JP2020160065A - 銅の価数分別定量方法および銅の定量装置 - Google Patents

銅の価数分別定量方法および銅の定量装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な操作により、溶液に含まれる銅を、幅広い濃度範囲にわたって、価数ごとに分別して定量する。【解決手段】溶液に含まれる銅を価数ごとに分別して定量する方法であって、配位子としてハロゲン又は水分子が配位する1価および2価の銅錯体が溶存する試料溶液を準備する準備工程と、試料溶液に水を含む希釈剤を添加し、1価の銅錯体に配位する配位子をハロゲンから水分子に置換することで、ハロゲンが配位する1価の銅錯体の一部を水分子が配位する1価の銅錯体に変換して、測定溶液を調製する希釈工程と、測定溶液に対して、金属塩酸化剤と鉱酸とを含む金属塩酸化剤溶液を滴定液として電位差滴定を行う滴定工程と、を有し、滴定工程では、金属酸化剤溶液の添加量に基づいて、1価の銅錯体の濃度を定量する、銅の価数分別定量方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、銅の価数分別定量方法および銅の定量装置に関する。
一般に、硫酸銅などの水可溶性銅化合物は、水溶液中で、水分子が配位した銅錯体を形成して溶存することが知られている。一方、塩化物などのハロゲン化物を配位子とする銅化合物は、水分子が配位する銅錯体だけでなく、ハロゲンが配位する銅錯体を形成して溶存することが知られている。
銅錯体における銅の価数は、溶質の形態や溶媒の酸化還元雰囲気に依存する。一般に、銅は酸化を受けやすいので、高価数で安定する傾向があるが、1価のような低価数でも存在することもある。
このような銅が錯体として溶存する溶液、例えば銅の湿式製錬の中間工程で採取される溶液(銅浸出液)などでは、工程管理の観点から、1価および2価の銅がそれぞれどの程度溶存しているか、定量的に把握することが重要となる。
溶液に溶存する銅を定量する方法としては、例えば、ICP発光分光分析法などで代表される分光分析、電解重量法、もしくは、銅の溶存形態を高価数に誘導した後に容量法を適用するなどが考えられる。
溶液に溶存する2価の銅を分別して定量する方法としては、例えば、酸化処理を省いた容量法や、銅に水分子が配位したときに溶液が特徴的な呈色を示すことを利用した吸光度法が挙げられる。
一方、溶液に溶存する1価の銅錯体を定量する方法としては、クプロイン系化合物もしくはポルフィリン系化合物によって溶液を選択的に呈色させた後に、吸光度測定する方法がある。
ただし、1価の銅を定量する方法では、溶液に1価の銅が多量に溶存する場合、銅の錯体が疎水性を示して凝集してしまうので、精度よく定量できないことがある。例えば、クプロイン系化合物を使用する場合、1価の銅の濃度は数mg/Lが上限と考えられ、溶液の濃度条件が限定されてしまう。そのため、定量する前に溶液を希釈する必要があり、所望の定量精度を確保しにくい。しかも、この方法では、銅錯体を形成して溶液を呈色させるため、溶液に共存する成分によっては精度の高い定量が阻害されることも考えられる。
そこで、溶液に含まれる銅を価数ごとに分別して定量するには、ICP発光分光分析法などで溶液に含まれる銅の総濃度を測定した後に、2価の銅のみの濃度を定量し、総濃度から2価の銅の濃度を差し引くことにより、1価の銅の濃度を求める必要がある(例えば非特許文献1を参照)。
JIS.M.8121.−1997.鉱石中の銅定量方法
しかし、上述した方法では、異なる測定を併用する必要があるため、操作が煩雑となるばかりか、溶液の組成によっては、測定までの間に酸化還元反応によって、銅の価数が変化してしまうことがある。しかも、溶液に含まれる銅が高濃度であったり、夾雑物が多く含まれていたりすると、精度よく定量できないため、定量できる溶液が限定されてしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡便な操作により、溶液に含まれる銅を、幅広い濃度範囲にわたって、価数ごとに分別して定量する技術を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について検討を行い、溶液に含まれる銅を価数ごとに分別して定量する方法として、電位差滴定に着目した。電位差滴定によれば、溶液に酸化剤を滴下して、1価の銅の酸化により生じる電位飛躍を測定することで、1価の銅の濃度を直接定量することができる。しかし、本発明者の検討によると、1価および2価の銅が錯体として溶存する溶液に対して、そのまま電位差滴定を行っても、酸化による顕著な電位差が確認できず、滴定の等量点を決定できないため、1価の銅を精度よく定量できないことが確認された。
この点について本発明者はさらに検討を行った結果、ハロゲンが配位する1価の銅錯体の一部を、配位子を水分子に置換することで、水分子が配位する1価の銅錯体に変換したうえで、電位差滴定を行うとよいことが見出された。このように電位差滴定を行うことにより、銅の価数を酸化還元反応で変化しないよう固定化できるとともに、電位差滴定で顕著な電位飛躍を生じさせて、滴定の等量点を決定することができ、銅を価数ごとに分別して正確に定量することができる。しかも、このとき溶液に含まれる銅の濃度が高くても、また夾雑物が含まれていても、定量精度を高く維持することができるので、溶液の組成に限定されない。
すなわち、本発明の第1の態様は、
溶液に含まれる銅を価数ごとに分別して定量する方法であって、
配位子としてハロゲン又は水分子が配位する1価および2価の銅錯体が溶存する試料溶液を準備する準備工程と、
前記試料溶液に水を含む希釈剤を添加し、前記1価の銅錯体に配位する前記配位子を前記ハロゲンから前記水分子に置換することで、前記ハロゲンが配位する1価の銅錯体の一部を前記水分子が配位する1価の銅錯体に変換して、測定溶液を調製する希釈工程と、
前記測定溶液に対して、金属塩酸化剤と鉱酸とを含む金属塩酸化剤溶液を滴定液として電位差滴定を行う滴定工程と、を有し、
前記滴定工程では、前記金属酸化剤溶液の添加量に基づいて、前記1価の銅錯体の濃度を定量する、
銅の価数分別定量方法が提供される。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、
前記金属塩酸化剤が過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、塩化鉄(III)およびセリウム酸(IV)の少なくとも1つである。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記鉱酸は、塩酸もしくは硫酸である。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様において、
前記希釈剤は、水または硫酸である。
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様において、
前記希釈工程では、前記希釈剤の添加量を、前記試料溶液に前記希釈剤を添加したときのハロゲンイオンの濃度が銅の総濃度の10倍以下となるように設定する。
本発明の第6の態様は、第1〜第5の態様のいずれかにおいて、
前記滴定工程を第1の滴定工程としたときに、前記測定溶液に対してヨウ素滴定を行い、前記2価の銅錯体の濃度を定量する第2の滴定工程をさらに有する。
本発明の第7の態様は、
溶液に含まれる銅を価数ごとに分別して定量する銅の定量装置であって、
配位子としてハロゲン又は水分子が配位する1価および2価の銅錯体が溶存する試料溶液を採取する採取部と、
前記試料溶液に水を含む希釈剤を添加して、前記1価の銅錯体に配位する前記配位子を前記ハロゲンから前記水分子に置換することで、前記ハロゲンが配位する1価の銅錯体の一部を、前記水分子が配位する1価の銅錯体に変換して、測定溶液を調製する希釈部と、
前記測定溶液を収容する反応槽と、
前記反応槽に収容される前記測定溶液に、金属塩酸化剤と鉱酸とを含む金属塩酸化剤溶液を滴定液として添加する滴定液添加部と、
前記反応槽に収容される前記測定溶液の酸化還元電位を検出する検出部と、
前記酸化還元電位が急激に変化したときの前記滴定液の添加量に基づいて、前記1価の銅錯体の濃度を定量する測定部と、を備える、銅の定量装置である。
本発明によれば、簡便な操作により、溶液に含まれる銅を、幅広い濃度範囲にわたって、価数ごとに分別して定量することができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる銅の価数分別定量装置の構成概略図である。 図2は、実施例1の電位差滴定曲線を示す図である。 図3は、比較例1の電位差滴定曲線を示す図である。
<銅の価数分別定量方法>
以下、本発明の一実施形態にかかる銅の価数分別定量方法について説明する。
(準備工程)
まず、測定対象となる溶液として試料溶液を準備する。
試料溶液は、銅を含む試料を水を含む溶媒に溶解させたものであり、例えば、銅の湿式製錬における中間工程で採取される銅抽出液、もしくは銅のめっき液などを挙げることができる。試料溶液では、1価および2価の銅のそれぞれが、配位子としてハロゲンを配位する錯体(以下、ハロゲン化錯体ともいう)、または水分子を配位する錯体(以下、アコ錯体ともいう)を形成して溶存している。本実施形態では、後述するように、測定できる銅の濃度が限定されないので、例えば銅を高濃度で含む試料溶液でも精度よく定量することができる。なお、試料溶液には、夾雑物として、銅以外の成分が含まれていてもよい。例えば、夾雑物として、低価数の鉄やニッケル、コバルトなどが含まれていてもよい。また、銅を含む試料を溶解させる水としては、銅の酸化を抑制する観点からは、予め溶存酸素を除去した純水を用いるとよい。
試料溶液では、1価の銅がハロゲン化錯体([CuX3−)およびアコ錯体([Cu(HO))を形成して溶存することで、下記式(1)のような化学平衡が成り立つ。なお、式(1)において、Xはハロゲンを示す。また、2価の銅は、1価の銅と同様に、ハロゲン化錯体([CuX2−)およびアコ錯体([Cu(HO)2+)を形成して溶存している。
[CuX3−+4HO⇔[Cu(HO)+4X・・・(1)
(希釈工程)
次に、試料溶液に水を含む希釈剤を添加して測定溶液を調製する。希釈剤の添加により、1価の銅錯体に配位する配位子をハロゲンから水分子に置換して、1価の銅のハロゲン化錯体を1価の銅のアコ錯体に変換する。つまり、上記式(1)において化学平衡を右方向へシフトさせて、アコ錯体の生成を促進させる。また同様に2価の銅のハロゲン化錯体も2価の銅のアコ錯体に変換する。この結果、試料溶液を希釈した測定溶液では、アコ錯体の比率がハロゲン化錯体よりも高くなる。
試料溶液を希釈する希釈剤としては、水を含むものであって、酸化還元作用を持たず、1価の銅を酸化したり2価の銅を還元したりするものでなければ特に限定されない。例えば酸化作用を持つ硝酸は1価の銅を酸化して、価数変動を生じさせるため、銅の定量精度を低下させるおそれがある。この点、酸化還元作用を持たない希釈剤によれば、1価や2価の銅を酸化還元させることなく試料溶液を希釈することができる。
希釈剤としては、希釈を容易に行えることから、水または硫酸を用いることが好ましい。また、水や硫酸によれば、ハロゲン化錯体からアコ錯体へと錯体の電荷を反転させているので、銅の溶存形態での価数を1価のままに固定することができる。なお、添加する水としては、銅の酸化を抑制する観点から、溶存酸素を除去した純水を用いるとよい。
試料溶液への希釈剤の添加量は、試料溶液に希釈剤を添加したときのハロゲンイオンの濃度に応じて適宜変更するとよい。式(1)に示すように、試料溶液に希釈剤を添加することで、ハロゲン化錯体の濃度が減少する一方で、アコ錯体およびハロゲンイオンの濃度が増加する。このとき、ハロゲンイオンの濃度が過度に増加すると、ハロゲン化錯体からアコ錯体への変化にともなう電荷の逆転が大きくなることで、定量精度が低下するおそれがある。そのため、1価の銅の濃度を精度よく定量する観点からは、希釈剤を添加したときのハロゲンイオンの濃度が、試料溶液に含まれる銅の総濃度、つまり1価および2価の銅の合計濃度の10倍以下となるように、希釈剤の添加量を調整することが好ましい。
(滴定工程)
次に、試料溶液を希釈した測定溶液に対して滴定液を用いた電位差滴定(第1の滴定工程)を行う。
滴定液としては、金属塩酸化剤と鉱酸とを含む金属塩酸化剤溶液を準備する。金属塩酸化剤としては、銅を酸化させるが、ハロゲンを酸化させないものであれば特に限定されない。取り扱い性の観点からは、二クロム酸カリウム、塩化鉄(III)およびセリウム酸(IV)の少なくとも1つを用いることが好ましい。また、試料溶液に遊離塩素が含まれていない場合であれば、過マンガン酸カリウムを用いることもできる。鉱酸としては、例えば硫酸または塩酸などを用いることができる。
電位差滴定では、水を添加した試料溶液に滴定液を滴下しながら、溶液における酸化還元電位を観察する。例えば、有機塩酸化剤溶液として塩化鉄(III)を含む溶液を滴下すると、下記式(2)および(3)に示すように、試料溶液に含まれる1価の銅のハロゲン化錯体およびアコ錯体が鉄イオンにより2価の銅錯体に酸化される。具体的には、[CuX3−が[CuX2−に、[Cu(HO)が[Cu(HO)2+にそれぞれ酸化される。
[CuX3−+Fe3+⇔[CuX2−+Fe2+・・・(2)
[Cu(HO)+Fe3+⇔[Cu(HO)2++Fe2+・・・(3)
試料溶液の電位差を観察しながら滴定液を滴下し、滴下量あたりの酸化還元電位の変化量の微分値が最も大きく示したときに反応終点(当量点)と判断して滴下を止める。本実施形態では、溶液試料に水を添加することで、アコ錯体の生成を促し、アコ錯体の比率を高くしている。これにより、溶液試料においてハロゲン化錯体による依存性を低減し、ハロゲン化錯体およびアコ錯体による当量点付近での電位飛躍を大きくすることができる。この結果、当量点を正確に検出することができる。
次に、当量点までの滴定量や滴定液における酸化剤の濃度などから、試料溶液に含まれる1価の銅の濃度を求める。
なお、電位差滴定には、例えば公知の電位差自動滴定装置などを用いて行うとよい。その電極としては、例えば銀電極などを用いることができ、具体的には銀指示電極と銀比較電極の組み合わせや銀電極と塩化銀電極の組み合わせを用いるとよい。
一方、試料溶液に含まれる2価の銅の濃度は、従来公知の方法により測定するとよい。例えば、第2の滴定工程として、試料溶液にヨウ素滴定を行い、2価の銅の濃度を定量するとよい。また例えば、試料溶液を臭素酸化することで1価の銅を2価に酸化したうえで、ヨウ素滴定を行い、銅の総濃度を求め、上記で求めた1価の濃度を差し引くことで、2価の銅の濃度を求めてもよい。
<銅の価数分別定量装置>
次に、本発明の一実施形態にかかる銅の価数分別定量装置について説明する。
本実施形態の銅の価数分別定量装置は、例えば、金属の湿式製錬においてインラインで配置され、工程中の溶液に溶存する1価および2価の銅の濃度を連続的または断続的に定量する装置である。本実施形態の装置100は、例えば図1に示すように、採取部10と、希釈部20と、反応槽30と、滴定液添加部40と、検出部50と、測定部60と、を備えて構成される。図1は、本発明の一実施形態にかかる銅の価数分別定量装置の構成概略図である。
採取部10は、中間工程での溶液から一部を試料溶液1として採取するものであり、例えば、試料溶液1を採取するサンプリング配管(図示略)と、採取した試料溶液1を収容する第1容器11と、収容した試料溶液1を反応槽30へ供給する試料溶液供給管12とを備えて構成される。採取部10では、反応槽30へ試料溶液1を一定量供給できるように、例えば供給量を制御するポンプ(図示略)が試料溶液供給管12に設けられる。
希釈部20は、試料溶液1を希釈するための希釈剤2を供給するものである。希釈部20は、例えば、希釈剤2を収容する第2容器21と、希釈剤2を反応槽30へ供給する希釈剤供給管22と、を備えて構成される。希釈部20には、反応槽30へ希釈剤2を一定量供給できるように、例えば供給量を制御するポンプ(図示略)が希釈剤供給管22に設けられる。また、希釈部20では、希釈剤2の溶存酸素を低減するために、希釈剤2に不活性ガスを吹き込む機構、希釈剤2を加熱して溶存酸素を除去する機構を設けることが好ましい。
反応槽30は、試料溶液1を希釈した測定溶液3を収容するものである。本実施形態では、反応槽30は、試料溶液供給管12および希釈剤供給管22が配管されて、反応槽30内で試料溶液1と希釈剤2とを攪拌混合できるように構成されている。また、測定溶液3における銅の価数変動を抑制する観点からは、反応槽30の測定溶液3を収容する空間が不活性雰囲気であることが好ましい。なお、反応槽30には、滴定後の溶液を廃棄するための廃液ポンプ(図示略)が設けられる。
滴定液添加部40は、反応槽30内の測定溶液3に滴定液4を添加するものである。滴定液添加部40は、例えば、滴定液4として、金属塩酸化剤と鉱酸とを含む金属塩酸化剤溶液を収容する第3容器41と、滴定液4を反応槽30へ供給するための滴定液供給管42とを備えて構成される。滴定液添加部40は、例えば供給量を制御するシリンジポンプ(図示略)が設けられて、測定溶液3に所定量の滴定液4を所定の時間の経過ごとに添加するように構成される。
検出部50は、反応槽30内の測定溶液3に浸漬するように設けられ、滴定液4を添加したときの測定溶液3の酸化還元電位を検出するものである。検出部50は、測定溶液3の酸化還元電位を検出できれば特に限定されないが、例えば白金電極と参照電極とを備えて構成される。
測定部60は、測定溶液3に添加された滴定液4の添加量に基づいて、測定溶液3に含まれる1価の銅の濃度を定量するものである。
本実施形態では、滴定液添加部40、検出部50および測定部60は以下のように制御される。まず、滴定液添加部40により測定溶液3に滴定液4を徐々に添加する。このとき、検出部50にて、滴定液4の添加により変化する測定溶液3の酸化還元電位を検出し、滴定液4の添加量にともなう酸化還元電位の変化をモニタリングする。そして、酸化還元電位が急激に変化して電位飛躍が生じたときを反応の等量点とみなし、測定部60にて、当量点での添加量に基づいて、1価の銅の濃度を定量する。
1つの試料溶液1について、1価の銅の濃度を定量したら、測定溶液3は反応槽30から廃棄される。金属の湿式製錬において銅の濃度をモニタリングする観点からは、所定時間の経過ごとに上述した銅濃度の測定を連続または断続して繰り返し行うとよい。
<本実施形態にかかる効果>
本実施形態によれば、ハロゲン又は水分子が配位する1価および2価の銅錯体が溶存する試料溶液に希釈剤を添加して希釈することで、1価のハロゲン化錯体の少なくとも一部を1価のアコ錯体に変換している。これにより得られる測定溶液によれば、金属塩酸化剤溶液を用いた電位差滴定を行ったときに、反応の等量点となったときの電位差が大きく、電位飛躍を確認にしやすい。そのため、電位差滴定の結果から、1価の銅の濃度を精度よく定量することができる。しかも、銅の価数変動を抑制できるので、試料溶液に含まれる2価の銅を別途測定することで、2価の銅の濃度も精度よく定量することができる。したがって、本実施形態の方法によれば、試料溶液に含まれる銅の濃度を、簡易に、価数ごとに分別して定量することができる。
また、本実施形態では、試料溶液に水を添加したときに、ハロゲン化錯体をアコ錯体へと電荷を反転させているため、銅の価数を1価のまま固定させることができる。これにより、銅の価数の変動を抑制することができ、1価の銅の濃度をより正確に定量することができる。
また、本実施形態では、電位差滴定で銅の濃度を定量するため、定量できる濃度範囲が限定されない。そのため、銅を高濃度で含む試料溶液であっても、銅を価数ごとに精度よく定量することができる。
また、本実施形態の銅の定量装置100によれば、試料溶液1に含まれる1価および2価の銅の各濃度を、インラインにて、連続的に、または断続的に定量することができる。そのため、金属の湿式製錬において、工程中の溶液に含まれる銅濃度を管理することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
上述の実施形態の装置では、図1に示すように、試料溶液1および希釈剤2が反応槽30に供給され、反応槽30内で希釈が行われる場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、試料溶液1は反応槽30への供給前に希釈されてもよく、採取部10と反応槽20との間に希釈部20が設けられていてもよい。この場合、採取部10から一定量の試料溶液1を希釈部20へと導入して、希釈剤2を添加して希釈して測定溶液3を調製した後に、測定溶液3を反応槽30へと供給するとよい。
また、上述の実施形態の装置では、図1に示すように、1価の銅の濃度を測定するための反応槽30のみが設けられる場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、銅の定量装置は、1価の銅の濃度を測定するための反応槽を第1の反応槽としたとき、2価の銅の濃度を測定するための第2の反応槽をさらに備えてもよい。この場合、採取部は、第1の反応槽とともに第2の反応槽に試料溶液を供給し、第2の反応槽では、例えばヨウ素滴定を行うことにより、2価の銅の濃度を定量するとよい。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実施例1)
本実施例では、サンプルとして、1価および2価の銅の濃度がそれぞれ既知の試料溶液を準備し、上述した方法により価数ごとの濃度を定量して、その定量精度を評価した。
具体的には、まず、試料溶液として、1価の銅の濃度が20.0g/L、2価の銅の濃度が10.0g/L、溶存する銅の合計濃度が30.0g/LのCuCl溶液を準備した。続いて、この試料溶液に対して純水100mLを添加して希釈することで測定溶液を調製した。ここで、水の添加量は、測定溶液におけるハロゲンイオンの濃度が銅の総濃度の10倍以下となるような量とした。
続いて、この測定溶液に対して、滴定液を用いて電位差滴定を行った。滴定液として、Fe(III)の濃度が1mol/Lである溶液を用いた。電位差滴定の結果、図2に示すように、当量点付近で顕著な電位飛躍が確認された。図2は、実施例1の電位差滴定曲線を示す図であり、横軸は滴定液の滴定量[mL]を、縦軸は電位差[mV]をそれぞれ示す。この酸化還元電位の測定には、白金比較複合電極を用いた。図2に示すように、実施例1では、滴定したときに生じる電位差の微分値が100mVを超える電位飛躍が生じることが確認され、滴下量が17.6mLを超えたときが当量点であることか確認された。
滴定液におけるFe(III)の濃度と、滴定量(17.6mL)とから、測定溶液に含まれる1価の銅の濃度が20.2g/Lであることが確認された。また、測定溶液にヨウ素滴定を行い、2価の銅の濃度を定量したところ、2価の銅の濃度が10.0g/Lであることが確認された。このように、簡便な操作により、銅の濃度を価数ごとに分別して定量できることが確認された。
(比較例1)
比較例1では、試料溶液に水を添加せずに、そのまま電位差滴定を行った以外は、実施例1と同様に電位差滴定を行い銅の濃度を定量した。その結果、比較例1では、図3に示すような電位差滴定曲線が得られた。図3は、比較例1の電位差滴定曲線を示す図であり、横軸は滴定液の滴定量[mL]を、縦軸は電位差[mV]をそれぞれ示す。図3に示すように、比較例1では、電位差滴定を行ったときに生じる電位差の微分値が10mV程度であって、明確な電位飛躍を確認することができず、当量点を正確に検出することができなかった。この結果から、比較例1では実施例1のように1価の銅の濃度を精度よく定量できないことが確認された。
以上説明したように、1価および2価の銅錯体が溶存する試料溶液に水を添加し、1価の銅のハロゲン化錯体の一部をアコ錯体に変換したうえで、電位差滴定を行うことにより、当量点付近での電位飛躍を大きくできるので、当量点を正確に検出して、1価の銅の濃度を精度よく定量することができる。しかも、2価の銅の濃度も定量できるので、銅の濃度を価数ごとに精度よく定量することができる。
1 試料溶液
2 希釈剤
3 測定溶液
4 滴定液
10 採取部
11 第1容器
12 試料溶液供給管
20 希釈部
21 第2容器
30 反応槽
40 滴定液添加部
41 第3容器
50 検出部
60 測定部
100 銅の定量装置

Claims (7)

  1. 溶液に含まれる銅を価数ごとに分別して定量する方法であって、
    配位子としてハロゲン又は水分子が配位する1価および2価の銅錯体が溶存する試料溶液を準備する準備工程と、
    前記試料溶液に水を含む希釈剤を添加し、前記1価の銅錯体に配位する前記配位子を前記ハロゲンから前記水分子に置換することで、前記ハロゲンが配位する1価の銅錯体の一部を前記水分子が配位する1価の銅錯体に変換して、測定溶液を調製する希釈工程と、
    前記測定溶液に対して、金属塩酸化剤と鉱酸とを含む金属塩酸化剤溶液を滴定液として電位差滴定を行う滴定工程と、を有し、
    前記滴定工程では、前記金属酸化剤溶液の添加量に基づいて、前記1価の銅錯体の濃度を定量する、
    銅の価数分別定量方法。
  2. 前記金属塩酸化剤が過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、塩化鉄(III)およびセリウム酸(IV)の少なくとも1つである、
    請求項1に記載の銅の価数分別定量方法。
  3. 前記鉱酸は、塩酸もしくは硫酸である、
    請求項1又は2に記載の銅の価数分別定量方法。
  4. 前記希釈剤は、水または硫酸である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅の価数分別定量方法。
  5. 前記希釈工程では、前記希釈剤の添加量を、前記試料溶液に前記希釈剤を添加したときのハロゲンイオンの濃度が銅の総濃度の10倍以下となるように設定する、
    請求項4に記載の銅の価数分別定量方法。
  6. 前記滴定工程を第1の滴定工程としたときに、前記測定溶液に対してヨウ素滴定を行い、前記2価の銅錯体の濃度を定量する第2の滴定工程をさらに有する、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の銅の価数分別定量方法。
  7. 溶液に含まれる銅を価数ごとに分別して定量する銅の定量装置であって、
    配位子としてハロゲン又は水分子が配位する1価および2価の銅錯体が溶存する試料溶液を採取する採取部と、
    前記試料溶液に水を含む希釈剤を添加して、前記1価の銅錯体に配位する前記配位子を前記ハロゲンから前記水分子に置換することで、前記ハロゲンが配位する1価の銅錯体の一部を、前記水分子が配位する1価の銅錯体に変換して、測定溶液を調製する希釈部と、
    前記測定溶液を収容する反応槽と、
    前記反応槽に収容される前記測定溶液に、金属塩酸化剤と鉱酸とを含む金属塩酸化剤溶液を滴定液として添加する滴定液添加部と、
    前記反応槽に収容される前記測定溶液の酸化還元電位を検出する検出部と、
    前記酸化還元電位が急激に変化したときの前記滴定液の添加量に基づいて、前記1価の銅錯体の濃度を定量する測定部と、を備える、銅の定量装置。
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