JP2020183956A - モニタリング装置および健全度モニタリングシステム - Google Patents
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Abstract
Description
一方、集中豪雨等によって河川が増水した場合、洗堀が急激に進行し、橋梁が沈下したり、傾いてしまったりするリスクが高まる。この場合、橋脚の傾斜角によって橋脚の健全度を評価するほうが、より効果的である。そのため、河川増水時等の非定常時には、切替信号の入力に基づいて、測定頻度変更部は傾斜角測定部による傾斜角の測定頻度を高くする。これにより、傾斜角による橋脚の健全度評価の精度を高くできる。したがって、河川増水時等の非定常時において、卓越振動数を精度良く算出できない場合でも、傾斜角に基づいて橋脚の健全度を適正に評価できる。
この構成では、常時微動測定部および傾斜角測定部は、加速度センサから構成されるので、モニタリング装置の構成を簡素化できる。
この構成では、橋脚が設けられる河川の水位が所定の閾値を超えた場合に、入力部に切替信号が入力されるので、測定頻度変更部は、河川の増水等に応じて常時微動測定部および傾斜角測定部の測定頻度を変更できる。
この構成では、切替信号はモニタリング装置100の外部から入力されるので、モニタリング装置の内部において河川の増水等を判断して切替信号を出力するような構成に比べて、モニタリング装置の構成を簡素化できる。
この構成では、出力部は、記憶部に記憶された卓越振動数を、外部に適宜出力する。すなわち、モニタリング装置からは、常時微動を測定した生データではなく、算出結果である卓越振動数が出力されるため、データの送信量が小さくなる。そのため、データ送信にかかる時間を短縮できる。
この構成では、出力部は、卓越振動数および傾斜角のいずれか一方を出力するので、データの送信量が小さくなる。そのため、データ送信にかかる時間を短縮できる。
前記橋脚に設置されるモニタリング装置と、前記モニタリング装置と通信可能に構成された健全度評価装置と、切替信号を前記モニタリング装置に出力可能に構成された切替信号出力装置と、を備え、前記モニタリング装置は、前記橋脚の常時微動を測定可能に構成された常時微動測定部と、前記橋脚の傾斜角を測定可能に構成された傾斜角測定部と、前記常時微動測定部による前記常時微動の測定データに基づいて、前記橋脚の卓越振動数を算出する解析部と、前記切替信号出力装置から出力された前記切替信号を入力可能に構成された入力部と、前記入力部に入力された前記切替信号に基づいて、前記常時微動測定部による前記常時微動の測定頻度および前記傾斜角測定部による前記傾斜角の測定頻度を変更する測定頻度変更部と、前記傾斜角測定部による前記傾斜角の測定データ、および前記解析部により算出された前記卓越振動数を記憶可能に構成された記憶部と、前記記憶部に記憶された前記傾斜角の測定データおよび前記卓越振動数を出力可能に構成された出力部と、を備え、前記健全度評価装置は、前記モニタリング装置から出力された前記卓越振動数および前記傾斜角の測定データを取得する取得部と、前記取得部により取得した前記卓越振動数および前記傾斜角の測定データに基づいて、前記橋脚の健全度を評価する評価部と、を備えることを特徴とする。
本発明では、前述と同様の効果を得ることができる。
本発明では、前述と同様の効果を得ることができる。
さらに、本発明では、健全度評価装置は、橋脚の卓越振動数と、橋脚の健全度とを教師データとして学習する学習部と、卓越振動数および傾斜角の測定データと、学習部による学習結果とに基づいて、橋脚の健全度を評価する評価部と、を備える。これにより、卓越振動数に基づいた健全度の推定精度を高めることができるので、橋脚の健全度をより正確に評価することができる。
本発明では、前述と同様の効果を得ることができる。
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態の健全度モニタリングシステム1の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る健全度モニタリングシステム1は、河川Rに掛けられた橋梁Bについて、その橋脚BPの健全度をモニタリングするものである。
橋脚BPは、橋桁BGを支持し、橋桁BGには、人や車両が通行するための道路や線路が設けられる。
モニタリング装置100は、計測ユニット110および太陽光パネル120を備えている。計測ユニット110は、橋脚BPの常時微動を測定するために、橋脚BPの上側部分の任意位置に設置される。太陽光パネル120は、太陽光を受光できる位置に設置されていればよく、例えば、橋桁BG上の街灯用ポールLP等に設置される。
健全度評価装置200は、データ処理装置210と、入力装置220と、出力装置230とを備えている。
図2は、モニタリング装置100の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、計測ユニット110は、加速度センサ111、制御部112、記憶部113、通信部114、蓄電池115、バックアップ電池116および切換部117を備えている。本実施形態では、これらは1つのケースに収納されることでユニット化されている。すなわち、計測ユニット110は、各機能が一体化されたスマートセンサである。
蓄電池115は、太陽光パネル120で発電された電力のうち余剰の電力を蓄電可能な二次電池である。
バックアップ電池116は、例えば、ボタン電池や乾電池等の一次電池である。
切換部117は、太陽光パネル120、蓄電池115およびバックアップ電池116のいずれか1つの電源に選択的に接続されると共に、加速度センサ111、制御部112、記憶部113および通信部114に接続されている。
なお、図2では、各ブロックを繋ぐ電力線を模式的に示している。また、太陽光パネル120、蓄電池115およびバックアップ電池116の各電源と切換部117との間には、直流電圧を安定化させるためのDC−DCコンバータ(図示略)等が接続されている。
例えば、切換部117は、太陽光パネル120が十分に発電している場合には、接続先として太陽光パネル120を選択する。また、夜間など太陽光パネル120によって発電できない場合、切換部117は、接続先を蓄電池115に切り換える。また、加速度センサ111および制御部112等の消費電力に対して、太陽光パネル120および蓄電池115からの電力供給が不足する場合、切換部117は、接続先をバックアップ電池116に切り換える。
このような切換部117としては、供給能力のある方に優先的に切り換える電子スイッチ(ダイオードスイッチ)を用いることができる。
また、加速度センサ111は、橋軸直交方向に対する橋脚BPの傾斜角Cを所定頻度で測定する。すなわち、加速度センサ111は、本発明の常時微動測定部および傾斜角測定部の一例である。本実施形態では、常時微動測定部および傾斜角測定部が1つの加速度センサ111により構成されている。
加速度センサ111としては、例えばMEMS加速度計など、微小振動を検出可能な精度の高い3軸加速度計が用いられる。MEMS加速度計を用いることで、安価かつ省電力で駆動することができる。
なお、加速度センサ111として、3軸加速度計が用いられることに限られるものではなく、例えば、1軸加速度計が用いられてもよい。
制御部112は、解析部1121と、測定頻度変更部1122とを有する。
解析部1121は、加速度センサ111の測定データに基づいて、橋脚BPの卓越振動数Nを算出する。
測定頻度変更部1122は、通信部114を介して後述する切替信号を入力し、当該切替信号に基づいて、定常時モードと非定常時モードとを設定する。そして、測定頻度変更部1122は、設定したモードに応じて、加速度センサ111による常時微動および傾斜角Cの測定頻度をそれぞれ変更する。
なお、解析部1121および測定頻度変更部1122の詳細については後述する。
通信部114は、インターネット回線等を介して、後述する健全度評価装置200の通信部211と通信可能に構成された通信インタフェースである。通信部114は、記憶部113に記憶された卓越振動数Nや傾斜角Cを含むデータを出力する。すなわち、通信部114は、本発明の出力部の一例である。
また、通信部114は、健全度評価装置200から出力された切替信号を入力する。すなわち、通信部114は、本発明の入力部の一例である。
なお、通信部114は、無線通信のインタフェースであってもよく、また、有線通信のインタフェースであってもよく、あるいは、無線通信と有線通信とを兼ねたインタフェースであってもよい。
図3は、健全度評価装置200の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、健全度評価装置200は、前述したように、データ処理装置210と、入力装置220と、出力装置230とを備える。
データ処理装置210は、例えば、管理事務所等に設置されるサーバ装置等で構成され、通信部211と、制御部212と、データベース213とを備える。
また、通信部211は、後述する切替信号出力部2122から出力された切替信号をモニタリング装置100に出力する。すなわち、本実施形態では、健全度評価装置200は、本発明の健全度評価装置と切替信号出力装置とを兼ねている。
なお、通信部211は、無線通信のインタフェースであってもよく、また、有線通信のインタフェースであってもよく、あるいは、無線通信と有線通信とを兼ねたインタフェースであってもよい。
評価部2121は、卓越振動数Nおよび傾斜角Cを健全度の指標として、橋脚BPの健全度を評価する。
切替信号出力部2122は、管理者等による入力装置220の操作に応じて、切替信号を出力する。前述したように、切替信号出力部2122により出力された切替信号は、通信部211を介して、モニタリング装置100に出力される。なお、モニタリング装置100に出力された切替信号は、前述したように、通信部114を介して測定頻度変更部1122に入力される。
データベース213は、橋梁Bの橋脚BPについて、過去に算出・測定された卓越振動数Nや傾斜角Cなどを記憶している。
出力装置230は、所謂ディスプレイであり、データ処理装置210から出力された信号に応じて、視覚的な情報を出力する。
次に、本実施形態の健全度モニタリング方法について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
図4に示すように、先ず、測定頻度変更部1122は、通信部114を介して、切替信号が入力されているか否かを判定する(ステップS1)。
ステップS1でNoと判定した場合、測定頻度変更部1122は定常時モードを設定する。そして、測定頻度変更部1122は、前回常時微動を測定してからの経過時間TAが、常時微動測定間隔t1よりも大きいか否かを判定する(ステップS2)。
ここで、本実施形態では、常時微動測定間隔t1は1440分に設定されている。つまり、定常時モードでは、加速度センサ111による常時微動の測定が1日に1回の測定頻度で実行される。この1回の測定では、所定の間隔(例えば30分)をおいた複数回(例えば5回)の計測が行われ、1回の計測時間は例えば十数秒間である。すなわち、所定の間隔をおいた複数回の計測によって、加速度センサ111による1回の常時微動の測定が構成される。
なお、常時微動測定間隔t1は1440分に設定されることに限定されるものではなく、例えば、720分に設定されていてもよく、任意に設定できる。
図5は、解析部1121によるスペクトル解析結果の一例を示す図である。
図5に示すように、解析部1121は、測定時間における加速度の時間変化の波形を既知の手法で解析して、振動周波数ごとの振動の大きさを振幅として示すことにより、橋脚BPの振動周波数のスペクトルを解析する。そして、解析部1121は、例えば、所定周波数帯の中で最も振幅の大きい振動周波数を、橋脚BPの卓越振動数Nとして算出する。
本実施形態では、所定周波数帯として、0.00〜10.00Hzが設定されている。そして、図5に示す一例では、所定周波数帯としての0.00〜10.00Hzの中で、最も振幅の大きい振動周波数である3.41Hzを、橋脚BPの卓越振動数Nとして算出し、記憶部113に記憶する。そして、定常時モードが設定されている場合、記憶部113に記憶された卓越振動数Nは、通信部114を介して、適宜健全度評価装置200に出力される。
なお、解析部1121は、所定周波数帯の中で最も振幅の大きい振動周波数を、橋脚BPの卓越振動数Nとして算出することに限られるものではなく、例えば、スペクトル解析結果を既知の統計的手法にて解析して、卓越振動数Nを算出してもよい。また、所定周波数帯としては、0.00〜10.00Hzに限定されるものではなく、例えば、2.50Hz〜5.00Hzであっても良く、任意に設定できる。
図6では、約2年間における卓越振動数Nのモニタリング結果を示しており、当該モニタリング結果が、健全度評価装置200のデータベース213に記憶される。
図6に示すように、管理者は、データベース213に記憶された卓越振動数Nのモニタリング結果を、出力装置230に出力させることにより、所定期間における卓越振動数Nの経時変化を確認できる。これにより、管理者は、橋脚BPの健全度を評価できる。例えば、管理者は、卓越振動数Nが事前の調査により設定した基準値を下回った場合、異常と判定できる。そして、管理者はこの異常判定に応じて、衝撃振動試験等による詳細な点検や補修を行うことができる。
ステップS5でYesと判定した場合、加速度センサ111は、橋脚BPの傾斜角Cを測定して、その測定データを取得する(ステップS6)。
本実施形態では、第1傾斜角測定間隔t21は1440分に設定されている。つまり、定常時モードでは、加速度センサ111による傾斜角Cの測定が1日に1回の測定頻度で実行される。そして、測定された傾斜角Cは記憶部113に記憶される。ここで、本実施形態では、定常時モードが設定されている場合、記憶部113に記憶された傾斜角Cの測定データは、健全度評価装置200に出力されない。すなわち、切替信号が入力されて定常時モードが設定されている場合、通信部114は、記憶部113に記憶された卓越振動数Nおよび傾斜角Cのうち、卓越振動数Nのみを出力する。
なお、第1傾斜角測定間隔t21は1440分に設定されることに限定されるものではなく、例えば、720分に設定されていてもよく、任意に設定できる。
そして、ステップS1でYesと判定した場合、つまり、モニタリング装置100に切替信号が入力されている場合、測定頻度変更部1122は非定常時モードを設定する。
そして、測定頻度変更部1122は、前回傾斜角Cを測定してからの経過時間TLが、第2傾斜角測定間隔t22よりも大きいか否かを判定する(ステップS6)。
ステップS6でYesと判定した場合、加速度センサ111は、橋脚BPの傾斜角Cを測定して、その測定データを取得する(ステップS7)。
本実施形態では、第2傾斜角測定間隔t22は3分に設定されている。つまり、非定常時モードでは、加速度センサ111による傾斜角Cの測定が1日に480回の測定頻度で実行され、測定された傾斜角Cは記憶部113に記憶される。非定常時モードが設定されている場合、記憶部113に記憶された傾斜角Cは、通信部114を介して、適宜健全度評価装置200に出力される。
なお、第2傾斜角測定間隔t22は3分に設定されることに限定されるものではなく、例えば、5分に設定されていてもよく、第1傾斜角測定間隔t21よりも短い時間に設定されていればよい。
図7では、約10時間における傾斜角Cのモニタリング結果を示しており、当該モニタリング結果が、健全度評価装置200のデータベース213に記憶される。
図7に示すように、管理者は、データベース213に記憶された傾斜角Cのモニタリング結果を、出力装置230に出力させることにより、非定常時における傾斜角Cの経時変化を確認できる。これにより、管理者は、橋脚BPの健全度を評価できる。例えば、管理者は、傾斜角Cが急激に変化した場合、橋脚BPの沈下や傾斜のリスクが高いと判定できる。そして、管理者は、上記リスクが高いと判定した場合は、橋桁BGに設けられた道路や線路の通行を禁止する措置をとることができる。
(1)本実施形態では、測定頻度変更部1122は、通信部114に入力された切替信号に基づいて、加速度センサ111による常時微動および傾斜角Cの測定頻度を変更する。そのため、定常時には、切替信号の入力に基づいて、測定頻度変更部1122は加速度センサ111による測定頻度を高くする。これにより、卓越振動数Nによる橋脚BPの健全度評価の精度を高くできる。
一方、河川増水時等の非定常時には、切替信号を入力に基づいて、測定頻度変更部1122は加速度センサ111による傾斜角Cの測定頻度を高くする。これにより、傾斜角Cによる橋脚BPの健全度評価の精度を高くできる。したがって、河川増水時等の非定常時において、卓越振動数Nを精度良く算出できない場合でも、傾斜角Cに基づいて橋脚BPの健全度を適正に評価できる。
次に、本発明の第2実施形態について図面に基づいて説明する。
第2実施形態では、モニタリング装置100Aに水位センサ140Aが設けられている点で第1実施形態と異なる。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
図8に示すように、モニタリング装置100Aは、水位センサ140Aを有する。
水位センサ140Aは、河川Rの水中に設置される投げ込み式のセンサであり、圧力を検出する。水位センサ140Aは、ケーブル等によって計測ユニット110Aに接続されており、河川Rの水位に対応する検出信号を計測ユニット110Aに出力する。また、水位センサ140Aには、ケーブル等を介して、電力供給部130から電力が供給されている。
なお、水位センサ140Aは、河川Rの水中に設置させる投げ込み式のセンサに限られるものではなく、例えば、橋桁BGに設置され、超音波により河川Rの水位を検出する超音波方式のセンサであってもよく、河川Rの水位を検出可能に構成されていればよい。また、水位センサ140Aと計測ユニット110Aとは、ケーブル等の有線により接続されることに限られるものではなく、無線通信によって接続されていてもよい。
図9は、モニタリング装置100Aの概略構成を示すブロック図である。
図9に示すように、計測ユニット110Aは、制御部112Aを有する。
そして、制御部112Aは、解析部1121A、測定頻度変更部1122Aおよび水位判定部1123Aを備える。
また、本実施形態では、通信部114には、水位センサ140Aが接続されている。
なお、本実施形態において、前述した第1実施形態と同様に、通信部114を介して、健全度評価装置200から切替信号を入力可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、河川Rの水位が所定の閾値を超えていない場合においても、その後、増水等により河川Rの水位上昇が予想される場合等において、管理者は入力装置220を操作することで、切替信号を出力することができる。これにより、実際に河川Rの水位が上昇する前から、傾斜角Cを高い頻度でモニタリングすることができる。
(6)本実施形態では、測定頻度変更部1122Aには、橋脚BPが設けられる河川Rの水位が所定の閾値を超えた場合に、切替信号が入力される。これにより、前述した第1実施形態のように、管理者が切替信号を出力するための操作をしなくても、測定頻度変更部1122Aは、河川Rの増水等に応じて常時微動測定部および傾斜角測定部の測定頻度を自動で変更できる。そのため、管理者による橋梁Bの管理を容易にできる。
次に、本発明の第3実施形態について図面に基づいて説明する。
第3実施形態では、健全度評価装置200Bに学習部2123Bが設けられる点で第1、2実施形態と異なる。なお、第3実施形態において、第1、2実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
図10は、健全度評価装置200Bの概略構成を示すブロック図である。
図10に示すように、健全度評価装置200Bは、前述した第1実施形態と同様に、データ処理装置210Bと、入力装置220Bと、出力装置230Bとを備える。
そして、データ処理装置210Bは、例えば、管理事務所等に設置されるサーバ装置等で構成され、通信部211Bと、制御部212Bと、データベース213Bとを備える。そして、制御部212Bは、評価部2121B、切替信号出力部2122Bおよび学習部2123Bを備える。なお、通信部211Bは、前述した第1、2実施形態の通信部211の構成と同様である。
学習部2123Bは、所謂ニューラルネットワークに基づいて、教師有りの機械学習を行う。
ここで、一般的に、定常時において、橋脚BPは土被り量が小さくなると振動しやすくなるので、卓越振動数Nが小さくなる。つまり、定常時において、橋脚BPの土被り量と卓越振動数Nとは相関関係が認められる。そこで、本実施形態では、学習部2123Bは、例えば、音響測深法により測量した橋脚BPの土被り量実測値(健全度)と、通信部211Bを介して取得した卓越振動数Nとを教師データとして機械学習を行う。
具体的には、学習部2123Bを構成するニューラルネットワークは、それぞれ複数のニューロンから構成される入力層、中間層、および、出力層を有する。そして、定常時において、入力層に入力された卓越振動数Nに基づいて出力層から出力される土被り量推定値が土被り量実測値に近づくように、機械学習を行う。
なお、学習部2123Bにて学習した学習済みモデルは、データベース213Bに記憶される。なお、学習部2123Bによる学習済みモデルは、評価部2121Bによる健全度の評価に先立ってデータベース213Bに記憶されるが、さらに、評価部2121Bによる評価を行いながら、学習済みモデルを随時更新してもよい。
評価部2121Bは、通信部211Bを介して取得した卓越振動数Nおよび傾斜角Cの測定データと、学習部2123Bによる学習結果(学習済みモデル)とに基づいて、橋脚BPの健全度を評価する。
具体的には、評価部2121Bは、非定常時モードが設定された場合、前述した第1、2実施形態と同様に、傾斜角Cを指標として橋脚BPの健全度を評価する。また、評価部2121Bは、定常時モードが設定された場合、取得した卓越振動数Nを、データベース213Bに記憶された学習済みモデルに入力することで土被り量推定値を取得する。そして、評価部2121Bは、当該土被り量推定値に基づいて、橋脚BPの健全度を評価する。例えば、評価部2121Bは、データベース213Bに記憶された土被り量の基準値と、土被り量推定値とを比較して、橋脚BPの健全度を評価する。
(7)本実施形態では、健全度評価装置200Bは、橋脚BPの卓越振動数Nおよび土被り量実測値を教師データとして学習する学習部2123Bと、学習部2123Bによる学習結果に基づいて橋脚BPの健全度を評価する評価部2121Bとを備える。これにより、卓越振動数Nに基づいた健全度の推定精度を高めることができるので、橋脚BPの健全度をより正確に評価することができる。
前記各実施形態では、定常時モードが設定されている場合、記憶部113に記憶された傾斜角Cの測定データは出力されないように構成されていたが、これに限定されず、定常時モードにおいても傾斜角Cの測定データが出力されるように構成されていてもよい。
図11では、約6ヵ月間における傾斜角Cモニタリング結果を示しており、当該モニタリング結果が、健全度評価装置200,200Bのデータベース213,213Bに記憶される。この場合、管理者は、当該モニタリング結果を踏まえ、例えば、傾斜角Cの経時変化の傾向から橋脚BPの健全度を評価できる。
また、健全度評価装置200,200Bは、モニタリング装置100,100Aに組み込まれて構成されてもよい。すなわち、モニタリング装置100,100A間でデータの送受信を行うように構成されていてもよい。
また、この場合、健全度評価装置200,200Bに、卓越振動数Nを算出する解析部が設けられていてもよい。
また、電力供給部130は、太陽光パネル120および蓄電池115のいずれか一方から構成されるものであってもよい。
さらに、電力供給部130は、モニタリング装置100の外部から電力を受電可能に構成されていてもよい。この場合、電力供給部130は、太陽光パネル120、蓄電池115、バックアップ電池116および切換部117を備えていなくてもよい。
さらに、学習部は橋脚の土被り量実測値と、卓越振動数および傾斜角とを教師データとして機械学習を行うよう構成されていてもよい。すなわち、学習部を構成するニューラルネットワークは、定常時において、入力層に入力された卓越振動数および傾斜角に基づいて出力層から出力される土被り量推定値が土被り量実測値に近づくように、機械学習を行うように構成されていてもよい。
Claims (9)
- 橋脚に設置され、前記橋脚、前記橋脚の基礎および前記基礎の地盤の少なくとも1つの健全度を測定するモニタリング装置であって、
前記橋脚の常時微動を測定可能に構成された常時微動測定部と、
前記橋脚の傾斜角を測定可能に構成された傾斜角測定部と、
前記常時微動測定部による前記常時微動の測定データに基づいて、前記橋脚の卓越振動数を算出する解析部と、
切替信号を入力可能に構成された入力部と、
前記入力部に入力された前記切替信号に基づいて、前記常時微動測定部による前記常時微動の測定頻度および前記傾斜角測定部による前記傾斜角の測定頻度を変更する測定頻度変更部と、を備える
ことを特徴とするモニタリング装置。 - 請求項1に記載のモニタリング装置において、
前記常時微動測定部および前記傾斜角測定部は、加速度センサから構成される
ことを特徴とするモニタリング装置。 - 請求項1または請求項2に記載のモニタリング装置において、
前記入力部には、前記橋脚が設けられる河川の水位が所定の閾値を超えた場合に、前記切替信号が入力される
ことを特徴とするモニタリング装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のモニタリング装置において、
前記切替信号は外部から入力される
ことを特徴とするモニタリング装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のモニタリング装置において、
前記傾斜角測定部による前記傾斜角の測定データ、および前記解析部により算出された前記卓越振動数を記憶可能に構成された記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記傾斜角の測定データおよび前記卓越振動数を出力可能に構成された出力部と、を備える
ことを特徴とするモニタリング装置。 - 請求項5に記載のモニタリング装置において、
前記出力部は、前記入力部に前記切替信号が入力されない場合は前記卓越振動数を出力し、前記入力部に前記切替信号が入力された場合は前記傾斜角の測定データを出力する
ことを特徴とするモニタリング装置。 - 橋脚、前記橋脚の基礎および前記基礎の地盤の少なくとも1つの健全度をモニタリングする健全度モニタリングシステムであって、
前記橋脚に設置されるモニタリング装置と、
前記モニタリング装置と通信可能に構成された健全度評価装置と、
切替信号を前記モニタリング装置に出力可能に構成された切替信号出力装置と、を備え、
前記モニタリング装置は、
前記橋脚の常時微動を測定可能に構成された常時微動測定部と、
前記橋脚の傾斜角を測定可能に構成された傾斜角測定部と、
前記常時微動測定部による前記常時微動の測定データに基づいて、前記橋脚の卓越振動数を算出する解析部と、
前記切替信号出力装置から出力された前記切替信号を入力可能に構成された入力部と、
前記入力部に入力された前記切替信号に基づいて、前記常時微動測定部による前記常時微動の測定頻度および前記傾斜角測定部による前記傾斜角の測定頻度を変更する測定頻度変更部と、
前記傾斜角測定部による前記傾斜角の測定データ、および前記解析部により算出された前記卓越振動数を記憶可能に構成された記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記傾斜角の測定データおよび前記卓越振動数を出力可能に構成された出力部と、を備え、
前記健全度評価装置は、
前記モニタリング装置から出力された前記卓越振動数および前記傾斜角の測定データを取得する取得部と、
前記取得部により取得した前記卓越振動数および前記傾斜角の測定データに基づいて、前記橋脚の健全度を評価する評価部と、を備える
ことを特徴とする健全度モニタリングシステム。 - 橋脚、前記橋脚の基礎および前記基礎の地盤の少なくとも1つの健全度をモニタリングする健全度モニタリングシステムであって、
前記橋脚に設置されるモニタリング装置と、
前記モニタリング装置と通信可能に構成された健全度評価装置と、
切替信号を前記モニタリング装置に出力可能に構成された切替信号出力装置と、を備え、
前記モニタリング装置は、
前記橋脚の常時微動を測定可能に構成された常時微動測定部と、
前記橋脚の傾斜角を測定可能に構成された傾斜角測定部と、
前記常時微動測定部による前記常時微動の測定データに基づいて、前記橋脚の卓越振動数を算出する解析部と、
前記切替信号出力装置から出力された前記切替信号を入力可能に構成された入力部と、
前記入力部に入力された前記切替信号に基づいて、前記常時微動測定部による前記常時微動の測定頻度および前記傾斜角測定部による前記傾斜角の測定頻度を変更する測定頻度変更部と、
前記傾斜角測定部による前記傾斜角の測定データ、および前記解析部により算出された前記卓越振動数を記憶可能に構成された記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記傾斜角の測定データおよび前記卓越振動数を出力可能に構成された出力部と、を備え、
前記健全度評価装置は、
前記モニタリング装置から出力された前記卓越振動数および前記傾斜角の測定データを取得する取得部と、
前記卓越振動数と前記橋脚の健全度とを教師データとして学習する学習部と、
前記取得部により取得した前記卓越振動数および前記傾斜角の測定データと、前記学習部による学習結果とに基づいて、前記橋脚の健全度を評価する評価部と、を備える
ことを特徴とする健全度モニタリングシステム。 - 橋脚、前記橋脚の基礎および前記基礎の地盤の少なくとも1つの健全度をモニタリングする健全度モニタリングシステムであって、
前記橋脚に設置されるモニタリング装置と、
前記モニタリング装置と通信可能に構成された健全度評価装置と、
切替信号を前記モニタリング装置に出力可能に構成された切替信号出力装置と、を備え、
前記モニタリング装置は、
前記橋脚の常時微動を測定可能に構成された常時微動測定部と、
前記橋脚の傾斜角を測定可能に構成された傾斜角測定部と、
前記常時微動測定部による前記常時微動の測定データに基づいて、前記橋脚の卓越振動数を算出する解析部と、
前記切替信号出力装置から出力された前記切替信号を入力可能に構成された入力部と、
前記入力部に入力された前記切替信号に基づいて、前記常時微動測定部による前記常時微動の測定頻度および前記傾斜角測定部による前記傾斜角の測定頻度を変更する測定頻度変更部と、
前記傾斜角測定部による前記傾斜角の測定データ、および前記解析部により算出された前記卓越振動数を記憶可能に構成された記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記傾斜角の測定データおよび前記卓越振動数を出力可能に構成された出力部と、を備え、
前記健全度評価装置は、
前記モニタリング装置から出力された前記卓越振動数および前記傾斜角の測定データを取得する取得部と、
前記傾斜角と前記橋脚の健全度とを教師データとして学習する学習部と、
前記取得部により取得した前記卓越振動数および前記傾斜角の測定データと、前記学習部による学習結果とに基づいて、前記橋脚の健全度を評価する評価部と、を備える
ことを特徴とする健全度モニタリングシステム。
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