JP2020152962A - 羽口 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような操業の継続時、冷却水の供給を停止した前部もしくは外周の表面を構成する金属(例えば、銅・銅合金)が、耐摩耗材とともに溶損(消失)する。その結果、後部もしくは内周の金属(例えば、銅または銅合金)の表面が高炉内に露出し、コークス等によって早期に摩耗するため、期待される操業延長効果を得られない。
本発明に係る羽口は、冷媒の流入口と流出口とが互いに異なる複数の流路が内部に形成された羽口であって、前記流路の内面の少なくとも一部に耐摩耗層が設けられている。
耐摩耗層が外側流路の内面において径方向隔壁によって形成される部分に設けられている場合、外側流路への冷媒の供給が停止され、羽口の先端部における外周部が溶損したとしても、径方向隔壁を直接露出させるのではなく、径方向隔壁に設けられた耐摩耗層を露出させることができる。
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る羽口10Aを説明する。
羽口10Aは、高炉1(金属溶融炉)に用いられる。図1に示すように、羽口10Aは、高炉1の外部Oから内部Iに気体(熱風)を吹き込む。なお羽口10Aは、例えば、キュポラ炉など、高炉1以外の金属溶融炉に適用することも可能である。
本実施形態では、羽口10Aは、前側D1斜め下側に向けて熱風を吹き込む。軸線Lは、水平面に対して傾斜している。軸線Lは、前側D1に向かうに従い下側に延びている。
本実施形態では、羽口10Aは、いわゆる親子羽口(二重羽口)である。羽口本体20には、2つの流路21、22が形成されている。羽口本体20は、2つの流路21、22として、第1流路21および第2流路22を備えている。第1流路21および第2流路22では、冷却水(冷媒、液体)の流入口と流出口とが互いに異なっている。第1流路21および第2流路22は、互いに独立した流路21、22である。言い換えると、第1流路21および第2流路22は、互いに共有する部分を有していない。
前端壁部42は、羽口本体20の先端面(前端面)を形成する。前端壁部42は、円環状に形成されている。外側壁部43および内側壁部44は、いずれも筒状に形成され、前端壁部42から後側D2に向けて延びている。外側壁部43は、内側壁部44よりも大径に形成されている。外側壁部43は、前端壁部42の外周縁から後側D2に延びている。内側壁部44は、前端壁部42の内周縁から後側D2に延びている。
前記周溝41は、前端壁部42に対する後側D2であって、外側壁部43と内側壁部44との間に形成されている。
また、「径方向の外側を向く面」も同様に、沿面方向が径方向に直交する面に限られない。沿面方向が径方向に直交しないものの交差する面(径方向に平行でない面)であって、径方向の外側を向く面であれば、「径方向の外側を向く面」に含まれる。
耐摩耗層60の厚みは、耐摩耗性の観点からは厚いほど好ましく、例えば0.1mm以上である。ただし、あまりに厚すぎると流路断面積が小さくなり冷却水の流通性に影響が生じることから、例えば3mm以下であることが好ましい。
また耐摩耗処理の際は、羽口本体20の表面(流路21、22の内面)に凹凸を施すことができる。この場合、流路21、22の内面に対する耐摩耗層60の接着性を高めることができるが、前記凹凸がなくてもよい。
まず、ベース部材30およびカバー部材40を形成する。これらのベース部材30およびカバー部材40は、例えば、鋳造または機械加工により形成することができる。その後、ベース部材30において第1流路21の内面となる位置(本実施形態では隔壁部25)に耐摩耗処理を施し、耐摩耗層60を形成する。そして、ベース部材30にカバー部材40を溶接等により取り付ける。これにより、羽口10Aを製造することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る羽口10Bを、図2を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
ベース部材30は、内筒壁部31、外筒壁部32および後壁部33を備えるものの、前壁部34を備えていない。言い換えると、ベース部材30の内部空間は、前側D1に向けて開口している。外筒壁部32の前側D1の端部は、内筒壁部31の前側D1の端部に比べて後側D2に位置している。
中間部材50は、ベース部材30とは別部材によって形成されている。中間部材50は、筒状に形成されている。中間部材50は、第1テーパ部51と、第2テーパ部52と、フランジ部53と、を備えている。
中間部材50は、第1流路21と第2流路22とを隔てる隔壁部25として機能する。中間部材50は、第1流路21と第2流路22とを径方向に隔てる径方向隔壁25bおよび環状隔壁25cとして機能する。
なお、本実施形態において、中間部材50の形状は特に限定されず、例えば、中間部材50はベース部材30と一体成型されていてもよい。
次に、本発明の第3実施形態に係る羽口10Cを、図3を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
前壁部34の外側部分34aおよび中間部材50は、第1流路21と第2流路22を隔てる隔壁部25として機能する。耐摩耗層60は、前壁部34の外側部分34aおよび中間部材50に設けられている。耐摩耗層60は、前壁部34の前面、第1テーパ部51の外周面およびフランジ部53の前面に設けられている。
次に、本発明の第4実施形態に係る羽口10Dを、図4を参照して説明する。
なお、この第4実施形態においては、第3実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
前述した第2周回部24と同様に、第1周回部23を流通する冷却水の流速の低下を抑え、冷却水による冷却効果を高めることができる。
ベース部材30の内筒壁部31のうち、前壁部34よりも前側D1に位置する前側部分31aには、螺旋壁部35が設けられている。螺旋壁部35は、内筒壁部31の前側部分31aから径方向の外側に向けて突出している。螺旋壁部35は、周方向に延びる螺旋状をなしている。
螺旋溝36の内面は、底面36aと、一対の側面36b、36cと、を備えている。底面36aは、径方向の外側を向いている。一対の側面36b、36cは、底面36aを軸方向に挟んで配置されている。側面36b、36cは、底面36aから径方向の外側に向けて延びている。一対の側面36b、36cは、後側D2に位置する第1側面36bと、前側D1に位置する第2側面36cと、を備えている。
次に、本発明の第5実施形態に係る羽口10Eを、図5を参照して説明する。
なお、この第5実施形態においては、第4実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
ベース部材30の前壁部34は、第1流路21と第2流路22を隔てる隔壁部25として機能する。耐摩耗層60は、前壁部34に設けられている。耐摩耗層60は、テーパ部37の外周面と、第1フランジ部38の前面と、第2フランジ部39の前面と、に設けられている。耐摩耗層60は、螺旋壁部35には設けられていない。
次に、本発明の第6実施形態に係る羽口10Fを、図6を参照して説明する。
なお、この第6実施形態においては、第5実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
次に、本発明の第7実施形態に係る羽口10Gを、図7を参照して説明する。
なお、この第7実施形態においては、第6実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
例えば、図3に示す第3実施形態の羽口10Cにおける中間部材50を径方向に複数積層させ、流路を径方向に多重に配置してもよい。この場合、羽口(不図示)は、複数の流路として、中間部材50(環状隔壁25c)を隔てて径方向に隣り合う複数の環状流路21cを備えることになる。また、複数の環状流路21cは、一の環状流路21cと、一の環状流路21cに対して、一の中間部材50(環状隔壁25c)を隔てて径方向の内側から隣り合う他の環状流路21cと、を備えることになる。そこで耐摩耗層60を、前記一の環状流路21cの内面において一の中間部材50によって形成される部分に設けることで、操業延長に資することができる。
さらに例えば、図6に示す第6実施形態の羽口10Fにおいて、例えば、2周回分ある第2周回部24のうち、後側D2に位置する1周回分(以下、第3流路という)と、前側D1に位置する1周回分(以下、第4流路という)と、を独立した流路としてもよい。この場合、羽口(不図示)が、複数の流路として第1流路21、第3流路および第4流路を備える。第3流路は胴部流路22aとして機能する。第1流路21および第4流路は、第3流路(胴部流路22a)に対して前側D1(軸方向に沿う炉の内側)に位置し、ベース部材30の第2フランジ部39または区画壁部39a(軸方向隔壁25a)を隔てて第3流路と軸方向に隣り合う先端部流路21aとして機能する。さらに、第1流路21および第4流路のうちの第4流路は、内側流路22bとして機能する。第1流路21は、第4流路(内側流路22b)に対して径方向の外側に位置し、テーパ部37(径方向隔壁25b)を隔てて第4流路と径方向に隣り合う外側流路21bとして機能する。このような構成において、耐摩耗層60は、第1流路21および第4流路の内面において第2フランジ部39または区画壁部39aによって形成される部分と、第1流路21の内面においてテーパ部37によって形成される部分と、のうちの少なくとも1つに設けられていることが好ましい。
21 第1流路
21a 先端部流路
21b 外側流路
21c 環状流路
22 第2流路
22a 胴部流路
22b 内側流路
23、24 周回部
25 隔壁部
25a 軸方向隔壁
25b 径方向隔壁
25c 環状隔壁
60 耐摩耗層
Claims (12)
- 冷媒の流入口と流出口とが互いに異なる複数の流路が内部に形成された羽口であって、
前記流路の内面の少なくとも一部に耐摩耗層が設けられている羽口。 - 前記耐摩耗層は、前記流路の内面において、前記羽口の軸方向に沿う炉の内側を向く面、および、前記羽口の径方向の外側を向く面のうちの少なくとも一方に設けられている請求項1に記載の羽口。
- 前記流路として、隔壁部を隔てて隣り合う第1流路および第2流路を備え、
前記第1流路は、前記第2流路よりも高温環境下に配置され、
前記耐摩耗層は、前記第1流路の内面において前記隔壁部によって形成される部分に設けられている請求項1または2に記載の羽口。 - 前記第2流路が、胴部流路であり、
前記第1流路が、前記胴部流路に対して前記羽口の軸方向に沿う炉の内側に位置する先端部流路であり、
前記隔壁部が、前記胴部流路と前記先端部流路とを前記軸方向に隔てる軸方向隔壁であり、
前記耐摩耗層は、前記先端部流路の内面において前記軸方向隔壁によって形成される部分に設けられている請求項3に記載の羽口。 - 前記第2流路が、内側流路であり、
前記第1流路が、前記内側流路に対して前記羽口の径方向の外側に位置する外側流路であり、
前記隔壁部が、前記内側流路と前記外側流路とを前記径方向に隔てる径方向隔壁であり、
前記耐摩耗層は、前記外側流路の内面において前記径方向隔壁によって形成される部分に設けられている請求項3に記載の羽口。 - 前記流路として、
胴部流路と、
前記胴部流路に対して前記羽口の軸方向に沿う炉の内側に位置し、軸方向隔壁を隔てて前記胴部流路と前記軸方向に隣り合う内側流路および外側流路と、を備え、
前記外側流路は、前記内側流路に対して前記羽口の径方向の外側に位置し、径方向隔壁を隔てて前記内側流路と前記径方向に隣り合い、
前記耐摩耗層は、
前記内側流路の内面において前記軸方向隔壁によって形成される部分と、
前記外側流路の内面において前記軸方向隔壁によって形成される部分と、
前記外側流路の内面において前記径方向隔壁によって形成される部分と、のうちの少なくとも1つに設けられている請求項1または2に記載の羽口。 - 前記流路として、環状隔壁を隔てて前記羽口の径方向に隣り合う複数の環状流路を備え、
前記複数の環状流路は、一の環状流路と、前記一の環状流路に対して、一の環状隔壁を隔てて前記径方向の内側から隣り合う他の環状流路と、を備え、
前記耐摩耗層は、前記一の環状流路の内面において前記一の環状隔壁によって形成される部分に設けられている請求項1または2に記載の羽口。 - 前記流路は、前記羽口の周方向に延びる周回部を備え、
前記耐摩耗層は、前記周回部の内面に設けられている請求項1から7のいずれか1項に記載の羽口。 - 前記耐摩耗層のうち、前記周回部の上半周に位置する部分の面積が、前記周回部の下半周に位置する部分の面積以上である請求項8に記載の羽口。
- 前記耐摩耗層は、前記羽口を、前記羽口の軸線に直交しかつ前記周回部を含む横断面で見たときに、前記周回部の内面のうち、前記軸線に対して真上に位置する基準位置を中心として、前記軸線回りに90度の範囲に連続して設けられている請求項8または9に記載の羽口。
- 前記耐摩耗層は、前記羽口を前記横断面で見たときに、前記周回部の内面のうち、前記基準位置を中心として、前記軸線回りに180度の範囲に連続して設けられている請求項10に記載の羽口。
- 前記耐摩耗層は、合金またはセラミックである請求項1から11のいずれか1項に記載の羽口。
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