JP2020183039A - スクライブ装置、及び、制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板にスクライブラインを指定された通りに忠実に形成する。【解決手段】スクライブ装置100は、ヘッド部3と、回動機構35と、第1移動機構11及び第2移動機構5と、第1制御装置6及び第2制御装置7と、を備える。ヘッド部3にはカッター部材37が取り付けられる。カッター部材37は、加工対象である基板にスクライブラインを形成する。回動機構35は、ヘッド部3に取り付けられカッター部材37を回動させる。第1移動機構11及び第2移動機構5は、基板に対してヘッド部3を移動させる。第1制御装置6及び第2制御装置7は、回動軸軌跡に基づいて移動機構を制御する。第1制御装置6及び第2制御装置7は、ヘッド部3におけるカッター部材37の位置と回動機構35の駆動軸とのずれ量を、スクライブライン形成時におけるカッター部材37の予定加工軌跡に加味して、回動軸軌跡を算出する。【選択図】図5

Description

本発明は、ガラス基板などの基板を加工するスクライブ装置、及び、当該スクライブ装置の制御方法に関する。
従来、ガラス基板を切り出すためのスクライブ装置が知られている。例えば、ダイヤモンドポイントなどの固定刃を基板に対して移動させて、当該基板にスクライブラインを形成する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2017−65245号公報
固定刃を基板に対して移動させる従来の装置では、スクライブライン形成時の固定刃の向きについては何らの制御もされていなかった。しかしながら、近年、より高度な加工を行うために、固定刃の移動だけでなく向きも制御することが検討されている。
固定刃の移動と向き(回動角)とを両方制御する装置は、固定刃の回動機構がヘッド部に取り付けられ、回動機構に固定刃が取り付けられる構成を有している。また、この装置における固定刃の移動は、ヘッド部を基板に対して移動させることにより実現される。
上記の構成を有するスクライブ装置では、スクライブラインを指定された通りに忠実に形成することができないことがあった。このずれは、固定刃の移動軌跡が回動機構の回動軸の位置と固定刃の位置が一致すると仮定して算出されている一方、ヘッド部における回動機構の回動軸と固定刃の位置とが実際には一致していないため、計算上の移動軌跡と実際の移動軌跡とが一致しないことが主原因と考えられる。
本発明の目的は、固定刃の移動及び向きを制御するスクライブ装置において、基板にスクライブラインを指定された通りに忠実に形成することにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係るスクライブ装置は、ヘッド部と、回動機構と、移動機構と、制御装置と、を備える。ヘッド部にはカッター部材が取り付けられる。カッター部材は、加工対象である基板にスクライブラインを形成する。回動機構は、ヘッド部に取り付けられカッター部材を回動させる。移動機構は、基板に対してヘッド部を移動させる。制御装置は、回動軸軌跡に基づいて移動機構を制御する。回動軸軌跡は、スクライブラインの形成時における回動機構の回動軸の軌跡を表す。
また、制御装置は、スクライブラインの形成時におけるカッター部材の予定加工軌跡を算出し、ヘッド部におけるカッター部材の位置と回動軸とのずれ量を予定加工軌跡に加味して回動軸軌跡を算出する。
上記のスクライブ装置では、移動機構を制御する制御装置が、スクライブライン形成時におけるカッター部材の予定加工軌跡に対して、ヘッド部におけるカッター部材の位置と回動機構の回動軸とのずれ量を加味して回動軸軌跡を算出している。つまり、移動機構は、回動軸が予定加工軌跡から上記のずれ量だけずれた軌跡上を移動するよう制御される。
これにより、上記の構成を有するスクライブ装置は、カッター部材を予定加工軌跡の通りに忠実に移動させることができるので、スクライブラインを指定された通りに忠実に形成できる。
制御装置は、回動軸軌跡を算出するために予定加工軌跡に加味するずれ量を、カッター部材の回動角に基づいて算出してもよい。これにより、より正確な回動軸軌跡を算出できる。すなわち、カッター部材をより忠実に予定加工軌跡の通りに移動できる。
制御装置は、予定加工軌跡を、実空間の第1方向に対応する第1仮想軸と、実空間の第2方向に対応する第2仮想軸と、を少なくとも有する仮想座標におけるカッター部材の位置として算出してもよい。これにより、回動軸軌跡をより高速に算出できる。
本発明の他の見地に係る制御方法は、スクライブ装置の制御装置による制御方法である。スクライブ装置は、ヘッド部と、回動機構と、移動機構と、を備える。ヘッド部にはカッター部材が取り付けられる。カッター部材は、加工対象である基板にスクライブラインを形成する。回動機構は、ヘッド部に取り付けられカッター部材を回動させる。移動機構は、基板に対してヘッド部を移動させる。制御方法は以下のステップを備える。
◎スクライブラインの形成時におけるカッター部材の予定加工軌跡を算出するステップ。
◎ヘッド部におけるカッター部材の位置と回動機構の回動軸とのずれ量を予定加工軌跡に加味して、スクライブラインの形成時における回動軸の軌跡を表す回動軸軌跡を算出するステップ。
◎回動軸軌跡に基づいて移動機構を制御するステップ。
上記のスクライブ装置の制御方法では、スクライブライン形成時におけるカッター部材の予定加工軌跡に対して、ヘッド部におけるカッター部材の位置と回動機構の回動軸とのずれ量を加味して回動軸軌跡を算出している。つまり、移動機構は、回動軸が予定加工軌跡から上記のずれ量だけずれた軌跡上を移動するよう制御される。
これにより、上記の構成を有するスクライブ装置において、カッター部材を予定加工軌跡の通りに忠実に移動させることができるので、スクライブラインを指定された通りに忠実に形成できる。
カッター部材を予定加工軌跡の通りに忠実に移動させて、スクライブラインを指定された通りに忠実に形成できる。
第1実施形態に係るスクライブ装置を示す斜視図。 ヘッド部の詳細構成を示す図。 スクライブ装置の制御構成を示す図。 クライブ装置の全体動作を示すフローチャート。 スクライブ装置におけるスクライブ形成動作を示すフローチャート。 回動機構の駆動軸からの固定刃の位置ずれの一例を示す図。 回動軸軌跡の算出方法の一例を示す図。 スクライブ装置の他の実施形態を示す図。
1.第1実施形態
(1)スクライブ装置
以下、図1を用いて、第1実施形態に係るスクライブ装置100を説明する。図1は、第1実施形態に係るスクライブ装置を示す斜視図である。スクライブ装置100は、ガラス基板などの基板に対して、ダイヤモンドポイントなどの固定刃によりスクライブラインを形成する装置である。スクライブ装置100は、テーブル1と、ヘッド部3と、を主に備える。
テーブル1は、スクライブラインを形成する加工対象の基板を載置する部材である。テーブル1は、第1移動機構11によりY方向(図1)(第1方向の一例)に移動可能となっている。第1移動機構11は、例えば、Y方向に延びるリニアモータである。なお、第1移動機構11は、土台2上に設けられる。
ヘッド部3は、架橋部材4(図1)にX方向(図1)(第2方向の一例)に摺動可能に設けられている。ヘッド部3は、架橋部材4に設けられた第2移動機構5によりX方向に移動可能となっている。第2移動機構5は、例えば、X方向に延びるリニアモータである。
上記構成において、第1移動機構11がテーブル1をY方向に移動させることで、ヘッド部3は、テーブル1に載置された基板に対してY方向に相対移動する。一方、第2移動機構5により、ヘッド部3は、テーブル1に載置された基板に対してX方向に相対移動する。すなわち、第1移動機構11及び第2移動機構5が、基板(テーブル1)に対してヘッド部3を相対移動できる。
(2)ヘッド部
以下、図2を用いて、上記のヘッド部3をより具体的に説明する。図2は、ヘッド部の詳細構成を示す図である。ヘッド部3は、本体31と、第3移動機構33と、回動機構35と、カッター部材37と、を有する。
本体31は、ヘッド部3の本体を形成する筐体である。第3移動機構33は、本体31の幅方向(X方向)に並んで配置され、Z方向に延びるリニアモータである。第3移動機構33には固定部材34が固定されている。つまり、固定部材34は第3移動機構33によりZ方向(第3方向の一例)に移動可能となっている。
回動機構35は、カップリング部36の上部に固定され、その駆動軸がアンギュラーベアリング(カップリング部36の上部に固定)に挿入されたモータである。カップリング部36は、上記回動機構35の駆動軸と、カップリング部36の下部に固定されたアンギュラーベアリングに挿入された保持部材37a(後述)の従動軸と、をカップリングにより連結する。
上記の構成により、カップリング部36は、回動機構35と保持部材37aの従動軸とを強固に連結できる。すなわち、本実施形態のカップリング部36は、上記の駆動軸と従動軸とを「あそび」のない状態で連結している。これにより、回動機構35の駆動軸の回転を、損失や遅れなく保持部材37aに伝達できる。
カッター部材37は、保持部材37aと、固定刃37bと、を有する。保持部材37aは、固定刃37bを保持する部材である。上記のように、保持部材37aは、カップリング部36を介して、回動機構35の駆動軸に連結されている。回動機構35の駆動軸の回動に従って保持部材37aが回動することで、固定刃37bはZ軸回りに回動できる。
固定刃37bは、加工対象の基板(テーブル1上の基板)に、スクライブラインを形成するための刃である。固定刃37bは、例えば、先端にダイヤモンドポイントを有する部材である。
上記の構成を有するヘッド部3においては、第3移動機構33が固定部材34をZ方向に移動させることにより、カッター部材37(固定刃37b)をZ方向(高さ方向)に移動させることができる。また、保持部材37aがカップリング部36を介して回動機構35の駆動軸に連結されることで、回動機構35は、保持部材37aに保持された固定刃37bをZ軸回りに回動できる。
上記の構成を有するスクライブ装置100の製造過程における加工及び/又は組み立て時の誤差により、ヘッド部3における回動機構35の駆動軸(回動機構の回動軸の一例)のX−Y平面(基板と平行な平面)における位置と、ヘッド部3における固定刃37bの先端のX−Y平面における位置との間には、若干のずれが生じている。
従って、本実施形態では、後述するように、スクライブラインを基板に形成するときに、第1移動機構11によるテーブル1の移動軌跡、及び、第2移動機構5によるヘッド部3の移動軌跡を、スクライブライン形成時のカッター部材37(固定刃37b)の移動軌跡(予定加工軌跡と呼ぶ)からずらす制御が実行される。
(3)制御構成
次に、図3を用いて、第1実施形態に係るスクライブ装置100の制御構成を説明する。図3は、スクライブ装置の制御構成を示す図である。スクライブ装置100の制御構成は、第1制御装置6と、第2制御装置7と、スイッチングハブ8と、を有する。
第1制御装置6は、CPU、記憶装置(RAM、ROMなど)、各種の入出力インターフェース、などを有するコンピュータシステムである。第1制御装置6は、例えば、PLCと、モータコントローラと、を含むシステムである。第1制御装置6は、第1移動機構11に接続されている。すなわち、第1制御装置6は、第1移動機構11を制御することで、テーブル1(基板)のY方向の移動を制御できる。
第2制御装置7は、CPU、記憶装置(RAM、ROMなど)、各種の入出力インターフェース、などを有するコンピュータシステムである。第2制御装置7は、例えば、PLCと、モータコントローラと、を含むシステムである。第2制御装置7は、第2移動機構5と、第3移動機構33と、回動機構35と、に接続されている。すなわち、第2制御装置7は、第2移動機構5、第3移動機構33、及び回動機構35を制御することで、カッター部材37(固定刃37b)のX方向及びZ方向の移動と、カッター部材37の回動(固定刃37bの回動角)と、を制御できる。
スイッチングハブ8は、第1制御装置6及び第2制御装置7を接続し、第1制御装置6と第2制御装置7との間の通信(データ送受信)を仲介する。
図3に示すように、スイッチングハブ8には、上位コンピュータ9が接続されている。上位コンピュータ9は、CPU、記憶装置(RAM、ROM、SSD、ハードディスクなど)、各種インターフェース、などを有するコンピュータシステムであり、スクライブ装置100についての各種設定、加工対象の基板に形成予定のスクライブライン形状の設定、などを実行する。上位コンピュータ9は、例えば、ユーザにより操作されるパーソナル子ピュータである。
上記の制御構成において、第1制御装置6は、第1移動機構11の制御のみでなく、スクライブ装置100における各種制御を実行する。具体的には、第1制御装置6は、形成予定のスクライブラインの形状を表すデータ(例えば、CADデータ)から、スクライブライン形成中のカッター部材37の基板に対する制御周期毎の位置及び回動角を算出する。以後、上記カッター部材37の制御周期毎の位置及び回動角を、「予定加工軌跡」と呼ぶ。その他、第1制御装置6は、センサなどからのデータの入出力を担当する。
その一方、第2制御装置7は、第2移動機構5、第3移動機構33、及び回動機構35の制御に関する簡単な演算のみを実行する。なぜなら、第2移動機構5、第3移動機構33、及び回動機構35は高速な制御が必要であり、第2制御装置7は、これらの制御に計算負荷を使用する必要があるからである。
このように、複数の制御装置(第1制御装置6及び第2制御装置7)にスクライブ装置100の制御を分散させることにより、各制御装置の計算負荷を軽減できるので、スクライブ装置100を高速に制御できる。
また、本実施形態では、第1制御装置6は、予定加工軌跡のY方向の座標値に、ヘッド部3における回動機構35の駆動軸の位置とカッター部材37(固定刃37b)の位置とのY方向のずれ量を加味(減算又は加算)して回動軸軌跡のY方向成分を算出し、それに基づいて第1移動機構11を制御する。
一方、第2制御装置7は、予定加工軌跡のX方向の座標値に、ヘッド部3における回動機構35の駆動軸の位置とカッター部材37の位置とのX方向のずれ量を加味して回動軸軌跡のX方向成分を算出し、それに基づいて第2移動機構5を制御する。
(4)スクライブ装置の動作
(4−1)全体動作
以下、図4を用いて、本実施形態に係るスクライブ装置100の動作を説明する。図4は、スクライブ装置の全体動作を示すフローチャートである。以下に説明するスクライブ装置100の動作は、第1制御装置6及び第2制御装置7の記憶装置に記憶されたプログラムにより実現される。
基板にスクライブラインを形成するために、まず、ステップS1において、テーブル1に加工対象の基板を固定する。テーブル1における基板の固定は、例えば、吸引固定により実現できる。
基板をテーブル1に固定後、ステップS2において、第1制御装置6及び第2制御装置7は、第1移動機構11、第2移動機構5、第3移動機構33、回動機構35を制御して、カッター部材37をカッター部材37の原点位置に移動させる。
さらに、ステップS3において、第1制御装置6及び第2制御装置7は、カッター部材37を、基板の原点位置に移動させる。加工対象の基板が基板毎にサイズが異なるなどの理由により、テーブル1における基板の固定位置(つまり、テーブル1における基板の原点位置)は一定ではない。従って、本実施形態では、第1制御装置6及び第2制御装置7は、センサ(図示せず)による基板の検出有無により基板の原点位置を決定する。また、第1制御装置6及び第2制御装置7は、ステップS2におけるカッター部材37の原点位置と、ステップS3において決定した基板の原点位置のずれ量を、記憶しておく。
次に、ステップS4において、基板へのスクライブラインの形成が実行される。ステップS4において、第1制御装置6は、基板へスクライブラインを形成する際のカッター部材37の移動量及び回動角(すなわち、予定加工軌跡)の算出と、第1移動機構11によるテーブル1のY方向の移動を制御する。
一方、第2制御装置7は、第2移動機構5によるヘッド部3のX方向の移動、第3移動機構33によるカッター部材37のZ方向(高さ方向)の移動、及び、回動機構35によるカッター部材37の回動を制御する。ステップS4における第1制御装置6及び第2制御装置7の動作は、後ほど詳しく説明する。
基板へのスクライブラインの形成後、ステップS4において、スクライブ装置100は、スクライブライン形成後の終了処理を実行する。具体的には、カッター部材37をその原点位置に復帰させる動作と、基板のテーブル1への固定の解除動作と、が終了処理として実行される。
(4−2)スクライブライン形成時の制御装置の動作
以下、図5を用いて、上記のステップS4にて実行されるスクライブライン形成時の第1制御装置6及び第2制御装置7の制御を説明する。図5は、スクライブ装置におけるスクライブ形成動作を示すフローチャートである。
例えば上位コンピュータ9などから基板へ形成するスクライブラインを表すデータを受信すると、第1制御装置6は、ステップS11において、受信データから予定加工軌跡を算出する。具体的には、第1制御装置6は、受信データから、仮想座標上におけるカッター部材37(固定刃37b)の位置(X’,Y’)と回動角θ’とを算出する。仮想座標は、実空間のY方向に対応する第1仮想軸(Y’軸と呼ぶ)と、実空間のX方向に対応する第2仮想軸(X’軸と呼ぶ)と、により定義される平面座標である。なお、仮想座標では、実空間のZ方向(高さ方向)に対応する第3仮想軸(Z’軸)が定義されてもよい。
本実施形態では、第1制御装置6は、スクライブライン形成時の制御周期毎の位置(X’,Y’)と回動角θ’とを予定加工軌跡として出力する。つまり、第1制御装置6は、制御周期(例えば、1ms)毎にカッター部材37を直線的に移動させる予定加工軌跡を算出する。この結果、第1制御装置6は、曲線状のスクライブラインを多角形により表現する予定加工軌跡を算出していることになる。
従って、第1制御装置6は、制御周期毎(制御指令がなされる周期毎)のカッター部材37の移動量及び回動量がなるべく小さくなるよう、カッター部材37の仮想座標の位置(X’,Y’)及び回動角θ’を算出する。例えば、カッター部材37の制御周期毎の移動量がμmオーダーとなるよう、位置(X’,Y’)及び回動角θ’を算出する。
これにより、第1制御装置6は、任意形状のスクライブラインをより忠実に再現できる予定加工軌跡を算出できる。特に、制御周期毎の移動量を小さくして曲線をより多くの頂点を有する多角形で表現することで、曲線形状のスクライブラインをより忠実に再現できる。
また、制御周期毎の移動量及び回動量を小さくすることにより、第1制御装置6及び第2制御装置7が、第1移動機構11、第2移動機構5、第3移動機構33、回動機構35のフィードバック制御をしやすくできるとの効果もある。特に、第1移動機構11は、重量のあるテーブル1を1制御周期の間に過剰に移動させると、フィードバック制御をされていてもテーブル1の位置を精度よく制御できない。従って、1制御周期あたりのテーブル1などの移動量を小さくすることで、フィードバック制御の効果を大きくして、精度よくテーブル1などの位置を制御できる。
なお、第1制御装置6は、第1移動機構11に対して以下に説明する追従動作を実行しつつ、上記ステップS11における予定加工軌跡の算出を継続し、所定のタイミングで算出された予定加工軌跡(予定加工軌跡のX’座標値と、回動角θ’)を第2制御装置7に出力する。
第1制御装置6において予定加工軌跡の算出を開始し、予定加工軌跡の少なくとも一部を算出した後、第1制御装置6は、ステップS12において、第2制御装置7に対して、仮想座標上のカッター部材37の位置及び回動角に追従するよう、第2移動機構5、第3移動機構33、及び回動機構35を制御するよう指令する。以下、第1移動機構11、第2移動機構5、第3移動機構33、及び回動機構35が仮想座標上のカッター部材37の位置及び回動角に追従する動作をすることを、「追従動作」と呼ぶ。
ステップS12における追従動作開始指示の出力時に、第1制御装置6は、第2制御装置7に他の設定条件等を送信する。
ステップS12で第1制御装置6が追従動作開始指示を第2制御装置7に出力後、ステップS13において、カッター部材37の位置及び回動角の制御が開始される。具体的には、第1制御装置6及び第2制御装置7において以下の制御が実行される。
第1制御装置6及び第2制御装置7は、ステップS131及びS132において、仮想座標上のカッター部材37の位置(X’,Y’)及び回動角θ’(予定加工軌跡)から、仮想座標上における回動機構35の駆動軸の移動軌跡を算出する。以後、このスクライブライン形成時の回動機構35の駆動軸の移動軌跡を「回動軸軌跡」と呼ぶ。
以下、図6及び図7を用いて、回動軸軌跡の算出方法を詳細に説明する。図6は、回動機構の駆動軸からの固定刃の位置ずれの一例を示す図である。図7は、回動軸軌跡の算出方法の一例を示す図である。
以下の説明では、図6に示すように、回動角θが0であるときに、固定刃37bが、正のX方向にx、正のY方向にyだけ回動機構35の駆動軸からずれているものとする。このときに、固定刃37bの予定加工軌跡として、図7に示すような、始点が(X1’,Y1’)(回動角θ’:0)、終点が(X2’,Y2’)(回動角θ’:Θ)、中心角がΘである円弧が指定された場合の回動軸軌跡の始点(X3’,Y3’)と終点(X4’,Y4’)の算出方法を説明する。
図7に示すように、回動軸軌跡の始点(X3’,Y3’)は、(X1’−x,Y1’−y)と算出できる。一方、回動軸軌跡の終点のX’座標値(X4’)は、X2’−(x*cosΘ−y*sinΘ)と算出でき、回動軸軌跡の終点のY’座標値(Y4’)は、Y2’−(x*sinΘ+y*cosΘ)と算出できる。これにより、図7に示す例では、予定加工軌跡の円弧の半径よりも小さい半径を有する円弧形状の回動軸軌跡が算出される。
なお、上記の回動軸軌跡の算出方法は一例であって、仮想座標及び回動角θの定義等によって適宜変更される。
本実施形態では、第1制御装置6が第1移動機構11を制御するので、回動軸軌跡のY’成分は第1制御装置6により算出される(ステップS131)。一方、第2制御装置7が第2移動機構5を制御するので、回動軸軌跡のX’成分は第2制御装置7により算出される(ステップS132)。
回動軸軌跡を算出後、仮想座標において算出された回動軸軌跡を、実空間の座標系の軌跡に変換する。具体的には、第1制御装置6は、ステップS133において、現在の制御周期における回動軸軌跡のY’座標値に、Y方向における仮想座標の原点O’と基板の原点Oとのずれ量(ΔYとする)を加算して、実空間のY方向における回動機構35の駆動軸の位置をY’+ΔYと算出できる。
一方、第2制御装置7は、ステップS134において、現在の制御周期における回動軸軌跡のX’座標値に、X方向における仮想座標の原点O’と基板の原点Oとのずれ量(ΔXとする)を加算して、実空間のX方向における回動機構35の駆動軸の位置をX’+ΔXと算出できる。
また、第2制御装置7は、現在の制御周期における予定加工軌跡の回動角θ’を、そのまま実空間における回動角θとする(すなわち、θ=θ’)。さらに、実空間のZ方向におけるカッター部材37の位置は、上記のステップS2及びS3にて決定されたZ方向の原点から下方向に若干進んだ位置とする。この位置は、例えば、固定刃37bをどの程度の力で基板表面に接触させるかにより適宜決定できる。
その後、第1制御装置6は、ステップS135において、実空間のY方向における回動機構35の駆動軸の基板に対する位置が、上記のステップS133にて算出した位置(Y’+ΔY)となる制御量を、第1移動機構11に出力する。
一方、第2制御装置7は、ステップS136において、実空間のX方向における回動機構35の駆動軸の基板に対する位置が、上記のステップS134にて算出した位置(X’+ΔX)となる制御量を、第2移動機構5に出力する。また、カッター部材37の回動角θが回動角θ’となる制御量を、回動機構35に出力する。Z方向のカッター部材37の移動が伴う場合には、第3移動機構33に対して、対応する制御量を出力する。
現在の制御周期における第2移動機構5、第3移動機構33、及び回動機構35の制御を完了後、第2制御装置7は、ステップS137において、第1制御装置6に対して上記機構の制御を完了した旨を通知する。
上記のステップS13(ステップS131〜S137)は、予定加工軌跡として算出された全ての位置(X’,Y’)及び回動角θ’に対して繰り返し実行される。
このように、本実施形態に係るスクライブ装置100では、第1制御装置6がスクライブライン形成時におけるカッター部材の予定加工軌跡を算出し、その後、第1制御装置6及び第2制御装置7が、ヘッド部3におけるカッター部材37(固定刃37b)の位置と回動機構35の駆動軸とのずれ量を、予定加工軌跡に加味して回動軸軌跡を算出している。つまり、第1移動機構11及び第2移動機構5は、回動機構35の駆動軸が予定加工軌跡から上記のずれ量だけずれた軌跡上を移動するよう制御される。
これにより、スクライブ装置100は、カッター部材37(固定刃37b)を予定加工軌跡の通りに忠実に移動させることができるので、スクライブラインを指定された通りに忠実に形成できる。
また、第1制御装置6及び第2制御装置7は、回動軸軌跡を算出するために予定加工軌跡に加味するずれ量を、カッター部材37(固定刃37b)の回動角θに基づいて算出している。また、回動軸軌跡は、第1制御装置6及び第2制御装置7の制御周期毎に算出されている。これにより、より正確な回動軸軌跡を算出できる。
(5)実施形態の共通事項
上記第1実施形態は、下記の構成及び機能を共通に有している。
スクライブ装置(例えば、スクライブ装置100)は、ヘッド部(例えば、ヘッド部3)と、回動機構(例えば、回動機構35)と、移動機構(例えば、第1移動機構11及び第2移動機構5)と、制御装置(例えば、第1制御装置6及び第2制御装置7)と、を備える。ヘッド部にはカッター部材(例えば、カッター部材37)が取り付けられる。カッター部材は、加工対象である基板にスクライブラインを形成する。回動機構は、ヘッド部に取り付けられカッター部材を回動させる。移動機構は、基板に対してヘッド部を移動させる。制御装置は、回動軸軌跡に基づいて移動機構を制御する。回動軸軌跡は、スクライブライン形成時における回動機構の回動軸の軌跡を表す。
また、制御装置は、スクライブライン形成時におけるカッター部材の予定加工軌跡を算出し、ヘッド部におけるカッター部材の位置と回動軸とのずれ量を予定加工軌跡に加味して回動軸軌跡を算出する。
上記のスクライブ装置では、移動機構を制御する制御装置が、スクライブライン形成時におけるカッター部材の予定加工軌跡に対して、ヘッド部におけるカッター部材の位置と回動機構の回動軸とのずれ量を加味して回動軸軌跡を算出している。つまり、移動機構は、回動軸が予定加工軌跡から上記のずれ量だけずれた軌跡上を移動するよう制御される。
これにより、上記の構成を有するスクライブ装置は、カッター部材を予定加工軌跡の通りに忠実に移動させることができるので、スクライブラインを指定された通りに忠実に形成できる。
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
上記の図4及び図5のフローチャートで示した制御動作は、発明の要旨を逸脱しない限り、各ステップの処理内容、各ステップの実行順を適宜変更できる。例えば、図5のフローチャートのステップS131〜S134は順序を変更できる。具体的には、仮想座標における予定加工軌跡を実空間の座標の軌跡に変換後、上記の回動軸軌跡を算出することもできる。
(A)スクライブ装置100は、複数のヘッド部3(カッター部材37)を備えてもよい。この場合、第2制御装置7は、ヘッド部3毎に設けられる。また、第1制御装置6で算出された予定加工軌跡は全ての第2制御装置7に出力され、各第2制御装置7は、自身が制御するカッター部材37を取り付けた対応するヘッド部3における、自身が制御する回動機構35の駆動軸とカッター部材37の位置とのずれ量に基づいて回動軸軌跡を算出する。これにより、同一形状の複数の小片を1つの基板から切り出すことができるとともに、各ヘッド部3(カッター部材37)の加工のばらつきを考慮した回動軸軌跡を算出できる。
(B)図8に示すように、ヘッド部3をX方向に摺動可能とする架橋部材4は、テーブル1上に設けられた第4移動機構21により、Y方向に移動可能となっていてもよい(ガントリ駆動方式のスクライブ装置100’)。第4移動機構21は、例えば、Y方向に延びるリニアモータである。図8は、スクライブ装置の他の実施形態を示す図である。
(C)上記の第1実施形態では、第1移動機構11、第2移動機構5、第3移動機構33、回動機構35は、各機構の制御負荷を考慮して複数の制御装置により制御されていたが、これに限られず、1つの制御装置によりこれら機構全てを制御してもよい。
本発明は、基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置に広く適用できる。
100、100’ スクライブ装置
1 テーブル
11 第1移動機構
2 土台
3 ヘッド部
31 本体
33 第3移動機構
34 固定部材
35 回動機構
36 カップリング部
37 カッター部材
37a 保持部材
37b 固定刃
4 架橋部材
5 第2移動機構
6 第1制御装置
7 第2制御装置
8 スイッチングハブ
9 上位コンピュータ
O、O’ 原点
θ、θ’ 回動角
21 第4移動機構

Claims (4)

  1. 加工対象である基板にスクライブラインを形成するカッター部材が取り付けられたヘッド部と、
    前記ヘッド部に取り付けられ前記カッター部材を回動させる回動機構と、
    前記基板に対して前記ヘッド部を移動させる移動機構と、
    前記スクライブラインの形成時における前記回動機構の回動軸の軌跡を表す回動軸軌跡に基づいて、前記移動機構を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、前記スクライブラインの形成時における前記カッター部材の予定加工軌跡を算出し、前記ヘッド部における前記カッター部材の位置と前記回動軸とのずれ量を前記予定加工軌跡に加味して前記回動軸軌跡を算出する、スクライブ装置。
  2. 前記制御装置は、前記回動軸軌跡を算出するために前記予定加工軌跡に加味するずれ量を、前記カッター部材の回動角に基づいて算出する、請求項1に記載のスクライブ装置。
  3. 前記制御装置は、前記予定加工軌跡を、実空間の第1方向に対応する第1仮想軸と、実空間の第2方向に対応する第2仮想軸と、を少なくとも有する仮想座標における前記カッター部材の軌跡として算出する、請求項1又は2に記載のスクライブ装置。
  4. 加工対象である基板にスクライブラインを形成するカッター部材が取り付けられたヘッド部と、前記ヘッド部に取り付けられ前記カッター部材を回動させる回動機構と、前記基板に対して前記ヘッド部を移動させる移動機構と、を備えるスクライブ装置の制御装置による制御方法であって、
    前記スクライブラインの形成時における前記カッター部材の予定加工軌跡を算出するステップと、
    前記ヘッド部における前記カッター部材の位置と前記回動機構の回動軸とのずれ量を前記予定加工軌跡に加味して、前記スクライブラインの形成時における前記回動軸の軌跡を表す回動軸軌跡を算出するステップと、
    前記回動軸軌跡に基づいて前記移動機構を制御するステップと、
    を備える、制御方法。
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