JP2020180567A - 舶用ディーゼルエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】化石燃料又は代替燃料に生じ得る燃え残りを低減する。【解決手段】舶用ディーゼルエンジン1は、化石燃料及び代替燃料を噴射するための噴射口31を有する燃料噴射弁30と、燃料噴射弁30に向けて、化石燃料及び代替燃料の一方からなる第1燃料を圧送する燃料ポンプ41と、燃料ポンプ41から噴射口31に至る燃料経路Lと、燃料経路Lにおける所定の位置P1,P2に、化石燃料及び代替燃料の他方からなる第2燃料を注入する注入系統50,60と、注入系統50,60を制御する制御部92と、を備える。燃料噴射弁30は、第1燃料と第2燃料とを層状に噴射する。制御部92は、第1燃料からなる燃料層F1,F2,F3と、第2燃料からなる燃料層A1,A2と、が双方とも2層以上となるように、注入系統50,60を制御する。【選択図】図3

Description

ここに開示する技術は、舶用ディーゼルエンジンに関する。
舶用ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を低減するための方法として、1つの燃料噴射弁から複数種の燃料を噴射させることが広く知られている。
例えば、特許文献1に開示されているデュアルフューエル式噴射システムは、A重油あるいは軽油等の化石燃料からなる着火用パイロット燃料と、代替燃料としてのメタノールからなる主燃料と、を層状に噴射することが開示されている。
前記特許文献1に開示されている噴射システムは、燃料噴射弁内の主燃料に対して着火用パイロット燃料を注入することで、着火用パイロット燃料、及び、主燃料の順番で層状になった燃料を、燃焼室内に噴射することができる。同文献によれば、着火用パイロット燃料の噴射量は、着火不安定な場合は増量され、着火安定な場合は減量されるようになっている。
特開平6−159182号公報
ところで、前記特許文献1に記載されている構成では、燃焼室内に噴射される燃料層のうち、主燃料からなる燃料層と、着火用パイロット燃料からなる燃料層は、双方とも1層となる。
この場合、着火用パイロット燃料に続いて噴射される主燃料は、着火用パイロット燃焼によって燃焼が促進されるものの、その主燃料に燃え残りが生じる得ることに本願発明者らは気付いた。
すなわち、主燃料の噴射量は、エンジンの負荷等に応じて増減する。仮に、着火用パイロット燃料の噴射量を増やしたとしても、それに続いて噴射される主燃料が減量されなくては、その主燃料に燃え残りが生じる可能性がある。
ここでは、着火用パイロット燃料として化石燃料を使用し、主燃料として代替燃料を使用した場合を例に取り説明したが、前述した問題は、着火用パイロット燃料として代替燃料を使用し、主燃料として化石燃料を使用した場合にも共通である。代替燃料の組成次第では、これを着火用パイロット燃料として用いることもできるため、化石燃料からなる主燃料の燃え残りという問題が生じ得る。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、化石燃料又は代替燃料に生じ得る燃え残りを低減することにある。
ここに開示する技術は、舶用ディーゼルエンジンに関する。この舶用ディーゼルエンジンは、燃焼室を区画するシリンダと、前記燃焼室に臨むように設けられ、化石燃料及び代替燃料を噴射するための噴射口を有する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に向けて、前記化石燃料及び代替燃料の一方からなる第1燃料を圧送する燃料ポンプと、前記燃料ポンプから前記噴射口に至る燃料経路と、前記燃料経路における所定の位置に、前記化石燃料及び代替燃料の他方からなる第2燃料を注入する注入系統と、前記注入系統を制御する制御部と、を備え、前記燃料噴射弁は、前記燃料ポンプによって圧送される前記第1燃料と、前記注入系統によって注入される前記第2燃料と、を交互に並んだ状態で層状に噴射する。
そして、前記制御部は、前記燃料噴射弁から噴射される燃料層のうち、前記第1燃料からなる燃料層と、前記第2燃料からなる燃料層と、が双方とも2層以上となるように、前記注入系統を制御する。
ここで、「化石燃料」とは、ディーゼル燃料、留出油、残渣油など、原油から精製され得る燃料一般を指す。一方、「代替燃料」とは、天然の石油を代替する燃料(Alternative Fuel)であり、アンモニア、バイオ燃料、メタノール、エタノールなど、石油を代替可能な燃料一般を指す。
この構成によれば、第1燃料が流れている燃料経路に対し、注入系統が第2燃料を注入する。燃料経路に第2燃料を注入することで、例えば、第1燃料、第2燃料及び第1燃料の順番で、燃料噴射弁から層状に噴射されるようになる。
この場合、第1及び第2燃料のうちの一方は、舶用ディーゼルエンジンを運転するための動力を生み出す主燃料として燃焼するのに対し、第1及び第2燃料のうちの他方は、主燃料に着火するためのパイロット燃料として機能することになる。ここで、制御部は、第1燃料からなる燃料層と、第2燃料からなる燃料層と、が双方とも2層以上となるように注入系統を制御する。
このように制御することで、例えば、第1燃料、第2燃料、第1燃料、第2燃料、及び、第1燃料の順番で、燃料噴射弁から層状に噴射されるようになる。ここで、第1燃料が主燃料として機能するとともに、第2燃料がアシスト燃料として機能すると仮定した場合、1番目の第2燃料に続いて噴射される第1燃料は、その1番目の第2燃料によって燃焼が促進されるものと、その後に噴射される2番目の第2燃料によって燃焼が促進されるものと、に2分されることになる。燃焼の促進対象となる第1燃料を2分するとともに、2分された各第1燃料の燃焼を、第1燃料と同様に2分された第2燃料によって促進することができる。その結果、主燃料としての第1燃料の燃焼がより確実に促進されて、燃え残りの発生を抑制することが可能になる。
このような振る舞いは、第1燃料がアシスト燃料として機能するとともに、第2燃料が主燃料として機能する場合も同様である。その場合、1番目の第1燃料に続いて噴射される第2燃料は、その1番目の第1燃料によって燃焼が促進されるものと、その後に噴射される2番目の第1燃料によって燃焼が促進されるものと、に2分されるとことになる。これにより、主燃料としての第2燃料の燃焼がより確実に促進されて、燃え残りの発生を抑制することが可能になる。
また、前記注入系統は、前記燃料経路における所定の第1注入位置に前記第2燃料を注入する第1注入系統と、前記燃料経路において前記第1注入位置よりも上流側の第2注入位置に、前記第2燃料を注入する第2注入系統と、を有し、前記燃料噴射弁は、前記燃料ポンプによって圧送される前記第1燃料、前記第1注入系統によって注入される前記第2燃料、前記燃料ポンプによって圧送される前記第1燃料、前記第2注入系統によって注入される前記第2燃料、及び、前記燃料ポンプによって圧送される前記第1燃料の順番で並んだ燃料層を含んだ層状液体を、前記燃焼室内に噴射する、としてもよい。
この構成によれば、第1燃料の燃焼がより確実に促進されて、燃え残りの発生を抑制する上で有利になる。
また、前記制御部は、前記第1注入系統による注入期間と、前記第2注入系統による注入期間と、の少なくとも一部が重なり合うように、前記舶用ディーゼルエンジンの負荷に応じて、前記第1注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングと、前記第2注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングと、を制御する、としてもよい。
この構成によれば、第1注入系統によって注入される第2燃料と、第2注入系統によって注入される第2燃料と、によって挟まれることになる第1燃料の量を、エンジン負荷に応じて調整することができる。そのことで、舶用ディーゼルエンジンの性能を確保することが可能になる。
また、前記制御部は、前記第1注入系統によって注入された前記第2燃料からなる燃料層と、前記第2注入系統によって注入された前記第2燃料からなる燃料層との間に位置し、かつ前記第1燃料からなる燃料層の量が、該第1燃料の1回あたりの噴射量に対して一定の割合となるように、前記第1注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングと、前記第2注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングと、を制御する、としてもよい。
この構成によれば、舶用ディーゼルエンジンの性能を確保する上で有利になる。
また、前記制御部は、前記舶用ディーゼルエンジンの負荷に基づいて所定の待機時間を算出するとともに、算出された待機時間の分だけ、前記第1注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングを、前記第2注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングよりも遅らせる、としてもよい。
この構成によれば、舶用ディーゼルエンジンの性能を確保する上で有利になる。
また、前記制御部は、前記舶用ディーゼルエンジンの負荷に基づいて所定の待機時間を算出するとともに、算出された待機時間の分だけ、前記第2注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングを、前記第1注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングよりも遅らせる、としてもよい。
この構成によれば、舶用ディーゼルエンジンの性能を確保する上で有利になる。
また、前記制御部は、前記舶用ディーゼルエンジンの負荷にかかわらず、前記第1注入系統による前記第2燃料の注入量と、前記第2注入系統による前記第2燃料の注入量と、の比が一定になるように、前記第1注入系統及び前記第2注入系統を制御する、としてもよい。
この構成によれば、舶用ディーゼルエンジンの性能を確保する上で有利になる。
以上説明したように、前記舶用ディーゼルエンジンによれば、化石燃料又は代替燃料に生じ得る燃え残りを低減することができる。
図1は、舶用ディーゼルエンジンの構成を例示する模式図である。 図2は、燃料噴射装置の構成を例示する概略図である。 図3は、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室を例示する縦断面図である。 図4は、燃料経路内の層状液体を例示する図である。 図5は、第2燃料を注入するタイミングを例示する図である。 図6は、第1燃料の量について説明するための図である。 図7は、エンジン負荷に応じた噴射量について説明するための図である。 図8は、舶用ディーゼルエンジンの第1変形例における図5対応図である。 図9は、舶用ディーゼルエンジンの第1変形例における図6対応図である。 図10は、舶用ディーゼルエンジンの第2変形例を示す図2対応図である。 図11は、舶用ディーゼルエンジンの第2変形例における図3対応図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。図1は、舶用ディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン1」ともいう)の構成を例示する模式図である。また、図2はエンジン1における燃料噴射装置100の構成を例示する概略図であり、図3は、エンジン1の燃焼室17を例示する縦断面図である。
エンジン1は、複数のシリンダ16を備えた直列多気筒式のディーゼルエンジンである。このエンジン1は、ユニフロー掃気方式を採用した2ストローク1サイクル機関として構成されており、タンカー、コンテナ船、自動車運搬船等、大型の船舶に搭載される。
船舶に搭載されたエンジン1は、その船舶を推進させるための主機関として用いられる。すなわち、エンジン1の出力軸は、プロペラ軸(不図示)を介して船舶のプロペラ(不図示)に連結されている。エンジン1が運転することにより、その出力がプロペラに伝達されて、船舶が推進するように構成されている。
特に、本開示に係るエンジン1は、そのロングストローク化を実現するべく、いわゆるクロスヘッド式の内燃機関として構成されている。すなわち、このエンジン1においては、下方からピストン21を支持するピストン棒22と、クランクシャフト23に連接される連接棒24と、がクロスヘッド25により連結されている。
(1)主要構成
以下、エンジン1の要部について説明する。
図1に示すように、エンジン1は、下方に位置する台板11と、台板11上に設けられる架構12と、架構上に設けられるシリンダジャケット13と、を備えている。台板11、架構12及びシリンダジャケット13は、上下方向に延びる複数のタイボルト及びナットにより締結されている。エンジン1はまた、シリンダジャケット13内に設けられるシリンダ16と、シリンダ16内に設けられるピストン21と、ピストン21の往復運動に連動して回転する出力軸(例えばクランクシャフト23)と、を備えている。
台板11は、エンジン1のクランクケースを構成するものであり、クランクシャフト23と、クランクシャフト23を回転自在に支持する軸受26と、を収容している。クランクシャフト23には、クランク27を介して連接棒24の下端部が連結されている。
架構12は、一対のガイド板28と、連接棒24と、クロスヘッド25と、を収容している。このうち、一対のガイド板28は、ピストン軸方向に沿って設けられた一対の板状部材からなり、エンジン1の幅方向(図1の紙面左右方向)に間隔を空けて配置されている。連接棒24は、その下端部がクランクシャフト23に連結された状態で、一対のガイド板28の間に配置されている。連接棒24の上端部は、クロスヘッド25を介してピストン棒22の下端部に連結されている。
具体的に、クロスヘッド25は、一対のガイド板28の間に配置されており、各ガイド板28に沿って上下方向に摺動する。すなわち、一対のガイド板28は、クロスヘッド25の摺動を案内するように構成されている。クロスヘッド25は、クロスヘッドピン29を介してピストン棒22及び連接棒24と接続されている。クロスヘッドピン29は、ピストン棒22に対しては一体的に上下動するよう接続されている一方、連接棒24に対しては、連接棒24の上端部を支点として、連接棒24を回動させるように接続されている。
シリンダジャケット13は、内筒としてのシリンダライナ14が配置されてなる。シリンダライナ14の内部には、前述のピストン21が配置されている。このピストン21は、シリンダライナ14の内壁に沿って上下方向に往復運動する。また、シリンダライナ14の上部にはシリンダカバー15が固定されている。シリンダカバー15は、シリンダライナ14とともにシリンダ16を構成している。
また、シリンダカバー15には、不図示の動弁装置によって作動される排気弁18が設けられている。排気弁18は、シリンダライナ14及びシリンダカバー15から構成されるシリンダ16、並びに、ピストン21の頂面とともに燃焼室17を区画している。排気弁18は、その燃焼室17と排気管19との間を開閉するものである。排気管19は、燃焼室17に通じる排気口を有しており、排気弁18は、その排気口を開閉するように構成されている。
また、シリンダカバー15には、燃焼室17に燃料を供給するための燃料噴射弁30が設けられている。図2及び図3に示すように、燃料噴射弁30は、燃焼室17の室内に臨むような姿勢で設けられており、化石燃料及び代替燃料を噴射するための噴射口31を有している。
具体的に、燃料噴射弁30は、燃焼室17内に噴射口31を向けた姿勢で配置されており、化石燃料及び代替燃料の一方からなる第1燃料と、化石燃料及び代替燃料の他方からなる第2燃料と、を交互に並んだ状態で層状に噴射することができる。
ここで、第1及び第2燃料のうちの一方は、エンジン1の動力を生み出す主燃料として機能するとともに、第1及び第2燃料のうちの他方は、その主燃料に着火するためのパイロット燃料として機能することになる。そのため、第1及び第2燃料のうち、パイロット燃料として機能する他方は、主燃料として機能する一方に比して、圧縮着火に至る圧力及び温度の少なくとも一方が低い。
本実施形態においては、第1燃料がパイロット燃料として機能し、第2燃料が主燃料として機能するパターンを例に取り説明するが、この例には限定されない。後述の第2変形例に示されているように、第1燃料を主燃料として機能させ、第2燃料をパイロット燃料として機能させてもよい。
また、本実施形態においては、第1燃料として化石燃料を用いるとともに、第2燃料として代替燃料を用いるパターンを例に取り説明するが、この例には限定されない。後述の第2変形例に示されているように、第1燃料として代替燃料を用いるとともに、第2燃料として化石燃料を用いてもよい。
具体的に、本実施形態に係る第1燃料としては、化石燃料としてのディーゼル燃料(所謂“軽油”)を用いることができ、同実施形態に係る第2燃料としては、代替燃料としてのアンモニアを用いることができる。すなわち、本実施形態に係る化石燃料は、同実施形態に係る代替燃料に比して、圧縮着火に至る圧力及び温度の少なくとも一方が低い。
詳細は後述するが、本実施形態に係るエンジン1は、燃料噴射弁30に第1燃料を圧送する燃料ポンプ41と、第1燃料が圧送される経路内に第2燃料を注入する第1注入ポンプ51及び第2注入ポンプ61と、を備えている。
図1に示すように、燃料ポンプ41、第1注入ポンプ51及び第2注入ポンプ61は、シリンダ16の近傍にレイアウトされており、それぞれ、内部経路32、燃料噴射管42、下流側注入管52及び上流側注入管62等を介して燃料噴射弁30と流体的に接続されている。
このうち燃料ポンプ41は、燃料ポンプ41から噴射口31に至る燃料経路Lを介して燃料噴射弁30と接続されていて、この燃料噴射弁30に向けて第1燃料を圧送する。この燃料経路Lは、第1内部経路32及び燃料噴射管42(後述の分岐管42aも含む)からなり、燃料ポンプ41と噴射口31を結ぶ経路として構成されている。また、第1注入ポンプ51及び第2注入ポンプ61は、それぞれ、下流側注入管52及び上流側注入管62を介して燃料経路Lと接続されていて、この燃料経路L内に第2燃料を注入する。
このように構成することで、燃料噴射弁30は、燃料ポンプ41から圧送される第1燃料と、第1注入ポンプ51及び第2注入ポンプ61によって注入される第2燃料と、を燃料ポンプ41の圧送作用により、燃焼室17へ交互に(すなわち層状に)噴射することができる。
そうして、燃料噴射弁30は、燃焼室17に第1燃料及び第2燃料を供給し、燃焼室17内で燃焼を生じさせる。この燃焼によって、ピストン21が上下方向に往復運動をする。このとき、排気弁18が作動して燃焼室17が開放されると、燃焼によって生じた排ガスが排気管19に押し出されるとともに、不図示の掃気ポートから燃焼室17にガスが導入される。
また、燃焼によってピストン21が往復運動をすると、ピストン21とともにピストン棒22が上下方向に往復運動をする。これにより、ピストン棒22に連結されたクロスヘッド25が、上下方向に往復運動をする。このクロスヘッド25は、連接棒24の回動を許容するようになっており、クロスヘッド25との接続部位を支点として、連接棒24を回動させる。そして、連接棒24の下端部に接続されるクランク27がクランク運動し、そのクランク運動に応じてクランクシャフト23が回転する。こうして、クランクシャフト23は、ピストン21の往復運動を回転運動に変換し、プロペラ軸とともに船舶のプロペラを回転させる。これにより、船舶が推進する。
(2)燃料噴射装置に係る構成
以下、燃料噴射弁30と、この燃料噴射弁30に第1燃料及び第2燃料を供給するための各種装置と、を併せて燃料噴射装置と呼称し、これに符号「100」を付して説明をする。なお、図2において実線で示した矢印は、第1燃料及び第2燃料の流通を示し、破線で示した矢印は、電気信号の送受を示している。
図2に示すように、本実施形態に係る燃料噴射装置100は、主な構成要素として、複数(本実施形態では3つ)の燃料噴射弁30と、第1燃料を圧送するための圧送系統40と、第2燃料を注入するための注入系統50,60と、圧送系統40及び注入系統50,60を制御するための制御部92と、を備えている。
このうち、燃料噴射弁30は、前述のように、第1燃料としての化石燃料、及び、第2燃料としての代替燃料を噴射するための噴射口31を有しており、燃料経路Lを介して燃料ポンプ41と接続されている。
一方、注入系統50,60は、その燃料経路Lにおける所定の位置P1,P2に第2燃料を注入するように構成されている。特に、本実施形態に係る注入系統50,60は、燃料経路Lにおける所定の第1注入位置P1に第2燃料を注入する下流側注入系統50と、燃料経路Lにおいて第1注入位置P1よりも上流側の第2注入位置P2に第2燃料を注入する上流側注入系統60と、を有している。
燃料噴射装置100はまた、その他の構成要素として、注入系統50,60に第2燃料を供給する代替燃料供給ポンプ71と、圧送系統40及び注入系統50,60を作動させるための蓄圧部81と、制御部92に検出信号を入力するための検出部91と、を備えている。
以下、燃料噴射弁30、圧送系統40、下流側注入系統50、上流側注入系統60、代替燃料供給ポンプ71、蓄圧部81、検出部91及び制御部92の構成について、順番に説明をする。
(燃料噴射弁30)
複数の燃料噴射弁30は、前述のように、シリンダ16内の燃焼室17に、第1燃料及び第2燃料を層状に噴射するための噴射弁である。各燃料噴射弁30は、エンジン1の各シリンダ16に、3つずつ設けられている(図3に示す例では、説明の都合上、1つのみを図示)。これら複数の燃料噴射弁30は、各々、同様に構成されている。そこで、以下では、これら複数の燃料噴射弁30のうちの1つを例に取り、燃料噴射弁30に係る構成を説明する。
図2に示すように、燃料噴射弁30は、圧送系統40における燃料ポンプ41と、燃料噴射管42等を介して接続されている。また、燃料噴射弁30は、注入系統50,60における第1注入ポンプ51及び第2注入ポンプ61とは、それぞれ、上流側注入管62及び下流側注入管52等を介して接続されている。図3に示すように、燃料噴射弁30は、燃料ポンプ41によって圧送された第1燃料(化石燃料としてのディーゼル燃料)、下流側注入系統50によって注入された第2燃料(代替燃料としてのアンモニア)、燃料ポンプ41によって圧送された第1燃料(化石燃料としてのディーゼル燃料)と、上流側注入系統60によって注入された第2燃料(代替燃料としてのアンモニア)、及び、燃料ポンプ41によって圧送された第1燃料(化石燃料としてのディーゼル燃料)の順番で並んだ燃料層F1,A1,F2,A2,F3を含んだ層状液体200を、噴射口31から燃焼室17内へ噴射する。
詳細には、図2に示すように、燃料噴射弁30は、前述のように構成された噴射口31と、この噴射口31に通じる2本の内部経路32,33と、2つの逆止弁34a,34bと、を有している。
2本の内部経路32,33のうちの一方の内部経路32は、主に第1燃料を流通させるための経路であり、燃料噴射管42における分岐管42aと、噴射口31と、を接続している。以下、一方の内部経路32を「第1内部経路32」と呼称する。この第1内部経路32には、上流側注入系統60における上流側注入管62(具体的には、上流側注入管62における分岐管62a)が、逆止弁34aを介して接続されている。上流側注入管62は、第2注入ポンプ61から延びており、この第2注入ポンプ61から圧送された第2燃料を流通させる配管である。よって、第1内部経路32には、第1燃料ばかりでなく、上流側注入管62から注入された第2燃料も流れることになる。
なお、本実施形態に係る第1内部経路32は、燃料噴射管42とともに、燃料ポンプ41から噴射口31に至る燃料経路Lを構成している。第1内部経路32に対して分岐管62aが接続される部位は、燃料経路Lにおいて、上流側注入系統60によって第2燃料が注入される位置を示している。この位置は、前述の「第2注入位置P2」に等しい。
また、2本の内部経路32,33のうちの他方の内部経路33は、第2燃料を流通させるための経路であり、下流側注入系統50における下流側注入管52(具体的には、下流側注入管52における分岐管52a)と、第1内部経路32における噴射口31付近の部位と、を接続している。以下、他方の内部経路33を「第2内部経路33」と呼称する下流側注入管52は、第1注入ポンプ51から延びており、この第1注入ポンプ51から圧送された第2燃料を流通させる配管である。よって、第2内部経路33には、下流側注入管52を通過した第2燃料が流れることになる。
なお、第1内部経路32に対して第2内部経路33が接続される部位は、燃料経路Lにおいて、下流側注入系統50によって第2燃料が注入される位置を示している。この位置は、前述の「第1注入位置P1」に等しい。図2に示すように、第2注入位置P2は、燃料経路Lにおいて第1注入位置P1よりも上流側に設けられている。なお、ここでいう「上流側」とは、第1燃料の流通方向における上流側を指す。また、「第1燃料の流通方向」とは、燃料ポンプ41から燃料噴射管42等を介して噴射口31に向う方向を指す。
2つの逆止弁34a,34bのうちの一方の逆止弁34aは、上流側注入系統60から第1内部経路32に向かう第2燃料の流通を許容するとともに、その第2燃料の逆流を防止する。他方の逆止弁34bは、第2内部経路33における中途の部位に設けられている。この他方の逆止弁34bは、下流側注入系統50から第2内部経路33を経由して第1内部経路32に向かう第2燃料の流通を許容するとともに、その第2燃料の逆流を防止する。
(圧送系統40)
圧送系統40は、燃料噴射弁30に第1燃料を圧送するための設備である。図2に示すように、圧送系統40は、燃料ポンプ41と、燃料噴射管42と、制御弁45と、を有している。
燃料ポンプ41は、作動油の圧力を利用して燃料を圧送する油圧駆動式のポンプである。詳細には、燃料ポンプ41は、配管等を通じて、第1燃料としての化石燃料が貯留された燃料タンク(不図示)と接続されており、この燃料タンクから燃料を受け入れる。燃料ポンプ41は、燃料タンクから受け入れた燃料を、燃料噴射管42を通じて燃料噴射弁30に圧送する。また、燃料ポンプ41の圧送作用は、第1燃料及び第2燃料の層状噴射を燃料噴射弁30に行わせることもできる。
燃料噴射管42は、燃料ポンプ41と燃料噴射弁30との間で燃料を流通させるための配管である。例えば、図2に示すように、燃料噴射管42の一端部は、燃料ポンプ41の吐出口に接続されている。また、燃料噴射管42の中途部には、分岐部43が設けられている。燃料噴射管42は、この分岐部43から他端部に向かって複数の分岐管に分岐している。具体的に、本実施形態に係る燃料噴射管42は、分岐部43から3つの分岐管42a,42b,42cに分岐している。これら分岐管42a,42b,42cのうち、第1の分岐管42aは、図2に示すように、1つの燃料噴射弁30の第1内部経路32に接続されている。燃料噴射管42は、分岐管42aを介して、この燃料噴射弁30における第1内部経路32と燃料ポンプ41とを連通させる。これと同様に、残りの分岐管42b,42cは、それぞれ、他の燃料噴射弁30に接続されている。
なお、燃料噴射管42の中途部に分岐部43を設ける構成は、必須ではない。分岐部43を設ける代わりに、燃料噴射管42を複数本(例えば3本)としてもよい。
制御弁45は、蓄圧部81から燃料ポンプ41への作動油の供給を制御するための弁である。具体的に、制御弁45は、電磁弁等の電動式の開閉弁によって構成され、図示しないが、制御弁34によって駆動されるロジック弁の開閉によって、図2に示すように、燃料ポンプ41と蓄圧部81とを連通可能に設けられる。制御弁45は、第1燃料を噴射する期間(以下、単に「噴射期間」という)に開状態となって、蓄圧部81内の作動油を燃料ポンプ41に供給する。燃料ポンプ41は、この供給された作動油の圧力を利用して、燃料噴射弁30へ第1燃料を圧送する。一方、制御弁45は、第1燃料の噴射期間以外の期間で閉状態となって、蓄圧部81から燃料ポンプ41への作動油の供給を停止する。こうした制御弁45の開閉は、制御部92によって制御される。
(下流側注入系統50)
下流側注入系統50は、図2に示すように、前述の第1注入ポンプ51と、下流側注入管52と、逆止弁54と、第1制御弁55と、を有している。下流側注入系統50は、本実施形態における「第1注入系統」の例示である。
第1注入ポンプ51は、作動油の圧力を利用して第2燃料を注入する油圧駆動式のポンプである。詳細には、第1注入ポンプ51は、供給管72等を通じて、代替燃料供給ポンプ71から代替燃料を受け入れる。第1注入ポンプ51は、この受け入れた代替燃料を、第2燃料として圧送する。第1注入ポンプ51から圧送された第2燃料は、下流側注入管52、及び、燃料噴射弁30における第2内部経路33を通じて、同燃料噴射弁30における第1内部経路32に至る。こうして、第1注入ポンプ51は、燃料経路Lの第1注入位置P1に、第2燃料としての代替燃料を注入する。
下流側注入管52は、第1注入ポンプ51によって燃料経路Lに注入される第2燃料を流通させるための配管である。例えば、図2に示すように、下流側注入管52の一端部は、第1注入ポンプ51の吐出口に接続されている。また、下流側注入管52の中途部には、分岐部53が設けられている。下流側注入管52は、この分岐部53から他端部に向かって複数の分岐管に分岐している。具体的に、本実施形態に係る下流側注入管52は、分岐部53から3つの分岐管52a,52b,52cに分岐している。これら分岐管52a,52b,52cのうち、第1の分岐管52aは、図2に示すように、1つの燃料噴射弁30の第2内部経路33に接続されている。下流側注入管52は、分岐管52aを介して、この燃料噴射弁30における第2内部経路33と第1注入ポンプ51とを連通させる。これと同様に、残りの分岐管52b,52cは、それぞれ、他の燃料噴射弁30に接続されている。
なお、下流側注入管52の中途部に分岐部53を設ける構成は、必須ではない。分岐部53を設ける代わりに、下流側注入管52を複数本(例えば3本)としてもよい。
逆止弁54は、下流側注入管52における第2燃料の流通方向を一方向に規制して、第2燃料の逆流を防止するための弁である。図2に示すように、逆止弁54は、下流側注入管52における中途の部位、例えば第1注入ポンプ51と分岐部53との間の部位に設けられる。逆止弁54は、第1注入ポンプ51から分岐部53を経由して第2内部経路33に向かう第2燃料の流通を許容するとともに、その第2燃料の逆流を防止する。
第1制御弁55は、蓄圧部81から第1注入ポンプ51への作動油の供給を制御するための弁である。具体的には、第1制御弁55は、電磁弁等の電動式の開閉弁によって構成され、図2に示すように、第1注入ポンプ51と蓄圧部81とを連通可能に設けられる。第1制御弁55は、第1注入ポンプ51から圧送される第2燃料が燃料経路Lに注入される期間(以下、これを「下流側注入系統50の注入期間」、「下流側注入系統50による注入期間」、又は、単に「第1注入期間」という)に開状態となって、蓄圧部81内の作動油を第1注入ポンプ51に供給する。第1注入ポンプ51は、この供給された作動油の圧力を利用して、燃料経路Lにおける第1注入位置P1に第2燃料を圧送して注入する。一方、第1制御弁55は、下流側注入系統50による注入期間以外の期間に閉状態となって、蓄圧部81から第1注入ポンプ51への作動油の供給を停止する。こうした第1制御弁55の開閉は、制御部92によって制御される。
(上流側注入系統60)
上流側注入系統60は、図2に示すように、前述の第2注入ポンプ61と、上流側注入管62と、逆止弁64と、第2制御弁65と、を有している。上流側注入系統60は、本実施形態における「第2注入系統」の例示である。
第2注入ポンプ61は、作動油の圧力を利用して第2燃料を注入する油圧駆動式のポンプである。詳細には、第2注入ポンプ61は、供給管72等を通じて、代替燃料供給ポンプ71から代替燃料を受け入れる。第2注入ポンプ61は、この受け入れた代替燃料を、第2燃料として圧送する。第2注入ポンプ61から圧送された第2燃料は、上流側注入管62を通じて、燃料噴射弁30における第1内部経路32に至る。こうして、第2注入ポンプ61は、燃料経路Lの第2注入位置P2に、第2燃料としての代替燃料を注入する。
上流側注入管62は、第2注入ポンプ61によって燃料経路Lに注入される第2燃料を流通させるための配管である。例えば、図2に示すように、上流側注入管62の一端部は、第2注入ポンプ61の吐出口に接続されている。また、上流側注入管62の中途部には、分岐部63が設けられている。上流側注入管62は、この分岐部63から他端部に向かって複数の分岐管に分岐している。具体的に、本実施形態に係る上流側注入管62は、分岐部63から3つの分岐管62a,62b,62cに分岐している。これら分岐管62a,62b,62cのうち、第1の分岐管62aは、図2に示すように、逆止弁34aを介して1つの燃料噴射弁30の第1内部経路32に接続されている。上流側注入管62は、分岐管62aを介して、この燃料噴射弁30における第1内部経路32と第2注入ポンプ61とを連通させる。これと同様に、残りの分岐管62b,62cは、それぞれ、他の燃料噴射弁30に接続されている。
なお、上流側注入管62の中途部に分岐部63を設ける構成は、必須ではない。分岐部63を設ける代わりに、上流側注入管62を複数本(例えば3本)としてもよい。
逆止弁64は、上流側注入管62における第2燃料の流通方向を一方向に規制して、第2燃料の逆流を防止するための弁である。図2に示すように、逆止弁64は、上流側注入管62における中途の部位、例えば第2注入ポンプ61と分岐部63との間の部位に設けられる。逆止弁64は、第2注入ポンプ61から分岐部63を経由して第1内部経路32に向かう第2燃料の流通を許容するとともに、その第2燃料の逆流を防止する。
第2制御弁65は、蓄圧部81から第2注入ポンプ61への作動油の供給を制御するための弁である。具体的には、第2制御弁65は、電磁弁等の電動式の開閉弁によって構成され、図2に示すように、第2注入ポンプ61と蓄圧部81とを連通可能に設けられる。第2制御弁65は、第2注入ポンプ61から圧送される第2燃料が燃料経路Lに注入される期間(以下、これを「上流側注入系統60の注入期間」、「上流側注入系統60による注入期間」、又は、単に「第2注入期間」という)に開状態となって、蓄圧部81内の作動油を第2注入ポンプ61に供給する。第2注入ポンプ61は、この供給された作動油の圧力を利用して、燃料経路Lにおける第2注入位置P2に第2燃料を圧送して注入する。一方、第2制御弁65は、上流側注入系統60による注入期間以外の期間に閉状態となって、蓄圧部81から第2注入ポンプ61への作動油の供給を停止する。こうした第2制御弁65の開閉は、制御部92によって制御される。
(代替燃料供給ポンプ71)
代替燃料供給ポンプ71は、第2燃料として燃料経路Lに注入される代替燃料を、第1注入ポンプ51及び第2注入ポンプ61に供給するためのポンプである。図2に示すように、代替燃料供給ポンプ71は、供給管72等を介して第1注入ポンプ51及び第2注入ポンプ61と連通可能に接続されている。
具体的に、供給管72の一端部は、代替燃料供給ポンプ71に接続されており、供給管72の他端部は、2本に分岐して第1注入ポンプ51及び第2注入ポンプ61に接続されている。詳しくは、供給管72は、その中途の部位において分岐管72a,72bに分岐している。供給管72から分岐したうちの一方の分岐管72aは、逆止弁73aを介して第1注入ポンプ51に接続されている。分岐したうちの他方の分岐管72bは、逆止弁73bを介して第2注入ポンプ61に接続されている。
本実施形態に係る代替燃料供給ポンプ71は、第2燃料としての代替燃料を貯留しているタンク(不図示)と接続されており、このタンクに貯留されている代替燃料を、分岐管72a,72b等を通じて第1注入ポンプ51と第2注入ポンプ61に供給する。
逆止弁73aは、代替燃料供給ポンプ71から第1注入ポンプ51に向かう第2燃料の流通を許容するとともに、その第2燃料の逆流を防止する。逆止弁73bは、代替燃料供給ポンプ71から第2注入ポンプ61に向かう第2燃料の流通を許容するとともに、その第2燃料の逆流を防止する。
(蓄圧部81)
蓄圧部81は、圧送系統40、及び、注入系統50,60をそれぞれ作動させる作動油を蓄圧するものである。蓄圧部81は、作動油を貯蔵可能な蓄圧室を有する中空の構造体であり、図2に示すように、高圧ポンプ82と接続されている。蓄圧部81は、高圧ポンプ82から圧送された作動油を貯留して、これを蓄圧する。蓄圧部81における作動油の圧力は、高圧ポンプ82から蓄圧部81への作動油の吐出量によって調整される。蓄圧部81における作動油の圧力は、圧送系統40における燃料ポンプ41と、下流側注入系統50における第1注入ポンプ51と、上流側注入系統60における第2注入ポンプ61と、で共有されている。
(検出部91)
検出部91は、エンジン1のクランク角度を検出するものである。本実施形態に係る検出部91は、ピストン21の1サイクルの往復運動に伴って回転するクランク27の回転角度(いわゆる「クランク角度」)を検出する。その際、検出部91は、クランク27の基準状態からの回転角度をクランク角度として検出する。なお、クランク27の基準状態としては、例えば、ピストン21が下死点又は上死点に位置する際のクランク27の状態等が挙げられる。検出部91は、時間の経過に伴って変化するクランク角度を検出し、その都度、検出したクランク角度を示す電気信号を制御部92に送信する。
(制御部92)
制御部92は、圧送系統40の制御弁45、下流側注入系統50における第1制御弁55、及び、上流側注入系統60の第2制御弁65の開閉を制御する。これにより、制御部92は、燃料噴射弁30による層状噴射タイミングと、下流側注入系統50が第2燃料を注入するタイミングと、上流側注入系統60が第2燃料を注入するタイミングと、を制御することができる。
なお、本実施形態において、燃料噴射弁30による層状噴射タイミングは、燃焼室17へ燃料噴射弁30から第1燃料及び第2燃料を層状に噴射するタイミングを意味する。
また、下流側注入系統50が第2燃料を注入するタイミングには、下流側注入系統50が第2燃料の注入を開始するタイミング(以下、「1層目注入開始タイミング」という)と、下流側注入系統50が第2燃料の注入を終了するタイミング(以下、「1層目注入終了タイミング」という)と、が含まれる。同様に、上流側注入系統60が第2燃料を注入するタイミングには、上流側注入系統60が第2燃料の注入を開始するタイミング(以下、「2層目注入開始タイミング」という)と、上流側注入系統60が第2燃料の注入を終了するタイミング(以下、「2層目注入終了タイミング」という)と、が含まれる。
具体的に、制御部92は、各種プログラムを実行するためのCPU、メモリ及びシーケンサ等によって構成される。制御部92は、検出部91から電気信号を受信し、受信した電気信号に示されるクランク角度が所定の回転角度となるタイミングに開状態となるように、圧送系統40の制御弁45の開閉を制御する。制御部92は、制御弁45の制御を通じて、燃料ポンプ41が作動するタイミングを制御する。これにより、制御部92は、燃料噴射弁30による層状噴射タイミングを制御する。
特に、本実施形態に係る制御部92は、層状噴射タイミングにおいて燃焼室17に噴射される燃料のうち、第1燃料からなる燃料層と、第2燃料からなる燃料層と、が双方とも2層以上となるように、注入系統50,60を制御する。
この層状噴射タイミングでは、燃料ポンプ41によって燃料経路Lに圧送された第1燃料のうちエンジン負荷に応じた必要量の第1燃料と、第1注入ポンプ51によって燃料経路Lの第1注入位置P1に注入された第2燃料と、第2注入ポンプ61によって燃料経路Lの第2注入位置P2に注入された第2燃料と、が燃料ポンプ41の圧送作用によって燃料噴射弁30から燃焼室17へ層状に噴射される。
その結果、本実施形態に係る燃料噴射弁30は、図3に示すように、燃料ポンプ41によって圧送される第1燃料、下流側注入系統50によって注入される第2燃料、燃料ポンプ41によって圧送される第1燃料、上流側注入系統60によって注入される第2燃料、及び、燃料ポンプ41によって圧送される第1燃料の順番で並んだ層状液体を、燃焼室17内に噴射することになる。その後、図2及び図3に例示する燃料経路Lは、噴射されずに残った第1燃料で満たされた状態となる。
また、制御部92は、前述した第1燃料及び第2燃料の層状噴射タイミング以外の期間においては、第1燃料で満たされた状態にある燃料経路L、特に、燃料経路Lにおける第1注入位置P1及び第2注入位置P2それぞれに第2燃料を注入するように、下流側注入系統50が第2燃料を注入するタイミング、及び、上流側注入系統60が2燃料を注入するタイミングを制御する。
この際、制御部92は、第1注入期間と第2注入期間との少なくとも一部が重なるように、エンジン1の負荷(以下、単に「エンジン負荷」という)に応じて、下流側注入系統50が第2燃料の注入を開始するタイミングと、上流側注入系統60が第2燃料の注入を開始するタイミングと、を制御する。
(3)エンジン負荷に応じた制御
以下、制御部92により実行される処理のうち、エンジン負荷に応じた制御について詳細に説明をする。図4は、燃料経路L内の層状液体を例示する図であり、図5は、第2燃料を注入するタイミングを例示する図である。また、図6は、第1燃料の量について説明するための図であり、図7は、エンジン負荷に応じた噴射量について説明するための図である。
本実施形態では、第1燃料で満たされた状態にある燃料経路Lに第2燃料を注入することにより、3層の第1燃料と、2層の第2燃料とを少なくとも含んだ層状液体が燃料経路L内に形成される。図4における「噴射口側」とは、燃料噴射弁30の噴射口31側、すなわち、燃料経路Lにおける第1燃料の流通方向下流側を指す。また、同図における「燃料ポンプ側」とは、圧送系統40の燃料ポンプ41側、すなわち、燃料経路Lにおける第2燃料の流通方向上流側を指す。図4に例示する層状液体200は、噴射口側から燃料ポンプ側に向かって並んだ複数の液体層、例えば、第1液体層L1、第2液体層L2、第3液体層L3、第4液体層L4及び第5液体層L5によって構成される。
第1液体層L1は、層状液体200のうち最下流の液体層である。第1液体層L1は、本実施形態では第1燃料からなる燃料層である。以下、この燃料層を「下流側燃料層」と呼称するとともに、符号「F1」を付す。下流側燃料層F1は、層状液体200に含まれる複数(図例では3つ)の第1燃料からなる燃料層のうち、噴射口側から数えて1層目の燃料層であり、第1燃料の流通方向最下流に存在する所定量の燃料からなる。下流側燃料層F1は、燃料経路Lを流通する第1燃料により形成される。
第2液体層L2は、層状液体200のうち第1液体層L1の直近上流の液体層である。第2液体層L2は、本実施形態では第2燃料からなる燃料層である。以下、この燃料層を「下流側注入層」と呼称するとともに、符号「A1」を付す。下流側注入層A1は、層状液体200に含まれる複数(図例では2つ)の第2燃料からなる燃料層のうち、噴射口側から数えて1層目の燃料層である。この下流側注入層A1は、第1注入ポンプ51によって第1注入位置P1に必要量の第2燃料が注入されることにより形成される。
第3液体層L3は、層状液体200のうち第2液体層L2の直近上流の液体層である。第3液体層L3は、本実施形態では第1燃料からなる燃料層である。以下、この燃料層を「中間燃料層」と呼称するとともに、符号「F2」を付す。中間燃料層F2は、層状液体200に含まれる複数の第1燃料からなる燃料層のうち、噴射口側から数えて2層目の燃料層である。この中間燃料層F2は、燃料経路Lを流通する第1燃料のうち、第1注入位置P1に注入された第2燃料と、第2注入位置P2に注入された第2燃料と、の間に挟まれた第1燃料からなる。
第4液体層L4は、層状液体200のうち第3液体層L3の直近上流の液体層である。第4液体層L4は、本実施形態では第2燃料からなる燃料層である。以下、この燃料層を「上流側注入層」と呼称するとともに、符号「A2」を付す。上流側注入層A2は、層状液体200に含まれる複数の第2燃料からなる燃料層のうち、噴射口側から数えて2層目の燃料層である。この上流側注入層A2は、第2注入ポンプ61によって第2注入位置P2に必要量の第2燃料が注入されることにより形成される。
第5液体層L5は、層状液体200のうち最上流の液体層である。第5液体層L5は、本実施形態では第1燃料からなる燃料層である。以下、この燃料層を「上流側燃料層」と呼称するとともに、符号「F3」を付す。上流側燃料層F3は、層状液体200に含まれる複の第1燃料からなる燃料層のうち、噴射口側から数えて3層目の燃料層である。この上流側燃料層F3は、燃料経路Lを流通する第1燃料のうち、第4液体層L4の直近上流に存在する第1燃料からなる。
第1燃料及び第2燃料からなる層状液体200は、ピストン21の1サイクルの往復運勤毎に、噴射口31から燃焼室17に噴射される。このとき、燃焼室17に対する第1燃料の1回あたりの噴射量、すなわち、層状液体200に含まれる第1燃料の総量(以下、単に「第1燃料噴射量」ともいう)Qfaは、下流側燃料層F1の量Qf1と、中間燃料層F2の量Qf2と、上流側燃料層F3の量Qf3と、の和(=Qf1+Qf2+Qf3)によって表される。この第1燃料噴射量Qfaは、エンジン負荷の増加に伴って増加し、減少に伴って減少する。
また、層状液体200において、第2燃料からなる下流側及び上流側注入層A1,A2の間に位置する第1燃料の量、つまり中間燃料層F2における第1燃料の量Qf2は、下流側注入系統50が第2燃料の注入を開始するタイミング(1層目注入開始タイミング)と、上流側注入系統60が第2燃料の注入を開始するタイミング(2層目注入開始タイミング)と、を介して制御される。その際、中間燃料層F2における第1燃料の量Qf2は、エンジン負荷に応じて定められる第1燃料噴射量Qfaに対して一定の割合となるように制御することができる。
一方、燃焼室17に対する第2燃料の1回あたりの噴射量、すなわち、層状液体200に含まれる第2燃料の総量(以下、単に「第2燃料噴射量」ともいう)Qaaは、下流側注入層A1における第2燃料の注入量Qa1と、上流側注入層A2における第2燃料の注入量Qa2と、の和(=Qa1+Qa2)によって表される。この第2燃料噴射量Qaaは、エンジン1の運転状態に基づいて、第1燃料の着火が不安定と判断される場合は増加し、第1燃料の着火が安定すると判断される場合は減少する。このとき、下流側注入系統50により形成される下流側注入層A1における第2燃料の注入量Qa1と、上流側注入系統60により形成される上流側注入層A2における第2燃料の注入量Qa2と、の比は、一定であることが好ましい。
つぎに、中間燃料層F2における第1燃料の量Qf2を調整するための制御について、図5及び図6を用いて詳細に説明する。図5において、第1制御信号S1は、第1注入ポンプ51に係る第1制御弁55を開閉するための制御信号である。第2制御信号S2は、第2注入ポンプ61に係る第2制御弁65を開閉するための制御信号である。図6における符号「201」は、燃料経路L内に残存する柱状の第1燃料を示している。
前述のように、制御部92は、第1注入期間と第2注入期間との少なくとも一部が重なるように、1層目注入開始タイミング及び2層目注入開始タイミングをエンジン負荷に応じて制御する。
この際、制御部92は、下流側注入系統50によって形成される下流側注入層A1と、上流側注入系統60によって形成される上流側注入層A2と、の間に位置する第1燃料の量(中間燃料層F2における第1燃料の量)Qf2が、エンジン負荷に応じて定められる第1燃料噴射量Qfaに対して一定の割合となるように、1層目注入開始タイミング及び2層目注入開始タイミングを制御することができる。
詳細には、制御部92は、エンジン負荷に基づいて所定の待機時間ΔTを算出する。待機時間ΔTは、1層目注入開始タイミングと、2層目注入開始タイミングと、の間の期間を示している。この待機時間ΔTは、例えば、エンジン負荷に対応した、エンジン回転数(単位時間あたりのエンジン回転数)と、第1燃料噴射量(第1燃料の1回あたりの噴射量)と、第2燃料噴射量(噴射1回分の第1燃料中に注入される第2燃料の量)と、をそれぞれ独立変数x,y,zとしたときの関数f(x,y,z)によって次式(1)のように表される。
ΔT=f(x,y,z) ・・・(1)
例えば、制御部92は、エンジン負荷の増加に伴い待機時間ΔTが増加し、エンジン負荷の減少に伴い待機時間ΔTが減少するように、待機時間ΔTを算出する。なお、関数f(x,y,z)は、例えばエンジン1のシミュレーション及び実験結果等に基づいて導出することができる。制御部92には、式(1)が予め記憶されている。
層目注入開始タイミングを2層目注入開始タイミングよりも遅らせる。
制御部92は、式(1)に基づく待機時間ΔTとして、下流側注入系統50の待機時間ΔT1を算出する。制御部92は、この待機時間ΔT1の分だけ、1層目注入開始タイミングを2層目注入開始タイミングよりも遅らせる。
具体的に、制御部92は、検出部91から受信した電気信号に示されるクランク角度を、その検出時点でのクランク角度(以下、「現クランク角度」という)として取得する。制御部92は、現クランク角度が所定の第1クランク角度R1となったタイミングT1に、上流側注入系統60の第2制御弁65に電気信号を出力し、これを開状態とする。この第2制御弁65が開状態にされると、上流側注入系統60における第2注入ポンプ61が作動を開始する。すなわち、このタイミングT1は、上流側注入系統60が第2燃料の注入を開始する「2層目注入開始タイミング」に他ならない。この2層目注入開始タイミングT1では、図6に示すように、燃料柱201における第2注入位置P2に対し、第2燃料202の注入が開始されることになる。
なお、前回の層状噴射を終了してから2層目注入開始タイミングT1に至るまでの期間T0では、図6に示すように、燃料柱201に対して第2燃料は注入されていない。このときの燃料柱201における燃料量は、前述した第1燃料噴射量Qfaに相当する。
ついで、制御部92は、前述したように算出した待機時間ΔT1の分だけ2層目注入開始タイミングT1から遅らせたタイミングで、下流側注入系統50による第2燃料の注入を開始する。具体的に、制御部92は、下流側注入系統50の待機時間ΔT1を、エンジン回転数とエンジン回転の経過時間とをもとにクランク角度の変化量ΔRに変換する。制御部92は、得られたクランク角度の変化量ΔRと、2層目注入開始タイミングT1時の第1クランク角度R1と、を加算して第2クランク角度R2を算出する。制御部92は、図5に示すように、現クランク角度が第2クランク角度R2となったタイミングT2に、下流側注入系統50の第1制御弁55に電気信号を出力し、これを開状態とする。第1制御弁55が開状態にされると、第2注入ポンプ61の作動が継続しつつ、下流側注入系統50における第1注入ポンプ51が作動を開始することになる。すなわち、このタイミングT2は、下流側注入系統50が第2燃料の注入を開始する「1層目注入開始タイミング」に他ならない。この1層目注入開始タイミングT2では、図6に示すように、燃料柱201における第2注入位置P2に対して第2燃料202の注入が継続して行われつつ、第1注入位置P1ヘの第2燃料203の注入が開始されることになる。
その後、第2注入ポンプ61は、第2制御弁65が閉状態とされるまでの期間、第2注入位置P2ヘの第2燃料の注入を継続して行う。これと並行して、第1注入ポンプ51は、第1制御弁55が閉状態とされるまでの期間、第1注入位置P1への第2燃料の注入を継続して行う。
図5及び図6に例示するように、第2クランク角度R2から所定の第3クランク角度R3(>R2)までの期間ΔT2は、第2注入位置P2における第2燃料202の注入が進行するとともに、第1注入位置P1における第2燃料203の注入が進行する。第1注入位置P1における第2燃料203の注入に伴い、第1注入位置P1と第2注入位置P2との間に位置する第1燃料は、第2注入位置P2における第2燃料202を越えて流通方向上流側に押し戻される。これにより、第1注入位置P1と第2注入位置P2との間に位置する第1燃料の量は、減少するように調整されることになる。
続いて、現クランク角度が第3クランク角度R3となったタイミングT3では、第2注入位置P2における第2燃料202が、燃料柱201の幅方向全域に広がるまで注入されることになる。ここでいう「幅方向」とは、第1燃料の流通方向に直交する方向であり、燃料経路Lの幅方向を指す。この際、第2注入位置P2における第2燃料202は、図6に例示するように、燃料柱201を、第2注入位置P2よりも下流側に位置する下流側燃料201aと、第2注入位置P2よりも上流側に位置する最上流燃料201bと、に分割する。この段階において、第1注入位置P1と第2注入位置P2との間に位置する燃料は、第1注入位置P1における第2燃料203の注入が進行しても、第2注入位置P2における第2燃料202を越えて流通方向上流側に押し戻されることが無くなる。これにより、第1注入位置P1と、第2注入位置P2と、の間に位置する第1燃料の量の調整が終了し、下流側燃料201aの総量が定まる。
その後、制御部92は、図5に例示するように、現クランク角度が所定の第4クランク角度R4(>R3)となったタイミングT4に、上流側注入系統60の第2制御弁65に対して電気信号を出力し、これを閉状態とする。この第2制御弁65が閉状態となることで、第1注入ポンプ51が作動を継続しつつも、第2注入ポンプ61が作動を停止することになる。これにより、第2注入ポンプ61は、第2注入位置P2ヘの第2燃料の注入を終了する。すなわち、現クランク角度が第4クランク角度R4となるタイミングT4は、上流側注入系統60が第2燃料の注入を終了する「2層目注入終了タイミング」に他ならない。一方、第1注入ポンプ51は、第1注入位置P1への第2燃料の注入を継続して行っている。
図5及び図6に例示するように、第3クランク角度R3から第4クランク角度R4までの期間ΔT3は、第2注入位置P2における第2燃料202が、燃料柱201の幅方向全域に広がった状態からさらに注入されるとともに、第1注入位置P1における第2燃料203の注入が、継続して進行することになる。この段階において、第1注入位置P1における第2燃料203の注入は、下流側燃料201aとともに第2注入位置P2にける第2燃料202を流通方向上流側に押しながら行われる。
また、現クランク角度が2層目注入終了タイミングT4に対応するクランク角度となったとき、第2注入位置P2における第2燃料202が必要量注入された状態となっている。一方、第1注入位置P1における第2燃料203は、燃料柱201の幅方向全域に広がるまで注入された状態となっている。この状態の第2燃料203は、燃料柱201の下流側燃料201aを、第1注入位置P1よりも下流側に位置する最下流燃料201cと、第1及び第2注入位置P1,P2における第2燃料202,203に挟まれる注入層間燃料201dとに分ける。これにより、注入層間燃料201dの総量、すなわち注入層間の燃料量(=Qf2)と、最下流燃料201cの量とが定まる。なお、第1注入位置P1における第2燃料203が燃料柱201の幅方向全域に広がるまで注入されるタイミングは、第2注入位置P2における第2燃料202が必要量注入されたタイミングT4と同じであってもよいし、タイミングT4より前のタイミングであつてもよいし、タイミングT4より後のタイミングであってもよい。
その後、制御部92は、図5に例示するように、現クランク角度が所定の第5クランク角度R5(>R4)となったタイミングT5で、下流側注入系統50における第1制御弁55に対して電気信号を出力し、これを閉状態とする。第1制御弁55が閉状態となることで、第1注入ポンプ51が作動を停止する。これにより、第1注入ポンプ51は、第1注入位置P1ヘの第2燃料の注入を終了する。すなわち、現クランク角度が第5クランク角度R5となるタイミングT5は、下流側注入系統50が第2燃料の注入を終了する「1層目注入終了タイミング」に他ならない。
図5及び図6に例示するように、第4クランク角度R4から第5クランク角度R5までの期間は、第1注入位置P1における第2燃料203が、燃料柱201の幅方向全域に広がった状態でさらに注入されることになる。この段階において、第1注入位置P1における第2燃料203の注入は、上述したタイミングT3からタイミングT4までの期間と同様に行われ、第2燃料203の注入量が必要量になるまで継続される。そして、第5クランク角度R5に対応するタイミングT5では、第1注入位置P1及び第2注入位置P2における第2燃料の注入が、双方とも終了することになる。その結果、第1燃料(特に、最下流燃料201c)からなる下流側燃料層F1と、第2燃料203からなる下流側注入層A1と、第1燃料(特に、注入層間燃料201d)からなる中間燃料層F2と、第2燃料202からなる上流側注入層A2と、第1燃料(特に、最上流燃料201b)からなる上流側燃料層F3と、が流通方向の上流側から並んでなる層状液体200が、燃料経路Lに形成される。
ここで、本実施形態において、上流側注入系統60の注入期間(第2注入期間)は、第1クランク角度R1に対応するタイミングT1から第4クランク角度R4に対応するタイミングT4までの期間である。すなわち、第2注入期間は、図5に例示する待機時間ΔT1と期間ΔT2と期間ΔT3とを加算した期間である。この第2注入期間は、図6に示す第2注入位置P2に必要量の第2燃料202を注入する際に要する時間によって決まる。すなわち、上流側注入系統60に係る2層目注入終了タイミングT4に対応する第4クランク角度R4は、2層目注入開始タイミングT1に対応する第1クランク角度R1と、前記必要量の第2燃料202の注入に要する時間と、に基づいて算出される。
また、下流側注入系統50の注入期間(第1注入期間)は、第2クランク角度R2に対応するタイミングT2から、第5クランク角度R5に対応するタイミングT5までの期間である。この第1注入期間は、第1注入位置P1に必要暈の第2燃料203を注入する際に要する時間によって決まる。すなわち、下流側注入系統50に係る1層目注入終了タイミングT5に対応する第5クランク角度R5は、1層目注入開始タイミングT2に対応する第2クランク角度R2と、前記必要量の第2燃料203の注入に要する時間と、に基づいて算出される。
本実施形態において、第1注入期間と第2注入期間とが重なる期間は、図5に示すように、第2クランク角度R2から第4クランク角度R4までの期間ΔT4に相当する。この期間ΔT4は、下流側注入系統50によって注入層間における第1燃料の量が減少するよう調整される期間ΔT2と、注入層間における第1燃料の調整が終了してから上流側注入系統60の注入が終了するまでの期間ΔT3と、を加算した時間である。下流側注入系統50による1層目注入開始タイミングは、エンジン負荷の増加に伴って期間ΔT2が減少し、エンジン負荷の減少に伴って期間ΔT2が増加するように、上流側注入系統60による2層目注入開始タイミングT1から待機時間ΔT1だけ遅れるタイミングに調整される。すなわち、この待機時間ΔT1は、エンジン負荷の増加に伴って壇加し、エンジン負荷の減少に伴って減少する。なお、この待機時間ΔT1が零値(ΔT1=0)である場合、下流側注入系統50による1層目注入開始タイミングは、上流側注入系統60による2層目注入開始タイミングと同時のタイミングに制御される。
ここで、図7の横軸は、エンジン負荷を示しており、同図の縦軸は、1つの燃料噴射弁30から燃焼室17に噴射される層状液体200の、1回あたりの総噴射量を示している。この総噴射量は、エンジン負荷に応じた第1燃料噴射量Qfaと、第2燃料噴射量Qaaと、の和(=Qfa+Qaa)によって表される。
本実施形態において、総噴射量は、下流側注入系統50による1層目注入開始タイミング、及び、上流側注入系統60による2層目注入開始タイミングを介して制御される。図7に例示するように、層状液体200の層噴射量は、エンジン負荷の増加に伴って増加し、エンジン負荷の減少に伴って減少する。その際、層状液体200において、下流側注入層A1と上流側注入層A2との間に挟まれた中間燃料層F2における第1燃料の量(すなわち、注入層間の燃料量)は、エンジン負荷に応じて適切な量に調整される。好ましくは、図7に例示するように、第1液体層L1〜第5液体層L5(すなわち、下流側燃料層F1、下流側注入層A1、中間燃料層F2、上流側注入層A2及び上流側燃料層F3)からなる層状液体200が形成される場合において、この注入層間における第1燃料の量(中間燃料層F2の量)は、エンジン負荷に応じて増減する第1燃料噴射量Qfaに対して一定の割合となるように謂整(最適化)される。さらには、層状液体200において、下流側注入層A1における第2燃料の注入量Qa1と、上流側注入層A2における第2燃料の注入量Qa2との比は、エンジン負荷にかかわらず一定である。
(4)第2燃料の注入によって奏する効果
以上説明したように、本実施形態によれば、第1燃料が流れている燃料経路Lに対し、注入系統50,60が第2燃料を注入することができる。燃料経路Lに第2燃料を注入することで、例えば、第1燃料、第2燃料、第1燃料、及び第2燃料の順番で層状に噴射されるようになる。
この場合、第2燃料は、エンジン1を運転するための動力を生み出す主燃料として燃焼する一方、第1燃料は、主燃料に着火するためのパイロット燃料として機能することになる。ここで、制御部92は、燃料噴射弁30から噴射される燃料層のうち、第1燃料からなる燃料層F1,F2,F3と、第2燃料からなる燃料層A1,A3と、が双方とも2層以上となるように注入系統50,60を制御する。
このように制御することで、図3に例示したように、第1燃料、第2燃料、第1燃料、第2燃料、及び、第1燃料の順番で、燃焼室17内へ層状に噴射されるようになる。この場合、1番目の第1燃料(下流側燃料層F1をなす第1燃料)に続いて噴射される第2燃料は、図6に例示するように、その1番目の第1燃料によって燃焼が促進される第2燃料(下流側注入層A1をなす第2燃料)と、その後に噴射される2番目の第1燃料(中間燃料層F2をなす第1燃料)によって燃焼が促進される第2燃料(上流側注入層A2をなす第2燃料)と、に2分されることになる。燃焼の促進対象となる第2燃料を2分するとともに、2分された各第2燃料の燃焼を、第2燃料と同様に2分された第1燃料によって促進することができる。その結果、第2燃料の燃焼がより確実に促進されて、燃え残りの発生を抑制することが可能になる。
また、図7に例示するように、下流側注入系統50によって注入されてなる下流側注入層A1と、上流側注入系統60によって注入されてなる上流側注入層A2と、によって挟まれることになる中間燃料層F2における第1燃料の量Qf2を、エンジン負荷に応じて調整することができる。そのことで、エンジン1の性能を確保することが可能になる。
すなわち、図5に例示するように、下流側注入系統50による注入期間(第1注入期間)と、上流側注入系統60による注入期間(第2注入期間)と、の少なくとも一部が重なるように、下流側注入系統50及び上流側注入系統60がそれぞれ第2燃料の注入を開始するタイミングを、エンジン負荷に応じて制御している。これにより、エンジン負荷に応じて定まる第1燃料噴射量Qfaと、中間燃料層F2における燃料量Qf2と、の比率が過大又は過小とならないように制御することが可能になる。そのことで、エンジン1の作動を安定させることができ、その性能を確保することが可能になる。
また、第1燃料として化石燃料を用いることで、ディーゼル燃料等を圧送するための設備を流用して圧送系統40を構成することができる。そのことで、船舶の製造コストを抑制することができる。
(5)エンジン負荷に応じた制御の変形例(第1変形例)
前記実施形態では、制御部92は、式(1)に基づいて待機時間ΔT1を算出するとともに、その待機時間ΔT1の分だけ、下流側注入系統50が第2燃料の注入を開始するタイミング(1層目注入開始タイミング)を、上流側注入系統60が第2燃料の注入を開始するタイミング(2層目注入開始タイミング)よりも遅らせるように構成されていたが、この構成には限定されない。
例えば、以下に示す変形例(以下、これを「第1変形例」という)においては、制御部92は、エンジン負荷に基づいて所定の待機時間ΔT11を算出するとともに、算出された待機時間ΔT11の分だけ、2層目注入開始タイミングを、1層目注入開始タイミングよりも遅らせるように構成されている。
図8は、エンジン1の第1変形例における図4対応図であり、図9は、エンジン1の第1変形例における図5対応図である。以下の説明において、前記実施形態と同様に構成された構成要素については、前記実施形態と同じ名称及び符号を用いる。それらの構成要素については、説明を適宜省略する。
第1変形例における制御部92には、前記実施形態と同様に設定された式(1)が予め記憶されている。制御部92は、式(1)に基づく待機時間ΔTとして、例えば、前記実施形態のような下流側注入系統50の待機時間ΔT1ではなく、上流側注入系統60の待機時間ΔT11を算出する。この待機時間ΔT11は、下流側注入系統50が第2燃料の注入を開始してから上流側注入系統60が注入を開始するまでの時間、すなわち、第1注入ポンプ51が作動を開始してから第2注入ポンプ61が作動を開始するまでの時間である。制御部92は、そうして算出された待機時間ΔT11の分だけ、上流側注入系統60が第2燃料の注入を開始するタイミングを、下流側注入系統50が第2燃料の注入を開始するタイミングよりも遅らせる。
具体的には、制御部92は、検出部91による検出結果に基づいて、現クランク角度が第1クランク角度R11となったタイミングT11に、下流側注入系統50における第1制御弁55に対して電気信号を入力し、これを開状態とする。これにより、第1注入ポンプ51は、燃料経路Lにおける第1注入位置P1ヘの第2燃料の注入を開始する。すなわち、第1クランク角度R11に対応するタイミングT11は、下流側注入系統50における1層目注入開始タイミングである。このタイミングT11では、図9に例示するように、燃料経路L内の燃料柱201のうち第1注入位置P1ヘの第2燃料203の注入が開始されている。この第1注入位置P1への第2燃料203の注入開始に伴い、第1注入位置P1と第2注入位置P2との間に位置する第1燃料は、第2注入位置P2を越えて流通方向上流側に押し戻され始める。これにより、第1注入位置P1と第2注入位置P2との間に位置する燃料の量は、減少するように調整され始める。
なお、前回の層状噴射を終了してから1層目注入開始タイミングT1に至るまでの期間T0では、図9に例示するように、燃料柱201に対して第2燃料は注入されていない。このときの燃料柱201における燃料量は、前述した第1燃料噴射量Qfaに相当する。
ついで、制御部92は、前述したように算出した待機時間ΔT11の分だけ1層目注入開始タイミングT11から遅らせたタイミングで、上流側注入系統60による第2燃料の注入を開始する。具体的に、制御部92は、上流側注入系統60の待機時間ΔT11を、エンジン回転数とエンジン回転の経過時間とをもとにクランク角度の変化量ΔRに変換する。制御部92は、得られたクランク角度の変化量ΔRと、1層目注入開始タイミングT11時の第1クランク角度R11と、を加算して第2クランク角度R12を算出する。制御部92は、図8に示すように、現クランク角度が第2クランク角度R12となったタイミングT12に、上流側注入系統60の第2制御弁65に電気信号を出力し、これを開状態とする。この第2制御弁65が開状態にされると、第1注入ポンプ51の作動が継続しつつ、上流側注入系統60における第2注入ポンプ61が作動を開始することになる。すなわち、このタイミングT12は、上流側注入系統60が第2燃料の注入を開始する「2層目注入開始タイミング」に他ならない。この2層目注入開始タイミングT12では、図9に示すように、燃料柱201における第1注入位置P1に対して第2燃料203の注入が継続して行われつつ、第2注入位置P2ヘの第2燃料202の注入が開始されることになる。
その後、第1注入ポンプ51は、第1制御弁55が閉状態とされるまでの期間、第1注入位置P1ヘの第2燃料の注入を継続して行う。これと並行して、第2注入ポンプ61は、第2制御弁65が閉状態とされるまでの期間、第2注入位置P2への第2燃料の注入を継続して行う。
図8及び図9に例示するように、第1クランク角度R11から所定のクランク角度Ra(>R12)までの期間ΔT13は、第1注入位置P1における第2燃料203の注入が進行する。また、この期間ΔT13のうち、第2クランク角度R2からクランク角度Raまでの期間ΔTaの最中は、第1注入位置P1における第2燃料203の注入が進行するとともに、第2注入位置P2における第2燃料202の注入が進行する。この第1注入位置P1における第2燃料203の注入に伴い、第1注入位置P1と第2注入位置P2との間に位置する第1燃料は、第2注入位置P2における第2燃料202を越えて流通方向上流側に押し戻される。これにより、第1注入位置P1と第2注入位置P2との間に位置する第1燃料の量は、期間ΔT13の最中は減少するように調整されることになる。
また、この期間ΔT13のうち、所定の第3クランク角度R13に対応するタイミングT13では、第1注入位置P1における第2燃料203が、燃料柱201の幅方向全域域に広がるまで注入されている。この際、第1注入位置P1における第2燃料203は、図9に例示するように、燃料経路Lにおける燃料柱201を、第1注入位置P1よりも下流側に位置する最下流燃料201cと、第1注入位置P1よりも上流側に位置する上流側燃料201eと、に分割する。この段階において、最下流燃料201cをなす第1燃料の総量が決まる。また、第3クランク角度R13から、所定の第4クランク角度R14(>R13)までの期間では、第1注入位置P1における第2燃料203が、燃料柱201の幅方向全域に広がった状態から更に注入されるとともに、第2注入位置P2における第2燃料202が継続して注入されている。この段階において、第1注入位置P1における第2燃料203の注入は、第1注入位置P1と第2注入位置P2との間に位置する第1燃料を、第2注入位置P2よりも流通方向上流側へ押し戻しながら行われる。
一方、前記クランク角度Raに対応するタイミングでは、第2注入位置P2における第2燃料202が、燃料柱201の幅方向全域広がるまで注入されている。この際、第2注入位置P2における第2燃料202は、燃料柱201のうちの上流側燃料201eを、第2注入位置P2よりも上流側に位置する最上流燃料201bと、第2注入位置P2における第2燃料202と、第1注入位置P1における第2燃料203と、に挟まれる注入層間燃料201dと、に分割する。この段階において、第1注入位置P1と、第2注入位置P2と、の間の燃料は、第1注入位置P1への第2燃料203の注入が進行しても、第2注入位置P2における第2燃料202を越えて流通方向上流側に押し戻されることが無くなる。これにより、第1注入位置P1と第2注入位置P2と、の間に位置する第1燃料の量の謂整が終了し、注入層間燃料201dの量、すなわち注入層間における第1燃料の量(=Qf2)が定まる。
なお、前記クランク角度Raに対応するタイミングは、第2注入位置P2において第2燃料202が必要量注入されるタイミングT14と同じであってもよいし、このタイミングT14よりも前のタイミングであつてもよいし、タイミングT14よりも後のタイミングであってもよい。これらのタイミングのうち、いずれのタイミングが前記クランク角度Raに対応するタイミングになるかは、エンジン負荷に応じた待機時間ΔT11によって決まる。図9に示す例では、前記クランク角度Raに対応するタイミングが、第4クランク角度R14にタイミングT14と同じタイミングとなっている場合。
また、第1変形例における制御部92は、図9に例示するように、現クランク角度が第4クランク角度R14となったタイミングT14で、下流側注入系統50における第1制御弁55に制御信号を出力し、これを閉状態とする。これにより、制御部92は、第2注入ポンプ61の作勤を継続させながらも、下流側注入系統50における第1注入ポンプ51の作動を停止させる。そうして、第1注入ポンプ51は、燃料経路Lにおける第1注入位置P1ヘの注入を終了する。すなわち、第4クランク角度R14に対応するタイミングT14は、下流側注入系統50が第2燃料の注入を終了する「1層目注入終了タイミング」に他ならない。一方、第2注入ポンプ61は、燃料経路Lにおける第2注入位置P2ヘの注入を継続して行っている。図9に示すように、第4クランク角度R14に対応するタイミングT14では、第1注入位置P1へ第2燃料203が必要量注入された状態となっている。
その後、制御部92は、図8に示すように、現クランク角度が所定の第5クランク角度R15(>R14)となったタイミングT15に、上流側注入系統60の第2制御弁65に制御信号を出力し、これを閉状態とする。これにより、上流側注入系統60の第2注入ポンプ61が、作動を停止する。そして、第2注入ポンプ61は、燃料経路Lにおける第2注入位置P2ヘの注入を終了する。すなわち、第5クランク角度R15に対応するタイミングT15は、上流側注入系統60が第2燃料の注入を終了する「2層目注入終了タイミング」に他ならない。
図9に例示するように、第4クランク角度R14に対応するタイミングT14から第5クランク角度R15に対応するタイミングT15までの期間では、第2注入位置P2における第2燃料202が、燃料柱201の幅方向全域に広がつた状態から更に注入されている。一方、第1注入位置P1への第2燃料203の注入は、上述したタイミングT14で既に終了している。この段階において、第2注入位置P2における第2燃料202の注入は、前述したタイミングT13からタイミングT14までの期間と同様に行われ、第2燃料202の注入量が必要量になるまで継続される。そして、第5クランク角度R15に対応するタイミングT15では、第2注入位置P2及び第1注入位置P1への注入が終了する。その結果、下流側燃料層F1と、下流側注入層A1と、中間燃料層F2と、上流側注入層A2と、上流側燃料層F3と、が順番に並んでなる層状液体200が、燃料経路L内に形成される。
ここで、第1変形例において、下流側注入系統50による第2燃料の注入期間(第1注入期間)は、第1クランク角度R11に対応するタイミングT11から第4クランク角度R14に対応するタイミングT14までの期間である。すなわち、第1注入期間は、図8に例示する待機時間ΔT11と、期間ΔT12と、を加算した期間である。この第1注入期間は、図9に例示した第1注入位置P1に、必要量の第2燃料203を注入する際に要する時間によって定まる。すなわち、下流側注入系統50における1層目注入終了タイミング(タイミングT14)に対応する第4クランク角度R14は、1層目注入開始タイミングに対応する第1クランク角度R11と、前記必要量の第2燃料203の注入に要する時間と、に基づいて算出される。
また、上流側注入系統60による第2燃料の注入期間(第2注入期間)は、第2クランク角度R12に対応するタイミングT12から、第5クランク角度R15に対応するタイミングT15までの期間である。この第2注入期間は、図9に例示した第2注入位置P2に、必要量の第2燃料202を注入する際に要する時間によって定まる。すなわち、上流側注入系統60における2層目注入終了タイミング(タイミングT15)に対応する第5クランク角度R15は、2層目注入開始タイミングに対応する第2クランク角度R12と、前記必要量の第2燃料202の注入に要する時間と、に基づいて算出される。
第1変形例において、下流側注入系統50の注入期間(第1注入期間)と上流側注入系統60の注入期間(第2注入期間)と、が重なる期間は、図8に例示するように、第2クランク角度R12から第4クランク角度R14までの期間ΔT12に相当する。この期間ΔT12のうち、第2クランク角度R12から前記クランク角度Raまでの期間ΔTaは、下流側注入系統50からの注入によって、注入層間に位置する中間燃料層F2において第1燃料が減量される期間の一部である。また、第1クランク角度R11から第2クランク角度R12までの待機時間ΔT11は、中間燃料層F2において第1燃料が減量される期間の残部である。すなわち、これらの待機時間ΔT11と、前記期間ΔTaと、を加算した減量期間ΔT13が、中間燃料層F2において第1燃料が減量される全期間となる。上流側注入系統60による第2層注入開始タイミングは、エンジン負荷の増加に伴ってき減量期間ΔT13が減少し、エンジン負荷の減少に伴って減量期間ΔT13が増加するように、第2層注入開始タイミングから待機時間ΔT11だけ遅れるタイミングに制御される。すなわち、この待機時間ΔT11は、エンジン負荷の増加に伴って減少し、エンジン負荷の減少に伴って増加する。なお、この待機時間ΔT11が零値(ΔT11=0)である場合、上流側注入系統60による第2層注入開始タイミングは、下流側注入系統50による第1層注入開始タイミングと同時のタイミングに制御される。
このように制御することで、前記実施形態と同様に、第1燃料、第2燃料、第1燃料、第2燃料、及び、第1燃料の順番で、燃料噴射弁30から層状に噴射されるようになる。その結果、主燃料としての第2燃料(代替燃料)の燃焼がより確実に促進されて、燃え残りの発生を抑制することができる。
また、図8及び図9に例示するように、下流側注入系統50による第1注入期間と、上流側注入系統60による第2注入期間と、の少なくとも一部が重なるように、下流側注入系統50及び上流側注入系統60がそれぞれ第2燃料の注入を開始するタイミングを、エンジン負荷に応じて制御している。これにより、エンジン負荷に応じて定まる第1燃料噴射量Qfaと、中間燃料層F2における燃料量Qf2と、の比率が過大又は過小とならないように制御することが可能になる。そのことで、エンジン1の作動を安定させることができ、その性能を確保することが可能になる。
(6)第1燃料及び第2燃料の変形例(第2変形例)
前記実施形態、及び、その第1変形例では、第1燃料がパイロット燃料として機能し、第2燃料が主燃料として機能するように構成されていたが、ここに開示する技術は、この構成には限定されない。
また、前記実施形態、及び、その第1変形例では、第1燃料として代替燃料を用いるとともに、第2燃料として化石燃料を用いるように構成されていたが、ここに開示する技術は、この構成にも限定されない。
例えば、以下に示す変形例(以下、これを「第2変形例」という)は、第1燃料が、エンジン1の動力を生み出す主燃料として機能するとともに、第2燃料が、その主燃料に着火するためのパイロット燃料として機能する。この第2変形例に係る第1燃料としては、代替燃料としてのアンモニアを用いることができ、同変形例に係る第2燃料としては、化石燃料としてのディーゼル燃料を用いることができる。すなわち、前記実施形態、及び、その第1変形例と同様に、第2変形例に係る化石燃料は、同変形例に係る代替燃料に比して、圧縮着火に至る圧力及び温度の少なくとも一方が低い。
図10は、エンジン1(特に燃料噴射装置100)の第2変形例を示す図2対応図であり、図11は、エンジン1の第2変形例における図3対応図である。以下の説明において、前記実施形態と同様に構成された構成要素については、前記実施形態と同じ名称及び符号を用いる。それらの構成要素については、説明を適宜省略する。
図10及び図11に例示するように、第2変形例に係る燃料噴射装置100’は、第1燃料としての代替燃料と、第2燃料としての化石燃料と、を層状に噴射することができるこの場合、代替燃料としては、カーボンフリーな燃料(具体的にはアンモニア)を用いる一方、化石燃料としてはディーゼル燃料を用いることができる。
第2変形例に係る燃料ポンプ41’は、配管等を通じて、第1燃料としての代替燃料が貯留された燃料タンク(不図示)と接続されており、この燃料タンクから燃料を受け入れる。
また、第2変形例に係る燃料噴射装置100’は、代替燃料供給ポンプ71の代わりに化石燃料ポンプ71’を備えている。この化石燃料ポンプ71’は、第2燃料としての化石を貯留しているタンク(不図示)に貯留されている化石燃料を、分岐管72a,72b等を通じて第1注入ポンプ51と第2注入ポンプ61に供給する。
そして、第2変形例に係る制御部92は、燃料噴射弁30から噴射される燃料層のうち、第1燃料としての代替燃料かるなる燃料層と、第2燃料としての化石燃料からなる燃料層と、が双方とも2層以上となるように、前記実施形態と同様に構成された注入系統50,60を制御する。
このように構成することで、燃料噴射弁30は、図11に例示するように、燃料ポンプ41’によって圧送された第1燃料(代替燃料としてのアンモニア)、下流側注入系統50によって注入された第2燃料(化石燃料としてのディーゼル燃料)、燃料ポンプ41’によって圧送された第1燃料(代替燃料としてアンモニア)と、上流側注入系統60によって注入された第2燃料(化石燃料としてのディーゼル燃料)、及び、燃料ポンプ41’によって圧送された第1燃料(代替燃料としてのアンモニア)の順番で並んだ層状液体を、噴射口31から燃焼室17内へ噴射する。これにより、主燃料としての第1燃料(代替燃料)の燃焼がより確実に促進されて、燃え残りの発生を抑制することが可能になる。
すなわち、前述のように燃料を噴射することで、図11に例示したように、第1燃料、第2燃料、第1燃料、第2燃料、及び、第1燃料の順番で、層状に噴射されるようになる。この場合、1番目の第2燃料(化石燃料)に続いて噴射される第1燃料(代替燃料)は、図11に例示するように、その1番目の第2燃料(化石燃料)によって燃焼が促進される第1燃料(代替燃料)と、その後に噴射される2番目の第2燃料(化石燃料)によって燃焼が促進される第1燃料(代替燃料)と、に2分されることになる。燃焼の促進対象となる第1燃料(代替燃料)を2分するとともに、2分された各第1燃料(代替燃料)の燃焼を、第1燃料(代替燃料)と同様に2分された第2燃料(化石燃料)によって促進することができる。その結果、第1燃料(代替燃料)の燃焼がより確実に促進されて、燃え残りの発生を抑制することが可能になる。
また、主燃料としてアンモニア等の代替燃料を用いることで、ディーゼル燃料をはじめとする化石燃料の消費を抑制することができる。特に、第2変形例のように燃料の燃え残りを抑制することで、より多くの代替燃料を燃焼させることができる。
(7)その他の実施形態
前記実施形態、並びに、その第1及び第2変形例では、第1及び第2燃料の一方とされる化石燃料は、第1及び第2燃料の他方とされる代替燃料に比して、圧縮着火に至る圧力及び温度の少なくとも一方が低く構成されていたが、この構成には限定されない。圧縮着火に至る圧力及び温度の少なくとも一方が、化石燃料に比して低い代替燃料を用いることもできる。例えば、その他の構成例として、化石燃料としてディーゼル燃料を用いるとともに、代替燃料としてメタノールを用いることができる。この場合、化石燃料が主燃料となり、代替燃料がパイロット燃料となるが、化石燃料を第1燃料として代替燃料を第2燃料としてもよいし(後述のパターンC)、代替燃料を第1燃料として化石燃料を第2燃料としてもよい(後述のパターンD)。いずれの場合においても、第1及び第2燃料のうちの一方によって他方を2分することができ、第1燃料からなる燃料層と、第2燃料からなる燃料層と、を双方とも2層以上とすることができる。そのことで、燃料の燃え残りを抑制することができる。
Figure 2020180567
表1は、前記実施形態、第1変形例、第2変形例、及び、その他の構成例における第1及び第2燃料の組み合わせを示している。表1において、パターンAは、前記実施形態、及び、第1変形例における燃料の組み合わせを指し、パターンBは、第2変形例における燃料の組み合わせを指し、パターンC及びDは、双方とも、その他の構成例における燃料の組み合わせを指す。
表1における「燃焼性」とは、第1及び第2燃料の着火し易さを示している。この燃焼性は、例えば、圧縮着火に至る圧力及び温度の少なくとも一方に基づいて定めることができる。燃焼性は、絶対的な指標ではなく、第1燃料と第2燃料を比較したときの相対的な指標に過ぎない。
具体的に、パターンAにおいては、第1燃料として化石燃料(例えばディーゼル燃料)を用いるとともに、第2燃料として代替燃料(例えばアンモニア)を用いることになる。パターンAに対応する前記実施形態では、第2燃料に比して、第1燃料の燃焼性が良好となる。
また、パターンBにおいては、パターンAとは異なり、第1燃料として代替燃料(例えばアンモニア)を用いるとともに、第2燃料として化石燃料(例えばディーゼル燃料)を用いることになる。パターンBに対応する前記第2の変形例では、パターンAとは異なり、第1燃料に比して、第2燃料の燃焼性が良好となる。
また、パターンCにおいては、パターンAと同様に、第1燃料として化石燃料(例えばディーゼル燃料)を用いるとともに、第2燃料として代替燃料(例えばメタノール)を用いることになる。パターンCに対応する前記その他の構成例では、パターンAとは異なり、第1燃料に比して、第2燃料の燃焼性が良好となる。
また、パターンDにおいては、パターンBと同様に、第1燃料として代替燃料(例えばメタノール)を用いるとともに、第2燃料として化石燃料(例えばディーゼル燃料)を用いることになる。パターンDに対応する前記その他の構成例では、パターンBとは異なり、第2燃料に比して、第1燃料の燃焼性が良好となる。
ここに開示する技術は、これら全てのパターンA〜Dに適用可能である。
なお、前記実施形態と、その第1変形例では、下流側注入系統50及び上流側注入系統60がそれぞれ第2燃料の注入を開始するタイミングを制御する際、エンジン負荷に応じて算出した待機時間ΔT1,ΔT11からクランク角度を算出し、算出されたクランク角度と検出部91による現クランク角度とが一致するタイミングを、先の注入開始タイミングに続く後の注入開始タイミングとしていたが、本開示は、これに限定されるものではない。例えば、エンジン1の運転時間に基づいて下流側注入系統50及び上流側注入系統60を制御してもよい、この場合、先の注入開始タイミングからの経過時間がエンジン負荷に応じた待機時間に到達したタイミングを、後の注入開始タイミングとしてもよい。
また、前述の実施形態、並びに、第1及び第2変形例では、シリンダ16毎に3つの燃料噴射弁30を備えた燃料噴射装置100を例示したが、本開示は、これに限定されるものではない。例えば、燃料噴射弁30は、1つでもよいし、2つ以上の任意の数としてもよい。
1 エンジン(舶用ディーゼルエンジン)
16 シリンダ
17 燃焼室
30 燃料噴射弁
31 噴射口
32 第1内部経路(燃料経路)
41 燃料ポンプ
42 燃料噴射管(燃料経路)
42a 分岐管(燃料経路)
50 下流側注入系統(第1注入系統)
60 上流側注入系統(第2注入系統)
92 制御部
100 燃料噴射装置
200 層状液体
A1 下流側注入層(第1注入系統によって注入された第2燃料からなる燃料層)
A2 上流側注入層(第2注入系統によって注入された第2燃料からなる燃料層)
F2 中間燃料層(第1燃料からなる燃料層)
L 燃料経路
P1 第1注入位置
P2 第2注入位置
Qfa 第1燃料噴射量(第1燃料の1回あたりの噴射量)
Qf2 中間燃料層の量
ΔT1 待機時間
ΔT11 待機時間

Claims (7)

  1. 燃焼室を区画するシリンダと、
    前記燃焼室に臨むように設けられ、化石燃料及び代替燃料を噴射するための噴射口を有する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁に向けて、前記化石燃料及び代替燃料の一方からなる第1燃料を圧送する燃料ポンプと、
    前記燃料ポンプから前記噴射口に至る燃料経路と、
    前記燃料経路における所定の位置に、前記化石燃料及び代替燃料の他方からなる第2燃料を注入する注入系統と、
    前記注入系統を制御する制御部と、を備え、
    前記燃料噴射弁は、前記燃料ポンプによって圧送される前記第1燃料と、前記注入系統によって注入される前記第2燃料と、を交互に並んだ状態で層状に噴射し、
    前記制御部は、前記燃料噴射弁から噴射される燃料層のうち、前記第1燃料からなる燃料層と、前記第2燃料からなる燃料層と、が双方とも2層以上となるように、前記注入系統を制御する
    ことを特徴とする舶用ディーゼルエンジン。
  2. 請求項1に記載された舶用ディーゼルエンジンにおいて、
    前記注入系統は、
    前記燃料経路における所定の第1注入位置に前記第2燃料を注入する第1注入系統と、
    前記燃料経路において前記第1注入位置よりも上流側の第2注入位置に、前記第2燃料を注入する第2注入系統と、を有し、
    前記燃料噴射弁は、前記燃料ポンプによって圧送される前記第1燃料、前記第1注入系統によって注入される前記第2燃料、前記燃料ポンプによって圧送される前記第1燃料、前記第2注入系統によって注入される前記第2燃料、及び、前記燃料ポンプによって圧送される前記第1燃料の順番で並んだ燃料層を含んだ層状液体を、前記燃焼室内に噴射する
    ことを特徴とする舶用ディーゼルエンジン。
  3. 請求項2に記載された舶用ディーゼルエンジンにおいて、
    前記制御部は、前記第1注入系統による注入期間と、前記第2注入系統による注入期間と、の少なくとも一部が重なり合うように、前記舶用ディーゼルエンジンの負荷に応じて、前記第1注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングと、前記第2注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングと、を制御する
    ことを特徴とする舶用ディーゼルエンジン。
  4. 請求項3に記載された舶用ディーゼルエンジンにおいて、
    前記制御部は、前記第1注入系統によって注入された前記第2燃料からなる燃料層と、前記第2注入系統によって注入された前記第2燃料からなる燃料層との間に位置し、かつ前記第1燃料からなる燃料層の量が、該第1燃料の1回あたりの噴射量に対して一定の割合となるように、前記第1注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングと、前記第2注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングと、を制御する
    ことを特徴とする舶用ディーゼルエンジン。
  5. 請求項3又は4に記載された舶用ディーゼルエンジンにおいて、
    前記制御部は、前記舶用ディーゼルエンジンの負荷に基づいて所定の待機時間を算出するとともに、算出された待機時間の分だけ、前記第1注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングを、前記第2注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングよりも遅らせる
    ことを特徴とする舶用ディーゼルエンジン。
  6. 請求項3又は4に記載された舶用ディーゼルエンジンにおいて、
    前記制御部は、前記舶用ディーゼルエンジンの負荷に基づいて所定の待機時間を算出するとともに、算出された待機時間の分だけ、前記第2注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングを、前記第1注入系統が前記第2燃料の注入を開始するタイミングよりも遅らせる
    ことを特徴とする舶用ディーゼルエンジン。
  7. 請求項2から6のいずれか1項に記載された舶用ディーゼルエンジンにおいて、
    前記制御部は、前記舶用ディーゼルエンジンの負荷にかかわらず、前記第1注入系統による前記第2燃料の注入量と、前記第2注入系統による前記第2燃料の注入量と、の比が一定になるように、前記第1注入系統及び前記第2注入系統を制御する
    ことを特徴とする舶用ディーゼルエンジン。
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