JP6949034B2 - 信号分析装置、信号分析方法、コンピュータプログラム、測定装置及び測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、座標系上のスペクトル分布から、複数の信号の強度の組み合わせが異なる領域の分布を求める信号分析装置、信号分析方法及びコンピュータプログラム、並びに、スペクトル分布の測定及び分析を行う測定装置及び測定方法に関する。
X線分析は、電子線又はX線等の放射線を試料へ照射し、試料から発生する特性X線のスペクトルから試料に含有される成分を分析する手法である。特に、試料上の各点からの特性X線のスペクトルを二次元座標系上の各点に対応づけたスペクトル分布を作成し、スペクトル分布を用いて試料中の成分を分析することが行われる。試料へ照射する放射線を電子線としたX線分析の一例として、エネルギー分散型X線分析(EDX:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)が知られている。また試料へ照射する放射線をX線としたX線分析の一例として、蛍光X線分析がある。また、X線分析以外の分析手法にも、スペクトル分布を作成できる分析手法がある。例えば、ラマン分光分析では、試料上の各点に対応する画像上の各点についてラマン光のスペクトルが記録されたスペクトル分布を作成することができる。また、例えば、試料から得られた可視光及び赤外光のスペクトル分布を作成することも可能である。
特定の元素からは特定のエネルギーの特性X線が取得できるので、試料上の各点でのスペクトル中の特定のエネルギーの信号強度を調べることで、特定の元素の分布を得ることができる。試料には複数の元素が含まれているので、スペクトル分布からは、複数の元素の分布が得られる。通常、試料には複数の成分が含まれており、各成分には複数の元素が含まれている。例えば、試料が岩石である場合は、岩石は複数の鉱物成分で構成され、各鉱物成分は複数の元素を含有する。成分が異なっていても同一の元素が含まれていることがあるので、一般的には試料中の成分の分布と元素の分布とは一致しない。
特許文献1には、スペクトルに含まれる複数の信号の強度の組み合わせに基づいて、試料中の成分の分布を求める方法が開示されている。この方法では、n個の信号の強度の組み合わせで定義されるn次元データを二次元座標上の複数の点について定めたn次元座標点群を生成し、n次元座標点を複数のクラスタに分類するクラスタ分析を行う。クラスタ分析では、EM(Expectation-maximization)法を利用して、n次元座標点が各クラスタに含まれる確率分布が適切になるように複数のクラスタを求める。クラスタ分析を行った後、各クラスタに対応する領域の分布を生成する。生成した分布は、複数の元素が含まれる成分の分布に対応する。
国際公開第2013/027553号
特許文献1に開示された方法で適切なクラスタ分析を行うには、クラスタの初期値を適切に定める必要がある。クラスタの初期値を定める従来の方法では、まず複数の信号強度の平均値で構成されたクラスタを設定し、設定済みのクラスタに含まれる確率が最も低いn次元座標点が含まれる新たなクラスタを設定し、必要な数までクラスタの設定を繰り返す。このような方法では、多くの信号について平均から外れたn次元座標点からなるクラスタが設定されやすい。これに対し、少数の信号の強度が平均値から大きく外れ、多くの信号の強度が平均値に近いようなn次元座標点については、このn次元座標点からなるクラスタは設定されにくく、他のn次元座標点と同じクラスタに含まれやすい。このようにしてクラスタの初期値が定められ、クラスタ分析が行われた場合には、少数の信号の強度が平均値から大きく外れたn次元座標点からなるクラスタは得られ難い。このため、少数の信号の強度が平均値から外れた領域の分布を得ることが困難である。例えば、試料中の微小な領域にのみ存在する成分の分布を得ることが困難である。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、従来ではスペクトル分布からの取得が困難であった分布の取得を可能にするようにクラスタ分析を行う信号分析装置、信号分析方法、コンピュータプログラム、測定装置及び測定方法を提供することにある。
本発明に係る信号分析装置は、スペクトルが座標系上の各点について定められたスペクトル分布に基づき、該スペクトル分布中の各点について、スペクトルに含まれるn個(nは2以上の整数)の特定信号の強度の組み合わせで定義されるn次元空間上のn次元座標点を生成するn次元座標点群生成部と、生成した複数のn次元座標点を分類するために、n次元空間上の複数のクラスタの初期値を定める初期設定部と、定めた初期値を用いてクラスタ分析を行うクラスタ分析部とを備える信号分析装置において、前記初期設定部は、前記n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点が含まれるクラスタの初期値を生成する第1初期クラスタ生成部と、一の特定信号の強度が所定の基準から外れているn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する第2初期クラスタ生成部とを有することを特徴とする。
本発明に係る信号分析装置では、前記第1初期クラスタ生成部は、前記n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点を中心位置とするクラスタの初期値を生成し、前記第2初期クラスタ生成部は、前記一の特定信号の強度が前記所定の基準から外れているn次元座標点の位置を中心位置とするクラスタの初期値を生成することを特徴とする。
本発明に係る信号分析装置は、前記初期設定部は、複数のクラスタの数を定めるクラスタ数設定部と、既に初期値が設定されているクラスタへ含まれる確率が最も低いn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する第3初期クラスタ生成部と、前記クラスタ数設定部が定めた数のクラスタの初期値が定められるまで、前記第3初期クラスタ生成部の処理を繰り返す繰り返し部とを更に有することを特徴とする。
本発明に係る信号分析装置では、前記第1初期クラスタ生成部が処理を実行した後に、前記第2初期クラスタ生成部が処理を実行し、前記第2初期クラスタ生成部が処理を実行した後に、前記第3初期クラスタ生成部が処理を実行することを特徴とする。
本発明に係る信号分析装置は、クラスタ分析後の各クラスタに含まれるn次元座標点に対応する点の前記スペクトル分布内での分布を特定することにより、n個の特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布を生成する領域分布生成部を更に備えることを特徴とする。
本発明に係る信号分析装置は、前記n個の特定信号の強度は、n個の元素の濃度を示し、前記領域分布生成部は、n個の元素の濃度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布を生成することを特徴とする。
本発明に係る信号分析方法は、演算部及び記憶部を備えるコンピュータにより、スペクトルが座標系上の各点について定められたスペクトル分布に基づき、該スペクトル分布中の各点について、スペクトルに含まれるn個(nは2以上の整数)の特定信号の強度の組み合わせで定義されるn次元空間上のn次元座標点を生成するステップと、生成した複数のn次元座標点を分類するために、n次元空間上の複数のクラスタの初期値を定める初期設定ステップと、定めた初期値を用いてクラスタ分析を行うステップとを行う信号処理方法において、前記初期設定ステップは、前記n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点が含まれるクラスタの初期値を生成するステップと、一の特定信号の強度が所定の基準から外れているn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成するステップとを含むことを特徴とする。
本発明に係る信号分析方法は、前記初期設定ステップは、複数のクラスタの数を定めるステップと、既に初期値が設定されているクラスタへ含まれる尤もらしさが最も低いn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する生成ステップと、定められた数のクラスタの初期値が定められるまで、前記生成ステップを繰り返すステップとを更に含むことを特徴とする。
本発明に係る信号分析方法は、クラスタ分析後の各クラスタに含まれるn次元座標点に対応する点の前記スペクトル分布内での分布を特定することにより、n個の特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布を生成するステップを更に行うことを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、スペクトルが座標系上の各点について定められたスペクトル分布に基づき、該スペクトル分布中の各点について、スペクトルに含まれるn個(nは2以上の整数)の特定信号の強度の組み合わせで定義されるn次元空間上のn次元座標点を生成するステップと、生成した複数のn次元座標点を分類するために、n次元空間上の複数のクラスタの初期値を定める初期設定ステップと、定めた初期値を用いてクラスタ分析を行うステップとを含む処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、前記初期設定ステップは、前記n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点が含まれるクラスタの初期値を生成する第1初期クラスタ生成ステップと、一の特定信号の強度が所定の基準から外れているn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する第2初期クラスタ生成ステップとを含むことを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、前記第1初期クラスタ生成ステップでは、前記n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点を中心位置とするクラスタの初期値を生成し、前記第2初期クラスタ生成ステップでは、前記一の特定信号の強度が前記所定の基準から外れているn次元座標点の位置を中心位置とするクラスタの初期値を生成する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、前記初期設定ステップは、複数のクラスタの数を定めるステップと、既に初期値が設定されているクラスタへ含まれる尤もらしさが最も低いn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する第3初期クラスタ生成ステップと、定められた数のクラスタの初期値が定められるまで、前記第3初期クラスタ生成ステップを繰り返すステップとを更に含むことを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、前記第1初期クラスタ生成ステップを実行した後に、前記第2初期クラスタ生成ステップを実行し、前記第2初期クラスタ生成ステップを実行した後に、前記第3初期クラスタ生成ステップを実行する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明に係る測定装置は、試料上の各点から得られる放射線又は電磁波を測定する測定部と、測定した放射線又は電磁波のスペクトルを各点に対応付けたスペクトル分布を生成するスペクトル分布生成部とを備える測定装置において、本発明に係る信号分析装置を備えることを特徴とする。
本発明に係る測定方法は、試料上の各点から得られるスペクトルを測定し、測定したスペクトルを各点に対応付けたスペクトル分布を生成する測定方法において、本発明に係る信号分析方法を含むことを特徴とする。
本発明においては、スペクトル分布に含まれる各点について、n個の特定信号の強度の組み合わせで定義されるn次元空間上のn次元座標点を生成し、n次元座標点のクラスタ分析を行う。クラスタ分析のためにクラスタの初期値を設定する際には、n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点が含まれるクラスタの初期値を生成し、次に、一の特定信号の強度が所定の基準から外れたn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する。このようにすることで、単独又は少数の信号の強度が代表値から外れ、他の信号の強度が代表値に近いn次元座標点群からなるクラスタの初期値が設定されやすい。
また、本発明においては、クラスタの初期値を設定する際に、更に、既存のクラスタに含まれる確率が最も低いn次元座標点を含むクラスタの初期値を設定する。これにより、従来の方法で初期値を設定することができていたクラスタについても漏らさずに初期値を設定する。
また、本発明においては、クラスタ分析後の各クラスタに含まれるn次元座標点に対応する点のスペクトル分布内での分布を特定することにより、スペクトルに含まれる複数の特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布を生成する。一の特定信号の強度が所定の基準から外れたn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を定めてからクラスタ分析を行っているので、少数の特定信号の強度が代表値から外れた領域の分布が得られる。
また、本発明においては、特定信号の強度は試料に含まれる元素の濃度を示しており、複数種類の領域の分布を生成することにより、試料中の元素の濃度が異なる複数種類の成分の分布が生成される。本発明により、少数の元素の濃度が代表値から外れた成分の分布が得られる。
本発明にあっては、クラスタの初期値を適切に設定することにより、クラスタ分析でn次元座標点を適切に分類することができる。従って、スペクトル分布から、少数の特定信号の強度が代表値から外れた領域の分布を生成することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
測定装置の構成を示すブロック図である。 信号分析装置の構成を示すブロック図である。 スペクトルの例を示す模式的特性図である。 信号分析装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。 信号分析装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。 n次元座標点をn次元座標上にプロットした散布図の例である。 クラスタの初期値及びn次元座標点の例を示す図表である。 特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布の例を示す模式図である。 特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布の例を示す模式図である。 特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布の例を示す模式図である。 特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布の例を示す模式図である。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、測定装置の構成を示すブロック図である。測定装置は、試料3へ電子線を照射し、試料3からの特性X線を測定し、特性X線のスペクトルを試料3上の各点に対応づけたスペクトル分布を生成するEDX装置である。測定装置は、試料3へ電子線を照射する電子銃11と、電子レンズ系12と、試料3が載置される試料台13と、試料3から発生する特性X線を検出する検出部14とを備えている。電子レンズ系12は、電子線の方向を変更させる走査コイルを含んでいる。電子銃11及び電子レンズ系12は、制御部16に接続されている。
制御部16からの制御信号に従って、電子銃11が電子線を放出し、電子レンズ系12が電子線の方向を定め、電子線は試料台13上の試料3へ照射される。試料3上で、電子線を照射された部分では、特性X線が発生する。特性X線は、検出部14で検出される。図1には、電子線を実線矢印で示し、特性X線を破線矢印で示している。検出部14は、検出した特性X線のエネルギーに比例した信号を出力する。電子銃11、電子レンズ系12及び検出部14は、測定部に対応する。
検出部14は、出力した信号を処理する信号処理部15に接続されている。信号処理部15は、検出部14が出力した信号を受け付け、信号を値別にカウントし、信号の値が示す特性X線のエネルギーとカウント数とを対応付けた特性X線のスペクトルを取得する。あるエネルギーに対応付けられたカウント数は、当該エネルギーを有する特性X線の強度である。信号処理部15は、制御部16に接続されている。電子レンズ系12が電子線の方向を順次変更することにより、電子線は試料3を走査する。電子線が試料3を走査することにより、試料3上の走査領域内の夫々の部分に電子線が順次照射される。電子線が試料3を走査することに伴い、試料3上で電子線を照射された部分から発生した特性X線が検出部14で順次検出される。信号処理部15は、順次信号処理を行うことにより、試料3上の電子線を照射された複数の部分で発生した特性X線のスペクトルを順次生成する。信号処理部15は、生成した特性X線のスペクトルのデータを制御部16へ順次出力する。
制御部16は、信号処理部15から出力された特性X線のスペクトルのデータを受け付け、試料3上で電子線を照射された部分の位置と特性X線のスペクトルとを関連付けたデータを記憶する。電子線による試料3の走査が終了した段階で、制御部16は、試料3上の各点と特性X線のスペクトルとを関連付けることにより、特性X線のスペクトルが二次元座標系上の各点に関連付けられたスペクトル分布を生成する。信号処理部15及び制御部16は、スペクトル分布生成部に対応する。制御部16は、信号分析装置2に接続されている。制御部16は、スペクトル分布のデータを信号分析装置2へ出力する。なお、信号処理部15及び制御部16は、一体に構成されていてもよい。
図2は、信号分析装置2の構成を示すブロック図である。信号分析装置2は、パーソナルコンピュータ(PC)等の汎用コンピュータを用いて構成されている。信号分析装置2は、演算を行うCPU(演算部)21と、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶するRAM22と、光ディスク等の記録媒体4から情報を読み取るCD−ROMドライブ等のドライブ部23と、不揮発性の記憶部24とを備えている。記憶部24は例えばハードディスクである。CPU21は、記録媒体4からコンピュータプログラム41をドライブ部23に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム41を記憶部24に記憶させる。CPU21は、必要に応じてコンピュータプログラム41を記憶部24からRAM22へロードし、ロードしたコンピュータプログラム41に従って信号分析装置2に必要な処理を実行する。
なお、コンピュータプログラム41は、図示しない通信ネットワークを介して信号分析装置2に接続された図示しない外部のサーバ装置から信号分析装置2へダウンロードされて記憶部24に記憶されてもよい。また信号分析装置2は、外部からコンピュータプログラム41を受け付けるのではなく、コンピュータプログラム41を記録したROM等の記録手段を内部に備えた形態であってもよい。
また、信号分析装置2は、使用者が操作することによる各種の処理指示等の情報が入力されるキーボード又はポインティングデバイス等の入力部25と、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示部26とを備えている。また、信号分析装置2は、制御部16が接続されたインタフェース部27を備えている。信号分析装置2は、制御部16が出力したスペクトル分布のデータをインタフェース部27で受け付け、記憶部24に記憶する。
図3は、スペクトルの例を示す模式的特性図である。一般的にスペクトルは複数の信号の組み合わせで構成される。図3中の横軸はエネルギーであり、縦軸は各エネルギーにおける信号の強度である。図3中には、スペクトルに含まれる一つの信号のピークを矢印で示している。スペクトルに含まれる信号は、エネルギーによって同定される。特性X線のスペクトルに含まれる各信号は試料3に含まれる元素に起因している。測定装置が測定するスペクトル分布は、試料3上の各点に対応する二次元座標系上の各点について得られたスペクトルで構成される。各スペクトルは、含まれる信号の強度の組みあわせが互いに異なり、スペクトルの形状が互いに異なっている。例えば、スペクトルによっては、単数の信号からなるものもあり、信号強度がゼロのものもあり得る。なお、スペクトルの横軸はエネルギーに限るものではなく、波長又は波数等であってもよい。またスペクトルの横軸は絶対的な値に限るものではなく、特定の波長からの波長のずれ等の相対的な値であってもよい。
信号分析装置2が行う処理を説明する。図4及び図5は、信号分析装置2が行う処理の手順を示すフローチャートである。CPU21は、コンピュータプログラムに従って、以下の処理を実行する。制御部16からのスペクトル分布のデータをインタフェース部27で受け付け、CPU21は、スペクトル分布データを記憶部24に記憶させる(S1)。スペクトル分布データは、試料上の各点の二次元座標と、各点から得られたスペクトルのデータとが関連付けられたデータである。またスペクトルのデータは、エネルギー等と信号強度とが関連付けられたデータである。
CPU21は、次に、スペクトル分布データから、複数の特定信号の強度分布を示す信号分布データを生成する(S2)。具体的には、S2では、CPU21は、予め定められているエネルギーで同定される特定信号の信号強度を各点のスペクトルから読み出し、読み出した信号強度を二次元座標系上の各点に対応づけた信号分布データを生成する。即ち、信号分布データは、試料3上の各点の二次元座標と、特定のエネルギーでの信号強度とが関連付けられたデータである。記憶部24は、特定信号のエネルギーとして複数のエネルギーを予め記憶しており、CPU21は、複数の特定信号の夫々について信号分布データを生成する。即ち、S2では、複数の信号分布データが生成される。信号分布データを生成した特定信号の数をnとする。nは2以上の整数である。信号分布データは記憶部24に記憶される。なお、特定信号のエネルギーはコンピュータプログラム41に含まれていてもよい。また、特定信号は波長又は波数等で同定されてもよい。また、特定信号は、スペクトル中のピークの位置では無く、スペクトル中の信号波形から同定してもよい。また、CPU21は、使用者が入力部25を操作することにより、特定信号の指定を受け付け、指定された特定信号について信号分布データを生成してもよい。
CPU21は、次に、信号分布データから、n個の特定信号の強度の組み合わせでなるn次元データを生成する(S3)。具体的には、CPU21は、二次元座標系上の各点について、n個の特定信号の強度の組み合わせで定義されるn次元データを生成することによって、n次元空間上のn次元座標点を生成する。また、CPU21は、二次元座標系上の各点の二次元座標とn次元座標を表すn次元データとを関連付けたデータを生成し、RAM22又は記憶部24に記憶する。
図6は、n次元座標点をn次元座標上にプロットした散布図の例である。図6には、特定信号として信号a及びbを選択したn=2の場合を示している。図6中の横軸は、信号aの強度を示し、縦軸は信号bの強度を示している。試料3上の各点に対応する二次元座標系上の各点について、n次元空間上にn次元座標点がプロットされる。n次元座標点はn次元空間上で重なることもある。S3の処理は、n次元座標点群生成部に対応する。なお、信号分析装置2は、外部で生成されたn次元データを入力され、S4以降の処理を実行する形態であってもよい。
信号分析装置2は、S4以降で、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムにより複数のn次元座標点を複数のクラスタに分類するクラスタ分析を行う。クラスタは、n次元空間上の各点がそのクラスタに含まれる確率を示す確率分布モデルで定義される。確率分布としては、EMアルゴリズムで利用される混合ガウス分布又は混合ポアソン分布等の確率分布を用いる。各クラスタは、n個の確率分布モデルの積で定義される。
CPU21は、次に、使用者が入力部25を操作することにより、クラスタ数の初期値を受け付け、クラスタ数の初期値を設定する(S4)。CPU21は、S4で、適当な数値をクラスタ数の初期値として設定する処理を行ってもよい。CPU21は、次に、n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点が含まれるクラスタの確率分布モデルの初期値を生成する(S5)。代表値は、n個の特定信号の夫々についてスペクトル分布中の強度を代表する値である。例えば、代表値は、スペクトル分布中の複数の点における特定信号の強度の平均値である。CPU21は、n個の特定信号の夫々について強度の代表値を計算し、代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点が含まれるように、クラスタの確率分布モデルのパラメータの初期値を生成する。確率分布モデルのパラメータには、クラスタのn次元空間上の中心位置が含まれる。例えば、CPU21は、n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点がクラスタの中心位置になるように、確率分布モデルのパラメータを設定する。なお、代表値は、平均値に限るものではなく、中央値、最頻値又は特定のモデル値等、その他の値であってもよい。モデル値は、予め記憶部24に記憶されているか、予めコンピュータプログラム41に記録されているか、又は入力部25で入力される。
CPU21は、次に、一の特定信号の強度が所定の基準から外れているn次元座標点が含まれるクラスタの確率分布モデルの初期値を生成する(S6)。例えば、信号分析装置2は、一の特定信号の強度の代表値m及びパラメータαを用いて、m+α未満の強度を基準内とし、m+α以上の強度を基準から外れたものとみなす。例えば、パラメータαは標準偏差値である。パラメータαは、所定値等、標準偏差値以外の値であってもよい。CPU21は、一の特定信号の強度の代表値m及びパラメータαを計算し、S3で生成したn次元座標点の内で一の特定信号の強度がm+α以上となるn次元座標点を特定し、特定したn次元座標点が含まれるように、新たなクラスタの確率分布モデルのパラメータの初期値を生成する。なお、m+α以上の強度を基準外とする形態は、一例であり、他の基準を用いることも可能である。例えば、m+αを超過する強度を基準外としてもよい。また、例えば、m−α以上又は超の強度を基準内とし、m−α未満又は以下の強度を基準外としてもよい。また、例えば、代表値mに所定値を足した値以上又は超の強度を基準外としてもよい。また、例えば、所定値以上若しくは超、又は所定値以下若しくは未満の強度を、基準外としてもよい。また、例えば、βを所定値として、複数のn次元座標点における一の特定信号の強度の中で、上位β%の強度を基準外としてもよく、下位β%の強度を基準外としてもよい。S6では、例えば、一の特定信号の強度が所定の基準から外れているn次元座標点の位置がクラスタの中心位置になるように、確率分布モデルのパラメータを設定する。
また、S6では、CPU21は、複数のクラスタの確率分布モデルの初期値を生成してもよい。例えば、CPU21は、m−α以下の強度とm+α以上の強度とを基準外とし、一の特定信号の強度がm+α以上となるn次元座標点が含まれるクラスタと、一の特定信号の強度がm−α以下となるn次元座標点が含まれるクラスタとについて、確率分布モデルの初期値を生成する。また例えば、CPU21は、一の特定信号の強度がm+α〜m+2αに含まれるn次元座標点と、一の特定信号の強度がm+2α〜m+3αに含まれるn次元座標点とが別のクラスタに含まれるように、複数のクラスタの確率分布モデルの初期値を生成する。また例えば、基準となる所定値を複数設定しておき、CPU21は、一の特定信号の強度に応じた複数のクラスタの確率分布モデルの初期値を生成する。また、例えば、CPU21は、一の特定信号の強度が下位β%に含まれるn次元座標点が含まれるクラスタと、一の特定信号の強度が上位β%に含まれるn次元座標点が含まれるクラスタとの夫々について、確率分布モデルの初期値を生成してもよい。また、例えば、γを所定値とし、β<γとして、CPU21は、一の特定信号の強度が上位β%に含まれるn次元座標点と、一の特定信号の強度が上位β%〜γ%に含まれるn次元座標点とが別のクラスタに含まれるように、複数のクラスタの確率分布モデルの初期値を生成してもよい。また、例えば、CPU21は、一の特定信号の強度が下位β%に含まれるn次元座標点と、一の特定信号の強度が下位β%〜γ%に含まれるn次元座標点とが別のクラスタに含まれるように、複数のクラスタの確率分布モデルの初期値を生成してもよい。また、一の特定信号の強度が所定の基準から外れているn次元座標点が無い場合には、CPU21は、この特定信号についてはクラスタの確率分布モデルの初期値を生成しなくてもよい。
CPU21は、次に、全ての特定信号についてS6の処理を実行したか否かを判定する(S7)。まだS6の処理を実行していない特定信号がある場合は(S7:NO)、CPU21は、処理をS6へ戻し、S6の処理を実行していない一の特定信号について、S6の処理を実行する。全ての特定信号についてS6の処理を実行した場合は(S7:YES)、CPU21は、既存のクラスタに含まれる確率が最も低いn次元座標点を含むクラスタの確率分布モデルの初期値を生成する(S8)。S8では、CPU21は、既に確率分布モデルの初期値を生成しているクラスタに各n次元座標点が含まれる尤度を計算し、n次元空間上で最も近いクラスタに含まれる尤度が最も低いn次元座標点を特定し、特定したn次元座標点が含まれるように、新たなクラスタの確率分布モデルのパラメータの初期値を生成する。S8は、クラスタの確率分布モデルの初期値を生成する従来の方法に対応する。
CPU21は、次に、確率分布モデルの初期値を生成したクラスタの数が、S4で設定したクラスタ数の初期値に達したか否かを判定する(S9)。クラスタの数がまだ初期値に達していない場合は(S9:NO)、CPU21は、処理をS8へ戻す。S4〜S9の処理は、初期設定部及び初期設定ステップに対応する。また、S5の処理は第1初期クラスタ生成部に対応し、S6及びS7の処理は第2初期クラスタ生成部に対応し、S8の処理は第3初期クラスタ生成部及び生成ステップに対応し、S9の処理は繰り返し部に対応する。なお、前述のS6及びS7の処理では、全ての特定信号についてS6の処理を実行しているが、信号分析装置2は、n個の特定信号の内の一部の特定信号のみについてS6の処理を実行する形態であってもよい。この形態では、例えば、所定数の特定信号、又は予め指定された特定信号のみについてS6の処理が行われ、S7では、S6の処理が必要な特定信号についてS6の処理が行われたか否かが判定される。
クラスタの数が初期値に達している場合は(S9:YES)、CPU21は、次に、各クラスタの確率分布モデルに基づいて、n次元空間上の各n次元座標点が各クラスタに含まれる確率を計算する(S10)。S10の処理は、EMアルゴリズムにおけるE(Expectation )ステップに対応する。CPU21は、次に、全体の尤度を上昇させるように各クラスタの確率分布モデルのパラメータを更新する処理を行う(S11)。具体的には、各クラスタのn次元空間上の中心位置等の確率分布のパラメータを更新する。S11の処理は、EMアルゴリズムにおけるM(maximization )ステップに対応する。
CPU21は、次に、EMアルゴリズムの収束判定を行う(S12)。収束の指標には、尤度の値、変化量若しくは変化率、又は確率分布モデルのパラメータの値、変化量若しくは変化率等、EMアルゴリズムで一般的に用いられる指標を用いる。例えば、CPU21は、尤度の変化量が所定値以下の場合に、収束したと判定し、尤度の変化量が所定値より大きい場合に、まだ収束していないと判定する。信号分析装置2は、使用者が入力部25を操作することにより、収束条件の入力を受け付け、収束条件を変更することができる形態であってもよい。S10〜S12の処理は、クラスタ分析部に対応する。なお、信号分析装置2は、S10、S11及びS12において、EMアルゴリズム以外の最尤法又は最大事後確率推定法のアルゴリズムを用いてクラスタ分析を行う形態であってもよい。例えば、信号分析装置2は、k-means法(K平均法)、ウォード法又はNewton-Raphson法のアルゴリズムを用いた処理を行ってもよい。アルゴリズムに応じて、クラスタは確率分布モデル以外によって定義されてもよい。いずれのアルゴリズムを用いた場合であっても、信号分析装置2は、S10、S11及びS12に対応する処理において、各n次元座標点がどのクラスタに所属するかを計算する。また、信号分析装置2は、確率分布モデルを用いた方法以外の方法で定義したクラスタを用いてクラスタ分析を行ってもよい。
S12でまだ収束していない場合は(S12:NO)、CPU21は、処理をS10へ戻す。収束したと判定した場合は(S12:YES)、CPU21は、複数のクラスタの中に、n次元空間上での互いの距離が所定距離以下の近い距離になっている複数のクラスタがあるか否かを判定する(S13)。例えば、S13では、CPU21は、二つのクラスタ間で中心間のマハラノビス距離を計算し、計算したマハラノビス距離が所定値以下であるか否かに基づいて判定する。また例えば、CPU21は、二つのクラスタ間で中心へのベクトルの内積を計算し、計算した内積が所定の閾値より1に近い場合に互いの距離が所定距離以下であると判定する。CPU21は、二つのクラスタ間の距離を判定する処理を、全てのクラスタの組み合わせについて実行する。S13では、CPU21は、その他の方法で判定を行ってもよい。互いに近い複数のクラスタがある場合は(S13:YES)、CPU21は、近い複数のクラスタを結合する(S14)。具体的には、CPU21は、複数のクラスタの範囲を新たな一つのクラスタの範囲であると定める処理を行う。図6には、クラスタの範囲を実線で示している。図6に示した例では、三つのクラスタが得られている。
ステップS14が終了した後、又はステップS13で互いに近いクラスタが無い場合は(S13:NO)、CPU21は、各クラスタに含まれるn次元座標点に対応するスペクトル分布内での点を特定することにより、二次元座標系上でn個の特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布を個別に生成する(S15)。生成される領域の分布は、スペクトル分布に含まれる点の内で、スペクトルに含まれるn個の特定信号の強度が特定の強度の組み合わせになっている点からなる領域の分布である。特定信号の強度が特定の強度の組み合わせになっている領域の分布は、クラスタの夫々について生成される。S15の処理は、領域分布生成部に対応する。CPU21は、次に、生成した各領域の分布を表す分布データを記憶部24に記憶させ(S16)、処理を終了する。
なお、信号分析装置2は、S12で、収束判定を行うのではなく、S10及びS11の処理の繰り返し回数を判定する処理を行う形態であってもよい。この形態では、信号分析装置2は、S10及びS11の繰り返しの既定回数を記憶部24に予め記憶している。CPU21は、S12で、処理の繰り返し回数が既定回数に達したか否かを判定し、処理の繰り返し回数がまだ既定回数に達していない場合は処理をS10へ戻し、処理の繰り返し回数が既定回数に達した場合は処理をS13へ進める。処理の繰り返しの既定回数として、複数のクラスタ全体の尤度が経験上十分な大きさになる回数が定められている。既定回数は、例えば100回である。信号分析装置2は、収束条件が満たされたか否かに関わりなく既定回数で処理の繰り返しを終了させることにより、計算時間を短縮させることができる。また、信号分析装置2は、収束判定と回数判定とを両方行い、処理の繰り返し回数が既定回数に達する前に収束条件が満たされた場合に処理をS13へ進める処理を行う形態であってもよい。
図6には、クラスタの範囲を実線で示している。また、図6には、信号a及びbの強度の平均値の夫々を破線で示している。図7は、クラスタの初期値及びn次元座標点の例を示す図表である。図中には、あるクラスタ1の中心位置における各特定信号の強度を示し、あるn次元座標点1、2、9及び10における各特定信号の強度を示す。特定信号は、信号a、b、c、d、e、f及びgとする。クラスタ1の中心位置は、各特定信号の代表値からなるとする。図7中に示したn次元座標点1は、各特定信号の強度が代表値とほぼ同一である。このため、n次元座標点1はクラスタ1に含まれる。図7中に示したn次元座標点10は、信号cの強度が代表値から大きく外れており、他の特定信号の強度は代表値と同一になっている。
適切なクラスタ分析のためには、クラスタの初期値を適切に設定する必要がある。クラスタの初期値を設定するための従来の方法では、平均値等の代表値でなるn次元座標系上の点を含むクラスタの初期値を最初に設定し、既存のクラスタに含まれる確率が低いn次元座標点を含むように新しいクラスタの初期値を設定する。このため、図6中に51で示したクラスタのように、多くの特定信号の強度が代表値から離れたn次元座標点からなるクラスタの初期値が設定されやすい。これに対し、単独又は少数の特定信号の強度が代表値から外れているものの、他の特定信号の強度が代表値に近いn次元座標点からなるクラスタは、従来の方法では初期値が設定されにくい。例えば、図7中に示したn次元座標点10からなるクラスタの初期値がクラスタ1とは別に設定されることは、従来の方法では起こりにくい。従来の方法では、n次元座標点10はクラスタ1に含まれることになる。
本実施形態では、一の特定信号の強度が所定の基準から外れたn次元座標点、例えば一の特定信号の強度がm+α以上であるn次元座標点を含むように、クラスタの初期値を設定する。このため、単独又は少数の特定信号の強度が代表値から外れているものの他の特定信号の強度が代表値に近いn次元座標点からなるクラスタの初期値が設定されやすくなる。例えば、図7中に示したn次元座標点10からなるクラスタの初期値がクラスタ1とは別に設定されやすい。本実施形態では、S8で従来の方法でもクラスタの初期値を設定しているので、従来の方法で初期値を設定することができていたクラスタについても、初期値を設定することができる。このように、クラスタの初期値を適切に設定することにより、クラスタ分析でn次元座標点を適切に分類し、特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布を適切に生成することが可能となる。
図8A、図8B、図8C及び図8Dは、特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布の例を示す模式図である。信号分析装置2は、図8A〜図8Dに示す如き各領域の分布を示す画像を表示部26に表示することができる。スペクトル分布に含まれるスペクトルは、信号a、b及びcからなるとする。図8Aは、信号aの強度が平均的で、信号b及びcの強度が小さい領域の分布を示す。図8Bは、信号a及びbの強度が平均的で、信号cの強度が小さい領域の分布を示す。図8Cは、信号a及びbの強度が平均的で、信号cの強度が大きい領域の分布を示す。図8Dは、信号aの強度が平均的で、信号bの強度が小さく、信号cの強度が大きい領域の分布を示す。信号a、b及びcが夫々元素A、B及びCに対応すると仮定すると、図8Aは、元素Aを含み元素B及びCをほとんど含まない成分の分布を示し、図8Bは、元素A及びBを含み元素Cをほとんど含まない成分の分布を示す。また、図8Cは、元素A及びBを含む成分の中で元素Cが集中した成分の分布を示し、図8Dは、元素Aを含み元素Bをほとんど含まない成分の中で元素Cが集中した成分の部分を示す。なお、信号a及びbの強度が平均を大きく超過する領域の分布等、信号a、b及びcの強度の組み合わせに応じた他の種類の領域の分布を得ることも可能である。
図8C及び図8Dに示す如き分布は、従来の方法では他の領域から分離することが困難であった領域の分布である。このように、本実施形態では、スペクトル分布から、特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布を生成する際に、少数の特定信号の強度が平均値等の代表値から外れた領域の分布を得ることが可能となる。特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布は、試料3中で含有する元素の濃度が異なる複数種類の成分の分布を表す。即ち、本実施形態により、少数の元素の濃度が代表値から外れた成分の分布を得ることが可能となる。特に、図8C及び図8Dに示すように、試料3中の微小な領域にのみ存在する成分の分布を得ることが可能となる。
なお、本実施形態においては、信号分析装置2が制御部16と接続されている形態を示したが、信号分析装置2は、制御部16と一体になっている形態であってもよい。この形態では、信号分析装置2は、制御部16が実行すべき処理を実行する。また、信号分析装置2は、測定装置から分離した形態であってもよい。この形態では、信号分析装置2は、外部で生成された信号分布データを入力され、S3以降の処理を実行する。
また、本実施形態においては、EDXにより得られたスペクトル分布の分析を行う形態を示したが、信号分析装置2は、他の測定方法により得られたスペクトル分布の分析を行う形態であってもよい。測定装置は、スペクトル分布を測定できる装置であれば、EDX装置以外の装置であってもよい。例えば、信号分析装置2は、蛍光X線のスペクトルからなるスペクトル分布の分析を行う形態であってもよい。この形態においても、信号分析装置2は、試料中で含有する元素の濃度が異なる複数種類の成分の分布を得ることができる。また、信号分析装置2は、ラマンスペクトルからなるスペクトル分布の分析を行う形態であってもよい。また、信号分析装置2は、測定対象からの可視光及び/又は赤外光のスペクトルからなるスペクトル分布の分析を行う形態であってもよい。可視光及び赤外光は、測定対象の表面で反射した光、又は測定対象を透過した光である。例えば、信号分析装置2は、測定対象からの反射光を測定したスペクトル分布から、R(赤)、G(緑)、B(青)及び赤外の強度の組み合わせでなるn次元座標点群を生成し、クラスタ分析を行い、RGB及び赤外の強度の組み合わせに応じた測定対象上の複数種類の領域の分布を生成する。例えば、森林の撮影画像から、複数種類の樹木の分布が生成される。また、信号分析装置2は、その他のスペクトル分布を分析する形態であってもよい。
また、本実施形態においては、スペクトルが二次元座標系上の各点に関連付けられたスペクトル分布の分析を行う形態を示したが、信号分析装置2は、スペクトルが三次元座標系上の各点に関連付けられたスペクトル分布の分析を行う形態であってもよい。この形態では、信号分析装置2は、例えば、三次元の試料の表面に存在する成分の分布を得ることができる。同様に、測定装置は、スペクトルが三次元座標系上の各点に関連付けられたスペクトル分布を生成する形態であってもよい。
11 電子銃
12 電子レンズ系
13 試料台
14 検出部
15 信号処理部
16 制御部
2 信号分析装置
21 CPU
24 記憶部
3 試料
4 記録媒体
41 コンピュータプログラム

Claims (15)

  1. スペクトルが座標系上の各点について定められたスペクトル分布に基づき、該スペクトル分布中の各点について、スペクトルに含まれるn個(nは2以上の整数)の特定信号の強度の組み合わせで定義されるn次元空間上のn次元座標点を生成するn次元座標点群生成部と、
    生成した複数のn次元座標点を分類するために、n次元空間上の複数のクラスタの初期値を定める初期設定部と、
    定めた初期値を用いてクラスタ分析を行うクラスタ分析部とを備える信号分析装置において、
    前記初期設定部は、
    前記n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点が含まれるクラスタの初期値を生成する第1初期クラスタ生成部と、
    一の特定信号の強度が所定の基準から外れているn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する第2初期クラスタ生成部と
    を有することを特徴とする信号分析装置。
  2. 前記第1初期クラスタ生成部は、前記n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点を中心位置とするクラスタの初期値を生成し、
    前記第2初期クラスタ生成部は、前記一の特定信号の強度が前記所定の基準から外れているn次元座標点の位置を中心位置とするクラスタの初期値を生成すること
    を特徴とする請求項1に記載の信号分析装置。
  3. 前記初期設定部は、
    複数のクラスタの数を定めるクラスタ数設定部と、
    既に初期値が設定されているクラスタへ含まれる確率が最も低いn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する第3初期クラスタ生成部と、
    前記クラスタ数設定部が定めた数のクラスタの初期値が定められるまで、前記第3初期クラスタ生成部の処理を繰り返す繰り返し部と
    を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の信号分析装置。
  4. 前記第1初期クラスタ生成部が処理を実行した後に、前記第2初期クラスタ生成部が処理を実行し、
    前記第2初期クラスタ生成部が処理を実行した後に、前記第3初期クラスタ生成部が処理を実行すること
    を特徴とする請求項3に記載の信号分析装置。
  5. クラスタ分析後の各クラスタに含まれるn次元座標点に対応する点の前記スペクトル分布内での分布を特定することにより、n個の特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布を生成する領域分布生成部を更に備えること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の信号分析装置。
  6. 前記n個の特定信号の強度は、n個の元素の濃度を示し、
    前記領域分布生成部は、n個の元素の濃度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布を生成すること
    を特徴とする請求項に記載の信号分析装置。
  7. 演算部及び記憶部を備えるコンピュータにより、
    スペクトルが座標系上の各点について定められたスペクトル分布に基づき、該スペクトル分布中の各点について、スペクトルに含まれるn個(nは2以上の整数)の特定信号の強度の組み合わせで定義されるn次元空間上のn次元座標点を生成するステップと、
    生成した複数のn次元座標点を分類するために、n次元空間上の複数のクラスタの初期値を定める初期設定ステップと、
    定めた初期値を用いてクラスタ分析を行うステップとを行う信号処理方法において、
    前記初期設定ステップは、
    前記n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点が含まれるクラスタの初期値を生成するステップと、
    一の特定信号の強度が所定の基準から外れているn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成するステップと
    を含むことを特徴とする信号分析方法。
  8. 前記初期設定ステップは、
    複数のクラスタの数を定めるステップと、
    既に初期値が設定されているクラスタへ含まれる尤もらしさが最も低いn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する生成ステップと、
    定められた数のクラスタの初期値が定められるまで、前記生成ステップを繰り返すステップと
    を更に含むことを特徴とする請求項に記載の信号分析方法。
  9. クラスタ分析後の各クラスタに含まれるn次元座標点に対応する点の前記スペクトル分布内での分布を特定することにより、n個の特定信号の強度の組み合わせが異なる複数種類の領域の分布を生成するステップを更に行うこと
    を特徴とする請求項又はに記載の信号分析方法。
  10. コンピュータに、
    スペクトルが座標系上の各点について定められたスペクトル分布に基づき、該スペクトル分布中の各点について、スペクトルに含まれるn個(nは2以上の整数)の特定信号の強度の組み合わせで定義されるn次元空間上のn次元座標点を生成するステップと、
    生成した複数のn次元座標点を分類するために、n次元空間上の複数のクラスタの初期値を定める初期設定ステップと、
    定めた初期値を用いてクラスタ分析を行うステップとを含む処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、
    前記初期設定ステップは、
    前記n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点が含まれるクラスタの初期値を生成する第1初期クラスタ生成ステップと、
    一の特定信号の強度が所定の基準から外れているn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する第2初期クラスタ生成ステップと
    を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
  11. 前記第1初期クラスタ生成ステップでは、前記n個の特定信号の強度の代表値の組み合わせでなるn次元空間上の点を中心位置とするクラスタの初期値を生成し、
    前記第2初期クラスタ生成ステップでは、前記一の特定信号の強度が前記所定の基準から外れているn次元座標点の位置を中心位置とするクラスタの初期値を生成する
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項10に記載のコンピュータプログラム。
  12. 前記初期設定ステップは、
    複数のクラスタの数を定めるステップと、
    既に初期値が設定されているクラスタへ含まれる尤もらしさが最も低いn次元座標点が含まれるクラスタの初期値を生成する第3初期クラスタ生成ステップと、
    定められた数のクラスタの初期値が定められるまで、前記第3初期クラスタ生成ステップを繰り返すステップと
    を更に含むことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
  13. 前記第1初期クラスタ生成ステップを実行した後に、前記第2初期クラスタ生成ステップを実行し、
    前記第2初期クラスタ生成ステップを実行した後に、前記第3初期クラスタ生成ステップを実行する
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項12に記載のコンピュータプログラム。
  14. 試料上の各点から得られる放射線又は電磁波を測定する測定部と、
    測定した放射線又は電磁波のスペクトルを各点に対応付けたスペクトル分布を生成するスペクトル分布生成部とを備える測定装置において、
    請求項1乃至のいずれか一つに記載の信号分析装置を備えることを特徴とする測定装置。
  15. 試料上の各点から得られるスペクトルを測定し、測定したスペクトルを各点に対応付け
    たスペクトル分布を生成する測定方法において、
    請求項乃至のいずれか一つに記載の信号分析方法を含むことを特徴とする測定方法
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