JP2020178984A - 外科手術用器具及び持針器 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば縫合針を保持する等の被操作部が磁性を帯びず、金属アレルギーを生じさせず、操作性に優れ、耐薬品性、耐腐食性、耐摩耗性に優れ、耐金属疲労性能に優れた低コストの外科手術用器具を提供する。【解決手段】外科施術者の手に握られるハンドル部と、当該ハンドル部に直接的又は間接的に接続された先端側の被操作部と、から構成された外科手術用器具において、前記ハンドル部、ステンレス素材により形成され、前記被操作部は、チタニウム、チタニウム酸化物又はチタニウム合金素材により形成され、前記保持部のチタン素材と前記ハンドル部のステンレス素材の接合は、当該チタン素材と当該ステンレス素材の接合面の接触状態を維持させた状態で、所定値の電流を所定時間通電させることにより生じるジュール熱による溶解接合により行われる。【選択図】図1

Description

本発明は、医療の外科手術で用いられる外科手術用器具および外科手術用器具の一つである持針器に関する。
持針器、剪刀、抜糸剪刀、ピンセット、メス、鉗子等の外科手術用器具において、外科手術の被施術者(患者)の患部に接触する先端部の被操作部の多くは、短く先細りの形状を成し、外科施術者(外科手術を行う医師)が手で握るハンドル部は長く形成されている。そして、その先端部は、外科手術を受ける被施術者の皮膚、粘膜、血管、臓器に接触する。
また、外科手術用器具の一つである例えば持針器は、外科手術の際皮膚や血管等を縫合する縫合針を把持するための器具である。
持針器は、鉗子や鋏と同様に一対の金属長尺の部品からなり、縫合針を保持したまま固定することができ、施術者が操作している間保持部に力をかける必要が無いように構成されている。そして、縫合針を確実に保持するために、保持部にはしばしばタングステンカーバイドのチップが貼り付けられたり、若しくはカーボンコーティングがされている。そして、一対の各々に設けられたフック等により梃の原理を利用して縫合針をしっかりと保持するため、その先端は短く先細りの形状を成し、保持部は長く形成されている。
また、他の外科手術用器具である剪刀、抜糸剪刀、ピンセット、メス、鉗子等も、持針器と同様、その先端部は、患者の皮膚、粘膜、血管、臓器に接触し、外科施術者がその先端部に接続している保持部によってその先端部を操作する。
ここで、持針器は、その外科手術の種類や保持する対象となる縫合針に対応して、種々の形状のものがあり、例えば、メイヨー・ヘガール式外科手術用器具、マチュー式外科手術用器具、カストロビエホ外科手術用器具、鋏の機能を併せ持つタイプ等が存在する。
上記した持針器を含む何れの外科手術用器具であっても、外科手術用器具は繰り返して使用され、そのたびに繰り返して厳密に洗浄且つ滅菌されることから、外科手術用器具における縫合針の保持部は特に、洗浄剤等の薬品等に対する耐腐食性を有し、擦れ等に対する耐摩耗性に優れ、金属疲労することなく、ある程度の比重を有して操作性に優れ、且つ手術の種類によっては人体の手術部位に接触する可能性があることから金属アレルギーを生じさせる素材でない等の要求を全て満たすことが必要である。
例えば持針器やピンセット等で操作される縫合針の多くは、ステンレス等の磁性体であることから、持針器、ピンセット等の外科手術用器具の保持部は、磁性を帯びない素材である必要がある。万が一、これらの外科手術用器具が例えばガーゼ等との摩擦によりその保持部が磁性を帯びてしまった場合、磁性を帯びる可能性があるステンレス素材の縫合針と外科手術用器具の保持部とが、お互いの磁力により吸引又は反発することになり、外科手術用器具の機能に最も重要である縫合針の操作性を大きく損なうことになる。
しかし、従来の外科手術用器具の多くは、ある程度の耐摩耗性と耐腐食性を有することからステンレス素材で形成されていたのが実情であった。このため、場合によっては、外科手術用器具に要求される上述した他の種々の要求、特に帯磁性による縫合針に操作性に悪影響を及ぼすことがあった。
また、従来において、広く手術器具全般として、操作性の向上性能と、洗浄・滅菌等の工程における対劣化性に優れ、金属基材上の生体成分接触部の表面にセラミック層を形成した生体成分接触用器具(例えば、特許文献1を参照)、医療用器具の表面の少なくとも生体又は生体患部と接触する部分に、表面との密着性を高めるシリコン、タングステン、炭化チタニウム、炭化ケイ素等の中間層を介して硬質皮膜であるダイヤモンドライク(ダイヤモンド状結合)カーボン層形成した医療用器具(例えば、特許文献2を参照)、酸化チタニウム素材で構成された外科手術器具(例えば、特許文献3を参照)、真空耐性を有する材料に薄いチタン層を形成した耐摩耗性を有する着色可能な手術用器具(例えば、特許文献4を参照)等が知られていた。
特開2001−212149号公報 特開2006−521号公報 特表2004−528926号公報 特表2014−523489号公報
しかし、従来から広く使用されている全てがステンレス素材の外科手術用器具は、重く、ある程度の耐摩耗性と耐腐食性を有するものの磁性を帯びるという欠点を有することから、施術者の外科手術用器具に保持される縫合針の操作性に関する問題があった。
また、特許文献1に開示された生体成分接触用器具または特許文献2に開示されたカーボン層が形成された手術器具は、ステンレス素材の上に薄く形成されたセラミック層又はカーボン層を有していることから、外科手術用器具と他の多くの手術器具とまとめて洗浄及び滅菌されることから、他の手術器具との接触や衝突により、その薄くてもろいセラミック層やカーボン層の剥がれや欠けが生じることが多々あった。
そして、特許文献3に開示された酸化濃度勾配素材を使用するチタンの外科手術器具は、その製造工程における酸素濃度の微調整等が必要とされ、極めて複雑でありその製造コストの低減化が困難であった。
さらに、特許文献4に開示された基板として真空耐性を有する材料の上に、真空コーティング工程により、薄いチタン層を被膜形成した耐摩耗性を向上させた手術用器具は、特許その製造工程が複雑であるばかりでなく、手術器具の洗浄及び滅菌の際に他の手術器具との接触や衝突により、その被膜に剥がれや欠けが生じることがあった。
すなわち、従来においては、ステンレス素材とチタン素材の強固で且つ耐久性を有する金属接合は困難であった。
本発明は、上述した従来技術に係る外科手術用器具の課題に鑑みてなされたものであり、少なくとも縫合針を保持する部分が磁性を帯びずに操作性に優れ、耐薬品性、耐腐食性、耐摩耗性に優れ、耐金属疲労性能に優れ、金属アレルギーを生じさせず、比較的低コストの手術用器具の一つである外科手術用器具を提供することを目的とする。
このため、本発明に係る外科手術用器具は、外科施術者の手に握られるハンドル部と、当該ハンドル部に直接的又は間接的に接続された先端側の被操作部と、から構成された外科手術用器具であって、前記ハンドル部は、ステンレス素材により形成され、前記被操作部は、チタニウム、チタニウム酸化物又はチタニウム合金素材(以下、「チタン素材」という)により形成され、前記保持部のチタン素材と前記ハンドル部のステンレス素材の接合は、当該チタン素材と当該ステンレス素材の接合面の接触状態を維持させた状態で、所定値の電流を所定時間通電させることにより生じるジュール熱による溶解接合により行われる、ことを特徴とする。
また、本願は、外科手術用器具の一つである持針器を提供するものであって、縫合針を保持する一対の保持部と、前記一対の各保持部に接続して前記保持部を操作する一対のハンドル部と、前記一対の保持部と前記一対のハンドル部の間の一箇所を結合する関節部と、前記ハンドル部の内側に設けられ、前記保持部において保持された縫合針の保持状態を維持するためのロック部と、を有し、前記保持部は、チタニウム、チタニウム酸化物又はチタニウム合金素材(以下、「チタン素材」という)により形成され、前記ハンドル部は、ステンレス素材により形成され、前記保持部のチタン素材と前記ハンドル部のステンレス素材の接合は、当該チタン素材と当該ステンレス素材の接合面の接触状態を維持させた状態で、所定値の電流を所定時間通電させることにより生じるジュール熱による溶解接合により行われる、ことを特徴とする。
このとき前記チタン素材と前記ステンレス素材の接合面の一方は、円錐状、円錐台形状状又は円柱状の突起が施され、他方の接合面は平面とするとよい。これにより、突起の部分での抵抗が増大するため、強固な溶解接合となる。
突起を設けるのに、ある実施形態では、前記接合面の一方に施された円錐状の突起は、当該素材の垂直断面に対して2乃至10度の傾斜角を有するように形成する。
また、別の実施形態では、前記接合面の一方に施された円錐台形状又は円柱状の突起の前記他方の平面に接触する断面は、当該素材の垂直断面の面積の30%以下とする。
そして、前記突起は、前記ステンレス素材の接合面に施すのが好適である。ステンレス素材はチタン材より融解温度が低いため、チタン素材に突起を設けた場合と比べて低いジュール熱で接合される。したがって、この場合に、前記チタン素材と前記ステンレス素材の接触面において、前記ステンレス素材の融解熱を上回り、前記チタン素材の融解熱を下回るように前記電流の所定値と前記通電の所定時間を設定するのがよい。
また、本発明に係る持針器においては、前記ロック部におけるロック状態が解除された場合に、前記一対の保持部を広げるためのスプリング弾性部を備えるとよい。
ここで、前記チタン素材の保持部と前記ステンレス素材のハンドル部は、予め前記金属溶融接合された直性状の棒材を切削加工により形成される。
また、前記ロック部は、ステンレス又はニッケル−チタン合金による形状記憶弾性素材から形成される。
そして、前記保持部における縫合針を把持する一対の保持部の縫合針と接触する面に、種々の縫合針の径に対応した複数の溝が平行に形成される。
ここで、前記スプリング弾性部は、前記ハンドル部の後端から伸延した状態で形成され、前記ハンドル部と一体成形される。
本発明は、被施術者の皮膚、粘膜、血管、臓器等に接触する被操作部が磁性を帯びず、操作性に優れ、耐薬品性、耐腐食性、耐摩耗性に優れ、耐金属疲労性能に優れ、一切の金属アレルギーを生じさせない外科手術用器具を提供するものであって、比較的低コストで提供することを可能にした。そして、ジュール熱による溶解接合を用いることで、比較的短時間で溶接するので材料に熱による影響を与えにくく、また圧痕が少なく表面仕上げが良いため、手術に使用したとき生体組織を傷つけることもない。
本発明を外科手術用器具の一つである持針器のカストロビエホ式持針器に適用した全体構成を正面図で示す。 図1の外科手術用器具(持針器)の保持部の部分の説明図を示す。 (a)は図1の外科手術用器具(持針器)における金属長尺の部品の説明図、(b)はこの部品を切削加工で造形する前の素材の説明図をそれぞれ示す。 本発明を適用するメイヨー・ヘガール式持針器の全体正面図を示す。 本発明を適用するマチュー式持針器の全体正面図を示す。 本発明に係る外科手術用器具の保持部のチタン素材とハンドル部のステンレス素材の接合前の接合面の状態を示す。 本発明に係る外科手術用器具の保持部のチタン素材とハンドル部のステンレス素材の接合方法の概念を示す。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
ところで、以下、本願においては、外科手術用器具の持針器の例について記載するが、チタン素材は、ステンレス素材のように生体に金属アレルギーを生じさせることがないので、本発明に係る外科手術用器具は、その先端が生体に接触する可能性がある他の外科手術用器具である、剪刀、抜糸剪刀、ピンセット、メス、鉗子等に適応されることは言うまでもなく当業者において自明であることから、これらの外科手術用器具についての詳細な説明は重複するので省く。
図1は、本発明に係る持針器10を示している。同図で示すように、持針器10は、一対の金属長尺の部品11,12を交差させて、連結して組み立てることで、縫合針を保持する一対の保持部1と、各保持部1に接続して保持部1を操作する一対のハンドル部2と、保持部1とハンドル部2の間の一箇所を結合する関節部3と、一対のスプリング弾性部5と、が形成される。そして、持針器10は、ハンドル部2の内側に設けられ、保持部1において保持された縫合針の保持状態を維持するための一対のロック部4を備える。
保持部1は、図2に示すように、縫合針と接する一対の保持部1aは平面となっており、互いの保持部1aで縫合針を挟持して保持する。好適には、保持部1aの面には、鋸歯状のタングステンカーバイドやタングステンコーティングが形成されると良い。種々の縫合針の径に対応した複数の溝が平行に形成されているとよい。これにより、保持部1が縫合針を保持したとき、縫合針は両方の保持部1aの対応する溝と嵌合し、安定した状態で保持される。
ハンドル部2は、互いが関節部3で回動自在に連結されており、両方のハンドル部2を接近する方向に回動させることで、それぞれの保持部1も関節部3を支点に縫合針を挟持する方向に回動して閉止する。そして、ハンドル部2は、操作者の指先が直接触れる部分の外側表面には、指先が滑りにくいように必要に応じてローレット加工が施される。持針器10は、ハンドル部2は保持部1より長くなっており、これにより梃の原理で、縫合針を確実に保持することができる。
スプリング弾性部5は、バネ性を有するよう板材で形成されており、それぞれのハンドル部2における保持部1とは反対側の後端から伸延させて設けられている。そして、スプリング弾性部5の終端は互いに連結されており、これによって、結合された関節部3を始点として、それぞれ一対のハンドル部2及びスプリング弾性部5が閉ループで構成されるため、両方のハンドル部2を互いに接近する方向に加わる力に対して、スプリング弾性部5はハンドル部2を離反させるよう反発する。
ロック部4は、それぞれ相手と係合するフック4aを備えるラチェット機構で構成されている。よって、両方のハンドル部2をスプリング弾性部5の弾性に抗して押し込み、ロック部4の互いのフック4aを係合させることでロックされて、一対の保持部1の閉止により縫合針が挟持される。そして、次に両方のハンドル部2を押し込むとフック4aの係合が解除されて、スプリング弾性部5の弾性でハンドル部2は互いに離反して保持部1が開放する。したがって、ロック部4は、操作者がハンドル部2を握る度に、ロックとその解除を繰り返すトグル性を有している。
このようなロック部4は、ステンレス又はニッケル−チタン合金による形状記憶弾性素材から形成するのが好ましい。形状記憶合金は、熱処理によってある形状を記憶させると、これを変形しても一定の温度以上に加熱すれば変形前の形に戻るという特殊な合金であるから、ハンドル部2を押し込むことでロック部1が変形しても、処置後に加熱することで原状に回復させることができる。
上記構成の持針器10は、図3(a)に示すように、保持部1は、チタン素材、例えば、チタニウム、チタニウム酸化物又はチタニウム合金素材により形成される。チタンは、空気中では空気に触れる表面が安定した強力な酸化物で覆われる不動態となっており、白金や金等の貴金属とほぼ同等の強い耐腐食性を持つが、これら貴金属と比べれば安価である。よって、薬品、消毒液、血液、体液などと触れる環境下で使用される持針器には適した素材といえる。
また、保持部1をチタン素材で構成することで、ステンレスと比べて軽量であるため、ハンドル部2を押圧するとき負荷が少なく、縫合処置時の操作性が向上する。しかも、高い耐腐食性から自然界に流出しない環境負荷の低い金属であることから、人体に対しても同様であり、人体の組織と直接接する保持部1をチタン素材とすることで、生体適合性に優れた持針器となる。そして、チタンやチタン合金は非磁性の金属であるため、保持部1が磁性を帯びることで操作性を損なうこともない。
一方、ハンドル部2及びスプリング弾性部5は、共に従来の持針器でも採用されているステンレス素材により形成される。ステンレスは、文字通り錆びにくい素材であり、薬品、消毒液、血液、体液などに対しての耐腐食性が良好である。そして、チタンに比べて加工性に優れることから、特に、ハンドル部2にローレット加工を施しやすく、加えてチタンと比べて安価である。
このような保持部1,ハンドル部2及びスプリング弾性部5から構成される部品11,12は、予めチタン素材部15とステンレス素材部16とが抵抗溶接合(若しくは、通電拡散接合)することにより強固な且つ耐久性に優れた金属溶融接合を成しており、例えば、図3(b)に示す一本の直性状の棒材14からそれぞれを切削加工で造形される。抵抗溶接加工は、被溶接材の金属を重ね合わせ、溶接する個所を電極で挟み、適当な加圧力を加えて電流を流し、溶接部位の接触抵抗に発生するジュール熱でお互いを溶融接着させる金属接合法として知られている。これにより、保持部1側のチタン素材の金属分子がハンドル部2側のステンレス素材内に溶融浸透し、さらには、ハンドル部2側のステンレス素材の金属分子が保持部1側のチタン素材内に溶融浸透して強固な金属結合が形成されるので、従来から広く用いられてきたロウ付けによる電気溶接とは全く異なり、物理的、化学的に強固で且つ耐久性に優れた金属溶融接合を実現しているのである。
図3に示す例では、保持部1と関節部5を含めたハンドル部2の一部が棒材14のチタン素材部15の部分から造形され、ローレット加工部を含むハンドル部2の残りの部分とスプリング弾性部5とがステンレス素材部16の部分から造形される。そして、棒材14からそれぞれ加工した部品11,12を互いの関節部3で連結して組み立てる。
スプリング弾性部5は、別のステンレス材料から加工されてハンドル部2の後端に連結される構成であってもよい。また、保持部1のみをチタン素材部15で造形し、関節部6以外は全て棒材16から構成したり、或いは、スプリング弾性部5以外を全て棒材15から造形するようにしてもよいが、本例が示す如く、ローレット加工部の手前までチタン素材部15から造形すれば、持針器10はその重心がより持ち手側の後方となるため操作性が高まることとなる。
部品11,12をそれぞれの関節部3で連結して組み立てた後、ハンドル部2のローレット加工部の裏側である内側の面に、別成形された一対のロック部4がそれぞれ取り付けられる。
図5は、マチュー式持針器30に本発明を適用した例を示している。持針器30は、一対のハンドル部31の後端に、それぞれロック部34を備えて、両方のハンドル部31を握る操作により関節部32を支点に回動させることで一対の保持部33を開閉する。そして、保持部33が閉止するまで回動させたとき、一対のロック部34のフック34aが係合して、保持部33で縫合針を挟持して保持する。持針器30では、スプリング弾性部35は一つの板材で構成されて、ハンドル部31を握る操作に反発するよう、一つの板材の両端をハンドル部31の内側に連結している。
以上、詳述した持針器10は、カストロビエホ式持針器に分類されるタイプであるが、本発明は、種々のタイプの持針器にも適用される。その中の一つには、図4に示すメイヨー・ヘガール式持針器20がある。持針器20は、一対のハンドル部21の後端に、それぞれ操作者の指先を係止する指環21aを備えて、それぞれの指環21aに挿入した指先の操作で、関節部22を支点に回動させることで一対の保持部23を開閉する。そして、保持部23が閉止するまで回動させたとき、一対のロック部24のフックが係合して、保持部23で縫合針を挟持して保持する。しかし、持針器20の場合は、スプリング弾性部を備えておらず、操作者の指先での開放操作により保持部23の挟持を解除する。持針器20においても、少なくとも保持部23を、好ましくは、関節部22及びハンドル部21の一部をチタン素材で形成し、残りの部分をステンレスで形成するとよい。
次に、図6を参照しつつ、本発明に係る各持針器10,20,30の保持部1,23,33の部分であるチタン素材部50とハンドル部2,21,31の部分であるステンレス素材部60の接合前の接合面の状態を示す。
チタン素材部50とステンレス素材60との接合は、チタン素材部50とステンレス素材部60との接合面の接触状態を維持させた状態で、所定値の電流を所定時間通電して生じるジュール熱を利用した溶解接合により行われる。
チタン素材部50とステンレス素材部60の接合面の何れか一方の中央部には、図6の(a)で示す円錐状、(b)で示す円錐台形状状又は(c)で示す円柱状の突起が施され、他方の接合面は何れも平面である。この場合、かかる突起70は、図示のごとく、ステンレス素材部60であるハンドル部2,21,31の各接合面に施され、チタン素材部50である保持部1,23,33の接合面を平面とするのが好適である。ここで、(a)で示す円錐状の突起70は、当該素材の垂直断面に対して2乃至10度の傾斜角αを有するように形成するとよい。
そして、図6に示すように、チタン素材50とステンレス素材60の接合面の他方には、突起70の先端に勘合する凹部50aを施すようにすると良い。これによって、チタン素材50の接合面とステンレス素材60の接合面は正確に位置決めされると共に、突起70の先端とこれに勘合する凹部50aに電流が集中的に流れることにより、ジュール熱による溶解接合が確実に行われるのである。
そして、接合面の一方に施された円錐台形状又は円柱状の突起の他方の平面に接触する断面は、当該素材部の垂直断面の面積の30%以下とする。これにより、突起70の先端部がジュール熱によって容易に溶解し始めて、その溶解面が順次その周縁に拡大していって、チタン素材部50とステンレス素材部60の接合面が、それぞれの表面全体に行き渡り強固な接合となる。
次に、図7を参照し、本発明に係る各持針器10,20,30のそれぞれの保持部1,23,33の部分であるチタン素材部50とハンドル部2,21,31の部分であるステンレス素材部60の接合方法を説明する。同図は、ステンレス素材部60の接合面に図6(c)で示す円柱状の突起70を形成して、チタン素材部50の接合面を平面としたときの接合の模式的な説明図である。
図7(a)で示すように、接合は、両素材部50,60のそれぞれの接合側とは反対側の両方の端部から接合側に向けて機械的な圧力を加えながら電流Iを流す。突起70はその断面積がステンレス素材部60の本体の断面積と比べて小さく、電流Iが流れるときの抵抗Rは、R=ρ・L/S(S:断面積、L:長さ、ρ:素材の固有抵抗)であるから急激に大きくなる。したがって、突起70は抵抗発熱(ジュール熱)62して、この熱で溶解する。一方、チタン素材部50とステンレス素材部60の本体部からはこの熱が放出されるため、発熱と放熱を利用して、両素材部50,60の接合面のみ溶融に必要な高温領域にすることにより、図7(b)で示すように良好な溶接による金属接合71が形成される。
この場合、チタン素材部50とステンレス素材部60の接触面において、チタン素材の融解熱はステンレス素材の融解熱を上回り、且つチタン素材の融解熱を下回るように、電流Iの値と通電時間が設定される。ここで、一般的にステンレス素材の融解温度は、炭素鋼に含有させるクロムやニッケルの含有率により変動するが、概ね13乃至14KJ/molであり、チタン素材の融解温度は、概ね14乃至15KJ/molである。
上記の抵抗溶接を用いることで、ステンレス素材のハンドル部2,21,31に設けられた突起70を溶解させて、当該溶解したステンレス素材が、保持部1,23,33のチタン素材内部に浸透して行き、両部材の接合面の全域にわたって両部材は強固な金属接合71を形成することになるのである。
以上、本願においては、外科手術用器具の一つである持針器の例について詳しく説明したが、チタン素材は、ステンレス素材のように生体に金属アレルギーを生じさせることがないので、本発明に係る外科手術用器具は、その先端が生体に接触する可能性がある他の外科手術用器具である、剪刀、抜糸剪刀、ピンセット、メス、鉗子等に適応される。
ここで、本発明に係る外科手術用器具が剪刀やハサミである場合は、被操作部(チタン素材)は、剪刀やハサミの刃の箇所であって、ハンドル部(ステンレス素材)はハサミ刃を動作させるために施術者の入れるための把持部である。
また、本発明に係る外科手術用器具がピンセットである場合は、被操作部(チタン素材)は、対象物を摘まむピンセットの一対の先端部であって、ハンドル部(ステンレス素材)は一対のピンセットの先端部を動かすための支点部を有する把持部である。
また、本発明に係る外科手術用器具がメスである場合は、被操作部(チタン素材)は、対象物を切るための刃部あって、ハンドル部(ステンレス素材)は当該メス刃の把持部である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除されるものではない。
上記したように、本発明は、チタン素材性の被操作部において磁性を帯びず、金属アレルギーを生じさせず、外科手術用器具全体として、操作性に優れ、耐薬品性、耐腐食性、耐摩耗性に優れ、ステンレス素材のハンドル部を含めて、低コストであり、耐金属疲労性能に優れた外科手術用器具の提供を可能としたのである。
本発明は、上記した数々の優れた技術的特徴を有する外科手術用器具に関するものであって、産業上の利用可能性を有する。
1 23 33 被操作部(保持部)
2 21 31 ハンドル部
3 関節部
4 ロック部
5 スプリング弾性部
70 突起
50a 突起70の先端に勘合する凹部

Claims (18)

  1. 外科施術者の手に握られるハンドル部と、当該ハンドル部に直接的又は間接的に接続された先端側の被操作部と、から構成された外科手術用器具であって、
    前記ハンドル部は、ステンレス素材により形成され、
    前記被操作部は、チタニウム、チタニウム酸化物又はチタニウム合金素材(以下、「チタン素材」という)により形成され、
    前記保持部のチタン素材と前記ハンドル部のステンレス素材の接合は、当該チタン素材と当該ステンレス素材の接合面の接触状態を維持させた状態で、所定値の電流を所定時間通電させることにより生じるジュール熱による溶解接合により行われる、
    ことを特徴とする手術用縫合針を保持するための外科手術用器具。
  2. 前記チタン素材と前記ステンレス素材の接合面の一方の中央部には、円錐状、円錐台形状状又は円柱状の突起が施されていることを特徴とする請求項1に記載の外科手術用器具。
  3. 前記チタン素材と前記ステンレス素材の接合面の他方は、前記突起の先端に勘合する凹部が施されていることを特徴とする請求項2に記載の外科手術用器具。
  4. 前記接合面の一方に施された円錐状の突起は、当該素材の垂直断面に対して2乃至10度の傾斜角を有するように形成されたことを特徴とする請求項3に記載の外科手術用器具。
  5. 前記接合面の一方に施された円錐台形状又は円柱状の突起の前記他方の平面に接触する断面は、当該素材の垂直断面の面積の30%以下であることを特徴とする請求項4に記載の外科手術用器具。
  6. 前記突起は、前記ステンレス素材の接合面に施されることを特徴とする請求項2乃至5の何れかの項に記載の外科手術用器具。
  7. 前記チタン素材と前記ステンレス素材の接触面において、前記ステンレス素材の融解熱を上回り、前記チタン素材の融解熱を下回るように前記電流の所定値と前記通電の所定時間が設定されることを特徴とする、請求項4乃至6の何れかの項に記載の外科手術用器具。
  8. 縫合針を保持する一対の保持部と、
    前記一対の各保持部に接続して前記保持部を操作する一対のハンドル部と、
    前記一対の保持部と前記一対のハンドル部の間の一箇所を結合する関節部と、
    前記ハンドル部の内側に設けられ、前記保持部において保持された縫合針の保持状態を維持するためのロック部と、を有し、
    前記保持部は、チタニウム、チタニウム酸化物又はチタニウム合金素材(以下、「チタン素材」という)により形成され、
    前記ハンドル部は、ステンレス素材により形成され、
    前記保持部のチタン素材と前記ハンドル部のステンレス素材の接合は、当該チタン素材と当該ステンレス素材の接合面の接触状態を維持させた状態で、所定値の電流を所定時間通電させることにより生じるジュール熱による溶解接合により行われる、
    ことを特徴とする手術用縫合針を保持するための持針器。
  9. 前記チタン素材と前記ステンレス素材の接合面の一方の中央部には、円錐状、円錐台形状状又は円柱状の突起が施されていることを特徴とする請求項8に記載の持針器。
  10. 前記チタン素材と前記ステンレス素材の接合面の他方は、前記突起の先端に勘合する凹部が施されていることを特徴とする請求項9に記載の持針器。
  11. 前記接合面の一方に施された円錐状の突起は、当該素材の垂直断面に対して2乃至10度の傾斜角を有するように形成されたことを特徴とする請求項9又は10に記載の持針器。
  12. 前記接合面の一方に施された円錐台形状又は円柱状の突起の前記他方の平面に接触する断面は、当該素材の垂直断面の面積の30%以下であることを特徴とする請求項9乃至11の何れか項に記載の持針器。
  13. 前記突起は、前記ステンレス素材の接合面に施されることを特徴とする請求項9乃至12の何れかの項に記載の持針器。
  14. 前記チタン素材と前記ステンレス素材の接触面において、前記ステンレス素材の融解熱を上回り、前記チタン素材の融解熱を下回るように前記電流の所定値と前記通電の所定時間が設定されることを特徴とする、請求項8乃至13の何れかの項に記載の持針器。
  15. 前記ロック部におけるロック状態が解除された場合に、前記一対の保持部を広げるためのステンレス素材により形成されるスプリング弾性部をさらに備える請求項8に記載の持針器。
  16. 前記ロック部は、ステンレス又はニッケル−チタン合金による形状記憶弾性素材から形成されたことを特徴とする請求項15に記載の持針器。
  17. 前記保持部における保持する縫合針と接触する保持部の面に、種々の縫合針の径に対応した複数の溝が平行に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の持針器。
  18. 前記スプリング弾性部は、前記ハンドル部の後端から伸延した状態で形成され、前記ハンドル部と一体成型されたことを特徴とする請求項8に記載の持針器。
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