JP2020160067A - 閾値算出装置、閾値算出方法および測定装置 - Google Patents

閾値算出装置、閾値算出方法および測定装置 Download PDF

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【課題】環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値を、精度よく且つ測定者に依存せずに算出する。【解決手段】試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときにその試料から得られる複数の測定値を取得し、そのときの環境変数の値と対応づけて測定データとする。環境変数について定めた同一の分析範囲に含まれる測定データを対象として、最小絶対誤差法による回帰分析と最小二乗法による回帰分析とを行い平均二乗誤差の絶対誤差の平均に対する比が、所定値よりも小さくなる分析範囲において、最小絶対誤差法による回帰分析に基づいて測定データの閾値を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、閾値算出装置、閾値算出方法および測定装置に関し、特に測定データからの閾値の算出に好適に利用できるものである。
物理現象の解析において、閾値を求める測定方法が多数、存在している。閾値は物性値を反映していることが多いからである。例えば、光電子収量分光法(PYS: Photoelectron Yield Spectroscopy)では、励起光として試料に照射する紫外線の励起エネルギーを横軸にとり、試料から放出される光電子収量を測定して縦軸とした場合に、その測定データが描く曲線が急峻に立ち上がる点における励起エネルギーを閾値として求める。得られた閾値は、測定対象試料の仕事関数またはイオン化ポテンシャルと解釈される。
一般に、閾値を持つ測定データが描く曲線は、理想的な環境では閾値までが0、閾値を超えた後は横軸の値に比例、二乗に比例など、物性に則った関数にしたがって変化する。縦軸を測定値そのもの、測定値の平方根などにとって、閾値を超えた後の曲線が直線を描くように設定し、その直線を外挿して横軸との切片を閾値として求める方法が採用されている。
特許文献1には、光電子放出閾値測定装置が開示されている。試料の表面に順次波長を変えながら光を照射し、放出される光電子数を測定している。特許文献1には従来技術として、「光電子放出開始点においては(放出される光電子を計測する)パルスカウント数の増分が小さくて放出開始点を正確に判定することが困難であるため、(照射光の波長に対応する)光エネルギーに対するパルスカウント数を直線関係でグラフ化し、これを零カウント側に外挿したときの交点から閾値を求める」とされている。特許文献1では、励起光の波長に関係のないパルス信号が発生して、光電子に起因するパルスカウント数に上乗せされるため、求められる閾値に誤差が生じることを課題としている(同文献の第6図参照)。
同文献に記載される発明では、励起光のエネルギーによらず一定値をとるパルスカウント数を計測し、測定されるパルスカウント数から差し引いた上で、励起エネルギーに対するパルスカウント数の関係に合致する回帰関数を最小二乗法によって求め、閾値を特定する(同文献第3図参照)。測定されるパルスカウント数は励起エネルギーに単純に比例するとは限らず、物質によってその関係性が異なるため、グラフが直線になるように縦軸を補正する。例えば試料が金属である場合には縦軸はパルスカウント数の平方根(1/2乗)とし、半導体である場合には0.4〜1.0乗の間で調整する。さらに、試料が複数の成分からなる場合には、複数の回帰関数の合成であるとしてデータ処理を行う。
特開平1−138450号公報
特許文献1について本発明者が検討した結果、以下のような新たな課題があることがわかった。
特許文献1に記載される技術では、現実に発生する誤差を吸収するには十分ではないことがわかった。上述のように、同文献に記載される技術では、物質の違いによって縦軸とするパルスカウント数を調整することにより、調整され変換された縦軸と横軸によって描かれるグラフが、閾値より小さい領域では傾きが0で閾値より大きい領域では直線となる。また複数の成分を含む場合には、それぞれの成分によって現れる特性が直線であることを前提としてデータ処理することによって対応している。即ち、従来の技術が前提としている特性曲線は、閾値を挟んだ折れ線であることになる。そのグラフの閾値より小さい領域と大きい領域とをそれぞれ直線で近似し、その交点を閾値として特定している。実際の測定値にはランダムノイズが含まれ、その特性はシグモイド曲線で近似することができる。閾値はシグモイド曲線の変曲点に対応する。
一般に閾値を求めるための測定では、1つの物理量を変化させたときの他の物理量を測定して、変化させた物理量に対する測定した物理量の関係を、上述の特性曲線で表現して閾値を求める。変化させる物理量を影響変数、測定した物理量を測定値、影響変数の値と測定値の対応する対を測定データと呼ぶこととする。影響変数は、測定対象である試料が置かれている環境を表す物理量で、測定値である物理量に影響する。例えば、特許文献1に開示されている光電子放出測定では、試料に照射する光の波長に対応する光エネルギーが影響変数であり、放出される光電子の数が測定値である。この他例えば、半導体の接合における電圧に対する電流の関係には閾値があり、電圧が影響変数、電流が測定値である。このように、影響変数と測定値の関係において閾値をもつものが多数存在する。
本発明者は、影響変数と測定値の関係から閾値を求める測定方法に、普遍的に適用することができる閾値算出方法及び閾値算出装置について検討した。
本発明者が検討した結果、影響変数が閾値よりも大きい領域における測定値の直線近似には誤差が大きくなる傾向が強く、その結果、求められる閾値の精度を低下させていることが分かった。上述したように、測定値を直接縦軸にするのではなく、測定値はグラフが直線になるように変換された縦軸が採用される。このような変換の基礎となっている物理現象は、閾値近傍では測定値に与える影響が顕著であるものの、閾値から離れるにしたがって他の物理現象の影響が強まり、変換の基礎とした物理現象が支配的ではなくなるためであると考えられる。このため横軸(影響変数)のどの範囲において近似を行うべきかが必ずしも明確ではないことがわかった。また、シグモイド曲線で近似する場合であっても、閾値(変曲点)から離れるにしたがって大きくなっていくシステマティックな誤差が重畳され、横軸(影響変数)のどの範囲において近似を行うべきかが必ずしも明確ではないことがわかった。このような背景のために、実際の測定では、測定データを解析する測定者の知識や経験に依存して、求められる閾値の値にばらつきが生じ、同じ測定データであっても求められる閾値の精度を低下させていることが分かった。
本発明の目的は、閾値を求める測定方法において、求められる閾値の精度を向上することである。さらには、測定データを解析する人に依存する要素を排除することである。
このような課題を解決するための手段を以下に説明するが、その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
本発明の一実施の形態によれば、下記の通りである。
すなわち、計測部と制御演算部とを備える閾値算出装置であって、以下のように構成される。
試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときにその試料から得られる複数の測定値を計測部が取得して制御演算部へ供給し、制御演算部は供給された複数の測定値とそのときの環境変数の値と対応づけて測定データとする。制御演算部は、環境変数について定めた同一の分析範囲に含まれる測定データを対象として、最小絶対誤差法による回帰分析と最小二乗法による回帰分析とを行い、二乗誤差の平方根の絶対誤差の平均に対する比が、所定値よりも小さくなる分析範囲において、最小絶対誤差法による回帰分析に基づいて測定データの閾値を算出する。
前記一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値を、精度よく求めることができる閾値算出手段を備えた測定装置を提供することができ、測定者の知識や経験に依存しない閾値の算出が可能となる。
図1は、実施形態1に係る閾値算出装置の構成例を示すブロック図である。 図2は、実施形態2に係る閾値算出方法の一構成例を示すフローチャートである。 図3は、実施形態3に係る測定装置の構成例を示すブロック図である。 図4は、実施形態1における閾値算出装置の、分析範囲を狭める前の動作についての説明図である。 図5は、実施形態1における閾値算出装置の、分析範囲を狭めた後の動作についての説明図である。 図6は、実施形態4に係る閾値算出装置の構成例を示すブロック図である。 図7は、実施形態5に係る閾値算出方法の一構成例を示すフローチャートである。 図8は、実施形態6に係る測定装置の構成例を示すブロック図である。 図9は、実施形態7に係る閾値算出装置の構成例を示すブロック図である。 図10は、実施形態8に係る閾値算出方法の一構成例を示すフローチャートである。 図11は、実施形態9に係る測定装置の構成例を示すブロック図である。 図12は、実施例1に係る実施結果を示すマップ図である。
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
〔1〕<絶対誤差と二乗誤差の平方根の比に基づいて範囲を限定した回帰分析を行う閾値算出装置>
本発明の代表的な実施の形態は、試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに前記試料から得られる測定値をそのときの環境変数に対応付けて構成された測定データ(8)から閾値(9)を算出する閾値算出装置(10)であって、入力部(7)と、測定データ変換部(6)と、回帰分析範囲指定部(3)と、第1及び第2回帰分析部(1,2)と、誤差評価部(4)と、閾値算出部(5)とを備え、以下のように構成される。
前記測定データ変換部は、前記入力部に入力された前記複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成することができる。
前記回帰分析範囲指定部は、前記第1及び第2回帰分析部における環境変数の範囲である分析範囲を指定することができる。
前記第1回帰分析部は、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1回帰関数を求め、前記第1回帰関数による予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1誤差(MAE)を算出することができる。
前記第2回帰分析部は、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2回帰関数を求め、前記第2回帰関数による予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2誤差(RMSE)を算出することができる。
前記誤差評価部は、前記第1誤差に対する前記第2誤差の比を所定値と比較し、前記誤差比が前記所定値よりも大きい場合に、前記回帰分析範囲指定部に前記分析範囲における環境変数の上端を小さくするように分析範囲を変更させ、前記第1及び第2回帰分析部に変更された分析範囲での回帰分析をそれぞれ実行させることができる。
前記閾値算出部は、前記誤差比が前記所定値よりも小さくなったときに、前記第1回帰関数に基づいて閾値を算出することができる。
これにより、環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値の精度を向上することができ、測定者の知識や経験に依存しない閾値の算出が可能となる。
〔2〕<誤差比RMSE/MAE = r < SQRT(2)>
〔1〕項の閾値算出装置において、前記所定値は1.414である。ここで前記所定値として適切な理論値は2の平方根であるが、有効数字をはじめ、実際の測定に採用される場合には、その測定で発生する誤差を考慮して調整される。このことは、以下の〔6〕項と〔10〕項についても同様である。
これにより、誤差が平均0、分散2φのラプラス分布に従う場合に、回帰関数から大きく乖離する測定値の影響を排除することができ、求められる閾値の精度を向上することができる。
〔3〕<誤差比RMSE/MAE = r < SQRT(pi/2)>
〔1〕項の閾値算出装置において、前記所定値は1.253である。ここで前記所定値として適切な理論値は円周率の2分の1の平方根であるが、有効数字をはじめ、実際の測定に採用される場合には、その測定で発生する誤差を考慮して調整される。このことは、以下の〔7〕項と〔11〕項についても同様である。
これにより、誤差が平均0、標準偏差σの正規分布に従う場合に、回帰関数から大きく乖離する測定値の影響を排除することができ、求められる閾値の精度を向上することができる。
〔4〕<光電子収量分光法>
〔1〕項から〔3〕項までのいずれか1項に記載の閾値算出装置において、前記環境変数が試料(23)に照射される光のエネルギーであり、前記測定値が前記試料から放出されて検出器によって検出される光電子収量である(図3)。
これにより、光電子収量分光法によって測定された測定データから、その閾値を算出する閾値算出装置を提供することができる。このとき閾値は、当該試料の仕事関数またはイオン化エネルギーに相当する。
〔5〕<絶対誤差と二乗誤差の平方根の比に基づいて範囲を限定した回帰分析を行う閾値算出方法>
本発明の代表的な実施の形態は、試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに前記試料から得られる複数の測定値をそのときの環境変数に対応付けて構成された測定データから閾値を算出する閾値算出方法であって、測定データ入力ステップ(S1)と、測定データ変換ステップ(S2)と、回帰分析範囲指定ステップ(S3)と、第1及び第2回帰分析ステップ(S4,S6)と、第1及び第2誤差算出ステップ(S5,S7)と、誤差比算出ステップ(S8)と、誤差比判定ステップ(S9)と、回帰分析範囲変更ステップ(S10)と、閾値算出ステップ(S11)とを備える(図2)。
前記測定データ入力ステップでは、前記複数の測定値を入力し、前記測定データ変換ステップで、前記複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成する。
前記回帰分析範囲指定ステップでは、前記第1及び第2回帰分析ステップにおける環境変数の範囲である分析範囲を指定する。前記第1回帰分析ステップでは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1回帰関数を求め、前記第1誤差算出ステップで、前記第1回帰関数による予測値と前記変換データとの誤差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1誤差を算出する。
前記第2回帰分析ステップでは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2回帰関数を求め、前記第2誤差算出ステップで、前記第2回帰関数による予測値と前記変換データとの誤差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2誤差を算出する。
前記誤差比算出ステップで、前記第1誤差に対する前記第2誤差の比を求めて誤差比とし、前記誤差比判定ステップで、前記誤差比を所定値と比較する。
前記誤差比が前記所定値よりも小さくなるまで、前記回帰分析範囲変更ステップにおいて、前記分析範囲における環境変数の上端を小さくする分析範囲の変更を行いながら、前記第1及び第2回帰分析ステップと、前記第1及び第2誤差算出ステップと、前記誤差比算出ステップとを繰り返させる。
前記閾値算出ステップでは、前記誤差比が前記所定値よりも小さくなったときに、前記第1回帰関数に基づいて閾値を算出する。
これにより、〔1〕項と同様に、環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値の精度を向上することができ、測定者の知識や経験に依存しない閾値の算出が可能となる。
〔6〕<誤差比RMSE/MAE = r < SQRT(2)>
〔5〕項の閾値算出方法において、前記所定値は1.414である。
これにより、誤差が平均0、分散2φのラプラス分布に従う場合に、回帰関数から大きく乖離する測定値の影響を排除することができ、求められる閾値の精度を向上することができる。
〔7〕<誤差比RMSE/MAE = r < SQRT(pi/2)>
〔5〕項の閾値算出方法において、前記所定値は1.253である、
これにより、誤差が平均0、標準偏差σの正規分布に従う場合に、回帰関数から大きく乖離する測定値の影響を排除することができ、求められる閾値の精度を向上することができる。
〔8〕<光電子収量分光法>
〔5〕項から〔7〕項までのいずれか1項の閾値算出方法において、前記環境変数が試料(23)に照射される光のエネルギーであり、前記測定値が前記試料から放出されて検出器(26)によって検出される光電子収量である(図3)。
これにより、光電子収量分光法によって測定された測定データから、その閾値を算出する閾値算出方法を提供することができる。このとき閾値は、当該試料の仕事関数またはイオン化エネルギーに相当する。
〔9〕<測定装置>
本発明の代表的な実施の形態は、計測部(21)と制御演算部(11)とを備える測定装置(20)であって、以下のように構成される。
前記計測部は、試料(23)から得られる複数の測定値を取得して前記制御演算部に供給することができる。前記制御演算部は、前記試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに得られる複数の測定値を、そのときの環境変数の値と対応づけて測定データとして取得することができる。前記制御演算部は、前記環境変数について定めた同一の分析範囲に含まれる前記測定データを対象として、絶対誤差が最小となる第1回帰関数を求める第1回帰分析(1)と、二乗誤差が最小となる第2回帰関数を求める第2回帰分析(2)とを行う。前記制御演算部は、前記第2回帰分析における平均二乗誤差の平方根(RMSE)の前記第1回帰分析における絶対誤差(MAE)の平均に対する比が、所定値よりも小さくなる分析範囲において、前記第1回帰関数に基づいて前記測定データの閾値を算出することができる(図3)。
これにより、環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値を、精度よく求めることができる閾値算出手段を備えた測定装置を提供することができ、測定者に依存しない閾値の算出が可能となる。
〔10〕<誤差比RMSE/MAE = r < SQRT(2)>
〔9〕項の測定装置において、前記所定値は1.414である。
これにより、誤差が平均0、分散2φのラプラス分布に従う場合に、回帰関数から大きく乖離する測定値の影響を排除することができ、求められる閾値の精度を向上することができる。
〔11〕<誤差比RMSE/MAE = r < SQRT(pi/2)>
〔9〕項の測定装置において、前記所定値は1.253である。
これにより、誤差が平均0、標準偏差σの正規分布に従う場合に、回帰関数から大きく乖離する測定値の影響を排除することができ、求められる閾値の精度を向上することができる。
〔12〕<光電子収量分光装置>
〔9〕項から〔11〕項までのいずれか1項の測定装置(20)において、前記環境変数が試料(23)に照射される光のエネルギーであり、前記測定値が前記試料から放出されて検出器(26)によって検出される光電子収量である(図3)。
これにより、光電子収量分光法によって測定された測定データから、その閾値を算出する光電子収量分光装置において、自動的に高精度で閾値を算出することができる、閾値算出手段を提供することができる。このとき閾値は、当該試料の仕事関数またはイオン化エネルギーに相当する。
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る閾値算出装置の構成例を示すブロック図である。
実施形態1に係る閾値算出装置10は、測定データ8が入力される入力部7と、測定データ変換部6と、回帰分析範囲指定部3と、最小絶対誤差法による回帰分析部1と最小二乗法による回帰分析部2と、誤差評価部4と、閾値算出部5とを備え、閾値9を出力する。測定データ8は、試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときにその試料から得られる測定値を、そのときの環境変数に対応付けた複数の対で構成されている。
測定データ変換部6は、入力部7から入力された複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成する。所定の変換処理とは、影響変数に対する測定値の関係を、後段で採用されている回帰分析の回帰関数に整合させるための変換である。例えば、特許文献1に開示される従来技術では、影響変数である光エネルギーに対する測定値であるパルスカウント数の関係を、一次関数に近似する回帰分析を行うために、試料が金属である場合には縦軸はパルスカウント数の平方根(1/2乗)とし、半導体である場合には0.4〜1.0乗の間で調整するとされる。
最小絶対誤差法による回帰分析部1は、回帰分析範囲指定部3によって指定される環境変数の範囲である分析範囲で、最小絶対誤差法による回帰分析を行い絶対誤差MAEを求める。絶対誤差MAEは、最小絶対誤差法による回帰分析部1によって求められた回帰関数による予測値と測定データ変換部6から出力された変換データの間の差の絶対値を、指定された分析範囲で平均した値である。
最小二乗法による回帰分析部2は、回帰分析範囲指定部3によって指定される同じ分析範囲で、最小二乗法による回帰分析を行い二乗誤差の平方根RMSEを求める。二乗誤差の平方根RMSEは、最小二乗法による回帰分析部2によって求められた回帰関数による予測値と測定データ変換部6から出力された変換データの間の差を二乗した値を、分析範囲で平均した値の平方根である。
誤差評価部4は、絶対誤差MAEに対する二乗誤差の平方根RMSEの比(誤差比)を所定値と比較する。誤差比が所定値よりも大きい場合には、回帰分析範囲指定部3は環境変数の上端を小さくするように分析範囲を変更し、最小絶対誤差法による回帰分析部1と最小二乗法による回帰分析部2が、変更された分析範囲での回帰分析をそれぞれ実行する。これに伴って、絶対誤差MAEと二乗誤差の平方根RMSEの値が更新される。絶対誤差MAEに対する二乗誤差の平方根RMSEの比である誤差比が所定値以下となるまで、分析範囲を徐々に狭めながら、この処理が繰り返される。
誤差比が所定値以下となったときに、閾値算出部5は、最小絶対誤差法による回帰分析で求めた回帰関数を使って閾値9を算出する。
誤差評価部4のおける、絶対誤差MAEに対する二乗誤差の平方根RMSEの比についての所定値を適切に定めることにより、環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値の精度を向上することができる。
例えば、誤差が平均0、標準偏差σの正規分布に従う場合には、所定値を1.253とすると好適であり、誤差が平均0、分散2φのラプラス分布に従う場合には、所定値を1.414とすると好適である。回帰関数から大きく乖離する測定値の影響を排除することができ、求められる閾値の精度を向上することができるからである。なお、上述の1.253は理論的には円周率の2分の1の平方根であり、1.414は理論的には2の平方根であるが、有効数字をはじめ、実際の測定に採用される場合には、その測定で発生する誤差を考慮して調整されるとよい。
〔本発明の閾値算出における分析範囲の決定原理〕
本発明の閾値算出における分析範囲の決定原理について説明する。
回帰分析には、最小絶対誤差法と最小二乗法がある。最小絶対誤差法は、実測値yoに対する予測値ypの誤差の絶対値の平均を最小にする予測法であり、最小二乗法は誤差の二乗の平均値を最小にする予測法である。絶対誤差MAEと二乗誤差の平方根RSMEは、それぞれ下の式1及び式2で表される。ここでnは分析範囲における測定データの数である。n個の影響変数値に対応してn個の測定値が入力され、n対の測定データとなっている。実測値yoは上述の変換データに対応する。予測値ypは回帰関数に同じ影響変数値を代入して求められる値である。
ここで誤差の絶対値eiは下の式3で表されるので、これを使って式1、2を書き換えると、それぞれ式4,5となる。
誤差の絶対値eiは0以上の値しか取らないので平均MEAN(ei)は絶対誤差MAEに等しく(式6)、分散VAR(ei)は二次モーメントおよび一次モーメントを用いた分散導出の公式により、式7のように求められる。
以上の関係を使うと、絶対誤差MAEに対する二乗誤差の平方根RMSEの比(誤差比)は式8のように表すことができる。
誤差が、平均0、標準偏差σの正規分布に従う場合、誤差の絶対値eiの分布は正規分布の絶対値の分布となる。確率密度関数pdfは、下の式9で表される。
この場合、誤差の絶対値の平均MEAN(ei)および標準偏差VAR(ei)は、下の式10,11で表される。
以上の関係を用いると、絶対誤差MAEに対する二乗誤差の平方根RMSEの比(誤差比)は、下の式12のように表すことができる。
良いモデルが構築できたとき、モデルはデータの大まかな特徴を表現し、正規分布にしたがうようなノイズのみが誤差として残る。その場合、解析結果のRMSEとMAEの比(誤差比)は1.253に近い値をとることがわかる。
確率密度関数が下の式で定義されるラプラス分布にしたがうとき、誤差の平均は0、分散は2φ2である。
このとき、絶対誤差MAEに対する二乗誤差の平方根RMSEの比(誤差比)は、下の式14のように表すことができる。
絶対誤差MAEに対する二乗誤差の平方根RMSEの比(誤差比)が1.414を上回る場合、予測を大きく外しているデータが存在する可能性がある。
以上のように、ノイズがランダムノイズのみで誤差が正規分布にしたがうような測定系では、所定値として1.253を設定すればよく、突発的なノイズを含む場合には、誤差がラプラス分布にしたがうと考えられるので、所定値として1.414を設定すればよいことがわかる。ただし、これらの値は、導出過程の種々の前提にしたがって理論的に導出した数値であるから、実際の測定系においては、存在することがわかっているシステマティックなノイズの影響を考慮し、また有効数字の桁数を調整するなど、実情に合わせた調整が行われるとよい。
なお、回帰分析における誤差評価方法として、絶対誤差MAEと二乗誤差の平方根RMSEとを採用したのは、以下の理由による。即ち、絶対誤差MAEは二乗誤差の平方根RMSEに対して、誤差が大きいほど誤差評価の重み付けを小さくするものとなっているからである。二乗誤差の平方根RMSEの二乗は下の式15で表される。
この関係を利用して絶対誤差MAEを書き変えると、下の式16の通りとなる。
このように、絶対誤差MAEは二乗誤差の平方根RMSEの二乗に対して、誤差yo−ypの絶対値の逆数によって重み付けされた形で表され、誤差が大きいほど誤差評価の重み付けを小さくするものとなっている。
〔閾値算出装置の動作〕
本実施形態1における閾値算出装置10の動作について説明する。図4と図5は、本実施形態1における閾値算出装置10の動作についての説明図であり、図4は分析範囲を狭める前、図5は狭めた後である。図4と図5は、影響変数を横軸xにとり、測定値に所定の変換処理を行った変換データを縦軸yとしたグラフで、丸印は測定データ、曲線31は最小絶対誤差法による回帰分析で求めた回帰関数、曲線32は最小二乗法による回帰分析で求めた回帰関数である。曲線31の直線部分をx軸方向に延長したときのx軸との交点が最小絶対誤差法によって求めた閾値33であり、曲線32の直線部分をx軸方向に延長したときのx軸との交点が最小二乗法によって求めた閾値34である。図4に示すように、分析範囲を限定しない場合には、最小二乗法による回帰関数の曲線32が、最小絶対誤差法による回帰関数の曲線31よりも、影響変数xの大きい領域まで比較的忠実に測定データに合うように近似される。上述したように、絶対誤差MAEが二乗誤差の平方根RMSEに対して、誤差が大きいほど誤差評価の重み付けを小さくするものとなっているためである。その結果、最小二乗法によって求めた閾値34は、最小絶対誤差法によって求めた閾値33よりも大きめの値となっている。
絶対誤差MAEに対する二乗誤差の平方根RMSEの比である誤差比が所定値以下となるまで、分析範囲を徐々に狭めると、図5に示すように、最小二乗法による回帰関数の曲線32と最小絶対誤差法による回帰関数の曲線31との乖離が小さくなり、合わせて、算出される閾値33と34の乖離も小さくなる。想定されるノイズに基づいて規定した所定の値よりも誤差比が小さくなった段階で繰り返しを終わり、最小絶対誤差法による回帰分析で求めた回帰関数を使って閾値を算出する。
このように、回帰分析の範囲が適切な範囲まで狭められ、誤差が大きくなる傾向にある、閾値から離れた測定データの影響が抑えられ、精度の高い閾値算出が可能となる。またその算出は測定者の経験や能力に依存することなく、自動的に実行される。
閾値算出装置10は、測定装置に内蔵されるプロセッサにインストールされるプログラムの動作として実装することができる。その機能の一部または全部は、専用のハードウェアとして実装されてもよい。閾値算出装置10は、種々の測定装置に組み込むことができる。例えば、入出力インターフェースの付加機能として測定者に提供されてもよい。また、上述のように、本発明の閾値算出装置は、測定者に依存しないで自動的に実行することができるので、閾値を品質管理の一指標とするような量産工程に組み込むことにより、高品質で効率的な工程管理を可能とすることができる。
〔実施形態2〕
本発明の閾値算出装置10は、プロセッサにインストールされるプログラムの動作として機能構築することができるので、本発明は、記憶装置と計算機を備えたハードウェアシステムを利用する閾値算出方法と位置付けることができる。
図2は、実施形態2に係る閾値算出方法の一構成例を示すフローチャートである。
本発明の閾値算出方法は、記憶装置を備える計算機上で動作するソフトウェアによって実装され、測定データ入力ステップ(S1)と、測定データ変換ステップ(S2)と、回帰分析範囲指定ステップ(S3)と、第1及び第2回帰分析ステップ(S4,S6)と、第1及び第2誤差算出ステップ(S5,S7)と、誤差比算出ステップ(S8)と、誤差比判定ステップ(S9)と、回帰分析範囲変更ステップ(S10)と、閾値算出ステップ(S11)とを備える。第1及び第2回帰分析の一例として、図2に例示するように、第1回帰分析ステップ(S4)を最小絶対誤差法による回帰分析、第1誤差算出ステップ(S5)を絶対誤差(MAE)の算出とし、第2回帰分析ステップ(S6)を最小二乗法による回帰分析、第2誤差算出ステップ(S7)を二乗誤差の平方根(RMSE)の算出とすることができる。
測定データ入力ステップ(S1)で入力される測定データは、試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに前記試料から得られる複数の測定値をそのときの環境変数に対応付けて構成されている。
測定データ変換ステップ(S2)では、入力された測定データを構成する複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成する。所定の変換処理については、実施形態1で説明した内容と同様であるので、詳しい説明は省略する。
回帰分析範囲指定ステップ(S3)では、最小絶対誤差法による回帰分析ステップ(S4)と最小二乗法による回帰分析ステップ(S6)とに同じ分析範囲を指定する。
最小絶対誤差法による回帰分析ステップ(S4)では、測定データ変換ステップ(S2)から供給される変換データを対象として、最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1回帰関数を求める。絶対誤差(MAE)の算出ステップ(S5)では求められた第1回帰関数による予測値と変換データとの差の絶対値を指定された分析範囲で平均して絶対誤差(MAE)を算出する。
最小二乗法による回帰分析ステップ(S6)では、測定データ変換ステップ(S2)から供給される変換データを対象として、最小二乗法による回帰分析を行って第2回帰関数を求める。二乗誤差の平方根(RMSE)の算出ステップ(S7)では求められた第2回帰関数による予測値と変換データとの差の二乗を指定された分析範囲で平均して平方根をとることにより、二乗誤差の平方根(RMSE)を算出する。
誤差比算出ステップ(S8)では、絶対誤差(MAE)に対する二乗誤差の平方根(RMSE)の比を求めて誤差比rとし、誤差比判定ステップ(S9)で誤差比rを所定値と比較する。
誤差比rが所定値よりも小さくなるまで、回帰分析範囲変更ステップ(S10)において、分析範囲における環境変数の上端を小さくする分析範囲の変更を行いながら、最小絶対誤差法及び最小二乗法による回帰分析ステップ(S4,S6)と、絶対誤差(MAE)及び二乗誤差の平方根(RMSE)の算出ステップ(S5,S7)と、誤差比算出ステップ(S8)とを繰り返す。
閾値算出ステップ(S11)では、誤差比rが所定値よりも小さくなったときに、最小絶対誤差法による回帰分析によって求められた第1回帰関数に基づいて閾値を算出する。
これにより、環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値の精度を向上することができ、測定者の知識や経験に依存しない閾値の算出が可能となる。
誤差比判定ステップ(S9)における、絶対誤差MAEに対する二乗誤差の平方根RMSEの誤差比rについての所定値を適切に定めることにより、環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値の精度を向上することができる。実施形態1と同様に、誤差が平均0、標準偏差σの正規分布に従う場合には、所定値を1.253とすると好適であり、誤差が平均0、分散2φのラプラス分布に従う場合には、所定値を1.414とすると好適である。
〔実施形態3〕
本発明の閾値算出装置10は、実施形態1で述べたように、種々の測定装置に組み込むことができる。
図3は、実施形態3に係る測定装置の構成例を示すブロック図である。図3に示す例は、光電子収量分光装置である。
測定装置20は、計測部21と制御演算部11とを備える。
計測部21は、試料から得られる複数の測定値を取得して制御演算部11に供給することができ、制御演算部11は、試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに得られる複数の測定値を、そのときの環境変数の値と対応づけて測定データとして取得することができる。
光電子収量分光を行うための計測部21は、試料23を保持する試料ステージ22、紫外線光源24、分光器25及び光電子検出器26を含んで構成される。分光器25は例えば回折格子を使って実装することができ、紫外線光源24から放出される紫外線から特定の波長の光を試料23に照射する。波長を規定する回折格子の角度は、制御演算部11によって制御される。光電子検出器26は、例えば光電子増倍管によって増幅された光電子の数をカウンタによって計数するように構成される。分光器25によって、試料23に照射される紫外線の波長が特定されるので、その波長に対応して、放出される光電子収量が測定される。波長に対応する光エネルギーが影響変数であり、光電子収量が測定値、その対が測定データである。
光電子収量分光を行うための制御演算部11は、波長制御部14を含む照射光制御部13と光電子収量測定部12とを含んで構成される。照射光制御部13は計測部21の紫外線光源24を制御し、波長制御部14は分光器25を制御することにより、試料23に照射する光の波長を制御する。光電子収量測定部12は、測定部21の光電子検出器26に接続され、測定される光電子収量を取得する。
制御演算部11は、この他、実施形態1に記載した閾値算出装置10と同様の手段を含んで構成されてもよく、図3にはその構成が例示されている。ただし、その構成には限定されない。図3に例示される制御演算部11は、さらに、測定データ変換部6、回帰分析範囲指定部3、最小絶対誤差法による回帰分析部1、最小二乗法による回帰分析部2、誤差評価部4及び閾値算出部5を備える。
測定データ変換部6は、光電子収量測定部12から入力された光電子収量に所定の変換処理を施して、変換データを生成する。ここで所定の変換処理とは、実施形態1で述べたように、影響変数に対する測定値の関係を、回帰分析の回帰関数に整合させるための変換であり、本光電子収量分光測定の例では、特許文献1に開示される従来技術と同様に、影響変数である光エネルギーに対する測定値であるパルスカウント数の関係を、一次関数に近似する回帰分析を行うために、試料が金属である場合には縦軸はパルスカウント数の平方根(1/2乗)とし、半導体である場合には0.4〜1.0乗の間で調整するとよい。
最小絶対誤差法による回帰分析部1と最小二乗法による回帰分析部2は、回帰分析範囲指定部3によって指定される同じ分析範囲で、それぞれの回帰分析を行なう。このときの分析範囲は、照射光制御部13が波長制御部14によって規定された波長、即ち光エネルギーについて指定される。以下の構成と動作は実施形態1で図1を引用して説明したものと同様であるので、繰り返しの説明は省略する。
これにより、光電子収量分光法によって測定された測定データから、その閾値を算出する光電子収量分光装置において、自動的に高精度で閾値を算出することができる、閾値算出手段を提供することができる。このとき閾値は、当該試料の仕事関数またはイオン化エネルギーに相当する。
また、誤差比についての所定値を適切に定めることにより閾値の精度を向上することができる点も、実施形態1と同様であり、例えば、誤差が平均0、標準偏差σの正規分布に従う場合には、所定値を1.253とすると好適であり、誤差が平均0、分散2φのラプラス分布に従う場合には、所定値を1.414とすると好適である。
図3に示した例は、光電子収量分光装置であるが、他の測定装置にも同様の構成を広く適用することができる。他の測定装置であっても同様に、測定装置20は、計測部21と制御演算部11とを備えるとよい。計測部21は、試料から得られる複数の測定値を取得して制御演算部11に供給することができるように構成し、制御演算部11は、試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに得られる複数の測定値を、そのときの環境変数の値と対応づけて測定データとして取得することができるように構成する。制御演算部11は、環境変数について定めた同一の分析範囲に含まれる測定データを対象として、最小絶対誤差法による回帰分析と最小二乗法による回帰分析とを行う。制御演算部11は、最小二乗法による平均二乗誤差の最小絶対誤差法による絶対誤差に対する比が、所定値よりも小さくなる分析範囲において、最小絶対誤差法による回帰関数に基づいて測定データの閾値を算出することができる。
これにより、一般の測定装置においても、環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値を、精度よく求めることができる閾値算出手段を備えた測定装置を提供することができ、測定者に依存しない閾値の算出が可能となる。
また、誤差比についての所定値を適切に定めることにより閾値の精度を向上することができる点も、実施形態1と同様であり、例えば、誤差が平均0、分散2φのラプラス分布に従う場合には、所定値を1.414とすると好適であり、誤差が平均0、標準偏差σの正規分布に従う場合には、所定値を1.253とすると好適である。
〔実施形態4〕
図6は、実施形態4に係る閾値算出装置の構成例を示すブロック図である。
実施形態4に係る閾値算出装置50は、測定データ8が入力される入力部7と、測定データ変換部6と、回帰分析部101と、誤差評価部102と、回帰分析範囲指定部103と、回帰分析範囲判定部104と閾値算出部105とを備え、閾値9を出力する。ここで、測定データ変換部6と、入力部7と、測定データ8はいずれも実施の形態1と同様である。
回帰分析部101は、分析範囲における変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1の回帰関数を求め、第1の回帰関数による第1の予測値と変換データとの差の絶対値を分析範囲で平均することより第1の誤差を算出し、また、第1の予測値と変換データとの差を二乗した値を分析範囲で平均して平方根をとることより第2の誤差を算出することができる。
あるいは、分析範囲における変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2の回帰関数を求め、第2の回帰関数による第2の予測値と変換データとの差を二乗した値を分析範囲で平均して平方根をとることより第3の誤差を算出し、また、第2の予測値と変換データとの差の絶対値を分析範囲で平均することより第4の誤差を算出することができる。
誤差評価部102は、第1の誤差に対する第2の誤差の比である第1の誤差比、あるいは第4の誤差に対する第3の誤差の比である第2の誤差比を求め、第1の誤差比または第2の誤差比と所定値と比較し、誤差比が所定値よりも大きい場合に、回帰分析範囲指定部に分析範囲における環境変数の上端を小さくするように分析範囲を変更させ、回帰分析部に変更された分析範囲での回帰分析をそれぞれ実行させることができる。
回帰分析範囲指定部103は、回帰分析部101における環境変数の範囲である分析範囲を指定することができる。具体的には、回帰分析の範囲の上限を低減できる。
回帰分析範囲判定部104は、回帰分析範囲指定部103で指定された分析範囲では認値不定110と指定することができる。具体的には、分析範囲の方が指定値より小さくなった場合、認値不定110と判定する。
閾値算出部105は、第1の誤差比が所定値よりも小さくなったときに、第1の回帰関数に基づいて閾値を算出することができる。あるいは、第2の誤差比が所定値よりも小さくなったときに、第2の回帰関数に基づいて閾値を算出することができる。
実施の形態4は、回帰分析部101および誤差評価部102の動作を上述のようにすることで、(1)データ点数が少ない場合、(2)全体的にノイズが多い場合、(3)誤差の絶対値が大きい場合、(4)平均的な誤差(一様分布誤差)の場合においても精度の高い閾値を算出する装置となる。
なお、(1)から(4)が懸念される場合は、回帰分析部101は、前述の第1の回帰関数、第1の誤差および第2の誤差の実行を行うのが好ましい。すなわち、回帰分析に最小絶対値誤差法を用いることが、(1)から(4)の問題回避に好ましい。
また、実施の形態4には、(5)例えば、低エネルギーのバックグラウンド側に大きなノイズがあるなど、分析範囲を縮減しても大きなノイズがある場合、分析範囲を縮減しても最適化が進まなくなるので、回帰分析範囲判定部104により、分析範囲削減の下限を予め設定し、認値不定110と判定し、ユーザーに注意を促すという効果がある。
〔実施形態5〕
本発明の閾値算出装置50は、プロセッサにインストールされるプログラムの動作として機能構築することができるので、本発明は、実施の形態2と同様に、記憶装置と計算機を備えたハードウェアシステムを利用する閾値算出方法と位置付けることができる。
図7は、実施形態5に係る閾値算出方法の一構成例を示すフローチャートである。
本発明の閾値算出方法は、記憶装置を備える計算機上で動作するソフトウェアによって実装され、測定データ入力ステップ(S21)と、測定データ変換ステップ(S22)と、回帰分析範囲指定ステップ(S23)と、第1誤差比算出ステップ及び第2誤差比算出ステップの何れか1を選択する選択ステップ(S24)と、前記第1誤差比及び前記第2誤差比の少なくとも何れか1の誤差比を算出する誤差比算出ステップ(S25−S31)と、誤差比判定ステップ(S32)と、回帰分析範囲変更ステップ(S33)と、回帰分析範囲判定ステップ(S34)と、閾値算出ステップ(S36)とを備える。
測定データ入力ステップ(S21)は、実施の形態2と同様に、複数の測定値を入力するステップである。
測定データ変換ステップ(S22)は、実施の形態2と同様に、複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成する。
回帰分析範囲指定ステップ(S23)は、実施の形態2と同様に、前記誤差比算出ステップにおける環境変数の範囲である分析範囲を指定する。
第1誤差比算出ステップは、分析範囲における前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1の回帰関数を求めるステップ(S25)と、第1の回帰関数による第1の予測値と変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1の誤差を求めるステップ(S26)と、第1の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2の誤差を算出するステップ(S27)と、第1の誤差に対する第2の誤差の比である第1の誤差比を算出するステップ(S31)を備える。
前記第2誤差比算出ステップは、分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2の回帰関数を求めるステップ(S28)と、第2の回帰関数による第2の予測値と変換データとの差を二乗した値を分析範囲で平均して平方根をとることより第3の誤差を求めるステップ(S29)と、第2の予測値と変換データとの差の絶対値を分析範囲で平均することより第4の誤差を算出するステップ(S30)と、第4の誤差に対する第3の誤差の比である第2の誤差比を算出するステップ(S31)を備える。
誤差比判定ステップ(S32)は、前記誤差比を所定値と比較して誤差比が所定値よりも小さくなるまで、回帰分析範囲変更ステップ(S33)において、分析範囲における環境変数の上端を小さくする分析範囲の変更を行い、その後分析範囲と指定値Aの大小比較を行うステップ(S34)に進む。そして、分析範囲が指定値A以上の場合は、前記誤差比算出ステップを繰り返させ、前記分析範囲が指定値A未満の場合は認知不定と判定する(S35)。
前記閾値算出ステップ(S36)は、前記誤差比が所定値よりも小さくなったときに、選択を行った第1の回帰関数又は第2の回帰関数に基づいて閾値を算出する。
実施の形態5は、誤差比算出ステップ(S25−S31)と、誤差比判定ステップ(S32)と、回帰分析範囲変更ステップ(S33)と、回帰分析範囲判定ステップ(S34)と、閾値算出ステップ(S36)とを備えているため、(1)データ点数が少ない場合、(2)全体的にノイズが多い場合、(3)誤差の絶対値が大きい場合、(4)平均的な誤差(一様分布誤差)の場合においても精度の高い閾値を算出する方法となる。
なお、(1)から(4)が懸念される場合は、誤差比算出ステップは、前述の第1の回帰関数、第1の誤差および第2の誤差の算出を行うステップS25,S26およびS27とすることが好ましい。すなわち、回帰分析に最小絶対値誤差法を用いることが、(1)から(4)の問題回避に好ましい。
また、実施の形態5には、(5)例えば、低エネルギーのバックグラウンド側に大きなノイズがあるなど、分析範囲を縮減しても大きなノイズがある場合、分析範囲を縮減しても最適化が進まなくなるので、分析範囲削減の下限を下回った場合には認値不定(S35)と判定し、ユーザーに注意を促すという効果がある。
〔実施形態6〕
本発明の閾値算出装置50は、実施形態3と同様に、種々の測定装置に組み込むことができる。
図8は、実施形態6に係る測定装置の構成例を示すブロック図である。図8に示す例は、光電子収量分光装置である。
測定装置60は、計測部21と制御演算部201とを備える。
計測部21は、実施の形態3記載のものに準拠している。
制御演算部201は、実施の形態3記載のものに準拠した照射光制御部13、光電子量測定部12と、実施の形態4に記載の測定データ変換部6と、回帰分析部101と、誤差評価部102と、回帰分析範囲指定部103と、回帰分析範囲判定部104と閾値算出部105とを備える。
これにより、光電子収量分光法によって測定された測定データから、その閾値を算出する光電子収量分光装置において、自動的に高精度で閾値を算出することができる、閾値算出手段を提供することができる。このとき閾値は、当該試料の仕事関数またはイオン化エネルギーに相当する。
図8に示した例は、光電子収量分光装置であるが、実施の形態3と同様に、他の測定装置にも同様の構成を広く適用することができる。他の測定装置であっても同様に、測定装置60は、計測部21と制御演算部201とを備えるとよい。実施の形態6は、環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値を、精度よく求めることができる閾値算出手段を備えた測定装置を提供することができ、測定者に依存しない閾値の算出が可能となる。
〔実施形態7〕
図9は、実施形態7に係る閾値算出装置の構成例を示すブロック図である。
実施形態7に係る閾値算出装置70は、測定データ8が入力される入力部7と、測定データ変換部6と、回帰分析部111と、決定係数算出、判定部112と、誤差評価部113と、回帰分析範囲指定部114と、閾値算出部105とを備え、閾値9を出力する。ここで、測定データ変換部6と、入力部7と、測定データ8はいずれも実施の形態1と同様である。
回帰分析部111は、実施の形態4の回帰分析部101と同様のものである。すなわち、分析範囲における変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1の回帰関数を求め、第1の回帰関数による第1の予測値と変換データとの差の絶対値を分析範囲で平均することより第1の誤差を算出し、また、第1の予測値と変換データとの差を二乗した値を分析範囲で平均して平方根をとることより第2の誤差を算出することができる。あるいは、分析範囲における変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2の回帰関数を求め、第2の回帰関数による第2の予測値と変換データとの差を二乗した値を分析範囲で平均して平方根をとることより第3の誤差を算出し、また、第2の予測値と変換データとの差の絶対値を分析範囲で平均することより第4の誤差を算出することができる。
決定係数算出、判定部112は、決定係数Rを下記式(17)により求め、決定係数Rの値が0以上1以下の場合は誤差評価部113にて第1または第2の誤差比を算出し、決定係数Rの値がマイナスの場合は認知不定110と判定する。
また、回帰分析範囲を変化させたときの決定係数Rの値の大小を比較することができる。回帰分析範囲を狭くしたときに決定係数Rの値が小さいか等しい場合は、閾値算出部105にて閾値を算出する。一方、決定係数Rの値が大きい場合は、誤差評価部113を実行する。
ここで、nは測定範囲内の測定データの数、xは測定値j番目の環境変数、y0,jはj番目の測定値、f(x)は第1の回帰関数または第2の回帰関数、およびμYは測定範囲内の測定値の単純平均値である。
誤差評価部113は、実施の形態4の誤差評価部102と同様に、第1の誤差に対する第2の誤差の比である第1の誤差比、あるいは第4の誤差に対する第3の誤差の比である第2の誤差比を求め、第1の誤差比または第2の誤差比と所定値(損失変数re)と比較することができる。ここで、損失変数reは、第1誤差比の場合は1.414、第2誤差比の場合は1.253である。なお、損失変数reは、これらの値をデフォルト設定としておくことが好ましいが、場合によっては、手動で設定することもできる。
回帰分析範囲指定部114は、分析範囲における環境変数の上端を小さくするように分析範囲を変更させることができる。
閾値算出部105は、実施の形態4と同様に、第1の回帰関数または第2の回帰関数に基づいて閾値を算出することができる。
実施形態7の閾値算出装置は、実施の形態4に記載した項目(1)から(4)に対して実施の形態4と同様に好ましい効果が得られる。また、項目(5)に関して、回帰分析範囲の下限を予め定める必要がなくなる。
〔実施形態8〕
本発明の閾値算出装置70は、プロセッサにインストールされるプログラムの動作として機能構築することができるので、本発明は、実施の形態5と同様に、記憶装置と計算機を備えたハードウェアシステムを利用する閾値算出方法と位置付けることができる。
図10は、実施形態8に係る閾値算出方法の一構成例を示すフローチャートである。
本発明の閾値算出方法は、記憶装置を備える計算機上で動作するソフトウェアによって実装され、測定データ入力ステップ(S51)と、測定データ変換ステップ(S52)と、第1誤差比算出ステップ及び第2誤差比算出ステップの何れか1を選択する選択ステップ(S53)と、損失変数指定ステップ(S54)と、前記第1誤差比及び前記第2誤差比の少なくとも何れか1の誤差比を算出する1番目の誤差比算出ステップ(S57−S62、S65)と、1番目の決定係数R算出ステップ(S63)と、1番目の決定係数R判定ステップ(S64)と、1番目の誤差比算出ステップ(S65)と、1番目の誤差比判定ステップ(S67)と、i番目のループを構成する回帰分析範囲変更ステップ(S68−S71)と、誤差比算出ステップ(S72−S77、S80)と、決定係数算出、判定ステップ(S78,S79)と、回帰分析範囲判定ステップ(S81)とを備え、最後に閾値算出ステップ(S82)にて閾値を算出する。ここで、iは1以上の整数で、回帰分析範囲の変更回数を表す。
測定データ入力ステップ(S51)は、実施の形態2と同様に、複数の測定値を入力するステップである。
測定データ変換ステップ(S52)は、複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成する。
選択ステップ(S53)は、実施の形態5と同様に、第1誤差比算出ステップ及び第2誤差比算出ステップの何れか1を選択するステップである。
損失変数指定ステップ(S54)は、選択ステップ(S53)で第1誤差比算出ステップが選ばれたか第2誤差比算出ステップが選ばれたかによって自動的に損失変数reの値がセットされるステップである。ここで、損失変数reは、第1誤差比算出ステップが選ばれた場合は1.414が、第2誤差比算出ステップが選ばれた場合は1.253がセットされる。
損失変数指定ステップ(S54)の後、1ループ目の作業を実行する。説明をしやすくするため、ここでは番号変数iを用いて説明する。最初に、iを1としておく(S55)。
第1誤差比算出ステップは、実施の形態5と同様の第1誤差比算出ステップであり、分析範囲における前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1の回帰関数を求めるステップ(S57)と、第1の回帰関数による第1の予測値と変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1の誤差を求めるステップ(S58)と、第1の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2の誤差を算出するステップ(S59)と、第1の誤差に対する第2の誤差の比である第1の誤差比を算出するステップ(S65)を備える。
第2誤差比算出ステップは、実施の形態5と同様の第2誤差比算出ステップであり、分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2の回帰関数を求めるステップ(S60)と、第2の回帰関数による第2の予測値と変換データとの差を二乗した値を分析範囲で平均して平方根をとることより第3の誤差を求めるステップ(S61)と、第2の予測値と変換データとの差の絶対値を分析範囲で平均することより第4の誤差を算出するステップ(S62)と、第4の誤差に対する第3の誤差の比である第2の誤差比を算出するステップ(S65)を備える。
前記決定係数算出、判定ステップは、式(17)で表される決定係数Rを算出し(S63)、決定係数Rが0より大きいか0以下であるかを判定し(S64)、決定係数Rが0以下の場合、認知不定と判定(S66)する。
誤差比判定ステップ(S67)は、誤差比を前記所定値reと比較するステップであって、前記誤差比が前記所定値reより小さいか等しい場合は閾値算出ステップ(S82)を実行し、誤差比が前記所定値reより大きい場合は回帰分析範囲変更ステップ(S68−S71)を実行し、i番目のループへと進む。
回帰分析範囲変更ステップ(S68−S71)は、回帰分析範囲を縮減するステップであって、例えばi番目のループにおける決定係数R(i)と閾値Y(i)を求めるステップ(S68)と、iに1を加えてiの値を入れ替えるステップ(S69)と、回帰分析範囲の上限を低減するステップ(S70)と、回帰分析の範囲をAr(i)に指定するステップ(S71)を備える。
i番目のループの第1誤差比算出ステップは、1番目の第1誤差比算出ステップと同様の構成になっており、分析範囲における前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1の回帰関数を求めるステップ(S72)と、第1の回帰関数による第1の予測値と変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1の誤差を求めるステップ(S73)と、第1の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2の誤差を算出するステップ(S74)と、第1の誤差に対する第2の誤差の比である第1の誤差比を算出するステップ(S80)を備える。
i番目のループの第2誤差比算出ステップも同様に1番目の第2誤差比算出ステップと同様の構成になっており、分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2の回帰関数を求めるステップ(S75)と、第2の回帰関数による第2の予測値と変換データとの差を二乗した値を分析範囲で平均して平方根をとることより第3の誤差を求めるステップ(S76)と、第2の予測値と変換データとの差の絶対値を分析範囲で平均することより第4の誤差を算出するステップ(S77)と、第4の誤差に対する第3の誤差の比である第2の誤差比を算出するステップ(S80)を備える。
i番目のループにおける前記決定係数算出、判定ステップは、式(17)で表される決定係数R(i)算出し(S78)、回帰分析範囲を変化させたときの前記決定係数Rの値の大小を比較し(S79)、分析範囲が狭い場合の方が広い場合より前記決定係数Rの値が小さいか等しい場合、すなわち、R(i)≦R(i−1)の場合には、前記分析範囲が広い場合の分析範囲を用いて閾値算出ステップ(S82)を実行する。
i番目のループにおける回帰分析範囲判定ステップ(S81)は、誤差比を所定値reと比較するステップであって、誤差比が所定値reより小さいか等しい場合は閾値算出ステップ(S82)を実行し、誤差比が前記所定値reより大きい場合は、再び回帰分析範囲変更ステップ(S68−S71)に戻ってループステップを続ける。
閾値算出ステップ(S82)は、選択を行った第1の回帰関数又は第2の回帰関数に基づいて閾値を算出する。
実施形態8の閾値算出方法は、実施の形態5に記載した項目(1)から(4)に対して実施の形態5と同様に好ましい効果が得られる。また、項目(5)に関して、回帰分析範囲の下限を予め定める必要がなくなる。
〔実施形態9〕
本発明の閾値算出装置80は、実施形態6と同様に、種々の測定装置に組み込むことができる。
図11は、実施形態9に係る測定装置の構成例を示すブロック図である。図11に示す例は、光電子収量分光装置である。
測定装置80は、計測部21と制御演算部202とを備える。
計測部21は、実施の形態3記載のものに準拠している。
制御演算部202は、実施の形態3記載のものに準拠した照射光制御部13、光電子量測定部12と、実施の形態7に記載の測定データ変換部6と、回帰分析部111と、決定係数算出、判定部112と、誤差評価部113と、回帰分析範囲指定部114と、閾値算出部105とを備える。
これにより、光電子収量分光法によって測定された測定データから、その閾値を算出する光電子収量分光装置において、自動的に高精度で閾値を算出することができる、閾値算出手段を提供することができる。このとき閾値は、当該試料の仕事関数またはイオン化エネルギーに相当する。
図11に示した例は、光電子収量分光装置であるが、実施の形態6と同様に、他の測定装置にも同様の構成を広く適用することができる。他の測定装置であっても同様に、測定装置80は、計測部21と制御演算部202とを備えるとよい。実施の形態9は、環境変数を変化させたときの複数の測定値からなる測定データから求められる閾値を、精度よく求めることができる閾値算出手段を備えた測定装置を提供することができ、測定者に依存しない閾値の算出が可能となる。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
〔実施例1〕
分光された光を試料に照射して光電子収量を測定する光電子収量測定装置の測定に、実施の形態4から6の閾値算出方法を適用し、最小二乗法によるFitting算出値を比較に用いて、本発明の効果を検証した。
そこでは、AlやCuなど各種サンプルを用い、全部で87の測定を行った。研究者による光電子収量判定値と、閾値算出方法による予測値との乖離を評価した。測定値のマッピングデータを図12に、表としてまとめた結果を表1に示す。
この結果から、本発明の閾値算出方法は高い精度を有することがわかる。
1 最小絶対誤差法による回帰分析部
2 最小二乗法による回帰分析部
3 回帰分析範囲指定部
4 誤差評価部
5 閾値算出部
6 測定データ変換部
7 入力部
8 測定データ
9 閾値
10 閾値算出装置
11 制御演算部
12 光電子収量測定部
13 照射光制御部
14 波長制御部
20 測定装置
21 計測部
22 試料ステージ
23 試料
24 紫外線光源
25 分光器
26 光電子検出器
30 実測値
31 最小絶対誤差法による回帰関数
32 最小二乗法による回帰関数
33 最小絶対誤差法による閾値
34 最小二乗法による閾値
50 閾値算出装置
60 測定装置
70 閾値算出装置
80 測定装置
101 回帰分析部
102 誤差評価部
103 回帰分析範囲指定部
104 回帰分析範囲判定部
105 閾値算出部
110 認値不定
111 回帰分析部
112 決定係数算出、判定部
113 誤差評価部
114 回帰分析範囲指定部
201 制御演算部
202 制御演算部

Claims (20)

  1. 試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに前記試料から得られる測定値をそのときの環境変数に対応付けて構成された測定データから閾値を算出する閾値算出装置であって、入力部と、測定データ変換部と、回帰分析範囲指定部と、第1及び第2回帰分析部と、誤差評価部と、閾値算出部とを備え、
    前記測定データ変換部は、前記入力部に入力された前記複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成することができ、
    前記回帰分析範囲指定部は、前記第1及び第2回帰分析部における環境変数の範囲である分析範囲を指定することができ、
    前記第1回帰分析部は、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1回帰関数を求め、前記第1回帰関数による予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1誤差を算出することができ、
    前記第2回帰分析部は、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2回帰関数を求め、前記第2回帰関数による予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2誤差を算出することができ、
    前記誤差評価部は、前記第1誤差に対する前記第2誤差の比を所定値と比較し、前記誤差比が前記所定値よりも大きい場合に、前記回帰分析範囲指定部に前記分析範囲における環境変数の上端を小さくするように分析範囲を変更させ、前記第1及び第2回帰分析部に変更された分析範囲での回帰分析をそれぞれ実行させることができ、
    前記閾値算出部は、前記誤差比が前記所定値よりも小さくなったときに、前記第1回帰関数に基づいて閾値を算出することができる、
    閾値算出装置。
  2. 試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに前記試料から得られる測定値をそのときの環境変数に対応付けて構成された測定データから閾値を算出する閾値算出装置であって、入力部と、測定データ変換部と、回帰分析範囲指定部と、回帰分析範囲判定部と、回帰分析部と、誤差評価部と、閾値算出部とを備え、
    前記測定データ変換部は、前記入力部に入力された前記複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成することができ、
    前記回帰分析範囲指定部は、前記回帰分析部における環境変数の範囲である分析範囲を指定することができ、
    前記回帰分析範囲判定部は、前記回帰分析範囲指定部で指定された分析範囲では認値不定と指定することができ、
    前記回帰分析部は、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1の回帰関数を求め、前記第1の回帰関数による第1の予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1の誤差を算出し、また、前記第1の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2の誤差を算出することができ、
    あるいは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2の回帰関数を求め、前記第2の回帰関数による第2の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第3の誤差を算出し、また、前記第2の予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第4の誤差を算出することができ、
    前記誤差評価部は、前記第1の誤差に対する前記第2の誤差の比である第1の誤差比、あるいは前記第4の誤差に対する前記第3の誤差の比である第2の誤差比を求め、
    前記第1の誤差比または第2の誤差比と所定値と比較し、
    前記誤差比が前記所定値よりも大きい場合に、前記回帰分析範囲指定部に前記分析範囲における環境変数の上端を小さくするように分析範囲を変更させ、前記回帰分析部に変更された分析範囲での回帰分析をそれぞれ実行させることができ、
    前記閾値算出部は、前記第1の誤差比が前記所定値よりも小さくなったときに、前記第3の回帰関数に基づいて閾値を算出することができる、あるいは、第2の誤差比が前記所定値よりも小さくなったときに、前記第4の回帰関数に基づいて閾値を算出することができる、
    閾値算出装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記所定値が1.414である、
    閾値算出装置。
  4. 請求項1または請求項2において、前記所定値が1.253である、
    閾値算出装置。
  5. 試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに前記試料から得られる測定値をそのときの環境変数に対応付けて構成された測定データから閾値を算出する閾値算出装置であって、入力部と、測定データ変換部と、回帰分析部と、決定係数算出、判定部と、誤差評価部と、回帰分析範囲指定部と、閾値算出部とを備え、
    前記測定データ変換部は、前記入力部に入力された前記複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成することができ、
    前記回帰分析部は、前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1の回帰関数を求め、前記第1の回帰関数による第1の予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1の誤差を算出し、また、前記第1の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2の誤差を算出することができ、
    あるいは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2の回帰関数を求め、前記第2の回帰関数による第2の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第3の誤差を算出し、また、前記第2の予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第4の誤差を算出することができ、
    前記決定係数算出、判定部は、決定係数Rを下記式(1)により求め、
    前記決定係数Rの値が0以上1以下の場合は前記誤差評価部にて前記第1または第2の誤差比を算出し、前記決定係数Rの値がマイナスの場合は認知不定と判定することができ、
    また、前記回帰分析範囲を変化させたときの前記決定係数Rの値の大小を比較することができ、
    前記誤差評価部は、前記第1の誤差に対する前記第2の誤差の比である第1の誤差比、あるいは前記第4の誤差に対する前記第3の誤差の比である第2の誤差比を求め、
    前記第1の誤差比または第2の誤差比と所定値と比較することができ、
    前記回帰分析範囲指定部は、前記分析範囲における環境変数の上端を小さくするように分析範囲を変更させることができ、
    前記閾値算出部は、前記第1の回帰関数または前記第2の回帰関数に基づいて閾値を算出することができる、
    閾値算出装置。
    ここで、nは前記測定範囲内の前記測定データの数、xは測定値j番目の環境変数、y0,jはj番目の測定値、f(x)は前記第1の回帰関数または前記第2の回帰関数、およびμYは前記測定範囲内の前記測定値の単純平均値である。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項において、前記環境変数が試料に照射される光のエネルギーであり、前記測定値が前記試料から放出されて検出器によって検出される光電子収量である、
    閾値算出装置。
  7. 試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに前記試料から得られる複数の測定値をそのときの環境変数に対応付けて構成された測定データから閾値を算出する閾値算出方法であって、測定データ入力ステップと、測定データ変換ステップと、回帰分析範囲指定ステップと、第1及び第2回帰分析ステップと、第1及び第2誤差算出ステップと、誤差比算出ステップと、誤差比判定ステップと、回帰分析範囲変更ステップと、閾値算出ステップとを備え、
    前記測定データ入力ステップは、前記複数の測定値を入力し、
    前記測定データ変換ステップは、前記複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成し、
    前記回帰分析範囲指定ステップは、前記第1及び第2回帰分析ステップにおける環境変数の範囲である分析範囲を指定し、
    前記第1回帰分析ステップは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1回帰関数を求め、
    前記第1誤差算出ステップは、前記第1回帰関数による予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1誤差を算出し、
    前記第2回帰分析ステップは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2回帰関数を求め、
    前記第2誤差算出ステップは、前記第2回帰関数による予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2誤差を算出し、
    前記誤差比算出ステップは、前記第1誤差に対する前記第2誤差の比を求めて誤差比とし、
    前記誤差比判定ステップは、前記誤差比を所定値と比較し、
    前記誤差比が前記所定値よりも小さくなるまで、前記回帰分析範囲変更ステップにおいて、前記分析範囲における環境変数の上端を小さくする分析範囲の変更を行いながら、前記第1及び第2回帰分析ステップと、前記第1及び第2誤差算出ステップと、前記誤差比算出ステップとを繰り返させ、
    前記閾値算出ステップは、前記誤差比が前記所定値よりも小さくなったときに、前記第1回帰関数に基づいて閾値を算出する、
    閾値算出方法。
  8. 請求項7において、前記所定値が1.414である、
    閾値算出方法。
  9. 請求項7において、前記所定値が1.253である、
    閾値算出方法。
  10. 試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに前記試料から得られる複数の測定値をそのときの環境変数に対応付けて構成された測定データから閾値を算出する閾値算出方法であって、測定データ入力ステップと、測定データ変換ステップと、回帰分析範囲指定ステップと、第1誤差比算出ステップ及び第2誤差比算出ステップの何れか1を選択する選択ステップと、前記第1誤差比及び前記第2誤差比の少なくとも何れか1の誤差比を算出する誤差比算出ステップと、誤差比判定ステップと、回帰分析範囲変更ステップと、閾値算出ステップとを備え、
    前記測定データ入力ステップは、前記複数の測定値を入力し、
    前記測定データ変換ステップは、前記複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成し、
    前記回帰分析範囲指定ステップは、前記誤差比算出ステップにおける環境変数の範囲である分析範囲を指定し、
    前記第1誤差比算出ステップは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1の回帰関数を求め、前記第1の回帰関数による第1の予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1の誤差を算出し、また、前記第1の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2の誤差を算出して、前記第1の誤差に対する前記第2の誤差の比である第1の誤差比を算出し、
    前記第2誤差比算出ステップは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2の回帰関数を求め、前記第2の回帰関数による第2の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第3の誤差を算出し、また前記第2の予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第4の誤差を算出して、前記第4の誤差に対する前記第3の誤差の比である第2の誤差比を算出し、
    前記誤差比判定ステップは、前記誤差比を所定値と比較して前記誤差比が前記所定値よりも小さくなるまで、前記回帰分析範囲変更ステップにおいて、前記分析範囲における環境変数の上端を小さくする分析範囲の変更を行い、前記分析範囲が指定値以上の場合前記誤差比算出ステップを繰り返させ、前記分析範囲が指定値未満の場合は認知不定と判定し、
    前記閾値算出ステップは、前記誤差比が前記所定値よりも小さくなったときに、前記選択を行った第1の回帰関数又は第2の回帰関数に基づいて閾値を算出する、
    閾値算出方法。
  11. 請求項10において、前記所定値は、前記所定値との比較を行う前記誤差比として前記第1の誤差比を使用する場合は1.414であり、前記第2の誤差比を使用する場合は1.253である、
    閾値算出方法。
  12. 試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに前記試料から得られる複数の測定値をそのときの環境変数に対応付けて構成された測定データから閾値を算出する閾値算出方法であって、測定データ入力ステップと、測定データ変換ステップと、選択ステップと、損失変数指定ステップと、回帰分析範囲指定ステップと、第1誤差比及び第2誤差比の少なくとも何れか1の誤差比を算出する誤差比算出ステップと、決定係数算出、判定ステップと、誤差比判定ステップと、回帰分析範囲変更ステップと、閾値算出ステップとを備え、
    前記測定データ入力ステップは、前記複数の測定値を入力するステップであり、
    前記測定データ変換ステップは、前記複数の測定値に所定の変換処理を施すことにより、複数の変換値からなる変換データを生成し、
    前記選択ステップは、前記第1誤差比算出ステップ及び前記第2誤差比算出ステップの何れか1を選択するステップであり、
    前記損失変数指定ステップは、損失変数の値reを、前記第1誤差比算出ステップが選択された場合は1.414、前記第2誤差比算出ステップが選択された場合は1.253に自動的にセットするステップであり、
    前記回帰分析範囲指定ステップは、前記誤差比算出ステップにおける環境変数の範囲である分析範囲を指定し、
    前記第1誤差比算出ステップは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1の回帰関数を求め、前記第1の回帰関数による第1の予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1の誤差を求めた後、前記第1の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2の誤差を算出して、前記第1の誤差に対する前記第2の誤差の比である第1の誤差比を算出し、
    前記第2誤差比算出ステップは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2の回帰関数を求め、前記第2の回帰関数による第2の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第3の誤差を求めた後、前記第2の予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第4の誤差を算出して、前記第4の誤差に対する前記第3の誤差の比である第2の誤差比を算出し、
    前記決定係数算出、判定ステップは、下記式(2)で表される決定係数Rを算出し、決定係数Rが0より大きいか0以下であるかを判定し、決定係数Rが0以下の場合、認知不定と判定し、また、前記回帰分析範囲を変化させたときの前記決定係数Rの値の大小を比較し、分析範囲が狭い場合の方が広い場合より前記決定係数Rの値が小さいか等しい場合には、前記分析範囲が広い場合の分析範囲を用いて前記閾値算出ステップを実行し、
    前記誤差比判定ステップは、前記誤差比を前記所定値reと比較するステップであって、前記誤差比が前記所定値reより小さい場合は前記閾値算出ステップを実行し、前記誤差比が前記所定値reと等しいか大きい場合は前記回帰分析範囲変更ステップを実行し、
    前記回帰分析範囲変更ステップは、前記分析範囲における環境変数の上端を小さくする分析範囲の変更を行い、前記回帰分析範囲変更ステップを実行した後は、前記変更後の分析範囲で前記誤差比算出ステップおよび/または前記決定係数算出、判定ステップを実行し、
    前記閾値算出ステップは、前記選択を行った第1の回帰関数又は第2の回帰関数に基づいて閾値を算出する、
    閾値算出方法。
    ここで、nは前記測定範囲内の前記測定データの数、xはj番目の環境変数、y0,jはj番目の測定値、f(x)は前記第1の回帰関数または前記第2の回帰関数、およびμYは前記測定範囲内の前記測定値の単純平均値である。
  13. 請求項7から請求項12までのいずれか1項において、前記環境変数が試料に照射される光のエネルギーであり、前記測定値が前記試料から放出されて検出器によって検出される光電子収量である、
    閾値算出方法。
  14. 計測部と制御演算部とを備える測定装置であって、
    前記計測部は、試料から得られる複数の測定値を取得して前記制御演算部に供給することができ、
    前記制御演算部は、前記試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに得られる複数の測定値を、そのときの環境変数の値と対応づけて測定データとして取得することができ、前記環境変数について定めた同一の分析範囲に含まれる前記測定データを対象として、絶対誤差が最小となる第1回帰関数を求める第1回帰分析と、二乗誤差が最小となる第2回帰関数を求める第2回帰分析とを行い、前記第2回帰分析における平均二乗誤差の前記第1回帰分析における絶対誤差の平均に対する比が、所定値よりも小さくなる分析範囲において、前記第1回帰関数に基づいて前記測定データの閾値を算出することができる、
    測定装置。
  15. 請求項14において、前記所定値が1.414である、
    測定装置。
  16. 請求項14において、前記所定値が1.253である、
    測定装置。
  17. 計測部と制御演算部とを備える測定装置であって、
    前記計測部は、試料から得られる複数の測定値を取得して前記制御演算部に供給することができ、
    前記制御演算部は、前記試料のおかれている環境を表す量の1つである環境変数を変化させたときに得られる複数の測定値を、そのときの環境変数の値と対応づけて測定データとして取得することができ、前記環境変数について定めた同一の分析範囲に含まれる前記測定データを対象として、最小絶対誤差法による回帰分析を行って第1の回帰関数を求め、前記第1の回帰関数による第1の予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第1の誤差を算出し、また、前記第1の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第2の誤差を算出することができ、
    あるいは、前記分析範囲における前記変換データを対象として最小二乗法による回帰分析を行って第2の回帰関数を求め、前記第2の回帰関数による第2の予測値と前記変換データとの差を二乗した値を前記分析範囲で平均して平方根をとることより第3の誤差を算出し、また、前記第2の予測値と前記変換データとの差の絶対値を前記分析範囲で平均することより第4の誤差を算出することができ、
    前記誤差評価部は、前記第1の誤差に対する前記第2の誤差の比である第1の誤差比、あるいは前記第4の誤差に対する前記第3の誤差の比である第2の誤差比を求め、
    前記第1の誤差比が、所定値よりも小さくなる分析範囲において、前記第1の回帰関数に基づいて前記測定データの閾値を算出することができ、
    または、前記第2の誤差比が、所定値よりも小さくなる分析範囲において、前記第2の回帰関数に基づいて前記測定データの閾値を算出することができる、
    測定装置。
  18. 請求項17において、前記所定値は、前記所定値との比較を行う前記誤差比として前記第1の誤差比を使用する場合は1.414であり、前記第2の誤差比を使用する場合は1.253である、
    測定装置。
  19. 計測部と制御演算部とを備える測定装置であって、
    前記計測部は、試料から得られる複数の測定値を取得して前記制御演算部に供給することができ、
    前記制御演算部は、測定データ変換部と、回帰分析部と、決定係数算出、判定部と、誤差評価部と、回帰分析範囲指定部と、閾値算出部とを備えた請求項5記載の閾値算出装置を備えた、
    測定装置。
  20. 請求項14から請求項19までのいずれか1項において、前記環境変数が試料に照射される光のエネルギーであり、前記測定値が前記試料から放出されて検出器によって検出される光電子収量である、
    測定装置。

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