以下、添付図面を参照して、本発明に係る配管の接続位置の算出装置および方法並びに配管の接続方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
図11は、原子力プラントを表す概略構成図である。
図11に示すように、原子力発電プラントは、原子炉を有する。ここで説明する原子炉は、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
原子炉格納容器101は、内部に加圧水型原子炉102と蒸気発生器103が格納される。加圧水型原子炉102と蒸気発生器103は、高温側送給配管104と低温側送給配管105を介して連結され、低温側送給配管105に一次系冷却水ポンプ106が設けられる。
加圧器107は、下部が高温側送給配管104に連結され、低温側送給配管105から延びるスプレイ配管108が加圧器107の上部に連通する。スプレイ配管108は、中途部にスプレイ弁109が設けられ、先端部にスプレイノズル110が設けられる。加圧器107は、上部に加圧器安全配管111の一端部が連結され、加圧器安全配管111の他端部が大気に開放される。加圧器安全配管111は、加圧器安全弁112が設けられる。また、加圧器107は、上部に加圧器逃がし配管113の一端部が連結される。加圧器逃がし配管113は、加圧器逃がし弁114が設けられ、他端部が加圧器逃がしタンク115に連結される。
加圧水型原子炉102は、内部に炉心116が設けられ、炉心116は、複数の燃料集合体(燃料棒)により構成される。加圧水型原子炉102は、炉心116における燃料集合体の間に複数の制御棒117が配置される。この複数の制御棒117を炉心116に対して抜き差しすることで、原子炉出力を制御する。蒸気発生器103は、内部に複数の伝熱管からなる伝熱管群118が設けられる。複数の伝熱管は、一端部に高温側送給配管104が連結され、他端部に低温側送給配管105が連結される。また、蒸気発生器103は、蒸気配管119により、例えば、蒸気タービン(図示略)が連結される。
そのため、加圧水型原子炉102は、炉心116の燃料集合体により一次系冷却水が加熱され、高温の一次系冷却水が加圧器107により所定の高圧に維持された状態で、高温側送給配管104を通して蒸気発生器103に送られる。この蒸気発生器103は、高温高圧の一次系冷却水と二次系冷却水との間で熱交換を行うことで二次系蒸気を生成し、冷やされた一次系冷却水が加圧水型原子炉102に戻される。
ところで、例えば、加圧器107に連結される加圧器安全配管111は、経年劣化により部分的に交換工事が行われる。この場合、まず、加圧器安全配管111における劣化部分を切断して除去する。次に、除去した部分に配置する交換用の接続配管を製作し、既設配管の接続部との位置合わせを行った後、接続配管を既設配管に溶接により接続する。この場合、加圧器安全配管111は、湾曲部分を含んだ複雑形状であることから、複数(本実施形態では、2本)の接続配管が必要となる。そのため、既設配管に対する複数の接続配管の位置合わせが困難となる。
図1は、本実施形態の配管の接続位置の算出装置を表す概略構成図である。
本実施形態において、図1に示すように、配管の接続位置の算出装置10は、3次元計測部11と、データ処理装置12と、データ出力部13と、操作部14と、表示部15と、記憶部16とを備える。データ処理装置12は、3次元データ生成部21と、接続角度算出部22と、切断位置算出部23とを備える。
図2は、既設配管を表す正面図、図3は、既設配管を表す平面図である。
図2および図3に示すように、加圧器107は、既設配管としての加圧器安全配管111が接続される。加圧器安全配管111は、加圧器本体121に固定された管台122に接続される。加圧器安全配管111は、定期検査の実施により交換の必要な部分が見つかると、配管の部分的な交換工事を行う必要がある。この場合、加圧器安全配管111の端部と管台122との接続部で切断すると共に、加圧器安全配管111の端部から複数の屈曲部111a,111bを超えた所定の位置で切断する。すると、第1既設配管としての管台122の端部123と第2既設配管としての既設配管124の端部125との間で、複数の屈曲部111a,111bを有する除去部126が除去される。
図4は、既設配管における交換部分を切断除去した状態を表す正面部、図5−1は、既設配管と接続配管元管を表す正面図、図5−2は、既設配管と接続配管元管との接続角度を表す正面図である。
図4に示すように、加圧器安全配管111は、除去部126(図2参照)が切断されると、加圧器本体121に固定された第1既設配管としての管台122と、第2既設配管としての既設配管124が残存する。そのため、管台122の端部123と既設配管124の端部125とを複数(本実施形態では、2本)の接続配管131,141により接続する。このとき、2本の接続配管131,141の寸法は、設計時のデータに基づいて製作することができるものの、管台122の端部123の位置や既設配管124の端部125の位置は、加圧器107や加圧器安全配管111の据付公差により設計時のデータからずれている可能性がある。そのため、管台122と既設配管124に対する接続配管131,141の接続位置を新たに求める必要がある。
図1および図4、図5−1に示すように、本実施形態では、管台(第1既設配管)122の端部123と既設配管(第2既設配管)124の端部125との間に2本の接続配管131,141を接続する。このとき、接続配管131,141を製作するための接続配管元管151,161を用意する。そして、接続配管元管151,161を所定の長さに切断して接続配管131,141を製作する。本実施形態の配管の接続位置の算出装置10は、管台122の端部123と既設配管124の端部125との間に接続配管131,141が隙間なく接続されるように、接続配管元管151,161の各端部の切断位置を算出するものである。
本実施形態の配管の接続位置の算出方法は、管台122の端部123と既設配管124の端部125と2本の接続配管元管151,161(接続配管131,141)の各端部152,154,162,164を3次元計測する工程と、3次元計測した管台122の端部123の位置と既設配管124の端部125の位置と接続配管元管151,161の各端部152,162を基準点が同じである座標データに変換して3次元データを生成する工程と、座標変換した3次元データに基づいて複数の接続配管元管151,161同士の軸方向に対する第1接続角度θ1を算出すると共に第2接続配管元管161と加圧器安全配管111との軸方向に対する第2接続角度θ2を算出する工程と、第1接続角度θ1が予め設定された第1規定角度θaより小さくなると共に第2接続角度θ2が予め設定された第2規定角度θbより小さくなるように複数の接続配管元管151,161の各端部154,164の切断位置を算出する工程とを有する。
すなわち、3次元計測部11は、管台122の端部123と既設配管124の端部125と接続配管131,141のための接続配管元管151,161の各端部152,154,162,164を3次元計測する。3次元計測部11は、例えば、レーザートラッカーであって、本体から出ているレーザービームをリフレクターに当てることにより本体からリフレクターの中心座標を算出する3次元測定機である。3次元データ生成部21は、3次元計測部11が計測した管台122の端部123の位置(3次元座標)と既設配管124の端部125の位置(3次元座標)と接続配管元管151,161の各端部152,154,162,164の位置(3次元座標)を基準点が同じである座標データに変換して3次元データを生成する。
接続角度算出部22は、複数の接続配管元管151,161同士の軸方向に対する第1接続角度θ1を算出すると共に第2接続配管元管161と加圧器安全配管111との軸方向に対する第2接続角度θ2を算出する。切断位置算出部23は、第1接続角度θ1が予め設定された第1規定角度θaより小さくなると共に第2接続角度θ2が予め設定された第2規定角度θbより小さくなるように複数の接続配管元管151,161の各端部の切断位置を算出する。
なお、データ出力部13は、切断位置算出部23が算出した接続配管元管151,161の各端部の切断位置を出力する。操作部14は、作業者が管台122、既設配管124、接続配管元管151,161の各種データを入力するものである。表示部15は、データ処理装置12の処理内容を表示し、記憶部16は、データ出力部13の処理内容を記憶する。
図6は、第1既設配管の接続部を表す概略図、図7は、第1接続配管元管を表す概略図、図8は、第2接続配管元管を表す概略図、図9は、第2既設配管の接続部を表す概略図である。
図5−1及び図6に示すように、管台122は、軸線P1に直交する端部123を有する。管台122の端部123は、リング形状をなし、周方向に所定間隔をあけて複数のマークが設けられる。管台122の端部123は、周方向に所定間隔を空けて複数(本実施形態では、8個)の計測点A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8が設定され、この計測点A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8にマーク(例えば、ペイントやシールなど)が形成される。
3次元計測部11は、異なる複数の位置から管台122の端部123における計測点A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8のマークの位置を計測し、計測点A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)を求める。そして、3次元計測部11は、計測点A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)に基づいて管台122の端部123における中心O1の3次元座標(Xa,Ya,Za)を求める。管台122の端部123における中心O1の3次元座標(Xa,Ya,Za)は、軸線P1が通る。
図5−1及び図7に示すように、第1接続配管131(図4参照)として、第1接続配管元管151を予め製作しておく。第1接続配管元管151は、余長部を含んでいる。すなわち、第1接続配管元管151は、設計データに基づいて製作された寸法であり、第1直線部151aと、第2直線部151bを有し、第2直線部151bが余長部を含んでいる。第1接続配管元管151は、第1直線部151aの軸線P2と第2直線部151bの軸線P3が所定の角度で交差するように折曲した形状をなす。第1接続配管元管151は、第1直線部151a側に端部152を有し、第2直線部151b側に端部154を有する。
第1接続配管元管151は、第1直線部151aの軸線P2に沿う長さL1と、第2直線部151bの軸線P3に沿う長さL2とが設計データに基づいて設定されている。なお、第1接続配管元管151は、第2直線部151bの軸線P3を規定するため、第2直線部151bの端部154から所定長さL3だけ離間した位置に中間部153を設けている。第1接続配管元管151は、軸線P2に直交する端部152を有する。第1接続配管元管151の端部152は、リング形状をなし、周方向に所定間隔をあけて複数のマークが設けられる。第1接続配管元管151の端部152は、周方向に所定間隔を空けて複数(本実施形態では、8個)の計測点F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8が設定され、この計測点F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8にマークが形成される。
3次元計測部11は、異なる複数の位置から第1接続配管元管151の端部152における計測点F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8のマークの位置を計測し、計測点F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)を求める。そして、3次元計測部11は、計測点F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)に基づいて第1接続配管元管151の端部152における中心O2の3次元座標(Xf,Yf,Zf)を求める。第1接続配管元管151の端部152における中心O2の3次元座標(Xf,Yf,Zf)は、軸線P2が通る。
同様に、第1接続配管元管151の中間部153における計測点G1,G2,G3,G4,G5,G6,G7,G8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)を求め、計測点G1,G2,G3,G4,G5,G6,G7,G8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)に基づいて第1接続配管元管151の中間部153における中心O3の3次元座標(Xg,Yg,Zg)を求める。同様に、第1接続配管元管151の端部154における計測点H1,H2,H3,H4,H5,H6,H7,H8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)を求め、計測点H1,H2,H3,H4,H5,H6,H7,H8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)に基づいて第1接続配管元管151の端部154における中心O4の3次元座標(Xh,Yh,Zh)を求める。第1接続配管元管151の中間部153および端部154における中心O3の3次元座標(Xg,Yg,Zg)と中心O4の3次元座標(Xh,Yh,Zh)は、軸線P3が通る。
図5−1及び図8に示すように、第2接続配管141(図4参照)として、第2接続配管元管161を予め製作しておく。第2接続配管元管161は、余長部を含んでいる。すなわち、第2接続配管元管161は、設計データに基づいて製作された寸法であり、第1直線部161aと、第2直線部161bを有し、第2直線部161bが余長部を含んでいる。第2接続配管元管161は、第1直線部161aの軸線P4と第2直線部161bの軸線P5が所定の角度で交差するように折曲した形状をなす。第2接続配管元管161は、第1直線部161a側に端部162を有し、第2直線部161b側に端部164を有する。
第2接続配管元管161は、第1直線部161aの軸線P4に沿う長さL4と、第2直線部161bの軸線P5に沿う長さL5とが設計データに基づいて設定されている。なお、第2接続配管元管161は、第2直線部161bの軸線P5を規定するため、第2直線部161bの端部164から所定長さL6だけ離間した位置に中間部163を設けている。第2接続配管元管161は、軸線P4に直交する端部162を有する。第2接続配管元管161の端部162は、リング形状をなし、周方向に所定間隔をあけて複数のマークが設けられる。第2接続配管元管161の端部162は、周方向に所定間隔を空けて複数(本実施形態では、8個)の計測点I1,I2,I3,I4,I5,I6,I7,I8が設定され、この計測点I1,I2,I3,I4,I5,I6,I7,I8にマークが形成される。
3次元計測部11は、異なる複数の位置から第2接続配管元管161の端部162における計測点I1,I2,I3,I4,I5,I6,I7,I8のマークの位置を計測し、計測点I1,I2,I3,I4,I5,I6,I7,I8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)を求める。そして、3次元計測部11は、計測点I1,I2,I3,I4,I5,I6,I7,I8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)に基づいて第2接続配管元管161の端部162における中心O5の3次元座標(Xi,Yi,Zi)を求める。第2接続配管元管161の端部162における中心O5の3次元座標(Xi,Yi,Zi)は、軸線P4が通る。
同様に、第2接続配管元管161の中間部163における計測点J1,J2,J3,J4,J5,J6,J7,J8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)を求め、計測点J1,J2,J3,J4,J5,J6,J7,J8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)に基づいて第2接続配管元管161の中間部163における中心O6の3次元座標(Xj,Yj,Zj)を求める。同様に、第2接続配管元管161の端部164における計測点K1,K2,K3,K4,K5,K6,K7,K8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)を求め、計測点K1,K2,K3,K4,K5,K6,K7,K8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)に基づいて第2接続配管元管161の端部164における中心O7の3次元座標(Xk,Yk,Zk)を求める。第2接続配管元管161の中間部163および端部164における中心O6の3次元座標(Xd,Yd,Zd)と中心O7の3次元座標(Xk,Yk,Zk)は、軸線P5が通る。
図5−1及び図9に示すように、既設配管124は、軸線P6に直交する端部125を有する。既設配管124の端部125は、リング形状をなし、周方向に所定間隔をあけて複数のマークが設けられる。既設配管124の端部125は、周方向に所定間隔を空けて複数(本実施形態では、8個)の計測点E1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8が設定され、この計測点E1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8にマーク(例えば、ペイントやシールなど)が形成される。
3次元計測部11は、異なる複数の位置から既設配管124の端部125における計測点E1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8のマークの位置を計測し、計測点E1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)を求める。そして、3次元計測部11は、計測点E1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8のマークにおける3次元座標(X,Y,Z)に基づいて既設配管124の端部125における中心O8の3次元座標(Xe,Ye,Ze)を求める。既設配管124の端部125における中心O8の3次元座標(Xe,Ye,Ze)は、軸線P6が通る。
3次元計測部11が求めた管台122の端部123における中心O1の3次元座標(Xa,Ya,Za)、既設配管124の端部125における中心O8の3次元座標(Xe,Ye,Ze)は、加圧器107が設置されている加圧水型原子炉102(図11参照)が設置されている空間での3次元座標である。つまり、加圧水型原子炉102が設置されている空間に基準点がある3次元座標である。一方、第1接続配管元管151の端部152における中心O2の3次元座標(Xf,Yf,Zf)、中間部153における中心O3の3次元座標(Xg,Yg,Zg)、端部154における中心O4の3次元座標(Xh,Yh,Zh)、第2接続配管元管161の端部162における中心O5の3次元座標(Xi,Yi,Zi)、中間部163における中心O6の3次元座標(Xj,Yj,Zj)、端部164における中心O7の3次元座標(Xk,Yk,Zk)は、3次元計測部11が計測した空間での3次元座標である。
そのため、図1および図5−2から図7に示すように、管台122の端部123に第1接続配管元管151の端部152が接続されることから、3次元データ生成部21は、第1接続配管元管151の端部152における中心O2の3次元座標(Xf,Yf,Zf)を、管台122の端部123における中心O1の3次元座標(Xa,Ya,Za)に変換する。また、図1および図5−2、図7、図8に示すように、第1接続配管元管151の端部154側(後述する接続部155)に第2接続配管元管161の端部162が接続されることから、3次元データ生成部21は、第2接続配管元管161の端部162における中心O5の3次元座標(Xi,Yi,Zi)を、管台122や既設配管124と同じ座標系の3次元座標(Xc,Yc,Zc)に変換する。なお、図1および図5−2、図8、図9に示すように、第2接続配管元管161の端部164側(後述する接続部165)に既設配管124の端部125が接続される。
接続角度算出部22は、管台122の端部123の3次元座標(Xa,Ya,Za)、既設配管124の端部125の3次元座標(Xe,Ye,Ze)、第1接続配管元管151の端部152の3次元座標(Xa,Ya,Za)、第2接続配管元管161の端部162の3次元座標(Xc,Yc,Zc)に基づいて以下の処理を行う。すなわち、図5−2に示すように、第1接続配管元管151の接続部155と第2接続配管元管161の端部162との接続角度θ1を算出すると共に、第2接続配管元管161の接続部165と既設配管124の端部125との接続角度θ2を算出する。ここで、第1接続配管元管151の接続部155は、中間部153と端部154の間の余長部に決定され、第2接続配管元管161の接続部165は、中間部163と端部164の間の余長部に決定される。そして、第1接続角度θ1とは、第1接続配管元管151の軸線P3と第2接続配管元管161の軸線P4とが交差する角度であり、第2接続角度θ2とは、第2接続配管元管161の軸線P5と既設配管124の軸線P6とが交差する角度である。
切断位置算出部23は、第1接続角度θ1が予め設定された第1規定角度θaより小さくなると共に、第2接続角度θ2が予め設定された第2規定角度θbより小さくなるように、第1接続配管元管151と第2接続配管元管161の各端部154,164側の余長部の切断位置(接続部155,165)を算出する。ここで、切断位置算出部23は、管台122と既設配管124に対して、第1接続配管元管151と第2接続配管元管161を必要に応じて周方向に回動しながら処理を行う。このとき、管台122と既設配管124に対して、第1接続配管元管151と第2接続配管元管161を回動する否かは、管台122と既設配管124と第1接続配管元管151と第2接続配管元管161の形状に応じて変わる。つまり、接続配管元管151,161を回動せずに切断位置を算出できる場合もあり、接続配管元管151,161を回動することで切断位置を算出できる場合もある。なお、第1規定角度θaと第2規定角度θbとは、第1接続配管元管151と第2接続配管元管161と既設配管124が適正に接続できる角度である。
すなわち、切断位置算出部23は、第1接続角度θ1が第1規定角度θaより小さくなると共に、第2接続角度θ2が予め設定された第2規定角度θbより小さくなるように第1接続配管元管151と第2接続配管元管161を回動し、このときの管台122の端部123に対する第1接続配管元管151の端部152の周方向における接続角度αと、第1接続配管元管151の接続部155と第2接続配管元管161の端部162の周方向における接続角度βを算出する。この場合、管台122の端部123における計測点A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8のマークにおける3次元座標と第1接続配管元管151の端部152における計測点A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8の3次元座標を求めていることから、管台122の軸線P1と第1接続配管元管151の軸線P2との軸線回りの相対角度を接続角度αとして算出することができる。また、第1接続配管元管151の中間部153における計測点G1,G2,G3,G4,G5,G6,G7,G8の3次元座標、端部154における計測点H1,H2,H3,H4,H5,H6,H7,H8の3次元座標、第2接続配管元管161の端部162における計測点I1,I2,I3,I4,I5,I6,I7,I8(計測点C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8)の3次元座標を求めていることから、中間部153と端部154の間にある第1接続配管元管151の接続部155の軸線P3と第2接続配管元管161の軸線P4の軸線回りの相対角度を接続角度βとして算出することができる。
接続角度算出部22と切断位置算出部23は、例えば、最小二乗法(ソルバー)により計算処理を行う。ソルバーとは、表計算ソフトの機能の一種であり、複数の変数を含む数式において、目標とする値を得るための最適な変数の値を求めることができる。なお、接続角度算出部22と切断位置算出部23は、例えば、ソルバーによる計算処理に限定されるものではない。例えば、人工頭脳(AI)を用いて処理を行ってもよい。
そして、切断位置算出部23は、第1接続配管元管151における第2直線部151bにて、端部154から中間部153側への切断長さを算出し、接続部155にケガキ線を入れる。この場合、第1接続配管元管151の接続部155における計測点C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8のマークの位置の3次元座標(X,Y,Z)を求めていることから、端部154の周方向における複数の計測点H1,H2,H3,H4,H5,H6,H7,H8から中間部153側へ軸方向に離間した位置までの切断長さを算出する。また、切断位置算出部23は、第2接続配管元管161における第2直線部161bにて、端部164から中間部163側への切断長さを算出し、接続部165にケガキ線を入れる。この場合、第2接続配管元管161の接続部165における計測点E1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8のマークの位置の3次元座標(X,Y,Z)を求めていることから、端部164の周方向における複数の計測点のK1,K2,K3,K4,K5,K6,K7,K8から中間部163側へ軸方向に離間した位置までの切断長さを算出する。
ここで、本実施形態の配管の接続方法について具体的に説明する。図10は、本実施形態の配管の接続方法を表すフローチャートである。
本実施形態の配管の接続方法において、図2および図10に示すように、ステップS11にて、既設配管としての加圧器安全配管111における所定の長さ領域を切断して除去する。すなわち、加圧器安全配管111における管台122の端部123と既設配管124の端部125との間で除去部126を切断して除去する。ステップS12にて、管台122の端部123および既設配管124の端部125を開先加工する。そして、ステップS13にて、第1接続配管元管151と第2接続配管元管161を製作した後、ステップS14以降で、配管の接続位置の算出装置10による配管の接続位置算出方法を実施する。
図5−1および図10に示すように、ステップS13にて、第1接続配管131に応じた第1接続配管元管151と第2接続配管141に応じた第2接続配管元管161を製作する。ステップS14にて、管台122の端部123と既設配管124の端部125と第1接続配管元管151の端部152,154と第2接続配管元管161の端部162,164の各計測点にマークを貼り付ける。図1および図10に示すように、ステップS15にて、3次元計測部11は、管台122の端部123と既設配管124の端部125と第1接続配管元管151の端部152,154と第2接続配管元管161の端部162,164における各計測点のマークに対する3次元計測処理を行う。なお、第1接続配管元管151と第2接続配管元管161にて、各軸線P3,P5を規定するため、各端部154,164から所定長さL3,L6だけ離間した中間部153,163に対する3次元計測処理を行う。
ステップS16にて、3次元データ生成部21は、3次元計測部11が計測した3次元データに基づいて3次元データの作成処理を行う。すなわち、図5−2に示すように、第1接続配管元管151の端部152における中心O2の3次元座標(Xf,Yf,Zf)、第2接続配管元管161の端部162における中心O5の3次元座標(Xi,Yi,Zi)を、管台122と基準点が同じである座標データに変換する。すなわち、3次元座標(Xf,Yf,Zf)が3次元座標(Xa,Ya,Za)となり、3次元座標(Xi,Yi,Zi)が3次元座標(Xc,Yc,Zc)となる。
図1および図10に示すように、ステップS17にて、接続角度算出部22は、第1接続配管元管151の接続部155と第2接続配管元管161の端部162との接続角度θ1を算出すると共に、第2接続配管元管161の接続部165と既設配管124の端部125との接続角度θ2を算出する。
ステップS18にて、切断位置算出部23は、第1接続角度θ1が第1規定角度θaより小さくなると共に、第2接続角度θ2が第2規定角度θbより小さくなるように、第1接続配管元管151と第2接続配管元管161の各端部154,164側の余長部の切断位置を算出する。すなわち、第1接続角度θ1が第1規定角度θaより小さくなると共に、第2接続角度θ2が予め設定された第2規定角度θbより小さくなるような管台122の端部123に対する第1接続配管元管151の端部152の周方向における接続角度αと、第1接続配管元管151の接続部155と第2接続配管元管161の端部162の周方向における接続角度βを算出する。このとき、必要に応じて第1接続配管元管151や第1接続配管元管151を回転し、第1接続角度θ1が第1規定角度θaより小さくなると共に、第2接続角度θ2が第2規定角度θbより小さくなるような接続角度αと接続角度βを求める。
ステップS19にて、切断位置算出部23が算出した切断位置に基づいて第1接続配管元管151の端部154側の余長部の少なくとも一部を切断すると共に、第2接続配管元管161の端部164側の余長部の少なくとも一部を切断する。すると、図5−2に示すように、第1接続配管元管151が加工されて接続部155が形成され、接続部155を有する第1接続配管元管151となる。また、第2接続配管元管161が加工されて接続部165が形成され、接続部165を有する第2接続配管元管161となる。そして、第1接続配管元管151の接続部155と、第2接続配管元管161の接続部165に対して開先加工を行う。すると、第1接続配管131と第2接続配管141(いずれも図4参照)が製作される。
ステップS20にて、切断位置算出部23が算出した接続角度α,βに基づいて管台122の端部123と既設配管124の端部125との間に第1接続配管131と第2接続配管141を位置決めする。ここで、管台122と第1接続配管131と第2接続配管141と既設配管124を仮溶接することが好ましい。ステップS21にて、管台122と第1接続配管131と第2接続配管141と既設配管124を溶接により接続する。
このように本実施形態の配管の接続位置の算出装置にあっては、管台122の端部123と既設配管124の端部125と接続配管元管151,161の各端部152,154,162,164を3次元計測する3次元計測部11と、3次元計測部11が計測した管台122の端部123の位置と既設配管124の端部125の位置と接続配管元管151,161の各端部152,162の位置を基準点が同じである座標データに変換して3次元データを生成する3次元データ生成部21と、3次元データ生成部21が生成した3次元データに基づいて接続配管元管151,161同士の軸方向に対する第1接続角度θ1を算出すると共に第2接続配管元管161と加圧器安全配管111との軸方向に対する接続角度θ2を算出する接続角度算出部22と、第1接続角度θ1が予め設定された第1規定角度θaより小さくなると共に第2接続角度θ2が予め設定された第2規定角度θbより小さくなるような接続角度αと接続角度βを算出すると共に複数の接続配管元管151,161の各端部154,164の切断位置を算出する切断位置算出部23とを備える。
従って、管台122の端部123と既設配管124の端部125との間に接続される複数の接続配管131,141の各端部132,133,142,143の接続位置を容易に規定することができ、配管接続作業の作業性の向上を図ることができる。
本実施形態の配管の接続位置の算出装置では、切断位置算出部23は、複数の接続配管元管151,161を必要に応じて周方向に回動したときに、第1接続角度θ1が第1規定角度θaより小さくなると共に第2接続角度θ2が第2規定角度θbより小さくなる複数の接続配管元管151,161の各端部の切断位置を算出する。従って、管台122の端部123と既設配管124の端部125との間に接続される複数の接続配管131,141の各端部の接続位置を容易に規定することができる。
本実施形態の配管の接続位置の算出装置では、複数の接続配管131,141として使用する接続配管元管151,161は、少なくとも一方の端部が余長部を含んでおり、切断位置算出部23は、余長部における切断位置を算出する。従って、管台122の端部123と既設配管124の端部125との間隔が大きくなっていても、接続配管元管151,161の長さを調整することで、管台122の端部123および既設配管124の端部125と適正に接続することができる。
本実施形態の配管の接続位置の算出装置では、切断位置算出部23は、接続配管元管151,161の端部154,164にて、周方向の各位置で切断位置を設定する。従って、接続配管元管151,161の端部154,164を適正な角度に切断して接続部155,165を形成し、管台122の端部123および既設配管124の端部125と適正に接続することができる。
本実施形態の配管の接続位置の算出装置では、管台122の端部123と既設配管124の端部125と接続配管元管151,161の端部152,154,162,164に周方向に所定間隔をあけて複数のマークを設け、3次元計測部11は、複数のマークを用いて3次元計測する。従って、管台122の端部123と既設配管124の端部125と接続配管元管151,161の端部152,154,162,164における形状を精度よく計測することができる。
本実施形態の配管の接続位置の算出装置では、3次元計測部11は、管台122の端部123と既設配管124の端部125と接続配管元管151,161の端部152,154,162,164における中心の3次元座標を計測する。従って、中心の3次元座標を用いて管台122と既設配管124と接続配管元管151,161との位置関係を適正に把握することができる。
本実施形態の配管の接続位置の算出装置では、3次元データ生成部21は、3次元計測部11が計測した接続配管元管151,161の端部152,162の3次元座標を、3次元計測部11が計測した管台122の端部123および既設配管124の端部125と基準点が同じである3次元座標に変換する。基準点が同じ座標内で管台122と既設配管124と接続配管元管151,161との位置関係を把握することができ、高精度な3次元データを生成することができる。
本実施形態の配管の接続位置の算出方法にあっては、管台122の端部123と既設配管124の端部125と接続配管元管151,161の各端部152,154,162,164を3次元計測する工程と、3次元計測した管台122の端部123の位置と既設配管124の端部125の位置と接続配管元管151,161の各端部152,162の位置を基準点が同じである座標データに変換して3次元データを生成する工程と、座標変換した3次元データに基づいて複数の接続配管元管151,161同士の軸方向に対する第2接続角度θ2を算出すると共に第2接続配管元管161と加圧器安全配管111との軸方向に対する接続角度θ2を算出する工程と、第1接続角度θ1が予め設定された第1規定角度θaより小さくなると共に第2接続角度θ2が予め設定された第2規定角度θbより小さくなるような接続角度αと接続角度βを算出する工程とを有する。
従って、管台122の端部123と既設配管124の端部125との間に接続される複数の接続配管131,141の各端部132,133,142,143の接続位置を容易に規定することができ、配管接続作業の作業性の向上を図ることができる。
本実施形態の配管の接続位置の算出方法では、複数の接続配管131,141を必要に応じて周方向に回動したときに、第1接続角度θ1が第1規定角度θaより小さくなると共に第2接続角度θ2が第2規定角度θbより小さくなる複数の接続配管元管151,161の各端部の切断位置を算出する。従って、管台122の端部123と既設配管124の端部125との間に接続される複数の接続配管131,141の各端部の接続位置を容易に規定することができる。
本実施形態の配管の接続方法にあっては、加圧器安全配管111の交換する部分を切断して除去する工程と、加圧器安全配管111の交換する部分が切断されて残存する管台122の端部123および既設配管124の端部125を開先加工する工程と、配管の接続位置の算出方法を実施する工程と、切断位置に基づいて接続配管元管151,161の各端部154,164を切断する工程と、管台122と既設配管124との間で複数の接続配管131,141を決められた所定の角度に位置決めする工程と、管台122と既設配管124との間に位置決めされた接続配管131,141を溶接により接続する工程とを有する。
従って、管台122と既設配管124との間に接続された接続配管131,141の各端部の接続位置を容易に規定するため、切断位置に基づいて接続配管元管151,161の各端部154,164を切断し、管台122と既設配管124との間に接続配管131,141を決められた所定の角度に位置決めし、接続配管131,141を溶接により接続することとなり、配管接続作業の作業性の向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態にて、管台122と既設配管124との間に2本の接続配管131,141を接続するように構成したが、接続配管の数は、2本に限らず、3本以上であってもよい。例えば、接続配管の数が3本であるとき、第1接続配管と第2接続配管との接続角度が第1接続角度であると共に、第2接続配管と第3接続配管との接続角度も第1接続角度であるが、それぞれの第1接続角度は、同じ角度あることもあるし、異なる角度であることもある。また、既設配管と第3接続配管との接続角度が第2接続角度である。また、接続配管の数が4本で以上であるときも同様である。
また、上述した実施形態では、接続配管131,141としての接続配管元管151,161の既設配管124側に余長部を設け、管台122に接続配管131を接続し、接続配管131に接続配管141を接続し、接続配管141を既設配管124に接続したが、この構成に限定されるものではない。例えば、接続配管131,141としての接続配管元管151,161の管台122側に余長部を設け、既設配管124に接続配管141を接続し、接続配管141に接続配管131を接続し、接続配管131を管台122に接続してもよい。
そして、管台122と既設配管124との間に各接続配管131,141を接続する順序は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、既設配管124に接続配管141を接続し、接続配管141に接続配管131を接続し、管台122に接続配管131を接続してもよい。また、接続配管131に接続配管141を接続し、管台122に接続配管131を接続すると共に、既設配管124に接続配管141を接続してもよい。
また、上述した実施形態では、本発明の配管の接続位置の算出装置および方法並びに配管の接続方法を加圧水型原子炉102の加圧器安全配管111に適用して説明したが、加圧器安全配管111に限らず、他のプラントや工場などの配管に対して適用することができる。