JP6321429B2 - 繊維強化樹脂部材の修理方法および研削方法 - Google Patents

繊維強化樹脂部材の修理方法および研削方法 Download PDF

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この発明は、繊維強化樹脂部材を修理する技術に関する。
補強材に炭素繊維を使用し、マトリックス材にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用した炭素繊維強化樹脂(CFRP)は、強度と弾性率が高く、また、耐蝕性に優れているため、航空宇宙産業において広く使用されている。特に、近年では、CFRPを用いた構造部材が大型化する傾向にあり、例えば、航空機では、一体化した主翼や、胴体を数分割した部材等がCFRPによって製造されるようになってきた。
このように大型化した構造部材では、損傷が発生した場合に、損傷が発生した部分を交換することは困難である。そのため、大型の構造部材については、使用されているそのままの状態で修理を行うことが要求される。このような修理は、損傷部とその周辺を削除し、該削除した部分に修理パッチを配置し、修理パッチを硬化させて母材に接着させることにより行われる(例えば、特許文献1の図7参照)。
特開2010−137527号公報
一般的に、損傷部とその周辺の削除は、機械的に研削することにより行われる。この場合、研削時に発生する粉塵(研削粉)が飛散し、作業環境が悪化する虞がある。この問題は、CFRP製の部材を修理する場合のみならず、繊維強化樹脂部材を修理する場合にも同様に発生する。また、CFRPを研削した場合、研削粉には炭素が含まれる。そのため、使用状態のままでCFRP製の部材の修理を行うと、飛散した研削粉により、周囲の電気系統に障害が発生する虞がある。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、繊維強化樹脂部材を修理する際に発生する研削粉の飛散を抑制することを目的とする。
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
繊維強化樹脂部材の修理方法であって、(a)前記繊維強化樹脂部材において、修理に際して除去される損傷もしくは欠陥を有する被除去部の周囲を含む領域を研削して、研削深さがほぼ均一な均一研削面を形成する工程と、(b)前記被除去部を除去することによって生じる空隙を埋めるとともに、前記均一研削面に接着された補修部を形成する工程と、を有し、前記工程(a)は、扇状に広がる高圧の水流を前記繊維強化樹脂部材に噴射することにより行われる、修理方法。
この適用例によれば、被除去部の周囲を含む領域の研削は、扇状に広がる高圧の水流を繊維強化樹脂部材に噴射することにより行われる。これにより、研削によって生じた研削粉は、水中に取り込まれるので、研削粉の飛散を抑制することができる。
[適用例2]
前記工程(a)において、第1の均一研削面と、第1の均一研削面の外周部に形成され研削深さが前記第1の均一研削面よりも浅い第2の均一研削面とを形成する、適用例1記載の修理方法。
この適用例によれば、第1と第2との均一研削面が補修部に接着されるので、より容易に接着面積を広くすることができる。そのため、修理後の繊維強化樹脂部材の強度を高くすることがより容易となる。
[適用例3]
前記工程(b)において、前記均一研削面にプリプレグを配置した後、前記プリプレグに前記均一研削面の方向の圧力を加えるとともに、前記プリプレグを加熱することにより、前記補修部を形成する、適用例1または2記載の修理方法。
プリプレグは、強化材に樹脂を含浸したシートとして提供されるので、取り扱いが容易である。そのため、繊維強化樹脂部材の修理をより容易に行うことができる。
[適用例4]
適用例1記載の修理方法であって、前記工程(a)において、第1の均一研削面と、第1の均一研削面の外周部に形成され研削深さが前記第1の均一研削面よりも浅い第2の均一研削面とを形成し、前記工程(b)において、前記均一研削面にプリプレグを配置した後、前記プリプレグに前記均一研削面の方向の圧力を加えるとともに、前記プリプレグを加熱することにより、前記補修部を形成し、前記第1の均一研削面と前記第2の均一研削面の研削深さの差を、前記プリプレグ1枚の厚さ以上とする、修理方法。
この適用例によれば、プリプレグにより補修部を形成する際においても、修理後の繊維強化樹脂部材の表面に凹凸が生じることを抑制することができる。
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれか記載の修理方法であって、前記工程(a)において使用する研削装置を車両に搭載し、前記車両の移動先において、その場で前記工程(a)を実行する、修理方法。
この適用例によれば、車両の移動先において、その場で修理を行うことができるので、より速やかに繊維強化樹脂部材の修理を行うことが可能となる。
本発明の一実施形態としての複合材修理方法を示す工程図。 複合材を研削する様子を示す説明図。 複合材を研削する様子を示す説明図。 平坦面が形成された被試験材切片の端部の外観を示す写真。 2本の被試験材切片および被試験材切片上にプリプレグを配置した際の外観を示す写真。 接着された状態における被試験材とプリプレグとの外観を示す写真。 本発明の一適用態様として、航空機の修理を行う様子を示す説明図。
以下、本発明を実施するための形態を以下の順序で説明する。
A.実施形態:
A1.複合材の修理:
A2.複合材の研削:
B.模擬修理試験:
C.適用態様:
D.変形例:
A1.複合材の修理:
図1は、本発明の一実施形態としての複合材修理方法を示す工程図である。図1(a)は、修理の対象となる損傷状態の板状の複合材900を示している。複合材900は、炭素繊維からなる補強材に熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグを6枚積層し、圧力下で加熱硬化させることにより形成されている。そのため、複合材900は、各プリプレグに対応する6枚の炭素繊維強化樹脂層(CFRP層)910を有している。図1(a)に示す複合材900には、矢印に示すように表面側(図の上側)から衝撃荷重が加わることにより、マイクロクラック、層間剥離、層分離および繊維破断を含む複合的な損傷が、損傷部990の表面側から裏面側(図の下側)までの全層に渉って発生している。
本実施形態における複合材修理方法では、まず、図1(b)に示すように、損傷部990およびその周囲において、表面側のCFRP層910を研削する。研削は、高圧の水流(ウォータジェット)を複合材900の表面に噴射することにより行われる。なお、具体的な研削方法については、後述する。1層目のCFRP層910の研削は、損傷部990よりも十分に広い範囲に対して行われる。これにより、1層目のCFRP層910aには、開口部912が形成され、2層目のCFRP層910の露出した表面が平坦面914となる。ここで、N層目(Nは、1以上の整数)のCFRP層910とは、最表層から数えてN番目のCFRP層910を謂う。
次いで、1層目のCFRP層910を研削することより形成された平坦面914(すなわち、2層目のCFRP層910の露出面)のうち、損傷部990に近い中心部を研削して、平坦面(3層目のCFRP層910の露出面)を形成する。このように、前段階における平坦面(N層目のCFRP層910の露出面)の一部分を研削することを繰り返すことにより、図1(c)に示すように、複合材900に形成された損傷部990は除去される。そして、研削前の複合材900の表面からの深さ(研削深さ)が互いに異なる、階段状の平坦面914aが形成される。なお、損傷部990は、このように修理に際して除去される部分であるので、被除去部とも謂うことができる。また、平坦面914aは、研削深さがほぼ均一な面であるので、均一研削面とも謂うことができる。
次に、図1(d)に示すように、階段状に平坦面914aが形成された複合材900bに、各CFRP層910aの開口部912と同形状に形成されたプリプレグ920を配置する。複合材900bにプリプレグ920を配置した後、図1(e)に示すように、複合材900bとプリプレグ920とを2枚の金属板932,934に挟み、圧力を加えながら加熱する(ホットプレス)。このように、プリプレグ920に平坦面914a方向の圧力を加えて加熱すると、プリプレグ920が硬化するとともに、硬化したプリプレグと複合材900bとが接着され、複合材900の修理が完了する。
本実施形態の修理方法により修理された複合材は、硬化したプリプレグと複合材900bとが、複数の平坦面914aにおいて接着されている。そのため、硬化したプリプレグと複合材900bとの接着面積が広くなるので、修理後の複合材の強度を非損傷状態の複合材の強度に近づけることができる。なお、硬化したプリプレグは、損傷部990を除去した空隙を埋めるとともに、平坦面914aに接着されるので、本発明で謂う補修材に相当することは明らかである。
本実施形態では、複合材900,900aの研削をウォータジェットにより行っているので、研削時に発生する粉塵(研削粉)は水に取り込まれる。そのため、機械的に研削した場合と比べ、研削粉の飛散を抑制することができ、飛散した研削粉による作業環境の悪化を抑制することができる。また、複合材900の補強材として炭素繊維を用いている場合には、炭素を含む研削粉が飛散すると周囲の電気系統に障害を発生させる虞がある。一方、本実施形態によれば、研削粉の飛散が抑制されるので、電気系統に障害を発生させる可能性を低減することができる。
なお、図1では、板状の複合材900の修理を行っているが、本発明の複合材修理方法は、板状に限らず、種々の形状の複合材の修理に適用することができる。この場合においても、複合材の表面からほぼ均一な研削深さで研削を行い、研削部(均一研削面)にプリプレグを配置し、プリプレグと複合材とを接着することにより、複合材の修理を行うことができる。なお、複合材とプリプレグとの接着は、金属板932,934に換えて、修理の対象となる複合材の形状に合わせた金型に挟み、ホットプレスすることにより行うことができる。
本発明の複合材修理方法は、複合材の裏面側に金属等の他の素材からなる部材(母材)が配置されている場合にも適用可能である。この場合、平坦面が形成された複合材と、プリプレグとを接着するためには、表面側から複合材の表面形状に合わせた金型を押しつけ、当該金型を加熱すればよい。また、金型を用いず、ヒータマットと、ヒータマットを覆うバッグフィルムを修理対象の複合材の表面に貼り付け、バッグフィルムと複合材との間を真空引きして加圧し、ヒータマットで加熱することで、平坦面が形成された複合材とプリプレグとの接着を行うことも可能である。
図1の例では、研削を行った領域が複合材900を貫通しているが、一般的には、研削により損傷部が除去できればよく、損傷がないCFRP層をそのまま残すものとしても良い。この場合において、損傷が深部に及んでいない場合、1つの平坦面のみを研削して形成するものとしても良い。
また、本実施形態では、研削により損傷部990を除去しているが、損傷部990を予め切り取り、その後、切り取った領域の周囲を研削して階段状の平坦面を形成するものとしても良い。この場合、研削する面積を狭くすることができるので、研削に要する時間を短縮することができ、複合材の修理をより速やかに行うことが可能となる。
また、本実施形態では、先に浅い平坦面914を形成し、その平坦面914の一部を研削していくことにより、階段状の平坦面914aを形成しているが、先に深く研削を行い、その後、研削した領域の周囲を浅く研削して、階段状の平坦面914aを形成することも可能である。
本実施形態では、CFRP層910を1層ずつ研削して階段状の平坦面914aを形成している。そのため、平坦面914a間の段差(研削深さの差)は、CFRP層910の1層分、すなわち、プリプレグの1層(1プライ)分となっている。しかしながら、平坦面914a間の段差は、必ずしも1プライ分とする必要はない。但し、修理後の複合材の表面に凹凸が生じることを抑制することができる点で、平坦面914a間の段差は、1プライ分以上とするのが好ましい。
A2.CFRP層の研削:
図2および図3は、複合材900を研削する様子を示す説明図である。図2は、斜め上方から見た様子を示し、図3(a)および図3(b)は、それぞれ、−Y方向およびX方向から見た様子を示している。複合材900の研削は、図2および図3に示すように、噴射ヘッド100から研削対象である複合材900に、X方向に扇状に拡がるアブレーシブ(研磨剤)を含まないウォータジェット(ファン流)120を噴射することにより行われる。ファン流120の拡がり方は、噴射ヘッド100の先端部102に設けられた噴射口(図示しない)の形状、および、噴射ヘッド100に供給される水の圧力Pによって変化する。
噴射ヘッド100は、図示しない高さ調整機構により、Z方向の位置を調整することができる。これにより、噴射ヘッド100の先端部102と、複合材900の表面との距離H(スタンドオフ)を適宜調整することができる。スタンドオフHを調整することにより、ファン流120が複合材900に到達したときのファン流120の幅W(研削幅)を調整することができる。
噴射ヘッド100は、また、図示しない駆動機構によりX方向およびY方向の両方向に移動可能となっている。スタンドオフHを一定に保った状態で、噴射ヘッド100をY方向に予め設定した速度V(送り速度)で移動させることにより、図2に示すように、幅が研削幅Wの帯状領域918が研削される。そして、帯状の領域918の研削後、噴射ヘッド100を研削幅WだけX方向に移動させ、研削を行う。これを繰り返すことにより、平坦面914が形成される。
なお、噴射ヘッド100をY方向に1回移動させた際に研削される量(研削量)が、目標とする平坦面914と複合材900の表面との段差(研削深さ)に満たない場合には、Y方向への移動を複数回行って、帯状領域918を所望の研削深さまで研削し、その後、X方向に移動することを繰り返せばよい。また、まず浅い平坦面を形成し、その後、当該平坦面をさらに研削することにより、所望の研削深さの平坦面を形成することも可能である。
研削条件を規定するスタンドオフH、送り速度V、水の圧力Pは、噴射ヘッド100に設けられた噴射口の形状、研削対象である複合材900の材質、研削深さ等に応じて、適宜設定される。これらのパラメータは、以下の点を考慮して、実験的に決定することが可能である。
スタンドオフHを長くすると、研削幅Wが広くなるので、X方向への移動回数(すなわち、帯状領域918の研削回数)を低減することができる。しかしながら、スタンドオフHを過度に長くすると、研削幅Wの広がり以上に研削速度が低下し、研削に要する時間が増加する。一方、スタンドオフHを過度に短くすると、均一に研削することが困難になる。そのため、スタンドオフHは、5mm〜60mmに設定するのが好ましく、7.5mm〜50mmに設定するのがより好ましい。
送り速度Vは、研削量とほぼ反比例するので、研削深さと研削に要する時間とを考慮して適宜設定される。但し、送り速度Vを過度に遅くすると、均一に研削することが困難になる。そのため、送り速度Vは、2.5mm/s以上に設定するのが好ましく、5mm/s以上に設定するのがより好ましい。
水の圧力Pを高くすると、研削速度が高くなり、研削に要する時間を短縮することができる。しかしながら、水の圧力Pを過度に高くすると、均一に研削することが困難になる。そのため、水の圧力Pは、400MPa以下に設定するのが好ましく、350MPa以下に設定するのがより好ましい。また、水の圧力Pを低くしていくと、急激に研削速度が低下する閾値が存在する。そのため、水の圧力Pは、当該閾値(例えば、100MPa)以上とするのが好ましい。
このように、本実施形態によれば、アブレーシブを含まないファン流120を複合材900に噴射することにより、複合材900を研削することができる。そして、アブレーシブを含まないファン流120で複合材900を研削することにより、研削後の複合材が、残存したアブレーシブにより汚染されることを抑制することができる。
B.模擬修理試験:
本発明の複合材修理方法により、複合材が修理可能であることを確認するため、複合材修理の模擬的な試験を行った。試験では、まず、被試験材として、厚さが3.6mmの平棒状のCFRP複合材を準備した。そして、準備した被試験材を切断し、2本の被試験材切片を得た。
次いで、得られた2つの被試験材切片のそれぞれの端部にファン流を噴射して研削を行った。研削条件は、水の圧力Pを200MPa、スタンドオフHを12.5mm、送り速度Vを10mm/sとした。まず、最端部に対して6回の研削を行うことにより、幅が7.5mmで、研削深さが2.35mmの平坦面を形成した。次いで、先に形成された平坦面に隣接する領域に対して4回の研削を行うことにより、幅が7.5mmで、研削深さが1.96mmの平坦面を形成した。そして、2番目に形成された平坦面に隣接する領域に対して2回の研削を行うことにより、幅が7.5mmで、研削深さが1.05mmの平坦面を形成した。図4は、平坦面が形成された被試験材切片の端部の外観を示す写真である。図4(a)は、被試験材切片の側面の外観写真であり、図4(b)は、被試験材切片の上面の外観写真である。図4に示すように、被試験材切片の端部には、ほぼ均一に切削された3つの平坦面が形成された。
図5は、2本の被試験材切片および被試験材切片上にプリプレグを配置した際の外観を示す写真である。図5(a)に示すように、研削を行った2本の被試験材切片を、研削した端部(研削部)を対向して配置した。次に、図5(b)に示すように、研削部を対向して配置した2本の被試験材切片上に、プリプレグを配置した。プリプレグは、対応する平坦面をほぼ完全に覆うように長さを調節した。また、本試験では、さらに、研削をしていない領域に掛かるように長さを調節したプリプレグを最上部に配置した。
被試験材切片上にプリプレグを配置した後、被試験材切片とプリプレグとをホットプレスすることにより、被試験材切片とプリプレグとを接着した。図6は、接着された状態における被試験材とプリプレグとの外観を示す写真である。図6(a)は、被試験材とプリプレグとの側面の外観を示し、図6(b)は、被試験材とプリプレグとの上面の外観を示している。図6(a)に示すように、研削をしていない領域に掛かるように長さを調節したプリプレグを配置したため、2本の被試験材切片の接合部分は、上方に盛り上がっているものの、硬化したプリプレグと被試験材切片とは接着されていた。このように、研削を行って複数の平坦面を形成し、平坦面上にプリプレグを配置し、ホットプレスによりプリプレグと複合材とを接着することにより、複合材が修理可能であることが確認できた。
C.適用態様:
図7は、本発明の一適用態様として、航空機APLの修理を行う様子を示す説明図である。図7の例では、航空機APLの複合材を用いた主翼WNGに生じた損傷を修理するために、複合材を研削する様子を示している。複合材の研削は、トラックTRKに積載された高圧ポンプユニットPNPと、トラックTRKにより運搬されるロボットアームARMと、ロボットアームARMの先端に取り付けられた噴射ヘッドHDJと、を用いて行われる。なお、図7の例では、トラックTRKにより運搬されるロボットアームARMを地上に置いているが、ロボットアームARMを取り付けた専用の車両を用いることも可能である。
高圧ポンプユニットPNPと噴射ヘッドHDJとは、高圧ホースHHPを介して接続されており、高圧ポンプユニットPNPから高圧の水を噴射ヘッドHDJに供給することにより、噴射ヘッドHDJの先端からファン流FWJが噴射される。ロボットアームARMが、噴射ヘッドHDJの位置および向きを制御することにより、ファン流FWJが主翼WNGに噴射される。これにより、主翼WNGを構成する複合材からは、損傷部が除去されるとともに、損傷部を除去した領域の周囲は、表面からほぼ均一な深さに研削される。そして、研削された部分にプリプレグを配置し、加圧および加熱することにより、プリプレグを硬化させるとともに、プリプレグと複合材とを接着することにより、主翼WNGの修理が完了する。
このように、航空機APLを構成する複合材を修理する場合には、ウォータジェットを用いた研削装置一式(すなわち、高圧ポンプユニットPNP、ロボットアームARM、噴射ヘッドHDJおよび高圧ホースHHP)をトラックTRK等の車両に搭載することにより、航空機APLを工場に移送することなく、その場で修理を行うことが可能となる。そのため、航空機APLを構成する複合材に損傷が発生した場合においても、速やかに修理を行うことができるので、航空機APLが運用できない時間(ダウンタイム)を短縮することができる。
また、複合材のその場での修理は、航空機APLのほか、車両や船舶等の種々の移動体や、タンク等の大型構造物に対して行うことも可能である。これらの場合においても、その場で修理を行うことにより、より速やかに複合材の修理を行うことが可能となる。
D.変形例:
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
上記実施形態では、複合材900を研削することにより形成された平坦面914a上にプリプレグ920を配置し、複合材900bとプリプレグ920とをホットプレスで接着しているが、他の方法により修理することも可能である。例えば、平坦面914a上に炭素繊維の補強材シートを配置し、補強材シートを配置した領域に熱硬化性樹脂を注入した後、注入した樹脂を硬化させるものとしても良い。但し、プリプレグは、補強材シートよりも取り扱いが容易であるため、プリプレグを用いて修理するのが好ましい。
D2.変形例2:
上記実施形態では、衝撃によって複合材900に生じた損傷を修理しているが、本発明は、衝撃によって複合材900に生じた損傷の他、ボイドなどの複合材900の製造過程において発生した欠陥を修理することにも適用できる。
D3.変形例3:
上記実施形態では、炭素繊維を補強材とし熱硬化性樹脂をマトリックス材とする複合材900の修理を行っているが、本発明は、他の種類の複合材の修理にも適用できる。本発明は、炭素繊維を補強材とし熱可塑性樹脂をマトリックス材とする炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)、ガラス繊維を補強材とし熱硬化性もしくは熱可塑性の樹脂をマトリックス材とするガラス繊維強化樹脂、アラミド繊維を補強材とし熱硬化性もしくは熱可塑性の樹脂をマトリックス材とするアラミド繊維強化樹脂等の種々の繊維強化樹脂部材の修理に適用することができる。
100…噴射ヘッド
102…先端部
120…ファン流
900,900a,900b…複合材
910,910a…CFRP層
912…開口部
914,914a…平坦面
918…帯状領域
920…プリプレグ
932,934…金属板
990…損傷部
APL…航空機
ARM…ロボットアーム
FWJ…ファン流
HDJ…噴射ヘッド
HHP…高圧ホース
PNP…高圧ポンプユニット
TRK…トラック
WNG…主翼

Claims (7)

  1. 繊維強化樹脂部材の修理方法であって、
    (a)前記繊維強化樹脂部材において、修理に際して除去される損傷もしくは欠陥を有する被除去部の周囲を含む領域を研削して、研削深さがほぼ均一な均一研削面を形成する工程と、
    (b)前記被除去部を除去することによって生じる空隙を埋めるとともに、前記均一研削面に接着された補修部を形成する工程と、
    を有し、
    前記工程(a)は、扇状に広がる高圧の水流を前記繊維強化樹脂部材に噴射することにより行われる、
    修理方法。
  2. 前記工程(a)において、第1の均一研削面と、第1の均一研削面の外周部に形成され研削深さが前記第1の均一研削面よりも浅い第2の均一研削面とを形成する、請求項1記載の修理方法。
  3. 前記工程(b)において、前記均一研削面にプリプレグを配置した後、前記プリプレグに前記均一研削面の方向の圧力を加えるとともに、前記プリプレグを加熱することにより、前記補修部を形成する、請求項1または2記載の修理方法。
  4. 請求項1記載の修理方法であって、
    前記工程(a)において、第1の均一研削面と、第1の均一研削面の外周部に形成され研削深さが前記第1の均一研削面よりも浅い第2の均一研削面とを形成し、
    前記工程(b)において、前記均一研削面にプリプレグを配置した後、前記プリプレグに前記均一研削面の方向の圧力を加えるとともに、前記プリプレグを加熱することにより、前記補修部を形成し、
    前記第1の均一研削面と前記第2の均一研削面の研削深さの差を、前記プリプレグ1枚の厚さ以上とする、
    修理方法。
  5. 前記繊維強化樹脂部材および前記プリプレグのマトリックス材は、熱硬化性樹脂である、請求項3または4記載の修理方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか記載の修理方法であって、
    前記工程(a)において使用する研削装置を車両に搭載し、
    前記車両の移動先において、その場で前記工程(a)を実行する、
    修理方法。
  7. 繊維強化樹脂部材の研削方法であって、
    扇状に広がる高圧の水流を前記繊維強化樹脂部材に噴射することにより、研削深さがほぼ均一な均一研削面を形成する工程を備え
    前記工程において、前記水流を前記繊維強化樹脂部材に噴射するための噴射ヘッドの先端部と前記繊維強化樹脂部材の表面との距離は、5mm〜60mmに設定され、前記噴射ヘッドに供給される水の圧力は、100MPa〜400MPaに設定されている、
    研削方法。
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