《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第1EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。尚、本明細書において使用される「上流側」及び「下流側」なる用語は、EHCの使用時においてEHCの内部における排気の流れにおける「上流側」及び「下流側」をそれぞれ意味する。
〈構成〉
第1EHCは、通電により発熱する発熱体と、発熱体に通電可能に構成された一対の電極と、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1保持部材と、発熱体を収容する筒状の部材である第1ケースと、第1ケースを収容する筒状の部材である第2ケースと、を備えるEHCである。第1保持部材は発熱体と第1ケースとの間に挟持されている。EHCは例えば自動車等に搭載される内燃機関の排気経路上に設けられるため、EHCを構成する各要素は、例えば高い耐熱性、耐酸化性及び耐腐食性等を備える材料によって形成されることが望ましい。
発熱体の構成及び材料は、通電により発熱することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。発熱体を形成する材料の具体例としては、例えば、SiC(炭化珪素)等のセラミック材料を挙げることができる。
尚、第1EHCは、例えば、排気浄化触媒を担持する担体の上流側に配設された別個の発熱体によって排気を加熱し、このようにして加熱された排気によって排気浄化触媒を加熱するように構成されていてもよい。或いは、第1EHCにおいて、例えば、通電によって発熱する担体に排気浄化触媒が担持されていてもよい(即ち、排気浄化触媒が発熱体に担持されていてもよい)。
一対の電極を構成する材料は、発熱体に通電可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されず、例えば金属等、電極用材料として広く使用されている材料から適宜選択することができる。また、電極の耐酸化性の向上を目的として、例えばNi−Cr合金やM−Cr−Al−Y合金(但し、MはFe、Co、Niのうち少なくとも一種)等の合金材料によって電極を形成したり、このような合金材料によって電極の表面を被覆したりしてもよい。
第1保持部材の形状及び材料は、電気絶縁材料からなる緩衝材であり、第1ケースと発熱体との間に介在して第1ケースの内部の所定の位置に復元力によって発熱体を保持することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。即ち、第1EHCにおいては、発熱体と第1ケースとの間に第1保持部材が挟持されている。
第1保持部材を形成する材料の具体例としては、例えばアルミナ系繊維及びアルミナ−シリカ系繊維等の無機繊維及びこのような無機繊維にバインダとしての樹脂を加えたものを挙げることができる。バインダとして使用される樹脂の具体例としては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂等を挙げることができる。
第1ケースの形状及び材料は、筒状の形状を有し、その内部に発熱体を収容することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、第1ケースは、例えば円筒状又は角筒状の形状を有していてもよい。典型的には、第1ケースを形成する材料はステンレス鋼を始めとする金属であり、第1ケースの形状は円筒形である。また、第1ケースは、例えば鋼管等によって一体物として形成されていてもよく、或いは複数の構成部材を集成することによって形成されていてもよい。
第2ケースの形状及び材料は、筒状の形状を有し、その内部に第1ケースを収容することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、第2ケースは、例えば円筒状又は角筒状の形状を有していてもよく、その内部に第1ケースを収容する部分の横断面よりも上流側及び/又は下流側の部分の横断面がより小さくなるように形成されていてもよい。典型的には、第2ケースを形成する材料はステンレス鋼を始めとする金属であり、第2ケースの形状は円筒形である。また、第2ケースは、例えば鋼管等によって一体物として形成されていてもよく、或いは複数の構成部材を集成することによって形成されていてもよい。
第1EHCにおいては、第1ケースは第1ケースの外周面に設けられた固定部材を更に備え、第2ケースの固定部材に対向する位置には第2ケースの外側と内側とを連通する貫通孔である第1孔が形成されている。また、第1EHCは、第1孔に挿通されて第2ケースを固定部材に締結するように構成された部材である第1締結部材を更に備える。更に、第1締結部材によって第2ケースの内部の所定の位置に第1ケースが固定されており、第1ケースと第2ケースとは電気的に絶縁されている。
固定部材の形状及び材料は、上記のように第1締結部材によって第2ケースの内周面に締結されることが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。固定部材の具体例としては、例えば、第1締結部材を挿通可能な貫通孔が形成されたブラケット等を挙げることができる。また、第1ケースの外周面に固定部材を設けるための具体的な手法は、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。例えば、別個の部材として予め形成された固定部材を例えば溶接等の手法によって第1ケースの外周面に取り付けることができる。第1孔は、上記のように第2ケースの固定部材に対向する位置に形成された貫通孔であり、第1締結部材が挿通される。従って、第1孔の大きさ及び形状は、第1締結部材の横断面に応じて適宜定めることができる。
第1締結部材の構成及び材料は、上記のように第1孔に挿通されて第2ケースを固定部材に締結することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。典型的には、第1締結部材を形成する材料は例えばステンレス鋼及び高張力鋼等を始めとする金属である。好ましい態様において、第1締結部材は、例えば、ボルトとナットとの組み合わせとすることができる。この場合、ボルト及びナットの何れか一方が固定部材に例えば溶接等の手法によって固定されていてもよい。即ち、ボルトが固定部材に固定される場合は当該ボルトがウェルドボルトであってもよく、ナットが固定部材に固定される場合は当該ナットがウェルドナットであってもよい。
また、第1ケースと第2ケースとを電気的に絶縁するための具体的な構成もまた、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、例えば、少なくとも第2ケースの外周面と第1締結部材との間及び第2ケースの内周面と固定部材との間に、電気絶縁材料からなる部材である第1絶縁部材をそれぞれ介在させることにより、第1ケースと第2ケースとを電気的に絶縁することができる。
第1絶縁部材の形状及び材料は、上記のように第2ケースの外周面と第1締結部材との間及び第2ケースの内周面と固定部材との間に介在して第1ケースと第2ケースとを電気的に絶縁することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。第1絶縁部材を形成する材料の具体例としては、例えばマイカ及びアルミナ等の電気絶縁材料等を挙げることができる。また、第1絶縁部材の形状の具体例としては、例えば、ワッシャ、スペーサ、カラー及びガスケット等を挙げることができる。更に、段付きのワッシャ、スペーサ、カラー等を使用して、例えば、第1締結部材と第1孔の内壁面との電気的絶縁を確保してもよい。
図1は、第1EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。具体的には、図1は、互いに対向する二対の第1締結部材の軸を含み且つ第1ケースの軸方向である第1方向に平行な平面による第1EHCの模式的な断面図である。図1に示す白抜きの矢印は、第1EHCの使用時の状態である第1状態における排気の流れ方向を表す。また、図2は、図1において太い破線によって囲まれた部分の拡大図である。
図1及び図2に例示する第1EHC101は、通電により発熱する発熱体10と、発熱体10に通電可能に構成された一対の電極20a及び20bと、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1保持部材30と、発熱体10を収容する筒状の部材である第1ケース40と、第1ケース40を収容する筒状の部材である第2ケース50と、を備える。第1保持部材30は発熱体10と第1ケース40との間に挟持されて、第1ケース40の内部の所定の位置に復元力によって発熱体10を保持している。
尚、第1EHC101が備える第1ケース40は円筒形の形状を有し、第1EHC101が備える第2ケース50は、第1ケース40を収容する部分の横断面よりも上流側及び下流側の部分の横断面がより小さくなるように形成された略円筒形の形状を有する。第1ケース40と第2ケース50とは同軸状に配置されており、第2ケース50の上流側及び下流側の開口部の横断面と第1ケース40の横断面とは略同一である。
第1EHC101においては、発熱体10はSiC(炭化珪素)によって形成され且つハニカム構造を有する円柱体として構成されており、第1保持部材30はアルミナ−シリカ系繊維からなる不織布によって構成されている。また、第1ケース40はステンレス鋼管によって構成されており、第2ケース50はプレス加工によって製造された2枚合わせ式の鋼鉄製のシェルを例えば溶接等の手法によって接合することによって構成されている。
尚、一対の電極20a及び20bの各々は、第1ケース40の軸方向である第1方向に平行な発熱体10の表面である外周面に配設された面状の導電性部材である表面電極部及び図示しない電源との接続のために設けられる外部電極部等を含む。しかしながら、図1及び図2においては、一対の電極20a及び20bを構成する部分のうち表面電極部21a及び21bのみが描かれており、その他の部分は省略されている。
図1及び図2に示すように、第1EHC101においては、第1ケース40は第1ケース40の外周面に設けられた固定部材41を更に備え、第2ケース50の固定部材41に対向する位置には第2ケース50の外側と内側とを連通する貫通孔である第1孔51が形成されている。また、第1EHC101は、第1孔51に挿通されて第2ケース50を固定部材41に締結するように構成された部材である第1締結部材61を更に備える。更に、第1締結部材61によって第2ケース50の内部の所定の位置に第1ケース40が固定されており、第1ケース40と第2ケース50とは電気的に絶縁されている。
尚、図1及び図2に示す例においては、第1締結部材61はボルトとナットとの組み合わせであり、複数(図1においては4つ)の第1締結部材61の各々について、第2ケース50の外周面と第1締結部材61との間及び第2ケース50の内周面と固定部材41との間に、マイカ製のガスケットである第1絶縁部材71がそれぞれ介在している(太い点線によって示す)。これにより、第1ケース40と第2ケース50とが電気的に絶縁されている。
〈効果〉
第1EHCにおいては、上記のように、第2ケースに形成された第1孔に挿通された第1締結部材によって第1ケースの外周面に設けられた固定部材に第2ケースを締結することにより第2ケースの内部の所定の位置に第1ケースが固定される。従って、所定の位置に発熱体を確実に保持することができる。
また、第1EHCにおいては、上記のように、例えば第2ケースの外周面と第1締結部材との間及び第2ケースの内周面と固定部材との間に第1絶縁部材を介在させることにより、第1ケースと第2ケースとが電気的に絶縁されている。従って、第1保持部材に凝縮水が侵入して第1ケースと電極との間の絶縁抵抗が低下した場合であっても、第1ケースと第2ケースとが電気的に絶縁されているので、第2ケースと電極との間の絶縁抵抗は維持される。即ち、第1EHCによれば、電極の絶縁を確保しつつ発熱体を確実に保持することができる。
更に、第1ケースの内周面に絶縁層を設ける必要が無いため、前述したように絶縁材料の摩擦係数が低いことに起因して排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合に第1保持部材が滑り発熱体が下流側にずれる可能性を低減することができる。加えて、第1ケースと第2ケースとの間の空間により高い断熱効果が得られるため、EHC全体としての保温性能を高めることができ、排気浄化触媒の活性化温度への昇温を速めたり、排気浄化触媒の活性化温度における保持を容易にしたりすることができる。
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第2EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第1EHCにおいては、第1ケース及び第2ケースを含む二重の筒状の部材の内部に発熱体が収容されている。第1ケースと発熱体との間には第1保持部材が挟持されている。一方、第1ケースと第2ケースとの間には保持部材は挟持されておらず、第1孔に対応する箇所にのみ固定部材及び第1締結部材が存在する。従って、第1ケースと第2ケースとの間の空間に流れ込んだ排気は、(発熱体を迂回して)発熱体の内部を通過すること無く、EHCから排出されてしまう。
従って、発熱体によって加熱された排気によって発熱体の下流側に配設された排気浄化触媒を加熱するように構成されているEHCにおいては、上記のように排気の一部が発熱体を迂回してしまうと、排気浄化触媒を活性化温度に到達させることが困難となる虞がある。また、通電によって発熱する担体に排気浄化触媒が担持されている(即ち、排気浄化触媒が発熱体に担持されている)EHCにおいては、上記のように発熱体を迂回する排気は排気浄化触媒を経由すること無くEHCから排出されてしまうので、排気浄化機能が不十分となる虞がある。
〈構成〉
そこで、第2EHCは、上述した第1EHCであって、電気加熱式触媒装置の使用時の状態である第1状態における第2ケースの上流側の開口部から第1ケースの上流側の開口部の内側へと排気の流れを導くように構成された筒状の部材である第1ガイド部材を更に備える、電気加熱式触媒装置である。
第1ガイド部材を形成する材料は、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。典型的には、第1ガイド部材を形成する材料はステンレス鋼を始めとする金属である。また、第1ガイド部材の形状は、筒状の形状を有し、第1状態における第2ケースの上流側の開口部から第1ケースの上流側の開口部の内側へと延在して、第2ケースの上流側の開口部へと流入した排気を第1ケースの上流側の開口部へと効果的に導くことが可能である限り、特に限定されない。第1ガイド部材の形状の具体例については、第2EHCの構成を例示する模式的な断面図である図3乃至図5を参照しながら以下に詳しく説明する。但し、以下に説明する第1ガイド部材の構成はあくまでも例示であり、第1ガイド部材の構成は以下の説明及び対応する図面に限定されない。
図3に例示する第2EHC102は、第2ケースの上流側の開口部から第1ケースの上流側の開口部の内側へと延在する第1ガイド部材52を更に備える点を除き、図1及び図2に示した第1EHC101と同様の構成を有する。即ち、図3に例示する第2EHC102が備える第2ケース50は、第1ケース40を収容する部分の横断面よりも上流側及び下流側の部分の横断面がより小さくなるように形成されており、第2ケース50の上流側及び下流側の開口部の横断面と第1ケース40の横断面とは略同一である。
図3に例示する第1ガイド部材52は、第2ケース50の上流側の開口部及び第1ケース40の内径よりも小さい外径を有する円筒状の部材であり、第2ケース50の上流側の開口部から第1ケース40の上流側の開口部の内側へと延在している。これにより、第2ケース50の上流側の開口部へと流入した排気を第1ケース40の上流側の開口部へと効果的に導くことができる。尚、このような第1ガイド部材52は、別個の部材として構成されて第1ケース又は第2ケースの内周面に固定されていてもよく、或いは例えば第2EHCよりも上流側に配設された排気管等の他の部材の第2EHC側の端部によって構成されていてもよい。
図4に例示する第2EHC102においては、第2ケース50は第1ケース40の横断面よりも大きい一定の横断面を全長に亘って有する円筒状の部材である。また、第1ガイド部材52は第2ケース50の上流側の開口部から第1ケース40の上流側の開口部の内側に向かって横断面が徐々に小さくなる縮径部を有する略漏斗状の形状を有する部材である。これにより、第2ケース50の上流側の開口部へと流入した排気を第1ケース40の上流側の開口部へと効果的に導くことができる。尚、このような第1ガイド部材52は、別個の部材として構成されて第1ケース又は第2ケースの内周面に固定されていてもよく、例えば第2EHCよりも上流側に配設された排気管等の他の部材の第2EHC側の端部によって構成されていてもよい。
図5に例示する第2EHC102においては、図4に示した略漏斗状の形状を有する第1ガイド部材52に代えて第1ケース40の上流側の開口部の近傍に設けられたバッフル状の部材53が設けられている点を除き、図4に示した第2EHC102と同様の構成を有する。このバッフル状の部材53によって第1ケース40と第2ケース50との間の空間への排気の流入が妨げられ、結果として第2ケース50の上流側の開口部へと流入した排気を第1ケース40の上流側の開口部へと効果的に導くことができる。即ち、図5に示す例においては、第2部材50の上流側の開口部からバッフル状の部材53の先端(第2ケースの中心側の端部)までの部分が上述した第1ガイド部材52に該当し、第2ケースの上流側の開口部から第1ケースの上流側の開口部の内側へと排気の流れを導く機能を発揮する。尚、このような第1ガイド部材52は、図5に示すように第2ケースの内周面に固定されたバッフルによって構成されていてもよく、或いは第1ケースの上流側の端部に固定されたフランジによって構成されていてもよい。
尚、一対の電極20a及び20bの各々は、第1ケース40の軸方向である第1方向に平行な発熱体10の表面である外周面に配設された面状の導電性部材である表面電極部及び図示しない電源との接続のために設けられる外部電極部等を含む。しかしながら、図3乃至図5においては、一対の電極20a及び20bを構成する部分のうち表面電極部21a及び21bのみが描かれており、その他の部分は省略されている。
〈効果〉
第2EHCは、上記のように、電気加熱式触媒装置の使用時の状態である第1状態における第2ケースの上流側の開口部から第1ケースの上流側の開口部の内側へと延在する筒状の部材である第1ガイド部材を更に備える。これにより、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入が低減され、第2ケースの上流側の開口部へと流入した排気を第1ケースの上流側の開口部へと効果的に導くことができる。その結果、排気の一部が発熱体を迂回することに起因して、例えば排気浄化触媒が活性化温度に到達し難くなったり排気浄化触媒を経由すること無くEHCから排気が排出されたりする問題(以降、「バイパス問題」と総称される場合がある。)を低減することができる。
《第3実施形態》
以下、本発明の第3実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第3EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第2EHCにおいては、第1ガイド部材によって第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入を低減して、第2EHCに流入した排気を発熱体へと効果的に導く。その結果、例えば排気浄化触媒が活性化温度に到達し難くなったり排気浄化触媒を経由すること無くEHCから排気が排出されたりする問題(バイパス問題)を低減することができる。
ところで、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入を低減するための手法は上記に限定されない。例えば、第1ケースと第2ケースとの間の空間を閉塞する部材を設けることにより、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入を低減して、バイパス問題を低減することができる。
〈構成〉
そこで、第3EHCは、上述した第1EHC又は第2EHCであって、第1ケースの外周面と第2ケースの内周面との間に挟持された部材である第1閉塞部材を更に備える、電気加熱式触媒装置である。
第1閉塞部材を形成する材料は、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入を低減することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。好ましくは、第1閉塞部材を形成する材料は、電気絶縁材料からなる緩衝材である。例えば、第1閉塞部材は、上述した第1保持部材を形成する材料と同様の材料によって形成することができる。
また、第1閉塞部材の形状及び配置は、第1ケースと第2ケースとの間の空間における何れかの位置に配設されて第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入を低減することが可能である限り特に限定されない。好ましくは、第1閉塞部材は、電気加熱式触媒装置の使用時の状態である第1状態における第1ケースの上流側の端部に配設される。これにより、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入をより効果的に低減することができ、当該空間における凝縮水及び/又は煤等の滞留を低減することができる。また、典型的には、第1閉塞部材は、第1ケースの外周面(及び第2ケースの内周面)の周方向の全体に亘って延在する環状の形状を有する。
ところで、第1閉塞部材の表面、第1閉塞部材と第1ケース及び/若しくは第2ケースとの界面、並びに/又は第1閉塞部材の内部に凝縮水及び/又は煤等が滞留及び/又は付着した場合、第1ケースと第2ケースとの間の絶縁抵抗が低下してしまう虞がある。従って、このような場合においても第1ケースと第2ケースとの電気的絶縁を確保する観点からは、第1ケース及び/又は第2ケースと第1閉塞部材との間に絶縁材料を配置することが望ましい。従って、好ましくは、第3EHCは、第1ケース及び/又は第2ケースと第1閉塞部材との間に配設された絶縁材料からなる層である絶縁層を更に備える。
上記絶縁層を構成する絶縁材料は、第1ケース及び/又は第2ケースと第1閉塞部材との間の電気的絶縁を達成することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、上記絶縁層を構成する絶縁材料は、例えばアルミナ及びガラス等のセラミック材料である。
図6は、第3EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図6に例示する第3EHC103は、第1ケース40の外周面と第2ケース50の内周面との間に挟持された部材である第1閉塞部材54を更に備える。第1閉塞部材54は、第1保持部材30と同様に、アルミナ−シリカ系繊維からなる不織布によって構成されている。第3EHC103においては、第1ケース40の上流側の端部に第1閉塞部材54が配設されており、第1ケース40と第1閉塞部材54との間にガラスからなる絶縁層55が配設されている。尚、図6においても、一対の電極20a及び20bを構成する部分のうち表面電極部21a及び21bのみが描かれており、その他の部分は省略されている。
〈効果〉
第3EHCは、上記のように、第1ケースの外周面と第2ケースの内周面との間に挟持された部材である第1閉塞部材を更に備える。これにより、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入を低減して、上述したバイパス問題を低減することができる。また、第1ケースの上流側の端部に第1閉塞部材を配設することにより、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入をより効果的に低減することができ、当該空間における凝縮水及び/又は煤等の滞留を低減することができる。更に、第1ケース及び/又は第2ケースと第1閉塞部材との間に絶縁層を配設することにより、第1閉塞部材の表面、第1閉塞部材と第1ケース及び/若しくは第2ケースとの界面、並びに/又は第1閉塞部材の内部に凝縮水及び/又は煤等が滞留及び/又は付着した場合においても第1ケースと第2ケースとの電気的絶縁を確保することができる。
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第4EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第2EHC及び第3EHCにおいては、それぞれ、第1ガイド部材及び第1閉塞部材によって第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入を低減して、第2EHC及び第3EHCに流入した排気を発熱体へと効果的に導くことにより、上述したバイパス問題を低減することができる。
しかしながら、第2EHCにおいては、第1ガイド部材の外周面と第1ケースの外周面との間に間隙が存在する場合、排気の一部が当該間隙を介して第1ケースと第2ケースとの間の空間へと流入し、バイパス問題を十分に低減することが困難な場合がある。また、プレス加工によって製造された2枚合わせ式のシェルを例えば溶接等の手法によって接合することによって形成される第2ケースにおいては、例えば図7において破線によって囲まれている部分に示すように、当該接合箇所の内周面に窪みが形成される場合がある。この場合、第1ケースの外周面の周方向の全体に亘って延在する環状の形状を有する第1閉塞部材を備える第3EHCにおいても、第1閉塞部材によって上記窪みを十分に閉塞することができず、第2ケースの内周面と第1閉塞部材との間に間隙が形成される虞がある。このようにして第2ケースの内周面と第1閉塞部材との間に間隙が形成されると、排気の一部が当該間隙を介して第1ケースと第2ケースとの間の空間へと流入し、バイパス問題を十分に低減することが困難となる。
〈構成〉
そこで、第4EHCは、上述した第1EHCであって、電気加熱式触媒装置の使用時の状態である第1状態における第2ケースの上流側の開口部から第2ケースの内部空間において下流側へと延在する筒状の部材である第2ガイド部材と、第2ガイド部材と第1ケースとの間に挟持された部材である第2閉塞部材と、を更に備える、電気加熱式触媒装置である。
第2ガイド部材を形成する材料は、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。典型的には、第2ガイド部材を形成する材料はステンレス鋼を始めとする金属である。また、第2ガイド部材の形状は、筒状の形状を有し、第1状態における第2ケースの上流側の開口部から第2ケースの内部空間において下流側へと延在する限り、特に限定されない。また、第2閉塞部材を形成する材料は、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入を低減することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。好ましくは、第2閉塞部材を形成する材料は、電気絶縁材料からなる緩衝材である。例えば、第2閉塞部材は、上述した第1保持部材及び/又は第1閉塞部材を形成する材料と同様の材料によって形成することができる。
また、第2閉塞部材の形状及び配置は、第2ガイド部材と第1ケースとの間の空間における何れかの位置に配設されて第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入を低減することが可能である限り特に限定されない。但し、第2ガイド部材と第1ケースとの位置関係から、典型的には、電気加熱式触媒装置の使用時の状態である第1状態における第1ケースの上流側の端部に第2閉塞部材が配設される。これにより、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入をより効果的に低減することができ、当該空間における凝縮水及び/又は煤等の滞留を低減することができる。また、典型的には、第2閉塞部材は、第2ガイド部材と第1ケースとの間の空間の周方向の全体に亘って延在する環状の形状を有する。
ところで、第2閉塞部材の表面、第2閉塞部材と第2ガイド部材及び/又は第1ケースとの界面、並びに/又は第2閉塞部材の内部に凝縮水及び/又は煤等が滞留及び/又は付着した場合、第2ガイド部材と第1ケースとの間の絶縁抵抗が低下してしまう虞がある。従って、このような場合においても第2ガイド部材と第1ケースとの電気的絶縁を確保する観点からは、第2ガイド部材及び/又は第1ケースと第2閉塞部材との間に絶縁材料を配置することが望ましい。従って、好ましくは、第4EHCは、第2ガイド部材及び/又は第1ケースと第2閉塞部材との間に配設された絶縁材料からなる層である絶縁層を更に備える。
上記絶縁層を構成する絶縁材料は、第2ガイド部材及び/又は第1ケースと第2閉塞部材との間の電気的絶縁を達成することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、上記絶縁層を構成する絶縁材料は、例えばアルミナ及びガラス等のセラミック材料である。上記絶縁層により、第2閉塞部材の表面、第2閉塞部材と第1ケース及び/若しくは第2ガイド部材との界面、並びに/又は第2閉塞部材の内部に凝縮水及び/又は煤等が滞留及び/又は付着した場合においても、第1ケースと第2ガイド部材との間の絶縁抵抗が低下する可能性を低減することができる。
第4EHCの具体的な構成については、図8乃至図10を参照しながら以下に詳しく説明する。但し、以下に説明する第4EHCの構成はあくまでも例示であり、第4EHCの構成は以下の説明及び対応する図面に限定されない。尚、図8乃至図10においても、一対の電極20a及び20bを構成する部分のうち表面電極部21a及び21bのみが描かれており、その他の部分は省略されている。
図8は、第4EHCの構成の1つの例を示す模式的な断面図である。図8に例示する第4EHC104は、第2ケース50の上流側の開口部から第2ケース50の内部空間において下流側へと延在する筒状の部材である第2ガイド部材92と、第2ガイド部材92の外周面の下流側の端部と第1ケース40の内周面の上流側の端部との間に挟持された第2閉塞部材93と、第2ガイド部材92と第2閉塞部材93との間に配設された絶縁材料からなる層である絶縁層94(斜線部)と、を更に備える点を除き、図1及び図2に示した第1EHC101と同様の構成を有する。但し、図8に示す第4EHC104が備える第2ケース50は、第1ケース40を収容する部分の横断面よりも上流側及び下流側の部分の横断面がより小さくなるように形成されており、第2ケース50の上流側及び下流側の開口部の横断面は第1ケース40の横断面よりも小さい。
図8に例示する第2ガイド部材92は、第2ケース50の上流側の開口部の内周面に気密に接合された第1ケース40の内径よりも小さい外径を有する円筒状の部材であり、第2ケース50の上流側の開口部から第1ケース40の上流側の開口部の内側へと延在している。この点において、図8に例示する第2ガイド部材92は、上述した第2EHCが備える第1ガイド部材と同様である。しかしながら、図8に示す第4EHC104においては、第2ガイド部材92の外周面の下流側の端部と第1ケース40の内周面の上流側の端部との間に第2閉塞部材93が挟持されている。これにより、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入をより確実に低減することができる。また、第2ガイド部材92と第2閉塞部材93との間に配設された絶縁層94により、第2閉塞部材93の表面、第2閉塞部材93と第2ガイド部材92及び/又は第1ケース40との界面、並びに/又は第2閉塞部材93の内部に凝縮水及び/又は煤等が滞留及び/又は付着した場合においても、第2ガイド部材92と第1ケース40との間の絶縁抵抗を確保することができる。尚、第2ガイド部材92は、別個の部材として構成されて第2ケースの内周面に固定されていてもよく、或いは例えば第4EHCよりも上流側に配設された排気管等の他の部材の第4EHC側の端部によって構成されていてもよい。
図9に例示する第4EHC104においては、第2ガイド部材92の下流側の端部は径方向における外側に向かって延在するフランジ状に形成されており、第1ケース40の上流側の端部は径方向における内側に延在するバッフル状に形成されている。そして、第2ガイド部材92のフランジ状の部分と第1ケース40のバッフル状の部分との間に第2閉塞部材93が挟持されている。これにより、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入をより確実に低減することができる。また、第2ガイド部材92と第2閉塞部材93との間に配設された絶縁層94により、第2ガイド部材92と第1ケース40との間の絶縁抵抗を確保されている。
図10に例示する第4EHC104においては、第2ガイド部材92の下流側の端部には端部に近付くほど横断面が徐々に広くなるテーパ状の拡径部が形成されており、第1ケース40の上流側の端部には端部に近付くほど横断面が徐々に狭くなるテーパ状の縮径部が形成されている。そして、第2ガイド部材92拡径部と第1ケース40の縮径部との間に第2閉塞部材93が挟持されている。これにより、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入をより確実に低減することができる。また、第2ガイド部材92と第2閉塞部材93との間に配設された絶縁層94により、第2ガイド部材92と第1ケース40との間の絶縁抵抗を確保されている。
〈効果〉
第4EHCは、上記のように、第2ケースの上流側の開口部から第2ケースの内部空間において下流側へと延在する筒状の部材である第2ガイド部材と、第2ガイド部材と第1ケースとの間に挟持された部材である第2閉塞部材と、を備える。これにより、第1ケースと第2ケースとの間の空間への排気の流入をより確実に低減して、上述したバイパス問題をより確実に低減することができる。また、当該空間における凝縮水及び/又は煤等の滞留をより確実に低減することもできる。更に、第1ケース及び/又は第2ケースと第1閉塞部材との間に絶縁層を配設することにより、第1閉塞部材の表面、第1閉塞部材と第1ケース及び/若しくは第2ケースとの界面、並びに/又は第1閉塞部材の内部に凝縮水及び/又は煤等が滞留及び/又は付着した場合においても第1ケースと第2ケースとの電気的絶縁を確保することができる。
《第5実施形態》
以下、本発明の第5実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第5EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
本明細書の冒頭において図31を参照しながら説明したように、発熱体に通電するための電極は、発熱体の外周面に配設された表面電極部と電源との電気的接続のために表面電極部に突設された電極端子としての外部電極部によって一体的に構成されることが一般的である。本発明は、このような電極を有する発熱体を備えるEHCにも適用することができる。
〈構成〉
即ち、第5EHCは、上述した第1EHC乃至第4EHCの何れかであって、一対の電極の各々は、発熱体の外周面に設けられた導電性部材である表面電極部と、表面電極部に突設された導電性部材である外部電極部と、によって一体的に構成されている、電気加熱式触媒装置である。また、第2ケースの外部電極部に対応する位置には第2ケースの外側と内側とを連通する貫通孔である第2孔が形成されている。更に、第5EHCにおいては、第1ケース及び第1保持部材の少なくとも外部電極部に対応する領域に形成された間隙又は貫通孔及び第2孔に外部電極部が挿通されて第2ケースの外部に露出している。
典型的には、表面電極部は、第1ケースの軸方向である第1方向に平行な発熱体の表面である外周面に配設された面状の導電性部材である。このような表面電極部は、例えば溶射及び溶着等の周知の手法により、発熱体の外周面上に形成することができる。外部電極部は、表面電極部に一体的に突設され、表面電極部と電気的に接続されている。従って、一対の電極の各々の外部電極部を介して外部の電源から表面電極部に電力を供給して、通電により発熱体を発熱させることができる。
第2孔は、上記のように、第2ケースの外部電極部に対向する位置に形成された貫通孔であり、第2ケースの外側と内側とを連通する。第2孔の大きさ及び形状は、第2孔に挿通される外部電極部の大きさ及び形状に応じて適宜定められる。第2ケースと外部電極部との間の電気的絶縁をより確実に達成すること等を目的として、例えば、第2孔の内周面と外部電極の外周面との間に絶縁材料を配設してもよい。尚、第2孔の位置は、例えば、発熱体の外周面に設けられた表面電極部に突設された外部電極部の位置に応じて、適宜定めることができる。
上記のように、第5EHCにおいては、第1ケース及び第1保持部材の少なくとも外部電極部に対応する領域に形成された間隙又は貫通孔及び第2孔に外部電極部が挿通されて第2ケースの外部に露出している。即ち、第1ケースの少なくとも外部電極部に対応する領域には、第1ケースを構成する材料が存在しない間隙である第1ケース間隙が形成されている。第1ケース間隙は、第1ケースの外部電極部に対向する位置において第1ケースの外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第1ケース孔として形成されていてもよい。また、第1保持部材の少なくとも外部電極部に対応する領域には電気絶縁材料が存在しない間隙である第1保持部材間隙が形成されている。第1保持部材間隙は、第1保持部材の外部電極部に対向する位置において第1保持部材の外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第1保持部材孔として形成されていてもよい。
そして、外部電極部は、第1ケース間隙、第1保持部材間隙及び第2孔に挿通されて第2ケースの外部に露出している。従って、上述したように、第2ケースの外部に露出している外部電極部に電源を接続し、表面電極部に電力を供給して、通電により発熱体を発熱させることができる。
図11は、第5EHCの構成の一例を示す模式図である。図11の中央に描かれている(a)は同軸状に配置された第1ケース及び第2ケースの共通の軸である第1軸AX1の方向から第5EHC105を観察した場合における模式的な外観図である。(a)においては、第2ケースの内部に収容されている構成要素は省略されている。一点鎖線によって描かれた直線A−Aは第5EHC105が備える一対の外部電極部22a及び22bの軸を通り第1軸AX1と交差する直線であり、一点鎖線によって描かれたB−Bは第5EHC105が備える第1締結部材61の軸を通り第1軸AX1と交差する直線である。
(a)に示すように、第5EHC105においては、直線A−Aと直線B−Bとが第1軸AX1において直交するように、外部電極部22a及び22b並びに第1締結部材61が配置されている。しかしながら、第5EHCにおける外部電極部22a及び22b並びに第1締結部材61の位置関係はこのような配置に限定されない。例えば、直線A−Aと直線B−Bとが90度以外の角度にて交差していてもよく、或いは直線A−Aと直線B−Bとが重なっていてもよい。後者の場合、第2ケース50の外周面における外部電極部22a及び22bの位置と第1締結部材61の位置とを第1軸AX1に平行な方向においてずらす必要がある。
また、一対の外部電極部22a及び22bの軸と第1軸AX1とは必ずしも上記のように直線上に位置する必要はなく、例えば、一方の外部電極部22aの軸と第1軸AX1とを結ぶ直線と他方の外部電極部22bの軸と第1軸AX1とを結ぶ直線とが180度以外の角度にて交差していてもよい。更に、第1締結部材61の軸と第1軸AX1とを結ぶ直線は必ずしも上記のように2本である必要は無く、これらの直線が互いに180度以外の角度にて交差していてもよい。
図11の向かって右側に描かれている(c)は、直線B−B及び第1軸AX1を通る平面による第5EHC105の模式的な断面図である。第5EHC105もまた、上述した第1EHC等と同様に、第1ケース40は第1ケース40の外周面に設けられた固定部材41を更に備え、第2ケース50の固定部材41に対向する位置には第2ケース50の外側と内側とを連通する貫通孔である第1孔51が形成されている。第1締結部材61によって第2ケース50の内部の所定の位置に第1ケース40が固定されている。第1締結部材61はボルトとナットとの組み合わせである。第1締結部材61の各々について、第2ケース50の外周面と第1締結部材61との間及び第2ケース50の内周面と固定部材41との間に、マイカ製のガスケットである第1絶縁部材71がそれぞれ介在している(太い点線によって示す)。これにより、第1ケース40と第2ケース50とが電気的に絶縁されている。
一方、図11の向かって左側に描かれている(b)は、直線A−A及び第1軸AX1を通る平面による第5EHC105の模式的な断面図である。第5EHC105もまた、上述した第1EHC等と同様に、通電により発熱する発熱体10と、発熱体10に通電可能に構成された一対の電極と、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1保持部材30と、発熱体10を収容する筒状の部材である第1ケース40と、第1ケース40を収容する筒状の部材である第2ケース50と、を備える。更に、第1保持部材30は発熱体10と第1ケース40との間に挟持されて、第1ケース40の内部の所定の位置に復元力によって発熱体10を保持している。
但し、第5EHC105においては、一対の電極の各々は、発熱体10の外周面に設けられた導電性部材である表面電極部21a及び21bと、表面電極部21a及び21bにそれぞれ突設された導電性部材である外部電極部22a及び22bと、によって構成されている。また、第2ケース50の外部電極部22a及び22bに対応する位置には第2ケース50の外側と内側とを連通する貫通孔である第2孔56がそれぞれ形成されている。更に、第5EHC105においては、第1ケース40及び第1保持部材30の少なくとも外部電極部22a及び22bに対応する領域に形成された間隙又は貫通孔及び第2孔56に外部電極部22a及び22bがそれぞれ挿通されて第2ケース50の外部に露出している。
尚、図11に例示した第5EHC105においては、第2ケースの外周面において第1締結部材及び第1孔を覆うように冠着された部材である第1蓋体81、外部電極部22a及び22bを第2ケース50に挿通するために第2ケース50に形成された貫通孔である第2孔56、第2ケースの外周面において外部電極部22a及び22b及び第2孔56を覆うように冠着された部材である第2蓋体82、第2蓋体82に形成された貫通孔である第4孔83、第4孔83に挿通された導電性部材である給電部材84、給電部材84と第2蓋体82との間に介在する第5絶縁部材85が描かれているが、これらについては本発明の他の実施形態に関する説明において詳しく後述するので、ここでの説明は省略する。
〈効果〉
第5EHCにおいては、上記のように、発熱体に通電するための電極が、発熱体の外周面に配設された表面電極部と電源との電気的接続のために表面電極部に突設された電極端子としての外部電極部によって一体的に構成されている。第5EHCによれば、このような電極を有する発熱体を備えるEHCにも本発明を適用して、電極の絶縁を確保しつつ発熱体を確実に保持することができる。
《第6実施形態》
以下、本発明の第6実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第6EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第5EHCによれば、発熱体の外周面に配設された表面電極部と電源との電気的接続のために表面電極部に突設された電極端子としての外部電極部によって一体的に構成された電極を有する発熱体を備えるEHCにも、本発明を適用して、電極の絶縁を確保しつつ発熱体を確実に保持することができる。
しかしながら、本明細書の冒頭において述べたように、上記のような構成を有する電極を備える発熱体においては、表面電極部から外部電極部が突出しているため、例えば圧入又はサイジング等の方法によって筒状の第1ケース内に当該発熱体を収めようとしても、第1ケースの端部から当該発熱体をケース内に挿入することができない。従って、このような発熱体をケース内に収めるためには、例えば、第1ケース及び第1保持部材に形成された間隙又は貫通孔によって電極室を設けておき、当該電極室に外部電極部を挿通した状態において、プレス加工によって製造された2枚合わせ式のシェルに発熱体を挟み込んだ後、当該シェルを例えば溶接等の手法によって接合することにより第1ケースを集成する必要があり、生産性が低い。
〈構成〉
そこで、第6EHCは、上述した第1EHC乃至第4EHCの何れかであって、一対の電極の各々は、表面電極部と、外部電極部と、電極接続部と、によって構成されている、電気加熱式触媒装置である。表面電極部は、発熱体の外周面に設けられた導電性部材である。外部電極部は、第2ケースの外周面に露出している部分である端子部を有する導電性部材である。電極接続部は、第2ケースの内部における第1ケースよりも上流側又は下流側の空間を経由して表面電極部と外部電極部とを電気的に接続するように配設された導電性部材である。
表面電極部は、典型的には、第1ケースの軸方向である第1方向に平行な発熱体の表面である外周面に配設された面状の導電性部材である。このような表面電極部は、例えば溶射及び溶着等の周知の手法により、発熱体の外周面上に形成することができる。外部電極部は、典型的には、後述するように、第2ケースに形成された貫通孔である第2孔に挿通される略柱状の形状を有する導電性部材である。
電極接続部は、上記のように、第2ケースの内部における第1ケースよりも上流側又は下流側の空間を経由して表面電極部と外部電極部とを電気的に接続するように配設された導電性部材である。換言すれば、電極接続部は、その一端が表面電極と電気的に接続され、その他端が外部電極部と電気的に接続され、これらの両端の間の部分が第1ケースの上流側又は下流側の端部を迂回するように構成される。これにより、一対の電極の各々の外部電極部の端子部を介して外部の電源から表面電極部に電力を供給して、通電により発熱体を発熱させることができる。
尚、一対の電極の各々を構成する表面電極部、外部電極部及び電極接続部の各々は、必ずしも一体的に構成された部材である必要は無く、例えば、それぞれが複数の部材から構成されており、第6EHCの集成過程において、例えば溶接及び蝋付け等の手法によって複数の部材を接合することにより、それぞれの部分を構成してもよい。逆に、一対の電極の各々を構成する表面電極部、外部電極部及び電極接続部の各々は、必ずしも別個に構成された部材である必要は無く、例えば、表面電極部、外部電極部及び電極接続部のうちの2つ以上の部分が一体的に構成されていてもよい。
また、第2ケースには第2ケースの外側と内側とを連通する貫通孔である第2孔が形成されており、外部電極部は第2孔に挿通されている。第2孔の大きさ及び形状は、外部電極部の横断面に応じて適宜定めることができる。更に、第1ケース及び第2ケースと外部電極部とは電気的に絶縁されている。第1ケース及び第2ケースと外部電極部とを電気的に絶縁するための具体的な構成もまた、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。
図12は、第6EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図12に示す第6EHC106は、第1ガイド部材52を備えておらず、表面電極部21a及び21bと外部電極部22a及び22bと電極接続部23a及び23bとによって一対の電極がそれぞれ構成されており、外部電極部22a及び22bが第2孔56に挿通されており且つ第1ケース40及び第2ケース50と外部電極部22a及び22bとが電気的に絶縁されている点を除き、図4に示した第2EHC102と同様の構成を有する。図13は、図12において太い破線によって囲まれた部分の拡大図である。
図12及び図13に例示する第6EHC106において、表面電極部21a及び21bは、発熱体10の外周面に設けられた導電性部材である。外部電極部22a及び22bもまた導電性部材であり、第2ケース50に形成された貫通孔である第2孔56に挿通されて、端子部22a’及び22b’(斜線部)を第2ケース50の外周面に露出している。電極接続部23a及び23bは、第2ケース50の内部における第1ケース40よりも下流側の空間を経由して表面電極部21a及び21bと外部電極部22a及び22bとを電気的にそれぞれ接続するように配設された導電性部材である。これにより、一対の外部電極部22a及び22bの端子部22a’及び22b’(斜線部)を介して、図示しない外部の電源から表面電極部21a及び21bに電力を供給して、通電により発熱体10を発熱させることができる。
第6EHC106においては、表面電極部21a及び21b、外部電極部22a及び22b並びに電極接続部23a及び23bは第1ケース40及び固定部材41の何れにも接触していない。更に、外部電極部22a及び22bの各々と第2ケース50との間に絶縁部材70がそれぞれ介在することにより、外部電極部22a及び22bの各々と第2ケース50とが電気的に絶縁されている。即ち、第1ケース40及び第2ケース50と外部電極部22a及び22bとは電気的に絶縁されている。
〈効果〉
第6EHCにおいては、上記のように、一対の電極の各々が表面電極部と、外部電極部と、電極接続部と、によって構成されており、第2ケースの内部における第1ケースよりも上流側又は下流側の空間を経由して表面電極部と外部電極部とを電気的に接続するように電極接続部が配設されている。従って、例えば圧入又はサイジング等の方法によって筒状の第1ケース内に発熱体を容易に収めることができるので、高い生産性にて第6EHCを製造することができる。
《第7実施形態》
以下、本発明の第7実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第7EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第6EHCにおいては、一対の電極の各々が表面電極部と、外部電極部と、電極接続部と、によって構成されており、第2ケースの内部における第1ケースよりも上流側又は下流側の空間を経由して表面電極部と外部電極部とを電気的に接続するように電極接続部が配設されている。これにより、例えば圧入又はサイジング等の方法によって筒状の第1ケース内に発熱体を容易に収めることができるので、高い生産性にて第6EHCを製造することができる。
ところで、外部電極部は、必ずしも第6EHCを構成する他の部材とは別個の部材によって構成する必要は無い。例えば、特定の第1締結部材と第1ケース及び第2ケースとの電気的絶縁が確保されている場合は、例えば一対の電極の短絡及び第2ケースへの電極からの漏電等の問題を生ずること無く、この第1締結部材を外部電極部として使用することができる。
〈構成〉
そこで、第7EHCは、上述した第6EHCであって、外部電極部の少なくとも1つは第1締結部材であり、第1ケース及び第2ケースと外部電極部とは電気的に絶縁されている、電気加熱式触媒装置である。
尚、第1EHCに関する説明において述べたように、好ましい態様において、第1締結部材は、例えば、ボルトとナットとの組み合わせとすることができる。従って、好ましい態様において、第7EHCが備える外部電極部の少なくとも1つは、ボルトとナットとの組み合わせとすることができる。但し、第7EHCにおいては、上記のように第1ケース及び第2ケースと外部電極部とが電気的に絶縁されている必要がある。従って、この場合、外部電極部としての第1締結部材を構成するボルト及びナットは何れも固定部材と導通していてはならない。
また、第1ケースと第2ケースと外部電極部とを電気的に絶縁するための具体的な構成もまた、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、第7EHCにおいては、例えば、少なくとも第2ケースの外周面と第1締結部材との間及び第2ケースの内周面と固定部材との間に電気絶縁材料からなる部材である第1絶縁部材をそれぞれ介在させ、外部電極部を構成する第1締結部材と固定部材との間に電気絶縁材料からなる部材である第2絶縁部材を介在させることにより、第1ケース及び第2ケースと外部電極部とを電気的に絶縁することができる。
第2絶縁部材の形状及び材料は、上記のように外部電極部を構成する第1締結部材と固定部材との間に介在して外部電極部と固定部材とを電気的に絶縁することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。第2絶縁部材を形成する材料の具体例としては、前述した第1絶縁材料と同様に、例えばマイカ及びアルミナ等の電気絶縁材料等を挙げることができる。また、第2絶縁部材の形状の具体例としては、例えば、ワッシャ、スペーサ、カラー及びガスケット等を挙げることができる。更に、段付きのワッシャ、スペーサ、カラー等を使用して、例えば、外部電極部を構成する第1締結部材と固定部材に形成された貫通孔の内壁面との電気的絶縁を確保してもよい。
図14は、第7EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。具体的には、図14は、互いに対向する二対の第1締結部材の軸を含み且つ第1ケースの軸方向である第1方向に平行な平面による第7EHCの模式的な断面図である。図14に例示する第7EHC107は、一対の電極の各々が表面電極部21a及び21bと外部電極部22a及び22bと電極接続部23a及び23bとによって構成されており且つ外部電極部22a及び22bが第1締結部材61によって構成されている点を除き、図3に示した第2EHC102と同様の構成を有する。また、図15は、図14において太い破線によって囲まれた部分の拡大図である。
図14及び図15に例示する第7EHC107において外部電極部22a及び22bとして使用される第1締結部材61は、ボルトとナットとの組み合わせとして構成されている。外部電極部22a及び22bの各々について、第2ケース50の外周面と第1締結部材61との間及び第2ケース50の内周面と固定部材41との間に、マイカ製のガスケットである第1絶縁部材71がそれぞれ介在している(太い点線によって示す)。これにより、第1ケース40と第2ケース50とが電気的に絶縁されている。更に、外部電極部22a及び22bと固定部材41との間には、電気絶縁材料からなる部材である第2絶縁部材72が介在している(斜線部)。これにより、外部電極部22a及び22bと第1ケース40とが電気的に絶縁されている。上記の結果、第1ケース40及び第2ケース50と外部電極部22a及び22bとが電気的に絶縁されている。
尚、図14及び図15に例示した第7EHC107においては、第2ケース50の外周面において第1締結部材61、外部電極部22a及び22bとしての第1締結部材61並びに第1孔51を覆うように冠着された部材である第2蓋体82、第2蓋体82に形成された貫通孔である第4孔83、第4孔83に挿通された導電性部材である給電部材84、給電部材84と第2蓋体82との間に介在する第5絶縁部材85が描かれているが、これらについては本発明の他の実施形態に関する説明において詳しく後述するので、ここでの説明は省略する。
〈効果〉
第7EHCにおいては、上記のように、第1ケース及び第2ケースとの電気的絶縁が確保されている第1締結部材によって外部電極部が構成されている。従って、第7EHCによれば、部品点数の増大を低減しつつ、電極の絶縁を確保し且つ発熱体を確実に保持することが可能な電気加熱式触媒装置(EHC)を提供することができる。
《第8実施形態》
以下、本発明の第8実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第8EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第7EHCにおいては、第1ケース及び第2ケースとの電気的絶縁が確保されている第1締結部材によって外部電極部の少なくとも1つを構成することにより、部品点数の増大を低減しつつ、電極の絶縁を確保し且つ発熱体を確実に保持することができる。
しかしながら、例えばEHCの集成手順及び集成装置の仕様等の製造上の理由等から、第1締結部材によって外部電極部を構成するよりも、EHCを構成する他の部材とは別個の部材によって外部電極部を構成する方が望ましい場合もあり得る。
〈構成〉
そこで、第8EHCは、上述した第6EHCであって、外部電極部の少なくとも1つは互いに螺合されて第2ケースに締結されたボルトとナットとからなる第2締結部材であり、電気絶縁材料からなる部材である第3絶縁部材が第2締結部材と第2ケースとの間に介在している、電気加熱式触媒装置である。
外部電極部としての第2締結部材を構成するボルト及びナットの材料は、電極接続部及び表面電極部を介して発熱体に通電可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されず、例えば金属等、電極用材料として広く使用されている材料から適宜選択することができる。また、第3絶縁部材の形状及び材料は、上記のように外部電極部と固定部材との間に介在して外部電極部と固定部材とを電気的に絶縁することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。第3絶縁部材を形成する材料の具体例としては、前述した第1絶縁材料及び第2絶縁材料と同様に、例えばマイカ及びアルミナ等の電気絶縁材料等を挙げることができる。また、第3絶縁部材の形状の具体例としては、例えば、ワッシャ、スペーサ、カラー及びガスケット等を挙げることができる。更に、段付きのワッシャ、スペーサ、カラー等を使用して、例えば、第2締結部材と第2孔の内壁面との電気的絶縁を確保してもよい。
図16は、上記態様に係る第8EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。具体的には、図16は、互いに対向する一対の第1締結部材の軸を含み且つ第1ケースの軸方向である第1方向に平行な平面による第8EHCの模式的な断面図である。図16に例示する第8EHC108においても、一対の電極の各々が表面電極部21a及び21bと外部電極部22a及び22bと電極接続部23a及び23bとによって構成されている。但し、第8EHC108においては、表面電極部21a及び21bが発熱体10の下流側の端部よりも更に下流側の空間まで延在して電極接続部23a及び23bとそれぞれ接続されている。また、図17は、図16において太い破線によって囲まれた部分の拡大図である。
第8EHC108においては、第1締結部材61とは別個の、ボルトとナットとからなる締結部材である第2締結部材62によって外部電極部22a及び22bが構成されている。第2ケース50に形成された第2孔56に当該ボルトが挿通されて、当該ナットと互いに螺合され、当該ボルトのヘッド部と当該ナットとの間に第2ケース50を挟むように締結されている。また、第2締結部材62を構成するボルト及びナットと第2ケース50との間にマイカ製のガスケットである第3絶縁部材73がそれぞれ介在することにより、外部電極部22a及び22bと第2ケース50とが電気的に絶縁されている。
尚、図16及び図17に例示した第8EHC108においては、第2ケース50の外周面において第1締結部材61、外部電極部22a及び22bとしての第2締結部材62並びに第1孔51及び第2孔56を覆うように冠着された部材である第2蓋体82、第2蓋体82に形成された貫通孔である第4孔83、第4孔83に挿通された導電性部材である給電部材84、給電部材84と第2蓋体82との間に介在する第5絶縁部材85が描かれているが、これらについては本発明の他の実施形態に関する説明において詳しく後述するので、ここでの説明は省略する。
〈効果〉
第8EHCにおいては、上記のように、例えば第1締結部材等のEHCを構成する他の部材とは別個の部材である第2締結部材によって外部電極部が構成されている。従って、外部電極部の設計上の自由度が高いので、例えばEHCの集成手順及び集成装置の仕様等の製造上の理由等に応じて、外部電極の構成及び配置を適宜定めることができる。
《第9実施形態》
以下、本発明の第9実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第9EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
第8EHCに関する説明において述べたように、例えばEHCの集成手順及び集成装置の仕様等の製造上の理由等から、第1締結部材によって外部電極部を構成するよりも、EHCを構成する他の部材とは別個の部材によって外部電極部を構成する方が望ましい場合もあり得る。このような外部電極部の構成は、上述した第2締結部材に限定されるものではなく、例えばEHCの設計及び仕様等に応じて、多種多様な構成の中から適宜選択することができる。例えば、第2ケースの外周面に設けられたボス等の電極固定部に雌ねじを刻設し且つ外部電極が備える取付部に雄ねじを刻設しておき、これらを螺合することにより第2ケースに外部電極部を固定してもよい。
〈構成〉
そこで、第9EHCは、上述した第6EHCであって、第2ケースの外周面における第2孔の周縁には電極固定部が設けられており、電極固定部に形成された第2孔に連通する貫通孔である第3孔には雌ねじが刻設されている電気加熱式触媒装置である。また、外部電極部は、外部電極部と電極固定部との間に介在して電極固定部に外部電極部を取り付けるための部分である取付部と、外部電極部と取付部との間に介在する電気絶縁材料からなる部材である第4絶縁部材と、を備える。更に、取付部の外周面には雄ねじが刻設されている。加えて、取付部の外周面に刻設された雄ねじと第3孔に刻設された雌ねじとを螺合することにより電極固定部に外部電極部が固定されている。
外部電極部が備える取付部及び電極固定部の形状及び材料は、上記のように取付部の外周面に刻設された雄ねじと第3孔に刻設された雌ねじとを螺合することにより外部電極部を第2ケースに固定することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。典型的には、電極固定部は、ステンレス鋼を始めとする金属によって形成されたボスであり、第2ケースの外周面に例えば溶接等の手法によって固定される。第4絶縁部材の形状及び材料は、上記のように外部電極部と取付部との間に介在して外部電極部と第2ケースとの電気的絶縁を達成することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。
図18は、第9EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。具体的には、図18は、互いに対向する一対の第1締結部材の軸を含み且つ第1ケースの軸方向である第1方向に平行な平面による第9EHCの模式的な断面図である。図18に例示する第9EHC109においては、第2ケース50の外周面における第2孔56の周縁に電極固定部57が設けられている。電極固定部57には第2孔56に連通する貫通孔である第3孔58が形成されており、第3孔58の内壁には雌ねじが刻設されている。
また、外部電極部22a及び22bの各々は、外部電極部22a及び22bと電極固定部57との間にそれぞれ介在して電極固定部57に外部電極部22a及び22bを取り付けるための部分である取付部24a及び24bを備える。更に、外部電極部22a及び22bの各々は、外部電極部22a及び22bと取付部24a及び24bとの間に介在する電気絶縁材料からなる部材である第4絶縁部材25a及び25bを備える。これにより、外部電極部22a及び22bと第2ケース50とを電気的に絶縁することができる。加えて、取付部24a及び24bの外周面には雄ねじが刻設されており、取付部24a及び24bの外周面に刻設された雄ねじと第3孔58に刻設された雌ねじとを螺合することにより、電極固定部57に外部電極部22a及び22bがそれぞれ固定されている。このようにして、外部電極部22a及び22bが第2ケース50に固定されている。
第9EHC109においては、外部電極部22a及び22bの電極固定部57に挿通される部分である脚部22a’’及び22b’’の各々が表面電極部21a及び21bにそれぞれ直接的に接続されている。即ち、外部電極部22a及び22bは、電極接続部23a及び23bとしての機能をも果たしている。尚、脚部22a’’及び22b’’と表面電極部21a及び21bとは例えば溶接及び蝋付け等の手法によって電気的に接続することができる。
尚、図18に例示した第9EHC109においては、第2ケース50の外周面において第1締結部材61及び第1孔51を覆うように冠着された部材である第1蓋体81が描かれているが、第1蓋体については本発明の他の実施形態に関する説明において詳しく後述するので、ここでの説明は省略する。
〈効果〉
第9EHCにおいては、上記のように、EHCを構成する他の部材とは別個の部材によって外部電極部が構成されている。従って、外部電極部の設計上の自由度が高いので、例えばEHCの集成手順及び集成装置の仕様等の製造上の理由等に応じて、外部電極の構成及び配置を適宜定めることができる。また、第2ケースの外周面に設けられた電極固定部と外部電極とが螺合されるので、第2ケースに外部電極部が固定されている部分において高い気密性を達成することができる。
《第10実施形態》
以下、本発明の第10実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第10EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
前述したように、第5EHCにおいては、発熱体の外周面に設けられた導電性部材である表面電極部と、表面電極部に突設された導電性部材である外部電極部と、によって一対の電極の各々が一体的に構成されている。また、第2ケースの外部電極部に対応する位置には第2ケースの外側と内側とを連通する貫通孔である第2孔が形成されている。更に、第1ケース及び第1保持部材の少なくとも外部電極部に対応する領域に形成された間隙又は貫通孔及び第2孔に外部電極部が挿通されて第2ケースの外部に露出している。例えば、第5EHCの気密性の向上及び外部電極部の第2ケースの外部に露出している部分の保護の観点からは、外部電極部及び第2孔を覆うように封止する部材を設けることが望ましい。
〈構成〉
そこで、第10EHCは、上述した第5EHC乃至第9EHCの何れかであって、第2ケースの外周面において少なくとも外部電極部及び第2孔を覆うように冠着された部材である第2蓋体を更に備える、電気加熱式触媒装置である。また、第2蓋体には第2蓋体の外側と内側とを連通する貫通孔である第4孔が形成されており、第4孔には外部電極部と電気的に接続された導電性部材である給電部材が挿通されている。更に、給電部材と第2蓋体との間には電気絶縁材料からなる部材である第5絶縁部材が介在している。
第2蓋体の形状及び材料は、少なくとも外部電極部及び第2孔を覆うように第2ケースの外周面に冠着(固定)されることが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。典型的には、第2蓋体を形成する材料は、第2ケースと同様に、ステンレス鋼を始めとする金属である。また、典型的には、第2蓋体の形状は椀状である。更に、第2蓋体は、例えば鋼板等のプレス加工等によって一体物として形成されていてもよく、或いは複数の構成部材を集成することによって形成されていてもよい。
第2ケースの外周面に第2蓋体を固定するための具体的な手法は、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。第10EHCの気密性を確保する観点からは、溶接によって第2ケースの外周面に第2蓋体を固定することが望ましい。尚、例えば図11の(b)に示したように、外部電極部22a又は22bと第2孔56との1つの組が1つの第2蓋体82によって覆われていてもよく、或いは、外部電極部22a及び22bの配置によっては、外部電極部22aと第2孔56との組及び外部電極部22bと第2孔56との組が1つの第2蓋体82によって覆われていてもよい。更に、図示しないが、外部電極部22aと第2孔56との組及び/又は外部電極部22bと第2孔56との組並びに第1締結部材61と第1孔51との1つ以上の組が1つの第2蓋体82によって覆われていてもよい。
ところで、当然のことながら、通電により発熱体を発熱させるためには、一対の電極の各々の外部電極部を介して外部の電源から表面電極部に電力を供給する必要がある。従って、上記のように第2蓋体によって覆われている外部電極部と電源とを電気的に接続する部材が第2蓋体を貫通するように配設される必要がある。そこで、第10EHCにおいては、例えば図11の(b)に示したように、第2蓋体82の外側と内側とを連通する貫通孔である第4孔83が第2蓋体82に形成されており、第4孔83には外部電極部22a及び22bと電気的に接続された導電性部材である給電部材84がそれぞれ挿通されている。
更に、上記のように第2蓋体は例えば溶接等の手法により第2ケースの外周面に冠着(固定)される。従って、給電部材と第2蓋体とが導通してしまうと第2ケースへの漏電に繋がる。そこで、第10EHCにおいては、例えば図11の(b)に示したように、給電部材84と第2蓋体82との間に電気絶縁材料からなる部材である第5絶縁部材85が介在している。
〈効果〉
第10EHCにおいては、上記のように、第2ケースの外周面に冠着された第2蓋体によって少なくとも外部電極部及び第2孔が覆われている。これにより、第10EHCの気密性を向上させたり、外部電極部を保護したりすることができる。
《第11実施形態》
以下、本発明の第11実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第11EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第1EHC乃至第10EHCにおいては、第2ケースに形成された第1孔に挿通された第1締結部材によって第2ケースが固定部材に締結され、発熱体を内部に含む第1ケースが第2ケースの内部の所定の位置に固定される。例えば、EHCとしての気密性の向上及び第1締結部材の保護の観点からは、第1締結部材及び第1孔を覆うように封止する部材を設けることが望ましい。
〈構成〉
そこで、第11EHCは、上述した第1EHC乃至第10EHCの何れかであって、第2ケースの外周面において少なくとも第1締結部材及び第1孔を覆うように冠着された部材である第1蓋体を更に備える、電気加熱式触媒装置である。
第1蓋体の形状及び材料は、少なくとも第1締結部材及び第1孔を覆うように第2ケースの外周面に冠着(固定)されることが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。典型的には、第1蓋体を形成する材料は、第2ケースと同様に、ステンレス鋼を始めとする金属である。また、典型的には、第1蓋体の形状は椀状である。更に、第1蓋体は、例えば鋼板等のプレス加工等によって一体物として形成されていてもよく、或いは複数の構成部材を集成することによって形成されていてもよい。
第2ケースの外周面に第1蓋体を固定するための具体的な手法は、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。第11EHCの気密性を確保する観点からは、溶接によって第2ケースの外周面に第1蓋体を固定することが望ましい。尚、例えば図11の(c)及び図18に示したように、第1締結部材61と第1孔51との1つの組が1つの第1蓋体81によって覆われていてもよく、或いは第1締結部材61と第1孔51との複数の組が1つの第1蓋体81によって覆われていてもよい。
〈効果〉
第11EHCにおいては、上記のように、第2ケースの外周面に冠着された第1蓋体によって少なくとも第1締結部材及び第1孔が覆われている。これにより、第11EHCの気密性を向上させたり、第1締結部材を保護したりすることができる。
《第12実施形態》
以下、本発明の第12実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第12EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
ところで、第1EHCに関する説明において述べたように、上述した第1EHC乃至第11EHCにおいては、第1ケースの内周面に絶縁層を設ける必要が無いため、前述したように絶縁材料の摩擦係数が低いことに起因して排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合に第1保持部材が滑り発熱体が下流側にずれる可能性は低い。しかしながら、発熱体そのものは第1ケースと発熱体との間に挟持された第1保持部材の復元力及び発熱体と表面電極部との接合により第1ケースの内部の所定の位置に固定されている。
従って、例えば排気の流速が著しく大きい場合及び発熱体の横断面が著しく大きい場合等、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においては、第1ケースの内周面と第1保持部材との界面、第1保持部材と表面電極部若しくは発熱体の外周面との界面、及び/又は表面電極部と発熱体の外周面との界面において滑りが発生し、発熱体が下流側に移動してしまう可能性がある。その結果、電極の構成によっては、発熱体への確実な通電を確保することが困難となる等の問題が生ずる虞がある。但し、前述したように、表面電極部は、例えば溶射及び溶着等の周知の手法により、発熱体の外周面上に形成することができる。この場合、表面電極部と発熱体の外周面との界面において滑りが発生する可能性は極めて低い。
〈構成〉
そこで、第12EHCは、上述した第1EHC乃至第11EHCの何れかであって、電気加熱式触媒装置(EHC)の使用時の状態である第1状態における発熱体の下流側の端部に当接することにより発熱体の下流側へのずれを防止するように構成された部材であるリテーナを更に備える、電気加熱式触媒装置である。
リテーナの形状及び材料は、発熱体の下流側の端部に当接することにより発熱体の下流側へのずれを防止することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。例えば、リテーナを形成する材料は、セラミック材料等の電気絶縁材料であってもよく、或いはステンレス鋼を始めとする金属であってもよい。
また、発熱体の下流側の端部に当接することにより発熱体の下流側へのずれを防止するための具体的な構成も、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。例えば、リテーナは、その一端が発熱体の下流側の端部に当接し、その他端が第1ケース及び/又は第2ケースに固定されていてもよい。但し、リテーナの他端が第1ケース及び/又は第2ケースに固定される場合は、例えばリテーナを電気絶縁材料によって形成したり、リテーナの一端と発熱体との間に絶縁部材を介在させたり、リテーナの他端と第1ケース及び/又は第2ケースとの間に絶縁部材を介在させたりする必要がある。これにより、例えば一対の電極の短絡並びに第1ケース及び/又は第2ケースへの電極からの漏電等の問題を低減することができる。
図19は、第12EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図19に示す第12EHC112は、リテーナ90を備え、リテーナ90の一端が発熱体10の下流側の端部に当接し、リテーナ90の他端が第1ケース40に固定されている点を除き、図6に示した第3EHC103と同様の構成を有する。このように第1ケース40に固定されているリテーナ90が発熱体10の下流側の端部に当接することにより、発熱体10が下流側に移動する可能性を低減することができる。
〈効果〉
以上のように、第12EHCにおいては、発熱体の下流側の端部にリテーナが当接することにより、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においても、発熱体が下流側に移動する可能性を低減することができる。その結果、発熱体が下流側へと移動することに起因して発熱体への確実な通電を確保することが困難となる等の問題を低減することができる。
《第13実施形態》
以下、本発明の第13実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第13EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第12EHCにおいては、発熱体の下流側の端部にリテーナが当接することにより、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においても、発熱体が下流側に移動してしまう可能性を低減することができる。しかしながら、例えば部品点数の増大に伴う製造コストの増大等の問題を低減する観点からは、第12EHCの既存の部材によってリテーナを構成することが望ましい。
〈構成〉
そこで、第13EHCは、上述した第12EHCであって、一対の電極の両方又は一方がリテーナとして機能するように構成されている、電気加熱式触媒装置である。一対の電極の両方又は一方をリテーナとして機能させるための具体的な構成は特に限定されない。例えば、電極を構成する表面電極部の下流側の端部を発熱体の径方向における内側に向かって延在させて当該部分に発熱体の下流側の端部を当接させてもよい。これにより、たとえ表面電極部と発熱体の外周面との接着強度が十分に高くない場合であっても、表面電極部と発熱体の外周面との界面における滑りの発生を低減することができる。更に、このように構成された表面電極部と電極接続部との(例えば溶接等の手法による)強固な接合及び/又は表面電極部の下流側の端部への電極接続部の当接並びに電極接続部と外部電極部との(例えば溶接等の手法による)強固な接合及び/又は電極接続部の下流側の端部への外部電極部の当接等により、第1ケースの内周面と第1保持部材との界面及び/又は第1保持部材と表面電極部若しくは発熱体の外周面との界面における滑りの発生を低減することができる。或いは、電極を構成する電極接続部及び/又は外部電極部の一部を発熱体の径方向における内側に向かって延在させて、当該部分に発熱体の下流側の端部を当接させてもよい。
図20及び図21は、第13EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図20及び図21に示す第13EHC113は、表面電極部21a及び21bの下流側の端部が発熱体10の径方向における内側に向かって延在して発熱体10の下流側の端部に当接している点を除き、図16及び図17に示した第8EHC108と同様の構成を有する。表面電極部21a及び21bの下流側の端部は、例えば溶接及び蝋付け等の手法により、電極接続部23a及び23bにそれぞれ固定されており、電極接続部23a及び23bは外部電極部22a及び22bによって第2ケース50にそれぞれ締結されている。即ち、表面電極部21a及び21bの位置は第2ケース50に対して固定されている。また、表面電極部21a及び21bの下流側の端部は、発熱体10の下流側の端部に当接している。即ち、発熱体10の下流側の端部に当接している表面電極部21a及び21bと電極接続部23a及び23bとの組み合わせがリテーナ90として機能することにより、発熱体10が下流側に移動する可能性を低減することができる。
〈効果〉
以上のように、第13EHCにおいては、一対の電極の両方又は一方がリテーナとして機能して発熱体の下流側の端部に当接することにより、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においても、発熱体が下流側に移動してしまう可能性を低減することができる。その結果、例えば部品点数の増大を低減しつつ、発熱体が下流側へと移動することに起因して発熱体への確実な通電を確保することが困難となる等の問題を低減することができる。
《第14実施形態》
以下、本発明の第14実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第14EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第12EHC及び第13EHCにおいては、発熱体の下流側の端部にリテーナが当接することにより、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においても、発熱体が下流側に移動してしまう可能性を低減することができる。しかしながら、例えばセラミック材料等の比較的脆い材料によって発熱体が形成されている場合は、例えば排気の流れから発熱体が受ける力の急激な変化及び/又は衝撃等に起因して、発熱体のリテーナに当接する部分に例えば亀裂及び割れ等の損傷が生ずる可能性がある。
〈構成〉
そこで、第14EHCは、上述した第12EHC又は第13EHCであって、リテーナと発熱体との間に挟持された緩衝部材を更に備える、電気加熱式触媒装置である。緩衝部材の構成及び材料は、リテーナと発熱体とが当接する部分における衝撃を緩和することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。緩衝部材を形成する材料の具体例としては、例えば、第1保持部材と同様の材料を使用することができる。
図22及び図23は、第14EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図22及び図23に示す第14EHC114は、発熱体の径方向における内側に向かって延在する表面電極部21a及び21bの下流側の端部と発熱体10の下流側の端部との間に緩衝部材91が挟持されている点を除き、図20及び図21に示した第13EHC112と同様の構成を有する。従って、発熱体10の下流側の端部に(緩衝部材91を介して)当接している表面電極部21a及び21bと電極接続部23a及び23bとの組み合わせがリテーナ90として機能することにより、発熱体10が下流側に移動する可能性を低減することができる。加えて、例えば排気の流れから発熱体が受ける力の急激な変化及び/又は衝撃等を緩衝部材91が少なくとも部分的には吸収及び/又は緩和することができる。
〈効果〉
以上のように、第14EHCは、リテーナと発熱体との間に挟持された緩衝部材を更に備える。これにより、例えばセラミック材料等の比較的脆い材料によって発熱体が形成されている場合においても、例えば排気の流れから発熱体が受ける力の急激な変化及び/又は衝撃等に起因して、発熱体のリテーナに当接する部分に例えば亀裂及び割れ等の損傷が生ずる可能性を低減することができる。
《第15実施形態》
以下、本発明の第15実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第15EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
前述したように、当該技術分野においては、第1ケース(内管)と第2ケース(外管)との間及び内管と発熱体との間に電気絶縁材料からなる緩衝材である保持部材をそれぞれ挟持することにより、外管の内部における所定の位置に内管及び発熱体を保持することが知られている。このような構成を有するEHCにおいては、第1ケース(内管)と第2ケース(外管)との間にも保持部材が挟持されている。従って、排気の一部が内管と外管との間に流れ込んで発熱体を迂回することに起因して、例えば排気浄化触媒が活性化温度に到達し難くなったり排気浄化触媒を経由すること無くEHCから排気が排出されたりする問題(バイパス問題)を低減することができる。
また、上記のような構成を有するEHCにおいては、本明細書の冒頭において述べたように、ケースの上流側から外部電極(外部電極部)を挿入して電極端子(例えば表面電極部と電気的に接続された電極接続部)に接触させることにより電極を構成することが知られている。しかしながら、このように発熱体に通電するための電極部材が保持部材の上流側に配置されている構成においては、EHCの上流側から流入してくる高温の排気への接触に起因する電極の酸化及び/又は腐食等の問題が生ずる虞がある。更に、排気に含まれる凝縮水及び/又は煤等の電極への接触及び/又は付着等に起因する電極と内管及び/又は外管との電気的短絡等の問題が生ずる虞もある。
〈構成〉
そこで、第15EHCは、通電により発熱する発熱体と、発熱体に通電可能に構成された一対の電極と、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1保持部材と、電気絶縁材料からなる緩衝材である第2保持部材と、発熱体を収容する筒状の部材である第1ケースと、第1ケースを収容する筒状の部材である第2ケースと、を備えるEHCである。第1保持部材は発熱体と第1ケースとの間に挟持されており、第2保持部材は第1ケースと第2ケースとの間に挟持されている。
第15EHCが備える発熱体、電極、第1保持部材、第1ケース及び第2ケースについては、前述した第1EHCに関する説明において詳細に述べたので、ここでの説明は省略する。第2保持部材の形状及び材料は、電気絶縁材料からなる緩衝材であり、第1ケースと第2ケースとの間に介在して第2ケースの内部の所定の位置に復元力によって第1ケースを保持することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。
第2保持部材を形成する材料の具体例としては、第1保持部材を形成する材料と同様に、例えばアルミナ系繊維及びアルミナ−シリカ系繊維等の無機繊維及びこのような無機繊維にバインダとしての樹脂を加えたものを挙げることができる。バインダとして使用される樹脂の具体例としては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂等を挙げることができる。第2保持部材を形成する材料と第1保持部材を形成する材料とは、同じであっても異なっていてもよい。
第15EHCにおいて、一対の電極の各々は、表面電極部と、外部電極部と、電極接続部と、によって構成されている。表面電極部は、発熱体の外周面に設けられた導電性部材である。外部電極部は、第2ケースの外周面に露出している部分である端子部を有する導電性部材である。電極接続部は、表面電極部と外部電極部とを電気的に接続するように構成された導電性部材である。
表面電極部は、典型的には、第1ケースの軸方向である第1方向に平行な発熱体の表面である外周面に配設された面状の導電性部材である。このような表面電極部は、例えば溶射及び溶着等の周知の手法により、発熱体の外周面上に形成することができる。外部電極部は、典型的には、後述するように、第2ケースに形成された貫通孔である第2孔に挿通される略柱状の形状を有する導電性部材である。
電極接続部は、上記のように、表面電極部と外部電極部とを電気的に接続するように構成された導電性部材である。換言すれば、電極接続部は、その一端が表面電極と電気的に接続され、その他端が外部電極部と電気的に接続され、これにより、一対の電極の各々の外部電極部の端子部を介して外部の電源から表面電極部に電力を供給して、通電により発熱体を発熱させることができる。
尚、一対の電極の各々を構成する表面電極部、外部電極部及び電極接続部の各々は、必ずしも一体的に構成された部材である必要は無く、例えば、それぞれが複数の部材から構成されており、第15EHCの集成過程において、例えば溶接及び蝋付け等の手法によって複数の部材を接合することにより、それぞれの部分を構成してもよい。逆に、一対の電極の各々を構成する表面電極部、外部電極部及び電極接続部の各々は、必ずしも別個に構成された部材である必要は無く、例えば、表面電極部、外部電極部及び電極接続部のうちの2つ以上の部分が一体的に構成されていてもよい。
また、第2ケースには第2ケースの外側と内側とを連通する貫通孔である第2孔が形成されており、外部電極部は第2孔に挿通されている。第2孔の大きさ及び形状は、外部電極部の横断面に応じて適宜定めることができる。更に、第1ケース及び第2ケースと外部電極部とは電気的に絶縁されている。第1ケース及び第2ケースと外部電極部とを電気的に絶縁するための具体的な構成もまた、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。
加えて、第15EHCにおいては、電気加熱式触媒装置の使用時の状態である第1状態において、電極接続部の少なくとも一部及び外部電極部の少なくとも第2ケースの内側に位置する部分は第1保持部材及び第2保持部材の下流側の端部よりも下流側に配設されている。これにより、第15EHCの上流側から流入してくる排気が電極に直接的に接触することが回避される。
図33は、第15EHCの構成の1つの具体例を示す模式的な断面図である。図33に示す第15EHC115は、固定部材41、第1孔51、第1締結部材61及び第1絶縁部材71を備えておらず、第1ケース40と第2ケース50との間に挟持された第2保持部材31を備える点を除き、図12に示した第6EHC106と同様の構成を有する。図34は、図33において太い破線によって囲まれた部分の拡大図である。
図33及び図34に例示する第15EHC115において、表面電極部21a及び21bは、発熱体10の外周面に設けられた導電性部材である。外部電極部22a及び22bもまた導電性部材であり、第2ケース50に形成された貫通孔である第2孔56に挿通されて、端子部22a’及び22b’(斜線部)を第2ケース50の外周面に露出している。電極接続部23a及び23bは、表面電極部21a及び21bと外部電極部22a及び22bとを電気的にそれぞれ接続するように構成された導電性部材である。これにより、一対の外部電極部22a及び22bの端子部22a’及び22b’(斜線部)を介して、図示しない外部の電源から表面電極部21a及び21bに電力を供給して、通電により発熱体10を発熱させることができる。
第15EHC115においては、表面電極部21a及び21b、外部電極部22a及び22b並びに電極接続部23a及び23bは第1ケース40に接触していない。更に、外部電極部22a及び22bの各々と第2ケース50との間に絶縁部材70がそれぞれ介在することにより、外部電極部22a及び22bの各々と第2ケース50とが電気的に絶縁されている。即ち、第1ケース40及び第2ケース50と外部電極部22a及び22bとは電気的に絶縁されている。
更に、第15EHC115においては、第15EHC115の使用時の状態である第1状態において、電極接続部23a及び23bの少なくとも一部並びに外部電極部22a及び22bの少なくとも第2ケース50の内側に位置する部分は第1保持部材30及び第2保持部材31の下流側の端部よりも下流側に配設されている。一方、表面電極部21a及び21bは発熱体10の外周面に設けられており、第1ケース40の内周面と発熱体10の外周面との間には第1保持部材30が挟持されている。これにより、第15EHC115の上流側から流入してくる排気が電極20a及び20bに直接的に接触することが回避される。
但し、外部電極部22a及び22b並びに電極接続部23a及び23bの近傍以外の部分においては、第1保持部材30及び第2保持部材31の何れか一方又は両方の下流側の端部が外部電極部22a及び22b並びに電極接続部23a及び23bよりも下流側まで延在していてもよい。換言すれば、第1保持部材30及び第2保持部材31の下流側の端部における外部電極部22a及び22b並びに電極接続部23a及び23bの近傍の部分に切り欠きが形成されていてもよい。
図35は、上記のように第1保持部材30及び第2保持部材31の下流側の端部における外部電極部22a及び22b並びに電極接続部23a及び23bの近傍の部分に切り欠きが形成されている態様を示す模式図である。図35においては、当該態様についての理解を容易にすることを目的として、第2ケース50並びに外部電極部22a及び22bを取り外した第15EHCを電極接続部23aの側から観察した状態が描かれている。発熱体10と第1ケース40との間には図示しない第1保持部材30が挟持されており、太い破線によって囲まれている部分において、第1保持部材30、第2保持部材31及び第1ケース40に切り欠きが形成されていている。そして、当該切り欠きによって露出している表面電極部21aには電極接続部23aが電気的に接続されており、電極接続部23aが図示しない外部電極部22aと電気的に接続されている。
上記のように、図35に例示する第15EHCにおいては、図示しない外部電極部22a及び電極接続部23aの近傍においては、第1保持部材30及び第2保持部材31の下流側の端部が図中において一点鎖線DEによって示されている位置にあり、図示しない外部電極部22a及び電極接続部23aが一点鎖線DEよりも下流側に配設されている。本発明においては、このような構成もまた、電極接続部の少なくとも一部及び外部電極部の少なくとも第2ケースの内側に位置する部分が第1保持部材及び第2保持部材の下流側の端部よりも下流側に配設されているという要件を満たすものとする。
尚、図35に例示した構成においては、図示しない外部電極部22a及び電極接続部23aが第1保持部材30及び第2保持部材31の下流側の端部よりも下流側であり且つ発熱体10の下流側の端部よりも上流側に配設されている(従って、図35に例示した第15EHCは後述する第16EHCにも該当する)。しかしながら、第15EHCにおいては、第1状態において電極接続部の少なくとも一部及び外部電極部の少なくとも第2ケースの内側に位置する部分が第1保持部材及び第2保持部材の下流側の端部よりも下流側に配設されていればよく、これらが必ずしも発熱体の下流側の端部よりも上流側に配設されている必要は無い。
〈効果〉
以上のように、第15EHCにおいては、第1保持部材は発熱体と第1ケースとの間に挟持されており、第2保持部材は第1ケースと第2ケースとの間に挟持されている。その結果、排気の一部が第1ケースと第2ケースとの間に流れ込んで発熱体を迂回することに起因して、例えば排気浄化触媒が活性化温度に到達し難くなったり排気浄化触媒を経由すること無くEHCから排気が排出されたりする問題(バイパス問題)を低減することができる。
加えて、第15EHCにおいては、電気加熱式触媒装置の使用時の状態である第1状態において、電極接続部の少なくとも一部及び外部電極部の少なくとも第2ケースの内側に位置する部分は第1保持部材及び第2保持部材の下流側の端部よりも下流側に配設されている。これにより、第15EHCの上流側から流入してくる排気が電極に直接的に接触することが回避される。その結果、EHCの上流側から流入してくる高温の排気への接触に起因する電極の酸化及び/又は腐食等の問題、並びに、排気に含まれる凝縮水及び/又は煤等の電極への接触及び/又は付着等に起因する電極と内管及び/又は外管との電気的短絡等の問題を低減することができる。
《第16実施形態》
以下、本発明の第16実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第16EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第15EHCにおいては、第1状態において、電極接続部の少なくとも一部及び外部電極部の少なくとも第2ケースの内側に位置する部分が第1保持部材及び第2保持部材の下流側の端部よりも下流側に配設されている。これにより、第15EHCの上流側から流入してくる排気が電極に直接的に接触することが回避される。その結果、EHCの上流側から流入してくる高温の排気への接触に起因する電極の酸化及び/又は腐食等の問題、並びに、排気に含まれる凝縮水及び/又は煤等の電極への接触及び/又は付着等に起因する電極と内管及び/又は外管との電気的短絡等の問題を低減することができる。
しかしながら、発熱体の下流側の端部からは発熱体によって加熱された排気が流出してくるため、このような高温の排気に外部電極部及び電極接続部が接触することに起因して、電極の酸化及び/又は腐食等の問題が発生する虞がある。
〈構成〉
そこで、第16EHCは、上述した第15EHCであって、第1状態において、外部電極部の少なくとも第2ケースの内側に位置する部分及び電極接続部が発熱体の下流側の端部よりも上流側に配設されている、電気加熱式触媒装置である。
上述したように、第15EHCにおいては、第1状態において、電極接続部の少なくとも一部及び外部電極部の少なくとも第2ケースの内側に位置する部分が第1保持部材及び第2保持部材の下流側の端部よりも下流側に配設されている。従って、第16EHCにおいては、電極接続部の少なくとも一部及び外部電極部の少なくとも第2ケースの内側に位置する部分が第1保持部材及び第2保持部材の下流側の端部よりも下流側であり且つ発熱体の下流側の端部よりも上流側に配設されている。これにより、第16EHCの上流側から流入してくる排気のみならず、発熱体によって加熱されて発熱体の下流側の端部から流出してくる排気もまた、電極に直接的に接触することが回避される。
図36は、第16EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図36に示す第16EHC116は、電極接続部23a及び23b並びに外部電極部22a及び22bが第1保持部材30及び第2保持部材31の下流側の端部よりも下流側であり且つ発熱体10の下流側の端部よりも上流側に配設されている点を除き、図33に示した第15EHC115と同様の構成を有する。図37は、図36において太い破線によって囲まれた部分の拡大図である。
図36及び図37に例示する第16EHC116においては、少なくとも外部電極部22a及び22b並びに電極接続部23a及び23bの近傍において、第1保持部材30、第2保持部材31及び第1ケース40の下流側の端部が発熱体10の下流側の端部よりも上流側に位置する。そして、第1ケース40の軸方向である第1方向において、第1保持部材30、第2保持部材31及び第1ケース40の下流側の端部と発熱体10の下流側の端部との間の領域に、外部電極部22a及び22b並びに電極接続部23a及び23bが配設されている。
上記構成により、第16EHC116の上流側から流入してくる排気のみならず、発熱体10によって加熱されて発熱体10の下流側の端部から流出してくる排気もまた、外部電極部22a及び22b並びに電極接続部23a及び23bに直接的に接触することが回避される。一方、表面電極部21a及び21bについては、そもそも発熱体10の下流側の端部よりも上流側に位置するので、発熱体10によって加熱されて発熱体10の下流側の端部から流出してくる排気に直接的に接触することは無い。
〈効果〉
以上のように、第16EHCにおいては、電極接続部の少なくとも一部及び外部電極部の少なくとも第2ケースの内側に位置する部分が第1保持部材及び第2保持部材の下流側の端部よりも下流側であり且つ発熱体の下流側の端部よりも上流側に配設されている。これにより、第16EHCの上流側から流入してくる排気のみならず、発熱体によって加熱されて発熱体の下流側の端部から流出してくる排気もまた、電極に直接的に接触することが回避される。その結果、高温の排気への接触に起因する電極の酸化及び/又は腐食等の問題をより確実に低減することができる。
《第17実施形態》
以下、本発明の第17実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第17EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第15EHC及び第16EHCにおいては、発熱体と第1ケースとの間に第1保持部材が挟持され且つ第1ケースと第2ケースとの間に第2保持部材が挟持されることにより、第2ケースの内部における所定の位置に発熱体が保持されている。このため、第2ケースの内部における発熱体の組み付け誤差等に起因して、例えば第2ケースと電極との間及び発熱体と電極との間等において応力が作用する場合がある。また、例えば、EHCの構成(例えば、構造及び構成部材の材料等)によっては、個々の部材の間における温度及び/又は熱膨張係数の違い等に起因して、例えば第2ケースと電極との間及び発熱体と電極との間等において応力が作用する場合がある。このような応力の大きさによっては、例えば発熱体と電極との間及び電極を構成する各部分の間における接触不良並びに電極の変形等の問題に繋がる虞がある。
〈構成〉
そこで、第17EHCは、上述した第15EHC又は第16EHCであって、第1ケースの軸方向である第1方向に平行な方向及び/又は第1方向に垂直な方向において電極に作用する応力を緩和することが可能であるように電極接続部が構成されている、電気加熱式触媒装置である。
第17EHCが備える電極接続部の具体的な構成は、第1方向に平行な方向及び/又は垂直な方向において電極に作用する応力を緩和することが可能である限り、特に限定されない。例えば、電極接続部は、第1方向に平行な方向及び/又は垂直な方向において弾性変形が可能な部分を備えていてもよく、第1方向に平行な方向及び/又は垂直な方向において摺動可能な部分を備えていてもよい。
例えば、第17EHCが備える電極接続部は、弾性変形が可能な導電性部材である応力緩和部材を含むことができる。応力緩和部材の具体的な構成は、弾性変形が可能な導電性部材である限り、特に限定されない。典型的には、応力緩和部材は、例えば金属等の導電性材料によって形成された弦巻バネ及び板バネ等の弾性体である。また、例えば特定の方向においてのみ摺動可能に構成された機構等と組み合わせることにより、応力緩和部材の弾性変形を特定の方向に限定してもよい。
図38は、上記のような第17EHCの構成の1つの具体例を示す部分拡大図である。図38に示す第17EHC117aは、弾性変形が可能な導電性部材である応力緩和部材26aが電極接続部23aの途中に介装されている点を除き、図34に示した第15EHC115と同様の構成を有する。また、図39は、上記のような第17EHCの構成のもう1つの具体例を示す部分拡大図である。図39に示す第17EHC117bは、弾性変形が可能な導電性部材である応力緩和部材26aが電極接続部23aの途中に介装されている点を除き、図37に示した第16EHC116と同様の構成を有する。
尚、図38及び図39においては、それぞれ第17EHC117a及び第17EHC117bが備える一対の電極のうちの一方の電極の近傍についてのみ図示したが、当然のことながら、これら一対の電極のうちの他方の電極の近傍についても、上記と同様に構成することができる。
或いは、第17EHCは、電極接続部が少なくとも第1部材と第2部材とを含み、第1方向に垂直な方向及び/又は第1方向に平行な方向において摺動自在に第1部材及び第2部材とが面接触している、ように構成することができる。
図40は、上記のような第17EHCの構成の1つの具体例を示す部分拡大図である。図40に示す第17EHC117cは、電極接続部23aが第1部材23a1及び第2部材23a2を含み、第1方向に垂直な方向において摺動自在に第1部材23a1と第2部材23a2とが面接触している点を除き、図34に示した第15EHC115と同様の構成を有する。
また、図41は、上記のような第17EHCの構成のもう1つの具体例を示す部分拡大図である。図41に示す第17EHC117dは、電極接続部23aが第1部材23a1及び第2部材23a2を含み、第1方向に平行な方向において摺動自在に第1部材23a1と第2部材23a2とが面接触している点を除き、図37に示した第16EHC116と同様の構成を有する。
或いは、第17EHCは、電極接続部が少なくとも第1部材と第2部材とを含み、第1方向に垂直な方向及び/又は第1方向に平行な方向において摺動自在に第1部材及び第2部材とが面接触していると共に、第1部材及び第2部材の何れか一方又は両方が互いに近付く向きに付勢されている、ように構成することができる。
図42は、上記のような第17EHCの構成の1つの具体例を示す部分拡大図である。図42に示す第17EHC117eは、第2部材23a2の途中に介装された弾性体27aによって第1部材23a1に近付く向きに第2部材23a2が付勢されている点を除き、図40に示した第17EHC117cと同様の構成を有する。
また、図43は、上記のような第17EHCの構成のもう1つの具体例を示す部分拡大図である。図43に示す第17EHC117fは、第2部材23a2の途中に介装された弾性体27aによって第1部材23a1に近付く向きに第2部材23a2が付勢されている点を除き、図41に示した第17EHC117dと同様の構成を有する。弾性体27aとしては、例えば、上述した応力緩和部材26aと同様の部材を採用することができる。但し、第1部材23a1と第2部材23a2とを互いに近付く向きに付勢するための手段は弾性体に限定されない。
尚、図42及び図43においては、それぞれ第17EHC117e及び第17EHC117fが備える電極接続部23aに含まれる第2部材23a2の途中に介装された弾性体27aによって第1部材23a1に近付く向きに第2部材23a2が付勢されている構成を例示した。しかしながら、第1部材23a1の途中に介装された弾性体27aによって第2部材23a2に近付く向きに第1部材23a1が付勢されていてもよく、或いは、第1部材23a1及び第2部材23a2の両方の途中にそれぞれ介装された弾性体27aによって第1部材23a1及び第2部材23a2の両方が互いに近付く向きに付勢されていてもよい。
また、例えば特定の方向においてのみ摺動可能に構成された機構等と組み合わせることにより、第1部材23a1及び/又は第2部材23a2が付勢される方向を第1部材23a1と第2部材23a2とが互いに近付く方向に限定してもよい。更に、図42及び図43においては、それぞれ第17EHC117e及び第17EHC117fが備える一対の電極のうちの一方の電極の近傍についてのみ図示したが、当然のことながら、これら一対の電極のうちの他方の電極の近傍についても、上記と同様に構成することができる。
〈効果〉
上記のように、第17EHCにおいては、第1ケースの軸方向である第1方向に平行な方向及び/又は第1方向に垂直な方向において電極に作用する応力を緩和することが可能であるように電極接続部が構成されている。これにより、例えば、上述したように第2ケースの内部における発熱体の組み付け誤差並びに/又は個々の部材の間における温度及び/若しくは熱膨張係数の違い等に起因する応力が発生しても、応力緩和部材によって当該応力を緩和することができる。その結果、このような応力に起因して生じ得る、発熱体と電極との間及び電極を構成する各部分の間における接触不良並びに電極の変形等の問題を低減することができる。
《第18実施形態》
以下、本発明の第18実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第18EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。第8EHCについて上述したように、ボルトとナットとからなる締結部材によって外部電極部を構成することができる。
〈構成〉
そこで、第18EHCは、上述した第15EHC乃至第17EHCの何れかであって、外部電極部の少なくとも1つは互いに螺合されて第2ケースに締結されたボルトとナットとからなる第2締結部材であり、電気絶縁材料からなる部材である第3絶縁部材が第2締結部材と第2ケースとの間に介在している、電気加熱式触媒装置である。第2締結部材及び第3絶縁部材の詳細については、第8EHCについて既に述べたので、ここでの説明は省略する。
図44は、第18EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図44に例示する第18EHC118は、互いに螺合されて第2ケース50に締結されたボルトとナットとからなる第2締結部材62によって外部電極部22a及び22bが構成されており、電気絶縁材料からなる部材である第3絶縁部材73が第2締結部材62と第2ケース50との間に介在している点を除き、基本的には、図33に示した第15EHC115と同様の構成を有する。より具体的には、第2ケース50に形成された第2孔56に当該ボルトが挿通されて、当該ナットと互いに螺合され、当該ボルトのヘッド部と当該ナットとの間に第2ケース50を挟むように締結されている。また、第2締結部材62を構成するボルト及びナットと第2ケース50との間にマイカ製のガスケットである第3絶縁部材73がそれぞれ介在することにより、外部電極部22a及び22bと第2ケース50とが電気的に絶縁されている。
〈効果〉
第18EHCにおいては、上記のように、互いに螺合されて第2ケースに締結されたボルトとナットとからなる第2締結部材によって外部電極部が構成されている。従って、外部電極部の設計上の自由度が高いので、例えばEHCの集成手順及び集成装置の仕様等の製造上の理由等に応じて、外部電極の構成及び配置を適宜定めることができる。
《第19実施形態》
以下、本発明の第19実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第19EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。第9EHCについて上述したように、例えば、第2ケースの外周面に設けられたボス等の電極固定部に雌ねじを刻設し且つ外部電極が備える取付部に雄ねじを刻設しておき、これらを螺合することにより第2ケースに外部電極部を固定してもよい。
〈構成〉
そこで、第19EHCは、上述した第15EHC乃至第17EHCの何れかであって、第2ケースの外周面における第2孔の周縁には電極固定部が設けられており、電極固定部に形成された第2孔に連通する貫通孔である第3孔には雌ねじが刻設されている電気加熱式触媒装置である。また、外部電極部は、外部電極部と電極固定部との間に介在して電極固定部に外部電極部を取り付けるための部分である取付部と、外部電極部と取付部との間に介在する電気絶縁材料からなる部材である第4絶縁部材と、を備える。更に、取付部の外周面には雄ねじが刻設されており、取付部の外周面に刻設された雄ねじと第3孔に刻設された雌ねじとを螺合することにより電極固定部に外部電極部が固定されている。外部電極部が備える取付部及び電極固定部並びに第4絶縁部材の詳細については、第9EHCについて既に述べたので、ここでの説明は省略する。
図45は、第19EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図45に例示する第19EHC119は、第1ケースの外周面に設けられた固定部材及び第2ケースに形成された第1孔に挿通された第1締結部材に代えて、第1ケース40と第2ケース50との間に挟持された第2保持部材31によって第2ケース50の内部の所定の位置に第1ケース40が固定されている点を除き、図18に示した第9EHC109と同様の構成を有する。
従って、第19EHC119においても、上述した第9EHC109と同様に、第2ケース50の外周面における第2孔56の周縁に電極固定部57が設けられている。電極固定部57には第2孔56に連通する貫通孔である第3孔58が形成されており、第3孔58の内壁には雌ねじが刻設されている。
また、外部電極部22a及び22bの各々は、外部電極部22a及び22bと電極固定部57との間にそれぞれ介在して電極固定部57に外部電極部22a及び22bを取り付けるための部分である取付部24a及び24bを備える。更に、外部電極部22a及び22bの各々は、外部電極部22a及び22bと取付部24a及び24bとの間に介在する電気絶縁材料からなる部材である第4絶縁部材25a及び25bを備える。これにより、外部電極部22a及び22bと第2ケース50とを電気的に絶縁することができる。加えて、取付部24a及び24bの外周面には雄ねじが刻設されており、取付部24a及び24bの外周面に刻設された雄ねじと第3孔58に刻設された雌ねじとを螺合することにより、電極固定部57に外部電極部22a及び22bがそれぞれ固定されている。このようにして、外部電極部22a及び22bが第2ケース50に固定されている。
第9EHC109においては、外部電極部22a及び22bの電極固定部57に挿通される部分である脚部22a’’及び22b’’の各々が表面電極部21a及び21bにそれぞれ直接的に接続されている。即ち、外部電極部22a及び22bは、電極接続部23a及び23bとしての機能をも果たしている。尚、脚部22a’’及び22b’’と表面電極部21a及び21bとは例えば溶接及び蝋付け等の手法によって電気的に接続することができる。
〈効果〉
第19EHCにおいても、上述した第9EHCと同様に、EHCを構成する他の部材とは別個の部材によって外部電極部が構成されている。従って、外部電極部の設計上の自由度が高いので、例えばEHCの集成手順及び集成装置の仕様等の製造上の理由等に応じて、外部電極の構成及び配置を適宜定めることができる。また、第2ケースの外周面に設けられた電極固定部と外部電極とが螺合されるので、第2ケースに外部電極部が固定されている部分において高い気密性を達成することができる。
《第20実施形態》
以下、本発明の第20実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第20EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第15EHCにおいては、第2ケースの外部電極部に対応する位置には第2ケースの外側と内側とを連通する貫通孔である第2孔が形成されており、外部電極部は第2孔に挿通されて第2ケースの外部に露出している。従って、EHCの気密性の向上及び外部電極部の第2ケースの外部に露出している部分の保護の観点からは、外部電極部及び第2孔を覆うように封止する部材を設けることが望ましい。
〈構成〉
そこで、第20EHCは、上述した第15EHC乃至第19EHCの何れかであって、第2ケースの外周面において少なくとも外部電極部及び第2孔を覆うように冠着された部材である第2蓋体を更に備える、電気加熱式触媒装置である。また、第2蓋体には第2蓋体の外側と内側とを連通する貫通孔である第4孔が形成されており、第4孔には外部電極部と電気的に接続された導電性部材である給電部材が挿通されている。更に、給電部材と第2蓋体との間には電気絶縁材料からなる部材である第5絶縁部材が介在している。第2蓋体、給電部材及び第5絶縁部材の詳細については、第10EHCについて既に述べたので、ここでの説明は省略する。
図46は、第20EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図46に例示する第20EHC120は、第2ケース50の外周面において少なくとも外部電極部22a及び22b並びに第2孔56を覆うように冠着された部材である第2蓋体82を更に備え、第2蓋体82には第2蓋体82の外側と内側とを連通する貫通孔である第4孔が形成されており、第4孔には外部電極部22a及び22bと電気的に接続された導電性部材である給電部材84が挿通されており、給電部材84と第2蓋体82との間には電気絶縁材料からなる部材である第5絶縁部材85が介在している点を除き、図44に示した第18EHC118と同様の構成を有する。
〈効果〉
第20EHCにおいては、上記のように、第2ケースの外周面に冠着された第2蓋体によって少なくとも外部電極部及び第2孔が覆われている。これにより、第20EHCの気密性を向上させたり、外部電極部を保護したりすることができる。
《第21実施形態》
以下、本発明の第21実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第21EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第15EHC乃至第20EHCにおいては、発熱体と第1ケースとの間に挟持された第1保持部材の復元力及び発熱体と表面電極部との接合により第1ケースの内部の所定の位置に発熱体が固定されている。更に、第1ケースと第2ケースとの間に挟持された第2保持部材の復元力により第2ケースの内部の所定の位置に第1ケースが固定されている。
従って、本明細書の冒頭において述べたように、例えば排気の流速が著しく大きい場合及び発熱体の横断面が著しく大きい場合等、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においては、第2ケースの内周面と第2保持部材との界面、第2保持部材と第1ケースの外周面との界面、第1ケースの内周面と第1保持部材との界面、第1保持部材と表面電極部若しくは発熱体の外周面との界面、及び/又は表面電極部と発熱体の外周面との界面において滑りが発生し、発熱体が下流側に移動してしまう可能性がある。その結果、電極の構成によっては、発熱体への確実な通電を確保することが困難となる等の問題が生ずる虞がある。但し、前述したように、表面電極部は、例えば溶射及び溶着等の周知の手法により、発熱体の外周面上に形成することができる。この場合、表面電極部と発熱体の外周面との界面において滑りが発生する可能性は極めて低い。
しかしながら、前述したように、例えば電極から第1ケース及び/又は第2ケースへの漏電の可能性を低減すること等を目的として、上記界面の何れかに絶縁層を介在させる場合がある。このような絶縁層は、例えばアルミナ及びガラス等のセラミック材料によって構成されることが一般的であり、第1ケース及び/又は第2ケースの一般的な構成材料である金属等と比較して、保持部材との摩擦係数がより小さい。従って、例えば排気の流速が大きい場合及び発熱体の横断面が大きい場合等、排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合において保持部材が滑り、発熱体が下流側に移動してしまう虞がある。
〈構成〉
そこで、第21EHCは、上述した第15EHC乃至第20EHCの何れかであって、電気加熱式触媒装置(EHC)の使用時の状態である第1状態における発熱体の下流側の端部に当接することにより発熱体の下流側へのずれを防止するように構成された部材であるリテーナを更に備える、電気加熱式触媒装置である。尚、リテーナの形状及び材料並びに発熱体の下流側の端部に当接することにより発熱体の下流側へのずれを防止するための具体的な構成等については、第12EHCについて既に述べたので、ここでの説明は省略する。
図47は、第21EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図47に例示する第21EHC121は、第1ケースの外周面に設けられた固定部材及び第2ケースに形成された第1孔に挿通された第1締結部材に代えて、第1ケース40と第2ケース50との間に挟持された第2保持部材31によって第2ケース50の内部の所定の位置に第1ケース40が固定されている点並びに第1閉塞部材54及び絶縁層55を備えない点を除き、図19に示した第12EHC112と同様の構成を有する。
従って、第21EHC121もまた、上述した第12EHC112と同様に、リテーナ90を備え、リテーナ90の一端が発熱体10の下流側の端部に当接し、リテーナ90の他端が第1ケース40に固定されている。このように第1ケース40に固定されているリテーナ90が発熱体10の下流側の端部に当接することにより、発熱体10が下流側に移動する可能性を低減することができる。尚、第12EHCについて上述したように、リテーナ90の他端が第2ケース50に固定されていてもよい。
〈効果〉
以上のように、第21EHCにおいては、発熱体の下流側の端部にリテーナが当接することにより、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においても、発熱体が下流側に移動する可能性を低減することができる。その結果、発熱体が下流側へと移動することに起因して発熱体への確実な通電を確保することが困難となる等の問題を低減することができる。
《第22実施形態》
以下、本発明の第22実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第22EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第21EHCにおいては、発熱体の下流側の端部にリテーナが当接することにより、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においても、発熱体が下流側に移動してしまう可能性を低減することができる。しかしながら、例えば部品点数の増大に伴う製造コストの増大等の問題を低減する観点からは、第21EHCの既存の部材によってリテーナを構成することが望ましい。
〈構成〉
そこで、第22EHCは、上述した第21EHCであって、一対の電極の両方又は一方がリテーナとして機能するように構成されている、電気加熱式触媒装置である。尚、一対の電極の両方又は一方をリテーナとして機能させるための具体的な構成等については、第13EHCについて既に述べたので、ここでの説明は省略する。
図48は、第22EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図48に例示する第22EHC122は、表面電極部21a及び21bの下流側の端部が発熱体10の径方向における内側に向かって延在して発熱体10の下流側の端部に当接している点を除き、図46に示した第20EHC120と同様の構成を有する。表面電極部21a及び21bの下流側の端部は、例えば溶接及び蝋付け等の手法により、電極接続部23a及び23bにそれぞれ固定されており、電極接続部23a及び23bは外部電極部22a及び22bによって第2ケース50にそれぞれ締結されている。即ち、表面電極部21a及び21bの位置は第2ケース50に対して固定されている。また、表面電極部21a及び21bの下流側の端部は、発熱体10の下流側の端部に当接している。即ち、発熱体10の下流側の端部に当接している表面電極部21a及び21bと電極接続部23a及び23bとの組み合わせがリテーナ90として機能することにより、発熱体10が下流側に移動する可能性を低減することができる。
〈効果〉
以上のように、第22EHCにおいては、一対の電極の両方又は一方がリテーナとして機能して発熱体の下流側の端部に当接することにより、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においても、発熱体が下流側に移動してしまう可能性を低減することができる。その結果、例えば部品点数の増大を低減しつつ、発熱体が下流側へと移動することに起因して発熱体への確実な通電を確保することが困難となる等の問題を低減することができる。
《第23実施形態》
以下、本発明の第23実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第23EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第21EHC及び第22EHCにおいては、発熱体の下流側の端部にリテーナが当接することにより、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においても、発熱体が下流側に移動してしまう可能性を低減することができる。しかしながら、例えばセラミック材料等の比較的脆い材料によって発熱体が形成されている場合は、例えば排気の流れから発熱体が受ける力の急激な変化及び/又は衝撃等に起因して、発熱体のリテーナに当接する部分に例えば亀裂及び割れ等の損傷が生ずる可能性がある。
〈構成〉
そこで、第23EHCは、上述した第21EHC又は第22EHCであって、リテーナと発熱体との間に挟持された緩衝部材を更に備える、電気加熱式触媒装置である。尚、緩衝部材の詳細については、第14EHCについて既に述べたので、ここでの説明は省略する。
図49は、第23EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図49に例示する第23EHC123は、発熱体の径方向における内側に向かって延在する表面電極部21a及び21bの下流側の端部と発熱体10の下流側の端部との間に緩衝部材91が挟持されている点を除き、図48に示した第22EHC122と同様の構成を有する。従って、発熱体10の下流側の端部に(緩衝部材91を介して)当接している表面電極部21a及び21bと電極接続部23a及び23bとの組み合わせがリテーナ90として機能することにより、発熱体10が下流側に移動する可能性を低減することができる。加えて、例えば排気の流れから発熱体が受ける力の急激な変化及び/又は衝撃等を緩衝部材91が少なくとも部分的には吸収及び/又は緩和することができる。
〈効果〉
以上のように、第23EHCは、リテーナと発熱体との間に挟持された緩衝部材を更に備える。これにより、例えばセラミック材料等の比較的脆い材料によって発熱体が形成されている場合においても、例えば排気の流れから発熱体が受ける力の急激な変化及び/又は衝撃等に起因して、発熱体のリテーナに当接する部分に例えば亀裂及び割れ等の損傷が生ずる可能性を低減することができる。
《第24実施形態》
以下、本発明の第24実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第24EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第15EHC乃至第23EHCにおいては、前述したように、第1ケースと第2ケースとの間に第2保持部材が挟圧保持されており、発熱体を収容する第1ケースが第2ケースの内部の所定の位置に第2保持部材の復元力によって保持されている。しかしながら、前述したように、例えば排気の流速が大きい場合及び発熱体の横断面が大きい場合等、排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合において発熱体が下流側に移動して(ずれて)しまう可能性がある。このような発熱体の下流側への移動(ずれ)が発生する場合、発熱体と第1保持部材との間において移動(ずれ)が発生することは稀であり、第1ケースと第2ケースとの間において移動(ずれ)が発生することが一般的である。
〈構成〉
そこで、第24EHCは、上述した第15EHC乃至第23EHCの何れかであって、上述した第1状態における第2保持部材の下流側の端部よりも下流側の所定の位置において第2ケースの内周面から径方向における内側に向かって突出するように構成された部分である第2ストッパ部を第2ケースが備える、電気加熱式触媒装置である。
第2ストッパ部の具体的な構成は、第1状態における第2保持部材の下流側の端部よりも下流側の所定の位置において第2ケースの内周面から径方向における内側に向かって突出するように構成されており且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。第2ストッパ部は、例えば溶接等の手法により第2ケースの内周面に固定された第2ケースとは別個の部材によって構成された部分であってもよい。或いは、第2ストッパ部は、例えばプレス加工、スピニング加工及び転造加工等の手法によって第2ケースが成形加工されてなる第2ケースと一体的に形成された部分であってもよい。
また、第2ストッパ部の形状は、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)が発生した際に第2保持部材の下流側の端部に当接して、第2保持部材(及び第1ケース)の下流側への更なる移動(ずれ)を妨げることが可能である限り特に限定されず、第2ストッパ部は多種多様な形状を有することができる。第2ストッパ部の形状の具体例としては、例えば柱状、錐体状、半球体状及び半楕円体状等の突起形状を挙げることができる。この場合、複数の第2ストッパ部を、第2ケースの内周面の全周に亘って所定の間隔を空けて設けてもよい。或いは、第2ストッパ部は、第2ケースの内周面の全周に亘って連続的に延在する環状の形状を有していてもよい。
但し、第1ケースは第2ケースに挿入されて第2ケースの内部の所定の位置に固定される必要があるので、第2ストッパ部が形成されている部分における第2ケースの内部空間の横断面は第1ケースの外周面の横断面よりも大きい必要がある。換言すれば、第2ケースの内周面から突出する第2ストッパ部の高さは、第1ケースの外周面と第2ケースの内周面との間の間隔よりも低い必要がある。
更に、第2ストッパ部が設けられる「所定の位置」は、第1状態における第2保持部材の下流側の端部よりも下流側の位置である限り、特に限定されない。しかしながら、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を防止する観点からは、好ましくは第1状態における第2保持部材の下流側の端部の近傍の位置、より好ましくは第1状態における第2保持部材の下流側の端部に隣接する位置に第2ストッパ部が設けられる。
図50は、第24EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図50に例示する第24EHC124は、第2ストッパ部59を第2ケース50が備える点を除き、図33に示した第15EHC115と同様の構成を有する。第2ストッパ部59は、第1状態における第2保持部材31の下流側の端部よりも下流側の所定の位置において第2ケース50の内周面から径方向における内側に向かって突出するように構成された部分である。従って、排気の流れから発熱体10が受ける力が大きい場合においても、下流側へと移動しようとする第2保持部材31の下流側の端部が第2ストッパ部59に当接して、第1ケース40と第2ケース50との間における移動(ずれ)を低減することができる。
〈効果〉
以上のように、第24EHCにおいては、第1状態における第2保持部材の下流側の端部よりも下流側の所定の位置において第2ケースの内周面から径方向における内側に向かって突出するように構成された部分である第2ストッパ部を第2ケースが備える。その結果、第24EHCによれば、例えば排気の流速が大きい場合及び発熱体の横断面が大きい場合等、排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合においても、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を低減することができる。
《第25実施形態》
以下、本発明の第25実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第25EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第24EHCにおいては、排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合においても、第2ケースが備える第2ストッパ部に第2保持部材が当接して、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を低減することができる。しかしながら、例えば第2ストッパ部が突起状の形状を有する場合等、第2ストッパ部と第2保持部材との接触面積が小さい場合においては、第2ストッパ部と第2保持部材との接触部位に応力が集中する虞がある。その結果、排気の流れから発熱体が受ける力の大きさによっては、例えば第2保持部材の変形及び/又は破損等の問題が生じたり、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を十分に低減することが困難となったりする可能性がある。
そこで、第25EHCは、上述した第24EHCであって、第2ケースの内周面の全周に亘って連続的に突出するように第2ストッパ部が構成されている、電気加熱式触媒装置である。換言すれば、第25EHCを構成する第2ケースが備える第2ストッパ部は、第2ケースの内周面の全周に亘って連続的に延在する環状の形状を有する。このような環状の形状を有する第2ストッパ部の横断面は、例えば多角形、半円及び半楕円等の多種多様な形状を有することができる。
〈効果〉
以上のように、第25EHCにおいては、第2ケースの内周面の全周に亘って連続的に突出するように第2ストッパ部が構成されている。従って、第25EHCによれば、排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合において第2ストッパ部と第2保持部材とが当接するときの第2ストッパ部と第2保持部材との接触面積を十分に大きく確保することができる。その結果、第2ストッパ部と第2保持部材との接触部位に応力が集中して、例えば第2保持部材の変形及び/又は破損等の問題が生じたり、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を十分に低減することが困難となったりする可能性を低減することができる。
《第26実施形態》
以下、本発明の第26実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第26EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第24EHC及び第25EHCにおいては、排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合においても、第2ケースが備える第2ストッパ部に第2保持部材が当接して、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を低減することができる。しかしながら、例えば排気の流れから発熱体が受ける力が過剰に大きい場合等において、第1ケースと第2保持部材との間における移動(ずれ)が生じ、結果として第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を低減することが困難となる可能性がある。
〈構成〉
そこで、第26EHCは、上述した第24EHC又は第25EHCであって、第1状態における第2保持部材の上流側の端部よりも上流側の所定の位置において第1ケースの外周面から径方向における外側に向かって突出するように構成された部分である第1ストッパ部を第1ケースが備える、電気加熱式触媒装置である。
第1ストッパ部の具体的な構成は、第1状態における第1保持部材の上流側の端部よりも上流側の所定の位置において第1ケースの外周面から径方向における内側に向かって突出するように構成されており且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。第1ストッパ部は、例えば溶接等の手法により第1ケースの外周面に固定された第1ケースとは別個の部材によって構成された部分であってもよい。或いは、第1ストッパ部は、例えばプレス加工、スピニング加工及び転造加工等の手法によって第1ケースが成形加工されてなる第1ケースと一体的に形成された部分であってもよい。
また、第1ストッパ部の形状は、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)が発生した際に第2保持部材の上流側の端部に当接して、第1ケースの下流側への更なる移動(ずれ)を妨げることが可能である限り特に限定されず、第1ストッパ部は多種多様な形状を有することができる。第1ストッパ部の形状の具体例としては、例えば柱状、錐体状、半球体状及び半楕円体状等の突起形状を挙げることができる。この場合、複数の第1ストッパ部を、第1ケースの外周面の全周に亘って所定の間隔を空けて設けてもよい。或いは、第1ストッパ部は、第1ケースの外周面の全周に亘って連続的に延在する環状の形状を有していてもよい。
但し、第1ケースは第2ケースに挿入されて第2ケースの内部の所定の位置に固定される必要があるので、第1ストッパ部が形成されている部分における第1ケースの外周面の横断面は第2ケースの内部空間の横断面よりも小さい必要がある。換言すれば、第1ケースの外周面から突出する第1ストッパ部の高さは、第1ケースの外周面と第2ケースの内周面との間の間隔よりも低い必要がある。
更に、第1ストッパ部が設けられる「所定の位置」は、第1状態における第2保持部材の上流側の端部よりも上流側の位置である限り、特に限定されない。しかしながら、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を防止する観点からは、好ましくは第1状態における第2保持部材の上流側の端部の近傍の位置、より好ましくは第1状態における第2保持部材の上流側の端部に隣接する位置に第1ストッパ部が設けられる。
図51は、第26EHCの構成の一例を示す模式的な断面図である。図51に例示する第26EHC126は、第1ストッパ部42を第1ケース40が備える点を除き、図50に示した第24EHC124と同様の構成を有する。第1ストッパ部42は、第1状態における第2保持部材31の上流側の端部よりも上流側の所定の位置において第1ケース40の外周面から径方向における外側に向かって突出するように構成された部分である。従って、排気の流れから発熱体10が受ける力が過剰に大きく第1ケース40と第2保持部材31との間における移動(ずれ)が生ずる場合においても、下流側へと移動しようとする第1ケース40が備える第1ストッパ部42が第2保持部材31の上流側の端部に当接して、第1ケース40と第2ケース50との間における移動(ずれ)を低減することができる。
〈効果〉
以上のように、第26EHCにおいては、第1状態における第2保持部材の上流側の端部よりも上流側の所定の位置において第1ケースの外周面から径方向における外側に向かって突出するように構成された部分である第1ストッパ部を第1ケースが備える。その結果、第26EHCによれば、例えば排気の流速が過剰に大きい場合及び発熱体の横断面が著しく大きい場合等、排気の流れから発熱体が受ける力が過剰に大きい場合においても、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を低減することができる。
《第27実施形態》
以下、本発明の第27実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第27EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第26EHCにおいては、排気の流れから発熱体が受ける力が過剰に大きく第1ケースと第2保持部材との間における移動(ずれ)が生ずる場合においても、第1ケースが備える第1ストッパ部が第2保持部材に当接して、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を低減することができる。しかしながら、例えば第1ストッパ部が突起状の形状を有する場合等、第1ストッパ部と第2保持部材との接触面積が小さい場合においては、第1ストッパ部と第2保持部材との接触部位に応力が集中する虞がある。その結果、排気の流れから発熱体が受ける力の大きさによっては、例えば第2保持部材の変形及び/又は破損等の問題が生じたり、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を十分に低減することが困難となったりする可能性がある。
そこで、第27EHCは、上述した第26EHCであって、第1ケースの外周面の全周に亘って連続的に突出するように第1ストッパ部が構成されている、電気加熱式触媒装置である。換言すれば、第27EHCを構成する第1ケースが備える第1ストッパ部は、第1ケースの外周面の全周に亘って連続的に延在する環状の形状を有する。このような環状の形状を有する第1ストッパ部の横断面は、例えば多角形、半円及び半楕円等の多種多様な形状を有することができる。
〈効果〉
以上のように、第27EHCにおいては、第1ケースの外周面の全周に亘って連続的に突出するように第1ストッパ部が構成されている。従って、第27EHCによれば、排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合において第1ストッパ部と第2保持部材とが当接するときの第1ストッパ部と第2保持部材との接触面積を十分に大きく確保することができる。その結果、第1ストッパ部と第2保持部材との接触部位に応力が集中して、例えば第2保持部材の変形及び/又は破損等の問題が生じたり、第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を十分に低減することが困難となったりする可能性を低減することができる。
尚、排気の流れから発熱体が受ける力が過剰に大きい場合においても第1ケースと第2ケースとの間における移動(ずれ)を確実に低減する観点からは、第1ストッパ部が第1ケースの外周面の全周に亘って連続的に突出するように構成されており且つ第2ストッパ部が第2ケースの内周面の全周に亘って連続的に突出するように構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、第1ケースが第2ケースの内部において下流側へと移動する(ずれる)際に第1ストッパ部と第2ストッパ部との間に挟まれて、全周に亘って第1ケースの軸方向である第1方向において圧縮される。これにより、電気絶縁材料からなる緩衝材である第2保持部材の少なくとも第1ストッパ部及び第2ストッパ部の近傍の部分における空隙嵩密度(GBD)が増大し、第1ケースと第2ケースとの間に挟持された第2保持部材の復元力による保持力が増大する。その結果、第1ケースが第2ケースの内部において下流側へと更に移動する(ずれる)ことを更により有効に妨げることができる。
以下、本発明の第1実施例に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第1実施例EHC」と称呼される場合がある。)の集成過程及び当該集成過程に含まれる各段階における構成について説明する。図24乃至図28は、それぞれ、集成過程に含まれる第1段階乃至第5段階における第1実施例EHC201の構成を示す模式的な斜視図である。尚、以下の説明においては、一対の電極並びに当該電極を構成する表面電極部、外部電極部及び電極接続部の各々を区別するための「a」及び「b」なる文字を符号の末尾に付すこと無く、一対の電極の両方及びその部分を総称する符号が付される。
先ず、図24に示すように、第1段階において、表面電極部21を発熱体10の外周面に溶着する。次に、図25に示すように、第2段階において、発熱体10の外周面に第1保持部材30を巻回する。次に、図26に示すように、第3段階において、圧入又はサイジングにより、発熱体10を第1ケース(内管)40の内部に収容すると共に、第1ケース(内管)40の外周面の所定の位置に固定部材41を溶接によって固定する。
尚、実際には、第1締結部材61と固定部材41との締結及び外部電極部22と電極接続部23との接続は、次の図27に示す第4段階において行われる。しかしながら、第4段階においては第2ケース(外管)50が取り付けられるため、図27においては固定部材41と第1締結部材61との締結状態及び外部電極部22と電極接続部23との接続状態を示すことが困難である。従って、ボルト及びナットからなる第1締結部材61が第1絶縁部材71を介して固定部材41に締結され且つ外部電極部22としてのボルト及びナットからなる第2締結部材62に締結された電極接続部23が表面電極部21と接続された状態が図26において描かれている。
また、図24乃至図26においては、図面に向かって下側の半分に第2ケース50、第2蓋体82、給電部材84及び第5絶縁部材85が描かれているが、これらの部材は、実際には、図27及び図28に示す第4段階及び第5段階において取り付けられる。
次に、図27に示すように、第4段階において、2枚合わせ式のシェルとして構成された第2ケース50を第1ケース40に被せる。この際、第2ケース50に形成された図示しない第1孔に第1締結部材61を挿通しつつ、第2ケース50の外周面と第1締結部材61との間及び第2ケース50の内周面と固定部材41との間にマイカ製のガスケットである第1絶縁部材71を挟持し、第1締結部材61を構成するボルトとナットとを締結する。これにより、第2ケース50の内部の所定の位置に第1ケース40が固定される。尚、第1実施例EHC201が備える第2ケース50においては、次の第5ステップにおける第2蓋体82の冠着を容易且つ確実にすること等を目的として、第1締結部材61及び第2締結部材62が挿通及び締結される第1孔及び第2孔を含む領域に隆起部が形成されている。
更に、第2ケース50を構成する2枚のシェルを溶接によって接合し、第2ケース50を集成する。また、第2ケース50に形成された図示しない第2孔に外部電極部22としての第2締結部材62を挿通しつつ、第2ケース50と第2締結部材62との間に図示しない第3絶縁部材を挟持し、第2締結部材62を構成するボルトとナットとを締結する。この際、第2締結部材62と導通するように電極接続部23及び板状の導電性部材(板体)である給電部材84を第2締結部材62によって共締めする。更に、表面電極部21と電極接続部23とを溶接によって接続する。これにより、発熱体10に通電するための電極が構成される。加えて、給電部材84の所定の位置(次の第5段階において冠着される第2蓋体82に形成された第4孔に挿通される部分)に、第5絶縁部材85を装着しておく。
次に、図28に示すように、第5段階において、第2ケース50の外周面において第1締結部材61及び図示しない第1孔並びに第2締結部材62及び図示しない第2孔を覆うように、第2蓋体82を冠着する。この際、第2蓋体82に形成された第4孔に給電部材84が挿通され且つ第2蓋体82と給電部材84との間に第5絶縁部材85が挟持されるようにする。尚、第1実施例EHC201においては、図28に示すように上述したように第2ケース50に形成された隆起部と第2蓋体82との間に確定される間隙として第4孔が形成されている。
以上のようにして集成される第1実施例EHC201においては、第1締結部材によって第1ケースの外周面に設けられた固定部材に第2ケースを締結することにより第2ケースの内部の所定の位置に第1ケースが固定される。従って、所定の位置に発熱体を確実に保持することができる。また、第2ケースの外周面と第1締結部材との間及び第2ケースの内周面と固定部材との間に第1絶縁部材を介在させることにより第1ケースと第2ケースとが電気的に絶縁されている。従って、第1保持部材に凝縮水が侵入して第1ケースと電極との間の絶縁抵抗が低下した場合においても、電極の絶縁を確保しつつ発熱体を確実に保持することができる。更に、第1ケースの内周面に絶縁層を設ける必要が無いため、排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合においても、第1保持部材が滑り発熱体が下流側にずれる可能性を低減することができる。加えて、第1ケースと第2ケースとの間の空間により高い断熱効果が得られるため、EHC全体としての保温性能を高めることができる。
以下、本発明の第2実施例に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第2実施例EHC」と称呼される場合がある。)の構成について説明する。
図29は、上述した第1実施例EHC201を図28とは異なる方向から観察した場合における模式的な斜視図である。図29に示すように、第1実施例EHC201が備える第2ケース50は直管状の形状を有する。しかしながら、前述したように、本発明EHCが備える第2ケースは、その内部に第1ケースを収容する部分の横断面よりも上流側及び/又は下流側の部分の横断面がより小さくなるように形成されていてもよい。
図30は、第2実施例EHCの集成過程に含まれる第5段階の完了時(集成完了時)における状態を示す模式的な斜視図である。図30に示すように、第2実施例EHC202が備える第2ケース50は、その内部に第1ケース40を収容する部分の横断面よりも上流側及び/又は下流側の部分の横断面がより小さくなるように形成されている。これにより、例えば、発熱体10の横断面を大きく確保して排気流路における圧力損失を下げることができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。