JP2020186427A - 機械部品 - Google Patents

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正和 柴原
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Abstract

【課題】溶接部を有する機械部品において溶接割れの発生を抑制する。【解決手段】機械部品1は、炭素鋼からなる第1部材10と、炭素鋼からなる第2部材20と、第1部材10と第2部材20とを接続する溶接部30と、を備える。溶接部30は、0.02質量%以上0.25質量%以下の炭素と、0.10質量%以上1.35質量%以下の珪素と、0.6質量%以上2.25質量%以下のマンガンと、0.3質量%を超え2.5質量%以下のチタンと、を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる。不可避的不純物であるリンが0.05質量%以下、硫黄が0.05質量%以下である。炭素の含有量に対するチタンの含有量の割合が0.54を超え24.4未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、機械部品に関するものである。
作業機械、輸送機械などの機械のフレーム、ボディ、足回り構造などを構成する機械部品は、複数の部材が溶接部により接続された部分を有する場合がある。このように溶接部を有する機械部品においては、溶接部における溶接割れの発生が問題となる場合がある。特に、厚板同士を溶接部によって接続した構造を含む機械部品においては、溶接棒や溶接ワイヤなどの溶加材の使用量を低減する観点から溶接部における開先角度を小さくする場合がある。このような場合、溶接割れが発生しやすい。
開先角度を小さくしたレーザ溶接において、溶接割れを防止する方法が提案されている(たとえは、特許文献1参照)。
特開2015−120188号公報
上述のように、溶接部を有する機械部品においては、溶接割れの発生を抑制することが必要である。溶接部を有する機械部品において溶接割れの発生を抑制することが、本発明の目的の1つである。
本発明に従った機械部品は、炭素鋼からなる第1部材と、炭素鋼からなる第2部材と、第1部材と第2部材とを接続する溶接部と、を備える。溶接部は、0.02質量%以上0.25質量%以下の炭素と、0.10質量%以上1.35質量%以下の珪素と、0.6質量%以上2.25質量%以下のマンガンと、0.3質量%以上2.5質量%以下のチタンと、を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる。不可避的不純物であるリンは0.05質量%以下、硫黄は0.05質量%以下である。炭素の含有量に対するチタンの含有量の割合は0.54を超え24.4未満である。
上記機械部品によれば、溶接割れの発生を抑制することができる。
図1は、機械部品の構造の一例を示す概略断面図である。 図2は、機械部品の製造方法の一例を説明するための概略断面図である。 図3は、凝固脆性温度範囲と固液共存温度範囲との相関を示す図である。 図4は、固液共存温度範囲に及ぼす各元素の含有量の寄与率を示す図である。 図5は、固液共存温度範囲に及ぼすTi/Cの値の影響を示す図である。
[実施形態の概要]
本願の機械部品は、炭素鋼からなる第1部材と、炭素鋼からなる第2部材と、第1部材と第2部材とを接続する溶接部と、を備える。溶接部は、0.02質量%以上0.25質量%以下の炭素と、0.10量%以上1.35質量%以下の珪素と、0.6質量%以上2.25質量%以下のマンガンと、0.3質量%以上2.5質量%以下のチタンと、を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる。不可避的不純物であるリンは0.05質量%以下、硫黄は0.05質量%以下である。炭素の含有量に対するチタンの含有量の割合は0.54を超え24.4未満である。
上記機械部品において、不可避的不純物である窒素は0.02質量%以下であることが好ましい。
まず、本願の機械部品の溶接部の成分組成を上記範囲に限定した理由について説明する。
炭素(C):0.02質量%以上0.25質量%以下
炭素は、鋼の強度に大きな影響を及ぼす元素である。炭素含有量が0.02質量%未満では、溶接部に十分な強度を付与することが難しくなる。一方、炭素含有量が0.25質量%を超えると、溶接部の靱性が低下する。また、炭素含有量が0.25質量%を超えると、溶接部の凝固時における液相中の炭素量が増加することで凝固完了温度が低下し、溶接割れ(溶接高温割れ、より詳細には凝固割れ)が発生しやすくなる。そのため、炭素含有量は上記範囲とすることが必要である。また、十分な強度を容易に確保する観点から、炭素含有量は0.04質量%以上とすることが好ましい。一方、十分な靱性を確保しつつ溶接割れの発生を抑制する観点から、炭素含有量は0.23質量%以下とすることが好ましい。
珪素(Si):0.10質量%以上1.35質量%以下
珪素は、溶接部の母相の強化に寄与する元素である。また、珪素は、製鋼プロセスにおいては脱酸効果を有する元素である。珪素含有量が0.10質量%未満では、上記効果が十分に得られない。一方、珪素含有量が1.35質量%を超えると、溶接部の靱性が低下するおそれがある。そのため、珪素含有量は上記範囲とすることが必要である。珪素の添加は鋼の強度を向上させることから、珪素含有量は0.20質量%以上であることが好ましい。一方、鋼の靭性確保の観点から、珪素含有量は1.10質量%以下であることが好ましい。
マンガン(Mn):0.6質量%以上2.25質量%以下
マンガンは、溶接部の母相の強化に寄与する元素である。また、マンガンは、珪素と同様に製鋼プロセスにおいては脱酸効果を有する元素である。マンガン含有量が0.6質量%未満では、上記効果が十分に得られない。一方、マンガン含有量が2.25質量%を超えると、溶接部の靱性が低下するおそれがある。そのため、マンガン含有量は上記範囲とすることが必要である。マンガンは、溶接割れの発生を促進する不可避的不純物元素である硫黄と結合してMnS(硫化マンガン)を形成することで、溶接割れの発生を抑制する。このような機能を十分に発揮させる観点から、マンガン含有量は0.9質量%以上であることが好ましい。一方、鋼の靭性を確保する観点から、マンガン含有量は2.1質量%以下であることが好ましい。
チタン(Ti):0.3質量%を超え2.5質量%以下
チタンは、本願において溶接割れの抑制に寄与する重要な元素である。本発明者らの検討によれば、溶接部の凝固時における液相に含まれる炭素は、凝固完了温度を低下させる。そのため、溶接部の液相に含まれる炭素は、溶接割れの発生を促進する。チタンは、液相に含まれる炭素と結合して炭化物(炭化チタン;TiC)を形成する。そのため、溶接部にチタンを導入することにより、凝固時の液相に含まれる炭素量が低減され、溶接割れを抑制することができる。チタン含有量が0.3質量%以下では、上記効果が十分に得られない。一方、チタン含有量が2.5質量%を超えると、液相中に含まれるチタン量が多くなって凝固完了温度が低下することで、溶接割れが促進されるおそれがある。そのため、チタン含有量は上記範囲とすることが必要である。溶接割れを抑制する上記チタンの機能をより確実に発揮させる観点から、チタン含有量は0.35質量%以上であることが好ましい。一方、チタン含有量が多いことによる上記溶接割れの促進を回避する観点から、チタン含有量は2.45質量%以下であることが好ましい。
不可避的不純物
意図的に導入された成分以外に、不可避的不純物として、溶接部に上記以外の元素が含まれる場合がある。不可避的不純物であるリン(P)は、0.05質量%以下とする必要がある。不可避的不純物である硫黄(S)は、0.05質量%以下必要がある。リンおよび硫黄の含有量を低減することにより、溶接割れの発生を抑制することができる。不可避的不純物である窒素(N)は、0.02質量%以下であることが好ましい。窒素は、溶接割れを抑制するために添加されたチタンと結合してTiN(窒化チタン)を形成することで、チタンの添加の効果を低下させる。そのため、不可避的不純物である窒素は低減することが好ましく、具体的には上記の通り窒素含有量は0.02質量%以下であることが好ましい。また、不可避的不純物であるニッケル(Ni)は0.08質量%以下、クロム(Cr)は0.03質量%以下、モリブデン(Mo)は0.05質量%以下、銅(Cu)は0.04質量%以下、アルミニウム(Al)は0.025質量%以下、その他の不可避的不純物の総量は0.1質量%以下が好ましい。
本発明者らは、炭素鋼からなる第1部材と第2部材とが溶接部により接続された構造を有する機械部品において、溶接部における溶接割れを抑制する方策について検討を行った。その結果、以下のような知見を得て本願の発明に想到した。
炭素鋼からなる第1部材と第2部材とを接続する溶接部の成分組成は、上記観点から、炭素、珪素、マンガンの各成分が上記範囲であって、不可避的不純物であるリンおよび硫黄が上記範囲に低減されていることが適切である。本発明者らは、このような成分組成の溶接部における溶接割れ(凝固割れ)の発生に、リンおよび硫黄だけでなく炭素が大きく影響することを見出した。より具体的には、溶接部の凝固時における液相に含まれる炭素が凝固完了温度を低下させることにより、溶接割れの発生を促進する。しかし、炭素は溶接部の強度に寄与する元素であるため、リンおよび硫黄のように、単に含有量を低減する対応を採用すると、溶接部の強度が不十分となるおそれがある。本発明者らは、さらに検討した結果、溶接部にチタンを導入することにより、溶接部の凝固時における液相中でTiCが形成されて液相中の炭素が低減され、凝固完了温度の低下を抑制できることを見出した。
一方、凝固時の液相中におけるチタンの含有量が過剰になると、チタンの存在に起因して凝固完了温度が低下する。その結果、溶接割れが促進される。チタンの含有量が十分であるか否か、および過剰であるか否かは、チタンの含有量だけでなく、炭素の含有量に対するチタンの含有量の割合によって定まる。溶接部におけるチタンの含有量は、上記の通り、0.3質量%を超え2.5質量%以下とする必要がある。
さらに、炭素の含有量に対するチタンの含有量の割合(本願において「Ti/Cの値」ともいう)が0.54以下では、炭化物の形成による上記効果が十分に発揮されない。一方、Ti/Cの値が24.4以上となると、凝固時の液相中におけるチタンの含有量が過剰となって、溶接割れの発生が促進される。そのため、Ti/Cの値は0.54を超え24.4未満とする必要がある。TiCの形成による上記効果をより確実に発揮する観点から、Ti/Cの値は3以上とすることが好ましく、5以上、さらには8以上とすることが好ましい。一方、液相中におけるチタンの含有量が過剰となることをより確実に回避する観点から、Ti/Cの値は20以下とすることが好ましく、18以下、さらには15以下とすることがより好ましい。
本願の機械部品の溶接部においては、炭素、珪素、マンガンの各成分が上記適切な範囲に設定され、かつ不可避的不純物であるリンおよび硫黄が上記範囲に低減された成分組成を有する。そして、チタンの含有量が上記適切な範囲とされるとともに、Ti/Cの値が上記適切な範囲に設定されている。その結果、本願の機械部品によれば、溶接割れの発生を抑制することができる。
[実施形態の具体例]
次に、本願の機械部品の具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
まず、図1を参照して、本実施の形態における機械について説明する。図1は、機械部品の構造の一例を示す概略断面図である。図1は、機械部品の一部である溶接部付近の構造を示す。機械部品は、たとえば作業機械、輸送機械などの機械のフレーム、ボディ、足回り構造などを構成する。
図1を参照して、本実施の形態の機械部品1は、炭素鋼からなる第1部材10と、炭素鋼からなる第2部材20と、第1部材10と第2部材20とを接続する溶接部30とを備えている。本実施の形態において、第1部材10および第2部材20は、鋼板である。第1部材10は、互いに平行な第1主面11と、第2主面12とを含む。第2部材20は、互いに平行な第3主面21と、第4主面22とを含む。第1主面11と第3主面21とが1つの平面に含まれ、第2主面12と第4主面22とが他の1つの平面に含まれにように、第1部材10と第2部材20とは接続されている。第1部材10および第2部材20の厚みは特に限定されるものではないが、たとえば3.2mm以上100mm以下である。また、第1部材10および第2部材20を構成する鋼は特に限定されるものではないが、たとえばJIS規格SS400、SM400B、SM490Bなどを採用することができる。
溶接部30は、紙面に垂直な方向に延びるように形成されている。溶接部30の長手方向に垂直な断面において(図1に示す断面において)、溶接部30の幅は、第2主面12および第4主面22側に比べて、第1主面11および第3主面21側において大きい。溶接部30の一部は、第1主面11および第3主面21を含む平面から突出している。
溶接部30は、0.02質量%以上0.25質量%以下の炭素と、0.10質量%以上1.35質量%以下の珪素と、0.6質量%以上2.25質量%以下のマンガンと、0.3質量%を超え2.5質量%以下のチタンと、を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼から構成されている。不可避的不純物であるリンは0.05質量%以下、硫黄は0.05質量%以下である。炭素の含有量に対するチタンの含有量の割合は0.54を超え24.4未満である。
本実施の形態の機械部品1の溶接部30においては、炭素、珪素、マンガンの各成分が上記範囲に設定され、かつ不可避的不純物であるリンおよび硫黄が上記範囲に低減された適切な成分組成を有している。そして、チタンの含有量が上記適切な範囲とされるとともに、Ti/Cの値が上記適切な範囲に設定されている。その結果、本実施の形態の機械部品1は、溶接割れの発生が抑制された機械部品となっている。
上記本実施の形態の機械部品1において、不可避的不純物である窒素は0.02質量%以下であることが好ましい。これにより、溶接割れを抑制するために添加されたチタンの添加の効果が低下することを抑制することができる。
次に、本実施の形態の機械部品1の製造方法の一例について、図2および図1を参照して説明する。まず、互いに接続されるべき上記第1部材10および第2部材20が準備される。
次に、第1部材10および第2部材20の端面が互いに向かい合うように第1部材10および第2部材20が配置される。具体的には、図2を参照して、第1部材10の端面には、第1主面11と鈍角をなし、第2主面12と鋭角をなす平面に沿う第1傾斜面13が形成されている。第1部材10の端面の第1傾斜面13以外の領域は、第1主面11および第2主面12と垂直な平面に沿う第1ベース面14である。第2部材20の端面には、第3主面21と鈍角をなし、第4主面22と鋭角をなす平面に沿う第2傾斜面23が形成されている。第2部材20の端面の第2傾斜面23以外の領域は、第3主面21および第4主面22と垂直な平面に沿う第2ベース面24である。そして、第1ベース面14と第2ベース面24とが向かい合い、第1傾斜面13と第2傾斜面23とが向かい合うように、第1部材10と第2部材20とが配置される。第1主面11と第3主面21とが1つの平面に含まれ、第2主面12と第4主面22とが他の1つの平面に含まれにように、第1部材10と第2部材20とは配置される。
このとき、第1主面11と第3主面21との距離が開先幅W、第1ベース面14と第2ベース面24との距離がルート間隔W、第1傾斜面13と第2傾斜面23とのなす角が開先角θである。
次に、第1部材10と第2部材20とが溶接されることにより、溶接部30が形成される。溶接は、たとえばTIG(Tungsten Inert Gas)溶接により実施することができる。シールドガスとしては、たとえば不活性ガスであるAr(アルゴン)を採用することができる。これにより、第1部材10と第2部材20とを接続する溶接部30が形成されて、図1に示す本実施の形態の機械部品1が得られる。このとき、溶接部30が上記成分組成を有するように、溶接が実施される。具体的には、溶接棒や溶接ワイヤなどの溶加材として、たとえばJIS規格YGW11、YGW15などに、適量のチタンを添加したものを採用することができる。以上の手順により、本実施の形態の機械部品1を製造することができる。
本願の発明の効果を検証する実験および理論解析を行った。まず、表1に示す6種の鋼(No.1〜No.6)を準備し、トランスバレストレイン試験を実施した。
Figure 2020186427
表1において、数値の単位は質量%である。表1に示される成分のうち、P、S、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、Ti、N、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Sn(錫)は意図的に添加されたものではなく、不可避的に混入した不純物、すなわち不可避的不純物である。表1における「−」との表示は、当該成分が分析の測定限界値以下であったことを示す。
No.1〜No.6の鋼から試験片を作成してトランスバレストレイン試験を実施した。試験片の温度履歴と凝固割れの最大長さの飽和値とに基づいて、No.1〜No.6の鋼のそれぞれについて、溶接部における凝固時の凝固脆性温度範囲(BTR;Brittle Temperature Range)を導出した。BTRは、溶接割れ(凝固割れ)感受性の指標とすることができる。
一方、No.1〜No.6の組成の鋼について、溶接部の凝固時における固液共存温度範囲を理論解析により算出した。具体的には、Thermo−Calc Software社製熱力学ソフトウェアであるThermo−calc(データベース:TCFE9)を用いて所定の解析条件で凝固完了温度を求めた。そして、これに基づいてNo.1〜No.6の組成の鋼について、溶接部の凝固時における固液共存温度範囲を導出した。なお、影響が小さいと考えられる銅、アルミニウム、錫については、解析から除外した。トランスバレストレイン試験から導出されたBTRと理論解析により導出された固液共存温度範囲との関係を図3に示す。
図3を参照して、トランスバレストレイン試験から導出されたBTRと理論解析により導出された固液共存温度範囲との間には、正の相関があることが分かる。すなわち、上記理論解析により導出される固液共存温度範囲により、溶接部における溶接割れ(凝固割れ)感受性を評価することに妥当性があるといえる。
図4は、No.1〜No.6の組成の鋼に関する上記理論解析により導出された固液共存温度範囲に及ぼす各元素の含有量の寄与率を示す図である。図4を参照して、珪素およびマンガンが固液共存温度範囲に及ぼす影響は非常に小さいことが分かる。一方、固液共存温度範囲に対して、リンおよび硫黄だけでなく、炭素の影響が大きいことが確認される。リンおよび硫黄は不純物であるため含有量が小さく、その変動量も小さい。また、ニッケル、クロム、モリブデン、窒素も不純物であり、その変動量は小さいため、溶接割れへの影響は小さいと考えられる。これに対し、意図的に添加されるため含有量が大きく、その変動量も大きい炭素の影響が重要であるといえる。
図5は、炭素の含有量に対するチタンの含有量の割合(Ti/Cの値)が固液共存温度範囲に及ぼす影響を示す図である。図5は、上記No.5の鋼の成分組成において、チタン含有量変化させた場合を示している。図5において、横軸に平行な一点鎖線は、No.5の鋼の固液共存温度範囲に対応する。図5を参照して、溶接部の凝固時における液相中の炭素含有量は、溶接部にチタンを添加してTiCを形成することにより低減することができる。そのため、炭素に対するチタンの割合(Ti/Cの値)を増加させることにより、Ti/Cの値が11.7に到達するまでは固液共存温度範囲が小さくなっている。一方、Ti/Cの値が11.7を超えると、Ti/Cの値が大きくなるにつれて固液共存温度範囲が大きくなっている。これは、凝固時の液相中におけるチタンの含有量が過剰となって、凝固完了温度が低下するためである。
そして、Ti/Cの値が0.54以上24.4以下の範囲内において、チタンの添加により固液共存温度範囲が小さくなっている。すなわち、Ti/Cの値が0.54以上24.4以下の範囲内において、溶接割れの発生を抑制することができる。また、図5を参照して、TiCの形成による上記効果をより確実に発揮する観点から、Ti/Cの値は3以上とすることが好ましく、5以上、さらには8以上とすることが好ましい。一方、液相中におけるチタンの含有量が過剰となることをより確実に回避する観点から、Ti/Cの値は20以下とすることが好ましく、18以下、さらには15以下とすることがより好ましい。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 機械部品、10 第1部材、11 第1主面、12 第2主面、13 第1傾斜面、14 第1ベース面、20 第2部材、21 第3主面、22 第4主面、23 第2傾斜面、24 第2ベース面、30 溶接部。

Claims (2)

  1. 炭素鋼からなる第1部材と、
    炭素鋼からなる第2部材と、
    前記第1部材と前記第2部材とを接続する溶接部と、を備え、
    前記溶接部は、
    0.02質量%以上0.25質量%以下の炭素と、
    0.10質量%以上1.35質量%以下の珪素と、
    0.6質量%以上2.25質量%以下のマンガンと、
    0.3質量%を超え2.5質量%以下のチタンと、を含有し、
    残部が鉄および不可避的不純物からなり、
    前記不可避的不純物であるリンが0.05質量%以下、硫黄が0.05質量%以下であり、
    炭素の含有量に対するチタンの含有量の割合が0.54を超え24.4未満である、機械部品。
  2. 前記不可避的不純物である窒素が0.02質量%以下である、請求項1に記載の機械部品。
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