JP2020172077A - 補修装置及び複合材の補修方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一態様に係る補修装置は、繊維強化樹脂シートを積層して形成される板状の複合材を補修する補修装置であって、前記複合材の端面に形成された被補修部を、前記端面との間に閉空間が形成されるように覆う本体部と、前記本体部と前記複合材とを固定する固定部と、前記閉空間へ圧力をかけて樹脂を注入する樹脂供給部と、を備え、前記本体部は、前記樹脂供給部からの圧力に対して変形しない剛性を有する部材で形成されている。
なお、樹脂供給部からの圧力に対して変形しない剛性を有する部材とは、例えば金属部材や樹脂部材が挙げられる。また、変形しないとは、本体部として機能を発揮できなくなるほどに変形しないとの意味であって、多少の変形が許容されることはもちろんである。
なお、真空とは、完全な真空状態でなくてもよく、大気圧よりも低い状態であればよい。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。なお、図1は補修装置のみを図示している。また、図2は、補修装置に複合材が設置され、閉空間に樹脂が充填された状態を図示している。また、以下の説明では、図1及び図2に示されているように、補修装置に複合材が設置された状態における複合材の板厚方向をZ軸方向とし、Z軸方向と直交する方向であって樹脂を注入する方向をX軸方向とし、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向として説明する。
また、本体部10は、第1壁部11のZ軸方向の一端から略直角に曲折してY軸方向へ延びる第2壁部12と、第1壁部11のZ軸方向の他端から略直角に曲折してY軸方向へ延びる第3壁部13と、を有する。第2壁部12は本体部10の内部に形成された空間のZ軸方向の一端を規定し、第3壁部13はこの空間のZ軸方向の他端を規定している。
排出装置は、排出ポート41と接続可能とされている。排出装置は、排出ポート41を介して、閉空間Sから空気を排出させるための装置である。排出装置としては、一例として、真空ポンプが挙げられる。
なお、本実施形態では、注入ポート31と排出ポート41とが隣り合って、第4壁部14に形成されているが、これに限るものではない。例えば、注入ポート31を第4壁部14に形成し、排出ポート41を第5壁部に形成してもよい。
本実施形態の本体部10、第1接触板部21及び第2接触板部22とは、一体として成形される。以下、本体部10、第1接触板部21及び第2接触板部22が一体として成形された部材をチャンバーと称する。チャンバーの成形方法の一例として、三次元プリンタで成形する方法が挙げられる。チャンバーは、第1接触板部21と第2接触板部22との離間距離を、複合材2の板厚に応じた距離とする必要があるなど、複合材2の補修箇所の形状に応じて作成する必要がある。よって、チャンバーは、様々なサイズや形状が要求されるが、三次元プリンタで成形することで、あらゆる補修箇所の形状に応じたサイズや形状のチャンバーを短期間で成形することができる。また、チャンバーは、第1接触板部21及び第2接触板部22の内側の面(対向する面)にOリング25を収容するための溝を形成するなど、細かい加工が要求されるが、三次元プリンタで成形することで、細かい加工であっても、短期間で成形することができる。
なお、チャンバーの成形方法として、三次元プリンタで成形する方法以外を用いてもよい。例えば、金属からチャンバーを削り出してもよい。また、射出成型や、鋳造成型でチャンバーを成形してもよい。
繊維強化樹脂シートを積層して形成される複合材2は、板厚方向と直交する方向の端部が衝撃を受けると、端面2cを起点として層間が剥離し、層間に隙間が発生する場合がある。すなわち、破損した状態となる場合がある。本実施形態に係る補修装置1は、このような複合材2の隙間などの被補修部3に樹脂4を注入することで複合材2の補修を行う。
具体的には、まず、補修装置1を複合材2に設置する。詳細には、第1接触板部21が複合材2の一面2aと対向し第2接触板部22が複合材2の他面2bと対向するとともに、本体部10が複合材2の被補修部3を覆うように、補修装置1を複合材2に設置する(被覆工程)。また、このとき、複合材2の端面2cのうち、閉空間Sを規定する領域と隣接する領域が、第4壁部14及び第5壁部のY方向の一側の面(第1溝14aが形成される面)と接触させるように設置する。すなわち、複合材2の端面2cのうち、閉空間Sを規定する領域と隣接する領域は、図1の一点鎖線で示す位置となる。このように、本体部10と複合材2の端面2cとの間に閉空間Sが形成されるように、補修装置1を複合材2に設置する。
次に、押圧部23によって、第1接触板部21を複合材2の一面2aの方向へ押圧するとともに、第2接触板部22を複合材2の他面2bの方向へ押圧する。これにより、第1接触板部21が複合材2の一面2aと面接触し、第2接触板部22が複合材2の他面2bと面接触する。また、これにより、第2溝22a及び第3溝22bに収容されているOリング25が、第2接触板部22と複合材2との間で圧迫される。また、第4溝及び第5溝21aに収容されているOリング25が、第1接触部と複合材2との間で圧迫される。このようにして、本体部10と複合材2とが固定される。
次に、吸引ポンプを駆動し、排出ポート41を介して閉空間S内の空気を吸引することで排出し、閉空間S内を真空にする。なお、真空とは、空気が完全に存在しない状態(完全な真空状態)でなくてもよく、閉空間Sの圧力が大気圧よりも低い状態程度であってもよい。
次に、樹脂供給装置を駆動させて、注入ポート31を介して、閉空間Sへ補修用樹脂4を注入する。このとき、樹脂供給装置は、所定の圧力をかけて閉空間Sへ樹脂4を注入する。閉空間Sへ樹脂4を注入すると、閉空間Sに樹脂4が充填されるとともに、閉空間Sから被補修部3の内部にも樹脂4が充填される。複合材2と本体部10とが固定されているので、閉空間S内に樹脂4が充填されている状態で、さらに樹脂供給部30から閉空間Sへ樹脂4が供給されると、閉空間Sの圧力が増大する。閉空間Sの圧力が増大すると、被補修部3の内部へ流入する樹脂4に圧力が作用する。これにより、被補修部3の内部に樹脂4が好適に流入する。
樹脂4の注入が完了すると、次に、複合材2から補修装置1を取り外す。一度被補修部3の内部に流入した樹脂4は、固まる前であっても、被補修部3から排出されることはない。このため、取り外し工程は、注入した樹脂4が固まるまで待って樹脂4が固まった後に行ってもよいし、樹脂4が固まる前に行ってもよい。取り外し工程では、押圧部23の押圧を解除し、そのあとに、補修装置1を複合材2から取り外す。樹脂4が固まった後に補修装置1を取り外した場合には、その後に、複合材2の端面2cから突出する樹脂4(すなわち、閉空間Sで固まった樹脂4)を除去する。また、樹脂4が固まる前に補修装置1を取り外した場合には、その後に、複合材2の端面2cに付着した樹脂4を拭き取る。樹脂4を拭き取ってから、樹脂4を固める。樹脂4は、時間経過とともに固まるので、樹脂4が固まるまで待ってもよく、また、積極的に加熱等することで樹脂4の固化を促進してもよい。
このようにして、複合材2の被補修部3の補修を終了する。
本実施形態では、複合材2と固定され被補修部3を覆う本体部10と被補修部3との間の閉空間Sへ圧力をかけて樹脂4を注入している。これにより、加圧力により、被補修部3の内部に樹脂4が好適に流入する。本実施形態では、このように、被補修部3の内部に樹脂4を流入し易くすることができるので、例えば、複合材2の被補修部3の形状が微小なヒビや隙間のような樹脂4が流入し難い形状の場合でも、被補修部3の内部に樹脂4を充填することができ、被補修部3を補修することができる。
次に、本発明に第2実施形態について、図3を用いて説明する。なお、図3は、補修装置1に、複合材2が設置されていない状態を図示している。
本実施形態に係る補修装置51は、第1壁部11と、第2壁部52及び第3壁部53とが為す角度θが第1実施形態と異なっている。また、押圧部23の代わりに、第1接触板部54及び第2接触板部55に操作部56が設けられている点で、第1実施形態と異なる。その他においては、第1実施形態と略同一なので、同一の部材については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、被補修部3が設けられる複合材2も第1実施形態と同様のものである。
本実施形態に係る複合材2の補修方法は、設置工程、固定工程及び取り外し工程のみが、第1実施形態と異なっている。したがって、第1実施形態と同一である空気排出工程及び注入工程については、その詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る補修装置1は、第1接触板部54の先端と、第2接触板部55の先端との距離L2は、複合材2の板厚よりも小さい。したがって、この状態では、第1接触板部54と第2接触板部55との間に複合材2を挿入することができないため、第1接触板部54と第2接触板部55との間に複合材2を設置することはできない。そこで、本実施形態の補修装置1では、補修装置1を複合材2に設置する際に、まず、一対の操作部56の他端を操作する。詳細には、図3の矢印Aで示すように、他端同士が近づくように、一対の操作部56を操作する。このように操作することで、操作部56の本体部10の後端の角を支点Pとして、矢印Bで示すように、一対の操作部56の一端同士が離れるように移動する。操作部56の一端と本体部の一端部とが固定されているので、操作部56の一端の移動に伴って、本体部10が弾性変形する。詳細には、第1接触板部54の先端と、第2接触板部55の先端との距離L2が広がるように、本体部10が弾性変形する。第1接触板部54と第2接触板部55との間に複合材2を設置可能になるまで、距離L2を広げると、第1接触板部54と第2接触板部55との間に複合材2を設置する。複合材2の設置位置等は、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
複合材2を設置した後に、操作部56の操作を解除する。操作部56の操作を解除すると、第1接触板部54と第2接触板部55とが元の形状に戻ろうとする力が働く。これにより、第1接触板部54が、複合材2の一面2aと接触した状態で、かつ、一面側に付勢した状態となる。また、第2接触板部55が、複合材2の他面2bと接触した状態で、かつ、他面側に付勢した状態となる。このようにして、本体部10と複合材2とが固定される。
取り出し工程では、再度、図3の矢印Aで示すように、他端同士が近づくように、一対の操作部56を操作する。このように操作することで、本体部10が弾性変形し、第1接触板部54の先端と、第2接触板部55の先端との距離L2が広がるため、複合材2から補修装置1を取り外すことができる。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、本体部10と一体的に設けられた第1接触部と複合材2の一面2aとが面接触し、本体部10と一体的に設けられた第2接触部と複合材2の他面2bとが面接触している。したがって、本体部10と複合材2との間の圧力損失を増大させることができるので、本体部10と複合材2との間からの樹脂4の漏洩を抑制することができる。
例えば、第1実施形態においても、第2実施形態と同様に、第1壁部11と第2壁部52及び第3壁部53とが為す角度θを調整し、第1接触板部54及び第2接触板部55を複合材2側へ付勢させてもよい。このように構成することで、第1接触板部54及び第2接触板部55と複合材2とが、より強く面接触するので、本体部10と複合材2との間からの樹脂4の漏洩をより抑制することができる。
2 :複合材
2a :一面
2b :他面
2c :端面
3 :被補修部
4 :補修用樹脂
10 :本体部
11 :第1壁部
12 :第2壁部
13 :第3壁部
14 :第4壁部
14a :第1溝
20 :固定部
21 :第1接触板部
21a :第5溝
22 :第2接触板部
22a :第2溝
22b :第3溝
23 :押圧部
25 :Oリング
30 :樹脂供給部
31 :注入ポート
40 :排出部
41 :排出ポート
51 :補修装置
52 :第2壁部
53 :第3壁部
54 :第1接触板部
55 :第2接触板部
56 :操作部
Claims (7)
- 繊維強化樹脂シートを積層して形成される板状の複合材を補修する補修装置であって、
前記複合材の端面に形成された被補修部を、前記端面との間に閉空間が形成されるように覆う本体部と、
前記本体部と前記複合材とを固定する固定部と、
前記閉空間へ圧力をかけて樹脂を注入する樹脂供給部と、を備え、
前記本体部は、前記樹脂供給部からの圧力に対して変形しない剛性を有する部材で形成されている補修装置。 - 前記閉空間から空気を排出して前記閉空間を真空とする排出部を備えた請求項1に記載の補修装置。
- 前記固定部は、前記本体部と一体的に設けられていて前記複合材の一側の板面である一面と面接触する第1接触部と、前記本体部と一体的に設けられていて前記複合材の他側の板面である他面と面接触する第2接触部と、前記第1接触部を前記複合材の前記一面の方向へ押圧するとともに前記第2接触部を前記複合材の前記他面の方向へ押圧する押圧部と、を有する請求項1または請求項2に記載の補修装置。
- 前記固定部は、前記本体部と一体的に設けられていて前記複合材の一側の板面である一面と面接触する第1接触部と、前記本体部と一体的に設けられていて前記複合材の他側の板面である他面と面接触する第2接触部と、を有し、
前記第1接触部は、前記複合材の前記一面と接触した状態で、前記一面側に付勢していて、
前記第2接触部は、前記複合材の前記他面と接触した状態で、前記他面側に付勢している請求項1または請求項2に記載の補修装置。 - 前記第1接触部と前記複合材の前記一面との間及び前記第2接触部と前記複合材の前記他面との間には、各々、シール部材が設けられている請求項3または請求項4に記載の補修装置。
- 前記閉空間に注入された樹脂を加熱する加熱機構を備える請求項1から請求項5のいずれかに記載の補修装置。
- 繊維強化樹脂シートを積層して形成される板状の複合材を補修する複合材の補修方法であって、
前記複合材の端部に形成された被補修部を、該被補修部との間に閉空間が形成されるように、本体部で覆う被覆工程と、
前記本体部と前記複合材とを固定する固定工程と、
前記被覆工程と前記固定工程の後に、前記閉空間へ圧力をかけて樹脂を注入する注入工程と、を備え、
前記本体部は、前記注入工程において注入される樹脂の圧力に対して変形しない剛性を有する部材で形成されている複合材の補修方法。
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