JP2020183149A - 搬送車 - Google Patents

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Abstract

【課題】台車を移動させるための駆動車輪の空転が生じ難い搬送車を提供する。【解決手段】複数のキャスタ14,14,15,15に支持されて自立し物品を積載できる台車10を移動させるための駆動車輪32,32を有する搬送車1であって、搬送車1は複数のキャスタ14,14,15,15のうちの一部を浮かせた傾斜状態の台車10を移動させる。【選択図】図4

Description

本発明は、台車を移動させる搬送車に関する。
工場や倉庫、物流センタ等においては、部品や製品等の物品が積載された台車を作業者が押して所望の位置に移動させることが一般的に行われてきた。現在では、台車を搬送車によって移動させることで、物品の重量が重い場合、搬送距離が長い場合、搬送頻度が多い場合等における、作業者の負担の軽減を図る提案もなされている。
例えば、特許文献1に示される台車を移動させる自律走行可能な搬送車は、台車の前端部に係合可能な牽引アームを備え、搬送車の牽引アームを台車に係合させることで、搬送車の走行により台車を牽引して移動させることが可能となっており、物品搬送作業の人的負担を大幅に軽減することができる。
特許5977157号公報(第8頁、第1,2図)
しかしながら、特許文献1の搬送車にあっては、台車を牽引して走行するものであるため、台車に積載する物品が重い場合、摩擦係数の小さい床面を走行する場合、上傾斜した床面を走行する場合等には、駆動車輪が空転してしまい、台車を移動させることができない虞がある。搬送車自体を重くしておけば、駆動車輪が床面から受ける垂直抗力が大きくなり駆動車輪の空転を抑制できるが、搬送車自体が重くなるため搬送車の走行エネルギー消費が大きくなる問題がある。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、台車を移動させるための駆動車輪の空転が生じ難い搬送車を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の搬送車は、
複数のキャスタに支持されて自立し物品を積載できる台車を移動させるための駆動車輪を有する搬送車であって、
前記搬送車は前記複数のキャスタのうちの一部を浮かせた傾斜状態の前記台車を移動させることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送車に対して台車を傾斜状態にすることで、搬送車は台車の荷重の一部を受けることから、搬送車の駆動車輪の床面から受ける垂直抗力が増え、搬送車を重量化しなくても駆動車輪の空転が生じ難い。
前記搬送車の走行方向に沿って前記駆動車輪を含む複数の車輪を備え、前記台車の荷重の一部を受ける荷重点が走行方向両端の前記車輪の間に備えられていることを特徴としている。
この特徴によれば、台車の荷重の一部を駆動車輪に安定的にかけることができる。
前記台車の片側を持ち上げることができる昇降手段を有することを特徴としている。
この特徴によれば、作業者の介入によらず台車を傾斜させることができ、作業性に優れる。
前記昇降手段は、前記台車と床面との間に入り込むアームと、前記アームを上昇させるアクチュエータとを備えることを特徴としている。
この特徴によれば、簡単な構造で台車を傾斜させることができる。
前記台車の略水平方向への移動を規制する移動規制手段を有することを特徴としている。
この特徴によれば、搬送車による台車の移動が安定する。また、旋回走行時に台車の走行軌跡が狭い範囲となる。
前記昇降手段は、前記台車の一部を把持する把持手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、台車に衝撃や振動等加わっても、台車は搬送車から離れ難い。
前記駆動車輪は、操舵される車輪であることを特徴としている。
この特徴によれば、駆動車輪には台車の荷重の一部が作用しているため、走行中の搬送車は安定して旋回することができる。
前記台車の底板は平面視矩形をなし、該底板の多くとも3辺にはパネルが立設し、該パネルが立設しない辺には開口部が形成されており、
前記搬送車は前記開口部を判別する判別手段を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、開口部側のキャスタを浮かせることが簡便となり、搬送車の走行方向の反対側に台車に積載された物品が脱落するのを防止できる。
本発明の実施例1における搬送車がカゴ台車を搬送する様子を示す斜視図である。 (a)は、実施例1の外カバーを取り外した状態の搬送車を示す側面視の部分断面図であり、(b)は、同じく平面図である。 カゴ台車を搬送する際の搬送車の動作を説明する図である。 カゴ台車を搬送する際の搬送車の動作を説明する図である。 カゴ台車を搬送する際の搬送車の動作を説明する図である。 旋回走行時におけるカゴ台車を搬送する際の搬送車の動作を説明する図であり、(a)は実施例1の動作を説明する図、(b)は参考例を説明する図である。 本発明の実施例2の搬送車を示す側面図である。 本発明の実施例3の搬送車を示す側面図である。
本発明に係る搬送車を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
実施例1に係る搬送車につき、図1から図6を参照して説明する。以下、図2の紙面左側を搬送車の前方側とし、図2の紙面右側を搬送車の後方側として説明する。
図1に示されるように、搬送車1は、工場や倉庫、物流センタ等において、床面Fを走行してカゴ台車10(台車)の運搬を行う。本実施例におけるカゴ台車10は、平面視矩形をなし物品を積載可能な底板11と、該底板11の3辺に沿って立設する格子状のバックパネル12(パネル)及び一対のサイドパネル13,13(パネル)と、サイドパネル13,13の下端の前方側にそれぞれ設けられるキャスタ14,14と、サイドパネル13,13の下端の後方側にそれぞれ設けられるキャスタ15,15とから構成されており、バックパネル12及びサイドパネル13,13が立設しない底板11の前方の辺には、底板11に積載される物品を出し入れ可能な開口部16が形成されている。また、カゴ台車10の底板11の前端部には下方に略直角に屈曲して延びる屈曲部11a(図3〜図5参照)が形成されている。尚、開口部16には、底板11に積載される物品の落下を防ぐための安全バーや上下開きまたは観音開きの扉等が設けられていてもよい。また、カゴ台車10の前方側のキャスタ14,14及び後方側のキャスタ15,15は、水平方向に旋回可能な自在キャスタから構成されている。さらに尚、本実施例においては、カゴ台車10に積載される物品の図示を省略している。
図2に示されるように、搬送車1は、床面Fを走行可能な車体2と、該車体2の走行方向に沿って設けられる複数の車輪30と、該車輪30を構成する駆動車輪32,32を駆動させる一対の駆動モータ31,31と、車体2に対し昇降可能に設けられた左右一対のアーム4,4(昇降手段)と、該アーム4,4を昇降させる昇降機構5(昇降手段)とから主に構成されている。尚、図2においては、説明の便宜上、図1において搬送車1の外装を構成する外カバー20の図示を省略している。
図2に示されるように、車体2は、金属製の平面視矩形の底板21と、該底板21の上面の略中央部に設けられる金属製の基台22と、搬送車1の外装を構成する外カバー20(図1参照)とから構成されている。基台22は箱形をなし、図示しないボルト・ナット等により底板21に対して着脱可能に固定されている。
底板21は、平面視矩形をなす本体部21aと、該本体部21aの後端の左右略中央から後方に延びる延出部21bとを備え、延出部21bの上面の後方側には、上方における物体の有無を検出可能なバックセンサ6が設けられている。バックセンサ6は、超音波センサから構成されている。尚、本実施例においては、底板21全体の高さがカゴ台車10の底板11の下面11b(図3〜図5参照)よりも低くなるように構成されているが、これに限らず、例えば上面にバックセンサ6が設けられる延出部21bの後方側のみが折り曲げ加工によりカゴ台車10の底板11の下面11bよりも低くなるように構成してもよい。さらに尚、底板21は、本体部21aと延出部21bとが一体形成されるものに限らず、本体部21aと延出部21bとが別部材から構成されていてもよい。
基台22の上面の前方側には、左右一対の上下方向に貫通する貫通孔22a,22aが形成され、該貫通孔22a,22aには、底板21に立設固定され、底板21の延出部21bにおける左右方向の幅寸法よりも大きく左右方向に離間する一対の支持板23,23の上部が挿通されて突出しており、該支持板23,23の上部には、アーム4,4の前端部がそれぞれ回動可能に軸支されている。また、基台22の上面の後方側には、左右略中央に上下方向に貫通する貫通孔22b(図2(a)参照)が形成され、該貫通孔22bには、後述する昇降機構5を構成するボールねじ52(アクチュエータ)のねじ軸52aが挿通されている。
また、基台22の内部には、走行用の駆動モータ31,31と、アーム4,4を昇降させる昇降機構5と、図示しない制御装置及びバッテリが設けられている。尚、制御装置は、搬送車1の走行を制御する走行制御部と、走行制御部からの指令信号に基づき駆動モータ31,31を駆動制御する駆動モータ制御部と、アーム4,4の昇降位置を制御する昇降制御部と、昇降制御部からの指令信号に基づき昇降機構5を構成する昇降モータ51を駆動制御する昇降モータ制御部と、記憶部と、通信部と、を備えている。記憶部は、制御装置の駆動信号の履歴、搬送車1の運転履歴等を記憶する機能を有する。また、通信部は、無線LANの送受信装置を有しており、外部からの指令信号等の受信や記憶部に記憶されたデータの送信等を行う。
図1に示されるように、外カバー20は、車体2を上方から覆う箱形の車体カバー20aと、車体2の前後に取り付けられるフロントバンパ20b及びリアバンパ20cとから構成され、車体カバー20aの前面には、前方における物体の有無を検出可能なフロントセンサ8が設けられている。尚、フロントセンサ8は、超音波センサから構成されている。
また、車体カバー20aの上面には、搬送車1の周囲を撮像可能な撮像装置7(判別手段)(図1参照)が設けられており、撮像装置7は、撮像された画像を画像解析することによりカゴ台車10の開口部16を判別できるようになっている。撮像装置7は、図示しないケーブルにより制御装置の走行制御部と接続されている。尚、撮像装置7は、少なくとも搬送車1の後方側を撮像可能なものであればよい。さらに尚、カゴ台車10の開口部16を判別する判別手段は撮像装置7のような画像判別センサから構成されるものに限らず、例えば超音波センサや光学センサ等から構成されていてもよい。
図2に示されるように、車輪30は、駆動モータ31,31により個別に駆動される左右一対の駆動車輪32,32と、駆動車輪32,32の前後に設けられる複数個の従動車輪33,33,…とから構成されている。詳しくは、駆動車輪32,32は、車体2を構成する底板21の本体部21aの側方かつ前後略中央に設けられている。駆動車輪32,32の前方には、底板21の本体部21aの前端部の両隅に従動車輪33,33が設けられている。また、駆動車輪32,32の後方には、底板21の本体部21aの後端部の両隅に従動車輪33,33が設けられるとともに、延出部21bにも従動車輪33が1つ設けられている。尚、従動車輪33,33,…は、水平方向に旋回可能な自在キャスタから構成されている。また、延出部21bに設けられる従動車輪33は、他の従動車輪33,33,…よりもサイズが小さい自在キャスタから構成され、通常は床面Fから上方に僅かに離間しており、車体2の前方側が浮き上がった場合には当該従動車輪33が床面Fに接することにより車体2を安定させやすくなっている。尚、延出部21bには従動車輪33が設けられていなくてもよい。
また、駆動車輪32,32は、基台22の前後略中央、すなわちアーム4,4の前端部を支持する支持板23,23と、アーム4,4の前後方向略中央部を支持する昇降機構5との間に配置されている。さらに、駆動車輪32,32は、従動車輪33よりも外径や幅が大きく構成されることにより、駆動車輪32,32の駆動を床面Fに伝える駆動機能や、荷重を支持する荷重支持機能が高められている。
図2に示されるように、走行用の駆動モータ31,31は、基台22の前後略中央に設けられ、各駆動車輪32,32と車軸で連結されている。また、駆動モータ31,31は、図示しないケーブルにより制御装置の駆動モータ制御部と接続されており、さらに駆動モータ制御部は、基台22内に内蔵されたバッテリに接続されている。また、駆動モータ31,31には、回転数を検出するための図示しないロータリエンコーダがそれぞれ設けられ、ロータリエンコーダは、駆動モータ制御部に接続されている。
駆動モータ制御部は、走行制御部からの指令信号に基づき、駆動モータ31,31に電力を供給して、駆動モータ31,31を回転駆動し、各駆動モータ31,31により駆動される駆動車輪32,32が床面Fを転動することにより、前後の従動車輪33,33,…が従動して車体2が安定的に走行するようになっている。また、駆動モータ制御部は、駆動車輪32,32毎に設けられる駆動モータ31,31の回転方向や回転数をそれぞれ制御することにより、搬送車1は床面Fを旋回走行するようになっている。尚、本実施例においては、駆動モータ制御部によって駆動車輪32,32毎に設けられる駆動モータ31,31の回転方向や回転数をそれぞれ制御することにより、駆動車輪32,32が操舵される構成について説明したが、これに限らず、例えば走行制御部からの指令信号に基づき、駆動車輪32,32の向きを変えるステアリングシステムを備えていてもよい。また、1つの駆動モータと差動機構とにより2つの駆動車輪32,32をそれぞれ制御するものであってもよい。
図2に示されるように、アーム4,4は、車体2の基台22の上方において前後方向に直線状に延びる前後杆4a,4aと、該前後杆4a,4aの後端から下方に略直角に屈曲し床面F近くまで延びる下垂杆4b,4bと、該下垂杆4b,4bの下端から後方に略直角に屈曲し前後方向に直線状に延びる下方杆4c,4cとから略クランク形をなし、下方杆4c,4cの後端には、上向きの鉤状部4d,4d(移動規制手段)が形成されている。尚、アーム4,4は、板状の金属部材から構成され板面が鉛直方向となるように配置されることで、特に上下方向にかかる荷重に対する強度が高められている。
また、アーム4,4は、前後杆4a,4aの前端部が支持板23,23に回動可能にそれぞれ軸支されるとともに、前後杆4a,4aの前後方向略中央部が昇降機構5(後述するアーム支持部材53)により下方から支持されている。尚、アーム4,4の前後杆4a,4aの後端部は、車体2の底板21の本体部21aの後端よりも後方の位置まで延出している。すなわち、アーム4,4の下垂杆4b,4b、下方杆4c,4c及び鉤状部4d,4dは、底板21の本体部21aの後端よりも後方に配置されている。また、アーム4,4は、前後杆4a,4aの前端部が底板21の延出部21bにおける左右方向の幅寸法よりも大きく左右方向に離間する一対の支持板23,23にそれぞれ軸支されることにより、下垂杆4b,4b、下方杆4c,4c及び鉤状部4d,4dが底板21の延出部21bに対して干渉しない位置関係となっている。
また、アーム4,4は、カゴ台車10の搬送時以外は前後杆4a,4aが略水平となる下降位置となっており、このとき、下方杆4c,4c及び鉤状部4d,4dが車体2の底板21の下面よりも低い位置に配置されている。
図2に示されるように、昇降機構5は、昇降用の昇降モータ51と、ボールねじ52とから主に構成されている。ボールねじ52は、車体2の基台22の上面に設けられる貫通孔22bに挿通されるねじ軸52aと、該ねじ軸52aに取り付けられるナット52bと、を備え、ねじ軸52aは、基台22の内部で昇降モータ51にギア接続されている。また、ねじ軸52aの下端は、車体2の底板21の上面に設けられた図示しないスラスト軸受に当接している。また、ナット52bは、金属板の左右両端が上方に折り曲げられた正面視上向きコ字形のアーム支持部材53と一体に固定されている。尚、アーム支持部材53は、左右両端の折曲部分をアーム4,4の前後杆4a,4aに対して下方からそれぞれ当接させることにより支持している。昇降モータ51は、図示しないケーブルにより制御装置の昇降モータ制御部と接続されており、さらに昇降モータ制御部は、基台22内に内蔵されたバッテリに接続されている。また、昇降モータ51には、回転数を検出するための図示しないロータリエンコーダが設けられ、ロータリエンコーダは、昇降モータ制御部に接続されている。
昇降モータ制御部は、昇降制御部からの指令信号に基づき、昇降モータ51に電力を供給して、昇降モータ51を回転駆動し、昇降モータ51により駆動されるねじ軸52aの回転をナット52bの上下方向への直線運動に変換することにより、ナット52bと一体に固定されるアーム支持部材53により下方から支持されるアーム4,4が安定的に昇降するようになっている。また、昇降機構5を構成するアクチュエータとしてボールねじ52が用いられることにより、アーム4,4の昇降位置の制御性が高められている。尚、昇降機構5を構成するアクチュエータとしては、例えば動力シリンダ等が用いられてもよい。
次いで、搬送車1の動作について図3〜図5を用いて説明する。ここでは、作業員が操作する操作端末からの指令信号を受信した搬送車1がA地点に置かれたカゴ台車10をB地点まで移動させる例について説明する。尚、搬送車1は、自身の現在位置とA地点及びB地点の位置情報を把握しているものとする。
先ず、搬送車1は、制御装置の通信部により作業員が操作する操作端末からの指令信号を受信すると、記憶部に記憶された搬送車1の運転履歴等に基づき、走行制御部において現在位置からカゴ台車10が置かれるA地点までの最適な走行ルートを作成し、該走行ルートに従ってカゴ台車10が置かれるA地点まで自律走行する。
A地点に到着した搬送車1は、撮像装置7により撮像された画像を画像解析しカゴ台車10の所在位置を認識するとともに、当該カゴ台車10の開口部16を判別してカゴ台車10の開口部16側に移動し、カゴ台車10と左右方向中央において前後方向に延びる互いの中心線を揃えるように直線上に並ぶ(図3(a)参照)。
次に、搬送車1は、カゴ台車10と互いの中心線を揃えた状態で後退し、車体2の底板21の延出部21bとアーム4,4の下方杆4c,4cをカゴ台車10の底板11の下面11bと床面Fとの間に入り込ませる。そして、搬送車1は、バックセンサ6によりカゴ台車10の底板11の下面11bが検出された位置からロータリエンコーダにより検出される駆動モータ31,31の回転数に基づき、さらに所定距離例えば10cm後退して停止し(図3(b)参照)、この搬送車1の停止位置において昇降機構5によりアーム4,4を下降位置から上昇させることにより、アーム4,4の鉤状部4d,4dをカゴ台車10の底板11の前端部に形成される屈曲部11aに係合させる(図4(a)参照)。
搬送車1は、ロータリエンコーダにより検出される昇降モータ51の回転数に基づき、アーム4,4を所定の上昇位置まで上昇させることにより、カゴ台車10の開口部16側を持ち上げ、前方側のキャスタ14,14を床面Fから10mm〜20mm浮かせた傾斜状態とする(図4(b)参照)。このとき、搬送車1は、アーム4,4を介してカゴ台車10の荷重の一部N(図4(b)において白矢印で図示)を受けている。尚、カゴ台車10の荷重の一部Nには、カゴ台車10に積載される物品の荷重も含まれる。
アーム4,4が上昇位置となった搬送車1は、走行制御部において現在位置(A地点)からB地点までの最適な走行ルートを作成し、該走行ルートに従ってB地点まで傾斜状態のカゴ台車10を牽引しながら自律走行する。
B地点に到着した搬送車1は、昇降機構5によりアーム4,4を下降位置まで下げることにより、カゴ台車10の底板11の屈曲部11aに対するアーム4,4の鉤状部4d,4dによる係合を解除するとともに、カゴ台車10の前方側のキャスタ14,14を床面Fに接地させる(図5(a)参照)。最後に、搬送車1は、バックセンサ6によりカゴ台車10の底板11の下面11bが検出されなくなる位置まで前進し、搬送車1の動作が完了する(図5(b)参照)。尚、搬送車1は、次の動作に関する指令信号を受信していなければ、動作を完了した位置で待機状態となる。尚、搬送車1は、次の動作に関する指令信号を受信していなければ、所定の待機場所まで自動で走行するようになっていてもよい。
以上説明したように、本実施例の搬送車1は、アーム4,4の下方杆4c,4cをカゴ台車10の底板11の下面11bと床面Fとの間に入り込ませ、昇降機構5によりアーム4,4を上昇位置まで上昇させることにより、アーム4,4の鉤状部4d,4dをカゴ台車10の底板11の前端部に形成される屈曲部11aに係合させた状態でカゴ台車10の開口部16側を持ち上げ、前方側のキャスタ14,14を床面Fから浮かせた傾斜状態(図4(b)参照)とすることで、カゴ台車10の荷重の一部Nを搬送車1が受けることができるため、駆動車輪32,32の床面Fから受ける垂直抗力が増え、搬送車1を重量化しなくても駆動車輪32,32の空転が生じ難くなり、床面Fを安定的に走行させることができる。
また、アーム4,4は、車体2の底板21に立設固定される支持板23,23によって軸支される前後杆4a,4aの前端部が支点となり、カゴ台車10の底板11の屈曲部11aに係合するアーム4,4の鉤状部4d,4dが力点となり、昇降機構5を構成するアーム支持部材53により下方から支持される前後杆4a,4aの前後方向略中央部が荷重点(作用点)となる。すなわち、搬送車1において、カゴ台車10の荷重の一部Nを受ける荷重点が駆動車輪32,32の前後に設けられる前後の従動車輪33,33の間に設けられているため、荷重点を駆動車輪32,32に近づけることができ、カゴ台車10の荷重の一部Nを駆動車輪32,32に安定的にかけることができる。
また、カゴ台車10の傾斜状態においては、カゴ台車10の荷重の一部Nを利用して上昇位置のアーム4,4の鉤状部4d,4dとカゴ台車10の底板11の屈曲部11aとを押し付け合うことができるため、搬送車1の走行時にカゴ台車10に衝撃や振動等が加わっても係合が解除され難くなっている。
また、搬送車1は、カゴ台車10の底板11の下面11bと床面Fとの間に入り込むアーム4,4と、アーム4,4を上昇させるアクチュエータとしてのボールねじ52を備える昇降機構5を有しているため、簡単な構造で作業者の介入によらずカゴ台車10を傾斜させることができ、作業性に優れる。
また、搬送車1は、カゴ台車10の開口部16を判別する判別手段としての撮像装置7を有しているため、カゴ台車10の開口部16側(前方側)のキャスタ14,14を浮かせることが簡便となり、搬送車1の走行方向の反対側にカゴ台車10に積載された物品が脱落するのを防止できる。さらに、搬送車1は、傾斜状態のカゴ台車10を牽引するため、フロントセンサ8により走行方向前方における障害物を避けながら走行することができる。
また、図6(a)に示されるように、搬送車1により牽引されるカゴ台車10の傾斜状態において、カゴ台車10は前方側のキャスタ14,14を浮かせて後方側のキャスタ15,15だけで走行する(図4(b)参照)こととなるため、搬送車1の旋回走行時にカゴ台車10が図6(b)に示される参考例のように外側に振られることがない。また、搬送車1は、カゴ台車10の底板11の屈曲部11aに左右一対のアーム4,4の鉤状部4d,4dを係合させることにより、カゴ台車10の略水平方向への移動を規制することができるため、搬送車1の走行時にカゴ台車10が安定し、また、搬送車1の旋回走行時にカゴ台車10の走行軌跡が狭い範囲となる。また、搬送車1は、搬送車1自体を重量化することなく、カゴ台車10の荷重の一部Nを駆動車輪32,32に安定的にかけることができるため、搬送車1の車体2にかかる遠心力を抑えた状態で、駆動車輪32,32の床面Fから受ける垂直抗力を大きくすることができ、搬送車1は安定して旋回走行することができる。さらに、搬送車1の駆動車輪32,32は、駆動モータ31,31の回転方向や回転数が制御されることで搬送車1を操舵する車輪ともなっており、駆動車輪32,32にはカゴ台車10の荷重の一部Nが作用しているため、搬送車1は安定して旋回走行することができる。
また、アーム4,4は、前端部を支持板23,23に軸支され、昇降機構5を構成するアーム支持部材53に載置されることにより、アーム4,4とアーム支持部材53とが前後方向に相対移動可能に支持され、アーム支持部材53による支持位置を支持板23,23に軸支されるアーム4,4の前端部を基準として前方側に位置させることができるため、ボールねじ52を構成するナット52bの初期状態の高さ位置を調整することによりアーム4,4の下降位置における高さ位置を容易に変更することができる。
尚、昇降手段のアームは、1本のアームから構成されていてもよい。また、アームは、一部がアーム支持部材53に載置される構成のものに限らず、例えばアームに前後方向に延びる長孔を形成し、ボールねじ52のナット52bと一体に固定されるピンをアームの長孔に挿通することにより支持される構成であってもよい。
また、アーム4,4の下垂杆4b,4bと下方杆4c,4cとの間の屈曲部分に鉤状部4d,4dの前方側に向けて張り出す規制部を設けてもよい。これによれば、カゴ台車10の底板11の屈曲部11aを鉤状部4d,4dと規制部との間で係合することにより、カゴ台車10の前後方向への移動が規制されるため、傾斜状態のカゴ台車10を前後方向に動き難くし、搬送車1がより安定して走行することができる。
また、搬送車1は、慣性計測装置(IMU)を設けることにより、自律走行車である搬送車1が物品を積載したカゴ台車10を無人で安全に所望の場所に自動搬送できるようにしてもよい。
また、本実施例において、バックセンサ6は超音波センサから構成され、上方におけるカゴ台車10の底板11の下面11bを検出する態様について説明したが、これに限らず、例えばバックセンサ6の超音波の出射方向を後方側に傾けることにより、カゴ台車10の底板11の前方側の端面から反射してきていた超音波が、カゴ台車10の底板11の下面11bと床面Fとの間に入り込むことでカゴ台車10の底板11の下面11bからの反射に変化することから、この変化を利用して搬送車1の後退を停止させるようにしてもよい。
また、バックセンサ6を後方における物体の有無を検出可能なセンサから構成し、搬送車1とカゴ台車10との間の前後方向の距離を計測し、所定距離で搬送車1の後退を停止させるようにしてもよい。この場合、バックセンサ6は、車体カバー20aの後面に設けられればよいため、車体2の底板21に延出部21bが設けられなくてもよい。
また、バックセンサ6やフロントセンサ8は、超音波センサから構成されるものに限らず、光学センサや画像解析センサ等の各種センサから構成されていてもよい。
また、車体2の底板21に立設固定される支持板23,23と昇降機構5の構成を前後で入れ替えることにより、支持板23,23によって軸支されるアーム4,4の前後方向略中央部が支点となり、昇降機構5を構成するアーム支持部材53により下方から支持される前後杆4a,4aの前端部が荷重点となるように構成されていてもよい。
次に、実施例2に係る搬送車につき、図7を参照して説明する。尚、前記実施例1に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
実施例2における搬送車101について説明する。図7に示されるように、本実施例2において、搬送車101は、車体102に対し昇降可能に設けられた昇降板104(昇降手段)を備え、昇降板104の前後略中央において下方に凹む係合凹部104aに設けられている。また、昇降板104は、係合凹部104aよりも後方側に下方に向けて傾斜するテーパ面104bが形成されている。
これによれば、昇降板104を下降位置とした状態で搬送車101を後退させ、カゴ台車10の底板11の下面11bと床面Fとの間に車体102の後端部及び昇降板104を入り込ませることにより、カゴ台車10の底板11の屈曲部11aの下端を昇降板104のテーパ面104bにガイドさせて係合凹部104aに係合させやすくなっている。そして、昇降板104の係合凹部104aをカゴ台車10の底板11の屈曲部11aに係合させた状態でカゴ台車10の開口部16側を持ち上げ、前方側のキャスタ14,14を床面Fから浮かせた傾斜状態とすることで、カゴ台車10の荷重の一部Nを搬送車101が受けることができるため、駆動車輪32,32の床面Fから受ける垂直抗力が増え、搬送車1を重量化しなくても駆動車輪32,32の空転が生じ難くなり、床面Fを安定的に走行させることができる。
また、カゴ台車10の底板11の屈曲部11aが昇降板104の係合凹部104aに入り込んだ状態で係合され、カゴ台車10の前後方向への移動が規制されるため、傾斜状態のカゴ台車10を前後方向に動き難くし、搬送車101がより安定して走行することができる。
また、昇降板104が駆動車輪32,32の前後に設けられる前後の従動車輪33,33の間に設けられている、すなわちカゴ台車10の荷重の一部Nを受ける荷重点が駆動車輪32,32の前後に設けられる前後の従動車輪33,33の間に設けられているため、荷重点を駆動車輪32,32に近づけることができ、カゴ台車10の荷重の一部Nを駆動車輪32,32に安定的にかけることができる。
尚、搬送車101の昇降板104の係合凹部104aとカゴ台車10の底板11の屈曲部11aとの係合は、カゴ台車10に対して搬送車101が後退することにより自動的に行われるものに限らず、停車している搬送車101に対して作業者がカゴ台車10の開口部16側を乗り上げさせることにより行われてもよい。
次に、実施例3に係る搬送車につき、図8を参照して説明する。尚、前記実施例2に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
実施例3における搬送車201について説明する。図8に示されるように、本実施例3において、昇降板204(昇降手段)は、係合凹部204aよりも前方側に回動可能に軸支されカゴ台車10の一部を把持する把持アーム240(把持手段)を備えており、昇降板204の係合凹部204aとカゴ台車10の底板11の屈曲部11aを係合させた状態で、把持アーム240を後方側に倒してカゴ台車10の底板11の上面を把持アーム240の先端部で押さえることにより、カゴ台車10の底板11の前端部を上下に挟み込んで把持することができる。
これによれば、昇降板204は、カゴ台車10の底板11の前端部を把持する把持アーム240を有しているため、搬送車201の走行時にカゴ台車10に衝撃や振動等が加わっても係合がより解除され難くなっている。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、搬送車は、傾斜状態の台車を牽引して移動させるものに限らず、傾斜状態の台車を走行方向に押して移動させるものであってもよい。また、搬送車により搬送される台車は、カゴ台車に限らず、例えば平台車や手押し台車等であってもよい。
また、前記実施例では、搬送車は、カゴ台車10の開口部16側(前方側)のキャスタ14,14を浮かせた傾斜状態で搬送する態様として説明したが、これに限らず、搬送車は、カゴ台車10の複数のキャスタのうちの一部、例えばカゴ台車10のバックパネル12側(後方側)のキャスタを浮かせた傾斜状態で搬送するものであってもよい。
また、前記実施例では、搬送車の走行方向に沿って設けられる複数の車輪30は、駆動車輪32,32と、駆動車輪32,32の前後に設けられる複数個の従動車輪33,33,…から構成されるものとして説明したが、これに限らず、駆動車輪32,32が車体2の前端部または後端部に配置されていてもよく、この場合、カゴ台車10の荷重の一部Nを受ける荷重点は、駆動車輪32,32の近くに配置されることが好ましい。
また、搬送車の駆動車輪32,32の径や幅の大きさについては、搬送する台車の荷重や床面Fの状況等に応じて自由に構成されてよい。
また、前記実施例では、カゴ台車10の前方側のキャスタ14,14及び後方側のキャスタ15,15や搬送車の複数の従動車輪33,33,…が水平方向に旋回可能な自在キャスタから構成されるものとして説明したが、これに限らず、カゴ台車10の前後いずれかのキャスタや従動車輪の一部が固定キャスタ等の他の形式から構成されていてもよい。
また、搬送車には、バックセンサが設けられていなくてもよく、例えば撮像装置7により撮像された画像に基づき、昇降手段とカゴ台車10の底板11の屈曲部11aとが適正な位置関係となるように搬送車とカゴ台車10との前後方向の相対位置を調整できるようになっていてもよい。
また、前記実施例では、搬送車の昇降手段とカゴ台車10の底板11の屈曲部11aとを係合させた状態でカゴ台車10の開口部16側を持ち上げ、複数のキャスタのうちの一部を浮かせた傾斜状態の台車を移動させる態様について説明したが、これに限らず、例えば搬送車が台車の底板や複数のキャスタのうちの一部を車体に載置することにより傾斜状態としてもよい。また、搬送車と台車との連結構造は自由に構成されてよく、例えば搬送車の車体に設けられる差込口に台車の底板に設けられるピンを挿入することにより連結されてもよい。
また、搬送車は自律走行車に限らず、作業者の操作する操作端末により一部の動作が操縦可能なものであってもよい。
1 搬送車
2 車体
4 アーム(昇降手段)
4a 杆
4b 下垂杆
4c 下方杆
4d 鉤状部(移動規制手段)
5 昇降機構(昇降手段)
6 バックセンサ
7 撮像装置(判別手段)
8 フロントセンサ
10 カゴ台車(台車)
11 底板
11a 屈曲部
11b 下面
12 バックパネル(パネル)
13 サイドパネル(パネル)
14,15 キャスタ
16 開口部
21 底板
21a 本体部
21b 延出部
22 基台
23 支持板
30 車輪
31 駆動モータ
32 駆動車輪
33 従動車輪
51 昇降モータ
52 ボールねじ(アクチュエータ)
52a ねじ軸
52b ナット
53 アーム支持部材
102 車体
104 昇降板(昇降手段)
104a 係合凹部
104b テーパ面
204 昇降板(昇降手段)
204a 係合凹部
240 把持アーム(把持手段)
F 床面

Claims (8)

  1. 複数のキャスタに支持されて自立し物品を積載できる台車を移動させるための駆動車輪を有する搬送車であって、
    前記搬送車は前記複数のキャスタのうちの一部を浮かせた傾斜状態の前記台車を移動させることを特徴とする搬送車。
  2. 前記搬送車の走行方向に沿って前記駆動車輪を含む複数の車輪を備え、前記台車の荷重の一部を受ける荷重点が走行方向両端の前記車輪の間に備えられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送車。
  3. 前記台車の片側を持ち上げることができる昇降手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の搬送車。
  4. 前記昇降手段は、前記台車と床面との間に入り込むアームと、前記アームを上昇させるアクチュエータとを備えることを特徴とする請求項3に記載の搬送車。
  5. 前記台車の略水平方向への移動を規制する移動規制手段を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送車。
  6. 前記昇降手段は、前記台車の一部を把持する把持手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の搬送車。
  7. 前記駆動車輪は、操舵される車輪であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の搬送車。
  8. 前記台車の底板は平面視矩形をなし、該底板の多くとも3辺にはパネルが立設し、該パネルが立設しない辺には開口部が形成されており、
    前記搬送車は前記開口部を判別する判別手段を有していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の搬送車。
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