JP2020191187A - 可動コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】可動コネクタを小型化する。【解決手段】可動コネクタ100は、固定ハウジング20,40と、可動ハウジング50と、端子30と、を備える。端子30は、端子30の固定側被保持部32の保持は、固定ハウジング20,40と端子30との一体成形により行われている。相手コネクタ10を抜去する際の抜去力は、端子30の可動部33の弾性範囲における最大弾性力よりも小さい。これと関連し、本実施形態では、可動コネクタ100は、可動ハウジング50に当接することで当該可動ハウジング50の抜去方向(コネクタ上方向)の可動域を規定する手段を備えない。【選択図】図18

Description

本発明は、可動コネクタに関する。
従来、特許文献1に開示されたような可動コネクタが知られている。
この可動コネクタでは、端子とハウジングとが一体成形によって一体化されている。一体成形により一体化することで、圧入により一体化する態様と比較して、ハウジングに残る応力を小さくすることができる。
特開2018−078079号公報 特開2005−050695号公報
ところで、上記コネクタでは、抜去方向における可動ハウジングの固定ハウジングに対する変位を取付金具によって規制している。そのため、取付金具を保持するスペースが固定ハウジングに必要となり、コネクタが大型化してしまう。また、仮に、取付金具を用いることなく、抜去方向における可動ハウジングの変位を規制しようとすると、可動ハウジング及び固定ハウジングのそれぞれに規制部を設ける必要があり、やはり大型化に繋がってしまう(例えば特許文献2参照)。
本発明は、上記に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、可動コネクタを小型化することである。
第1の態様に係る可動コネクタは、取付対象物に固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して相対変位可能に構成される可動ハウジングと、端子と、を備える可動コネクタであって、前記端子は、前記固定ハウジングに保持される固定側被保持部と、前記可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、前記固定側被保持部と前記可動側被保持部との間に位置する可動部と、を有し、前記固定側被保持部の前記保持は、前記固定ハウジングと前記端子との一体成形により行われ、接続対象物を抜去する際の抜去力は、前記可動部の弾性範囲における最大弾性力よりも小さく、前記可動コネクタは、前記可動ハウジングに当接することで当該可動ハウジングの抜去方向の可動域を規定する手段を備えない。
この態様では、可動コネクタは、基板等の取付対象物に固定される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して相対変位可能に構成される可動ハウジングと、端子と、を備える。端子は、固定ハウジングに保持される固定側被保持部と、可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、固定側被保持部と前記可動側被保持部との間に位置する可動部と、を有する。
固定ハウジングに対して可動ハウジングが相対変位すると、端子の可動部が変形する。
また、端子の固定側被保持部の保持は、固定ハウジングと端子との一体成形により行われている。このため、保持が圧入により行われる態様と比較して、固定ハウジングに残る応力が抑制される。
仮に、固定ハウジングに応力が残っていると、高温環境下(特にリフロー半田付け時)に置かれた場合に、固定ハウジングが変形しやすい。特に、小型のコネクタにおいては固定ハウジングの樹脂壁が薄くなるため大きく変形しやすい。
この態様では、固定ハウジングに残る応力が抑制されるので、コネクタを小型化しやすい。
また、この態様では、接続対象物を抜去する際の抜去力は、可動部の弾性範囲における最大弾性力よりも小さい。これと関連し、この態様では、可動コネクタは、可動ハウジングに当接することで当該可動ハウジングの抜去方向の可動域を規定する手段を備えない。このため、当該手段を設けるスペースが不要であり、可動コネクタを小型化することができる。
なお、接続対象物を抜去する際の抜去力とは、可動コネクタと相手コネクタとが接続した状態から、相手コネクタを抜去方向に所定の速度(25mm/min)で引いて接続を解除する場合の、相手コネクタに付与される力を意味する。
また、可動部の弾性範囲における最大弾性力とは、可動ハウジングを抜去方向に引いたとき、端子の可動部が弾性変形する範囲での弾性力の最大値を意味する。
つまり、この態様では、可動コネクタから相手コネクタを抜去する場合に、端子の可動部に塑性変形が起こらない程度に、端子の弾性力が抜去力に対して大きく設定されている。
第2の態様に係る可動コネクタは、第1の態様において、前記可動側被保持部の前記保持は、前記可動ハウジングに前記可動側被保持部が圧入されることで行われる。
この態様では、可動側被保持部の保持は、可動ハウジングに可動側被保持部が圧入されることで行われる。このため、可動ハウジングと端子とを一体成形する態様と比較して、可動ハウジングの形状の複雑化が容易であり、可動ハウジングの形状の自由度が確保されている。
第3の態様に係る可動コネクタは、第1又は第2の態様において、前記可動ハウジングは、前記固定ハウジングに当接することで当該可動ハウジングのコネクタ水平方向の可動域を規定する規定面と、コネクタ水平方向に対して傾斜することで前記接続対象物を誘い込むための誘導面と、を有し、前記誘導面の一部は、前記規定面よりもコネクタ水平方向外側に位置する。
なお、コネクタ水平方向とは、抜去方向に垂直な平面内の方向を意味し、コネクタ水平方向外側とは、コネクタ水平方向のうちコネクタの中央から離れる方向を意味する。
この態様では、可動ハウジングは、固定ハウジングに当接することで当該可動ハウジングのコネクタ水平方向の可動域を規定する規定面を有する。このため、可動ハウジングの規定面が固定ハウジングに当接することで、可動ハウジングのXY方向の可動域が規定される。
また、可動ハウジングは、接続対象物を誘い込むための誘導面を有する。このため、可動コネクタと接続対象物とが接続される際、接続対象部が可動ハウジングの誘導面と接触することで、接続対象物が誘い込まれる。
更に、誘導面の一部は、規定面よりもコネクタ水平方向外側に位置する。このため、接続対象物の誘い込み量を大きくすることができる。
以上説明したように、本発明は、可動コネクタを小型化することができるという優れた効果を有する。
補強金具及び端子の斜視図である。 インサート成形により製造された仕掛品の斜視図である。 仕掛品と可動ハウジングとを組付ける前の斜視図である。 可動コネクタの斜視図である。 列間Y方向に対向する一対の端子の斜視図である。 補強金具の斜視図である。 補強金具の斜視図である。 補強金具の正面図である。 補強金具の側面図である。 補強金具の平面図である。 仕掛品の平面図である。 固定ハウジングの断面斜視図(列間Y方向中央位置における断面図)である。 固定ハウジングの断面斜視図(列間Y方向中央位置からずれた位置における断面図)である。 固定ハウジングのピッチ方向壁を拡大して示す斜視図である。 固定ハウジングの断面斜視図(上下方向に直交する断面図)である。 固定ハウジングの断面図(上下方向に直交する断面図)である。 仕掛品に可動ハウジングを組付ける前の状態を示す断面斜視図である。 可動コネクタの断面斜視図である。 可動コネクタの断面図(列間Y方向中央位置における断面図)である。 可動コネクタと相手コネクタを示す断面斜視図である。 可動コネクタと相手コネクタとの嵌合限界状態を示す断面斜視図である。 インサート成形における金型を示す模式的な断面図である。
図1〜図22を用いて、本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、各図に示す矢印Xをコネクタ前方向、矢印Yをコネクタ幅方向一方側(左側)、矢印Zをコネクタ上方向として説明する。また、特記なく前後、上下、幅(左右)という語を用いる場合は、コネクタ前後方向の前後、コネクタ上下方向の上下、コネクタ幅方向(左右方向)の幅(左右)を示すものとする。
また、矢印XをピッチX方向一方側、矢印Yを列間Y方向一方側ということもある。
(可動コネクタの製造方法)
図4は、可動コネクタ100の斜視図である。可動コネクタ100の製造方法は、仕掛品100A(図2)を製造する仕掛品製造工程と、仕掛品100Aに対し可動ハウジング(図3)を組付ける組付工程と、を備える。
仕掛品製造工程では、図1〜図2に示すように、インサート成形により、固定ハウジング20,40の一部を構成する樹脂部20を、端子30及び補強金具40と一体に成形して、仕掛品100Aを製造する。なお、本開示では、補強金具40は固定ハウジング20,40の一部として捉える。
インサート成形をする際には、端子30及び補強金具40は、図示しないそれぞれのキャリアと接続された状態(素材から切り離されていない状態)とされる。
次に、組付け工程では、図3〜図4に示すように、仕掛品100Aに対し、可動ハウジング50を上方から組み付ける。組付工程においては、図17、図18に示すように、各端子30の一部(可動側被保持部34)が可動ハウジング50の端子圧入溝51H(端子保持部51H)に圧入される。
完成状態の可動コネクタ100では、可動ハウジング50がコネクタ上方向に移動しても、可動ハウジング50が固定ハウジング20,40に当接しない。つまり、可動コネクタ100は、可動ハウジング50に当接することで当該可動ハウジング50の上方向(抜去方向)の可動域を規定する手段を備えない。
(端子)
可動コネクタ100は、複数の端子30を備える。複数の端子30は、図5に示すように、列間Y方向に対向するように一対配置され、図1に示すように、この一対の端子30、30がピッチX方向に多数配列される。
端子30は、板材に対し、打抜き加工と曲げ加工とを施すことで製造される。図5に示すように、端子30は、板材が曲げられた部分を複数有するが、全ての部分において板厚方向をピッチX方向に直交する平面内(YZ平面内)に向けている。
図18に示すように、端子30は、固定ハウジング20,40に保持される固定側被保持部32と、可動ハウジング50に保持される可動側被保持部34と、固定側被保持部32と可動側被保持部34との間に位置する可動部33と、を有する。このため、端子30は、固定ハウジング20,40と可動ハウジング50とを架け渡す。
固定側被保持部32は、インサート成形により、端子30と固定ハウジング20,40の樹脂部20とが一体化されることで固定ハウジング20,40に保持される。固定側被保持部32は、曲部32Mを含んで構成される。つまり、固定側被保持部32は、その曲部32Mが固定ハウジング20,40に埋没した状態で固定ハウジング20,40に保持される。
固定側被保持部32は、ピッチX方向に板幅方向を向けて配置される。固定側被保持部32の板幅方向外側には、圧入のための突起が形成されない。このため、複数の端子30間の距離(ピッチX方向の距離)を狭くすることができ、可動コネクタ100をピッチX方向において小型化することができる。
可動側被保持部34は、可動ハウジング50に圧入されることで可動ハウジング50に保持される。図5に示すように、可動側被保持部34には、可動ハウジング50に圧入されて保持されるための突起部34Aが形成される。突起部34Aは、可動ハウジング50に対して端子30を上方に圧入することができる形状とされる。
可動部33は、弾性変形容易に構成される。これにより、固定ハウジング20,40に対する可動ハウジング50の相対変位が許容される。可動部33は、固定側被保持部32から上方向へ延びる第1直線部33Aと、上方が凸となるように曲げられた曲部33Bと、下方かつ列間Y方向内側の斜め方向へ延びる第2直線部33Cと、第2直線部33Cと可動側被保持部34との間の曲部33Dと、を一端30A側から他端30B側に向けてこの順に有する。
また、端子30は、コネクタ上方から挿入される相手コネクタ10(図20、図21)と接触する接触部36を有する。接触部36は、可動側被保持部34よりも他端30B側に位置する。接触部36は、列間Y方向内側に凸の湾曲形状をしており、この湾曲形状の凸の部分で相手コネクタ10に接触する。また、接触部36は、後述する弾性部35との間に、接触部36を列間Y方向内側へ突出させる曲部36Mを有する。
また、端子30は、接触部36が相手コネクタ10に接触するときに弾性変形する弾性部35を有する。弾性部35は、可動側被保持部34と接触部36との間に位置する。相手コネクタ10が挿入されることで、列間Y方向に対向する一対の接触部36,36の間の間隔が押し広げられ、弾性部35が弾性変形する。これにより、接触部36は、相手コネクタ10に対して押圧接触する。但し、図21では、弾性変形した状態の図示はせず、自由状態の端子30を示している。
(固定ハウジング)
図11に示すように、固定ハウジング20,40は、樹脂で形成された樹脂部20と、樹脂部20と一体化された補強金具40と、から構成される。
固定ハウジング20,40は、周壁21,22を有する。具体的には、周壁21,22は、ピッチX方向両側に位置する一対のピッチ方向壁22と、列間Y方向両側に位置する一対の列間方向壁21と、から構成される。
周壁21,22の内側(周壁21,22によって囲まれた空間、収容空間26)には、可動ハウジング50の一部が収容される。可動ハウジング50の一部が、固定ハウジング20,40の収容空間26内に拘束されることで、可動ハウジング50のXY方向(コネクタ水平方向)の可動域が規定される。
図18に示すように、可動コネクタ100の列間方向壁21には、端子30の固定側被保持部32が埋没した状態で保持される。
固定ハウジング20,40の列間方向壁21の下部21Lは、列間方向壁21の上部21Uに対して列間Y方向内側に突出するように厚みが増大されている。そして、固定ハウジング20,40の列間方向壁21の下部21Lに、端子30の固定側被保持部32が保持されている。これにより、端子30の可動部33の第1直線部33Aの一部は、固定ハウジング20,40の列間方向壁21の上部21Uの列間Y方向内側に位置する。
列間方向壁21の上端位置は、可動部33の上端(曲部33B)よりも低い位置に形成される。これにより、可動ハウジング50が列間Y方向に変位して端子30の可動部33が変形したときに、可動部33が固定ハウジング20,40と干渉することが抑制される。
ピッチ方向壁22の上端は、列間方向壁21の上端よりもコネクタ上方に位置する。また、ピッチ方向壁22の上端は、端子30の可動部33の上端(曲部33B)よりも下方に位置する。
図11に示すように、ピッチ方向壁22のピッチX方向外側の面には、上下方向に延びる上下溝23が形成される。上下溝23は、ピッチX方向内側を深さ方向として形成される。ピッチ方向壁22の上下溝23が形成された部分から補強金具40の一部が露出する。上下溝23の幅(列間Y方向の寸法)は、後述するキャリア切断部46の幅(列間Y方向寸法)よりも大きい。
補強金具40は、1つの可動コネクタ100に対して2つ設けられる。一方の補強金具40は、可動コネクタ100のピッチX方向一方側に位置し、他方の補強金具40は、可動コネクタ100のピッチX方向他方側に位置する。2つの補強金具40は、互いに同一の構造とされている。
補強金具40は、板材に対し、打抜き加工と曲げ加工とを施すことで製造される。
図6、図7等に示すように、補強金具40は、何れも平板状の第1平板部40A、第2平板部40B、第3平板部40C及び第4平板部40Dと、各平板部40A,40B,40C,40Dを接続する第1曲部41A、第2曲部41B及び第3曲部41Cと、を有する。各曲部41A,41B,41Cは、何れも、板厚方向に略90度曲がった部分とされる。
第1平板部40Aは、固定ハウジング20,40のピッチ方向壁22の一部を構成する。第1平板部40Aは、その板厚方向をピッチX方向に向ける。第1平板部40Aは、列間Y方向を長手方向、上下方向を短手方向とする略長方形状とされる。
図14等に示すように、第1平板部40AのピッチX方向内側の面40A2(「他方の面」)は、幅方向(列間Y方向)の両端部44(図6参照)を除いて、樹脂部20から露出する。第1平板部40Aの幅方向の両端部44は、樹脂部20に埋没し、両面を含む全面が樹脂部20に覆われる。以下、第1平板部40Aのうち、露出したピッチX方向内側の面40A2に対応する部分を露出部43という。
図14等に示すように、第1平板部40Aの露出部43における幅方向中央部かつ上端部では、ピッチX方向外側の面40A1(「一方の面」)が樹脂部20から露出する。そのため、露出部43における幅方向中央部かつ上端部は、ピッチX方向両側の面が樹脂部20から露出した両面露出部43Rとなっている。
具体的には、固定ハウジング20,40のピッチ方向壁22には、下方へ窪んだ凹部24が形成される。この凹部24によって、第1平板部40Aの一部において、ピッチX方向外側の面40A1が樹脂部20から露出する。図22に示すように、凹部24には、インサート成形時、金型(「成形用治具」)が配置される。なお、図22では、金型の上型、下型等を区別せずに図示している。
また、図19に示すように、凹部24には、傾斜面24Aが形成される。傾斜面24Aは、凹部24の底であって補強金具40に隣接する側(ピッチX方向内側)に形成される。傾斜面24Aは、補強金具40に隣接する側(ピッチX方向内側)に進むに従い、上方に向かう面である。
一方、露出部43のうち両面露出部43R以外の部分は、ピッチX方向外側の面40A1(「一方の面」)が樹脂部20に被覆されると共にピッチX方向内側の面40A2(「他方の面」)が樹脂部20から露出した部分である片面露出部43Kとなっている。
図14に示すように、両面露出部43Rの上側の板端面43R3は、樹脂部20から露出する。インサート成形時、第1平板部40Aの上側の板端面43R3に、金型が接触する(図22参照)。
第2平板部40Bは、第1平板部40Aの下方の第1曲部41Aを介して、第1平板部40Aと接続する。第1曲部41Aは、列間Y方向に直線状に延在する。第1曲部41Aの長さ(列間Y方向の長さ)は、第1平板部40Aの下端の長さ(列間Y方向の長さ)と同一とされる。第1曲部41Aは、ピッチX方向外側へ向けて曲がっており、第2平板部40Bは、第1平板部40Aに対し、ピッチX方向外側に位置する。
図12に示すように、第1曲部41Aは、全体が樹脂部20に覆われる。露出部43の他方の面(ピッチX方向内側の面40A2)と、当該他方の面40A2の下側に形成された樹脂部20の面20A2とは、同一平面上に位置する。つまり、樹脂部20のうち、第1平板部40Aの下側に位置する部分20A2は、露出部43の他方の面40A2と共に、ピッチX方向内側を法線方向とする平面(ピッチX方向規定面)を形成する。ピッチX方向規定面は、可動ハウジング50のピッチX方向規定面57(図16)に当接可能とされる。ピッチX方向規定面の列間Y方向外側には、ピッチX方向内側に盛り上がった膨出部25が一対形成される。膨出部25によって、第1平板部40Aの幅方向の両端部44が樹脂部20に埋没して両面から覆われる。
第2平板部40Bは、固定ハウジング20,40のピッチ方向壁22の一部を構成する。第2平板部40Bは、その板厚方向をコネクタ上下方向に向ける。第2平板部40Bは、第1曲部41AからピッチX方向外側へ向けて延びている。第2平板部40Bの幅(列間Y方向寸法)は、第1平板部40Aの幅と略同一とされる。
第2平板部40Bは、その幅方向の位置によって、長さ(ピッチX方向外側へ延びる長さ)が異なっている。具体的には、図10に示すように、第2平板部40Bは、一般部45Aと、一般部45Aと比較して短い短部45Bと、一般部45Aと比較して長い長部45Cと、から構成される。
短部45Bは、第2平板部40Bの幅方向中央に形成される。長部45Cは、第2平板部40Bの幅方向中央を挟んで一対形成される。一般部45Aは、第2平板部40Bのうち短部45B及び長部45C以外の部分に形成される。具体的には、一般部45Aは、短部45Bと一対の長部45Cとの間の位置に一対形成されると共に、一対の長部45Cの幅方向外側(列間Y方向外側)の位置にも一対形成される。
図16等に示すように、第2平板部40Bのうち長部45Cの先端側の一部は、固定ハウジング20,40の樹脂部20から露出し、それ以外の部分は、樹脂部20に埋没する。長部45Cの先端(ピッチX方向外側の端)は、後述するキャリア切断部46である。
第3平板部40Cは、第1平板部40Aの幅方向(列間Y方向)外側に形成された一対の第2曲部41Bを介して、第1平板部40Aと接続する。第2曲部41Bは、コネクタ上下方向に延在する。第2曲部41Bの長さ(上下方向寸法)は、第1平板部40Aの上下方向寸法よりも短い。第2曲部41Bは、第1平板部40Aの下部と接続し、第1平板部40Aの上部とは接続しない。第2曲部41Bは、ピッチX方向内側に向けて曲がっており、第3平板部40Cは、第1平板部40Aに対し、ピッチX方向内側に位置する。
第3平板部40Cは、固定ハウジング20,40のピッチ方向壁22及び列間方向壁21の一部を構成する。第3平板部40Cは、その板厚方向を列間Y方向に向ける。第3平板部40Cの全体が樹脂部20に埋没し、樹脂部20から露出しない。
第3平板部40Cの幅(ピッチX方向寸法)は、その下端において、第3平板部40CのピッチX方向外側の端部がピッチX方向外側に位置するように拡大されている。このため、第3平板部40Cの幅(ピッチX方向寸法)は、第2曲部41Bと同じ高さでの幅よりも、下端での幅の方が大きい。図9に示すように、第3平板部40Cの下端におけるピッチX方向外側端は、第1平板部40AのピッチX方向外側の面40A1よりもピッチX方向外側に位置する。
第4平板部40Dは、第3平板部40Cの下側に形成された第3曲部41Cを介して、第3平板部40Cと接続する。第3曲部41Cは、ピッチX方向に延在する。第3曲部41Cの長さ(ピッチX方向寸法)は、第3平板部40Cの下端の幅(ピッチX方向寸法)と同一とされる。
図11に示すように、第4平板部40Dは、固定ハウジング20,40の樹脂部20に埋没せず、全体が樹脂部20から露出する。第4平板部40Dは、その板厚方向をコネクタ上下方向に向ける。第4平板部40Dは、ピッチX方向を長手方向、列間Y方向を短手方向とする長方形状とされる。第4平板部40Dの幅(ピッチX方向の寸法)は、第3曲部41Cの幅、及び、第3平板部40Cの下端の幅と同一とされる。第4平板部40Dは、基板の表面に配置され、基板に対して半田付けされる。
図15は、第1平板部40Aの下部に対応する高さにおける断面図である。図15に示すように、第1平板部40Aの下部と、第2曲部41Bと、第3平板部40Cとによって、上下方向に直交する断面形状が略C字状となるC字状部47が形成される。つまり、図8に示すように、補強金具40は、上下方向に直交する断面形状が略C字状となるC字状部47を有するといえる。
また、補強金具40は、C字状部47からコネクタ上方へ延長された延長部48を有する。延長部48は、上下方向に直交する断面形状が略直線状となる。延長部48は、C字状部47のうち第1平板部40Aの下部が上方に延長されて形成される。つまり、延長部48は、第1平板部40Aの上部である。
C字状部47の上端の高さは、固定ハウジング20,40の列間方向壁21の高さよりも低いが、延長部48の上端の高さは、固定ハウジング20,40の列間方向壁21の高さよりも高い。
上述したとおり、補強金具40は、インサート成形により固定ハウジング20,40と一体化されることで、固定ハウジング20,40に保持される。そのため、補強金具40は、当該補強金具40を固定ハウジング20,40の樹脂部20に圧入するための手段(圧入のための突起)を有しない。
インサート成形時、補強金具40はキャリアと接続された状態(補強金具40が素材から切り離されていない状態)であり、インサート成形後に、補強金具40はキャリアと分離される。具体的には、補強金具40の第2平板部40Bの長部45Cの先端は、キャリアと接続していた部分である。つまり、長部45Cの先端は、キャリア切断部46である。キャリア切断部46とは、インサート成形後に補強金具40とキャリアとを繋いだ部分を切断した際にできる部分をいう。
キャリア切断部46は、1つの補強金具40に対し、2つ形成される。2つのキャリア切断部46は、補強金具の幅方向中央(列間Y方向中央)に対し前後対称の位置に形成される。
(可動ハウジング)
図17に示すように、可動ハウジング50は、端子30の可動側被保持部34を保持する端子保持部51Hを有する。端子保持部51Hは、端子30の可動側被保持部34が圧入されることで、端子30を保持する。
図17に示すように、可動ハウジング50は、相手コネクタ10を受け入れる受入部56を有する。受入部56は、可動ハウジング50の上面側に開口する溝(空間)であり、コネクタ下方向を深さ方向とし、ピッチX方向に延びている。図18に示すように、受入部56の内部には、可動ハウジング50に保持された端子30の接触部36が配置される。図21に示すように、相手コネクタ10が受入部56に挿入されると、相手コネクタ10と端子30の接触部36とが接触するようになっている。
図17に示すように、可動ハウジング50は、各端子30間に配置される複数の隔離壁51を有する。複数の隔離壁51は、ピッチX方向に等間隔に設けられる。互いに隣合う隔離壁51、51の間に端子30が配置される。
隔離壁51の壁面の一部には、隣合う隔離壁51、51同士のピッチX方向の間隔を広げるように、端子圧入溝51Hが形成される。端子圧入溝51Hは、コネクタ上下方向に延びる溝であり、端子30の可動側被保持部34が圧入される。端子圧入溝51Hが前述の端子保持部51Hとして機能する。
また、可動ハウジング50は、複数の隔離壁51をピッチX方向に連結する連結部52を有する。連結部52は、可動ハウジング50の強度を向上させている。
連結部52は上下方向に延びて存在しており、連結部52の下端は、隔離壁51の下端よりも上方に位置しており、連結部52の上端は、後述する可動ハウジング50の上面部55の前後部55Aと接続している。
更に具体的には、連結部52は、上下方向に延びる下部52Lと、上方に向かって列間Y方向外側に傾斜した上部52Uと、から構成されている。図18に示すように、連結部52の下部52Lには、端子30の可動側被保持部34が沿うように配置され、連結部52の上部52Uには、端子30の可動部33の第2直線部33C(図5)が沿うように配置される。連結部52の下部52Lと端子30の可動側被保持部34とは、略接触した配置関係となり、連結部52の上部52Uと端子30の可動部33の第2直線部33Cとは、可動部33を変位可能とする間隔を開けた配置関係となる。なお、本開示において、端子30の配置について説明するときは、特に断らない限り、端子30が自由状態にあるときを前提としている。
端子30は、連結部52に対して列間Y方向外側から、端子30の一部(弾性部35)が連結部52の下方を通って、連結部52に対して列間Y方向内側にまで伸長している。これにより、連結部52は、端子30の可動部33及び可動側被保持部34と、端子30の接触部36との間に配置されている。
また、連結部52の下端と、連結部52の下端の下方に位置する端子30とは、上下方向の間隔を開けている。また、連結部52と、連結部52の列間Y方向内側に位置する端子30(弾性部35及び接触部36)とは、列間Y方向の間隔を空けている。これらにより、端子30の弾性部35の変形が許容される。
また、連結部52の上部52Uには、列間Y方向外側に窪む凹部52Aが形成される。これにより、弾性部35が変形したときに接触部36の先端が侵入できる空間が確保されている。
また、可動ハウジング50は、受入部56の上方に向けて開口した縁部において、複数の隔離壁51をピッチX方向に連結する開口縁連結部53を有する。
また、可動ハウジング50は、受入部56の底において、複数の隔離壁51をピッチX方向に連結する底連結部54を有する。底連結部54は、可動ハウジング50に対する端子30の下方からの組付を許容する構造(大きさ、形状)とされている。
また、可動ハウジング50は、可動ハウジング50の上面を構成する上面部55を有する。上面部55は、平面視でピッチX方向を長手方向とする長方形状に形成される。上面部55は、その列間Y方向両側を構成し、ピッチX方向に延びる前後部55Aを有する。図18に示すように、前後部55Aは、端子30の可動部33を上方から覆うように列間Y方向外側に張出している。これにより、上面部55の列間Y方向外側端は、端子30の可動部33(曲部33Bや第1直線部33A)よりも列間Y方向外側に位置する。
また、開口縁連結部53は、上面部55の一部を構成している。開口縁連結部53と、上面部55の前後部55Aとは、分離して設けられる。このため、図17に示すように、上面部55における開口縁連結部53と前後部55Aとの間の部分には、複数の隔離壁51間に存在する複数の空間が開口している。
また、上面部55は、その外縁部を構成する外縁部55Oと、外縁部55Oよりも内側の内縁部55Iと、更に内側の受入口(受入部56の開口)と、を含んで構成されていると捉えることもできる。外縁部55O及び内縁部55Iは、共に、コネクタ上方を法線方向とする平面である。
外縁部55Oは、内縁部55Iに対して高く形成される。換言すると、外縁部55Oの平面は、内縁部55Iの平面よりもコネクタ上下方向上側に位置する。
外縁部55Oと内縁部55Iとの間には、外縁部55Oから内縁部55Iに向けて高さが漸減する傾斜部55Mが形成される。外縁部55O、内縁部55I及び傾斜部55Mは、上面部55の略全周に亘って形成される。これらによって、相手コネクタ10をスムーズに受入部56に受け入れさせることができる。
また、内縁部55Iと受入部56との境界にも、傾斜部55Nが形成される。この傾斜部55Nは、開口縁連結部53に形成される。
また、図19に示すように、可動ハウジング50は、可動ハウジング50がピッチX方向に変位したときに固定ハウジング20,40に当接するピッチX方向規定面57を有する。
また、図19に示すように、上面部55は、ピッチX方向外側に張出している。これにより、上面部55のピッチX方向外側端は、可動ハウジング50のピッチX方向規定面57よりもピッチX方向外側に位置する。更に、上面部55の内縁部55IのピッチX方向外側端(傾斜部55MのピッチX方向内側端と一致)は、後述のピッチX方向規定面57よりもピッチX方向外側に位置する。
また、図3、図16に示すように、ピッチX方向規定面57の列間Y方向外側には、ピッチX方向規定面57に対してピッチX方向内側に凹んだ凹み部58が形成される。凹み部58は、可動ハウジング50がコネクタ水平方向に変位しても、固定ハウジング20,40の膨出部25に当接しないようになっている。
また、図16に示すように、可動ハウジング50は、可動ハウジング50が列間Y方向に変位したときに固定ハウジング20,40に当接する列間Y方向規定面59を有する。
(相手コネクタ10)
図20、図21に示すように、「接続対象物」としての相手コネクタ10は、可動コネクタ100に嵌合する。相手コネクタ10は、複数の相手端子70と、相手ハウジング80と、を備える。
相手ハウジング80は、図示しない相手基板に沿って配置される基部81と、基部81から可動コネクタ側に突出した挿入部82と、を備える。挿入部82は、可動ハウジング50の受入部56に挿入される。挿入部82は、基部81からコネクタ下方に向けて突出する。挿入部82の列間Y方向一方側と列間Y方向他方側には、相手端子70の接触部73が配置される配置溝が形成される。配置溝は、コネクタ上下方向に直線状に延在する。
相手端子70は、板材に対し、打抜き加工と曲げ加工とを施すことで製造される。相手端子70は、板材が曲げられた部分を複数有するが、全ての部分において板厚方向をピッチX方向に直交する平面内に向けている。
相手端子70は、一端側から他端側に向けて、実装部71と、第1埋没部72と、接触部73と、第2埋没部74と、を有する。
実装部71は、相手基板の表面に半田付けにより固定される。実装部71は、一端側から他端側に向けて、列間Y方向内側に直線状に延びる。
第1埋没部72は、相手ハウジング80に埋没する。実装部71と第1埋没部72との間には、第1曲部75Aが形成される。第1埋没部72は、第2曲部75Bと第3曲部75Cとを含んで構成される。第1埋没部72は、相手ハウジング80の基部81を上下方向で貫通する。
接触部73は、相手ハウジング80から露出する。接触部73は、板厚方向を列間Y方向に向け、かつ板幅方向をピッチX方向に向けて、コネクタ下方に向けて直線状に延びている。図21に示す嵌合状態では、可動コネクタ100の端子30の接触部36が、相手端子70の接触部73に接触する。
第2埋没部74は、相手ハウジング80に埋没する。接触部73と第2埋没部74との間には、第四曲部75Dが形成される。第四曲部75Dでは、露出部43においてコネクタ下方である延在方向が、列間Y方向内側に曲がっている。第2埋没部74は、第5曲部75Eを含んで構成される。第5曲部75Eは、その全体が相手ハウジング80に埋没する。第5曲部75Eでは、列間Y方向内側の延在方向が、コネクタ下方に向けて曲がっている。第2埋没部74の先端面(板材が切断されて形成された面)は、相手ハウジング80からコネクタ下方に向けて露出する。
複数の相手端子70と相手ハウジング80とは、インサート成形によって一体化される。そのため、相手端子70は、当該相手端子70を相手ハウジング80に圧入するための手段(圧入のための突起)を有しない。
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態では、可動コネクタ100は、基板に固定される固定ハウジング20,40と、固定ハウジング20,40に対して相対変位可能に構成される可動ハウジング50と、固定ハウジング20,40と可動ハウジング50とを架け渡す端子30と、を備える。可動ハウジング50の可動域は、当該可動ハウジング50が固定ハウジング20,40に当接することで規定される。
また、固定ハウジング20,40は、樹脂で形成された樹脂部20と、樹脂部20と一体化された補強金具40と、を備える。樹脂部20と補強金具40とが一体化されることで、固定ハウジング20,40の強度が確保される。
また、補強金具40と樹脂部20との一体化は、インサート成形により行われる。このため、圧入により一体化される態様と比較して、製造の際、圧入工程が不要となる。
更に、補強金具40は、一方の面(ピッチX方向外側の面40A1)が樹脂部20に被覆されると共に他方の面(ピッチX方向内側の面40A2)が樹脂部20から露出した部分(「片面露出部43K」)を含んで構成される。このため、補強金具40の当該部分を固定ハウジング20,40の強度向上に寄与させると共に、補強金具40が変形したままで樹脂が硬化することを抑制することができる。
すなわち、補強金具40の片面露出部43Kの一方の面(ピッチX方向外側の面40A1)が樹脂部20に被覆されるので、両方の面が樹脂部から露出する部分と比較して、当該部分(片面露出部43K)を固定ハウジングの強度向上に効果的に寄与させることができる。
また、インサート成形をする際、補強金具40の片面露出部43Kの他方の面(ピッチX方向内側の面40A2)に金型を接触させることで、補強金具40を支持することができる。補強金具40を支持することで、溶融樹脂が補強金具40を押して補強金具40が変形することを抑制することができる。
また、本実施形態では、固定ハウジング20,40は、周壁21,22を有する。周壁21,22は、可動ハウジングが収容される収容空間26を形成する。そして、片面露出部43Kの他方の面(ピッチX方向内側の面40A2)は、収容空間26に露出する。
このため、図22に示すように、可動ハウジング50が収容される収容空間26を形成するために用いる金型によって、片面露出部43Kの他方の面(ピッチX方向内側の面40A2)を支持することができる。したがって、金型を複雑化しなくともよく、製造しやすい可動コネクタ100とすることができる。
また、本実施形態では、補強金具40は、平板状の第1平板部40Aを含んで構成される。第1平板部40Aは、周壁21,22の一部を構成し、当該周壁21,22の壁厚方向と同じ方向を板厚方向として配置される。そして、片面露出部43Kは、第1平板部40Aの一部である。
このため、周壁21,22の壁厚方向と同じ方向を板厚方向とする第1平板部40Aによって、固定ハウジング20,40の周壁21,22を効果的に補強することができる。更に、第1平板部40Aを支持した状態でインサート成形をすることができるので、高温環境下での周壁21,22の変形を抑制することができる。
また、本実施形態では、補強金具40は、キャリア切断部46を有する。キャリア切断部46とは、インサート成形後に補強金具40とキャリアとを繋いだ部分を切除した際にできる部分をいう。更に、補強金具40は、片面露出部43Kとキャリア切断部46とを連結し、樹脂部20に少なくとも一部が埋没した連結部(第1曲部41A及び第2平板部40B)を有する。そして、キャリア切断部46は、周壁21,22の外の空間である外部空間に露出する。このため、固定ハウジング20,40の周壁21,22の限られた厚みの中で、片面露出部43Kとキャリア切断部46とを連結する連結部(第1曲部41A,第2平板部40B)を大きく形成することができる。
また、本実施形態では、補強金具40は、一方の面(ピッチX方向外側の面40A1)と他方の面(ピッチX方向内側の面40A2)との両面が樹脂部20から露出した部分であって、片面露出部43Kと隣接する部分である両面露出部43Rを含んで構成される。
このため、図22に示すように、固定ハウジング20,40と補強金具40とをインサート成形する際、補強金具40の片面露出部43Kと両面露出部43Rの他方の面(ピッチX方向内側の面40A2)に金型を接触させると共に、両面露出部43Rの一方の面(ピッチX方向外側の面40A1)にも金型を接触させることで、補強金具40を支持することができる。補強金具40の両面露出部43Rを両面から支持することで、溶融樹脂に補強金具40が押されて補強金具40が変形することをより確実に抑制することができる。
また、本実施形態では、図19に示すように、樹脂部20は、補強金具40よりもコネクタ上方に位置する上方部20Uを含んで構成される。上方部20Uは、コネクタ下方に変位する可動ハウジング50に当接可能に構成される。このため、可動ハウジング50がコネクタ下方に移動しても、可動ハウジング50が樹脂部20に当接し、補強金具40に当接しない。
特に、本実施形態では、補強金具40の上端において、補強金具40がその破断面(板端面43R3、図14参照)を上方に向けているところ、樹脂部20の上方部20Uによって、この破断面と可動ハウジング50との当接が防止されている。このため、可動ハウジング50の破損などが抑制される。
次に、本実施形態の作用効果について異なる観点から説明する。
本実施形態では、可動コネクタ100は、基板に固定される固定ハウジング20,40と、固定ハウジング20,40に対して相対変位可能に構成される可動ハウジング50と、端子30と、を備える。端子30は、固定ハウジング20,40に保持される固定側被保持部32と、可動ハウジング50に保持される可動側被保持部34と、固定側被保持部32と可動側被保持部34との間に位置する可動部33と、を有する。
固定ハウジング20,40に対して可動ハウジング50が相対変位すると、端子30の可動部33が変形する。
また、端子30の固定側被保持部32の保持は、固定ハウジング20,40と端子30との一体成形により行われている。このため、保持が圧入により行われる態様と比較して、固定ハウジング20,40に残る応力が抑制される。
仮に、固定ハウジング20,40に応力が残っていると、高温環境下(特にリフロー半田付け時)に置かれた場合に、固定ハウジング20,40が変形しやすい。特に、小型のコネクタにおいては固定ハウジングの樹脂壁が薄くなるため大きく変形しやすい。
本実施形態では、固定ハウジング20,40に残る応力が抑制されるので、コネクタを小型化しやすい。
また、本実施形態では、相手コネクタ10を抜去する際の抜去力は、端子30の可動部33の弾性範囲における最大弾性力よりも小さい。これと関連し、本実施形態では、可動コネクタ100は、可動ハウジング50に当接することで当該可動ハウジング50の抜去方向(コネクタ上方向)の可動域を規定する手段を備えない。このため、当該手段を設けるスペースが不要であり、可動コネクタ100を小型化することができる。
また、本実施形態では、可動側被保持部34の保持は、可動ハウジング50に可動側被保持部34が圧入されることで行われる。このため、可動ハウジング50と端子30とを一体成形する態様と比較して、可動ハウジング50の形状の複雑化が容易であり、可動ハウジング50の形状の自由度が確保されている。
また、本実施形態では、可動ハウジング50は、固定ハウジング20,40に当接することで当該可動ハウジング50のコネクタ水平方向の可動域を規定する規定面(ピッチX方向規定面57、列間Y方向規定面59、図16)を有する。このため、可動ハウジングの規定面(ピッチX方向規定面57)が固定ハウジングに当接することで、可動ハウジング50のXY方向の可動域が規定される。
また、可動ハウジング50は、相手コネクタ10を誘い込むための誘導面(傾斜部55M)を有する。このため、可動コネクタ100と相手コネクタ10とが接続される際、相手コネクタ10が可動ハウジング50の誘導面(傾斜部55M)と接触することで、相手コネクタ10が誘い込まれる。
更に、誘導面(傾斜部55M)の一部は、規定面(ピッチX方向規定面57、列間Y方向規定面59)よりもコネクタ水平方向外側に位置する。このため、相手コネクタ10の誘い込み量を大きくすることができる。
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、上記実施形態では、端子30が多数配列された可動コネクタを説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、可動コネクタが備える端子は、1つであってもよい。
また、上記実施形態では、補強金具40が、固定ハウジング20,40を基板に固定するための固定金具としても機能している例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、補強金具は、固定金具としての機能を有しなくてもよい(規制金具とは別に固定金具を設けてもよい。)。
また、上記実施形態では、可動ハウジング50が樹脂成形体のみで構成される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、可動ハウジングを、樹脂成形体と、この樹脂成形体と一体化された金具と、で構成してもよい。
また、上記実施形態では、収容空間26が、コネクタ上下方向に開放された例を説明したが、本開示の収容空間はこれに限定されない。例えば、固定ハウジング20,40が底壁を有し、収容空間の下側が、当該底壁によって閉塞されていてもよい。
100 可動コネクタ
20,40 固定ハウジング
20 樹脂部
20U 上方部
21,22 周壁
21 列間方向壁(周壁)
22 ピッチ方向壁(周壁)
26 収容空間
30 端子
32 固定側被保持部
33 可動部
34 可動側被保持部
36 接触部
40 補強金具
40A 第1平板部
40A1 ピッチX方向外側の面(一方の面)
40A2 ピッチX方向内側の面(他方の面)
40B 第2平板部(連結部)
40C 第3平板部
40D 第4平板部
41A 第1曲部(連結部)
43 露出部
43K 片面露出部
43R 両面露出部
46 キャリア切断部
50 可動ハウジング
55M 傾斜部(誘導面)
55N 傾斜部(誘導面)
57 ピッチX方向規定面(規定面)
59 列間Y方向規定面(規定面)
10 相手コネクタ(接続対象物)

Claims (3)

  1. 取付対象物に固定される固定ハウジングと、
    前記固定ハウジングに対して相対変位可能に構成される可動ハウジングと、
    端子と、を備える可動コネクタであって、
    前記端子は、
    前記固定ハウジングに保持される固定側被保持部と、
    前記可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、
    前記固定側被保持部と前記可動側被保持部との間に位置する可動部と、を有し、
    前記固定側被保持部の前記保持は、前記固定ハウジングと前記端子との一体成形により行われ、
    接続対象物を抜去する際の抜去力は、前記可動部の弾性範囲における最大弾性力よりも小さく、
    前記可動コネクタは、前記可動ハウジングに当接することで当該可動ハウジングの抜去方向の可動域を規定する手段を備えない、
    可動コネクタ。
  2. 前記可動側被保持部の前記保持は、前記可動ハウジングに前記可動側被保持部が圧入されることで行われる、
    請求項1に記載の可動コネクタ。
  3. 前記可動ハウジングは、
    前記固定ハウジングに当接することで当該可動ハウジングのコネクタ水平方向の可動域を規定する規定面と、
    コネクタ水平方向に対して傾斜することで前記接続対象物を誘い込むための誘導面と、を有し、
    前記誘導面の一部は、前記規定面よりもコネクタ水平方向外側に位置する、
    請求項1又は請求項2に記載の可動コネクタ。
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