JP2020184825A - 車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】前輪駆動の車両が後進走行時に段差の乗り越えに失敗するのを抑制する。【解決手段】前輪を駆動する駆動装置を備え、後進走行時に後輪が段差を乗り越えた後に前輪が段差を乗り越える際には、後輪が段差を乗り越えたときに駆動装置から前輪に出力された駆動力としての第1駆動力に基づいて、前輪が段差を乗り越えるときに駆動装置から前輪に出力すべき駆動力としての第2駆動力を設定し、設定した第2駆動力が前輪に出力されるよう駆動装置を制御する。【選択図】図3
Description
本発明は、車両に関し、詳しくは、前輪駆動の車両に関する。
従来、この種の車両としては、前輪駆動の車両において、発進時に段差を乗り越えるために、前輪に出力する駆動力を制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、前進走行で前輪が段差の乗り越えに失敗したことを検知し、その後に再び前輪が段差に接近する際には、段差の大きさに応じた駆動力を前輪に出力する。
上述の車両では、段差の乗り越えに失敗したことを学習して前輪に出力する駆動力を制御するため、段差の乗り越えに失敗したことが前提であり、乗員に不便性を感じさせるおそれがある。
本発明の車両は、段差の乗り越えに失敗するのを抑制することを主目的とする。
本発明の車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
前輪を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置を制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、
後進走行時に後輪が段差を乗り越えた後に前記前輪が前記段差を乗り越える際には、 前記後輪が前記段差を乗り越えたときに前記駆動装置から前記前輪に出力された第1駆動力に基づいて、前記前輪が前記段差を乗り越えるときに前記駆動装置から前記前輪に出力すべき第2駆動力を設定し、
前記第2駆動力が前記前輪に出力されるよう前記駆動装置を制御する、
ことを要旨とする。
前輪を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置を制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、
後進走行時に後輪が段差を乗り越えた後に前記前輪が前記段差を乗り越える際には、 前記後輪が前記段差を乗り越えたときに前記駆動装置から前記前輪に出力された第1駆動力に基づいて、前記前輪が前記段差を乗り越えるときに前記駆動装置から前記前輪に出力すべき第2駆動力を設定し、
前記第2駆動力が前記前輪に出力されるよう前記駆動装置を制御する、
ことを要旨とする。
この本発明の車両では、後進走行時に後輪が段差を乗り越えた後に前輪が段差を乗り越える際には、後輪が段差を乗り越えたときに駆動装置から前輪に出力された第1駆動力に基づいて、前輪が段差を乗り越えるときに駆動装置から前輪に出力すべき第2駆動力を設定し、第2駆動力が前輪に出力されるよう駆動装置を制御する。これにより、段差の乗り越えに失敗するのを抑制することができる。
こうした本発明の車両において、前記制御装置は、前記前輪に作用する荷重と前記後輪に作用する荷重とに基づいて前記第2駆動力を設定するものとしてもよい。この場合、前記制御装置は、前記前輪に作用する荷重と、前記後輪に作用する荷重と、前記後輪の半径と、前記段差の高さと、に基づいて前記第2駆動力を設定するものとしてもよい。この場合、前記制御装置は、前記前輪に作用する荷重と、前記後輪に作用する荷重と、前記後輪の半径と、前記段差の高さと、前記後輪が前記段差を乗り越える際の車体の加速度と、に基づいて前記第2駆動力を設定するものとしてもよい。これらのようにすれば、第2駆動力をより適切に設定することができる。即ち、段差の乗り越えに失敗するのをより抑制することができる。
また、本発明の車両において、前記第1駆動力は、前記後輪の両輪が前記段差を乗り越えたときに前記駆動装置から前記前輪に出力された駆動力であるものとしてもよい。こうすれば、第1駆動力を学習する精度を向上させることができる。
さらに、本発明の車両において、前記前輪の切れ角を調節する操舵装置を備え、前記制御装置は、前記第2駆動力が前記駆動装置から前記前輪に出力可能な最大駆動力より大きいときには、前記第2駆動力が前記最大駆動力以下のときに比して、前記前輪の切れ角が大きくなるよう前記操舵装置を制御するものとしてもよい。こうすれば、段差の乗り越えに失敗するのをより確実に抑制することができる。
加えて、本発明の車両において、前記前輪と前記後輪との荷重配分比を調節する配分比調節装置を備え、前記制御装置は、前記第2駆動力が前記駆動装置から前記前輪に出力可能な最大駆動力より大きいときには、前記第2駆動力が前記最大駆動力以下のときに比して、前記前輪に作用する荷重が小さくなるよう前記配分比調節装置を制御するものとしてもよい。こうすれば、段差の乗り越えに失敗するのをより確実に抑制することができる。
また、本発明の車両において、前記制御装置は、前記第2駆動力が前記駆動装置から前記前輪に出力可能な最大駆動力より大きいときには、前記第2駆動力が前記最大駆動力以下のときに比して、前記前輪が前記段差に当接する際の前記車両の車体速を大きくするよう前記駆動装置を制御するものとしてもよい。こうすれば、段差の乗り越えに失敗するのをより確実に抑制することができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。第1実施例の電気自動車20は、前輪駆動車両として構成されており、図示するように、駆動源としてのモータ22と、インバータ24と、バッテリ26と、左右の前輪30a,30bおよび左右の後輪30c,30dと、操舵装置40と、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)50とを備える。第1実施例では、「駆動装置」としては、主として、モータ22とインバータ24とが相当する。
モータ22は、例えば同期発電電動機として構成されており、モータ22の回転軸は、左右の前輪30a,30bにデファレンシャルギヤ35を介して連結された駆動軸36に接続されている。このモータ22は、ECU50によってインバータ24の複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。なお、モータ22およびインバータ24は、車両前部に搭載される。バッテリ26は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ラインを介してインバータ24に接続されている。操舵装置40は、基本的には、運転者によるステアリングの操作に基づいて前輪30a,30bを操舵する(前輪切れ角θsを調節する)ように構成されている。この操舵装置40は、ECU50によって制御される。
ECU50は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。ECU50には、各種センサからの信号が入力される。ECU50に入力される信号としては、例えば、モータ22の回転子の回転位置を検出する回転位置センサからのモータ22の回転子の回転位置θmや、モータ22の各相に流れる電流を検出する電流センサからのモータ22の各相の相電流Iu,Ivを挙げることができる。また、バッテリ26の端子間に取り付けられた電圧センサからのバッテリ26の電圧Vbや、バッテリ26の出力端子に取り付けられた電流センサからのバッテリ26の電流Ibも挙げることができる。さらに、前輪30a,30bや後輪30c,30dに取り付けられた回転数センサ31a〜31dからの前輪30a,30bや後輪30c,30dの回転数Nta〜Ntdや、前輪30a,30bや後輪30c,30dに取り付けられた空気圧センサ32a〜32dからの前輪30a,30bや後輪30c,30dの空気圧Pta〜Ptd、後輪30c,30dの車軸38に取り付けられた加速度センサ39からの後輪30c,30dの車軸38に直行する方向の加速度である後輪加速度αrも挙げることができる。イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号や、シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSPも挙げることができる。アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ68からの車速Vも挙げることができる。ECU50からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力される。ECU50から出力される信号としては、例えば、インバータ24や操舵装置40への制御信号を挙げることができる。
こうして構成された第1実施例の電気自動車20では、ECU50は、基本的には、以下の基本駆動制御および基本操舵制御を行なう。基本駆動制御では、ECU50は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される要求トルクTd*を設定し、要求トルクTd*がモータ22から前輪30a,30bに出力されるようにモータ22を制御する(具体的には、インバータ24の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう)。ここで、要求トルクTd*や、後述の走行用トルクTd、後輪平均回転数Ntr、後輪加速度αrなどは、電気自動車20の後進走行に対応する方向を正とした。また、基本操舵制御では、ECU50は、運転者によるステアリングの操作に基づいて要求前輪切れ角θs*を設定し、前輪切れ角θsが要求前輪切れ角θs*となるよう操舵装置40を制御する。なお、前輪切れ角θsは、実施例では、前輪30a,30bの進行方向が車両の前後方向に対してなす角度であり、図1中の反時計回りを正の角度とする。
次に、こうして構成された第1実施例の電気自動車20の動作、特に、電気自動車20が後進走行時に後輪30c,30dが段差を乗り越えた後に前輪30a,30bが段差を乗り越える際の動作について説明する。図2および図3は、ECU50により実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、後進走行時に繰り返し実行される。なお、前輪30a,30bが段差を乗り越える際を除いて、基本的には、ECU50により本ルーチンと並行して基本駆動制御が実行される。また、説明の容易のために、第1実施例では、後輪30c,30dおよび前輪30a,30bが、それぞれ両輪が同時に段差に当接して段差を乗り越える場合について説明する。
図2および図3の処理ルーチンが実行されると、ECU50は、最初に、走行用トルクTdや、後輪平均回転数Ntr、後輪平均空気圧Ptrなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、走行用トルクTdは、その直前に設定した要求トルクTd*を入力したり、モータ22の各相の相電流Iu,Ivに基づいて推定した値を入力したりするものとした。後輪平均回転数Ntrは、回転数センサ31c,31dにより検出される後輪30c,30dの回転数Ntc,Ntdの平均値として演算される値を入力するものとした。後輪平均空気圧Ptrは、空気圧センサ32c,32dにより検出される後輪30c,30dの空気圧Ptc,Ptdの平均値として演算される値を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力した走行用トルクTdを値0と比較する(ステップS110)。この処理は、運転者がアクセルペダル63を踏み込んでいたり極低車速で駆動軸36にクリープトルクを出力していたりするか否かを判定する処理である。走行用トルクTdが値0以下のときには、本ルーチンを終了する。
ステップS110で走行用トルクTdが正であるときには、後輪平均回転数Ntrを閾値Ntrrefと比較する(ステップS120)。ここで、閾値Ntrrefは、後輪30c,30dに対してある程度の抵抗が発生しているか否かを判定するのに用いられる閾値であり、例えば、1km/hや2km/h、3km/hなどを後輪30c,30dの回転数に換算した値が用いられる。
ステップS120で後輪平均回転数Ntrが閾値Ntrref以上のときには、後輪30c,30dに対してそれほど大きい抵抗は発生していないと判定し、本ルーチンを終了する。この場合、上述の基本駆動制御を実行する。
ステップS120で後輪平均回転数Ntrが閾値Ntrref未満のときには、後輪30c,30dに対してある程度の抵抗が発生していると判定し、前回に入力した後輪平均空気圧(前回Ptr)を後輪基準空気圧Ptr0に設定する(ステップS130)。
そして、後輪基準空気圧Ptr0から後輪平均空気圧Ptrを減じて、後輪平均空気圧Ptrの後輪基準空気圧Ptr0(前回の後輪平均空気圧(前回Ptr))に対する減少量である後輪空気圧減少量ΔPtrdを演算する(ステップS140)。
続いて、後輪空気圧減少量ΔPtrdを閾値ΔPtrdrefと比較する(ステップS150)。ここで、閾値ΔPtrdrefは、後輪30c,30dが段差に当接したか否かを判定するのに用いられる閾値である。発明者らは、実験や解析により、後輪30c,30dが段差に当接すると、後輪空気圧減少量ΔPtrdが閾値ΔPtrdrefよりも大きくなることを見出した。
図2および図3の処理ルーチンの説明を一旦中断し、後輪空気圧減少量ΔPtrdと閾値ΔPtrdrefとの比較により後輪30c,30dが段差(の角部)に当接したか否かを判定する理由について説明する。図4は、後輪30cに作用する力を示す説明図である。図4(A)は、後輪30cが段差に当接していないときの様子を示し、図4(B)は、後輪30cが低い段差に当接したときの様子を示し、図4(C)は、後輪30cが高い段差に当接したときの様子を示す。
後輪30cが段差に当接していないときには、図4(A)に示すように、後輪30cが路面(平坦な地面)により支持され、重力により後輪30cが路面を押す力に対する抗力として、路面から後輪30cに鉛直上向きの力F0が作用する。一方、後輪30cが段差に当接したときには、図4(B)や図4(C)に示すように、後輪30cが段差よりも手前の路面と段差とにより支持され、重力により後輪30cが段差よりも手前の路面や段差を押す力に対する抗力として、段差よりも手前の路面や段差から後輪30cに鉛直上向きの力F1,F2がそれぞれ作用する。ここで、力F1と力F2との和は力F0に等しい。また、力F2は、段差から後輪30cの中心に向かう向きの力F3L,F3Hと、力F3L,F3Hに対して車両の進行方向に90度だけ異なる向きの力F4L,F4Hとに分解することができる。そして、図4(B)と図4(C)とを比較すると、力F3Lに比して力F3Hが小さいことが分かる。これらのことから、後輪30cが段差に当接したときには当接していないときに比して後輪30cの中心に向かう向きの力が減少して後輪30cの空気圧Ptcが減少すること(後輪平均空気圧Ptrが減少すること)、後輪30cが段差に当接したときにはその段差が高いほど後輪30cの中心に向かう向きの力が減少して後輪30cの空気圧Ptcが減少すること(後輪平均空気圧Ptrが減少すること)が分かる。なお、発明者らは、実験や解析によりこのことを確認した。以上のことを踏まえて、実施例では、後輪空気圧減少量ΔPtrdと閾値ΔPtrdrefとの比較により、後輪30c,30dが段差に当接したか否かを判定するものとした。
図2および図3の処理ルーチンの説明に戻る。ステップS150で後輪空気圧減少量ΔPtrdが閾値ΔPtrdref以下のときには、後輪30c,30dが何れも段差に当接していないと判定し、本ルーチンを終了する。
ステップS150で後輪空気圧減少量ΔPtrdが閾値ΔPtrdrefよりも大きいときには、後輪30c,30dが段差に当接したと判定する(ステップS160)。こうして、後輪30c,30dが段差に当接したことを検出することができる。しかも、後輪空気圧減少量ΔPtrdが閾値ΔPtrdrefよりも大きい条件だけでなく、走行用トルクTdが正である条件および後輪平均回転数Ntrが閾値Ntrref未満である条件も用いるから、後輪30c,30dが段差に当接したことをより精度よく検出することができる。
後輪30c,30dが段差に当接したと判定すると、後輪空気圧減少量ΔPtrdに基づいて段差の高さhを推定する(ステップS170)。ここで、段差の高さhは、実施例では、後輪空気圧減少量ΔPtrdと段差の高さhとの関係を予め段差高さ推定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、後輪空気圧減少量ΔPtrdが与えられると記憶したマップから対応する段差の高さhを導出するものとした。この理由については、図4を用いて上述した。
続いて、後輪平均空気圧Ptrを入力し(ステップS190)、入力した後輪平均空気圧Ptrを後輪基準空気圧Ptr0(後輪30c,30dが段差に当接する直線の後輪平均空気圧Ptr)と比較する(ステップS200)。ステップS200の処理は、後輪30c,30dが段差に当接した後に段差よりも手前の路面から浮いたか否かを判定する処理である。発明者らは、実験や解析により、後輪30c,30dが段差に当接した後に段差よりも手前の路面から浮くと、後輪平均空気圧Ptrが後輪基準空気圧Ptr0よりも大きくなることを見出した。ステップS200で後輪平均空気圧Ptrが後輪基準空気圧Ptr0以下のときには、ステップS180に戻る。なお、このとき、上述したように、ECU50は、本ルーチンと並行して基本駆動制御を実行する。
こうしてステップS180〜S200の処理を繰り返して、ステップS200で後輪平均空気圧Ptrが後輪基準空気圧Ptr0より大きいと判定すると、後輪30c,30dが浮いたと判定し(ステップS210)、このときの走行用トルクTdおよび後輪加速度αrを入力し(ステップS220)、走行用トルクTdを後輪乗り越えトルクTd1として記録すると共に後輪加速度αrを後輪乗り越え加速度α1として記録する(ステップS230)。ここで、走行用トルクTdの入力方法については上述した。後輪加速度αrは、加速度センサ39により検出される値を入力するものとした。なお、後輪加速度αrは、前述したように後輪30c,30dの車軸38に直行する方向の加速度であり、図4における後輪30c,30dが段差を乗り越える方向の加速度である。
続いて、後輪30c,30dの半径Rや、後輪質量Mrおよび前輪質量Mfを入力する(ステップS240)。ここで、後輪30c,30dの半径Rは、後輪30c,30dの仕様値を入力したり、後輪30c,30dの仕様値を後輪平均空気圧Ptrに基づいて補正した値を入力したりすることができる。後輪質量Mrは、後輪30c,30dに作用する荷重を重力加速度で除した質量であり、前輪質量Mfは、前輪30a,30bに作用する荷重を重力加速度で除した質量である。こうした後輪質量Mrおよび前輪質量Mfは、後輪30c,30dおよび前輪30a,30bの仕様値を入力したり、これらの仕様値を乗員や荷物の質量や位置に基づいて補正した値を入力したりすることができる。
そして、後輪乗り越え加速度α1に基づいて、前輪30a,30bが段差を乗り越える際の前輪加速度αfとしての前輪乗り越え加速度α2を設定する(ステップS250)。ここで、第1実施例では、前輪乗り越え加速度α2は、後輪乗り越え加速度α1以上で、且つ、安全性を考慮して定められた制限加速度α2max以下の値として設定される。
そして、後輪乗り越えトルクTd1と、段差の高さhと、後輪30c,30dの半径Rと、後輪質量Mrと、前輪質量Mfと、後輪乗り越え加速度α1と、前輪乗り越え加速度α2とを用いて式(1)により前輪乗り越えトルクTd2を設定する(ステップS260)。ここで、前輪乗り越えトルクTd2は、前輪30a,30bが段差を乗り越える際にモータ22から前輪30a,30bに出力すべきトルクである。
ここで、図2および図3の処理ルーチンの説明を一旦中断し、式(1)により前輪乗り越えトルクTd2を設定する理由について説明する。図5は、後進走行時に後輪30c,30dが段差を乗り越える際に作用する力を示す説明図であり、図6は、後進走行時に前輪30a,30bが段差を乗り越える際に作用する力を示す説明図である。
図5中、「Td1」は、後進走行時に後輪30c,30dが段差を乗り越えたときにモータ22から前輪30a,30bに出力されたトルクとしての後輪乗り越えトルクであり、「Ft1」は、後輪乗り越えトルクTd1により生じる後進方向の力であり、「Mr×g」は、後輪30c,30dに作用する荷重である。また、「θr」は、後輪30c,30dの中心Orと路面(路面における後輪30c,30dとの接点)とを結ぶ線分と、後輪30c,30dの中心Orと段差(段差における後輪30c,30dとの接点)とを結ぶ線分と、が成す角度としての後輪乗り越え角である。後輪30c,30dの乗り越え方向の運動方程式は、後輪質量Mrと、後輪乗り越え加速度α1と、力Ft1と、荷重(Mr×g)と、後輪乗り越え角θrとを用いて、以下の式(2)により表される。
図6中、「Td2」は、後進走行時に前輪30a,30bが段差を乗り越える際のモータ22から前輪30a,30bに出力されるトルクとしての前輪乗り越えトルクであり、「Ft2」は、前輪乗り越えトルクTd2により生じる後進方向の力であり、「Mf×g」は、前輪30a,30bに作用する荷重である。また、「θf」は、前輪30a,30bの中心Ofと路面(路面における前輪30a,30bとの接点)とを結ぶ線分と、前輪30a,30bの中心Ofと段差(段差における前輪30a,30bとの接点)とを結ぶ線分と、が成す角度としての前輪乗り越え角である。前輪30a,30bの乗り越え方向の運動方程式は、前輪質量Mfと、前輪乗り越え加速度α2と、力Ft2と、荷重(Mf×g)と、前輪乗り越え角θfとを用いて、以下の式(3)により表される。
ここで、式(2)のcosθrは、図5における後輪30c,30dの半径Rrと段差の高さhとの幾何学的な位置関係により、以下の式(4)に近似できる。また、後輪30c,30dと前輪30a,30bとでタイヤサイズ(仕様値)および空気圧(後輪平均空気圧Ptrおよび前輪平均空気圧Ptf)が等しいと仮定すれば、後輪30c,30dの半径Rrと前輪30a,30bの半径Rfとが同一の半径Rであると仮定することができる。したがって、幾何学的な位置関係により、後輪乗り越え角θrと前輪乗り越え角θfとが同一の乗り越え角θであると仮定することができる。この場合、式(2)〜(4)により、力Ft1と力Ft2との関係は、後輪質量Mrと、前輪質量Mfと、半径Rと、段差の高さhと、後輪乗り越え加速度α1と、前輪乗り越え加速度α2とを用いて、以下の式(5)により表される。
ここで、後輪乗り越えトルクTd1は、力Ft1と前輪30a,30bの半径Rとの積であり、前輪乗り越えトルクTd2は、力Ft2と前輪30a,30bの半径Rとの積である。したがって、式(5)から式(1)が導かれる。
図2および図3の処理ルーチンの説明に戻る。前輪乗り越えトルクTd2を設定すると、前輪30a,30bの前輪平均空気圧Ptfなどのデータを入力する(ステップS270)。ここで、前輪平均空気圧Ptfは、空気圧センサ32a,32bにより検出される前輪30a,30bの空気圧Pta,Ptbの平均値として演算される値を入力するものとした。
そして、前回に入力した前輪平均空気圧(前回Ptf)を前輪基準空気圧Ptf0に設定する(ステップS280)。前輪基準空気圧Ptf0を設定すると、前輪基準空気圧Ptf0から前輪平均空気圧Ptfを減じて、前輪平均空気圧Ptfの前輪基準空気圧Ptf0(前回の前輪平均空気圧(前回Ptf))に対する減少量である前輪空気圧減少量ΔPtfdを演算する(ステップS290)。
続いて、前輪空気圧減少量ΔPtfdを閾値ΔPtfdrefと比較する(ステップS300)。ここで、閾値ΔPtfdrefは、前輪30a,30bが段差に当接したか否かを判定するのに用いられる閾値である。前輪空気圧減少量ΔPtfdと閾値ΔPtfdrefとの比較により前輪30a,30bが段差に当接したか否かを判定する理由は、前述した後輪空気圧減少量ΔPtrdと閾値ΔPtrdrefとの比較により後輪30c,30dが段差(の角部)に当接したか否かを判定する理由と同様である。ステップS300で後輪空気圧減少量ΔPtrdが閾値ΔPtfdref以下のときには、前輪30a,30bが何れも段差に当接していないと判定し、ステップS270に戻る。
こうしてステップS270〜S300の処理を繰り返して、ステップS300で後輪空気圧減少量ΔPtrdが閾値ΔPtfdrefより大きいと判定したときには、前輪30a,30bが段差に当接したと判定し(ステップS310)、前輪乗り越えトルクTd2がモータ22から駆動軸36に出力されるようにモータ22を制御する乗り越えトルク制御の実行を開始する、即ち、基本駆動制御から乗り越えトルク制御に移行する(ステップS320)。式(1)により設定した前輪乗り越えトルクTd2を用いてモータ22を制御することにより、前輪30a,30bが段差の乗り越えに失敗するのを抑制することができる。また、前輪30a,30bが前輪乗り越え加速度α2で段差を乗り越えるようにすることができる。この結果、乗員に違和感を与えるのを抑制することができる。
そして、前輪平均空気圧Ptfを入力し(ステップS330)、入力した前輪平均空気圧Ptfを前輪基準空気圧Ptf0と比較する(ステップS340)。ステップS340の処理は、前輪30a,30bが段差に当接した後に段差よりも手前の路面から浮いたか否かを判定する処理である。前輪平均空気圧Ptfと前輪基準空気圧Ptf0との比較により前輪30a,30bが段差に当接した後に段差よりも手前の路面から浮いたか否かを判定する理由は、後輪平均空気圧Ptrと後輪基準空気圧Ptr0との比較により後輪30c,30dが段差に当接した後に段差よりも手前の路面から浮いたか否かを判定する理由と同様である。ステップS340で前輪平均空気圧Ptfが前輪基準空気圧Ptf0以下のときには、ステップS330に戻る。
こうしてステップS330〜S340の処理を繰り返し実行して、ステップS340で前輪平均空気圧Ptfが前輪基準空気圧Ptf0より大きいと判定したときには、前輪30a,30bが浮いたと判定し(ステップS350)、乗り越えトルク制御の実行を終了して(ステップS360)、本ルーチンを終了する。こうして本ルーチンを終了すると、上述の基本駆動制御の実行を再開する。
以上説明した第1実施例の電気自動車20では、後進走行時に後輪30c,30dが段差を乗り越えた後に前輪30a,30bが段差を乗り越える際には、後輪30c,30dが段差を乗り越えたときにモータ22から前輪30a,30bに出力された後輪乗り越えトルクTd1に基づいて、前輪30a,30bが段差を乗り越える際にモータ22から前輪30a,30bに出力すべき前輪乗り越えトルクTd2を設定し、設定した前輪乗り越えトルクTd2が前輪30a,30bに出力されるようモータ22を制御する。これにより、前輪30a,30bが段差の乗り越えに失敗するのを抑制することができる。もとより、後輪30c,30dに作用する荷重は前輪30a,30bに比して小さいため、後輪30c,30dが段差の乗り越えに失敗することは少ない。したがって、車体が段差の乗り越えに失敗するのを抑制することができる。
第1実施例の電気自動車20では、後輪乗り越え加速度α1と前輪乗り越え加速度α2とに基づいて前輪乗り越えトルクTd2を設定するものとしたが、後輪乗り越え加速度α1や前輪乗り越え加速度α2を用いずに前輪乗り越えトルクTd2を設定するものとしてもよい。この場合、例えば、式(1)の右辺第2項の値(α2−α1)を定数Aに置き換えるものとしてもよく、式(1)の右辺第2項を値0とするものとしてもよい。
また、後輪乗り越え加速度α1や前輪乗り越え加速度α2を用いないことに加え、後輪30c,30dの半径Rや段差の高さhも用いずに前輪乗り越えトルクTd2を設定するものとしてもよい。この場合、例えば、後輪乗り越えトルクTd1と前輪乗り越えトルクTd2との関係は、後輪質量Mrと、前輪質量Mfと、後輪乗り越え加速度α1と、前輪乗り越え加速度α2と係数kとを用いて、以下の式(6)により表されるものとしてもよい。ここで、係数kは、例えば、値0より大きく値1より小さい定数として定められる。
第1実施例の電気自動車20では、後輪30c,30dが段差を乗り越えたときにモータ22から前輪30a,30bに出力された後輪乗り越えトルクTd1に基づいて、前輪30a,30bが段差を乗り越える際にモータ22から前輪30a,30bに出力すべき前輪乗り越えトルクTd2を設定するものとした。ここで、前述のように第1実施例では、後輪30c,30dは、両輪が同時に段差に当接すると共に同時に段差を乗り越えるものとした。しかし、実際には、後輪30c,30dは、片輪ずつ段差を乗り越える場合、例えば、後輪30cが段差を乗り越えた後に後輪30dが段差を乗り越える場合がある。この場合、後輪乗り越えトルクTd1は、後輪30dが段差を乗り越えたときにモータ22から前輪30a,30bに出力された走行用トルクTdとしてもよい。この理由を以下に説明する。
後輪30c,30dが同時に段差を乗り越える場合には、段差の乗り越え後に、後進方向に走行するのに必要なトルク(以下、「走行必要トルク」という)が安定する。一方、後輪30c(1輪目)が段差を乗り越えた後に後輪30d(2輪目)が段差を乗り越える場合には、後輪30d(2輪目)が段差の乗り越えた後に、走行必要トルクが安定する。そして、後輪30d(2輪目)が段差を乗り越えたときの走行必要トルクは、後輪30c(1輪目)が段差を乗り越えたときの値よりも大きく且つ後輪30c,30dの両輪が同時に段差を乗り越えたときの値に近くなる。発明者らは、このことを実験や解析により確認した。したがって、後輪30c,30dが片輪ずつ段差を乗り越える場合には、後輪30c,30dのうち一方の車輪(1輪目)が段差を乗り越えたときの走行用トルクTdよりも他方の車輪(2輪目)が段差を乗り越えたときの走行用トルクTdの方が後輪乗り越えトルクTd1として用いるのに適していると言える。以上により、後輪30c,30dの両輪が段差を乗り越えたときにモータ22から前輪30a,30bに出力された走行用トルクTdを後輪乗り越えトルクTd1とすれば、前輪乗り越えトルクTd2をより適切に設定することができる。なお、発明者らは、実験や解析により、後輪30c,30dが片輪ずつ段差を乗り越える場合の上述の他方の車輪(2輪目)が段差を乗り越えたときの後輪乗り越えトルクTd1は、後輪30c,30dの両輪が同時に段差を乗り越えたとき後輪乗り越えトルクTd1に比して小さくなることを確認した。
第2実施例の電気自動車20Bは、図1に示した第1実施例の電気自動車20と同一のハード構成である。したがって、図面および詳細な説明を省略する。こうして構成された第2実施例の電気自動車20Bでは、ECU50は、基本的には、前述の基本駆動制御および基本操舵制御を行なう。
次に、こうして構成された第2実施例の電気自動車20Bの動作、特に、電気自動車20Bが後進走行時に後輪30c,30dが段差を乗り越えた後に前輪30a,30bが段差を乗り越える際の動作について説明する。第2実施例の電気自動車20Bでは、ECU50は、図2および図3の処理ルーチンに代えて、図2および図7の処理ルーチンを実行する。この処理ルーチンは、ステップS400〜S460の処理を追加する点を除いて、図2および図3の処理ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
図2および図7の処理ルーチンでは、ステップS260で前輪乗り越えトルクTd2を設定すると、前輪乗り越えトルクTd2を最大走行用トルクTdmaxと比較する(ステップS400)。ここで、最大走行用トルクTdmaxは、モータ22から前輪30a,30bに出力される走行用トルクTdの最大値である。前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmax以下のときには、モータ22から前輪30a,30bに前輪乗り越えトルクTd2を出力することができると判断し、上述のステップS270〜S360の処理、および、ステップS450の処理を実行して、本ルーチンを終了する。ステップS450の処理については後述する。
ステップS400で前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmaxより大きいときには、モータ22から前輪30a,30bに前輪乗り越えトルクTd2を出力することができないと判断し、前輪切れ角θsを入力する(ステップS410)。ここで、前輪切れ角θsは、実施例では、直前に操舵装置40の制御(上述の基本操舵制御)に用いた要求前輪切れ角θs*を入力したり、図示しないセンサからの前輪切れ角θsの検出値を入力したりするものとした。
前輪切れ角θsを入力すると、前輪切れ角θsと前輪乗り越えトルクTd2と最大走行用トルクTdmaxとに基づいて要求前輪切れ角θs*を設定する(ステップS420)。ここで、要求前輪切れ角θs*は、前輪30a,30bが段差を乗り越える際の走行用トルクTdが最大走行用トルクTdmax以下となるように設定される。この要求前輪切れ角θs*は、前輪乗り越えトルクTd2から最大走行用トルクTdmaxを減じた値(Td2−Tdmax)に基づく切れ角差分Δθsを前輪切れ角θsに加えることにより演算することができる。ここで、切れ角差分Δθsは、実施例では、値(Td2−Tdmax)と切れ角差分Δθsとの関係を実験や解析により予め定めてマップとして図示しないROMに記憶しておき、前輪乗り越えトルクTd2および最大走行用トルクTdmaxが与えられると、このマップから対応する切れ角差分Δθsを導出するものとした。切れ角差分Δθsは、値(Td2−Tdmax)が大きいほど絶対値が大きくなるように定められる。また、切れ角差分Δθsの符号は、前輪切れ角θsに対して要求前輪切れ角θs*の絶対値が大きくなるように、実施例では、前輪切れ角θsが値0以外のときには、前輪切れ角θsと同一の符号が設定され、前輪切れ角θsが値0のときには、任意の符号が設定される。
図8は、車体角度θbの説明図であり、図9は、車体角度θbの絶対値と前輪乗り越えトルクTd2との関係を示す説明図である。図8に示すように、車体角度θbは、車体の前後方向が段差の壁面の法線方向に対してなす角度であり、図8中の反時計回りを正の角度とする。図9に示すように、前輪乗り越えトルクTd2は、車体角度θbが値0のとき、即ち、前輪30a,30bが同時に段差を乗り越えるときに最大となり、車体角度θbの絶対値が大きくなるほど小さくなる。したがって、前輪切れ角θsの絶対値を大きくすることにより、前輪30a,30bが段差に当接する際の車体角度θbの絶対値を大きくすれば、前輪30a,30bが段差を乗り越える際にモータ22から前輪30a,30bに出力する必要があるトルクは、ステップS260で設定した前輪乗り越えトルクTd2よりも小さくなる。
ステップS420で要求前輪切れ角θs*を設定すると、運転者によるステアリングの操作にかかわらず前輪切れ角θsが要求前輪切れ角θs*になるように操舵装置40を制御する乗り越え切れ角制御の実行を開始し、即ち、基本操舵制御から乗り越え切れ角制御に移行し(ステップS430)、前輪乗り越えトルクTd2に最大走行用トルクTdmaxを設定し(ステップS440)、ステップS270〜S360の処理を実行する。乗り越え切れ角制御の実行を考慮すると、本ルーチンは、運転者の加減速操作やハンドル操作(ステアリングの操作)によらずに走行する自動運転モードや、運転者の操作をアシストして走行する車庫入れモードなどのときに実行するのが好ましい。
ステップS360で乗り越えトルク制御の実行を終了すると、乗り越え切れ角制御を実行中であるか否かを判定する(ステップS450)。乗り越え切れ角制御を実行していないと判定したとき(ステップS400で前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmax以下だと判定したときなど)には、そのまま本ルーチンを終了する。一方、乗り越え切れ角制御を実行中であると判定したときには、乗り越え切れ角制御の実行を終了して(ステップS460)、本ルーチンを終了する。
ステップS440の処理は、ステップS430の処理により前輪30a,30bが段差を乗り越える際にモータ22から前輪30a,30bに出力する必要があるトルクが最大走行用トルクTdmax以下になっていると想定して、ステップS320で最大走行用トルクTdmaxを乗り越えトルクTd2として用いた乗り越えトルク制御の実行を開始するための処理である。これらにより、ステップS260で設定した前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmaxより大きい場合であっても、車体が段差の乗り越えに失敗するのを抑制することができる。また、モータ22から前輪30a,30bに最大走行用トルクTdmaxを出力するため、要求前輪切れ角θs*が余分に大きくなるのを抑制することができる。このため、ある程度狭い場所(例えば、車庫など)に対しても、ステップS400〜S460の処理を追加した制御を用いることができる。こうして本ルーチンを終了すると、上述の基本駆動制御および基本操舵制御の実行を再開する。
以上説明した第2実施例の電気自動車20Bでは、後輪30c,30dが段差を乗り越えたときにモータ22から前輪30a,30bに出力された後輪乗り越えトルクTd1に基づいて設定した前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmaxより大きいときには、前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmax以下のときに比して前輪切れ角θsが大きくなるよう操舵装置40を制御し、最大走行用トルクTdmaxが前輪30a,30bに出力されるようモータ22を制御する。こうすれば、車体が段差の乗り越えに失敗するのをより抑制することができる。
図10は、第3実施例の電気自動車20Cの構成の概略を示す構成図である。第3実施例の電気自動車20Cは、サスペンション装置(配分比調節装置)42a〜42dを備える点を除いて、図1に示した第1実施例の電気自動車20と同一のハード構成である。したがって、第3実施例の電気自動車20Cのうち第1実施例の電気自動車20と同一の部分については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
サスペンション装置42a〜42dは、左右の前輪30a,30bや左右の後輪30c,30dに対する車体の高さを調節するためのエアサスペンションを有する。このサスペンション装置42a〜42dは、エアサスペンションの伸縮させることにより、左右の前輪30a,30bや左右の後輪30c,30dに対する車体の高さを調節し、左右の前輪30a,30bや左右の後輪30c,30dに作用する荷重の配分比を調節する。なお、エアサスペンションに代えて、油圧サスペンションが用いられるものとしてもよい。
こうして構成された第3実施例の電気自動車20Cでは、ECU50は、基本的には、前述の基本駆動制御および基本操舵制御に加え、以下に説明する基本荷重配分制御を行なう。基本荷重配分制御では、ECU50は、車両の状態などに基づいて、前輪30a,30bに作用する荷重(Mf×g)と後輪30c,30dに作用する荷重(Mr×g)との和(以下、「車重」という)に対する前輪30a,30bに作用する荷重の割合としての前輪荷重割合Rmfの要求値としての要求荷重割合Rmf*を設定し、前輪荷重割合Rmfが要求荷重割合Rmf*となるようにサスペンション装置42a〜42dを制御する。
次に、こうして構成された第3実施例の電気自動車20Cの動作、特に、電気自動車20Cが後進走行時に後輪30c,30dが段差を乗り越えた後に前輪30a,30bが段差を乗り越える際の動作について説明する。第3実施例の電気自動車20Cでは、ECU50は、図2および図3の処理ルーチンに代えて、図2および図11の処理ルーチンを実行する。この処理ルーチンは、ステップS500〜S560の処理を追加する点を除いて、図2および図3の処理ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
図2および図11の処理ルーチンでは、ステップS260で前輪乗り越えトルクTd2を設定すると、前輪乗り越えトルクTd2を上述の最大走行用トルクTdmaxと比較する(ステップS500)。前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmax以下のときには、前輪乗り越えトルクTd2を出力することができると判断し、上述のステップS270〜S360の処理、および、ステップS550の処理を実行して、本ルーチンを終了する。ステップS550の処理については後述する。
ステップS500で前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmaxより大きいときには、モータ22から前輪30a,30bに前輪乗り越えトルクTd2を出力することができないと判断し、前輪荷重割合Rmfを入力する(ステップS510)。ここで、前輪荷重割合Rmfは、実施例では、直前にサスペンション装置42a〜42dの制御(基本荷重配分制御)に用いた要求荷重割合Rmf*を入力したり、図示しないセンサからのサスペンション装置42a〜42dの伸縮の検出値から換算した値を入力したりするものとした。
前輪荷重割合Rmfを入力すると、入力した前輪荷重割合Rmfと前輪乗り越えトルクTd2と最大走行用トルクTdmaxとに基づいて要求荷重割合Rmf*を設定する(ステップS520)。ここで、要求荷重割合Rmf*は、前輪30a,30bが段差を乗り越える際の走行用トルクTdが最大走行用トルクTdmax以下となるように設定される。この要求荷重割合Rmf*は、値(Td2−Tdmax)に基づく荷重割合差分ΔRmfを前輪荷重割合Rmfに加えることにより演算することができる。ここで、荷重割合差分ΔRmfは、実施例では、値(Td2−Tdmax)と荷重割合差分ΔRmfとの関係を実験や解析により予め定めてマップとして図示しないROMに記憶しておき、前輪乗り越えトルクTd2および最大走行用トルクTdmaxが与えられると、このマップから対応する荷重割合差分ΔRmfを導出するものとした。荷重割合差分ΔRmfは、値(Td2−Tdmax)が大きいほど大きくなるように定められる。図12は、前輪荷重割合Rmfと前輪乗り越えトルクTd2との関係を示す説明図である。図示するように、前輪乗り越えトルクTd2は、前輪荷重割合Rmfが大きいほど大きくなる。したがって、前輪荷重割合Rmfを小さくすれば、前輪30a,30bが段差を乗り越える際にモータ22から前輪30a,30bに出力する必要があるトルクは、ステップS260で設定した前輪乗り越えトルクTd2よりも小さくなる。
要求荷重割合Rmf*を設定すると、前輪荷重割合Rmfが要求荷重割合Rmf*になるようにサスペンション装置42a〜42dを制御する乗り越え荷重制御の実行を開始し、即ち、基本荷重制御から乗り越え荷重制御に移行し(ステップS530)、前輪乗り越えトルクTd2に最大走行用トルクTdmaxを設定し(ステップS540)、ステップS270〜S360の処理を実行する。
そして、ステップS360で乗り越えトルク制御の実行を終了すると、乗り越え荷重制御を実行中であるか否かを判定する(ステップS550)。乗り越え荷重制御を実行していないと判定したとき(ステップS500で前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmax以下だと判定したときなど)には、そのまま本ルーチンを終了する。 一方、乗り越え荷重制御を実行中であると判定したときには、乗り越え荷重制御の実行を終了して(ステップS560)、本ルーチンを終了する。
ここで、ステップS540の処理は、ステップS530の処理により前輪30a,30bが段差を乗り越える際にモータ22から前輪30a,30bに出力する必要があるトルクが最大走行用トルクTdmax以下になっていると想定して、ステップS320で最大走行用トルクTdmaxを乗り越えトルクTd2として用いた乗り越えトルク制御の実行を開始するための処理である。これにより、ステップS260で設定した前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmaxより大きい場合であっても、車体が段差の乗り越えに失敗するのを抑制することができる。また、モータ22から前輪30a,30bに最大走行用トルクTdmaxを出力するため、前輪荷重割合Rmfが余分に小さくなるのを抑制することができる。こうして本ルーチンを終了すると、上述の基本駆動制御および基本荷重配分制御の実行を再開する。
以上説明した第3実施例の電気自動車20Cでは、後輪30c,30dが段差を乗り越えたときにモータ22から前輪30a,30bに出力された後輪乗り越えトルクTd1に基づいて設定した前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmaxより大きいときには、前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmax以下のときに比して前輪荷重割合Rmfが小さくなるようサスペンション装置42a〜42dを制御し、最大走行用トルクTdmaxが前輪30a,30bに出力されるようモータ22を制御する。こうすれば、車体が段差の乗り越えに失敗するのをより抑制することができる。
第4実施例の電気自動車20Dは、図1に示した第1実施例の電気自動車20と同一のハード構成である。したがって、図面および詳細な説明を省略する。こうして構成された第4実施例の電気自動車20Dでは、ECU50は、基本的には、前述の基本駆動制御および基本操舵制御を行う。
次に、こうして構成された第4実施例の電気自動車20Dの動作、特に、電気自動車20Dが後進走行時に後輪30c,30dが段差を乗り越えた後に前輪30a,30bが段差を乗り越える際の動作について説明する。第4実施例の電気自動車20Dでは、ECU50は、図2および図3の処理ルーチンに代えて、図2および図13の処理ルーチンを実行する。この処理ルーチンは、ステップS600〜S660の処理を追加する点を除いて、図2および図3の処理ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
図2および図13の処理ルーチンでは、前輪乗り越えトルクTd2を上述の最大走行用トルクTdmaxと比較する(ステップS600)。前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmax以下のときには、前輪乗り越えトルクTd2を出力することができると判断し、上述のステップS270〜S310の処理、ステップS650の処理、および、上述のステップS320〜S360の処理を実行して、本ルーチンを終了する。ステップS650の処理については後述する。
ステップS600で前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmaxより大きいときには、モータ22から前輪30a,30bに前輪乗り越えトルクTd2を出力することができないと判断し、車速Vを入力する(ステップS610)。ここで、車速Vは、実施例では、車速センサ68の検出値を入力するものとした。
車速Vを入力すると、車速Vと前輪乗り越えトルクTd2と最大走行用トルクTdmaxとに基づいて要求車速V*を設定する(ステップS620)。ここで、要求車速V*は、前輪30a,30bが段差を乗り越える際の走行用トルクTdが最大走行用トルクTdmax以下になるように設定される。この要求車速V*は、値(Td2−Tdmax)に基づく車速差分ΔVを車速Vに加えて算出することができる。ここで、車速差分ΔVは、実施例では、値(Td2−Tdmax)と車速差分ΔVとの関係を実験や解析により予め定めてマップとして図示しないROMに記憶しておき、前輪乗り越えトルクTd2および最大走行用トルクTdmaxが与えられると、このマップから対応する車速差分ΔVを導出するものとした。車速差分ΔVは、値(Td2−Tdmax)が大きいほど大きくなるように定められる。
要求車速V*を設定すると、運転者によるアクセルペダル63の操作にかかわらず車速Vが要求車速V*になるようにモータ22を制御する乗り越え車速制御の実行を開始し、即ち、基本駆動制御から乗り越え車速制御に移行し(ステップS630)、前輪乗り越えトルクTd2に最大走行用トルクTdmaxを設定し(ステップS640)、ステップS270〜S310の処理を実行する。ここで、ステップS630では、要求車速V*から車速Vを減じた値(V*−V)を用いたPID制御に基づいて要求トルクTd*を設定し、要求トルクTd*がモータ22から前輪30a,30bに出力されるようにモータ22を制御することができる。乗り越え車速制御の実行を考慮すると、本ルーチンは、上述の自動運転モードや車庫入れモードなどのときに実行するのが好ましい。
ステップS310で前輪30a,30bが段差に当接したと判定すると、乗り越え車速制御を実行中であるか否かを判定する(ステップS650)。そして、乗り越え車速制御を実行していないと判定したとき(ステップS600で前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmax以下だと判定したときなど)には、ステップS320〜S360を実行して、本ルーチンを終了する。一方、乗り越え車速制御を実行中であると判定したときには、乗り越え車速制御を終了し(ステップS660)、ステップS320〜S360を実行して、本ルーチンを終了する。
ステップS640の処理は、ステップS630の処理により前輪30a,30bが段差を乗り越える際にモータ22から前輪30a,30bに出力する必要があるトルクが最大走行用トルクTdmax以下になっていると想定して、ステップS320で最大走行用トルクTdmaxを乗り越えトルクTd2として用いた乗り越えトルク制御の実行を開始するための処理である。ここで、前輪30a,30bが段差を乗り越える際にモータ22から前輪30a,30bに出力する必要があるトルクが小さくなる理由は、前輪30a,30bが段差に当接するまでに車速を大きくすることにより、車体の運動エネルギの分だけ段差の乗り越えに必要な走行用トルクによる仕事を小さくすることができるからである。したがって、ステップS260で設定した前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmaxより大きい場合であっても、車体が段差の乗り越えに失敗するのを抑制することができる。また、モータ22から前輪30a,30bに最大走行用トルクTdmaxを出力するため、車速Vが余分に大きくなるのを抑制することができる。こうして本ルーチンを終了すると、上述の基本駆動制御および基本操舵制御の実行を再開する。
以上説明した第4実施例の電気自動車20Dでは、後輪30c,30dが段差を乗り越えたときにモータ22から前輪30a,30bに出力された後輪乗り越えトルクTd1に基づいて設定した前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmaxより大きいときには、前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmax以下のときに比して前輪30a,30bが段差に当接する際の車速Vを大きくするようモータ22を制御し、最大走行用トルクTdmaxが前輪30a,30bに出力されるようモータ22を制御する。こうすれば、車体が段差の乗り越えに失敗するのをより抑制することができる。
第1,第2,第3,第4実施例の電気自動車20,20B,20C,20Dでは、空気圧センサ32a〜32dからの前輪30a,30bや後輪30c,30dの空気圧Pta〜Ptdに基づいて、後輪30c,30dが段差に当接したことの判定、段差の高さhの推定、後輪30c,30dが路面から浮いたことの判定、前輪30a,30bが段差に当接したことの判定、前輪30a,30bが路面から浮いたことの判定、を行なうものとした。しかし、上述の判定や推定に空気圧センサ以外の検出手段を用いるものとしてもよく、例えば、車両の加速度センサ、車両の傾斜角センサ、タイヤ回転角センサ、超音波ソナー、画像認識技術などを用いるものとしてもよい。こうすれば、空気圧センサを用いた判定や推定が難しい形状の段差(例えば、溝や線路など)の乗り越えに失敗するのを抑制することができる。この場合、上述の判定や推定のそれぞれに対して、上述の検出手段を使い分けて用いるものとしてもよく、上述の検出手段を重複して用いるものとしてもよい。なお、車両の傾斜角センサを用いる方法は、公知技術(例えば、特開2013−103593号公報参照)である。タイヤ回転角センサを用いる方法は、前後輪の回転角差を演算することにより行なう。
第1,第2,第3,第4実施例の電気自動車20,20B,20C,20Dでは、前輪30a,30bの両輪が段差を乗り越えるものとした。しかし、実際には、片輪のみが段差を乗り越える場合がある。この場合、基本的には、前輪30a,30bの両輪が段差を乗り越えるときと同一の制御を行なう。また、第3実施例の電気自動車20Cのようにサスペンション装置を備えるときには、車重に対する片輪側(前輪30a,30bのうち段差を乗り越える側)に作用する荷重が小さくなるようにサスペンション装置を制御するものとしてもよい。
第2実施例の電気自動車20Bでは、要求前輪切れ角θs*を用いて、第3実施例の電気自動車20Cでは、要求荷重割合Rmf*を用いて、第4実施例の電気自動車20Dでは、要求加速トルクTda*を用いて、前輪乗り越えトルクTd2が最大走行用トルクTdmaxより大きいときの制御を行なうものとした。しかし、これらの制御のうち2つ以上を同時に行なうものとしてもよい。こうすれば、車体が段差の乗り越えに失敗するのをより抑制することができる。
第1,第2,第3,第4実施例の電気自動車20,20B,20C,20Dでは、蓄電装置として、バッテリ26を用いるものとしたが、キャパシタを用いるものとしてもよい。
第1,第2,第3,第4実施例では、前輪30a,30bに連結されたモータ22およびバッテリ26を備える電気自動車20,20B,20C,20Dの構成とした。しかし、モータおよびバッテリに加えてエンジンも備えるハイブリッド自動車の構成としたり、モータおよびバッテリに加えて燃料電池も備える燃料電池車の構成としたりしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ22が「駆動装置」に相当し、操舵装置40が「操舵装置」に相当し、サスペンション装置42a〜42dが「配分比調節装置」に相当し、ECU50が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
20,20B,20C,20D 電気自動車、22 モータ、24 インバータ、26 バッテリ、30a,30b 前輪、30c,30d 後輪、31a〜31d 回転数センサ、32a〜32d 空気圧センサ、35 デファレンシャルギヤ、36 駆動軸、38 車軸、39 加速度センサ、40 操舵装置、42a〜42d サスペンション装置、50 ECU、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ。
Claims (8)
- 前輪を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置を制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、
後進走行時に後輪が段差を乗り越えた後に前記前輪が前記段差を乗り越える際には、 前記後輪が前記段差を乗り越えたときに前記駆動装置から前記前輪に出力された第1駆動力に基づいて、前記前輪が前記段差を乗り越えるときに前記駆動装置から前記前輪に出力すべき第2駆動力を設定し、
前記第2駆動力が前記前輪に出力されるよう前記駆動装置を制御する、
車両。 - 請求項1記載の車両であって、
前記制御装置は、前記前輪に作用する荷重と前記後輪に作用する荷重とに基づいて前記第2駆動力を設定する、
車両。 - 請求項2記載の車両であって、
前記制御装置は、前記前輪に作用する荷重と、前記後輪に作用する荷重と、前記後輪の半径と、前記段差の高さと、に基づいて前記第2駆動力を設定する、
車両。 - 請求項3記載の車両であって、
前記制御装置は、前記前輪に作用する荷重と、前記後輪に作用する荷重と、前記後輪の半径と、前記段差の高さと、前記後輪が前記段差を乗り越える際の車体の加速度と、に基づいて前記第2駆動力を設定する、
車両。 - 請求項1ないし4のうちの何れか1つの請求項に記載の車両であって、
前記第1駆動力は、前記後輪の両輪が前記段差を乗り越えたときに前記駆動装置から前記前輪に出力された駆動力である、
車両。 - 請求項1ないし5のうちの何れか1つの請求項に記載の車両であって、
前記前輪の切れ角を調節する操舵装置を備え、
前記制御装置は、前記第2駆動力が前記駆動装置から前記前輪に出力可能な最大駆動力より大きいときには、前記第2駆動力が前記最大駆動力以下のときに比して、前記前輪の切れ角が大きくなるよう前記操舵装置を制御する、
車両。 - 請求項1ないし6のうちの何れか1つの請求項に記載の車両であって、
前記前輪と前記後輪との荷重配分比を調節する配分比調節装置を備え、
前記制御装置は、前記第2駆動力が前記駆動装置から前記前輪に出力可能な最大駆動力より大きいときには、前記第2駆動力が前記最大駆動力以下のときに比して、前記前輪に作用する荷重が小さくなるよう前記配分比調節装置を制御する、
車両。 - 請求項1ないし7のうちの何れか1つの請求項に記載の車両であって、
前記制御装置は、前記第2駆動力が前記駆動装置から前記前輪に出力可能な最大駆動力より大きいときには、前記第2駆動力が前記最大駆動力以下のときに比して、前記前輪が前記段差に当接する際の前記車両の車体速を大きくするよう前記駆動装置を制御する、
車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019087684A JP2020184825A (ja) | 2019-05-07 | 2019-05-07 | 車両 |
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JP2019087684A JP2020184825A (ja) | 2019-05-07 | 2019-05-07 | 車両 |
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JP2019087684A Pending JP2020184825A (ja) | 2019-05-07 | 2019-05-07 | 車両 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023210541A1 (ja) * | 2022-04-25 | 2023-11-02 | 株式会社デンソー | 制御装置及びプログラム |
-
2019
- 2019-05-07 JP JP2019087684A patent/JP2020184825A/ja active Pending
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