JP2020171119A - 太陽電池診断装置、太陽光発電システムおよび太陽電池診断方法 - Google Patents

太陽電池診断装置、太陽光発電システムおよび太陽電池診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】太陽電池を設置したままで、太陽電池が、保証されている出力性能を満たしているか否かを判断することが可能な太陽電池診断装置を得ること。【解決手段】太陽電池診断装置70は、太陽電池の出力電圧および発電電力を示す発電データを収集する発電データ収集部41と、複数の日に渡る発電データから抽出された快晴時の発電データおよび理論日射量に基づいて、予め定められた条件を満たす基準状態での太陽電池の発電電力を求める出力性能算出部45と、を備えることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池の出力性能を診断する太陽電池診断装置、太陽光発電システムおよび太陽電池診断方法に関する。
住宅等に設置される発電システムとして、光エネルギーを直流電力に変換する太陽電池を用いた太陽光発電システムが知られている。太陽電池の出力性能は、製造後に出荷前検査として、予め定められた条件で測定し、基準を満たした製品のみが出荷される。予め定められた条件とは、日本においては、JIS(Japanese Industrial Standards)で定められた方法を挙げることができる。JISでは、ソーラーシミュレータを用いて、日射強度1000W/m、太陽電池モジュールの温度25℃である基準状態で測定することが定められている。基準状態で測定する方法を、標準測定方法ともいう。
太陽電池は、使用している間に劣化したり故障したりすることがある。このため、特許文献1には、太陽電池を設置した後に、出力性能を診断する方法が開示されている。特許文献1に開示された方法では、複数の日に渡る一定期間の太陽電池の発電特性データと、快晴日相当の理論日射量とに基づいて、発電特性データの理論日射量に対する比を評価指標として用いている。
また、近年では、太陽電池の製造メーカが、長期間の出力性能保証を付与した製品を提供している。出力性能保証は、予め定められた期間が経過後の発電電力の、公称最大出力に対する比で定められることが多い。公称最大出力は、太陽電池の定格出力である。例えば、製造メーカは、25年経過後の発電電力が、公称最大出力に対して72%以上となることを保証することがある。
特開2012−138448号公報
しかしながら、上記従来の技術によれば、太陽電池が保証されている出力性能を満たしているか否かを判断することができないという問題があった。上述の出荷前検査と同様に予め定められた条件で発電電力の測定を行うためには、太陽電池を一旦取り外して、予め定められた条件の環境を作り出すことのできる場所へと運ぶ必要がある。このため、実際には正確な出力性能の測定は行われておらず、太陽電池を設置したままで正確な出力性能を測定する方法が潜在的に望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、太陽電池を設置したままで、太陽電池が、保証されている出力性能を満たしているか否かを判断することが可能な太陽電池診断装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の実施の形態にかかる太陽電池診断装置は、太陽電池の出力電圧および発電電力を示す発電データを収集する発電データ収集部と、複数の日に渡る発電データから抽出された快晴時の発電データおよび理論日射量に基づいて、予め定められた条件を満たす基準状態での太陽電池の発電電力を求める出力性能算出部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、太陽電池を設置したままで、太陽電池が、保証されている出力性能を満たしているか否かを判断することが可能になるという効果を奏する。
本発明の実施の形態1にかかる太陽光発電システムの構成を示す図 図1に示す太陽光発電システムの出力性能を診断する太陽電池診断装置の機能構成を示す図 図2に示す発電データ収集部が記録するデータの一例を示す図 図1に示す太陽電池の出力抑制が発生した場合の発電電力の一例を示す図 図2に示す出力抑制判定部の動作を説明するためのフローチャート 図2に示す快晴時刻判定部の動作を説明するためのフローチャート 一日中快晴である一日の発電電力データを示す図 図7の9時から11時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図7の10時から12時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図7の11時から13時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図7の12時から14時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図7の13時から15時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 午前中は快晴である一日の発電電力データを示す図 図13の9時から11時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図13の10時から12時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図13の11時から13時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図13の12時から14時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図13の13時から15時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 午後が快晴である一日の発電電力データを示す図 図19の9時から11時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図19の10時から12時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図19の11時から13時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図19の12時から14時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図19の13時から15時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 一日中晴れである一日の発電電力データを示す図 図25の9時から11時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図25の10時から12時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図25の11時から13時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図25の12時から14時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図25の13時から15時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 一日中曇りである一日の発電電力データを示す図 図31の9時から11時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図31の10時から12時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図31の11時から13時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図31の12時から14時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図31の13時から15時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図 図7から図36に示す発電電力データの近似曲線からの偏差の最大値を正規化した値を示す図 図2に示す理論日射量算出部の動作を説明するためのフローチャート 図2に示す出力性能算出部の動作を説明するためのフローチャート 図2に示す理論日射量算出部が使用する大気透過率データの一例を示す図 本発明の実施の形態2にかかる太陽電池診断装置の機能構成を示す図 図41に示す大気透過率算出部の動作を説明するためのフローチャート 本発明の実施の形態3にかかる太陽光発電システムの構成を示す図 本発明の実施の形態4にかかる太陽光発電システムの構成を示す図 本発明の実施の形態1〜4にかかる太陽電池診断装置の機能を実現するための専用のハードウェアを示す図 本発明の実施の形態1〜4にかかる太陽電池診断装置の機能を実現するための制御回路の構成を示す図
以下に、本発明の実施の形態にかかる太陽電池診断装置、太陽光発電システムおよび太陽電池診断方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる太陽光発電システム1の構成を示す図である。太陽光発電システム1は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置である太陽電池10と、太陽電池10の発電した直流電力を交流電力に変換する電力変換装置20と、電力変換装置20と接続された電力系統30とを有する。また太陽光発電システム1は、電力変換装置20が収集したデータを取得する計測装置40と、インターネット網50と、計測装置40と機能を分担して太陽電池の診断処理を実行する制御装置60とを有する。
太陽電池10は、複数の太陽電池モジュール11を有する。複数の太陽電池モジュール11は、直列に接続されて太陽電池ストリング12を構成している。太陽電池10は、1または複数の太陽電池ストリング12を並列に接続した太陽電池アレイである。複数の太陽電池ストリング12は、図示しない接続箱によって電気的に並列接続される。太陽電池10は、住宅の屋根の上などに設置され、光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置である。太陽電池10の出力は電力変換装置20に入力される。
電力変換装置20は、後述する出力を抑制する場合を除き、太陽電池10が発電可能な最大の直流電力を交流電力に変換する。電力変換装置20は、変換後の交流電力を図示しない住宅内の電気機器などの電気負荷に供給するほか、電力系統30に接続して、住宅内で消費できなかった余剰電力を逆潮流して電力系統30に供給することもできる。
計測装置40は、電力変換装置20と通信線で接続されている。計測装置40は、電力変換装置20が収集した電圧、電流、電力などの情報を取得することができる。また計測装置40は、インターネット網50との通信手段を有しており、通信線などによりインターネット網50と接続し、制御装置60にデータを送信することもできる。制御装置60は、計測装置40とインターネット網50を介して接続されている。制御装置60は、次に説明する太陽電池10の診断処理を、計測装置40と分担して行う。
図2は、図1に示す太陽光発電システム1の出力性能を診断する太陽電池診断装置70の機能構成を示す図である。太陽電池診断装置70の機能は、図1に示す計測装置40および制御装置60の少なくとも一方により実現される。太陽電池診断装置70は、発電データ収集部41と、出力抑制判定部42と、快晴時刻判定部43と、理論日射量算出部44と、出力性能算出部45と、比較部46と、報知部47とを有する。
発電データ収集部41は、太陽電池10の出力電圧および発電電力を示す発電データを収集する。発電データ収集部41は、電力変換装置20から通信線を介して発電データを取得することができる。発電データ収集部41は、例えば予め定められた時間間隔、例えば1分間隔で取得され、取得した発電データが記憶される。発電データを収集する時間帯は、9時から15時までの間を含むことが望ましい。また、後述する出力性能算出部45が用いる太陽電池10または太陽電池ストリング12の開放電圧を計測するために、電力変換装置20は、例えば、9時、10時、・・・15時の正時には、発電データを計測した後の短時間、例えば5秒間、運転を停止して開放電圧を測定する。発電データ収集部41は、発電データに加えて開放電圧を取得し、時刻データと共に記録する。発電データ収集部41は、データを取得したことを出力抑制判定部42に通知する。
図3は、図2に示す発電データ収集部41が記録するデータの一例を示す図である。図3に示すデータは、発電電力および入力電圧を含む発電データと、開放電圧とを含み、発電データおよび開放電圧は、時刻データと対応づけられている。なお、ここで発電電力は、電力変換装置20が変換した後の交流電力の値であり、入力電力は、電力変換装置20へ入力される電圧であり、太陽電池10の出力電圧である。
太陽光発電システム1では、複数の理由に起因して、太陽電池10が発電可能な最大電力よりも出力を抑制して運転することがある。第1の出力抑制理由は、電力変換装置20の最大出力よりも太陽電池10の発電可能な最大電力が大きいことである。第2の出力抑制理由は、発電電力を逆潮流することで電力系統30の電圧が電気事業法などの基準で定められた許容電圧を超える可能性があることである。第3の出力抑制理由は、電力変換装置20の周囲温度が高いため、電力変換装置20の内部温度が許容値を超過することである。第4の出力抑制理由は、電力系統30の運用者から出力を抑制する旨の指令を受けたことである。また、例えば上位のシステムから出力抑制指令を受けた場合など、その他の要因も考えられる。
図4は、図1に示す太陽電池10の出力抑制が発生した場合の発電電力の一例を示す図である。図4は、天気が快晴であって、発電量が多く、電力変換装置20の最大出力を超えた場合を示している。図4に示すような特性は、太陽光発電システム1の太陽電池10の容量に対して電力変換装置20の容量が少ない場合で、日本では、日射量が多く、かつ気温が低い3月から5月に発生しやすい。図4の例は、太陽電池10の容量が4.4kW、方位角が真南、傾斜角が20度、電力変換装置20の容量が3.5kWの太陽光発電システム1において、3月の天気が快晴である一日の発電状況を示している。およそ10時に発電電力が電力変換装置20の容量である3.5kWに達しており、10時以降は3.5kW以上発電することができず、およそ14時まで3.5kWの発電電力に抑制して運転している。詳しくは後述するが、本実施の形態では、発電電力データの近似曲線を用いて、天気が快晴であるか否かを判断する。このため、発電電力が最大値に達している10時から14時までの発電データでは、例えば雲により日射量が変化しても、太陽電池10の発電電力が電力変換装置20の容量以下にならなければ発電電力の変動がないため、天気が快晴であるか否かを正しく判定できない。このため、快晴であるか否かの判定を行う際に、出力抑制されているか否かを示す情報を用いるために、出力抑制判定部42は、出力抑制されているか否かを判定する。
図2の説明に戻る。出力抑制判定部42は、発電データ収集部41から通知を受けると、電力変換装置20が出力する出力抑制情報に基づいて、電力変換装置20が出力抑制中であるか否かを判定する。出力抑制判定部42は、出力抑制情報を監視し、出力抑制中であれば、発電データ収集部41が収集した情報を破棄するか、出力抑制中の時刻では、快晴時刻判定部43が動作しないようにする。出力抑制判定部42は、判定結果を快晴時刻判定部43に出力する。
図5は、図2に示す出力抑制判定部42の動作を説明するためのフローチャートである。出力抑制判定部42は、電力変換装置20から出力抑制情報を取得する(ステップS101)。出力抑制判定部42は、出力抑制情報に基づいて、電力変換装置20の出力上限に起因する出力抑制であるか否かを判断する(ステップS102)。
電力変換装置20の出力上限に起因する出力抑制でない場合(ステップS102:No)、出力抑制判定部42は、出力抑制情報に基づいて、電力系統30の電圧が許容電圧を超えたことに起因する出力抑制であるか否かを判断する(ステップS103)。
電力系統30の電圧が許容電圧を超えたことに起因する出力抑制でない場合(ステップS103:No)、出力抑制判定部42は、電力変換装置20の温度が許容値を超えたことに起因する出力抑制であるか否かを判断する(ステップS104)。
電力変換装置20の温度が許容値を超えたことに起因する出力抑制でない場合(ステップS104:No)、出力抑制判定部42は、外部からの出力抑制指令に起因する出力抑制であるか否かを判断する(ステップS105)。
外部からの出力抑制指令に起因する出力抑制でない場合(ステップS105:No)、出力抑制判定部42は、その他の要因に起因する出力抑制であるか否かを判断する(ステップS106)。その他の要因に起因する出力抑制でない場合(ステップS106:No)、出力抑制判定部42は、処理を終了する。
電力変換装置20の出力上限に起因する出力抑制である場合(ステップS102:Yes)、電力系統30の電圧が許容電圧を超えたことに起因する出力抑制である場合(ステップS103:Yes)、電力変換装置20の温度が許容値を超えたことに起因する出力抑制である場合(ステップS104:Yes)、外部からの出力抑制指令に起因する出力抑制である場合(ステップS105:Yes)、およびその他の要因に起因する出力抑制である場合(ステップS106:Yes)、出力抑制判定部42は、出力抑制中と判断し、記録したデータを破棄する(ステップS107)。ステップS107の処理が終わると、出力抑制判定部42は、処理を終了する。なお、電力変換装置20から出力抑制情報を取得することができない場合、出力抑制判定部42は、図4に示すような発電電力が一定値で抑制されている現象を発電電力データから捉えて、出力抑制中であると判定することもできる。
図2の説明に戻る。快晴時刻判定部43は、出力抑制判定部42から入力される発電電力データに基づいて、取得された発電電力データに対応づけられた各時刻において、太陽電池10が設置された場所の天気が快晴であったか否かを判定する。
図6は、図2に示す快晴時刻判定部43の動作を説明するためのフローチャートである。図6に示す処理は、評価対象のデータの収集が完了した後であれば、いつ実行してもよい。例えば、一日のデータ収集が完了したとき、比較部46が予め定めた間隔で後述する処理を実行するとき、例えば、1か月に一度まとめて実行してもよい。
快晴時刻判定部43は、入力される発電電力データから、所定期間の発電電力データを取得する(ステップS201)。例えば、所定期間は、9時から11時の2時間、10時から12時の2時間、11時から13時の2時間、12時から14時の2時間、13時から15時の2時間のいずれかとすることができる。
快晴時刻判定部43は、取得した発電電力データの近似曲線を算出する(ステップS202)。快晴時刻判定部43は、算出した近似曲線からの偏差の最大値を求める(ステップS203)。図7から図36は、発電電力の時系列データである発電電力データと、発電電力データの近似曲線および近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図7から図36は、太陽電池10の容量4.4kW、傾斜角20度、真南に設置した太陽光発電システム1の発電実績を示している。
図7は、一日中快晴である一日の発電電力データを示す図である。図8から図12は、図7の一部に近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。具体的には、図8は、図7の9時から11時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図9は、図7の10時から12時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図10は、図7の11時から13時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図11は、図7の12時から14時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図12は、図7の13時から15時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。
図8から図12において、実線は発電電力データを示しており、一点鎖線は発電電力データの近似曲線を示しており、破線は近似曲線からの偏差が最大となる曲線を示している。なお、近似曲線は、次数2次の多項式近似または移動平均が好ましい。なお、ここでは予め定めた期間として9時から15時の間で、それぞれ2時間の複数の期間を用いたが、かかる例に限定されない。快晴であるか否かを判定するためには、ある程度の時間が必要であることや、太陽高度が低いときには精度が低くなることから、9時から15時の間において、1時間から2時間程度の間隔で期間を定めることが好ましい。以下、図13から図36においても同様である。
図13は、午前中は快晴である一日の発電電力データを示す図である。図14から図18は、図13の一部に近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。具体的には、図14は、図13の9時から11時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図15は、図13の10時から12時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図16は、図13の11時から13時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図17は、図13の12時から14時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図18は、図13の13時から15時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。
図19は、午後が快晴である一日の発電電力データを示す図である。図20から図24は、図19の一部に近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。具体的には、図20は、図19の9時から11時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図21は、図19の10時から12時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図22は、図19の11時から13時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図23は、図19の12時から14時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図24は、図19の13時から15時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。
図25は、一日中晴れである一日の発電電力データを示す図である。図26から図30は、図25の一部に近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。具体的には、図26は、図25の9時から11時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図27は、図25の10時から12時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図28は、図25の11時から13時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図29は、図25の12時から14時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図30は、図25の13時から15時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。
図31は、一日中曇りである一日の発電電力データを示す図である。図32から図36は、図31の一部に近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。具体的には、図32は、図31の9時から11時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図33は、図31の10時から12時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図34は、図31の11時から13時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図35は、図31の12時から14時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。図36は、図31の13時から15時の発電電力データに近似曲線と近似曲線からの偏差の最大値とを示す図である。
図6の説明に戻る。快晴時刻判定部43は、求めた偏差の最大値が閾値以下であるか否かを判断する(ステップS204)。閾値は、快晴のときと快晴でないとき、例えば晴れ、曇り、雨などの天気のときとを判別することができる値であればよい。なお、発電電力の絶対値が変化しても適切に快晴のときを判別することができるように、偏差の最大値を発電電力により正規化した値を用いることが好ましい。
図37は、図7から図36に示す発電電力データの近似曲線からの偏差の最大値を正規化した値を示す図である。図37の「一日中快晴」は、図7から図12に示す発電電力データに対応しており、「午前のみ快晴」は、図13から図18に示す発電電力データに対応しており、「午後のみ快晴」は、図19から図24に示す発電電力データに対応しており、「一日中晴れ」は、図25から図30に示す発電電力データに対応しており、「一日中曇り」は、図31から図36に示す発電電力データに対応している。また、図37の時刻は、各期間の中心時刻であり、例えば10:00は、9時から11時の期間のデータであることを示している。なお、図37に示す各数値は、発電電力データの近似曲線からの偏差の最大値を、対象期間の中心時刻での近似曲線における発電電力で除した値であり、単位は%である。
図37において各数値に網掛けしている部分は、快晴時の数値を示している。図37の結果から、快晴時と快晴時以外とを比較すると、数値に大きな差があることが分かる。この結果から、快晴時を判定するための閾値は、5%以上20%以下の範囲で設定すればよいことが分かる。また、快晴時以外、特に晴れの場合を確実に除去するためには、閾値を5%以上10%以下の範囲で設定することがより好ましい。なお、ここでは雨天のデータを示していないが、雨天等においては発電電力の変動が生じないこともあるため、発電電力が一定値以下である場合、快晴ではないと判定する例外処理を行うことが好ましい。
図6の説明に戻る。求めた偏差の最大値が閾値以下である場合(ステップS204:Yes)、快晴時刻判定部43は、所定期間の天気は快晴であると判断し、所定期間の中心時刻を快晴時刻として記録する(ステップS205)。求めた偏差の最大値が閾値以下でない場合(ステップS204:No)、快晴時刻判定部43は、所定期間の天気は快晴でないと判断し、快晴時刻の記録をしない(ステップS206)。
図6に示す処理は、繰返し実行され、繰返しの度に、異なる期間の発電電力データが取得される。例えば、「一日中快晴」の9時から11時の発電電力データが取得された場合、偏差の最大値は「1.47」となる。例えば快晴判定のための閾値を5%とすると、9時から11時の偏差の最大値は閾値以下となるため、対象期間の中心時刻である10時が快晴時刻として記録される。また「午後のみ快晴」の10時から12時の発電電力データが取得された場合、偏差の最大値は「52.94」となる。上記と同様に快晴判定のための閾値を5%とすると、10時から12時の偏差の最大値は閾値以上となるため、10時から12時の期間は快晴ではないと判断され、快晴時刻の記録は行われない。
図7から図36のデータを参照すると、快晴時には、発電電力データが滑らかな曲線となり、発電電力の変動が少ないことが分かる。また、快晴以外の天気の期間では、太陽が雲で隠れる時間帯があり、日射量が経時変化するため、発電電力の変動が大きくなる。このため、発電電力の近似曲線からの偏差の最大値を用いることで、対象期間の天気が快晴であるか否かを判定することができる。
図2の説明に戻る。理論日射量算出部44は、快晴時刻判定部43の判定結果と、発電データと、太陽電池10の設置条件を示す設置情報と、大気透過率とに基づいて、太陽電池10の理論日射量を算出する。理論日射量算出部44は、算出した理論日射量を出力性能算出部45に入力する。
図38は、図2に示す理論日射量算出部44の動作を説明するためのフローチャートである。理論日射量算出部44は、太陽電池10の設置条件を示す設置情報を取得する(ステップS301)。具体的には、設置情報は、太陽電池10の設置場所の条件を示す情報、例えば、緯度、経度、海抜、大気透過率と、太陽電池10の設置状態の条件を示す情報、例えば、方位角、傾斜角とのうち少なくとも1つを含むことができる。これらの情報のうち、大気透過率以外は、太陽電池10の設置状況により定まる情報であり、大気透過率は、設置場所、季節および観測年ごとに変化する。したがって、大気透過率は、理論日射量算出部44が処理を実行する度に最新の大気透過率のデータを取得することが好ましい。
観測年による大気透過率の変化は、季節および設置場所による大気透過率の変化よりも小さいことが分かっている。また日本では、国内の地域ごと、各月ごとの快晴時の大気透過率の平均値は、理科年表等に公表されている。このため、理論日射量算出部44は、公表されている大気透過率のデータのうち、太陽電池10の設置場所に最も近い地域の各月ごとの大気透過率の平均値を用いることができる。
理論日射量算出部44は、取得した設置情報に基づいて、快晴時の傾斜面全日射量である理論日射量を算出する(ステップS302)。理論日射量の算出方法は、Bouguer,Berlage,Erbs,Perezモデルによる方法などが提案されている。一例として、理論日射量算出部44は、以下に示す数式(1)〜(3)を用いて、理論日射量を算出することができる。なお、ステップS301において取得する必要のある設置情報は、ステップS302で用いる算出方法によって異なるため、理論日射量算出部44は、算出方法に応じた設置情報を取得すればよい。数式(1)のHは、理論日射量であり、Iは、法線面直達日射量であり、iは、日射入射角である。数式(2)のIoは、大気外日射強度であり、θは、太陽高度であり、Aは、大気透過率である。数式(3)のmは、海抜から求められる大気質量である。
H=Hd+I・sini …(1)
Hd=0.5・Io・sinθ(1−Acosecθ)/(1−1.4・logeA)…(2)
I=Io・A …(3)
理論日射量算出部44は、算出した理論日射量を記録する(ステップS303)。また、理論日射量算出部44は、算出した理論日射量を、出力性能算出部45に入力する。
図2の説明に戻る。出力性能算出部45は、快晴時刻判定部43の判定結果と、発電データと、理論日射量とに基づいて、太陽電池10の出力性能を算出する。出力性能算出部45は、算出した出力性能を比較部46に入力する。
図39は、図2に示す出力性能算出部45の動作を説明するためのフローチャートである。出力性能算出部45は、快晴時刻判定部43の判定結果に基づいて、記録された快晴時刻と近似曲線の交点から、発電電力を求める(ステップS401)。発電電力は経時的に変動しているため、快晴時刻の計測値を用いると変動による誤差が含まれてしまう可能性が高い。このため、近似曲線との交点から発電電力を求めることで、経時変動による誤差を低減することができる。
続いて出力性能算出部45は、太陽光発電システム1を運転する際に発生する損失を取得する(ステップS402)。後述する比較部46では、太陽電池10の基準性能などと現在の出力性能とを比較することにより太陽電池10の診断を行う。また、太陽光発電システム1では、電力変換装置20の出力する交流電力を発電電力として計測している。このため、太陽電池10が発電した直流電力から、直流電路、接続箱、電力変換装置20などにおいて発生する損失の影響を考慮する必要がある。このため、出力性能算出部45は、太陽光発電システム1の特性から予め定まる電力変換装置20の変換効率、太陽電池10に含まれる複数の太陽電池モジュール11毎の特性が異なることに起因する太陽電池アレイ整合損失、接続箱による損失、直流配線の損失などの損失を示す情報を取得する。なお、これらの損失は、太陽光発電システム1の発電電力によって変化するため、予め太陽光発電システム1の発電電力に対応する損失を示す情報を取得しておき、ステップS401で求めた発電電力に対応する損失を取得してもよい。なお、発電電力による損失の変化が無視できる程度に小さい場合、出力性能算出部45は、損失を、太陽光発電システム1ごとに決定される固定値としてもよい。
出力性能算出部45は、発電データ収集部41が収集した開放電圧のうち快晴時刻のデータと、太陽電池ストリング12の固有の値である基準状態での開放電圧である公称開放電圧Vocと、開放電圧の温度特性βとに基づいて、太陽電池10の等価セル温度である太陽電池温度を算出する(ステップS403)。出力性能算出部45は、例えば、JIS C8920「開放電圧による結晶系太陽電池の等価セル温度測定方法」に示される方法を用いて、太陽電池温度を求めることができる。なお、公称開放電圧は、太陽電池ストリング12に含まれる複数の太陽電池モジュール11の公称開放電圧の合計Vocを用いることができる。なお、快晴時刻の開放電圧、公称開放電圧Voc、開放電圧の温度特性βに代えて、太陽電池10の運転時の出力電力と基準状態での最大発電電力と太陽電池10の最大発電電力の温度係数αPmaxに基づいて、太陽電池10の太陽電池温度を求めることもできる。
出力性能算出部45は、ステップS401で求めた発電電力PACと、ステップS402で取得した損失と、ステップS403で求めた太陽電池温度T、温度係数αPmaxと、理論日射量算出部44で求めた理論日射量Hとに基づいて、基準状態での太陽電池10の発電電力Psを求める(ステップS404)。なお、基準状態は、例えばJIS C8918で定義され、太陽電池モジュール11の温度が25℃、JIS C8904−3に規定した基準太陽光の分光放射照度分布、放射照度1000W/mの状態である。
具体的には、まず、以下に示す数式(4)を用いて、発電電力PACおよび損失から太陽電池10の等価セル温度の状態での発電電力PDCを求めて、その後、以下に示す数式(6)を用いて、発電電力PDCを基準状態での太陽電池10の発電電力Psに変換する。
DC=PAC/η …(4)
数式(4)において、ηはシステム総合効率であって、以下に示す数式(5)で求めることができる。数式(5)において、ηPCSは、電力変換装置20の変換効率であり、Kpmは、太陽電池10の整合損失係数であり、Kjboxは、接続箱の損失係数であり、Kpaは、直流配線の損失係数である。
η=ηPCS×Kpm×Kjbox×Kpa …(5)
s=PDC×1000/H×(1+αPmax×(T−25)/100)…(6)
なお、数式(6)において、αPmaxは、太陽電池モジュール11の最大発電電力の温度係数(%/℃)である。出力性能算出部45は、上述の方法により、太陽電池10の発電電力Psを所定期間、例えば1か月の間、快晴時刻判定部43において快晴と判定された時刻について求め、その間の平均発電電力PSavrを求める。出力性能算出部45は、求めた平均発電電力PSavrを比較部46に出力する。
図2の説明に戻る。比較部46は、平均発電電力PSavrに基づいて、稼働中の太陽光発電システム1が規定の性能を満たしているか否かを判定する。具体的には、比較部46は、基準状態での発電電力の平均値である平均発電電力PSavrと、太陽電池10の基準性能とを比較する。太陽電池10の基準性能とは、太陽電池10の性能を評価するための基準となる出力性能であり、例えば、太陽光発電システム1が実用に耐えうる出力を維持することが可能であるか否かを判断するための出力電力の値である。具体的には、基準性能は、太陽電池10の保証基準により保証されている太陽電池10の出力性能とすることができる。太陽電池10の保証基準は、稼働期間により異なる基準が適用される場合がある。具体的には、稼働期間が10年以下の場合には公称最大出力の80%以上、稼働期間が20年以下の場合には公称最大出力の72%以上といった保証基準が定められる。本実施の形態では、出力性能算出部45によって求められた平均発電電力PSavrと、太陽電池10の設備容量である公称最大出力Pmax、つまり太陽電池モジュール11の公称最大出力の合計と、稼働期間とに基づいて、以下に示す数式(7)の関係がなりたつ場合に、太陽光発電システム1の太陽電池10が規定の性能を満たしていないと判断する。
Savr<Pmax×稼働期間による保証基準 …(7)
比較部46は、太陽電池10が規定の性能を満たしているか否かを示す比較結果を報知部47に出力する。報知部47は、太陽電池10が規定の性能を満たしているか否かの比較結果を報知する。報知部47は、比較結果を太陽光発電システム1の設置者、または、サービスを行う事業者などに知らせる。設置者に知らせる場合、報知部47は、計測装置40に備わる表示装置およびスピーカの少なくとも1つを用いて、表示画面および音声の少なくとも1つを出力することができる。事業者に知らせる場合、報知部47は、インターネット網50を介してメールを事業者に送信してもよい。或いは、報知部47は、インターネット網50を介して設置者にメールを送信することもできる。
なお、上記では太陽電池10は、太陽電池モジュール11を直列に接続した太陽電池ストリング12を複数含む太陽電池アレイであり、太陽電池アレイ単位で規定の性能を満たしているか否かが判定される。しかしながら、上記の処理は、太陽電池モジュール11単位で実行されてもよいし、太陽電池ストリング12単位で実行されてもよい。
図40は、図2に示す理論日射量算出部44が使用する大気透過率データの一例を示す図である。図40の「公表地域」は、公表されている各月ごとの快晴時の大気透過率の平均値を示している。また、図40の「2016」「2017」「2018」は、「公表地域」が示すデータの地域の近隣地の快晴時の大気透過率の各月の変動を2016年、2017年、2018年のそれぞれについて示している。図40の縦軸は大気透過率であり、横軸は月を示す。図40を参照すると、大気透過率が0.68以上のときには、公表されている快晴時の大気透過率との差が3%以内であることが分かる。この場合、公表された大気透過率を使用して高い精度で出力性能を推定することが可能である。これにより、基準状態での発電電力と、太陽電池10の基準性能とを比較することにより太陽光発電システム1が規定の性能を満たしているか否かをより精度よく判定できる。また、9月から翌年の3月までは、公表されている快晴時の大気透過率との差が3%以内であり、同様に高い精度で出力性能を推定することが可能である。これにより、基準状態での発電電力と、太陽電池10の基準性能とを比較することにより、太陽光発電システム1が規定の性能を満たしているか否かをより精度よく判定できる。
なお、上記の説明中において、快晴時刻判定部43、理論日射量算出部44、出力性能算出部45のそれぞれの判定方法および算出方法、太陽電池10の温度を算出する方法、基準状態での太陽電池10の発電電力の算出方法、計算式などは、一例を示したものであって、本実施の形態はかかる例に限定されない。上記以外の算出方法、計算式などを用いてもよい。
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかる太陽光発電システム1は、太陽電池診断装置70において、複数の日に渡る発電データから抽出された快晴時の発電データおよび理論日射量に基づいて、予め定められた条件を満たす状態である基準状態における発電電力を求めることができる。このため、例えば、出力性能保証が予め定められた期間が経過後の出力性能が公称最大出力に対する割合で定められている場合であっても、太陽電池を設置したままで、取り外すことなく、基準状態における発電電力を求めることができる。したがって、太陽電池を設置したままで、太陽電池が、保証されている出力性能を満たしているか否かを判断することが可能になる。
実施の形態2.
上記の実施の形態1では、大気透過率は、公表された大気透過率のデータのうち、太陽電池10の設置場所に最も近い地域の大気透過率のデータが用いられている。しかしながら、日本において、公表されている大気透過率のデータは、現時点で全国14地点であり、太陽電池10の設置場所が公表されている地点と遠い場合もある。このため、実施の形態2では、大気透過率が公表されていない地域であっても、太陽電池10が規定の性能を満たしているか否かを判定することが可能な太陽電池診断装置71について説明する。なお、大気透過率が公表されている地点と太陽電池10の設置場所が近い場合であっても、実施の形態2に示す方法を適用することにより、太陽電池10が規定の性能を満たしているか否かを判定する精度を高めることができる。
図41は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池診断装置71の機能構成を示す図である。太陽電池診断装置71は、発電データ収集部41と、出力抑制判定部42と、快晴時刻判定部43と、理論日射量算出部44と、出力性能算出部45と、比較部46と、報知部47と、大気透過率算出部48と、大気透過率記録部49とを有する。
太陽電池診断装置71は、実施の形態1にかかる太陽電池診断装置70の機能構成に加えて、大気透過率算出部48と、大気透過率記録部49とを有する。以下、実施の形態1と同様の部分については説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について主に説明する。
快晴時刻判定部43は、快晴時刻判定部43の判定結果と、発電データとを、理論日射量算出部44および大気透過率算出部48に出力する。大気透過率算出部48は、快晴時刻判定部43が記録した快晴時刻に対応する太陽電池10の発電電力に基づいて、傾斜面全日射量を算出する。大気透過率算出部48は、算出した傾斜面全日射量と、太陽電池10の設置条件を示す設置情報とに基づいて、快晴時刻の大気透過率を算出する。大気透過率算出部48は、算出した大気透過率を大気透過率記録部49に出力する。大気透過率記録部49は、大気透過率算出部48が算出する大気透過率を記録する。
大気透過率記録部49に記録された大気透過率は、理論日射量算出部44から読み出すことができる。理論日射量算出部44は、大気透過率記録部49に記録された大気透過率を用いて、理論日射量を算出してもよい。
なお、太陽電池10は、設置した時点から数年間は劣化が少ないため、大気透過率算出部48は、設置した時点から予め定められた期間に取得する発電電力に基づいて、大気透過率を算出し、設置した時点から予め定められた期間が経過後は、大気透過率の算出を行わないことが望ましい。
図42は、図41に示す大気透過率算出部48の動作を説明するためのフローチャートである。大気透過率算出部48は、快晴時刻と、快晴時刻判定部43が求めた近似曲線との交点から、快晴時刻における発電電力を求める(ステップS501)。
大気透過率算出部48は、太陽光発電システム1を運転するときに発生する損失を取得する(ステップS502)。大気透過率算出部48は、発電データ収集部41が収集した快晴時刻の開放電圧と、太陽電池10の基準状態での開放電圧である公称開放電圧と、開放電圧の温度特性βとに基づいて、JIS C8920「開放電圧による結晶系太陽電池の等価セル温度測定方法」に示す方法を用いて、太陽電池10の等価セル温度である太陽電池温度を求める(ステップS503)。なお、公称開放電圧は、太陽電池ストリング12に含まれる複数の太陽電池モジュール11の公称開放電圧の合計Vocを用いることができる。
大気透過率算出部48は、太陽光発電システム1の設置条件を示す情報である設置情報と、太陽電池10の設備容量である公称最大出力Pmax、つまり太陽電池モジュール11の公称最大出力の合計を取得する(ステップS504)。なお、ステップS501,S502,S503の処理は、図39のステップS401,S402,S403と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
大気透過率算出部48は、傾斜面全日射量を算出する(ステップS505)。具体的には、大気透過率算出部48は、上記の数式(4)を用いて、太陽電池10の等価セル温度の状態での発電電力PDCを求める。その後、大気透過率算出部48は、上記の数式(6)を用いて、太陽電池10の発電電力Psを、太陽電池10の容量である公称最大出力Pmaxとして、傾斜面全日射量である理論日射量Hを求める。なお、太陽電池10の発電電力Psを、太陽電池10を構成する太陽電池モジュール11の工場出荷検査出力値、例えば太陽電池10の成績書などに記載されている最大出力の実力値の合計とすると、算出精度を向上することができる。
大気透過率算出部48は、太陽光発電システム1の設置場所の緯度、経度、海抜および太陽電池10の方位角、傾斜角を用いて、上記の数式(1)〜(3)から大気透過率Aを算出する(ステップS506)。
大気透過率記録部49は、算出した大気透過率Aの値を、予め定めた期間で平均値を算出し、記録する。上記の処理を1年以上繰返し、各月毎の大気透過率を求めて記録する。大気透過率を算出する期間は、短いと天候の変動の影響を受けやすくなり、長いと太陽電池10の劣化の影響を受けるため、2年以上5年以下が好ましい。
以上説明したように、本発明の実施の形態2によれば、実際に取得する発電電力に基づいて、大気透過率を算出することができる。また、算出した大気透過率を用いて、実施の形態1と同様の方法により、太陽電池10が規定の出力性能を満たしているか否かを判定することができる。
なお、上記では、1か月単位で大気透過率の平均値を計算して記録することとしたが、本実施の形態はかかる例に限定されない。例えば、大気透過率算出部48は、大気透過率の平均値に代えて、最大値を記録してもよい。この場合、出力性能算出部45が求める基準状態での太陽電池10の発電電力の平均発電電力PSavrは、1か月間の最大値となる。最大値を用いることで、例えば薄曇りなどで日射が安定している状態の気象条件が発生した場合にも正しく判定することができるという効果がある。また、例えば、設置後1年未満であって、大気透過率の値が算出できない期間は、太陽電池診断装置71は、実施の形態1と同様に、公表されている大気透過率の値を用いて診断処理を行ってもよい。大気透過率算出部48が大気透過率を算出する期間が2年以上の場合、1年経過後かつ算出期間が経過するまでの間は、公表されている大気透過率の値と、大気透過率算出部48が算出した大気透過率の値とを併用して太陽電池10の診断を行ってもよい。
実施の形態3.
図43は、本発明の実施の形態3にかかる太陽光発電システム2の構成を示す図である。太陽光発電システム2は、太陽電池10と、電力変換装置20と、電力系統30と、計測装置40と、インターネット網50と、制御装置60と、電圧センサ81と、電流センサ82とを有する。太陽光発電システム2は、太陽光発電システム1の構成に加えて、電圧センサ81および電流センサ82を有する。
電圧センサ81および電流センサ82は、太陽電池ストリング12の出力毎に設けられている。電圧センサ81は、太陽電池ストリング12毎の直流電圧を直接測定することができる。電流センサ82は、太陽電池ストリング12毎の直流電流を直接測定することができる。これにより、発電電力は、測定した直流電圧と直流電力により算出することができる。このため、太陽電池診断装置70の診断は、太陽電池ストリング12毎に実行することができる。この場合、発電データには、電力変換装置20の変換効率は影響しないため、出力性能算出部45が使用するデータから変換効率を除外することができる。
以上説明したように本発明の実施の形態3では、太陽電池10に含まれる複数の太陽電池ストリング12のそれぞれの出力に電圧センサ81および電流センサ82が設けられている。このような構成をとることで、太陽電池ストリング12ごとに発電電力データを収集することが可能になる。したがって、太陽電池ストリング12ごとに出力性能の診断を行うことが可能になる。また、太陽電池ストリング12ごとの直流出力を直接測定することができるため、電力変換装置20の変換効率の影響を受けなくなり、診断精度を向上させることが可能である。
また、上記では、太陽電池ストリング12の出力毎に電圧センサ81および電流センサ82を設けたが、太陽電池10の出力に電圧センサ81および電流センサ82を1つずつ設けてもよい。この場合、太陽電池ストリング12毎に診断を行うことはできないが、上記と同様に、電力変換装置20の変換効率の影響を受けなくなるため、診断精度を向上させることが可能になる。
実施の形態4.
図44は、本発明の実施の形態4にかかる太陽光発電システム3の構成を示す図である。第2の太陽光発電システム3−1は、太陽光発電システム3と異なるシステムであり、太陽光発電システム3の太陽電池10の設置場所と近い場所に設置された太陽電池10−1を有する。第2の太陽光発電システム3−1は、太陽光発電システム3と同様の構成をしている。太陽光発電システム3は、太陽電池10と、電力変換装置20と、電力系統30と、計測装置40と、インターネット網50と、制御装置60とを有する。第2の太陽光発電システム3−1は、太陽電池10−1と、電力変換装置20−1と、電力系統30−1と、計測装置40−1とを有する。
計測装置40−1は、インターネット網50に接続されている。第2の太陽光発電システム3−1の計測装置40−1と、制御装置60とは、図2に示す太陽電池診断装置70または図41に示す太陽電池診断装置71の機能を実装することができる。太陽電池診断装置71の機能が実装される場合、第2の太陽光発電システム3−1において求めた大気透過率の値を、太陽光発電システム3において用いることができる。第2の太陽光発電システム3−1は、太陽光発電システム3よりも新しく設置された正常に稼働中のシステムであることが好ましい。
以上説明したように、本発明の実施の形態4によれば、第2の太陽光発電システム3−1において算出した大気透過率を使用して、太陽光発電システム3の太陽電池10の出力性能を診断することが可能になる。このため、太陽光発電システム3自体が大気透過率を算出する機能を有していない場合や、太陽光発電システム3を設置してからの経過時間が長く、太陽電池10の劣化が生じている場合であっても、正確な大気透過率を使用することができる。したがって、太陽電池10の出力性能の診断精度を向上させることが可能になる。
なお、図44では1つのシステムから求めた大気透過率を用いたが、複数のシステムにおいて求められた大気透過率の平均値を用いると、出力性能の診断精度をさらに向上させることが可能になる。
続いて、本発明の実施の形態1〜4にかかる太陽電池診断装置70,71のハードウェア構成について説明する。太陽電池診断装置70,71の各部の機能は、処理回路により実現される。これらの処理回路は、専用のハードウェアにより実現されてもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いた制御回路であってもよい。
上記の処理回路が、専用のハードウェアにより実現される場合、これらは、図45に示す処理回路90により実現される。図45は、本発明の実施の形態1〜4にかかる太陽電池診断装置70,71の機能を実現するための専用のハードウェアを示す図である。処理回路90は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものである。
上記の処理回路が、CPUを用いた制御回路で実現される場合、この制御回路は例えば図46に示す構成の制御回路91である。図46は、本発明の実施の形態1〜4にかかる太陽電池診断装置70,71の機能を実現するための制御回路91の構成を示す図である。図46に示すように、制御回路91は、プロセッサ92と、メモリ93とを備える。プロセッサ92は、CPUであり、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などとも呼ばれる。メモリ93は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)などである。
上記の処理回路が制御回路91により実現される場合、プロセッサ92がメモリ93に記憶された、各構成要素の処理に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリ93は、プロセッサ92が実行する各処理における一時メモリとしても使用される。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
例えば、上記では太陽電池診断装置70,71の構成および動作について説明したが、太陽電池診断装置70,71の機能を実現するためのコンピュータプログラムを提供することもできる。また、上記のコンピュータプログラムは、通信路を介して提供されてもよいし、記録媒体に記録されて提供されてもよい。
1,2,3 太陽光発電システム、3−1 第2の太陽光発電システム、10 太陽電池、11 太陽電池モジュール、12 太陽電池ストリング、20 電力変換装置、30 電力系統、40 計測装置、41 発電データ収集部、42 出力抑制判定部、43 快晴時刻判定部、44 理論日射量算出部、45 出力性能算出部、46 比較部、47 報知部、48 大気透過率算出部、49 大気透過率記録部、50 インターネット網、60 制御装置、70,71 太陽電池診断装置、81 電圧センサ、82 電流センサ、90 処理回路、91 制御回路、92 プロセッサ、93 メモリ。

Claims (21)

  1. 太陽電池の出力電圧および発電電力を示す発電データを収集する発電データ収集部と、
    複数の日に渡る前記発電データから抽出された快晴時の前記発電データおよび理論日射量に基づいて、予め定められた条件を満たす基準状態での前記太陽電池の発電電力を求める出力性能算出部と、
    を備えることを特徴とする太陽電池診断装置。
  2. 前記基準状態での前記発電電力と、前記太陽電池の基準性能とを比較する比較部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池診断装置。
  3. 前記基準性能は、前記太陽電池について保証されている出力性能であることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池診断装置。
  4. 前記比較部の比較結果を報知する報知部をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載の太陽電池診断装置。
  5. 対象期間の前記発電電力の近似曲線からの偏差に基づいて、前記対象期間の天気が快晴であるか否かを判断する快晴時刻判断部をさらに備え、
    前記出力性能算出部は、前記快晴時刻判断部が快晴であると判断した前記対象期間の前記発電データに基づいて、前記基準状態での発電電力を求めることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池診断装置。
  6. 前記快晴時刻判断部は、前記偏差の最大値が予め定められた閾値以下である場合、前記対象期間の天気が快晴であると判断することを特徴とする請求項5に記載の太陽電池診断装置。
  7. 前記閾値は、前記近似曲線からの偏差の最大値を前記発電電力により正規化した値に基づいて定められることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池診断装置。
  8. 前記閾値は、5%以上20%以下の範囲で定められることを特徴とする請求項7に記載の太陽電池診断装置。
  9. 前記太陽電池の出力が抑制されていると判定した場合、前記発電データ収集部が収集した前記発電データを破棄する出力抑制判定部をさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の太陽電池診断装置。
  10. 公表されている大気透過率の平均値のうち、前記太陽電池が設置されている地域に最も近い地域の大気透過率のデータを用いて前記理論日射量を算出する理論日射量算出部をさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の太陽電池診断装置。
  11. 1年以上の期間に渡って取得された前記快晴時の出力電圧、前記発電電力、および大気透過率を用いて、前記理論日射量を算出する理論日射量算出部をさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の太陽電池診断装置。
  12. 前記発電電力および前記太陽電池の設置条件を示す設置情報に基づいて、前記大気透過率を算出する大気透過率算出部をさらに備えることを特徴とする請求項10または11に記載の太陽電池診断装置。
  13. 前記理論日射量は、前記太陽電池が設置されている場所に近い第2の太陽電池の快晴時の発電データ、前記第2の太陽電池の設備容量および前記第2の太陽電池の設置条件を示す設置情報に基づいて求めた大気透過率を用いて算出されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の太陽電池診断装置。
  14. 前記比較部は、大気透過率が0.68以上のときに前記基準状態での前記発電電力と、前記太陽電池の基準性能とを比較することを特徴とする請求項2に記載の太陽電池診断装置。
  15. 前記比較部は、9月から翌年の3月までの期間の前記発電データを用いて、前記基準状態での前記発電電力と、前記太陽電池の基準性能とを比較することを特徴とする請求項2に記載の太陽電池診断装置。
  16. 前記出力電圧は、前記太陽電池が出力する直流の出力電圧を計測する電圧センサの検出値であり、
    前記発電電力は、前記太陽電池が出力する直流電流を計測する電流センサの検出値と、前記電圧センサの検出値とに基づいて算出されることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の太陽電池診断装置。
  17. 太陽電池と、
    前記太陽電池の発電する直流電力を交流電力に変換する電力変換装置と、
    前記太陽電池の出力電圧および発電電力を示す発電データを収集し、複数の日に渡る前記発電データから抽出される快晴時の前記発電データおよび理論日射量に基づいて、予め定められた条件を満たす基準状態での前記太陽電池の発電電力を求める太陽電池診断装置と、
    を備えることを特徴とする太陽光発電システム。
  18. 前記太陽電池が出力する直流電圧を計測する電圧センサと、
    前記太陽電池が出力する直流電流を計測する電流センサと、
    をさらに備え、
    前記発電データに含まれる前記出力電圧は、前記電圧センサの検出値であり、
    前記発電データに含まれる前記発電電力は、前記電圧センサの検出値および前記電流センサの検出値に基づいて算出されることを特徴とする請求項17に記載の太陽光発電システム。
  19. 前記太陽電池は、複数の太陽電池モジュールを直列に接続した複数の太陽電池ストリングを含み、
    前記電圧センサは、前記複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対応して設けられ、
    前記電流センサは、前記複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対応して設けられ、
    前記太陽電池診断装置は、前記太陽電池ストリングごとに基準状態での発電電力を求めることを特徴とする請求項18に記載の太陽光発電システム。
  20. 太陽電池の出力性能を診断する太陽電池診断装置が、
    前記太陽電池の出力電圧および発電電力を示す発電データを収集するステップと、
    複数の日に渡る前記発電データから抽出される快晴時の前記発電データおよび理論日射量に基づいて、予め定められた条件を満たす基準状態での前記太陽電池の発電電力を求めるステップと、
    を含むことを特徴とする太陽電池診断方法。
  21. 前記基準状態での前記発電電力と、前記太陽電池の基準性能とを比較するステップをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の太陽電池診断方法。
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