JP2020162283A - 誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法及びアクチュエータ装置 - Google Patents

誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法及びアクチュエータ装置 Download PDF

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雄一 矢野
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直人 松永
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Abstract

【課題】印加開始後初期における誘電エラストマーアクチュエータの温度上昇を低減し、絶縁破壊電圧の低下を防止する。【解決手段】誘電エラストマー成形体を第1電極と第2電極とで挟んだ構造を有する誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法において、第1電極と第2電極との間に、誘電エラストマーアクチュエータが必要量の変位を発生させるのに必要な駆動電圧よりも低い初動電圧を、印加開始後所定時間印加した後、前記駆動電圧を印加する。【選択図】図2

Description

本発明は、誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法及びアクチュエータ装置に関するものである。
誘電エラストマーアクチュエータは、誘電エラストマー成形体を2つの電極で挟んだ基本構造を有する駆動装置である(特許文献1,2)。2つの電極間に電圧を印加すると、電極間に発生したクーロン力により、誘電エラストマー成形体は、電極間方向に収縮変形し、その直角方向に伸長変形するので、これらの変形を駆動用の変位として取り出す駆動装置となる。これらの変形の量ひいては変位は、印加する電圧によって変わるため、誘電エラストマーアクチュエータが必要量の変位を発生させるのに必要な駆動電圧を印加することになる。
従来の誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法(電圧の印加方法)は、2つの電極間に、前記駆動電圧を印加開始時から印加するというものであった。
特開2010−86864号公報 特開2017−66318号公報
しかし、前記駆動電圧が高い場合に、駆動電圧を印加開始時から印加すると、印加開始後初期に過大な電流(吸収電流)が流れ、アクチュエータが発熱して温度上昇することがある。アクチュエータの温度上昇は、絶縁破壊電圧の低下を起こして、絶縁破壊を加速するため、問題となる。
この発熱の原因は、現時点では判明していないが、誘電エラストマー成形体の内部に正極性又は負極性のどちらかに偏って存在する空間電荷が関連しているものと推定される。
そこで、本発明の目的は、印加開始後初期における誘電エラストマーアクチュエータの温度上昇を低減し、絶縁破壊電圧の低下を防止することにある。
本発明者らは、種々検討した結果、印加する電圧が高くなるほど、吸収電流が大きくなる傾向があること、また、ある程度の電荷が流れると、吸収電流がなくなり、漏れ電流のみになる現象を見出し、さらに検討を重ねて本発明に至った。
[1]誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法
誘電エラストマー成形体を第1電極と第2電極とで挟んだ構造を有する誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法において、
第1電極と第2電極との間に、誘電エラストマーアクチュエータが必要量の変位を発生させるのに必要な駆動電圧よりも低い初動電圧を、印加開始後所定時間印加した後、前記駆動電圧を印加することを特徴とする誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
[2]アクチュエータ装置
誘電エラストマー成形体を第1電極と第2電極とで挟んだ構造を有する誘電エラストマーアクチュエータと、第1電極と第2電極との間に電圧を印加する電圧印加装置とを含むアクチュエータ装置であって、
電圧印加装置は、第1電極と第2電極との間に、誘電エラストマーアクチュエータが必要量の変位を発生させるのに必要な駆動電圧よりも低い初動電圧を、印加開始後所定時間印加した後、前記駆動電圧を印加する装置であることを特徴とするアクチュエータ装置。
<作用>
誘電エラストマーアクチュエータが必要量の変位を発生させるのに必要な駆動電圧よりも低い初動電圧を、印加開始後所定時間印加した後、前記駆動電圧を印加すると、過大な吸収電流が抑制され、その結果、誘電エラストマーアクチュエータの温度上昇が抑制される。
本発明によれば、印加開始後初期における誘電エラストマーアクチュエータの温度上昇を抑制し、絶縁破壊電圧の低下を防止することができるという優れた効果を奏する。
図1は実施例の誘電エラストマーアクチュエータを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は拡大断面図である。 図2は実施例1の駆動方法を比較例と対比して示し、(a)は電圧−時間曲線を示すグラフ図、(b)は電流−時間曲線を示すグラフ図、(c)は温度−時間曲線を示すグラフ図である。 図3は実施例2の駆動方法を比較例と対比して示し、(a)は電圧−時間曲線を示すグラフ図、(b)は電流−時間曲線を示すグラフ図、(c)は温度−時間曲線を示すグラフ図である。 図4は実施例3の駆動方法を比較例と対比して示し、(a)は電圧−時間曲線を示すグラフ図、(b)は電流−時間曲線を示すグラフ図、(c)は温度−時間曲線を示すグラフ図である。 図5は実施例4の駆動方法を比較例と対比して示し、(a)は電圧−時間曲線を示すグラフ図、(b)は電流−時間曲線を示すグラフ図、(c)は温度−時間曲線を示すグラフ図である。 図6は実施例5の駆動方法を比較例と対比して示し、(a)は電圧−時間曲線を示すグラフ図、(b)は電流−時間曲線を示すグラフ図、(c)は温度−時間曲線を示すグラフ図である。
[1]誘電エラストマー成形体
誘電エラストマー成形体は、誘電エラストマーからなり、誘電エラストマー以外の成分を含んでいてもよい。
誘電エラストマーとしては、特に限定されないが、シリコーンエラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、天然ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ウレアゴム、フッ素ゴム、架橋ポリロタキサン等を例示できる。
これら種々の誘電エラストマーを検討したところ、ウレタン系エラストマーは、上述したように印加開始後初期に過大な吸収電流が流れやすい。よって、誘電エラストマーとしてウレタン系エラストマーを用いる場合に、本発明は特に好適である。ウレタン系エラストマーとしては、ポリロタキサンと架橋剤とがウレタン結合で結合されている架橋ポリロタキサン、ウレタンゴム等を例示できる。
誘電エラストマー成形体の形態としては、特に限定されないが、膜、線、短冊、リング、棒、塊等を例示できる。また、膜等は別の基材上に塗工されたものであってもよい。
誘電エラストマー成形体は、変位を大きく取れる点で、2以上の膜状の誘電エラストマー成形体と3以上の電極とを交互に(第1電極/誘電エラストマー成形体/第2電極/誘電エラストマー成形体/第1電極・・・)積層したものが好ましい。この場合、2以上の誘電エラストマー成形体は、互いに同一材料でもよいし異材料でもよい。異材料としては、架橋ポリロタキサンとそれ以外の誘電エラストマーとの併用を例示できる。
積層数は、特に限定されないが、誘電エラストマー層の層数で表すと、2〜190が好ましく、10〜150がより好ましい。
上記において、ポリロタキサンは、環状分子に直鎖状分子が相対スライド可能に貫通し、直鎖状分子の両末端に配された封鎖基により環状分子が脱離しない構造の分子集合体であり(例えば国際公開第2005/080469号)、スライドリングマテリアルとも称されている。ポリロタキサンは、特定の環状分子、直鎖状分子、封鎖基を有するものに限定されない。
環状分子としては、シクロデキストリン、クラウンエーテル、シクロファン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、環状アミド等を例示できる。
直鎖状分子としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン等のポリエーテル類、ポリ乳酸等のポリエステル類、6−ナイロン等のポリアミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエン等のジエン系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリイソブチレン等のビニル重合体や、ポリジメチルシロキサン等を例示できる。
封鎖基としては、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、置換ベンゼン類(置換基として、アルキル、アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、スルホニル、カルボキシル、アミノ、フェニルなどを例示できる。)、置換されていてもよい多核芳香族類(置換基として、上記と同じものを例示できる。)、ステロイド類等を例示できる。
現在、最も一般的なポリロタキサンは、環状分子としてシクロデキストリン、直鎖状分子としてポリエチレングリコールを用いたものである。
そして、架橋ポリロタキサンは、隣接するポリロタキサンの環状分子間が架橋剤で架橋されたものであり、誘電率が高いことと、粘弾性等のユニークな力学的特性から、誘電エラストマーアクチュエータの誘電エラストマー成形体に適している。架橋剤は、特定のものに限定されない。
架橋剤としては、塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、脂肪族多官能イソシアネート、芳香族多官能イソシアネート、ジイソシアン酸トリレイン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジビニルスルホン、1,1‘−カルボニルジイミダゾール、アルコキシシラン類、およびそれらの誘導体、両末端にイソシアネートを有する重合体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、ポリシロキサンを含有するブロック共重合体(ポリカプロラクトン−ポリシロキサンブロック共重合体、ポリアジペート−ポリシロキサンブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリシロキサンブロック共重合体等)等を例示できる。
[2]第1電極及び第2電極
第1電極及び第2電極は、誘電エラストマー成形体の変形に追従して変形できるものであり、特に限定されないが、導電性粒子からなる導電性膜、導電性粒子を含む導電性塗膜、導電性粒子を含む導電性エラストマー成形体等を例示できる。
ここで、導電性粒子としては、特に限定されないが、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、白金、金、銀、銅、ニッケル等の粒子等を例示できる。
導電性塗膜の樹脂成分としては、特に限定されないが、フタル酸系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ビニル系等の樹脂を例示できる。
導電性エラストマー成形体のエラストマー成分としては、特に限定されないが、上記[1]で例示した誘電エラストマーを例示できる。
[3]駆動電圧
駆動電圧(実効値)は、特に限定されないが、900V以上が好ましく、1000V以上がより好ましい。駆動電圧が900V以上と高い場合に過大な吸収電流が流れやすく、それを抑制できる本発明が特に有益となるからである。駆動電圧の上限は、特にないが、敢えていえば5000Vである。
駆動電圧の波形は、特に限定されず任意であり、直流、矩形波、正弦波等を例示できる。
[4]初動電圧
初動電圧(実効値)は、駆動電圧よりも低ければ一定の電圧でも変化する電圧でもよく、特に限定されないが、次の態様を例示できる。
(ア)初動電圧は、一定の電圧である。
(イ)初動電圧は、傾斜線状に上昇する電圧である。傾斜線状としては、一直線状、曲線状、折れ線状等を例示できる。
(ウ)初動電圧は、段階的に上昇する電圧である。段階数は、特に限定されない。
(エ)初動電圧は、第1電極と第2電極との間に流れる電量が所定電流以下となるように制御される。所定電流は、適宜設定でき、例えば駆動電圧を印加開始時から印加した場合に流れる吸収電流のピーク値の70%の電流、好ましくは50%の電流に設定することができる。
(オ)初動電圧は、誘電エラストマーアクチュエータの表面温度が所定温度以下となるように制御される。所定温度は、適宜設定でき、例えば駆動電圧を印加開始時から印加した場合に到達する表面温度のピーク値よりも3℃低い温度、好ましくは5℃低い温度に設定することができる。
上記態様(ア)〜(オ)は、適宜組み合わせることもできる。
初動電圧の波形は、特に限定されず任意であり、直流、矩形波、正弦波等を例示できる。
初動電圧を印加する印加開始後の「所定時間」は、特に限定されないが、1秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、20秒以上が最も好ましい。1秒未満では、誘電エラストマー成形体に電荷が充分に流れないからである。所定時間の上限は、特にないが、敢えていえば60分である。
以下、本発明を具体化した誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法及び電圧印加装置の実施例について、次の順に説明する。なお、本発明は本実施例に限定されるものではない。
<1>誘電エラストマー成形体(架橋ポリロタキサン成形体)の作製
<2>電極(導電性エラストマー成形体)の作製
<3>誘電エラストマーアクチュエータの作製
<4>駆動試験
<1>誘電エラストマー成形体(架橋ポリロタキサン成形体)の作製
本出願人が先に提案した、特開2017−66318号公報の実施例1と同様のポリロタキサン組成物を作製した。
すなわち、まず、同公報に開示された、ポリロタキサンAと、ポリシロキサンを含有するブロック共重合体Bと、ポリシロキサンを含有しない重合体Cとを作製した。
ポリロタキサンAは、具体的には、環状分子としてシクロデキストリンを含有し、直鎖状分子としてポリエチレングリコールを含有し、直鎖状分子の両末端に封鎖基が配置されたものである。本例のポリロタキサンAは、さらに溶化性や相溶性を得るため、カプロラクトン基を有するものである。
ポリシロキサンを含有するブロック共重合体Bは、ポリシロキサン(シリコーン成分)により耐湿性を向上させるものであり、具体的には、末端ブロックイソシアネート基を有するポリカプロラクトン−ポリジメチルシロキサン−ポリカプロラクトンのブロック共重合体である。同共重合体Bの添加は任意である。
ポリシロキサンを含有しない重合体Cは、ポリロタキサンとの相溶性が高く、これを含むことで高誘電率と低弾性を実現するものであり、具体的には、末端ブロックイソシアネート基を有するポリプロピレングリコールである。同重合体Cの添加は任意である。
これらとその他の成分を、次に示す配合(配合数値は質量部)で加えて攪拌し、よく脱泡して、ポリロタキサン組成物溶液を調製した。
ポリロタキサンA 10
ポリシロキサンブロック共重合体B 4.9
重合体C 10.5
ポリプロピレングリコールジオール 4.7
メチルセロソルブ 25.9
ジラウリル酸ジブチルスズ 0.014
DBL−C31(GELEST社製) 0.14
IRGANOX1726(BASF社製) 0.42
上記ポリロタキサン組成物溶液を、ポリエチレンテレフタラート(PET)板の上にスリットダイコータ法により塗布し、厚さ50μmのポリロタキサン成形体(膜)を形成した。続いて、PET板付きのポリロタキサン成形体を、130℃のオーブン内に減圧条件下で5時間おいて架橋・硬化させ、硬化した架橋ポリロタキサン成形体(誘電エラストマー成形体)をPET板から剥がした。
<2>電極(導電性エラストマー成形体)の作製
シリコーンエラストマーとその他の成分を、次に示す配合(配合数値は質量部)で加えて攪拌し、よく脱泡して、エラストマー組成物溶液を作製した。カーボン粒子は、エラストマー成形体に導電性を付与するものである。
シリコーンエラストマー 10
有機溶媒(ヘプタン) 300
カーボン粒子(ケッチェンブラック) 1
上記エラストマー組成物溶液を、PET板の上にスリットダイコータ法により塗布し、厚さ10μmの導電性エラストマー成形体(膜)を形成した。続いて、PET板付きの導電性エラストマー成形体を、100℃のオーブン内に減圧条件下で24時間おいて架橋・硬化させ、硬化した導電性エラストマー成形体をPET板から剥がした。
<3>誘電エラストマーアクチュエータの作製
上記架橋ポリロタキサン成形体と導電性エラストマー成形体を、それぞれ表面プラズマ処理した。
図1(a)に示すように、架橋ポリロタキサン成形体を14mm×15mmの長方形に切断して、誘電エラストマー成形体3とした。また、導電性エラストマー成形体を10mm×12.5mmの長方形に切断して、第1電極1及び第2電極2とした。
図1(b)(c)に示すように、10層の誘電エラストマー成形体3と、6層の第1電極1と、5層の第2電極2とを交互に(第1電極1/誘電エラストマー成形体3/第2電極2/誘電エラストマー成形体3/第1電極1・・・第1電極1)積層した。この10層の誘電エラストマー成形体3が電圧印加により変形するものである。さらに、最上層の第1電極1の上と、最下層の第1電極1の下に、それぞれ電極保護のための保護層4を積層した。保護層4には誘電エラストマー層3と同じものを用いた。
第1電極1と第2電極2は、上記12.5mmの長さ方向に2.5mmずらして配されることにより、図1(a)に示すように、平面視で10mm×10mmの正方形領域で誘電エラストマー成形体3を挟んでいる。また、2.5mmずらした部分にはシリコーンエラストマーからなる厚さ10μmの外埋め層5が設けられ、誘電エラストマー成形体3に段が付かないようになっている。
こうしてできた積層体を真空加熱プレス機にかけ、真空度100Pa以下、加熱温度100℃の下で、圧力0.67MPaで5分圧着して接合した。積層体の一方の側面に銀粒子を含むシリコーンエラストマーを塗布して架橋・硬化させ、すべての第1電極1に導通する第1外部電極6を形成した。また、積層体の他方の側面に銀粒子を含むシリコーンエラストマーを塗布して架橋・硬化させ、すべての第2電極2に導通する第2外部電極7を形成した。第1電極1と第2電極2とは電気的につながっていない。こうして、誘電エラストマーアクチュエータ10を作製した。
さらに、誘電エラストマーアクチュエータ10を、接着剤11(例えばウレタン系接着剤)により、基板12(例えばガラス繊維強化エポキシ樹脂基板)に接着した。
<4>駆動試験
図1(c)に示すように、誘電エラストマーアクチュエータ10の第1外部電極6と第2外部電極7に電圧印加装置20を接続し、その途中に保護抵抗(1KΩ)を直列に入れ、第1電極1と第2電極2との間に比較例及び実施例1〜5の各電圧プロフィールで直流電圧を印加する試験(駆動方法)を行った。試験環境は、温度25℃、湿度40%以下の大気中である。電流計で保護抵抗での電圧降下を検出することにより電流値を測定した。また、誘電エラストマーアクチュエータ10の表面温度をサーモグラフィを用いて測定した。
第1電極1と第2電極2との間に電圧を印加すると、電極間に溜まった電荷のクーロン力により、図1(b)に示すように、誘電エラストマー成形体3は、電極間方向に収縮変形し、その直角方向に伸長変形するので、これらの変形を駆動用の変位として取り出す駆動装置となる。比較例及び実施例1〜5では、誘電エラストマーアクチュエータ10が必要量の変位を発生させるのに必要な駆動電圧を、1200Vとした。
図2〜図6に、実施例1〜5の電圧プロフィールと電流と表面温度の経時変化曲線を、それぞれ比較例と対比して示す。なお、測定開始と電圧印加開始とは同期しておらず、いずれの曲線も横軸は測定開始からの経過時間(秒)であり、測定開始から5秒遅れて電圧印加が開始された。
比較例は、測定開始から5秒後に1200Vの駆動電圧を印加開始した例である。印加直後に吸収電流のピーク値が約100μAとなり、印加開始から約33秒後に表面温度が約37.5℃に達した。
実施例1は、測定開始から5秒後〜65秒後の60秒間で0Vから1200Vの直前まで一直線の傾斜線状に上昇する初動電圧を印加した後、1200Vの駆動電圧を印加した例である。印加開始から約71秒後に吸収電流のピーク値が約38μAとなり、印加開始から約100秒後に表面温度が約31.6℃に達した。
実施例2は、測定開始から5秒後〜35秒後の30秒間で0Vから600Vまで、35秒後〜95秒後の60秒間で600Vから1000Vまで、95秒後〜155秒後の60秒間で1000Vから1200Vの直前まで折れ線の傾斜線状に上昇する初動電圧を印加した後、1200Vの駆動電圧を印加した例である。印加開始から約54秒後に吸収電流のピーク値が約31μAとなり、表面温度のピーク的上昇は見られなかった。
実施例3は、測定開始から5秒後〜65秒後の60秒間、600Vで一定の初動電圧を印加した後、1200Vの駆動電圧を印加した例である。印加開始から約8秒後と約67秒後に吸収電流のピーク値がそれぞれ約32μAと約41μAとなり、印加開始から約83秒後に表面温度が約29.2℃に達した。
実施例4は、測定開始から5秒後〜65秒後の60秒間、800Vで一定の初動電圧を印加した後、1200Vの駆動電圧を印加した例である。印加開始から約14秒後と約77秒後に吸収電流のピーク値がそれぞれ約48μAと約37μAとなり、印加開始から約88秒後に表面温度が約29.7℃に達した。
実施例5は、測定開始から5秒後〜65秒後の60秒間は600V、65秒後〜125秒後の60秒間は1000Vと、段階的に上昇する初動電圧を印加した後、1200Vの駆動電圧を印加した例である。印加開始から約16秒後と約71秒後と約131秒後に吸収電流のピーク値がそれぞれ約36μAと約36μAと約27μAとなり、印加開始から約77秒後に表面温度が約30.1℃に達した。
以上のとおり、実施例1〜5は、比較例に対して、吸収電流のピーク値が31〜48%に低下し、表面温度のピーク値が5.9℃以上低下した。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
1 第1電極
2 第2電極
3 誘電エラストマー成形体
4 保護層
5 外埋め層
6 第1外部電極
7 第2外部電極
10 誘電エラストマーアクチュエータ
11 接着剤
12 基板
20 電圧印加装置

Claims (9)

  1. 誘電エラストマー成形体を第1電極と第2電極とで挟んだ構造を有する誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法において、
    第1電極と第2電極との間に、誘電エラストマーアクチュエータが必要量の変位を発生させるのに必要な駆動電圧よりも低い初動電圧を、印加開始後所定時間印加した後、前記駆動電圧を印加することを特徴とする誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  2. 初動電圧は、一定の電圧である請求項1記載の誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  3. 初動電圧は、傾斜線状に上昇する電圧である請求項1記載の誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  4. 初動電圧は、段階的に上昇する電圧である請求項1記載の誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  5. 初動電圧は、第1電極と第2電極との間に流れる電量が所定電流以下となるように制御される請求項1記載の誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  6. 初動電圧は、誘電エラストマーアクチュエータの表面温度が所定温度以下となるように制御される請求項1記載の誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  7. 誘電エラストマー成形体は、ウレタン系エラストマーよりなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  8. ウレタン系エラストマーは、ポリロタキサンと架橋剤とがウレタン結合で結合されているものである請求項7記載の誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  9. 誘電エラストマー成形体を第1電極と第2電極とで挟んだ構造を有する誘電エラストマーアクチュエータと、第1電極と第2電極との間に電圧を印加する電圧印加装置とを含むアクチュエータ装置であって、
    電圧印加装置は、第1電極と第2電極との間に、誘電エラストマーアクチュエータが必要量の変位を発生させるのに必要な駆動電圧よりも低い初動電圧を、印加開始後所定時間印加した後、前記駆動電圧を印加する装置であることを特徴とするアクチュエータ装置。
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