JP2020164433A - ハロゲン化炭化水素の精製方法、2,2−ジフルオロブタンの精製方法及び2,2−ジフルオロブタンの製造方法 - Google Patents

ハロゲン化炭化水素の精製方法、2,2−ジフルオロブタンの精製方法及び2,2−ジフルオロブタンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】2,2−ジフルオロブタンをはじめとするハロゲン化炭化水素の高純度化を実現できる精製方法を提供する。【解決手段】ハロゲン化炭化水素の精製方法であって、前記ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点を有する不純物を含む粗ハロゲン化炭化水素に活性炭を接触させた後、精留するか、又は前記ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点を有する不純物を含む粗ハロゲン化炭化水素を精留した後、活性炭を接触させることを特徴とする、ハロゲン化炭化水素の精製方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ハロゲン化炭化水素の精製方法、2,2−ジフルオロブタンの精製方法及び2,2−ジフルオロブタンの製造方法に関する。
半導体装置の製造過程で使用される、プラズマエッチングガスや化学気相成長法(CVD)用ガスには高純度化が求められており、この要求を満たす可能性のある材料として、gem−ジフルオロアルカン、とりわけ2,2−ジフルオロアルカンが注目されている。
ここで、gem−ジフルオロアルカンや2,2−ジフルオロアルカンの製造方法として、幾つかの方法が報告されている。
特許文献1においては、環式モノテルペン類、メルカプタン類及びフェノール類の群から選択される1種又は2種以上の化合物の存在下にアルキン類とフッ化水素を反応させて、gem−ジフルオロアルカンを製造する方法が開示されている。
特許文献2においては、重合性オレフィンを含むアルキン類にフッ素化アルカンを添加し、重合性オレフィンを蒸留除去する工程、前記工程から得られたフッ素化アルカンを含むアルキン類にフッ化水素を反応させる工程を含む、gem−ジフルオロアルカンを製造する方法が開示されている。
特許文献3においては、アルキン類とフッ化水素とを非極性溶媒下で反応させて、gem−ジフルオロアルカンを製造する方法が開示されている。
特許文献4においては、2,2−ジフルオロブタンについて、その分解を抑制しつつ、水分を低減させるため、モレキュラーシーブス3Aと接触させる方法が開示されている。
特許文献5においては、純度が99.9容量%、フルオロブテン類と2−ブチンが合計で800容量%以下である2,2−ジフルオロブタン及びその製造方法が記載されている。
特許文献6においては、2,2−ジフルオロブタンの精製方法として、蒸留中の分解発生を抑制するため、水を添加しながら、蒸留処理する方法が開示されている。
特開平5−221892号公報 特開平5−255143号公報 特開平6−100475号公報 特開2014−24785号公報 特開2014−185111号公報 特開2017−48119号公報
しかしながら、2,2−ジフルオロブタンをはじめとする2,2−ジフルオロアルカン、さらにはgem−ジフルオロアルカンやハロゲン化炭化水素については、いっそうの高純度化の要求があり、これらの精製方法の改善が依然として求められている。
そのような中、本発明者は、従来の2−ブチンにフッ化水素を付加させて得られる2,2−ジフルオロブタンに関し、原料となる2−ブチンのグレードによっては、特定の不純物が残存しやすく、目的物の2,2−ジフルオロブタンの高純度化を妨げていることを見出した。
一般に、原料となる2−ブチンには、不純物としてオレフィン類、飽和炭化水素、飽和エーテル類が含まれ得る。これらのうち、オレフィン類は、付加反応に使用される無水フッ化水素によって、オリゴマー化され高分子量体に変換されるため、後工程の精留時に与える影響は小さい。一方で、目的物である2,2−ジフルオロブタンの沸点と非常に接近した沸点を有するアルカンやジアルキルエーテルは、無水フッ化水素と接触しても、それら自体は変化することなく、反応終了後もその状態で残存し、原料となる2−ブチン中の含有量が微量であっても、精留工程で濃縮される。2,2−ジフルオロブタンと沸点の非常に接近したアルカンやジアルキルエーテルとしては、2,2−ジフルオロブタンの沸点(32℃)との差が10℃以内のものが挙げられ、中でも沸点が27℃以上40℃以下である、イソペンタン(沸点:28℃)、n−ペンタン(沸点:36℃)、ジエチルエーテル(沸点:34℃)は、精留時に、2,2−ジフルオロブタンと分離することが非常に困難な不純物である。
上記特許文献1〜3では、精製後のgem−ジフルオロアルカン類中の不純物等については記載がなされておらず、上記特許文献4では、除去対象の不純物として水分が専ら着目されており、上記特許文献5では、2,2−ジフルオロブタン中の2−ブチン及び反応で生成するフルオロブテン類の残存量が制御されている。また、上記特許文献6には、不純物としてのフッ化水素発生の抑制についての記載がある。しかしながら、いずれにも、目的物と沸点に非常に近接した不純物については記載がない。本発明者は、目的物と沸点に非常に近接した不純物は、それ自体が精留時に除去し難いばかりではなく、精留時の障害となり、他の不純物の除去をし難くし、この点でも高純度化の妨げになることを見出した。
本発明者は、粗2,2−ジフルオロブタンの精留前又は精留後に、活性炭を接触させると、2,2−ジフルオロブタンの沸点と非常に接近した沸点を有するアルカンやジアルキルエーテルの含有量を低減させることができ、目的物である2,2−ジフルオロブタンの高純度化を実現できること、さらに、それをハロゲン化炭化水素の精製方法に応用することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、ハロゲン化炭化水素の精製方法であって、
前記ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点を有する不純物を含む粗ハロゲン化炭化水素に活性炭を接触させた後、精留するか、又は
前記ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点を有する不純物を含む粗ハロゲン化炭化水素を精留した後、活性炭を接触させる
ことを特徴とする、ハロゲン化炭化水素の精製方法が提供される。
本明細書において、単蒸留とは、一定量の原液を缶に仕込み加熱沸騰させ、発生蒸気を凝縮器で凝縮させ、原液中の低沸点成分を濃縮する方法をいう。
本明細書において、精留(精密蒸留ともよばれる。)とは、蒸留に際して、すでに凝縮した液をさらに続いて発生する蒸気と接触させて蒸留を行い、原液中の低沸点成分を濃縮する方法をいう。精留の場合、1回の蒸留(前述の単蒸留)と比べ、上昇する蒸気は、いっそう低沸点成分に富むようになり、一方、下降する液はいっそう高沸点成分が増加することになり、分離の向上を図ることができる。
本明細書において、「粗」ハロゲン化炭化水素とは、精製に付すハロゲン化炭化水素をいい、「粗」2,2−ジフルオロブタンとは、精製に付す2,2−ジフルオロブタンをいう。
また、本発明によれば、2,2−ジフルオロブタンの精製方法であって、
沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む粗2,2−ジフルオロブタンに活性炭を接触させた後、精留するか、又は
沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む粗2,2−ジフルオロブタンを精留した後、活性炭を接触させる
ことを特徴とする、2,2−ジフルオロブタンの精製方法が提供される。
本発明は、2,2−ジフルオロブタンを高純度化する上で有利である。
本明細書において、物質(2,2−ジフルオロブタン、2−ブチン等)の純度、不純物(n−ペンタン、イソペンタン、ジエチルエーテル等)の濃度は、実施例に記載のようにして、ガスクロマトグラフィー分析を行い、得られたクロマトグラムのピーク面積から換算することができる。
さらに、本発明によれば、粗2,2−ジフルオロブタンが、沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を0.010質量%超0.150質量%以下含む、上記の2,2−ジフルオロブタンの精製方法が提供される。
また、本発明によれば、粗2,2−ジフルオロブタンが、沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む2−ブチンに、フッ化水素を付加させて製造したものである、上記の2,2−ジフルオロブタンの精製方法が提供され、さらに、前記2−ブチンが、沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を0.010質量%超0.200質量%以下含む、上記の2,2−ジフルオロブタンの精製方法が提供される。
本発明は、粗2,2−ジフルオロブタンが、沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む2−ブチンを原料として製造されたものであるとき、効率的に高純度化することができ、有利である。特に、原料2−ブチンが上記不純物を0.010質量%超0.200質量%以下含む場合に、有用性が高い。
さらに、本発明によれば、前記粗2,2−ジフルオロブタンに活性炭を接触させた後、精留する、上記の2,2−ジフルオロブタンの精製方法が提供される。粗2,2−ジフルオロブタンの精留前に活性炭を接触させると、2,2−ジフルオロブタンと沸点の非常に接近したアルカンやジアルキルエーテルの含有量を低減させてから精留することができ、精留時の負荷を軽減させ、高純度化した2,2−ジフルオロブタンを収率よく得ることができる。
また、本発明によれば、活性炭が、平均細孔径2.0nm以上3.0nm以下を有する活性炭である、上記の2,2−ジフルオロブタンの精製方法が提供される。平均細孔径2.0nm以上3.0nm以下を有する活性炭は、2,2−ジフルオロブタンの高純度化の上で有利である。本明細書において、活性炭の平均細孔径はN吸着法で測定することができる。
本発明は、2,2−ジフルオロブタンの製造方法をも提供するものであり、
沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む2−ブチンに、フッ化水素を付加させた後、場合により単蒸留し、沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む粗2,2−ジフルオロブタンを得て、
前記粗2,2−ジフルオロブタンに活性炭を接触させた後、精留するか、又は前記粗2,2−ジフルオロブタンを精留した後、活性炭を接触させる
ことを特徴とする、2,2−ジフルオロブタンの製造方法に関する。
本発明によれば、目的物である2,2−ジフルオロブタンをはじめとするハロゲン化炭化水素の粗製物から、前記ハロゲン化炭化水素の沸点と非常に接近した沸点を有する不純物を低減させることができ、目的物の高純度化を実現できる。また、本発明によれば、収率よく高純度化した目的物を得ることができる。
本発明は、ハロゲン化炭化水素の精製方法であって、
前記ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点を有する不純物を含む粗ハロゲン化炭化水素に活性炭を接触させた後、精留するか、又は
前記ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点を有する不純物を含む粗ハロゲン化炭化水素を精留した後、活性炭を接触させる
ことを特徴とする、ハロゲン化炭化水素の精製方法に関する。
<粗ハロゲン化炭化水素>
本発明において、精製に付す粗ハロゲン化炭化水素は、ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点((ハロゲン化炭化水素の沸点−10℃)以上、かつ(ハロゲン化炭化水素の沸点+10℃)以下の沸点)を有する不純物を含む。不純物としては、ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点を有する、飽和炭化水素、飽和エーテル類が挙げられる。以下、粗2,2−ジフルオロブタンを例にとって説明する。
<粗2,2−ジフルオロブタン>
粗ハロゲン化炭化水素が粗2,2−ジフルオロブタンの場合、粗2,2−ジフルオロブタンは、2,2−ジフルオロブタンの沸点との差が10℃以内の沸点(22℃以上42℃以下の沸点)を有する不純物を含む。中でも、粗2,2−ジフルオロブタンが、沸点27℃以上40℃以下の範囲の不純物を含む場合に有利であり、このような不純物としては、イソペンタン、n−ペンタン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
とりわけ、粗2,2−ジフルオロブタンが、上記不純物を0.010質量%超0.150質量%以下で含む場合に有利である。上記下限値以上であれば、活性炭による吸着を効果的に行うことができ、また、上記上限値以下であれば、活性炭の使用量が多くなり効率が低下することを十分回避できる。不純物含有量は、0.015質量%以上が好ましく、また、0.120質量%以下が好ましい。
粗2,2−ジフルオロブタンとしては、例えば、イソペンタン、n−ペンタン及びジエチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上を上記範囲で含む2,2−ジフルオロブタンが挙げられ、イソペンタン及びn−ペンタンを上記範囲で含む2,2−ジフルオロブタンであってもよい。
粗2,2−ジフルオロブタンとして、2−ブチンにフッ化水素を付加させて製造した2,2−ジフルオロブタンを用いることができる。原料である2−ブチンとして、沸点が22℃以上42℃以上の不純物を含むものを使用することができ、中でも、前記2−ブチンが、沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む場合に有利である。
<原料2−ブチン>
とりわけ、原料2−ブチンが、上記不純物を0.010質量%超0.200質量%以下で含む場合に有利である。上記下限値以上であれば、粗2,2−ジフルオロブタンの活性炭接触において、効果的な活性炭による吸着を行うことができ、また、上記上限値以下であれば、活性炭の使用量が多くなり効率が低下することを十分回避できる。不純物含有量は、0.015質量%以上が好ましく、また、0.150質量%以下が好ましい。
原料2−ブチンとしては、例えば、イソペンタン、n−ペンタン及びジエチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上を上記範囲で含む2−ブチンが挙げられ、イソペンタン及びn−ペンタンを上記範囲で含む2−ブチンであってもよい。
原料2−ブチンからの2,2−ジフルオロブタンの製造方法は、フッ化水素との付加反応を利用するものであれば、特に限定されず、例えば、特開平5−221892号公報、特開平5−255143号公報、特開平6−100475号公報等に記載の方法を用いることができる。付加反応後に、未反応のフッ化水素を除去するため、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液と接触、混合させる処理を施すことができ、また、フッ化水素の付加反応時に生成する高沸点の副生成物(不純物オレフィン由来のオリゴマーや、2−ブチンの環化3量体など)を除去するため、単蒸留を実施することができる。活性炭接触の効果を十分に発揮させるために、単蒸留を行い、上記の高沸点成分を除去しておくことが好ましく、アルカリ水溶液での処理によってフッ化水素を除去した後、単蒸留を行うことが好ましい。
<活性炭>
活性炭として、平均細孔径が2.0nm以上3.0nm以下の活性炭を用いることができる。平均細孔径が上記範囲内の活性炭であれば、ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点を有する不純物を十分に吸着除去することができる。このような活性炭は、2,2−ジフルオロブタンが目的物の場合、イソペンタン、n−ペンタンの吸着除去に効果的である。活性炭の平均細孔径は、2.1nm以上が好ましく、2.2nm以上がより好ましく、また、2.9nm以下が好ましく、2.8nm以下がより好ましい。
活性炭の形状は、特に限定されず、粉体状、顆粒状、粒状、ハニカム状に加工成形されたものが挙げられる。中でも、取扱い易さの点で、顆粒状、粒状、ハニカム状に加工成形のものが好ましい。
<活性炭の接触>
活性炭の接触は、粗2,2−ジフルオロブタンの精留前であっても、精留後であってもよい。
活性炭の接触方法は、特に限定されず、浸漬法又は循環法を用いることができる。浸漬法の場合、活性炭が充填された容器に、精留前又は精留後の粗2,2−ジフルオロブタンを任意の時間、充填し、活性炭と接触させることができ、循環法の場合、活性炭が充填された筒状の容器(カラム)内を、ポンプを介して、精留前又は精留後の2,2−ジフルオロブタンを流通させて、循環させることができる。
活性炭は、精留前又は精留後の粗2,2−ジフルオロブタンに対し、体積比で、0.20倍以上1.50倍以下になる量とすることができ、好ましくは、0.25倍以上であり、また、好ましくは、1.25倍以下である。上記下限値以上であれば、十分な不純物低減効果が得られ、2,2−ジフルオロブタンの高純度化を十分図ることができる。また、上記上限値以下であれば、活性炭の使用量が多くなり、活性炭を充填する容器やカラム等の設備が大型化し、不経済を招くことを回避できる。
活性炭と、精留前又は精留後の粗2,2−ジフルオロブタンを接触させる際の温度は、0℃以上30℃以下の範囲とすることができ、20℃以上30℃以下の範囲が好ましい。上記下限値以上であれば、温度が低すぎることによって、容器又は配管内で凝縮した周囲からの水分が活性炭に吸着し、不純物の吸着能力が低下することを十分回避できる。また、上記上限値以下であれば、2,2−ジフルオロブタンがガス化し、活性炭に吸着し、不純物の吸着能力が低下することを十分回避できる。
活性炭と、精留前又は精留後の粗2,2−ジフルオロブタンの接触時間は、1日以上10日以下とすることができ、3日以上7日以下が好ましい。上記下限値以上であれば、不純物が十分に活性炭に吸着され、2,2−ジフルオロブタンの高純度化を十分図ることができる。また、上記下限値以下であれば、十分良好な生産性が得られる。
活性炭と、精留前又は精留後の粗2,2−ジフルオロブタンを接触させる際に、系内を窒素又はアルゴン等の不活性ガス下に置き、水分等のコンタミネーションを防止する措置を施してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によってその範囲を限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
実施例における分析条件は下記のとおりである。
・ガスクロマトグラフィー分析(GC分析)
装置:HP−7890(アジレント社製)
カラム:ジーエルサイエンス社製 Inert Cap−1、長さ60m、内径0.25mm、膜厚1.5μm
カラム温度:40℃で10分間保持、次いで、20℃/分で昇温し、その後240℃で10分間保持
インジェクション温度:200℃
キャリヤーガス:窒素
スプリット比:100/1
検出器:FID
データ処理装置:Chem Station(アジレント社製)
ピーク面積算出:面積百分率法
[製造例1]
攪拌機、ステンレス製冷却管を付した容量5Lのオートクレーブに、原料供給のためのポンプ、フッ化水素ボンベを接続した。オートクレーブをドライアイス/エタノール浴に浸し、温度を−70℃に保った。冷却管には−30℃の冷媒を循環させた。フッ化水素ボンベからフッ化水素1400gを供給し、オートクレーブ内に液化させた。
イソペンタン0.067面積%、n−ペンタン0.056面積%を含み、ジエチルエーテルが検出下限未満の純度98.49面積%の原料2−ブチンを用意した。攪拌機による撹拌下で、原料を入れた容器からポンプを介して、原料2−ブチン1280gを2時間かけて滴下し、−30℃で、原料2−ブチン350gを約1.7時間かけて滴下した。
原料2−ブチン滴下終了後、オートクレーブを0℃に昇温し、約5.5時間撹拌を継続した。内容物をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、2−ブチンの残量は0.03面積%であった。
1530gの水酸化カリウムを水5000gに溶解させた水溶液を別に用意し、攪拌羽を備えたガラス反応器内に入れ、−30℃に冷却した。このアルカリ水溶液中に、オートクレーブ内の内容物を窒素で加圧しながら送り込み、未反応のフッ化水素を中和した。
静置後、上層の有機層を分離し、塩化カルシウムで乾燥させた。塩化カルシウムを濾過後、単蒸留を行い、粗2,2−ジフルオロブタンを2045g得た。
得られた粗2,2−ジフルオロブタンをガスクロマトグラフィーにて分析した結果、2,2−ジフルオロブタンの純度は98.663面積%であり、イソペンタン0.035面積%、n−ペンタン0.058面積%を含んでいた。
[実施例1]
容量1.5Lのステンレス製容器に、活性炭(大阪ガスケミカル製、白鷺WH2C8、粒状、平均細孔径:約2.2nm)320mLを入れ、系内を真空ポンプを使用して減圧した。そのステンレス製容器に、製造例1で製造した粗2,2−ジフルオロブタン956gを吸い込ませ、室温(20〜22℃)下に、4日間放置した。
ステンレス製容器の内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、2,2−ジフルオロブタン99.483面積%、イソペンタン0.011面積%、n−ペンタン0.027面積%であった。ジエチルエーテルは検出下限未満であった。
次に、ステンレス製容器を窒素で微加圧し、孔径2μmのフィルターを介して粗2,2−ジフルオロブタン850gを容量1Lの蒸留釜に仕込んだ。KS型精留塔(東科精機社製、カラム長:60cm、充填剤:ヘリパックNo.1)を使って、蒸留を行った。蒸留においては、コンデンサーに−10℃の冷媒を循環させ、約1時間全還流を行った。蒸留釜は塔頂部の温度、及び釜内部の残量を考慮しながら、50℃から70℃まで加温した。全還流後、還流比40:1〜6:1の間で留分の抜き出しを行った。
その結果、イソペンタン0.032面積%、n−ペンタン0.057面積%を含む純度99.870面積%の2,2−ジフルオロブタンの初留分92gと、n−ペンタン0.011面積%を含む純度99.964面積%の2,2−ジフルオロブタンの本留分が734g得られた。初留分、本留分ともに、ジエチルエーテルは検出下限未満であり、本留中、イソペンタンは検出下限未満であった。仕込量に対する本留分の収率は、86%であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
製造例1で得られた粗2,2−ジフルオロブタン784gを容量1Lの蒸留釜に仕込み、KS型精留塔(東科精機社製、カラム長:60cm、充填剤:ヘリパックNo.1)を使って、蒸留を行った。コンデンサーには−10℃の冷媒を循環させ、約1時間全還流を行った。蒸留釜は塔頂部の温度、及び釜内部の残量を考慮しながら、50℃から70℃まで加温した。全還流後、還流比40:1〜6:1の範囲で留分の抜き出しを行った。
その結果、イソペンタン0.050面積%、n−ペンタン0.144面積%を含む純度99.632面積%の2,2−ジフルオロブタンを含む初留分78gと、n−ペンタン0.019面積%を含む純度99.954面積%の2,2−ジフルオロブタンを含む本留分が611g得られた。初留分、本留分ともに、ジエチルエーテルは検出下限未満であり、本留中、イソペンタンは検出下限未満であった。仕込量に対する本留分の収率は、78%であった。結果を表1に示す。
Figure 2020164433
実施例1では、活性炭接触によってイソペンタン、n−ペンタンが除去されており、本留分に示されるように、高純度の2,2−ジフルオロブタンが高い収率で得られた。
一方、活性炭接触なしで精留を行った比較例1の本留分は、2,2−ジフルオロブタンの純度及び収率ともに実施例1に及ばなかった。
[実施例2]
容量20mLの硝子製サンプル瓶に、白鷺WH2C8(3mL)(粒状、大阪ガスケミカル製)と、実施例1で得られた2,2−ジフルオロブタンの初留分3mLを入れて密閉し、20〜22℃の室温下に、7日間放置した。その後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、イソペンタン0.025面積%、n−ペンタン0.038面積%を含む、純度99.902面積%の2,2−ジフルオロブタンであった。ジエチルエーテルは検出下限未満であった。結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例2において、活性炭を白鷺WH2C8(3mL)から、白鷺WH2X4(粒状、3mL、大阪ガスケミカル製、平均細孔径:約2.8nm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして浸漬を行った。7日後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、イソペンタン0.029面積%、n−ペンタン0.055面積%を含む、純度99.876面積%の2,2−ジフルオロブタンであった。ジエチルエーテルは検出下限未満であった。結果を表2に示す。
[実施例4]
実施例2において、活性炭を白鷺WH2C8(3mL)から、モルシーボンX2MH(粒状、3mL、大阪ガスケミカル製、平均細孔径:約2.5nm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして浸漬を行った。7日後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、イソペンタン0.012面積%、n−ペンタン0.026面積%を含む、純度99.911面積%の2,2−ジフルオロブタンであった。ジエチルエーテルは検出下限未満であった。結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例2において、活性炭を、窒素気流下、350℃で8時間焼成したモレキュラーシーブス13X(1.6mm円柱状、和光純薬工業製、平均細孔径:0.9nm)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、浸漬を実施した。内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、イソペンタンと、n−ペンタンの含有率は、それぞれ0.049面積%、0.144面積%であり、仕込時と比較して、純度に変化が認められなかった。ジエチルエーテルは検出下限未満であった。
さらに、2,2−ジフルオロブタンの分解反応が起こり、純度を維持することができなかった。結果を表2に示す。
Figure 2020164433
実施例2〜4より、活性炭接触によってイソペンタン、n−ペンタンが除去され、純度が向上することがわかる。初留分は、通常、廃棄又は再蒸留の対象であるが、実施例2〜4は、活性炭接触により十分に純度が向上しており、利用の可能性がある。このような効果は、比較例1に示されるように、モレキュラーシーブを接触させた場合には得られなかった。
本発明によれば、目的物である2,2−ジフルオロブタンをはじめとするハロゲン化炭化水素の粗製物から、前記ハロゲン化炭化水素の沸点と非常に接近した沸点を有する不純物を低減させることができ、目的物の高純度化を実現できる。本発明は、収率よく高純度化した目的物を得ることができるので工業的に有利である。また、目的物である2,2−ジフルオロブタンをはじめとするハロゲン化炭化水素は、半導体装置の製造分野におけるプラズマエッチングガスやCVD用ガス、含フッ素医薬中間体、ハイドロフルオロカーボン系溶剤として有用である。本発明の精製方法及び製造方法は、プラズマ反応を用いた半導体装置の製造分野における厳しい高純度化の要求に応え得るものであり、目的物である2,2−ジフルオロブタンをはじめとするハロゲン化炭化水素はプラズマエッチングガス、CVD用ガス等に好適である。

Claims (8)

  1. ハロゲン化炭化水素の精製方法であって、
    前記ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点を有する不純物を含む粗ハロゲン化炭化水素に活性炭を接触させた後、精留するか、又は
    前記ハロゲン化炭化水素の沸点との差が10℃以内の沸点を有する不純物を含む粗ハロゲン化炭化水素を精留した後、活性炭を接触させる
    ことを特徴とする、ハロゲン化炭化水素の精製方法。
  2. 2,2−ジフルオロブタンの精製方法であって、
    沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む粗2,2−ジフルオロブタンに活性炭を接触させた後、精留するか、又は
    沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む粗2,2−ジフルオロブタンを精留した後、活性炭を接触させる
    ことを特徴とする、2,2−ジフルオロブタンの精製方法。
  3. 粗2,2−ジフルオロブタンが、沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を0.010質量%超0.150質量%以下含む、請求項2記載の2,2−ジフルオロブタンの精製方法。
  4. 粗2,2−ジフルオロブタンが、沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む2−ブチンに、フッ化水素を付加させて製造したものである、請求項2又は3記載の2,2−ジフルオロブタンの精製方法。
  5. 前記2−ブチンが、沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を0.010質量%超0.200質量%以下含む、請求項4記載の2,2−ジフルオロブタンの精製方法。
  6. 前記粗2,2−ジフルオロブタンに活性炭を接触させた後、精留する、請求項2〜5のいずれか一項記載の2,2−ジフルオロブタンの精製方法。
  7. 活性炭が、平均細孔径2.0nm以上3.0nm以下を有する活性炭である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の2,2−ジフルオロブタンの精製方法。
  8. 沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む2−ブチンに、フッ化水素を付加させた後、場合により単蒸留し、沸点が27℃以上40℃以下であるアルカン及び沸点が27℃以上40℃以下であるジアルキルエーテルからなる群より選択される1種以上を含む粗2,2−ジフルオロブタンを得て、
    前記粗2,2−ジフルオロブタンに活性炭を接触させた後、精留するか、又は前記粗2,2−ジフルオロブタンを精留した後、活性炭を接触させる
    ことを特徴とする、2,2−ジフルオロブタンの製造方法。
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