JP2020155808A - 圧電デバイス及び周波数ディップ発生温度調整方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この技術によれば、この構造を用いない場合に比べ、周波数ディップの絶対値を抑制できる。
この出願はこのような点に鑑みなされたものであり、従って、この出願の目的は、周波数ディップ発生温度を制御できる新規な構造を有した圧電デバイスと、周波数ディップ発生温度調整方法と、を提供することにある。
前記圧電片の表裏の領域であって、前記表裏の励振用電極の縁から距離Gだけ離れた少なくとも一部領域上に、表裏で電気的に接続されている、導電性膜を具えたこと
を特徴とする。
なお、導電性膜を圧電片の複数個所に設ける場合、ここで言う距離Gとは、各々の導電性膜ごとに同じ場合も、異なる場合もある。すなわち、周波数ディップ発生温度をどの辺りの温度に調整したいかに応じて、同じ距離になる場合もあれば、異なる距離になる場合もある。
前記圧電片の表裏の領域であって、前記表裏の励振用電極の縁から距離Gだけ離れた少なくとも一部領域上に、表裏で電気的に接続されている、導電性膜を設ける共に、
前記導電性膜を設ける際の前記距離Gを調整することによって、周波数ディップ発生温度を調整することを特徴とする。
1−1.圧電デバイスの構造
図1は、第1の実施形態の圧電デバイス10の構造を説明する図である。特に図1(A)は圧電デバイス10の平面図、図1(B)は図1(A)のP−P線に沿った断面図である。なお、図1(A)では、図1(B))に示した蓋部材21の図示を省略してある。
表裏に設けた導電性膜15は、圧電片11の側面を経て互いに電気的に接続してある。導電性膜15は典型的には金属膜であり、より典型的には、第1、第2励振用電極13a、13cと同じ材料の金属膜である。
凹部17aは、圧電片11を収納する形状及び大きさとなっている。接続パッド17bは、圧電片11の1つの辺の両端付近で圧電片11を保持できるように、容器11の凹部11aの所定位置に設けてある。外部端子17cは、容器17の外側底面に設けてある。接続パッド17bと外部端子17cとは、容器17に設けた図示しないビア配線により電気的に接続してある。
圧電片11は、その1つの辺の両端付近でかつ第1、第2引出電極13b、13dの端部の位置で、導電性接着剤19によって、容器17の接続パッド17bに電気的・機械的に接続固定してある。すなわち、圧電片11は、片持ち支持構造で容器17に固定してある。そして、この容器17を蓋部材21によって封止してある。
次に、導電性膜15の効果について、実験結果を参照しながら説明する。
圧電デバイス10では、図示しない発振回路及び第1及び第2励振用電極13a、13cによって、厚みすべり振動が励起される。この振動は、原理的には、圧電片11の励振用電極の領域内に閉じ込められて持続する。しかし、振動の一部が圧電片11の縁まで及ぶことが多く、このような場合に、励振用電極の縁から圧電片11の縁までの距離如何によっては、振動の不要な反射が生じて主振動の弊害になる不要振動が生じる。例えば、圧電片11の表裏に設けた励振用電極の位置が所定位置からずれて、励振用電極の縁から圧電片の縁までの距離が所定距離から変動する等が起きた場合に、不要振動が生じる。具体例としては、励振用電極形成時のメッキ枠の圧電片に対する位置ズレ、又は、圧電片自体の加工バラツキによる外形寸法や形状のバラツキ等によって、励振用電極の縁から圧電片の縁までの距離が所定距離から変動する等が起きて、不要振動は生じる。
図1を用いて説明した圧電デバイス10であって、各部の寸法を以下に説明する寸法とした試作をした。
図1(A)に示したように、圧電片11のX寸法Xs=4mm、圧電片11のZ′寸法Zs=1.85mm、第1及び第2励振用電極13a,13cのX寸法Xe=1.4mm、第1及び第2励振用電極13a,13cのZ′寸法Ze=0.96mm、発振周波数=38.88MHzの圧電デバイスを試作した。なお、励振用電極13a、13cは、圧電片11に対し、圧電片11の先端側に、aだけ具体的には、0.35mmだけ偏芯させた。なお、励振用電極13a、13cと導電性膜15との距離Gについては、G=0.13mm、G=0.21mm、及び、G=0.26mmの3水準とした。なお、3水準の圧電デバイスのサンプル数は、各々10個とした。
図2(A)、(B)、(C)は、横軸に温度をとり、縦軸に周波数ディップをとり、上記の3水準の試作品の周波数ディップをプロットした図である。ただし、図が煩雑になるのを防ぐために、図では、全ての試作品のプロット図は示しておらず、各水準ごとに、数個の試作品の周波数ディップをプロットしてある。
図2、図3、表1から、距離Gと周波数ディップ発生温度との間には、相関があることが分かる。具体的には、距離G=0.13mmの試作品10個の周波数ディップ発生温度の平均値は82.6℃、距離G=0.21mmの試作品10個の周波数ディップ発生温度の平均値は49.2℃、距離G=0.26mmの試作品10個の周波数ディップ発生温度の平均値は30.3℃である。距離Gが小さくなるに従い、周波数ディップ発生温度は高温側に変化することが分かる。このことから、励振用電極13a、13cと導電性膜15との距離Gを変えることによって、周波数ディップ発生温度を調整できることが分かる。
第1の実施形態では、導電性膜15は、励振用電極13a、13cに対し、水晶のZ′軸方向に沿う側に設けていた。従って、上記の場合は、水晶のZ′軸方向を伝搬した波の反射に起因する不要モードの抑制に特に有効である。しかし、圧電デバイスでは、水晶のX軸方向に沿って伝搬する波に起因する不要モードも生じる。従って、導電性膜15を設ける領域は、不要モードに応じて種々に変更できる。以下、いくつかの実施形態を示す。
13a:第1励振用電極、 13b:第1引出電極、
13c:第2励振用電極、 13d:第2引出電極、
15,15a、15b、15c:導電性膜(周波数ディップ発生温度調整用の膜)
17:容器、 17a凹部、
17b:接続パッド、 17c:外部端子、
19:導電性接着剤、 21:蓋部材、
50,60,70,80:他の実施形態の圧電デバイス
Claims (11)
- 圧電片と、前記圧電片の表裏に設けた励振用電極と、を備える圧電デバイスにおいて、
前記圧電片の表裏の領域であって、前記表裏の励振用電極の縁から距離Gだけ離れた少なくとも一部領域上に、表裏で電気的に接続されている、導電性膜を具えたこと
を特徴とする圧電デバイス。 - 前記圧電片は、平面視四角形状のものであり、
前記表裏に設けた励振用電極は、平面視四角形状のものであり、
前記導電性膜は、前記四角形状の圧電片の4辺の少なくとも1つの辺に沿って設けてあること
を特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。 - 前記導電性膜は、前記四角形状の圧電片の4辺の少なくとも対向する1対の辺に沿って設けてあること
を特徴とする請求項2に記載の圧電デバイス。 - 前記表裏に設けられた導電性膜は、前記圧電片の側面を介して表裏で電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載に圧電デバイス。
- 前記圧電片は、平面視長方形状のものであり、
前記導電性膜は、前記長方形状の圧電片の少なくとも2つの短辺側に各々設けてあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電デバイス。 - 前記導電性膜は、前記励振用電極と同じ材料から成る金属膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
- 前記励振用電極及び導電性膜は、一体に形成されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
- 前記圧電片は、ATカット水晶片であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
- 圧電片と、前記圧電片の表裏に設けた励振用電極と、を備える圧電デバイスでの周波数ディップ発生温度を調整する方法において、
前記圧電片の表裏の領域であって、前記表裏の励振用電極の縁から距離Gだけ離れた少なくとも一部領域上に、表裏で電気的に接続されている、導電性膜を設け、
前記導電性膜を設ける際の前記距離Gを調整することによって、周波数ディップ発生温度を調整することを特徴とする周波数ディップ発生温度調整方法。 - 前記圧電片が平面視四角形状のATカット水晶片であることを特徴とする請求項9に記載の周波数ディップ発生温度調整方法。
- 前記励振用電極及び導電性膜を一体に形成することを特徴とする請求項9又は10に記載の周波数ディップ発生温度調整方法。
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