JP2020166202A - アダプタ装置、制御方法、処理装置、プログラム - Google Patents

アダプタ装置、制御方法、処理装置、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 レンズ装置の光学情報に基づいた動作をカメラ本体に行わせることが可能なアダプタ装置を提供することである。【解決手段】 撮像装置200とレンズ装置100の間に取り外し可能に装着されるアダプタ装置300は、装着されたレンズ装置100を識別する機能と、レンズ装置100の識別結果に基づいてレンズ装置100に対応する光学情報の有無を判定する機能を有するアダプタマイコン301、および、光学情報の有無の判定結果を記憶する記憶部303を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、レンズ装置と撮像装置の間に装着されるアダプタ装置に関する。
レンズ交換型カメラシステムでは、使用するレンズ装置(交換レンズ)の光学情報に基づいた種々の処理(例えば画像処理)が撮像装置(カメラ本体)で行われる。通常、カメラ本体は、レンズ装置との通信によってレンズ装置の光学情報を取得する。
特許文献1には、交換レンズとカメラ本体の間に装着され、あるレンズ交換型カメラシステムにおける交換レンズと他のレンズ交換型カメラシステムのカメラ本体の間で通信を適切に成立させるようなアダプタ装置が記載されている。このアダプタ装置は、直接接続されることが想定されていない交換レンズとカメラ本体の組み合わせにおいて、適切に通信を成立させようとするものである。
特開2017−151169号公報
直接接続されることが想定されていない交換レンズとカメラ本体が、特許文献1に記載されたようなアダプタ装置を介して用いられる場合を考える。
このとき、交換レンズの光学情報に基づいた動作をカメラ本体が適切に行うためには、カメラ本体は交換レンズの光学情報を適切に取得する必要がある。そのため、特許文献1では、交換レンズの光学データを予めアダプタ装置に記憶させておく形態をとっている。
しかしながら、アダプタ装置にあらゆる光学情報を記憶させることは困難である。また、アダプタ装置により多くの交換レンズの光学情報を記憶させようとしても、装着され得る全ての交換レンズの種別をアダプタ装置が適切に識別できない場合にはカメラ本体に適切な光学情報を送信できなくなってしまう。すなわち、特許文献1に記載された方法では、交換レンズの光学情報に基づいた動作をカメラ本体に行わせることが困難である場合が考えられる。
そこで本発明は、レンズ装置の光学情報に基づいた動作をカメラ本体に行わせることが可能なアダプタ装置を提供することを目的とする。
本発明のアダプタ装置は、撮像装置とレンズ装置の間に取り外し可能に装着され、前記撮像装置および前記レンズ装置と通信可能なアダプタ装置であって、装着されたレンズ装置を識別する識別部と、前記識別部の識別結果に基づいて前記レンズ装置に対応する光学情報の有無を判定する判定部と、前記判定部による判定結果を記憶する判定結果記憶部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の他のアダプタ装置は、撮像装置とレンズ装置の間に取り外し可能に装着され、前記撮像装置および前記装置と通信可能なアダプタ装置であって、装着されたレンズ装置の種別を識別する識別部と、前記識別部の識別結果に基づいて前記レンズ装置に対応する光学情報の有無を判定する判定部と、を有し、前記識別部は、装着されたレンズ装置に対して、レンズ装置の種別に関する情報を送信させる第1の識別処理を行い、前記第1の識別処理の後、装着されたレンズ装置に対して、第1の識別処理とは異なる処理であってレンズ装置の種別に関する情報を送信させる第2の識別処理を行い、前記判定部は、前記第1の識別処理に対して応答があった場合には前記第1の識別処理の結果に基づいて前記光学情報の有無を判定し、前記第1の識別処理に対して応答がなかった場合には第2の識別処理に対する応答に基づいて前記光学情報の有無を判定することを特徴とする。
本発明によれば、レンズ装置の光学情報に基づいた動作をカメラ本体に行わせることが可能なアダプタ装置を実現できる。
実施例1のカメラシステムのブロック図である。 アダプタ装置とレンズ装置の間の通信回路を示す概略図である。 クロック同期シリアル通信方式で通信を行う際の通信波形を示す概略図である。 調歩同期式シリアル通信方式で通信を行う際の通信波形を示す概略図である。 アダプタ装置とレンズ装置の間で行われる通信の通信方式を決定する際のフローを説明するフローチャートである。 通信方式を切り替える際の通信波形を示す概略図である。 実施例1の光学補正対応可否を判別するフローチャートである。 実施例1の光学補正データ取得方法を示すフローチャートである。 実施例2の光学補正データ取得方法を示すフローチャートである。 実施例3のレンズ認証方法を示すフローチャートである。 実施例3の光学補正対応可否を判別するフローチャートである。
以下、本発明の実施例について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
各実施例のカメラシステムは、レンズ装置としての交換レンズと、撮像装置としてのカメラ本体と、交換レンズとカメラ本体の間に装着されるアダプタ装置と、から成る。また、交換レンズ、カメラ本体、アダプタ装置は、それぞれ通信部を有しており、通信部を介して制御命令や内部情報の伝送を行うことができる。
ただし、各実施例のカメラシステムにおける交換レンズとカメラ本体は、本来直接接続されることが想定されていないものであり、交換レンズにおける通信プロトコルとカメラ本体における通信プロトコルは異なっている。通信プロトコルとは、データのやり取りの手順を取り決めたものである。
すなわち、本実施例のカメラシステムにおけるアダプタ装置は、交換レンズおよびカメラ本体と通信が可能であり、交換レンズとカメラ本体との間での信号のやりとりを適切に成立させる機能を有する。ゆえに、本実施例のアダプタ装置の通信部は、カメラ本体とのカメラ本体側の通信プロトコル(以下、カメラ側プロトコルと呼ぶ)での通信と、交換レンズとの交換レンズ側の通信プロトコル(以下、レンズ側プロトコルと呼ぶ)での通信が可能である。
なお、カメラ側プロトコルによる通信は、本来、本実施例のカメラ本体と、それに接続されることが想定された、本実施例の交換レンズとは異なる交換レンズ(以下、正交換レンズと呼ぶ)との間で行われる通信である。また、レンズ側プロトコルによる通信は、本来、本実施例の交換レンズと、それに接続されることが想定された、本実施例のカメラ本体とは異なるカメラ本体(以下、正カメラ本体と呼ぶ)との間で行われる通信のプロトコルである。
以上のようなカメラシステムでは、カメラ本体は交換レンズの光学情報を保持していない場合があり得る。光学情報とは、交換レンズの内部に設けられた光学系の光学特性に関する情報である。例えば、光学情報には、光学系のフォーカシングやズーミングに関する情報、光学特性を用いた画像処理(例えば歪曲補正、倍率色収差補正、周辺光量補正など)に用いられるデータが含まれる。
それゆえ、交換レンズの光学情報に基づく動作をカメラ本体に適切に行わせようとする場合、アダプタ装置は交換レンズの光学情報をカメラ側プロトコルでカメラ本体に送信する必要がある。その際、アダプタ装置内に複数種の交換レンズの光学情報を、カメラ本体が識別可能なデータフォーマットで予め記憶させておくことが考えられる。この場合、アダプタ装置は、装着された交換レンズの種別(機種)を識別して装着された交換レンズに対応する光学情報をカメラ本体に送信する。
しかしながら、アダプタ装置に装着され得る交換レンズ全ての光学情報を記憶させようとすると、膨大な記憶容量が必要となってしまう。また、アダプタ装置が製造された後に製造された交換レンズに対する光学情報をアダプタ装置に記憶させておくことは難しい。このため、アダプタ装置に装着されるあらゆる交換レンズに対して、該交換レンズの正カメラ本体の機能と同等の機能を、各実施例のカメラシステムで実現させることは困難であることが考えられる。
また、アダプタ装置が装着された交換レンズの種別を適切に判別することができなければ、予め記憶させた光学情報をカメラ本体に送信することができない。その結果、カメラ本体に交換レンズの光学情報を送信できず、カメラ本体に適切な動作を行わせることが困難となることが考えられる。
以下の各実施例では、これらの課題の少なくとも一つを解決するものであり、これを以てレンズ装置の光学情報に基づいた動作をカメラ本体に行わせるように構成されている。
[実施例1]
まず、本実施例のカメラシステムの構成について述べる。図1に本実施例のカメラシステム1本体の構成を示す。図1は、交換レンズ100がカメラ本体200にアダプタ装置としてのアダプタ300を介して取り外し可能に装着された状態を示している。
カメラ本体200とアダプタ300、および交換レンズ100とアダプタ300はそれぞれ結合機構であるマウント部400およびマウント部500を介して機械的および電気的に接続されている。カメラ本体200は、マウント部400およびマウント部500に設けられた不図示の電源端子部を介してアダプタ300および交換レンズ100に電源を供給する。また、交換レンズ100とアダプタ300、およびカメラ本体200とアダプタ300はそれぞれマウント部400およびマウント部500に設けられた不図示の通信端子部を介して相互に通信を行う。
交換レンズ100は、撮像光学系を有する。撮像光学系は、被写体OBJ側から順に、フィールドレンズ101と、変倍を行うズームレンズ(変倍レンズ)102と、光量を調節する絞りユニット114と、像振れ補正レンズ103と、焦点調節を行うフォーカスレンズ104とを含む。
ズームレンズ102とフォーカスレンズ104はそれぞれ、レンズ保持枠105、106により保持されている。レンズ保持枠105、106は、不図示のガイド軸により光軸方向(図中に破線で示す)に移動可能にガイドされており、それぞれステッピングモータ107、108によって光軸方向に駆動される。ステッピングモータ107、108はそれぞれ、駆動パルスに同期してズームレンズ102およびフォーカスレンズ104を移動させる。
像振れ補正レンズ103は、撮像光学系の光軸に直交する方向に移動することで、手振れ等に起因する像振れを低減する。
交換レンズ100に設けられたマイクロコンピュータ(以下、レンズマイコンという)111は、交換レンズ100内の各部の動作を制御する制御部127、通信部112、通信部112によって行われる通信の設定を行う設定部128を有する。レンズマイコン111は、通信インタフェース(I/F)回路112a(図2に示す)を介してデータを送受信するレンズデータ送受信部112bを備えるレンズ通信部112を有する。レンズマイコン111は、アダプタ300から受信した制御コマンドに対応するレンズ制御を行ったり、アダプタ300からのデータ送信要求に対応するデータをアダプタ300に送信したりする。交換レンズ100から送信されるデータは、交換レンズ100が対応している機能を示す情報や交換レンズ100の種別(機種)を示す情報(後に述べる識別情報の一部。レンズIDともいう)を含む。すなわち、レンズマイコン111は、コンピュータプログラムとしての通信制御プログラムに従ってアダプタ300(後述するアダプタマイクロコンピュータ301)との通信に関する動作を行う機能を有する。
また、レンズマイコン111は、制御コマンドのうち変倍やフォーカシングに関するコマンドに応答してズーム駆動回路119およびフォーカス駆動回路120に駆動信号を出力させ、ステッピングモータ107、108を駆動させる。これにより、ズームレンズ102による変倍動作を制御するズーム処理やフォーカスレンズ104による焦点調節動作を制御するAF(オートフォーカス)処理が行われる。
交換レンズ100は、ユーザにより回転操作可能なマニュアルフォーカスリング130と、該マニュアルフォーカスリング130の回転操作量を検出するフォーカスエンコーダ131とを有する。レンズマイコン111は、フォーカスエンコーダ131により検出されたマニュアルフォーカスリング130の回転操作量に応じてフォーカス駆動回路120にステッピングモータ108を駆動させてフォーカスレンズ104を移動させる。これにより、MF(マニュアルフォーカス)が行われる。
絞りユニット114は、絞り羽根114a、114bを備えて構成される。絞り羽根114a、114bの状態は、ホール素子115により検出され、増幅回路122およびA/D変換回路123を介してレンズマイコン111に入力される。レンズマイコン111は、A/D変換回路123からの入力信号に基づいて絞り駆動回路121に駆動信号を出力して絞りアクチュエータ113を駆動させる。これにより、絞りユニット114による光量調節動作を制御する。
さらに、レンズマイコン111は、交換レンズ100内に設けられた振動ジャイロ等の振れセンサ(不図示)により検出されたカメラ振れに応じて、防振駆動回路125を介して防振アクチュエータ(ボイスコイルモータ等)126を駆動する。これにより、像振れ補正レンズ103の移動を制御する防振処理が行われる。
カメラ本体200は、CCDセンサやCOMSセンサ等の撮像素子201、A/D変換回路202、信号処理回路203、記録部204、マイクロコンピュータ(以下、カメラマイコンという)205、表示部206を有する。
撮像素子201は、交換レンズ100内の撮像光学系により形成された被写体像を光電変換して電気信号(アナログ信号)を出力する。なお、交換レンズ100の撮像光学系によって形成される被写体像は、アダプタ300内を通過して撮像素子201上に形成される。A/D変換回路202は、撮像素子201からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理回路203は、A/D変換回路202からのデジタル信号に対して各種画像処理を行って映像信号を生成する。また、信号処理回路203は、映像信号から被写体像のコントラスト状態(撮像光学系の焦点状態)を示すフォーカス情報や露出状態を表す輝度情報も生成する。信号処理回路203は、映像信号を表示部206に出力し、表示部206は映像信号を構図やピント状態等の確認に用いられるライブビュー画像として表示する。
カメラ制御部としてのカメラマイコン205は、不図示の撮像指示スイッチおよび各種設定スイッチ等のカメラ操作部材からの入力に応じてカメラ本体200の制御を行う。また、カメラマイコン205は、通信インタフェース(I/F)回路を介してデータを送受信するカメラデータ送受信部208bを備えるカメラ通信部208を有し、種々の制御コマンドをカメラ側プロトコルでアダプタマイコン301に送信する。
アダプタ300は、マイコン(以下、アダプタマイコンという)301、外部通信部302、記憶部303を有する。アダプタマイコン301は、アダプタ300における各種処理を行うアダプタ制御部304を有する。アダプタ制御部304は装着された交換レンズから送信された信号を元にレンズ装置の種類を識別する識別部としても機能する。また、アダプタマイコン301は通信インタフェース(I/F)回路305a(図2に示す)を介してデータを送受信するアダプタデータ送受信部305bを備えるアダプタ通信部305を有する。アダプタデータ送受信部305bとレンズデータ送受信部112bは接続されている。アダプタ通信部305はレンズ側プロトコルで制御コマンドをレンズマイコン111に送信したり、レンズマイコン111から送信されたデータを受信したりすることができる。アダプタ通信部305による通信の通信方式は設定部307によって設定される。
また、アダプタマイコン301はさらに判定部306を有する。判定部306はアダプタ300に装着された交換レンズ100に対応する光学情報が記憶部303に記憶されているか否かを判定する機能を有する。
なお、アダプタデータ送受信部305bはカメラデータ送受信部208bにも接続されている。アダプタ通信部305はカメラ側プロトコルでカメラ通信部208から送信された制御コマンドを受信したり、カメラ通信部208にデータを送信したりすることができる。
外部通信部302は、アダプタ300が外部機器600と通信する際に用いられる。外部機器600とは、交換レンズ100やカメラ本体200とは異なる機器であり、例えばユーザのコンピュータやネットワークを介して接続されたサーバ等の処理装置である。外部機器は、種々の交換レンズに関する光学情報をアダプタ300に送信する機能を有する。本実施例では、外部通信部302は無線通信手段として構成され、外部機器600はアダプタ300とネットワークを介して接続されるサーバである。
記憶部303は、種々のデータを記憶している。記憶部303に記憶されるデータは交換レンズの光学情報と、判定部306による判定結果に関する情報を含む。すなわち、本実施例の記憶部303は、判定結果を記憶する判定結果記憶部としても、光学情報を記憶する光学情報記憶部としても機能する。
なお、アダプタ300にはレンズ等の光学部材が設けられていても良い。
次に、本実施例のカメラシステム1における通信について述べる。
本実施例のカメラシステム1では、上述のように、カメラ本体200とアダプタ300、交換レンズ100とアダプタ300は相互に通信が可能である。本実施例のカメラシステム1において、交換レンズ100は、アダプタ300を介したカメラ本体200からの指示に基づいて制御される。
カメラ本体200が交換レンズ100を制御するための一連の基本的な通信の流れについて説明する。
まずカメラ本体200は、交換レンズ100を制御するための制御コマンドをカメラ側プロトコルでアダプタ300に送信する。アダプタ300は、カメラ本体200からの制御コマンドを処理し、レンズ側プロトコルにおける同等の制御コマンドを生成する。そして、アダプタ300は交換レンズ100に対して、生成した制御コマンドをレンズ側プロトコルで送信する。
交換レンズ100はアダプタ300からの制御コマンドを受けとると、当該制御コマンドに応答するためのデータを生成し、レンズ側プロトコルでアダプタ300に送信する。アダプタ300は、交換レンズ100から受信したデータを処理し、カメラ側プロトコルにおける同等のデータを生成する。そして、アダプタ300は、生成したデータをカメラ本体200に、カメラ側プロトコルで送信する。
本実施例において、カメラ側プロトコルは特に限定されない。
一方、レンズ側プロトコルは、少なくとも2種類の通信方式を含んで構成される。次に、アダプタ300と交換レンズ100との間で行われる通信について述べる。
図2は、アダプタ300と交換レンズ100との間で構成される通信回路の概略図である。アダプタマイコン301は、レンズマイコン111との間で行われる通信の通信方式を管理する機能と、レンズマイコン111に対して送信要求等の通知を行う機能とを有する。また、レンズマイコン111は、レンズデータを生成する機能とレンズデータを送信する機能とを有する。
アダプタマイコン301とレンズマイコン111は、マウント部400に設けられた通信端子と、それぞれに設けられた通信インタフェース回路305a、112aを介して通信を行う。
本実施例では、アダプタマイコン301とレンズマイコン111は、3つのチャネル(通信ライン)を用いて、3線式のクロック同期式シリアル通信方式の通信及び3線式の調歩同期式シリアル通信方式の通信を行う。以下では、3線式のクロック同期式シリアル通信方式を通信方式Aと称し、3線式の調歩同期式シリアル通信方式を通信方式Bと称する。
上記3つのチャネルのうちの1つは、通信方式Aではクロックチャネルとなり、通信方式Bでは送信要求チャネルとなる通知チャネルである。他の2つのチャネルのうち1つは、レンズマイコン111からアダプタマイコン301へのレンズデータ送信に用いられる第1のデータ通信チャネルである。もう1つのチャネルは、アダプタマイコン301からレンズマイコン111へのアダプタデータ送信に用いられる第2のデータ通信チャネルである。
第1のデータ通信チャネルでレンズマイコン111からアダプタマイコン301に信号として送信されるレンズデータをレンズデータ信号DLCという。また、第2のデータ通信チャネルでアダプタマイコン301からレンズマイコン111に信号として送信されるアダプタデータをアダプタデータ信号DCLという。
まず、通信方式Aでの通信について説明する。通信方式Aでは、通信マスタとしてのアダプタマイコン301から通信スレーブとしてのレンズマイコン111にクロック信号LCLKがクロックチャネルを介して出力される。アダプタデータ信号DCLは、アダプタマイコン301からレンズマイコン111への制御コマンドや送信要求コマンド等を含む。一方、レンズデータ信号DLCは、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン111からアダプタマイコン301に送信される様々なデータを含む。アダプタマイコン301とレンズマイコン111は、共通のクロック信号LCLKに同期して相互かつ同時に送受信を行う全二重通信方式(フルデュープレックス方式)で通信可能である。
図3(A)〜(C)には、通信方式Aにおけるアダプタマイコン301とレンズマイコン111との間でやり取りされる信号の波形を示している。
図3(A)は、最小通信単位である1フレームの信号波形を示している。まず、アダプタマイコン301は、8周期のクロックパルスを1組とするクロック信号LCLKを出力するとともに、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン111に対してアダプタデータ信号DCLを送信する。これと同時に、アダプタマイコン301は、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン111から出力されたレンズデータ信号DLCを受信する。
このようにして、レンズマイコン111とアダプタマイコン301との間で1組のクロック信号LCLKに同期して1バイト(8ビット)のデータが送受信される。この1バイトのデータ送受信の期間をデータフレームと呼ぶ。この1バイトのデータの送受信後に、レンズマイコン111がアダプタマイコン301に対して通信待機要求BUSYを通知する信号(以下、BUSY信号という)を送信し、これにより通信待機期間が挿入される。この通信待機期間をBUSYフレームと呼び、BUSYフレームを受信している間、アダプタマイコン301は通信待機状態となる。そして、データフレームとBUSYフレーム期間とを1組とする通信単位が1フレームとなる。なお、通信状況により、BUSYフレームが付加されない場合もあるが、この場合はデータフレームのみで1フレームが構成される。
図3(B)は、アダプタマイコン301がレンズマイコン111にデータの送信を要求するコマンドCMD1を送信し、これに対応する2バイトのレンズデータDT1(DT1a、DT1b)をレンズマイコン111から受信するときの信号波形を示している。図3(B)では、「コマンドCMD1」に応じてデータ通信が実行される例を示している。
アダプタマイコン301とレンズマイコン111との間では、予め複数種類のコマンドのそれぞれに対応するレンズデータDTの種類とバイト数が決められている。通信マスタであるアダプタマイコン301が、特定のコマンドをレンズマイコン111に送信すると、レンズマイコン111は該コマンドに対応するレンズデータバイト数の情報に基づいて必要なクロック数をアダプタマイコン301に送信する。また、コマンドCMD1に対するレンズマイコン111の処理には、各フレームのクロック信号LCLKにBUSY信号を重畳することが含まれており、データフレーム間には上述したBUSYフレームが挿入される。
コマンドCMD1では、アダプタマイコン301はクロック信号LCLKをレンズマイコン111に送信し、さらにレンズデータDT1の送信を要求するコマンドCMD1をアダプタデータ信号DCLとしてレンズマイコン111に送信する。このフレームでのレンズデータ信号DLCは無効データとして扱われる。
続いて、アダプタマイコン301は、クロックチャネルでクロック信号LCLKを8周期だけ出力した後にアダプタマイコン側(アダプタ装置側)のクロックチャネルを出力設定から入力設定に切り替える。レンズマイコン111は、アダプタマイコン側のクロックチャネルの切り替えが完了すると、レンズマイコン111側(交換レンズ側)のクロックチャネルを入力設定から出力設定に切り替える。そして、レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYをアダプタマイコン301に通知するために、クロックチャネルの電圧レベルをLowにする。これにより、クロックチャネルにBUSY信号を重畳する。アダプタマイコン301は、通信待機要求BUSYが通知されている期間はクロックチャネルの入力設定を維持し、レンズマイコン111への通信を停止する。
レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYの通知期間中にコマンドCMD1に対応するレンズデータDT1を生成する。そして、レンズデータDT1を次のフレームのレンズデータ信号DLCとして送信する準備が完了すると、レンズマイコン側のクロックチャネルの信号レベルをHighに切り替え、通信待機要求BUSYを解除する。
アダプタマイコン301は、通信待機要求BUSYの解除を認識すると、1フレームのクロック信号LCLKをレンズマイコン111に送信することでレンズマイコン111からレンズデータDT1aを受信する。アダプタマイコン301とレンズマイコン111が上記と同様の動作を繰り返すことで、アダプタマイコン301はレンズマイコン111からレンズデータDT1bを受信する。
図3(C)は、アダプタマイコン301がレンズマイコン111にデータの送信を要求するコマンドCMD2を送信し、これに対応する3バイトのレンズデータDT2(DT2a〜DT2c)をレンズマイコン111から受信するときの信号波形を示している。図3(C)では、コマンドCMD2に応じてデータ通信が実行される例を示している。このコマンドCMD2でのコマンドCMD2に対するレンズマイコン111の処理には、1フレーム目にのみクロックチャネルにBUSY信号を重畳することが含まれる。すなわち、レンズマイコン111は、続く2フレーム目から4フレーム目にはBUSY信号を重畳しない。
これにより、2フレーム目から4フレーム目までのフレーム間にBUSYフレームが挿入されず、フレーム間の待機期間を短くすることが可能である。ただし、BUSYフレームを挿入しない期間は、レンズマイコン111がアダプタマイコン301に対して通信待機要求を送ることができない。このため、これによる通信の破綻が生じないように、送信するデータ数や送信間隔、レンズマイコン111内での通信処理の優先順位等を決定しておく必要がある。
次に、通信方式Bでの通信について説明する。図4には、通信方式Bにおいてアダプタマイコン301とレンズマイコン111との間でやり取りされる通信信号の波形を示している。
通信方式Bにおいて、送信要求チャネルは、通信マスタであるアダプタマイコン301から通信スレーブとしてのレンズマイコン111へのレンズデータの送信要求等の通知に用いられる。送信要求チャネルでの通知は該送信要求チャネルでの信号のレベル(電圧レベル)をHigh(第1のレベル)とLow(第2のレベル)との間で切り替えることで行う。以下の説明では、通信方式Bにおいて送信要求チャネルに供給される信号を送信要求信号RTSという。
第1のデータ通信チャネルは、通信方式Aと同様に、レンズマイコン111からアダプタマイコン301への各種データを含むレンズデータ信号DLCの送信に用いられる。第2のデータ通信チャネルも、通信方式Aと同様に、アダプタマイコン301からレンズマイコン111への制御コマンドや送信要求コマンド等を含むアダプタデータ信号DCLの送信に用いられる。
通信方式Bでは、通信方式Aと異なり、アダプタマイコン301とレンズマイコン111は、共通のクロック信号に同期してデータの送受信を行うのではなく、予め通信速度を設定し、この設定に基づいた通信ビットレートで送受信を行う。通信ビットレートとは、1秒間に転送することができるデータ量を示し、単位はbps(bit per second)で表される。
なお、本実施例では、この通信方式Bにおいても、通信方式Aと同様に、アダプタマイコン301とレンズマイコン111は相互に送受信を行う全二重通信方式(フルデュープレックス方式)で通信を行う。
図4(A)は最小通信単位である1フレームの信号波形を示している。1フレームのデータフォーマットの内訳は、アダプタデータ信号DCLとレンズデータ信号DLCでは一部異なる部分がある。
まずレンズデータ信号DLCのデータフォーマットについて説明する。1フレームのレンズデータ信号DLCは、前半のデータフレームとこれに続くBUSYフレームとにより構成されている。レンズデータ信号DLCは、データ送信を行っていない状態では信号レベルはHighに維持されている。
レンズマイコン111は、レンズデータ信号DLCの1フレームの送信開始をアダプタマイコン301に通知するため、レンズデータ信号DLCの電圧レベルを1ビット期間の間LOWとする。この1ビット期間をスタートビットSTと呼び、スタートビットSTからデータフレームが開始される。続いて、レンズマイコン111は、スタートビットSTに続く2ビット目から9ビット目までの8ビット期間で1バイトのレンズデータを送信する。
データのビット配列はMSB(Most Significant Bit)ファーストフォーマットとして、最上位のデータD7から始まり、順にデータD6、データD5と続き、最下位のデータD0で終了する。そして、レンズマイコン111は、10ビット目に1ビットのパリティー情報(PA)を付加し、1フレームの最後を示すストップビットSPの期間、レンズデータ信号DLCの電圧レベルをHighとする。これにより、スタートビットSTから開始されたデータフレームが終了する。なお、パリティー情報は1ビットである必要はなく、複数のビットのパリティー情報が付加されても良い。また、パリティー情報は必須ではなく、パリティー情報が付加されないフォーマットとしても良い。
続いて、図中の「DLC(BUSY有)」に示すように、レンズマイコン111は、ストップビットSPの後にBUSYフレームを付加する。BUSYフレームは、通信方式Aと同様に、レンズマイコン111からアダプタマイコン301に通知する通信待機要求BUSYの期間を表す。レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYを解除するまでレンズデータ信号DLCの信号レベルをLowに保持する。
一方、レンズマイコン111からアダプタマイコン301への通信待機要求BUSYの通知が不要な場合がある。この場合のために、図中の「DLC(BUSY無)」に示すように、BUSYフレーム(以下、BUSY通知ともいう)を付加せずに1フレームを構成するデータフォーマットも設けられている。つまり、レンズデータ信号DLCのデータフォーマットとしては、レンズマイコン側の処理状況に応じてBUSY通知を付加したものと付加しないものとを選択することができる。
アダプタマイコン301が行うBUSY通知の有無の識別方法について説明する。図4(A)の「DLC(BUSY無)」に示す信号波形および「DLC(BUSY有)」に示す信号波形には、B1とB2というビット位置が含まれている。アダプタマイコン301は、これらB1とB2のいずれかのビット位置をBUSY通知の有無を識別するBUSY識別位置Pとして選択する。このように本実施例では、BUSY識別位置PをB1とB2のビット位置から選択するデータフォーマットを採用する。これにより、レンズマイコン111の処理性能によってレンズデータ信号DLCのデータフレーム送信後にBUSY通知(DLCのLow)が確定するまでの処理時間が異なる課題に対処することができる。
BUSY識別位置PをB1のビット位置とするかB2のビット位置とするかは、通信方式Bでの通信を行う前にアダプタマイコン301とレンズマイコン111との間で通信により決定する。なお、BUSY識別位置PをB1とB2のビット位置のいずれかに固定する必要はなく、アダプタマイコン301、レンズマイコン111の処理能力に応じて変更してもよい。なお、BUSY識別位置Pは、B1やB2に限らず、ストップビットSPよりも後の所定位置に設定することができる。
ここで、通信方式Aにおいてクロック信号LCLKに付加されたBUSYフレームが、通信方式Bではレンズデータ信号DLCに付加されるデータフォーマットとした理由について説明する。
通信方式Aでは、通信マスタであるアダプタマイコン301が出力するクロック信号LCLKと通信スレーブであるレンズマイコン111が出力するBUSY信号とを同一のクロックチャネルでやり取りする必要がある。このため、アダプタマイコン301とレンズマイコン111の出力同士の衝突を時分割方式で防止している。つまり、クロックチャネルにおけるアダプタマイコン301とレンズマイコン111の出力可能期間を適宜割り当てることで出力同士の衝突を防ぐことができる。
ただし、この時分割方式では、アダプタマイコン301とレンズマイコン111の出力同士の衝突を確実に防ぐ必要がある。このため、アダプタマイコン301が8パルスのクロック信号LCLKの出力を完了した時点からレンズマイコン111がBUSY信号の出力を許容される時点までの間に、両マイコン205、111の出力が禁止される一定の出力禁止期間が挿入される。この出力禁止期間はアダプタマイコン301とレンズマイコン111が通信できない通信無効期間となるため、実効的な通信速度を低下させる原因となる。
このような課題を解決するために、通信方式Bでは、レンズマイコン111の専用出力チャネルである第1のデータ通信チャネルでのレンズデータ信号DLCにレンズマイコン111からのBUSYフレームを付加するデータフォーマットを採用している。これにより、通信方式Bではより高速な通信を実現している。
なお、アダプタデータ信号DCLのデータフレームの仕様はレンズデータ信号DLCと共通である。ただし、アダプタデータ信号DCLは、レンズデータ信号DLCとは異なり、BUSYフレームの付加が禁止されている。
次に、アダプタマイコン301とレンズマイコン111との間での通信方式Bでの通信の手順について説明する。まず、アダプタマイコン301は、レンズマイコン111との通信を開始するイベントが発生すると、送信要求信号RTSの電圧レベルをLowにする(以下、送信要求信号RTSをアサートするという)ことで、レンズマイコン111に対して通信要求を通知する。ここでいうイベントとは、例えば、ユーザが不図示のレリーズスイッチを操作することを意味する。
レンズマイコン111は、送信要求信号RTSの電圧レベルがLowに変化したことにより通信要求を検出すると、アダプタマイコン301に送信するレンズデータ信号DLCの生成処理を行う。そして、該レンズデータ信号DLCの送信準備が整うと、第1のデータ通信チャネルを介して1フレームのレンズデータ信号DLCの送信を開始する。ここで、レンズマイコン111は、送信要求信号RTSの電圧レベルがLowとなった時点から、アダプタマイコン301とレンズマイコン111との間で相互に設定した設定時間内にレンズデータ信号DLCの送信を開始する。
すなわち、通信方式Bでは、送信要求信号RTSの電圧レベルがLowとなった時点からレンズデータ信号DLCの送信が開始されるまでの間に、送信するレンズデータを確定させればよい。通信方式Aのように、最初のクロックパルスが入力される時点までに送信するレンズデータを確定させておく必要があるといった厳しい制約がないため、レンズデータ信号DLCの送信を開始するタイミングに自由度を持たせることができる。
次にアダプタマイコン301は、レンズマイコン111から受信したレンズデータ信号DLCのデータフレームの先頭に付加されたスタートビットSTの検出に応じて、送信要求信号RTSの電圧レベルをHighに戻す(以下、ネゲートするという)。これにより、送信要求を解除するとともに第2の通信チャネルでのアダプタデータ信号DCLの送信を開始する。なお、送信要求信号RTSのネゲートとアダプタデータ信号DCLの送信開始はどちらが先であってもよく、レンズデータ信号DLCのデータフレームの受信が完了するまでにこれらを行えばよい。
レンズデータ信号DLCのデータフレームを送信したレンズマイコン111は、アダプタマイコン301に通信待機要求BUSYを通知する必要がある場合には、レンズデータ信号DLCにBUSYフレームを付加する。アダプタマイコン301は、通信待機要求BUSYの通知の有無を監視しており、通信待機要求BUSYが通知されている間は次の送信要求のために送信要求信号RTSをアサートすることが禁止される。
レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYによりアダプタマイコン301からの通信を待機させている期間に必要な処理を実行し、次の通信準備が整った後に通信待機要求BUSYを解除する。アダプタマイコン301は、通信待機要求BUSYが解除され、かつアダプタデータ信号DCLのデータフレームの送信が完了したことを条件に、次の送信要求のために送信要求信号RTSをアサートすることが許可される。
このように、本実施例では、アダプタマイコン301での通信開始イベントがトリガとなって送信要求信号RTSがアサートされたことに応じて、レンズマイコン111がアダプタマイコン301にレンズデータ信号DLCのデータフレームの送信を開始する。そして、アダプタマイコン301は、レンズデータ信号DLCのスタートビットSTを検出することに応じて、アダプタデータ信号DCLのデータフレームのレンズマイコン111への送信を開始する。
ここでレンズマイコン111は、必要に応じて通信待機要求BUSYのためにレンズデータ信号DLCのデータフレームの後にBUSYフレームを付加し、その後、通信待機要求BUSYを解除することで1フレームの通信処理が完了する。この通信処理により、アダプタマイコン301とレンズマイコン111との間で相互に1バイトの通信データが送受信される。
図4(B)は、図4(A)の「DLC(BUSY有)」に示すデータフォーマットで連続的に通信を行う場合の信号波形を示している。レンズマイコン111からの通信待機要求BUSY(BUSYフレーム)は、第1のデータ通信チャネルでレンズデータ信号DLCを用いて通知され、通信待機要求BUSYが解除された後に次の通信が開始される。図4(B)に示したCMD1は、アダプタマイコン301からレンズマイコン111にアダプタデータ信号DCLとして送信される送信要求コマンドを示す。レンズマイコン111は、このコマンドCMD1を受信することに応じて、該コマンドCMD1に対応する2バイトのレンズデータDT1(DT1a,DT1b)をアダプタマイコン301に送信する。
また、図4(C)の例では、最初に「BUSY有」のデータフォーマットで通信を行い、その後に「BUSY無」のデータフォーマットで通信を行う。CMD2は、アダプタマイコン301からレンズマイコン111にアダプタデータ信号DCLとして送信される制御コマンドと送信要求コマンドを示す。なお、図では制御コマンドと送信要求コマンドを1フレームで送信する場合を示しているが、制御コマンドと送信要求コマンドを別々のフレームで送信してもよい。レンズマイコン111は、コマンドCMD2のうち制御コマンドを受信することに応じてデータフォーマットを「BUSY有」から「BUSY無」に切り替える。そして、レンズマイコン111は、コマンドCMD2のうち送信要求コマンドを受信することに応じて、該送信要求コマンドに対応する3バイトのレンズデータDT2(DT2a〜DT2c)をアダプタマイコン301に送信する。
次に、図5を用いて、アダプタマイコン301とレンズマイコン111の間で行われる通信の通信方式を決定する手順について説明する。アダプタマイコン301及びレンズマイコン111は、コンピュータプログラムである通信制御プログラムに従って、図5に示す通信制御を行う。なお図中の「S」はステップを意味する。
まず、カメラ本体200にアダプタ300を介して交換レンズ100が装着されると、S100およびS200において、アダプタマイコン301及びレンズマイコン111は、通信フォーマットを、通信の成立が保障された初期通信フォーマットに設定する。「通信フォーマット」とは、通信方式とデータフォーマットの組み合わせで定められる通信の仕様である。本実施例では、初期通信フォーマットにおける通信方式として、通信方式Aを用いる。すなわち、本実施例において通信方式Aは第1の通信方式に相当し、通信方式Bは第2の通信方式に相当する。
次に、アダプタ300と交換レンズ100は、それぞれの対応している通信方式を送受信する初期通信を行う。初期通信とは、交換レンズ100の起動時の通信として行われる通信である。初期通信は、例えば、カメラ本体200の電源をONにしたときや、カメラ本体200にアダプタ300を介して交換レンズ100が装着された時に行われる。
まず、S101において、アダプタマイコン301は、アダプタ300において対応可能な通信フォーマットを表すアダプタ識別情報をレンズマイコン111に送信し、レンズマイコン111はアダプタ識別情報を取得する。また、S202において、レンズマイコン111は、交換レンズ100において対応可能な通信フォーマットを表すレンズ識別情報をアダプタマイコン301に送信し、アダプタマイコン301はレンズ識別情報を受信する。
ここで、「識別情報」には、通信方式Aに加えて通信方式Bにも対応しているのかを示す情報や、対応可能な通信ビットレートの範囲を示す情報が含まれる。BUSY識別位置Pを示す情報も識別情報に含まれる。また、アダプタ識別情報にはアダプタ300の機種を特定するための情報が含まれる。また、レンズ識別情報には交換レンズ100の機種を特定する情報が含まれる。
アダプタマイコン301は、S102においてレンズ識別情報を受信する。レンズマイコン111は、S201においてアダプタ識別情報を受信する。ここで、図5のフローチャートでは、アダプタ識別情報が送信された後にレンズ識別情報が送信されているが、レンズ識別情報が送信された後にアダプタ識別情報が送信されるようにしてもよい。
続いて、S103、S203において、以降の通信における通信フォーマットの設定が行われる。具体的には、アダプタ300に装着された交換レンズが通信方式Bによって通信可能である場合には、アダプタマイコン301とレンズマイコン111は通信方式を通信方式Aから通信方式Bに変更する。また、アダプタマイコン301とレンズマイコン111は、互いに対応可能な範囲で最速のレートを通信ビットレートとして決定する。また、互いに対応可能なBUSY識別位置Pとして選択可能なビット位置のうちストップビットSPから最も近い位置をBUSY識別位置Pに設定する。
続いて、通信方式Aから通信方式Bへの切り替え手順について図6を用いて説明する。図6は、通信方式Aから通信方式Bへの切り替え前後にアダプタマイコン301とレンズマイコン111の間でやりとりされる通信信号の波形を示している。通信方式Aから通信方式Bへの切り替えにおいて、アダプタマイコン301は、アダプタ側設定部307によって、アダプタ通信部305の通信設定を通信方式Aに対応した設定から通信方式Bに対応した設定に変更する。同様に、レンズマイコン111は、レンズ側設定部128によって、レンズ通信部112の通信設定を通信方式Aに対応した第1の設定から通信方式Bに対応した第2の設定に変更する。
図6中に示した切り替えタイミングXにおいて、アダプタマイコン301とレンズマイコン111における通信設定の切り替えが完了し、以降は、通信方式Bでの通信が行われる。これまでに説明したように、通知チャネルは、通信方式Aではクロックチャネルとして機能し、通信方式Bでは送信要求チャネルとして機能する。
本実施例では、通信方式Aにおいて通信スレーブであるレンズマイコン111が、通信マスタであるアダプタマイコン301よりも先に第2の設定への変更を行う。
通信方式の切り替えは、アダプタマイコン301からの指示により行われる。アダプタマイコン301は、通信方式Aでの通信により、通信方式Aから通信方式Bへの切り替え通知を第2のデータ通信チャネルを介してレンズマイコン111に送信する。この切り替え通知は、データフレームの中に含まれる。切り替え通知を受けたレンズマイコン111は、クロックチャネルにBUSY信号を重畳することにより、通信待機要求BUSYをアダプタマイコン301に通知する。そして、アダプタマイコン301に通信待機要求BUSYを通知している間に、レンズ側設定部128によってレンズ通信部112の通信設定を第1の設定から、第2の設定に変更する。
レンズマイコン111における通信方式の切り替えが完了すると、レンズマイコン111は通信待機要求BUSYを解除することで、通信方式の切り替えが完了したことをアダプタマイコン301に対して通知する完了通知を行う。その後、レンズマイコン111は通信方式Bでの送信要求信号RTSの通知の有無を監視する。
アダプタマイコン301は、通信待機要求BUSYが解除されると、アダプタ側設定部307によって、アダプタ通信部305の通信設定を第1の通信方式に対応した設定から、第2の通信方式に対応した設定に変更する。その後、通信方式Bにおける通信イベントの発生の有無を監視する。アダプタマイコン301における通信方式Bへの切り替えが完了するタイミングは、図6に示した切り替えタイミングXとなる。切り替えタイミングX以降は、図4で説明したように、通信方式Bでのデータ通信が実行される。
以上説明したように、本発明では、通信スレーブとしてのレンズマイコン111が通信マスタとしてのアダプタマイコン301よりも先に第1の設定から第2の設定への変更を行う構成としている。レンズマイコン111がすぐに第2の設定への変更を実行できるか否かが不明であるため、アダプタマイコン301は、レンズマイコン111での第2の設定への変更を確認した上で、第1の設定から第2の設定への変更を実行する。
レンズマイコン111での第2の設定への変更が実行されたことを確認することなく、アダプタマイコン301での第2の設定への変更を実行すると、交換レンズ100とアダプタ300の通信方式が異なって両者間の通信が破綻するおそれがある。本発明では、レンズマイコン111での第2の設定への変更を確認した上で、アダプタマイコン301が第1の設定から第2の設定への変更を実行することで、上述した事態の発生を防ぐことができる。
また、レンズマイコン111は、アダプタマイコン301に通信待機要求BUSYを通知している間に、レンズマイコン111の通信設定を第1の設定から第2の設定に変更する。これにより、アダプタマイコン301からクロック信号CLKが出力されることのない状態で通信設定の変更を実行することができ、アダプタマイコン301とレンズマイコン111の間で通信の衝突が起きる事態を回避することができる。
なお、レンズマイコン111は、通信方式Aから通信方式Bへの切り替え通知に応じて必ずしも通信方式の切り替えを行う必要はなく、通信方式の切り替えを拒否することができるようにしても良い。例えば、アダプタマイコン301からの切り替え通知を受信した後に、第1のデータ通信チャネルを介して通信方式の切り替えを拒否することを示す通知を送信する。これを受信したアダプタマイコン301は、通信設定を変更することなく、通信方式Aにおけるレンズマイコン111との通信を継続することができる。これにより、レンズマイコン111が第2の設定への変更をすぐに実行できない場合に、アダプタマイコン301が、第1の設定から第2の設定への変更を実行した直後に再度第1の設定への変更を実行しなければならない事態を回避することができる。
次に、アダプタ300における交換レンズ100の光学情報の取得について説明する。本実施例のカメラシステム1では、アダプタマイコン301は装着された交換レンズに対応する光学情報が記憶部303内に記憶されているか否かを判定する。そして、アダプタマイコン301はその判定結果を記憶部303に記憶する。さらに、記憶部303に記憶された判定結果をもとに、アダプタ300は外部機器600から必要な光学情報を取得するように構成されている。
このような構成とすることにより、アダプタ300は装着され得る全ての交換レンズの光学情報について記憶することなく、アダプタ300に実際に装着された交換レンズの光学情報を記憶することができる。すなわち、ユーザの使用する交換レンズの光学情報のみを記憶することが可能となるため、少ない記憶容量で交換レンズの光学情報に基づいた動作をカメラ本体に行わせることが可能となる。
図7は本実施例のアダプタ300が交換レンズ100の光学情報が記憶部303に記憶されているか否かを判定する際のフローチャートである。図7に示す処理は、例えば図5の手順によりアダプタ300が交換レンズ100のレンズ識別情報を取得した後に行われる。
S300において、アダプタマイコン301は交換レンズ100から取得したレンズ識別情報を用いて、記憶部303の光学情報を記憶する領域を参照する。
S301において、判定部306は記憶部303に交換レンズ100に対応する光学情報が記憶されているか否かを判定する。光学情報が記憶されていた場合はS302に進み、記憶されていなかった場合はS303に進む。
S302では、アダプタマイコン301は交換レンズ100の光学情報を用いた処理が可能であると設定する。この際、アダプタ制御部304はカメラ本体200に対して、記憶部303に記憶された交換レンズ100の光学情報を送信するようにしても良い。なお、カメラ本体200への光学情報の送信は図7に示すフローが全て完了した後に行われても良い。
一方、S303では、アダプタマイコン301は交換レンズ100の光学情報を用いた処理が不能であると設定する。この場合、交換レンズ100に対応する光学情報はカメラ本体200には送信されず、カメラ本体200において交換レンズ100の光学情報に基づく処理は行われない。この際、アダプタマイコン301はカメラ本体200に対して交換レンズ100の光学情報を用いた処理が不能である旨を通知しても良い。なお、この通知は図7に示すフローが全て完了した後に行われても良い。これによりカメラ本体200は、装着された交換レンズ100に対する光学情報を用いた処理が行えないものとして各種動作を行うことが可能となる。
S304では、判定部306による判定結果を記憶部303に記憶させる。記憶部303に記憶される判定結果は、交換レンズ100の機種に関する情報と共に記憶される。なお、本実施例ではS304において記憶部303に光学情報が記憶されている場合にも判定結果を記憶部303に記憶させるように構成されているが、本発明はこれに限定されない。記憶部303に光学情報が記憶されていなかった場合にのみ、判定結果を記憶部303に記憶させるように構成しても良い。この場合、光学情報を用いた処理が可能である旨の判定結果が記憶されないこととなるため、記憶部303の記憶容量を有効に活用することが可能となる。
次に、アダプタ300が光学情報を外部機器から取得する際の処理について図8のフローチャートを用いて説明する。
図8の処理は、図7の処理が完了した後に開始される。図8に示す処理が実行されるタイミングは、図7の処理が完了した後に定期的に行われても良いし、ユーザの指示に基づいて行われても良い。
S400では、アダプタマイコン301は記憶部303にアクセスし、光学情報を用いた処理の可否に関する判定結果を取得する。
S401で、取得した判定結果の中に、光学情報を用いた処理が不能である旨の判定結果が含まれていない場合、アダプタマイコン301は処理を終了する。一方、光学補正が不能である旨の判定結果が含まれていた場合はS402に進む。
S402において、アダプタマイコン301は外部通信部302を介して、ネットワークに接続可能かを判断する。ネットワークへの接続が不能と判断された場合は処理を終了する。ネットワークへの接続が可能であると判断された場合はS403に進む。
S403において、アダプタマイコン301は、外部通信部302を介して外部機器としてのサーバ600へのアクセスを行う。サーバ600は種々の交換レンズに関する光学情報を送信可能に構成されている。
S404において、アダプタマイコン301は、サーバ600へのアクセスが成功したか否か判定する。サーバ600へのアクセスが失敗した場合は本処理を終了し、成功した場合はS405に進む。
S405において、アダプタマイコン301は、サーバ600内の光学情報データベースにアクセスし、光学情報を用いた処理が不能であると判定された種別の交換レンズに対応する光学情報を取得するためのリクエストをサーバ600に送信する。すなわち、アダプタマイコン301は、サーバ600に対して、必要な光学情報を送信可能か否か問い合わせるための信号を送信する。サーバ600は、アダプタ300からの問い合わせに応答して要求する光学情報を送信可能か否かを示す情報を送信する。
S406で、アダプタマイコン301はサーバ600から光学情報が送信されるか否かを判定する。サーバ600から光学情報が取得できない場合には処理を終了し、光学情報取得できる場合にはS407に進む。
S407において、アダプタマイコン301は、外部通信部302を介してサーバ600に光学情報を送信させるための信号を送信する。サーバ600はそれに応答して光学情報をアダプタ300に送信する。アダプタ制御部304は、送信された光学情報を記憶部303に記憶する。
S408において、アダプタ制御部304は、記憶部303に、サーバ600から取得した光学情報に対応する交換レンズについて、光学情報を用いた処理が可能である旨を記憶させる。
以上の処理により、本実施例では、少ない記憶容量で交換レンズの光学情報に基づいた動作をカメラ本体に行わせることのできるアダプタ300を実現としている。
なお、本実施例において、記憶部303に記憶される光学情報は1つの交換レンズに対してだけでも良いし、複数の交換レンズに対してでも良い。記憶可能な光学情報の数に限りがある場合には、交換レンズの種別ごとの使用頻度に応じて記憶部303に記憶された光学情報を削除(上書き)することが好ましい。これにより、ユーザの使用感を損なうことなく少ない記憶容量で光学情報に基づいた動作をカメラ本体に行わせることができる。
なお、本実施例では外部通信部302は無線通信手段であり、外部機器600はサーバである構成について説明したが、外部通信部302は有線通信手段であり外部機器600はアダプタ300が有線接続される処理装置であっても良い。処理装置としてはコンピュータやスマートフォン等を用いることができる。この場合、図8に示す処理はアダプタ300が外部機器600に接続されたことを契機に自動的に開始されても良い。
なお、外部通信部302を無線通信手段とする場合、外部機器600との接続の手間が省けるため、光学情報を取得することがより簡便化できる。
一方、外部通信部302を有線通信手段とする場合、アダプタ300は接続先の外部機器からの給電を受けることが可能となる。この場合、アダプタ300がカメラ本体200に装着されていない状態であっても外部機器600から光学情報を取得することができる。
[実施例2]
次に、実施例2のカメラシステムについて述べる。
実施例2のカメラシステムの構成は、図1に示す実施例1のカメラシステム1と同様である。
本実施例のカメラシステム1においても、実施例1と同様に、図7に示す光学情報を用いた処理の可否についての判定が行われ、結果が記憶部303に記憶される。
ただし、本実施例では、光学情報の取得方法が実施例1とは異なる。本実施例のカメラシステム1では、外部機器600がアダプタ300の記憶部303を読み込み、必要な光学情報の有無を外部機器600が判断する。そして、外部機器600がアダプタ300に光学情報を送信する。すなわち、実施例1ではアダプタ300が外部機器(サーバ)600に対して光学情報の送信要求を送信していたが、本実施例ではアダプタ300からの送信要求は行われない。
図9を用いて、外部機器600がアダプタ300に光学情報を送信する際の処理について説明する。
図9の処理は、外部機器600内の処理であり、アダプタ300と外部機器600が有線または無線で接続された状態から開始する。図9の処理はユーザの指示を以て開始しても良いし、アダプタ300と外部機器600が接続されたら自動的に開始しても良い。
S500において、外部機器600はアダプタ300の記憶部303にアクセスし、記憶部303の光学情報を用いた処理の可否に関する情報が記憶されている領域のデータを取得する。
S501において、外部機器600は、S500で読み出したデータの中に、光学情報を用いた処理が不能である旨のデータがあるか否か判定する。光学情報を用いた処理が不能である旨のデータが無い場合には処理を終了する。光学情報を用いた処理が不能である旨のデータがある場合にはS502に進む。
S502において、外部機器600は光学情報を用いた処理が不能である交換レンズに関する光学情報を送信可能であるか否か判定する。すなわち、外部機器600は外部機器600内の記憶部に当該光学情報が記憶されているか否かを判別する。なお、光学情報は外部機器600ではない他のサーバから外部機器600が取得するようにしても良い。この場合、S502の判定は外部機器600が他のサーバから光学情報を取得できるか否かを判定することによって行っても良い。S502の結果、光学情報を送信することができないと判定されれば処理を終了する。
S503では、外部機器600が光学情報をアダプタ300に送信する。このとき外部機器600から送信される光学情報は、アダプタ300において光学情報を用いた処理が不能とされた交換レンズの光学情報を含んでいれば良い。
以上の処理により、本実施例でも実施例1と同等の効果を得ることができる。
[実施例3]
次に、実施例3のカメラシステムについて述べる。
実施例3のカメラシステムの構成は、図1に示す実施例1のカメラシステム1と同様である。
ただし、本実施例では、アダプタ300による交換レンズ100の種別の識別の方法が実施例1,2とは異なる。
実施例1,2では、図5に示す手順で交換レンズ100の機種に関する情報を取得していた。すなわち、アダプタ300にレンズ100が装着された際、単一のステップによって交換レンズ100のレンズIDを取得していた。しかしながら、単一のステップのみでアダプタ300が交換レンズ100の種別を判別することが困難である場合もある。
例えば、一つのレンズ交換型カメラシステムに適合する交換レンズが複数のベンダーから販売される場合がある。交換レンズが複数のベンダーから販売される場合、統一的な形式のレンズIDを付与することが困難となることがある。具体的には、例えばベンダーAから提供される交換レンズには交換レンズの機種を識別するIDが付与されるが、ベンダーBから提供される交換レンズにはベンダーBから提供されたレンズであることを示す情報のみが付与される場合があり得る。このとき、図1に示すようなカメラシステムにおけるアダプタ300は、単一の識別処理で装着され得る全ての交換レンズの種別を適切に識別することができないことが考えられる。
そこで、本実施例では、装着され得る交換レンズの属性毎(例えばベンダー毎)に異なる方法で交換レンズの識別処理を行う。より具体的には、交換レンズと正カメラ本体との間で行われる通信において、交換レンズの機種を示す情報を送信できない第1の交換レンズと、交換レンズの機種を示す情報を送信できる第2の交換レンズとで、レンズIDの取得の仕方を異ならせる。
これにより、アダプタ300は装着される交換レンズを適切に識別して光学情報をカメラ本体に送信できるようになるため、交換レンズの光学情報に基づいた動作をカメラ本体に行わせることができるようになる。
図10は、本実施例におけるアダプタ300による交換レンズ100の認証方法(交換レンズ機種に関する情報の取得方法)を示すフローチャートである。図10のフローは通信方式A(3線式のクロック同期式シリアル通信方式)である状態から開始される。
アダプタマイコン301に交換レンズ100が装着された状態で、カメラ本体200から電源が供給されると、S600にてアダプタ300と交換レンズ100は初期通信を行う。アダプタマイコン301は、S600と同時に、カメラマイコン205に対して待機指示を送信しても良い。
S601では、アダプタマイコン301は第1の交換レンズに対する第1の識別処理を行う。具体的には、アダプタマイコン301はレンズマイコン111に第1のID通信コマンドを送信する。第1のID通信コマンドとは、アダプタ300に装着された交換レンズが第1の交換レンズである場合に、該交換レンズを識別するためのコマンドである。第1のID通信コマンドは、第1の交換レンズの機種を識別できる情報を第1の交換レンズから送信させるようなコマンドであれば良い。例えば、第1の交換レンズの焦点距離(ズームレンズであれば最長焦点距離と最短焦点距離)、開放F値、最小F値などの情報の組み合わせで第1の交換レンズの機種が特定できる場合、第1のID通信コマンドはこれらの情報を送信させるコマンドであり得る。第1のID通信コマンドはアダプタ300と第1の交換レンズの間でのみ行われる通信コマンドであって、第1の交換レンズに第1の交換レンズの機種を表す情報をアダプタ300が認識可能なフォーマットで送信させるためのコマンドであっても良い。なお、第1のID通信コマンドは第1の交換レンズを識別するためのコマンドであるため、第2の交換レンズが応答しないようなコマンドであることが好ましい。あるいは、第1のID通信コマンドは、第2の交換レンズが応答しないような期間に送信されることが好ましい。
S602では、アダプタマイコン301は、第1のID通信コマンドに対してレンズマイコン111から応答があったか否かを判定する。応答がない場合、装着された交換レンズが第1の交換レンズでないため、S603に進み、第2の交換レンズ用のID通信(第2のID通信)を行う。応答があった場合には処理を終了する。なお、本実施例ではS602において応答があった場合に処理を終了するとしたが、処理を終了せずにS603に進んでも良い。
S603以降では、アダプタマイコン301は第2の交換レンズに対する第2の識別処理を行う。第2の識別処理は、後述のように、第2のID通信と第3のID通信を含む。なお、第2の識別処理は第2の交換レンズに対する専用の識別処理である必要はなく、第1の交換レンズに対しても行われて良い。
S603では、アダプタマイコン301は、レンズマイコン111に第2のID通信コマンドを送信する。第2のID通信では、第2の交換レンズの機種を識別するためのレンズIDの他に、交換レンズが対応している機能を表すID(レンズ機能ID)が第2の交換レンズから送信される。これにより、第2の交換レンズの機種に関する情報をアダプタマイコン301に取得させることができる。
S604では、アダプタマイコン301は取得したレンズIDおよびレンズ機能IDを参照して、装着された交換レンズが通信方式B(3線式の調歩同期式シリアル通信方式)に対応しているか否かを判断する。装着された交換レンズが通信方式Bに対応していない場合は処理を終了する。
S605では、アダプタマイコン301は装着された交換レンズを通信方式Bに切り替えさせる。本実施例における通信方式Aから通信方式Bへの切り替えは、実施例1と同様であり、図5,6に説明を行った手順で行われる。すなわち、アダプタマイコン301は、通信方式Aでの通信により、通信方式Aから通信方式Bへの切り替え通知を第2のデータ通信チャネルを介してレンズマイコン111に送信する。そして、アダプタマイコン301はアダプタ側設定部307によって通信方式Aから通信方式Bに移行する。同様にレンズマイコン111はレンズ側設定部128によって通信方式Aから通信方式Bに移行する。
S606では、アダプタマイコン301はお互いに通信方式Bに移行できたかを確認する。通信方式移行の確認方法は特に限定されない。例えば、アダプタマイコン301がレンズマイコン111に通信方式Bでコマンド(通信応答確認コマンド)を送信し、それに対してレンズマイコン111が応答したか否かを確認することによって行うことができる。レンズマイコン111における通信方式Bへの移行の確認がとれなかった場合、アダプタマイコン301は通信方式Aに通信方式を移行した後に処理を終了する。なお、レンズマイコン111における通信方式Bへの移行の確認がとれなかった場合は、通信方式Bへの通信方式移行コマンドを再びレンズマイコン111に送ってもよい。
S607では、アダプタマイコン301は第3のID通信開始コマンドをレンズマイコン111に送信する。第3のID通信開始コマンドは、第3のID通信を開始することをアダプタマイコン301がレンズマイコン111に対して通知するためのコマンドである。第3のID通信は、アダプタ300に装着された交換レンズのうち、通信方式Bに対応する交換レンズに対して行われる通信である。第3のID通信において、アダプタマイコン301は、レンズマイコン111に対して、レンズマイコン111が通信方式Bの種々の機能に対応しているか否かを示すレンズ機能IDを送信させる。これにより、アダプタマイコン301は装着された交換レンズが通信方式Bで行われるどの機能に対応しているかを識別することができる。後述のように、第3のID通信はアダプタマイコン301とレンズマイコン111の間で、通信方式BかつBUSY無のデータフォーマットで行われる。
S608では、アダプタマイコン301はレンズマイコン111から第3のID通信開始コマンドに対して正常な応答が返ってきたか否かを判断する。レンズマイコン111からの応答が正常でない場合は処理を終了する。
S609では、アダプタマイコン301はレンズマイコン111との通信をBUSY無の形式に移行させる。
S610では、アダプタマイコン301はBUSY無の通信で装着された交換レンズのレンズ機能IDの取得を行う。なお、S610でアダプタマイコン301は装着された交換レンズの機種に関する情報であるレンズIDをさらにレンズマイコン111に送信させても良い。第3のID通信を通信方式Bで行うことにより、アダプタマイコン301はより高速に装着された交換レンズの識別情報を取得することが可能となる。
S611では、アダプタマイコン301は、レンズマイコン111との通信をBUSYありの形式に変更させる。その後、レンズの認証処理を終了する。
次に、図11を用いて本実施例のアダプタ300における光学情報の送信処理について説明する。
図11に示す処理は、図10に示すレンズ認証処理が終了した後に開始される。すなわち、アダプタマイコン301が少なくとも第1のID通信または第2のID通信によって装着された交換レンズのレンズIDを取得した状態で開始される。なお、図11の処理はユーザの指示を以て開始しても良いし、自動的に開始しても良い。
S700において、アダプタマイコン301は第1のID通信で装着された交換レンズのレンズIDを取得したか否かを判定する。第1のID通信でレンズIDを取得した場合にはS701に進む。
S701では、アダプタマイコン301は第1のID通信で取得したレンズIDを元に記憶部303の光学情報が記憶されている領域をサーチする。
S702では、アダプタマイコン301の判定部306は装着された交換レンズに対応する光学情報が記憶部303に記憶されているか否かを判定する。
一方、S700において第1のID通信でレンズIDを取得していない場合にはS703に進む。
S703では、アダプタマイコン301は第2のID通信または第3のID通信で取得したレンズIDを元に記憶部303の光学情報が記憶されている領域をサーチする。なお、本実施例において第3のID通信が行われる場合には必ず第2のID通信が行われるため、第2のID通信で取得したレンズIDを用いても、第3のID通信で取得したレンズIDを用いても良い。
S704では、アダプタマイコン301の判定部306は装着された交換レンズに対応する光学情報が記憶部303に記憶されているか否かを判定する。
S702またはS704で、アダプタマイコン301は装着された交換レンズに対応する光学情報が記憶部303に記憶されていると判断された場合にはS705に進む。アダプタマイコン301は装着された交換レンズに対応する光学情報が記憶部303に記憶されていないと判断された場合にはS706に進む。
S705では、アダプタマイコン301は装着された交換レンズの光学情報を用いた処理が可能であると設定する。この際、アダプタ制御部304はカメラ本体200に対して、記憶部303に記憶された交換レンズ100の光学情報を送信するようにしても良い。なお、カメラ本体200への光学情報の送信は図11に示すフローが全て完了した後に行われても良い。
一方、S706では、アダプタマイコン301は装着された交換レンズの光学情報を用いた処理が不能であると設定する。この場合、装着された交換レンズに対応する光学情報はカメラ本体200には送信されず、カメラ本体200において交換レンズ100の光学情報に基づく処理は行われない。
S707では、判定部306による判定結果を記憶部303に記憶する。記憶部303に記憶される判定結果は、交換レンズ100の機種に関する情報と共に記憶される。
このように、本実施例では交換レンズの属性(第1の交換レンズと第2の交換レンズ)毎に交換レンズの機種(種別)を識別する方法を用意している。このため、画一的な方法で交換レンズの機種を識別できないような場合であっても、アダプタ300は適切に装着された交換レンズの機種(種別)を識別することが可能となる。そして、その識別結果を元に光学情報を用いた処理の可否を判定することで、アダプタ300はカメラ本体に適切な光学情報を送信できるようになり、カメラ本体に適切に光学情報を用いた処理を行わせることが可能となる。
なお、本実施例のカメラシステム1では、アダプタ300に装着される交換レンズのうちの少なくとも一部が通信方式Bに対応するものである。このため、第2の交換レンズの認証(識別)の後に、さらに装着された交換レンズが他の通信方式(通信方式B)に対応しているか否かを判別している。そして、通信方式Bに対応する交換レンズであれば、さらなるID通信(第3のID通信)を行うようにしている。これにより、複数種の通信方式に対応する交換レンズがアダプタ300に装着された場合において、アダプタ300は交換レンズの機能を勘案した制御を行うことが可能となる。
なお、本実施例においても、実施例1,2と同様に、記憶部303に記憶された光学情報の使用可否の判定結果を元に光学情報を取得できるように構成される。このため、本実施例においても実施例1,2と同様の効果を得ることができる。
以上説明した実施例は代表的な例に過ぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
100 交換レンズ(レンズ装置)
200 カメラ本体(撮像装置)
300 アダプタ(アダプタ装置)
303 判定結果記憶部
304 制御部(識別部)
306 判定部

Claims (18)

  1. 撮像装置とレンズ装置の間に取り外し可能に装着され、前記撮像装置および前記レンズ装置と通信可能なアダプタ装置であって、
    装着されたレンズ装置を識別する識別部と、
    前記識別部の識別結果に基づいて前記レンズ装置に対応する光学情報の有無を判定する判定部と、
    前記判定部による判定結果を記憶する判定結果記憶部と、
    を有することを特徴とするアダプタ装置。
  2. 前記判定結果記憶部は、前記判定結果を前記識別部による前記レンズ装置の識別結果とともに記憶していることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ装置。
  3. 前記光学情報は前記レンズ装置に対応した歪曲補正、倍率色収差補正、周辺光量補正の少なくとも1つに用いられる情報であることを特徴とする請求項1または2に記載のアダプタ装置。
  4. 前記アダプタ装置は、レンズ装置の光学情報を記憶する光学情報記憶部を有し、
    前記判定部は、前記識別部によって識別されたレンズ装置に関する光学情報が前記光学情報記憶部に記憶されているか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアダプタ装置。
  5. 前記判定部によって前記光学情報が有ると判定された場合、前記アダプタ装置は前記光学情報を前記撮像装置に送信することを特徴とする請求項4に記載のアダプタ装置。
  6. 前記判定部によって前記光学情報が無いと判定された場合、前記アダプタ装置は前記レンズ装置に対する前記光学情報を用いた処理が不能であることを示す情報を前記撮像装置に送信することを特徴とする請求項4または5に記載のアダプタ装置。
  7. 前記アダプタ装置と前記レンズ装置との間で行われる通信の通信プロトコルは、前記アダプタ装置と前記撮像装置との間で行われる通信の通信プロトコルとは異なることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のアダプタ装置。
  8. 前記アダプタ装置は、前記撮像装置から送信された第1の信号を、前記アダプタ装置と前記レンズ装置との間で行われる通信における第2の信号に変換して前記レンズ装置に送信することを特徴とする請求項7に記載のアダプタ装置。
  9. 前記識別部は、
    装着されたレンズ装置に対して、レンズ装置の種別に関する情報を送信させる第1の識別処理を行い、
    前記第1の識別処理の後、装着されたレンズ装置に対して、前記第1の識別処理とは異なる処理であってレンズ装置の種別に関する情報を送信させる第2の識別処理を行い、
    前記判定部は、前記第1の識別処理に対して応答があった場合には前記第1の識別処理の結果に基づいて前記光学情報の有無を判定し、前記第1の識別処理に対して応答がなかった場合には第2の識別処理に対する応答に基づいて前記光学情報の有無を判定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のアダプタ装置。
  10. 撮像装置とレンズ装置の間に取り外し可能に装着され、前記撮像装置および前記レンズ装置と通信可能なアダプタ装置であって、
    装着されたレンズ装置の種別を識別する識別部と、
    前記識別部の識別結果に基づいて前記レンズ装置に対応する光学情報の有無を判定する判定部と、
    を有し、
    前記識別部は、装着されたレンズ装置に対して、レンズ装置の種別に関する情報を送信させる第1の識別処理を行い、前記第1の識別処理の後、装着されたレンズ装置に対して、前記第1の識別処理とは異なる処理であってレンズ装置の種別に関する情報を送信させる第2の識別処理を行い、
    前記判定部は、前記第1の識別処理に対して応答があった場合には前記第1の識別処理の結果に基づいて前記光学情報の有無を判定し、前記第1の識別処理に対して応答がなかった場合には第2の識別処理に対する応答に基づいて前記光学情報の有無を判定することを特徴とするアダプタ装置。
  11. 前記第2の識別処理は、
    クロック同期式の通信方式によりレンズ装置の種別に関する情報を送信させる通信と、
    クロック同期式の通信方式から調歩同期式の通信方式に切り替えた後にレンズ装置の種別に関する情報を送信させる通信と、
    を含むことを特徴とする請求項9または10に記載のアダプタ装置。
  12. 外部機器と通信する外部通信部を更に有し、
    前記判定結果に基づいて前記外部機器から光学情報を取得することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のアダプタ装置。
  13. 前記外部通信部を介して前記判定結果を送信し、前記外部機器から送信された光学情報を受信することを特徴とする請求項12に記載のアダプタ装置。
  14. 請求項12または13に記載のアダプタ装置と通信可能な処理装置であって、
    前記判定結果に基づく光学情報を前記アダプタ装置に送信する通信部を有することを特徴とする処理装置。
  15. 撮像装置とレンズ装置の間に取り外し可能に装着され、前記撮像装置および前記レンズ装置と通信可能なアダプタ装置の制御方法であって、
    装着されたレンズ装置を識別する識別ステップと、
    前記識別ステップの識別結果に基づいて前記レンズ装置に対応する光学情報の有無を判定する判定ステップと、
    前記判定ステップによる判定結果を記憶する判定結果記憶ステップと、
    を有することを特徴とする制御方法。
  16. 撮像装置とレンズ装置の間に取り外し可能に装着され、前記撮像装置および前記レンズ装置と通信可能なアダプタ装置の制御方法であって、
    装着されたレンズ装置の種別を識別する識別ステップと、
    前記識別ステップの識別結果に基づいて前記レンズ装置に対応する光学情報の有無を判定する判定ステップと、
    を有し、
    前記識別ステップでは、装着されたレンズ装置に対して、レンズ装置の種別に関する情報を送信させる第1の識別処理と、前記第1の識別処理の後、装着されたレンズ装置に対して、第1の識別処理とは異なる処理であってレンズ装置の種別に関する情報を送信させる第2の識別処理が行われ、
    前記判定ステップでは、前記第1の識別処理に対して応答があった場合には前記第1の識別処理の結果に基づいて前記光学情報の有無が判定され、前記第1の識別処理に対して応答がなかった場合には第2の識別処理に対する応答に基づいて前記光学情報の有無が判定されることを特徴とする制御方法。
  17. 撮像装置とレンズ装置の間に取り外し可能に装着され、前記撮像装置および前記レンズ装置と通信可能なアダプタ装置を制御するためのプログラムであって、
    前記プログラムは、
    装着されたレンズ装置を識別する識別ステップと、
    前記識別ステップの識別結果に基づいて前記レンズ装置に対応する光学情報の有無を判定する判定ステップと、
    前記判定ステップによる判定結果を記憶する判定結果記憶ステップと、
    を含む制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  18. 撮像装置とレンズ装置の間に取り外し可能に装着され、前記撮像装置および前記レンズ装置と通信可能なアダプタ装置を制御するためのプログラムであって、
    前記プログラムは、
    装着されたレンズ装置の種別を識別する識別ステップと、
    前記識別ステップの識別結果に基づいて前記レンズ装置に対応する光学情報の有無を判定する判定ステップと、
    を含む制御方法をコンピュータに実行させ、
    前記識別ステップでは、装着されたレンズ装置に対して、レンズ装置の種別に関する情報を送信させる第1の識別処理と、前記第1の識別処理の後、装着されたレンズ装置に対して、第1の識別処理とは異なる処理であってレンズ装置の種別に関する情報を送信させる第2の識別処理が行われ、
    前記判定ステップでは、前記第1の識別処理に対して応答があった場合には前記第1の識別処理の結果に基づいて前記光学情報の有無が判定され、前記第1の識別処理に対して応答がなかった場合には第2の識別処理に対する応答に基づいて前記光学情報の有無が判定されることを特徴とするプログラム。
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