(第1の実施形態)
先ず図1を参照して、本発明の第1の実施形態の実装基板製造システム1が備えた情報処理装置の構成について説明する。実装基板製造システム1は複数の部品実装用設備を連結して構成された実装基板製造ラインLを備えている。さらに実装基板製造システム1は、上位システム2および実装プロセス支援装置3を備えている。
上位システム2は、実装基板製造ラインLによる作業対象となる基板や部品などのワークについての情報や、生産作業に使用されるプログラムやパラメータなどの生産データ、設備の稼働状態を記録する稼働情報、各作業過程で実行される検査の結果を示す検査情報などの諸情報を管理する機能を有する。
実装プロセス支援装置3は、これら諸情報に基づき、ディープラーニングの手法で構築された学習モデルによる実装品質の分析やパラメータ設定等の支援を目的とした処理を行う機能を有している。上位システム2および実装プロセス支援装置3は、実装基板製造システム1において製品品質の向上のための情報処理を行う情報処理装置1aを構成する。
次に図2を参照しながら上位システム2、実装プロセス支援装置3の構成を説明する。上位システム2は情報管理装置16を備えている。情報管理装置16は実装基板製造ラインLを構成する各装置と通信ネットワーク5で接続され、各装置とデータの授受が可能となっている。さらに、上位システム2は、生産データ記憶部11、ワークデータ記憶部12、検査情報記憶部13および稼働情報記憶部14、基板サポート情報記憶部19を備えている。
ワークデータ記憶部12は、図3に示すワークデータ30並びに図4に示すリレーションテーブルを記憶する。生産データ記憶部11は、図5に示す生産データ40を記憶する。検査情報記憶部13は、図6(a)に示す検査情報51を記憶する。稼働情報記憶部14は、図6(b)に示す稼働情報55を記憶する。基板サポート情報記憶部19は図21(a)に示す実装点サポート情報120と図22(a)に示すランドサポート情報130を記憶する。実装点サポート情報120とランドサポート情報130については後述する。
図2において、実装プロセス支援装置3は、データセット作成部21、データセット記憶部22、学習部23、学習モデル部24、シミュレーション部25、評価部26、設備パラメータ設定・分析部27、品質評価部28を備えている。実装プロセス支援装置3は、上位システム2の生産データ記憶部11、ワークデータ記憶部12、検査情報記憶部13、稼働情報記憶部14と、上位階層の通信ネットワーク4を介して接続されている。これにより、上位システム2、実装プロセス支援装置3は、情報処理装置1aを構成する各部の間でのデータの授受が可能となっている。
また上位システム2は温度湿度記録装置15を備えており、以下に説明する実装基板製造ラインLにおける温度や湿度などの環境条件の計測結果を環境データとして記録することができるようになっている。さらに上位システム2は情報管理装置16を備えており、実装基板製造ラインLを構成する各装置との間でのデータの授受が可能となっている。ここで、本実施の形態の情報処理装置を構成する実装プロセス支援装置3の各部の機能の概要について説明する。
実装プロセス支援装置3は、学習部23と学習モデル部24を備えている。学習モデル部24は、主に実装基板製造ラインLの各装置で設定される各種パラメータと検査結果との因果関係を学習した学習モデルを備えている。学習モデル部24としては機械学習が可能な人工ニューラルネットワークにより構成される。学習部23はデータセット記憶部22に記憶されたデータセットを利用して学習モデル部24の学習を行う。データセットは、データセット作成部21によって上位システム2の各記憶部から収集されたデータより作成され、データセット記憶部22に記憶される。
シミュレーション部25は、実装基板製造ラインLにおける実装基板製造のための製造プロセスのシミュレーションを実行する。シミュレーション部25は実装基板製造工程におけるはんだの挙動についてシミュレーションを実行し、スクリーン印刷によって形成された印刷はんだの形状、部品搭載後の印刷はんだの形状や印刷はんだ上に搭載された部品の状態、リフロー後の部品のはんだ付け状態を予測する。シミュレーション部25は実装基板製造プロセスの主要な工程であるスクリーン印刷工程、部品搭載工程、リフロー工程におけるはんだの挙動をシミュレーションする。具体的には、スクリーン印刷工程と部品搭載工程では、はんだペーストの動きを数値モデルで予測し、リフロー工程では、はんだペーストに含まれるはんだ粒子が溶融して流動する動きを数値モデルで予測する。
シミュレーション部25は、実際の実装基板製造工程で使用される基板、部品、マスク、はんだペーストに関する情報を利用してシミュレーションを実行する。これらの情報はワークデータ記憶部12に記憶されたワークデータ30(図3参照)に含まれており、シミュレーション部25はワークデータ記憶部12からシミュレーションに必要な情報を入手する。ワークデータ30は、シミュレーションを実行するための前提条件の一つである。
シミュレーション部25は、スクリーン印刷工程、部品搭載工程、リフロー工程の結果に影響を与えるパラメータを取得(入力)してシミュレーションを実行する。このパラメータは部品実装用設備に設定されるパラメータに対応し、シミュレーションにおいてスクリーン印刷工程、部品搭載工程、リフロー工程を再現する前提条件である。パラメータの取得方法としては少なくとも二つの方法が準備されている。
1つは、生産データ記憶部11に記憶された生産データ40(図5参照)から取得する方法と、後述するディープラーニング用に学習部23から取得(入力)する方法である。前者の場合、印刷設備パラメータ43からスクリーン印刷工程のシミュレーションに必要な印圧、スキージ速度、アタック角等が取得され、搭載設備パラメータ44からは部品搭載工程のシミュレーションに必要な搭載速度、搭載荷重、押し込み量等が取得され、リフロー設備パラメータ45からリフロー工程のシミュレーションに必要な基板搬送速度、リフロー装置内部に配置されたヒータの設定温度等が取得される。
シミュレーション部25は、設備セットアップ情報46もシミュレーションを実行するための前提条件として参照する。すなわち実装基板製造で使用する設備の状態をシミュレーションで再現することは重要であり、これにより設備の状態によって実装基板の品質がどのように変化するのかを学習モデル部24に学習させることが可能となる。
評価部26は、シミュレーション部25によるシミュレーション結果を評価する。一例として、評価部26はシミュレーション結果として得られたスクリーン印刷後の印刷はんだの体積や形状が予め定めた評価基準を満たしているかを評価する。さらに、評価部26はシミュレーション結果として得られた部品搭載後の印刷はんだの形状や印刷はんだ上に搭載された部品の状態が予め定めた評価基準を満たしているかを評価する。具体的には、搭載された部品による印刷はんだの変形具合や、基板のランドと部品と印刷はんだの位置関係、さらには部品の電極と印刷はんだとの接触状態が評価の対象となる。
さらに、評価部26はシミュレーション結果として得られた部品のはんだ付け状態について、予め定めておいた評価基準に従って評価する。具体的には、基板のランドと部品の電極とを接合するはんだ接合部の形状や体積、基板の実装点と部品との位置関係等を予め定めておいた評価基準に従って評価する。このように評価部26は、実装基板製造ラインLに配置された検査装置による検査を擬似的に行う。なお、シミュレーション部25はスクリーン印刷工程、部品搭載工程、リフロー工程のうち、少なくとも1つをシミュレーションの対象とするものであってもよい。
学習部23はシミュレーションで得られた結果を利用して学習モデル部24の学習を実行するモードを有している。すなわち、実測データで作成されたデータセットを教示データとして使用する学習モードと、シミュレーション結果を教示データとして使用する学習モード(ディープラーニング)を有している。これにより、データセット記憶部22にまだ十分なデータセットが準備できていない場合でもシミュレーションによる模擬実験と機械学習を繰返すディープラーニングによって短時間のうちに学習を促進させることができる。これにより生産初期の段階から学習結果を利用することができる。
実装プロセス支援装置3は、学習済みの学習モデルを利用した支援機能を複数備えている。本実施の形態の支援機能としては、部品実装用設備に設定されるパラメータや部材の配置について提案や分析を行う設備パラメータ設定・分析部27と、実装基板製造工程における品質を分析する品質評価部28が設けられている。
設備パラメータ設定・分析部27は、学習モデル部24を利用して印刷条件、搭載条件、リフロー条件のうちの少なくとも一つを求める機能を有している。すなわち設備パラメータ設定・分析部27は、使用予定の基板の基板データとマスクのマスクデータと部品に関する部品諸元データを読み取って、最適な印刷条件、搭載条件、リフロー条件を学習内容から求める。さらに設備パラメータ設定・分析部27は、学習モデル部24を利用して、生産データ記憶部11に記憶されている印刷条件、搭載条件、リフロー条件のうちの少なくとも一つを評価する機能を有している。すなわち、部品実装用設備に設定されているパラメータの妥当性をパラメータ毎に評価し、不良を誘発する恐れのあるパラメータについては作業者や管理者に通知する。
品質評価部28は、学習モデル部24を利用してスクリーン印刷工程、部品搭載工程、リフロー工程における不良発生を推定する機能を備えている。すなわち、ワークデータ30、生産データ40によって定められた条件で実装基板の製造を行った場合にどれくらいの確率で不良が発生するかを推定する。この推定は、生産ロット別に行うことも可能である。さらに、実装基板の実装点MP(図17参照)、接合点SP、印刷はんだ18a別に不良の発生率を詳細に分析することもできる。これにより、不良が発生しやすい場所を事前に特定して設計あるいは設備パラメータの設定等に反映させることが可能となる。
また、品質評価部28は、学習モデル部24を利用して不良発生要因を推定する機能を備えている。例えば印刷はんだの形状に不良(体積不足)があるとした場合、これまでの経験則で考えられる不良発生要因は、マスク開口80aの寸法や形状、マスク厚み、印刷設備パラメータ(印圧、スキージ速度、版離動作関連パラメータ)、はんだペーストの物性、基板を支えるサポートピンの位置等、非常に多くの項目を検討する必要があり、熟練した作業者でなければ絞り込むのは容易ではない。しかし、学習済みの学習モデル部24に不良発生への寄与度の大きな項目を推定させることで、短時間で対策すべき項目を絞り込むことができる。
次に、実装基板製造システム1を構成する実装基板製造ラインLについて説明する。実装基板製造ラインLは、上流側(図1において左側)から、基板供給装置M1、スクリーン印刷装置M2、印刷はんだ検査装置M3、部品搭載装置(#1)M4、部品搭載装置(#2)M5、部品搭載装置(#3)M6、搭載済み部品検査装置M7、リフロー装置M8、リフロー後検査装置M9、基板回収装置M10の各装置を直列に連結した構成となっている。なお、以下の記述では、各部品搭載装置に付番された(#1、#2、#3)を省略している。各装置が備えた基板搬送コンベアは相互に連結され、作業対象の基板を上流側装置から下流側装置へ、または下流側装置から上流側装置へ逆順に搬送できるようになっている。
基板供給装置M1は部品実装作業前の基板を複数収納し、下流側装置へ供給する。これら複数の基板には、各基板を個別に特定する基板識別情報が付与されており、基板供給装置M1から供給された基板は基板識別情報読み取り装置6によって読み取り対象となる。これにより実装基板製造ラインLに供給される各基板を個別に特定することができる。
スクリーン印刷装置M2は、印刷ステージにセットされた基板のランドにはんだペーストを印刷して印刷はんだを形成する印刷工程を実行する。これらのランドは基板の実装点に形成され、後工程にて部品がはんだ付けされる。印刷はんだ検査装置M3は、スクリーン印刷装置M2によって印刷された印刷はんだの状態を検査する。
部品搭載装置M4、M5、M6は、印刷はんだ検査装置M3で印刷はんだの検査を終えた基板を受け取って、部品を印刷はんだが形成された基板に装着する部品搭載工程を実行する。これらの部品搭載装置M4、M5、M6では、印刷はんだが形成された基板をサポート部材で支持し、その状態で部品を印刷はんだが形成された基板に装着するようになっている。
搭載済み部品検査装置M7は、基板に搭載された部品の状態を検査する。リフロー装置M8は、部品が搭載された基板を加熱して印刷はんだに含まれるはんだ成分を溶融するリフロー工程を実行する。リフロー後検査装置M9は、リフロー工程後の基板における部品のはんだ付け状態を検査する。リフロー後検査装置M9としては、二次情報や三次元情報を取得可能な計測手段を有するものや、X線による計測手段を有するもの等が使用できる。基板回収装置M10は、リフロー後検査済みの基板を回収する。
これらの各装置は実装ラインレベルの通信ネットワーク5によって相互に接続されており、さらに通信ネットワーク5は上位システム2が備えた情報管理装置16を介して通信ネットワーク4と接続されている。すなわち本実施の形態に示す情報処理装置は、実装基板製造システム1の実装基板製造ラインLを構成するスクリーン印刷装置M2と、印刷はんだ検査装置M3と、部品搭載装置M4、M5、M6と、リフロー装置M8とリフロー後検査装置M9との間で通信を行う情報管理装置16を備えている。
上記構成において、印刷はんだ検査装置M3、搭載済み部品検査装置M7、リフロー後検査装置M9は、上述の印刷工程、部品搭載工程、リフロー工程の少なくとも一つの工程後の基板の実装点(図17に示す実装点MP参照)を検査する基板検査手段に相当する。
次に、上位システム2の生産データ記憶部11、ワークデータ記憶部12、検査情報記憶部13および稼働情報記憶部14の各部に記憶されるデータ例について説明する。まず図3を参照してワークデータ記憶部12に記憶されるワークデータ30について説明する。ワークデータ30は、基板データ31、マスクデータ32、はんだペーストデータ33、部品諸元データ34を含んでいる。
さらに基板データ31は「基板ID」31a、「ランド番号」31b、「実装点番号」31c、「実装点位置」31k、「ランド寸法」31d、「ランド位置」31e、「基板材質」31f、「基板厚み」31g、「接合点番号」31hを含んでいる。
「基板ID」31aは、バーコードラベルなどの基板識別マークであり、基板供給装置M1から取り出された後に基板識別情報読み取り装置6によって読み取られる。「ランド番号」31bは、作業対象となる基板17(図17(a)参照)に形成された複数の部品接合用のランド17aを個別に特定するための番号である。「実装点番号」31cは、当該基板に実装される部品の実装位置である複数の実装点(図17(a)に示す実装点MP参照)を個別に特定するための番号である。「実装点位置」31kは基板17における実装点の位置を示す情報であり、二次元の座標(X,Y)で記録されている。
ここに示す例では、実装対象の部品は両端に接続用の電極を有するチップ部品であり、これら電極と基板のランドとをはんだ接合するはんだ接合部位が実装点MPを挟んで2つ存在する。これらはんだ接合部位は、接合点SP(図17(b)参照)として、同様に基板データ31に「接合点番号」31hとして記憶されている。
「ランド寸法」31dは、上述のランド17aのサイズを示す情報である。また「ランド位置」31eは、ランド17aの基板17における位置を示す情報である。すなわち図17(a)に示すように、作業対象の基板17には実装点MPに対応して複数のランド17aが形成されている。ここでは、「ランド寸法」31dとしてランド17aの長さ寸法L1、幅寸法W1、ランド厚さT1が、当該ランド17aの「ランド番号」31bに関連付けられて記憶されている。
「ランド位置」31eは、ランド17aの基板17における位置を示す情報である。すなわち図17(a)に示すように、ランド17aの基板17における位置が、基板基準位置からの直交座標上での水平距離を示す座標値x1,y1によって示されている。「ランド位置」31eも同様に、当該ランド17aの「ランド番号」31bに関連付けられて記憶されている。なお、「ランド位置」31eに、基板の反り変形を示す高さ位置(Z座標値)の情報を含めるようにしてもよい。
ここで「ランド寸法」31d、「ランド位置」31e、「実装点位置」31kはいずれも実測値であり、実装基板製造ラインLとは別にオフラインで設けられた専用の計測装置によって事前に取得され、基板データ31としてワークデータ記憶部12に記憶されている。すなわち基板データ31は、ランド17aを計測して得られたランド寸法に関する情報を含んだデータ構成となっている。「基板材質」31fは、当該基板の材質を特定する情報である。「基板厚み」31gは当該基板の厚み情報を記憶する。なお、少なくとも「ランド寸法」31d、「ランド位置」31eは、基板ID単位で、生産予定枚数分を保有する。
基板データ31は、図13(a)に示すようなデータ構造になっており、「ランド番号」31bよりその「ランド番号」で特定されるランド17aの「ランド寸法」31dや、基板17におけるランドの位置を示す「ランド位置」31eを読み出すことができる。
次にマスクデータ32について説明する。マスクデータ32は、「マスク開口番号」32a、「マスク開口寸法、位置」32b、「マスク厚み」32c、「製造元情報」32dを含んでいる。「マスク開口番号」32aは、作業対象となるマスク80に形成された複数のマスク開口80aを個別に特定するための番号である(図17(a)参照)。「マスク開口寸法、位置」32bは、マスク開口80aの開口寸法、マスク80における位置を示す情報である。ここでは、マスク開口寸法としてマスク開口80aの長さ寸法L2,幅寸法W2が、当該マスク開口80aの「マスク開口番号」32aに関連付けられて記憶されている。
またマスク開口80aの位置情報として、図17(a)に示すように、マスク開口80aのマスク80における位置が、マスク基準位置からの直交座標上での距離x2,y2によって示されている。「マスク開口寸法、位置」32bも同様に、当該マスク80の「マスク開口番号」32aに関連付けられて記憶されている。
ここで「マスク開口寸法、位置」32bはいずれも実測値であり、実装基板製造ラインLのオフラインに設けられた専用の検査装置によって事前に取得され、マスクデータ32としてワークデータ記憶部12に記憶されている。すなわちマスクデータ32は、スクリーン印刷装置M2で使用するマスク80のマスク開口80aの寸法を計測して得られたマスク開口寸法に関する情報を含んだデータ構成となっている。
「マスク厚み」32cは、当該マスク80の厚み情報を記憶する。また「製造元情報」32dは、当該マスク80を製造した製造者を特定するために付与された製造者コードである。このように「製造元情報」32dをワークデータ30に含めることにより、個々の製造者に特有の誤差傾向が存在する場合に、それら誤差傾向が品質に及ぼす影響をデータ上で明定することが可能となる。
マスクデータ32は、図13(b)に示すようなデータ構造になっており、マスク開口番号32aよりそのマスク開口番号で特定されるマスク開口80aの寸法(L,W)や位置(X,Y)等を読み出すことができる。
次にはんだペーストデータ33について説明する。はんだペーストデータ33は、「はんだ粒子粒径」33a、「はんだ組成」33b、「はんだペースト物性」33c、「製造元情報」33dを含んでいる。「はんだ粒子粒径」33aは、使用されるはんだペーストに含有されるはんだ粒子の粒径に関する情報、例えば平均粒径や粒度分布などのデータである。「はんだ組成」33bは、使用されるはんだの組成に関するデータであり、「はんだペースト物性」33cは当該はんだの粘度やチキソ性などの物性値に関するデータである。また「製造元情報」33dは、当該はんだペーストを製造した製造者を特定するために付与された製造者コードである。
次に部品諸元データ34について説明する。部品諸元データ34は、「部品ID」34a、「部品形状タイプ」34b、「部品寸法」34c、「電極(リード)タイプ」34d、「電極(リード)数」34e、「リード寸法、リード形状」34fを含んでいる。「部品ID」34aは実装対象の部品の種類を特定するためのデータであり、同一品番で製造者が異なる部品が存在する場合には、製造者毎に異なる部品IDが付与される。「部品形状タイプ」34bは、対象となる部品を形状に基づいて区分した分類情報である。例えば一般的な直方体形状、円筒形、異形の特殊形状など、形状上の特徴によって適宜区分した結果が記憶される。
「部品寸法」34cは、対象となる部品の寸法データである。「電極(リード)タイプ」34dは、当該部品に形成された接続用の電極(リード)のタイプを、端子、ピンなどの種類毎に区分する。「電極(リード)数」34eは、接続用の電極(リード)の数についてのデータである。「リード寸法、リード形状」34fは、接続用の電極がリードである場合に、そのリードの寸法や形状、例えばストレートであるか、屈曲形状であるかなどの区分を規定するデータである。これらの部品やリードの寸法は部品メーカーが提供しているカタログ値もしくは測定装置による実測で得られた値、あるいは、部品搭載装置M4、M5、M6において部品認識カメラ110による認識(計測)で得られた値、さらにはこれらの値の統計的な値(平均値等)を採用することができる。
次に、図4を参照してワークデータ記憶部12に記憶されるリレーションテーブル59について説明する。リレーションテーブル59は、ワークデータ30に含まれる「ランド番号」31b、「実装点番号」31c、「接合点番号」31h、「マスク開口番号」32aの関連性を定義する。リレーションテーブル59は、機械学習で利用されるデータセットを作製する際に参照される。図4に示すリレーションテーブル59では、関連性のある「ランド番号」31b、「実装点番号」31c、「接合点番号」31h、「マスク開口番号」32aが同じ行に記録される。
次に、この関連性について図17を参照して説明する。図17(a)において基板17の実装点MPに実装される部品Pのはんだ接合用のランド17aが形成されている。図17の例では両端に電極Paが形成されたチップ型の部品Pの例を示しており、2つの電極Paは対応する2つのランド17aが存在する。また、スクリーン印刷機構のマスク80には、ランド17aに印刷はんだ18aを形成するための2つのマスク開口80aが形成されている。さらに、リフロー工程を経て電極Paは、はんだ接合部である接合点SPによってランド17aにはんだ接合される。
このように、基板に実装される部品Pが実装される実装点(位置)と、この部品Pをはんだ接合するためのランド17aと、このランド17aに印刷はんだ18aを形成するためのマスク開口80aと、部品Pをはんだ接合する接合点については、それらを特定する「実装点番号」31c、「ランド番号」31b、「マスク開口番号」32a、「接合点番号」31hによって関連付けされる。
次に、実装基板製造ラインLを構成する設備の構成および機能を説明する。まず、図7を参照して、スクリーン印刷装置M2の構成および機能を説明する。図7において、基台61のX方向の両側端部にはそれぞれ支持フレーム71が立設されており、これら1対の支持フレーム71の間にスクリーン印刷装置M2を構成する以下の要素が配設されている。なお本実施の形態においては、図7における左右方向、すなわち印刷作業の対象となる基板17を搬送する基板搬送方向をX方向と定義し、X方向に直交する方向をY方向と定義している。
基台61には、スクリーン印刷制御部60が内蔵されている。スクリーン印刷制御部60は、スクリーン印刷装置M2の作業動作の制御やスクリーン印刷装置M2が備えたカメラによって取得された画像の認識処理を行う。例えば基板搬送動作、スクリーン印刷機構による印刷作業、第1のカメラ78、第2のカメラ79による認識処理、マスククリーニング機構(図示省略)によるマスク80の下面のクリーニング作業などの作業動作は、スクリーン印刷制御部60によって制御される。
また、スクリーン印刷制御部60は、上位システム2が保有するワークデータ30や生産データ40から必要なデータをダウンロードして記憶する。本実施例ではワークデータ30からは基板データ31、マスクデータ32、はんだペーストデータ33を、生産データからは印刷設備パラメータ43、印刷設備セットアップ情報47がその対象となる。また、スクリーン印刷制御部60は、ワークデータ30や生産データ40を上位システム2へアップロードする機能も有する。本実施例では、スクリーン印刷装置M2で作成または修正した印刷設備セットアップ情報47をアップロードすることができる。
基台61の上面には、印刷ステージ移動機構63によって移動する印刷ステージ62が配設されている。印刷ステージ移動機構63は印刷ステージXYΘテーブル63xyθの上に第2の昇降機構63zを積層した構成となっている。印刷ステージXYΘテーブル63xyθを駆動することにより印刷ステージ62はX方向、Y方向、Θ方向に水平移動し、第2の昇降機構63zを駆動することにより印刷ステージ62は昇降する。
印刷ステージ62は、上流側から搬入される印刷対象の基板17、すなわち図17(a)に示す実装点MPに部品がはんだ付けされるランド17aが形成された基板17を支持する。そして印刷ステージ62は、搬入されて基板サポート部65のサポートピン65a(サポート部材)によってサポートされた基板17を、以下に説明するスクリーン印刷機構のマスク80に対して位置合わせする基板・マスク位置合わせ動作を行う。なお、基板を支持するサポート部材はサポートピン65a以外にも様々なものが存在するが本明細書ではサポートピン65aを例に説明する。
このとき、印刷ステージ移動機構63を構成する印刷ステージXYΘテーブル63xyθを駆動することにより、基板17をマスク80に対してXYΘ方向に位置合わせし、第2の昇降機構63zを駆動することにより基板17をマスク80の下面に当接させて位置合わせする。
スクリーン印刷機構は、印刷用のマスク開口80aが形成されたマスク80およびマスク80上でスキージング動作を行う印刷ヘッド73を備えている。印刷ステージ62は、第2の昇降機構63zの上面に結合された昇降テーブル64を備えている。昇降テーブル64の上面の両端には支持部材64aが立設されており、図7に示すように、支持部材64aの上端部には印刷ステージコンベア66bが結合されている。印刷ステージコンベア66bはX方向に延びた駆動ベルトにより基板17をX方向に搬送する。
印刷ステージコンベア66bの上流側、下流側の支持フレーム71には、それぞれに設けられた開口部を貫通して搬入コンベア66a、搬出コンベア66cが配置されている。印刷ステージ移動機構63を駆動することにより、印刷ステージコンベア66bを搬入コンベア66a、搬出コンベア66cと連結することができる。搬入コンベア66aによって搬入(矢印a)された基板17は、印刷ステージコンベア66bに受け渡されて印刷ステージ62によって保持される。印刷ステージ62においてスクリーン印刷が終了した後の基板17は、印刷ステージコンベア66bから搬出コンベア66cに受け渡されて搬出される。
上述構成において、印刷ステージコンベア66bおよび搬出コンベア66cは、上流から受け取った基板17を印刷ステージ62へ搬入または印刷ステージ62から下流へ搬出する第1の基板搬送部を構成している。そして前述のスクリーン印刷制御部60は、少なくとも印刷ヘッド73とこの第1の基板搬送部とを制御する。ここでスクリーン印刷制御部60は、印刷ステージ62に搬入された基板17に印刷はんだを形成し、印刷はんだが形成された基板17を印刷ステージ62から下流へ搬出する第1の動作モードと、印刷はんだの形成を行うことなく上流から受け取った基板17を下流へ搬出する第2の動作モードとを有する動作形態となっている。
昇降テーブル64の上面には、バックアップ昇降機構である第1の昇降機構65bによって昇降駆動される基板サポート部65が配置されている。基板サポート部65の上面には、複数のサポートピン65aが、予め作業対象の基板17におけるサポート位置に応じて設定される基板サポートレイアウトにしたがって配置されている。印刷ステージコンベア66bに基板17が搬入された状態で、第1の昇降機構65bを駆動して基板サポート部65を上昇させることにより、複数のサポートピン65aは基板17の下面に当接して、基板17を上述のスクリーン印刷機構による印刷高さ位置に支持する。スクリーン印刷機構による印刷が終了した後には、再び第1の昇降機構65bを駆動して基板サポート部65を下降させ、持ち上げた基板17を印刷ステージコンベア66bに戻す。
そしてこのようにして基板17が下面に当接したマスク80の上面で、以下に説明するスクリーン印刷部の印刷ヘッド73にスクリーン印刷動作を行わせることにより、複数のサポートピン65aによって支持された基板17に、マスク80の上面からマスク開口80aを通じて印刷ヘッド73によりはんだペースト18が印刷される(図8参照)。すなわち本実施の形態に示すスクリーン印刷装置M2では、実装点MPに部品がはんだ付けされるランド17aが形成された基板17を下方からサポート部材であるサポートピン65aで支持し、その状態でランド17aにはんだペースト18を印刷して印刷はんだ18a(図17(b)参照)を形成する印刷工程を実行する。
図7において、1対の支持フレーム71の上端には、印刷ヘッド73を支持する印刷ヘッド支持ビーム72が、直動ガイド機構72aを介してY方向に移動自在に配置されている。印刷ヘッド支持ビーム72の一端部は、印刷ヘッド移動機構74を介して一方の支持フレーム71に結合されている。印刷ヘッド移動機構74を駆動することにより、印刷ヘッド支持ビーム72によって支持された印刷ヘッド73は、スキージング方向であるY方向(紙面垂直方向)に往復移動する。
図8に示すように、印刷ヘッド73に設けられたスキージ保持部73aには、スキージ73bが保持されている。スキージ保持部73aはスキージ昇降機構(図示省略)によって昇降駆動され、これによりスキージ73bの下端部はマスク80の上面に対して接離する。マスク80には印刷対象の基板17のランド17aに対応してマスク開口80aが形成されている。基板17をマスク80の下面に当接させた状態では、マスク開口80aはランド17aの上面に位置する。
基板17を対象としたスクリーン印刷においては、マスク80の上面にはんだペースト18を供給した状態で、印刷ヘッド73をスキージング方向(矢印b)へ移動させる。このスキージング動作において、スキージ73bはマスク80の上面においてはんだペースト18を掻き寄せながら摺動し、これによりマスク開口80a内にははんだペースト18が充填される。次いで基板17をマスク80の下面から離隔させる版離れを実行することにより、基板17のランド17aにはマスク開口80a内のはんだペースト18が転写される。これにより、印刷対象の基板17には、マスク開口80aを介してはんだペースト18が所定の印刷パターンで印刷される。
このスクリーン印刷動作を反復する過程において、スキージ73bによって掻き寄せられるはんだペースト18の残量は次第に減少する。このはんだペースト18の残量を検出するため、印刷ヘッド73は距離センサ81を備えている。距離センサ81は反射型の光学センサであり、マスク80の上面においてスキージ73bによって掻き寄せられるはんだペースト18の表面の位置を、反射光(矢印c)を受光することにより検出する機能を有している。
距離センサ81による検出結果をはんだペースト検出部82が受信することにより、マスク80の上面を移動するはんだペースト18の高さhまたはスキージ73bによってマスク80の上面で流動するはんだペースト18のローリング径dを計測することができる。そしてこのようにして計測された高さhまたはローリング径dに基づき、マスク80におけるはんだペースト18の残量を判断する。
図7において、印刷ステージ62の上面とマスク80の下面との間には、第1のカメラ78、第2のカメラ79が取り付けられた移動部材77を、X方向およびY方向に移動させるカメラ移動機構が配設されている。このカメラ移動機構は、移動部材77をカメラX軸ビーム75に沿ってX方向へ移動させるカメラX軸移動機構76XおよびカメラX軸ビーム75をY方向へ移動させるカメラY軸移動機構76Yより構成される。カメラX軸ビーム75のY方向へ移動は、支持フレーム71の内側面に配置された直動ガイド機構75cによってガイドされる。
カメラX軸移動機構76Xは、カメラX軸モータ75a、送りねじ75bおよびナット部(図示省略)より構成される。カメラX軸モータ75aを駆動することにより、ナット部に結合された移動部材77はX方向に移動する。カメラY軸移動機構76Yは、カメラY軸モータ、送りねじおよびカメラX軸ビーム75に結合されたナット部より構成され、カメラY軸モータを駆動することにより、カメラX軸ビーム75をY方向に移動させるようになっている。
ここで第1のカメラ78、第2のカメラ79の機能を説明する。第1のカメラ78は、撮像方向を下方に向けて配置されており、印刷ステージ62に保持された基板17を撮像する。ここでは基板17に形成された認識マーク(図示省略)やランド17aが撮像対象となる。第2のカメラ79は撮像方向を上方に向けて配置されており、マスク80に形成されたマスク認識マーク(図示省略)を撮像する。この撮像で得られた画像を認識処理部によって認識処理することにより、マスク80におけるマスク中心やマスク開口80aの位置が認識される。
スクリーン印刷装置M2によるスクリーン印刷の実行に際しては、上述の第1のカメラ78、第2のカメラ79による認識によって検出された基板17の位置ずれ、マスク80の位置ずれに基づいて印刷ステージ移動機構63に位置補正動作を実行させることにより、基板17をマスク80に対して位置合わせする。そしてこの位置合わせ結果は、図6に示す印刷稼働情報56の「基板・マスク位置合わせ情報」56aとして稼働情報記憶部14に記憶される。
次に図9を参照して、印刷はんだ検査装置M3の構成および機能を説明する。図9において、基台91には印刷はんだ検査制御部90が内蔵されている。印刷はんだ検査制御部90は、印刷はんだ検査装置M3における各種の作業動作や処理、例えば基板搬送動作、撮像部97による基板17の撮像処理、撮像により得られた画面の認識処理等を行う。また、印刷はんだ検査制御部90は、上位システム2が保有する印刷はんだ検査プログラム50aをダウンロードして記憶する。
基台91のX方向の両側端部にはそれぞれ支持フレーム91aが立設されている。支持フレーム91aの上端部には水平な頂板91bが設けられている。これら支持フレーム91a、頂板91bで閉囲される空間に、印刷はんだ検査装置M3を構成する以下の要素が配設されている。なお本実施の形態においては、図9における左右方向、すなわち印刷はんだ検査の対象となる基板17を搬送する基板搬送方向をX方向と定義し、X方向に直交する方向をY方向と定義している。
基台91の上面には、検査ステージ移動機構93によって移動する検査ステージ92が配設されている。検査ステージ移動機構93は、検査ステージXYΘテーブル93xyθの上に移動部材93aを積層した構成となっている。検査ステージXYΘテーブル93xyθを駆動することにより検査ステージ92はX方向、Y方向、Θ方向に水平移動する。
検査ステージ92は、上流側から搬入される印刷対象の基板17を支持するとともに、搬入されて基板バックアップ部95のサポートピン95aによって支持された基板17を、以下に説明する印刷はんだ検査機構の撮像部97に対して位置合わせする位置合わせ動作を行う。このとき、検査ステージ移動機構93を構成する印刷ステージXYΘテーブル93xyθを駆動することにより、基板17をマスク80に対してXYΘ方向に位置合わせする。
撮像部97は、頂板91bから下垂して設けられた鏡筒部97aを備えている。鏡筒部97aの上部には、カメラ98が撮像方向を下向きにして内蔵されている。鏡筒部97aは検査ステージ92の上方に位置しており、カメラ98によって検査ステージ92に保持された基板17を撮像することができる。鏡筒部97aの下端部には、上段照明99a、下段照明99bを内蔵した照明部97bが装着されている。
カメラ98による撮像時には、撮像対象に適した照明条件に応じて上段照明99a、下段照明99bのいずれかまたは双方を点灯させる。さらに鏡筒部97aの側面には同軸照明99cが設けられており、同軸照明99cを点灯することにより、鏡筒部97aの内部に配置されたハーフミラー97cを介して基板17をカメラ98の撮像方向と同軸方向から照明することができるようになっている。
このように、照明条件を切り替えることにより、同一のカメラ98によって異なる用途の検査を実行することができる。すなわち、印刷はんだ検査装置M3は、撮像部97で取得した印刷はんだが形成された基板17の画像に基づいて印刷はんだの状態を検査する印刷はんだ検査部としての機能と、撮像部97で取得した印刷はんだが形成されていない基板17の画像に基づいてランド17aを計測するランド計測部としての機能を備えている。
検査ステージ92は、移動部材93aの上面に結合されたバックアップ昇降機構94を備えている。移動部材93aの上面の両端には支持部材93bが立設されており、支持部材93bの上端部には検査ステージコンベア96bが結合されている。検査ステージコンベア96bはX方向に延びた駆動ベルトにより基板17をX方向に搬送する。
検査ステージコンベア96bの上流側、下流側の支持フレーム91aには、それぞれに設けられた開口部を貫通して搬入コンベア96a、搬出コンベア96cが配置されている。検査ステージ移動機構93を駆動することにより、検査ステージコンベア96bを搬入コンベア96a、搬出コンベア96cと連結することができる。搬入コンベア96aによって搬入(矢印d)された基板17は、検査ステージコンベア96bに受け渡されて検査ステージ92によって保持される。検査ステージ92において印刷はんだ検査が終了した後の基板17は、検査ステージコンベア96bから搬出コンベア96cに受け渡されて搬出される。
上述構成において、搬入コンベア96a、検査ステージコンベア96b、搬出コンベア96cは、印刷はんだが形成された基板17を上流から受け取って検査ステージ92へ搬入し、印刷はんだの検査が終了した基板17を検査ステージ92から下流へ搬送する第2の基板搬送部を構成している。そして印刷はんだ検査装置M3が備えた印刷はんだ検査制御部90は、少なくとも撮像部97と前述の印刷はんだ検査部と基板計測部と第2の基板搬送部とを制御する。
この構成において、印刷はんだ検査制御部90は、以下に説明する印刷はんだ検査モードと基板計測モードを選択的に実行するモード切替が可能となっている。印刷はんだ検査モードでは、印刷はんだが形成された基板17を検査ステージ92へ搬入して印刷はんだの検査を行い、印刷はんだの検査が終了した基板17を検査ステージ92から下流へ搬送する。また基板計測モードでは、印刷はんだが形成されていない基板17を検査ステージ92へ搬入してランド17aの計測を行い、ランド17aの計測が終了した基板17を検査ステージ92から上流へ戻す。
そしてスクリーン印刷装置M2においてスクリーン印刷制御部60は、印刷はんだ検査装置M3の検査ステージ92から上流へ戻された基板17を印刷ステージ62に下流側から搬入して印刷はんだを形成し、印刷はんだが形成された基板17を印刷ステージ62から下流へ搬出する第3の動作モードを実行する。上記構成において、実装基板製造システム1は印刷はんだ検査装置M3と通信可能な情報管理装置16を備えており、情報管理装置16は印刷はんだ検査装置M3から印刷はんだの検査結果とランド17aの計測結果を受け取るようになっている。
移動部材93aの上面には、バックアップ昇降機構94によって昇降駆動される基板バックアップ部95が配置されている。基板バックアップ部95の上面には、複数のサポートピン95aが、予め作業対象の基板17におけるサポート位置に応じて設定される基板サポートレイアウトにしたがって配置されている。検査ステージコンベア96bに基板17が搬入された状態で、バックアップ昇降機構94を駆動して基板バックアップ部95を上昇させることにより、複数のサポートピン95aは基板17の下面に当接して、基板17を上述の撮像部97による撮像高さ位置に支持する。
撮像部97による撮像が終了した後には、再びバックアップ昇降機構94を駆動して基板バックアップ部95を下降させ、持ち上げた基板17を検査ステージコンベア96bに戻す。このようにして印刷はんだ検査が終了した後の基板17は、検査ステージコンベア96bから搬出コンベア96cに受け渡されて搬出される。
次に、図10を参照して、部品搭載装置M4、M5、M6の構成および機能を説明する。図10において、基台101には、以下に説明する部品搭載装置M4、M5、M6の作業動作の制御や各装置が備えたカメラによって取得された画像の認識処理を行う機能を有する部品搭載制御部100が内蔵されている。例えば基板搬送動作、部品搭載機構による部品搭載作業、部品認識カメラ110、基板認識カメラ111による認識処理などは、部品搭載制御部100によって制御される。
部品搭載制御部100は、上位システム2が保有するワークデータ30や生産データ40から必要なデータをダウンロードして記憶する。本実施例ではワークデータ30からは基板データ31、部品諸元データ34を、生産データからは搭載設備パラメータ44、搭載設備セットアップ情報48がその対象となる。また、部品搭載制御部100は、ワークデータ30や生産データ40を上位システム2へアップロードする機能も有する。本実施例では、搭載設備セットアップ情報48をアップロードすることができる。
基台101の上面には、1対の基板搬送コンベア102が基板搬送方向であるX方向(図10において紙面垂直方向)に配置されている。基板搬送コンベア102は、作業対象の基板17をX方向に搬送し、以下に説明する部品搭載機構による搭載作業位置に位置決めする。基台101の上面において基板搬送コンベア102の間には、基板下受け部103が配備されている。基板下受け部103は複数のサポートピン103aをサポートピン昇降機構103bによって昇降させる構成となっている。基板17が搭載作業位置に搬入された状態において、サポートピン昇降機構103bを駆動してサポートピン103aを上昇させることにより、複数のサポートピン103aによって基板17の下面を支持する。
基台101のY方向の両側には、それぞれ部品供給用の台車104がセットされている。台車104の上面には、部品供給ユニットであるテープフィーダ105が装着されている。テープフィーダ105は、基板17に搭載される部品を収納したキャリアテープをピッチ送りすることにより、以下に説明する部品搭載機構による部品取り出し位置に部品を供給する。
部品搭載機構の構成を説明する。基台101によって支持されたフレーム部106には、ヘッド移動機構107がY方向に配置されている。ヘッド移動機構107には、移動部材108を介して搭載ヘッド109が装着されている。ヘッド移動機構107を駆動することにより、搭載ヘッド109はX方向およびY方向に移動する。これにより、搭載ヘッド109は基板搬送コンベア102に位置決め保持された基板17とテープフィーダ105との間で移動し、下端部に備えた部品保持ノズル109aによってテープフィーダ105から取り出した部品を基板17に搭載する。
基板搬送コンベア102とテープフィーダ105との間には部品認識カメラ110が配置されている。テープフィーダ105から部品を取り出した搭載ヘッド109を部品認識カメラ110の上方に位置させることにより、部品認識カメラ110は搭載ヘッド109に保持された部品を下方から撮像する。これにより、搭載ヘッド109に保持された状態の部品が認識され、部品の識別や位置ずれの検出が行われる。
移動部材108には、基板認識カメラ111が撮像方向を下向きにして配置されている。基板認識カメラ111を搭載ヘッド109とともに移動させて基板17の上方に位置させることにより、基板認識カメラ111は基板搬送コンベア102に保持された基板17を撮像することができる。これにより基板17に形成された認識マークや実装点を認識して、基板17の位置検出を行うことができる。部品搭載装置M4、M5、M6による部品搭載においては、部品認識カメラ110、基板認識カメラ111による撮像によって取得された画像を認識処理した結果に基づいて、部品搭載機構による部品搭載動作の補正が行われる。
次に図5を参照して、生産データ記憶部11に記憶される生産データ40について説明する。生産データ記憶部11には実装基板製造ラインLの各装置による生産に使用される生産データ40が格納されている。生産データ40は、装着プログラム41、設備パラメータ42、設備セットアップ情報46、検査プログラム50を含んでいる。装着プログラム41は、実装基板製造ラインLによる部品装着作業を実行するための作業動作プログラムである。
図15(c)は、部品搭載装置M4、M5、M6による部品搭載工程において使用される装着プログラム41を示している。装着プログラム41では、装着シーケンスデータに規定された「装着順」41aに、搭載対象の部品を特定する「部品ID」34a、当該部品が実装される「実装点番号」31c、「装着位置」41bおよびテープフィーダ105においてこの部品が供給されるスロット位置を特定する「部品供給位置」44gを対応させたデータ構成となっている。「装着位置」41bは基板データ31の「実装点位置」31kとほぼ同じである。
設備パラメータ42は、作業動作を実行する上で必要とされる設備パラメータ、すなわち当該設備を作動させる際に設定されるマシンパラメータなどの情報である。設備パラメータ42としては、スクリーン印刷装置M2に設定されて前述の印刷工程で実際に使用された印刷条件としての印刷設備パラメータ43、部品搭載装置M4、M5、M6に設定されて前述の部品搭載工程で実際に使用した搭載条件としての搭載設備パラメータ44およびリフロー装置M8に設定されてリフロー装置M8における加熱温度を含むリフロー条件としてのリフロー設備パラメータ45が規定されている。本実施の形態に示す情報処理装置では、前述の基板データ、マスクデータ、印刷条件、搭載条件およびリフロー条件を、実装プロセス支援装置3が備えたデータセット記憶部22(記憶部)に記憶させるようにしている。
さらに印刷設備パラメータ43には、「設備ID」43a、「印圧」43b、「スキージ速度」43c、「アタック角」43d、「版離動作関連パラメータ」43e、「マスククリーニング関連パラメータ」43fが規定されている。「設備ID」43aは使用されるスクリーン印刷装置M2を個別に特定する装置識別情報である。「印圧」43bはスクリーン印刷装置M2においてスキージをマスクに対して押し当てる際の圧力値である。
「スキージ速度」43cはスキージをマスク上で摺動させるスキージング動作時の移動速度である。「アタック角」43dはスキージング動作時のマスクに対するスキージの設定角度である。「版離動作関連パラメータ」43eは、スキージング後にマスクの下面から基板を離隔させる版離動作における動作パラメータ、例えば版離れ動作速度や変速パターンなどの動作条件を規定する。「マスククリーニング関連パラメータ」43fは、スクリーン印刷動作においてはんだペーストのにじみなどのマスク下面の汚損を拭き取って除去するマスククリーニング動作の実行に関するパラメータである。
搭載設備パラメータ44には、「設備ID」44a、「搭載速度」44b、「搭載荷重」44c、「押し込み量」44d、「使用ノズル」44e、「使用ヘッド」44f、「部品供給位置」44g、「フィーダID」44hが含まれている。「設備ID」44aは、使用される部品搭載装置M4、M5、M6を個別に特定する装置識別情報である。「搭載速度」44bは、搭載ヘッドによって部品を基板に搭載する際の搭載ヘッドの下降速度であり、「搭載荷重」44cは搭載ヘッドによって部品を基板に押圧する際の荷重値を示している。
「押し込み量」44dは、部品搭載動作において基板上に着地した部品を搭載ヘッドによってさらに押し下げる際の押し下げ量を示す。「使用ノズル」44e、「使用ヘッド」44fは、当該部品の搭載動作に使用される吸着ノズル、搭載ヘッドの種類をそれぞれ示している。「部品供給位置」44gは、部品搭載装置M4、M5、M6の部品供給部において、当該部品が搭載ヘッドに供給された位置、すなわち部品供給に使用されたテープフィーダが装着されたフィーダスロットを特定する。「フィーダID」44hは、当該部品の部品供給に使用されたテープフィーダを個別に特定するフィーダ識別情報である。
図15(d)は、部品搭載装置M4、M5、M6による部品搭載工程において適用される搭載設備パラメータ44を示している。ここでは、「部品ID」34aによって特定される部品毎に、当該部品の吸着に使用される「使用ノズル」44eを特定する「ノズルID」44e*に、部品吸着動作におけるマシンパラメータを対応させている。これらのマシンパラメータには、吸着ノズルの「吸着高さ」44i、「吸着速度」44j、「吸着停止時間」44kおよび「押し込み量」44dが例示されている。
リフロー設備パラメータ45には、「設備ID」45a、「基板搬送速度」45b、「設定温度」45cが含まれている。「設備ID」45aは、「設備ID」45aは、使用されるリフロー装置M8を個別に特定する装置識別情報である。「基板搬送速度」45bは、リフロー装置M8において加熱雰囲気下で基板を搬送する際の搬送速度である。「設定温度」45cは、リフロー装置M8の各ゾーン毎に予め規定された加熱温度である。
設備セットアップ情報46は、実装基板製造ラインLにおける生産機種の切り替え時に際し、各設備の状態を生産対象に応じて切り替えるセットアップ作業の内容を示す情報である。設備セットアップ情報46としては、スクリーン印刷装置M2を対象とする印刷設備セットアップ情報47、部品搭載装置M4、M5、M6を対象とする搭載設備セットアップ情報48およびリフロー装置M8を対象とするリフロー設備セットアップ情報49が規定されている。
印刷設備セットアップ情報47は、「基板サポートレイアウト」47a、「マスク情報」47b、「スキージ情報」47c、「コンベア幅情報」47dを含んでいる。「基板サポートレイアウト」47aは、スクリーン印刷装置M2における基板サポート(図7に示すサポートピン65a参照)の配置を示す情報である。この「基板サポートレイアウト」47aは印刷ステージ62におけるサポートピン65aの座標であり、後述するランドサポート情報130を作成する際に参照される。「マスク情報」47bは、スクリーン印刷装置M2にセットされたマスク80の種類に関する情報である。「スキージ情報」47cは、スクリーン印刷装置M2の印刷ヘッド73に装着されるスキージ73bの種類に関する情報である。「コンベア幅情報」47dは、スクリーン印刷装置M2において基板17を搬送する基板搬送コンベアの幅寸法を規定する。
搭載設備セットアップ情報48は、「基板サポートレイアウト」48a、「コンベア幅情報」48bを含んでいる。「基板サポートレイアウト」48aは、部品搭載装置M4、M5、M6における基板サポート(図10に示すサポートピン103a参照)の配置を示す情報である。この「基板サポートレイアウト」48aは基板下受け部103におけるサポートピン103aの座標であり、後述する「基板サポート情報」120を作成する際に参照される。「コンベア幅情報」48bは、部品搭載装置M4、M5、M6において基板17を搬送する基板搬送コンベアの幅寸法を規定する。またリフロー設備セットアップ情報49は「コンベア幅情報」49aを含んでいる。「コンベア幅情報」49aは、リフロー装置M8において基板17を搬送する基板搬送コンベアの幅寸法を規定する。
検査プログラム50は、実装基板製造ラインLに配置された検査装置による検査に使用されるプログラムである。検査プログラム50には、印刷はんだ検査装置M3において使用される印刷はんだ検査プログラム50a、搭載済み部品検査装置M7において使用される搭載済み部品検査プログラム50b、リフロー後検査装置M9において使用されるリフロー後検査プログラム50cが含まれている。これらの各検査装置がそれぞれの検査プログラムを実行することにより、作業対象の基板17を対象として、印刷半田検査、搭載済み検査、リフロー後検査が実行される。
次に図6を参照して、検査情報記憶部13に記憶される検査情報51および稼働情報記憶部14に記憶される稼働情報55について説明する。検査情報51は、実装基板製造ラインLに配置された検査装置による検査結果に関する情報である。また稼働情報55は、実装基板製造ラインLに配置された作業装置の稼働状態に関する情報である。
図6(a)に示すように、検査情報51には印刷はんだ検査情報52、搭載済み部品検査情報53、リフロー後検査情報54が含まれている。印刷はんだ検査情報52は、印刷はんだ検査装置M3によって印刷が実行された後の基板17を対象とした検査によって取得した情報である。印刷はんだ検査情報52には、印刷半田検査における検査結果、すなわち印刷の良否判定や印刷状態を示す印刷はんだ検査結果52a、印刷されたはんだの面積や体積などの計測結果を示す印刷はんだ計測データ52bが含まれている。
搭載済み部品検査情報53は、部品搭載装置M4、M5、M6によって部品搭載が実行された後の基板17を対象とした検査によって取得した情報である。搭載済み部品検査情報53には、搭載済み部品検査における検査結果、すなわち搭載状態の良否判定を示す搭載済み部品検査結果53a、搭載済み部品の位置ずれ量などの計測結果を示す搭載済み部品計測データ53bが含まれている。
リフロー後検査情報54は、リフロー装置M8によりリフローが実行された後の基板17を対象とした検査によって取得した情報である。リフロー後検査情報54には、リフロー後検査における検査結果、すなわちリフロー後の部品接合状態の良否判定を示すリフロー後検査結果54a、リフロー後部品の位置ずれ量などの計測結果を示すリフロー後計測データ54bが含まれている。
図6(b)に示すように、稼働情報55には印刷稼働情報56、搭載稼働情報57、リフロー稼働情報58が含まれている。印刷稼働情報56は、印刷はんだ検査装置M3による印刷作業の稼働状態を示す情報であり、以下に説明する情報が時系列的に取得タイミングと関連づけられて記憶されている。
さらに印刷稼働情報56には、「基板・マスク位置合わせ情報」56a、「はんだ補給情報」56b、「マスククリーニング情報」56cおよび「残量」56dが含まれている。「基板・マスク位置合わせ情報」56aは、スクリーン印刷装置M2における基板17とマスク80の位置合わせ状態に関する情報であり、印刷動作に先立って基板17およびマスク80を位置認識した認識結果に基づき検出される。「はんだ補給情報」56bは、スクリーン印刷装置M2におけるはんだ補給の実行履歴を示す情報である。
「マスククリーニング情報」56cは、スクリーン印刷動作を反復実行する過程におけるマスククリーニングの実行履歴を示す情報である。「残量」56dは、スクリーン印刷装置M2の印刷ヘッド73におけるはんだの残量を示す情報である。ここでは、マスク80の上面においてスキージ73bによってかき寄せられるはんだペースト18の高さhまたはローリング径d(図8参照)によってはんだの残量の指標としている。
搭載稼働情報57は、部品搭載装置M4、M5、M6による部品搭載作業の稼働状態を示す情報である。さらに搭載稼働情報57には、「部品認識情報」57a、「補正情報」57b、「フィードバック情報」57cが含まれている。「部品認識情報」57aは、部品搭載装置M4、M5、M6において部品認識カメラ110によって部品を認識して位得られた結果や、基板認識カメラ111によって基板17を認識して位置検出を行った結果に関する情報である。部品を認識して得られた結果としては、部品保持ノズル109aに保持された部品の位置や部品の寸法(長さ、幅、厚み、リード寸法等)が含まれる。「補正情報」57bは、部品搭載装置M4、M5、M6において基板17、部品を認識した結果に基づいて搭載位置の補正を行った補正履歴に関する情報である。また「フィードバック情報」57cは、後工程装置から部品搭載装置M4、M5、M6に対して行われたフィードバックの履歴を示す情報である。
リフロー稼働情報58は、リフロー装置M8によるリフローの稼働状態を示す情報である。さらにリフロー稼働情報58には、「ゾーン温度」58a、「基板搬送速度」58bが含まれている。「ゾーン温度」58aは、リフロー装置M8の内部を区分して設定された複数の加熱ゾーンのそれぞれにおける加熱温度を時系列に記録した情報である。「基板搬送速度」58bは、基板17の各加熱ゾーンにおける滞留時間など、リフロー装置M8内における基板17の搬送態様を示す情報である。
次に、図21と図22を参照して基板サポート情報記憶部19に記憶される実装点サポート情報120とランドサポート情報130について説明する。実装点サポート情報120とは、部品搭載装置M4、M5、M6において部品搭載工程における基板の実装点MPとサポートピン103aとの相対的な位置関係に関する情報であり、部品搭載工程において実装点MPがサポートピン103a等の支持部材でどのように支持されているかを意味する情報である。
実装基板の製造では基板17支持するサポートピン103aの配置が部品搭載工程やその後のリフロー工程の品質を少なからず左右する。従って、サポートピン103aの配置と不良の因果関係についても学習モデル部24に学習させる必要がある。本実施の形態では実装点サポート情報120によって実装点MPとサポートピン103aとの相対的な位置関係を学習モデル部24が学習可能な情報として提供するものである。
実装点MPとサポートピン103aとの相対的な位置関係については様々な規定方法が考えられるが、本実施の形態では、実装点MPから所定の範囲内に存在するサポートピン103aの数で規定する。図21(b)に示すように、各実装点MPを中心とする半径D1の領域R1を設定し、領域R1内に存在するサポートピン103aの数によって各実装点MPのサポート状態を示している。
図21(a)は、このようにして作成された実装点サポート情報120を示している。実装点サポート情報120では、実装点MPを個別に特定する「実装点番号」120a(1001,1002,・・・)に、「サポートタイプ」120b、「サポート数」120c、「コンベア近傍」120dを対応させている。「サポートタイプ」120bは、当該実装点MPを支持するサポート態様、すなわち用いられているサポート部材がピンタイプであるか面タイプであるか、が示されている。「サポート数」120cは、当該実装点MPについての領域R1内におけるサポートの数を示している。なお、「実装点番号」120aはワークデータの「実装点番号」31cを使用する。
そして「コンベア近傍」120dは、当該実装点MPが基板17の側端を支持する基板搬送コンベア102の近傍にあって、領域R1が基板搬送コンベア102に重なっている状態にあるか否かを示す。ここでは、実装点MPが基板搬送コンベア102の近傍にある場合には、その旨を示す記号(ここでは装置1)を当該実装点MPの「コンベア近傍」120dに入力するようにしている。このような実装点サポート情報120を作成することにより、学習モデル部24に各実装点MPのサポート状態を学習させることができる。
ランドサポート情報130とは、スクリーン印刷装置M2において印刷工程における基板のランド17aとサポートピン65aとの相対的な位置関係に関する情報であり、印刷工程においてランド17aがサポートピン65a等の支持部材でどのように支持されているかを意味する情報である。印刷工程では基板17を支持するサポートピン65aの配置が印刷はんだの品質に大きく影響する。従って、サポートピン65aの配置と不良の因果関係についても学習モデル部24に学習させる必要がある。本実施の形態ではランドサポート情報130によってランド17aとサポートピン65aとの相対的な位置関係を学習モデル部24が学習可能な情報として提供するものである。
ランド17aとサポートピン65aとの相対的な位置関係については様々な規定方法が考えられるが、本実施の形態では実装点サポート情報120と同じ思想で規定する。図22(b)に示すように、各ランド17aを中心とする半径D2の領域R2を設定し、領域R2内に存在するサポートピン65aの数によって各ランド17aのサポート状態を示している。
図22(a)は、ランドサポート情報130を示している。ランドサポート情報130では、ランド17aを個別に特定する「ランド番号」130a(1001−1,1001−2,1002−1,・・・)に、「サポートタイプ」130b、「サポート数」130c、「コンベア近傍」130dを対応させている。なお、「ランド」130aはワークデータの「ランド番号」31bを使用する。このようなランドサポート情報130を作成することにより、学習モデル部24に各ランド17aのサポート状態を学習させることができる。
実装点サポート情報120とランドサポート情報130は情報管理装置16によって作成される。情報管理装置16は、ワークデータ30の基板データ31と設備セットアップ情報46に含まれる「基板サポートレイアウト」47a、48aから実装点サポート情報120とランドサポート情報130を作成する。情報管理装置16は、作成した実装点サポート情報120とランドサポート情報130を基板サポート情報記憶部19に記憶する。このように、情報管理装置16は、基板17における実装点もしくはランドの位置に関する情報(「実装点位置」31k、「ランド位置」31e)と各設備におけるサポート部材の位置に関する情報(「基板サポートレイアウト」47a、48a)とに基づいて基板サポート情報を作成する基板サポート情報作成部として機能する。
情報管理装置16は、ワークデータ30の基板データ31より基板17における実装点MPの位置を示す情報として「実装点位置」31kを、設備セットアップ情報46より部品搭載装置M4,M5、M6におけるサポートピン103aの位置を示す情報として「基板サポートレイアウト」48aをそれぞれ読み取り、図21(a)に例示した実装点サポート情報120を作成する。なお、部品搭載装置M4,M5、M6でサポートピン103aのレイアウトが異なる場合は各部品搭載装置M4,M5、M6別に実装点サポート情報120を作成する。このように、情報管理装置16は実装点サポート情報作成部として機能する。なお、基板17における実装点MPの位置を示す情報として「実装点位置」31kの代りに生産データ40の装着プログラム41に含まれる装着位置41b(図15(c))を使用してもよい。
情報管理装置16は、ワークデータ30の基板データ31より基板17におけるランド17aの位置を示す情報として「ランド位置」31eを、設備セットアップ情報46よりスクリーン印刷装置M2におけるサポートピン65aの位置を示す情報として「基板サポートレイアウト」47aをそれぞれ読み取り、図22(a)に例示したランドサポート情報130を作成する。このように、情報管理装置16はランドサポート情報作成部として機能する。
次に実装基板製造システム1における実装基板生産準備工程について、図11を参照して説明する。まず実装基板生産前には、生産データおよびワークデータの準備が行われる(ST1)。すなわち、生産データ40を構成する装着プログラム41、設備パラメータ42、設備セットアップ情報46、検査プログラム50を準備して生産データ記憶部11に記憶させるとともに、ワークデータ30を構成する基板データ31、マスクデータ32、はんだペーストデータ33、部品諸元データ34を準備してワークデータ記憶部12に記憶させる。ここで基板データ31は基板識別番号単位で準備され、基板データ31のランド位置、ランド寸法は、実装基板製造ラインLと別個にオフラインで設けられた計測装置で得られた専用の計測装置を用いて取得される。
なお、設備パラメータ42については設備パラメータ設定・分析部27を利用して準備されたものでもよい。すなわち、学習モデル部24の学習レベルが十分なレベルに達している場合、設備パラメータ設定・分析部27は、学習モデル部24を利用して印刷設備パラメータ43、搭載設備パラメータ44、リフロー設備パラメータを求める。設備パラメータ設定・分析部27は、求めた設備パラメータ42を生産データ記憶部11へ格納する。これにより、設備パラメータ42の準備が完了する。
次に準備した生産データ40を、情報管理装置16のデータ送信機能により実装基板製造ラインLの各設備へダウンロードする(ST2)。これにより、各設備には生産対象のワークに応じた装着プログラム41、設備パラメータ42、設備セットアップ情報46、検査プログラム50が取り込まれる。次に設備セットアップ情報46に基づいて、各設備をセットアップする(ST3)。これにより、各設備において生産対象に応じた機種切り替え作業が行われ、当該機種を対象とした生産が可能な状態となる。なお、機種切り替え作業には設備が自動で行うものと作業者が設備セットアップ情報46を確認しながら行うものがある。
次に基板サポート情報(実装点サポート情報120、ランドサポート情報130)が作成される。情報管理装置16は、ワークデータ30の基板データ31と設備セットアップ情報46を参照して実装点サポート情報120とランドサポート情報130を作成する。作成された基板サポート情報は基板サポート情報記憶部19に記憶される。
次に実装基板生産工程について、図12を参照して説明する。図12は一枚の基板に着目した工程を示している。まず基板供給装置M1によって基板17が供給される(ST11)。次に基板識別情報の読み取りが行われる(ST12)。すなわち基板識別情報読み取り装置6によって基板識別情報(基板ID)が読み取られる。次に温度と湿度の計測値に読み取りが行われる(ST13)。ここでは、基板識別情報読み取り装置6による基板IDの読み取りをトリガとして、温度湿度記録装置15により温度と湿度の計測値を読み取り、基板IDおよび計測時刻を付して、稼働情報記憶部14に記憶させる。
次いで印刷工程を実行する(ST14)。すなわちスクリーン印刷装置M2によりはんだペースト18を基板17のランド17aに印刷する。このとき、印刷工程における印刷稼働情報56(図6参照)を「基板ID」31a、「設備ID」43aとともに稼働情報記憶部14に記憶させる。
次に印刷はんだ検査を実行する(ST15)。すなわちはんだペースト18が印刷された基板17を印刷はんだ検査装置M3により検査する。そして印刷はんだ検査結果を、「基板ID」31a、「設備ID」44a、「マスク開口番号」32aと関連づけて稼働情報記憶部14に記憶させる。
図16(a)は、印刷はんだ検査装置M3による印刷はんだ検査結果52aを示している。ここでは、印刷はんだ検査が実行される項目毎に付された「印刷はんだ検査番号」52nおよび検査対象となるマスク開口を特定する「マスク開口番号」32aに、検査結果を示すデータを対応させている。検査結果を示す項目としては、印刷はんだの位置ずれ、面積、体積を含む計測結果52b*と、検査の合否を示す「判定結果」52a*が含まれている。
次に部品搭載工程を実行する(ST16)。すなわち印刷はんだ検査後の基板17に部品搭載装置M4、M5、M6により部品を搭載する。このとき部品搭載工程における搭載稼働情報57を、「基板ID」31a、「設備ID」44a、「実装点番号」31cと関連づけて稼働情報記憶部14に記憶させる。
次いで搭載済み部品検査を実行する(ST17)。すなわち部品搭載後の基板17を搭載済み部品検査装置M7により検査する。そして搭載済み部品検査結果53aを、「基板ID」31a、「実装点番号」31cと関連づけて稼働情報記憶部14に記憶させる。
図16(b)は、搭載済み部品検査装置M7による搭載済み部品検査結果53aを示している。ここでは、搭載済み部品検査が実行される項目毎に付された「搭載済み部品検査番号」53nおよび検査対象となる実装点MPを特定する「実装点番号」31cに、検査結果を示すデータを対応させている。検査結果を示す項目としては、搭載済み部品の位置計測結果を示す「位置ずれ」53b*と、搭載済み部品の装着状態をしめす「装着状態」53a*が含まれている。
次にリフロー工程を実行する(ST18)。すなわち搭載済み部品検査後の基板17をリフロー装置M8に搬入して加熱することにより印刷はんだを溶融固化させて、部品を基板17のランド17aにはんだ接合する。このとき、リフロー工程におけるリフロー稼働情報58を「基板ID」31aと関連づけて稼働情報記憶部14に記憶させる。
次いでリフロー後検査を実行する(ST19)。すなわちリフロー後の基板17をリフロー後検査装置M9により検査する。そしてリフロー後検査結果54a1(図16(c))(部品はんだ付け状態)を「基板ID」31a、「実装点番号」31cと関連づけて稼働情報記憶部14へ記憶させるとともに、リフロー後検査結果54a2(図16(d))(電極はんだ付け状態)を「基板ID」31a、「接合点番号」31hと関連づけて稼働情報記憶部14へ記憶させる。
図16(c)、(d)は、リフロー後検査装置M9によるリフロー後検査結果54aを示している。ここで、図16(c)は、部品はんだ付け状態を対象とするリフロー後検査結果54a1であり、リフロー後検査が実行される項目毎に付された「リフロー後検査番号(1)」54n1および検査対象となる実装点MPを特定する「実装点番号」31cに、検査結果を示すデータを対応させている。検査結果を示す項目としては、リフロー後部品の位置ずれの計測結果を示す「位置ずれ」54b*と、部品はんだ付け状態の良否をしめす「部品はんだ付け状態」54a1*が含まれている。
図16(d)は、電極はんだ付け状態を対象とするリフロー後検査結果54a2であり、リフロー後検査が実行される項目毎に付された「リフロー後検査番号(2)」54n2および検査対象となる接合点SPを特定する「接合点番号」31hに、検査結果を示すデータを対応させている。検査結果を示す項目としては、接合点SPのはんだ部の状態を示す「はんだ部状態」54a2*が含まれている。
「はんだ部状態」54a2*としては、正常にはんだ接合されている状態を示す「良好」や、半田が濡れていない「不濡れ」、電極Paがランド17aから離れている「浮き」、はんだ量が過剰または不足である「はんだ過多/不足」、隣接したランド17a間ではんだが接続した状態で固化した「ブリッジ」など、撮像した画像を画像認識することにより検出可能な種々の状態が含まれる。
以上のような実装基板製造工程で実装基板の製造枚数が増えるに従い、検査情報51と稼働情報55も増加する。
次に、データセット作成部21によるデータセット作成処理について、図13を参照して説明する。これから説明するST20〜ST23は、ランド番号単位のデータセットを作成する処理である。まずデータセット[DS]の作成対象となる基板IDの基板について「ランド番号」31bを取得する(ST20)。「ランド番号」31bは、データセットが作成されていないものが取得される。
次いで、データセット作成部21は、その「ランド番号」31bに関連する情報でデータセット[DS]を構成する情報を生産データ記憶部11、ワークデータ記憶部12、検査情報記憶部13、稼働情報記憶部14、基板サポート情報記憶部19より収集してデータセット[DS]を作成し(ST21)、データセット記憶部22に記憶させる(ST22)。そして全てのランド番号についてデータセットの作成が完了したら次のステップ移行し、未作成のランド番号があればST21へ戻って処理を繰返す(ST23)。データセット作成部21は、リレーションテーブル59を参照して、「ランド番号」31bに関連する情報を検索して収集する。
すなわち、生産データ記憶部11、ワークデータ記憶部12、検査情報記憶部13、稼働情報記憶部14、基板サポート情報記憶部19に記憶される情報には「ランド番号」31b、「マスク開口番号」32a、「実装点番号」31c、「接合点番号」31hのいずれかで特定できるようにしている。従って同一基板IDを有する情報であってリレーショナルテーブルで関連付けされたものを収集してデータセット[DS]を作成する。
図14は、データセット[DS]の例を示している。データセット[DS]は、実装品質評価における効果を示す印刷はんだ検査結果52a、搭載済み部品検査結果53a、リフロー後検査結果54aに、実装品質評価における要因に相当する基板情報31*、マスク情報32*、はんだ情報33*、印刷工程情報43*、部品搭載工程情報44*、リフロー工程情報45*、環境情報15*を対応させて構成されている。ここで環境情報15*は、図1に示す温度湿度記録装置15が計測した温度や湿度などの計測結果を、基板識別情報読み取り装置6によって識別された基板IDと関連づけた情報である。
基板情報31*、マスク情報32*、はんだ情報33*、印刷工程情報43*、部品搭載工程情報44*、リフロー工程情報45*は、具体的には以下のようなデータ項目を含んでいる。すなわち基板情報31*は、基板データ31である「基板ID」31a、「ランド番号」31b、「ランド寸法」31d、「ランド位置」31eを含んでいる。マスク情報32*は、マスクデータ32である「マスク開口番号」32a、「マスク開口寸法、位置」32b、「マスク厚み」32cを含んでいる。はんだ情報33*は、はんだペーストデータ33である「はんだ粒子粒径」33a、「はんだ組成」33b、「はんだペースト物性」33cを含む。
印刷工程情報43*は、「基板ID」31a、「設備ID」43a、「印圧」43b、「スキージ速度」43c、「残量」56d、「はんだ補給情報」56b、「マスククリーニング情報」56c、「ランドサポート情報」130を含んでいる。部品搭載工程情報44*は、「設備ID」43a、「実装点番号」31c、「基板ID」31a、「接合点番号」31h、「部品ID」34a、「設備ID」44a、「搭載速度」44b、「搭載荷重」44c、「押し込み量」44d、「使用ノズル」44e、「使用ヘッド」44f、「部品供給位置」44g、「フィーダID」44h、「コンベア幅情報」48b、「実装点サポート情報」120、「部品認識情報」57a、「補正情報」57b、「フィードバック情報」57c、「実装点位置」31kを含む。
リフロー工程情報45*は、「設備ID」45a、「基板ID」31a、「基板搬送速度」45b、「設定温度」45c、「ゾーン温度」58aを含む。環境情報15*は、「基板ID」31a、「温度」15a、「湿度」15b、「計測時刻」15cを含む。
なお本実施の形態で示したデータセット[DS]は一例であり、データセット[DS]を構成する情報の組み合わせは学習モデル部24に学習させる内容や目的に応じて変更することができる。
図13のフローにおいて、ST24で全てのランド番号についてデータセットの作成が終了したら、実装点単位のデータセット作成へ移行する(ST24〜ST27)。まずデータセット[DS]の作成対象となる基板IDの基板について「実装点番号」31cを取得する、(ST24)。「実装点番号」31cはデータセットが作成されていないものが取得される。次いで、データセット作成部21は、その「実装点番号」31cに関連する情報でデータセット[DS]を構成する情報を生産データ記憶部11、ワークデータ記憶部12、検査情報記憶部13、稼働情報記憶部14、基板サポート情報記憶部19より収集してデータセット[DS]を作成し(ST25)、データセット記憶部22に記憶させる(ST26)。そして、全ての「実装点番号」31cについてデータセットの作成が完了するまでST24〜ST27を繰返す(ST27)。
このようにしてデータセット記憶部22に記憶されたデータセット[DS]は、学習部23によって学習モデル部24の学習に使用される。データセット[DS]にはワークデータ30、生産データ40などが主な“学習データ”であり、検査情報51が“正解ラベル”となる。このように“学習データ”と“正解ラベル”を含んだデータセット[DS]を作成して学習を行う。
次に、図18のフローを参照して、ディープラーニングについて説明する。ディープラーニングは、実装基板の生産が全くなされていないもしくは生産数が少ないために十分な数のデータセット[DS]が準備されていないときに実施される。
はじめに、シミュレーション部25によってシミュレーションに必要な基礎データが取得される(ST50)。具体的には生産を予定している実装基板のワークデータ30と設備パラメータ42以外の生産データ40が、基礎データとして収集される。基礎データとはシミュレーションの中では原則として定数もしくはそれに準じたものとして取り扱われるものである。ワークデータ30としては実測で得られたデータを使用するのが好ましい。
次に、設備パラメータの設定が行われる(ST51)。すなわちシミュレーション部25に対してシミュレーションで使用する設備パラメータを入力する。最初に入力する設備パラメータは、生産データ40の設備パラメータ42を使用する。設備パラメータ42を入力したらシミュレーション部25によるシミュレーションを実行する(ST52)。シミュレーション部25は実装基板製造工程をシミュレーションし、スクリーン印刷工程、部品搭載工程、リフロー工程の結果を予測する。
シミュレーションで重視するのは、実装基板において部品と基板のランド接合するはんだの挙動の予測である。スクリーン印刷工程では、マスク80上を移動するはんだペーストのローリング、マスク開口80a内へ充填、ランドへの転写などのはんだペーストの動きをシミュレーションの対象とする。また、部品搭載工程では部品によって押しつぶされる印刷はんだ18aの変形や崩れをシミュレーションの対象とする。リフロー工程では基板の温度変化やそれに伴って溶融するはんだ(溶融はんだ)の流動をシミュレーションの対象とする。
なお、シミュレーションの対象としてはスクリーン印刷工程、部品搭載工程、リフロー工程のうち、少なくとも1つであればよい。また、シミュレーション部25がシミュレーションの対象とする「はんだの挙動」の一例として上述した「はんだペーストの動き」、「印刷はんだの変形」、「溶融はんだの流動」は一例でありその他の工程におけるはんだの挙動をシミュレーションの対象にしてもよい。
次に、評価部26でシミュレーション結果の評価を行う(ST53)。評価部26はシミュレーション結果として得られた印刷はんだの体積や形状、部品搭載後の印刷はんだの形状、リフロー後のはんだ付け状態を評価する。次いで、学習部23による学習モデル部24の学習を行う(ST54)。具体的には、基礎データやST51で入力した設備データを“学習データ”に、シミュレーション結果や評価部26の評価結果を“正解ラベル”として学習モデル部24に学習させる。
ST54が終わると学習を継続するかどうか判断し(ST55)、継続する場合は次のST56の処理からST51へ戻り、ST51〜ST56を繰返す。なお、処理を繰返す場合は、実際の基板や部品のばらつきを再現するためにワークデータ30を変更する(ST56)。またシミュレーション部に入力する設備パラメータも必要に応じて変更する。この際、学習モデル部24で求めた設備パラメータを入力してもよい。
このように、ディープラーニングではシミュレーションの前提条件となるワークデータや設備パラメータ少しずつ変えながら膨大な数の組み合わせについてシミュレーションを実行し、その結果を学習モデル部24に学習させることで学習モデル部の学習レベルを急速に高めることができる。
次に図19のフローを参照して、学習済みの学習モデル部24を利用した各種機能のうち設備パラメータ設定・分析部27による設備パラメータ設定機能について説明する。
先ず設備パラメータ設定・分析部27により、使用予定の基板およびマスクの基板データ、マスクデータを読み取る(ST30)。次いで、設備パラメータ設定・分析部27は、学習モデル部24に設備パラメータの問合わせを実行する。具体的には、設備パラメータ設定・分析部27は、ST30で読み取ったデータを入力し、学習モデル部24から出力された設備パラメータを受け取る。この設備パラメータはスクリーン印刷工程、部品搭載工程、リフロー時工程で良好な結果を得ることができると学習モデル部24が算定したものである。
次に、設備パラメータ設定・分析部27は、学習モデル部24から出力された設備パラメータを生産データ記憶部11に記憶する(ST32)。これにより設備パラメータ42の各設備の設備パラメータが新たに設定される。このように、設備パラメータ設定・分析部27によって生産データ記憶部11の設備パラメータが設定あるいは更新されると、対象の設備は設定あるいは更新された設備パラメータをダウンロードする。このようにして、学習モデル部24から出力された設備パラメータは各設備に反映される。
次に、図20のフローを参照して、設備パラメータの評価処理について説明する。この処理は、設備パラメータ設定・分析部27が生産データ記憶部11に記憶された印刷条件、搭載条件、リフロー条件として設定されている設備パラメータ(現在の設備パラメータ)の評価を行うものである。先ず設備パラメータ設定・分析部27により使用予定の基板およびマスクの基板データ、マスクデータを読み取る(ST40)。次いで、設備パラメータ設定・分析部27は学習モデル部24に設備パラメータの問合わせを実行する(ST41)。次に現在の設備パラメータと学習モデル部24で求めた設備パラメータを比較する(ST42)。
そして現在の設備パラメータの評価を行う(ST43)。評価の方法としては、現在の設備パラメータが学習モデル部24で求めた設備パラメータとの差が予め決めておいた許容範囲から外れているかを判断する。そして、ST43の評価結果を出力する(ST44)。具体的には、実装基板製造ラインの管理者やオペレータ等、設備パラメータの設定権限を有する者にモニタや携帯端末の表示部に表示する。ここで差異が許容範囲を超える場合には、不良となる可能性有りと判断して、その旨をモニタに表示して報知する。なお、評価の手法は一例であり本実施の形態以外の方法を採用してもよい。
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、対象となる基板17の基板データ31に含まれる「ランド寸法」31d、「ランド位置」31eを取得するための基板計測をオフラインの専用装置によって行うようにしている。これに対し、図23に示す第2の実施形態では、実装基板製造ラインLを構成する設備が備えたインライン基板計測機能によって、「ランド寸法」31d、「ランド位置」31eを取得する例を示している。
図23において上段に示す実装基板製造ラインLでは、基板供給装置M1、スクリーン印刷装置M2、印刷はんだ検査装置M3、部品搭載装置(#1)M4のみを示している。基板供給装置M1は、部品実装作業前の基板17を下流側へ供給する機能を有している。
スクリーン印刷装置M2は、上流の搬入口から搬入された基板17にはんだペーストを印刷し、印刷後の基板17を下流の搬出口から搬出する機能と、上流の搬入口から搬入された基板17にはんだペーストを印刷することなく下流の搬出口から搬出する機能とを有している。これとともにスクリーン印刷装置M2は、基板17を逆方向に搬送することにより下流の搬出口から搬入してはんだペーストを印刷し、印刷後の基板17を下流の搬出口から部品搭載装置M4へ搬出する機能も有している。さらに上述の印刷機能に加えて、マスク認識用の第2のカメラ79(図7)を使用して、マスク開口の寸法や位置を計測する機能を有している。
印刷はんだ検査装置M3は、上流の搬入口から搬入された基板17に印刷されたはんだペーストの2次元、3次元の計測を行い、計測後の基板17を下流の搬出口から搬出する機能を有するとともに、上流の搬入口から搬入されたはんだペーストが印刷されていない生の基板17のランドの2次元、3次元の計測を行い、計測後の基板17を上流の搬入口から上流側のスクリーン印刷装置M2に戻す機能を有している。
上述構成の実装基板製造ラインLを有する実装基板製造システム1、すなわち基板17のランド17aにはんだペーストを印刷して印刷はんだを形成するスクリーン印刷装置M2と、印刷はんだを検査する印刷はんだ検査装置M3と、印刷はんだの検査を終えた基板17に部品を装着する部品搭載装置M4を含む実装基板製造システム1における実装基板製造方法について説明する。
この実装基板製造方法では、以下に示す作業処理工程が実行される。先ず(第1工程)として、基板搬送が行われる。すなわち基板供給装置M1から基板17をスクリーン印刷装置M2に供給し、スクリーン印刷装置M2において印刷はんだの形成を行うことなく上流から受け取った基板17を下流の印刷はんだ検査装置M3へ搬出する。
次に(第2工程)としてランド計測が行われる。すなわち印刷はんだ検査装置M3において、印刷はんだが形成されていない基板17のランド17aの計測を行う。なお、最初の基板17については、スクリーン印刷装置M2に基板17を搬入してマスク開口計測を実行する。次いで、(第3工程)として基板17の戻し入れが行われる。すなわちランド17aの計測を終えた基板17を印刷はんだ検査装置M3からスクリーン印刷装置M2へ戻す。
そして(第4工程)としてはんだペーストの印刷が行われる。すなわち、スクリーン印刷装置M2において印刷はんだ検査装置M3から戻された基板17に、印刷はんだを形成する。この後、(第5工程)として基板搬出が行われ、印刷はんだが形成された基板17をスクリーン印刷装置M2から印刷はんだ検査装置M3へ搬送する。
次いで(第6工程)として印刷はんだ検査が実行され、印刷はんだ検査装置M3において基板17の印刷はんだを検査する。この後、(第7工程)の基板搬出が実行される。すなわち印刷はんだの検査を終えた基板17を、印刷はんだ検査装置M3から部品搭載装置M4に搬出する。
実装基板製造ラインLによる実装基板製造においては、上述の(第1工程)から(第7工程)を反復する回数Nが予め設定されており、上述処理をN回繰り返すことにより、N枚分の基板17の実測データが取得される。次いで取得されたN枚分の実測データより平均値を求め、これを実測値として採用する。そしてN+1枚目以降は、通常通りの実装動作が実行される。このように、実装基板製造ラインLを構成する設備が備えたインライン基板計測機能によって、基板17の実測データを取得することにより、専用の基板計測装置を追加することなく、基板の計測情報を取得することができる。
本発明の第1の実施形態および第2の実施形態は以上であるが、本発明は発明の要旨を逸脱しない範囲で変更を加えて実施してもよい。