関連出願の相互参照
本出願は、2016年4月15日に出願された米国仮出願番号第62/323,075号、2016年5月16日に出願された第62/336,815号、2016年9月20日に出願された第62/396,855号、2016年9月27日に出願された第62/400,116号、及び2017年2月27日に出願された第62/463,959号の優先権を主張し、その全内容が本明細書に組み入れられる。
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発明の技術分野
本発明は一般的に、抗IL−23A抗体を使用して、炎症性疾患、例えば乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎(AS、X線所見が認められるax−SpAとも呼ばれる)及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置する方法に関する。
発明の背景
乾癬は、慢性で、免疫により媒介される炎症性皮膚疾患であり、全世界の発症率は約2%であり、有意な罹患率を伴い、患者のクオリティ・オブ・ライフ及び幸福に対してかなりの心理社会的影響を及ぼし得る。尋常性乾癬は最もよくある病型であり、患者の約80〜90%に罹患し、皮膚上に生じたプラークとして顕現し;該疾患は通常、思春期後期及び成人期初期に始まり、成人期を通じて持続し得る。罹患する体表面積(BSA)の程度、並びに、紅斑、硬結、及び鱗屑をはじめとする皮膚の徴候の程度は、乾癬の重症度を規定し、約20〜30%の患者は、中等度から重度の疾患を有する。乾癬患者の約3分の1は、関節の炎症(乾癬性関節炎(PsA))を伴い、その結果、疼痛及び身体障害が起こる。体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎(AS、X線所見が認められる体軸性脊椎関節炎(ax−SpA)とも呼ばれる)及びX線所見が認められない体軸性脊椎関節炎(ax−SpA)を含む)は、主に中軸骨格及び仙腸関節に発症する炎症性疾患である。
乾癬、乾癬性関節炎、及び体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(これは、強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)は、正確な病因が不明である多因子自己免疫疾患である。複数の全ゲノム関連研究により、IL−23受容体の遺伝子の変異体が、乾癬の易罹患性に関連づけられた。ヒトIL−23は主に、抗原提示細胞によって産生され、Tヘルパー17(Th17)細胞の分化を誘導する。これにより、IL−17及びIL−22が産生され、これは乾癬に観察される表皮肥厚化及び組織炎症の発生を媒介し得る。
例えば処置の効力、安全性、及び/又は耐容性の点で患者にとって好ましい転帰をもたらす、炎症性疾患、特に乾癬、乾癬性関節炎、体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(これは、強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)のための処置選択肢が必要とされる。
発明の要約
本発明は上記の必要性に対処し、炎症性疾患を処置するための方法、特に特定の量及び/又は特定の間隔で抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む方法を提供する。1つの態様では、本発明の方法は、乾癬又は乾癬性関節炎の処置用である。1つの態様では、本発明の方法は、体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎(AS)及びX線所見が認められないax−SpAを含む)の処置用である。したがって、1つの態様では、本発明の方法は強直性脊椎炎(AS)の処置用であり、1つの態様では、本発明の方法は、X線所見が認められないax−SpAの処置用である。
本発明の方法は、より少ない回数の抗IL−23A抗体の投与を受けつつ、患者が臨床的改善を経験することを可能とする利点を提供する。
1つの実施態様では、本発明は、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから4〜24週間後、例えば4〜16週間後、例えば4〜12週間後に、初回の維持量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
c)前記の初回の維持量が投与されてから4〜24週間後、例えば4〜16週間後、例えば4〜12週間後に少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、本発明は、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから8〜24週間後、例えば8〜16週間後、例えば8〜12週間後、例えば6〜24週間後、例えば6〜16週間後、例えば6〜12週間後に、初回の維持量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
c)前記の初回の維持量が投与されてから8〜24週間後、例えば8〜16週間後、例えば8〜12週間後、例えば6〜24週間後、例えば6〜16週間後、例えば6〜12週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、初回の維持量は、初回量が投与されてから4、6、8、12、16、20、又は24週間後に患者に投与される。
1つの実施態様では、少なくとも1回の追加の維持量は、初回の維持量が投与されてから、4、6、8、12、16、20、又は24週間後に患者に投与される。
1つの実施態様では、初回の維持量は、初回量が投与されてから4、6、8、12、16、20、又は24週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、初回の維持量が投与されてから4、6、8、12、16、20、又は24週間後に患者に投与される。
追加の実施態様では、
初回の維持量は、初回量が投与されてから4週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、初回の維持量が投与されてから4週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから6週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、初回の維持量が投与されてから6週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから8週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、初回の維持量が投与されてから8週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから12週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、初回の維持量が投与されてから12週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから16週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、初回の維持量が投与されてから16週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから20週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、初回の維持量が投与されてから20週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから24週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、初回の維持量が投与されてから24週間後に患者に投与される。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量は、15〜300mg、例えば15〜250mg、例えば90〜180mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回維持量及び少なくとも1回の追加の維持量は、15〜300mg、例えば15〜250mg、例えば90〜180mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量は、70〜90mg、80〜100mg、90〜110mg、100〜120mg、110〜130mg、120〜140mg、130〜150mg、140〜160mg、150〜170mg、160〜180mg、170〜190mg、180〜200mg、190〜210mg、200〜220mg、210〜230mg、220〜240mg、230〜250mg、240〜260mg、250〜270mg、260〜280mg、270〜290mg、又は280〜300mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回の維持量及び少なくとも1回の追加の維持量は、70〜90mg、80〜100mg、90〜110mg、100〜120mg、110〜130mg、120〜140mg、130〜150mg、140〜160mg、150〜170mg、160〜180mg、170〜190mg、180〜200mg、190〜210mg、200〜220mg、210〜230mg、220〜240mg、230〜250mg、240〜260mg、250〜270mg、260〜280mg、270〜290mg、又は280〜300mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量は、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量は75mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回の維持量及び少なくとも1回の追加の維持量は、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回の維持量及び少なくとも1回の追加の維持量は、75mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量、初回の維持量、及び少なくとも1回の追加の維持量は、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量、初回の維持量、及び少なくとも1回の追加の維持量は、75mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明は、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから12週間後に、初回の維持量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
c)前記の初回の維持量が投与されてから12週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、前記の方法において、初回量及び維持量は、150mgの前記抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、該方法において、初回量及び維持量は、75mgの該抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明は、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから8週間後に、初回の維持量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
c)前記の初回の維持量が投与されてから8週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、前記方法において、初回量及び維持量は、90mgの前記抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、前記方法において、初回量及び維持量は、150mgの該抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明は、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから16週間後に、初回の維持量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
c)前記の初回の維持量が投与されてから16週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、前記方法において、初回量及び維持量は、150mgの前記抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明は、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから6週間後に、初回の維持量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
c)前記の初回の維持量が投与されてから6週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、前記方法において、初回量及び維持量は、150mgの前記抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明は、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから4週間後に、初回の維持量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
c)前記の初回の維持量が投与されてから4週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、前記方法において、初回量及び維持量は、150mgの前記抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明は、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから1〜6週間後に、負荷量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
c)前記の負荷量が投与されてから、8〜24週間後、例えば8〜16週間後、例えば8〜12週間後、例えば6〜24週間後、例えば6〜16週間後、例えば6〜12週間後に、初回の維持量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
d)前記の初回の維持量が投与されてから、8〜24週間後、例えば8〜16週間後、例えば8〜12週間後、例えば6〜24週間後、例えば6〜16週間後、例えば6〜12週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、負荷量は、前記の初回量が投与されてから、1、2、3、4、5又は6週間後に患者に投与される。
1つの実施態様では、初回の維持量は、負荷量が投与されてから6、8、12、16、20、又は24週間後に患者に投与される。
1つの実施態様では、少なくとも1回の追加の維持量は、初回の維持量が投与されてから6、8、12、16、20、又は24週間後に投与される。
1つの実施態様では、初回の維持量は、初回量が投与されてから6、8、12、16、20、又は24週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから6、8、12、16、20、又は24週間後に患者に投与される。
1つの実施態様では、初回の維持量は、負荷量が投与されてから6、8、12、16、20、又は24週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから6、8、12、16、20、又は24週間後に患者に投与される。
追加の実施態様では、
初回の維持量は、初回量が投与されてから6週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから6週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから8週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから8週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから12週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから12週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから16週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから16週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから20週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから20週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、初回量が投与されてから24週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから24週間後に患者に投与される。
追加の実施態様では、
初回の維持量は、負荷量が投与されてから6週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから6週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、負荷量が投与されてから8週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから8週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、負荷量が投与されてから12週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから12週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、負荷量が投与されてから16週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから16週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、負荷量が投与されてから20週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから20週間後に患者に投与されるか;又は
初回の維持量は、負荷量が投与されてから24週間後に患者に投与され、少なくとも1回の追加の維持量は、前記の初回の維持量が投与されてから24週間後に患者に投与される。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量は、15〜300mg、例えば15〜250mg、例えば90〜180mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、負荷量は、15〜300mg、例えば15〜250mg、例えば90〜180mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回維持量及び少なくとも1回の追加の維持量は、15〜300mg、例えば15〜250mg、例えば90〜180mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量は、70〜90mg、80〜100mg、90〜110mg、100〜120mg、110〜130mg、120〜140mg、130〜150mg、140〜160mg、150〜170mg、160〜180mg、170〜190mg、180〜200mg、190〜210mg、200〜220mg、210〜230mg、220〜240mg、230〜250mg、240〜260mg、250〜270mg、260〜280mg、270〜290mg、又は280〜300mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、負荷量は、70〜90mg、80〜100mg、90〜110mg、100〜120mg、110〜130mg、120〜140mg、130〜150mg、140〜160mg、150〜170mg、160〜180mg、170〜190mg、180〜200mg、190〜210mg、200〜220mg、210〜230mg、220〜240mg、230〜250mg、240〜260mg、250〜270mg、260〜280mg、270〜290mg、又は280〜300mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回維持量及び少なくとも1回の追加の維持量は、70〜90mg、80〜100mg、90〜110mg、100〜120mg、110〜130mg、120〜140mg、130〜150mg、140〜160mg、150〜170mg、160〜180mg、170〜190mg、180〜200mg、190〜210mg、200〜220mg、210〜230mg、220〜240mg、230〜250mg、240〜260mg、250〜270mg、260〜280mg、270〜290mg、又は280〜300mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量は、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量は、75mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回維持量及び少なくとも1回の追加の維持量は、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回維持量及び少なくとも1回の追加の維持量は、75mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量及び負荷量は、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量及び負荷量は、75mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量、負荷量、初回維持量、及び少なくとも1回の追加の維持量は、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、初回量、負荷量、初回維持量、及び少なくとも1回の追加の維持量は、75mgの抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明はさらに、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから4週間後に、負荷量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
c)前記の負荷量が投与されてから12週間後に、初回の維持量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
d)前記の初回の維持量が投与されてから12週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、前記方法において、初回量、負荷量及び維持量は、150mgの該抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、該方法において、初回量及び負荷量は300mgの該抗IL−23A抗体を含み、維持量は150mgの該抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、前記方法において、初回量及び負荷量は180mgの前記抗IL−23A抗体を含み、維持量は90mgの該抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、該方法において、初回量、負荷量及び維持量は、75mgの該抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明はさらに、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから4週間後に、負荷量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
c)前記の負荷量が投与されてから8週間後に、初回の維持量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
d)前記の初回の維持量が投与されてから8週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、前記方法において、初回量、負荷量及び維持量は、90mgの前記抗IL−23A抗体を含む。1つの実施態様では、該方法において、初回量、負荷量及び維持量は150mgの該抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明はさらに、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから4週間後に、負荷量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
c)前記の負荷量が投与されてから16週間後に、初回の維持量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
d)前記の初回の維持量が投与されてから16週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、前記方法において、初回量、負荷量及び維持量は、150mgの前記抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明はさらに、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記の初回量が投与されてから4週間後に、負荷量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
c)前記の負荷量が投与されてから6週間後に、初回の維持量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
d)前記の初回の維持量が投与されてから6週間後に、少なくとも1回の追加の維持量を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、前記方法において、初回量、負荷量及び維持量は、150mgの前記抗IL−23A抗体を含む。
1つの実施態様では、本発明はさらに、15〜300mg、例えば15〜250mg、例えば90〜180mgの抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患の処置法を提供する。1つの実施態様では、炎症性疾患は、乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)である。
1つの実施態様では、前記方法は、70〜90mg、80〜100mg、90〜110mg、100〜120mg、110〜130mg、120〜140mg、130〜150mg、140〜160mg、150〜170mg、160〜180mg、170〜190mg、180〜200mg、190〜210mg、200〜220mg、210〜230mg、220〜240mg、230〜250mg、240〜260mg、250〜270mg、260〜280mg、270〜290mg、又は280〜300mgの抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む。
1つの実施態様では、前記方法は、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300mgの抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む。1つの実施態様では、該方法は、75mgの抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、初回量、負荷量、又は維持量として投与される。
1つの実施態様では、本発明はさらに、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬又は乾癬性関節炎を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
b)患者が、特定のPASIスコア、例えばPASI 90、PASI 75、PASI 100、又はPASI 50をもはや維持していない場合に2回目の用量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程
を含む。
1つの態様では、初回量及び2回目の用量は本明細書に記載のような用量である。
1つの実施態様では、本発明はさらに、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬又は乾癬性関節炎を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記初回量が投与されてから1〜6週間後、例えば4週間後に負荷量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
c)患者が、特定のPASIスコア、例えばPASI 90、PASI 75、PASI 100、又はPASI 50をもはや維持していない場合に3回目の用量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程
を含む。
1つの態様では、初回量、負荷量及び3回目の用量は本明細書に記載のような用量である。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、抗IL−23A抗体は抗体A、抗体B、抗体C、又は抗体Dである。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、前記方法は、尋常性乾癬、例えば慢性尋常性乾癬の処置用である。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、前記方法は、例えば全身療法又は光線療法の候補である患者における、中等度から重症の慢性尋常性乾癬の処置用である。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、前記方法は、例えばシクロスポリン、メトトレキサート、ソラレン、又は長波長紫外線光(PUVA)をはじめとする他の全身療法に対して応答しなかったか、又は禁忌であるか、又は不耐容性である患者における、中等度から重症の慢性尋常性乾癬の処置用である。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、前記方法は、膿疱性乾癬の処置用である。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、前記方法は、乾癬性紅皮症(erythodermic psoriasis)(乾癬性紅皮症(psoriatic erythroderma)としても知られる)の処置用である。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、前記方法は汎発型膿疱性乾癬(GPP)の処置用である。1つの実施態様では、本発明は、抗IL−23A抗体、例えば本明細書に記載のような抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、汎発型膿疱性乾癬(GPP)の処置法を提供する。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、前記方法は、乾癬性関節炎、例えば活動性乾癬性関節炎の処置用である。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、乾癬性関節炎、例えば活動性乾癬性関節炎を処置するために、例えば兆候及び症状を低減させるために、単独で、又は1つ以上の生物学的製剤ではないDMARD(疾患修飾抗リウマチ薬)と組み合わせて使用される。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、構造的損傷の進行を抑制するために及び/又は身体機能を改善するために使用されるか又は適応される。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、例えば乾癬性関節炎、例えば活動性乾癬性関節炎の処置のために、例えば以前の生物学的製剤ではないDMARD療法に対する応答が不適切であった場合に、単独で又はメトトレキサート(MTX)と組み合わせて使用される。1つの態様では、抗IL−23A抗体は、X線によって測定されるような周辺の関節の損傷の進行速度を低下させるために、及び/又は身体機能を改善させるために使用される。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、抗IL−23A抗体は皮下投与によって投与される。
1つの態様では、本発明の方法において、90〜180mgの抗IL−23A抗体が6〜12週間毎に、例えば8〜12週間毎に、負荷量と共に又は負荷量を伴わずに患者に投与される。
1つの態様では、本発明の方法において、初回の維持量が、初回量の投与から32週間後までに患者に投与される。1つの態様では、本発明の方法において、初回の維持量は、初回量の投与から28週間後又は32週間後に患者に投与される。
1つの態様では、本発明の方法において、初回の維持量は、負荷量の投与から32週間後までに患者に投与される。1つの態様では、本発明の方法において、初回の維持量は、負荷量の投与から28週間後又は32週間後に患者に投与される。
1つの態様では、本発明の方法において、少なくとも1回の追加の維持量が、初回の維持量の投与から32週間後までに患者に投与される。1つの態様では、本発明の方法において、少なくとも1回の追加の維持量が、初回の維持量の投与から28週間後又は32週間後に患者に投与される。
1つの実施態様では、本発明はさらに乾癬の処置法を提供し、該方法は、第一の薬剤を用いて事前に処置された患者に抗体Aを投与する工程を含む。1つの態様では、該患者のPASIスコア又はsPGAスコアは、抗体Aの投与後に改善する。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与後にPASI 90を達成する。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与後にPASI 100を達成する。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与後に消失(スコアは0)又はほぼ消失(スコアは1)のsPGAスコアを達成する。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与前にPASI 90を達成しなかった。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与前にPASI 75を達成しなかった。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与前にPASI 50を達成しなかった。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与前に消失(スコアは0)又はほぼ消失(スコアは1)のsPGAスコアを達成しなかった。1つの態様では、第一の薬剤は、生物学的薬物、例えばモノクローナル抗体である。1つの態様では、第一の薬剤は、ウステキヌマブ又はアダリムマブである。
1つの実施態様では、本発明はさらに乾癬の処置法を提供し、該方法は、第一の薬剤を用いて処置された患者を同定する工程(該患者における前記の第一の薬剤の治療効果は乾癬を処置するのに不十分である);及び、抗体Aを該患者に投与する工程を含む。1つの態様では、該患者における抗体Aの治療効果は、乾癬を処置するのに十分である。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与前にPASI 90を達成しない。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与前にPASI 75を達成しない。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与前にPASI 50を達成しない。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与前に消失(スコアは0)又はほぼ消失(スコアは1)のsPGAスコアを達成しない。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与後にPASI 90を達成する。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与後にPASI 100を達成する。1つの態様では、患者は、抗体Aの投与後に消失(スコアは0)又はほぼ消失(スコアは1)のsPGAスコアを達成する。1つの態様では、第一の薬剤は、生物学的薬物、例えばモノクローナル抗体である。1つの態様では、第一の薬剤は、ウステキヌマブ又はアダリムマブである。
1つの実施態様では、本発明はさらに、第一の薬剤に完全に応答しない患者を、前記の第一の薬剤を用いての処置から、抗体Aを用いての処置へと切り替える工程を含む、乾癬の処置法を提供する。1つの態様では、患者は、PASIスコア90を達成しない場合に完全に応答していない。1つの態様では、患者は、PASIスコア75を達成しない場合に完全に応答していない。1つの態様では、患者は、PASIスコア50を達成しない場合に完全に応答していない。1つの態様では、患者は、消失(スコアは0)又はほぼ消失(スコアは1)のsPGAスコアを達成しない場合に完全に応答していない。1つの態様では、第一の薬剤は、生物学的薬物、例えばモノクローナル抗体である。1つの態様では、第一の薬剤は、ウステキヌマブ又はアダリムマブである。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、患者は成人患者である。
1つの態様では、本発明は、本明細書に記載のような疾患の処置に使用するための抗IL−23A抗体を提供する。
1つの態様では、本発明は、本明細書に記載のような特定の量及び/又は特定の間隔での投与による、疾患、例えば炎症性疾患、例えば乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)の処置に使用するための抗IL−23A抗体を提供する。
1つの態様では、本発明は、本明細書に記載のような疾患の処置用の医薬品の調製のための抗IL−23A抗体の使用を提供する。
1つの態様では、本発明は、本明細書に記載のような特定の量及び/又は特定の間隔での投与による、疾患、例えば炎症性疾患、例えば乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)の処置用の医薬品の調製のための抗IL−23A抗体の使用を提供する。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法において、抗IL−23A抗体は以下に開示されている。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号1のアミノ酸配列(CDR1−L);配列番号2のアミノ酸配列(CDR2−L);及び配列番号3のアミノ酸配列(CDR3−L)を含む軽鎖可変領域;並びに、配列番号4、7、8又は9のアミノ酸配列(CDR1−H);配列番号5のアミノ酸配列(CDR2−H);及び配列番号6のアミノ酸配列(CDR3−H)を含む重鎖可変領域を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号1のアミノ酸配列(CDR1−L);配列番号2のアミノ酸配列(CDR2−L);及び配列番号3のアミノ酸配列(CDR3−L)を含む軽鎖可変領域;並びに、配列番号4のアミノ酸配列(CDR1−H);配列番号5のアミノ酸配列(CDR2−H);及び配列番号6のアミノ酸配列(CDR3−H)を含む重鎖可変領域を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号1のアミノ酸配列(CDR1−L);配列番号2のアミノ酸配列(CDR2−L);及び配列番号3のアミノ酸配列(CDR3−L)を含む軽鎖可変領域;並びに、配列番号7のアミノ酸配列(CDR1−H);配列番号5のアミノ酸配列(CDR2−H);及び配列番号6のアミノ酸配列(CDR3−H)を含む重鎖可変領域を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号1のアミノ酸配列(CDR1−L);配列番号2のアミノ酸配列(CDR2−L);及び配列番号3のアミノ酸配列(CDR3−L)を含む軽鎖可変領域;並びに、配列番号8のアミノ酸配列(CDR1−H);配列番号5のアミノ酸配列(CDR2−H);及び配列番号6のアミノ酸配列(CDR3−H)を含む重鎖可変領域を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号1のアミノ酸配列(CDR1−L);配列番号2のアミノ酸配列(CDR2−L);及び配列番号3のアミノ酸配列(CDR3−L)を含む軽鎖可変領域;並びに、配列番号9のアミノ酸配列(CDR1−H);配列番号5のアミノ酸配列(CDR2−H);及び配列番号6のアミノ酸配列(CDR3−H)を含む重鎖可変領域を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号10、11、12又は13のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び、配列番号14、15、16又は17のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、又はIgE重鎖定常領域に連結された、配列番号14又は15のアミノ酸配列を含む。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、ヒトIgG1重鎖定常領域に連結された、配列番号14又は15のアミノ酸配列を含む。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、ヒトκ又はλ軽鎖定常領域に連結された配列番号10又は11のアミノ酸配列を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、ヒトIgG1重鎖定常領域に連結された配列番号14又は15のアミノ酸配列;及び、ヒトκ軽鎖定常領域に連結された配列番号10又は11のアミノ酸配列を含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号10、11、12及び13のいずれか1つからなる群より選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号14、15、16及び17のいずれか1つからなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、ヒト化モノクローナル抗体である。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、ヒト化モノクローナル抗体である。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、ヒト化モノクローナル抗体である。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、ヒト化モノクローナル抗体である。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、ヒト化モノクローナル抗体である。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号18又は21のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号19又は20のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、抗体A、抗体B、抗体C、又は抗体Dである。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、国際公開公報第2007/005955号、国際公開公報第2007/024846号、国際公開公報第2007/027714号、国際公開公報第2007/076524号、国際公開公報第2008/103432号又は国際公開公報第2012/061448号に開示されている通りである。
1つの実施態様では、本発明は、a)患者から生物学的試料を得る工程;b)該試料中において1つ以上の遺伝子の発現レベルを測定する工程;c)b)のレベルを、対照における1つ以上の遺伝子の発現レベルと比較する工程;及びd)試料と対照の間のレベルの差が患者における有益な応答を反映するか否かを決定する工程(ここでの1つ以上の遺伝子は、本明細書に記載の1つ以上の遺伝子である)を含む、IL−23Aアンタゴニストの投与後の患者における有益な応答の有無を検出するための方法を提供する。1つの態様では、患者は乾癬を患っている。1つの態様では、対照は、乾癬を患っていない1人以上の被験者に由来する。1つの態様では、対照は、別の薬剤、例えば抗IL−12/IL−23抗体、例えばウステキヌマブで処置された1人以上の被験者に由来する。1つの態様では、IL−23Aアンタゴニストは、抗IL−23A抗体又はその抗原結合フラグメント、例えば抗体A、抗体B、抗体C、又は抗体Dである。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、実施例5に記載のような遺伝子を調節する。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、実施例5に記載のような経路を調節する。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、実施例5に記載のような遺伝子の1つを調節する。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、実施例5に記載のような経路の1つを調節する。
疼痛−VASの基線からの50%を超える減少を示す患者の比率(%)。
(観察された)時間の経過におけるPASI 50の達成。
(観察された)時間の経過におけるPASI 75の達成。
(観察された)時間の経過におけるPASI 90の達成。
(観察された)時間の経過におけるPASI 100の達成。
抗体Aは、図2〜5で「BI」とも称される。
詳細な説明
IL−23のp19サブユニット(本明細書においては「IL−23A」、「IL−23p19」及び「p19サブユニット」とも称される)は、21アミノ酸リーダー配列を含有している189アミノ酸ポリペプチドである(Oppmann et al. Immunity 13:715 (2000)、配列番号22)。該分子の生物学的活性は、IL−12p40サブユニットと対を形成してIL−23を形成する場合にのみ検出される。IL−23は主に、活性化された樹状細胞(DC)及び貪食細胞によって発現されている。IL−23の受容体は、IL−23Rと呼ばれる独特なサブユニットと対を形成したIL−12受容体のIL−12Rβ1サブユニットから構成されることが判明した(Parham et al. J. Immunol. 168:5699 (2002))。該受容体の発現は主に、記憶T細胞及びNK細胞上に検出される。したがって、このサイトカイン:受容体の対の発現は、免疫細胞の特定の個体群に限定されているようである。IL−12とIL−23は多くの機能を共有するであろうと最初は考えられていたが、データは、その状況が異なることを示した。IL−12は、Th1細胞の生成に主な役割を有しているが、IL−23は、Th17と呼ばれる近年認められたTh細胞サブセットの生成及び維持に決定的に関与していることが判明した(Kikly et al. Curr. Opin. Immunol. 18:670 (2006), Kastelein et al. Ann. Rev. Immunol. 25:221 (2007))。これらの細胞は、IL−17A、IL−17F、IL−22、及び他の炎症誘発性サイトカイン、例えばIL−6及びTNF−αを産生する。以下に記載されているように、これらのTh17細胞の役割に関する動物モデル研究は、慢性炎症及び自己免疫における駆動力としてのその重要性を示す。
配列番号22:
mlgsravmll lllpwtaqgr avpggsspaw tqcqqlsqkl ctlawsahpl vghmdlreeg
deettndvph iqcgdgcdpq glrdnsqfcl qrihqglify ekllgsdift gepsllpdsp
vgqlhasllg lsqllqpegh hwetqqipsl spsqpwqrll lrfkilrslq afvavaarvf
ahgaatlsp
1つの態様では、本発明は、IL−23A関連疾患の処置法を提供する。1つの態様では、本発明は、疾患、例えば炎症性疾患を処置するための方法、特に、特定の量及び/又は特定の間隔で抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む方法を提供する。1つの態様では、本発明の方法は、乾癬又は乾癬性関節炎の処置用である。1つの態様では、本発明の方法は、強直性脊椎炎(AS)の処置用である。1つの態様では、本発明の方法は、体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)、例えばX線所見が認められないax−SpAの処置用である。
1つの態様では、本発明は、本明細書に記載のような特定の量及び/又は特定の間隔での投与による、疾患、例えば炎症性疾患、例えば乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)の処置に使用するための抗IL−23A抗体を提供する。
1つの態様では、本発明は、本明細書に記載のような特定の量及び/又は特定の間隔での投与による、疾患、例えば炎症性疾患、例えば乾癬、乾癬性関節炎、又は体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)の処置用の医薬品の調製のための抗IL−23A抗体の使用を提供する。
1つの態様では、本発明の方法は、初回量の抗IL−23A抗体を患者に投与する工程、続いて、1回以上の維持量の抗IL−23A抗体を投与する工程を含む。場合により、負荷量の抗IL−23A抗体を、初回量の投与から初回の維持量の投与までの間に患者に投与する。
1つの態様では、本発明の方法において、初回量の投与から初回の維持量の投与までの間の間隔は、4〜24週間、例えば4〜16週間、例えば4〜12週間、例えば4、6、8、12、16、20、又は24週間である。別の態様では、初回の維持量の投与からその後の維持量の投与までの間の間隔は、4〜24週間、例えば4〜16週間、例えば4〜12週間、例えば4、6、8、12、16、20、又は24週間である。
1つの態様では、本発明の方法において、初回量の投与から初回の維持量の投与までの間の間隔は、8〜24週間、例えば8〜16週間、例えば8〜12週間、例えば6〜24週間、例えば6〜16週間、例えば6〜12週間、例えば6、8、12、16、20、又は24週間である。別の態様では、初回の維持量の投与からその後の維持量の投与までの間の間隔は、8〜24週間、例えば8〜16週間、例えば8〜12週間、例えば6〜24週間、例えば6〜16週間、例えば6〜12週間、例えば6、8、12、16、20、又は24週間である。
1つの態様では、本発明の方法において、初回量の投与から初回の維持量の投与までの間の間隔、及び初回の維持量からその後の維持量の投与までの間の間隔は、同じであり、例えば4〜24週間、例えば4〜16週間、例えば4〜12週間、例えば4、6、8、12、16、20、又は24週間である。
1つの態様では、本発明の方法において、初回量の投与から初回の維持量の投与までの間の間隔、及び初回の維持量の投与からその後の維持量の投与までの間の間隔は、同じであり、例えば8〜24週間、例えば8〜16週間、例えば8〜12週間、例えば6〜24週間、例えば6〜16週間、例えば6〜12週間、例えば6、8、12、16、20、又は24週間である。
1つの態様では、本発明の方法において、負荷量のIL−23A抗体が、初回量の投与から初回の維持量の投与までの間に患者に投与される。
1つの態様では、負荷量は、初回量の投与から1、2、3、4、5、又は6週間後に患者に投与される。1つの態様では、本発明の方法において、負荷量の投与から初回の維持量の投与までの間の間隔は、8〜24週間、例えば8〜16週間、例えば8〜12週間、例えば6〜24週間、例えば6〜16週間、例えば6〜12週間、例えば6、8、12、16、20、又は24週間である。別の態様では、初回の維持量の投与からその後の維持量の投与までの間の間隔は、8〜24週間、例えば8〜16週間、例えば8〜12週間、例えば6〜24週間、例えば6〜16週間、例えば6〜12週間、例えば6、8、12、16、20、又は24週間である。
1つの態様では、本発明の方法において、負荷量の投与から初回の維持量の投与までの間の間隔、及び初回の維持量の投与からその後の維持量の投与までの間の間隔は、同じであり、例えば8〜24週間、例えば8〜16週間、例えば8〜12週間、例えば6〜24週間、例えば6〜16週間、例えば6〜12週間、例えば6、8、12、16、20、又は24週間である。
1つの態様では、初回量及び維持量における抗IL−23A抗体の量は同じである。1つの態様では、初回量及び負荷量における抗IL−23A抗体の量は同じである。1つの態様では、負荷量及び維持量における抗IL−23A抗体の量は同じである。1つの態様では、初回量、負荷量及び維持量における抗IL−23A抗体の量は同じである。
1つの態様では、維持量における抗IL−23A抗体の量は、初回量及び/又は負荷量における抗IL−23A抗体の量よりも少ない。1つの態様では、初回量における抗IL−23A抗体の量は、例えば負荷量の非存在下において、維持量における抗IL−23A抗体の量の2倍である。1つの態様では、初回量及び負荷量における抗IL−23A抗体の量は、維持量における抗IL−23A抗体の量の2倍である。
1つの態様では、本発明の方法において、初回量は15〜300mg、例えば15〜250mgの抗IL−23A抗体を含む。別の態様では、維持量は、15〜300mgm、例えば15〜250mgの抗IL−23A抗体を含む。別の態様では、負荷量が投与される場合、このような負荷量は、15〜300mg、例えば15〜250mgの抗IL−23A抗体を含む。
さらなる態様では、本発明による初回量、負荷量又は維持量は、70〜90mg、80〜100mg、90〜110mg、100〜120mg、110〜130mg、120〜140mg、130〜150mg、140〜160mg、150〜170mg、160〜180mg、170〜190mg、180〜200mg、190〜210mg、200〜220mg、210〜230mg、220〜240mg、230〜250mg、240〜260mg、250〜270mg、260〜280mg、270〜290mg、又は280〜300mgの抗IL−23A抗体を含む。
さらなる態様では、本発明による初回量、負荷量又は維持量は、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300mgの抗IL−23A抗体を含む。さらなる態様では、本発明による初回量、負荷量又は維持量は、75mgの抗IL−23A抗体を含む。
さらなる態様では、本発明は、炎症性疾患の処置法を提供し、該方法は、15〜250mgの抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む。1つの態様では、70〜90mg、80〜100mg、90〜110mg、100〜120mg、110〜130mg、120〜140mg、130〜150mg、140〜160mg、150〜170mg、160〜180mg、170〜190mg、180〜200mg、190〜210mg、200〜220mg、210〜230mg、220〜240mg、230〜250mg、240〜260mg、250〜270mg、260〜280mg、270〜290mg、又は280〜300mgの抗IL−23A抗体が患者に投与される。1つの態様では、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300mgの抗IL−23A抗体が患者に投与される。1つの態様では、75mgの抗IL−23A抗体が患者に投与される。1つの態様では、該疾患は乾癬又は乾癬性関節炎である。1つの態様では、該疾患は、体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎及びX線所見が認められないax−SpAを含む)である。
1つの態様では、本発明の方法において、90〜180mgの抗IL−23A抗体が6〜12週間毎に、例えば8〜12週間毎に、負荷量と共に又は負荷量を伴わずに患者に投与される。
本発明による用量及び用量処方計画の代表例が表Aに開示されている。
表Aにおいて、負荷量が投与された場合、初回量から4週間後に投与されたとして示されている。
また、上記の表に同定されているそれぞれの用量及び維持量の頻度に対して、初回量から1週間後に負荷量を投与することも本発明の範囲内である。
また、上記の表に同定されているそれぞれの用量及び維持量の頻度に対して、初回量から2週間後に負荷量を投与することも本発明の範囲内である。
また、上記の表に同定されているそれぞれの用量及び維持量の頻度に対して、初回量から3週間後に負荷量を投与することも本発明の範囲内である。
また、上記の表に同定されているそれぞれの用量及び維持量の頻度に対して、初回量から5週間後に負荷量を投与することも本発明の範囲内である。
また、上記の表に同定されているそれぞれの用量及び維持量の頻度に対して、初回量から6週間後に負荷量を投与することも本発明の範囲内である。
例えば、本発明の脈絡において、負荷量が全く患者に投与されず、維持量の投与頻度が12週間である場合、初回量が患者に0週目に投与され、その後、12週目(初回の維持量)、次いで24週目(2回目の維持量)など12週間の投与間隔でさらに投与される。1つの態様では、初回量及び維持量は、150mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの態様では、初回量及び維持量は、75mgの抗IL−23A抗体を含む。
例えば、本発明の脈絡において、負荷量が患者に投与され、維持量の投与頻度が12週間である場合、初回量が患者に0週目に投与され、その後、4週目(負荷量)、次いで16週目(初回の維持量)、28週目(2回目の維持量)など12週間の投与間隔でさらに投与される。1つの態様では、初回量、負荷量及び維持量は、150mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの態様では、初回量及び負荷量は、300mgの抗IL−23A抗体を含み、維持量は150mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの態様では、初回量及び負荷量は180mgの抗IL−23A抗体を含み、維持量は90mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの態様では、初回量、負荷量及び維持量は、75mgの抗IL−23A抗体を含む。
例えば、本発明の脈絡において、負荷量が全く患者に投与されず、維持量の投与頻度が8週間である場合、初回量が患者に0週目に投与され、その後、8週目(初回の維持量)、次いで16週目(2回目の維持量)など8週間の投与間隔でさらに投与される。1つの態様では、初回量及び維持量は、90mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの態様では、初回量及び維持量は、150mgの抗IL−23A抗体を含む。
例えば、本発明の脈絡において、負荷量が患者に投与され、維持量の投与頻度が8週間である場合、初回量が患者に0週目に投与され、その後、4週目(負荷量)、次いで12週目(初回の維持量)、20週目(2回目の維持量)など8週間の投与間隔でさらに投与される。1つの態様では、初回量、負荷量、及び維持量は、90mgの抗IL−23A抗体を含む。1つの態様では、初回量、負荷量、及び維持量は、150mgの抗IL−23A抗体を含む。
例えば、本発明の脈絡において、負荷量が全く患者に投与されず、維持量の投与頻度が16週間である場合、初回量が患者に0週目に投与され、その後、16週目(初回の維持量)、次いで32週目(2回目の維持量)など16週間の投与間隔でさらに投与される。1つの態様では、初回量及び維持量は、150mgの抗IL−23A抗体を含む。
例えば、本発明の脈絡において、負荷量が患者に投与され、維持量の投与頻度が16週間である場合、初回量が患者に0週目に投与され、その後、4週目(負荷量)、次いで20週目(初回の維持量)、36週目(2回目の維持量)など16週間の投与間隔でさらに投与される。1つの態様では、初回量、負荷量及び維持量は、150mgの抗IL−23A抗体を含む。
例えば、本発明の脈絡において、負荷量が全く患者に投与されず、維持量の投与頻度が6週間である場合、初回量が患者に0週目に投与され、その後、6週目(初回の維持量)、次いで12週目(2回目の維持量)など6週間の投与間隔でさらに投与される。1つの態様では、初回量及び維持量は、150mgの抗IL−23A抗体を含む。
例えば、本発明の脈絡において、負荷量が患者に投与され、維持量の投与頻度が6週間である場合、初回量が患者に0週目に投与され、その後、4週目(負荷量)、次いで10週目(初回の維持量)、16週目(2回目の維持量)など6週間の投与間隔でさらに投与される。1つの態様では、初回量、負荷量、及び維持量は、150mgの抗IL−23A抗体を含む。
例えば、本発明の脈絡において、維持量の投与頻度が4週間である場合、初回量が患者に0週目に投与され、その後、4週目(初回の維持量)、次いで8週目(2回目の維持量)、12週目(3回目の維持量)など4週間の投与間隔でさらに投与される。1つの態様では、初回量及び維持量は、150mgの抗IL−23A抗体を含む。
さらなる態様では、本発明による方法において、初回量のIL−23A抗体が患者に投与される。初回量の治療効果が、例えばPASIスコア、例えばPASI 90、PASI 75、PASI 100、又はPASI 50によって評価されるように維持されている限り、2回目の用量の抗IL−23抗体は患者に投与されないが、疾患重症度が特定のレベルを超えて増加した場合、例えば患者が特定のPASIスコア、例えばPASI 90、PASI 75、PASI 100、又はPASI 50をもはや維持していない場合には2回目の用量が患者に投与される。抗IL−23抗体の初回量及び2回目の用量は、例えば、本明細書に記載のような用量である。1つの態様では、患者を、初回量が投与された後に、例えば、患者のPASIスコアを評価することによってモニタリングする。1つの態様では、患者が、2回目の用量の投与後に、特定のPASIスコア、例えばPASI 90、PASI 75、PASI 100、又はPASI 50をもはや維持していない場合に、3回目の用量の抗IL−23抗体が患者に投与される。3回目の用量の抗IL−23抗体は、例えば、本明細書に記載のような用量であり、例えば、2回目の用量と同じ用量である。1つの態様では、患者を、2回目の用量が投与された後に、例えば患者のPASIスコアを評価することによってモニタリングする。さらなる態様では、少なくとも1回の追加の用量がこのような方法で患者に投与される。
さらなる態様では、本発明による方法において、負荷量の抗IL−23抗体が、初回量の投与後に、例えば本明細書に記載のような期間の後に患者に投与される。初回量の治療効果が、例えばPASIスコア、例えばPASI 90、PASI 75、PASI 100、又はPASI 50によって評価されるように維持されている限り、3回目の用量の抗IL−23抗体は患者に投与されないが、疾患重症度が特定のレベルを超えて増加した場合、例えば患者が特定のPASIスコア、例えばPASI 90、PASI 75、PASI 100、又はPASI 50をもはや維持していない場合には3回目の用量が患者に投与される。1つの態様では、負荷量の抗IL−23抗体は、本明細書に記載のような用量である。1つの態様では、患者が、3回目の用量の投与後に、特定のPASIスコア、例えばPASI 90、PASI 75、PASI 100、又はPASI 50をもはや維持していない場合に、4回目の用量の抗IL−23抗体が患者に投与される。4回目の用量の抗IL−23抗体は、例えば本明細書に記載のような用量であり、例えば3回目の用量と同じ用量である。1つの態様では、患者を、3回目の用量が投与された後に、例えば患者のPASIスコアを評価することによってモニタリングする。さらなる態様では、少なくとも1回の追加の用量がこのような方法で患者に投与される。
したがって、1つの実施態様では、本発明はさらに、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬又は乾癬性関節炎を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
b)患者がPASI 90、PASI 75、PASI 100、又はPASI 50をもはや維持していない場合に、2回目の用量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程
を含む。
1つの実施態様では、本発明はさらに、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬又は乾癬性関節炎を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
b)患者が消失(スコアは0)又はほぼ消失(スコアは1)のsPGAスコアをもはや維持していない場合に、2回目の用量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程
を含む。
1つの態様では、本発明の方法において、初回の維持量は、初回量の投与から32週間後までに患者に投与される。1つの態様では、本発明の方法において、初回の維持量は、初回量の投与から28週間後又は32週間後に患者に投与される。
1つの態様では、本発明の方法において、初回の維持量は、負荷量の投与から32週間後までに患者に投与される。1つの態様では、本発明の方法において、初回の維持量は、負荷量の投与から28週間後又は32週間後に患者に投与される。
1つの態様では、本発明の方法において、少なくとも1回の追加の維持量が、初回の維持量の投与から32週間後までに患者に投与される。1つの態様では、本発明の方法において、少なくとも1回の追加の維持量が、初回の維持量の投与から28週間後又は32週間後に患者に投与される。
1つの態様では、2回目の用量及びその後の用量における抗IL−23A抗体の量は、初回量における抗IL−23A抗体の量よりも少ない。1つの態様では、初回量における抗IL−23A抗体の量は、2回目の用量及びその後の用量における抗IL−23A抗体の量の2倍である。
1つの実施態様では、本発明はさらに、抗IL−23A抗体を患者に投与する工程を含む、炎症性疾患を処置するための方法、1つの態様では乾癬又は乾癬性関節炎を処置するための方法を提供し、該方法は、
a)初回量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;
b)前記初回量が投与されてから1〜6週間後、例えば4週間後に負荷量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程;及び
c)患者がPASI 90、PASI 75、PASI 100、又はPASI 50をもはや維持していない場合に、3回目の用量の該抗IL−23A抗体を患者に投与する工程
を含む。
1つの態様では、3回目の用量及びその後の用量における抗IL−23A抗体の量は、初回量及び/又は負荷量における抗IL−23A抗体の量よりも少ない。1つの態様では、初回量における抗IL−23A抗体の量は、3回目の用量及びその後の用量における抗IL−23A抗体の量の2倍である。1つの態様では、初回量及び負荷量における抗IL−23A抗体の量は、3回目及びその後の用量における抗IL−23A抗体の量の2倍である。
1つの実施態様では、上記のいずれか1つの方法における抗IL−23A抗体が本明細書に開示されている。
1つの態様では、上記のいずれか1つの方法において、抗IL−23A抗体を含む医薬組成物が患者に投与される。1つの態様では、抗IL−23A抗体、例えば抗体A、抗体B、抗体C又は抗体Dを含む実施例4に開示された製剤2が患者に投与される。1つの態様では、抗IL−23A抗体、例えば抗体A、抗体B、抗体C又は抗体Dを含む実施例4に開示された製剤3が患者に投与される。
1つの態様では、抗IL−23A抗体はヒト化抗体である。1つの態様では、抗IL−23A抗体はモノクローナル抗体である。1つの態様では、抗IL−23A抗体は完全長抗体である。1つの態様では、抗IL−23A抗体はヒト化モノクローナル抗体、例えば完全長ヒト化モノクローナル抗体である。
本明細書に記載の抗体は、特定の「IL−23A抗原エピトープ」又は「IL−23Aエピトープ」を認識する。本明細書において使用されるこれらの用語は、抗IL−23A抗体と免疫反応を起こすことのできる分子(例えばペプチド)又は分子のフラグメントを指し、これは例えば、配列番号11/14、11/15、10/14、又は10/15の軽鎖/重鎖の配列の組合せを有する抗体のいずれかによって認識されるIL−23A抗原決定基を含む。
抗体又は免疫グロブリンの一般構造は、当業者には周知である。これらの分子は、2本の同一な軽鎖(L)と2本の同一な重鎖(H)から構成される典型的には約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、これは典型的には完全長抗体と呼ばれる。各々の軽鎖は、1本のジスルフィド結合によって重鎖に共有結合で連結されてヘテロ二量体を形成し、ヘテロ二量体の2本の同一な重鎖の間でのジスルフィド共有結合を通してヘテロ四量体分子が形成される。軽鎖と重鎖は互いに1本のジスルフィド結合によって連結されているが、2本の重鎖間のジスルフィド結合の数は、免疫グロブリンのアイソタイプによって異なる。各々の重鎖及び軽鎖はまた、規則的に配置された鎖内ジスルフィド橋を有する。各々の重鎖は、アミノ末端に可変ドメイン(VH)、続いて3つ又は4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3及びCH4)、並びに、CH1とCH2間のヒンジ領域を有する。各々の軽鎖は、アミノ末端可変ドメイン(VL)及びカルボキシ末端定常ドメイン(CL)という2つのドメインを有する。VLドメインは、非共有結合的にVHドメインと会合し、一方、CLドメインは一般的にCH1ドメインにジスルフィド結合を介して共有結合で連結されている。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間の界面を形成すると考えられている(Chothia et al., 1985, J. Mol. Biol. 186:651-663)。可変ドメインはまた、本明細書において可変領域とも称される。
可変ドメイン内の特定のドメインが、様々な抗体間で大幅に異なり、すなわち「超可変的」である。これらの超可変ドメインは、その特異的な抗原決定基に対する各々の特定の抗体の結合及び特異性に直接関与している残基を含有している。軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの両方における超可変性は、相補性決定領域(CDR)又は超可変ループ(HVL)として知られる3つのセグメントに集中している。CDRは、Kabat et al., 1991, In: Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.の配列比較によって規定され、一方、HVL(本明細書においてCDRとも称される)は、Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol. 196: 901-917に記載のような可変ドメインの3次元構造に従って構造的に規定される。これらの2つの方法では、CDRの同定は僅かに異なる。Kabatによって定義されているように、CDR−L1は、軽鎖可変ドメイン内のおよそ24〜34残基に位置し、CDR−L2はおよそ50〜56残基に位置し、CDR−L3はおよそ89〜97残基に位置し;CDR−H1は、重鎖可変ドメイン内のおよそ31〜35残基に位置し、CDR−H2はおよそ50〜65残基に位置し、CDR−H3はおよそ95〜102残基に位置する。特定のCDRを包含する正確な残基の番号は、CDRの配列及びサイズに依存して変化するだろう。当業者は、抗体の可変領域のアミノ酸配列が与えられれば、どの残基が特定のCDRを含むか慣用的に決定することができる。それ故、重鎖及び軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3は、所与の抗体に特異的な独特かつ機能的な特性を規定する。
重鎖及び軽鎖の各々の中にある3つのCDRは、フレームワーク領域(FR)によって隔てられ、このフレームワーク領域はより可変性が低い傾向がある配列を含有している。重鎖及び軽鎖の可変ドメインのアミノ末端からカルボキシ末端にかけて、FR及びCDRは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4の順に整列している。FRの主にβ−シートの立体配置により、各々の鎖内のCDRが互いに及び他の鎖のCDRと近接する。結果として生じたコンフォメーションは抗原結合部位に寄与するが(Kabat et al., 1991, NIH Publ. No. 91-3242, Vol. I, pages 647-669を参照)、全てのCDR残基が必ずしも抗原との結合に直接関与しているわけではない。
FR残基及びIg定常ドメインは、抗原との結合に直接関与していないが、抗原との結合に寄与する、及び/又は、抗体エフェクター機能を媒介する。いくつかのFR残基は少なくとも3つの方法で抗原との結合に対して有意な効果を及ぼすと考えられている:エピトープに非共有結合的に直接結合することによって、1つ以上のCDR残基と相互作用することによって、及び重鎖と軽鎖との間の界面に影響を及ぼすことによって。定常ドメインは、抗原との結合に直接関与していないが、様々なIgエフェクター機能を媒介し、例えば抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)、補体依存性細胞傷害作用(CDC)及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)における抗体の関与を媒介する。
脊椎動物の免疫グロブリンの軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)という2つの明確に異なるクラスの中の1つに割り当てられる。これに対して、哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖は、定常ドメインの配列に従って、5つの主要なクラスの中の1つに割り当てられる:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM。IgG及びIgAはさらにサブクラス(アイソタイプ)に分類される、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2。様々なクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、α、δ、ε、γ、及びμとそれぞれ呼ばれる。天然免疫グロブリンのクラスのサブユニット構造及び3次元立体配置は周知である。
「抗体」、「抗IL−23A抗体」、「抗IL−23p19抗体」、「ヒト化抗IL−23A抗体」、「ヒト化抗IL−23p19抗体」、「ヒト化抗IL−23Aエピトープ抗体」、「ヒト化抗IL−2319エピトープ抗体」、「変異ヒト化抗IL−23Aエピトープ抗体」及び「変異ヒト化抗IL−23p19エピトープ抗体」という用語は具体的に、所望の生物学的活性、例えばIL−23Aとの結合を示すモノクローナル抗体(完全長のモノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及び抗体フラグメント、例えば可変ドメイン、及び抗体の他の部分を包含する。「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、非常に特異的であり、単一の抗原決定基、すなわち「エピトープ」に対して指向される、抗体を指す。それ故、「モノクローナル」という修飾語は、同一のエピトープに対して指向される抗体を示し、任意の特定の方法による抗体の産生が必要とされると捉えられるものではない。モノクローナル抗体は、例えばハイブリドーマ法(Kohler et al., 1975, Nature 256:495)又は当技術分野において公知である組換えDNA法(例えば米国特許第4,816,567号を参照)、又はClackson et al., 1991, Nature 352: 624-628、及びMarks et al., 1991, J. Mol. Biol. 222: 581-597に記載の技術を使用してファージ抗体ライブラリーを使用して組換え産生されたモノクローナル抗体の単離法をはじめとする、当技術分野において公知である任意の技術又は方法によって作製され得ることが理解されるべきである。
「単量体」という用語は、均一な形態の抗体を指す。例えば、完全長の抗体では、単量体は、2本の同一な重鎖と2本の同一な軽鎖とを有する単量体の抗体を意味する。
キメラ抗体は、ある種(例えば非ヒト哺乳動物、例えばマウス)に由来する抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域と、別の種(例えばヒト)に由来する抗体の重鎖及び軽鎖の定常領域とからなり、そしてこれは、第一の種(例えばマウス)に由来する抗体の可変領域をコードしているDNA配列を、第二の種(例えばヒト)に由来する抗体の定常領域のDNA配列に連結させ、連結させた配列を含有している発現ベクターを用いて宿主を形質転換して、それがキメラ抗体を産生することを可能とすることによって得ることができる。あるいは、キメラ抗体はまた、重鎖及び/又は軽鎖の1つ以上の領域若しくはドメインが、別の免疫グロブリンクラス若しくはアイソタイプ由来の、又は共通配列若しくは生殖系列配列由来のモノクローナル抗体内の対応する配列と同一であるか、相同であるか、又はその変異体であるものであり得る。キメラ抗体は、このような抗体のフラグメントを含んでいてもよい。ただし、該抗体フラグメントは、その親抗体の所望の生物学的活性、例えば同じエピトープへの結合を示す(例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-6855を参照)。
「抗体フラグメント」、「抗IL−23A抗体フラグメント」、「抗IL−23Aエピトープ抗体フラグメント」、「ヒト化抗IL−23A抗体フラグメント」、「ヒト化抗IL−23Aエピトープ抗体フラグメント」、「変異ヒト化抗IL−23Aエピトープ抗体フラグメント」という用語は、完全長の抗IL−23A抗体の一部を指し、可変領域又は機能的能力、例えば特異的なIL−23Aのエピトープへの結合は保持されている。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、scFv、及びscFv−Fcフラグメントが挙げられる。
完全長の抗体を、パパイン又はペプシンなどの酵素で処理することにより、有用な抗体フラグメントを作製することができる。パパインによる消化を使用することにより、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一な抗原結合性の抗体フラグメント(各々は1つの抗原結合部位を有する)と残りの「Fc」フラグメントを生成する。Fabフラグメントはまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖のCH1ドメインも含有している。ペプシンによる処理により、2つの抗原結合部位を有するF(ab’)2フラグメントが生じ、これは依然として抗原と架橋することができる。
Fab’フラグメントは、CH1ドメインのC末端における抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含む、追加の残基の存在によってFabフラグメントとは異なる。F(ab’)2抗体フラグメントは、ヒンジ領域内のシステイン残基によって連結されたFab’フラグメントの対である。抗体フラグメントの他の化学的結合も公知である。
「Fv」フラグメントは、緊密に非共有結合的に会合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの二量体からなる、完全な抗原認識結合部位を含有している。この立体配置では、各々の可変ドメインの3つのCDRは相互作用して、VH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を規定する。要するに、6つのCDRが、抗体に対して抗原結合特異性を付与する。
「一本鎖Fv」すなわち「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVHドメインとVLドメインとを含む一本鎖Fv変異体であり、ここでのドメインは、1本のポリペプチド鎖内に存在している。一本鎖Fvは、抗原を認識し結合することができる。scFvポリペプチドはまた場合により、VHドメインとVLドメインの間に位置するポリペプチドリンカーを含有していてもよく、これによりscFvと抗原との結合のために望ましい3次元構造の形成が促進される(例えば、Pluckthun, 1994, In The Pharmacology of monoclonal Antibodies, Vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315を参照)。
「ヒト化抗体」又は「ヒト化抗体フラグメント」は、予め決定された抗原に結合することができ、そしてヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する1つ以上のFRと、非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する1つ以上のCDRとを含む、免疫グロブリンアミノ酸配列変異体又はそのフラグメントを含む、特殊な種類のキメラ抗体である。「インポート」配列としばしば称されるこの非ヒトアミノ酸配列は、典型的には、「インポート」抗体ドメイン、特に可変ドメインから採用される。一般的には、ヒト化抗体は、ヒト重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインのFR間に挿入された、非ヒト抗体の少なくともCDR又はHVLを含む。本発明は、マウスモノクローナル抗体に由来するCDR、又は、ヒト生殖系列配列の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのFR間に挿入された表1及び2に示されるヒト化CDRを含有している、特定のヒト化抗IL−23A抗体を記載する。特定のマウスFR残基が、ヒト化抗体の機能にとって重要である場合があり、それ故、特定のヒト生殖系列配列の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン残基が、対応するマウス配列の残基と同じになるように改変されることが理解されるだろう。
別の態様では、ヒト化抗IL−23A抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイン(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、及びFvフラグメントに含有されているような)の実質的に全部を含み、ここではCDRの全部又は実質的に全部が、非ヒト免疫グロブリンのCDRに相当し、具体的に本明細書において、CDRの全部が、本明細書の以下の表1及び2に詳述されているようなマウス配列又はヒト化配列であり、FRの全部又は実質的に全部が、ヒト免疫グロブリン共通配列又は生殖系列配列のFRである。別の態様では、ヒト化抗IL−23A抗体はまた、免疫グロブリンFc領域の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを含む。通常、抗体は、両方の軽鎖、並びに重鎖の少なくとも可変ドメインを含有するだろう。抗体はまた、適宜、重鎖のCH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域、及び/又はCH4領域の1つ以上を含み得る。
ヒト化抗IL−23A抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含むあらゆるクラスの免疫グロブリン、並びに、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2を含むあらゆるアイソタイプから選択され得る。例えば、定常ドメインは、補体に結合する定常ドメインであってもよく、この場合ヒト化抗体は、細胞傷害活性を示すことが望まれ、アイソタイプは典型的にはIgG1である。このような細胞傷害活性が望ましくない場合には、定常ドメインは別のアイソタイプ、例えばIgG2であってもよい。代替的なヒト化抗IL−23A抗体は、1つを超える免疫グロブリンのクラス又はアイソタイプに由来する配列を含み得、所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは、当技術分野の技能範囲内である。具体的な実施態様では、本発明は、IgG1抗体、より特定するとエフェクター機能がノックアウトされているIgG1抗体である抗体を提供する。
ヒト化抗IL−23A抗体のFR及びCDR又はHVLは、親配列に対して正確に対応している必要はない。例えば、インポートCDR若しくはHVL、又は共通配列若しくは生殖系列配列のFR配列における1つ以上の残基を、置換、挿入、又は欠失によって改変(例えば突然変異誘発)させてもよく、これにより生じたアミノ酸残基は、いずれかの親配列の対応する位置の元来の残基とはもはや同一ではないが、該抗体はそれにも関わらずIL−23Aに結合する機能を保持している。このような改変は典型的には大規模ではなく、保存的改変であろう。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%、より頻繁には少なくとも90%、最も頻繁には95%超、又は98%超、又は99%超が、親共通配列又は生殖系列配列のFR配列及びインポートCDR配列の残基に相当するだろう。
重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間の界面(「VL−VH界面」)に影響を及ぼす免疫グロブリン残基は、2つの鎖の互いの近接性又は配向に影響を及ぼす残基である。鎖間相互作用に関与する可能性のある特定の残基としては、VL残基34、36、38、44、46、87、89、91、96及び98、並びにVH残基35、37、39、45、47、91、93、95、100、及び103が挙げられる(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987)に示される番号付けシステムを利用)。米国特許第6,407,213号はまた、VL残基43及び85、並びにVH残基43及び60などの残基も、この相互作用に関与している可能性があると考察している。これらの残基は、ヒトIgGについてのみ示されているが、それらは種間で適用可能である。鎖間相互作用に関与することが合理的に考えて予想される重要な抗体残基が、共通配列の置換のために選択される。
「共通配列」及び「共通抗体」という用語は、任意の特定のクラス、アイソタイプ、又はサブユニット構造の全ての免疫グロブリン、例えばヒト免疫グロブリン可変ドメインにおける各々の位置において最も高い頻度で存在するアミノ酸残基を含む、アミノ酸配列を指す。共通配列は、特定の種の又は多くの種の免疫グロブリンに基づき得る。「共通」配列、構造、又は抗体は、特定の実施態様に記載されているような共通ヒト配列を包含すると理解され、任意の特定のクラス、アイソタイプ、又はサブユニット構造の全てのヒト免疫グロブリンにおける各々の位置において最も高い頻度で存在するアミノ酸残基を含む、アミノ酸配列を指す。したがって、共通配列は、1つ以上の公知の免疫グロブリンに存在するアミノ酸を各々の位置において有するアミノ酸配列を含有するが、任意の単一の免疫グロブリンの完全アミノ酸配列を正確に複製していなくてもよい。可変領域の共通配列は、どの天然に生成された抗体又は免疫グロブリン(Kabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.)及びその変異体からも得られない。重鎖及び軽鎖の共通配列のFR、及びその変異体は、ヒト化抗IL−23p19抗体の調製のための有用な配列を提供する。例えば、米国特許第6,037,454号及び第6,054,297号を参照されたい。
ヒト生殖系列配列は、ヒト個体群に天然に見られる。そうした生殖系列遺伝子の組合せは、抗体の多様性を生じる。抗体の軽鎖についての生殖系列抗体配列は、保存されたヒト生殖系列κ又はλv−遺伝子及びj−遺伝子に由来する。同様に、重鎖配列は、生殖系列v−、d−及びj−遺伝子に由来する(LeFranc, M-P, and LeFranc, G, “The Immunoglobulin Facts Book” Academic Press, 2001)。
本明細書において使用する「変異体」、「抗IL−23A変異体」、「ヒト化抗IL−23A変異体」、又は「変異ヒト化抗IL−23A」は各々、表1に示されているような配列のいずれかに由来する少なくとも1つの軽鎖可変マウスCDR、又は、表2に示されているようなマウスモノクローナル抗体に由来する1つの重鎖マウスCDR配列を有する、ヒト化抗IL−23A抗体を指す。変異体としては、一方又は両方の軽鎖又は重鎖の可変ドメインに1つ以上のアミノ酸変化を有する変異体が挙げられ、ただし、アミノ酸変化は、IL−23Aへの抗体の結合を実質的に損なわない。本明細書において生成された例示的なヒト化抗体としては、抗体A、抗体B、抗体C、及び抗体Dとして称されるものが挙げられ、その様々な軽鎖及び重鎖が配列番号18及び21、並びに配列番号19及び20にそれぞれ示されている。
「単離された」抗体は、その天然環境の成分から同定及び分離及び/又は回収されたものである。抗体の天然環境の混入成分は、抗体の診断用途又は治療用途に干渉する可能性のある材料であり、これは酵素、ホルモン、又は他のタンパク質性若しくは非タンパク質性溶質であり得る。1つの態様では、該抗体は、抗体の重量に対して少なくとも95%超まで単離されて精製されるだろう。
単離された抗体としては、それが産生された組換え細胞内のインサイツでの抗体が挙げられる。なぜなら、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分さえ存在しないであろうからである。しかしながら、通常、単離された抗体は、組換え細胞性材料が除去されるような少なくとも1回の精製工程によって調製されるだろう。
「抗体の性能」という用語は、抗体による抗原の認識又は抗体のインビボでの効力に寄与する因子を指す。抗体のアミノ酸配列の変化は、折り畳みなどの抗体の特性に影響を及ぼし得、抗原に抗体が結合する初期速度(ka)、抗原からの抗体の解離定数(kd)、抗原に対する抗体の親和性定数(Kd)、抗体のコンフォメーション、タンパク質の安定性、及び抗体の半減期などの、物理的因子に影響を及ぼし得る。
本明細書において使用する「エピトープでタグ化された」という用語は、「エピトープタグ」に融合させた抗IL−23A抗体を指す。「エピトープタグ」は、抗体産生のためのエピトープを提供するに十分な数のアミノ酸を有するポリペプチドであるが、それが、抗IL−23A抗体の所望の活性に干渉しないように設計されている。エピトープタグは通常、十分に独特であるので、エピトープタグに対して生じた抗体は、実質的に他のエピトープと交差反応しない。適切なタグポリペプチドは一般的に、少なくとも6個のアミノ酸残基を含有し、通常、約8〜50個のアミノ酸残基、又は約9〜30個の残基を含有している。エピトープタグ及び該エピトープに結合する抗体の例としては、flu HAタグポリペプチド及びその抗体である12CA5(Field et al., 1988 Mol. Cell. Biol. 8: 2159-2165);c−mycタグ及びその8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体(Evan et al., 1985, Mol. Cell. Biol. 5(12):3610-3616);及び単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体(Paborsky et al. 1990, Protein Engineering 3(6): 547-553)が挙げられる。特定の実施態様では、エピトープタグは、「サルベージ受容体に結合するエピトープ」である。本明細書において使用する「サルベージ受容体に結合するエピトープ」という用語は、IgG分子のインビボでの血清中半減期を延長させることに関与する、IgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
診断上並びに治療上のモニタリングのために、本発明の抗体をまた、標識に、すなわち標識のみに又は標識と追加の第二の薬剤(プロドラッグ、化学療法剤など)のいずれかにコンジュゲートさせてもよい。他の第二の薬剤から識別されるような標識は、検出可能な化合物又は組成物である物質を指し、それを、本発明の抗体に直接又は間接的にコンジュゲートさせ得る。標識はそれ自体検出可能であっても(例えば放射性同位体標識又は蛍光標識)、又は、酵素標識の場合、検出可能な基質化合物又は組成物の化学的変化を触媒してもよい。標識された抗IL−23A抗体を調製し、インビトロ及びインビボでの診断を含む様々な適用に使用することができる。
本発明の様々な態様において、抗体の1つ以上のドメインは組換え発現されるだろう。このような組換え発現は、1つ以上の制御配列、すなわち、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要とされるポリヌクレオチド配列を使用し得る。原核細胞において使用するのに適した制御配列としては、例えば、プロモーター、オペレーター、及びリボソーム結合部位の配列が挙げられる。真核細胞の制御配列としては、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーが挙げられるがこれらに限定されない。これらの制御配列は、原核宿主細胞及び真核宿主細胞における抗IL−23A抗体の発現及び産生のために使用され得る。
核酸配列は、それが別の核酸配列と機能的関係に配置されている場合に「作動可能に連結」されている。例えば、核酸プレ配列又は分泌リーダーは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されるならば、ポリペプチドをコードしている核酸に作動可能に連結されており;プロモーター又はエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作動可能に連結されており;又は、リボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置しているならば、コード配列に作動可能に連結されている。一般的に、「作動可能に連結される」は、連結されているDNA配列が連続的であり、分泌リーダーの場合には、連続的かつリーディングフレーム内にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、場合により近接している。連結は、好都合な制限酵素部位におけるライゲーションによって達成され得る。このような部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーを使用していてもよい。
本明細書において使用する「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養液」という表現は同義語として使用され、全てのこのような名称はその子孫を含む。したがって、「形質転換体」及び「形質転換細胞」は、初代の対象細胞、及び継代数に関係なくそれから得られた培養液を含む。
処置の目的のための「哺乳動物」という用語は、ヒト、飼い慣らされた動物及び家畜、並びに動物園用、スポーツ用、又はペット用の動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシなどをはじめとする哺乳動物として分類される任意の動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
本明細書において使用する「障害」は、本明細書に記載された抗IL−23A抗体を用いての処置から恩恵を受けるであろう任意の容態である。これは、慢性及び急性の障害又は疾患、例えば、問題となっている障害に哺乳動物を罹りやすくさせる病状を含む。
本明細書において使用する「IL−23に関連した障害」又は「IL−23に関連した疾患」という用語は、IL−23の活性が疾患の原因となり、典型的にはIL−23が異常に発現されている、容態を指す。IL−23に関連した障害は、免疫系の疾患及び障害、例えば、自己免疫障害及び炎症障害を含む。このような容態としては、乾癬、炎症性腸疾患、例えば潰瘍性大腸炎又はクローン病、及び脊椎関節炎、例えば強直性脊椎炎、X線所見が認められない軸性脊椎関節炎、末梢性脊椎関節炎、又は乾癬性関節炎が挙げられる。
「静脈内注入」という用語は、約15分間を超える時間をかけての、一般的には約30〜90分間かけての、動物又はヒト患者の静脈への薬剤の導入を指す。
「静脈内ボーラス」又は「静脈内プッシュ」という用語は、生体が約15分間以内、一般的には5分間以内に薬物を受けるような、動物又はヒトの静脈への薬物の投与を指す。
「皮下投与」という用語は、動物又はヒト患者の皮膚下への、好ましくは皮膚と根底にある組織との間のポケット内への、薬物貯蔵所からの比較的緩徐で持続的な送達による、薬剤の導入を指す。皮膚をつまむか、又は皮膚を引き上げて根底にある組織から引き離すことにより、ポケットが作られ得る。
「皮下注入」という用語は、30分以内、又は90分以内を含むがそれに限定されない時間をかけての、動物又はヒト患者の皮膚下への、好ましくは皮膚と根底にある組織との間のポケット内への、薬物貯蔵所からの比較的緩徐で持続的な送達による、薬物の導入を指す。場合により、注入は、動物又はヒト患者の皮膚下に埋め込まれた薬物送達ポンプの皮下埋め込みによって行なわれ得、ここでポンプは、予め決定された時間かけて、例えば30分間、90分間、又は処置計画の長さにおよぶ時間をかけて、予め決定された量の薬物を送達する。
「皮下ボーラス」という用語は、動物又はヒト患者の皮膚下への薬物の投与を指し、ここでボーラス薬物送達は、約15分以内であり;別の態様では、5分以内であり、さらに別の態様では、60秒以内である。またさらなる別の態様では、投与は、皮膚と根底にある組織との間のポケット内であり、ここでポケットは、皮膚をつまむか又は皮膚を引き上げて根底の組織から引き離すことによって作られ得る。
「治療有効量」という用語は、処置される障害の1つ以上の症状を緩和又は寛解する活性物質の量を指すために使用される。別の態様では、治療有効量は、疾患の進行を緩徐化させる上で効果的であることが示された標的の血清中濃度を指す。効力は、処置しようとする容態に依存して、慣用的な方法で測定され得る。
本明細書において使用する「処置」及び「療法」などという用語は、1つ以上の症状の軽減又は緩和、疾患若しくは障害の後退、緩徐化、又は休止を含むがこれらに限定されない、あらゆる臨床的に望ましいか又は有益な効果をもたらす、疾患又は障害についての治療的措置並びに予防的又は抑制的措置を含むことを意味する。したがって、例えば、処置という用語は、疾患又は障害の症状の発症前又は発症後の薬剤の投与を含み、これにより、疾患又は障害の1つ以上の兆候が予防又は除去される。別の例として、この用語は、疾患の臨床徴候後に薬剤を投与することにより、疾患の症状と戦うことを含む。さらに、発症後及び臨床症状が発生した後の薬剤の投与は(ここでは、処置により疾患の寛解がもたらされるか否かに関係なく、投与が、疾患又は障害の臨床パラメーター、例えば組織損傷度、又は転移の量若しくは程度に影響を及ぼす)、本明細書において使用する「処置」又は「療法」を含む。さらに、単独での又は別の治療剤と組み合わせた本発明の組成物が、抗IL−23A抗体組成物を使用しない場合の症状と比較して、処置される障害の少なくとも1つの症状を軽減又は寛解する限り、結果は、障害の全ての症状が軽減されるか否かに関係なく、根底にある障害の効果的な処置であると判断されるべきである。
「添付文書」という用語は、適応症、使用法、投与法、禁忌、及び/又はこのような治療用製品の使用に関する警告に関する情報を含有している、治療用製品の商業包装に慣例上含まれる説明書を指すために使用される。
抗体
本発明の状況において使用された選択された抗体のCDRを表1及び2に示す。本発明の状況において使用された選択された抗体の可変領域を表3及び4に示す。
マウス抗体6B8から得られたヒト化軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の選択された組合せにより、抗体A、B、C及びDが得られた:
抗体A:IgΚ−66を有する6B8−IgG1KO−2(重鎖可変領域6B8CVH−02及び軽鎖可変領域6B8CVK−66);
抗体B;IgΚ−66を有する6B8−IgG1KO−5(重鎖可変領域6B8CVH−05及び軽鎖可変領域6B8CVK−66);
抗体C:IgΚ−65を有する6B8−IgG1KO−2(重鎖可変領域6B8CVH−02及び軽鎖可変領域6B8CVK−65);
抗体D:IgΚ−65を有する6B8−IgG1KO−5(重鎖可変領域6B8CVH−05及び軽鎖可変領域6B8CVK−65)。
抗体A、B、C及びDは、表5に示される重鎖及び軽鎖の配列を有する。
上記の表5における抗体A、B、C及びDの軽鎖及び重鎖の可変領域に下線が付されている。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号18の軽鎖配列と配列番号19の重鎖配列とを含む。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号18の軽鎖配列と配列番号20の重鎖配列とを含む。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号21の軽鎖配列と配列番号19の重鎖配列とを含む。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号21の軽鎖配列と配列番号20の重鎖配列とを含む。
1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号18の軽鎖配列及び配列番号19の重鎖配列からなる。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号18の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列からなる。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号21の軽鎖配列及び配列番号19の重鎖配列からなる。1つの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号21の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列からなる。
さらなる実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号22のアミノ酸残基108〜126及びアミノ酸残基137〜151からなるエピトープにおいてヒトIL−23Aに結合する。
さらなる実施態様では、抗IL−23A抗体は、本発明の抗体、例えば本明細書に記載の抗体A、抗体B、抗体C又は抗体Dと競合してヒトIL−23Aに結合する。IL−23Aに対する抗体の競合的結合能は、当技術分野において公知である競合的結合アッセイを使用して測定することができる。
いくつかの実施態様では、抗IL−23A抗体は、配列番号10、11、12又は13に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列を含む。いくつかの実施態様では、抗IL−23A抗体は配列番号14、15、16又は17に示されたアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列を含む(上記の表3及び4参照)。これらの抗体のCDR配列は表1及び2に示されている。例えば、抗IL−23A抗体は、配列番号11/14、11/15、10/14、又は10/15の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の組合せを有するモノクローナル抗体である。このような可変領域はヒト定常領域と組み合わせることができる。
ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、及び組換え法
他の実施態様は、抗IL−23A抗体をコードしている配列を含む単離されたポリヌクレオチド、ベクター、及び該ポリヌクレオチドを含む宿主細胞、並びに、ヒト化抗体の産生のための組換え技術を包含する。単離されたポリヌクレオチドは、例えば、完全長のモノクローナル抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメントをはじめとする、任意の所望の形態の抗IL−23A抗体をコードすることができる。
抗IL−23A抗体をコードしている配列を含むポリヌクレオチド(群)を、当技術分野において公知であるような1つ以上の調節配列又は制御配列に融合させることができ、またこれを当技術分野において公知であるような適切な発現ベクター又は宿主細胞に含有させることができる。重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインをコードしている各ポリヌクレオチド分子を、独立して、ヒト定常ドメインなどの定常ドメインをコードしているポリヌクレオチド配列に融合させることができ、これによりインタクトな抗体の生成が可能となる。あるいは、ポリヌクレオチド又はその一部を互いに融合させることができ、これにより、一本鎖抗体の生成のための鋳型がもたらされる。
組換え産生のために、抗体をコードしているポリヌクレオチドを、クローニング用(DNAの増幅)又は発現用の複製可能なベクターに挿入する。組換え抗体を発現させるための多くの適切なベクターが入手可能である。ベクター成分は一般的に、以下の1つ以上を含むがこれらに限定されない:シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサー配列、プロモーター、及び転写終結配列。
抗IL−23A抗体はまた融合ポリペプチドとして生成されてもよく、ここでは該抗体は、シグナル配列などの異種ポリペプチド、又は成熟タンパク質若しくはポリペプチドのアミノ末端に特異的な切断部位を有する他のポリペプチドと融合している。選択された異種シグナル配列は典型的には、宿主細胞によって認識されプロセシング(すなわちシグナルペプチダーゼによって切断)されるものである。抗IL−23A抗体シグナル配列を認識しプロセシングしない原核宿主細胞では、シグナル配列を、原核生物のシグナル配列によって置換してもよい。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、リポタンパク質、熱安定性エンテロトキシンIIリーダーなどであり得る。酵母での分泌のために、天然シグナル配列を、例えば、酵母インベルターゼα因子(サッカロマイセス(Saccharomyces)及びクルイベロマイセス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含む)、酸性ホスファターゼ、C.アルビカンス(C. albicans)・グルコアミラーゼ、又は国際公開公報第90/13646号に記載のシグナルから得られたリーダー配列で置換してもよい。哺乳動物細胞では、哺乳動物シグナル配列、並びにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルを使用してもよい。このような前駆領域についてのDNAを、抗IL−23A抗体をコードしているDNAにリーディングフレーム内でライゲートする。
発現ベクター及びクローニングベクターは、1つ以上の選択された宿主細胞においてベクターが複製することを可能とする核酸配列を含有している。一般的には、クローニングベクター内におけるこの配列は、ベクターが宿主染色体DNAとは独立して複製することを可能とするものであり、これは複製起点又は自律複製配列を含む。様々な細菌、酵母、及びウイルスについてのこのような配列は周知である。プラスミドpBR322由来の複製起点は大半のグラム陰性細菌にとって適切であり、2−νプラスミド起点は酵母に適切であり、様々なウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、及びBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターにとって有用である。一般的に、複製起点の成分は、哺乳動物発現ベクターには必要とされない(SV40起点が典型的には使用され得る。なぜなら、それは初期プロモーターを含有しているからである)。
発現ベクター及びクローニングベクターは、発現の同定を容易にする選択マーカーをコードする遺伝子を含有していてもよい。典型的な選択マーカー遺伝子は、抗生物質又は他の毒素に対する耐性を付与するタンパク質、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、又はテトラサイクリンをコードするか、又は代替的には補完的な栄養要求性欠乏症であるか、又は他の代替選択肢では、複合培地に存在しない特定の栄養分を供給し、例えば桿菌のためのD−アラニンラセミ化酵素をコードしている遺伝子である。
選択スキームの一例は、宿主細胞の増殖を停止する薬物を利用する。異種遺伝子を用いて成功裡に形質転換された細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を産生し、よって選択計画を生き延びる。このような優性選択の例は、薬物のネオマイシン、ミコフェノール酸、及びハイグロマイシンを使用する。哺乳動物細胞のための一般的な選択マーカーは、抗IL−23A抗体をコードしている核酸を取り入れる能力のある細胞の同定を可能とするもの、例えばDHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン−I及び−II(例えば霊長類のメタロチオネイン遺伝子)、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどである。DHFR選択遺伝子を用いて形質転換された細胞をまず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含有する培養培地中で全ての形質転換体を培養することによって同定する。野生型DHFRを使用する場合の適切な宿主細胞は、DHFR活性の欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(例えばDG44)である。
あるいは、抗IL−23A抗体、野生型DHFRタンパク質、及び別の選択マーカー、例えばアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)をコードしているDNA配列を用いて形質転換された又は同時形質転換された宿主細胞(特に、内因性DHFRを含有する野生型宿主)を、選択マーカーのための選択物質、例えばアミノグリコシド抗生物質、例えばカナマイシン、ネオマイシン、又はG418を含有している培地中での細胞増殖によって選択することができる。例えば、米国特許第4,965,199号を参照されたい。
組換え産生を、宿主細胞としての酵母細胞において行なう場合、酵母プラスミドYRp7に存在するTRP1遺伝子(Stinchcomb et al., 1979, Nature 282: 39)を、選択マーカーとして使用することができる。TRP1遺伝子は、トリプトファン中で増殖する能力を欠失している酵母の突然変異株、例えばATCC番号44076又はPEP4−1のための選択マーカーを提供する(Jones, 1977, Genetics 85:12)。よって、酵母宿主細胞ゲノム内のtrp1病変の存在は、トリプトファンの非存在下での増殖によって、形質転換を検出するために有効な環境を提供する。同様に、Leu2p欠損酵母株、例えばATCC20,622及び38,626は、LEU2遺伝子を有する公知のプラスミドによって補完される。
さらに、1.6μmの環状プラスミドpKD1に由来するベクターを、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)酵母の形質転換のために使用することができる。あるいは、組換え仔ウシキモシンの大規模産生のための発現系がK.ラクティス(K. lactis)において報告された(Van den Berg, 1990, Bio/Technology 8:135)。クリベロマイセスの工業生産株による成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌のための安定な多コピー発現ベクターも開示されている(Fleer et al., 1991, Bio/Technology 9:968-975)。
発現ベクター及びクローニングベクターは通常、宿主生物によって認識されかつ抗IL−23p19抗体又はそのポリペプチド鎖をコードしている核酸分子に作動可能に連結されている、プロモーターを含有している。原核生物宿主と共に使用するのに適したプロモーターとしては、phoAプロモーター、β−ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーターが挙げられる。他の公知の細菌プロモーターも適している。細菌系に使用するためのプロモーターはまた、抗IL−23A抗体をコードしているDNAに作動可能に連結されたシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列も含有しているだろう。
多くの真核生物プロモーター配列が公知である。実質的に全ての真核生物遺伝子が、転写が開始される部位から約25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始から70〜80塩基上流に見られる別の配列はCNCAAT領域であり、そこではNはどのようなヌクレオチドでもよい。大半の真核生物遺伝子の3’末端には、コード配列の3’末端へのポリAテイルの付加のためのシグナルである可能性があるAATAAA配列がある。これらの全ての配列は、真核生物発現ベクターに適切に挿入される。
酵母宿主と共に使用するのに適したプロモーター配列の例としては、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ又は他の解糖酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼのプロモーターが挙げられる。
誘導性プロモーターは、増殖条件によって制御される転写というさらなる利点を有する。これらは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連した誘導酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用に関与する酵素についての酵母プロモーター領域を含む。酵母における発現に使用するのに適したベクター及びプロモーターはさらに、欧州特許第73,657号に記載されている。酵母エンハンサーはまた、有利には酵母プロモーターと共に使用される。
哺乳動物宿主細胞内のベクターからの抗IL−23A抗体の転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏頭ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2型)、ウシパピローマウイルス、サル肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及びサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られたプロモーターによって、異種哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーターから、又は熱ショックプロモーターから制御される。ただし、このようなプロモーターは宿主細胞系と適合性である。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは簡便には、SV40ウイルス複製起点も含有するSV40制限酵素フラグメントとして得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは簡便には、HindIII E制限酵素フラグメントとして得られる。ベクターとしてウシパピローマウイルスを使用して哺乳動物宿主においてDNAを発現させるための系は、米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の改変が、米国特許第4,601,978号に記載されている。また、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの制御下にあるマウス細胞内のヒトp−インターフェロンcDNAの発現を開示している、Reyes et al., 1982, Nature 297:598-601も参照されたい。あるいは、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列をプロモーターとして使用してもよい。
組換え発現ベクターに使用され得る別の有用な配列は、高等な真核生物による抗IL−23A抗体をコードしているDNAの転写を増加させるために使用される、エンハンサー配列である。哺乳動物遺伝子(例えばグロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、及びインスリン)に由来する多くのエンハンサー配列が現在公知である。しかしながら、典型的には、真核細胞ウイルスに由来するエンハンサーが使用される。例としては、複製起点の後期側上のSV40エンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側上のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。また、真核生物プロモーターの活性化のためのエンハンサー配列の記載についてYaniv, 1982, Nature 297:17-18を参照されたい。エンハンサーは、抗IL−23A抗体をコードする配列の5’位又は3’位でベクターにスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターに対して5’の部位に位置する。
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に使用される発現ベクターはまた、転写終結のために必要とされる及びmRNAの安定化のために必要とされる配列も含有していてもよい。このような配列は、一般的に、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5’及び場合により3’非翻訳領域から入手できる。これらの領域は、抗IL−23A抗体をコードしているmRNAの非翻訳部分内にポリアデニル化フラグメントとして転写されるヌクレオチドセグメントを含有している。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。国際公開公報第94/11026号及びそこに開示されている発現ベクターを参照されたい。いくつかの実施態様では、ヒト化抗IL−23p19抗体は、CHEF系を使用して発現させ得る(例えば、米国特許第5,888,809号を参照されたい;その開示は参照により本明細書に組み入れられる)。
本明細書においてベクター内のDNAをクローニング又は発現させるのに適した宿主細胞は、上記の原核細胞、酵母細胞、又はより高等な真核細胞である。この目的のために適した原核細胞としては、真正細菌、例えばグラム陰性菌又はグラム陽性菌、例えば腸内細菌科、例えば大腸菌類、例えば大腸菌(E.coli)、エンテロバクター菌、エルウィニア菌、クレブシエラ菌、プロテウス菌、サルモネラ菌、例えばサルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア菌、例えばセラチア・マルセセンス(Serratia marcescans)、及び赤痢菌、並びに、桿菌、例えば枯草菌及びバチルス・リケニフォルミス(B. licheniformis)(例えば1989年4月12日に公開されたDD266,710号に開示されたB.リケニフォルミス41P)、シュードモナス菌、例えば緑膿菌、及びストレプトマイセス菌が挙げられる。1つの好ましいE.coliクローニング宿主はE.coli294(ATCC 31,446)であるが、E.coli B、E.coli X1776(ATCC 31,537)及びE.coli W3110(ATCC 27,325)などの他の株も適している。これらの例は、制限するものではなくむしろ例である。
原核生物の他に、糸状菌又は酵母などの真核微生物も、抗IL−23A抗体をコードしているベクターに適したクローニング用宿主又は発現用宿主である。サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又は一般的なパン酵母が、より下等な真核宿主微生物の中で最も一般的に使用されている。しかしながら、多くの他の属、種、及び株が一般的に入手可能であり、かつ本明細書において有用であり、例えば分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe);クリベロマイセス(Kluyveromyces)宿主、例えばK.ラクティス(K. lactis)、K.フラジリス(K. fragilis)(ATCC 12,424)、K.ブルガリクス(K. bulgaricus)(ATCC 16,045)、K.ウィッカーラミ(K. wickeramii)(ATCC 24,178)、K.ワルティイ(K. waltii)(ATCC 56,500)、K.ドロソフィラルム(K. drosophilarum)(ATCC 36,906)、K.サーモトレランス(K. thermotolerans)、及びK.マルキシアヌス(K. marxianus);ヤロウィア属(yarrowia)(欧州特許第402,226号);ピキア・パストリス(Pichia pastors)(欧州特許第183,070号);カンジダ;トリコデルマ・レーシア(Trichoderma reesia)(欧州特許第244,234号);アカパンカビ(Neurospora crassa);シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)、例えばシュワンニオマイセス・オシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis);及び糸状菌、例えばニュースポラ(Neurospora)、アオカビ類(Penicillium)、トリポクラディウム(Tolypocladium)、及びアスペルギルス(Aspergillus)宿主、例えばA.ニデュランス(A. nidulans)及びクロコウジカビ(A. niger)である。
グリコシル化抗IL−23A抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物から得られる。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞、例えば数多くのバキュロウイルス株及び変異株、並びにヨトウガ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(蚊)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)、及びボムビークス・モリー(Bombyx mori)(カイコ)などの宿主からの対応する許容される昆虫宿主細胞が挙げられる。例えばアウトグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPVのL−1変異体及びボムビークス・モリー(Bombyx mori)NPVのBm−5株などの、トランスフェクション用の様々なウイルス株が公共的に入手可能であり、このようなウイルスを、特にヨトウガ細胞のトランスフェクションのために使用し得る。
綿、コーン、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、及びタバコの植物細胞培養液もまた宿主として使用することができる。
別の態様では、抗IL−23A抗体の発現は、脊椎動物細胞内で行なわれる。培養液(組織培養液)中の脊椎動物細胞の増殖は慣用的な手順となっており、技術は広く利用可能である。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL 1651)、ヒト胚腎臓株(懸濁培養液中での増殖のためにサブクローニングされた293又は293細胞)、(Graham et al., 1977, J. Gen Virol. 36: 59)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR1(CHO、Urlaub et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216;例えばDG44)、マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, 1980, Biol. Reprod. 23:243-251)、サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2)、イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75)、ヒト肝臓細胞(HepG2、HB8065)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL 51)、TR1細胞(Mather et al., 1982, Annals N.Y. Acad. Sci. 383: 44-68)、MRC5細胞、FS4細胞、及びヒト肝細胞腫株(HepG2)である。
宿主細胞を、抗IL−23A抗体産生のための上記の発現ベクター又はクローニングベクターを用いて形質転換し、そして、プロモーターを誘導するために、形質転換体を選択するために、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅させるために適宜改変された慣用的な栄養培地中で培養する。
本明細書に記載の抗IL−23A抗体を産生するために使用された宿主細胞は、様々な培地中で培養され得る。市販の培地、例えばHamのF10(Sigma-Aldrich Co.、セントルイス、ミズーリ州)、最小必須培地((MEM)、(Sigma-Aldrich Co.)、RPMI−1640(Sigma-Aldrich Co.)、及びダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma-Aldrich Co.)が、宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Ham et al., 1979, Meth. Enz. 58: 44, Barnes et al., 1980, Anal. Biochem. 102: 255、米国特許第4,767,704号、米国特許第4,657,866号、米国特許第4,927,762号、米国特許第4,560,655号、米国特許第5,122,469号、国際公開公報第90/103430号、及び国際公開公報第87/00195号の1つ以上に記載された培地のいずれかを、宿主細胞のための培養培地として使用し得る。これらの培地のいずれかに、必要であれば、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は上皮成長因子)、塩(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩)、緩衝液(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えばゲンタマイシン)、微量元素(マイクロモルの範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義される)、及びブドウ糖又は等価なエネルギー源を補充し得る。他の補助物質も、当業者には公知であろう適切な濃度で含まれていてもよい。培養条件、例えば温度、pHなどは、発現のために選択された宿主細胞と共に以前に使用されたものであり、当業者には明らかであろう。
組換え技術を使用する場合、抗体は、細胞内の細胞膜周辺腔で産生されても、又は培地中に直接分泌されてもよい。抗体が細胞内で産生される場合、第一工程として細胞を破壊してタンパク質を放出させ得る。宿主細胞又は溶解したフラグメントのいずれかの粒子状破片物を、例えば、遠心分離又は限外ろ過によって除去することができる。Carter et al., 1992, Bio/Technology 10:163-167は、E.coliの細胞膜周辺腔に分泌された抗体を単離するための手順を記載している。簡潔に言えば、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)の存在下で約30分間かけて解凍する。細胞破片物を、遠心分離によって除去することができる。抗体が培地に分泌される場合、このような発現系からの上清を、一般的にまず、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばアミコン又はミリポアペリコン限外ろ過装置を使用して濃縮する。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を、前記の工程のいずれかに含めることにより、タンパク質の分解を抑制することができ、そして抗生物質を含めることにより外来性の混入物の増殖を防ぐことができる。様々な方法を使用して、宿主細胞から抗体を単離することができる。
細胞から調製された抗体組成物を、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティクロマトグラフィーを使用して精製することができ、アフィニティクロマトグラフィーが典型的な精製技術である。アフィニティリガンドとしてのプロテインAの適切性は、抗体に存在するあらゆる免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存する。プロテインAを使用して、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づいた抗体を精製することができる(例えば、Lindmark et al., 1983 J. Immunol. Meth. 62:1-13参照)。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨される(例えば、Guss et al., 1986 EMBO J. 5:1567-1575参照)。アフィニティリガンドが付着するマトリックスは、アガロースであることが最も多いが、他のマトリックスも利用可能である。力学的に安定なマトリックス、例えば制御された細孔ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンは、アガロースを用いて達成され得るより迅速な流速及びより短い処理時間を可能とする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker、フィリップスバーグ、ニュージャージー州)が精製のために有用である。タンパク質精製のための他の技術、例えばイオン交換カラム上での分画、エタノールによる沈降、逆相HPLC、シリカクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換樹脂上でのヘパリンセファロース(商標)クロマトグラフィー(例えばポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカッシング、SDS−PAGE、及び硫酸アンモニウム沈降法もまた、回収しようとする抗体に依存して利用可能である。
任意の予備精製工程(群)の後に、関心対象の抗体と混入物とを含む混合物を、典型的には低塩濃度(例えば約0〜0.25Mの塩)で行なわれる、pH約2.5〜4.5の溶出緩衝液を使用した、低いpHでの疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけ得る。
治療用途
別の実施態様では、本明細書において開示された抗IL−23A抗体は、本明細書に記載されているようなIL−23p19の発現に関連した様々な障害の処置に有用である。IL−23に関連した障害を処置するための方法は、治療有効量の抗IL−23A抗体をそれを必要とする被験者に投与する工程を含む。
抗IL−23A抗体は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内、並びに局所的な免疫抑制処置を所望の場合には病巣内投与(灌流するか、又はさもなくば移植前に移植片を抗体と接触させることを含む)をはじめとする任意の適切な手段によって投与される。抗IL−23A抗体又は薬剤は、例えば、注入として又はボーラスとして投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。さらに、抗IL−23A抗体は適切には、特に漸減している投与量の抗体を用いてのパルス注入によって投与される。1つの態様では、投薬は、一部には投与が短時間であるか又は慢性であるかに依存して、注射によって、最も好ましくは静脈内又は皮下注射によって行なわれる。1つの態様では、抗IL−23抗体の投薬は、皮下注射によって与えられる。
疾患の予防又は治療のために、抗体の適切な投与量は、上記に定義されているような処置しようとする疾患の種類、疾患の重度及び経緯、該抗体が予防目的で投与されるか又は治療目的で投与されるか、以前の療法、患者の臨床履歴、並びに該抗体に対する応答、並びに担当医師の慎重さなどの様々な要因に依存するだろう。該抗体は、一度に又は一連の処置をかけて患者に適切に投与される。
「抑制」という用語は、「寛解」及び「軽減」と同じ内容で本明細書において使用され、疾患の1つ以上の特徴の減少を意味する。
前記抗体は、良い医療行為にかなっている様式で製剤化され、秤量され、投与される。この文脈において考えられる因子としては、処置される具体的な障害、処置される具体的な哺乳動物、個々の患者の臨床容態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与法、投与計画、及び医療従事者には公知である他の因子が挙げられる。投与しようとする抗体の「治療有効量」はこのような配慮によって左右されるだろう。
前記抗体は、問題の障害を予防又は治療するために現在使用されている薬剤の1つ以上と共に場合により製剤化され得る。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗IL−23A抗体の量、障害又は処置の種類、及び上記に考察された他の因子に依存する。
IL−23に関連した障害
抗IL−23p19抗体又は薬剤は、IL−23の異常な発現によって、例えば免疫細胞(例えばリンパ球又は樹状細胞)の不適切な活性化によって特徴付けられる免疫学的障害を治療又は予防するのに有用である。このような異常なIL−23の発現は、例えば、上昇したIL−23タンパク質レベルに起因する可能性がある。
免疫細胞の不適切な活性化によって特徴付けられ、そして本明細書に記載の方法によって治療又は予防することのできる免疫学的疾患は、例えば、該障害の根底にある過敏症反応(群)の種類(群)によって分類され得る。これらの反応は、典型的には、4つの種類に分類される:アナフィラキシー反応、細胞傷害性(細胞溶解性)反応、免疫複合体反応、又は細胞性免疫(CMI)反応(遅延型過敏症(DTH)反応とも呼ばれる)。(例えば、Fundamental Immunology (William E. Paul ed., Raven Press, N.Y., 3rd ed. 1993)参照)。免疫学的疾患としては、炎症疾患及び自己免疫疾患が挙げられる。
免疫学的疾患の例としては、以下が挙げられる:乾癬、炎症性腸疾患、例えば潰瘍性大腸炎又はクローン病、及び脊椎関節炎、例えば強直性関節炎、X線所見が認められない軸性脊椎関節炎、末梢性脊椎関節炎、又は乾癬性関節炎。
1つの態様では、本発明の脈絡において、免疫学的疾患は乾癬である。乾癬は、機能障害を示すケラチノサイト分化及び過増殖、並びに炎症性T細胞及び樹状細胞の顕著な蓄積によって特徴付けられる、皮膚の慢性的な炎症疾患である。例えば、免疫学的疾患としては、例えば全身療法又は光線療法の候補である患者における、尋常性乾癬、例えば慢性尋常性乾癬、例えば中等度から重度の慢性尋常性乾癬が挙げられる。1つの態様では、免疫学的疾患は中等度から重症の尋常性乾癬であり、患者は、シクロスポリン、メトトレキサート、ソラレン、又は長波長紫外線光(PUVA)をはじめとする他の全身療法に対して応答しなかったか、又は禁忌であるか、又は不耐容性である患者である。
例えば、免疫学的疾患としては、手掌膿疱性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、又は乾癬性紅皮症(erythodermic psoriasis)(乾癬性紅皮症(psoriatic erythroderma)としても知られる)が挙げられる。例えば、免疫学的疾患としては汎発型膿疱性乾癬(GPP)が挙げられる。
乾癬について、疾患の重症度は、罹患した体表面積(BSA)によって特徴付けられ得、5%未満が軽度、5〜10%が中等度、10%超えが重度と判断される。場合によっては、疾患状態は、紅斑、硬結、落屑の複合尺度である乾癬の面積と重症度の指標(PASI)、並びに、0〜72の範囲のスコアを有する乾癬に罹患したBSAを使用して測定される。1つの態様では、特定の時点(例えば12又は16週目)におけるスコアの基線からの75%の減少であるPASI75(PASI 75)を達成している患者の比率を、乾癬処置、例えば乾癬処置試験における主要評価項目として使用する。1つの態様では、特定の時点(例えば12又は16週目)におけるスコアの基線からの90%の減少であるPASI90(PASI 90)を達成している患者の比率を、乾癬処置、例えば乾癬処置試験における主要評価項目として使用する。
1つの態様では、本発明に記載の方法によって例えば抗体Aを使用して12週目にPASI90を達成した患者の比率は、少なくとも60%、少なくとも65%、又は少なくとも70%である。
1つの態様では、特定の時点(例えば12又は16週目)において消失(スコアは0)又はほぼ消失(スコアは1)のsPGAスコアを達成した患者の比率を、乾癬処置、例えば乾癬処置試験における主要評価項目として使用する。
1つの態様では、本発明の脈絡において処置される患者は、10%以上の体表面積が罹患し、PASIが12以上及び/又はsPGAスコアが中等度及びそれ以上(スコアは少なくとも3)の疾患重症度を有する、乾癬性関節炎を伴う又は伴わない、安定した中等度から重度の慢性尋常型乾癬を有する患者である。1つの態様では、本発明の脈絡において処置される患者は、処置開始前に少なくとも6カ月間の乾癬疾患持続期間を有する患者である。
1つの態様では、本発明の脈絡において、免疫学的疾患は乾癬性関節炎である。乾癬性関節炎では、患者は、爪ジストロフィー、指の炎症(指炎)、及びリウマチ因子についての血清検査陰性と特徴的なX線画像所見(関節辺縁部付近の不明確な骨化)と組み合わせた、乾癬皮膚病変又は乾癬病歴を有する。臨床試験における乾癬性関節炎の処置の有効性は、関節リウマチ試験に主に使用されている、米国リウマチ学会(ACR)複合有効性尺度を達成している患者の比率を使用して頻繁に計測される。ACR20は、処置開始後のいくつかの時点(例えば24週間目)を基線と比較した場合に、腫脹関節数及び圧痛関節数の少なくとも20%の改善並びに5つのACRコアセット尺度のうち3つの20%の改善の達成を示す。
1つの態様では、例えば24週目における、ACR20応答者(米国リウマチ学会の応答基準の20%の改善)の比率を、乾癬性関節炎の処置、例えば乾癬性関節炎の処置試験における主要評価項目として使用する。
1つの態様では、免疫学的疾患は乾癬性関節炎、例えば活動性乾癬性関節炎であり、抗IL−23A抗体は、例えば兆候及び症状を低減させるために、単独で、又は1つ以上の生物学的製剤ではないDMARD(疾患修飾抗リウマチ薬)と組み合わせて使用される。1つの態様では、抗IL−23A抗体は、構造的損傷の進行を抑制するために及び/又は身体機能を改善するために使用されるか又は適応される。
1つの態様では、抗IL−23A抗体は、乾癬性関節炎、例えば活動性乾癬性関節炎の処置のために、例えば以前の生物学的製剤ではないDMARD療法に対する応答が不適切であった場合に、単独で又はメトトレキサート(MTX)と組み合わせて使用される。1つの態様では、抗IL−23A抗体は、X線によって測定されるような周辺の関節の損傷の進行速度を低下させるために、及び/又は身体機能を改善するために使用される。
1つの態様では、本発明の脈絡において、免疫学的疾患は、体軸性(脊髄)脊椎関節炎(ax−SpA)(強直性脊椎炎(AS、X線所見が認められるax−SpAとも呼ばれる)及びX線所見が認められないax−SpAを含む)である。
1つの態様では、本発明の脈絡において、免疫学的疾患は強直性脊椎炎である。強直性脊椎炎(AS)は、主に中軸骨格及び仙腸関節に発症する炎症性疾患である。該疾患の他の筋骨格徴候としては、末梢性関節炎及び腱付着部炎が挙げられる。関節外疾患としては、前部ブドウ膜炎、骨粗鬆症、主に心臓弁に発症する心疾患、腎疾患、肺疾患、消化管疾患、及び皮膚疾患が挙げられる。ASは男性に多く、男性対女性の比率は3:1である。発症のピーク年齢は典型的には10代又は20代である。世界中のASの推定罹患率は、約0.5%から0.07%の範囲である。AS患者は、身体機能及び働く能力を失うようであり、適切な処置が患者に投与されなければクオリティ・オブ・ライフに対してかなりの影響を及ぼすようである。
強直性脊椎炎では、患者は、炎症性背部疼痛、非対称な末梢性関節炎、指の炎症(指炎)、及び関節外の特色、例えばぶどう膜炎、並びにヒト白血球抗原B27との強い遺伝子的関連を有する。1つの態様では、例えば24週間目における強直性脊椎炎疾患活動性スコア40(ASDAS40)の比率を、強直性脊椎炎の処置、例えば強直性脊椎炎の処置試験における主要評価項目として使用する。
1つの態様では、本発明の脈絡において、免疫学的疾患はX線所見が認められない体軸性脊椎関節炎(ax−SpA)である。ASよりも最近になって定義された実体である、X線所見が認められない体軸性脊椎関節炎は、ASと同じ病理学的プロセスの初期徴候を示すと考えられるが、幾人かの患者(特に女性)は、X線所見が認められる疾患へと進行しない場合があることが認められることが増え、それ故、この疾患の明確に異なるサブタイプを有すると考えられ得る。
医薬組成物及びその投与
抗IL−23A抗体を含む組成物を、免疫学的障害を有する又は有するリスクがある被験者に投与することができる。本明細書において使用する「被験者」という用語は、抗IL−23A抗体を投与することのできる任意の哺乳動物患者、例えば、ヒト及び非ヒト哺乳動物、例えば霊長類、げっ歯類、並びにイヌを意味する。本明細書に記載の方法を使用した処置に特に意図される被験者としては、ヒトが挙げられる。該抗体を、単独で又は他の組成物と組み合わせてのいずれかで、免疫学的障害の予防又は治療において投与することができる。
このような医薬組成物に使用するための抗IL−23A抗体、例えば抗体A、抗体B、抗体C、又は抗体Dが本明細書に記載されている。
様々な送達システムが知られており、これを使用して抗IL−23A抗体を投与することができる。導入法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口経路が挙げられるがこれらに限定されない。抗IL−23A抗体は、例えば、注入、ボーラス、又は注射によって投与されてもよく、そして、他の生物学的に活性な薬剤、例えば化学療法剤と一緒に投与されてもよい。投与は全身性であっても局所性であってもよい。1つの実施態様では、投与は、皮下注射による。このような注射用の製剤は、隔週毎に1回投与され得る例えばプレフィルドシリンジに調製され得る。
具体的な実施態様では、抗IL−23A抗体は、注射によって、カテーテルを用いて、坐剤を用いて、又は埋込剤を用いて投与され、該埋込剤は、多孔性材料、非多孔性材料、又はゲル性材料(サイラスティック膜などの膜を含む)、又は繊維である。典型的には、該組成物を投与する場合に、抗IL−23A抗体又は薬剤が吸収しない材料が使用される。
他の実施態様では、抗IL−23A抗体は、徐放性システムで送達される。1つの実施態様では、ポンプが使用され得る(例えばLanger, 1990, Science 249:1527-1533; Sefton, 1989, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201; Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507; Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574参照)。別の実施態様では、ポリマー材料が使用され得る。(例えば、Medical Applications of Controlled Release (Langer and Wise eds., CRC Press, Boca Raton, Fla., 1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance (Smolen and Ball eds., Wiley, New York, 1984); Ranger and Peppas, 1983, Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61. See also Levy et al., 1985, Science 228:190; During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105参照)。他の徐放性システムも、例えば上記のLangerにおいて考察されている。
抗IL−23p19抗体を典型的には、治療有効量の抗体と1つ以上の薬学的に適合性の成分とを含む医薬組成物として投与する。
典型的な実施態様では、医薬組成物は、ヒトへの静脈内投与又は皮下投与に適合した医薬組成物として、慣用的な手順に従って製剤化される。典型的には、注射による投与用の組成物は、無菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要であれば、該医薬はまた、可溶化剤及び局所麻酔剤、例えばリグノカインを含むことにより、注射部位における疼痛を和らげることができる。一般的には、成分は、別々に又は単位投与剤形内に一緒に混合されてのいずれかで、例えば凍結乾燥粉末又は水分非含有の濃縮物として、活性物質の量を示したアンプル又はサッシェなどの密閉容器で供給される。該医薬を注入によって投与しようとする場合、それを、無菌の医薬等級の水又は食塩水を含有している注入瓶を用いて施薬することができる。該医薬を注射によって投与する場合、成分を投与前に混合することができるように、注射用滅菌水又は食塩水のアンプルを提供し得る。
さらに、医薬組成物は、(a)凍結乾燥形の抗IL−23A抗体を含有している容器と、(b)注射用の薬学的に許容される希釈剤(例えば滅菌水)を含有している第二の容器とを含む、医薬キットとして提供され得る。薬学的に許容される希釈剤は、凍結乾燥させた抗IL−23A抗体の復元又は希釈のために使用され得る。このような容器(群)に場合により付随されるのは、医薬品又は生物学的製剤の製造、使用又は販売を規制する政府当局によって定められた形式の通知であり得、この通知は、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売の当局による承認を反映する。
本発明の状況において使用される医薬組成物の例は、本明細書における以下の実施例4に開示されている。
本発明は、以下の実施例にさらに記載され、この実施例は本発明の範囲を制限するためのものではない。
実施例
実施例1:臨床試験
実施例1a、1b及び1cに示された結果は、同じ臨床試験から導かれる。
実施例1a:試験
この試験は、中等度から重度の尋常性乾癬を有する患者における抗体A対ウステキヌマブの有効性及び安全性を評価した。
166人の患者を、抗体Aの3つの用量処方計画のうちの1つ(18mgの1回注射;0及び4週目に90又は180mg)又はウステキヌマブ(45又は90mg)に無作為に割り当てた。PASI(乾癬の面積と重症度の指標)、sPGA(医師による静的全体評価)及び安全性パラメーターを評価した。主要評価項目は、12週目におけるPASI 90の達成(PASIスコアの基線からの90%以上の減少の達成)であり、一次分析は、2つの最も高い用量の抗体A(プールされたもの)をウステキヌマブと比較する。
一次分析は、抗体Aがウステキヌマブより優れていることを示した(抗体AではPASI 90の応答率は77.1%であり、これに対してウステキヌマブでは40%である[p<0.0001])。0(消失)又は1(ほぼ消失)のsPGAスコアが、抗体Aの患者の90.4%によって達成されたが、これに対して、ウステキヌマブ患者では67.5%であった。病変の完全な消失(PASI 100)は、抗体Aの患者の45.8%及びウステキヌマブ患者の17.5%において達成された。有害事象は処置群間で類似し、薬物に関連した深刻な又は重篤なAE(有害事象)はなかった。
抗体AによるIL−23p19の選択的遮断は、中等度から重度の尋常性乾癬を有する患者においてウステキヌマブよりも優れた臨床応答を伴う。
実施例1b:試験
目的:選択的IL−23p19アンタゴニストモノクローナル抗体である抗体Aの有効性及び安全性を、中等度から重度の尋常性乾癬を有する患者(乾癬性関節炎(PsA)を併発している及び併発していない患者を含む)において評価し、ウステキヌマブと比較した。
方法:この第2相試験において、166人の患者を、抗体Aの3つの用量処方計画の1つ(0週目に18mgの1回量;0、4及び16週目に90又は180mg)又はウステキヌマブ(0、4及び16週目に45又は90mg)の皮下注射を受けるように無作為に割り当てた(1:1:1:1の比)。皮膚病変を、乾癬の面積と重症度の指標(PASI)を使用して評価し、12週目の主要評価項目はPASI 90(基線からの90%の改善)であった。PsA(リウマチ学者によって診断されたか又は疑われる)を併発している患者において、疼痛を、基線並びに4、12及び24週目において視覚的アナログスケール(疼痛−VAS)を使用して評価した。この中間分析では、全患者が12週目の来診時に完了し;12週目以後のデータは不完全である。
結果:12週目におけるPASI 90応答という主要評価項目は、それぞれ18、90及び180mgの群の抗体A患者の32.6%(14/43)、73.2%(30/41)及び81.0%(34/42)、並びにウステキヌマブ患者の40.0%(16/40)によって達成された。18、90及び180mgの群の抗体Aとウステキヌマブとの間の12週目におけるPASI 90応答についての両側コクラン・マンテル・ヘンツェル検定により、それぞれ0.4337、0.0013、及び<0.0001のp値が得られた。166人の患者の中で、46人(27.7%)がPsAを併発していた。12週目における疼痛−VASの基線からの減少率の中央値は、抗体Aの18、90及び180mgの用量群の患者のそれぞれ31.9%、70.2%及び58.4%であり、これに対してウステキヌマブで処置された患者では57.3%であった。疼痛−VASの50%超の減少(事後に規定された)が12週目に、抗体Aの18、90及び180mgの用量群の患者のそれぞれ29%(2/7)、73%(8/11)及び50%(6/12)に達成され、これに対し、ウステキヌマブで処置された患者では54%(7/13)であった。図1は、疼痛−VASスコアの減少が、早くも4週目に観察され、24週間を通じて維持されたことを実証する(不完全なデータ)。有害事象(AE)は処置群間で類似し、薬物に関連した深刻な又は重篤なAEはなかった。
結論:抗体Aを用いてのIL−23p19の選択的遮断は、中等度から重度の尋常性乾癬を有する患者の皮膚病変に対してウステキヌマブよりも優れた臨床応答を伴う。ウステキヌマブを上回る疼痛−VASの数値の改善も、PsA患者において観察された。
12週目におけるPASI 50、PASI 75及びPASI 100の応答も、上記の試験において決定された。それらは、18、90及び180mgの群の抗体Aの患者のそれぞれ93%、95%及び100%、並びにウステキヌマブ患者の87%という、PASI 50を達成した患者の比率を12週目に示した。経時的なPASI 50の達成が図2に示される。
それらはまた、18、90及び180mgの群の抗体Aの患者のそれぞれ76%、90%及び98%、並びにウステキヌマブ患者の68%という、PASI 75を達成した患者の比率を12週目に示した。経時的なPASI 75の達成が図3に示される。
それらはまた、18、90及び180mgの群の抗体Aの患者のそれぞれ18%、41%及び49%、並びにウステキヌマブ患者の15%という、PASI 100を達成した患者の比率を12週目に示した。経時的なPASI 100の達成が図5に示される。
経時的なPASI 90の達成が図4に示される。
実施例1c:試験
本試験は、中等度から重度の慢性尋常性乾癬を有する患者における、ウステキヌマブと比較した、選択的IL−23p19阻害剤(抗体A)を用いての処置後の臨床応答の発生及び持続時間を評価した。
材料及び方法:この多施設無作為化二重盲検(抗体Aの用量群の中で)第II相試験において、中等度から重度の慢性尋常性乾癬を有する166人の患者を、3つの異なる用量処方計画(18mgの1回注射;0、4及び16週目に90又は180mg)の抗体A又はウステキヌマブ(0、4及び16週目に、体重に基づいて45又は90mg)のいずれかの皮下注射を受けるように割り当てた。PASIを0、1、2、4、6及び8週目に評価し、その後、計48週間におよび4週間毎に評価した。安全性を、有害事象(AE)を記録することによって来診時に毎回評価した。
結果:24週目に、PASI 90が、90mg及び180mgの抗体A群の患者のそれぞれ66%(27/41)及び86%(36/42)によって達成され、これに対して、ウステキヌマブを受けた患者では55%(22/40)であった。病変の完全な消失(PASI 100)が、90mg及び180mgの抗体A群の患者の41%(17/41)及び57%(24/42)において達成され、これに対してウステキヌマブを受けた患者では28%であった。PASI 90の発生までの時間は、ウステキヌマブ群の患者と比較して、90mg及び180mgの抗体A群の患者では約2倍速かった(PASI 90の発生までの日数の中央値=それぞれ57日間[両方の抗体Aの用量群において;約8週間]対113日間[約16週間]、p=0.0016[90mg]及びp<0.0001[180mg])。PASI 90を達成した90mg及び180mgの抗体A群の患者は、ウステキヌマブを受けた患者よりも長くその応答を維持した(PASI 90を初めて失った患者が50%となるまでの日数=それぞれ、337日間[両方の抗体Aの用量群において;約48週間]対253日間[約36週間])。AEは処置群間で類似し、あらゆるAEに対する用量反応関係は存在しなかった。7人の患者が深刻なAEを報告し(18mgの抗体A群において4人、90mgの抗体A群において2人、ウステキヌマブ群において1人);全員が試験薬に無関連と判断された。
同試験は、抗体Aでは、患者の69%及び66%(それぞれ、180mg及び90mg)が、4週目までにPASI 50を達成するという急速な効果の発生を起こし、これに対して、ウステキヌマブ患者では45%であることを示した。8週目までに、抗体A患者(それぞれ、180mg及び90mg)の83%及び80%がPASI 75を達成し、これに対し、ウステキヌマブ患者では60%であった。12週目までに、PASI 90(主要評価項目)を達成している患者の比率は、180mg及び90mgの抗体A群において81%及び73%であり、これに対してウステキヌマブでは40%であった。体重は、抗体Aの有効性に対して殆ど影響を及ぼさなかった。20週目に、抗体A患者(それぞれ、180mg及び90mg)の90%及び76%がPASI 90を達成し、これに対してウステキヌマブでは55%であり;抗体A患者の62%及び51%が、病変の完全な消失(PASI 100)を示し、これに対してウステキヌマブ患者では25%であった。臨床応答は、180mg及び90mgの抗体A用量群において36週目以降も高いレベルで維持された。PsA患者では、抗体A(180mg及び90mg、プールされたもの)ではウステキヌマブと比べて12週目に疼痛のより大きな減少が観察された(68%対57%)。乾癬性関節炎患者では、疼痛は、視覚的アナログスケールによって評価され、基線からの変化率の中央値として表現された。
結論:抗体AによるIL−23の選択的遮断は、ウステキヌマブによるIL−12及びIL−23の遮断と比較して、応答の優れた効力、より迅速な応答の発生、及びより長い応答持続時間を示す。
同試験において、皮膚疾患のQOL評価(DLQI)及びEuroQol−5D(EQ−5D)を、0、12、24、及び48週目に完成させた。DLQIの総スコアの基線からの変化率の中央値(記述的に及びファン・エルターレン検定によって分析)を、12及び24週目のウステキヌマブと比較した。0又は1のDLQIスコアを達成している患者の比率も評価した。EQ−5D指標スコアを記述的に分析した。プールされた90mg及び180mgの群の抗体Aの結果が報告されている。
基線では、DLQIスコアの中央値は、抗体Aに無作為化された患者では13.0であり、これに対してウステキヌマブに無作為化された患者では16.0であった。EQ−5D指標スコアの平均値は、両方の処置群において0.7であった。12週目におけるDLQIスコアの改善率の中央値は、ウステキヌマブを受けた患者よりも、抗体Aを受けた患者の方が大きかった(それぞれ、100%対90.6%;p=0.0304)。24週目に0又は1のDLQIスコアを有する患者の比率は、抗体Aの患者では80%であったが、これに対して、ウステキヌマブ患者では61%であった。12週目に、抗体Aの患者は、ウステキヌマブの患者と比較してEQ−5Dスコアの平均値の50%以上の改善を示すことが観察された(それぞれ、0.3対0.2)。これは24週目にも持続されていた。
中等度から重度の尋常性乾癬患者では、抗体AによるIL−23の選択的遮断は優れた効力を示し、ウステキヌマブと比較してQoL転帰の有意な改善を提供する。
同試験において、抗体Aの有効性を、頭皮乾癬、掌蹠乾癬、及び爪乾癬の処置について評価した。
頭皮乾癬重症度指標(PSSI)及び掌蹠乾癬の面積と重症度の指標(PPASI)を使用して、それぞれ頭皮乾癬及び掌蹠乾癬を評価した。爪乾癬重症度指標(NAPSI)は手の上のみにおいて評価された。評価は、基線及び(基線において症状を有していた者において)1、2、4、6、8、12週目、及び4週間毎に48週目まで実施された。兆候又は症状を全く有さないと記述された患者は、その来診において0の総スコアが割り当てられた。抗体A(90mg及び180mg、プールされたもの)の基線からの改善率の中央値を、ウステキヌマブのそれと比較した。
154人(92.8%)の患者が頭皮乾癬を有し、42人(25.3%)の患者が掌蹠乾癬を有し、96人(57.8%)の患者が爪乾癬を有していた。頭皮疾患及び掌蹠疾患は迅速に応答し;2週目までに、抗体Aにより処置された患者は、PSSI及びPPASIの基線からの50%及び51%の改善を示し、これに対して、ウステキヌマブにより処置された患者では37%及び30%であった。6週目までに、抗体A群及びウステキヌマブ群の両方の患者が頭皮乾癬の完全な消失を示し、これは試験中ずっと維持された。PPASIについては、完全な消失が抗体Aでは6週目に、ウステキヌマブでは16週目に見られ、これは試験中ずっと維持された。爪疾患はより緩徐に寛解し、6週目に抗体AではNAPSIは30%改善され、これに対してウステキヌマブでは0%であった。12週目までのNAPSIの改善は、それぞれ、抗体A及びウステキヌマブについて41%及び36%であり、24週目までのNAPSIの改善は、それぞれ、61%及び67%であった。
抗体AによるIL−23の選択的遮断は、頭皮乾癬、掌蹠乾癬、及び爪乾癬の処置において有望な効力を示し、これはより迅速な改善が、ウステキヌマブと比較して抗体Aを用いて達成され得ることを示唆する。
実施例1d:試験
薬物中止後、及び、再処置後、又はウステキヌマブから抗体Aに切り替えた後の臨床応答を試験する。
材料及び方法:上記の第II相試験における中等度から重度の尋常性乾癬を有する166人の患者の中で、成功裡に48週間を完了したか又はそのPASI応答が試験完了前に50%以下に下降した109人の患者は、非盲検継続(OLE)試験に参加し、90mgの抗体Aを用いて12週間毎に処置された。有効性(PASI 90及び100)及び安全性(AE)を評価した。欠落している有効性のデータについては無応答による補完を使用した。
結果:OLEの開始時には、第II相試験の抗体A群(18mg、90mg、及び180mg)及びウステキヌマブ群の患者のPASI 90の比率はそれぞれ、0%(0/22)、53.6%(15/28)、50.0%(16/32)及び14.8%(4/27)であった。90mgの抗体Aの1回の注射を受けてから12週間後、各群の患者の59.1%(13/22)、71.4%(20/28)、68.8%(22/32)及び66.7%(18/27)がPASI 90を達成した。第II相試験の全ての無応答者の中で(PASIの改善は50%未満)、48.6%(17/35)が、90mgの抗体Aの1回の注射を受けてから12週間後にPASI 90を達成した。さらに、PASI 90応答を示すOLEに参加した全ての患者が、PASI 90応答を維持した。同様に、OLE開始時のPASI 100の比率は、4つの第II相群についてそれぞれ0%(0/22)、39.3%(11/28)、28.1%(9/32)、及び3.7%(1/27)であった。これらは、90mgの抗体Aの1回の注射から12週間後には31.8%(7/22)、42.9%(12/28)、40.6%(13/32)及び37.0%(10/27)まで増加した。AEは、先行している第II相試験と類似していた。1人の患者が深刻なAE(18mgの抗体A群)を経験したが、これは試験薬には無関連と判断された。
結論:事前にウステキヌマブで処置された患者は、抗体Aに対して良好に応答した。さらに、抗体Aを用いての再処置は、PASI 90応答率を維持したか又は改善した。
実施例2:有効性の評価
抗体Aを、本明細書に記載の用量及び用量処方計画で患者に投与する。抗体Aの有効性は、公知の方法を使用して決定される、以下の1つ以上の評価項目によって評価される。評価項目は、例えば、投与後4、6、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、76、又は104週目の1つ以上において、又は以下に示されているように測定される。
乾癬:
・例えば12週目における、PASIスコアの基線からの90%以上の減少の達成(PASI90)。
・例えば12及び24週目における、PASIスコアの基線からの75%以上の減少の達成(PASI75)。
・例えば12週目における、PASIスコアの基線からの100%の減少の達成(PASI100)。
・例えば12週目における、PASIスコアの基線からの50%以上の減少の達成(PASI50)。
・例えば24週目における、PASI90の達成。
・例えば12週目における、消失又はほぼ消失のsPGAの達成。
・例えば12週目における、基線からのPASIの減少率。
・PASI50応答が消失するまでの時間。この評価項目は、最初の処置時点から、応答が達成された後に基線と比較してPASIスコアが初めて50%未満減少した時点まで計算される。
他の評価項目は以下の通りである:
・例えば4、6、8、16、20、28、32、36、40、44、48週目における、PASI90及びPASI75の達成。
・例えば4、6、8、16、20、24、28、32、36、40、44、48週目における、PASI100、PASI50の達成、及びPASIの基線からの減少率。
・例えば4、6、8、16、20、24、28、32、36、40、44、48週目における、消失又はほぼ消失のsPGAの達成。
・PASI50応答の発生までの時間(最初の処置時点から、基線と比較してPASIスコアが初めて50%以上減少した時点まで)。
・例えば4、6、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48週目における、NAPSI(爪乾癬重症度指標)、PSSI(頭皮乾癬重症度指標)、及びPPASI(掌蹠乾癬の面積と重症度の指標)の基線からの変化率。
・例えば4、12、24、36、48週目における、PGAR(患者による全般評価の順位)及びPAI(患者による痒みの評価)の基線からの評価。
・例えば12週目における、疼痛−VASの基線からの変化(乾癬性関節炎のみを有する患者の亜群において)。
・例えば4、6、8、12、16、20、24、48週目における、皮膚疾患のQOL指標(DLQI)の基線からの変化。
・例えば12週目における、EQ−5D(EuroQoLグループの質問票)VASスコア(視覚的アナログスケール)の基線からの変化。
・例えば12週目における、EQ−5D指標スコアの基線からの変化。
・例えば12週目において、皮膚疾患のQOL指標(DLQI)スコア0又は1を達成している患者の比率。
・例えば16週目における、PSS(乾癬症状スケール)の総スコアを使用して評価された乾癬症状の基線からの変化。
・例えば16週目における、PSSの総スコア0の達成。
乾癬性関節炎(例えば4、6、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、76、104週目の1つ以上において評価された応答):
・例えば4、6、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48週目における、乾癬性関節炎のスクリーニング及び評価(PASE)の質問票。
・例えば4、6、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48週目における、米国リウマチ学会の応答基準の20%の改善(ACR20)。
・米国リウマチ学会の応答基準の50%及び70%の改善(ACR50及びACR70)。
・臨床疾患活動性指標(CDAI)。
・28箇所の関節についての疾患活動性スコア(DAS28)。
・全20本の指の中で罹患している数が評価された(それぞれの指について有り又は無しとして、0〜20本の範囲の指(手指及び足指))、指炎(指全体の腫脹)。
・腱付着部炎(Leeds腱付着部炎指標(LEI)の6つの部位における圧痛の有無によって評価される、腱及び靭帯付着部の炎症)。
・圧痛又は疼痛を有する関節の数、腫脹した関節の数を含む、個々のACR成分。
・患者による疾患活動性及び関節疼痛の全般評価。
・医師による疾患活動性の全般評価。
・健康評価質問票−機能障害指数(HAQ−DI)の応答、健康評価質問票−機能障害指数(HAQ−DI)。
・C反応性タンパク質レベル。
・赤血球沈降速度。
・患者により報告される転帰の尺度には、バス強直性脊椎炎疾患活動性指標(BASDAI)が含まれていた。バス強直性脊椎炎活動性指標(BASDAI)のスコア。
・36項目の医学転帰試験略式健康調査(SF−36)のバージョン2。
・乾癬症状の一覧表。
・例えば24、52、104週目における修正トータルシャープスコア(mTSS)。
・圧痛関節数。
・腫脹関節数。
・患者による疼痛評価。
・患者による機能障害レベルの評価。
・急性期反応物質(C反応性タンパク質又は赤血球沈降速度)。
・患者による疾患の全般評価。
・医師による疾患の全般評価。
・最小疾患活動性(MDA)。
・複合乾癬疾患活動性指標(CPDAI)。
・乾癬の面積及び重症度の指標(PASI)の基線からの変化率(PASI 75/90/100)。
・修正爪乾癬重症度指標(mNAPSI)。
・乾癬性関節炎のQOL(PsAQOL)。
・慢性疾患治療−疲労の機能評価(FACIT−F)。
・例えば24、52、及び104週目における、乾癬性関節炎磁気共鳴画像スコアシステム(PsAMRIS)。
強直性脊椎炎及びX線所見が認められれないax−SpAについて(例えば、4、6、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、76、104週目の1つ以上において評価された応答):
・患者により報告された炎症症状。
・急性期反応物質(赤血球沈降速度[ESR]又はCRP)。
・バス強直性脊椎炎疾患活動性指標(BASDAI)。基線と比較したBASDAIスコアの変化。
・強直性脊椎炎疾患活動性スコア(ASDAS)。基線と比較したASDASスコアの変化。
・バス強直性脊椎炎機能指標(BASFI)。基線と比較したBASFIスコアの変化。
・バス強直性脊椎炎計測指標(BASMI)。基線と比較したBASMIスコアによって評価される脊椎可動性の変化。
・例えば24、52、104週目における、磁気共鳴画像(MRI)。
・ASAS 40応答。
・ASAS 5/6応答。
・ASAS部分寛解基準。
・ASAS20応答。
・基線と比較した末梢関節数(圧痛関節数及び腫脹関節数)の変化。
・基線と比較した腱付着部スコア(MASES)の変化。
・基線と比較した強直性脊椎炎疾患活動性スコア(ASDAS)の変化。
・維持が失われるまでの時間。
・処置後のフレアまでの時間。
・強直性脊椎炎QOLスケール(ASQoL)。
実施例3:薬物動態の評価項目(群)
抗体Aなどの抗IL−23A抗体の薬物動態パラメーターを決定するために、以下のパラメーターを、当技術分野において公知の方法を使用して評価する。
・測定された最大血漿中濃度(Cmax)。
・投薬から最大血漿中濃度までの時間(tmax)。
・処置の時間間隔におよぶ血漿中濃度時間曲線下面積(AUC0−t)。
・0から無限時間まで外挿計算された時間間隔におよぶ血漿中濃度時間曲線下面積(AUC0−∞)。
・終末相半減期(t1/2)。
・母集団の薬物動態。
実施例4:医薬組成物
本発明の抗体に適した製剤の例を以下に示す。以下の製剤に使用される抗体は例えば、抗体A、抗体B、抗体C、又は抗体Dである。
製剤1のpHは典型的にはpH6.0〜7.0の範囲内であり、例えばpH6.5である。この製剤は、静脈内投与に特に適している。
使用される賦形剤の分子量(g/molでの分子量):コハク酸二ナトリウム六水和物=270.14g/mol;コハク酸=118.09g/mol;塩化ナトリウム=58.44g/mol。
製剤の浸透圧は、Osmomat 030(Gonotec GmbH、ベルリン、ドイツ)を使用して決定したところ300+/−30mOsmol/kgである。製剤の20℃における密度は、DMA 4500(Anton Paar GmbH、オストフィルダーン・シャルンハウゼン、ドイツ)の測定装置を使用して決定したところ約1.0089g/cm3である。
製剤2のpHは、典型的にはpH5.5〜6.5の範囲内であり、例えばpH5.5〜6.1であり、例えばpHは5.8である。この製剤は、皮下投与に特に適している。
使用される賦形剤の分子量(g/molでの分子量):
分子量:コハク酸(C4H6O4)=118.09g/mol。
分子量:コハク酸二ナトリウム六水和物(C4O4Na2H4×6H2O)=270.14g/mol。
分子量:ソルビトール=182.17g/mol。
分子量:ポリソルベート20=1227.72g/mol。
製剤の浸透圧は、Osmomat 030(Gonotec GmbH、ベルリン、ドイツ)を使用して決定したところ300+/−30mOsmol/kgである。製剤の20℃における密度は、DMA 4500(Anton Paar GmbH、オストフィルダーン・シャルンハウゼン、ドイツ)の測定装置を使用して決定したところ約1.040g/cm3である。
製剤3のpHは、典型的にはpH5.5〜6.5の範囲内であり、例えば5.5〜6.1であり、例えばpHは5.8である。この製剤は、皮下投与に特に適している。
使用される賦形剤の分子量(g/molでの分子量):
分子量:ソルビトール=182.17g/mol。
分子量:ポリソルベート20=1227.72g/mol。
製剤の浸透圧は、Osmomat 030(Gonotec GmbH、ベルリン、ドイツ)を使用して決定したところ300+/−30mOsmol/kgである。
実施例5:分子的及び組織病理学的プロファイル
抗体A対ウステキヌマブを用いて処置された乾癬患者の皮膚病変における分子的及び組織病理学的プロファイルを比較した。
材料及び方法:1回量の抗体A(0.01mg/kg〜5mg/kg)対プラセボの第I相試験、及び抗体A(180mgの1回の注射;0、4及び16週目に90mg又は180mg)を用いての処置とウステキヌマブ(0、4及び16週目に45mg又は90mg)を用いての処置とを比較する実施例1a〜1cに上記されている第II相試験という2つの臨床試験における、中等度から重度の乾癬患者の病変を有する皮膚生検材料を得た。組織病理及び全トランスクリプトームRNAプロファイリングのために、第I相試験の39人の患者(基線及び8週目)、及び第II相試験の60人の患者(基線及び4週目)から試料を回収した。線形回帰を使用して単変量解析を評価した。有意な転写物についての効果量、p値、及びFDRを計算した。
結果:早くも4週目に、抗体Aを用いての処置により、K16、Ki67、CD3、好中球ゼラチナーゼリポカリン、CD11c、DC−LAMP、b−デフェンシン2、及びS100A7をはじめとする組織病理学的バイオマーカーの発現は減少した。第II相試験において、90mg又は180mgの抗体Aの患者のそれぞれ50%(7/14)及び64%(9/14)が、優れた改善(全般的な組織病理学的スコアに基づいて)であると等級付けられ、これに対し、ウステキヌマブでは27%(4/15)であった。選択された遺伝子セットの発現は、他のカテゴリーと比べて優れた改善であると等級付けられた患者試料の病変において4週目に有意に減少していた。変化した経路には、I型IFN、S−100、角化細胞、及び後期角化膜ファミリーが含まれていた。抗体Aを用いての処置により、抗体Aの投与を受けたがウステキヌマブの投与は受けていない患者において、基線から4週目までに、IL−23R、CCL20、IL−36β、β−デフェンシン4B、及びI型IFN経路、及び後期角化膜ファミリー遺伝子をはじめとする1714個の独特な遺伝子の発現の有意な減少(p<0.005)がもたらされた。1709個の遺伝子のセットの発現は、両方の処置によって有意に減少した。4及び8週目に、抗体Aは、角化細胞及び表皮細胞に関連した遺伝子の発現を強くダウンレギュレートし、それよりも低い程度で、単球、マクロファージ、樹状細胞、及び好中球に関連した遺伝子の発現をダウンレギュレートした。表7は、抗体Aによって減少した選択された遺伝子を示す(ボンフェローニ補正が多重比較のために適用された)。
結論:抗体Aの優れた臨床効力は、ウステキヌマブと比較して、乾癬患者の皮膚病変の分子的及び組織病理学的プロファイルの早期変化に関連していた。
皮膚生検材料を、基線及び4週目において58人の患者から回収した。乾癬疾患及びIL−23経路に関連したバイオマーカーを、処置前及び処置後の皮膚生検材料において免疫組織化学的検査によって評価した。生検の結果は、優れた変化、良好な変化、僅かな変化、変化なし、又は悪化に分類された(分類基準については表6A参照)。基線及び4週目に回収された病変を有する生検材料を有していた患者のサブセットにおける処置群による全般的な組織病理学的スコアの概要を表6Bに示す。スコアは、表6Aの分類に基づく。52個の生検材料のみを評価した。なぜなら、いくつかの生検材料は、基線又は4週目において評価不可能であったか又は欠落していたかのいずれかであり、したがって分析から除外された。
さらに、全トランスクリプトームRNAシークエンスを生検試料に実施した。
58人の患者のサブセットに由来する病変皮膚生検試料のRNAの全般的な全トランスクリプトームシークエンスは、イルミナ社のHi−Seq2000(イルミナ社、サンディエゴ、CA州)を使用して達成された。各遺伝子のRNA配列データの一般化線形モデルを、分散の経験ベイズ推定値(変量)を使用して当てはめた。モデルには、従属変数としての遺伝子発現の対数値の変化、及び独立変数としての処置群が含まれていた。このモデルにより、処置に関連した修正された変化倍数の対数の推定値、及び各RNA転写物についての関連するp値が得られた。0.005未満のP値が有意と判断された。実験あたりの偽陽性率は、標準的な方法に従って多重比較のために適用されたボンフェローニ補正を使用してコンピューター計算された。
表6Cは、その発現が、抗体Aを用いての処置後(1714個の遺伝子)及び抗体Aを用いての処置とウステキヌマブを用いての処置の後(1709個の遺伝子)に有意に減少した、3423個の重要な各遺伝子の4週目の平均減少値を有する、経時的なPASI応答の患者数を示す。
さらなる分析は、440個の遺伝子の発現が、4週目に抗体Aによって有意に減少し、2倍超の変化(基線から12週目までに)があったことを示した。これらの遺伝子のうち僅か89個が、抗体Aを用いての処置により減少した発現を示したが、抗体Aを用いての処置とウステキヌマブを用いての処置との間で重複している351個の遺伝子の発現の減少が観察された。89個の遺伝子を表6Dに列挙する。
4週目に抗体A対ウステキヌマブによって調節される重要な経路は、以下の通りである(これらの経路に含まれる遺伝子についてのp値<0.005及び変化倍数>1.5)。
抗体Aについてのより強力な濃縮/調節:
低酸素、筋形成、UV応答DN、血管新生、凝固、異物代謝、後期エストロゲン応答、G2Mチェックポイント、初期エストロゲン応答、上皮間葉転換。
ウステキヌマブについてのより強力な濃縮/調節:
IL2 STAT5シグナル伝達、インターフェロンα応答、インターフェロンγ応答、IL6 JAK STATシグナル伝達、炎症応答、NFKBを介したTNFAシグナル伝達。
実施例6:免疫原性の評価
抗体Aの免疫原性を、多層的なアプローチを使用して評価した。全ての試料をまず抗薬物抗体(ADA)スクリーニングアッセイで分析した。次いで、ADAスクリーニングアッセイで推定的に陽性であることが判明した試料を、ADA確認アッセイで評価した。次いで、陽性であると確認された試料を滴定し、中和抗薬物抗体(Nab)スクリーニングアッセイでさらに特徴付けた。次いで、Nabスクリーニングアッセイで推定的に陽性であることが判明した試料を、Nab特異性アッセイで評価した。
ADAスクリーニングアッセイを、酸による試料の解離から始め、続いて、検証済の薬物架橋電気化学ルミネッセンス(ECL)アッセイを行なった。試料及び対照を、300mMの酢酸を用いて処理して、抗体AとADAの複合体を解離した。次いで、酸により処理された試料をインキュベートし、ビオチニル化抗体Aとルテニウム−抗体Aの混合物中の1MトリスpH9.5を用いて中和した。次いで、中和した試料を、遮断されたメソスケールディスカバリー(Meso Scale Discovery)(登録商標)(MSD社)ストレプトアビジンプレートに加え、インキュベートした。洗浄後、薬物−ADA複合体を、プレートへのMSD解読用緩衝液の添加、続いて電子化学的反応を介したルテニウムの励起によりRu(bpy)3 2+を生成することによって検出し、これをMSDセクター(Sector)イメージャー6000によって解読した。ECLのシグナル強度は、試料中に存在する抗体Aに対する抗体のレベルと相関した。抗体Aに対して生じたモノクローナル抗体は、陽性対照(PC)として使用された。検証中に評価された感度は、100%ヒトK3EDTA血漿中0.177ng/mLであった。薬物に対する耐容性は、100%ヒトK3EDTA血漿中100ng/mLの陽性対照を、100μg/mL又はそれ以下の抗体Aの存在下で検出することができるようなものであった。
検証済みのNabアッセイは、STAT3リン酸化の評価を通して、ヒト血漿中の抗体Aに対する中和抗体を測定した。血漿試料を、一定濃度の抗体A及びIL−23と共にインキュベートした。アッセイに使用されたヒト大細胞型B細胞リンパ腫細胞株であるDBは、IL−23の存在下で増加したリン酸化STATを示した。リン酸化STAT3は、パススキャン(PathScan)(登録商標)ホスホ−Stat3(Tyr705)サンドイッチELISAを使用して評価され、これはスペクトラマックスプラス(SpectraMax Plus)384吸光度マイクロプレートリーダーを使用して解読された。中和抗体の非存在下では、IL−23に結合した抗体Aにより、IL−23Rの活性化は減少し、STAT3のリン酸化は減少した。中和抗体の存在下では、IL−23により媒介されるIL−23Rの増加した活性化及びその結果としてのSTAT3のリン酸化が起こった。
NAbスクリーニングアッセイにおいて観察されたシグナルの減少が、抗体に起因するものであり、非特異的な基質成分には起因しないことを確認するために、NAb特異性アッセイも使用された。抗体Aに対して生じたモノクローナル抗体は陽性対照として使用された。検証中に評価された相対的アッセイ感度は、100%ヒトK3EDTA血漿中において125ng/mLであった。薬物に対する耐容性は、100%ヒトK3EDTA血漿中250ng/mLの陽性対照が、70ng/mL又はそれ以下の抗体Aの存在下において検出することができるようなものであった。