JP2020189656A - 蓋付きペール缶及びペール缶の製造方法 - Google Patents

蓋付きペール缶及びペール缶の製造方法 Download PDF

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浩一 村尾
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利男 林
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Yukio Tsuchiya
行雄 土屋
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Abstract

【課題】内容物と反応するおそれが少ないパッキンを採用しも内容物が漏れ出すおそれが少ない蓋付きペール缶及びペール缶の製造方法を提供する。【解決手段】円板状の金属板からなる地板21と、金属板から端部同士が溶接されて円筒状に形成された缶胴体20と、この缶胴体20の開口部を覆う円板状の金属板からなる天蓋3と、を備え、缶胴体20と地板21とが巻締られて一体化された蓋付きペール缶1において、缶胴体20の金属板の端部同士が溶接された溶接部の一端部の段差を押し潰して平滑化した上、その一端部をカール加工さしてカール部22を形成し、当該カール部22と天蓋3との間に、熱可塑性樹脂からなるパッキンPをカール部22に密着させて装着する。【選択図】図13

Description

本発明は、蓋付きペール缶及びペール缶の製造方法に関する。
従来、潤滑油、塗料、溶剤、化学品、薬品などの液体又は流動体を貯蔵したり運搬したりするための容器として金属製のペール缶が知られている。
このようなペール缶は、一般的に、薄板の矩形の鋼板からロール成形されて、その端部同士がシーム溶接等で接合されて円筒状の缶胴体が成形される。その後、円筒状に成形された缶胴体の一端(上端)がカール成形され、他端(下端)に地板が巻締められてバケツ状のペール缶が製造されている。ここで、ペール缶とは、主として、鋼板の厚さが0.3mm〜0.6mmからなり、内径が272mm〜286mmで容量が12L〜30L程度の鋼製容器を指している。
そして、このようなペール缶は、カール成形された上端部分に天蓋(蓋体)が装着されて、密閉されて搬送されるものである。しかし、シーム溶接等で接合された缶胴体の接合部分は、二枚の鋼板が重なっているため板厚分の段差ができ、図11,図12の写真に示すように、カール成形した際に、段差部分に三角形状(楔状)の隙間が形成されてしまうという問題がある。
このような問題に対しては、次のような技術が開示されている。例えば、特許文献1には、缶胴体と地板とを全周に亘り溶接する際に、スパーク等の溶接不良を防ぐことを目的として、缶胴体の重ね合わせた溶接部分を球面ロールにより缶胴体の板厚と略等しくなるまで冷間圧潰され、缶胴体と地板とが全周に亘り溶接されている鋼製ドラム缶が開示されている(特許文献1の実用新案登録請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0012]〜[0017]、図面の図1〜図4等参照)。
また、特許文献2には、缶胴体と地板とを全周にわたりアーク溶接する際の溶接不良を防ぐこと、及びドラム缶の塗装作業の効率化を図るために、缶胴体の重ね合わせた溶接部分が板厚に対して100〜130%の範囲内に圧潰加工され、缶胴体と地板とが全周に亘ってアーク溶接されている金属製ドラム缶が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0028]〜[0017]、図面の図1〜図4等参照)。
しかし、特許文献1の鋼製ドラム缶や特許文献2の金属製ドラム缶は、200Lの容量があり、重量が重く、缶胴体と地板とを全周に亘り溶接する必要があるというドラム缶特有の理由から溶接部分を圧潰するものであった。それに加え、ドラム缶は、耐食性鋼板等を使用せず防錆のため塗装が必要なドラム缶特有の理由により、缶胴体の重ね合わせた溶接部分を押し潰すものであった。このため、ペール缶特有の次のような問題は、一切考慮されていなかった。
即ち、ペール缶は、種々の原料や製品を搬送する容器として用いられることから、収容する内容物が反応性の高い劇物や揮発性の高い液体等であっても長期に亘って密閉性を保持することが求められている。このため、従来のペール缶は、前述の三角形状(楔状)の隙間をゴム材からなるパッキンを弾性変形させることで隙間の形状に追従させてその隙間を埋めて密封していた。
しかし、ゴム材からなるパッキンは、長期間一定方向に力がかかって圧縮されているとクリープ現象等でヘタってしまい、前述の隙間から内容物が漏れ出すおそれがあった。特に、揮発性の高い液体を収容しているような場合、ペール缶で長期間密閉していると気化した内容物が僅かな隙間から漏れ出すことを防ぐことができないという問題があった。この問題は、内容物が、劇物や毒物の場合、大問題となる。
また、ペール缶には、内容物として種々の液体や流動体を収容するため、パッキンを構成するゴム材と内容物が反応してしまう可能性があり、特に、合成ゴムなどは、加硫するために添加した硫黄等と内容物が反応してしまうという問題もあった。このため、パッキンには、内容物と反応しない安価な素材が求められていた。しかし、内容物と反応させないためには、合成ゴム等を避けた方が好ましいが、例えば、熱可塑性樹脂では、ゴム材のようにゴム弾性を発揮させることが困難であるという問題もあった。
このような問題を背景として、ペール缶では、ドラム缶と相違して、前述のカール部の三角形状(楔状)の隙間に、ニスなどのタッチアップ剤を塗布(又は樹脂テープを貼着)して、その隙間を埋めることで対応していた。しかし、タッチアップ剤を塗布して隙間を埋める場合は、人が作業を行うため、熟練が必要な上、どうしても人為的ミスや塗りむら(斑)が生じ、品質の均一化が図られないという問題があった。また、内容物と接触するおそれがある箇所に、さらに素材が増えることとなり、前述の内容物と反応してしまうおそれも増してしまうという問題もあった。
実用新案登録第2596846号公報 特開2002−102971号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、タッチアップ剤を塗布する必要もなく、内容物と反応するおそれが少ないパッキンを採用しも内容物が漏れ出すおそれが少ない蓋付きペール缶及びペール缶の製造方法を提供することにある。
第1発明に係る蓋付きペール缶は、円板状の金属板からなる地板と、金属板から端部同士が溶接されて円筒状に形成された缶胴体と、この缶胴体の開口部を覆う円板状の金属板からなる天蓋と、を備え、前記缶胴体と前記地板とが巻締られて一体化された蓋付きペール缶であって、前記缶胴体の金属板の端部同士が溶接された溶接部の一端部の段差が押し潰されて平滑化された上、前記一端部がカール加工されてカール部が形成されており、当該カール部と前記天蓋との間には、熱可塑性樹脂からなるパッキンが前記カール部に密着されて装着されていることを特徴とする。
第2発明に係る蓋付きペール缶は、第1発明において、前記パッキンは、ガスが封入された多数のカプセルが熱可塑性樹脂からなる繋ぎ樹脂で被覆された上、チューブに装填された三重被覆構造となっていることを特徴とする。
第3発明に係る蓋付きペール缶は、第1発明又は第2発明において、前記パッキンの前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂であることを特徴とする。
第4発明に係るペール缶の製造方法は、矩形の金属板の端部同士を溶接して円筒状の缶胴体を形成する缶胴体溶接工程と、前記缶胴体溶接工程で溶接した前記缶胴体の溶接部をローラにて常温で押し潰して平滑化する溶接部平滑化工程と、前記溶接部平滑化工程後に、前記缶胴体の一端をカール加工するカール工程と、熱可塑性樹脂からなるパッキンが装着された、円板状の金属板からなる天蓋を用いて、前記カール工程で形成したカール部に、前記パッキンを密着させて前記缶胴体の開口部を封止する封止工程と、を備えることを特徴とする。
第5発明に係るペール缶の製造方法は、第4発明において、前記溶接部平滑化工程は、前記カール工程でカール加工する部分だけ平滑化することを特徴とする。
第6発明に係るペール缶の製造方法は、第4発明又は第5発明において、前記缶胴体溶接工程の直後の前記缶胴体の矯正、拡径、ビード形成などの二次加工前に前記溶接部平滑化工程を行うことを特徴とする。
第1発明〜第6発明によれば、缶胴体の溶接部の上端部の段差が押し潰されて平滑化された上、カール部が形成されているので、内容物と反応するおそれが少ないパッキンを選択する際に、弾力性が乏しい安価な素材も選択肢とすることができる。また、第1発明〜第6発明によれば、熱可塑性樹脂からなるパッキンが装着されているので、天然ゴムや合成ゴムと相違して、内容物と反応するか否かの検証がし易く、検証の手間を大幅に省くことができる。その上、第1発明〜第6発明によれば、タッチアップ剤を塗布するタッチアップ作業を省略することができる。このため、人為的ミスや塗りむら(斑)が生じるおそれがなく、品質の均一化を達成することが容易であり、ペール缶の製造効率も向上する。
特に、第2発明によれば、パッキンが、三重被覆構造となっているので、弾力性が乏しい安価な素材からなるパッキンを選択してもペール缶のパッキンとして必要な弾力性及び耐荷重性を確保し、長期間に亘り確実に内容物の漏出を防ぐことができる。
特に、第3発明によれば、汎用樹脂で安価であり、多くの内容物と反応しない素材であるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂をパッキンに用いるので、長期間に亘って密封性を保持するというペール缶の必要機能を発揮しつつ、コストダウンを達成することができる。
特に、第5発明によれば、カール工程でカール加工する部分だけ平滑化するので、平滑化工程にかかる時間を短縮することにより、ペール缶の製造時間を短縮して、製品単価を低減することができる。
特に、第6発明によれば、溶接部の平滑化を容易で短時間で行えるだけでなく、平滑化のローラ加工により、矯正、拡径、ビード形成などの二次加工を施した部分を損傷するおそれもない。
本発明の実施形態に係る蓋付きペール缶の天蓋を外した状態で示す組立分解斜視図である。 同上の蓋付きペール缶のパッキン部分を拡大して示す図1のA部拡大図である。 同上の蓋付きペール缶を缶本体の中心を通る鉛直面で切断した状態を示す鉛直断面図である。 同上の蓋付きペール缶を上方から見下ろした状態で示す平面図である。 図3のB部拡大図である。 同上の蓋付きペール缶のイヤー部を示す図面であり、(a)が拡大正面図、(b)が水平断面図である。 同上の蓋付きペール缶の缶本体の開口部を天蓋で閉めた状態をパッキン部分を拡大して示す図2と同様の部分拡大図である。 パッキンの別の実施形態を模式的に示す鉛直断面図である。 同上のパッキンの一部を模式的に拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の実施形態に係るペール缶の製造方法の各工程を示すフローチャートである。 溶接部平滑化工程を行わなかった場合の溶接カール部を示す写真(30倍)である。 図11の拡大写真(100倍)である。 溶接部平滑化工程後にカール工程を行った場合の溶接カール部を示す写真(30倍)である。 図13の拡大写真(100倍)である。
以下、本発明に係るペール缶を実施するための一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[蓋付きペール缶]
先ず、図1〜図7を用いて、本発明の実施形態に係る蓋付きペール缶について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る蓋付きペール缶の天蓋を外した状態で示す組立分解斜視図であり、図2は、図1のA部拡大図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る蓋付きペール缶1は、バケツ状に形成された缶本体2と、この缶本体2の上端の開口部を塞ぐ天蓋3など、から構成されている。この蓋付きペール缶1は、缶本体2内に液体や流動体などの内容物が充填され、内容物を保管、搬送するための容器として用いられる。なお、図1は、天蓋3を一部鉛直面で切断して鉛直断面が分かるように表示している。
この蓋付きペール缶1は、図1に示すように、後述の缶胴体20と地板21とが巻締られて一体化されて缶本体2が形成されており、この缶胴体20には、手でもって提げるための取手4も取り付けられている。
なお、この蓋付きペール缶1は、図1に示すように、内容物を充填する前にペール缶を積み重ねて集積可能とするため、上方に行くに従って徐々に拡径するように成形されたテーパペール缶である。勿論、本発明に係る蓋付きペール缶1は、テーパペール缶に限られず、完全な円筒状のストレートペール缶にも本発明を適用することができる。
(天蓋)
図1,図2に示すように、天蓋3は、缶本体2の開口部を覆う円板状の金属板からなる天板30から主に構成されている。この天蓋3は、天板30の外周の縁に沿って曲げ加工されて天板30の板面に対して垂直に立ち上げられた周縁立上部31と、その周縁立上部31から外側及び下方へ向けカール加工されて断面円弧状の周縁溝部32が形成されている。また、この周縁溝部32の外周端には、鋼板が折り返された折返し部33も形成されている。
(パッキン)
そして、図2に示すように、この周縁溝部32には、缶本体2と天蓋3との間を封止するリング状のパッキンPが装着されている。本実施形態に係るパッキンPには、発泡ポリエチレンからなるパッキンが採用されている。但し、本実施形態に係るパッキンPは、発泡ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂に限られず、ポリプロピレン樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂:Ethylene-Vinyl Acetate)であっても構わない。要するに、本発明に係るパッキンPは、熱可塑性樹脂であればよい。熱可塑性樹脂であれば、汎用樹脂であり、安価で安定的に大量に入手することができ、溶剤等と反応しにくいからである。また、合成ゴムなどと相違して、加硫のために添加する硫黄等と内容物が反応してしまうという問題を解消することができるからである。それに加え、天然ゴムや合成ゴムなどと相違して、パッキンPを熱可塑性樹脂から構成することで、内容物と反応するか否かの検証が極めて容易となるからである。
<缶本体>
次に、図3〜図5を用いて、蓋付きペール缶1の缶本体2について、さらに詳細に説明する。図3は、蓋付きペール缶1の缶本体2を中心を通る鉛直面で切断した状態を示す鉛直断面図であり、図4は、蓋付きペール缶1を上方から見下ろした状態で示す平面図である。また、図5は、図3のB部拡大図である。缶本体2は、前述のように、缶本体2の胴体部分となる金属板から端部同士が溶接されて円筒状に形成された缶胴体20と、缶本体2の底板部分となる円板状の金属板からなる地板21と、から主に構成されている。
(缶胴体)
缶胴体20は、0.3mm〜0.6mm程度の薄板の矩形の鋼板からロール成形されて、矩形の端部同士がシーム溶接等で接合され円筒状に成形された後、ローラにより、その溶接部の上端部となる一端部の段差が押し潰されて平滑化されている。缶胴体20の溶接部分の板厚分の段差をなくして、後述のカール成形した際に、段差部分に三角形状(楔状)の隙間が形成されないようにするためである。
この缶胴体20は、例えば、上端開口の内径の直径が285mmで、下端開口の内径の直径が272mmに設定され、積み重ねて保管できるように缶径が上方へ行くに従って大きくなるようにテーパが付けられている。
また、この缶胴体20の上端の縁部には、図3に示すように、鋼板の切断した鋭利な端部が露出しないように、且つ、上端の曲げ強度を向上させるために、スピンカール等でロール成形されて丸められたカール部22が形成されている。
そして、図3に示すように、この缶胴体20には、缶本体2内に内容物を充填して搬送する際などにおいて、容器の変形を防止するために強度を上げことを目的として、缶胴体20の外側へコルゲート(波形)状に湾曲して突出する凸状ビード23が形成されている。
(地板)
図4に示すように、地板21は、主に、缶胴体20と同様の薄板の円盤状の鋼板からなり、曲げ剛性を確保するため、上方へコルゲート(波形)状に湾曲して突出するリング状の3つのリング状ビード24が形成されている。
また、図5に示すように、地板21の外縁周りの縁部25は、下方へ折り曲げられて所定の傾斜角度で傾斜した傾斜面が形成され、巻締め部26で缶胴体20の下端の縁と巻き締められて一体化されている。
(取手)
次に、図1、図3,図4,図6を用いて、取手4について説明する。図6は、蓋付きペール缶1のイヤー部42を主に示す図面であり、(a)が拡大正面図、(b)が水平断面図である。取手4は、図1、図3,図4等に示すように、鋼線(鋼棒)からなる取手本体40と、この取手本体40に外嵌された樹脂材からなる筒状の握手41などからなり、カップ状の鋼製金具であるイヤー部42で缶胴体20に揺動自在に止め付けられている。
図6に示すように、このイヤー部42は、缶胴体20と同様の薄板の鋼板からカップ状に成形されたイヤー部本体43と、このイヤー部本体43の左右の側部に添設された缶胴体20との溶接の際に用いられる溶接用の溶接鍔44など、から構成されている。また、このイヤー部本体43の中央には、取手本体40を揺動自在に掛け止める取手孔45が穿設されている。
次に、図7を用いて、蓋付きペール缶1の缶本体2と天蓋3との封止部分であるパッキンPについて説明する。図7は、蓋付きペール缶1の缶本体2の開口部を天蓋3で閉めた状態を、パッキンP部分を拡大して示す図2と同様の部分拡大図である。
前述のパッキンPが装着された天蓋3の周縁溝部32を、缶本体2のカール部22の直上に来るように位置合わせを行い、周縁溝部32をカール部22に嵌め込むようにしてこれを降ろしていく。その結果、周縁溝部32に嵌め込まれたパッキンPがカール部22の上面に当接されることになる。そしてこの状態で、パッキンPがカール部22に接触して押し当てられることなり、パッキンPが、カール部22の湾曲形状に応じて弾性変形して、缶本体2と天蓋3との間の隙間を封止する仕組みとなっている。
このとき、本実施形態に係る蓋付きペール缶1では、背景技術で述べた三角形状(楔状)の隙間は、ローラで押し潰されて平滑化されている(図13,図14の写真も参照)。このため、蓋付きペール缶1に収容する内容物と反応するおそれが少ないパッキンを選択する際に、弾力性が乏しい安価な素材も選択肢とすることができる。蓋付きペール缶1では、前述のように、安価で安定的に大量に入手することができ、溶剤等と反応しにくい発泡ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を採用している。
以上説明した本実施形態に係る蓋付きペール缶1によれば、内容物と反応するおそれが少ないパッキンを選択する際に、弾力性が乏しい安価な素材も選択肢とすることができる。また、蓋付きペール缶1によれば、汎用樹脂である熱可塑性樹脂からなるパッキンが装着されているので、内容物と反応するか否かの検証がし易く、検証の手間を大幅に省くことができる。
それに加え、蓋付きペール缶1によれば、汎用樹脂で安価であり、多くの内容物と反応しない素材であるポリエチレン樹脂などの熱可塑性樹脂をパッキンに用いるので、長期間に亘って密封性を保持するというペール缶の必要機能を発揮しつつ、コストダウンを達成することができる。
(パッキンの別の実施形態)
次に、図8,図9を用いて、前述のパッキンPの別の実施形態であるパッキンP’について説明する。図8は、パッキンの別の実施形態を模式的に示す鉛直断面図であり、図9は、そのパッキンの一部を模式的に拡大して示す部分拡大断面図である。
図8,図9に示すように、パッキンP’は、熱可塑性樹脂からなる樹脂カプセルの球体にガス(気体)が封入された多数のカプセルCPが、低密度ポリエチレンなどの他の熱可塑性樹脂からなる繋ぎ樹脂P1で被覆され、それらのカプセルCP及び繋ぎ樹脂P1が非発泡の繋ぎ樹脂P1と同一樹脂からなるチューブTに装填された三重被覆構造となっている。このため、パッキンP’は、カプセルCPに封入された発泡剤のガスが三重の樹脂で被覆されて抜けにくい構造となっており、パッキンP’の弾力性及び耐荷重性を長期に亘って保持することができる。その上、熱可塑性樹脂のみからなる前述のパッキンPと比べて、ガス(気体)部分が緩衝材となり、高い弾力性及び耐荷重性を発揮することができる。
カプセルCPに封入されているガスは、イソペンタンやイソオクタンなどの発泡剤である気体から構成されていることが好ましい。安価に入手可能であり、カプセルCPを製造し易く製造コストを低減することができるからである。
[蓋付きペール缶の製造方法]
次に、図10〜図14を用いて、本発明の実施形態に係るペール缶の製造方法について説明する。前述の本発明の実施形態に係る蓋付きペール缶1を製造する場合を例示して説明する。図10は、本発明の実施形態に係るペール缶の製造方法の各工程を示すフローチャートである。図11は、溶接部平滑化工程を行わなかった場合の溶接カール部を示す写真(30倍)である。図12は、図11の拡大写真(100倍)である。また、図13は、溶接部平滑化工程後にカール工程を行った場合の溶接カール部を示す写真(30倍)である。図14は、図13の拡大写真(100倍)である。
(缶胴体溶接工程)
本実施形態に係るペール缶の製造方法では、先ず、図10に示すように、矩形の鋼板から溶接して円筒状の缶胴体を形成する缶胴体溶接工程を行う。具体的には、薄板の矩形の鋼板をロール成形して端部同士をシーム溶接等で接合して円筒状に成形する。
(溶接部平滑化工程)
次に、本実施形態に係るペール缶の製造方法では、前工程で溶接した溶接部分の段差(カール部22の溶接部)を、ローラを用いて缶胴体20の内側から常温で押し潰して平滑化する溶接部平滑化工程を行う(図11〜図14も参照)。
本工程では、前工程で溶接した溶接部分のうち、前述のカール部22となる一端部(上端部)だけ缶胴体20の他の部分の鋼材の厚さと同程度の厚さとなるまで平滑化する(図13,図14も参照)。勿論、前述の巻締め部26となる他端部(下端部)も平滑化しても構わない。巻締め部26の隙間がなくなり、巻締め部26から内容物が漏れ出すおそれを低減することができるからである。また、溶接部分の全長に亘って平滑化することもできる。但し、蓋付きペール缶1の製造効率を考慮するとカール部22となる上端部だけ平滑化することが好ましい。ペール缶の1個当たりの製造時間を短縮して、製品単価を低減することができるからである。
(缶胴体の二次加工工程)
次に、本実施形態に係るペール缶の製造方法では、缶胴体20の円筒体の一方の端部をエキスパンダー等で拡径するとともに、両端部の径が、所定の大きさの径になっているか否かをチェックして所定径となるまで矯正する缶胴体の二次加工工程を行う。本工程では、前述の凸状ビード23も形成する。
このように、本工程は、溶接部平滑化工程の後に行うことが好ましい。溶接部平滑化工程において溶接部の平滑化を容易で短時間で行えるだけでなく、本工程において、平滑化のローラ加工により、二次加工を施した部分を損傷するおそれがなくなるからである。
(カール工程)
次に、本実施形態に係るペール缶の製造方法では、缶胴体20を回転させながら、缶胴体20の一端(上端)に治具を押し当ててカール加工してカール部22を形成するカール工程を行う。本工程は、缶胴体の二次加工工程と同時に並行して行ってもよい。
(地板形成工程)
次に、本実施形態に係るペール缶の製造方法では、矩形の鋼板から地板を形成する地板形成工程を行う。具体的には、矩形の鋼板から円盤状に打ち抜くとともに、打ち抜いた円盤状の地板21に、前述のリング状ビード24をロール加工する。そして、外周の縁部を回転させながら折り曲げて前述の縁部25の傾斜面を形成する。
勿論、地板形成工程は、前述の各工程と同時並行して行ってもよいことは云うまでもない。
(巻締め工程)
次に、本実施形態に係るペール缶の製造方法では、缶胴体20の下端の縁と、地板21の縁部25を巻き締めて接合し、巻締め部26を形成する巻締め工程を行う。具体的には、缶胴体20及び地板21を回転させながら、巻締めロールで締め付けて、巻締め加工を施し、前述の巻締め部26を形成する。
(イヤー部溶接工程)
次に、本実施形態に係るペール缶の製造方法では、イヤー部42を缶胴体20に溶接するイヤー部溶接工程を行う。具体的には、缶胴体20の所定の位置にイヤー部42を設置し、溶接鍔44を缶胴体20に溶接ガンで溶接する。
(取手装着工程)
そして、本実施形態に係るペール缶の製造方法では、取手4をイヤー部42の取手孔45に装着する取手装着工程を行う。
(封止工程)
その後、製造した蓋付きペール缶1に内容物を充填し、パッキンPが装着された天蓋3で、前記カール工程で形成したカール部22に、パッキンPを密着させて缶胴体20の開口部を封止する封止工程を行う。本工程の終了により、本実施形態に係るペール缶の製造方法が終了する。
以上説明した本実施形態に係るペール缶の製造方法によれば、溶接部分の段差をローラを用いて缶胴体20の内側から常温で押し潰して平滑化した上、カール工程でカール部22を形成する。その後、熱可塑性樹脂からなるパッキンPが装着された天蓋3を用いて、前記カール工程で形成したカール部22に、パッキンPを密着させて缶胴体20の開口部を封止する。このため、本実施形態に係るペール缶の製造方法によれば、内容物と反応するおそれが少ないパッキンPを採用しも内容物が漏れ出すおそれが少ない蓋付きペール缶1を製造することができる。
また、本実施形態に係るペール缶の製造方法によれば、カール部22となる一端部(上端部)だけ平滑化するので、缶胴体20の溶接部の平滑化を容易で短時間に行うことができる。
それに加え、本実施形態に係るペール缶の製造方法によれば、缶胴体20の矯正、拡径、ビード形成などの二次加工前に溶接部平滑化工程を行うので、溶接部平滑化工程において溶接部の平滑化を容易で短時間で行えるだけでなく、平滑化のローラ加工により、矯正、拡径、ビード形成などの二次加工を施した部分を損傷するおそれもない。
以上、本発明の実施形態に係る蓋付きペール缶及びペール缶の製造方法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、本発明に係る蓋付きペール缶及びペール缶の製造方法は、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
特に、本発明の実施形態に係る蓋付きペール缶として、凸条ビードが形成されたテーパペール缶を例示して説明したが、本発明は、テーパペール缶に限られず、完全な円筒状のストレートペール缶にも適用することができる。
また、熱可塑性樹脂として発泡ポリエチレンを例示して説明したが、他の熱可塑性樹脂から構成されていても構わない。例えば、熱可塑性樹脂の汎用樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(アクリル樹脂:PMMA)、アクロリニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリカーボネイト(PC)など、の樹脂が挙げられる。
1:蓋付きペール缶
2:缶本体
20:缶胴体
21:地板
22:カール縁(縁部)
23:凸状ビード
24:リング状ビード
25:縁部(地板の外縁)
26:巻締め部
3:天蓋
30:天板
31:周縁立上部
32:周縁溝部
33:折返し部
4:取手
40:取手本体
41:握手
42:イヤー部
43:イヤー部本体
44:溶接鍔
45:取手孔
P,P’:パッキン
CP:カプセル
P1:繋ぎ樹脂
T:チューブ

Claims (6)

  1. 円板状の金属板からなる地板と、金属板から端部同士が溶接されて円筒状に形成された缶胴体と、この缶胴体の開口部を覆う円板状の金属板からなる天蓋と、を備え、前記缶胴体と前記地板とが巻締られて一体化された蓋付きペール缶であって、
    前記缶胴体の金属板の端部同士が溶接された溶接部の一端部の段差が押し潰されて平滑化された上、前記一端部がカール加工されてカール部が形成されており、
    当該カール部と前記天蓋との間には、熱可塑性樹脂からなるパッキンが前記カール部に密着されて装着されていること
    を特徴とする蓋付きペール缶。
  2. 前記パッキンは、ガスが封入された多数のカプセルが熱可塑性樹脂からなる繋ぎ樹脂で被覆された上、チューブに装填された三重被覆構造となっていること
    を特徴とする請求項1に記載の蓋付きペール缶。
  3. 前記パッキンの前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の蓋付きペール缶。
  4. 矩形の金属板の端部同士を溶接して円筒状の缶胴体を形成する缶胴体溶接工程と、
    前記缶胴体溶接工程で溶接した前記缶胴体の溶接部をローラにて常温で押し潰して平滑化する溶接部平滑化工程と、
    前記溶接部平滑化工程後に、前記缶胴体の一端をカール加工するカール工程と、
    熱可塑性樹脂からなるパッキンが装着された、円板状の金属板からなる天蓋を用いて、前記カール工程で形成したカール部に、前記パッキンを密着させて前記缶胴体の開口部を封止する封止工程と、を備えること
    を特徴とするペール缶の製造方法。
  5. 前記溶接部平滑化工程は、前記カール工程でカール加工する部分だけ平滑化すること
    を特徴とする請求項4に記載のペール缶の製造方法。
  6. 前記缶胴体溶接工程の直後の前記缶胴体の矯正、拡径、ビード形成などの二次加工前に前記溶接部平滑化工程を行うこと
    を特徴とする請求項4又は5に記載のペール缶の製造方法。
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