JP2020153708A - 電子装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の実施形態が解決しようとする課題は、対象の物体までの距離における測定の精度を向上させることができる電子装置および方法を提供することである。【解決手段】上記課題を解決するために、実施形態の電子装置は、第1パルス光および第2パルス光を出射する光源と、光を受光し、受光した光の強度を示す電気信号を出力する受光部と、この電気信号に基づいて、この第1パルス光の出射から、この第1パルス光の物体による第1反射光が受光されるまでの第1時間を計測する計測部と、この第1時間に基づいて、この第2パルス光のこの物体による第2反射光を、受光する時間範囲を決定する処理部を備える。この計測部は、この電気信号およびこの時間範囲に基づき、この第2パルス光の出射から、この第2反射光の受光までの第2時間を計測する。この処理部は、この第2時間に基づいて、この電子装置からこの物体までの距離を算出する。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、距離を測定する電子装置および方法に関する。
光を出射してから、物体が反射した反射光を受光するまでの時間を用いて、この物体までの距離を測定する電子装置が開発されている。距離を測定する対象の物体の反射率や環境光の影響を抑え、距離測定の精度を向上させることができる電子装置が望まれる。
国際公開第2017/037968号
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、対象の物体までの距離における測定の精度を向上させることができる電子装置および方法を提供することである。
上記課題を解決するために、実施形態の電子装置は、第1パルス光および第2パルス光を出射する光源と、光を受光し、受光した光の強度を示す電気信号を出力する受光部と、この電気信号に基づいて、この第1パルス光が出射されてから、この第1パルス光が物体により反射された第1反射光がこの受光部に受光されるまでの第1時間を計測する計測部と、この第1時間に基づいて、この第2パルス光がこの物体により反射された第2反射光を、この受光部が受光する時間範囲を決定する処理部を備える。この計測部は、この電気信号およびこの時間範囲に基づいて、この第2パルス光が出射されてから、この第2反射光がこの受光部に受光されるまでの第2時間を計測する。この処理部は、この第2時間に基づいて、この電子装置からこの物体までの距離を算出する。
第1の実施形態における電子装置100の構成を含んだ距離測定システム図。 光源101の動作状況および受光部102が出力する信号の強度を説明するための図。 第1の実施形態における電子装置100の動作のフローチャート。 反射光と判定するためのしきい値を説明する図。 反射光と判定するためのしきい値とToFの精度の関係を説明するための図。 環境光の強度に基づくしきい値の決定を説明するための図。 第1計測範囲中に行うToFの計測を説明するための図。 電子装置100による第2パルス光におけるパルス幅の変更を説明するための図。 第1の実施形態に適用可能な電子装置150の構成を含んだ距離測定システム図。 電子装置150による第2パルス光におけるパルス幅の変更を説明するための図。 第1測定範囲内の最大値を用いた第2測定範囲の時間長の決定を説明するための図。 第1の実施形態に適用可能な電子装置160の構成を含んだ距離測定システム図。 クロックを用いたToFの計測における電子装置100の動作を説明するための図。 修正第2計測範囲によって決定されるToFの計測のしきい値を説明するための図。 図14よりも広い修正第2計測範囲によって決定されるToFの計測のしきい値を説明するための図。 二次元における物体の配置を説明するための図。 二次元における物体の配置図を説明するための図。 三次元における物体の配置を説明するための図。 三次元における物体の配置図を説明するための図。 電子装置100を含んだ移動体500の構成図。 ToFを基にした算出距離とToFを基にした算出距離を比較するための図。 ToFを基にした算出距離の標準偏差とToFを基にした算出距離の標準偏差を比較するための図。
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における距離測定システムを表している。この距離測定システムにおいて電子装置100は、物体200との間の距離を測定する電子装置である。
電子装置100は光源101と受光部102とを備える。光源101は物体200に対して時間幅を有する電磁波を出射する。この時間幅を以降パルス幅と称し、この電磁波を以降パルス光と称する。このパルス光は、物体200において反射し、反射したパルス光の一部(以降、反射光とも称する)が受光部102で受光される。電子装置100は、このパルス光を出射してから反射光を受光するまでの時間(Time of Flight:以降ToFとも称する)を計測する。
電子装置100は、このToFをもとに、以下に示す式(1)によって電子装置100と物体200の間の距離dを算出する。

ここで、cは光速(約3×10m/s)を表す。
この距離dの精度を向上させるには、ToFの精度を向上させる必要がある。しかし、図1が表すように、電子装置100は反射光以外の光も受光する。例えば、電子装置100以外の機器によって発された光(照明やランプの点灯)や太陽光に由来する光などである。以降、この反射光以外の光を、環境光と称する。
ToFの精度を向上させるために、この環境光の影響を軽減する必要がある。本実施形態の電子装置100は、物体200に対してパルス光を出射し、物体200からの反射光を検知するまでの時間であるToFをまず一度計測する。電子装置100は計測したToFに基づいて、2回目のToFを計測する時間範囲(以降、計測範囲と称する)および反射光と判定するしきい値を決定する。
その後に物体200に対して再びパルス光を出射し、もう一度ToFを計測する。電子装置100は、再計測したToFをもとに距離dを算出する。このようにすることで、電子装置100は環境光の影響を軽減して反射光を判定し、ToFの精度を向上させることができる。すなわち、電子装置100は距離dを精度よく算出することができる。
電子装置100は、光源101、受光部102の他に、計測部103、出力部104、制御部111、算出部112を備える。なお、制御部111および算出部112は、処理部110に含まれている。
光源101は、制御部111から指令を受け、物体200に対してパルス光を出射する装置である。例えば、光源101は、レーザーダイオードなどのレーザー光源と、パルスを生成する回路を組み合わせたものでよい。また、光源101は、LED(Light Emitting Diode)や各種のランプと、パルスを生成する回路と組み合わせたものでもよい。
また、光源101が出射するパルス光について、周波数帯域の限定はない。パルス光は例えば可視光でもよいし、赤外線、近赤外線、紫外線でもよいし、これらの組み合わせでもよい。本実施形態におけるパルス光は一例として、可視光成分を含んでいるものとする。
また、光源101が出射するパルス光について、形状の限定はない。矩形状であってもよいし、三角形状であってもよいし、sinc関数状であってもよいし、ガウス曲線状であってもよい。
光源101が制御部111から受ける指令としては、出射するパルス光のパルス幅(例えば10nsなど)や形状、パルス光を出射する開始時刻および方角などが挙げられる。
光源101が出射したパルス光は、物体200によって反射され、反射光となって受光部102に入射する。この反射光は物体200におけるパルス光の拡散反射光および鏡面反射光のいずれかであってもよいし、組み合わせであってもよい。
受光部102は、光を受光し、受光した光の強度を示す信号を出力する。この信号は計測部103に送られ、ToFの計測に使われる。この受光部102は、光(電磁波をも含む)を検出することができれば装置の種類は任意である。例えば、フォトダイオード、光電子増倍管などである。フォトダイオードとして、光の検出感度が高いアバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode:APD)を用いてもよい。このAPDはガイガーモードで用いられてもよい。このガイガーモードのAPDのアレイとして、MPPC(Multi Pixel Photon Counter)を用いてもよい。また、光電子増倍管として、シリコン光電子増倍管(SiPM)を用いてもよい。本実施形態では一例として、APDをガイガーモードで用いているものとする。このAPDは、受光した光の光子数に基づいて、光の強度を表す信号を出力する。
受光部102は光を受光し、受光した光の強度を示す信号を出力するものであって、検出する光を区別しない。すなわち、受光部102は、反射光および環境光を区別しない。
なお、反射光とはパルス光が物体200によって反射された光であり、環境光とは光源101が出力しない光源(例えば太陽、別のデバイスの光源など)が受光部に入射した光である。
計測部103は、光源101よりパルス光が出射されてから、反射光が受光部102に受光されるまでの時間(ToF)を計測する。計測部103は、制御部111からToF計測の開始、計測範囲、反射光と判定する信号の強度(光の強度)、計測したToFの送信先などの指令を受ける。計測部103はこれらの指令および受光部102から送られる信号に基づいて、ToFを計測する。ToFは、制御部111に送られ、光源101や計測部103への指令に使われる。また、ToFは制御部111から算出部112にも送られ、電子装置100と物体200の間における距離の算出に使われる。
なお、計測部103はあらかじめ電子装置100の構成要素間における伝送にかかる時間を計測し、計測したToFを修正するようにしてもよい。この修正したToFも、光源101よりパルス光が出射されてから、反射光が受光部102に受光されるまでの時間に含まれる。
計測部103は、制御部111からの指令および受光部102から送られる信号の強度に基づいて時間を計測することができれば、装置の種類は任意である。例えば、時間/ディジタル変換器(Time to Digital Converter:TDC)やクロック回路などである。
また計測部103は、制御部111から指令されたToF計測の開始時刻、計測範囲を設定する任意の装置を備える。計測部103はこの装置をトリガーとして、時間計測の開始時刻や終了時刻を認識することができる。例えば、計測部103は、ディジタル/時間変換器(Digital to Time Converter:DTC)を備える。
制御部111は、光源101および計測部103に指令を送る。光源101に対する指令は、出射するパルス光のパルス幅(例えば10nsなど)や形状、パルス光の出射を開始する時刻および方角などである。計測部103に対する指令は、物体からの反射光を受光するまでの(計測を開始する時刻から終了する時刻までの)計測範囲、反射光と判定する信号のしきい値(光の強度)などである。制御部111が光源101および計測部103に送る指令において、パルス光の出射を開始する時刻および時間計測を開始する時刻は一致する。なお、この一致とは、ToFの算出に影響を及ぼさない程度の時間のずれを含む。また、この一致とは、それぞれの指令を送る経路に遅延等が存在する場合、その遅延を考慮した時間のずれも含む。
また、制御部111は、計測部103から送られたToFを算出部112に送る。このToFは、距離dの算出に使われる。
制御部111は、計測部103から送られたToFから、光源101および計測部103に対する指令の内容を決定してもよい。
算出部112は、制御部111から送られたToFおよび前述の式(1)に基づいて、電子装置100および物体200の間の距離dを算出する。この距離dは出力部104に送られる。距離dの出力部104への伝達は制御部111の指令に基づいて行われてもよい。
出力部104は、算出部112から送られた距離dを出力する。出力先として、距離dに基づいて動作する装置およびシステム、表示部を有する電子装置、距離dを保持する記憶装置(いずれも図示しない)など、限定されない。
この記憶装置は、メモリ等であり、例えば、RAM(Random Acess Memory)、ROM(Read Only Memory)、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、フラッシュメモリ、レジスタなどである。また、この記憶装置はインターネットを介したクラウドサーバであってもよい。
なお、これらの装置およびシステムは、電子装置100内部にあっても、外部にあってもよい。また、距離dを示す情報の様式も、データとして使用可能なフォーマット、テキスト、2次元および3次元図など限定されない。また、出力の様式も、有線でもよいし無線でもよい。
制御部111、算出部112が含まれる処理部110は、ハードウェアの制御装置と演算装置を含む電子回路(プロセッサ)である。プロセッサの例としては、汎用目的プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、およびその組み合わせが可能である。また、計測部103の機能を処理部110で実現するようにしてもよい。
以上に電子装置100の構成要素を説明した。この構成要素間における接続は有線であってもよいし、無線であってもよい。また、電子装置100はIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路で実装される。1チップ上にまとめて実装されてもよいし、一部の構成要素が別のチップ上に実装されてもよい。
この電子装置100は距離dの算出にあたり、光源101よりパルス光が出射されてから、反射光が受光部102に受光されるまでの時間であるToFの計測を2回行う装置である。2回目のToFの計測では1回目よりもその精度を高めた計測を行う。本実施形態における電子装置100の距離dの算出における動作を、図2および図3を用いて説明する。
図2は、時刻ごとの光源101の動作状況および受光部102が出力する信号の強度を表している。受光部102が出力する信号の強度は、受光部102が受光した光の強度を表している。図3は電子装置100の距離dの算出における動作のフローチャートである。以下、動作のフローチャートを参照しながら図2および電子装置100の動作を説明する。
なお、1回目の計測におけるToFをToF、2回目の計測におけるToFをToFとも称する。また、本実施形態において、受光部102は以下に説明する動作のフローチャートに関わらず光を受光する。受光部102は受光した光の強度に対応する強度で、信号を計測部103に送っている。計測部103は、時間の計測にTDCを用いているものとする。
まず、1回目の計測におけるToFであるToFの計測における電子装置100の動作を、ステップS101からステップS104を用いて説明する。電子装置100はあらかじめ定めた、パルス光、反射光と判定する信号の強度(しきい値)、および時間の計測範囲を用いてToFを計測する。
以降、ToFの計測におけるパルス光を第1パルス光、ToFの計測における時間の計測範囲を第1計測範囲とも称する。また、第1パルス光における反射光を第1反射光とも称する。
制御部111はToFの計測に関する指令を決定し、光源101や計測部103に送る(ステップS101)。この指令には、第1パルス光の内容および第1計測範囲などが含まれる。
具体的には、制御部111は、光源101が出射するパルス光のパルス幅や形状、パルス光を出射する開始時刻および方角を指令する。本実施形態では一例として、制御部111は光源101に対してパルス幅PWで矩形状の第1パルス光を、物体200が存在する方角に向けて開始時刻tc1で出射するように指令する。
制御部111は、計測部103が時間計測を開始する時刻を指令する。この時刻は、光源101が出射する時刻tc1である。
また、制御部111は、計測部103に対して受光部102から送られる信号の強度のしきい値Stcを指令する。このしきい値Stcは、受光部102によって受光された環境光よりも高くなる可能性が高く、受光部102によって受光された反射光よりも低い可能性が高い値に設定される。このしきい値Stcにより、計測部103は環境光と反射光を区別して推定することができる。本実施形態では一例として、しきい値Stcは制御部111によって所定の値が設定されている。
また、制御部111は第1計測範囲を計測部103に送る。図2には、第1計測範囲の時間長は時刻tc1から時刻tc2までのτであると表されている。本実施形態では一例として、この第1計測範囲の時間長τは、制御部111によって所定の値に定められている。時刻tc1および時刻tc2を含むこの第1計測範囲は計測部103に備えられるDTCに設定される。
次に、光源101は第1パルス光を出射する(ステップS102)。図2では、光源101は時刻tc1にパルス幅PWの第1パルス光を出射することが表されている。光源101の出射と同じ時刻において、計測部103はDTCによって時間計測を開始する時刻であると認識し、時間計測を開始する。
光源101から出射された第1パルス光は、距離の計測対象である物体200で少なくとも一部反射され、第1反射光となって受光部102に受光される。
次に、計測部103はToFの計測を行う(ステップS103)。上記に説明したように、計測部103は時刻tc1に時間計測を開始している。計測部103は、時刻tc1から第1計測範囲以内で最初に受光部102から送られる信号の強度が、しきい値Stc以上となる時刻までを計測し、ToFとする。図2では、受光部102から送られる信号の強度が第1計測範囲内において最初にしきい値Stc以上となる時刻はttcと表されている。
すなわち、本実施形態におけるToFは開始時刻tc1から終了時刻ttc(反射光を受光した時刻)までの時間である。計測部103は、計測したToFを制御部111に送る。一方、計測部103が第1計測範囲内にしきい値以上となった信号を受け取らなかった場合、第1計測範囲外にしきい値以上となった信号があってもToFとして計測しない。
時刻tc2になると、計測部103はDTCによって時間計測を終了する時刻であると認識し、時間計測を終了する。制御部111は計測部103からToFが送られたかを確認し、ToFの計測が完了したか否かを確認する(ステップS104)。制御部111が計測部103からToFを確認できなかった場合(ステップS104:No)、ステップS101に戻り、ToFの計測をやり直す。
一方、制御部111がToFを確認できた場合(ステップS104:Yes)、ToFの計測を終了する。
続いて、2回目のToFの計測における電子装置100の動作を、ステップS105からステップS109を用いて説明する。電子装置100は、パルス光、反射光と判定する信号の強度(しきい値)、および時間の計測範囲の少なくとも一部を、計測したToFに基づいて決定する。電子装置100はこれらを用いて、ToFを計測する。
以降、ToFの計測におけるパルス光を第2パルス光、ToFの計測における時間の計測範囲を第2計測範囲とも称する。また、第2パルス光における反射光を第2反射光とも称する。
制御部111は、ToFの計測(2回目の計測)における指令を決定し(ステップS105)、各指令を光源101や計測部103に送る(ステップS106)。この指令には、光源101が出射する第2パルス光の出射時刻やパルス幅、形状などのパルス光に関する内容が含まれる。またこの指令には、ToFの計測における計測範囲(以降、第2計測範囲とも称する)や第2反射光の判定におけるしきい値が含まれる。
具体的には、制御部111は光源101に対してパルス幅PWで矩形状の第2パルス光を、ToFの計測時と同じく物体200の方角に向けて、時刻tf1で出射するように指令する。図2では、パルス幅PWおよびパルス幅PWは同じ幅で表されているが、異なる幅であってもよい。制御部111は、第2パルス光を出射させる方角について、電子装置100が動いている場合は、時刻tc1と時刻tf1の間に動いた距離を算出し、方角を修正するようにしてもよい。
制御部111は、計測部103が時間計測を開始する時刻を指令する。この時刻は、光源101が第2パルス光を出射する時刻tf1である。この時刻tf1は計測部103に備えられるDTCに設定される。
また、制御部111は計測部103に第2計測範囲の指令を送る。計測部103は、第2計測範囲内にしきい値以上となった信号を受け取った場合、計測開始からこの信号を受け取るまでの時間をToFとする。ToFの計測におけるしきい値については後述する。一方、計測部103が第2計測範囲内にしきい値以上となった信号を受け取らなかった場合、第2計測範囲外にしきい値以上となった信号があってもToFとして計測しない。時刻tfAinおよび時刻tf2を含むこの第2計測範囲は計測部103に備えられるDTCに設定される。
第2計測範囲の決定についてはToFの計測の場合と異なる。まず、制御部111は第2計測範囲の時間長τを設定する。このτは一例として、事前に決定された特定の値であるとする。
次に、制御部111は、計測部103が時間計測を開始する時刻であるtf1からToFだけ後の時刻tf2を第2計測範囲の終了時刻とする。制御部111は、時刻tf2からτだけ前の時刻tfAinを第2計測範囲の開始時刻とする。すなわち制御部111は、計測部103に時刻tfAinから時刻tf2までの時間長τを第2計測範囲として指令を送る。
ここで、時間長τはToFより短く設定される。その理由を以下に説明する。制御部111はToFから、ToFのおおよその値を推定することができるため、第2計測範囲をToFよりも狭く設定する。制御部111が第2計測範囲を狭く設定することにより、受光部102が強度の高い環境光を受光する確率を低減する。強度の高い環境光を受光する確率の低減は、ToFの精度の向上につながる。第2計測範囲は、ToFだけでなく第1計測範囲よりも短くするようにしてもよい。
制御部111はToFの計測とは異なり、この時点ではToFの計測における、受光部102から送られる信号の強度のしきい値(以降、しきい値Stfと称する)を決定しない。このしきい値Stfの決定については後述する。ステップS108において、第2計測範囲における環境光の強度に基づいてしきい値Stfを決定する。
次に、光源101は第2パルス光を出射する(ステップS106)。図2では、光源101は時刻tf1にパルス幅PWの第2パルス光を出射することが表されている。光源101の出射と同じ時刻において、計測部103はDTCによって時間計測を開始する時刻であると認識し、時間計測を開始する。
光源101から出射された第2パルス光は、ToFの計測の場合と同様に、距離の計測対象である物体200で少なくとも一部反射され、第2反射光となって受光部102に受光される。
次に、計測部103は第2計測範囲における環境光の強度を取得し、制御部111はしきい値Stfを決定する(ステップS108)。例えば、計測部103はDTCによって第2計測範囲における始端の時刻であると認識し、第2計測範囲の開始時刻であるtfAinにおける光の強度を表す強度Ainを測定する。制御部111は強度Ainを環境光の強度と推定し、さらにaを加えてしきい値Stfを決定する。制御部111は、決定したしきい値Stfを計測部103に送る。
このaは、しきい値Stfを推定した環境光の強度Ainより高く決定するための値である。本実施形態では一例として、事前に定められた特定の値であるとする。
次に、計測部103はToFの計測を行う(ステップS108)。ToFの計測における説明と同様に、計測部103は時刻tf1から第2計測範囲以内で最初に受光部102から送られる信号の強度が、しきい値Stf以上となる時刻までを計測し、ToFとする。図2では、受光部102から送られる信号の強度が第1計測範囲内において最初にしきい値Stf以上となる時刻はttfと表されている。すなわち、本実施形態におけるToFは時刻tf1から時刻ttfまでの時間である。計測部103は、計測したToFを制御部111に送る。
時刻tf2になると、計測部103はDTCによって時間計測を終了する時刻であると認識し、時間計測を終了する。制御部111は計測部103からToFが送られたかを確認し、ToFの計測が完了したか否かを確認する(ステップS109)。制御部111が計測部103からToFを確認できなかった場合(ステップS109:No)、ステップS105に戻り、ToFの計測をやり直す。制御部111がToFを確認できた場合(ステップS109:Yes)、ToFを算出部112に送り、ToFの計測を終了する。
続いて、電子装置100と物体200の間の距離dを算出する電子装置100の動作を、ステップS110からステップS111を用いて説明する。電子装置100は、計測したToFに基づいて距離dを算出する。電子装置100は算出した距離dを含む情報を出力する。
算出部112は、制御部111から送られたToFおよび式(1)に基づいて、距離dを算出する(ステップS110)。算出した距離dは、距離dを含む情報として出力部104に送られる。
次に、出力部104は、算出部112から送られた距離dを含む情報を出力する(ステップS111)。出力先および出力の様式は、上に説明したように限定されない。
次に、制御部111は、電子装置100の動作を終了させる終了指令が届いているか否かを確認する(ステップS112)。この終了指令は、電子装置100の動作を本フローで終了させる指令である。この終了指令は、ユーザによる電子装置100への入力や、終了指令を含んだ信号を電子装置100が取得するなどして制御部111に伝えられる。この終了指令は、直ちに電子装置100の動作を終了させる指令であってもよい。
制御部111にこの終了指令が届いていない場合(ステップS112:No)、ステップS101に戻る。一方、制御部111にこの終了指令が届いている場合(ステップS112:Yes)、フローは終了し、電子装置100は動作を終了する。
以上に本実施形態における電子装置100の動作を説明した。以下に、しきい値Stc、しきい値Stfについて図4および図5を用いて説明する。
まず、しきい値Stcについて、図4を用いて説明する。図4には、しきい値としてStcが設定された場合と、しきい値としてStclが設定された場合におけるToFとして、ToFとToFclが表されている。しきい値Stclは、しきい値Stcよりも低い。しきい値が低くなると、反射光ではなく環境光の強度でしきい値以上となってしまう可能性が高まる。
図4では、時刻ttclにおいてしきい値Stcl以上となる。時刻ttclにおいて、光源101は第1パルス光を出射している期間中であるので、第1反射光である可能性は低い。すなわち、計測部103は環境光を第1反射光として検出し、誤ったToFであるToFclを計測している。しきい値StcにおけるToFであるToFと比較すると、ToFの誤差ToFerrorが大きい。
以上説明したように、環境光と第1反射光を誤って検出することにより、ToFの精度が低下する。したがって、しきい値は環境光の強度より高く、反射光の強度より低くなる可能性が高い値に定められる。
なお、制御部111は、しきい値Stcを設定する上で、所定の値の他に推定した環境光の強度に基づいて設定するようにしてもよい。
次に、しきい値Stfの決定において、環境光の強度に基づく理由を、図5を用いて説明する。一般的に、ToFの計測において、受光部102が出力する信号の強度は受光する光の強度に依存するため、同じパルス光であっても、環境光の強度や物体200の光の反射率によって出力が変化する。
説明のために、図5は環境光を考慮しない環境における、反射光の強度を表している。パルス光を反射した物体の反射率が高い場合をケースA、この物体の反射率が低い場合をケースBとする。パルス光を出射した時刻を0とし、時刻tを反射光の到来時刻の真値とする。真値とは、この時間tをToFとして式(1)を用いて算出すると電子装置100とこの物体の間の距離が正確に算出される値である。時刻tは2つのケースにおける反射光の強度のピークを迎える時刻である。なお、2つのケースともに出射したパルス光は同様であるとする。
この例において、しきい値St1とSt1より低いSt2を設定し、2つのケースにおけるToFを考える。しきい値St1の場合における2つのケースのToFよりもしきい値St2の場合における2つのケースのToFの方がより真値である時刻tに近い。さらにしきい値St1の場合における2つのケースのToFの差(TW)よりもしきい値St2の場合における2つのケースのToFの差(TW)のほうが小さい。しきい値が低い方が真値に近いToFを計測することができ、さらに、測定対象の物体の反射率の影響も小さい。したがって、ToFの精度を向上させることができる。
一方、受光部102は環境光も受光される。しきい値が環境光の強度以下である場合、反射光を検出することができない。しきい値は、環境光の強度より上回る可能性が高い値に設定する必要がある。
したがって、環境光の強度を推定し、この強度に基づいてしきい値Stfを決定することは、ToFの精度の向上につながる。
なお、制御部111は、事前に設定した所定の値をしきい値Stcとしても、電子装置100は動作が可能である。
以上に本実施形態を説明したが、変形例は様々に実装、実行可能である。例えば本実施形態では、受光部102は受光した光の強度を信号の強度で表している。受光部102は、必ずしも受光した光の強度を信号の強度で表さなくてもよい。受光部102は、受光した光の強度を表す任意の信号を出力することが可能である。
本実施形態では、制御部111は光源101および計測部103への指令を同じステップ(S101、S105)で行っていたが、一部異なっていてもよい。例えば、制御部111は光源101が出射するパルス光についての情報を光源101に対して指令する。制御部111は同じステップで計測部103に対して時間計測を開始する時刻を指令するが、変形例として、しきい値や第1計測範囲などは光源101による第1パルス光出射後であってもよい。制御部111は、計測部103に、光源101による第2パルス光出射後に第2計測範囲を指令するようにしてもよい。
本実施形態ではステップS101およびステップS105において、制御部111が光源101および計測部103に対して指令している。変形例として、さらに電子装置100の他の構成要素への指令および通知を加えてもよいし、説明した指令とは異なる内容で指令してもよいし、説明した指令のうち少なくとも一部の指令をしないようにしてもよい。
制御部111が加える指令および通知の例を以下に示す。制御部111は受光部102に対して光源101が出射するパルス光についての情報を通知するようにしてもよい。パルス光についての情報とは、例えばパルス光のパルス幅、出射時刻、形状、出射方角などである。これは、第1パルス光および第2パルス光のどちらについても適用可能である。
制御部111は計測部103に対して第1計測範囲および第2計測範囲を指令しないようにしてもよい。この場合、計測部103はToFおよびToFを計測し、制御部111に送る。制御部111は、送られたToFが第1計測範囲内か、ToFが第2計測範囲内かを確かめるようにしてもよい。
さらに、変形例として、ToFの計測において、光源101、計測部103は上記に説明した指令の内容をあらかじめ設定していてもよい。これに伴い、制御部111による指令が一部行われなくてもよい。すなわち、光源101は時刻tc1にパルス幅PWで矩形状の第1パルス光を出射するように設定されていてもよい。計測部103にあらかじめ第1計測範囲の時間長およびしきい値Stcを設定しておき、制御部111から計測開始の時刻tc1を受けて第1計測範囲の設定を行うようにしてもよい。
本実施形態では、ステップS101において指令される第1計測範囲の始端は、第1パルス光が出射される時刻であると図2に表されていたが、この場合に限定されない。変形例として、この他にも第1計測範囲の始端は第1パルス光が出射された時刻より前であってもよいし、後であってもよい。
第2計測範囲の始端および終端についても同様である。本実施形態では、ステップS105において指令される第2計測範囲の始端は第1パルス光が出射された時刻よりも後である。変形例として、この他にも第2計測範囲の始端は、第1パルス光が出射された時刻であっても、この時刻より前であってもよい。
また、本実施形態では、ステップS101において指令される第2計測範囲の終端は第1パルス光が出射された時刻からToF後の時刻tf2である。変形例として、この他にも第2計測範囲の終端は時刻tf2よりも前であっても、後であってもよい。
なお、第2計測範囲の時間長τはToFまたは第1計測範囲の時間長τよりも短く設定される。
本実施形態では、ステップS101において指令されるしきい値Stcは特定の値として説明した。変形例として、制御部111は環境光の強度に基づいてしきい値Stcを定めるようにしてもよい。図6を用いて、環境光の強度に基づいてしきい値Stcを定める一例を説明する。
この変形例では制御部111は、ステップS101においては計測部103に対してしきい値を指令しない。制御部111は、ステップS101以前に計測部103に対して環境光計測範囲を指令する。図6には、環境光計測範囲は時刻tc1から時刻tcRまでの時間長τと表されている。この環境光計測範囲の設定は、図6に表された場合に限定されない。この計測範囲のスタート時刻や計測範囲の幅は本実施形態に限定されない。例えば、パルス光を出射する時刻tc1よりも前に任意の環境光計測範囲を設定しても良い。
また、制御部111は計測部103に対して、受光部102が出力する信号のうち、この環境光計測範囲内における最大の強度を制御部111に送るよう指令する。計測部103が制御部111に対して送る信号の強度は、環境光計測範囲内における最大の強度に限定されない。例えば計測部103は環境光計測範囲内における信号の強度を制御部111に対して送るようにしてもよい。また、計測部103はこの環境光計測範囲内における信号の強度の平均値や中央値や最大値に基づいた値を制御部111に対して送るようにしてもよい。
図6の説明に戻ると、計測部103は、環境光計測範囲内における最大の信号の強度Aを環境光の強度と推定し、制御部111に送る。制御部111はこの強度Aに基づいて、しきい値Stcを決定する。例えば、制御部111は式(2)を用いてしきい値Stcを決定する。
式(2)において、αは任意の係数を表す。なお、この式(2)は、最大値である強度A以外に、環境光計測範囲内における信号の強度の平均値や中央値や最大値に基づいた値に対しても適用可能であるし、統計処理を行った値に基づいていてもよい。
計測部103が環境光計測範囲内における信号の強度を制御部111に対して送った場合、制御部111は、例えば式(3)を用いてしきい値Stcを決定するようにしてもよい。
式(3)において、Aaveは環境光計測範囲内における信号の強度の平均値を表し、βは任意の係数を表し、Vは環境光計測範囲内における信号の強度の変化を表す数値であり、例えば分散値や、環境計測範囲内における信号の強度とAaveとの差分の絶対値を平均化した値などが挙げられる。なお、この式(3)は、平均値である強度Aave以外に、環境光計測範囲内における信号の強度の平均値や中央値や最大値に基づいた値に対しても適用可能であるし、統計処理を行った値に基づいていてもよい。
制御部111は、決定したしきい値Stcを計測部103に送る。以降ToFの計測は、本実施形態で説明したように行われる。
なお、このしきい値の決定方法は、ToFの計測におけるしきい値Stfの決定にも適用可能である。
本実施形態では、計測部103はステップS103において、制御部111より指令を受けた時刻から、計測範囲内で信号の強度が最初にしきい値以上となった時刻までの時間をToFとして計測している。
変形例として、計測部103は、計測範囲内で信号の強度が最初にしきい値以上となった時刻を、反射光を受光した時刻として取得するだけでもよい。計測部103はこの時刻を制御部111に送信し、制御部111でこの時刻と時間計測を開始した時刻との差分を取ってToFとしてもよい。この場合でも、計測部103におけるToFの計測に含まれるものとする。
本実施形態では一例として、ステップS105で指令される第2計測範囲の時間長τを事前に決定した特定の値としていたが、この時間長τの決定の方法は様々に考えられる。
変形例として、制御部111はToFに基づいて時間長τを算出させてもよい。この制御部111によるτの算出は、式によってもよいしToFの値ごとに定めされたルックアップテーブルを参照して算出するようにしてもよい。また、受光部102には、出力する信号の強度の傾き(以降、反応性とも称する)に上限が存在する。この反応性を事前に計測しておき、τが制御部111に設定されるようにしてもよい。この反応性の計測は、実験であってもシミュレーションであってもよい。
本実施形態では、ステップS107で指令されるしきい値Stfの決定において、第2計測範囲の始端における環境光の強度Ainを使っていた。この環境光の強度の取得方法については第2計測範囲の始端における環境光の強度に限定されず、任意である。変形例として、例えば時刻tfAinから、前の所定の時間帯における環境光の強度の最大値であってもよい。また、この最大値の時刻から時刻tfAinまでの時間帯における環境光の強度の平均値を利用してもよい。
本実施形態では、ステップS107で指令されるしきい値Stfの決定に使われるaを、特定の値としていた。このaの定め方については様々に考えられる。変形例として、あらかじめ特定の光の強度に対して受光部102が出力する信号の強度を計測しておき、aをその測定値に基づいて定めてもよい。また、光の強度の特定の増加分に対して受光部102が出力する信号の強度の増加分を計測しておき、aをその測定値に基づいて定めてもよい。光の強度として、光子量や照度、輝度など任意の指標を用いることができる。
本実施形態では、制御部111はステップS109でToFが確認できない場合、ToFの計測をやり直していた。変形例として、制御部111はToFが確認できない場合、算出部112に対してToFを送るようにしてもよい。算出部112は、このToFに基づいて、距離dを算出するようにしてもよい。
本実施形態では、算出部112はステップS110においてToFに基づいて距離dを算出していた。変形例として、算出部112はToFにも基づいて距離dを算出するようにしてもよい。例えば、ToFおよびToFの平均値に基づいて距離dを算出するようにしてもよい。
本実施形態では、出力部104はステップS111において距離dを含む情報を出力していた。変形例として、出力部104はToFおよびToFのうち、少なくとも一方の時間情報を出力するようにしてもよい。出力部104はこの時間情報を算出部112以外にも計測部103、制御部111から受け取るようにしてもよい。出力部104は、距離dを含む情報およびこの時間情報を組み合わせて出力するようにしてもよい。
一部の構成要素の変形例として、電子装置100は記憶部を備えるようにしてもよい。この記憶部には、本実施形態で説明した動作を行うための情報を保持し、電子装置100の構成要素はこの記憶部から必要な情報を取得するようにしてもよい。
なお、この記憶部はメモリ等であり、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、フラッシュメモリ、レジスタなどである。
また、この記憶部は電子装置100の内部に設けられてもよいし、外部に設けられるようにしてもよい。外部に設けられる場合、この記憶部はインターネットを経由して情報を保持するクラウドでもよい。
また、本実施形態における、処理部110で行われる動作は、プログラムを処理することにより実現するようにしてもよい。例えば、このプログラムを組み込んだ汎用コンピュータに、処理部110における動作を行わせるようにしてもよい。
このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、メモリカード、CD−RおよびDVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由で提供されるようにしてもよいし、ROM、HDD、SSDなどの記憶媒体に組み込んで提供されるようにしてもよい。
以上に、一部の構成要素やステップにおける変形例を説明した。以下に、図を用いて説明する変形例について述べる。
本実施形態では、図2に表されるように制御部111は計測部103に指令した第1計測範囲が終了してから、ToFの計測の指令を行っていた。変形例として制御部111は、計測部103がToFの計測を完了している場合、第1計測範囲内であってもToFの計測の指令を行うようにしてもよい。
制御部111が第1計測範囲内であってもToFの計測の指令を行う場合を、図7を用いて説明する。なお、ToFの計測までは本実施形態における説明と同様(ステップS101〜ステップS104)であるので、説明を省略する。
この場合において、電子装置100の動作に変更はない。制御部111は計測部103から送られたToFからToFの計測における指令を決定し、光源101および計測部103に送る。この指令には、第2パルス光の内容および第2計測範囲が含まれる(ステップS105)。
この指令により、第1計測範囲内であっても光源101は第2パルス光を出射することが可能であり、計測部103は第2パルス光の出射と同時にToFの計測における時間計測を開始することが可能である(ステップS106)。なお、第2計測範囲開始時における環境光の強度Ainが本実施形態で説明した図2の場合よりも高い。これはToFの計測において受光部102が受光した第1反射光の影響が残っているためである。制御部111はこの強度Ainに基づいて、しきい値Stfを決定する(ステップS107)。
したがって、電子装置100は、ToFの計測を完了している場合、第1計測範囲内であってもToFの計測を行うようにしてもよい。電子装置100におけるToFの計測以降の動作(ステップS108〜ステップS112)は本実施形態と同様であるので、説明を省略する。
本実施形態では、第1パルス光のパルス幅PWと、第2パルス光のパルス幅PWは同じであった。以降、第1パルス光のパルス幅を第1パルス幅、第2パルス光のパルス幅を第2パルス幅とも称する。変形例として制御部111は、光源101に対して第1パルス幅PWと異なる第2パルス幅PWf2を指令してもよい。
一例として、制御部111が光源101に対して第1パルス幅より短い第2パルス幅を指令する場合を、図8を用いて説明する。なお、電子装置100の動作は、制御部111が行うパルス幅の変更を除いては同様であるので、説明を省略する。
制御部111は、ステップS105において光源101に対して第2パルス幅がPWf2である第2パルス光を出射するように光源101に対して指令する。第2パルス幅PWf2は、第1パルス幅PWよりも短い。光源101が第2パルス幅PWf2のパルス光を出射することにより、出射時間が短くなる。出射時間が短くなることで反射光のエネルギーが小さくなり、受光部102の出力が小さくなる。しかし、しきい値Stfの設定において、aを小さく設定可能であるため、エネルギーが小さくなった反射光であっても、しきい値Stfを上回る可能性が高い。すなわち、計測部103は本実施形態と同様に反射光を判定することが可能である。
第2パルス幅を短くすることは、光源101から出す光の電力を抑えたToFの計測につながる。光源から出す光の平均電力はアイセーフの関係などから上限が決まっている。1回の距離測定における光の電力を抑えることができると距離測定の回数を増やすことができ、距離測定の精度の向上につながる。
さらなる変形例として、このようなToFの計測とToFの計測とでパルス幅を変更する場合において、第2パルス幅の決定方法について、図9および図10を用いて説明する。
図9は、ToFの計測とToFの計測とでパルス幅を変更する場合における電子装置150の構成を含んだ距離測定システムを表している。電子装置150は、電子装置100に加えて、処理部120に取得部113を備えている。電子装置150に含まれる構成要素のうち、電子装置100に含まれる構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
取得部113は、計測範囲における信号の強度のうち、最大の強度を取得する。この場合では、第1計測範囲における信号の強度のうち、最大の強度を取得する。取得部113は第2計測範囲においても、同様に最大の強度を取得するようにしてもよい。計測範囲は制御部111から送られ、受光部102が受光した光の強度を表す信号は受光部102から送られる。取得部113が取得したこの最大の強度は、制御部111に送られ第2パルス幅の決定に使われる。
ToFの計測における電子装置150の動作は、本実施形態で説明した電子装置100と類似するため、相違点を中心に説明する。なお、受光部102は、受光した光の強度を表す信号を計測部103に加えて取得部113にも送っている。
制御部111は、ステップS101における指令として、取得部113にも第1計測範囲を通知する。また、制御部111は取得部113に対して、受光部102から送られる信号のうち、第1計測範囲内で最大となる強度を制御部111に送るように指令する。
ToFの計測は本実施形態と同様に行われるため説明を省略する。ステップS104のToFの計測において、取得部113は第1計測範囲の後に受光部102から送られる信号のうち、第1計測範囲内で最大となる強度Amaxcを取得する。取得部113は、取得した強度Amaxcを制御部111に送る。また、変形例として、強度Amaxcの代わりに強度Amaxcと強度の平均値Aaveの差分を制御部111に送っても良い。
制御部111は、この強度Amaxcに基づいて、ステップS105において第2パルス幅PWf2を決定する。例えば、制御部111は式(4)から第2パルス幅PWf2を決定するようにしてもよい。
ここで、Amaxftは、ToFの計測において、第2計測範囲内で最大となる強度Amaxfの理論値である。Amaxftの定め方は任意であるが、ToFの計測において必要となる強度である。例えば、制御部111はAmaxfを特定の値としてもよいし、しきい値Stcに基づいてAmaxfを定めてもよいし、ToFの計測において環境光の強度を推定した場合はその強度を用いてもよい。
以上のようにして、制御部111は第2パルス幅PWf2を決定することができる。以降のToFの計測については、本実施形態と同様に行われるため、説明を省略する。なお、取得部113が第2計測範囲内においても最大の強度を取得するようにしてもよく、図10にはAmaxfとして表されている。制御部111は、このAmaxfからAmaxftを修正するようにしてもよい。
またさらなる変形例として、取得部113が取得するAmaxcに基づいて、第2パルス幅PWf2の他に、第2計測範囲の時間長τを決定することもできる。以下、Amaxcに基づいて、第2計測範囲の時間長τを決定する方法について図11を用いて説明する。
説明のために、図11は環境光を考慮しない環境における、反射光の強度を表している。パルス光を反射した物体の反射率が高い場合をケースA、この物体の反射率が低い場合をケースBとする。パルス光を出射した時刻を0とし、時刻tを反射光の到来時刻の真値とする。真値とは、このtをToFとして式(1)を用いて算出すると電子装置150とこの物体の間の距離が正確に算出される値である。時刻tは2つのケースにおける反射光の強度のピークを迎える時刻である。図11では、強度のしきい値をSに設定している。なお、2つのケースともに出射したパルス光は同様であるとする。また、取得部113が強度の最大値を取得する計測範囲は、時刻0から時刻tを少なくとも含んでいるものとする。
取得部113は、ケースAにおいては強度AmaxA、ケースBにおいては強度AmaxBを取得する。また、計測部103はしきい値S以上となった時刻を、ケースAにおいてttA、ケースBにおいてはttBと計測する。
ToFの計測は、真値である時刻tに近づくことが目的である。したがって、制御部111は、ケースAにおいては時刻tから時刻ttAまでの時間τfAを第2計測範囲の時間長に決定し、ケースBにおいては時刻tから時刻ttBまでの時間τfBを第2計測範囲の時間長に決定する。
以上のようにして、制御部111はしきい値Stn(nは1以上の自然数)とAmaxnに対応したτfnをあらかじめ計測しておく。このStn、Amaxnおよびτfnの関係は式で表されてもよいし、ルックアップテーブルで表されてもよい。また、この計測は実験で行われてもよいし、シミュレーションによって行われてもよい。
ToFの計測において、制御部111は取得部113から送られる第1計測範囲内の最大の強度AmaxcおよびStn、Amaxnおよびτfnの関係に基づいて、第2計測範囲を決定するようにしてもよい。
なお、図11で説明した図は説明のために環境光を考慮しない環境としたが、環境光が存在する環境においても同様に適用可能である。
本実施形態では、ステップS101およびステップS105において計測部103の計測開始の指令は制御部111から送られていた。変形例として、光源101が出射したパルス光の一部を反射させ、その光を受光することで計測開始の指令が送られるようにしてもよい。これは、第1パルス光および第2パルス光のいずれにも適用可能である。この場合、計測開始の指令はステップS102およびステップS106に移行する。
このような電子装置160を含む距離測定システムを、図12を用いて説明する。電子装置160は、電子装置100に加えて、反射部105および検出部106を備えている。電子装置160に含まれる構成要素のうち、電子装置100に含まれる構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
反射部105は、光源101から出射されたパルス光の一部を反射し、残りのパルス光を透過する。
検出部106は、反射部105によって反射されたパルス光を検出し、光源101からパルス光が出射されたことを示す信号を計測部103に送る。この信号を受けた計測部103は、時間計測を開始する。検出部106としては、受光部102において説明した装置が適用可能である。なお、電子装置160では制御部111は計測部103に時間計測を開始する指令を送らない。
時間計測を開始する指令を検出部106が計測部103に送る以外は、電子装置160の動作は本実施形態で説明した電子装置100の動作と同様である。
また、検出部106は、反射部105によって反射されたパルス光を検出し、時間計測を開始する指令を計測部103に送るようにしてもよい。検出部106は、光源101からパルス光が出射されたことを示す信号または時間計測を開始する指令を制御部111に送るようにしてもよい。
この信号または指令を受けた制御部111は計測部103に送り、時間計測を開始させるようにしてもよい。制御部111は、パルス光の出射時刻から一定の時間が経過しても検出部106から信号または指令を受けない場合、ToFの計測における指令をやり直すようにしてもよいし、制御部111は、出力部104に対してユーザにエラーを知らせる情報を出力させるようにしてもよい。
このようにすることで、故障などの理由で光源101からパルス光が出射されない場合に対応することができる。
本実施形態では、計測部103はDTCを用いて、時間計測の開始時刻や、第1、第2計測範囲の開始時刻および終了時刻を認識していた。変形例として、DTCの代わりに、クロック信号(以降クロックと称する)を用いて時刻の認識を行うようにしてもよい。クロックを用いた場合における電子装置100の動作を、図13〜図15を用いて説明する。
図13は、一例としてクロックを用いた第2計測範囲の決定を説明する図である。このクロックは電子装置100内の信号部から出力される。この信号部はクロック回路でもよいし、電子装置100に搭載されるシステムのクロックであってもよい。また、クロックは整数クロックでもよいし、多位相クロックにおける少数クロックを用いてもよい。また、この信号部は電子装置100外に備えられ、電子装置100にクロックが入力されるようにしてもよい。
図13では、時間計測の開始および終了のタイミングを、クロックを用いて制御する場合が表されている。これらのタイミングは、クロックの出力と合わせられている。
本実施形態と同様に、クロックを用いた電子装置100の動作を説明する。なお、ToFおよびToFの計測は、本実施形態と同様にTDCを用いて行われている。また、クロック回路は一例として、計測部103に備えられているとする。
ステップS101において、制御部111は、光源101および計測部103に本実施形態と同様に指令する。制御部111は光源101に対して時刻tc1パルス光を出射するように指令する。制御部111は計測部103に対して時刻tc1に時間計測を開始するように指令する。また、制御部111は計測部103に対して時刻tc1から時刻tc2までを第1計測範囲として指令する。この時刻tc1および時刻tc2は、クロック回路に設定される。
ステップS102において、光源101は時刻tc1にパルス光を出射する。計測部103は、クロック回路から出力されるクロックにより、時刻tc1であることを認識し、時間計測を開始する。
ステップS103およびステップS104までの電子装置100の動作は本実施形態と同様であるので、説明を省略する。なお、ステップS104において、計測部103は時刻tc2になると、クロック回路から出力されるクロックにより、時刻tc2であることを認識し、時間計測を終了する。
計測部103によるToFの計測が終了すると、ToFは制御部111に送られる。制御部111はステップS105において第2計測範囲の決定をこのToFに基づいて行うが、本実施形態と同様に決定した第2計測範囲では、クロックに合わない可能性がある。図13では、第2計測範囲がクロックの立ち上がりと合わない場合を表している。すなわち、第2計測範囲の開始時刻tfAinおよび終了時刻tf2では、クロックは出力されない。
この場合、制御部111は第2計測範囲を修正し、修正第2計測範囲を決定する。具体的には、制御部111は第2計測範囲を拡大する方向に最も近いクロックの出力時刻まで広げる。すなわち、修正第2計測範囲では開始時刻がtfAin2、終了時刻がtf3となり、時間長はτf2となる。
なお、制御部111は、第2計測範囲の開始時刻tfAinおよび終了時刻tf2に最も近いクロックが出力される時刻を、修正第2計測範囲の開始時刻tfAin2および終了時刻tf3としてもよい。この場合、必ずしも第2計測範囲を拡大する方向に最も近いクロックの出力時刻まで広げる必要はない。
制御部111は、光源101および計測部103に本実施形態と同様に指令する。制御部111は、時刻tf1にパルス光を出射するように指令する。制御部111は計測部103に対して時刻tf1に時間計測を開始するように指令する。また、制御部111は計測部103に対して、修正第2計測範囲である時刻tfAin2から時刻tf3までを計測範囲として指令する。この時刻tf1、tfAin2、および時刻tf3は、クロック回路に設定される。
ステップS106において、光源101は時刻tf1にパルス光を出射する。計測部103は、クロック回路から出力されるクロックにより、時刻tf1であることを認識し、時間計測を開始する。
ステップS107において、時刻tfAin2になると、計測部103はクロック回路から出力されるクロックにより、修正第2計測範囲の始端の時刻であることを認識する。計測部103は、時刻tfAin2における信号の強度Ain2を制御部111に送る。制御部111は強度Ain2に基づいてしきい値Stfを決定するが、さらに第2計測範囲の時間長τと修正第2計測範囲の時間長τf2との差分Δτにも基づいて、しきい値Stfを決定する。このしきい値Stfの決定については後述する。
ステップS108以降は、本実施形態で説明した動作と同様であるので、説明を省略する。なお、ステップS109において、時刻tf3になると、計測部103はクロック回路から出力されるクロックにより、修正第2計測範囲の終端の時刻であることを認識し、時間計測を終了する。
制御部111による強度Ain2および差分Δτに基づいたしきい値Stfの決定を、図14および図15を用いて説明する。
差分Δτが大きくなるほど、修正第2計測範囲は広くなる。計測範囲が広くなるほど、受光部102が強度の高い環境光を受光する確率が増加する。したがって、制御部111は差分Δτが大きくなるほど、しきい値Stfを高く決定する。
この差分Δτの大きさは、クロックの出力間隔に少なくとも基づく。図14では、クロックの出力間隔がIntである場合を表している。この場合における差分Δτの大きさは差分Δτ1であるとする。制御部111は強度Ain2および差分Δτf1に少なくとも基づいた値aから、しきい値Stf2を決定する。
一方、図15では、クロックの出力間隔がIntである場合を表している。この場合における差分Δτの大きさは差分Δτf2であるとする。間隔Intは、間隔Intよりも大きく、差分Δτf2は差分Δτf1よりも大きい。制御部111は強度Ain3および差分Δτf2に少なくとも基づいた値a3から、しきい値Stf3を決定する。
図14における修正第2計測範囲よりも、図15における修正第2計測範囲の方が広いため、受光部102が強度の高い環境光を受光する確率が増加する。したがって、制御部111はaをaよりも大きくし、しきい値Stf3をしきい値Stf2より高く設定する。
クロックを用いてToFの計測を行うことにより、計測部103におけるDTCを削減することが可能となり、電子装置100を小型化することが可能となる。
この変形例ではDTCを用いない場合を説明したが、クロックとDTCを併用するようにしてもよい。また、図14および図15で説明したように、クロックの立ち上がり間隔または周波数帯に限定されず、任意のクロックの立ち上がりまたは周波数帯に適用可能である。
以上に、本実施形態およびその変形例を説明した。続けて、以下に本実施形態で説明した電子装置100の適用例について説明する。
本実施形態では、電子装置100は物体200までの距離dを算出していた。適用例として、電子装置100はパルス光を様々な方角に出射し、反射光を受光してToFを算出することにより、電子装置100の周囲における物体の配置を表す配置図を作成することが可能である。
電子装置100がこの配置図を作成する場合について、図16を用いて説明する。図16には、電子装置100の周囲に物体200aから物体200eまでが配置されている。
電子装置100は様々な方角にパルス光を出射し、本実施形態と同様に電子装置100および物体200aから200eまでの距離を算出する。算出部112は、この距離に基づいて周囲の物体の配置を表す配置図を作成する。
作成した配置図の一例を、図17に表す。算出部112は、物体200aから200eまでの座標に点をプロットし、物体200aから200eまでの配置図を作成することができる。
この点が含む座標の情報は、直交座標でも極座標でもよいし、絶対座標(世界座標)でも相対座標でもよい。相対座標としては、例えば電子装置100の重心を基準としてもよいし、光源101の位置を基準としてもよい。また、座標の情報を表示する手段は点に限定されず、ベクトルであってもよい。
この配置図は、例えば電子装置100が搭載された自動運転を行う移動体が、動力部を制御するために使われる。また、この配置図に位置情報を付加して障害物データとすることにより、自動運転を行う移動体が取得し、利用しやすくなる。この位置情報の取得は既存の方法が利用可能である。
図17に説明した配置図は平面であったが、三次元点における三次元空間(実空間)を表すようにしてもよい。三次元空間における配置図の一例を、図18および図19を用いて説明する。
図18には、電子装置100の周囲に物体200fおよび200gが配置されていることが表されている。電子装置100は様々な方角にパルス光を出射し、本実施形態と同様に電子装置100および物体200fおよび200gの距離を算出する。算出部112は、この距離に基づいて周囲の物体の配置を表す配置図を作成する。
作成した配置図の一例を、図19に表す。算出部112は、物体200fおよび200gの座標に点をプロットし、物体200fおよび200gの配置図を作成することができる。
二次元の配置図の場合と同様に、この三次元点が含む座標の情報は、直交座標でも極座標でもよいし、絶対位置(世界位置)でも相対位置でもよい。相対位置としては、例えば電子装置100の重心を基準としてもよいし、光源101の位置を基準としてもよい。また、座標の情報を表示する手段は三次元点に限定されず、三次元ベクトルであってもよい。
この三次元の配置図においても、二次元の配置図場合と同様に、位置情報を付加して障害物データとしてもよい。
算出部112は、作成したこの配置図を、出力部104に送ってもよいし、本実施形態で説明した記憶装置に保持させるようにしてもよい。出力部104は、本実施形態で説明した距離dと同様に、出力先に出力する。
また、この配置図の適用例は物体の位置に限定されない。例えば、内視鏡に適用すれば体内の状態を三次元図で表現することが可能であるし、建築物に適用すれば、建築物の状態を二次元図および三次元図で表現することが可能である。体内の状態とは例えば、臓器の配置、腫れ、くぼみ、穴、腫瘍の存在の有無などである。建築物の状態とは例えば、異常なし、ひび割れ、凹凸、穴、たわみなどである。なお、これらの例も配置図として含まれる。
さらなる適用例として、この配置図を利用して移動を行う移動体について説明する。この移動体の一例を、図20に表す。移動体500は、移動可能な物であって、例えば車両、台車、飛行可能な物体(有人飛行機、無人飛行機(例えば、UAV(UnmannedAerialVehicle)、ドローン))、ロボット(先端可動式の内視鏡を含む)などである。また、移動体500は、例えば、人による運転操作を介して進行する移動体や、人による運転操作を介さずに自動的に進行(自律進行)可能な移動体である。一例として、以下に移動体500が自律進行可能な四輪自動車である場合を説明する。
この移動体500は、電子装置100に加えて、動力制御部501、取得部502、動力部503を備える。また、出力部104は算出部112が作成した配置図を動力制御部501に送るものとする。
動力制御部501は、動力部502の駆動を指令する。より具体的には、動力制御部501は、出力部104から送られた配置図および取得部501から送られた情報に基づいて、移動体500が移動する方向、速度および加速度を決定し、この方向、速度および加速度を実現する動力部502の駆動を指令する。
この動力制御部501の指令によって、移動体500のアクセル量、ブレーキ量、操舵角などが制御される。例えば、動力制御部501は、障害物などの物体を避けて現在進行中の車線を保ち、かつ前方車両との車間距離を所定距離以上保つように移動体500の駆動の制御を行う。
動力部502は、移動体500に搭載された駆動デバイスである。動力部502は、例えば、エンジン、モータ、車輪、などである。動力部502は、動力制御部501の指令によって駆動し、移動体500を駆動させる。
取得部503は、自律進行に必要な各種情報を取得する。例えば、移動体500の位置情報、移動体500の周囲の画像、移動体500の周囲の移動体から送られる相対位置情報などである。取得部503は、これらの各種情報を取得するために、ミリ波レーダセンサ、音波によって物体を探知するソナーセンサ、超音波センサ、ステレオカメラ、単眼カメラ、有線又または無線による通信機などのうちから、任意の装置を含む。
なお、動力制御部501は本実施形態で説明したプロセッサなどで実装される。動力制御部501および取得部502を1チップ上で実装するようにしてもよいし、別々に実装するようにしてもよい。また、動力制御部501および取得部502を電子装置100の内部に組み込むようにしてもよい。この場合、動力制御部501は処理部110に組み込まれていてもよい。
以上説明したように、移動体500は、パルス光を出射して反射光を受光することで作成した、物体の配置を表す配置図に少なくとも基づいて、障害物などの物体を回避しつつ自律進行を行うことが可能である。
この適用例では自律進行可能な四輪自動車である場合を説明したが、移動体500の例に挙げた他の移動体であっても、動力部502が異なるが、同様に自律進行可能である。
例えば移動体500がドローンであれば、動力部502は羽根を回転させるモータおよび羽根の角度を調整するモータである。動力制御部501は、配置図および取得部503に基づいて、羽根を回転させるモータの回転数、羽根の角度を調整するモータの角度、およびモータの各加速度などを決定し、動力部502に指令する。動力部502が動力部501の指令に基づいて駆動することで、移動体500は自律進行が可能である。
例えば移動体500がロボットであれば、動力部502は腕部および脚部の少なくとも一方を旋回、回転、角度調整を行うモータである。この腕部は例えばロボットアームなどである。また、このロボットが先端可動式の内視鏡であれば、可動部がこの腕部に含まれるものとする。この脚部は例えば車輪および関節を有する下肢などであってもよい。動力制御部501は、配置図および取得部503に基づいて、腕部および脚部におけるモータの回転数、モータの角度、およびモータの各加速度などを決定し、動力部502に指令する。動力部502が動力部501の指令に基づいて駆動することで、移動体500は自律進行が可能である。
以上に、本実施形態、変形例、および適用例を説明したが、これらは組み合わせて行われるようにしてもよい。
本実施形態における電子装置はToFの計測を2回行うことでToFの精度を向上させることができる。このToFを用いて距離dを算出することで、距離測定の精度を向上させることができる。この距離測定の精度の向上は、受光部102が受光する光子数にも影響する。図21にToFに基づいて算出された距離とToFに基づいて算出された距離を表す。標準偏差について表す。図22にToFに基づいて算出された距離の標準偏差とToFに基づいて算出された距離の標準偏差を表す。
図21について、距離dは電子装置100と物体200との間の距離の真値を表す。受光部102が受光する光子の数に関わらず、ToFの計測を2回行うことで距離測定の精度を向上させることができる。
図22について、受光部102が受光する光子の数に関わらず、ToFの計測を2回行うことで距離dの標準偏差を低減し、距離測定の精度を向上させることができる。
図21および図22について、受光する光子の数以外にも、輝度や照度など、明るさに関する任意の指標に適用可能である。
以上説明したように、本実施形態における電子装置は、ToFの計測を2回行う。1回目に計測したToFに基づいて、2回目に計測するToFの計測範囲および反射光を検出するしきい値を決定する。このようにすることで、距離測定の精度を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100:電子装置
101:光源
102:受光部
103:計測部
104:出力部
105:反射部
106:検出部
110:処理部
111:制御部
112:算出部
113:取得部
120:処理部
150:電子装置
160:電子装置
200:物体
200a〜g:物体
500:移動体
501:動力制御部
502:動力部
503:取得部

Claims (20)

  1. 距離を測定する電子装置であって、
    第1パルス光および第2パルス光を出射する光源と、
    光を受光し、受光した光の強度を示す電気信号を出力する受光部と、
    前記電気信号に基づいて、前記第1パルス光が出射されてから、前記第1パルス光が物体により反射された第1反射光が前記受光部に受光されるまでの第1時間を計測する計測部と、
    前記第1時間に基づいて、前記第2パルス光が前記物体により反射された第2反射光を、前記受光部が受光する時間範囲を決定する処理部と、
    を備え、
    前記計測部は、前記電気信号および前記時間範囲に基づいて、前記第2パルス光が出射されてから、前記第2反射光が前記受光部に受光されるまでの第2時間を計測し、
    前記処理部は、前記第2時間に基づいて、前記電子装置から前記物体までの距離を算出する、
    電子装置。
  2. 前記処理部は、前記計測範囲を前記第1時間よりも短くなるように決定する、
    請求項1に記載の電子装置。
  3. 前記計測部は、前記受光部が前記第2反射光を受光した時刻を前記時間範囲内で計測し、前記時刻に基づいて前記第2時間を計測する、
    請求項1または2に記載の電子装置。
  4. 前記処理部は、前記電気信号に基づいて前記受光部が受光した光のうち前記第1反射光を含まない光の第1強度を推定し、
    前記第1強度に基づいて、受光した光が第1反射光を含むか否かを判定する第1しきい値を決定し、
    前記計測部は、前記第1しきい値に基づいて前記第1反射光を判定し、前記第1時間を計測する、
    請求項1乃至3のいずれか1つに記載の電子装置。
  5. 前記処理部は、前記電気信号に基づいて前記受光部が受光した光のうち、前記第2反射光を含まない光の第2強度を推定し、
    前記第2強度に基づいて、受光した光が第2反射光を含む否かを判定する第2しきい値を決定し、
    前記計測部は、前記第2しきい値に基づいて前記第2反射光を判定し、前記第2時間を計測する、
    請求項4に記載の電子装置。
  6. 前記処理部は、前記物体の光の反射率にさらに基づいて前記第1しきい値および前記第2しきい値のうち、少なくとも一方を決定する、
    請求項5に記載の電子装置。
  7. 前記第2強度は、前記電気信号のうち、前記時間範囲以前における第1電気信号に基づいて推定される、
    請求項5または6に記載の電子装置。
  8. 前記第2しきい値は前記第1しきい値よりも小さい、
    請求項5乃至7のいずれか1つに記載の電子装置。
  9. クロック信号を出力する信号部をさらに備え、
    前記クロック信号にさらに基づいて、前記時間範囲を決定する、
    請求項1乃至8のいずれか1つに記載の電子装置。
  10. 前記処理部は、前記電気信号に基づいて、前記受光部が出力する光の強度のうち前記第1パルス光を出射してから前記第2パルス光を出射する間における光の強度の最大値を取得し、
    前記最大値にさらに基づいて、前記時間範囲を決定する、
    請求項1乃至9のいずれか1つに記載の電子装置。
  11. 前記処理部は、前記受光部が出力する光の強度のうち、前記第1パルス光を出射してから前記第2パルス光を出射する間における光の強度の最大値を取得し、
    前記最大値に基づいて、前記第2パルス光のパルス幅を決定する、
    請求項1乃至10のいずれか1つに記載の電子装置。
  12. 前記処理部は、前記物体の光の反射率に基づいて、前記第2パルス光のパルス幅を決定する、
    請求項1乃至11のいずれか1つに記載の電子装置。
  13. 前記第2パルス光のパルス幅は、前記第1パルス光のパルス幅以下である、
    請求項1乃至12のいずれか1つに記載の電子装置。
  14. 前記受光部はアバランシェフォトダイオードを備え、前記アバランシェフォトダイオードが受光した光子数に基づいて前記電気信号を出力する、
    請求項1乃至13のいずれか1つに記載の電子装置。
  15. 前記第1パルス光の一部を反射する反射部と、
    前記反射部によって反射された前記第1パルス光を検出し、前記計測部に通知する検出部をさらに備え、
    前記計測部は、前記検出部による通知に基づいて前記第1時間を計測する、
    請求項1乃至14のいずれか1つに記載の電子装置。
  16. 前記処理部は、前記時間および前記距離の少なくとも一方に基づいて、前記物体の座標を示す情報を含む配置図を作成する、
    請求項1乃至15のいずれか1つに記載の電子装置。
  17. 前記電子装置から前記物体までの距離を示す情報、前記第1時間を示す情報、前記第2時間を示す情報、および前記配置図を含む情報のうち、少なくとも一方を出力する出力部をさらに備える、
    請求項1乃至16のいずれか1つに記載の電子装置。
  18. 前記配置図に基づいて、移動体の動力部に対する指令を決定する動力制御部をさらに備える、
    請求項16または17に記載の電子装置。
  19. 距離を測定する方法であって、
    第1パルス光および第2パルス光を出射し、
    光を受光し、受光した光の強度を示す電気信号を出力し、
    前記電気信号に基づいて、前記第1パルス光が出射されてから、前記第1パルス光が物体により反射された第1反射光が受光されるまでの第1時間を計測し、
    前記第1時間に基づいて、前記第2パルス光が前記物体により反射された第2反射光が受光される時間範囲を決定し、
    前記電気信号および前記時間範囲に基づいて、前記第2パルス光が出射されてから、前記第2反射光が受光されるまでの第2時間を計測し、
    前記第2時間に基づいて、前記物体までの距離を算出する、
    方法。
  20. 第1物体との距離を測定する電子装置であって、
    前記第1物体へ第1パルス光を出射し、前記第1パルス光の出射の後に前記第1物体へ第2パルス光を出射する光源と、
    光を受光する受光部と、
    前記第1パルス光が出射されてから前記第1パルス光が前記第1物体により反射された第1反射光が前記受光部に受光されるまでの第1時間に基づいて、
    前記第2パルス光が出射されてから前記第2パルス光が前記第1物体により反射された第2反射光が前記受光部に受光されるまでの第2時間を計測する計測部と、
    前記第2時間に基づいて、前記第1物体までの距離を算出する処理部と、
    を備える、
    電子装置。
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