JP2020178681A - 核酸検出方法、及び試薬キット - Google Patents

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【課題】 標的核酸の配列数や種類に応じたプライマー設計を必要とせずに、融解曲線を用いて標的核酸の高感度な検出を可能とする核酸検出方法を提供する。【解決手段】 試料に含まれる標的核酸を検出する核酸検出方法であって、(1)前記標的核酸と実質的に相補的な塩基配列を有し、かつ、前記標的核酸とは異なる塩基配列である計測用部位を有する増幅用核酸を、前記試料に添加する第1工程、(2)酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を、前記第1工程で得られる前記試料に添加し、前記計測用部位と相補的な塩基配列を有する計測用核酸を増幅する第2工程、(3)前記第2工程で得られる計測用核酸の融解曲線を測定し、前記融解曲線に基づいて前記標的核酸を検出する第3工程を有することを特徴とする核酸検出方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、核酸検出方法、及び試薬キットに関する。
試料中に存在する目的の核酸(標的核酸)を高感度に検出する方法の1つとして、Polymerase Chain Reaction(PCR)を代表とする遺伝子増幅反応を用いるものが挙げられる。DNAマイクロアレイや次世代DNAシークエンシングなどの他の核酸検出方法と比べて、PCRは、網羅性に劣るものの、低コストであり、かつ、簡便性及び定量性に優れるため、広く用いられている。
PCRにより核酸を検出するためには、標的核酸が増幅したことを確認する必要がある。一般に、標的核酸の増幅を、蛍光強度の変化で確認することが多い。例えば、PCRにより増幅した標的核酸と特異的に結合でき、かつ、蛍光物質を有するプローブを用いるプローブ法(Taq Manプローブ法など)がある。また、SYBR Greenなどの2本鎖DNAと結合する蛍光物質がPCRにより増幅した標的核酸に取り込まれることを利用するインターカレータ法などもある。
なかでも、インターカレータ法は、すべての2本鎖DNAを検出できるため、標的核酸ごとに対応するプローブを準備する必要がなく、低コストで用いることができる。しかし、プライマーダイマーのような、非特異的な増幅産物にも蛍光物質が結合してしまうため、非特異的な増幅産物が蛍光強度に影響を与える場合がある。そこで、標的核酸の増幅産物の生成を、融解曲線を測定することで、確認する方法がある(特許文献1参照)。ここで、融解曲線とは、2本鎖の核酸の量に対する、2本鎖の核酸が解離して得られる1本鎖の核酸の量の割合の、温度依存性を示すものである。
さらに、標的核酸の融解曲線を測定するのではなく、標的核酸の存在により生じる別の核酸の融解曲線を測定することで、標的核酸を検出する方法がある。具体的には、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたPTOが切断されて断片を放出し、その断片がCTOにハイブリッド形成して得られた伸長2本鎖の存在を検出することで、ターゲット核酸配列を検出する方法がある(特許文献2参照)。ここで、PTOとは、Probing and Tagging Oligonucleotideの略であり、CTOとは、Capturing and Templating Oligonucleotideの略である。
特表2012−502634号公報 特開2017−070298号公報
本発明者らの検討の結果、標的核酸の増幅産物が40塩基対以上の長さであると、増幅産物の融解曲線のピークの位置を正確に予測することが難しく、目的の増幅産物の生成を確認できないことがわかった。また、試料中に検出したい標的核酸が複数種ある場合、複数種の増幅産物に対応する複数の融解曲線が測定されることとなる。融解曲線が複数あると、各融解曲線を分離することが難しく、目的の増幅産物の生成を確認できない場合がある。長い増幅産物の融解曲線を予め測定したり、複数の融解曲線を分離したりするためには、標的核酸の配列数や種類に応じて、PCRに用いるプライマーの配列を試行錯誤しながら設計する必要があり、手間がかかる。
また、特許文献2に記載の方法では、ターゲット核酸配列の検出感度を向上させるために、PTOとハイブリッド形成するターゲット核酸配列を増幅させる必要がある。しかし、増幅させたターゲット核酸配列の存在により、伸長2本鎖の融解曲線を取得しにくい場合があり、ターゲット核酸配列の検出感度のさらなる向上が求められる。
したがって、本発明の目的は、標的核酸の配列数や種類に応じたプライマー設計を必要とせずに、融解曲線を用いて標的核酸の高感度な検出を可能とする核酸検出方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、標的核酸の配列数や種類に応じたプライマー設計を必要とせずに、融解曲線を用いて標的核酸の高感度な検出を可能とする試薬キットを提供することにある。
本発明の一態様による核酸検出方法は、試料に含まれる標的核酸を検出する核酸検出方法であって、(1)前記標的核酸と実質的に相補的な塩基配列を有し、かつ、前記標的核酸とは異なる塩基配列である計測用部位を有する増幅用核酸を、前記試料に添加する第1工程、(2)酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を、前記第1工程で得られる前記試料に添加し、前記計測用部位と相補的な塩基配列を有する計測用核酸を増幅する第2工程、並びに(3)前記第2工程で得られる計測用核酸の融解曲線を測定し、前記融解曲線に基づいて前記標的核酸を検出する第3工程を有する。
本発明の一態様による試薬キットは、試料に含まれる標的核酸を検出するための試薬キットであって、前記試薬キットが、増幅用核酸A、増幅用核酸B、切断用核酸、プライマーA、プライマーB、酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を含み、前記増幅用核酸Aが、前記標的核酸とは塩基配列が異なる計測用部位Aを有し、かつ、その3’端側に前記標的核酸を認識する認識部位Aを有し、前記増幅用核酸Bが、酵素反応ブロック部位を3’端側に有し、かつ、前記標的核酸とは塩基配列が異なる計測用部位Bを有し、前記計測用部位Aの3’端側と前記計測用部位Bの3’端側が、互いに相補的な塩基配列を有し、前記切断用核酸の3’端側が、前記標的核酸のうち前記認識部位Aが結合する領域よりも3’端側の領域と実質的に相補的な塩基配列を有し、前記プライマーA及び前記プライマーBが、前記計測用部位A及び前記計測用部位Bの5’端側と実質的に同一の塩基配列を有する。
本発明によれば、標的核酸の配列数や種類に応じたプライマー設計を必要とせずに、融解曲線を用いて標的核酸の高感度な検出を可能とする核酸検出方法、及び試薬キットを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る核酸検出方法の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る核酸検出方法の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る試薬キットの一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る試薬キットの作用機序の一例を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る試薬キットの一例を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る試薬キットの作用機序の一例を示す図である。 図4に示す本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序のうち、切断用核酸が増幅用核酸Aを切断する反応に関して、計測用部位Aの塩基数と切断用核酸が認識する標的核酸の配列の位置が切断反応に与える影響を検討した実験結果である。 図4に示す本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序のうち、切断用核酸が増幅用核酸Aを切断する活性に対する計測用部位Aの塩基数の影響を検討した実験結果である。 図4に示す本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序のうち、切断用核酸が増幅用核酸Aを切断する活性に対する計測用部位Aの塩基配列の影響と、切断用核酸が増幅用核酸Aを切断する活性に対する増幅用核酸Aの切断箇所の配列の影響を検討した実験結果である。 図4に示す本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序が機能することを確認する検討を行った実験結果である。 図4に示す本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序が機能することを確認する検討を行った実験結果である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。本発明において、試料とは、尿や血液などの、生体から採取する検体であってもよいし、精製や濃縮、検体中の検出対象物の化学修飾や断片化など、検出のための前処理を行った検体であってもよい。また、標的核酸とは、デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)などであり、2本鎖であっても1本鎖であってもよい。
さらに、本発明において、「実質的に同一な塩基配列」、「実質的に相補的な塩基配列」とは、2つの核酸が十分に2本鎖を形成しうる塩基配列のことを指す。塩基配列Xと「実質的に同一な塩基配列」の例として、塩基配列Xと完全同一な塩基配列、塩基配列Xと75%以上の同一性を有する塩基配列、塩基配列Xにおいて、1〜15個の塩基が欠失、置換、又は付加されている塩基配列が挙げられる。また、塩基配列Xと「実質的に相補的な塩基配列」の例として、塩基配列Xと完全相補的な塩基配列Y、塩基配列Yと75%以上の同一性を有する塩基配列、塩基配列Yにおいて、1〜15個の塩基が欠失、置換、又は付加されている塩基配列が挙げられる。
本発明のいずれの実施形態においても、標的核酸そのものではなく、計測用部位を有する計測用核酸を増幅させることで、標的核酸を検出することができる。そのため、標的核酸の配列数や種類に応じたプライマーの設計を必要とせずに融解曲線を用いた核酸の検出が可能となる。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る核酸検出方法の一例を示す図である。核酸検出方法は、試料102から標的核酸101を検出する方法であり、以下の工程を少なくとも有する。
(1)標的核酸101と実質的に相補的な塩基配列を有し、かつ、標的核酸101とは異なる塩基配列である計測用部位103を有する増幅用核酸104を、試料に添加する第1工程
(2)酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸(NTP)又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)を、第1工程で得られる試料に添加し、計測用部位103を有する計測用核酸105を増幅する第2工程
(3)第2工程で得られる計測用核酸の融解曲線を測定し、測定した融解曲線に基づいて標的核酸101を検出する第3工程
試料に標的核酸が存在すると、標的核酸と実質的に相補的な配列を有する増幅用核酸が標的核酸と結合する。増幅用核酸の標的核酸への結合により、増幅用核酸を鋳型として、酵素、及び、NTP又はdNTPの存在下で、計測用部位を有する計測用核酸が増幅する(図1(b))。このような核酸検出方法を用いることで、標的核酸が存在すると、標的核酸そのものではなく、計測用部位を有する計測用核酸を増幅させることができる。そのため、標的核酸の配列数が多かったり、標的核酸の種類を変更したりする場合でも、増幅用核酸の一部の塩基配列を、標的核酸の塩基配列と実質的に相補的な塩基配列になるように変更すればよく、計測用核酸の塩基配列を変更する必要はない。さらに、複数種の標的核酸を増幅させる場合は、複数種の標的核酸の融解曲線を予め測定しておく必要があるが、計測用核酸を増幅させる場合は、計測用核酸の融解曲線を測定しておけばよい。このように、本発明の核酸検出方法は、手間がかからない。
融解曲線とは、2本鎖の核酸の量に対する、2本鎖の核酸が解離して得られる1本鎖の核酸の量の割合の、温度依存性を示すものである。例えば、2本鎖の核酸を含む溶液の温度を上昇させる際の、物理的信号の強度(蛍光強度など)の変化を測定することで得られる。蛍光強度を測定する色素としては、SYBR Green、EvaGreenなどのインターカレータ色素が用いられる。インターカレータ色素とは、核酸に結合して、核酸の2重らせん構造に入り込む分子の1種である。SYBR Greenと比べて、EvaGreenは、蛍光強度が大きく、色素の再分布も起こりにくい。そのため、蛍光強度を測定する色素として、EvaGreenを用いることが好ましい。
第2工程で得られる計測用核酸の融解曲線を測定し、測定した融解曲線に基づき、試料中に増幅した計測用核酸が存在することが分かれば、試料中に標的核酸が存在していることを示している。一方、試料中に増幅した計測用核酸が存在しない(図1(a))ことが分かれば、試料中に標的核酸が存在しないことを示している。
本実施形態において、第3工程は、第2工程で得られる計測用核酸の融解曲線と、予め測定されている計測用核酸の融解曲線とを比較することで、標的核酸を検出することができる。また、第2工程で得られる計測用核酸の融解曲線と、予め測定されている計測用核酸の融解曲線との相関係数を算出し、相関係数に基づいて標的核酸を検出してもよいし、融解曲線の融解温度に基づいて標的核酸を検出してもよい。また、これらの方法を複数用いて標的核酸を検出してもよい。ここで、相関係数とは、2つの融解曲線の類似性を定量化した指標である。例えば、上記2つの融解曲線のデータをそれぞれベクトルとし、ベクトルのすべての要素の平均値が0、ベクトルの大きさが1となるように正規化した後、その2つのベクトルの内積を相関係数とすることができる。
試料中に検出したい標的核酸が複数種ある場合は、複数種の標的核酸に対応する複数種の増幅用核酸を用いればよい。図2は、本発明の第1の実施形態に係る核酸検出方法の一例を示す図である。図2は、検出したい標的核酸を、標的核酸201及び202の2種としているが、3種以上であってもよい。標的核酸201の検出には、標的核酸201と実質的に相補的な塩基配列を有し、かつ、計測用部位204を有する増幅用核酸206を用いることができる(図2)。標的核酸202の検出には、標的核酸202と実質的に相補的な塩基配列を有し、かつ、計測用部位205を有する増幅用核酸207を用いることができる(図2)。
予め測定されている計測用核酸の融解曲線との比較により、計測用部位204を有する計測用核酸208の融解曲線が得られたことが分かれば、試料中に標的核酸201が存在していることを示している(図2(b))。また、計測用部位205を有する計測用核酸209の融解曲線が得られたことが分かれば、試料中に標的核酸202が存在していることを示している(図2(c))。一方、試料中に増幅した計測用核酸208及び計測用核酸209が存在しない(図2(a))ことが分かれば、試料中に標的核酸が存在しないことを示している。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る核酸検出方法は、試料から標的核酸を検出する方法であり、以下の工程を少なくとも有する。
(1)計測用部位Aを含む増幅用核酸A、計測用部位Bを含む増幅用核酸B、切断用核酸、プライマーA、及びプライマーBを、試料に添加する第1工程
(2)酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を、第1工程で得られる試料に添加し、計測用部位Bを鋳型として計測用部位Aを伸長して得られる計測用核酸(図4中で増幅する核酸を計測用核酸408とする)を増幅する第2工程
(3)第2工程で得られる計測用核酸の融解曲線を測定し、融解曲線に基づいて標的核酸を検出する第3工程
ここで、増幅用核酸Aは、その3’端側に前記標的核酸を認識する認識部位Aを有し、増幅用部位Bは、その3’端側に酵素反応ブロック部位を有する。計測用部位A及び計測用部位Bは、標的核酸とは塩基配列が異なり、かつ、それらの3’端側に互いに相補的な塩基配列を有する。切断用核酸の3’端側は、標的核酸のうち認識部位Aが結合する領域よりも3’端側の領域と実質的に相補的な塩基配列を有する。プライマーA及びプライマーBは、それぞれ計測用部位A及び計測用部位Bの5’端側と実質的に同一な塩基配列を有する。
第2の実施形態において、標的核酸を検出するために、プライマーとして、増幅用核酸に含まれる計測用部位の5’端側と実質的に同一な配列を有するものを用いることが重要である。その理由は、以下の通りである。
標的核酸が存在すると、増幅用核酸Aの有する認識部位Aが標的核酸を認識することで、増幅用核酸Aが切断されて計測用部位Aが生じる。この計測用部位Aの3’端側と、計測用部位Bの3’端側が相補的に結合することで、計測用部位Aの3’端側から塩基の伸長が起こり、計測用核酸が生じる。この計測用核酸の3’端側は、プライマーBと実質的に相補的な塩基配列を有するため、プライマーBと相補的に結合して、プライマーBの3’端側から塩基の伸長が起こり、さらなる計測用核酸が生じる。これにより、計測用核酸が増幅する。
一方、標的核酸が存在しないと、そもそも増幅用核酸Aの切断が起こらないため、計測用核酸が生じない。そして、プライマーが増幅用核酸に含まれる計測用部位の5’端側と相補的に結合できないため、プライマーからの塩基の伸長が起こらず、核酸が増幅することはない。
このように、第2の実施形態に係る核酸検出方法においては、計測用部位の5’端側と相補的な塩基配列を有する核酸が存在しないことで、標的核酸の有無による計測用核酸の増幅の有無を確認することが可能となる。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの一例を示す図である。本発明は、試料から標的核酸301を検出するための試薬キットである。試薬キットは、増幅用核酸A302、増幅用核酸B303、切断用核酸304、プライマーA305、プライマーB306、酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を含む。増幅用核酸Aは、標的核酸301とは塩基配列が異なる計測用部位A307を有し、かつ、その3’端側に標的核酸を認識する認識部位A309を有する。増幅用核酸Bは、酵素反応ブロック部位310を3’端側に有し、かつ、標的核酸301とは塩基配列が異なる計測用部位B308を有する。計測用部位Aの3’端側311と計測用部位Bの3’端側312は、互いに相補的な塩基配列を有する。切断用核酸304の3’端側は、標的核酸のうち認識部位A309が結合する領域よりも3’端側の領域と実質的に相補的な塩基配列を有する。また、プライマーA及びBは、計測用部位A及びBの5’端側313,314と実質的に同一の塩基配列を有する。
酵素としては、増幅用核酸としてDNAを用いる場合は、耐熱性のDNAポリメラーゼ、増幅用核酸としてRNAを用いる場合は、逆転写酵素を用いることが好ましい。
複数種の標的核酸を検出するためには、複数種の試薬キット含む試薬セットを用いることが好ましい。標的核酸と試薬キットは、1対1の対応関係にあり、複数種の標的核酸に対して複数種の試薬キットを用いる。各試薬キットに含まれる増幅用核酸の有する計測用部位の塩基配列は、標的核酸の種類に応じて、異なる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序の一例を示す図である。まず、増幅用核酸A402の有する認識部位Aが標的核酸401を認識して、標的核酸に結合する。さらに、切断用核酸403は、増幅用核酸A402の有する認識部位Aが認識する標的核酸401の領域よりも3’端側の領域に結合する。試薬キットに含まれる酵素404、及びヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸の存在下で、切断用核酸403の3’末端から核酸の伸張反応が起こる。酵素としては、5’−Flapエンドヌクレアーゼ活性を有するものを用いることが好ましい。これにより、増幅用核酸A402に含まれる計測用部位A405の3’末端で核酸が切断される。そして、試料キットに含まれる増幅用核酸B406の有する計測用部位B407の3’端側と、切断されて得られる計測用部位Aの3’端側の塩基配列とが相補的に結合することで、計測用部位Aの3’末端から核酸の伸張反応が起こる。一方で、増幅用核酸B406は、酵素反応ブロック部位を3’端側に有するため、増幅用核酸B406の核酸の伸長反応は起こらない。酵素反応ブロック部位としては、何らかの化学的修飾(例えば、3’末端のリン酸化)や、標的核酸を含む核酸と結合しないランダム配列、ポリdA配列、ポリdT配列、ポリdG配列、及びポリdC配列などの塩基配列が挙げられる。
さらに、試料キットに含まれるプライマーA、プライマーB、酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸の存在下で、計測用部位A及び計測用部位Bを有する計測用核酸408が増幅される(図4(a))。得られた計測用核酸408の融解曲線と、予め測定されている計測用核酸の融解曲線を比較することで、試料中の標的核酸を検出できる。酵素としては、増幅用核酸としてDNAを用いる場合は、耐熱性のDNAポリメラーゼ、増幅用核酸としてRNAを用いる場合は、逆転写酵素を用いることが好ましい。
標的核酸が存在しない場合は、図4(b)に示すように、増幅用核酸A402から計測用部位A402が切断されず、計測用部位A402には標的核酸を認識する認識部位Aが結合したままである。そのため、計測用部位A402と計測用部位B406が結合しても伸張反応が起こらず、計測用部位A及び計測用部位Bを有する計測用核酸の増幅が起こらない。
試薬キットは、融解曲線を測定するための色素を含むことが好ましい。色素としては、第1の実施形態で挙げたものを用いることができる。
計測用部位Aは、その5’端側から順に、プライマーAと実質的に同一な塩基配列A1、及び計測用部位Bと相補的な塩基配列A2を有することが好ましい。また、計測用部位Bは、その5’端側から順に、プライマーBと実質的に同一な塩基配列B1、及び計測用部位Aと相補的な塩基配列B2を有することが好ましい。
すなわち、計測用部位A及びBにおいて、プライマーA及びBと実質的に同一な塩基配列(313、314)は、計測用部位A及びBの3’端側の互いに相補的な塩基配列(311、312)よりも、5’端側に位置することが好ましい(図3参照)。各計測用部位において、プライマーA及びBと実質的に同一な塩基配列(313、314)と計測用部位A及びBの3’端側の互いに相補的な塩基配列(311、312)の間に塩基が含まれていてもよい。また、プライマーA及びBと実質的に同一な塩基配列(313、314)と計測用部位A及びBの3’端側の互いに相補的な塩基配列(311、312)が重複していてもよい。しかし、計測用部位Bを鋳型としたプライマーAの伸長反応、又は計測用部位Aを鋳型としたプライマーBの伸長反応が進まないことが好まし。伸長反応の進みやすさの観点から、重複する塩基の数は、5塩基以下であることが好ましく、1塩基以下であることがさらに好ましく、重複する塩基がないことがさらに好ましい。
また、計測用部位A405の塩基の数は、酵素404による増幅用核酸A402の切断が起こりにくくなるため、40塩基以下であることが好ましく、36塩基以下であることがさらに好ましい。
なお、増幅用核酸Aの計測用部位Aの塩基配列は、本発明の第2の実施形態における酵素切断の活性には影響しない。また、増幅用核酸Aの認識部位Aの配列、及び酵素切断配列に関しても、酵素切断の活性には影響しない。
増幅用核酸Aが標的核酸を認識する認識部位Aと標的核酸のTm値、増幅用核酸Aと増幅用核酸Bの相補的な配列のTm値は、40〜80℃程度が好ましく、PCR反応時の温度を各Tm値に応じて調節することが好ましい。
<第3の実施形態>
図5は、本発明の第3の実施形態に係る試薬キットの一例を示す図である。本発明は、試料から標的核酸501を検出するための試薬キットである。試薬キットは、増幅用核酸A502、増幅用核酸B503、プライマーA504、プライマーB505、酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を含む。増幅用核酸A502は、標的核酸501を認識する認識部位A506を有し、かつ、標的核酸501とは異なる塩基配列である計測用部位A508を3’端側に有する。増幅用核酸B503は、標的核酸501を認識する認識部位B507を有し、かつ、標的核酸501とは異なる塩基配列である計測用部位B509を3’端側に有する。計測用部位A及び計測用部位Bの3’端側510、511の塩基配列は、互いに実質的に相補的である。プライマーA504及びプライマーB505はそれぞれ、計測用部位Aの5’端側512及び計測用部位Bの5’端側513と実質的に同一な塩基配列である。酵素としては、増幅用核酸としてDNAを用いる場合は、耐熱性のDNAポリメラーゼ、増幅用核酸としてRNAを用いる場合は、逆転写酵素を用いることが好ましい。
複数種の標的核酸を検出するためには、複数種の試薬キット含む試薬セットを用いることが好ましい。標的核酸と試薬キットは、1対1の対応関係にあり、複数種の標的核酸に対して複数種の試薬キットを用いる。各試薬キットに含まれる増幅用核酸の有する計測用部位の塩基配列は、標的核酸の種類に応じて、異なる。
図6は、本発明の第3の実施形態に係る試薬キットの作用機序の一例を示す図である。まず、増幅用核酸A602と増幅用核酸B603はそれぞれ、標的核酸601を認識する部位を有するため、2種の増幅用核酸が標的核酸に互いに近接して結合する。さらに、増幅用核酸A602の有する計測用部位A604の3’端側と、増幅用核酸B603の有する計測用部位B605の3’端側が互いに相補的な塩基配列を有することで、その相補的な塩基配列の部分で、安定して2本鎖を形成できる。
そして、試薬キットに含まれる酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸により、2種の計測用部位の3’末端から核酸の伸長反応が起こる。次いで、試薬キットに含まれる2種の計測用部位の末端と実質的に同一な塩基配列を有する2種のプライマー、酵素、及びヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸により、2種の計測用部位を有する計測用核酸がPCRにより増幅する。得られた計測用核酸の融解曲線と、予め測定されている計測用核酸の融解曲線を比較することで、試料中の標的核酸を検出できる。
試料中に標的核酸が存在しない場合は、2種の増幅用核酸が互いに近接しにくいので、2種の計測用核酸の3’端側の塩基配列の部分で、2本鎖を形成しにくい。そのため、2種の計測用核酸の3’末端から核酸の伸長反応が起こらない。これにより、2種の計測用部位を有する計測用核酸が増幅しない。
試薬キットは、融解曲線を測定するための色素を含むことが好ましい。色素としては、第1の実施形態で挙げたものを用いることができる。
<第4の実施形態>
図7は、本発明の第4の実施形態に係る試薬キットの一例を示す図である。本発明は、試料に含まれる標的核酸701を検出するための試薬キットである。試薬キットは、増幅用核酸A702、増幅用核酸B703、ライゲーション用核酸704、プライマーA705、プライマーB706、酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を含む。増幅用核酸A702は、標的核酸701を認識する認識部位A707を有し、かつ、標的核酸701とは異なる塩基配列である計測用部位A709を5’端側に有し、5’末端がリン酸化710されている。増幅用核酸Bは、標的核酸701を認識する認識部位B708を有し、かつ、標的核酸701とは異なる塩基配列である計測用部位B711を3’端側に有する。ライゲーション用核酸704は、計測用部位Aの5’端側712と実質的に相補的な塩基配列713、及び計測用部位Bの3’端側714と実質的に相補的な塩基配列715を有する。プライマーAは、計測用部位Aの3’端側716と実質的に相補的な塩基配列を有し、プライマーBは、計測用部位Bの5’端側717と実質的に同一な塩基配列を有する。
図7(a)のように標的核酸701における増幅用核酸Aの結合部位が、増幅用核酸Bの結合部位より3’端側にあってもよいし、図7(b)のように標的核酸701における増幅用核酸Aの結合部位が、増幅用核酸Bの結合部位より5’端側にあってもよい。
酵素としては、第2の実施形態及び第3の実施形態で挙げたもののほかに、ライゲーション反応を促進させる酵素であるT4 DNAリガーゼ、E Coli.DNAリガーゼなどを用いることができる。
複数種の標的核酸を検出するためには、複数種の試薬キット含む試薬セットを用いることが好ましい。標的核酸と試薬キットは、1対1の対応関係にあり、複数種の標的核酸に対して複数種の試薬キットを用いる。各試薬キットに含まれる増幅用核酸の有する計測用部位の塩基配列は、標的核酸の種類に応じて、異なる。
図8は、本発明の第4の実施形態に係る試薬キットの作用機序の一例を示す図である。まず、増幅用核酸A802と増幅用核酸B803はそれぞれ、標的核酸801を認識する部位を有するため、2種の増幅用核酸が標的核酸に互いに近接して結合する。さらに、増幅用核酸Aの有する計測用部位A805、及び増幅用核酸Bの有する計測用部位B806と、実質的に相補的な塩基配列を有するライゲーション用核酸804が存在する。これにより、ライゲーション用核酸と2種の増幅用核酸とで安定な3者複合体が形成される。試料キットに含まれる酵素により、ライゲーション反応が生じることで、計測用部位AとBが連結される。さらに、試薬キットに含まれる2種のプライマー、酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸により、2種の計測用部位A及びBを有する計測用核酸がPCRにより増幅する。得られた計測用核酸の融解曲線と、予め測定されている計測用核酸の融解曲線を比較することで、試料中の標的核酸を検出できる。
試料中に標的核酸が存在しない場合は、2種の増幅用核酸が互いに近接しにくいので、ライゲーション用核酸と2種の増幅用核酸との3者複合体が形成しにくい。そのため、2種の計測用部位を有する計測用核酸が増幅しない。
試薬キットは、融解曲線を測定するための色素を含むことが好ましい。色素としては、第1の実施形態で挙げたものを用いることができる。
<実施例1:計測用部位Aの塩基数と切断用核酸の位置の検討>
図4に示す本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序のうち、切断用核酸が伸長する際に酵素が増幅用核酸Aを切断する反応に関して、計測用部位Aの塩基数と切断用核酸が認識する標的核酸の配列の位置が切断反応に与える影響を調べた。
増幅用核酸Aが酵素により切断されたことを確認するために、増幅用核酸Aの5’末端、若しくは3’末端に蛍光色素を修飾し、電気泳動を行うことにより、蛍光色素で修飾された増幅用核酸Aの分子量の変化を蛍光イメージングで評価した。増幅用核酸Aとして、塩基配列8の5’末端を蛍光色素FAMで修飾し、3’末端をC3スペーサで修飾した増幅用核酸(FAM−増幅用核酸A8−C3spacer)、塩基配列8の3’末端を蛍光色素FAMで修飾した増幅用核酸(増幅用核酸A8‐FAM)、塩基配列8の5’末端を蛍光色素FAMで修飾した増幅用核酸(FAM−増幅用核酸A8)、塩基配列1の5’末端をFAMで修飾し、3’末端をC3スペーサで修飾した増幅用核酸(FAM−増幅用核酸A1−C3spacer)を用いた。3’末端のC3スペーサ修飾の有無で、酵素による増幅用核酸Aの切断反応の効率が大きく変わることを考慮して、C3スペーサ修飾の有無での検討を行った。また、切断用核酸が結合する標的核酸の部位と増幅用核酸Aが結合する標的核酸の部位の距離により、酵素による増幅用核酸Aの切断反応の効率が大きく変わる。そのことを考慮して、切断用核酸が結合する標的核酸の部位と増幅用核酸Aが結合する標的核酸の部位の距離が異なる条件での検討を行った。切断用核酸としては、増幅用核酸Aが結合する標的核酸の部位からの距離が異なる切断用核酸1(塩基配列9)、切断用核酸2(塩基配列29)を用いた。増幅用核酸A、切断用核酸、標的核酸を、それぞれ、終濃度1μM、2μM、0.5μMで混合し、DNAポリメラーゼを含むPCRプレミックス(New England BioLabs、Hot Start Taq 2X Master Mix、M0496L)を1倍量になるように混合し、サーマルサイクラー(Biometra、TGRADIENT)を用いて、95℃で30秒間熱した後に、95℃で30秒間、60℃で60秒間を30サイクル繰り返した。その後、変性電気泳動ゲルNovex(TM) TBE−Urea Gels,15%,10 well(Thermo Fisher Scientific)で電気泳動を行った。また、マーカーとして、増幅用核酸A8の5’末端を蛍光色素FAMで修飾し、3’末端をC3スペーサで修飾したFAM−増幅用核酸A8−C3スペーサと、増幅用核酸A1とA8の切断後の計測用部位A側の核酸(配列番号26、27)の各々の5’末端を蛍光色素FAMで修飾したFAM−切断後増幅用核酸A1、A8、増幅用核酸A8の切断後の認識部位(配列番号28)の3’末端側をFAMで修飾した切断後増幅用核酸A8−FAMを用いた。電気泳動後、IVIS Imaging System(PerkinElmer)を用いて蛍光イメージングを行い、切断用核酸による増幅用核酸Aの切断による分子量の変化をゲル中の蛍光バンドの変化から評価した。その結果を図9に示す。図9において、レーン2に示すマーカー(FAM−切断後増幅用核酸A8)と同じ位置に、レーン3に示す標的核酸が存在した時のFAM−増幅用核酸A8―C3spacerと切断用核酸2との反応後のサンプルで蛍光のバンドが確認できた。また、レーン4に示す標的核酸が存在しない時では、その蛍光バンドが確認できないことより、計測用部位Aが14塩基の場合は切断反応が起こることを確認した。同様に、レーン6とレーン7、8を比較することで、FAM修飾の位置が3’末端側でも、切断反応が起こっていること、レーン2とレーン9、10を比較することで、増幅用核酸Aの3’末端にC3spacerが無くても、切断反応が起こっていることを確認した。一方、レーン17に示すマーカー(FAM−切断後増幅用核酸A1)と同じ位置に、レーン18、19で示すサンプルでは蛍光バンドが確認できないことより、計測用部位Aが46塩基の場合は切断が起こっていないことを確認した。また、レーン11と13とも、レーン16に示すマーカー(FAM−切断後増幅用核酸A8)と同じ位置に蛍光バンドが確認できることより、切断用核酸の標的核酸を認識する位置が、増幅用核酸Aの標的核酸を認識する位置からの距離が5塩基でも、31塩基でも切断が起こることを確認した。
<実施例2:計測用部位Aの塩基数の検討>
図4に示す、本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序のうち、切断用核酸が伸長する際に酵素が増幅用核酸Aを切断する活性に対する計測用部位Aの塩基数の影響について、詳細に検討した。
計測用部位Aの塩基数の異なる塩基配列1〜8の増幅用核酸の5’末端を蛍光色素FAMで修飾した増幅用核酸(FAM−増幅用核酸A1〜A8)と、塩基配列9の切断用核酸、塩基配列10の標的核酸を、それぞれ、終濃度1μM、2μM、0.5μMで混合し、DNAポリメラーゼを含むPCRプレミックス(New England BioLabs、Hot Start Taq 2X Master Mix、M0496L)を1倍量になるように混合し、サーマルサイクラー(Biometra、TGRADIENT)を用いて、95℃で30秒間熱した後に、95℃で30秒間、60℃で60秒間を30サイクル繰り返した。その後、変性電気泳動ゲルNovex(TM) TBE−Urea Gels,15%,10 well(Thermo Fisher Scientific)で電気泳動を行った。また、マーカーとして、増幅用核酸A1とA8の5’末端に蛍光色素FAMで修飾したFAM−増幅用核酸A1、A8、増幅用核酸A1とA8の切断後の計測用部位A側の核酸(配列番号26、27)の5’末端に蛍光色素FAMで修飾したFAM−切断後増幅用核酸A1、A8を用いた。電気泳動後、IVIS Imaging System(PerkinElmer)を用いて蛍光イメージングを行い、切断用核酸による増幅用核酸Aの切断による分子量の変化をゲル中の蛍光バンドの変化から評価した。ゲルの蛍光イメージングの蛍光写真を図10に示す。レーン2に示すマーカー(FAM−切断後増幅用核酸)と同じ位置に、レーン3に示す標的核酸が存在した時のFAM−増幅用核酸A8の反応後のサンプルにおいても蛍光バンドが確認でき、レーン4に示す標的核酸が存在しない時では、その蛍光バンドが確認できないことにより、計測用部位Aの塩基数が14塩基の場合に切断反応が起こっていることが確認できる。同様に、レーン2よりは分子量が大きいが、レーン1の切断前のFAM−増幅用核酸A8の蛍光バンドよりは、分子量の小さい位置に、レーン5、7、9、13、15において、蛍光バンドが確認でき、その蛍光バンドは、標的核酸が存在しない時のサンプル(レーン6、8、10、14、16)では確認できなかった。また、レーン17、19では、レーン12に示すマーカーFAM−切断後増幅用核酸A1の蛍光バンド付近に、蛍光バンドが確認できなかった。以上より、計測用部位Aの塩基数が41(レーン17に相当)以上だと、酵素による増幅用核酸Aの切断がほとんど起こらないことを確認した。
<実施例3:計測用部位Aの配列依存性の検討>
図4に示す、本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序のうち、切断用核酸が伸長する際に酵素が増幅用核酸Aを切断する活性に対する計測用部位Aの塩基配列の影響を検討した。
計測用部位Aの塩基数は同じで配列が異なる塩基配列5、11〜14の増幅用核酸の5’末端を蛍光色素FAMで修飾した増幅用核酸(FAM−増幅用核酸A5、A11〜14)と、塩基配列9の切断用核酸、塩基配列10の標的核酸を、それぞれ、終濃度1μM、2μM、0.5μMで混合し、DNAポリメラーゼを含むPCRプレミックス(New England BioLabs、Hot Start Taq 2X Master Mix、M0496L)を1倍量になるように混合し、サーマルサイクラー(Biometra、TGRADIENT)を用いて、95℃で30秒間熱した後に、95℃で30秒間、60℃で60秒間を30サイクル繰り返した。その後、変性電気泳動ゲルNovex(TM) TBE−Urea Gels,15%,10 well(Thermo Fisher Scientific)で電気泳動を行った。その後、IVIS LuminaLT SeriesIII(PerkinElmer)を用いて蛍光イメージングを行い、切断用核酸による増幅用核酸Aの切断による分子量の変化をゲル中の蛍光バンドの変化から評価した。ゲルの蛍光イメージングの蛍光写真を図11のレーン1〜10に示す。標的核酸が存在しない場合(レーン2、4、6、8、10)と比較して、標的核酸が存在する場合(レーン1、3、5、7、9)では、低分子量の位置に蛍光バンドが確認できた。これにより、計測用部位Aの配列に依らずに切断が起こることを確認した。
<実施例4:増幅用核酸Aの切断箇所の配列依存性の検討>
図4に示す、本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序のうち、切断用核酸が伸長する際に酵素が増幅用核酸Aを切断する活性に対する増幅用核酸Aの切断箇所の配列の影響を検討した。
切断箇所の配列の異なる塩基配列5、15〜18の5’末端を蛍光色素FAMで修飾した増幅用核酸(FAM−増幅用核酸A5、A15〜A18)と、塩基配列9の切断用核酸、塩基配列10の標的核酸を、それぞれ、終濃度1μM、2μM、0.5μMで混合し、DNAポリメラーゼを含むPCRプレミックス(New England BioLabs、Hot Start Taq 2X Master Mix、M0496L)を1倍量になるように混合し、サーマルサイクラー(Biometra、TGRADIENT)を用いて、95℃で30秒間熱した後に、95℃で30秒間、60℃で60秒間を30サイクル繰り返した。その後、変性電気泳動ゲルNovex(TM) TBE−Urea Gels,15%,10 well(Thermo Fisher Scientific)で電気泳動を行った。その後、IVIS LuminaLT SeriesIII(PerkinElmer)を用いて蛍光イメージングを行い、切断用核酸による増幅用核酸Aの切断による分子量の変化をゲル中の蛍光バンドの変化から評価した。ゲルの蛍光イメージングの蛍光写真を図11に示す。実験の結果、FAM−増幅用核酸A5、15、16、18(レーン11、13、15、19)では切断が確認できたが、FAM−増幅用核酸A17(レーン17)ではほとんど切断が見られなかった。原因として、FAM−増幅用核酸A17では、標的核酸を認識する認識部位Aに相当する塩基配列のTm値が他の配列と比べて5〜10℃程度低く、標的核酸へのアニールが不十分であったと考えられる。他のレーン(レーン11、13、15、19)で見られているFAM−増幅用核酸Aそのものの蛍光バンド以外の、標的核酸を鋳型として増幅用核酸の3’側が伸長することで生じた、やや分子量が増加した蛍光バンドが、レーン17では見られなかった。このことからも、標的核酸へのアニールが不十分であったと考えられ、これはPCR時の温度設定により改善可能であると考えられる。
<実施例5:本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序が機能することの検討>
図4に示す、本発明の第2の実施形態に係る試薬キットの作用機序が機能することを確認する検討を行った。
実施例1での検討で、計測用部位Aの切断が確認できた配列のうち、塩基配列3、4、5のFAM修飾していない増幅用核酸(増幅用核酸A3、A4、A5)と、各々の増幅用核酸Aに対応する塩基配列19、20、21の増幅用核酸B(増幅用核酸B19、B20、B21)を用いた。また、増幅用核酸A3、B19に対応するプライマーA1(塩基配列22)、プライマーB1(塩基配列23)、増幅用核酸A4、B20に対応するプライマーA2(塩基配列24)、プライマーB1(塩基配列23)、増幅用核酸A5、B21に対応するプライマーA3(塩基配列25)、プライマーB1(塩基配列23)をそれぞれ用いた。前記の増幅用核酸A、Bをそれぞれ終濃度5nM、前記の2組ずつのプライマーをそれぞれ終濃度500nM、塩基配列9の切断用核酸を終濃度5nM、塩基配列10の標的核酸を終濃度1nM、インターカレータ蛍光色素のEvaGreen(BTI Biotium,Inc.)を終濃度1Xになるように、内部標準蛍光色素ATTO532(ATTO−TEC)を終濃度50nM、DNAポリメラーゼを含むPCRプレミックス(New England BioLabs、Hot Start Taq 2X Master Mix、M0496L)を1倍量になるように混合し、サーマルサイクラー(Biometra、TGRADIENT)を用いて、95℃で30秒間熱した後に、95℃で30秒間、60℃で60秒間を0〜40サイクルの条件で繰り返した。その後、PCR後の溶液を100mMTris−HCl(pH7.6)(ナカライテスク、1mol/l Tris−HCl Buffer SolutionをNuclease−free water(Thermo Fisher Scientific)で10倍希釈)で20倍希釈して、蛍光マクロプレートリーダー(Synergy MX、BioTek)で蛍光強度を測定し、EvaGreen/ATTO532の蛍光強度比を算出した。その結果、標的核酸のない時と比較して、ある時の方が蛍光強度比が高く、標的核酸の有無を検出できることを確認した(図12)。次に、増幅用核酸A4、B20の組み合わせの条件に関して、標的核酸の終濃度を0〜10nMに変化させた時の蛍光強度比も評価した。その結果、標的核酸濃度に応じて、蛍光強度比が増加しており、標的核酸の定量的な検出ができる可能性があることを確認した(図13)。

Claims (14)

  1. 試料に含まれる標的核酸を検出する核酸検出方法であって、
    (1)計測用部位Aを含む増幅用核酸A、計測用部位Bを含む増幅用核酸B、切断用核酸、プライマーA、及びプライマーBを、前記試料に添加する第1工程、
    (2)酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を、前記第1工程で得られる前記試料に添加し、前記計測用部位Bを鋳型として前記計測用部位Aを伸長して得られる計測用核酸を増幅する第2工程、
    (3)前記第2工程で得られる前記計測用核酸の融解曲線を測定し、前記融解曲線に基づいて前記標的核酸を検出する第3工程、を有し、
    前記増幅用核酸Aが、その3’端側に前記標的核酸を認識する認識部位Aを有し、
    前記増幅用部位Bが、その3’端側に酵素反応ブロック部位を有し、
    前記計測用部位A及び前記計測用部位Bが、前記標的核酸とは塩基配列が異なり、かつ、それらの3’端側に互いに相補的な塩基配列を有し、
    前記切断用核酸の3’端側が、前記標的核酸のうち前記認識部位Aが結合する領域よりも3’端側の領域と実質的に相補的な塩基配列を有し、
    前記プライマーA及び前記プライマーBが、それぞれ前記計測用部位A及び前記計測用部位Bの5’端側と実質的に同一な塩基配列を有することを特徴とする核酸検出方法。
  2. 前記計測用部位Aが、その5’端側から順に、前記プライマーAと実質的に同一な塩基配列A1、及び前記計測用部位Bと相補的な塩基配列A2を有し、
    前記計測用部位Bが、その5’端側から順に、前記プライマーBと実質的に同一な塩基配列B1、及び前記計測用部位Aと相補的な塩基配列B2を有する請求項1に記載の核酸検出方法。
  3. 前記塩基配列A1及び前記塩基配列A2、並びに前記塩基配列B1及び前記塩基配列B2において重複する塩基の数が、5塩基以下である請求項1又は2に記載の核酸検出方法。
  4. 前記塩基配列A1及び前記塩基配列A2、並びに前記塩基配列B1及び前記塩基配列B2において重複する塩基の数が、1塩基以下である請求項3に記載の核酸検出方法。
  5. 前記塩基配列A1及び前記塩基配列A2、並びに前記塩基配列B1及び前記塩基配列B2において重複する塩基がない請求項3に記載の核酸検出方法。
  6. 前記計測用部位Aの塩基の数が、40塩基以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の核酸検出方法。
  7. 前記計測用部位Aの塩基の数が、36塩基以下であることを特徴とする請求項6に記載の核酸検出方法。
  8. 前記酵素が、5’−Flapエンドヌクレアーゼ活性を有する耐熱性のDNAポリメラーゼを含む請求項1乃至7のいずれか1項に記載の核酸検出方法。
  9. 試料に含まれる標的核酸を検出するための試薬キットであって、
    前記試薬キットが、増幅用核酸A、増幅用核酸B、切断用核酸、プライマーA、プライマーB、酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を含み、
    前記増幅用核酸Aが、前記標的核酸とは塩基配列が異なる計測用部位Aを有し、かつ、その3’端側に前記標的核酸を認識する認識部位Aを有し、
    前記増幅用核酸Bが、前記標的核酸とは塩基配列が異なる計測用部位Bを有し、かつ、その3’端側に酵素反応ブロック部位を有し、
    前記計測用部位Aの3’端側と前記計測用部位Bの3’端側が、互いに相補的な塩基配列を有し、
    前記切断用核酸の3’端側が、前記標的核酸のうち前記認識部位Aが結合する領域よりも3’端側の領域と実質的に相補的な塩基配列を有し、
    前記プライマーA及び前記プライマーBが、前記計測用部位A及び前記計測用部位Bの5’端側と実質的に同一の塩基配列を有することを特徴とする試薬キット。
  10. 試料に含まれる標的核酸を検出するための試薬キットであって、
    前記試薬キットが、増幅用核酸A、増幅用核酸B、プライマーA、プライマーB、酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を含み、
    前記増幅用核酸Aが、前記標的核酸を認識する認識部位Aを有し、かつ、前記標的核酸とは異なる配列である計測用部位Aを3’端側に有し、
    前記増幅用核酸Bが、前記標的核酸を認識する認識部位Bを有し、かつ、前記標的核酸とは異なる塩基配列である計測用部位Bを3’端側に有し、
    前記計測用部位A及び前記計測用部位Bの3’端側が、互いに実質的に相補的な塩基配列を有し、
    前記プライマーA及び前記プライマーBがそれぞれ、前記計測用部位Aの5’端側及び前記計測用部位Bの5’端側と実質的に同一な塩基配列であることを特徴とする試薬キット。
  11. 試料に含まれる標的核酸を検出するための試薬キットであって、
    前記試薬キットが、増幅用核酸A、増幅用核酸B、ライゲーション用核酸、プライマーA、プライマーB、酵素、及び、ヌクレオシド三リン酸又はデオキシリボヌクレオシド三リン酸を含み、
    前記増幅用核酸Aが、前記標的核酸を認識する認識部位Aを有し、かつ、前記標的核酸とは異なる塩基配列である計測用部位Aを5’端側に有し、5’末端がリン酸化されていて、
    前記増幅用核酸Bが、前記標的核酸を認識する認識部位Bを有し、かつ、前記標的核酸とは異なる塩基配列である計測用部位Bを3’端側に有し、
    前記ライゲーション用核酸が、前記計測用部位Aの5’端側と実質的に相補的な塩基配列、及び前記計測用部位Bの3’端側と実質的に相補的な塩基配列を有し、
    前記プライマーAが、前記計測用部位Aの3’端側と実質的に相補的な塩基配列を有し、
    前記プライマーBが、前記計測用部位Bの5’端側と実質的に同一な塩基配列を有することを特徴とする試薬キット。
  12. 前記酵素が、耐熱性のDNAポリメラーゼを含む請求項9に記載の試薬キット。
  13. 前記酵素が、DNAリガーゼ及び耐熱性のDNAポリメラーゼを含む請求項10に記載の試薬キット。
  14. 前記試薬キットが、融解曲線を測定するための色素を含む請求項9乃至12のいずれか1項に記載の試薬キット。
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