JP2020174060A - 太陽電池モジュール用の集電ワイヤー固定フィルム、及び、それを用いてなる太陽電池モジュール - Google Patents
太陽電池モジュール用の集電ワイヤー固定フィルム、及び、それを用いてなる太陽電池モジュール Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明の集電ワイヤー固定フィルム6は、図1に示す通り、太陽電池モジュール1において複数の太陽電池素子4同士を「マルチワイヤー接続」により電気的に接続する際に、この接続構造を構成する樹脂フィルムである。
集電ワイヤー固定フィルム6の基材層61は、融点200℃以上、好ましくは融点250℃以上の熱可塑性樹脂をベース樹脂とする。そのように耐熱性に優れる熱可塑性樹脂であり、基材層61を形成するベース樹脂として用いることができる樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)(融点:255℃)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)(融点:232℃)、等を挙げることができる。集電ワイヤー固定フィルム6の基材層61を形成するベース樹脂としては、上記の熱可塑性樹脂の中でも、特に耐熱性に優れる樹脂でありながら、経済性や製造時の取り扱い性をも良好に保持することができる、ポリエチレンテレフタレート(PET)を好ましく用いることができる。
集電ワイヤー固定フィルム6のワイヤー保持層63は、柔軟性に優れるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物により形成されている。
集電ワイヤー固定フィルム6において十分な耐熱性を担保する高融点の樹脂からなる基材層61と、集電ワイヤー64を仮着状態において安定的に保持することができる適度な粘性を有する樹脂からなるワイヤー保持層63とは、接着剤層62を介して十分な強度で接合される構成であることが好ましい。又、接着剤層62には透明性も求められる。そのような接着剤層62を形成するための接着剤としては、アクリル系、ポリカーボネート系、フェノール系等、樹脂フィルム同士のドライラミネーション加工に用いられている公知の各種接着剤を用いることができるが、例えば、基材層61をポリエチレンテレフタレートで形成し、ワイヤー保持層63を低密度ポリエチレンで形成する場合であれば、良好な透明性を保持しつつ、層間の密着強度を特に強固にしやすいポリカーボネート系の接着剤を特に好ましく用いることができる。
集電ワイヤー固定フィルムの製造方法は、基材層及びワイヤー保持層を形成する樹脂組成物からなる樹脂フィルムを、接着剤で接合するドライラミネーション法によることができる。
本発明の太陽電池モジュールは、図1に示す基本構造を有する「マルチワイヤー接続」タイプの太陽電池モジュール1である。この太陽電池モジュール1は、各太陽電池素子間を複数の集電ワイヤー64で接続する「マルチワイヤー接続」構造を含む太陽電池モジュールである。各太陽電池素子の表面にこれらの複数の集電ワイヤー64を安定的に配置して電気的に接合するために、集電ワイヤー固定フィルム6が用いられる。太陽電池素子4条において集電ワイヤー固定フィルム6によって集電ワイヤー64が被覆されて構成される「マルチワイヤー接続」構造の形成の態様は、上述した通りである。
「マルチワイヤー接続」構造を含む太陽電池モジュール1の製造は、複数の集電ワイヤー64と集電ワイヤー固定フィルム6とを加熱圧着して仮着する「仮着工程」と、集電ワイヤー64と仮着されている集電ワイヤー固定フィルム6を、太陽電池素子4に加熱圧着して集電ワイヤー64を太陽電池素子4に仮接合する「仮接合工程」と、集電ワイヤー64及び集電ワイヤー固定フィルム6が仮接合されている太陽電池素子4と、透明前面基板2、受光面側封止材31、太陽電池素子4、非受光面側封止材32、及び裏面保護シート5等の他の構成部材とを、真空熱ラミネート加工により一体化する「モジュール一体化工程」と、を順次行う製造方法によって、製造することが好ましい。
この工程では、複数の集電ワイヤー64と集電ワイヤー固定フィルム6とを150℃を超えて200℃未満の加熱温度で加熱圧着することにより、集電ワイヤー64をワイヤー保持層63に埋め込んで仮着し複数の集電ワイヤー64と集電ワイヤー固定フィルム6との仮着体を形成する。
この工程では、集電ワイヤー64が仮着されている集電ワイヤー固定フィルム6を、当該フィルムによって当該ワイヤーを被覆しながら、太陽電池素子4に加熱温度105℃以上160℃以下で加熱圧着することにより、集電ワイヤー64を太陽電池素子に仮接合する。
この工程では、集電ワイヤー及び集電ワイヤー固定フィルムが仮接合されている太陽電池素子と、その他の構成部材とを、真空熱ラミネート加工により一体化する。
下記の各樹脂材料を用いて、実施例及び比較例の集電ワイヤー固定フィルムを作製した。
:融点260℃、厚さ12μm、商品名「ルミラー(登録商標)S10」(東レ株式会社製)
:密度0.919g/cm3、のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を厚さ60μmで製膜して得た樹脂フィルム。融点110℃、ビカット軟化点80℃。実施例1に使用。
:密度0.928g/cm3、のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を厚さ60μmで製膜して得た樹脂フィルム。融点120℃、ビカット軟化点80℃。実施例2に使用。
:密度0.914g/cm3、のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を厚さ60μmで製膜して得た樹脂フィルム。融点107℃、ビカット軟化点75℃。実施例3に使用。
:密度0.910g/cm3、のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を厚さ60μmで製膜して得た樹脂フィルム。融点100℃、ビカット軟化点68℃。実施例4に使用。
:密度0.932g/cm3、の中低圧法中密度ポリエチレン(MDPE)を厚さ60μmで製膜して得た樹脂フィルム。融点132℃、ビカット軟化点85℃。実施例5に使用。
:密度0.918g/cm3、のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を厚さ60μmで製膜して得た樹脂フィルム。融点100℃、ビカット軟化点60℃。比較例1に使用。
「ポリエチレンフィルム7」
:密度0.930g/cm3、のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を厚さ60μmで製膜して得た樹脂フィルム。融点128℃、ビカット軟化点92℃。比較例2に使用。
「ポリエチレンフィルム8」
:密度0.920g/cm3、のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を厚さ60μmで製膜して得た樹脂フィルム。融点105℃、ビカット軟化点65℃。比較例3に使用。
「ポリエチレンフィルム9」
:密度0.922g/cm3、のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を厚さ60μmで製膜して得た樹脂フィルム。融点105℃、ビカット軟化点75℃。比較例4に使用。
実施例・比較例の各集電ワイヤー固定フィルムのワイヤー保持層を形成するために用いる上記の各ポリエチレンフィルムについて、下記の方法により、80℃、及び160℃の複素粘度を測定し、測定結果を各集電ワイヤー固定フィルムのワイヤー保持層の80℃、及び160℃の複素粘度とし、その結果を表1に示した。
[複素粘度の試験方法]
複素粘度は、回転型レオメーター(Anton Paar製 MCR301)を用いて、パラレルプレートジオメトリー(直径8mm)、応力0.5N、歪み5%、角速度0.1(1/s)、昇温速度5℃/minの条件にて測定した。
実施例、比較例の各集電ワイヤー固定フィルムについて、ワイヤー保持力を、以下の試験方法により測定し、下記の評価基準に基づいて評価した。
温度160℃のホットプレート上で、集電ワイヤー(直径250μmのワイヤーを、15mm間隔で9本配置)上に、集電ワイヤー固定フィルム(各実施例、比較例の集電ワイヤー固定フィルム)載置し100kPaの圧力をかけて仮着することにより「ワイヤー保持力評価用サンプル」を作成した。
上記の各ワイヤー保持力評価用サンプルにおいて、先端部分を集電ワイヤー固定フィルムから剥離させた9本の集電ワイヤーの各先端部分を引っ張る形で、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)を用い、「180度剥離試験」を実施した。試験結果について、下記の評価基準により、初期密着性を評価した。評価結果を「初期密着性」として表1に記す。尚、「180度剥離試験」の試験条件は、常温、剥離速度50mm/minとした。
(評価基準)
A:5N/15mm以上
B:2N/15mm以上5N/15mm未満
C:2N/15mm未満
<評価例2:通電安定性>
実施例、比較例の各集電ワイヤー固定フィルムについて、通電安定性を、以下の試験方法により測定し、下記の評価基準に基づいて評価した。
集電ワイヤー固定フィルム(各実施例、比較例の集電ワイヤー固定フィルム)に集電ワイヤー(直径250μmのワイヤーを、15mm間隔で9本配置)が仮着された積層体である実施例比較例の各「ワイヤー保持力評価用サンプル」と下記の材料を用いて、太陽電池素子を実装し、下記のラミネート条件による真空ラミネートによって一体化し、「通電安定性評価用サンプルの作成」を作成した。モジュール層構成は、図1及び図2に示す通りとした。
透明前面基板(青板ガラス、180mm×180mm、厚さ3.2m)
受光面側封止材(密度0.985g/cm3の低密度ポリエチレンフィルム、厚さ450μm)
ワイヤー保持力評価用サンプル(各実施例、比較例の「ワイヤー保持力評価用サンプル」)
太陽電池素子(PVG Solutions製太陽電池素子(Earth ON−194))を1枚配置
非受光面側封止材(密度0.985g/cm3の低密度ポリエチレンフィルム、厚さ450μm)
裏面保護シート(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、厚さ188μm)
真空ラミネート条件
(a)真空引き:5.0分
(b)加圧(0kPa〜70kPa):1.5分
(c)圧力保持(70kPa):10.0分
(d)温度150℃
上記の各通電安定性評価用サンプルについて、EL(エレクトロルミネセンス)検査を行った。尚、EL(エレクトロルミネセンス)検査とは、太陽電池素子に電界を印加することにより、半導体内に入った電子と正孔が再結合して発光したものを撮影して、その画像を分析することにより、セルのクラック(亀裂)や、インターコネクターの断線・接続不良等を確認する試験である。
(評価基準)
A:全面が強く発光し、通電が確認されている状況
B:ワイヤー以外の部分で発光が弱い部分がある
C:一部が発光しておらず通電していない状況
2 透明前面基板
3 封止材
31 受光面側封止材
32 非受光面側封止材
4 太陽電池素子
5 裏面保護シート
6 集電ワイヤー固定フィルム
61 基材層
62 接着剤層
63 ワイヤー保持層
64 集電ワイヤー
Claims (6)
- 太陽電池モジュール用の集電ワイヤー固定フィルムであって、
基材層と、
ワイヤー保持層と、を含んでなり、
前記基材層は、融点200℃以上の熱可塑性樹脂をベース樹脂とし、
前記ワイヤー保持層は、密度0.870g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、シラン成分を含有せず、
80℃での複素粘度が、9.0E+5Pa・s以上1.0E+7Pa・s以下であり、
160℃での複素粘度が、6.0E+3Pa・s以上5.0E+4Pa・s以下である、
集電ワイヤー固定フィルム。 - 前記ワイヤー保持層の融点が105℃以上125℃以下である、請求項1に記載の集電ワイヤー固定フィルム。
- 前記ワイヤー保持層の厚さが、25μm以上100μm以下である、請求項1又は2に記載の集電ワイヤー固定フィルム。
- 前記基材層の厚さが、10μm以上25μm以下である、請求項1から3の何れかに記載の集電ワイヤー固定フィルム。
- 請求項1から4の何れかに記載の集電ワイヤー固定フィルムを備える、マルチワイヤー接続方式の太陽電池モジュールであって、
複数の太陽電池素子と、
前記太陽電池素子の表面に接合されている複数の集電ワイヤーと、
複数の前記集電ワイヤーを被覆して前記太陽電池素子の表面に積層されている前記集電ワイヤー固定フィルムと、を備える、太陽電池モジュール。 - 請求項5に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
複数の前記集電ワイヤーと前記集電ワイヤー固定フィルムとを150℃を超えて200℃未満の加熱温度で加熱圧着することにより、前記集電ワイヤーを前記ワイヤー保持層に埋め込んで仮着する仮着工程と、
前記集電ワイヤーと仮着されている前記集電ワイヤー固定フィルムを、前記太陽電池素子に105℃以上160℃以下の加熱温度で加熱圧着することにより、前記集電ワイヤーを前記太陽電池素子に仮接合する仮接合工程と、
前記集電ワイヤー及び集電ワイヤー固定フィルムが仮接合されている太陽電池素子と、その他の構成部材とを、真空熱ラミネート加工により一体化するモジュール一体化工程と、を含み、
前記仮着工程を行う前における前記集電ワイヤー固定フィルムの前記ワイヤー保持層の厚さが、前記集電ワイヤーの直径の25%以上50%以下である、太陽電池モジュールの製造方法。
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