超えるように主体金具30と絶縁体50とを組み付けると、軸線A1およびA2のずれ量が大きくなる。その結果、絶縁体50の先端部51に取り付けられる中心電極21の先端部と主体金具30の先端部との間の最短距離が短くなり、主体金具30の先端部と中心電極21との間で火花放電が発生する虞がある。
したがって、組み立て工程では、傾き方向Xと傾き方向Yとのなす角度θが0°以上90°以下の範囲内となるように主体金具30と絶縁体50とを組み付ける。これにより、主体金具30の軸線A1と絶縁体50の軸線A2とのずれ量を小さくすることができ、組付け精度の向上したスパークプラグ1を得ることができる。
なお、組み立て工程では、治具を用いて、絶縁体50の先端部51に当接して、先端部51の軸線A2を主体金具30の先端側筒状部36aの軸線A1側へ位置を矯正してもよい。
このような治具としては、上述した特許文献1(特開2011−34677号公報)に開示されている治具(例えば、特許文献1に記載の金具規制部430、絶縁体規制部450)が挙げられる。この治具を用いることにより、組み立て工程において、主体金具30の先端側筒状部36aの径方向の移動および絶縁体50の先端部51の径方向の移動が規制されるので、先端側筒状部36aの軸線A1と、絶縁体50の先端部51の軸線A2とが互いに近づきやすくなる。
このように、治具を用いて絶縁体50と主体金具30との組付けを行うことで、絶縁体50の先端部51と主体金具30の先端側筒状部36aとは、径方向への変位が規制される。絶縁体50の軸線A2と主体金具30の軸線A1との相対的な位置を所定の状態に合わせた状態で、絶縁体50と主体金具30との相対位置を軸線方向に変えることで、組付け後の各軸線A1およびA2の相対位置をより所望の状態に近づけることができる。
なお、それぞれの軸線が直線状ではない主体金具と絶縁体とを組み付ける際に、軸線位置を矯正するための治具を用いて絶縁体の軸線の位置を強制的に矯正しながら組付けを行うと、主体金具の内周面と絶縁体との接触部分(板パッキンが配置されている部分)に応力が集中し、この部分が損傷する可能性がある。しかし、本実施形態にかかる組み立て工程では、互いの軸線の位置合わせを行う段階で、各軸線A1およびA2のなす角度θが0°以上90°以下の範囲内となるようにして主体金具30と絶縁体50とを組み付ける。そのうえで治具を用いて絶縁体の軸線の位置を矯正するので、矯正の程度を小さくすることができ、主体金具と絶縁体との接触部分に過度な負荷がかかることを回避することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
1 :スパークプラグ
11 :接地電極
21 :中心電極
30 :主体金具
36a :先端側筒状部
36b :後端側筒状部
40 :組立体
50 :絶縁体
51 :先端部
52 :後方部
O1 :主体金具の後端側筒状部の軸線
O2 :絶縁体の後方部の軸線
A1 :主体金具の先端側筒状部の軸線
A2 :絶縁体の先端部の軸線
11 :接地電極
21 :中心電極
30 :主体金具
36a :先端側筒状部
36b :後端側筒状部
40 :組立体
50 :絶縁体
51 :先端部
52 :後方部
O1 :主体金具の後端側筒状部の軸線
O2 :絶縁体の後方部の軸線
A1 :主体金具の先端側筒状部の軸線
A2 :絶縁体の先端部の軸線
Claims (4)
- 軸方向に沿って延び、前記軸方向の先端側に向かって外径が縮径する先端部と、前記先端部の後方側に接続される後方部と、を有する絶縁体と、
前記絶縁体の外周に配置され、前記絶縁体の前記先端部を内側に備える先端側筒状部と、前記先端側筒状部の後端に接続されて前記絶縁体の前記後方部を内側に備える後端側筒状部と、を有する略筒状の主体金具と、
を備え、
前記絶縁体の前記後方部の先端が前記主体金具の前記後端側筒状部の先端に係止されているスパークプラグの製造方法であって、
前記主体金具において、前記後端側筒状部の内周面を基準とした軸線O1に対する前記先端側筒状部の内周面を基準とした軸線A1の傾き方向であって、前記軸線O1の延びる方向から見たときの傾き方向Xを特定する主体金具偏芯測定工程と、
前記絶縁体において、前記後方部の軸線O2に対する前記先端部の軸線A2の傾き方向であって、前記軸線O2の延びる方向から見たときの傾き方向Yを特定する絶縁体偏芯測定工程と、
前記軸方向の先端側から見たときに、前記傾き方向Xと前記傾き方向Yとのなす角の小さい方が0°以上90°以下の範囲内となるように、前記主体金具と前記絶縁体とを組み付ける組み立て工程と
を含む、スパークプラグの製造方法。 - 前記絶縁体偏芯測定工程は、前記絶縁体の前記後方部を支持した状態で前記軸線O2を起点として前記絶縁体を回転させ、ピックテスターまたは撮影画像を用いて前記傾き方向Yを測定する、
請求項1に記載のスパークプラグの製造方法。 - 前記主体金具偏芯測定工程は、前記主体金具の前記後端側筒状部を支持した状態で前記軸線O1を起点として前記主体金具を回転させ、ピックテスターを用いて前記傾き方向Xを測定する、
請求項1または2に記載のスパークプラグの製造方法。 - 前記組み立て工程は、前記絶縁体の前記先端部に当接して、前記先端部の前記軸線A2を前記主体金具の前記先端側筒状部の前記軸線A1側へ位置を矯正するための治具を用いて前記主体金具と前記絶縁体とを組み付ける、請求項1から3の何れか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019098619A JP2020194663A (ja) | 2019-05-27 | 2019-05-27 | スパークプラグの製造方法 |
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JP2020194663A true JP2020194663A (ja) | 2020-12-03 |
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Family Applications (1)
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JP2019098619A Pending JP2020194663A (ja) | 2019-05-27 | 2019-05-27 | スパークプラグの製造方法 |
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JP (1) | JP2020194663A (ja) |
-
2019
- 2019-05-27 JP JP2019098619A patent/JP2020194663A/ja active Pending
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