JP2020180040A - 黄リンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギー効率に優れ、かつリン鉱石以外の原料も使用可能な黄リンの製造方法を提供すること。【解決手段】黄リンの製造方法は、リンを含むリン原料および炭素を含む還元剤を含む混合原料を、回転炉床炉内で回転する炉床上に供給する原料供給工程と、前記混合原料を回転炉床炉の加熱室内において間接加熱装置で加熱し、還元してリンの揮発蒸気を発生させる還元工程と、前記リンの揮発蒸気を前記回転炉床炉外に排出し、黄リンに凝縮させる凝縮工程と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、リンを含む原料からの黄リンの製造方法に関する。
黄リンは、半導体や自動車等の先端工業製品に使用される重要な物資である。しかし、非特許文献1および非特許文献2に記載されているように、現行の黄リンの製造方法である電炉法は、リン鉱石を1400〜1500℃に加熱して溶融し、還元する方法(溶融還元法)である。
電炉法は、大量に電力を消費し、エネルギー効率が悪いため、限られた国でしか経済的に成り立たない。現在、黄リンの生産国は、中国、ベトナム、米国、カザフスタンおよびロシアの5か国に限られている。日本では既に黄リンの生産は行われておらず、その全量を輸入に頼らざるを得ないため、日本では黄リンの調達については常に不安にさらされている。
また、現行の黄リンの製造方法は、リン鉱石を原料とするため、リン鉱石の産出に伴って発生するリンによる河川および湖沼の富栄養化ならびにリン鉱石に含まれる放射性物質および重金属による環境汚染等の環境への悪影響が問題となっている。なお、日本は、黄リンのみならずリン鉱石も全量を輸入に頼っている。
"黄燐と熱法りん酸"、[online]、平成25年8月15日、BSI生物科学研究所、[平成31年3月15日検索]、インターネット〈URL:http://bsikagaku.jp/f−industry/PandH3P04−industry.pdf〉
松永剛一、外1名、「リンの工業利用」、生物工学会誌、公益社団法人日本生物工学会、平成24年8月、第90巻、第8号、p.477−480
上述のように、現行の黄リンの製造方法には、電気炉を使用した溶融還元法であることに起因するエネルギー効率が悪いという問題と、原料がリン鉱石に限られていることに起因する環境破壊という問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エネルギー効率に優れ、かつリン鉱石以外の原料も使用可能な黄リンの製造方法を提供することにある。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の構成により達成されることを見出した。
本発明の一局面に係る黄リンの製造方法は、リンを含むリン原料および炭素を含む還元剤を含む混合原料を、回転炉床炉内で回転する炉床上に供給する原料供給工程と、前記混合原料を回転炉床炉の加熱室内において加熱装置で加熱し、還元してリンの揮発蒸気を発生させる還元工程と、前記リンの揮発蒸気を前記回転炉床炉外に排出し、黄リンに凝縮させる凝縮工程と、を備える。
本発明によれば、エネルギー効率に優れ、かつリン鉱石以外の原料も使用可能な黄リンの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る黄リンの製造方法について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[黄リンの製造方法]
本実施形態に係る黄リンの製造方法は、リンを含むリン原料および炭素を含む還元剤を含む混合原料を、回転炉床炉内で回転する炉床上に供給する原料供給工程と、前記混合原料を回転炉床炉の加熱室内において間接加熱装置で加熱し、還元してリンの揮発蒸気を発生させる還元工程と、前記リンの揮発蒸気を前記回転炉床炉外に排出し、黄リンに凝縮させる凝縮工程と、を備える。
本実施形態に係る黄リンの製造方法は、リンを含むリン原料および炭素を含む還元剤を含む混合原料を、回転炉床炉内で回転する炉床上に供給する原料供給工程と、前記混合原料を回転炉床炉の加熱室内において間接加熱装置で加熱し、還元してリンの揮発蒸気を発生させる還元工程と、前記リンの揮発蒸気を前記回転炉床炉外に排出し、黄リンに凝縮させる凝縮工程と、を備える。
(原料供給工程)
図1は、本発明の一実施形態に係る黄リンの製造方法に用いられる黄燐製造システムのフローシートである。原料供給工程では、図1に示すように、回転炉床炉4内で回転する炉床4b上に混合原料8を供給する。
図1は、本発明の一実施形態に係る黄リンの製造方法に用いられる黄燐製造システムのフローシートである。原料供給工程では、図1に示すように、回転炉床炉4内で回転する炉床4b上に混合原料8を供給する。
炉床上に供給した混合原料8は、できる限り均等に炉床4b上に分散させ、均等に加熱されるようにすることが好ましい。
混合原料8は、リンを含むリン原料および炭素を含む還元剤(以下、「炭材」ともいう。)を含み、必要に応じてさらにバインダーおよび添加剤の少なくとも一方を含んでもよい。また、これらの原料の混合に際しては必要に応じて加水または脱水してもよい。
リン原料には、例えば、液状の原料として、リン酸および亜リン酸、固体の原料として、下水汚泥焼却灰、粉状のリン鉱石、リン鉱石の粉砕物および家畜糞炭化物を用いることができ、さらに、これらの原料の少なくとも2つの混合物を用いることができる。リン酸を用いる場合、黄リンの生産性を高める観点から、リン酸の濃度は70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。リン酸は、日本国内で生産されており、容易に入手することができる。また、現在、下水汚泥焼却灰等のリン二次資源からリン酸を製造する方法が既に実用化されており、リン二次資源から得たリン酸をリン原料に使用することができる。
炭材には、例えば石炭、コークス、ペットコークおよび家畜糞炭化物、ならびにこれらの少なくとも2つの混合物を用いることができる。炭材は、還元剤であるため、石炭を使用する場合には燃料炭よりも固定炭素量が多い原料炭が好ましい。炭材中の固定炭素量は60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。混合原料を塊成化しやすくするとともに、リン原料に含まれるリン酸の還元反応の反応速度を高めるため、炭材の大きさは、1mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましい。
バインダーは、塊成化を補助するため混合原料に含有させるものであり、例えば小麦粉、コーンスターチおよびタピオカスターチなどの澱粉系材料を用いることができる。
添加剤は、混合原料に好ましい特性を付与するものである。ここで、炭材の品質によっては炭材に含まれる灰分の融点が低いことがあり、還元工程において回転炉床炉の加熱室で混合原料を加熱した際に当該灰分が溶融して液相が生じることがある。この場合、添加剤を、CaおよびMgの少なくとも一方を含むものとすることにより、灰分からの液相の発生を抑制することができる。この場合、添加剤は、炭材中の灰分の融点調整剤として作用する。添加剤を融点調整剤として使用する場合、CaおよびMgの少なくとも一方を含むものを用いることが好ましい。添加剤は、混合原料に好ましい特性を付与するものであれば、融点調整剤以外のものでもよい。
リン原料にリン酸を用いる場合、加水前の混合原料におけるリン酸と炭材中の固定炭素との割合は、リン酸(無水リン酸として)100質量部に対して、固定炭素30質量部以上が好ましい。これにより、回転炉床炉の加熱室内を還元雰囲気に保ちつつ、リン酸を十分に還元することができる。
混合原料全体に占めるバインダーの割合は、1〜10質量%が好ましい。
混合原料は、炉床上に供給する前に塊成化すること、または炉床上で圧縮成型することが好ましい。混合原料を塊成化または圧縮成型することにより、混合原料の密度が高まり、混合原料内部への伝熱性も向上し、還元工程において回転炉床炉の加熱室内での反応時間が短縮できるため、黄リンの生産性が高まる。また、混合原料を塊成化することにより、炉床上に配置される混合原料の単位面積当たりの重量が増え、これによっても黄リンの生産性が高まる。液体のリン原料を用いる場合には、リン原料と炭材を加熱し、脱水しながら混合することにより、混合原料を塊成化に適した水分に調整したうえで、塊成化することが好ましい。
混合原料に炭素を含む還元剤を被覆してもよい(以下被覆に用いられる炭素を含む還元材を「被覆材」という。)。混合原料の表面に形成される被覆材による被覆の厚さは0.5mm以上が好ましく、5mm以下が好ましい。混合原料に被覆材による被覆を形成することより、リン酸の還元反応を促進することができる。被覆材による被覆は、炉床上に供給する前に形成してもよいし、炉床上に供給した後で形成してもよい。混合原料を炉床上に供給した後で被覆を形成する場合、混合原料の上方から被覆材を投入し、混合原料表面に可能な範囲で被覆を形成してもよい。また、被覆材にバインダーを混合してもよい。
より具体的には、混合原料を炉床上に供給した後、混合原料表面に被覆材による被覆を形成する場合には、混合原料を塊成化している場合も塊成化していない場合のいずれも、被覆の厚さは、0.5mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。また、この場合、被覆の厚さは、20mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
混合原料を塊成化し、炉床上に供給する前に塊成物に被覆材による被覆を形成する場合には、被覆の厚さは0.5mm以上が好ましい。この場合、被覆の厚さは、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。
混合原料は、ペレットおよびブリケット等の塊成物に成形(塊成化)してもよい。混合原料の塊成物がペレットである場合、その大きさ(球相当径)は5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。また、ペレットの大きさは、30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。ペレットが小さすぎる場合には、炉床上に配置可能なペレットの重量が減少し、ペレットが大きすぎる場合には伝熱に時間を要するため反応時間が長くなり、いずれの場合も黄リンの生産性が低下する。
混合原料の塊成物は、炉床上に供給する前に乾燥させてもよい。塊成物を乾燥させることにより、炉床上への投入時や還元工程において壊れにくくなり、還元工程でのリン酸の還元反応が低下するのを抑制することができる。また、塊成物を乾燥させることにより、回転炉床炉内に持ち込まれる水分を減少させることができるため、還元工程でのエネルギーロスを低減できるとともに、リン酸の還元の妨げとなる水蒸気の発生を抑制することができる。塊成物を乾燥させることにより、塊成物に含まれる水分を5質量%以下とすることが好ましく、2質量%以下とすることがより好ましい。
原料供給工程では、図1に示すように、炉床4b上に混合原料8を供給する前に、炉床4b上にあらかじめ炭素を含む材料を含む床敷9を設けておいてもよい。床敷9を設けておくことにより、還元工程において混合原料8からリンが揮発した後の残留物を容易に炉床上から排出することができる。また、床敷を設けておくことにより、還元工程において回転炉床炉4の加熱室で床敷9から一酸化炭素(CO)が発生し、当該一酸化炭素により加熱室内の還元雰囲気を強化することができる。さらに、床敷9を設けておくことにより、還元工程において、炉床4bを構成する耐火物と混合原料8の残留物に含まれる灰分との反応を抑制することができるため、炉床4bの損傷を抑制することができる。
床敷9の平均厚さ(床敷9の供給体積を、炉床4bの床敷9が供給された領域の面積で除した値)は、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。また、床敷の平均厚さは、50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましい。床敷9が薄すぎると、炉床の凹凸を覆い隠すことができず、床敷9を敷いても残留物を炉床4b上から容易に排出することができない。一方、床敷9が厚すぎると、床敷9に由来する残留物の排出量の増加に伴うヒートロスが増大する。
混合原料、被覆材および床敷を炉床4b上に供給する際には、マテリアルシールを具備し、炉床4bの近傍に排出口を有するダクトシュートを用いてこれらをすり切りしながら供給してもよいし、またはマテリアルシールを具備した電磁振動フィーダーを用いて供給してもよい。これらのフィーダーを用いることにより、炉床4b上の全体に、混合原料、被覆材および床敷を均等に供給することができる。
混合原料の塊成物の炉床上への供給方法について、より具体的に説明する。原料供給工程では、あらかじめ塊成化し乾燥させた混合原料を、炉床上に1層または複数層となるように供給する。塊成化し乾燥させた混合原料を、炉床上に供給する前に、炭素を含む還元剤からなる被覆材で被覆してもよいし、塊成化し乾燥させた混合原料を、炉床上に供給した後に、炭素を含む還元剤からなる被覆材で被覆してもよい。
図2は、被覆10を設けた塊成物8a(ペレットまたはブリケット)を1層で炉床4bに設けられた床敷9の上に供給した状態を示す。同図に示すように、塊成物を炉床上に1層(炉床上の塊成物の上にさらに塊成物が重ならない状態)で供給する場合には、塊成物の大きさは、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。また、この場合、塊成物の大きさは、30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。この塊成物の大きさには、被覆の厚さは含まれない。なお、被覆を設けた塊成物を2層以上床敷の上に供給してもよいし、炉床上に床敷を設けなくてもよい。
図3は、塊成物8a(ペレットまたはブリケット)を3層で炉床4bに設けられた床敷9の上に供給し、塊成物8aの上に被覆10を設けた状態を示す。同図に示すように、塊成物を炉床上に2層以上(炉床上の塊成物の上にさらに塊成物が重なる状態)で供給する場合には、塊成物の大きさは、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。また、この場合、塊成物の大きさは、10mm以下が好ましい。なお、被覆を設ける前の塊成物を1層で床敷の上に供給し、その上に被覆を設けてもよいし、炉床上に床敷を設けなくてもよい。
(還元工程)
還元工程では、図1に示すように、混合原料8を回転炉床炉4の加熱室内において間接加熱装置44で加熱し、還元してリンの揮発蒸気(P2)を発生させる。本実施形態では、混合原料に配合するリン原料をリン酸または亜リン酸とし、混合原料8の加熱、還元を回転炉床炉4の加熱室内において行うことにより、混合原料8の加熱温度を1000℃以下としても、リンの揮発蒸気を発生させることができる。そのため、1400〜1500℃に加熱する必要がある従来の電炉法に比べて大幅に黄リンの製造に係るエネルギー効率に優れる。特に、間接加熱装置44として化石燃料を熱源とするものを使用することにより、化石燃料から電力へのエネルギー変換ロス(60〜70%)も生じないため、黄リンの生産に係るエネルギー効率をより向上させることができる。また、リン原料として、下水汚泥焼却灰、粉状のリン鉱石、リン鉱石の粉砕物および家畜糞炭化物を用いる場合には、混合原料8の加熱温度をリン酸または亜リン酸よりも高い温度としなければリンの揮発蒸気を発生させることができないが、この場合でも、間接加熱装置44として化石燃料を熱源とするものを使用することにより、従来の電炉法に比べて大幅に黄リンの製造に係るエネルギー効率に優れる。このように、リン鉱石以外の原料からもリンの揮発蒸気を発生させることができる。
還元工程では、図1に示すように、混合原料8を回転炉床炉4の加熱室内において間接加熱装置44で加熱し、還元してリンの揮発蒸気(P2)を発生させる。本実施形態では、混合原料に配合するリン原料をリン酸または亜リン酸とし、混合原料8の加熱、還元を回転炉床炉4の加熱室内において行うことにより、混合原料8の加熱温度を1000℃以下としても、リンの揮発蒸気を発生させることができる。そのため、1400〜1500℃に加熱する必要がある従来の電炉法に比べて大幅に黄リンの製造に係るエネルギー効率に優れる。特に、間接加熱装置44として化石燃料を熱源とするものを使用することにより、化石燃料から電力へのエネルギー変換ロス(60〜70%)も生じないため、黄リンの生産に係るエネルギー効率をより向上させることができる。また、リン原料として、下水汚泥焼却灰、粉状のリン鉱石、リン鉱石の粉砕物および家畜糞炭化物を用いる場合には、混合原料8の加熱温度をリン酸または亜リン酸よりも高い温度としなければリンの揮発蒸気を発生させることができないが、この場合でも、間接加熱装置44として化石燃料を熱源とするものを使用することにより、従来の電炉法に比べて大幅に黄リンの製造に係るエネルギー効率に優れる。このように、リン鉱石以外の原料からもリンの揮発蒸気を発生させることができる。
回転炉床炉4の加熱室は、炉床4bの回転方向上流側から下流側に向けて、温度の異なる複数の区画に分割され、各区画で混合原料を複数の異なる温度で加熱することが好ましい。これにより、各区画を目標とする反応に対応する温度に容易に保つことができ、隣接する区画との温度差を明確にすることができる。また、回転する炉床上の混合原料を順次各区画内において搬送し、所定の時間保持することができるため、各区画において目標とする反応を容易に生じさせることができ、黄リンの生産効率を向上させることができる。各区画の長さおよび炉床の回転速度を適宜調整することにより、各区画内での保持時間を調整することができる。
加熱室は、例えば3つの区画に区分することができ、図1では炉床4bの回転方向上流側から順に第1ゾーン41、第2ゾーン42、第3ゾーン43する場合を示している。また、各区画の雰囲気温度については、例えば第1ゾーン41は300℃、第2ゾーン42は600℃、第3ゾーン43は1000℃とすることができる。以下では各ゾーンの雰囲気温度をこのように設定して操業した場合に混合原料8に生じる主な反応について説明する。
表1には、回転炉床炉内の各部分における、混合原料に含まれるリン酸の状態、並びに混合原料に含まれる炭材、被覆材および床敷(以下、「炭材等」という。)に含まれる炭素の状態を示す。また、図4は、第1ゾーン41および第2ゾーン42で生じるリン酸の脱水縮合の進行状態を示す図である。
乾燥のために約100℃に加熱された状態で炉床4b上に供給されたリン酸(H3PO4)は、雰囲気温度が300℃に設定された第1ゾーン41において、温度上昇とともに脱水縮合が生じる。具体的には、図4に示すように、約150℃で無水物となり、約200℃でピロリン酸(H4P2O7)が生じ、さらに、高次縮合リン酸(Hn+2PnO3n+1)が生じ、約300℃以上ではポリリン酸((HPO3)n)が生じる。
また、第1ゾーン41では、床敷等中の炭素質Cは、第1ゾーン41に漏れ込んだ空気等に含まれる酸素と反応して一酸化炭素(CO)を生成し、第1ゾーン41内を還元雰囲気とする。この炭素質Cから一酸化炭素を生成する反応は、第2ゾーン42、第3ゾーン43でも継続して生じる。各ゾーンには、必要に応じて還元性ガス(例えば水素ガス(H2)、アンモニア(NH3)分解ガス)を吹き込んで還元雰囲気を強化してもよい。
雰囲気温度が600℃に設定された第2ゾーン42では、温度上昇とともにポリリン酸の脱水が進行し十酸化四リン(P4H10)が生じる。第2ゾーン42では十酸化四リンの一部に昇華が生じるが、このような昇華をできるだけ抑制することができる温度、滞留時間に設定することが好ましい。
雰囲気温度が1000℃に設定された第3ゾーン43では、十酸化四リンの昇華、還元が生じ、高純度のリンの揮発蒸気(P2)が混合原料の内部で生成する。混合原料から離脱したリンの揮発蒸気は、第3ゾーン43の上部に設けられた排気口49から、一酸化炭素とともに回転炉床炉4外に排出され、凝縮工程に供される。
以上の各ゾーンにおける化学反応は一般化したものであり、混合原料8の大きさ、各ゾーンでの混合原料8の滞留時間等によって変化することがあり、例えば炉床4bの回転方向のより上流側で反応が進行する場合、またはより下流側に反応が遅延する場合がある。
加熱室内の加熱に間接加熱装置44を用いることにより、加熱の際に、火炎が加熱室内に放射されず、また、二酸化炭素(CO2)および水蒸気(H2O)のような酸性化ガスを含む排気ガスも加熱室内に排出されない。そのため、間接加熱装置44が加熱室内の雰囲気の組成に及ぼす影響は小さく、加熱室内を、混合原料の還元に必要であり且つ混合原料から離脱したリンの揮発蒸気が再酸化しないような還元雰囲気に容易に保つことができる。間接加熱装置44としては、後述するラジアントチューブバーナーを用いることができる。
また、間接加熱装置44から排出された排気ガスを、混合原料を乾燥させるための熱源として使用することが好ましい。当該排気ガスは高温であり、専用の熱源を用意することなく混合原料を乾燥させることができるため、黄リンの製造に必要なエネルギーを低減することができる。
リンの揮発蒸気を発生させた後の混合原料、床敷および被覆材の各残留物は、還元工程後に、炉床の回転によって加熱室の外部に移動させるとともに、加熱室の外部に移動した残留物を回転炉床炉の外部に排出することが好ましい。本実施形態では、炉床が回転して残留物が加熱室の外部に移動するため、所定の温度に保たれた加熱室から直接残留物を取り出す必要がなく、黄リンの製造効率を下げることなく残留物を回転炉床炉外に排出することができる。なお、回転炉床炉の外部に排出した残留物は、添加剤および床敷の少なくとも一方の残留物を含むものであってもよく、添加剤および床敷のいずれも残留物を含まなくてもよい(以下同様)。
図1に示すように、残留物の炉外への排出には、炉床4bからの高さを調整することが可能な水冷式回転スクリュー(以下「ディスチャージャー」という。)47を用いることが好ましい。ディスチャージャー47の炉床4bからの高さを調整することにより、回転炉床炉4の外部に排出される残留物の量を調整することができ、必要に応じて床敷9の未反応部分等、適切な量の床敷9を炉床4b上に残すことができる。
また、加熱室の外部に移動した残留物は、炉外に排出する前にディスチャージャーの耐熱温度以下に冷却することが好ましい。これにより、高温の残留物によるディスチャージャーの損傷を抑制することができる。ただし、冷却し過ぎはヒートロスが過大となるため好ましくない。
混合原料8および床敷9の残留物は、被覆材または床敷9に混合して使用することが好ましい。これらの残留物には、炭素質が残っているため、被覆材または床敷9に混合して使用することにより、黄リンの製造に用いられる被覆材または床敷を低減することができる。
また、混合原料8および床敷9の残留物は、比較的炭素含有量の多い炭素残留物と比較的灰分含有量の多い灰分残留物とに分離し、原料供給工程において、炭素残留物を被覆材、混合原料または床敷に混合して使用することが好ましい。混合原料に含まれる炭材等の品質によっては、灰分含有量が多いものがある。灰分は、被覆材としても床敷としても不要な成分であるため、除去することが好ましい。回転炉床炉の外部に排出した残留物は、静電分離により炭素残留物と炭素残留物に比べて炭素含有量が少なくかつ灰分含有量が多い灰分残留物とに分離することができる。すなわち、残留物は、静電分離機6を用いて静電分離することにより、残留物を比較的炭素含有量の多い炭素残留物(余剰炭材)と比較的灰分含有量の多い灰分残留物(灰分)とに分離することができるため、炭素残留物だけを被覆材または床敷9として使用することができる(図1の*3)。これにより、黄リンの製造に使用される被覆材、炭材または床敷を低減することができるだけでなく、灰分残留物を含めて残留物を被覆材、混合原料または床敷に混合して使用した場合に比べて、加熱室内での還元反応を促進し、黄リンの生産性を向上させることができる。また、炭素残留物は、炭材として混合原料に配合してもよい。なお、炭素残留物にリンまたはリン化合物が残留している場合には、原料供給工程において、炭素残留物をリン原料として混合原料に配合してもよい。また、残留物全体にリンまたはリン化合物分が残留している場合には、原料供給工程において、残留物をリン原料として混合原料に配合してもよい。
炉外に排出した残留物は炭素を含んでおり、かつ炭材の発火温度以上の高温である場合もあることから、外気に触れると発火するおそれがある。このような発火を抑制するため、炉外に排出した残留物を冷却することが好ましい。この冷却には間接水冷式ロータリークーラーを用いることが好ましい。これにより、炉外に排出した残留物を水等の冷却媒体で湿らせることなく急速に冷却することができ、炭材の発火温度よりも低い温度とすることができるとともに、残留物をすぐに混合原料、被覆材または床敷に混合して使用することができる。
(凝縮工程)
凝縮工程では、還元工程で発生したリンの揮発蒸気を回転炉床炉外に排出し、黄リンに凝縮させる。これにより、黄リンを製品として回収することができる。
凝縮工程では、還元工程で発生したリンの揮発蒸気を回転炉床炉外に排出し、黄リンに凝縮させる。これにより、黄リンを製品として回収することができる。
リンの揮発蒸気の凝縮には、散水式凝縮機を用いることが好ましい。図1に示す凝縮塔5は、容器内に散水機5aを備える比較的簡単な構成の散水式凝縮機である。凝縮塔5の内部に供給されたリンの揮発蒸気(P2)に散水機5aから冷却水を噴射することにより、容易にリンの揮発蒸気を凝縮させ、黄リン(P4)を得ることができる。
凝縮した黄リンが除去されたリンの揮発蒸気の残部ガスは、間接加熱装置用の燃料として用いること、または加熱室内に吹き込むことが好ましい(図1の*1)。残部ガスには可燃性および還元性を有する一酸化炭素が含まれているため、間接加熱装置用の燃料または還元性ガスとして用いることで、黄リンの製造に必要な燃料または還元性ガスを低減することができる。電炉法では炉内で発生する一酸化炭素をプロセス内で消費しきれなかったが、本実施形態では炉内で発生する一酸化炭素の全量をプロセス内で消費できるため、本実施形態に係る方法は電炉法に比べてエネルギー効率に優れる。
ここで、操業の不具合等により、還元工程で生成した十酸化四リン(P4H10)が昇華しないまま炉外に排出されることがある。散水式凝縮器を使用した場合、当該十酸化四リンは、冷却水に溶解してリン酸を生成する。当該リン酸は、リン原料として使用することができるため、混合原料の一部としてもよい(図1中の*2)。
[黄リン製造システム]
図1を用いて本実施形態に係る黄リンの製造方法に適用可能な黄リン製造システムの一例について説明する。黄燐製造システムは、例えば、リンを含むリン原料および炭素を含む還元剤を含む混合原料を混合する混合機1と、混合原料を塊成化する塊成機2と、塊成化された混合原料を乾燥する乾燥機3と、乾燥された混合原料8を加熱、還元して、リンの揮発蒸気(P2)を発生させる回転炉床炉4と、リンの揮発蒸気を冷却し、固体の黄リン(P4)に凝縮させる凝縮塔5と、回転炉床炉4から排出された混合原料の残留物を炭素残留物と灰分残留物に分離する静電分離機6と、を備える。
図1を用いて本実施形態に係る黄リンの製造方法に適用可能な黄リン製造システムの一例について説明する。黄燐製造システムは、例えば、リンを含むリン原料および炭素を含む還元剤を含む混合原料を混合する混合機1と、混合原料を塊成化する塊成機2と、塊成化された混合原料を乾燥する乾燥機3と、乾燥された混合原料8を加熱、還元して、リンの揮発蒸気(P2)を発生させる回転炉床炉4と、リンの揮発蒸気を冷却し、固体の黄リン(P4)に凝縮させる凝縮塔5と、回転炉床炉4から排出された混合原料の残留物を炭素残留物と灰分残留物に分離する静電分離機6と、を備える。
混合機1は、リンを含む原料および炭素を含む還元剤を含む混合原料を攪拌し、混合することができるものであれば、一般のものを使用することができる。リン酸や亜リン酸のような液体リン原料の場合は、例えばジャケット加熱式混合機を用いて加熱しながら混合することにより、塊成化に適正な水分に調整脱水することができる。
塊成機2も、混合された混合原料の粒子をペレットおよびブリケット等の塊成物に塊成化することができるものであれば、一般のものを使用することができる。
乾燥機3は、例えば、塊成化された混合原料に熱風を吹き付けるバンド通気乾燥機を使用することができる。また、後述するラジアントチューブバーナーから排出されるバーナー排ガスを乾燥機3の熱源として使用してもよい。乾燥機3において発生した排気ガスは煙突7から排出される。
回転炉床炉4は、円環状の炉本体4aと、炉本体4a内で炉本体4aに沿って回転可能な円環状の炉床4bと、を有する。炉本体4aに設けられた加熱室は、複数の隔壁40によって、上述のように、炉床4bの回転方向上流側から順に第1ゾーン41、第2ゾーン42および第3ゾーン43の3つのゾーン(区画)に分割されている。以下、「炉床4bの回転方向上流側」を単に「上流側」、「炉床4bの回転方向下流側」を単に「下流側」ともいう。
本実施形態では、第1ゾーン41、第2ゾーン42および第3ゾーン43には、それぞれ間接加熱装置44としてラジアントチューブバーナーが設けられているとともに、必要に応じてH2、NH3分解ガス等の還元ガスが供給される。第3ゾーン43の上部には、生成したリンの揮発蒸気(P2)を凝縮塔5に向けて排出する排気口49が設けられている。
炉本体4aにおいて、第1ゾーン41の上流側には、炉床4b上に炭素を含む材料からなる床敷9および乾燥機3で乾燥された混合原料8を供給する原料供給室4cが設けられている。また、第3ゾーン43の下流側には混合原料の残留物を冷却する冷却室4dおよび冷却された残留物を排出する排出室4eが設けられている。図1では、説明を容易にするため、原料供給室4cと排出室4eとを離して回転炉床炉4の両端に図示しているが、実際には上述のように炉本体4aおよび炉床4bは円環状であり、原料供給室4cと排出室4eとは互いに接している。
図5は、ラジアントチューブバーナーの側面方向から見た断面図である。図1には、ラジアントチューブバーナーの正面図を示す。図5に示すように、ラジアントチューブバーナーは、先端が閉じられた有底円筒状のラジアントチューブ44aと、ラジアントチューブ44aの内部に火炎を放射する内管44bと、ラジアントチューブ44aの基端側に設けられ、内管44bに液化天然ガス(LNG)等の燃料を供給するとともにラジアントチューブ44a内に燃焼空気を供給するバーナー本体部44cと、を備える。間接加熱装置44であるラジアントチューブバーナーは、火炎により加熱されたラジアントチューブ44aにより加熱室内を輻射加熱する。ラジアントチューブバーナーは、ラジアントチューブ44aの内部に内管44bが配置された二重管構造のシングルエンド型であり、内管44bからの火炎の放射に伴い発生した排気ガスは、ラジアントチューブ44aと内管44bとの間を通じてバーナー本体部44cに戻り、バーナー排ガスとして外部に排出される。バーナー排ガスは高温であるため、乾燥機3の熱源として使用してもよい。また、ラジアントチューブバーナーは、シングルエンド型に限られず、燃料の供給口(火炎を放射する部分)とバーナー排ガスの排出口とが離れた位置に設けられたいわゆるU型、W型のものを使用してもよい。
原料供給室4cには、炉床4b上の混合原料8の高さ(厚さ)を調整するレベラー45が設けられている。レベラー45には、炉床4bの回転方向に対して垂直な方向であって水平方向に延びる軸と、軸の周面に設けられた螺旋状の羽根と、軸の炉床4bに対する高さを調整可能な調整部材と、を備える水冷式回転スクリューを用いることができる。レベラー45を所定の高さで回転させることにより、混合原料8が所定の高さとされ、炉床4b上に均等に分散される。炉床4b上に供給した混合原料8に被覆を形成する場合、レベラー45の下流側で被覆材を投入する。
また、炉床4bの下方には、炉床4bを駆動する炉床駆動装置48が設けられている。炉床駆動装置48はモーターMを有し、モーターMを作動させることにより炉床4bを回転させることができる。
原料供給室4cには、レベラー45に代えて、炉床4b上に供給された混合原料8を圧縮または圧縮成型することができるコンパクタ50を設けてもよい。図6は、コンパクタを用いた混合原料の圧縮成型についての説明図であり、同図(a)はコンパクタおよび炉床の側面図、同図(b)は圧縮成型後の混合原料の斜視図である。コンパクタ50は、炉床4bの回転方向に対して垂直な方向であって水平方向に延びる円柱状の軸50aと、軸50aの周面に設けられた格子状の刃50bとを備える。コンパクタ50を回転させ、炉床4b上とともに回転する混合原料8に上方から刃50bを差し込み、軸50aの周面で圧縮することにより、混合原料8は、台形状に圧縮成型される。原料供給室4cにコンパクタ50を設けた場合、塊成機2は省略することができる。図7は、コンパクタを用いた被覆を設けた混合原料の圧縮成型についての説明図であり、同図(a)はコンパクタおよび炉床の部分断面図、同図(b)は圧縮成型後の混合原料の斜視図である。コンパクタ50を設けた場合において、炉床4b上に供給した混合原料8に被覆10を形成する際には、コンパクタ50の上流側で混合原料8の上面に被覆材を投入する。この場合、混合原料8とともに被覆10も圧縮成型される。これにより、原料供給工程において、炉床4b上に供給した混合原料8を、炭素を含む還元剤からなる被覆材で被覆した後、混合原料および被覆材を圧縮または圧縮成型することができる。
冷却室4dには、炉床4bの上方に回転炉床炉4から排出された混合原料の残留物を冷却する冷却機46が設けられている。冷却機46は、例えば炉床4bに向けて輻射冷却する水冷パネルを使用することができる。冷却室4dは必要に応じて省略することができる。
排出室4eには、冷却室4dで冷却された炉床4b上の床敷9および混合原料の残留物を掻き出して、排出室4eの底面に設けられた排出口4gから回転炉床炉4の外部に排出するディスチャージャー47が設けられている。
排出室4eの下部には、排出口4g側から順に、シールレグ4h、水冷式回転スクリュー(ホットスクリュー)51、およびロータリークーラー52を設けることが好ましい。排出口4gから排出された残留物は、シールレグ4hを経てホットスクリュー51によって搬送され、ロータリークーラー52で炭材の発火温度よりも低い温度に冷却され、静電分離機6に搬送、供給される。ホットスクリュー51は、モーターM2を有し、モーターM2の回転数を適切に制御することにより、シールレグ4h内にマテリアルシールを維持することができる。このマテリアルシールにより、回転炉床炉4の排出室4eに外気が漏れ込むのを抑制することができ、加熱室を容易に還元雰囲気に保つことができる。
凝縮塔5は、上述のように上部に散水機5aを備える散水式凝縮機であるが、リンの揮発蒸気を黄リンに凝縮できるものであれば、これ以外の凝縮機を使用してもよい。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下にまとめる。
上述したように、本発明の一局面に係る黄リンの製造方法は、リンを含むリン原料および炭素を含む還元剤を含む混合原料を、回転炉床炉内で回転する炉床上に供給する原料供給工程と、前記混合原料を前記回転炉床炉の加熱室内において間接加熱装置で加熱し、還元してリンの揮発蒸気を発生させる還元工程と、前記リンの揮発蒸気を前記回転炉床炉外に排出し、黄リンに凝縮させる凝縮工程と、を備える。
この構成によれば、リン原料をリン酸または亜リン酸とした場合、混合原料を1000℃以下に加熱することで、リンの揮発蒸気を発生させることができ、1400〜1500℃に加熱する必要がある従来の電炉法に比べて大幅に黄リンの製造に係るエネルギー効率に優れる。特に、間接加熱装置として化石燃料を熱源とするものを使用することにより、化石燃料から電力へのエネルギー変換ロス(60〜70%)も生じないため、よりエネルギー効率を向上させることができる。また、リン原料を、下水汚泥焼却灰、粉状のリン鉱石、リン鉱石の粉砕物および家畜糞炭化物とした場合でも、間接加熱装置として化石燃料を熱源とするものを使用することにより、従来の電炉法に比べて大幅に黄リンの製造に係るエネルギー効率に優れる。このように、リン鉱石以外の原料も使用可能である。
上記構成において、前記混合原料は、さらにバインダーおよび添加剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。
これにより、混合原料の塊成化を容易とすることができ、または混合原料に好ましい特性を付与することができる。
上記構成において、前記添加剤は、CaおよびMgの少なくとも一方を含むことが好ましい。
これにより、加熱室内で混合原料から液相が生じることを抑制することができる。
上記構成の前記原料供給工程において、前記炉床上に前記混合原料を供給する前に、前記混合原料を塊成化し、乾燥すること、または前記炉床上に前記混合原料を供給した後、前記混合原料を圧縮または圧縮成型することが好ましい。
これにより、混合原料の密度が高まり、混合原料への伝熱性も向上し、回転炉床炉の加熱室内での反応時間が短縮できる。
上記構成において、あらかじめ塊成化し乾燥させた前記混合原料を、前記炉床上に1層または複数層となるように供給してもよい。
比較的大きな塊成物は、複数層となるように供給すると下層においてリン酸の還元反応が遅れるため、1層となるように供給し、リン酸の還元反応を促進することが好ましい。また、比較的小さな塊成物は、1層となるように供給すると黄リンの生産性が小さくなりすぎるため、複数層となるように供給し、黄リンの生産性を向上させることが好ましい。
上記構成において、前記間接加熱装置から排出された排気ガスを前記混合原料の乾燥用の熱源として使用してもよい。
間接加熱装置から排出された排気ガスは高温であるため、新たに乾燥用熱源を用意する必要がないため、これにより、黄リンの製造に係るエネルギー効率を向上させることができる。
上記構成において、前記混合原料を、炭素を含む還元剤からなる被覆材で被覆することが好ましい。
これにより、混合原料に含まれるリン酸の還元反応を促進することができる。
被覆材による被覆は、前記塊成化し乾燥させた混合原料を、前記炉床上に供給する前に行ってもよく、前記炉床上に供給した後に行ってもよい。また、前記原料供給工程において、前記炉床上に供給した前記混合原料を、前記炭素を含む還元剤からなる被覆材で被覆した後、前記混合原料および前記被覆材を圧縮または圧縮成型してもよい。
いずれの場合も、混合原料に含まれるリン酸の還元反応を促進することができる。
上記構成において、前記炉床上に前記混合原料を供給する前に、前記炉床上にあらかじめ炭素を含む材料を含む床敷を設けることが好ましい。
これにより、混合原料からリンが揮発した後の残留物を容易に炉床上から排出することができるとともに、加熱室内の還元雰囲気を強化することができる。
上記構成において、前記還元工程で、前記回転炉床炉の前記加熱室が、前記炉床の回転方向上流側から下流側に向けて温度の異なる複数の区画に分割されており、前記各区画において前記混合原料が複数の異なる温度で加熱されることが好ましい。
これにより、各区画において目標とする反応を容易に生じさせることができ、リン酸の生産効率を向上させることができる。
上記構成の前記凝縮工程において、散水式凝縮器を用いて前記リンの揮発蒸気を黄リンに凝縮させることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成の散水式凝縮器によってリンの揮発蒸気から容易に黄リンを得ることができる。
上記構成において、前記還元工程後にの残留物を前記炉床の回転によって前記加熱室の外部に移動させるとともに、前記加熱室の外部に移動した前記残留物を前記回転炉床炉の外部に排出することが好ましい。また、前記回転炉床炉の外部に排出した前記残留物は、前記添加剤および前記床敷の少なくとも一方の残留物を含んでいてもよい。
上記構成では、炉床が回転して残留物が加熱室の外部に移動するため、所定の温度に保たれた加熱室から残留物を取り出す必要がなく、黄リンの製造効率を下げることなく残留物を回転炉床炉外に排出することができる。
上記構成において、前記回転炉床炉の外部に排出した前記残留物を、静電分離により炭素残留物と前記炭素残留物に比べて炭素含有量が少なくかつ灰分含有量が多い灰分残留物とに分離することが好ましい。
上記構成では、炭素残留物および灰分残留物を、それぞれ適した用途に再利用することが可能となる。
上記構成において、前記残留物または炭素残留物を前記被覆材および/または前記床敷に混合して使用することが好ましい。
これにより、黄リンの製造に使用する被覆材および/または床敷を低減することができる。また、炭素残留物を使用することにより、灰分残留物を含めて残留物を被覆材および/または床敷に使用した場合に比べて、加熱室内での還元反応を促進し、黄リンの生産性を向上させることができる。
上記構成において、前記残留物または前記炭素残留物を、前記原料供給工程において前記混合原料に混合して使用することが好ましい。
残留物または炭素残留物にはリンまたはリン化合物が残留している場合があるため、これにより、黄リン製造に必要な原料の消費量を低減させることができる。
上記構成において、前記残留物を冷却したうえで使用することが好ましい。
これにより、残留物をすぐに被覆材または床敷に混合して使用すること、または静電分離することができる。
上記構成において、凝縮した黄リンが除去された前記リンの揮発蒸気の残部ガスを、前記間接加熱装置用の燃料として用いてもよい。
リンの揮発蒸気の残部ガスには可燃性を有する一酸化炭素が含まれているため、これにより、黄リンの製造に必要な燃料を低減することができる。
上記構成において、前記凝縮工程において凝縮した黄リンが除去された前記リンの揮発蒸気の残部ガスを、前記還元工程で前記回転炉床炉の前記加熱室内に吹き込んでもよい。
リンの揮発蒸気の残部ガスには還元性を有するガスが含まれているため、これにより、回転炉床炉内に吹き込まれる還元性ガスを低減することができる。
上記構成において、間接加熱装置をラジアントチューブバーナーとすることが好ましい。これにより、回転炉床炉の加熱室を還元雰囲気に維持しつつ容易に加熱することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(試験条件)
図1に示す黄リン製造システムの回転炉床炉と同様の輻射加熱方式の小型実験電気炉を用いて黄リン製造試験を行う。
図1に示す黄リン製造システムの回転炉床炉と同様の輻射加熱方式の小型実験電気炉を用いて黄リン製造試験を行う。
混合原料に加えるリン原料は濃度85質量%のリン酸とし、炭材は固定炭素含有量が75質量%の微粉炭とし、バインダーは小麦粉とする。これらの混合割合は、リン原料50質量%、炭材40質量%、バインダー10質量%とし、混合原料の総量は60gとする。混合原料は、平均球相当径が16mmのペレット状に成形する。これらのペレットを乾燥機によって水分含有量が1質量%以下となるまで乾燥する。
小型実験電気炉の加熱室外部において、炉床を模擬した軽量アルミナトレイ上に固定炭素含有量が75質量%の微粉炭からなる床敷を平均厚さ3mmに敷き、床敷上に乾燥後のペレットを供給する。1000℃に予熱され、維持されている小型実験電気炉の加熱室内に、床敷およびペレットが載置されている軽量アルミナトレイを装入し、ペレットを加熱し、ペレットに含まれるリン酸を昇華、還元する。還元されたリンの揮発蒸気を含む生成ガスを炉外に排出し、排出された生成ガスをポットに充填されている水に通過させ、リンの揮発蒸気を凝縮させ、黄リンとして回収する。
(試験結果)
上記試験により求められる黄リン1kgの製造に必要なエネルギーは、炭材とバーナー燃料とを合わせて130MJである。このエネルギーは、炉内での化学反応に使用されなかった余剰炭材は回収して炭材として利用されるものとし、炉内で発生した可燃ガスは回収して別途バーナーの燃料として利用されるものとして算出した値である。
(試験結果)
上記試験により求められる黄リン1kgの製造に必要なエネルギーは、炭材とバーナー燃料とを合わせて130MJである。このエネルギーは、炉内での化学反応に使用されなかった余剰炭材は回収して炭材として利用されるものとし、炉内で発生した可燃ガスは回収して別途バーナーの燃料として利用されるものとして算出した値である。
また、比較例として、現行の電炉法により黄リン1kgの製造に必要なエネルギーは、コークスと電気エネルギーとを合わせて230MJである。この電気エネルギーは、化石燃料を使用した火力発電によって得たものとする場合に必要とする化石燃料のエネルギーに換算した値である。
なお、ここに提示した黄リンの製造に必要なエネルギーは、実施例、比較例ともに、原料の品位等の要因によって変動するものである。
4 回転炉床炉
4a 炉本体
4b 炉床
41 第1ゾーン(加熱室、区画)
42 第2ゾーン(加熱室、区画)
43 第3ゾーン(加熱室、区画)
44 間接加熱装置
8 混合原料
8a 塊成物
9 床敷
4a 炉本体
4b 炉床
41 第1ゾーン(加熱室、区画)
42 第2ゾーン(加熱室、区画)
43 第3ゾーン(加熱室、区画)
44 間接加熱装置
8 混合原料
8a 塊成物
9 床敷
Claims (24)
- 黄リンの製造方法であって、
リンを含むリン原料および炭素を含む還元剤を含む混合原料を、回転炉床炉内で回転する炉床上に供給する原料供給工程と、
前記混合原料を前記回転炉床炉の加熱室内において間接加熱装置で加熱し、還元してリンの揮発蒸気を発生させる還元工程と、
前記リンの揮発蒸気を前記回転炉床炉外に排出し、黄リンに凝縮させる凝縮工程と、を備える黄リンの製造方法。 - 前記混合原料は、さらにバインダーおよび添加剤の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の黄リンの製造方法。
- 前記添加剤は、CaおよびMgの少なくとも一方を含む、請求項2に記載の黄リンの製造方法。
- 前記原料供給工程において、前記炉床上に前記混合原料を供給する前に、前記混合原料を塊成化し、乾燥する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 前記原料供給工程において、あらかじめ塊成化し乾燥させた前記混合原料を、前記炉床上に1層または複数層となるように供給する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 前記間接加熱装置から排出された排気ガスを、前記混合原料の乾燥用の熱源として使用する、請求項4または請求項5に記載の黄リンの製造方法。
- 前記原料供給工程において、前記炉床上に前記混合原料を供給した後、前記混合原料を圧縮または圧縮成型する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 前記混合原料を、炭素を含む還元剤からなる被覆材で被覆する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 前記塊成化し乾燥させた混合原料を、前記炉床上に供給する前に、前記炭素を含む還元剤からなる被覆材で被覆する、請求項8に記載の黄リンの製造方法。
- 前記塊成化し乾燥させた混合原料を、前記炉床上に供給した後に、前記炭素を含む還元剤からなる被覆材で被覆する、請求項8に記載の黄リンの製造方法。
- 前記原料供給工程において、前記炉床上に供給した前記混合原料を、前記炭素を含む還元剤からなる被覆材で被覆した後、前記混合原料および前記被覆材を圧縮または圧縮成型する、請求項8に記載の黄リンの製造方法。
- 前記炉床上に前記混合原料を供給する前に、前記炉床上にあらかじめ炭素を含む材料を含む床敷を設ける、請求項1〜11のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 前記還元工程で、前記回転炉床炉の前記加熱室が、前記炉床の回転方向上流側から下流側に向けて温度の異なる複数の区画に分割されており、前記各区画において前記混合原料が複数の異なる温度で加熱される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 前記凝縮工程において、散水式凝縮器を用いて前記リンの揮発蒸気を黄リンに凝縮させる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 前記還元工程後に、前記混合原料の残留物を前記炉床の回転によって前記加熱室の外部に移動させるとともに、前記加熱室の外部に移動した前記残留物を前記回転炉床炉の外部に排出する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 前記回転炉床炉の外部に排出した前記残留物が、請求項2に記載の前記添加剤および請求項12に記載の前記床敷の少なくとも一方の残留物を含む、請求項15に記載の黄リンの製造方法。
- 前記回転炉床炉の外部に排出した前記残留物を、静電分離により炭素残留物と前記炭素残留物に比べて炭素含有量が少なくかつ灰分含有量が多い灰分残留物とに分離する、請求項15または請求項16に記載の黄リンの製造方法。
- 請求項15もしくは請求項16に記載の前記残留物または請求項17に記載の前記炭素残留物を前記被覆材に混合して使用する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 請求項15もしくは請求項16に記載の前記残留物または請求項17に記載の前記炭素残留物を前記床敷に混合して使用する、請求項12に記載の黄リンの製造方法。
- 請求項15もしくは請求項16に記載の前記残留物または請求項17に記載の前記炭素残留物を、前記原料供給工程において前記混合原料に混合して使用する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 請求項15または請求項16に記載の前記残留物を冷却したうえで使用する、請求項18〜20のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 凝縮した黄リンが除去された前記リンの揮発蒸気の残部ガスを、前記間接加熱装置用の燃料として用いる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 前記凝縮工程において凝縮した黄リンが除去された前記リンの揮発蒸気の残部ガスを、前記還元工程で前記回転炉床炉の前記加熱室内に吹き込む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
- 前記間接加熱装置がラジアントチューブバーナーである、請求項1〜23のいずれか1項に記載の黄リンの製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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AT524546A4 (de) * | 2021-04-01 | 2022-07-15 | Radmat Ag | Verfahren zur reduktiven Gewinnung von elementarem Phosphor aus Phosphorsäure |
-
2020
- 2020-04-20 JP JP2020074582A patent/JP2020180040A/ja active Pending
Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
AT524546A4 (de) * | 2021-04-01 | 2022-07-15 | Radmat Ag | Verfahren zur reduktiven Gewinnung von elementarem Phosphor aus Phosphorsäure |
AT524546B1 (de) * | 2021-04-01 | 2022-07-15 | Radmat Ag | Verfahren zur reduktiven Gewinnung von elementarem Phosphor aus Phosphorsäure |
WO2022208389A1 (de) * | 2021-04-01 | 2022-10-06 | Radmat Ag | Verfahren zur reduktiven gewinnung von elementarem phosphor aus phosphorsäure, unter verwendung von wasserstoff als reduktionsmittel |
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