JP2020174489A - 電池システム、鉄道車両および電池管理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、電池の寿命余力を有効に利用する技術を提供することを目的とする。【解決手段】上記課題を解決するために、代表的な本発明の電池システムの一つは、繰り返し使用可能な電池と、電池の寿命劣化に係る電池使用条件を制約することにより、電池の寿命を制御する電池制御部と、電池使用条件の制約によって得られる電池の推定寿命を算出する推定部と、算出された推定寿命に基づいて、電池の目標寿命を上回る寿命余力を求め、寿命余力を短縮する方向に、電池制御部の電池使用条件を緩和して再設定する緩和部とを備える。さらに、この電池システムをハイブリッド鉄道車両に備えることにより、ハイブリッド鉄道車両の燃料動力の燃料消費を節約する。【選択図】図1
Description
本発明は、電池システム、鉄道車両および電池管理方法に関する。
エンジン発電機と二次電池とを相補的に使用することにより、低燃費、低排出ガス、低騒音を実現する、環境にやさしいハイブリッド鉄道車両が開発されている。
一般に、この種の二次電池は、充放電や温度などの使用環境によっては、劣化が速く進み、二次電池の寿命が短くなりやすい。
そこで、二次電池に設計上要求される電池寿命を確実に達成するため、二次電池を余分に搭載する、あるいは二次電池の使用環境を設定して劣化を遅らせるなどの対策がとられている。
例えば、特許文献1には、電解質の分解(劣化)を遅らせるために、高温かつ高SOC(States Of Charge:充電状態)の状態を避けるように電池を冷却制御する技術が開示される。
上述したハイブリッド鉄道車両では、保守性を考慮して、その他の電気部品の交換と一緒に、二次電池の交換が行われる。この場合、二次電池の電池寿命は交換期間(以下「目標寿命」)を確実に超えるように設計余裕を持たせる必要がある。そのため、目標寿命を迎えた以降も二次電池にはまだ使用可能な期間(以下「寿命余力」という)が残存することになり、その寿命余力を有効利用できないという問題が生じる。
一方、目標寿命になった時点で電池の寿命余力を使い切るように、電池システムを設計した場合、不測の状況によっては電池寿命が目標寿命より前に切れてしまう不具合が発生してしまう。
そこで、本発明は、電池の寿命余力を有効に利用する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、代表的な本発明の電池システムの一つは、繰り返し使用可能な電池を備えた電池システムであって、電池の寿命劣化に係る電池使用条件を制約して設定することにより、電池の寿命を制御する電池制御部と、電池使用条件の制約によって得られる電池の推定寿命を算出する推定部と、算出された推定寿命に基づいて、電池の目標寿命を上回る寿命余力を求め、寿命余力を短縮する方向に、電池制御部の電池使用条件を緩和して再設定する緩和部とを備える。
本発明によれば、電池の寿命余力を効率的に利用することが可能になる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
<実施例1の構成>
図1は、鉄道車両100の構成を示す図である。
同図において、鉄道車両100は、電池システム200、車両機関300とを備えて構成される。
図1は、鉄道車両100の構成を示す図である。
同図において、鉄道車両100は、電池システム200、車両機関300とを備えて構成される。
電池システム200は、一体交換可能な電池交換パッケージ200bの中に、二次電池200a(例えば、リチウムイオン二次電池セル)、電池制御部210、推定部220、および緩和部230を内蔵して構成される。例えば、ASIC、FPGA、またはCPUなどの処理装置(メモリを含む)をソフトウェアにより稼働させることにより、これらの電池制御部210、推定部220、および緩和部230の機能を実現してもよい。
二次電池200aは、充放電により繰り返し使用可能な電池である。この二次電池200aには、温度管理するための機構(ペルチェ素子、ヒーター、冷却ファン、空冷、液冷など)が設けられる。
電池制御部210は、この二次電池200aの充放電制御や使用温度などの電池の寿命劣化に係る電池使用条件を制約するように初期設定され、二次電池200aの寿命を目標寿命から延長する方向に制御する。以下、本開示において『制約』とは、電池の寿命劣化に係る電池使用条件について上下限などの制限を設定して電池を使用することをいう。
推定部220は、二次電池200aから電気的特性などの電池情報を取得する電池情報取得部221と、二次電池200aの使用に係る時刻情報を取得する時刻情報取得部222と、電池情報や時刻情報や電池使用条件の履歴を記憶する履歴記憶部223と、履歴記憶部223の履歴に基づいて二次電池200aの推定寿命を求める寿命予測部224とを備える。
緩和部230は、電池交換パッケージ200bの交換期間である目標寿命が設定される目標寿命設定部231と、二次電池200aに予測される寿命余力を推定寿命と目標寿命との差に基づいて求める寿命余裕演算部232と、寿命余力の期間を短縮する方向に電池制御部210の電池使用条件を緩和して再設定する緩和設定部233とを備える。
車両機関300は、ディーゼルエンジンなどの燃料機関300aと、燃料機関300aの動力により三相電力を発電する発電機310と、三相電力を直流変換するコンバータ320と、コンバータ320の直流電力(動力側電力)と二次電池200aの充放電の電力(電池側電力)と負荷に供給する電力とを相補的に供給切替するハイブリッド制御部330と、ハイブリッド制御部330から負荷に供給される電力を三相変換するインバータ340と、インバータ340の三相電力から鉄道車両100の推進力などを発生させる鉄道車両モータ350とを備える。
<実施例1の動作>
図2は、実施例1の動作を説明する流れ図である。
同図に示すステップ番号に沿って、実施例1の動作を説明する。
図2は、実施例1の動作を説明する流れ図である。
同図に示すステップ番号に沿って、実施例1の動作を説明する。
ステップS101: 電池情報取得部221は、二次電池200aまたはその周辺に取り付けられた電流センサ、電圧センサ、温度センサなどから電気的特性(電流値I、電圧値V、温度T)などを取得し、履歴記憶部223へ出力する。履歴記憶部223は、「電気的特性」、「時刻情報」、「過去の電池使用条件」などの情報をセットにして電池情報として履歴記憶する。
ステップS102: 寿命予測部224は、内部に電池劣化データベースを保持する。
寿命予測部224は、履歴記憶部223に保存された電池情報の履歴を、電池劣化データベースに照合することにより、二次電池200aの劣化度を求める。
寿命予測部224は、履歴記憶部223に保存された電池情報の履歴を、電池劣化データベースに照合することにより、二次電池200aの劣化度を求める。
ステップS103: 寿命予測部224は、劣化度の進み具合(劣化度情報)を、時刻情報と共に履歴記憶部223に履歴として保存する。
ステップS104: 推定部220は、電池の劣化度の進み具合や、予め定められた期間に基づいて、電池使用条件の再設定時期か否かを判定する。
電池使用条件の再設定時期でない場合、推定部220は、ステップS101に動作を戻す。一方、電池使用条件の再設定時期と判定された場合、推定部220は、ステップS105に動作を移行する。
電池使用条件の再設定時期でない場合、推定部220は、ステップS101に動作を戻す。一方、電池使用条件の再設定時期と判定された場合、推定部220は、ステップS105に動作を移行する。
この再設定時期は、一定間隔おきや、予め定められた不等な時間間隔おきや、不定期に定めてもよい。また、劣化度が一定量や所定量進むたびに再設定時期としてもよい。
ステップS105: 寿命予測部224は、現在の電池使用条件による劣化度の進み具合に基づいて、推定寿命を予測する。
図3は、推定寿命の予測処理の一例を説明する図である。
同図の横軸は使用年数を示し、縦軸は性能指標を示す。なお、縦軸の上限は二次電池200aの初期性能であって劣化度ゼロに相当し、縦軸の下限は二次電池200aの性能下限値であって劣化度の上限に相当する。
同図の横軸は使用年数を示し、縦軸は性能指標を示す。なお、縦軸の上限は二次電池200aの初期性能であって劣化度ゼロに相当し、縦軸の下限は二次電池200aの性能下限値であって劣化度の上限に相当する。
同図において、実線で示す実績の劣化カーブは、ステップS103で履歴記憶部223に格納された現在の電池使用条件のもとにおける劣化カーブである。一方、点線で示す劣化カーブ(予測)は、現在以降の二次電池200aの進み具合を予測するものである。
一般に、リチウムイオン二次電池などでは、電池使用時間Tの(1/2)乗に劣化度が正比例するという「ルート則の劣化カーブ」が実験的に知られている。そこで、現在の電池使用条件のもとにおける劣化カーブ(実線)に、このルート則の劣化カーブを当てはめることにより、現在以降における点線で示す劣化カーブ(予測)を得ることができる。
この劣化カーブ(予測)が、劣化度の上限(図3の性能下限値)に到達した使用年数が、推定寿命となる。
なお、ルート則は劣化特性の一般例であるため、現実の二次電池200aについて求めた劣化則を使用することが好ましい。
ステップS106: 寿命余裕演算部232は、推定寿命から目標寿命を減算することにより、寿命余力を求める。
ステップS107: 緩和設定部233は、寿命余力の次回までの短縮分を決定する。これは、予測される寿命余力を一度に使うのではなく、現在から目標寿命までの期間に寿命余力をバランスよく配分して段階的に短縮するためである。例えば、寿命余力の所定割合(例えば10%〜90%、好ましくは25%〜75%、さらに好ましくは40%〜60%)を、寿命余力の次回までの短縮分として決定する。また、目標寿命を迎えるまでの最終期間においては、この所定割合を100%近くまで変化させることにより寿命余力を使い切る。
ステップS108: 緩和設定部233は、寿命余力の次回までの短縮分を実現するように、現在の電池使用条件を緩和する。ここで緩和する電池使用条件としては、次の少なくとも1つ、または2つ以上の組み合わせが選択される。
・充電電圧の制約
・放電電流の制約
・充電電流の制約
・電池SOCの制約
・電池温度の制約
このような電池使用条件の緩和は、劣化カーブ(予測)の変化を事前に二次電池200aのシミュレータや劣化加速実験で試行しておくことによって適切に設定できる。
・充電電圧の制約
・放電電流の制約
・充電電流の制約
・電池SOCの制約
・電池温度の制約
このような電池使用条件の緩和は、劣化カーブ(予測)の変化を事前に二次電池200aのシミュレータや劣化加速実験で試行しておくことによって適切に設定できる。
ステップS109: 緩和した電池使用条件の候補は、複数通り存在する。この候補のどれを選択するかにより、二次電池200aの使用効率のアップと、それに伴う燃料機関300aの燃費向上が増減する。そこで、緩和設定部233は、候補の中から、燃料機関300aの燃費計画の向上を最大化(つまり最適化)する候補を、緩和した電池使用条件として選択する。この選択は、設計者などによる事前の燃費計画のシミュレーションにより可能となる。
ステップS110: 緩和設定部233は、緩和した電池使用条件を、次回の再設定時期までの電池使用条件として、電池制御部210に再設定する。
この電池使用条件の再設定を完了すると、図2に示すステップS110から動作をステップS101に戻す。この動作により、電池使用条件を緩和する再設定を段階的に繰り返す。その結果、二次電池200aの寿命余力を段階的に短縮することが可能になる。
図4は、この寿命余力の段階的な短縮を説明する図である。
同図では、使用開始時から目標寿命までの期間が複数区分され、電池使用条件の再設定時期(図4中の切替1〜4)が設けられる。この再設定時期ごとに寿命余力を推定することにより(図4中の予測1〜4)、寿命余力の段階的な短縮が行われる。
同図では、使用開始時から目標寿命までの期間が複数区分され、電池使用条件の再設定時期(図4中の切替1〜4)が設けられる。この再設定時期ごとに寿命余力を推定することにより(図4中の予測1〜4)、寿命余力の段階的な短縮が行われる。
この段階的な動作は、目標寿命(交換期間)に達して、電池交換パッケージ200bが交換されるまで継続する。
<実施例1の効果>
以下、実施例1の効果について説明する。
以下、実施例1の効果について説明する。
(1)実施例1では、二次電池200aの寿命余力を短縮する方向に、電池制御部210の電池使用条件を緩和する。この電池使用条件の緩和によって二次電池200aの電気的な充放電特性や使用効率が向上する。したがって、目標寿命を迎えまでの期間中に、寿命余力を有効に利用することができる。例えば、この向上分をハイブリッド制御部330が使用することにより、鉄道車両100における燃料機関300aの燃料消費を節約することが可能になる。
(2)実施例1では、電池使用条件の緩和を段階的に行うことにより、二次電池200aの寿命余力を段階的に短縮することができる。そのため、目標寿命までの期間に寿命余力を計画的に配分して有効に利用することができる。したがって、燃料機関300aの燃料消費を長期かつ安定的に節約することができる。
(3)実施例1では、二次電池200aの寿命余力を徐々に短縮し、そのたびに二次電池200aの劣化の進み具合を逐一確認するので、寿命余力の使い切り期日を目標寿命に正確に近づけることが可能になる。したがって、目標寿命の前に二次電池200aの寿命が尽きてしまうなどの不具合を適切に防止することができる。
(4)実施例1では、電池使用条件として、充電電圧の制約を緩和する。そのため、二次電池200aを高い上限電圧まで充電して使用することが可能になる。あるいは、二次電池200aをより低い下限電圧になるまで使用することが可能になる。その結果、二次電池200aの寿命は目標寿命未満にならないように短縮される一方で、二次電池200aの充放電特性や使用効率を向上させることができる。したがって、燃料機関300aの燃料消費を節約することが可能になる。
(5)実施例1では、電池使用条件として、放電電流の制約を緩和する。そのため、二次電池200aをより大きな放電電流で使用することが可能になる。その結果、二次電池200aの寿命は目標寿命未満にならないように短縮される一方で、二次電池200aの充放電特性や使用効率を向上させることができる。したがって、燃料機関300aの燃料消費を節約することが可能になる。
(6)実施例1では、電池使用条件として、充電電流の制約を緩和する。そのため、二次電池200aをより大きな充電電流で使用することが可能になる。その結果、二次電池200aの寿命は目標寿命未満にならないように短縮される一方で、二次電池200aの充電期間が短くなり、二次電池200aの使用効率が向上する。したがって、燃料機関300aの燃料消費を節約することが可能になる。
(7)実施例1では、電池使用条件として、電池SOC(States Of Charge:充電状態)の制約を緩和する。そのため、二次電池200aの充電量を高めることができる。その結果、二次電池200aの寿命は目標寿命未満にならないように短縮される一方で、二次電池200aの充放電特性や使用効率を向上させることができる。したがって、燃料機関300aの燃料消費を節約することが可能になる。
(8)実施例1では、電池使用条件として、電池の温度制御の制約を緩和する。そのため、二次電池200aの温度に依存する電気的活性を高めることができる。その結果、二次電池200aの寿命は目標寿命未満にならないように短縮される一方で、二次電池200aの充放電特性や使用効率を向上させることができる。したがって、燃料機関300aの燃料消費を節約することが可能になる。
(9)実施例1では、電池交換パッケージ200bとして、二次電池200a、電池制御部210、推定部220、および緩和部230が一体交換可能に構成される。そのため、電池交換パッケージ200bによる迅速かつ簡単な電池交換が可能になり、鉄道車両100における電池交換のメンテナンス性が向上する。
(10)実施例1では、緩和する電池使用条件やその組み合わせの候補が複数ある場合に、燃料節約効果が最大化するものを選択する。その結果、より高い燃料節約効果を得ることが可能になる。
(11)実施例1では、現在の電池使用条件を使用した実績の劣化カーブ(図3,図4の実線カーブ)に対して、二次電池200aの予測の劣化カーブ(図3,図4の点線カーブ)を当てはめると同等の演算処理により、現在の電池使用条件を使用した場合の推定寿命を求める。
一般に、推定寿命の算出には、他の劣化要因(例えば、鉄道車両100の速度や移動距離や、鉄道車両100の重量負荷、特急や各駅停車といった速度変化の違いなど)が関係するため、推定寿命の算出は複雑になる。しかしながら、これら劣化要因が反映された、実績の劣化カーブ(図3,図4の実線カーブ)に予測の劣化カーブを当てはめることにより、推定寿命の算出を簡易にかつ正確に行うことが可能になる。
一般に、推定寿命の算出には、他の劣化要因(例えば、鉄道車両100の速度や移動距離や、鉄道車両100の重量負荷、特急や各駅停車といった速度変化の違いなど)が関係するため、推定寿命の算出は複雑になる。しかしながら、これら劣化要因が反映された、実績の劣化カーブ(図3,図4の実線カーブ)に予測の劣化カーブを当てはめることにより、推定寿命の算出を簡易にかつ正確に行うことが可能になる。
次に、実施例2について説明する。
なお、実施例2の構成や全体動作については、実施例1(図1〜図4)と概略同じであるため、ここでの重複説明を省略する。
なお、実施例2の構成や全体動作については、実施例1(図1〜図4)と概略同じであるため、ここでの重複説明を省略する。
一般に、寿命余力を目標寿命の時点で使い切るように制御すると、目標寿命までの最終期間では二次電池200aの劣化が性能下限値付近まで下がる。この状態では、電池使用条件の緩和が十分に行えない。そのため、目標寿命までの最終期間において、性能が下限近くまで下がった二次電池200aを使用しなければならないという問題が生じる。
以下、この問題を制御指標により解決するプロセスについて説明する。
まず、図5に示すように、制御指標の分子成分は、推定寿命から目標寿命を減算した寿命余力である。制御指標の分母成分は、目標寿命期間から使用実績期間を減算した『目標寿命までの残り期間』に、分母が万一ゼロにならないように制御マージンを加えた値である。この制御マージンのもう一つの役割については、後述する。
まず、図5に示すように、制御指標の分子成分は、推定寿命から目標寿命を減算した寿命余力である。制御指標の分母成分は、目標寿命期間から使用実績期間を減算した『目標寿命までの残り期間』に、分母が万一ゼロにならないように制御マージンを加えた値である。この制御マージンのもう一つの役割については、後述する。
この制御指標の初期値は、寿命余力の初期値を、「目標寿命期間+制御マージン」で除した値Sとなる。
例えば、この制御指標を時間経過によらず、この値Sに保つものと仮定する。
この場合の寿命余力は、『(目標寿命までの残り期間)+制御マージン』に値Sを乗じた値に設定される。ここで、目標寿命までの残り期間は、時間経過に従って減少するため、寿命余力も時間経過に従って減少することになる。
この寿命余力の減少分を「寿命余力の短縮分」として、図2のステップS107で採用することにより、実施例1と同様に電池使用条件の段階的な緩和による寿命余力の段階的な短縮が実現する。
例えば、この制御指標を時間経過によらず、この値Sに保つものと仮定する。
この場合の寿命余力は、『(目標寿命までの残り期間)+制御マージン』に値Sを乗じた値に設定される。ここで、目標寿命までの残り期間は、時間経過に従って減少するため、寿命余力も時間経過に従って減少することになる。
この寿命余力の減少分を「寿命余力の短縮分」として、図2のステップS107で採用することにより、実施例1と同様に電池使用条件の段階的な緩和による寿命余力の段階的な短縮が実現する。
一方、目標寿命を迎えると、『目標寿命までの残り期間』はゼロとなる。このときの寿命余力は、制御マージンに値Sを乗じた値となる。すなわち、制御マージンには、目標寿命の時点で確保すべき寿命余力を定めるというもう一つの役割がある。
その結果、目標寿命を迎える最終期間には、寿命余力(=制御マージン×値S)を使い切るように、電池使用条件を緩和させることが可能になる。したがって、目標寿命までの最終期間において、性能が下限近くまで下がった二次電池200aを使用しなければならないという問題は解決する。
その結果、目標寿命を迎える最終期間には、寿命余力(=制御マージン×値S)を使い切るように、電池使用条件を緩和させることが可能になる。したがって、目標寿命までの最終期間において、性能が下限近くまで下がった二次電池200aを使用しなければならないという問題は解決する。
なお、図6は、この制御指標の値をさらに連続的または段階的に変化させることで、電池使用条件の緩和量を設定する場合の様子を図示する図である。図6の横軸は制御指標であり、図6の縦軸は電池使用条件の緩和量である。このように制御指標の値を変化させることも可能である。
<実施例2の効果>
実施例2は、上述した実施例1の効果の他に、次の効果を奏する。
実施例2は、上述した実施例1の効果の他に、次の効果を奏する。
(1)実施例2では、制御指標を使用することにより、「目標寿命までの残り期間」が短くなるに従って、寿命余力を適切に短縮することができる。
(2)実施例2では、制御指標を使用することにより、目標寿命を迎えた時点で、制御マージンに応じた分だけ、寿命余力を確保することができる。したがって、目標寿命までの最終期間は、確保した寿命余力を使い切るように電池使用条件を緩和できるため、二次電池200aを不足ない性能で使い切ることができる。
<補足事項>
なお、上述した実施形態では、ハイブリッド鉄道車両への応用について説明した。しかし、本発明の適用分野はこれに限定されない。
なお、上述した実施形態では、ハイブリッド鉄道車両への応用について説明した。しかし、本発明の適用分野はこれに限定されない。
例えば、本発明をハイブリッド自動車に適用してもよい。その場合、二次電池の推奨交換時期(車検の複数回に一度など)を目標寿命に設定して寿命余力を使い切ることにより、電池システムの充放電特性や使用効率を向上させて、ハイブリッド自動車の燃料消費を削減することが可能になる。
また、本発明を電気自動車に適用してもよい。その場合、二次電池の推奨交換時期(車検の複数回に一度など)を目標寿命に設定して寿命余力を使い切ることにより、電池システムの充放電特性や使用効率を向上させて、電気自動車の充電間隔を短縮したり、電気自動車の走行性能を高めることができる。
さらに、本発明をドローンに適用してもよい。その場合、二次電池の推奨交換時期を目標寿命に設定して寿命余力を使い切ることにより、電池システムの充放電特性や使用効率を向上させて、ドローンの飛行可能時間を延ばしたり、ドローンの飛行性能を高めることができる。
また、本発明をスマートホンや端末装置やノートパソコンなどのモバイル機器に適用してもよい。その場合、二次電池の推奨交換時期を目標寿命に設定して寿命余力を使い切ることにより、電池システムの充放電特性や使用効率を向上させて、モバイル機器の使用可能時間を延ばすことができる。
さらに、本発明を建物用の蓄電システムに適用してもよい。その場合、二次電池の推奨交換時期を目標寿命に設定して寿命余力を使い切ることにより、蓄電システムの充放電特性や使用効率を向上させて、蓄電システムの使用効率を高めることができる。
また、本発明を蓄電池式の建設機械やロボットや家庭電化製品などのシステムに使用してもよい。その場合、二次電池の推奨交換時期を目標寿命に設定して寿命余力を使い切ることにより、これらシステムの充放電特性や使用効率を向上させて、これらシステムの使用効率を高めることができる。
なお、実施形態では、電池システム200において、二次電池200aの状態を監視し、電池使用条件を緩和する再設定を行い、さらに二次電池200aの充放電制御や温度制御(冷却ファン制御など)を行っているが、本発明はこれに限定されない。例えば、充放電制御や温度制御(冷却ファン制御など)の一部または全部を鉄道車両100側の制御装置で分担してもよい。
上記の通り、種々の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
100…鉄道車両、200…電池システム、200a…二次電池、200b…電池交換パッケージ、210…電池制御部、220…推定部、221…電池情報取得部、222…時刻情報取得部、223…履歴記憶部、224…寿命予測部、230…緩和部、231…目標寿命設定部、232…寿命余裕演算部、233…緩和設定部、300…車両機関、300a…燃料機関、310…発電機、320…コンバータ、330…ハイブリッド制御部、340…インバータ
Claims (12)
- 繰り返し使用可能な電池を備えた電池システムであって、
前記電池の寿命劣化に係る電池使用条件を制約して設定することにより、前記電池の寿命を制御する電池制御部と、
前記電池使用条件の制約によって得られる前記電池の推定寿命を算出する推定部と、
算出された前記推定寿命に基づいて、前記電池の目標寿命を上回る寿命余力を求め、前記寿命余力を短縮する方向に、前記電池制御部の前記電池使用条件を緩和して再設定する緩和部と、
を備えたことを特徴とする電池システム。 - 請求項1に記載の電池システムにおいて、
前記緩和部は、
前記電池使用条件を緩和する再設定を段階的に行い、前記電池の前記寿命余力を段階的に短縮する
ことを特徴とする電池システム。 - 請求項2に記載の電池システムにおいて、
前記緩和部は、
前記目標寿命までの残り期間に所定の制御マージンを加えた期間を分母とし、前記推定寿命から前記目標寿命を減算した寿命余力を分子として、制御指標を求め、
前記制御指標に基づいて、前記電池使用条件を緩和する再設定を段階的に行う
ことを特徴とする電池システム。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池システムにおいて、
前記緩和部において緩和する再設定を行う前記電池使用条件は、
充電電圧の制約、放電電流の制約、充電電流の制約、電池SOC(States Of Charge:充電状態)の制約、および電池温度の制約からなるグループの少なくとも一つである
ことを特徴とする電池システム。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池システムにおいて、
前記電池は、鉄道車両のハイブリット機関において燃料動力と相補的に使用される鉄道車両用電池であり、
前記電池制御部は、
前記緩和部により再設定された前記電池使用条件によって前記電池の寿命余力を使用することにより、前記燃料動力の燃料消費を抑制する
ことを特徴とする電池システム。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池システムにおいて、
前記電池に対して、前記電池制御部、前記推定部、前記緩和部は一体に構成され、
前記電池の寿命交換に際して、前記電池システムを一体に交換可能とする
ことを特徴とする電池システム。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電池システムと、
前記電池システムの前記電池を電源の少なくとも一つとして使用する車両部と、
を備えたことを特徴とする鉄道車両。 - 繰り返し使用可能な電池を使用する電池管理方法であって、
前記電池の寿命劣化に係る電池使用条件を制約して設定することにより、前記電池の寿命を制御する電池制御ステップと、
前記電池使用条件の制約によって得られる前記電池の推定寿命を算出する推定ステップと、
算出された前記推定寿命に基づいて、前記電池の目標寿命を上回る寿命余力を求め、前記寿命余力を短縮する方向に、前記電池制御ステップの前記電池使用条件を緩和して再設定する緩和ステップと、
を備えたことを特徴とする電池管理方法。 - 請求項8に記載の電池管理方法において、
前記緩和ステップは、
前記電池使用条件を緩和する再設定を段階的に行い、前記電池の前記寿命余力を段階的に短縮する
ことを特徴とする電池管理方法。 - 請求項9に記載の電池管理方法において、
前記緩和ステップは、
前記目標寿命までの残り期間に所定の制御マージンを加えた期間を分母とし、前記推定寿命から前記目標寿命を減算した予測寿命余力を分子として、制御指標を求め、
前記制御指標に基づいて、前記電池使用条件を緩和する再設定を段階的に行う
ことを特徴とする電池管理方法。 - 請求項8〜10のいずれか1項に記載の電池管理方法において、
前記緩和ステップにおいて緩和する再設定を行う前記電池使用条件は、
充電電圧の制約、放電電流の制約、充電電流の制約、電池SOC(States Of Charge:充電状態)の制約、および電池温度の制約からなるグループの少なくとも一つである
ことを特徴とする電池管理方法。 - 請求項8〜11のいずれか1項に記載の電池管理方法において、
前記電池は、鉄道車両のハイブリット機関において燃料動力と相補的に使用される鉄道車両用電池であり、
前記電池制御ステップは、
前記緩和ステップにより再設定された前記電池使用条件によって前記電池の前記寿命余力を使用することにより、前記燃料動力の燃料消費を抑制する
ことを特徴とする電池管理方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022244572A1 (ja) * | 2021-05-21 | 2022-11-24 | 株式会社日立製作所 | 蓄電池システム、それを備えた鉄道車両、及び異常電池検知方法 |
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2019
- 2019-04-12 JP JP2019076063A patent/JP2020174489A/ja active Pending
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