JP2020186648A - 電磁弁機構、それを備えた高圧燃料供給ポンプ及び燃料噴射弁 - Google Patents

電磁弁機構、それを備えた高圧燃料供給ポンプ及び燃料噴射弁 Download PDF

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裕貴 中居
淳司 高奥
Junji Takaoku
淳司 高奥
千彰 徳丸
Chiaki Tokumaru
千彰 徳丸
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【課題】可動コアに対するキャビテーション・エロージョンの発生を抑制しつつ可動コアの耐衝撃性の向上が可能な電磁弁機構、それを備えた高圧燃料供給ポンプ及び燃料噴射弁を提供する。【解決手段】電磁弁機構は、固定コアに対して接離する方向へ移動可能で内壁面に段差部を有する挿通孔を形成した可動コアと、可動コアの挿通孔に移動可能に挿通され径方向外側に突出する係合突出部を有するロッド部とを備える。可動コアは、段差部上にめっき部を被覆して形成され係合突出部に係合可能な係合部を有する。可動コアの段差部表面は、可動コアの軸方向の係合突出部側に向かうにつれて徐々に径方向外側に位置するように傾斜する第1面部と、第1面部の径方向外側で可動コアの軸方向を向く又は第1面部とは反対側に傾斜する第2面部とを有する。めっき部は可動コアの軸方向の係合突出部側に向かって凸で径方向の両端間の位置に頂部を有する曲面状に形成される。【選択図】 図6

Description

本発明は、内燃機関用の電磁弁機構、それを備えた高圧燃料供給ポンプ及び燃料噴射弁に関する。
内燃機関用の高圧燃料供給ポンプや燃料噴射弁では、燃料流量の調整等のために、電磁弁機構を用いているものがある。電磁弁機構は、コイルへの通電により発生する電磁力を用いて可動部品を動作させることで弁の開閉運動を制御している。
電磁弁機構に中には、可動部品として、電磁力を受けて動作する可動コアと、可動コアとは別体で可動コアの動作に伴い移動するロッド部又は弁体とを備えたものがある。コイルに通電すると、固定コアや可動コアを含む磁気回路に磁束が発生するので、可動コアが電磁力によって動作し固定コアに衝突することで停止する。可動部品が可動コアとロッド又は弁体とを含む別体構造の場合、可動コアと固定コアの衝突に際して可動コアとロッド又は弁体も衝突する。
これらの衝突面の磨耗を防ぐために、衝突面の表面に硬質クロム層等のめっき部を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の電磁式燃料噴射弁では、燃料噴射量の変化を抑制するために、可動子(可動コア)の母材の端面上にクロム被膜層を積層して形成される可動子の固定コアとの第一の衝突面及び弁体との第二の衝突面を平坦面に形成している。
特開2011−89432号公報
ところで、近年、高圧燃料供給ポンプや燃料噴射弁における燃料の高圧化や大流量化、燃料の多様化、さらには燃料の使用環境の複雑化により、電磁弁機構内でのキャビテーション・エロージョンが発生しやすく、且つ、電磁弁機構の可動コアとロッド又は弁体とが高速で衝突しやすい環境となっている。しかし、このような厳しい環境下においても、可動コアとロッド又は弁体との衝突面において、キャビテーション・エロージョン及び衝突衝撃力による破損の発生を抑制することが求められている。
特許文献1に記載の電磁式燃料噴射弁では、可動子(可動コア)の第二の衝突面(内部衝突面)のクロム被膜層によってキャビテーション・エロージョンの発生の抑制を図ることが可能である。しかし、可動子の第二の衝突面が平坦面に形成されているので、可動子と弁体が相対的に傾いた状態で衝突する場合、可動子の第二の衝突面が弁体の係合部の外周縁の角部に衝突することが懸念される。もし、弁体の係合部の外周縁の角部が可動子の第二の衝突面に衝突すると、クロム被膜層における衝突部分に過大な応力が生じるので、クロム被膜層の一部が破損する虞がある。
なお、特許文献1に記載の構造において、長尺のロッド部の先端部に弁座に接離する弁部を設けた弁体を、弁部のない係合部を有するロッド部に置き換えた場合でも、可動子とロッド部の衝突の際に同様の問題が生じる。
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、可動コアに対するキャビテーション・エロージョンの発生を抑制しつつ、可動コアの耐衝撃性の向上が可能な電磁弁機構、それを備えた高圧燃料供給ポンプ及び燃料噴射弁を提供することである。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、磁気回路の一部を構成する固定コアと、前記固定コアに対して接離する方向へ移動可能で、内壁面に段差部を有し中心軸線に沿って貫通する挿通孔が形成された可動コアと、前記可動コアの前記挿通孔に前記可動コアに対して相対的に移動可能に挿通され、径方向外側に突出する係合突出部を有するロッド部とを備え、前記可動コアは、前記段差部の表面上にめっき部を被覆して形成され、前記ロッド部の前記係合突出部に係合可能な係合部を有し、前記可動コアの前記段差部の表面は、前記可動コアの軸方向における前記ロッド部の前記係合突出部側に向かうにつれて徐々に径方向外側に位置するように傾斜する第1面部と、前記第1面部の径方向外側に接続され、前記可動コアの軸方向を向く又は前記第1面部とは反対側に傾斜する第2面部とを有し、前記めっき部は、前記可動コアの軸方向における前記ロッド部の前記係合突出部側に向かって凸で径方向の両端間の位置に頂部を有する曲面状に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、可動コアの段差部の表面上に設けためっき部をロッド部の係合突出部側に凸で径方向の両端間に頂部を有する曲面状に形成したので、可動コアとロッド部が相対的に傾いた状態で衝突しても、ロッド部の係合突出部の外周縁の角部が可動コアのめっき部に衝突することを抑制することができる。したがって、可動コアに対するキャビテーション・エロージョンの発生を抑制しつつ、可動コアの耐衝撃性を向上させることができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた高圧燃料供給ポンプを含む内燃機関の燃料供給システムを示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた高圧燃料供給ポンプを示す縦断面図である。 図2に示す本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた高圧燃料供給ポンプをIII−III矢視から見た断面図である。 図3に示す本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた高圧燃料供給ポンプをIV−IV矢視から見た断面図である。 図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を拡大した状態で示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構における可動コアとロッド部の係合構造を拡大した状態で示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構における可動コアの段差部の構造を拡大した状態で示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構におけるロッド部の係合突出部の係合面の構造を拡大した状態で示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた燃料噴射弁を示す断面図である。 図9に示す本発明の第2の実施の形態に係る電磁弁機構における可動コアと可動弁体のロッド部の係合構造を拡大した状態で示す断面図である。
以下、本発明の電磁弁機構及びそれを備えた高圧燃料供給ポンプ、燃料噴射弁の実施の形態について図面を用いて説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた高圧燃料供給ポンプを含む内燃機関の燃料供給システムの構成について図1を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた高圧燃料供給ポンプを含む内燃機関の燃料供給システムを示す構成図である。図1中、破線で囲まれた部分は、高圧燃料供給ポンプ1の本体であるポンプボディ1aを示している。この破線の中に示されている機構及び部品は、ポンプボディ1aに組み込まれたものであることを示している。なお、図1は燃料供給システムの構成を模式的に示した図であり、図1に示された高圧燃料供給ポンプの構成が後述の図2以降に示される構成と異なるところがある。
図1において、内燃機関の燃料供給システムは、例えば、燃料を貯留する燃料タンク101と、燃料タンク101内の燃料を汲み上げて送出するフィードポンプ102と、フィードポンプ102から送出された燃料を加圧して吐出する高圧燃料供給ポンプ1と、高圧燃料供給ポンプ1から圧送された高圧の燃料を噴射する複数のインジェクタ103とを備えている。高圧燃料供給ポンプ1は、吸入配管104を介してフィードポンプ102に接続されていると共に、コモンレール105を介してインジェクタ103に接続されている。インジェクタ103は、エンジンの気筒数に応じてコモンレール105に装着されている。コモンレール105には、高圧燃料供給ポンプ1から吐出された燃料の圧力を検出する圧力センサ106が装着されている。本システムは、内燃機関としてエンジンのシリンダ筒内に直接燃料を噴射するシステム、いわゆる、直噴エンジンシステムである。
高圧燃料供給ポンプ1は、燃料を加圧するための加圧室3を内部に有するポンプボディ1aと、ポンプボディ1aに組み付けられたプランジャ4、電磁弁機構300(電磁吸入弁機構と称する場合もある)、吐出弁機構500とを備えている。プランジャ4は、往復運動により加圧室3内の燃料を加圧するものである。電磁弁機構300は、加圧室3に吸入する燃料流量を調節する容量可変機構として機能するものである。吐出弁機構500は、プランジャ4により加圧された燃料をコモンレール105側へ吐出するものである。電磁弁機構300の上流側には、高圧燃料供給ポンプ1内で発生した圧力脈動が吸入配管104へ波及することを低減させる圧力脈動低減機構6が設けられている。
フィードポンプ102、高圧燃料供給ポンプ1の電磁弁機構300、インジェクタ103は、エンジンコントロールユニット(以下、ECUという)107に電気的に接続されており、ECU107の出力する制御信号により制御される。ECU107には、圧力センサ106からの検出信号が入力される。
燃料供給システムでは、燃料タンク101内の燃料がECU107の制御信号に基づき駆動されたフィードポンプ102によって汲み上げられる。この燃料は、フィードポンプ102によって適切なフィード圧力に加圧されて吸入配管104を通して高圧燃料供給ポンプ1の低圧燃料吸入口2aに送られる。低圧燃料吸入口2aを通過した燃料は、圧力脈動低減機構6を介して電磁弁機構300の吸入ポート31cに至る。電磁弁機構300に流入した燃料は、吸入弁30により開閉される吸入口(開口部)を通過する。この燃料は、往復運動するプランジャ4の下降行程で加圧室3へ吸入され、プランジャ4の上昇行程で加圧室3内において加圧される。加圧された燃料は、吐出弁機構500を介してコモンレール105へ圧送される。コモンレール105内の高圧の燃料は、ECU107の制御信号に基づき駆動する各インジェクタ103によってエンジンの各シリンダ筒内へ噴射される。高圧燃料供給ポンプ1は、ECU107から電磁弁機構300への制御信号に応じて所望の燃料流量を吐出する。
次に、本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた高圧燃料供給ポンプの各部の構成を図2〜図4を用いて説明する。図2は本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた高圧燃料供給ポンプを示す縦断面図である。図3は図2に示す本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた高圧燃料供給ポンプをIII−III矢視から見た断面図である。図4は図3に示す本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた高圧燃料供給ポンプをIV−IV矢視から見た断面図である。
図2及び図3において、高圧燃料供給ポンプ1は、燃料を加圧する加圧室3を内部に有するポンプボディ1a、ポンプボディ1aに組み付けられたプランジャ4、電磁弁機構300、吐出弁機構500(図3に図示)、リリーフ弁機構600、及び圧力脈動低減機構6(図2に図示)を備えている。この高圧燃料供給ポンプ1は、エンジンのポンプ取付部111(図2に図示)に密着して固定される。具体的には、ポンプボディ1aの一方側の端部に取付フランジ1b(図3に図示)が複数設けられており、各取付フランジ1bにボルト穴1c(図3に図示)が形成されている。取付フランジ1bの各ボルト穴1cにボルト(図示せず)を挿入してポンプ取付部111に締結することで、取付フランジ1bがポンプ取付部111に密着した状態で固定される。ポンプボディ1aにおけるポンプ取付部111と嵌合する外周面には、Oリング8(図2に図示)が嵌め込まれている。Oリング8は、ポンプ取付部111とポンプボディ1aとの間をシールし、エンジンオイル等がエンジンの外部に漏れることを防止する。
図2及び図4に示すように、ポンプボディ1aの中央部には、長手方向(図2中、上下方向)に延在する挿入穴部1eが形成されており、ポンプボディ1aの挿入穴部1eにシリンダ9が圧入されて取り付けられている。シリンダ9は、プランジャ4の往復運動をガイドするものであり、ポンプボディ1aと共に加圧室3の一部を形成している。シリンダ9の外周面には段差部(固定部)9aが形成されており、シリンダ9の段差部(固定部)9aと接触するようにポンプボディ1における挿入穴部1eの開口縁部を内周側に変形させた内周凸部が設けられている。この内周凸部がシリンダ9の段差部(固定部)9aを加圧室3側へ押圧することでシリンダ9の加圧室3側の端面がポンプボディ1aの挿入穴部1eの底面に押圧され、加圧室3内で加圧された燃料が低圧側に漏れないようシールしている。
プランジャ4は、シリンダ9に滑合する大径部4aと、大径部4aから延在する小径部4bとで構成されている。大径部4aは、その先端面(図2及び図4中、上端面)が加圧室3に面している一方、小径部4b側の端面(図2及び図4中、下端面)が後述の副室13aに面している。プランジャ4の小径部4bの先端側(図2及び図4中、下端側)には、タペット112が設けられている。タペット112は、エンジンのカムシャフト(図示せず)に取り付けられたカム113の回転運動を直線的な往復運動に変換してプランジャ4に伝達するものである。プランジャ4は、リテーナ11を介したばね12の付勢力によりタペット112に圧着されている。これにより、カム113の回転運動に伴いプランジャ4がシリンダ9の内部を往復運動し、加圧室3の容積が増減する。このとき、プランジャ4の大径部4aと小径部4bの境界の端面が後述の副室13a内で往復運動するので、副室13aの容積が加圧室3の容積の増減とは逆に増減する。
ポンプボディ1aには、有底の筒状部を有するシールホルダ13が固定されており、シールホルダ13の底部をプランジャ4が貫通している。シールホルダ13の内部には、プランジャ4とシリンダ9の摺動部を介して加圧室3から漏れ出る燃料を貯めておく副室13a(シール室)が形成されている。
シールホルダ13の内部の底部側(図2及び4中、下端部側)にはプランジャシール14が保持されている。プランジャシール14は、プランジャ4の小径部4bの外周面が摺動可能に接触するように設置されている。プランジャシール14は、プランジャ4の往復運動時に、副室13a内の燃料がエンジン側へ流入するのを防止する。同時に、エンジン内の潤滑油(エンジンオイルを含む)がエンジン側からポンプボディ1aの内部へ流入するのを防止する。
ポンプボディ1aの側壁には、図3及び図4に示すように、吸入ジョイント16が取り付けられている。吸入ジョイント16には吸入配管104(図1参照)が接続され、燃料タンク101(図1参照)からの燃料が吸入ジョイント16の低圧燃料吸入口2aを介して高圧燃料供給ポンプ1の内部へ供給される。低圧燃料吸入口2aの下流側には、吸入フィルタ17が取り付けられている。吸入フィルタ17は、燃料タンク101からポンプボディ1aまでの間に存在する異物が燃料の流れによって高圧燃料供給ポンプ1内に吸収されることを防ぐ役目がある。
また、図2及び図4に示すように、ポンプボディ1aにおける取付フランジ1bの反対側に位置する先端部(図2及び図4中、上端部)には、カップ状のダンパカバー5が固定されている。ポンプボディ1aの先端部とダンパカバー5とによりダンパ室2b、2cが形成されている。ダンパ室2b、2cは、図4に示すように、ポンプボディ1aに形成された吸入通路2dを介して低圧燃料吸入口2aに連通すると共に、プランジャ4の延在方向に略平行に延在するようにポンプボディ1aに形成された連通路2hを介して副室13aに連通している。
ダンパ室2b、2c内には、図2及び図4に示すように、圧力脈動低減機構6が配置されている。圧力脈動低減機構6は、2枚の金属ダイアフラムを重ね合わせることで構成された金属ダンパであり、両金属ダイアフラム間の空間にガスが封入された状態で外周縁部が全周溶接にて互いに接合されている。つまり、圧力脈動低減機構6は、外周縁部が薄く、内周側に向かって厚くなるように構成されている。
圧力脈動低減機構6は、ポンプボディ1aの先端面に載置された保持部材7とダンパカバー5とによってダンパ室2b、2c内に保持される。具体的には、ダンパカバー5の内部には、圧力脈動低減機構6の外周縁部を一方側(図2中、上側)から押圧する複数の凸部又は凸条部が形成されている。一方、保持部材7には、圧力脈動低減機構6の外周縁部を他方側(図2及び図4中、下側)から押圧する複数の凸部又は凸条部が形成されている。圧力脈動低減機構6は、その外周縁部がダンパカバー5の複数の凸部又は凸条部と保持部材7の複数の凸部又は凸条部とによって挟持されることで、ダンパ室2b、2c内に保持されている。これにより、圧力脈動低減機構6の一方側(図2及び図4中、上側)に位置するダンパ室2bと他方側(図2及び図4中、下側)に位置するダンパ室2cとが連通しており、圧力脈動低減機構6の両面に燃料の圧力が作用する。また、ダンパカバー5はポンプボディ1aの外周縁部への圧入により固定されるが、この際に保持部材7が弾性変形した状態で圧力脈動低減機構6を支持する。
図2及び図3に示すように、ポンプボディ1aにおける加圧室3の入口側には、電磁弁機構300が配置されている。電磁弁機構300の構成の詳細は後述するが、吸入弁30を含む弁機構部と、コイル34や可動コア42、ロッド部43を含むソレノイド機構部とに大別される。電磁弁機構300は燃料を吸入するための吸入ポート31cを有しており、吸入ポート31cはポンプボディ1aに形成された吸入通路2eを介してダンパ室2b、2cに連通している。
また、図3に示すように、ポンプボディ1aにおける加圧室3の出口側には、吐出弁機構500が配置されている。吐出弁機構500は、吐出弁シート51と、吐出弁シート51と着座又は離座する吐出弁52と、吐出弁52を吐出弁シート51に向かって付勢する吐出弁ばね53と、吐出弁52のリフト量(移動距離)を決める吐出弁ストッパ54とから構成されている。吐出弁シート51は、例えば、圧入によりポンプボディ1aに保持されている。吐出弁ストッパ54はポンプボディ1aに対して溶接により接合されており、これにより燃料の外部への漏洩を遮断している。吐出弁52は、吐出弁ストッパ54の軸状突出部の外周面によりガイドされるように構成されている。
吐出弁機構500は、吐出弁52の二次側の吐出弁室56と加圧室3との間に燃料差圧が無い状態では、吐出弁ばね53の付勢力により吐出弁52が吐出弁シート51に圧着され閉弁状態となる。加圧室3の燃料圧力が吐出弁室56の燃料圧力よりも大きくなった時に初めて、吐出弁52が吐出弁ばね53の付勢力に逆らって開弁するように構成されている。また、吐出弁52が開弁の際に吐出弁ストッパ54と接触することで、吐出弁52のリフト量が制限される。これにより、過大なリフト量により吐出弁52の閉じ遅れが生じて吐出弁室56へ吐出された高圧燃料が再び加圧室3内に逆流してしまうことを防止し、高圧燃料供給ポンプ1の効率低下を抑制する。
また、図2及び図3に示すように、ポンプボディ1aにおける加圧室3を挟んで電磁弁機構300の反対側には、燃料吐出口2gを形成する吐出ジョイント19が固定されている。ポンプボディ1aと吐出ジョイント19により形成されている内部空間には、リリーフ弁機構600が配置されており、吐出通路2fを介して吐出弁機構500が連通している。リリーフ弁機構600は、リリーフボディ61、リリーフ弁62、リリーフ弁ホルダ63、リリーフばね64、ばねストッパ65からなる。リリーフボディ61は、有底筒状に形成されており、底部側にシート部を有している。リリーフボディ61内にばねストッパ65が圧入固定されている。リリーフばね64は、その一端側がリリーフ弁ホルダ63に当接する一方、他端側がばねストッパ65に当接している。リリーフ弁62は、リリーフばね64の付勢力がリリーフ弁ホルダ63を介して作用することでリリーフボディ61のシート部に押圧され、シート部と協働して燃料を遮断している。リリーフ弁62の開弁圧力は、リリーフばね64の付勢力によって決定される。リリーフばね64の付勢力は、ばねストッパ65の圧入固定の位置によって調整される。リリーフ弁機構600は、リリーフ通路2iを介してダンパ室2b、2cに連通している。
本実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ1においては、上記で説明したポンプボディ1a、電磁弁機構300、プランジャ4、シリンダ9、及び吐出弁機構500によって加圧室3が構成される。
高圧燃料供給ポンプ1において、図4に示す低圧燃料吸入口2aを通過した燃料は、吸入通路2dを通って、圧力脈動低減機構6が配置されたダンパ室2b、2cに向かう。図2に示すダンパ室2b、2cを通った燃料は、吸入通路2eを介して電磁弁機構300の吸入ポート31cに至る。電磁弁機構300に流入した燃料は、ECU27(図1参照)の制御信号に応じて吸入弁30によって開閉される開口部を通過する。この燃料は、往復運動するプランジャ4の下降行程で加圧室3へ吸入され、プランジャ4の上昇行程で加圧室3内において加圧される。図3に示す加圧室3の燃料圧力が吐出弁機構500の吐出弁室56の燃料圧力よりも大きくなると、吐出弁機構500の吐出弁52が開弁し、加圧室3内の高圧燃料は、吐出弁室56、吐出通路2f、燃料吐出口2gを経てコモンレール105(図1参照)へ吐出される。
図2に示す電磁弁機構300の故障等により、燃料吐出口2gの圧力が異常に高圧でリリーフ弁機構600のセット圧力より大きくなった場合、リリーフ弁62が開弁状態となる。これにより、異常高圧の燃料がリリーフ通路2iを介してダンパ室2b、2cにリリーフされる。
次に、本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構の構成の詳細について図5を用いて説明する。図5は図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構を拡大した状態で示す断面図である。なお、図5は、コネクタの一部を省略し、電磁弁機構を開弁状態で図示している。前述したように、電磁弁機構300は、弁機構部とソレノイド機構部とに大別される。
電磁弁機構300の弁機構部は、吸入弁30、吸入弁シート部材31、吸入弁ストッパ32、吸入弁付勢ばね33とからなる。ポンプボディ1aに形成された挿入穴部1fには、吸入弁シート部材31が挿入されている。吸入弁シート部材31は、吸入弁30により閉塞または開放される開口部31aと、開口部31aの開口縁部に形成されて吸入弁30が着座または離座する環状のシート部31bとを有している。吸入弁シート部材31には、吸入通路2e及び開口部31aに連通する吸入ポート31cが放射状に複数設けられている。吸入弁シート部材31は、後述のロッドガイド46と一体に成形されている。吸入弁シート部材31には吸入弁ストッパ32が固定されており、吸入弁ストッパ32は吸入弁30のリフト量を規制するものである。吸入弁30と吸入弁ストッパ32との間に吸入弁付勢ばね33が配置され、吸入弁付勢ばね33は吸入弁30を吸入弁シート部材31のシート部31b側(閉弁方向)へ付勢している。
電磁弁機構300のソレノイド機構部は、例えば、コイル34、ボビン35、第1ヨーク36、第2ヨーク37を備えている。また、2つの接続端子38(図2参照、図2では1つのみ図示)と、接続端子38と一体にモールドされたコネクタ39(図2参照)を備えている。更に、固定部であるアウターコア40及び固定コア41と、可動部である可動コア42及びロッド部43とを備えている。加えて、可動部を付勢するロッド付勢ばね44及び可動コア付勢ばね45を備えている。
具体的には、ボビン35の外周に銅線が複数回巻かれて環状のコイル34が形成されている。コイル34の銅線の両端はそれぞれ、接続端子38と電気的に接続されている。各接続端子38は、一方側端部がコネクタ39と一体にモールドされ、他方側端部がECU107(図1参照)側の制御ラインと接続可能となるように構成されている(図2参照)。
第1ヨーク36は、カップ状の金属部材であり、コイル34の軸方向内側(図5の右側)とコイル34の径方向外側(図5の上側又は下側)に配置される。第2ヨーク37は、中心部に孔部37aを有する板状の金属部材であり、コイル34の軸方向外側(図5の左側)に配置され、固定コア41の大径部及びボビン35を軸方向外側から覆うカバー部材として機能する。第1ヨーク36及び第2ヨーク37は、コネクタ39と一体にモールドされ固定される(図2参照)。
第1ヨーク36の中心部に形成された孔部36aには、筒形状のアウターコア40が圧入され固定されている。アウターコア40における第1ヨーク36への圧入部分とは反対側の端部は、ポンプボディ1aに溶接等により固定されている。
第2ヨーク37の外周部は、第1ヨーク36の円筒部の内周部と接触もしくは僅かなクリアランスが形成されるように構成される。第2ヨーク37の孔部37aに固定コア41の小径部が配置されており、第2ヨーク37の内周部(孔部37aの壁面)は固定コア41の小径部の外周面と接触もしくは僅かなクリアランスが形成されるように構成される。固定コア41の小径部の外周部には、固定ピン47が取り付けられている。固定ピン47は、第2ヨーク37の軸方向外側の端面37bに接触し、第2ヨーク37を固定コア41の大径部に軸方向外側から押し当てるように付勢する。固定ピン47は、内周側の角部を固定コア41に食い込ませることで固定してもよく、あるいは溶接等により固定してもよい。
コイル34及びボビン35の径方向内側において、筒形状のシールリング48の軸方向一端側がアウターコア40に溶接固定され、軸方向他端側が固定コア41に溶接固定される。アウターコア40及び固定コア41はそれぞれ、シールリング48に挿入される挿入部40a、40bを有し、シールリング48に挿入された状態でシールリング48の外周面48aと面一の外周面を有する。これにより、ボビン35等の他の部品の取り付けが容易となる。
アウターコア40及びシールリング48の径方向内側には、可動コア42が固定コア41の端面に対向して固定コア41に対して接離する方向へ移動可能に配置されている。可動コア42には、内壁面に段差状の係合部42bが設けられ中心軸線C1に沿って貫通する挿通孔42aが形成されている。可動コア42の係合部42bは、ロッド部43の後述の係合突出部43bと軸方向で係合する部分であり、その構造の詳細は後述する。可動コア42は、挿通孔42aの外周側に軸方向に貫通する貫通孔42cを1つ以上有している。可動コア42は、貫通孔42cによって、可動コア42の前後の圧力差による動きの制限が排除され、燃料中で軸方向に滑らかに動くことが可能である。
ロッド部43は、可動コア42の挿通孔42aに挿通され、可動コア42に対して相対的に移動可能である。ロッド部43は、中心軸線C2に沿って延在するロッド本体43aと、ロッド本体43aの一方側(図5中、左側)の端部から径方向外側に突出する環状の係合突出部43bとを有している。ロッド部43は、ロッド本体43aの他方側(図5中、右側)の先端部が吸入弁30に接離可能に構成されている。ロッド部43の係合突出部43bは、その構造の詳細は後述するが、可動コア42の係合部42bと軸方向で係合するように形成されている。
ロッド部43のロッド本体43aは、ロッドガイド46の内周側において軸方向に摺動自在に支持されている。ロッドガイド46は一体構成の吸入弁シート部材31と共に、アウターコア40とポンプボディ1aとの間に挟み込まれる配置となっている。ロッドガイド46には、軸方向に貫通する貫通孔46aが設けられている。貫通孔46aは、可動コア42が軸方向に移動したときに、電磁弁機構300の内部に存在する燃料の移動を妨げないようにするものである。
ロッドガイド46と可動コア42の間には、可動コア付勢ばね45が配置されている。可動コア付勢ばね45は、一端側がロッドガイド46の中心側に設けた円筒形の中央軸受部46bの外周側に挿入されると共に他端側が可動コア42に接触することで、可動コア42を固定コア41側(閉弁方向)へ付勢している。可動コア42の移動量(ストローク量)Sは、吸入弁30の移動量(リフト量)Lよりも大きくなるように設定されており、吸入弁30の閉弁動作を可動コア42及びロッド部43が干渉することを防いでいる。
固定コア41における可動コア42側に向く部分には、軸方向に凹む凹部41bが形成されている。凹部41bは、ロッド部43の係合突出部43bが移動可能な大きさに設けられている。凹部41bには、ロッド付勢ばね44が配置されている。ロッド付勢ばね44は、一端側が固定コア41の凹部41bの底面に接触すると共に他端側がロッド部43の係合突出部43bの固定コア41側の端面に接触することで、ロッド部43を固定コア41から離れる方向(開弁方向)に付勢している。ロッド付勢ばね44の付勢力によってロッド部43の先端部が吸入弁30に対してシート部31bから引き離す方向(開弁方向)に力を作用させる。ロッド付勢ばね44は、コイル34が無通電状態において吸入弁30の開弁を維持するのに必要十分な付勢力となるように設定されている。
アウターコア40、第1ヨーク36、第2ヨーク37、固定コア41、可動コア42は、コイル34の周りで磁気回路を形成する。この磁気回路では、コイル34に通電すると、固定コア41と可動コア42との間に磁気吸引力を発生する。固定コア41の一方側端面とそれに対向する可動コア42の端面は、相互間に磁気吸引力が作用する磁気吸引面Sを構成する。詳細は後述するが、磁気吸引力により、可動コア42と固定コア41が衝突すると共に、可動コア42とロッド部43が衝突する。
第1ヨーク36、第2ヨーク37は共に、磁気回路を構成するため、また耐食性を考慮し、磁性ステンレス材とする。可動コア42と固定コア41は、磁気吸引面Sを形成するので、基材として性能的に磁気特性の良い材料を使うことが望ましい。具体的には、フェライト系電磁ステンレス鋼が挙げられる。
一方、シールリング48は、固定コア41と可動コア42との間に磁束を流すために、非磁性材であることが望ましい。且つ、可動コア42と固定コア41の衝突時の衝撃を弾性変形により吸収するために、薄肉で伸びの大きいステンレス材を使うことが望ましい。具体的には、シールリング48は、オーステナイト系ステンレスを使って形成されることが望ましい。
また、ボビン35、コネクタ39は、強度特性、耐熱特性を考慮し、高強度耐熱樹脂を用いることが望ましい。また、ロッド部43は、可動コア42との衝突時の損傷を抑制するために高強度の材料により形成されている。具体的には、硬質なステンレス鋼、例えば、SUS420を用いる。
(電磁弁機構の動作)
次に、本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構の動作を図2〜図5を用いて説明する。
図2に示すカム113の回転によりプランジャ4がカム113側に移動する下降運動をする場合、加圧室3の容積が増加し、加圧室3内の燃料圧力が低下する。この状態で加圧室3内の燃料圧力が電磁弁機構300の吸入ポート31cの圧力よりも低くなると、吸入弁30が開弁状態になる。図5に示す吸入弁30が最大リフト量L(最大開度)まで移動すると、吸入弁30は吸入弁ストッパ32に接触する。吸入弁30の開弁動作により、吸入弁シート部材31の開口部31aが開口する。これにより、燃料は、開口部31aを通り、ポンプボディ1aに形成された横方向に延びる連通穴部3aを介して加圧室3に流入する。なお、連通穴部3aも加圧室3の一部を構成する。
図2に示すプランジャ4が下死点に達して吸入行程を終了すると、上昇運動に転じ上昇行程に移る。ここで、コイル34は無通電状態が維持されたままであり、磁気吸引力は生じていない。したがって、図5に示す吸入弁30は、ロッド付勢ばね44の付勢力によりロッド部43を介して開弁状態が維持されている。加圧室3の容積はプランジャ4の圧縮運動に伴い減少するが、吸入弁30が開弁した状態では、加圧室3に一度吸入された燃料が再び吸入弁シート部材31の開口部31aを通して吸入通路2eへと戻されるので、加圧室3の圧力が上昇することは無い。この行程を戻し行程と称する。
戻し行程においては、図2に示すプランジャ4の上昇運動に伴い吸入通路2eへと戻された燃料の一部がダンパ室2b、2cから図4に示す連通路2hを介して副室13aへ流れる。それに対して、プランジャ4の下降行程においては、プランジャ4の大径部4aの小径部4b側の端面(下端面)が副室13a内で下降するので、副室13aの容積が小さくなり、副室13aの燃料が逆に連通路2hを介してダンパ室2b、2cに押し戻される。このように、プランジャ4の大径部4aの上下運動によりダンパ室2b、2cと副室13aとの間を燃料が行き来することで、圧力脈動の低減効果が得られる。
戻し工程においてECU107(図1参照)からの制御信号が電磁弁機構300に印加されると、図2に示す接続端子38を介してコイル34に電流が流れる。すると、図5に示す固定コア41と可動コア42との間に磁気吸引力が作用し、磁気吸引力がロッド付勢ばね44の付勢力に打ち勝って可動コア42を付勢する。これにより、可動コア42が固定コア41側に移動し、可動コア42と固定コア41が磁気吸引面Sで衝突する。このとき、可動コア42の係合部42bがロッド部43の係合突出部43bと係合しているので、ロッド部43が吸入弁30から離れる方向に移動する。このため、吸入弁付勢ばね33の付勢力及び燃料の吸入通路2eへの流れ込みによる流体力によって吸入弁30が閉弁する。
吸入弁30の閉弁後、加圧室3内の燃料の圧力はプランジャ4の上昇運動に応じて上昇する。図3に示す加圧室3内の燃料の圧力が燃料吐出口2gの圧力以上になると、加圧室3内の燃料が吐出弁機構500を介して吐出され、コモンレール105(図1参照)へ供給される。この行程を吐出行程と称する。
すなわち、図2に示すプランジャ4の下始点から上始点までの間の上昇行程は、戻し行程と吐出行程からなる。電磁弁機構300のコイル34への通電タイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の流量を制御することができる。コイル34へ通電するタイミングを早くすれば、上昇行程中の、戻し行程の割合が小さくなり、吐出行程の割合が大きくなる。それに対して、通電するタイミングを遅くすれば、上昇行程中の、戻し行程の割合が大きくなり、吐出行程の割合が小さくなる。
以上のように、高圧燃料供給ポンプ1では、コイル34への通電タイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量をエンジンが必要とする量に制御することができる。
ところで、本実施の形態の電磁弁機構300においては、図5に示すように、可動コア42とロッド部43を別体構造で構成している。この構造は、可動コア42が固定コア41に衝突する際の衝突エネルギーをロッド部43の質量分低減することが可能であり、騒音及び振動(NV)の改善などに対して非常に有効である。
しかし、この構造の場合、可動コア42とロッド部43が互いに分離と衝突を繰り返すので、両部材42、43が衝突及びキャビテーション・エロージョンの環境下に曝される。特に、近年、内燃機関の高圧燃料供給ポンプの分野では燃料の高圧化や大流量化等が図られているので、上述した高圧燃料供給ポンプ1の電磁弁機構300における可動コア42及びロッド部43は、衝突及びキャビテーション・エロージョンに関して、厳しい環境に曝されることとなる。可動コア42とロッド部43における衝突及びキャビテーション・エロージョンの発生のメカニズムは以下の通りである。
固定コア41と可動コア42との間に磁気吸引力が発生すると、可動コア42は吸引されて係合するロッド部43と共に固定コア41側へ移動する。それから、可動コア42は固定コア41に衝突して停止するか又は微小に跳ね返る。一方、可動コア42に係合していたロッド部43は、移動方向を規制するものが存在しないので、可動コア42から分離して単体で運動を続ける(オーバーシュート)。このとき、可動コア42とロッド部43の係合部分は、接触状態の閉空間から分離状態の開空間へ変化する。閉空間から開空間に変化した領域では負圧環境となり、高圧燃料供給ポンプ1の高速駆動時ではキャビテーションが発生する。その後、可動コア42から分離したロッド部43は、ロッド付勢ばね44の付勢力により可動コア42側へ再び引き戻されて可動コア42の係合部42bに衝突する。このとき、発生していたキャビテーションがロッド部43の可動コア42側へ移動の際の圧力回復によって崩壊する。したがって、可動コア42におけるロッド部43の係合突出部43bとの係合部分である係合部42bの表面がキャビテーション・エロージョンによる損傷を受ける虞がある。なぜなら、ロッド部43の基材を耐キャビテーション・エロージョンタフネスが高い高強度材料とする一方、可動コア42の基材を耐キャビテーション・エロージョンタフネスが低い磁性材としているからである。
さらに、可動コア42とロッド部43が別体構造の場合、上述したロッド部43のオーバーシュート後のロッド部43と可動コア42の衝突により、可動コア42におけるロッド部43の係合突出部43bとの衝突部分である係合部42bの損傷が懸念される。なぜなら、ロッド部43の基材を高強度材料とする一方、可動コア42の基材を低強度の磁性材としているからである。
また、コイル34への通電停止による磁気吸引力の消失時においては、ロッド付勢ばね44の付勢力により、可動コア42がロッド部43と共に固定コア41から離れる方向へ移動する。ロッド部43は先端部が吸入弁30に当接して停止するが、その際、可動コア42はロッド部43から分離して単体で運動を続ける(アンダーシュート)。その後、可動コア42は、可動コア付勢ばね45の付勢力によりロッド部43の係合突出部43b側へ再び引き戻されて衝突する。この可動コア42のアンダーシュートにおいても、上述したロッド部43のオーバーシュートによる衝突及びキャビテーション・エロージョンの発生のメカニズムと同様に、可動コア42が衝突及びキャビテーション・エロージョンに関して厳しい環境下に曝されることとなる。
加えて、可動コア42とロッド部43が相対的に移動可能な別体構造の場合、可動コア42の挿通孔42aの内壁面とロッド部43のロッド本体43aの外周面との間にクリアランスを設ける必要があり、両部材42、43が相対的に傾いて衝突することがある。この場合、ロッド部43の係合突出部43bの外周縁の角部が可動コア42の係合部42bの表面に衝突して過大な応力が発生することが懸念される。したがって、可動コア42とロッド部43が相対的に傾いて衝突する場合であっても、ロッド部43の係合突出部43bの外周縁の角部が可動コア42の係合部42bに接触することを回避する必要がある。
そこで、本実施の形態に係る電磁弁機構における可動コアとロッド部の係合構造は次の特徴を備えている。図6は本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構における可動コアとロッド部の係合構造を拡大した状態で示す断面図である。図7は本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構における可動コアの段差部の構造を拡大した状態で示す断面図である。図8は本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構におけるロッド部の係合突出部の係合面の構造を拡大した状態で示す断面図である。なお、図6は、可動コアとロッド部の係合構造を両部材の中心軸線を中心として径方向の半分の部分のみを示している。
図6において、ロッド部43は、前述したように、可動コア42の係合部42bに係合する環状の係合突出部43bを有している。ロッド部43の係合突出部43bにおける可動コア42の係合部42bに接触する側の係合面43cは、ロッド本体43a側(径方向内側)に位置し、ロッド部43の軸方向を向く平面部431と、平面部431の径方向外側に接続され、平面部431に対してロッド部43の径方向外側に向かうにつれて可動コア42の係合部42bとは反対側に傾斜するテーパ状の外側面部432とで構成されている。
可動コア42には、前述したように、内壁面に段差状の係合部42bを有する挿通孔42aが形成されている。挿通孔42aは、例えば、段付きの貫通孔であり、ロッド部43の係合突出部43bの外径よりも径が大きい大径孔部421と、大径孔部421よりも径が小さく、ロッド部43のロッド本体43aの外径よりも径が大きい小径孔部422とを有している。挿通孔42aの大径孔部421の環状の底部が挿通孔42aの内壁面の段差部423を構成している。係合部42bは、磁性材で形成されている段差部423の表面上に磁性材よりも高強度のめっき部424を被覆して形成されている。可動コア42のめっき部424は、磁性材よりも高強度の材料で形成されたロッド部43の係合突出部43bに直接的に接触する部分であり、例えば、硬質クロム層である。めっき部424は、可動コア42の基材部よりもキャビテーション・エロージョンタフネスが高く、可動コア42のキャビテーション・エロージョンタフネスが向上する。可動コア42のめっき部424は、可動コア42の軸方向におけるロッド部43の係合突出部43b側に向かって凸の曲面状に形成されている。更に、めっき部424は、めっき部424の径方向の両端間の位置において頂部424aを有している。めっき部424は、頂部424aがロッド部43の係合突出部43bの係合面43cに対して最も近くに位置する部分となるように形成されている。
めっき部424は、可動コア42の基材部としての段差部423の表面に対してめっきの表面処理を行うことで形成することができる。可動コア42の段差部423へのめっきの表面処理として、例えば、電気めっき法を用いることができる。具体的には、例えば、可動コア42の大径孔部421内に中心軸線C1に沿ってピン状の陽電極を配置し、可動コア42の基材部に陰電極を接続して通電することで行われる。このように可動コア42の大径孔部421内にピン状の陽電極を配置してめっき処理を行う場合、可動コア42の段差部423の表面において、陽電極からの距離が近い中心軸線C1側に向かって厚みが厚くなるようにめっきが析出する傾向がある。
そこで、本実施の形態においては、可動コア42の段差部423の表面を、中心軸線C1側(径方向内側)に位置し、可動コア42の軸方向におけるロッド部43の係合突出部43b側に向かうにつれて徐々に径方向外側に位置するように傾斜するテーパ状の第1面部423aと、第1面部423aの径方向外側に接続され、可動コア42の軸方向を向く平面状の第2面部423bとを有するように構成している。また、可動コア42の段差部423における第1面部423aと第2面部423bとの接続部分423cは、ロッド部43の係合突出部43bの係合面43cにおける平面部431と外側面部432との接続部分433よりも径方向内側に位置するように設定されている。すなわち、可動コア42の段差部423における接続部分423cの中心軸線C1からの距離をR2とし、ロッド部43の係合面43cにおける接続部分433の中心軸線C2からの距離をR3とした場合に、R3>R2となるように設定されている。
段差部423の第1面部423a及び第2面部423bに対して上記した電気めっき処理を行うことで、めっき部424の厚みが中心軸線C1側で厚くなったとしても、可動コア42の軸方向におけるロッド部43の係合突出部43b側に向かって凸で径方向の両端間の位置に頂部424aを有する曲面状のめっき部424を形成することが容易となる。また、頂部424aが段差部423の接続部分423cよりも可動コア42の径方向内側に位置するようにめっき部424を形成することができる。すなわち、めっき部424の頂部424aの中心軸線C1からの距離をR1とした場合、R2>R1となる。R2>R1となるようにめっき部424を形成することで、めっき部424の頂部424aは軸方向に投影した場合にロッド部43の係合突出部43bの平面部431上にあるように形成することが可能である。すなわち、R3>R2となるように設定することで、R3>R1となるようにめっき部424を形成することが容易となる。
この構成の場合、可動コア42とロッド部43が相対的に傾いたとしても、可動コア42の係合部42bにおけるめっき部424の頂部424a又はその近傍がロッド部43の係合突出部43bの係合面43cの平面部431と衝突しやすくなる。すなわち、可動コア42の係合部42bのめっき部424とロッド部43の係合突出部43bの外周縁の角部との衝突の発生を抑制することが可能である。
このように、本実施の形態においては、可動コア42とロッド部43を別体構造とすることで、低騒音化を達成しつつ、可動コア42とロッド部43間の衝突及びキャビテーション・エロージョンに対する信頼性を確保することができる。ひいては、高圧燃料供給ポンプの高圧化及び大流量化を高品質で達成可能である。
なお、可動コア42の段差部423における第1面部423aと第2面部423bとの接続部分423cは、例えば図7に示すように、角部(稜線)が生じないように、曲率半径R4を有する凸のなだらか曲面に形成することが好ましい。これにより、めっき部424の段差部423側の面に応力集中が生じやすい隅部が形成されることを回避することができる。
また、ロッド部43の係合突出部43bの係合面43cにおける平面部431と外側面部432との接続部分433は、例えば図8に示すように、角部(稜線)が生じないように、曲率半径R5を有する凸のなだらかな曲面に形成することが好ましい。これにより、ロッド部43の係合突出部43bの係合面43cが接続部分433の部分で可動コア42の係合部42bのめっき部424に衝突したとしても、めっき部424に過度な応力が発生することを抑制することができる。
上述したように、本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁機構300及びそれを備えた高圧燃料供給ポンプ1においては、磁気回路の一部を構成する固定コア41と、固定コア41に対して接離する方向へ移動可能で、内壁面に段差部423を有し中心軸線C1に沿って貫通する挿通孔42aが形成された可動コア42と、可動コア42の挿通孔42aに可動コア42に対して相対的に移動可能に挿通され径方向外側に突出する係合突出部43bを有するロッド部43とを備え、可動コア42は、段差部423の表面上にめっき部424を被覆して形成されロッド部43の係合突出部43bに係合可能な係合部42bを有し、可動コア42の段差部423の表面は、可動コア42の軸方向におけるロッド部43の係合突出部43b側に向かうにつれて徐々に径方向外側に位置するように傾斜する第1面部423aと、第1面部423aの径方向外側に接続され可動コア42の軸方向を向く第2面部423bとを有し、めっき部424は可動コア42の軸方向におけるロッド部43の係合突出部43b側に向かって凸で径方向の両端間の位置に頂部424aを有する曲面状に形成されている。
この構成により、可動コア42とロッド部43が相対的に傾いた状態で衝突しても、ロッド部43の係合突出部43bの外周縁の角部が可動コア42のめっき部424に衝突することを抑制することができる。したがって、可動コア42に対するキャビテーション・エロージョンの発生を抑制しつつ、可動コア42の耐衝撃性を向上させることができる。
また、本実施の形態においては、めっき部424の頂部424aがロッド部43の係合突出部43bにおけるめっき部424に接触する側の係合面43cに対して、最も近くに位置する部分である。この構成により、可動コア42とロッド部43が相対的に傾いた状態で衝突する場合でも、可動コア42のめっき部424の頂部424a又はその近傍にロッド部43の係合突出部43bの係合面43cが接触しやすくなる。したがって、ロッド部43の係合突出部43bとの衝突の際に、めっき部424に過度な応力が発生することを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、めっき部424は頂部424aが段差部423における第1面部423aと第2面部423bとの接続部分423cよりも径方向内側に位置するように形成されている。この構成により、可動コア42とロッド部43が相対的に傾いた状態で衝突する場合でも、可動コア42のめっき部424の頂部424a又はその近傍にロッド部43の係合突出部43bが接触しやすくなる。したがって、ロッド部43の係合突出部43bとの衝突の際に、めっき部424に過度な応力が発生することを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、ロッド部43の係合突出部43bにおける可動コア42の係合部42bに接触する側の係合面43cがロッド部43の軸方向を向く平面部431を有し、めっき部424の頂部424aは可動コア42の軸方向に投影した場合に係合突出部43bの平面部431上に位置するように形成されている。この構成により、可動コア42とロッド部43が相対的に傾いた状態で衝突する場合でも、可動コア42のめっき部424の頂部424a又はその近傍にロッド部43の係合突出部43bの平面部431が接触しやすくなる。したがって、ロッド部43の係合突出部43bとの衝突の際に、めっき部424に対する過度な応力の発生を更に抑制することができる。
また、本実施の形態においては、ロッド部43の係合突出部43bにおける可動コア42の係合部42bに接触する側の係合面43cが、ロッド部43の軸方向を向く平面部431と、平面部431の径方向外側に接続されロッド部43の径方向外側に向かうにつれて可動コア42の係合部42bとは反対側に傾斜する外側面部432とを有し、可動コア42の段差部423における第1面部423aと第2面部423bとの接続部分423cがロッド部43の係合面43cにおける平面部431と外側面部432との接続部分433よりも径方向内側に位置する。この構成により、めっき部424の頂部424aをロッド部43の係合面43cの平面部431に対して径方向の位置が重なるように形成することが容易となる。したがって、可動コア42とロッド部43が相対的に傾いた状態で衝突する場合でも、可動コア42のめっき部424の頂部424a又はその近傍にロッド部43の係合突出部43bの平面部431が接触しやすくなり、ロッド部43の係合突出部43bとの衝突の際に、めっき部424に対する過度な応力の発生を更に抑制することができる。
また、本実施の形態においては、可動コア42の段差部423における第1面部423aと第2面部423bとの接続部分423cが凸の曲面に形成されている。この構成により、めっき部424の段差部423側の面に応力集中が生じやすい隅部が形成されることを回避することができる。したがって、ロッド部43の係合突出部43bとの衝突の際に、めっき部424に過度な応力が発生することを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、ロッド部43の係合面43cにおける平面部431と外側面部432との接続部分433が凸の曲面に形成されている。この構成により、ロッド部43の係合面43cの接続部分433が可動コア42のめっき部424に接触した場合であっても、めっき部424に過度な応力が発生することを抑制することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた燃料噴射弁の構成について図9を用いて説明する。図9は本発明の第2の実施の形態に係る電磁弁機構を備えた燃料噴射弁を示す断面図である。
図9に示す本発明の第2の実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、前述した特徴を備える電磁弁機構を、高圧燃料供給ポンプではなく、燃料噴射弁に適用したことである。具体的には、図9において、燃料噴射弁800は、中空の固定コア81と、ハウジングを兼ねるヨーク82と、筒状に延在するノズルボディ83と、可動子84とを備えている。可動子84は、可動コア85と可動弁体86とからなる。固定コア81とヨーク82と可動コア85により、磁気回路が構成される。
可動コア85には、内壁面に段差状の係合部85bが設けられ中心軸線C1に沿って貫通する挿通孔85aが形成されている。可動コア85の係合部85bは、可動弁体86の後述の係合突出部86cと軸方向で係合する部分であり、その構造の詳細は後述する。
可動弁体86は、中心軸線C2に沿って延在する長尺のロッド部86aと、ロッド部86aの一方側(図9中、下側)の先端部に設けられた弁体部86bとを有している。ロッド部86aは、その他方側(図9中、上側)の端部に径方向外側に突出する環状の係合突出部86cを有している。ロッド部86aは、可動コア85の挿通孔85aに挿通され、可動コア85に対して相対的に移動可能である。ロッド部86aの係合突出部86cは、その構造の詳細は後述するが、可動コア85の係合部85bと軸方向で係合するように形成されている。
ヨーク82とノズルボディ83と固定コア81とは、溶接により結合される。ノズルボディ83の一部内周が、固定コア81の一部外周に嵌合した状態でノズルボディ83と固定コア81とが溶接結合されている。さらに、ノズルボディ83の一部外周をヨーク82が囲むようにして、ノズルボディ83とヨーク82とが溶接結合されている。ヨーク82の内側には、コイル87が組み込まれる。コイル87は、ヨーク82と樹脂カバー88とノズルボディ83の一部によってシール性を保って覆われている。
ノズルボディ83の内部には、可動子84が軸方向に移動可能に組み込まれている。ノズルボディ83の先端には、オリフィスカップ89が溶接により固定されている。オリフィスカップ89は、シート部を含む円錐面89aを有する。
固定コア81の内部には、可動子84をオリフィスカップ89のシート部に押し付けるばね90と、このばね90のばね力を調整するアジャスタ91と、フィルタ92とが組み込まれている。
ノズルボディ83の内部及びオリフィスカップ89の内部には、可動子84の可動弁体86を軸方向に案内する第1ガイド部材93及び第2ガイド部材94が配置されている。第1ガイド部材93は、ノズルボディ83に固定されている。第2ガイド部材94は、オリフィスカップ89に固定されている。
樹脂カバー88には、コイル87に励磁電流(パルス電流)を供給するコネクタ部88aが設けられている。樹脂カバー88により絶縁されたリード端子95の一部がコネクタ部88aに位置する。
リード端子95を介してコイル87を励磁すると、固定コア81、ヨーク82及び可動コア85が磁気回路を形成し、可動子84の可動コア85は固定コア81側にばね90の力に抗して磁気吸引される。この時、可動コア85と固定コア81の可動ギャップ分だけ可動子84は固定コア81側へ動作することになる。これにより、可動弁体86はオリフィスカップ89のシート部から離れ開弁状態になり、外部高圧ポンプ(図示せず)で予め昇圧されている燃料が燃料噴射弁の噴孔から噴射される。
次に、本実施の形態における可動コア85と可動弁体86のロッド部86aの係合構造の特徴部について図10を用いて説明する。図10は図9に示す本発明の第2の実施の形態に係る電磁弁機構における可動コアと可動弁体のロッド部の係合構造を拡大した状態で示す断面図である。なお、図10は、可動コアと可動弁体のロッド部との係合構造を両部材の中心軸線を中心として径方向の半分の部分のみを示している。
ロッド部86aは、前述したように、可動コア85の係合部85bに係合する環状の係合突出部86cを有している。ロッド部86aの係合突出部86cにおける可動コア85の係合部85bに接触する側の係合面86dは、中心軸線C2側(径方向内側)に位置し、ロッド部86aの軸方向を向く平面部861と、平面部861の径方向外側に接続され、平面部861に対してロッド部86aの径方向外側に向かうにつれて可動コア85の係合部85bとは反対側に傾斜するテーパ状の外側面部862とで構成されている。
可動コア85には、前述したように、内壁面に段差状の係合部85bが設けられた挿通孔85aが形成されている。挿通孔85aは、例えば、段付きの貫通孔であり、ロッド部86aの係合突出部86cの外径よりも径が大きい大径孔部851と、大径孔部851よりも径が小さく、ロッド部86aの外径よりも径が大きい小径孔部852とを有している。挿通孔85aの大径孔部851の環状の底部が挿通孔85aの内壁面の段差部853を構成している。
可動コア85の段差部853の表面は、中心軸線C1側(径方向内側)に位置し、可動コア85の軸方向におけるロッド部86aの係合突出部86c側に向かうにつれて徐々に径方向外側に位置するように傾斜するテーパ状の第1面部853aと、第1面部853aの径方向外側に接続され、可動コア85の軸方向を向く平面状の第2面部853bとを有するように構成されている。また、可動コア85の段差部853における第1面部853aと第2面部853bとの接続部分853cは、ロッド部86aの係合突出部86cの係合面86dにおける平面部861と外側面部862との接続部分863よりも径方向内側に位置するように設定されている。すなわち、可動コア85の段差部853の接続部分853cの中心軸線C1からの距離をR2とし、ロッド部86aの係合面86dの接続部分863の中心軸線C2からの距離をR3とした場合に、R3>R2となるように設定されている。
可動コア85の係合部85bは、磁性材で形成されている段差部853の表面上に磁性材よりも高強度のめっき部854を被覆して形成されている。可動コア85のめっき部854は、例えば、硬質クロム層である。めっき部854は、可動コア85の軸方向におけるロッド部86aの係合突出部86c側に向かって凸の曲面状に形成されている。更に、めっき部854は、めっき部854の径方向の両端間の位置において頂部854aを有している。めっき部854は、頂部854aがロッド部86aの係合突出部86cに対して最も近くに位置する部分となるように形成されている。また、めっき部854は、頂部854aが段差部853の接続部分853cよりも可動コア85の径方向内側に位置するように形成されている。すなわち、めっき部854の頂部854aの中心軸線C1からの距離をR1とした場合、R2>R1となる。R2>R1となるようにめっき部854を形成することで、めっき部854の頂部854aは軸方向に投影した場合にロッド部86aの係合突出部86cの平面部861上に位置するように形成することが可能である。
上述した本発明の第2の実施の形態に係る電磁弁機構及びそれを備えた燃料噴射弁によれば、前述した第1の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
例えば、上述した第1及び第2の実施の形態においては、可動コア42、85の段差部423、853の第2面部423b、853bを可動コア42、85の軸方向を向く平面状に形成した構成の例を示した。しかし、段差部423、853の第2面部423e、853eは、図6及び図10における二点鎖線で示すように、第1面部423a、853aとは反対側に傾斜する曲面に形成することも可能である。この場合でも、上述した実施形態と同様な効果を得ることができる。
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、ロッド部43、86aの係合突出部43b、86cの係合面43c、86dにおける外側面部432、862を曲率が0のテーパ状に形成した例を示した。しかし、係合面43c、86dの外側面部を、曲率が0のテーパ形状でなく、ロッド部43、86aの径方向外側に向かうにつれて可動コア42の係合部42bとは反対側に傾斜する曲率が0でない凸の曲面に形成することも可能である。この場合でも、上述した実施形態と同様な効果を得ることができる。
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、ロッド部43、86aの係合突出部43b、86cを環状に形成した例を示した。しかし、ロッド部43、86aの係合突出部は、可動コア42、85の係合部42b、85bに係合する形状であればよく、例えば、径方向外側に突出するI字状に形成することも可能である。この場合でも、上述した実施形態と同様な効果を得ることができる。
1…高圧燃料供給ポンプ、 1a…ポンプボディ、 3…加圧室、 300…電磁弁機構(電磁吸入弁ユニット)、 41…固定コア、 42…可動コア、 42a…挿通孔、 42b…係合部、 423…段差部、 423a…第1面部、 423b…第2面部、 423c…接続部分、 424…めっき部、 424a…頂部、 43…ロッド部、 43b…係合突出部、 43c…係合面、 431…平面部、 432…外側面部、 433…接続部分、 800…燃料噴射弁、 81…固定コア、 85…可動コア、 85a…挿通孔、 85b…係合部、 853…段差部、 853a…第1面部、 853b…第2面部、 853c…接続部分、 854…めっき部、 854a…頂部、 86a…ロッド部、 86c…係合突出部、 86d…係合面、 861…平面部、 862…外側面部、 863…接続部分、 C1…中心軸線

Claims (9)

  1. 磁気回路の一部を構成する固定コアと、
    前記固定コアに対して接離する方向へ移動可能で、内壁面に段差部を有し中心軸線に沿って貫通する挿通孔が形成された可動コアと、
    前記可動コアの前記挿通孔に前記可動コアに対して相対的に移動可能に挿通され、径方向外側に突出する係合突出部を有するロッド部とを備え、
    前記可動コアは、前記段差部の表面上にめっき部を被覆して形成され、前記ロッド部の前記係合突出部に係合可能な係合部を有し、
    前記可動コアの前記段差部の表面は、
    前記可動コアの軸方向における前記ロッド部の前記係合突出部側に向かうにつれて徐々に径方向外側に位置するように傾斜する第1面部と、
    前記第1面部の径方向外側に接続され、前記可動コアの軸方向を向く又は前記第1面部とは反対側に傾斜する第2面部とを有し、
    前記めっき部は、前記可動コアの軸方向における前記ロッド部の前記係合突出部側に向かって凸で径方向の両端間の位置に頂部を有する曲面状に形成されている
    ことを特徴とする電磁弁機構。
  2. 請求項1に記載の電磁弁機構において、
    前記めっき部の前記頂部は、前記ロッド部の前記係合突出部における前記めっき部に接触する側の係合面に対して、最も近くに位置する部分である
    ことを特徴とする電磁弁機構。
  3. 請求項1に記載の電磁弁機構において、
    前記めっき部は、前記頂部が前記段差部における前記第1面部と前記第2面部との接続部分よりも径方向内側に位置するように形成されている
    ことを特徴とする電磁弁機構。
  4. 請求項1に記載の電磁弁機構において、
    前記ロッド部の前記係合突出部における前記可動コアの前記係合部に接触する側の係合面は、前記ロッド部の軸方向を向く平面部を有し、
    前記めっき部の前記頂部は、前記可動コアの軸方向に投影した場合に前記係合突出部の前記平面部上に位置するように形成されている
    ことを特徴とする電磁弁機構。
  5. 請求項1に記載の電磁弁機構において、
    前記ロッド部の前記係合突出部における前記可動コアの前記係合部に接触する側の係合面は、
    前記ロッド部の軸方向を向く平面部と、
    前記平面部の径方向外側に接続され、前記ロッド部の径方向外側に向かうにつれて前記可動コアの前記係合部とは反対側に傾斜する外側面部とを有し、
    前記可動コアの前記段差部における前記第1面部と前記第2面部との接続部分は、前記ロッド部の前記係合面における前記平面部と前記外側面部との接続部分よりも径方向内側に位置する
    ことを特徴とする電磁弁機構。
  6. 請求項1に記載の電磁弁機構において、
    前記可動コアの前記段差部における前記第1面部と前記第2面部との接続部分は、凸の曲面に形成されている
    ことを特徴とする電磁弁機構。
  7. 請求項5に記載の電磁弁機構において、
    前記ロッド部の前記係合面における前記平面部と前記外側面部との接続部分は、凸の曲面に形成されている
    ことを特徴とする電磁弁機構。
  8. 燃料を加圧する加圧室を内部に有するポンプボディと、
    前記ポンプボディに組み付けられ、前記加圧室に吸入する燃料の流量を調節する電磁弁機構とを備え、
    前記電磁弁機構は、請求項1に記載の電磁弁機構である
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  9. 請求項1に記載の電磁弁機構を備えた
    ことを特徴とする燃料噴射弁。
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