JP2020089062A - 誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法及びアクチュエータ装置 - Google Patents

誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法及びアクチュエータ装置 Download PDF

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佑樹 大沢
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直人 松永
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Genki Sago
玄紀 左合
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Abstract

【課題】誘電エラストマーアクチュエータを周期的駆動する際に、変位の振幅が駆動初期に安定するようにする。【解決手段】誘電エラストマー成形体を第1電極と第2電極とで挟んだ構造を有する誘電エラストマーアクチュエータに、第1電極と第2電極との間に周期的な電圧を印加することで、周期的な変位を起こさせる誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法であって、第2電極を基準電位として、1周期が、時間順で、正電圧を印加する第1時間t1と、電圧を印加しない第2時間t2と、負電圧を印加する第3時間t3と、電圧を印加しない第4時間t4とからなる周期的な電圧を、第1電極に印加する。【選択図】図3

Description

本発明は、誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法及びアクチュエータ装置に関するものである。
誘電エラストマーアクチュエータは、誘電エラストマー成形体を2つの電極で挟んだ基本構造を有する駆動装置である。2つの電極間に電圧を印加すると、電極間に発生したクーロン力により、誘電エラストマー成形体は、電極間方向に収縮し、その直角方向に伸長するので、これらの変形を駆動用の変位として取り出す駆動装置となる。
誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法(電圧の印加方法)には、一定の直流電圧を印加する一定的駆動方法と、周期的な直流電圧を印加する周期的駆動方法とがある。後者の例として、特許文献1には、矩形波又はサイン波の直流電圧をかけたところ、誘電エラストマーアクチュエータは波形に追従した周期的な変位をして振動を与えたこと、そして、この周期的駆動方法はハプティクス(触覚技術)用途に適していることが記載されている。
特開2018−33293号公報
しかし、本発明者らが矩形波の直流電圧をかけて試験したところ、誘電エラストマー成形体が周期的に変形することで、誘電エラストマーアクチュエータは周期的な変位を起こしたものの、その変位の振幅は、駆動初期(電圧印加開始直後の所定時間)に不安定であり、その後に安定した(後述する比較例にて詳述する)。このような駆動初期における変位の振幅の不安定は、誘電エラストマーアクチュエータの実使用時に、停止時から駆動させる際の制御を困難にするため問題である。
この駆動初期における振幅の不安定の原因は、現時点では判明していないが、誘電エラストマー成形体の内部に正極性又は負極性のどちらかに偏って存在する空間電荷が関連しているものと推定される。
そこで、本発明の目的は、誘電エラストマーアクチュエータを周期的駆動する際に、変位の振幅が駆動初期に安定するようにすることにある。
[1]誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法
誘電エラストマー成形体を第1電極と第2電極とで挟んだ構造を有する誘電エラストマーアクチュエータに、第1電極と第2電極との間に周期的な電圧を印加することで、周期的な変位を起こさせる誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法であって、
第2電極を基準電位として、
1周期が、時間順で、正電圧(正電位の電圧)を印加する第1時間と、電圧を印加しない第2時間と、負電圧(正電位の電圧)を印加する第3時間と、電圧を印加しない第4時間とからなる周期的な電圧を、第1電極に印加することを特徴とする。
[2]アクチュエータ装置
誘電エラストマー成形体を第1電極と第2電極とで挟んだ構造を有する誘電エラストマーアクチュエータと、第1電極と第2電極との間に周期的な電圧を印加することで、誘電エラストマーアクチュエータに周期的な変位を起こさせる電圧印加装置とを含むアクチュエータ装置であって、
電圧印加装置は、
第2電極を基準電位として、
1周期が、時間順で、正電圧を印加する第1時間と、電圧を印加しない第2時間と、負電圧を印加する第3時間と、電圧を印加しない第4時間とからなる周期的な電圧を、第1電極に印加する装置であることを特徴とするアクチュエータ装置。
<作用>
第2電極を基準電位として、1周期が、時間順で、正電圧(正電位の電圧)を印加する第1時間と、電圧を印加しない第2時間と、負電圧(正電位の電圧)を印加する第3時間と、電圧を印加しない第4時間とからなる周期的な電圧を、第1電極に印加すると、ことにより、誘電エラストマー成形体が周期的に変形することで、誘電エラストマーアクチュエータは周期的な変位を起こす。その変位の振幅は、駆動初期に安定する。
本発明によれば、誘電エラストマーアクチュエータを周期的駆動する際に、変位の振幅が駆動初期に安定するという優れた効果を奏する。
図1の実施例の誘電エラストマーアクチュエータの分解斜視図である。 図2は同誘電エラストマーアクチュエータの(a)は平面図、(b)は側断面図である。 図3は同誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法(印加方法)を示し、(a)は矩形波の直流電圧(比較例)を示すグラフ図、(b)は矩形波の交流電圧(比較例)を示すグラフ図、(c)は特殊矩形波の交流電圧(実施例)を示すグラフ図である。 図4は比較例1の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図5は比較例2の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図6は比較例3の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図7は比較例4の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図8は実施例1の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図9は実施例2の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図10は実施例3の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図11は実施例4の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図12は実施例5の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図13は実施例6の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図14は実施例7の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図15は実施例8の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図16は比較例5の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図17は実施例9の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図18は実施例10の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図19は実施例11の変位−時間曲線を示すグラフ図である。 図20は実施例12の変位−時間曲線を示すグラフ図である。
[1]誘電エラストマー成形体
誘電エラストマー成形体は、誘電エラストマーからなり、誘電エラストマー以外の成分を含んでいてもよい。
誘電エラストマーとしては、特に限定されないが、シリコーンエラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、天然ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ウレアゴム、フッ素ゴム、架橋ポリロタキサン等を例示できる。
これら種々の誘電エラストマーを検討したところ、ウレタン系エラストマーは、上述した駆動初期における振幅の不安定が特に起きやすい。よって、誘電エラストマーとしてウレタン系エラストマーを用いる場合に、本発明は特に好適である。ウレタン系エラストマーとしては、ポリロタキサンと架橋剤とがウレタン結合で結合されている架橋ポリロタキサン、ウレタンゴム等を例示できる。
誘電エラストマー成形体の形態としては、特に限定されないが、膜、線、短冊、リング、棒、塊等を例示できる。また、膜等は別の基材上に塗工されたものであってもよい。
誘電エラストマー成形体は、変位を大きく取れる点で、2以上の膜状の誘電エラストマー成形体と3以上の電極とを交互に(第1電極/誘電エラストマー成形体/第2電極/誘電エラストマー成形体/第1電極・・・)積層したものが好ましい。この場合、2以上の誘電エラストマー成形体は、互いに同一材料でもよいし異材料でもよい。異材料としては、架橋ポリロタキサンとそれ以外の誘電エラストマーとの併用を例示できる。
上記において、ポリロタキサンは、環状分子に直鎖状分子が相対スライド可能に貫通し、直鎖状分子の両末端に配された封鎖基により環状分子が脱離しない構造の分子集合体であり(例えば国際公開第2005/080469号)、スライドリングマテリアルとも称されている。ポリロタキサンは、特定の環状分子、直鎖状分子、封鎖基を有するものに限定されない。
環状分子としては、シクロデキストリン、クラウンエーテル、シクロファン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、環状アミド等を例示できる。
直鎖状分子としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン等のポリエーテル類、ポリ乳酸等のポリエステル類、6−ナイロン等のポリアミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエン等のジエン系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリイソブチレン等のビニル重合体や、ポリジメチルシロキサン等を例示できる。
封鎖基としては、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、置換ベンゼン類(置換基として、アルキル、アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、スルホニル、カルボキシル、アミノ、フェニルなどを例示できる。)、置換されていてもよい多核芳香族類(置換基として、上記と同じものを例示できる。)、ステロイド類等を例示できる。
現在、最も一般的なポリロタキサンは、環状分子としてシクロデキストリン、直鎖状分子としてポリエチレングリコールを用いたものである。
そして、架橋ポリロタキサンは、隣接するポリロタキサンの環状分子間が架橋剤で架橋されたものであり、誘電率が高いことと、粘弾性等のユニークな力学的特性から、誘電エラストマーアクチュエータの誘電エラストマー成形体に適している。架橋剤は、特定のものに限定されない。
架橋剤としては、塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、脂肪族多官能イソシアネート、芳香族多官能イソシアネート、ジイソシアン酸トリレイン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジビニルスルホン、1,1‘−カルボニルジイミダゾール、アルコキシシラン類、およびそれらの誘導体、ポリシロキサンを含有するブロック共重合体(ポリカプロラクトン−ポリシロキサンブロック共重合体、ポリアジペート−ポリシロキサンブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリシロキサンブロック共重合体等)等を例示できる。
[2]第1電極及び第2電極
第1電極及び第2電極は、誘電エラストマー成形体の変形に追従して変形できるものであり、特に限定されないが、導電性粒子からなる導電性膜、導電性粒子を含む導電性塗膜、導電性粒子を含む導電性エラストマー成形体等を例示できる。
ここで、導電性粒子としては、特に限定されないが、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、白金、金、銀、銅、ニッケル等の粒子等を例示できる。
導電性塗膜の樹脂成分としては、特に限定されないが、フタル酸系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ビニル系等の樹脂を例示できる。
導電性エラストマー成形体のエラストマー成分としては、特に限定されないが、上記[1]で例示した誘電エラストマーを例示できる。
[3]周期的な電圧
上述の通り、周期的な電圧は、1周期が時間順で、正電圧を印加する第1時間と、電圧を印加しない第2時間と、負電圧を印加する第3時間と、電圧を印加しない第4時間とからなり、これが繰り返されるものである。
第1時間と第3時間はそれぞれ、特に限定されないが、0.002秒以上が好ましく、0.005秒以上がより好ましい。0.002秒未満では、誘電エラストマー成形体の変形が追い付きにくくなり、誘電エラストマーアクチュエータの振幅を大きく取り出しにくくなるからである。第1時間及び第3時間の上限は、特に無いが、敢えていえば最初の第1時間で誘電エラストマー成形体の変形が漸増を続ける50秒、或いは30秒である。
第2時間と第4時間はそれぞれ、特に限定されないが、0.002秒以上が好ましく、0.005秒以上がより好ましい。0.002秒未満では、駆動初期における振幅を安定化する作用が弱まる傾向となるからである。第2時間及び第4時間の上限は、特に無いが、敢えていえば100秒、或いは50秒である。
第1時間と第2時間と第3時間と第4時間とは、互いに同一でもよいし相違してもよい。相違する場合は、第1時間と第3時間とは同一、第2時間と第4時間とは同一で、前者と後者とが相違することが好ましい。
以下、本発明を具体化した誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法及び電圧印加装置の実施例について、次の順に説明する。なお、本発明は本実施例に限定されるものではない。
<1>誘電エラストマー成形体(架橋ポリロタキサン成形体)の作製
<2>電極(導電性エラストマー成形体)の作製
<3>誘電エラストマーアクチュエータの作製
<4>周期的駆動の試験
<1>誘電エラストマー成形体(架橋ポリロタキサン成形体)の作製
特開2012−65426号公報の実施例1と同様のポリロタキサン組成物を作製した。
すなわち、まず、特開2012−65426号公報に開示された、ポリロタキサンAと、ポリシロキサンを含有するブロック共重合体Bと、ポリシロキサンを含有しない重合体Cとを作製した。
ポリロタキサンAは、具体的には、環状分子としてシクロデキストリンを含有し、直鎖状分子としてポリエチレングリコールを含有し、直鎖状分子の両末端に封鎖基が配置されたものである。本例のポリロタキサンAは、さらに溶化性や相溶性を得るため、カプロラクトン基を有するものである。
ポリシロキサンを含有するブロック共重合体Bは、ポリシロキサン(シリコーン成分)により耐湿性を向上させるものであり、具体的には、末端ブロックイソシアネート基を有するポリカプロラクトン−ポリジメチルシロキサン−ポリカプロラクトンのブロック共重合体である。同共重合体Bの添加は任意である。
ポリシロキサンを含有しない重合体Cは、ポリロタキサンとの相溶性が高く、これを含むことで高誘電率と低弾性を実現するものであり、具体的には、末端ブロックイソシアネート基を有するポリプロピレングリコールである。同重合体Cの添加は任意である。
これらとその他の成分を、次に示す配合(配合数値は質量部)で加えて攪拌し、よく脱泡して、ポリロタキサン組成物溶液を調製した。
ポリロタキサンA 10
ポリシロキサンブロック共重合体B 4.9
重合体C 10.5
ポリプロピレングリコールジオール 4.7
メチルセロソルブ 25.9
ジラウリル酸ジブチルスズ 0.014
DBL−C31(GELEST社製) 0.14
IRGANOX1726(BASF社製) 0.42
上記ポリロタキサン組成物溶液を、ポリエチレンテレフタラート(PET)板の上にスリットダイコータ法により塗布し、厚さ50μmのポリロタキサン成形体(膜)を形成した。続いて、PET板付きのポリロタキサン成形体を、130℃のオーブン内に減圧条件下で5時間おいて架橋・硬化させ、硬化した架橋ポリロタキサン成形体(誘電エラストマー成形体)をPET板から剥がした。
<2>電極(導電性エラストマー成形体)の作製
シリコーンエラストマーとその他の成分を、次に示す配合(配合数値は質量部)で加えて攪拌し、よく脱泡して、エラストマー組成物溶液を作製した。カーボン粒子は、エラストマー成形体に導電性を付与するものである。
シリコーンエラストマー 10
有機溶媒(ヘプタン) 300
カーボン粒子(ケッチェンブラック) 1
上記エラストマー組成物溶液を、PET板の上にスリットダイコータ法により塗布し、厚さ20μmの導電性エラストマー成形体(膜)を形成した。続いて、PET板付きの導電性エラストマー成形体を、100℃のオーブン内に減圧条件下で24時間おいて架橋・硬化させ、硬化した導電性エラストマー成形体をPET板から剥がした。
<3>誘電エラストマーアクチュエータの作製
上記架橋ポリロタキサン成形体と導電性エラストマー成形体を、それぞれ表面プラズマ処理した。
図1及び図2に示すように、架橋ポリロタキサン成形体を14mm×16mmの長方形に切断して、誘電エラストマー成形体3とした。また、導電性エラストマー成形体を10mm×13mmの長方形に切断して、第1電極1及び第2電極2とした。
10層の誘電エラストマー成形体3と、5層の第1電極1と、6層の第2電極2とを交互に(第2電極2/誘電エラストマー成形体3/第1電極1/誘電エラストマー成形体3/第2電極2・・・第2電極2)積層した。この10層の誘電エラストマー成形体3が電圧印加により変形するものである。さらに、最上層の第2電極の上と、最下層の第2電極の下に、それぞれ電極保護のための誘電エラストマー成形体3を積層した。
第1電極1と第2電極2は、上記13mmの長さ方向に3mmずらして配されることにより、平面視で10mm×10mmの正方形領域(図2参照)で誘電エラストマー成形体3を挟んでいる。また、3mmずらした部分にはシリコーンエラストマーからなる厚さ20μmの外埋め層4が設けられ、誘電エラストマー成形体3に段が付かないようになっている。
こうしてできた積層体を真空加熱プレス機にかけ、真空度100Pa以下、加熱温度100℃の下で、圧力0.67MPaで5分圧着して接合し、誘電エラストマーアクチュエータ10を作製した。誘電エラストマーアクチュエータ10の静電容量は、理論値1420pFのところ、実測値1306pFであった。
<4>周期的駆動の試験
図2(b)に示すように、誘電エラストマーアクチュエータ10の第1電極1と第2電極2に電圧印加装置20を接続し、図3に示す3種類の周期的な電圧を切り替えて印加する試験を行った。図3において、
(a)は、第2電極2を基準電位として、1周期が、時間順で、正電圧を印加する時間と、電圧を印加しない時間とからなる周期的な電圧(特許文献1と同様の矩形波の直流電圧)を、第1電極1に印加するものである(以下の比較例1〜4での印加方法)。
(b)は、第2電極2を基準電位として、1周期が、時間順で、正電圧を印加する時間と、負電圧を印加しない時間とからなる周期的な電圧(矩形波の交流電圧)を、第1電極1に印加するものである(以下の比較例5での印加方法)。
(c)は、第2電極2を基準電位として、1周期が、時間順で、正電圧を印加する第1時間t1と、電圧を印加しない第2時間t2と、負電圧を印加する第3時間t3と、電圧を印加しない第4時間t4とからなる周期的な電圧(特殊矩形波の交流電圧)を、第1電極1に印加するものである(以下の実施例1〜12での印加方法)。
いずれの種類においても、正電圧は1200Vであり、負電圧は1200Vである。
これらの各種類においてさらに各時間を種々変えることにより、下記の比較例1〜5及び実施例1〜12を行い、図4〜図20に変位−時間曲線を示した。
・変位は、図2(b)に示す誘電エラストマーアクチュエータ10の全高の変位(振幅)である。
・時間については、測定開始と電圧印加開始とが同期しておらず、測定開始からやや遅れて電圧印加が開始されたため、各曲線の横軸には測定開始からの経過時間(秒)をそのまま示し、電圧印加開始時点に▲印を付けた。
・各曲線の上に、下記の1周期内の各電位の正負零表示(+、−、0)を記し、その下に時間(秒)を記した。
(A)1周期内の各時間が互いに同一である試験グループ
図4の比較例1は、(a)の矩形波の直流電圧を用い、正電圧を印加する時間を5秒、電圧を印加しない時間を5秒としたものであり、駆動初期の約50秒間は変位が漸増して不安定であった。
図5の比較例2は、(a)の矩形波の直流電圧を用い、正電圧を印加する時間、電圧を印加しない時間を同一の0.5秒としたものであり、駆動初期の約45秒間は変位が漸増して不安定であった。
図6の比較例3は、(a)の矩形波の直流電圧を用い、正電圧を印加する時間、電圧を印加しない時間を同一の0.05秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図7の比較例4は、(a)の矩形波の直流電圧を用い、正電圧を印加する時間、電圧を印加しない時間を同一の0.005秒としたものであり、実質的に変位は起こらなかった。
図8の実施例1は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1、t2、t3、t4を同一の5秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図9の実施例2は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1、t2、t3、t4を同一の0.5秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図10の実施例3は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1、t2、t3、t4を同一の0.05秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図11の実施例4は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1、t2、t3、t4を同一の0.005秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。図7の比較例4との比較から、より短周期の変位が確認できた。
(B)1周期内の各時間が互いに相違する試験グループ
図12の実施例5は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1とt3を共に5秒、t2とt4を共に2.5秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図13の実施例6は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1とt3を共に5秒、t2とt4を共に1.25秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図14の実施例7は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1とt3を共に5秒、t2とt4を共に0.6秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図15の実施例8は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1とt3を共に5秒、t2とt4を共に0.3秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図16の比較例5は、実施例8のt2とt4をさらに減らして共に0秒にしたとみることができるものであって、(b)の矩形波の交流電圧を用い、正電圧を印加する時間を5秒、負電圧を印加する時間を5秒としたものであり、駆動初期から300秒以上待っても実質的に変位が起こらなかった。
図17の実施例9は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1とt3を共に2.5秒、t2とt4を共に5秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図18の実施例10は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1とt3を共に1.25秒、t2とt4を共に5秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図19の実施例11は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1とt3を共に0.6秒、t2とt4を共に5秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
図20の実施例12は、(c)の特殊矩形波の交流電圧を用い、t1とt3を共に0.3秒、t2とt4を共に5秒としたものであり、駆動初期から変位は安定していた。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
1 第1電極
2 第2電極
3 誘電エラストマー成形体
4 外埋め層
10 誘電エラストマーアクチュエータ
20 電圧印加装置
<1>誘電エラストマー成形体(架橋ポリロタキサン成形体)の作製
特開2017−66318号公報の実施例1と同様のポリロタキサン組成物を作製した。
すなわち、まず、公報に開示された、ポリロタキサンAと、ポリシロキサンを含有するブロック共重合体Bと、ポリシロキサンを含有しない重合体Cとを作製した。
ポリロタキサンAは、具体的には、環状分子としてシクロデキストリンを含有し、直鎖状分子としてポリエチレングリコールを含有し、直鎖状分子の両末端に封鎖基が配置されたものである。本例のポリロタキサンAは、さらに溶化性や相溶性を得るため、カプロラクトン基を有するものである。
ポリシロキサンを含有するブロック共重合体Bは、ポリシロキサン(シリコーン成分)により耐湿性を向上させるものであり、具体的には、末端ブロックイソシアネート基を有するポリカプロラクトン−ポリジメチルシロキサン−ポリカプロラクトンのブロック共重合体である。同共重合体Bの添加は任意である。
ポリシロキサンを含有しない重合体Cは、ポリロタキサンとの相溶性が高く、これを含むことで高誘電率と低弾性を実現するものであり、具体的には、末端ブロックイソシアネート基を有するポリプロピレングリコールである。同重合体Cの添加は任意である。
これらとその他の成分を、次に示す配合(配合数値は質量部)で加えて攪拌し、よく脱泡して、ポリロタキサン組成物溶液を調製した。
ポリロタキサンA 10
ポリシロキサンブロック共重合体B 4.9
重合体C 10.5
ポリプロピレングリコールジオール 4.7
メチルセロソルブ 25.9
ジラウリル酸ジブチルスズ 0.014
DBL−C31(GELEST社製) 0.14
IRGANOX1726(BASF社製) 0.42

Claims (4)

  1. 誘電エラストマー成形体を第1電極と第2電極とで挟んだ構造を有する誘電エラストマーアクチュエータに、第1電極と第2電極との間に周期的な電圧を印加することで、周期的な変位を起こさせる誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法であって、
    第2電極を基準電位として、
    1周期が、時間順で、正電圧を印加する第1時間と、電圧を印加しない第2時間と、負電圧を印加する第3時間と、電圧を印加しない第4時間とからなる周期的な電圧を、第1電極に印加することを特徴とする誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  2. 誘電エラストマー成形体は、ウレタン系エラストマーよりなる請求項1記載の誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  3. ウレタン系エラストマーは、ポリロタキサンと架橋剤とがウレタン結合で結合されているものである請求項2記載の誘電エラストマーアクチュエータの駆動方法。
  4. 誘電エラストマー成形体を第1電極と第2電極とで挟んだ構造を有する誘電エラストマーアクチュエータと、第1電極と第2電極との間に周期的な電圧を印加することで、誘電エラストマーアクチュエータに周期的な変位を起こさせる電圧印加装置とを含むアクチュエータ装置であって、
    電圧印加装置は、
    第2電極を基準電位として、
    1周期が、時間順で、正電圧を印加する第1時間と、電圧を印加しない第2時間と、負電圧を印加する第3時間と、電圧を印加しない第4時間とからなる周期的な電圧を、第1電極に印加する装置であることを特徴とするアクチュエータ装置。
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