JP2020174506A - 燃料電池車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池車両において、回生摩擦協調ブレーキの使用時に掃気処理する際にも制動力をより安定させる。【解決手段】燃料電池車両は、燃料電池と、ガス供給部と、摩擦ブレーキシステムと、駆動モータと、蓄電装置と、摩擦制動力と回生制動力とを用いて要求された制動力を得る制御と掃気処理を行なうための制御とを実行する制御部と、を備える。制御部は、摩擦制動力と回生制動力とによって燃料電池車両が制動中であるときに、燃料電池の内部に滞留する滞留水の量を用いて掃気準備条件を満たすか否かを判断し、掃気準備条件を満たすときに摩擦ブレーキ率増加処理を実行し、摩擦ブレーキ率増加処理が完了し、且つ、滞留水の量が基準値に達したときに掃気処理を実行する。【選択図】図6
Description
本発明は、燃料電池車両に関する。
特許文献1には、燃料電池が発電した電力や、回生ブレーキによる回生電力を蓄電可能な二次電池を搭載した燃料電池車両が記載されている。この燃料電池車両では、燃料電池内に残留する水分を、燃料電池外へ排出させるための掃気処理が行われる。
本願の発明者らは、回生ブレーキと摩擦ブレーキとを併用して制動力を発生させる回生摩擦協調ブレーキが用いられる燃料電池車両において、制動中に掃気処理を実行すると、回生ブレーキの制動力が一時的に低減する場合があることを、新たに見出した。したがって、回生摩擦協調ブレーキの制動力を安定させることが望まれている。
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の一形態によれば、燃料電池車両が提供される。この燃料電池車両は、燃料電池と、前記燃料電池に反応ガスを供給するガス供給部と、前記燃料電池車両を制動する摩擦ブレーキシステムと、前記燃料電池車両を駆動する力行運転と、回生電力を発生して前記燃料電池車両を制動する回生運転と、を実行可能な駆動モータと、前記燃料電池が発電した電力と、回生運転時に前記駆動モータが発生した前記回生電力と、を蓄電可能な蓄電装置と、前記摩擦ブレーキシステムと前記駆動モータとを駆動して、前記摩擦ブレーキシステムによる摩擦制動力と、前記駆動モータが回生運転することにより生じる回生制動力と、を用いることで、要求された制動力を得る制御と、前記ガス供給部を駆動して前記燃料電池の内部に滞留する滞留水を前記燃料電池の外部に排出させる掃気処理を行なうための制御と、を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記摩擦ブレーキシステムによる摩擦制動力と前記回生運転によって生じる回生制動力とによって前記燃料電池車両が制動中であるときに、前記燃料電池の内部に滞留する前記滞留水の量を推定して、推定した前記滞留水の量を用いて、前記掃気処理が行なわれる前段階であることを示す掃気準備条件を満たすか否かを判断し、前記掃気準備条件を満たすときに、前記制動力における前記摩擦制動力の割合を高める摩擦ブレーキ率増加処理を実行し、前記摩擦ブレーキ率増加処理が完了し、且つ、推定した前記滞留水の量が増加して、予め定められた基準値に達したときに、前記掃気処理を実行する。
この形態の燃料電池車両によれば、回生摩擦協調ブレーキによる制動中に掃気準備条件を満たす場合には、掃気処理に先立って摩擦ブレーキ率増加処理を実行して、制動力における摩擦制動力の割合を予め高めることができる。そのため、回生摩擦協調ブレーキによる制動中に掃気処理を実行しても、回生摩擦協調ブレーキの制動力を、より安定させることができる。
この形態の燃料電池車両によれば、回生摩擦協調ブレーキによる制動中に掃気準備条件を満たす場合には、掃気処理に先立って摩擦ブレーキ率増加処理を実行して、制動力における摩擦制動力の割合を予め高めることができる。そのため、回生摩擦協調ブレーキによる制動中に掃気処理を実行しても、回生摩擦協調ブレーキの制動力を、より安定させることができる。
A.第1実施形態:
(A−1)車両の全体構成:
図1は、第1実施形態における燃料電池車両20の概略構成を示す説明図である。燃料電池車両20は、燃料電池100と蓄電装置421とを含む燃料電池システム30と、駆動モータ40と、摩擦ブレーキ50と、ブレーキペダル80と、アクセルペダル85と、制御部500と、を備えている。燃料電池車両20は、アクセルペダル85の操作に応じて駆動され、ブレーキペダル80の操作に応じて制動される。本実施形態の駆動モータ40は、燃料電池車両20を駆動する力行運転を実行する力行モードと、回生電力を発生して燃料電池車両20を制動する回生運転を実行する回生モードと、において動作可能である。力行モード時の駆動モータ40は、燃料電池システム30から電力の供給を受けて、前輪FWと後輪RWとの少なくとも一方を回転させることによって燃料電池車両20を駆動する。回生モード時の駆動モータ40は、燃料電池車両20の運動エネルギを電力に変換することによって燃料電池車両20を制動する。回生モード時の駆動モータ40による制動のことを、回生ブレーキとも呼ぶ。本実施形態の燃料電池車両20は、回生ブレーキと摩擦ブレーキ50とを併用して制動力を発生させる回生摩擦協調ブレーキによって制動することができる。摩擦ブレーキによる制動力のことを摩擦制動力と呼び、回生ブレーキによる制動力のことを回生制動力と呼び、これらを合わせた回生摩擦協調ブレーキによる制動力のことを回生摩擦協調制動力と呼ぶ。
(A−1)車両の全体構成:
図1は、第1実施形態における燃料電池車両20の概略構成を示す説明図である。燃料電池車両20は、燃料電池100と蓄電装置421とを含む燃料電池システム30と、駆動モータ40と、摩擦ブレーキ50と、ブレーキペダル80と、アクセルペダル85と、制御部500と、を備えている。燃料電池車両20は、アクセルペダル85の操作に応じて駆動され、ブレーキペダル80の操作に応じて制動される。本実施形態の駆動モータ40は、燃料電池車両20を駆動する力行運転を実行する力行モードと、回生電力を発生して燃料電池車両20を制動する回生運転を実行する回生モードと、において動作可能である。力行モード時の駆動モータ40は、燃料電池システム30から電力の供給を受けて、前輪FWと後輪RWとの少なくとも一方を回転させることによって燃料電池車両20を駆動する。回生モード時の駆動モータ40は、燃料電池車両20の運動エネルギを電力に変換することによって燃料電池車両20を制動する。回生モード時の駆動モータ40による制動のことを、回生ブレーキとも呼ぶ。本実施形態の燃料電池車両20は、回生ブレーキと摩擦ブレーキ50とを併用して制動力を発生させる回生摩擦協調ブレーキによって制動することができる。摩擦ブレーキによる制動力のことを摩擦制動力と呼び、回生ブレーキによる制動力のことを回生制動力と呼び、これらを合わせた回生摩擦協調ブレーキによる制動力のことを回生摩擦協調制動力と呼ぶ。
本実施形態の燃料電池システム30は、燃料電池100と、水素給排系200と、空気給排系300と、電力供給系400とを備えている。本実施形態の燃料電池100は、固体高分子形の燃料電池であり、電気化学反応によって起電力を発生させる。燃料電池100の反応ガスには、燃料ガスとして水素ガスが用いられ、酸化ガスとして空気が用いられる。燃料電池100は、複数の単セルが積層したスタック構造を有し、それぞれの単セル同士は直列に接続されている。それぞれの単セルは、電解質膜の両面に電極触媒層を有する膜電極接合体と、膜電極接合体を挟持する一対のセパレータとを備えている。アノード側における膜電極接合体とセパレータとの間には、水素ガスが流通可能なアノード流路が形成されている。カソード側における膜電極接合体とセパレータとの間には、空気が流通可能なカソード流路が形成されている。
水素給排系200は、水素供給部210と、水素循環部220と、水素排出部230とを備えている。水素供給部210は、水素タンク211と、水素供給流路212と、主止弁213と、減圧弁214と、インジェクタ215とを備えている。水素タンク211は、燃料電池100に供給するための水素ガスを高圧の状態で貯蔵している。水素供給流路212は、水素タンク211と燃料電池100のアノード流路とを接続する流路である。水素供給流路212には、上流側から順に、主止弁213と、減圧弁214と、レギュレータとが設けられている。主止弁213が開弁されることによって、水素タンク211に貯蔵された高圧の水素ガスが、水素供給流路212へと流れる。高圧の水素ガスは、減圧弁214によって減圧された後、燃料電池100の発電要求に応じてインジェクタ215から燃料電池100へと供給される。
水素循環部220は、水素循環流路221と、水素循環ポンプ222とを備えている。水素循環流路221は、燃料電池100のアノード流路と、水素供給流路212におけるインジェクタ215よりも下流側とを接続する流路である。水素循環ポンプ222は、水素循環流路221に設けられている。燃料電池100から排出されたアノードオフガスに含まれる未消費の水素ガスは、循環ポンプによって、水素循環流路221と燃料電池100のアノード流路との間を循環される。尚、アノードオフガスには、未消費の水素ガスの他に、燃料電池100の発電に伴う生成水や窒素ガスが含まれており、水素循環流路221における燃料電池100と循環ポンプとの間に設けられた図示しない気液分離器によって、未消費の水素ガスおよび窒素ガスと、生成水とが分離される。
水素排出部230は、水素排出流路231と、排気排水弁232とを備えている。水素排出流路231は、水素循環流路221における燃料電池100と水素循環ポンプ222との間と、後述する空気排出流路321とを接続する流路である。排気排水弁232は、水素排出流路231に設けられており、排気排水弁232が開弁されることによって、アノードオフガスが、空気排出流路321を介して大気へと排出される。
空気給排系300は、空気供給部310と、空気排出部320とを備えている。本実施形態では、空気給排系300のことを「ガス供給部」とも呼ぶ。空気供給部310は、空気導入流路311と、エアフローメータ312と、エアコンプレッサ313と、分流弁314と、空気供給流路315と、空気バイパス流路316とを備えている。空気導入流路311は、大気に連通する流路であり、分流弁314によって空気供給流路315と空気バイパス流路316とに接続されている。空気導入流路311には、上流側から順に、エアフローメータ312と、エアコンプレッサ313と、分流弁314とが設けられている。エアフローメータ312は、空気導入流路311に導入された空気の流量を検出するセンサである。エアコンプレッサ313は、空気導入流路311へと空気を導入して、導入した空気を燃料電池100へと圧送するための圧縮機である。本実施形態のエアコンプレッサ313は、ターボコンプレッサである。エアコンプレッサ313は、ターボ式圧縮機に限られず、容積式圧縮機であってもよい。分流弁314は、空気供給流へと流れる空気の流量と、空気バイパス流路316へと流れる空気の流量とを、開度に応じて調節可能である。空気供給流路315は、分流弁314と燃料電池100のカソード流路とを接続する流路である。空気バイパス流路316は、分流弁314と後述する空気排出流路321とを接続する流路である。尚、空気バイパス流路316は、空気排出流路321に接続されずに、大気に連通してもよい。
空気排出部320は、空気排出流路321と、調圧弁322とを備えている。空気排出流路321は、燃料電池100のカソード流路に接続された、大気に連通する流路である。空気排出流路321には、調圧弁322が設けられている。調圧弁322の開度が調節されることによって、燃料電池100のカソード流路内の空気の圧力や、エアコンプレッサ313によって吐出される空気の流量が調節される。空気排出流路321における調圧弁322よりも下流側には、上流側から順に、上述した空気バイパス流路316と、水素排出流路231とが接続されている。燃料電池100から排出されたカソードオフガスは、空気バイパス流路316から流入した空気や、水素排出流路231から流入したアノードオフガスとともに、空気排出流路321を流れて、大気へと排出される。
燃料電池システム30は、図示しない冷媒循環系を備えている。冷媒循環系は、燃料電池100を冷却した冷媒が、冷媒を放熱させるラジエータを経由して、燃料電池100に循環するように構成されている。
電力供給系400は、昇圧コンバータ411と、インバータ412と、蓄電装置421と、昇降圧コンバータ422と、第1配線431と、第2配線432とを備えている。燃料電池100と、昇圧コンバータ411と、インバータ412とが第1配線431によってこの順に電気的に接続されている。蓄電装置421と、昇降圧コンバータ422と、第1配線431における昇圧コンバータ411とインバータ412との間とが第2配線432によってこの順に電気的に接続されている。燃料電池100によって発電された直流電力は、昇圧コンバータ411によって昇圧された後に、インバータ412によって三相交流電力に変換されて、駆動モータ40に供給される。蓄電装置421によって蓄電された直流電力は、昇降圧コンバータ422によって昇圧された後に、インバータ412によって三相交流電力に変換されて、駆動モータ40に供給される。昇降圧コンバータ422は、蓄電装置421に蓄電された電力を昇圧可能なだけでなく、燃料電池100によって発電された電力や、回生モード時の駆動モータ40によって発電された電力を降圧可能に構成されている。インバータ412は、直流電力から交流電力に変換可能に構成されているだけでなく、交流電力から直流電力に変換可能に構成されている。
蓄電装置421は、燃料電池100によって発電された電力と、回生モード時に駆動モータ40によって発電された電力とを蓄電可能である。燃料電池100によって発電された電力のことを発電電力と呼ぶ。回生モード時に駆動モータ40によって発電された電力のことを回生電力と呼ぶ。本実施形態の燃料電池車両20では、駆動モータ40からの負荷要求が無い回生モード時においても、燃料電池100は、微小な発電を行なう。回生モード時の微小発電については後述する。回生モード時には、通常は、上記微小発電による発電電力と回生電力とを合計した電力のうち、燃料電池車両20に搭載される各種補機等で消費される電力を減じた残余の電力が、蓄電装置421に蓄電される。蓄電装置421に蓄電された電力は、駆動モータ40や燃料電池補機や車両補機を駆動するために消費可能である。本実施形態の蓄電装置421は、充放電可能な二次電池である。二次電池として、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等を用いることができる。尚、蓄電装置421は、二次電池以外の充放電可能な装置であってもよく、例えば、キャパシタとすることができる。
摩擦ブレーキ50は、燃料電池車両20の運動エネルギを摩擦による熱エネルギに変換することによって、燃料電池車両20を制動するための減速装置である。摩擦ブレーキ50を備える摩擦ブレーキシステムの構成については、後に詳しく説明する。
制御部500は、CPUと、メモリと、各部品が接続されるインターフェース回路とを備えたコンピュータとして構成されている。制御部500は、各種センサから取得した情報に基づいて、燃料電池システム30の発電を制御し、駆動モータ40を力行モードや回生モードで制御する。図1に示すように、制御部500のCPUは、機能ブロックとして、制動制御部510および掃気制御部520を備える。
制動制御部510は、摩擦ブレーキシステムを構成する後述するブレーキアクチュエータ2と、回生モード時の駆動モータ40とを制御することによって、回生摩擦協調ブレーキを実現する。制動制御部510は、ドライバからの制動要求に応じて発生させる回生摩擦協調制動力における、摩擦ブレーキ50による摩擦制動力と回生モード時の駆動モータ40による回生制動力との割合を、適宜設定する。燃料電池車両20の制動時には、回生電力を蓄電装置421に充電することが許容される限り、できるだけ多くの制動力を回生制動力から得つつ、回生制動力だけではドライバからの制動要求に対して不足する制動力を、摩擦制動力によって得ることが望ましい。これにより、回生電力を蓄電装置421に充電することによる車両全体としてのエネルギ効率の向上を図りつつ、回生摩擦協調制動力を確保する効果を高めることができる。さらに、本実施形態の制動制御部510は、後述する摩擦ブレーキ率増加処理を実行する。
掃気制御部520は、エアコンプレッサ313を駆動して、エアコンプレッサ313から燃料電池100への空気の供給状態を制御することによって、燃料電池100の内部に滞留した滞留水を燃料電池100の外部へ排出させる掃気処理を実行する。
なお、上記した機能を果たす制御部500は、単一の制御部として構成される必要はない。例えば、制動制御部510や、掃気制御部520や、負荷要求に応じた燃料電池100の発電制御を行なう制御部や、燃料電池車両20の走行を制御する制御部や、走行に関わらない車両補機の制御を行なう制御部などのうちの少なくとも一部を、別体の制御部として構成し、これら複数の制御部間で、必要な情報をやり取りすることとしても良い。
(A−2)摩擦ブレーキの構成:
図2は、本実施形態の摩擦ブレーキ50を備える摩擦ブレーキシステム51の概略を表わす説明図である。摩擦ブレーキシステム51は、液圧制御式の制動装置であり、マスターシリンダ13と、ブースタ12と、ブレーキペダル80と、リザーバタンク14と、左前輪ホイールシリンダFLと、右前輪ホイールシリンダFRと、左後輪ホイールシリンダRLと、右後輪ホイールシリンダRRと、ブレーキアクチュエータ2と、を備える。なお、図1に示す摩擦ブレーキ50は、図2における左前輪ホイールシリンダFL、右前輪ホイールシリンダFR、左後輪ホイールシリンダRL、および右後輪ホイールシリンダRRに対応する。
図2は、本実施形態の摩擦ブレーキ50を備える摩擦ブレーキシステム51の概略を表わす説明図である。摩擦ブレーキシステム51は、液圧制御式の制動装置であり、マスターシリンダ13と、ブースタ12と、ブレーキペダル80と、リザーバタンク14と、左前輪ホイールシリンダFLと、右前輪ホイールシリンダFRと、左後輪ホイールシリンダRLと、右後輪ホイールシリンダRRと、ブレーキアクチュエータ2と、を備える。なお、図1に示す摩擦ブレーキ50は、図2における左前輪ホイールシリンダFL、右前輪ホイールシリンダFR、左後輪ホイールシリンダRL、および右後輪ホイールシリンダRRに対応する。
マスターシリンダ13は、ブレーキペダル80に対するドライバからの制動操作により、ブレーキ液の液圧を発生させる。図2に示すように、ブレーキペダル80には、ブースタ12が接続され、このブースタ12には、マスターシリンダ13が固定されている。ブースタ12は、マスターシリンダ13において、ブレーキペダル80に入力された圧力(ペダル踏力)を、ブレーキペダル80の操作量に応じたブレーキ液圧へと変換する。ブレーキ液を、作動流体とも呼ぶ。また、マスターシリンダ13内のブレーキ液圧を、マスターシリンダ圧Pmcともいう。マスターシリンダ13には、さらに、図示しないマスターシリンダポンプが設けられており、このマスターシリンダポンプによってマスターシリンダ13内が加圧されて、マスターシリンダ圧Pmcが調節される。マスターシリンダ13の上部には、リザーバタンク14が設けられており、マスターシリンダ13とリザーバタンク14とは、ブレーキペダル80の踏み込みが解除されたときに連通状態となる。
左前輪ホイールシリンダFL、右前輪ホイールシリンダFR、左後輪ホイールシリンダRL、および右後輪ホイールシリンダRRは、各車輪(左前輪、右前輪、左後輪、右後輪)を制動可能に設けられている。各ホイールシリンダは、ブレーキ液の液圧が伝達されて、各車輪に制動力を付与する。これらのホイールシリンダが構成する装置としては、ドラム式、ディスク式等各種のブレーキ装置を用いることが可能である。
ブレーキアクチュエータ2は、マスターシリンダ13と各ホイールシリンダとの間に配置されて、マスターシリンダ13と各ホイールシリンダとの間でブレーキ液の液圧を伝達する液圧回路を備える。以下の説明では、摩擦ブレーキシステム51が備えるブレーキ液の配管において、マスターシリンダ13側を上流側とも呼び、ホイールシリンダ側を下流側とも呼ぶ。マスターシリンダ13は、図示しない2つの油圧室を備えており、それぞれの油圧室から油圧供給導管61,62が延び、油圧供給導管61,62の各々の下流側には調整弁95,96が配置されている。調整弁95,96は、流量調整のためのノーマルオープンタイプの電磁弁であり、通電時に開度制御可能となっている。調整弁95,96は、上流側である油圧供給導管61,62と、下流側である後述する連結通路71,72との間のブレーキ液圧の差圧を調節する。油圧供給導管61におけるマスターシリンダ13と調整弁95との間(調整弁95より上流側)には、管内の液圧を検出するためのマスタ圧センサ94が配置されている。なお、調整弁95よりも上流側のブレーキ液圧を検出するためのマスタ圧センサ94は、マスターシリンダ13に設けてもよい。
油圧供給導管61には、調整弁95を介して連結通路71が接続され、油圧供給導管62には、調整弁96を介して連結通路72が接続されている。連結通路71は、2つの分岐通路64,65に分岐され、連結通路72は、2つの分岐通路63,66に分岐されている。分岐通路64,65は、それぞれ、右前輪ホイールシリンダFR,左後輪ホイールシリンダRLに接続されている。また、分岐通路63,66は、それぞれ、左前輪ホイールシリンダFL,右後輪ホイールシリンダRRに接続されている。
各分岐通路64,65,63,66には、それぞれ、電磁式保持弁97が配置されている。電磁式保持弁97は、流量調整のためのノーマルオープンタイプの電磁弁であり、通電時に開度制御可能となっている。また、分岐通路64,65,63,66には、電磁式保持弁97より下流側から、油圧排出通路73,74,75,76が分岐しており、この油圧排出通路73,74,75,76は、補助リザーバ93に接続されている。そして、この油圧排出通路73,74,75,76には、それぞれ電磁式減圧弁98が配置されている。電磁式減圧弁98は、流量調整のためのノーマルクローズタイプの電磁弁であり、通電時に開度制御可能となっている。
各連結通路71,72から分岐して、補助リザーバ93に接続するポンプ通路77,78が設けられ、このポンプ通路77,78の途中に、ポンプモータ91により駆動する油圧ポンプ92が配置されている。また、油圧供給導管61,62から分岐して、補助リザーバ93に接続する吸入通路53,54が設けられている。
摩擦ブレーキ50を用いた制動時には、制動制御部510が、摩擦ブレーキシステム51の各部を駆動する。具体的には、制動制御部510は、図示しないブレーキペダルストロークセンサが検出したペダルストロークSpと、マスタ圧センサ94が検出したマスターシリンダ圧Pmcとを取得して、これらを用いて、調整弁95,96、電磁式保持弁97、電磁式減圧弁98、ポンプモータ91を制御し、ホイールシリンダFR,RL,FL,RRにおける制動油圧を調整する。
ドライバがブレーキペダル80を踏み込み操作すると、マスターシリンダ13では、マスターシリンダポンプによるアシスト力とブレーキ踏力とを合わせたマスターシリンダ圧Pmcが発生する。制動制御部510は、ブレーキペダル80のペダルストロークSp及びマスターシリンダ圧Pmcに基づいて、ドライバが要求する制動力を検出すると共に、ドライバが要求する制動力を回生摩擦協調制動力として得られるように、回生摩擦協調制動力中の摩擦制動力の割合を設定する。そして、制動制御部510は、設定した割合の摩擦制動力が得られるように、摩擦ブレーキシステム51の各部を駆動する。
(A−3)回生摩擦協調ブレーキを用いた制動と掃気処理:
図3は、回生協摩擦調制動力の変化の様子の一例を、模式的に示す説明図である。横軸は、回生摩擦協調ブレーキによる制動を開始してから燃料電池車両20が停車するまでの時間を表している。縦軸は、回生摩擦協調制動力を表している。上述したように、回生摩擦協調制動力は、摩擦制動力と、回生制動力とを合わせた制動力である。図3は、掃気処理を行なわない場合の、回生制動力と摩擦制動力の変化の様子を示す。
図3は、回生協摩擦調制動力の変化の様子の一例を、模式的に示す説明図である。横軸は、回生摩擦協調ブレーキによる制動を開始してから燃料電池車両20が停車するまでの時間を表している。縦軸は、回生摩擦協調制動力を表している。上述したように、回生摩擦協調制動力は、摩擦制動力と、回生制動力とを合わせた制動力である。図3は、掃気処理を行なわない場合の、回生制動力と摩擦制動力の変化の様子を示す。
回生摩擦協調ブレーキによる制動を行なう際には、駆動モータ40が発電して回生電力が生じると共に、燃料電池100では、後述する微小発電による発電電力が生じる。蓄電装置421には、許容充電電力Winが定められており、制動制御部510は、蓄電装置421に対する充電電力が許容充電電力Win以下となるように、回生電力を抑えている。許容充電電力Winとは、蓄電装置421の充電電力の上限として定められている値であって、蓄電装置421の充電性能を示す値である。許容充電電力Winが大きいほど、充電性能が高いことを示し、より多くの電力を充電可能であることを示す。許容充電電力Winは、蓄電装置421の残存容量(SOC)と蓄電装置421の温度とによって定まる値であり、許容充電電力Winと、蓄電装置421の残存容量および温度との関係が、燃料電池100ごとに予め定められて、当該関係を示すマップが、予め制御部500のメモリに記憶されている。制御部500は、図示しない残存容量センサから蓄電装置421の残存容量を取得すると共に、図示しない温度センサから蓄電装置421の温度を取得し、上記マップを参照することにより、許容充電電力Winを取得する。回生モード時に、燃料電池100の微小発電による発電電力と回生電力とを合計した電力のうち、燃料電池車両20に搭載される各種補機等で消費される電力を減じた残余の電力が、許容充電電力Winを超えると予測される場合には、制動制御部510は、上記残余の電力が許容充電電力Win以下となるように、回生電力を削減して回生制動力を抑える。
図4は、回生摩擦協調ブレーキによる制動中、すなわち、摩擦制動力と回生制動力とによって燃料電池車両20が制動中であるときに、掃気処理を行なった場合の回生摩擦協調制動力の変化の一例を模式的に示す説明図である。本願発明者等は、回生摩擦協調ブレーキによる制動中に掃気処理が行われたときに、回生制動力が一時的に低減する場合があることを新たに見出した。このような現象の起こる理由は、以下のように考えられる。
回生摩擦協調ブレーキによる制動中に掃気処理が行われたときの動作の説明に先立って、まず、車両制動時の燃料電池100の状態について説明する。車両制動時には、燃料電池車両20は走行中であるが、アクセル開度はゼロとなっている。本実施形態の燃料電池車両20では、このような車両制動時には燃料電池100に対する要求電力がゼロとなり、燃料電池100に対するエアコンプレッサ313からの空気の供給が停止される。車両走行中にアクセルオフとなり、エアコンプレッサ313が停止されても、燃料電池100内には空気が残留している。このように、燃料電池100内に空気が残留する状態で燃料電池100の発電を停止すると、カソード電位が極めて高くなり得る。カソード電位が過度に上昇すると、電極触媒の劣化が進行し得る。そのため、本実施形態では、車両制動時に空気の供給を停止する際には、燃料電池100の出力電圧の上限を、許容できる電圧として予め定めた高電位回避電圧VFCに設定して、燃料電池100から微小な電流を掃引することにより、カソード電位の過剰な上昇を抑えている。車両制動時において、高電位回避電圧VFCを上限電圧としつつ微小な電流を掃引する燃料電池100の発電を、「微小発電」とも呼ぶ。微小発電を開始した後、燃料電池100内にある程度空気が残留している間は、燃料電池100の出力電圧は高電位回避電圧VFCに維持される。微小発電により生じる電力のうち、燃料電池車両20において消費されない電力は、蓄電装置421に充電される。
図5は、燃料電池100のIV特性と供給空気量との関係を模式的に表わす説明図である。燃料電池のIV特性は、種々の要因によって変化するが、一例として、供給される反応ガス量に応じて変化する。図5では、燃料ガスの供給量が十分であって、酸化ガスである空気の供給量を異ならせた場合のIV特性を示す。図5では、燃料電池100のIV特性を表わすグラフとしてA1〜A4の4つのグラフを示しており、A1、A2、A3、A4の順で、供給空気量、すなわち供給酸素量が少ない。図5から分かるように、燃料電池100の出力電圧が、例えば同じ高電位回避電圧VFCであっても、燃料電池100に供給する酸素量が少ないほど、出力電流(I1〜I4)は小さくなり、その結果、出力電力も小さくなる。
エアコンプレッサ313による空気の供給を停止した後、上記した微小発電を行なうと、発電に伴って酸素が消費されて燃料電池100内の酸素量が減少する。その結果、出力電圧が同じであれば、燃料電池100から出力される電流は、次第に減少する。微小発電が開始されると、通常は、燃料電池100の出力電圧は上限である高電位回避電圧VFCとなるため、図4を用いて説明したように、燃料電池100の出力電流は、I1から次第に減少する。このような微小発電であっても、発電に伴って燃料電池100内では生成水が生じる。そのため、駆動モータ40からの負荷要求が無い車両制動時であっても、燃料電池100内の滞留水が次第に増加して、掃気処理を行なう必要が生じる場合がある。
次に、このような車両制動時において微小発電を行なう状態で掃気処理を実行するときの動作について説明する。車両制動時に微小発電を行なう状態で掃気処理を実行すると、エアコンプレッサ313から供給される空気量の増大に伴って、出力電流が急激に増大し得る。燃料電池100の出力電圧の上限値が高電位回避電圧VFCに設定されているため、供給される空気量が増大したときに燃料電池100の出力電圧が上記上限値を越えないように、燃料電池100から掃引する電流値が制御部500によって調節されるためである。微小発電を行なっているときに掃気処理を実行することにより、燃料電池100の出力電流の増加と共に発電電力が増加すると、充電のために蓄電装置421に供給される供給電力が、蓄電装置421の許容充電電力Winを超える場合がある。充電のために蓄電装置421に供給される供給電力は、回生電力の他、燃料電池100の発電電力を含み得るためである。上記供給電力が許容充電電力Winを超える場合には、制動制御部510は、蓄電装置421が過充電となる不都合を避けるために、上記供給電力が許容充電電力Winを超えないように、回生電力を削減する。回生電力を削減すると、燃料電池車両20における回生制動力も減少する。図4では、掃気処理の実行時に、燃料電池100の発電電力の増加に起因して回生制動力が減少する様子が示されている。
このように回生制動力が減少するときには、制動制御部510は、摩擦制動力を増加させて、回生制動力の減少分を補おうとする。しかしながら、摩擦制動力の応答性は回生制動力の応答性に比べて低いため、回生摩擦協調制動力を、より安定させることが望まれる。
(A−4)回生摩擦協調ブレーキ使用時の掃気処理に係る制御:
図6は、燃料電池車両20の制御部500で実行される制動時掃気制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンは、燃料電池車両20を走行可能にするために燃料電池システム30を始動させる指示が入力されたとき、具体的には、運転者によりスタートスイッチ(図示せず)が押されたときに起動され、停止の指示が入力されるまで(例えば、スタートスイッチがオフにされるまで)、繰り返し実行される。
図6は、燃料電池車両20の制御部500で実行される制動時掃気制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンは、燃料電池車両20を走行可能にするために燃料電池システム30を始動させる指示が入力されたとき、具体的には、運転者によりスタートスイッチ(図示せず)が押されたときに起動され、停止の指示が入力されるまで(例えば、スタートスイッチがオフにされるまで)、繰り返し実行される。
図6の制動時掃気制御処理ルーチンが起動されると、制御部500のCPUは、燃料電池車両20が回生摩擦協調ブレーキを用いた制動中であるか否かを判断する(ステップS100)。回生摩擦協調ブレーキを用いた制動中ではないと判断すると(ステップS100:NO)、制御部500のCPUは、本ルーチンを終了する。
回生摩擦協調ブレーキを用いた制動中であると判断すると(ステップS100:YES)、制御部500のCPUは、燃料電池100内に滞留する滞留水量の推定値を取得する(ステップS110)。制御部500は、本ルーチンの稼働中は、常に、燃料電池100内に滞留する滞留水量を推定しており、ステップS110では、現在の滞留水量の推定値を取得する。本実施形態では、燃料電池100の出力電流を検出して積算出力電流を算出しており、この積算出力電流を用いて理論的に算出される生成水量を、ステップS110で用いる滞留水量の推定値としている。
ステップS110で滞留水量の推定値を取得すると、制御部500のCPUは、取得した滞留水量の推定値を用いて、掃気準備条件を満たすか否かを判断する(ステップS120)。掃気準備条件とは、掃気処理の前段階であることを示す条件であり、掃気処理に先立って行なわれる後述する摩擦ブレーキ率増加処理を行なうか否かの判断基準として予め定められた条件である。本実施形態では、滞留水量が次第に増加して、予め定めた掃気要求閾値に達したと判断されるときに、掃気処理を実行する。この掃気要求閾値は、「基準値」とも呼ぶ。上記した掃気準備条件とは、滞留水量が、上記掃気要求閾値に達する前に、掃気要求閾値より小さい値として予め定めた掃気準備閾値に達することをいう。ステップS120では、滞留水量が掃気準備閾値以上となったときに、掃気準備条件を満たすと判断する。掃気準備条件を満たさないと判断すると(ステップS120:NO)、制御部500のCPUは、本ルーチンを終了する。
ステップS120において掃気準備条件を満たすと判断すると(ステップS120:YES)、制御部500のCPUは、摩擦ブレーキ率増加処理を開始する(ステップS130)。摩擦ブレーキ率増加処理とは、摩擦制動力と回生制動力とを合わせた回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合を高める処理である。図3に示すように、燃料電池車両20においては、利用可能な回生制動力の大きさ等に応じて、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合が設定される。摩擦ブレーキ率増加処理においては、通常行なわれる摩擦制動力の割合制御に比べて、摩擦制動力の割合がより大きくなるように、摩擦ブレーキシステム51の制御が変更される。具体的には、摩擦ブレーキ率増加処理では、ポンプモータ91の出力を増加させる制御、マスターシリンダポンプの出力を増加させる制御、調整弁95,96による上流側と下流側との間のブレーキ液圧の差圧の制御、電磁式保持弁97あるいは電磁式減圧弁98の開度制御、等の制御のうちの少なくともいずれかの制御により、各ホイールシリンダ内のブレーキ液圧を制御して、通常行なわれる摩擦制動力の割合制御に比べて、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合を高める制御を行なう。このとき、通常行なわれる回生制動力の割合制御に比べて、回生制動力の割合がより小さくなるように、インバータ412による駆動モータ40の駆動制御、および、昇降圧コンバータ422による蓄電装置421の充電制御が変更される。
ステップS130において摩擦ブレーキ率増加処理を開始すると、制御部500のCPUは、燃料電池100内に滞留する滞留水量の推定値を取得する(ステップS140)。そして、取得した滞留水量が、基準値である掃気要求閾値以上となったか否かを判断する(ステップS150)。制御部500は、ステップS150で滞留水量が基準値以上であると判断されるまで、ステップS140およびステップS150の動作を繰り返す。
ステップS150において、滞留水量が基準値である掃気要求閾値以上であると判断すると(ステップS150:YES)、制御部500のCPUは、ステップS130で開始した摩擦ブレーキ率増加処理が完了したか否かを判断する(ステップS160)。ステップS160では、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合が、予め定めた後述する目標割合以上になったときに、摩擦ブレーキ率増加処理が完了したと判断する。制御部500のCPUは、ステップS160で摩擦ブレーキ率増加処理が完了したと判断されるまで、摩擦ブレーキ率増加処理を継続して、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合を高めつつ、ステップS160の判断を繰り返す。
摩擦ブレーキ率増加処理とは、既述したように、回生摩擦協調ブレーキの使用中に、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合を高めるように、摩擦ブレーキシステム51の制御を変更すると共に、回生制動力の割合を低めるように、回生運転に係る制御を変更する処理である。以下では、ステップS160において実行される、摩擦ブレーキ率増加処理の完了に係る判断について説明する。
図4を用いて説明したように、回生摩擦協調ブレーキによる制動中に掃気処理を行なうと、微小発電を行なっていた燃料電池100の発電量が増加する。このような回生摩擦協調ブレーキの使用中の掃気処理で生じる掃気時発電電力Wsと回生電力Wrとの合計が、蓄電装置421の許容充電電力Winに対して過剰である場合には、蓄電装置421に対する充電電力が許容充電電力Win以下になるように回生電力が削減されて、回生制動力が低下される。本実施形態の摩擦ブレーキ率増加処理では、掃気処理を実行したときの掃気時発電電力Wsと現在の回生電力Wrとの合計の、許容充電電力Winに対する過剰分、すなわち、掃気処理を行なったときに削減されると考えられる回生電力を、掃気処理前に予め回生電力から削減して、回生電力の削減の結果として減少する回生制動力を、予め摩擦制動力に上乗せするように制御変更している。
掃気処理時の条件、すなわち、掃気処理の際に燃料電池100に供給される酸化ガス量は予め定められているため、微小発電時に掃気処理を行なうことによって燃料電池100で生じる掃気時発電電力Wsは、予め予測することができる。本実施形態では、掃気時発電電力Wsは、予め、制御部500内のメモリに記憶されている。なお、燃料電池100の発電量は、供給される酸化ガス量の他、燃料電池100内の湿潤状態等の影響を受ける。そのため、掃気時発電電力Wsの値は、上記湿潤状態に影響を与える燃料電池100の温度等をさらに考慮して、設定してもよい。
また、蓄電装置421の許容充電電力Winは、既述したように、蓄電装置421の残存容量(SOC)と蓄電装置421の温度とによって定まる。また、削減される回生電力の大きさと、その結果削減される回生制動力の大きさとの関係も、用いる燃料電池システムに応じて予め定めて記憶しておくことができる。そのため、現在の蓄電装置421の残存容量(SOC)と蓄電装置421の温度とを取得して許容充電電力Winを求めることにより、掃気時発電電力Wsおよび現在の回生電力の合計の、許容充電電力Winに対する過剰分を求め、当該過剰分に対応して削減される回生制動力の大きさを求めることができる。本実施形態の摩擦ブレーキ率増加処理では、通常行なわれる摩擦制動力の割合制御における摩擦制動力の大きさに対して、上記した削減される回生制動力を上乗せして、回生摩擦協調制動力全体に対する摩擦制動力の目標割合が設定される。ステップS160では、回生摩擦協調制動力全体に対する摩擦制動力の割合が、上記目標割合に達したときに、摩擦ブレーキ率増加処理が完了したと判断される。上記目標割合は、摩擦ブレーキ比率閾値とも呼ぶ。なお、掃気時発電電力Wsおよび回生電力Wrの合計の、許容充電電力Winに対する過剰分を求める際には、燃料電池車両20が搭載する各種の補機における消費電力を、上記過剰分から減算してもよい。
ステップS160において摩擦ブレーキ率増加処理が完了したと判断されると(ステップS160:YES)、制御部500のCPUは、掃気処理を実行する(ステップS170)。そして、制御部500のCPUは、摩擦ブレーキ率増加処理の実行を解除すると共に、燃料電池100内に滞留する滞留水量の推定値をリセットして(ステップS180)、本ルーチンを終了する。リセットの後の滞留水量の推定値の初期値は、例えばゼロとすることができる。あるいは、滞留水量の初期値として、ゼロよりも大きく、掃気処理後に燃料電池100内に残留する水の量により近い値を設定してもよい。
図7は、回生摩擦協調ブレーキ使用時に掃気処理を実行する際の、燃料電池車両20の状態を説明するための図である。図7において、時点Aは、燃料電池100内の滞留水量が増加して、掃気準備閾値に達した時点を示す。このとき、制御部500では、図7に示すように、掃気準備フラグがオンになって、摩擦ブレーキ率増加処理が開始される。
図7における時点Bは、燃料電池100内の滞留水量がさらに増加して、掃気要求閾値に達した時点を示す。このとき、制御部500では、図7に示すように、掃気要求フラグがオンになる。しかしながら、図7の例では、時点Bでは、ブレーキ分担比率において、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合が、摩擦ブレーキ比率閾値以上に増加しておらず、摩擦ブレーキ率増加処理が完了していないため、掃気処理は行なわれない。そのため、図7の例では、時点Bの後にも滞留水量は増加する。
図7の例では、時点Cにおいて、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合が摩擦ブレーキ比率閾値に達して、摩擦ブレーキ率増加処理が完了する。このとき制御部500では、掃気許可フラグがオンになり、掃気処理が開始される。掃気処理は、時点Dまで行なわれ、時点Dでは、掃気準備フラグ、掃気要求フラグ、および掃気許可フラグがオフになり、摩擦ブレーキ率増加処理の動作が解除され、制御部500による滞留水量の推定値が、リセット閾値にリセットされる。
掃気処理を実行するための基準値に滞留水量が達するタイミングは、図7に示すように摩擦ブレーキ率増加処理が完了する前の場合もあり、また、摩擦ブレーキ率増加処理の完了以後となる場合もある。本実施形態では、摩擦ブレーキ率増加処理が完了し、且つ、滞留水量が基準値に達したときに、掃気処理が実行される。これにより、掃気処理の実行時には、常に、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合が、摩擦ブレーキ比率閾値以上に高まった状態になる。
なお、図6の制動時掃気制御処理ルーチンの実行中に、アクセルペダル85が踏まれる等により制動状態が解除されたときには、割り込み処理により上記ルーチンは終了される。
以上のように構成された本実施形態の燃料電池車両20によれば、回生摩擦協調ブレーキによる制動中に掃気準備条件を満たす場合には、掃気処理に先立って摩擦ブレーキ率増加処理を実行する。このように、摩擦ブレーキ率増加処理によって、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合が予め高められているため、掃気処理の実行により燃料電池100の発電量が増大して、掃気時発電電力Wsを蓄電装置421に充電する必要が生じても、回生摩擦協調ブレーキの制動力を、より安定させることができる。
本実施形態のように摩擦ブレーキ率増加処理を行なうことなく、回生摩擦協調ブレーキの使用中に掃気処理を行なった場合には、既述したように許容充電電力Winが不足することにより回生制動力が抑えられたときに、摩擦制動力を増大させる制御が行なわれる。このように摩擦制動力を増大させる際には、ホイールシリンダFR,RL,FL,RRにおける制動油圧を高めるための制御が行なわれる。しかしながら、流体の圧力を上昇させる動作は、電磁弁の切り替え動作に比べて応答性が低く、制動力を増加させる動作において流体の圧力の上昇が律速となり得る。本実施形態では、摩擦ブレーキ率増加処理を実行して、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合が予め高められ、回生制動力の割合が予め低められている。そのため、摩擦ブレーキ率増加処理の完了後に掃気処理を実行するときには、掃気時発電電力Wsを蓄電装置421に充電する際に、回生電力が過剰になることに起因して、応答性の比較的低い摩擦制動力を増大させるように制御変更することを抑えることができる。
ここで、滞留水量が比較的少ない通常の制御時も含めて、常に、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合を高いレベルに維持する方策も考えられる。しかしながら、回生摩擦協調制動力における摩擦制動力の割合を高いレベルに維持すると、摩擦制動力の大きさを、常により大きく設定することになるため、ブレーキバッド等の摩擦ブレーキに係る部品が摩耗し易くなる等の不都合を生じ得る。また、回生摩擦協調制動力における回生制動力の割合をより低く維持することにより、燃料電池車両20全体としてのエネルギ効率が低下する不都合が生じる可能性がある。本実施形態では、掃気準備条件を満たすとき、すなわち、摩擦制動力の割合を高めることが必要と判断されるときに摩擦ブレーキ率増加処理を実行するため、回生摩擦協調制動力を確保しつつ、上記不都合の発生を抑えることができる。
上記説明では、ステップS160で摩擦ブレーキ率増加処理の完了を判断する際に用いる摩擦ブレーキ比率閾値を、許容充電電力Winに応じて変更することとしたが、異なる構成としてもよい。例えば、許容充電電力Winの変動や掃気時発電電力Wsの変動を考慮して、摩擦ブレーキ比率閾値として、摩擦ブレーキ率増加処理の完了を高い信頼性で判断できる一定値を設定してもよい。
B.第2実施形態:
第1実施形態では、ステップS120において、滞留水量に基づいて掃気準備条件を満たすか否かの判断を行なったが、滞留水量に加えて、さらに、滞留水量の増加速度を用いて、掃気準備条件を満たすか否かの判断を行なってもよい。以下に、このような動作を、第2実施形態として説明する。第2実施形態の燃料電池車両20は、第1実施形態と同様の構成を有するため、第1実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付す。
第1実施形態では、ステップS120において、滞留水量に基づいて掃気準備条件を満たすか否かの判断を行なったが、滞留水量に加えて、さらに、滞留水量の増加速度を用いて、掃気準備条件を満たすか否かの判断を行なってもよい。以下に、このような動作を、第2実施形態として説明する。第2実施形態の燃料電池車両20は、第1実施形態と同様の構成を有するため、第1実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付す。
本実施形態では、制御部500のCPUは、図6のステップS110において、滞留水量を取得すると共に、滞留水量の増加速度を導出する。そして、ステップS120では、上記した滞留水量と滞留水量の増加速度とを用いて、掃気準備条件を満たすか否かを判断する。滞留水量の増加速度は、例えば、取得した滞留水量の最新の値と、前回取得した滞留水量の値とを用いて、単位時間当たりの滞留水量の増加速度を算出することによって得られる。
燃料電池車両20では、図7に示すように、滞留水量が基準値である掃気要求閾値以上になったときに、掃気処理すべきと判断される。回生摩擦協調制動中の燃料電池車両20において、滞留水量が掃気準備閾値に増加した後、さらに掃気要求閾値に増加するまでに要する時間は、燃料電池車両20の運転状態等によって種々変化する。例えば、既述した微小発電による発電電力が比較的少ないときには、発電に伴って生じる生成水量も比較的少なくなるため、滞留水量が掃気準備閾値を超えた後にさらに掃気要求閾値に増加するまでに、長い時間を要する場合がある。また、微小発電による発電電力が比較的少ないときには、滞留水量が掃気準備閾値を超えた後に、さらに掃気要求閾値に増加することなく車両が停止する場合も有り得る。このような場合には、摩擦ブレーキ率増加処理を行なうことによる利益が得られず、摩擦ブレーキ率増加処理に伴う摩擦ブレーキに係る部品の摩耗やエネルギ効率の低下等の不都合のみが生じ得る。
これに対して、例えば、既述した微小発電による発電電力が比較的多いときには、発電に伴って生じる生成水量も比較的多くなるため、滞留水量が掃気準備閾値を超えた後にさらに掃気要求閾値に増加するまでの時間が、比較的短くなる場合がある。このような場合には、摩擦ブレーキ率増加処理が完了するまでに滞留水量が掃気要求閾値を超えて増加して、掃気処理を実行可能になるときの滞留水量が、掃気要求閾値を大きく超える状態になる可能性がある。
図8は、滞留水量と滞留水量の増加速度とを用いて、掃気準備条件が成立するか否か、すなわち、掃気準備フラグがオンになるか否かの判断を行なうために用いるマップの一例を示す説明図である。本実施形態では、図8に示すように、滞留水量が多いほど、また、滞留水量増加速度が大きいほど、掃気準備条件が成立し易くなる。このようなマップは、掃気基準閾値と掃気要求閾値との差の大きさや、回生摩擦協調ブレーキによる制動時に燃料電池100が微小発電する際に燃料電池100で生成水が生じる速度の最大値や最小値等を考慮して、適宜設定すればよい。図8に示すマップでは、掃気準備フラグのオン条件とオフF条件との間にヒステリシスが設けられている。なお、図8のマップには、滞留水量の増加速度にかかわらず滞留水掃気要求フラグがオンになる条件としての、滞留水量の値も併せて示されている。
このような構成とすれば、摩擦ブレーキ率増加処理を行なう必要があるか否かの判断のタイミングを、より適正化し、適切なタイミングで摩擦ブレーキ率増加処理を実行する精度を高めることができる。すなわち、滞留水量の増加速度が小さいときには、掃気準備閾値をより大きく設定して摩擦ブレーキ率増加処理を行なうことで、過剰に摩擦制動力を高めることに起因する既述した不都合を抑えることができる。また、滞留水量の増加速度が大きいときには、掃気準備閾値をより小さく設定して摩擦ブレーキ率増加処理を行なうことで、掃気処理の実行までに滞留水量が過剰となることを抑えることができる。
C.第3実施形態:
上記第1および第2実施形態では、滞留水量が掃気準備閾値に増加したときには摩擦ブレーキ率増加処理を行なったが、例えば、回生摩擦協調制動中に掃気処理を行なっても図4で説明したような回生制動力の一時的な低減が生じないと判断されるときには、摩擦ブレーキ率増加処理に係る動作を行なわないこととしてもよい。このような構成を、第3実施形態として以下に説明する。
上記第1および第2実施形態では、滞留水量が掃気準備閾値に増加したときには摩擦ブレーキ率増加処理を行なったが、例えば、回生摩擦協調制動中に掃気処理を行なっても図4で説明したような回生制動力の一時的な低減が生じないと判断されるときには、摩擦ブレーキ率増加処理に係る動作を行なわないこととしてもよい。このような構成を、第3実施形態として以下に説明する。
このような場合には、ステップS100で回生摩擦協調ブレーキを用いた制動中であると判断されたときに、既述した許容充電電力Winを、燃料電池100で生じる回生電力Wrおよび掃気時発電電力Wsの合計と、比較すればよい。そして、許容充電電力Winが、回生電力Wrおよび掃気時発電電力Wsの合計以上である時には、摩擦ブレーキ率増加処理に係る動作を行なうことなく、滞留水量が基準値を超えたときに掃気処理を行なえばよい。この場合には、許容充電電力Winが、回生電力Wrおよび掃気時発電電力Wsの合計を下回るときに、図6に示した摩擦ブレーキ率増加処理に係る動作を行なえばよい。
このような構成とすれば、掃気処理に伴って許容充電電力Winが、回生電力Wrおよび掃気時発電電力Wsの合計以上であると判断されるときには、摩擦ブレーキ率増加処理に係る動作を行なうことなく掃気処理が実行される。そのため、摩擦ブレーキ率増加処理の必要のないときに、摩擦ブレーキ率増加処理を実行することがなく、制御を簡素化することができる。なお、掃気処理時に回生制動力の低下が生じるか否かを判断する際に、回生電力Wrおよび掃気時発電電力Wsの合計から、さらに燃料電池車両20における補機等の消費電力を減算して実質的な発生電力を算出し、許容充電電力Winが、実質的な発生電力以上のときに、摩擦ブレーキ率増加処理に係る動作を行なわないこととしてもよい。
D.他の実施形態:
(D1)上述した各実施形態における燃料電池車両20では、回生摩擦協調ブレーキによる制動中には、エアコンプレッサ313による空気の供給を停止すると共に、燃料電池100の上限電圧を高電位回避電圧VFCに維持して電流を掃引することによって燃料電池100を発電させているが、異なる制御を行なってもよい。例えば、回生摩擦協調ブレーキによる制動中において、燃料電池100に供給する酸化ガス量を停止することなく抑制し、且つ、燃料電池100の上限電圧を設定して電流を掃引する状態で、掃気処理を行なうならば、供給酸化ガス量の増大により燃料電池100の発電電力が増大し得る。このように、回生摩擦協調ブレーキによる制動中の掃気処理に伴って燃料電池100の発電電力が増大し得る場合には、掃気処理の実行に先立って、摩擦ブレーキ率増加処理に係る既述した動作を実行することで、実施形態と同様の効果が得られる。
(D1)上述した各実施形態における燃料電池車両20では、回生摩擦協調ブレーキによる制動中には、エアコンプレッサ313による空気の供給を停止すると共に、燃料電池100の上限電圧を高電位回避電圧VFCに維持して電流を掃引することによって燃料電池100を発電させているが、異なる制御を行なってもよい。例えば、回生摩擦協調ブレーキによる制動中において、燃料電池100に供給する酸化ガス量を停止することなく抑制し、且つ、燃料電池100の上限電圧を設定して電流を掃引する状態で、掃気処理を行なうならば、供給酸化ガス量の増大により燃料電池100の発電電力が増大し得る。このように、回生摩擦協調ブレーキによる制動中の掃気処理に伴って燃料電池100の発電電力が増大し得る場合には、掃気処理の実行に先立って、摩擦ブレーキ率増加処理に係る既述した動作を実行することで、実施形態と同様の効果が得られる。
(D2)上述した各実施形態のステップS160では、回生摩擦協調制動力全体に対する摩擦制動力の割合が設定した目標割合に達したときに、摩擦ブレーキ率増加処理が完了したと判断している。そして、目標割合は、掃気処理を実行したときの掃気時発電電力Wsと回生電力との合計の、許容充電電力Winに対する過剰分を、回生電力から削減した結果減少する回生制動力を、予め摩擦制動力に上乗せするように設定されている。これに対して、上記目標割合をより小さく設定してもよい。目標割合をより小さく設定する場合、すなわち、摩擦ブレーキ率増加処理における摩擦制動力の上乗せ分をより小さく設定する場合であっても、摩擦制動力の応答速度が許容範囲であれば、回生摩擦協調制動力をより安定させる同様の効果が得られる。
(D3)上述した各実施形態における燃料電池車両20では、掃気制御部520は、カソード側流路において掃気処理を実行しているが、異なる構成としてもよい。すなわち、アノード側流路において掃気処理を行ない、このアノード側流路に係る掃気処理に先立って、摩擦ブレーキ率増加処理に係る同様の動作を実行してもよい。このとき、水素給排系200のことを、ガス供給部とも呼ぶ。掃気制御部520は、例えば、水素循環ポンプ222を駆動制御することによって、燃料電池100内に滞留した滞留水を燃料電池100外へと排出させることができる。また、インジェクタ215を駆動制御することによって、燃料電池100内に滞留した滞留水を燃料電池100外へと排出させてもよい。回生摩擦協調ブレーキによる制動時に、アノード流路側の掃気処理によって燃料電池100の発電量が増大し得る場合には、掃気処理に先立って実施形態と同様の摩擦ブレーキ率増加処理を実行することで、実施形態と同様の効果が得られる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
2…ブレーキアクチュエータ、12…ブースタ、13…マスターシリンダ、14…リザーバタンク、20…燃料電池車両、30…燃料電池システム、40…駆動モータ、50…摩擦ブレーキ、51…摩擦ブレーキシステム、53,54…吸入通路、61,62…油圧供給導管、63〜66…分岐通路、71,72…連結通路、73〜76…油圧排出通路、77,78…ポンプ通路、80…ブレーキペダル、85…アクセルペダル、91…ポンプモータ、92…油圧ポンプ、93…補助リザーバ、94…マスタ圧センサ、95,96…調整弁、97…電磁式保持弁、98…電磁式減圧弁、100…燃料電池、200…水素給排系、210…水素供給部、211…水素タンク、212…水素供給流路、213…主止弁、214…減圧弁、215…インジェクタ、220…水素循環部、221…水素循環流路、222…水素循環ポンプ、230…水素排出部、231…水素排出流路、232…排気排水弁、300…空気給排系、310…空気供給部、311…空気導入流路、312…エアフローメータ、313…エアコンプレッサ、314…分流弁、315…空気供給流路、316…空気バイパス流路、320…空気排出部、321…空気排出流路、322…調圧弁、400…電力供給系、411…昇圧コンバータ、412…インバータ、421…蓄電装置、422…昇降圧コンバータ、431…第1配線、432…第2配線、500…制御部、510…制動制御部、520…掃気制御部
Claims (1)
- 燃料電池車両であって、
燃料電池と、
前記燃料電池に反応ガスを供給するガス供給部と、
前記燃料電池車両を制動する摩擦ブレーキシステムと、
前記燃料電池車両を駆動する力行運転と、回生電力を発生して前記燃料電池車両を制動する回生運転と、を実行可能な駆動モータと、
前記燃料電池が発電した電力と、回生運転時に前記駆動モータが発生した前記回生電力と、を蓄電可能な蓄電装置と、
前記摩擦ブレーキシステムと前記駆動モータとを駆動して、前記摩擦ブレーキシステムによる摩擦制動力と、前記駆動モータが回生運転することにより生じる回生制動力と、を用いることで、要求された制動力を得る制御と、前記ガス供給部を駆動して前記燃料電池の内部に滞留する滞留水を前記燃料電池の外部に排出させる掃気処理を行なうための制御と、を実行する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記摩擦ブレーキシステムによる摩擦制動力と前記回生運転によって生じる回生制動力とによって前記燃料電池車両が制動中であるときに、
前記燃料電池の内部に滞留する前記滞留水の量を推定して、推定した前記滞留水の量を用いて、前記掃気処理が行なわれる前段階であることを示す掃気準備条件を満たすか否かを判断し、
前記掃気準備条件を満たすときに、前記制動力における前記摩擦制動力の割合を高める摩擦ブレーキ率増加処理を実行し、
前記摩擦ブレーキ率増加処理が完了し、且つ、推定した前記滞留水の量が増加して、予め定められた基準値に達したときに、前記掃気処理を実行する
燃料電池車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019076739A JP2020174506A (ja) | 2019-04-15 | 2019-04-15 | 燃料電池車両 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019076739A JP2020174506A (ja) | 2019-04-15 | 2019-04-15 | 燃料電池車両 |
Publications (1)
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JP2020174506A true JP2020174506A (ja) | 2020-10-22 |
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ID=72831812
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JP2019076739A Pending JP2020174506A (ja) | 2019-04-15 | 2019-04-15 | 燃料電池車両 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2020174506A (ja) |
-
2019
- 2019-04-15 JP JP2019076739A patent/JP2020174506A/ja active Pending
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