JP2020162054A - 原子発振器および周波数信号生成システム - Google Patents

原子発振器および周波数信号生成システム Download PDF

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Abstract

【課題】周波数安定性が高い原子発振器および周波数信号生成システムを提供すること。【解決手段】第1部分と、前記第1部分とは異なる位置の第2部分と、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セルと、前記アルカリ金属原子を励起する光を前記原子セルに向って出射する発光素子と、前記第1部分の温度を検出する第1温度検出素子と、前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて、前記第1部分の温度を制御する第1温度制御素子と、前記第1部分と前記第2部分との間の熱抵抗以上の熱抵抗を有する部分に配置され、前記部分の温度を検出する第2温度検出素子と、前記第2温度検出素子の検出結果、または前記第1温度制御素子が行う温度制御の情報に基づいて、前記第2部分の温度を前記第1部分の温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子と、前記原子セルを透過した光を受光する受光素子と、を含む、原子発振器。【選択図】図5

Description

本発明は、原子発振器および周波数信号生成システムに関するものである。
ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている。例えば、特許文献1に記載の光周波数基準セル装置は、原子発振器に用いられ、第1のセル部および第2のセル部を有し、アルカリ金属原子が封入されているセルと、第1のセル部の温度を検出する第1の測温素子と、第1の測温素子の検出結果に基づいて第1のセル部の温度を制御する第1の温度制御手段と、第2のセル部の温度を検出する第2の測温素子と、第2の測温素子の検出結果に基づいて第2のセル部の温度を制御する第2の温度制御手段と、を有する。第1の温度制御素子および第2の温度制御素子により、第2のセル部の温度を第1のセル部の温度より10〜15℃低く設定する。これにより、セルの内の金属蒸気圧を制御することができる。
特開平10−281883号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光周波数基準セル装置では、第1の温度制御素子には第1の測温素子の検出結果が、第2の温度制御素子には第2の測温素子の検出結果が、それぞれフィードバックされるため、それぞれの温度制御が干渉し合い、制御が収束せず、セルの温度が不安定になるおそれがある。その結果、原子発振器の周波数安定性を低下させるおそれがある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
本適用例に係る原子発振器は、第1部分と、前記第1部分とは異なる位置の第2部分と、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セルと、
前記アルカリ金属原子を励起する光を前記原子セルに向って出射する発光素子と、
前記第1部分の温度を検出する第1温度検出素子と、
前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて、前記第1部分の温度を制御する第1温度制御素子と、
前記第1部分と前記第2部分との間の熱抵抗以上の熱抵抗を有する部分に配置され、前記部分の温度を検出する第2温度検出素子と、
前記第2温度検出素子の検出結果、または前記第1温度制御素子が行う温度制御の情報に基づいて、前記第2部分の温度を前記第1部分の温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子と、
前記原子セルを透過した光を受光する受光素子と、を含む。
本適用例に係る原子発振器では、前記検出結果と、前記第2温度制御素子の制御信号との関係を示す検量線に基づいて決定された制御信号が前記第2温度制御素子に入力されることが好ましい。
本適用例に係る原子発振器では、前記第1温度制御素子が行う温度制御の情報と、前記第2温度制御素子の制御信号との関係を示す検量線に基づいて決定された制御信号が前記第2温度制御素子に入力されることが好ましい。
本適用例に係る原子発振器では、前記第2温度制御素子は、前記第1温度制御素子であることが好ましい。
本適用例に係る原子発振器では、磁気シールド性を有し、前記原子セルを収容するシールドを含み、
前記第1温度検出素子は、前記シールドの内側に配置され、前記第2温度検出素子は、前記シールドの外側に配置されていることが好ましい。
本適用例に係る原子発振器は、第1部分と、前記第1部分とは異なる位置の第2部分と、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セルと、
前記アルカリ金属原子を励起する光を前記原子セルに向って出射する発光素子と、
前記第1部分の温度を検出する第1温度検出素子と、
前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて、前記第1部分の温度を制御する第1温度制御素子と、
一定の出力値で前記第2部分を前記第1部分の温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子と、
前記原子セルを透過した光を受光する受光素子と、を含む。
本適用例に係る周波数信号生成システムは、原子発振器と、
前記原子発振器からの周波数信号を処理する処理部と、を備え、
前記原子発振器は、
第1部分と、前記第1部分とは異なる位置の第2部分と、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セルと、
前記アルカリ金属原子を励起する光を前記原子セルに向って出射する発光素子と、
前記第1部分の温度を検出する第1温度検出素子と、
前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて、前記第1部分の温度を制御する第1温度制御素子と、
前記第1部分と前記第2部分との間の熱抵抗以上の熱抵抗を有する部分に配置され、前記部分の温度を検出する第2温度検出素子と、
前記第2温度検出素子の検出結果、または前記第1温度制御素子が行う温度制御の情報に基づいて、前記第2部分の温度を前記第1部分の温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子と、
前記原子セルを透過した光を受光する受光素子と、を含む。
本適用例に係る周波数信号生成システムは、原子発振器と、
前記原子発振器からの周波数信号を処理する処理部と、を備え、
前記原子発振器は、第1部分と、前記第1部分とは異なる位置の第2部分と、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セルと、
前記アルカリ金属原子を励起する光を前記原子セルに向って出射する発光素子と、
前記第1部分の温度を検出する第1温度検出素子と、
前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて、前記第1部分の温度を制御する第1温度制御素子と、
一定の出力値で前記第2部分を前記第1部分の温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子と、
前記原子セルを透過した光を受光する受光素子と、を含む。
第1実施形態に係る原子発振器を示す概略図である。 第1実施形態に係る原子発振器の断面側面図、すなわち、XZ平面に沿った断面図である。 第1実施形態に係る原子発振器の平面図、すなわち、XZ平面に沿った断面図)である。 第1実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXY平面に沿った断面図である。 第1実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXZ平面に沿った断面図である。 第1実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXY平面に沿った模式的な断面図であり、熱的な接続および電気的な接続を示す概略構成図である。 図1に示す温度制御回路が行う制御動作を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXY平面に沿った模式的な断面図であり、熱的な接続および電気的な接続を示す概略構成図である。 第3実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXY平面に沿った模式的な断面図であり、熱的な接続および電気的な接続を示す概略構成図である。 第4実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXY平面に沿った模式的な断面図であり、熱的な接続および電気的な接続を示す概略構成図である。 GPS(Global Positioning System)衛星を利用した測位システム、すなわち、周波数信号生成システムの一例の概略構成を示す図である。
以下、本発明の原子発振器および周波数信号生成システムを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る原子発振器を示す概略図である。
図1に示す原子発振器1は、アルカリ金属原子に対して特定の異なる波長の2つの共鳴光を同時に照射したときに当該2つの共鳴光がアルカリ金属原子に吸収されずに透過する現象が生じる量子干渉効果を利用した原子発振器である。この現象は、電磁誘起透過現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)などとも呼ばれる。
この原子発振器1は、図1に示すように、発光素子モジュール10と、原子セルユニット20と、発光素子モジュール10と原子セルユニット20との間に設けられている光学系ユニット30と、発光素子モジュール10および原子セルユニット20の作動を制御する制御回路50と、を備える。以下、まず、原子発振器1の概略について説明する。
発光素子モジュール10は、ペルチェ素子101と、発光素子102と、温度センサー103と、を備える。発光素子102は、周波数の異なる2種の光を含んでいる直線偏光の光LLを出射する。また、温度センサー103は、発光素子102の温度を検出する。また、ペルチェ素子101は、発光素子102の温度を調節する、すなわち、発光素子102を加温または冷却する。
光学系ユニット30は、減光フィルター301と、集光レンズ302と、1/4波長板303と、を備え、これらが光LLの光軸aに沿って並んでいる。減光フィルター301は、前述した発光素子102からの光LLの強度を減少させる。また、集光レンズ302は、例えば光LLを平行光に近づけるように光LLの放射角度を調整する。また、1/4波長板303は、光LLに含まれる周波数の異なる2種の光を直線偏光から円偏光、すなわち、右円偏光または左円偏光に変換する。
原子セルユニット20は、原子セル201と、受光素子202と、第2温度制御素子であるヒーター203と、温度センサー204と、コイル205と、第1温度制御素子である温度制御素子212と、第1温度検出素子である温度センサー213と、を備える。
原子セル201は、光LLに対する透過性を有し、原子セル201内には、アルカリ金属原子が封入されている。アルカリ金属原子は、互いに異なる2つの基底準位と励起準位とからなる3準位系のエネルギー準位を有する。原子セル201には、発光素子102からの光LLが減光フィルター301、集光レンズ302および1/4波長板303を介して入射する。そして、受光素子202は、原子セル201を通過した光LLを受光し、その受光強度に応じた信号を出力する。
ヒーター203は、第2温度制御素子であり、原子セル201内のアルカリ金属原子を加熱し、そのアルカリ金属原子の少なくとも一部を所望濃度のガス状態とする。コイル205は、原子セル201内のアルカリ金属原子に所定方向の磁場を印加し、そのアルカリ金属原子のエネルギー準位をゼーマン分裂させる。このようにアルカリ金属原子のエネルギー準位がゼーマン分裂した状態において、前述したような円偏光の共鳴光対がアルカリ金属原子に照射されると、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くすることができる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号、すなわち、EIT現象に伴って受光素子202の出力信号に現れる信号が大きくなり、その結果、原子発振器1の発振特性、特に短期周波数安定度を向上させることができる。
制御回路50は、温度制御回路501と、光源制御回路502と、磁場制御回路503と、温度制御回路504と、記憶部512と、を備える。温度制御回路501は、本実施形態では、温度センサー213の検出結果に基づいて、原子セル201内が所望の温度となるように、温度制御素子212およびヒーター203への通電を制御する。また、磁場制御回路503は、コイル205が発生する磁場が一定となるように、コイル205への通電を制御する。また、温度制御回路504は、温度センサー103の検出結果に基づいて、発光素子102の温度が所望の温度となるように、ペルチェ素子101への通電を制御する。これらの制御回路は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを用いてもよい。すなわち、プロセッサーで記憶部512に記憶されたプログラムを実行することで、後述するような制御動作を実行するようにしてもよい。
光源制御回路502は、受光素子202の検出結果に基づいて、EIT現象が生じるように、発光素子102からの光LLに含まれる2種の光の周波数を制御する。ここで、これら2種の光が原子セル201内のアルカリ金属原子の2つの基底準位間のエネルギー差に相当する周波数差の共鳴光対となったとき、EIT現象が生じる。また、光源制御回路502は、前述した2種の光の周波数の制御に同期して安定化するように発振周波数が制御される図示しない電圧制御型発振器(VCO:Voltage controlled Oscillator)を備えており、この電圧制御型発振器の出力信号を原子発振器1の出力信号、すなわち、クロック信号として出力する。
以上、原子発振器1の概略について説明した。以下、図2ないし図6に基づいて、原子発振器1のより具体的な構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係る原子発振器の断面側面図、すなわち、XZ平面に沿った断面図である。図3は、第1実施形態に係る原子発振器の平面図、すなわち、XZ平面に沿った断面図である。図4は、第1実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXY平面に沿った断面図である。図5は、第1実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXZ平面に沿った断面図である。図6は、第1実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXY平面に沿った模式的な断面図であり、熱的な接続および電気的な接続を示す概略構成図である。図7は、図1に示す温度制御回路が行う制御操作を示すフローチャートである。
以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸を用いて説明を行う。なお、本明細書において、Z軸は、後述する支持部材40の設置面401および設置面403に垂直な軸である。X軸は、発光素子モジュール10から出射された光LLに沿う軸である。言い換えると、X軸は、発光素子モジュール10と原子セルユニット20との配列方向に沿う軸である。Y軸は、X軸およびZ軸に垂直な軸である。
図2に示すように、原子発振器1は、発光素子モジュール10と、原子セルユニット20と、発光素子モジュール10を保持している光学系ユニット30と、原子セルユニット20および光学系ユニット30を一括して支持している支持部材40と、発光素子モジュール10および原子セルユニット20に電気的に接続されている制御回路50と、これらを収納しているパッケージ60と、を備えている。
(発光素子モジュール)
発光素子モジュール10は、ペルチェ素子101と、発光素子102と、温度センサー103と、これらを収納しているパッケージ104と、を有している。
パッケージ104は、図示しないが、互いに接合されているベースおよびリッドを有し、これらの間に、ペルチェ素子101、発光素子102および温度センサー103を収納している気密空間が形成されている。このようなパッケージ104内は、減圧(真空)状態であることが好ましい。これにより、パッケージ104の外部の温度変化がパッケージ104内の発光素子102や温度センサー103等に与える影響を低減し、パッケージ104内の発光素子102や温度センサー103等の温度変動を低減することができる。なお、パッケージ104内は、減圧状態でなくともよく、また、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。
ここで、ベースは、例えば、絶縁性のセラミックス材料で構成されている。また、ベースの内表面には、ペルチェ素子101、発光素子102および温度センサー103に電気的に接続される複数の接続電極が設けられており、これらの接続電極は、それぞれ、ベースを貫通する貫通電極を介して、ベースの外表面に設けられた外部実装電極に電気的に接続されている。一方、リッドは、例えば、セラミックスと線膨張係数の近いコバールのような金属材料で構成されている。そして、リッドは、ベースに対して、例えば、シーム溶接等により接合されている。また、リッドには、発光素子102からの光LLを透過する孔が設けられており、この孔は、ガラス材料等の光透過性の板状の部材により気密的に塞がれている。このようなパッケージ104のベースの内表面には、図示しないが、ペルチェ素子101が接着剤により固定されている。
ペルチェ素子101は、供給される電流の向きにより、発光素子102側が発熱側となる状態と、発光素子102側が吸熱側となる状態と、を切り換えることができる。そのため、環境温度の範囲が広くても、発光素子102等を所望の温度、すなわち、目標温度に温度調節することができる。これにより、温度変化による悪影響、例えば、光LLの波長変動等をより低減することができる。ここで、発光素子102の目標温度は、発光素子102の特性に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、30℃以上40℃以下程度である。このようなペルチェ素子101上には、発光素子102および温度センサー103が設置されている。
発光素子102は、例えば、垂直共振器面発光レーザー、すなわち、VCSEL等の半導体レーザーである。半導体レーザーは、直流バイアス電流に高周波信号を重畳して、すなわち、変調を掛けて用いることにより、波長の異なる2種の光を出射させることができる。本実施形態では、発光素子102から出射する光は、直線偏光している。また、温度センサー103は、例えば、サーミスタ、熱電対等の温度検出素子である。
(光学系ユニット)
図2に示すように、光学系ユニット30は、減光フィルター301と、集光レンズ302と、1/4波長板303と、これらを保持しているホルダー304と、を有している。ここで、ホルダー304は、両端が開口した貫通孔305を有する。この貫通孔305は、光LLの通過領域であり、貫通孔305内には、減光フィルター301、集光レンズ302および1/4波長板303がこの順で光LLの光軸aに沿って並んで配置されている。図3に示すように、減光フィルター301、集光レンズ302および1/4波長板303は、それぞれ、図示しない接着剤等によりホルダー304に対して固定されている。このようなホルダー304は、例えば、アルミニウム等の金属材料で構成されており、放熱性を有する。
前述したように、減光フィルター301は、前述した発光素子102からの光LLの強度を減少させる機能を有する。減光フィルター301としては、特に限定されず、吸収型または反射型のいずれであってもよい。また、集光レンズ302は、光LLの放射角度を例えば光LLを平行光に近づけるよう調整する機能を有する。これにより、原子セル201内において光LLのパワー密度が進行方向で変化するのを低減し、EIT信号の線幅の拡がりを抑制することができる。その結果、原子発振器1の発振特性、特に短期周波数安定度を向上させることができる。また、1/4波長板303は、光LLに含まれる周波数の異なる2種の光を直線偏光から円偏光、すなわち、右円偏光または左円偏光に変換する機能を有する。これにより、コイル205からの磁界との相互作用により、EIT信号の強度を大きくすることができる。
なお、光学系ユニット30は、発光素子102からの光LLの強度等によっては、減光フィルター301を省略することができる。また、光学系ユニット30は、減光フィルター301、集光レンズ302および1/4波長板303以外の光学素子を有していてもよい。また、減光フィルター301、集光レンズ302および1/4波長板303の配置順は、図示の順に限定されず、任意である。また、減光フィルター301、集光レンズ302および1/4波長板303のそれぞれの姿勢は、任意である。
(原子セルユニット)
原子セルユニット20は、前述したように、原子セル201と、受光素子202と、ヒーター203と、コイル205とを備える。また、これらの他に、原子セルユニット20は、図4に示すように、原子セル201を保持している保持部材206と、保持部材206に固定されている伝熱部材210と、原子セル201、受光素子202、コイル205、保持部材206および伝熱部材210を収納している第1シールド207と、第1シールド207を収納している第2シールド208と、第1シールド207と第2シールド208との間に配置されている複数のスペーサー209と、温度制御素子212と、温度センサー213と、を備える。
原子セル201内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。また、原子セル201内には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属ガスとともに封入されていてもよい。
原子セル201は、2つの柱状の貫通孔を有する胴体部201aと、その胴体部201aに接合されている1対の窓部201b、201cと、を有し、これらにより気密封止された内部空間Sを形成している。
本実施形態では、内部空間Sは、光LLが通過する空間S1と、空間S1に連通し、図示しない固体または液体のアルカリ金属を収納している空間S2と、を有する。ここで、一方の窓部201bには、空間S1へ入射する光LLが透過し、他方の窓部201cには、空間S1から出射した光LLが透過する。なお、内部空間Sは、前述したような空間S1、S2を有する形態に限定されず、例えば、空間S2を省略した形態であってもよい。
各窓部201b、201cの構成材料としては、光LLに対する透過性を有していればよく、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられる。一方、胴体部201aの構成材料としては、特に限定されず、金属材料、ガラス材料、シリコン材料、水晶等が挙げられるが、加工性や各窓部201b、201cの接合の観点から、ガラス材料、シリコン材料を用いるのが好ましい。また、胴体部201aと各窓部201b、201cとの接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、直接接合法、陽極接合法、溶融接合法、オプティカル接合法等を用いることができる。
このような原子セル201は、後述するブロック206bに覆われ、冷却される部分が第1部分201Aであり、後述するブロック206aに覆われ、加熱される部分が第2部分201Bである。なお、第1部分201Aと第2部分201Bとは、明確な境界を有していなくてもよい。
図4に示すように、保持部材206は、光LLの通過領域を避けつつ原子セル201の外表面を覆うように設けられている2つのブロック206a、206bで構成されている。ここで、2つのブロック206a、206bは、それぞれ、熱伝導率が10W・m−1・K−1以上であり、かつ、コイル205から原子セル201への磁界を阻害しない材料、例えば、アルミニウム等の非磁性の金属材料で構成されている。また、保持部材206には、原子セル201に入射する光LLが通過する開口部206cと、原子セル201から出射した光LLが通過する開口部206dと、が設けられている。なお、以下では、10W・m−1・K−1以上であることを、「熱伝導性に優れた」「熱伝導性が良い」等と表現する場合がある。
ブロック206aは、原子セル201の外表面の空間S1側の部分、すなわち、第2部分201Bに熱的に接続されている。具体的には、ブロック206aは、原子セル201の外表面の空間S1側の部分に対して、接触しているか、または、熱伝導性に優れた例えば金属等の部材を介して接続されている。そして、ブロック206aは、第1シールド207を介してヒーター203に熱的に接続されている。これにより、ヒーター203からの熱により原子セル201、より具体的には空間S1を加熱することができる。また、このように、原子セル201とヒーター203との間にブロック206aを介在させることで、原子セル201とヒーター203との間の距離を大きくし、ヒーター203への通電により生じた不要磁場が原子セル201内のアルカリ金属原子に悪影響を与えるのを抑制することができる。また、原子セル201にヒーターを接触させる構成に比べて、ヒーターの数を少なくすることができるという利点もある。
一方、ブロック206bは、原子セル201の外表面の空間S2側の部分、すなわち、第1部分201Aに熱的に接続されている。具体的には、ブロック206bは、原子セル201の外表面の空間S2側の部分に対して、接触しているか、または、熱伝導性に優れた例えば金属等の部材を介して接続されている。そして、ブロック206bは、ブロック206aに対して離間している。そのため、ブロック206bは、ブロック206aに比べて、ヒーター203からの熱が伝わりにくくなっている。
また、原子セル201の構成材料は、熱伝導率が比較的低く、第1部分201Aと第2部分201Bとの間での熱の伝達は、ほぼ無視することができる。そして、ブロック206aおよびブロック206bは、離間しているため、第1部分201Aと温度制御素子212との間の熱の経路と、第2部分201Bとヒーター203との間の熱の経路とは、ブロック206aとブロック206bとが連続している場合と比較して、熱の伝達が軽減されている、すなわち、これら2つの熱の経路は互いに分離されていると言える。
このようなブロック206aおよびブロック206bによって原子セル201は、温度が異なる2つの部分を有する状態となる。すなわち、ブロック206aに覆われた第1部分201Aは、冷却されて比較的低温となり、ブロック206bによって覆われた第2部分201Bは、加熱されて第1部分201Aよりも高温となる。このようなことから、空間S1では、アルカリ金属原子が気体として存在し、空間S2では、アルカリ金属原子が液体または固体として原子セル201の内壁に付着した状態となる。
なお、ブロック206a、206bの形状は、空間S1への光LLの通過を許容しつつヒーター203からの熱を空間S1に伝達することができればよく、図示の形状に限定されない。また、保持部材206は、ブロック206a、206bの間に熱抵抗が相対的に大きい部分があれば一体化していてもよいし、ブロック206a、206bがそれぞれ複数の部材で構成されていてもよい。
このような保持部材206の外周には、中心軸が光LLの光軸aに沿うように巻回されたコイル205が配置されている。コイル205は、ソレノイド型のコイル、または、ヘルムホルツ型の1対のコイルである。このコイル205は、原子セル201内に光LLの光軸aに沿った方向、すなわち、平行な方向の磁場を発生させる。これにより、原子セル201内のアルカリ金属原子の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップをゼーマン分裂により拡げて、分解能を向上させ、EIT信号の線幅を小さくすることができる。なお、コイル205が発生する磁場は、直流磁場または交流磁場のいずれかの磁場であってもよいし、直流磁場と交流磁場とを重畳させた磁場であってもよい。
また、保持部材206の開口部206d内には、受光素子202が配置されている。受光素子202としては、原子セル201内を透過した光LL、すなわち、共鳴光対の強度を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、フォトダイオード等の受光素子である光検出器が挙げられる。温度センサー204としては、原子セル201またはヒーター203の温度を検出することができれば、特に限定されないが、例えば、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーが挙げられる。
ここで、受光素子202および温度センサー204は、後述するフレキシブル配線基板508b上に配置されている。このフレキシブル配線基板508bは、受光素子202および温度センサー204に電気的に接続されている配線510を有しており、保持部材206と伝熱部材210との間に挟まれることで、保持部材206に対して固定されている。これにより、受光素子202および温度センサー204を原子セル201に対して位置決めすることができる。
伝熱部材210は、熱伝導性を有し、保持部材206およびフレキシブル配線基板508bに対して熱的に接続されている。そして、伝熱部材210は、保持部材206を介してヒーター203とも熱的に接続されている。これにより、伝熱部材210が保持部材206からの熱をフレキシブル配線基板508bおよび受光素子202に伝導することができる。本実施形態では、図4および図5に示すように、伝熱部材210は、板状をなし、YZ平面に沿って配置され、保持部材206のブロック206aに対して、ネジ211を用いたネジ止めにより固定されている。
また、伝熱部材210は、図4および図5に示すように、保持部材206の開口部206dをできるだけ塞ぐように設けられている。これにより、伝熱部材210が保持部材206と一体的に熱を伝導することができる。また、伝熱部材210は、光軸a方向から見たとき、受光素子202および温度センサー204に重なっている。これにより、伝熱部材210からの熱が受光素子202および温度センサー204に伝導されやすくなる。
このような伝熱部材210の構成材料としては、熱伝導性に優れ、かつ、コイル205から原子セル201への磁界を阻害しない材料、例えば、銅、アルミニウム等の非磁性の金属材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:carbon fiber reinforced plastic)、シリカ等の熱伝導性のフィラーを添加した樹脂材料等が挙げられる。
伝熱部材210の構成材料の熱伝導率は、10W・m−1・K−1以上であることが好ましく、20W・m−1・K−1以上であることがより好ましく、100W・m−1・K−1以上であることがさらに好ましい。これにより、配線510の受光素子202近傍部分を伝熱部材210により好適に加熱することができる。これに対し、かかる熱伝導率が小さすぎると、伝熱部材210に温度勾配が生じやすくなる傾向を示す。
前述したような原子セル201、受光素子202、温度センサー204、コイル205、保持部材206および伝熱部材210は、図4に示すように、シールドとしての第1シールド207に収納されている。第1シールド207は、保持部材206を介して原子セル201を支持しており、これにより、保持部材206を介して原子セル201に熱的に接続されている。また、第1シールド207には、原子セル201の空間S1に入射する光LLの通過を許容する開口部207aが設けられている。また、第1シールド207は、前述した伝熱部材210に対して離間した状態で対向している部分207bを有する。なお、第1シールド207は、伝熱部材210に対して接触していてもよい。
ここで、第1シールド207の構成材料としては、熱伝導性に優れ、かつ、磁気シールド性を有する材料を用いることが好ましく、具体的には、鉄、コバール、パーマロイ、ステンレス鋼等の鉄系合金等を用いることが好ましい。第1シールド207が優れた熱伝導性を有することで、ヒーター203からの熱を効率的に保持部材206に伝導することができる。また、第1シールド207の温度分布の均一化を図ることができ、原子セル201周辺の温度勾配を低減することもできる。さらに、第1シールド207が磁気シールド性を有することで、外部磁場により第1シールド207内、特に原子セル201内の磁場が変動するのを低減することができる。
このような第1シールド207は、図4に示すように、第2シールド208に収納されている。第2シールド208は、複数のスペーサー209を介して第1シールド207を支持しており、これにより、第1シールド207に対して離間している。よって、第1シールド207と第2シールド208との間に隙間が形成され、当該隙間が断熱層として機能するため、第1シールド207と第2シールド208との間の熱の移動を低減することができる。ここで、各スペーサー209は、断熱性を有する材料、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂材料で構成されていることが好ましい。これにより、スペーサー209を介した第1シールド207と第2シールド208との間の熱の移動を低減することができる。また、第2シールド208には、原子セル201の空間S1に入射する光LLの通過を許容する開口部208aが設けられている。
ここで、第2シールド208の構成材料としては、前述した第1シールド207と同様、熱伝導性に優れ、かつ、磁気シールド性を有する材料を用いることが好ましく、具体的には、鉄、コバール、パーマロイ、ステンレス鋼等の鉄系合金等を用いることが好ましい。これにより、外部磁場により第2シールド208内、特に原子セル201内の磁場が変動するのを低減することができる。
また、第2シールド208には、第1シールド207と熱的に接続されるヒーター203が設置されている。図示の構成では、ヒーター203は、第2シールド208に、第1シールド207と接触するように埋設されている。このヒーター203としては、原子セル201、より具体的には原子セル201内のアルカリ金属原子を加熱することができれば、特に限定されないが、例えば、発熱抵抗体を有する各種ヒーター、ペルチェ素子等が挙げられる。
また、第2シールド208の+Z側の外表面上には、温度制御素子212が設置されている。この温度制御素子212は、冷却および加熱を行って原子セル201の温度を制御する機能を有し、例えば、ペルチェ素子等で構成することができる。温度制御素子212は、第2シールド208の+Z軸側の壁部、スペーサー209を介して原子セル201と熱的に接続されている。
また、図4に示すように、第1シールド207の内側で、かつ、ブロック206bの近傍には、温度センサー213が設置されている。この温度センサー213は、第1部分201Aの温度を検出する。そして、この検出結果に基づいて、温度制御回路501が温度制御素子212の作動を制御する。温度センサー213としては、ブロック206bの温度を検出することができれば、特に限定されないが、例えば、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーが挙げられる。
(支持部材)
ここで、図2に戻り、支持部材40は、板状をなし、その一方の面上には、前述した原子セルユニット20および光学系ユニット30が載置されている。この支持部材40は、光学系ユニット30のホルダー304の下面の形状に沿った設置面401を有する。この設置面401には、段差部402が形成されている。この段差部402は、ホルダー304の下面の段差部と係合して、ホルダー304が原子セルユニット20側、すなわち、図2中右側へ移動するのを規制する。同様に、支持部材40は、原子セルユニット20の第2シールド208の下面の形状に沿った設置面403を有する。この設置面403には、段差部404が形成されている。この段差部404は、第2シールド208の端面、すなわち、図2中左側の端面と係合して、第2シールド208が光学系ユニット30側、すなわち、図2中左側へ移動するのを規制する。
このように、支持部材40により原子セルユニット20および光学系ユニット30の相対的な位置関係を規定することができる。そして、発光素子モジュール10がホルダー304に対して固定されているため、原子セルユニット20および光学系ユニット30に対する発光素子モジュール10の相対的な位置関係も規定されることとなる。ここで、第2シールド208およびホルダー304は、それぞれ、図示しないネジ等の固定部材により、支持部材40に対して固定されている。また、支持部材40は、図示しないネジ等の固定部材により、パッケージ60に対して固定されている。また、支持部材40は、例えば、アルミニウム等の金属材料で構成されており、放熱性を有する。これにより、発光素子モジュール10の放熱を効率的に行うことができる。
(制御回路)
図3に示すように、制御回路50は、回路基板505と、回路基板505上に設けられている2つのコネクター506a、506bと、コネクター506aと発光素子モジュール10とを接続しているフレキシブル配線基板508aと、コネクター506bと原子セルユニット20とを接続しているフレキシブル配線基板508bと、回路基板505を貫通している複数のリードピン509と、を有する。
ここで、回路基板505には、図示しない電気回路が設けられ、この電気回路が前述した温度制御回路501、光源制御回路502、磁場制御回路503および温度制御回路504として機能する。また、回路基板505は、前述した支持部材40が挿通されている貫通孔5051を有する。また、回路基板505は、複数のリードピン509を介してパッケージ60に対して支持されている。複数のリードピン509は、それぞれ、パッケージ60の内外を貫通しており、回路基板505に電気的に接続されている。
なお、回路基板505と発光素子モジュール10とを電気的に接続する構成、および、回路基板505と原子セルユニット20とを電気的に接続する構成は、図示のコネクター506a、506bおよびフレキシブル配線基板508a、508bに限定されず、それぞれ、他の公知のコネクターおよび配線であってもよい。
また、回路基板505には、記憶部512が設けられている。記憶部512は、例えば、後述する検量線や、各種プログラムが記憶されている。
パッケージ60は、前述した第1シールド207および第2シールド208と同様、コバール等の磁気シールド性を有する金属材料で構成されていることが好ましい。これにより、外部磁場が原子発振器1の特性に悪影響を与えるのを低減することができる。なお、パッケージ60内は、減圧されていてもよいし、大気圧であってもよいが、気密空間であることが好ましい。
さて、前述したように、原子セル201の第1部分201A内、すなわち、空間S2にはアルカリ金属原子が液体または固体として収容され、原子セル201の第2部分201B内、すなわち、空間S1にはアルカリ金属原子がガスとして収容されている。光LLが通過する空間S1のガスの蒸気圧を可及的に一定に保つことにより、原子発振器1の周波数安定性を高くすることができる。
なお、原子セル201の第1部分201Aは、第2部分201Bに比べて、原子発振器1の外部環境の温度の影響を受けやすい。これは、図4に示すように、ブロック206bとブロック206aとの間の熱抵抗が大きいことで、第1部分201Aにヒーター203の熱が伝わりにくいためである。局所的に原子セル201を冷却してアルカリ金属原子の余剰分を液体または固体として光LLが通過しない部分に選択的に収容するということを考えるとこのような構成となる。
このような構造は、局所的に原子セル201を低温にしてアルカリ金属原子の余剰分を液体または固体として光LLが通過しない部分に選択的に収容するためには効果的である。しかし、外部環境の温度変化によって、原子セル201の第1部分201Aの温度が変動してしまうと、液体または固体のアルカリ金属原子の量が変動するおそれがある。この変動により、空間S1内のアルカリ金属原子のガスの量も変動し、結果的に、空間S1内の蒸気圧が変化してしまうおそれがある。
一方、従来のように、加熱する部分と、冷却する部分とに、それぞれ温度検出素子および温度制御素子を設け、温度制御素子に温度検出素子の検出結果をフィードバックするという制御を2か所で行うと、原子セルのサイズが小型であるほど、フィードバック制御が干渉し合うという現象が生じやすくなる。このため、原子セルの温度が安定せず、ガスの蒸気圧が変動してしまい、原子発振器の周波数安定性が悪化する。
原子発振器1では、上記課題を解決するのに有効な構成となっている。以下、このことについて、図6を参照しつつ説明するが、図6中では、細い矢印は、電気的な接続を意味し、太い白抜きの矢印は、熱的な接続を意味している。図6に示すように、本実施形態の原子発振器1では、第1部分201Aの温度を検出する温度センサー213の検出結果が温度制御回路501に送信され、温度制御回路501が、その検出結果に基づいて、温度制御素子212およびヒーター203の作動を制御する構成となっている。すなわち、温度制御回路501が、1つの温度センサー213が検出した比較的温度が低い第1部分201Aの温度に基づいて、第1部分201Aの温度および第2部分201Bの温度の双方の調整を行う。これにより、上述した2つのフィードバック制御の干渉を防止することができる。よって、原子発振器1の周波数安定性を高めることができる。
特に、原子セル201は、一辺の長さが1mm以上15mm以下程度の長さの六面体をなしており、比較的小さいため、1つの温度センサー213が検出した温度に基づく制御が有効である。また、第1部分201Aの温度に基づいて原子セル201の温度を調整するという構成であるため、第2部分201Bの温度に基づいて原子セル201の温度を調整する構成に比べて、よりダイレクトに第1部分201Aの飽和蒸気圧を調整できる。したがって、より精度よく空間S1のガスの蒸気圧を調整することができる。
次に、図7に示すフローチャートを用いて、温度制御回路501の制御動作について説明する。なお、以下では、原子発振器1が駆動した状態、すなわち、温度制御素子212およびヒーター203を作動させた状態から説明を始める。なお、温度制御素子212およびヒーター203は、初期状態から作動させると、原子セル201が目標温度となるように所定の通電条件で作動する。この通電条件は、予め記憶部512に記憶されている。
まず、ステップS101において、温度センサー213が温度を検出する。
次いで、この検出した温度Txが、所望の温度範囲であるT1以上T2以下の範囲内か否かを判断する。すなわち、ステップS102において、T1≦Txであるかを判断し、ステップS103において、Tx≦T2であるかを判断する。なお、T1およびT2は、予め記憶部512に記憶されている値である。また、ステップS102およびステップS103に代えて、温度Txが所定温度であるか否かを判断し、所定温度でない場合に所定温度に近づける制御を行ってもよい。
ステップS102において、T1≦Txであると判断した場合、YESへ進み、ステップS103に移行する。ステップS102において、T1≦Txではない、すなわち、T1>Txであると判断した場合、NOへ進み、ステップS104において、原子セル201の第1部分201Aの温度を高めるような制御を行う。具体的には、温度制御素子212への通電条件と、ヒーター203への通電条件とを変更するように温度制御素子212およびヒーター203への制御信号を変更してこれらに入力する。
温度制御素子212への制御信号は、検出結果である温度Txと、温度制御素子212の制御信号との関係を示す検量線K1に基づいて決定し温度制御素子212に入力される。一方、ヒーター203の制御信号は、検出結果である温度Txと、第2温度制御素子であるヒーター203の制御信号との関係を示す検量線K2に基づいて決定し、ヒーター203に入力される。これにより、外部環境の温度が変化したとしても原子セル201の所望の温度分布を維持することができる。すなわち、第1部分201Aおよび第2部分201Bをそれぞれ所望の温度に維持することができる。この際、本実施形態では、1つの制御回路、すなわち、温度制御回路501で温度制御素子212およびヒーター203の制御を行うため、従来のようなフィードバック制御の干渉を防止することができる。
なお、上記検量線K1、K2は、予め記憶部512に記憶されているテーブルまたは関係式等であり、これらは、例えば実験的に求められた値とすることができる。
一方、ステップS103において、Tx≦T2であると判断した場合、後述するステップS106に移行する。ステップS103において、Tx≦T2ではない、すなわち、Tx>T2であると判断した場合、ステップS105において、原子セル201の第1部分201Aの温度を低下させるような制御を行う。具体的には、温度制御素子212への通電条件と、ヒーター203への通電条件とを変更するように温度制御素子212およびヒーター203への制御信号を変更してこれらに入力する。
温度制御素子212への制御信号は、ステップS104と同様に、検量線K1に基づいて決定し温度制御素子212に入力される。ヒーター203の制御信号は、ステップS104と同様に、検量線K2に基づいて決定し、ヒーター203に入力される。これにより、外部環境の温度が上昇したにも関わらず原子セル201の所望の温度分布を維持することができる。すなわち、第1部分201Aおよび第2部分201Bをそれぞれ所望の温度に維持することができる。本ステップにおいても、ステップS104と同様に、1つの制御回路、すなわち、温度制御回路501で温度制御素子212およびヒーター203の制御を行うため、従来のようなフィードバック制御の干渉を防止することができる。
そして、ステップS106において、終了指示があったか否かを判断する。この判断は、例えば、図示しない電源が切られたか否かに基づいて行われる。ステップS106において、終了指示がないと判断した場合、ステップS101に戻り、以下のステップを順次繰り返す。
以上説明したように、原子発振器1は、第1部分201Aと、第1部分201Aとは異なる位置の第2部分201Bと、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セル201と、アルカリ金属原子を励起する光LLを原子セル201に向って出射する発光素子102と、第1部分201Aの温度を検出する第1温度検出素子である温度センサー213と、温度センサー213の検出結果に基づいて、第1部分201Aの温度を制御する第1温度制御素子である温度制御素子212と、第1部分201Aと第2部分201Bとの間の熱抵抗以上の熱抵抗を有する部分に配置され、この部分の温度を検出する第2温度検出素子と、第2温度検出素子の検出結果、または温度制御素子212が行う温度制御の情報、すなわち、本実施形態では、第2温度検出素子の検出結果に基づいて、第2部分201Bの温度を第1部分201Aの温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子であるヒーター203と、原子セル201を透過した光LLを受光する受光素子202と、を含む。そして、第2温度制御素子は、本実施形態では、第1温度制御素子としての温度制御素子212である。すなわち、第1温度制御素子212は、第2温度制御素子を兼ねている。これにより、1つの温度制御回路501が比較的温度が低い第1部分201Aの温度に基づいて、第1部分201Aの温度および第2部分201Bの温度の双方の調整を行う。よって、従来生じるおそれがあった2つのフィードバック制御の干渉を防止することができる。よって、原子発振器1の周波数安定性を高めることができる。
また、前述したように、第1部分201Aと第2部分201Bとは、熱的に分離されている。すなわち、第1部分201Aと温度制御素子212との間の熱の経路と、第2部分201Bとヒーター203との間の熱の経路は、ブロック206aおよびブロック206bによって分離されている。このような熱的に分離されている2か所をそれぞれ制御することにより、互いの温度制御をより正確に行うことができる。
なお、温度制御回路501がアナログ回路である場合は、検量線K1、K2に応じた特性の回路素子を用いることにより、上述した制御動作を実現することができる。また、図7に示す各ステップはこの順である必要はなく、少なくとも一部のステップの順序を入れ替えたり、同時に行うことも可能である。
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXY平面に沿った模式的な断面図であり、熱的な接続および電気的な接続を示す概略構成図である。
本実施形態は、制御部の制御動作が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態では、温度制御回路501が温度制御素子212に送信する通電条件の制御信号に基づいて、温度制御回路501がヒーター203に送信する通電条件の制御信号が決定するよう構成されている。具体的には、温度制御素子212に送信する通電条件と、ヒーター203に送信する通電条件との関係を示す検量線K3に基づいて決定された制御信号がヒーター203に送信される。この検量線K3は、予め記憶部512に記憶されているテーブルまたは関係式等であり、これらは、例えば実験的に求められた値とすることができる。本実施形態では、前記第1実施形態で述べたステップS104およびステップS105において、このような制御が行われる。
このように本実施形態では、第1温度制御素子である温度制御素子212が行う温度制御の情報と、第2温度制御素子であるヒーター203の制御信号との関係を示す検量線に基づいて決定された制御信号が第2温度制御素子である温度制御素子212に入力される。換言すれば、温度制御素子212への通電条件が決定するとヒーター203への通電条件も決定する。これにより、簡単な制御で前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXY平面に沿った模式的な断面図であり、熱的な接続および電気的な接続を示す概略構成図である。
本実施形態は、制御部の制御動作が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態では、原子発振器1は、第1シールド207の外側に配置された第2温度検出素子としての温度センサー204を有する。この温度センサー204は、温度センサー213と同様の構成とすることができる。また、温度センサー204の検出結果は、温度制御回路501に送信される。
また、温度センサー213は、第1シールド207の外側に配置されており、第1部分201Aと第2部分201Bとの間の熱抵抗以上の熱抵抗を有する部分に配置されていると言うことができる。また、温度センサー213が検出する温度は、第1シールド207の外側ではあるが、第2部分201Bの近傍であり、また、ヒーター203が第1シールド207に接しているため、この検出結果を第2部分201Bの温度と見做すことができる。このように、第1温度検出素子である温度センサー213は、第1シールド207の内側に配置され、第2温度検出素子である温度センサー204は、第1シールド207の外側に配置されている。これにより、各温度センサー213、204を十分に熱的に遠ざけた状態とすることができ、従来生じるおそれがあった2つのフィードバック制御の干渉を低減することができる。
そして、本実施形態では、前記第1実施形態で述べたステップS104およびステップS105において、以下のような制御を行う。
温度制御回路501は、温度センサー213の検出結果に基づいて、温度制御素子212に送信する通電条件を、これらの関係を示す検量線K4に基づいて決定し、温度制御素子212に制御信号を送信する。さらに、温度制御回路501は、温度センサー204の検出結果に基づいて、ヒーター203に送信する通電条件を、これらの関係を示す検量線K5に基づいて決定し、ヒーター203に制御信号を送信する。この検量線K4、K5は、予め記憶部512に記憶されているテーブルまたは関係式等であり、これらは、例えば実験的に求められた値とすることができる。
ここで、前述したように、温度センサー204は、第1部分201Aと第2部分201Bとの間の熱抵抗以上の熱抵抗を有する部分に配置されているため、温度センサー204が検出する部分の温度は、温度センサー204が例えば第2部分201Bに直接接続されている場合に比べて、第1部分201Aの温度変化の影響を受けにくい。そのため、従来生じるおそれがあった2つのフィードバック制御の干渉を低減することができる。よって、原子発振器1の周波数安定性を高めることができる。
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態に係る原子発振器が備える原子セルユニットのXY平面に沿った模式的な断面図であり、熱的な接続および電気的な接続を示す概略構成図である。
本実施形態は、制御部の制御動作が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態では、温度制御回路501は、温度制御素子212のみに通電条件の制御信号を送信する。一方で、ヒーター203は、一定の通電条件で作動するものである。すなわち、ヒーター203は、一定の出力値で加熱を行う構成であり、補助的な加熱を担っている。本実施形態では、前記第1実施形態で述べたステップS104およびステップS105において、以下のような制御が行われる。温度制御回路501が、温度センサー213の検出結果に基づいて、温度制御素子212に送信する通電条件を、これらの関係を示す検量線K6に基づいて決定し、温度制御素子212に制御信号を送信する。この検量線K6は、予め記憶部512に記憶されているテーブルまたは関係式等であり、これらは、例えば実験的に求められた値とすることができる。なお、この温度制御素子212へのフィードバック制御の間も、ヒーター203は、一定の通電条件で作動し続けている。
このように本実施形態では、原子発振器1は、第1部分201Aと、第1部分201Aとは異なる位置の第2部分201Bと、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セル201と、アルカリ金属原子を励起する光LLを原子セル201に向って出射する発光素子102と、第1部分201Aの温度を検出する第1温度検出素子である温度センサー213と、温度センサー213の検出結果に基づいて、第1部分201Aの温度を制御する第1温度制御素子としての温度制御素子212と、一定の出力値で第2部分201Bを第1部分201Aの温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子としてのヒーター203と、原子セル201を透過した光LLを受光する受光素子202と、を含む。これにより、1つの温度制御回路501が比較的温度が低い第1部分201Aの温度に基づいて、第1部分201Aの温度の調整を行う。また、ヒーター203は、一定の出力値で原子セル201を加熱する構成であるため、このヒーター203の加熱を加味して第1部分201Aの温度の調整を行うことにより、第1部分201Aおよび第2部分201Bをそれぞれ所望の温度に維持することができる。さらに、本実施形態では、1つの制御回路、すなわち、温度制御回路501で温度制御素子212の制御を行うため、従来のようなフィードバック制御の干渉を防止することができる。よって、原子発振器1の周波数安定性を高めることができる。
なお、ヒーター203の初期の出力値の決定は、予め定められた値であってもよく、温度センサー204の検出結果に応じて決定してもよく、温度センサー213の検出結果に応じて決定してもよい。また、本実施形態では、ヒーター203に対してフィードバック制御を行わない構成であるが、初期の出力値の決定および出力は、温度制御回路501が行ってもよく、図示しない他の制御回路が行ってもよい。
<原子発振器適用例>
以上説明したような原子発振器1は、各種の周波数信号生成システムに組み込むことができる。以下、そのような周波数信号生成システムの実施形態について説明する。
図11は、GPS(Global Positioning System)衛星を利用した測位システム、すなわち、周波数信号生成システムの一例の概略構成を示す図である。
図11に示す測位システム1100は、基地局装置1300と、GPS受信装置1400とで構成されている。ここで、原子発振器1を搭載した電子機器を周波数信号生成システムと呼ぶこともできるし、原子発振器1を搭載した電子機器を含む複数の電子機器からなる各種システムを周波数信号生成システムと呼ぶこともできる。
GPS衛星1200は、測位用情報を含む衛星信号(GPS信号)を送信する。
基地局装置1300は、例えば電子基準点としてのGPS連続観測局に設置されたアンテナ1301を介してGPS衛星1200からの衛星信号を受信する受信装置1302と、受信した衛星信号から受信装置1302が取得した測位情報をアンテナ1303を介して送信する送信装置1304とを備える。
ここで、受信装置1302は、その基準周波数発振源である原子発振器1と、原子発振器1からの周波数信号を処理する処理部1302aと、を備える。また、受信装置1302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置1304により送信される。
このように、周波数信号生成システムである受信装置1302は、原子発振器1を含む。このような受信装置1302によれば、原子発振器1の原子セル201周辺の温度勾配を低減することで、受信装置1302の特性を向上させることができる。また、上述した受信装置1302を含むことで、周波数信号生成システムの別の一例である測位システム1100の特性を向上させることができる。
GPS受信装置1400は、GPS衛星1200からの測位情報をアンテナ1401を介して受信する衛星受信部1402と、基地局装置1300からの測位情報をアンテナ1403を介して受信する基地局受信部1404とを備える。
以上のように、周波数信号生成システムの一例としての測位システム1100の受信装置1302は、原子発振器1と、原子発振器1からの周波数信号を処理する処理部1302aと、を備えている。
また、原子発振器1は、第1部分201Aと、第1部分201Aとは異なる位置の第2部分201Bと、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セル201と、アルカリ金属原子を励起する光LLを原子セル201に向って出射する発光素子102と、第1部分201Aの温度を検出する第1温度検出素子である温度センサー213と、温度センサー213の検出結果に基づいて、第1部分201Aの温度を制御する第1温度制御素子である温度制御素子212と、第1部分201Aと第2部分201Bとの間の熱抵抗以上の熱抵抗を有する部分に配置され、この部分の温度を検出する第2温度検出素子と、第2温度検出素子の検出結果、または温度制御素子212が行う温度制御の情報、すなわち、本実施形態では、第2温度検出素子の検出結果に基づいて、第2部分201Bの温度を第1部分201Aの温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子であるヒーター203と、原子セル201を透過した光LLを受光する受光素子202と、を含む。
また、原子発振器1は、第4実施形態で述べたように、第1部分201Aと、第1部分201Aとは異なる位置の第2部分201Bと、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セル201と、アルカリ金属原子を励起する光LLを原子セル201に向って出射する発光素子102と、第1部分201Aの温度を検出する第1温度検出素子である温度センサー213と、温度センサー213の検出結果に基づいて、第1部分201Aの温度を制御する第1温度制御素子としての温度制御素子212と、一定の出力値で第2部分201Bを第1部分201Aの温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子としてのヒーター203と、原子セル201を透過した光LLを受光する受光素子202と、を含む構成とすることもできる。
このような発明によれば、前述した原子発振器1の利点を生かし、測位システム1100および受信装置1302の特性を向上させることができる。
なお、周波数信号生成システムは、前述したものに限定されず、原子発振器1と、原子発振器1からの周波数信号を処理する処理部とを含むシステムであればよい。例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS(Point of Sales)端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局等に適用することができる。また、複数の電子機器等から構成される周波数信号生成システムは、原子発振器1からの信号を処理して信号を生成するシステムであればよく、前述したものに限定されず、例えば、クロック伝送システム等であってもよい。
以上、本発明の原子発振器および周波数信号生成システムを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、原子発振器および周波数信号生成システムを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、前述した実施形態では、量子干渉効果を利用した原子発振器に本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明は、これに限定されず、二重共鳴現象を利用した原子発振器にも適用可能であり、この場合、光源としては、半導体レーザーに限定されず、例えば、発光ダイオード、アルカリ金属を封入したランプ等を用いることができる。
1…原子発振器、10…発光素子モジュール、101…ペルチェ素子、102…発光素子、103…温度センサー、104…パッケージ、20…原子セルユニット、201…原子セル、201A…第1部分、201B…第2部分、201a…胴体部、201b…窓部、201c…窓部、202…受光素子、203…ヒーター、204…温度センサー、205…コイル、206…保持部材、206a…ブロック、206b…ブロック、206c…開口部、206d…開口部、207…第1シールド、207a…開口部、207b…部分、208…第2シールド、208a…開口部、209…スペーサー、210…伝熱部材、211…ネジ、212…温度制御素子、213…温度センサー、30…光学系ユニット、301…減光フィルター、302…集光レンズ、303…1/4波長板、304…ホルダー、305…貫通孔、40…支持部材、401…設置面、402…段差部、403…設置面、404…段差部、50…制御回路、501…温度制御回路、502…光源制御回路、503…磁場制御回路、504…温度制御回路、505…回路基板、5051…貫通孔、506a…コネクター、506b…コネクター、508a…フレキシブル配線基板、508b…フレキシブル配線基板、509…リードピン、510…配線、512…記憶部、60…パッケージ、1100…測位システム、1200…GPS衛星、1300…基地局装置、1301…アンテナ、1302…受信装置、1302a…処理部、1303…アンテナ、1304…送信装置、1400…GPS受信装置、1401…アンテナ、1402…衛星受信部、1403…アンテナ、1404…基地局受信部、LL…光、S…内部空間、S1…空間、S2…空間、Tx…温度、a…光軸

Claims (8)

  1. 第1部分と、前記第1部分とは異なる位置の第2部分と、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セルと、
    前記アルカリ金属原子を励起する光を前記原子セルに向って出射する発光素子と、
    前記第1部分の温度を検出する第1温度検出素子と、
    前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて、前記第1部分の温度を制御する第1温度制御素子と、
    前記第1部分と前記第2部分との間の熱抵抗以上の熱抵抗を有する部分に配置され、前記部分の温度を検出する第2温度検出素子と、
    前記第2温度検出素子の検出結果、または前記第1温度制御素子が行う温度制御の情報に基づいて、前記第2部分の温度を前記第1部分の温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子と、
    前記原子セルを透過した光を受光する受光素子と、を含む、原子発振器。
  2. 前記検出結果と、前記第2温度制御素子の制御信号との関係を示す検量線に基づいて決定された制御信号が前記第2温度制御素子に入力される、請求項1に記載の原子発振器。
  3. 前記第1温度制御素子が行う温度制御の情報と、前記第2温度制御素子の制御信号との関係を示す検量線に基づいて決定された制御信号が前記第2温度制御素子に入力される、請求項1に記載の原子発振器。
  4. 前記第2温度制御素子は、前記第1温度制御素子である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原子発振器。
  5. 磁気シールド性を有し、前記原子セルを収容するシールドを含み、
    前記第1温度検出素子は、前記シールドの内側に配置され、前記第2温度検出素子は、前記シールドの外側に配置されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原子発振器。
  6. 第1部分と、前記第1部分とは異なる位置の第2部分と、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セルと、
    前記アルカリ金属原子を励起する光を前記原子セルに向って出射する発光素子と、
    前記第1部分の温度を検出する第1温度検出素子と、
    前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて、前記第1部分の温度を制御する第1温度制御素子と、
    一定の出力値で前記第2部分を前記第1部分の温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子と、
    前記原子セルを透過した光を受光する受光素子と、を含む、原子発振器。
  7. 原子発振器と、
    前記原子発振器からの周波数信号を処理する処理部と、を備え、
    前記原子発振器は、第1部分と、前記第1部分とは異なる位置の第2部分と、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セルと、
    前記アルカリ金属原子を励起する光を前記原子セルに向って出射する発光素子と、
    前記第1部分の温度を検出する第1温度検出素子と、
    前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて、前記第1部分の温度を制御する第1温度制御素子と、
    前記第1部分と前記第2部分との間の熱抵抗以上の熱抵抗を有する部分に配置され、前記部分の温度を検出する第2温度検出素子と、
    前記第2温度検出素子の検出結果、または前記第1温度制御素子が行う温度制御の情報に基づいて、前記第2部分の温度を前記第1部分の温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子と、
    前記原子セルを透過した光を受光する受光素子と、を含む、周波数信号生成システム。
  8. 原子発振器と、
    前記原子発振器からの周波数信号を処理する処理部と、を備え、
    前記原子発振器は、第1部分と、前記第1部分とは異なる位置の第2部分と、を有し、アルカリ金属原子が収容されている原子セルと、
    前記アルカリ金属原子を励起する光を前記原子セルに向って出射する発光素子と、
    前記第1部分の温度を検出する第1温度検出素子と、
    前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて、前記第1部分の温度を制御する第1温度制御素子と、
    一定の出力値で前記第2部分を前記第1部分の温度よりも高い温度に制御する第2温度制御素子と、
    前記原子セルを透過した光を受光する受光素子と、を含む、周波数信号生成システム。
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