JP2020152962A - 羽口 - Google Patents

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優斗 横川
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【課題】羽口の一部破損時の高炉操業において操業延長に資する羽口を提供する。【解決手段】羽口10Aは、冷媒の流入口と流出口とが互いに異なる複数の流路21、22が形成された羽口10Aであって、流路21、22の内面の少なくとも一部に耐摩耗層60が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、羽口に関する。
一般的に羽口の摩耗に対する長寿命化対策として、羽口の外面に耐摩耗材を肉盛溶接・溶射することや、耐火物施工・セラミック鋳込することなどが知られている(例えば、下記特許文献1〜7参照)。
特開平1−36715号公報 特開平11−217610号公報 特開平11−217611号公報 実開平6−42950号公報 実開平3−128641号公報 実開昭63−85647号公報 実公昭48−20487号公報
ところで、羽口が溶損したときに突発の高炉休止を回避する方法として、内部の水路が2分割以上に分離された羽口を使用することが知られている。例えば親子羽口のように、羽口の内部の水路が前部・後部、もしくは内周・外周のように二分割以上に分離された羽口では、前部もしくは外周の破損が検知されたとき、当該水路の冷却水を停止して操業を継続する。
しかしながら、このような操業の継続時、冷却水の供給を停止した前部もしくは外周の表面を構成する金属(例えば、銅・銅合金)が、耐摩耗材とともに溶損(消失)する。その結果、後部もしくは内周の金属(例えば、銅または銅合金)の表面が高炉内に露出し、コークス等によって早期に摩耗するため、期待される操業延長効果を得られない。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、羽口の一部破損時の高炉操業において操業延長に資する羽口を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る羽口は、冷媒の流入口と流出口とが互いに異なる複数の流路が内部に形成された羽口であって、前記流路の内面の少なくとも一部に耐摩耗層が設けられている。
本構成によれば、例えば複数の流路のうちの一部の流路への冷媒の供給が停止されることで羽口の一部が溶損し、流路の内面が炉内に露出されるときに、流路の内面そのものではなく、その内面に設けられた耐摩耗層を露出させることができる。これにより、部分的に溶損された羽口であっても、その表面を耐摩耗層によって保護することができる。よって、例えばコークス等による羽口の摩耗を抑制することが可能になり、羽口を延命させて炉の操業を例えば次の予定休止まで延長させることができる。
前記耐摩耗層は、前記流路の内面において、前記羽口の軸方向に沿う炉の内側を向く面、および、前記羽口の径方向の外側を向く面のうちの少なくとも一方に設けられていてもよい。
本構成によれば、羽口が軸方向に沿う炉の内側から溶損したり、羽口が径方向の外側から溶損したりしたときに、羽口の外面となる部分に耐摩耗層を位置させておきやすくすることができる。
前記流路として、隔壁部を隔てて隣り合う第1流路および第2流路を備え、前記第1流路は、前記第2流路よりも高温環境下に配置され、前記耐摩耗層は、前記第1流路の内面において前記隔壁部によって形成される部分に設けられていてもよい。
本構成によれば、第1流路への冷媒の供給が停止され、羽口のうち、高温環境下に配置される部分が溶損したとしても、隔壁部を直接露出させるのではなく、隔壁部に設けられた耐摩耗層を露出させることができる。
前記第2流路が、胴部流路であり、前記第1流路が、前記胴部流路に対して前記羽口の軸方向に沿う炉の内側に位置する先端部流路であり、前記隔壁部が、前記胴部流路と前記先端部流路とを前記軸方向に隔てる軸方向隔壁であり、前記耐摩耗層は、前記先端部流路の内面において前記軸方向隔壁によって形成される部分に設けられていてもよい。
本構成によれば、先端部流路への冷媒の供給が停止され、羽口の先端部が溶損したとしても、軸方向隔壁を直接露出させるのではなく、軸方向隔壁に設けられた耐摩耗層を露出させることができる。
前記第2流路が、内側流路であり、前記第1流路が、前記内側流路に対して前記羽口の径方向の外側に位置する外側流路であり、前記隔壁部が、前記内側流路と前記外側流路とを前記径方向に隔てる径方向隔壁であり、前記耐摩耗層は、前記外側流路の内面において前記径方向隔壁によって形成される部分に設けられていてもよい。
本構成によれば、外側流路への冷媒の供給が停止され、羽口の外周部が溶損したとしても、径方向隔壁を直接露出させるのではなく、径方向隔壁に設けられた耐摩耗層を露出させることができる。
前記流路として、胴部流路と、前記胴部流路に対して前記羽口の軸方向に沿う炉の内側に位置し、軸方向隔壁を隔てて前記胴部流路と前記軸方向に隣り合う内側流路および外側流路と、を備え、前記外側流路は、前記内側流路に対して前記羽口の径方向の外側に位置し、径方向隔壁を隔てて前記内側流路と前記径方向に隣り合い、前記耐摩耗層は、前記内側流路の内面において前記軸方向隔壁によって形成される部分と、前記外側流路の内面において前記軸方向隔壁によって形成される部分と、前記外側流路の内面において前記径方向隔壁によって形成される部分と、のうちの少なくとも1つに設けられていてもよい。
耐摩耗層が内側流路や外側流路の内面において軸方向隔壁によって形成される部分に設けられている場合、内側流路や外側流路への冷媒の供給が停止され、羽口の先端部が溶損したとしても、軸方向隔壁を直接露出させるのではなく、軸方向隔壁に設けられた耐摩耗層を露出させることができる。
耐摩耗層が外側流路の内面において径方向隔壁によって形成される部分に設けられている場合、外側流路への冷媒の供給が停止され、羽口の先端部における外周部が溶損したとしても、径方向隔壁を直接露出させるのではなく、径方向隔壁に設けられた耐摩耗層を露出させることができる。
前記流路として、環状隔壁を隔てて前記羽口の径方向に隣り合う複数の環状流路を備え、前記複数の環状流路は、一の環状流路と、前記一の環状流路に対して、一の環状隔壁を隔てて前記径方向の内側から隣り合う他の環状流路と、を備え、前記耐摩耗層は、前記一の環状流路の内面において前記一の環状隔壁によって形成される部分に設けられていてもよい。
本構成によれば、一の環状流路への冷媒の供給が停止され、羽口の外周部が溶損したとしても、一の環状隔壁を直接露出させるのではなく、一の環状隔壁に設けられた耐摩耗層を露出させることができる。
前記流路は、前記羽口の周方向に延びる周回部を備え、前記耐摩耗層は、前記周回部の内面に設けられていてもよい。
本構成によれば、耐摩耗層を広い範囲に設けることができる。なお、耐摩耗層を形成する範囲は、周回部の全周であってもよいが、コスト・作業負荷の観点から、周方向の一部であってもよい。
前記耐摩耗層のうち、前記周回部の上半周に位置する部分の面積が、前記周回部の下半周に位置する部分の面積以上であってもよい。
本構成によれば、羽口が溶損して流路の内面が露出したときに、羽口のうち、上側に位置する部分に耐摩耗層を確実に多く配置することができる。羽口では、上方に位置する部分が摩耗し易いことから、羽口のうち、上側に位置する部分に耐摩耗層を多く配置することで、羽口の摩耗を効果的に抑制することができる。
前記耐摩耗層は、前記羽口を、前記羽口の軸線に直交しかつ前記周回部を含む横断面で見たときに、前記周回部の内面のうち、前記軸線に対して真上に位置する基準位置を中心として、前記軸線回りに90度の範囲に連続して設けられていてもよく、前記軸線回りに180度の範囲に連続して設けられていてもよい。
本構成によれば、羽口が溶損して流路の内面が露出したときに、羽口のうち、上側に位置する部分に耐摩耗層を確実に配置することができる。羽口では、上方に位置する部分が摩耗し易いことから、羽口のうち、上側に位置する部分に耐摩耗層を配置することで、羽口の摩耗を効果的に抑制することができる。
前記耐摩耗層は、合金またはセラミックであってもよい。
本構成によれば、耐摩耗性を確実に発揮させることができる。
本発明によれば、高炉の操業延長に資する羽口を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る羽口の断面図である。 本発明の第2実施形態に係る羽口の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る羽口の断面図である。 本発明の第4実施形態に係る羽口の断面図である。 本発明の第5実施形態に係る羽口の断面図である。 本発明の第6実施形態に係る羽口の断面図である。 本発明の第7実施形態に係る羽口の断面図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る羽口10Aを説明する。
羽口10Aは、高炉1(金属溶融炉)に用いられる。図1に示すように、羽口10Aは、高炉1の外部Oから内部Iに気体(熱風)を吹き込む。なお羽口10Aは、例えば、キュポラ炉など、高炉1以外の金属溶融炉に適用することも可能である。
以下では、羽口10Aの軸線L(以下、単に軸線Lという)に沿う高炉1の内部I側を前側D1といい、高炉1の外部O側を後側D2という。また、羽口10Aの軸方向を単に軸方向といい、羽口10Aの径方向を単に径方向といい、羽口10Aの周方向を単に周方向という。また、羽口10Aが高炉1に設置されている状態における鉛直方向の上側を単に上側といい、同鉛直方向の下側を単に下側という。
本実施形態では、羽口10Aは、前側D1斜め下側に向けて熱風を吹き込む。軸線Lは、水平面に対して傾斜している。軸線Lは、前側D1に向かうに従い下側に延びている。
羽口10Aは、冷却水の流路21、22が内部に形成された羽口本体20と、羽口本体20に設けられた耐摩耗層60と、を備えている。
本実施形態では、羽口10Aは、いわゆる親子羽口(二重羽口)である。羽口本体20には、2つの流路21、22が形成されている。羽口本体20は、2つの流路21、22として、第1流路21および第2流路22を備えている。第1流路21および第2流路22では、冷却水(冷媒、液体)の流入口と流出口とが互いに異なっている。第1流路21および第2流路22は、互いに独立した流路21、22である。言い換えると、第1流路21および第2流路22は、互いに共有する部分を有していない。
各流路21、22に冷却水が流通することで、羽口本体20の一部が冷却される。本実施形態では、第1流路21は、第2流路22に比べて、羽口本体20の前側D1に位置する部分を冷却する。第1流路21は、羽口本体20の先端部に形成されており、羽口本体20の先端部を冷却する先端部流路21aとして機能する。第2流路22は、羽口本体20の胴部に形成されており、羽口本体20の胴部を冷却する胴部流路22aとして機能する。羽口本体20は、第1流路21(先端部を冷却する流路)が第2流路22(胴部を冷却する流路)よりも高温環境下(前側D1、高炉1の内部I寄り)に配置された状態で高炉1に用いられる。
第1流路21および第2流路22はそれぞれ、周方向に延びる周回部23、24を備えている。羽口本体20において、周回部23、24が周方向の全周にわたって設けられていることで、羽口本体20が全周にわたって冷却される。なお周回部23、24を、螺旋状に形成して周方向に複数周回、周回させることも可能であるが、図示の例では、第1流路21および第2流路22それぞれの周回部23、24は、周方向に1周回だけ周回しており、複数周回は周回していない。
本実施形態において、第1流路21の周回部23(以下、第1周回部23という)と第2流路22の周回部24(以下、第2周回部24という)とは、軸方向に完全にずらされている。言い換えると、第1周回部23と第2周回部24とは、一方が他方に対して径方向の内側に位置していたり、径方向の外側に位置していたりしていない。つまり、第1周回部23および第2周回部24は、径方向に重なっていない。第1流路21と第2流路22とは、隔壁部25を隔てて軸方向に隣り合う。隔壁部25は、第1周回部23と第2周回部24とを軸方向に隔てる軸方向隔壁25aとして機能する。隔壁部25は、第1周回部23および第2周回部24の内面を形成している。なお図示の例では、第1周回部23における流路断面積は、第2周回部24における流路断面積よりも小さい。
第1流路21および第2流路22の各周回部23、24には、羽口本体20に対して後側D2から冷却水が供給される。また、第1流路21および第2流路22の各周回部23、24からは、羽口本体20に対して後側D2に向けて冷却水が排出される。すなわち、羽口本体20の後側D2の端面には、各流路21、22への流入口および流出口(不図示)が形成されている。また各流路21、22は、流入口と周回部23、24とを連通する流入路(不図示)と、周回部23、24と流出口とを連通する流出路(不図示)と、をそれぞれさらに備えている。
ここで羽口本体20は、ベース部材30と、カバー部材40と、を備えている。羽口本体20は、ベース部材30とカバー部材40とが組み付けられることで形成される。ベース部材30およびカバー部材40は、例えば銅を主成分とする金属により形成される。ベース部材30およびカバー部材40は、例えば銅または銅合金により形成される。
ベース部材30は、カバー部材40に対して、後側D2に配置されている。カバー部材40は、ベース部材30に対して前側D1から組み付けられている。羽口本体20は、ベース部材30とカバー部材40とに軸方向に分割されている。ベース部材30の軸方向の大きさは、カバー部材40の軸方向の大きさよりも大きい。ベース部材30とカバー部材40とは、例えば溶接などにより接合されている。
ベース部材30には、第2流路22が形成されている。図示の例では、ベース部材30には、第2周回部24の全体が形成されている。ベース部材30は、内筒壁部31と、外筒壁部32と、後壁部33と、前壁部34と、を備えている。外筒壁部32は、内筒壁部31の径方向の外側に配置されている。後壁部33は、内筒壁部31の後側D2の端部と外筒壁部32の後側D2の端部とを接続している。前壁部34は、内筒壁部31の前側D1の端部と外筒壁部32の前側D1の端部とを接続している。第2周回部24は、これらの内筒壁部31と、外筒壁部32と、後壁部33と、前壁部34と、の間に形成されている。
カバー部材40は、ベース部材30との間に第1流路21の少なくとも一部を形成している。図示の例では、ベース部材30とカバー部材40との間に第1周回部23が形成されている。カバー部材40には、後側D2に向けて開口する周溝41が形成されている。周溝41がベース部材30の前壁部34によって後側D2から閉塞されることで、第1周回部23が形成される。ベース部材30の前壁部34は、前記隔壁部25を形成している。
なお、カバー部材40に周溝41が形成されていることは、言い換えると、カバー部材40が、周溝41を形成する前端壁部42、外側壁部43および内側壁部44を備えていることともいえる。
前端壁部42は、羽口本体20の先端面(前端面)を形成する。前端壁部42は、円環状に形成されている。外側壁部43および内側壁部44は、いずれも筒状に形成され、前端壁部42から後側D2に向けて延びている。外側壁部43は、内側壁部44よりも大径に形成されている。外側壁部43は、前端壁部42の外周縁から後側D2に延びている。内側壁部44は、前端壁部42の内周縁から後側D2に延びている。
前記周溝41は、前端壁部42に対する後側D2であって、外側壁部43と内側壁部44との間に形成されている。
耐摩耗層60は、流路21、22の内面の少なくとも一部に設けられている。耐摩耗層60は、第1流路21の内面の一部に設けられている。耐摩耗層60は、第1流路21の内面において、前側D1を向く面、および、径方向の外側を向く面のうちの少なくとも一方に設けられている。
ここで、「前側D1を向く面」は、沿面方向が軸方向に直交する面に限られない。沿面方向が軸方向に直交しないものの交差する面(軸方向に平行でない面)であって、前側D1を向く面であれば、「前側D1を向く面」に含まれる。
また、「径方向の外側を向く面」も同様に、沿面方向が径方向に直交する面に限られない。沿面方向が径方向に直交しないものの交差する面(径方向に平行でない面)であって、径方向の外側を向く面であれば、「径方向の外側を向く面」に含まれる。
本実施形態では、耐摩耗層60は、第1流路21の内面において、前側D1を向く面に設けられている。耐摩耗層60は、第1周回部23の内面に設けられている。耐摩耗層60は、第1流路21の内面のうち隔壁部25によって形成されている部分に設けられている。言い換えると、耐摩耗層60は、前壁部34に設けられている。なお耐摩耗層60は、前壁部34(第1流路21の内面のうち隔壁部25によって形成されている部分)の全体に設けられていてもよく、一部に設けられていてもよい。つまり耐摩耗層60は、前壁部34の少なくとも一部に設けられていればよい。
本実施形態では、耐摩耗層60は、羽口10Aを、軸線Lに直交しかつ第1周回部23を含む横断面で見たときに、第1周回部23の内面のうち、軸線Lに対して真上に位置する基準位置を中心として、軸線L回りに90度の範囲(第1周回部23の周方向において、鉛直方向を含む90°の範囲)に連続して設けられていている。すなわち、耐摩耗層60は、羽口10Aの横断面視において、前記基準位置に対して時計回りに45度離れた位置から、前記基準位置に対して反時計回りに45度離れた位置に至るまで連続している。
また本実施形態では、耐摩耗層60は、羽口10Aを前記横断面で見たときに、第1周回部23の内面のうち、前記基準位置を中心として、軸線L回りに180度の範囲(第1周回部23の周方向において、鉛直方向を含む180°の範囲)に連続して設けられていている。すなわち、耐摩耗層60は、羽口10Aの横断面視において、前記基準位置(時計における12時の位置)に対して時計回りに90度離れた位置(時計における3時の位置)から、前記基準位置に対して反時計回りに90度離れた位置(時計における9時の位置)に至るまで連続している。
さらに本実施形態では、耐摩耗層60は、第1周回部23の全長(全周)にわたって設けられている。耐摩耗層60のうち、第1周回部23の上半周に位置する部分の面積は、第1周回部23の下半周に位置する部分の面積以上である。耐摩耗層60では、第1流路21の内面において、前記軸線Lよりも上側に位置する部分の面積が、前記軸線Lよりも下側に位置する部分の面積以上であるとも言える。本実施形態では、第1周回部23の上半周に設けられている耐摩耗層60の面積は、第1周回部23の下半周に設けられている耐摩耗層60の面積と同等である。
「耐摩耗層60のうち、第1周回部23の上半周に位置する部分の面積」とは、第1周回部23に設けられた耐摩耗層60の総面積のうち、第1周回部23の上半周に位置する部分の総面積である。例えば、第1周回部23が周方向に複数回周回していた場合、各周回において上半周に位置する部分の面積の総和が、「耐摩耗層60のうち、第1周回部23の上半周に位置する部分の面積」となる。なお、第1周回部23の上半周とは、羽口10Aを前記横断面で見たときに、第1周回部23のうち、軸線Lよりも上側に位置する部分(時計における9時から時計回りに移動して12時を通り3時に至る部分)である。
「耐摩耗層60のうち、第1周回部23の下半周に位置する部分の面積」も同様に、第1周回部23に設けられた耐摩耗層60の総面積のうち、第1周回部23の下半周に位置する部分の総面積である。例えば、第1周回部23が周方向に複数回周回していた場合、各周回において下半周に位置する部分の面積の総和が、「耐摩耗層60のうち、第1周回部23の下半周に位置する部分の面積」となる。なお、第1周回部23の下半周とは、羽口10Aを前記横断面で見たときに、第1周回部23のうち、軸線Lよりも下側に位置する部分(時計における3時から時計回りに移動して6時を通り9時に至る部分)である。
耐摩耗層60は、合金(例えば、(Cr3C2+Ni)系など)またはセラミックである。耐摩耗層60の材料(耐摩耗材の種類)は、羽口本体20の材料(ベース部材30、カバー部材40の材料)よりも硬度が高い材料であればよい。本実施形態では、耐摩耗層60の材料は、銅もしくは銅合金よりも硬度が高い材料であればよい。耐摩耗層60の硬度は、羽口本体20(ベース部材30やカバー部材40)の硬度よりも高い。なお耐摩耗層60が、合金またはセラミックの場合、耐摩耗性を確実に発揮させることができる。
耐摩耗層60の硬度は、例えばビッカース硬さ180HV以上800HV以下である。ビッカース硬さは、例えばJIS Z2244(2009)により規定される。硬度については、ブリネル硬さ、ロックウェル硬さなど、ビッカース硬さを近似的に換算した他の指標に読み替えてもよい。
耐摩耗層60の厚みは、耐摩耗性の観点からは厚いほど好ましく、例えば0.1mm以上である。ただし、あまりに厚すぎると流路断面積が小さくなり冷却水の流通性に影響が生じることから、例えば3mm以下であることが好ましい。
なお、耐摩耗層60を形成するための耐摩耗処理としては、例えば、溶射や拡散結合などを採用することが好ましい。溶射としては、溶線式フレーム溶射、粉末式フレーム溶射などが挙げられる。これらの溶射や拡散結合などの処理によれば、耐摩耗層60の表面粗さを小さくすることができる。ただし、これらの処理方法に限られず、例えば、溶接や鋳込みなどを採用してもよい。
また耐摩耗処理の際は、羽口本体20の表面(流路21、22の内面)に凹凸を施すことができる。この場合、流路21、22の内面に対する耐摩耗層60の接着性を高めることができるが、前記凹凸がなくてもよい。
前記羽口10Aは、以下のように製造される。
まず、ベース部材30およびカバー部材40を形成する。これらのベース部材30およびカバー部材40は、例えば、鋳造または機械加工により形成することができる。その後、ベース部材30において第1流路21の内面となる位置(本実施形態では隔壁部25)に耐摩耗処理を施し、耐摩耗層60を形成する。そして、ベース部材30にカバー部材40を溶接等により取り付ける。これにより、羽口10Aを製造することができる。
前記羽口10Aにおいて、第1流路21からの冷却水の漏出が確認された場合、第1流路21への冷却水の供給を停止して高炉1(金属溶融炉)の運転を継続する。このとき、炉内の熱によってカバー部材40が溶失し、隔壁部25(前壁部34)が露出するが、隔壁部25に耐摩耗層60が設けられているため、隔壁部25が炉内に直接露出することが抑制される。
以上説明したように、本実施形態に係る羽口10Aによれば、流路21、22の内面の少なくとも一部に耐摩耗層60が設けられている。したがって、例えば複数の流路21、22のうちの一部の流路21、22への冷媒の供給が停止されることで羽口10Aの一部が溶損し、流路21、22の内面が炉内に露出されるときに、流路21、22の内面そのものではなく、その内面に設けられた耐摩耗層60を露出させることができる。これにより、部分的に溶損された羽口10Aであっても、その表面を耐摩耗層60によって保護することができる。よって、例えばコークス等による羽口10Aの摩耗を抑制することが可能になり、羽口10Aを延命させて炉の操業を例えば次の予定休止まで延長させることができる。
耐摩耗層60が、流路21、22の内面において、前側D1を向く面、および、径方向の外側を向く面のうちの少なくとも一方に設けられている。したがって、羽口10Aが前側D1から溶損したり、羽口10Aが径方向の外側から溶損したりしたときに、羽口10Aの外面となる部分に耐摩耗層60を位置させておきやすくすることができる。
耐摩耗層60が、第1流路21の内面において隔壁部25(前壁部34)によって形成される部分に設けられている。したがって、第1流路21への冷媒の供給が停止され、羽口10Aのうち、高温環境下に配置される部分が溶損したとしても、隔壁部25を直接露出させるのではなく、隔壁部25に設けられた耐摩耗層60を露出させることができる。
耐摩耗層60が、第1周回部23の内面に設けられている。したがって、耐摩耗層60を広い範囲に設けることができる。なお、耐摩耗層60を形成する範囲は、第1周回部23の全周であってもよいが、コスト・作業負荷の観点から、周方向の一部であってもよい。
耐摩耗層60のうち、第1周回部23の上半周に位置する部分の面積が、第1周回部23の下半周に位置する部分の面積以上である。したがって、羽口10Aが溶損して第1流路21の内面が露出したときに、羽口10Aのうち、上側に位置する部分に耐摩耗層60を確実に多く配置することができる。羽口10Aでは、上方に位置する部分が摩耗し易いことから、羽口10Aのうち、上側に位置する部分に耐摩耗層60を多く配置することで、羽口10Aの摩耗を効果的に抑制することができる。なお羽口10Aの摩耗は、例えば、羽口10Aから吹き込まれる熱風により羽口10A周辺のコークスが旋回し、前記コークスが羽口10Aに接触すること等により生じる。この接触は羽口10Aの上側において多く生じる。
また、上述の通り、第1流路21は第2流路22よりも高温環境下にさらされ、過去の操業実績においては、第1流路21が先に破損することが多い。しかしながら、例えば、羽口10A内に設けられた微粉炭の吹込みランス(不図示)の不具合等により、羽口10Aの送風口の周面(羽口10Aの内周面)に微粉炭が衝突するなどして、第2流路22が破損する場合も生じ得る。すなわち、通常運転時には、前記吹込みランスから吹き込まれる微粉炭は送風口の周面に衝突しないものの、例えば、吹込みランスが、溶損や割損によって短くなったり、高温により垂れさがってしまったりした場合には、微粉炭が、送風口の周面に衝突して第2流路22が突発的に破損することも考えられる。この場合、第2流路22の内面に耐摩耗層60を設けておくことにより、仮に、第2流路22への冷却水の供給を一時的に停止し、第1流路21へのみ冷却水を一時的に供給する運転をするときに、羽口10Aを延命させる効果が期待できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る羽口10Bを、図2を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図2に示すような羽口10Bでは、第1周回部23と第2周回部24とが径方向にオーバーラップしている。本実施形態では、第1周回部23のうちの後側D2に位置する部分が、第2周回部24のうちの前側D1に位置する部分に対して、径方向の外側に位置している。この結果、第2流路22は、内側流路22bとして機能する。第1流路21は、内側流路22b(第2流路22)に対して径方向の外側に位置する外側流路21bとして機能する。第1流路21および第2流路22は、後述する中間部材50を隔てて径方向に隣り合う環状流路21cとしても機能する。
羽口本体20は、ベース部材30およびカバー部材40に加え、ベース部材30に取り付けられる中間部材50を更に備えている。
ベース部材30は、内筒壁部31、外筒壁部32および後壁部33を備えるものの、前壁部34を備えていない。言い換えると、ベース部材30の内部空間は、前側D1に向けて開口している。外筒壁部32の前側D1の端部は、内筒壁部31の前側D1の端部に比べて後側D2に位置している。
中間部材50は、ベース部材30の内部空間を前側D1から閉塞している。本実施形態では、ベース部材30と中間部材50との間に、第2周回部24が形成されている。
中間部材50は、ベース部材30とは別部材によって形成されている。中間部材50は、筒状に形成されている。中間部材50は、第1テーパ部51と、第2テーパ部52と、フランジ部53と、を備えている。
第1テーパ部51は、第2テーパ部52よりも前側D1に位置している。第2テーパ部52は、第1テーパ部51から後側D2に延びている。第1テーパ部51および第2テーパ部52はいずれも、前側D1から後側D2に向かうに従い徐々に拡径している。フランジ部53は、第1テーパ部51における前側D1の端部から径方向の内側に向けて突出している。
中間部材50における軸方向の両端部は、ベース部材30に、溶接により接合されている。本実施形態では、フランジ部53(中間部材50における前側D1の端部)が、内筒壁部31における前側D1の端部に接合されている。第2テーパ部52における後側D2の端部(中間部材50における後側D2の端部)が、外筒壁部32における前側D1の端部に接合されている。
カバー部材40は、中間部材50を覆っている。カバー部材40は、中間部材50を前側D1および径方向の外側から覆っている。カバー部材40では、前記外側壁部43が前記内側壁部44よりも後側D2に延びている。前記外側壁部43は、中間部材50を径方向の外側から覆う。外側壁部43における後側D2の端部は、外筒壁部32における前側D1の端部に、例えば溶接により接合されている。内側壁部44における後側D2の端部は、ベース部材30における内筒壁部31の前側D1の端部に、例えば溶接により接合されている。
カバー部材40と中間部材50との間には、第1周回部23が形成されている。
中間部材50は、第1流路21と第2流路22とを隔てる隔壁部25として機能する。中間部材50は、第1流路21と第2流路22とを径方向に隔てる径方向隔壁25bおよび環状隔壁25cとして機能する。
耐摩耗層60は、隔壁部25としての中間部材50に設けられている。耐摩耗層60は、第1流路21のうち、中間部材50によって形成されている部分に設けられている。耐摩耗層60は、第1テーパ部51の外周面、第2テーパ部52の外周面、およびフランジ部53の前面に設けられている。なお第1テーパ部51および第2テーパ部52の外周面は、径方向の外側を向く面であり、かつ、前側D1を向く面となる。フランジ部53の前面は、前側D1を向く面となる。
前記羽口10Bにおいて第1流路21への冷却水の供給を停止して高炉1(金属溶融炉)の運転を継続するとき、炉内の熱によってカバー部材40が溶失し、中間部材50が露出するが、中間部材50に耐摩耗層60が設けられているため、中間部材50が炉内に直接露出することが抑制される。
なお、本実施形態において、中間部材50の形状は特に限定されず、例えば、中間部材50はベース部材30と一体成型されていてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る羽口10Cを、図3を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図3に示すような羽口10Cでは、第2周回部24が、螺旋状に形成され、周方向に複数周(図示の例では2周)周回している。第2周回部24を螺旋状に形成して複数周、周回させることで、第2周回部を1周だけ周回させる場合に比べて、第2周回部24の流路断面積を小さく抑えつつ、第2周回部24を軸方向の広い範囲に形成することができる。その結果、第2周回部24を流通する冷却水の流速の低下を抑え、冷却水による冷却効果を高めることができる。よって、例えば、羽口本体20のうち、高温になり易い先端側部分であっても、温度上昇を抑えることができる。
第2周回部24が後側D2から前側D1に周回するに従い、第2周回部24の流路断面積は小さくなる。言い換えると、第2周回部24が前側D1から後側D2に周回するに従い、第2周回部24の流路断面積は大きくなる。なお、第2周回部24の流路断面積の変化はこれに限られない。例えば、第2周回部24が前側D1から後側D2に周回するに従い、第2周回部24の流路断面積が小さくなってもよい。第2周回部24の流路断面積が、第2周回部24の全長にわたって同等であってもよい。
ベース部材30は、内筒壁部31、外筒壁部32および後壁部33に加え、前壁部34を更に備えている。前壁部34は、外筒壁部32から径方向の内側に向けて延びている。前壁部34における径方向の内側の端部は、内筒壁部31における軸方向の中央部に連結されている。
中間部材50は、第1テーパ部51およびフランジ部53を備えているが、第2テーパ部52は備えていない。フランジ部53(中間部材50の前側D1の端部)は、内筒壁部31の前側D1の端部に接合されている。第1テーパ部51の後側D2の端部(中間部材50の後側D2の端部)は、前壁部34における径方向の中央部に接合されている。前壁部34のうち、中間部材50との接合部分に対して径方向の内側に位置する内側部分34bは、第2周回部24を螺旋状に区画する壁部として機能する。
本実施形態では、第1周回部23は、ベース部材30の前壁部34のうち、中間部材50との接合部分に対して径方向の外側に位置する外側部分34aと、中間部材50と、カバー部材40と、の間に設けられている。
前壁部34の外側部分34aおよび中間部材50は、第1流路21と第2流路22を隔てる隔壁部25として機能する。耐摩耗層60は、前壁部34の外側部分34aおよび中間部材50に設けられている。耐摩耗層60は、前壁部34の前面、第1テーパ部51の外周面およびフランジ部53の前面に設けられている。
前記羽口10Cにおいて第1流路21への冷却水の供給を停止して高炉1(金属溶融炉)の運転を継続するとき、炉内の熱によってカバー部材40が溶失し、前壁部34の外側部分34aおよび中間部材50が露出するが、前壁部34の外側部分34aおよび中間部材50に耐摩耗層60が設けられているため、前壁部34の外側部分34aおよび中間部材50が炉内に直接露出することが抑制される。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る羽口10Dを、図4を参照して説明する。
なお、この第4実施形態においては、第3実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4に示すような羽口10Dでは、第1実施形態と同様に、第1周回部23と第2周回部24とが軸方向に完全にずらされている。第1周回部23は、螺旋状に形成され、周方向に4周周回している。第1周回部23を螺旋状に形成して複数周、周回させることで、
前述した第2周回部24と同様に、第1周回部23を流通する冷却水の流速の低下を抑え、冷却水による冷却効果を高めることができる。
羽口本体20は、ベース部材30およびカバー部材40は備えているものの、中間部材50は備えていない。
ベース部材30の内筒壁部31のうち、前壁部34よりも前側D1に位置する前側部分31aには、螺旋壁部35が設けられている。螺旋壁部35は、内筒壁部31の前側部分31aから径方向の外側に向けて突出している。螺旋壁部35は、周方向に延びる螺旋状をなしている。
内筒壁部31の前側部分31aおよび螺旋壁部35は、第1流路21の一部となる螺旋溝36を形成している。螺旋溝36は、周方向に複数回(図示の例では3回)周回している。
螺旋溝36の内面は、底面36aと、一対の側面36b、36cと、を備えている。底面36aは、径方向の外側を向いている。一対の側面36b、36cは、底面36aを軸方向に挟んで配置されている。側面36b、36cは、底面36aから径方向の外側に向けて延びている。一対の側面36b、36cは、後側D2に位置する第1側面36bと、前側D1に位置する第2側面36cと、を備えている。
螺旋溝36は、カバー部材40によって径方向の外側から覆われている。螺旋溝36は、カバー部材40の外側壁部43によって、径方向の外側から閉塞されている。なお、本実施形態において、外側壁部43の内周面は、螺旋壁部35に対して単に突き合わされてシールされているのに留まり、溶接などにより接合されてはいないが、両者が接合されていてもよい。
ベース部材30の前壁部34は、第1流路21と第2流路22を隔てる隔壁部25として機能する。耐摩耗層60は、前壁部34に設けられている。耐摩耗層60は、第1流路21の内面のうち、隔壁部25によって形成される部分のみに形成されている。言い換えると、耐摩耗層60は、第1周回部23のうち、最も後側D2に位置する周回部分の第1側面36bのみに配置されている。
前記羽口10Dにおいて第1流路21への冷却水の供給を停止して高炉1(金属溶融炉)の運転を継続するとき、炉内の熱によってカバー部材40、内筒壁部31の前側部分31aおよび螺旋壁部35が溶失し、前壁部34が露出するが、前壁部34に耐摩耗層60が設けられているため、前壁部34が炉内に直接露出することが抑制される。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る羽口10Eを、図5を参照して説明する。
なお、この第5実施形態においては、第4実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に示すような羽口10Eでは、第2実施形態の羽口10Bと同様に、第1周回部23と第2周回部24とが径方向にオーバーラップしている。本実施形態では、第1周回部23のうちの後側D2に位置する部分が、第2周回部24のうちの前側D1に位置する部分に対して、径方向の外側に位置している。
ベース部材30では、前壁部34が、テーパ部37と、第1フランジ部38と、第2フランジ部39と、を備えている。テーパ部37は、前側D1から後側D2に向けて徐々に拡径する筒状に形成されている。第1フランジ部38は、テーパ部37における前側D1の端部から径方向の内側に向けて突出している。第2フランジ部39は、テーパ部37における後側D2の端部から径方向の外側に向けて突出している。第1フランジ部38は、内筒壁部31の前側D1の端部に連結されている。第2フランジ部39は、外筒壁部32の前側D1の端部に連結されている。
テーパ部37の外周面には、螺旋壁部35および螺旋溝36が設けられている。
ベース部材30の前壁部34は、第1流路21と第2流路22を隔てる隔壁部25として機能する。耐摩耗層60は、前壁部34に設けられている。耐摩耗層60は、テーパ部37の外周面と、第1フランジ部38の前面と、第2フランジ部39の前面と、に設けられている。耐摩耗層60は、螺旋壁部35には設けられていない。
耐摩耗層60は、第1周回部23のうち、最も後側D2に位置する周回部分の第1側面36bと、螺旋溝36の底面36aと、を含む部分に配置されているとも言える。なお、前記第1側面36b(第2フランジ部39の前面)は、前側D1を向く面となり、螺旋溝36の底面36a(テーパ部37の外周面)は、径方向の外側を向く面であり、かつ、前側D1を向く面となる。
前記羽口10Eにおいて第1流路21への冷却水の供給を停止して高炉1(金属溶融炉)の運転を継続するとき、炉内の熱によってカバー部材40が溶失し、ベース部材30の前壁部34が露出するが、前壁部34に耐摩耗層60が設けられているため、前壁部34が炉内に直接露出することが抑制される。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る羽口10Fを、図6を参照して説明する。
なお、この第6実施形態においては、第5実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6に示すような羽口10Fでは、第2周回部24が、螺旋状に形成され、周方向に2周周回している。本実施形態では、ベース部材30が、区画壁部39aを更に備えている。区画壁部39aは、前壁部34の第2フランジ部39から径方向の内側に延び、内筒壁部31に連結されている。区画壁部39aは、第2周回部24を螺旋状に区画する。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態に係る羽口10Gを、図7を参照して説明する。
なお、この第7実施形態においては、第6実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示すような羽口10Gでは、第2周回部24が、周方向に4周周回している。区画壁部39aは、内筒壁部31とテーパ部37との間を、螺旋状に3周回分、区画している。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
前記実施形態では、羽口10Aから10Fがいずれも2つの流路21、22のみを備えており、これらの2つ以外の流路21、22を備えていない(すなわち、流路が2つの流路21、22のみからなる)が、3つ以上の流路を備えていてもよい。
例えば、図3に示す第3実施形態の羽口10Cにおける中間部材50を径方向に複数積層させ、流路を径方向に多重に配置してもよい。この場合、羽口(不図示)は、複数の流路として、中間部材50(環状隔壁25c)を隔てて径方向に隣り合う複数の環状流路21cを備えることになる。また、複数の環状流路21cは、一の環状流路21cと、一の環状流路21cに対して、一の中間部材50(環状隔壁25c)を隔てて径方向の内側から隣り合う他の環状流路21cと、を備えることになる。そこで耐摩耗層60を、前記一の環状流路21cの内面において一の中間部材50によって形成される部分に設けることで、操業延長に資することができる。
さらに例えば、図6に示す第6実施形態の羽口10Fにおいて、例えば、2周回分ある第2周回部24のうち、後側D2に位置する1周回分(以下、第3流路という)と、前側D1に位置する1周回分(以下、第4流路という)と、を独立した流路としてもよい。この場合、羽口(不図示)が、複数の流路として第1流路21、第3流路および第4流路を備える。第3流路は胴部流路22aとして機能する。第1流路21および第4流路は、第3流路(胴部流路22a)に対して前側D1(軸方向に沿う炉の内側)に位置し、ベース部材30の第2フランジ部39または区画壁部39a(軸方向隔壁25a)を隔てて第3流路と軸方向に隣り合う先端部流路21aとして機能する。さらに、第1流路21および第4流路のうちの第4流路は、内側流路22bとして機能する。第1流路21は、第4流路(内側流路22b)に対して径方向の外側に位置し、テーパ部37(径方向隔壁25b)を隔てて第4流路と径方向に隣り合う外側流路21bとして機能する。このような構成において、耐摩耗層60は、第1流路21および第4流路の内面において第2フランジ部39または区画壁部39aによって形成される部分と、第1流路21の内面においてテーパ部37によって形成される部分と、のうちの少なくとも1つに設けられていることが好ましい。
前記実施形態では、各羽口10Aから10Gにおける流路21、22の内面のみに耐摩耗層60が形成されているが、各羽口10Aから10Gにおける外面にも耐摩耗層が設けられていてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
10A〜10G 羽口
21 第1流路
21a 先端部流路
21b 外側流路
21c 環状流路
22 第2流路
22a 胴部流路
22b 内側流路
23、24 周回部
25 隔壁部
25a 軸方向隔壁
25b 径方向隔壁
25c 環状隔壁
60 耐摩耗層

Claims (12)

  1. 冷媒の流入口と流出口とが互いに異なる複数の流路が内部に形成された羽口であって、
    前記流路の内面の少なくとも一部に耐摩耗層が設けられている羽口。
  2. 前記耐摩耗層は、前記流路の内面において、前記羽口の軸方向に沿う炉の内側を向く面、および、前記羽口の径方向の外側を向く面のうちの少なくとも一方に設けられている請求項1に記載の羽口。
  3. 前記流路として、隔壁部を隔てて隣り合う第1流路および第2流路を備え、
    前記第1流路は、前記第2流路よりも高温環境下に配置され、
    前記耐摩耗層は、前記第1流路の内面において前記隔壁部によって形成される部分に設けられている請求項1または2に記載の羽口。
  4. 前記第2流路が、胴部流路であり、
    前記第1流路が、前記胴部流路に対して前記羽口の軸方向に沿う炉の内側に位置する先端部流路であり、
    前記隔壁部が、前記胴部流路と前記先端部流路とを前記軸方向に隔てる軸方向隔壁であり、
    前記耐摩耗層は、前記先端部流路の内面において前記軸方向隔壁によって形成される部分に設けられている請求項3に記載の羽口。
  5. 前記第2流路が、内側流路であり、
    前記第1流路が、前記内側流路に対して前記羽口の径方向の外側に位置する外側流路であり、
    前記隔壁部が、前記内側流路と前記外側流路とを前記径方向に隔てる径方向隔壁であり、
    前記耐摩耗層は、前記外側流路の内面において前記径方向隔壁によって形成される部分に設けられている請求項3に記載の羽口。
  6. 前記流路として、
    胴部流路と、
    前記胴部流路に対して前記羽口の軸方向に沿う炉の内側に位置し、軸方向隔壁を隔てて前記胴部流路と前記軸方向に隣り合う内側流路および外側流路と、を備え、
    前記外側流路は、前記内側流路に対して前記羽口の径方向の外側に位置し、径方向隔壁を隔てて前記内側流路と前記径方向に隣り合い、
    前記耐摩耗層は、
    前記内側流路の内面において前記軸方向隔壁によって形成される部分と、
    前記外側流路の内面において前記軸方向隔壁によって形成される部分と、
    前記外側流路の内面において前記径方向隔壁によって形成される部分と、のうちの少なくとも1つに設けられている請求項1または2に記載の羽口。
  7. 前記流路として、環状隔壁を隔てて前記羽口の径方向に隣り合う複数の環状流路を備え、
    前記複数の環状流路は、一の環状流路と、前記一の環状流路に対して、一の環状隔壁を隔てて前記径方向の内側から隣り合う他の環状流路と、を備え、
    前記耐摩耗層は、前記一の環状流路の内面において前記一の環状隔壁によって形成される部分に設けられている請求項1または2に記載の羽口。
  8. 前記流路は、前記羽口の周方向に延びる周回部を備え、
    前記耐摩耗層は、前記周回部の内面に設けられている請求項1から7のいずれか1項に記載の羽口。
  9. 前記耐摩耗層のうち、前記周回部の上半周に位置する部分の面積が、前記周回部の下半周に位置する部分の面積以上である請求項8に記載の羽口。
  10. 前記耐摩耗層は、前記羽口を、前記羽口の軸線に直交しかつ前記周回部を含む横断面で見たときに、前記周回部の内面のうち、前記軸線に対して真上に位置する基準位置を中心として、前記軸線回りに90度の範囲に連続して設けられている請求項8または9に記載の羽口。
  11. 前記耐摩耗層は、前記羽口を前記横断面で見たときに、前記周回部の内面のうち、前記基準位置を中心として、前記軸線回りに180度の範囲に連続して設けられている請求項10に記載の羽口。
  12. 前記耐摩耗層は、合金またはセラミックである請求項1から11のいずれか1項に記載の羽口。
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