JP2020151721A - 板状部材のメカニカルクリンチ装置 - Google Patents

板状部材のメカニカルクリンチ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥を低減しつつ、複雑な構成及び/又は制御を必要とすること無く、単純な構成により、リベット等の他部材を使用せず、板状部材の塑性変形のみによって板状部材同士の締結力を増大させる。【解決手段】近接・離反自在に対向するパンチ及びダイスを備える、板状部材のメカニカルクリンチ装置において、ダイスの頂面を凹面として形成し、パンチの先端面とダイスの頂面との間の距離が頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成する。好ましくは、ダイスの頂面を凹状の球面として形成し、パンチの先端面を凸状の球面として形成し、且つ先端面の曲率半径r1を頂面の曲率半径r2よりも大きくする。【選択図】図4

Description

本発明は、板状部材のメカニカルクリンチ装置に関する。
当該技術分野においては、自動車の車体等における板状部材同士の接合方法として、溶接及び接着によらない機械的締結工法の一種である所謂「かしめ工法」が知られている。また、かしめ工法の中でも、リベット等の他部材を使用せず、板状部材の塑性変形のみによって板状部材同士の締結が可能な「メカニカルクリンチ工法」が広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
メカニカルクリンチ工法においては、当業者に周知であるように、例えば、積層された板状部材に上方からパンチを打ち込むことにより凹型に成形すると共に上側の板状部材を下側に隣接する他の板状部材の内部において径方向における外側へ塑性流動させる。その結果、隣接する2つの板状部材を構成する材料が互いに噛み合っている所謂「インターロック部」が形成され、これらの板状部材が互いに締結される。
上記のようなメカニカルクリンチ工法による板状部材同士の締結力を向上させるためには、パンチの打ち込みによって形成される凹部の側面(以降、「凹部側面」と称呼される場合がある)における板状部材の厚み及びインターロック部における板状部材同士の噛み合いの深さ(以降、「インターロック量」と称呼される場合がある)を大きくすることが望ましい。
そこで、当該技術分野においては、メカニカルクリンチ工法による板状部材同士の締結力の更なる向上を目的とする多種多様な技術が提案されている。例えば、図13は、従来技術に係るメカニカルクリンチ装置(以降、「従来装置」と称呼される場合がある)の構成及び作動の一例を示す模式図である。
図13に例示する従来装置200においては、(a)に示すように、先端部に金属板に向かって凹状の円錐面を有するダイス(固定アンビル5)の外周に分割配置された可動ブレード6の上に2枚の金属板1及び2を重ねて配置し、ストリッパ4とブレード6との間に金属板1及び2を挟み込んで固定する。その後、(b)に示すように、先端部に凸状の円錐面を有する円柱形のパンチ3を上方から当該金属板に局部的に押し込み、上側の金属板1を塑性変形させると共にブレード6を外周方向に逃がすことにより下面の金属板2を塑性変形させて、上下の金属板を機械的に接合する。これにより、インターロック部の下側の板状部材(金属板2)を構成する材料の径方向における外側への張り出し量を大きくして、インターロック部を径方向へ拡大させ、締結力を増大させることができる(例えば、特許文献2を参照)。
また、ダイスの軸中心部を構成する第1ダイスとダイスの外周部を構成する第2ダイスとによってダイスを構成し、第1ダイスを打ち込んだ後に第2ダイスをインターロック部のダイス側に打ち込むメカニカルクリンチ工法が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。当該メカニカルクリンチ工法によれば、第2ダイスの打ち込みにより、インターロック部のダイス側の部分が径方向における外側に向けて塑性流動し、インターロック部が径方向へ拡大すると共に凹部側面における板状部材の厚みが増大する。その結果、板状部材同士の締結力を増大させることができる。
しかしながら、上記のようなメカニカルクリンチ工法においては、径方向において移動可能に構成されたブレード及び第1ダイスと第2ダイスとによって構成されたダイス等の複雑な可動機構及び当該可動機構の精密な制御が必要とされる。このため、例えば、製造コストの増大及びメンテナンスの煩雑化等の問題に繋がる虞がある。また、インターロック部の下側の張り出し量が増大するため、例えば、周囲の他の部材との干渉及び審美性の低下等の問題に繋がる虞がある。
ところで、板状部材の性状によっては、パンチの打ち込みに伴って、例えば板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥が凹部側面において生ずる場合がある。このような欠陥は、例えば、インターロック量の低下及び板状部材同士の締結力の低下等の問題に繋がる。そこで、レーザ光を照射することにより板状部材のパンチが打ち込まれる部位を事前に加熱しておくことにより、板状部材の塑性流動を促進して、上記のような欠陥を低減する技術が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。しかしながら、当該技術には、例えば、加工装置の構成及び制御の複雑化等の問題に加えて、エネルギー消費量の増大等の問題がある。
また、上記のような凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥は、パンチ側の板状部材に比べてダイス側の板状部材の方がパンチの打ち込みに伴う塑性流動を生じ易い場合により顕著となる。このような場合の具体例としては、例えば、パンチ側の板状部材に比べてダイス側の板状部材の方がより軟らかい場合及びパンチ側の板状部材に比べてダイス側の板状部材の方がより厚い場合等を挙げることができる。
米国特許第4760634号明細書 特開2009−274119号公報 特開2001−200813号公報 特開2019−000883号公報
上述したように、当該技術分野においては、複雑な構成及び/又は制御を必要とすること無く、単純な構成により、リベット等の他部材を使用せず、板状部材の塑性変形のみによって板状部材同士の締結力を増大させることが可能なメカニカルクリンチ装置が求められている。更に、パンチ側の板状部材に比べてダイス側の板状部材の方がパンチの打ち込みに伴う塑性流動を生じ易い場合においても、凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥を低減しつつ、板状部材同士の締結力を増大させることが可能なメカニカルクリンチ装置が求められている。
上記課題に鑑み、本発明者は、鋭意研究の結果、メカニカルクリンチ工法によって複数の板状部材を締結するメカニカルクリンチ装置において、互いに対向するパンチの先端面とダイスの頂面との間の距離を頂面の中心から外側へ向かうほど小さくなるように構成することにより、上記要求に応えることができることを見出した。
具体的には、本発明に係る板状部材のメカニカルクリンチ装置(以降、「本発明装置」と称呼される場合がある)は、近接・離反自在に対向するパンチ及びダイスを備える板状部材のメカニカルクリンチ装置である。パンチの先端部には、ダイスに対向する面である先端面が形成されている。ダイスの先端部には、パンチ側に開口するキャビティが形成されており、キャビティの内部には、キャビティの底面からパンチに向かって隆起する凸部が形成されており、凸部の先端部には、パンチの先端面に対向する面である頂面が形成されている。また、本発明装置は、複数の板状部材が重なり合う部分である積層部にパンチを打ち込んでパンチの先端面とダイスの頂面との間に当該積層部を挟むことにより複数の板状部材を締結するように構成されている。
更に、本発明装置においては、ダイスの底面に形成された凸部の頂面が凹面として形成されており、パンチの先端面とダイスの頂面との間の距離は頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されている。
好ましくは、ダイスの頂面は凹状の球面として形成されており、パンチの先端面は凸状の球面として形成されており、且つ先端面の曲率半径r1は頂面の曲率半径r2よりも大きい。
本発明装置によれば、複雑な構成及び/又は制御を必要とすること無く、単純な構成により、リベット等の他部材を使用せず、板状部材の塑性変形のみによって板状部材同士の締結力を増大させることができる。また、パンチ側の板状部材に比べてダイス側の板状部材の方がパンチの打ち込みに伴う塑性流動を生じ易い場合においても、凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥を低減しつつ、板状部材同士の締結力を増大させることができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の第1実施形態に係る板状部材のメカニカルクリンチ装置(第1装置)が備えるパンチの構成の一例を示す模式図である。 第1装置が備えるダイスの構成の一例を示す模式図である。 図1及び図2に示したパンチ及びダイスが第1装置に組み込まれた状態を示す模式的な部分断面斜視図である。 図3に示したパンチ及びダイスを共通の軸に垂直な方向から観察した場合における模式的な部分断面側面図である。 第1装置においてメカニカルクリンチ工法によって2枚の板状部材が締結される様子を段階的に表す模式的な断面図である。 第1装置が備えるダイスの頂面の形状の具体例を示す模式的な断面図である。 第2装置が備えるパンチの先端面の形状の具体例を示す模式的な断面図である。 第2装置が備えるパンチの先端面及びダイスの頂面の形状の組み合わせの具体例を示す模式的な断面図である。 実施例1において本発明の実施例に係るメカニカルクリンチ装置(実施例装置)によって形成された第1部材と第2部材との締結部分を表す模式的な断面図である。 実施例1において従来技術の比較例に係るメカニカルクリンチ装置(比較例装置)によって形成された第1部材と第2部材との締結部分を表す模式的な断面図である。 実施例2において本発明の実施例に係るメカニカルクリンチ装置(実施例装置)によって形成された第1部材と第2部材との締結部分を表す模式的な断面図である。 実施例2において従来技術の比較例に係るメカニカルクリンチ装置(比較例装置)によって形成された第1部材と第2部材との締結部分を表す模式的な断面図である。 従来技術に係るメカニカルクリンチ装置(従来装置)の構成及び作動の一例を示す模式図である。 従来装置が備えるパンチの構成の一例を示す模式図である。 従来装置が備えるダイスの構成の一例を示す模式図である。 図14及び図15に示したパンチ及びダイスが従来装置に組み込まれた状態を示す模式的な部分断面斜視図である。 図16に示したパンチ及びダイスを共通の軸に垂直な方向から観察した場合における模式的な部分断面側面図である。 従来装置においてメカニカルクリンチ工法によって2枚の板状部材が締結される様子を段階的に表す模式的な断面図である。
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る板状部材のメカニカルクリンチ装置(以降、「第1装置」と称呼される場合がある)の種々の実施形態について説明するが、それに先立ち、従来技術に係る板状部材のメカニカルクリンチ装置(従来装置)が抱える問題点について説明する。
〈従来装置の構成〉
図14の(a)は、従来装置が備えるパンチの構成の一例を示す模式的な側面図であり、(b)は、(a)に示したパンチ210の先端部211の太い破線によって囲まれた部分の拡大図である。図14に例示したパンチ210の先端部211には、先端面212が平面として形成されている。
次に、図15の(a)は、従来装置が備えるダイスの構成の一例を示す模式的な斜視図であり、(b)は、(a)に示したダイス220の先端部の模式的な正面図である。また、(c)は、ダイス220の軸を含む平面によるダイス220の断面図であり、(d)は、(c)に示したダイス220の先端部の太い破線によって囲まれた部分の拡大図である。(c)及び(d)に示すように、ダイス220の先端部には、パンチ210側に開口するキャビティ221が形成されている。また、キャビティ221の内部には、キャビティ221の底面から(従来装置に組み込まれた状態において)パンチ210に向かって隆起する凸部222が形成されている。更に、凸部222の先端部には、(従来装置に組み込まれた状態において)パンチ210の先端面212に対向する面である頂面223が形成されている。
次に、図16は、パンチ210及びダイス220が従来装置201に組み込まれた状態を示す模式的な部分断面斜視図であり、図17は、図16に示したパンチ210及びダイス220の共通の軸AXに垂直な方向からパンチ210及びダイス220を観察した場合における模式的な部分断面側面図である。尚、以下の説明においては「パンチ210」という呼称が使用されるが、図16及び図17においてはパンチ210の先端部211以外の部分は省略されている。
図16及び図17に示す例においては、パンチ210はパンチホルダ213の中央に形成された円柱状の空間に収容され、図示しない駆動装置によって駆動されて、軸AXの方向に沿ってダイス220に近接したり離反したりするように構成されている。また、ダイス220の先端部は、中央部220aと周縁部220bとによって構成されている。中央部220aはキャビティ221の底辺及び凸部222を構成しており、周縁部220bはキャビティ221の側面及び周縁部並びにダイス220の外周面を構成している。しかしながら、中央部220aと周縁部220bとは必ずしも別部材として構成されている必要は無く、連続的な一体物としてダイス220が構成されていてもよい。
図16及び図17に示す従来装置201においては、パンチ210側の板状部材である第1部材301及びダイス220側の板状部材である第2部材302からなる積層体が、パンチホルダ213とダイス220の周縁部220bとの間に挟まれて固定されている。そして、上述した駆動装置によってパンチ210の先端部211が第1部材301側から打ち込まれ、第1部材301及び第2部材302からなる積層体がパンチ210の先端面212とダイス220の頂面223との間に挟まれる。これにより、第1部材301と第2部材302とが所謂「メカニカルクリンチ工法」によって締結される。
図18は、図17において太い破線によって囲まれた部分の拡大図であり、上記のような構成を有する従来装置201においてメカニカルクリンチ工法によって第1部材301と第2部材302とが締結される過程を(a)から(e)までの5つの状況に分けて段階的に表している。(a)はパンチホルダ213とダイス220の周縁部220bとの間に固定されている第1部材301にパンチ210の先端部211が当接したときの状況を表す。次に、(b)は、先端部211がダイス220のキャビティ221に向かって更に押し込まれて第1部材301及び第2部材302からなる積層体を湾曲させた結果、第2部材302がダイス220の頂面223に接触するようになったときの状況を表す。従って、(a)から(b)までの期間においては、第1部材301及び第2部材302からなる積層体は曲げ加工に付されている。
次に、(c)は、先端部211が更に押し込まれて第1部材301及び第2部材302からなる積層体に凹部が形成されつつある状況を表す。この状況下における積層体は、曲げ加工に加えて、先端部211の押し込みにより積層部を潰して径方向における外側へと塑性流動させる所謂「張り出し加工」にも付されている。次に、(d)は、先端部211が更に押し込まれて張り出し加工が更に進行し、第1部材301が第2部材302の中に入り込んで互いに噛み合っている部分であるインターロック部が形成される直前の状況を表す。最後に、(e)は、パンチ210の先端部211の打ち込みが完了し、インターロック部が形成されている状況を表す。
前述したように、上記のようなメカニカルクリンチ工法による板状部材同士の締結力を向上させるためには、パンチの打ち込みによって形成される凹部の側面(凹部側面)における板状部材の厚み及びインターロック部における板状部材同士の噛み合いの深さ(インターロック量)を大きくすることが望ましい。しかしながら、例えばパンチ側の板状部材に比べてダイス側の板状部材の方がパンチの打ち込みに伴う塑性流動を生じ易い場合等において、凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥が発生しがちである。このような場合の具体例としては、例えば、パンチ側の板状部材に比べてダイス側の板状部材の方がより軟らかい場合及びパンチ側の板状部材に比べてダイス側の板状部材の方がより厚い場合等を挙げることができる。
ここで、図18に示した例においてパンチ210(の先端部211)側に位置する第1部材301よりもダイスの方側に位置する第2部材302の方が塑性流動を生じ易い場合(例えば、第1部材301よりも第2部材302の方がより軟らかい又はより厚い場合等)を想定する。この場合、(a)から(d)までの過程においてパンチ210の打ち込みに伴って潰れる量は第2部材302よりも第1部材301の方が少なくなるので、径方向における外側へと塑性流動する第1部材301も少なくなる。その結果、凹部側面において第1部材301が局所的に延伸されるため、第1部材301の厚みが低下したり第1部材301が破断したりする。また、インターロック量も小さくなるので、第1部材301と第2部材302との締結力も小さくなる。
上記のような場合においてインターロック量を大きくするためには、パンチ210をより深く打ち込んで第1部材301が潰れる量を増大させる必要がある。しかしながら、パンチ210をより深く打ち込むことは、凹部側面における第1部材301及び第2部材302の厚みの更なる低下に繋がってしまう。
上記のように、従来装置において、凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥を低減しつつ、複雑な構成及び/又は制御を必要とすること無く、単純な構成により、リベット等の他部材を使用せず、板状部材の塑性変形のみによって板状部材同士の締結力を増大させることは困難である。
〈第1装置の構成〉
そこで、本発明の第1実施形態に係る板状部材のメカニカルクリンチ装置(第1装置)においては、前述したように、互いに対向するパンチの先端面とダイスの頂面との間の距離を頂面の中心から外側へ向かうほど小さくなるように構成することにより、上記課題を解決する。
具体的には、第1装置は、近接・離反自在に対向するパンチ及びダイスを備える板状部材のメカニカルクリンチ装置であり、基本的には、上述した従来装置と同様の構成を有する。従って、例えば、パンチ及びダイスを近接・離反自在に対向するように支持するための機構等、当業者に周知である構成についての説明は省略される場合がある。
パンチの先端部には、ダイスに対向する面である先端面が形成されている。ダイスには、パンチ側に開口するキャビティが形成されており、キャビティの内部には、キャビティの底面からパンチに向かって隆起する凸部が形成されている。このように、キャビティの内部に凸部が形成されているということは、凸部はキャビティの外部へ突出しておらず、キャビティの底面からの凸部の高さはキャビティの深さ(パンチとダイスとが近接・離反する方向における奥行き)以下であることを意味する。尚、凸部の形状は特に限定されないが、パンチが打ち込まれるときの衝撃及び押圧力に耐える必要があることから、典型的には截頭錐体状の形状を有する。
凸部の先端部には、パンチの先端面に対向する面である頂面が形成されている。また、凸部はキャビティの底面から隆起しているので、底面における凸部の周囲は凸部の頂面よりも低く、凸部を取り囲む溝状の形状を呈する。これにより、パンチの打ち込みに伴って塑性流動する板状部材を構成する材料を受け入れて、パンチの打ち込みに対する抗力を低減したり、インターロック部の形成を促進したりすることができる。尚、パンチ及びダイスの全体としての形状及び構造並びに材料等については、例えば、パンチ及びダイスが組み込まれる第1装置の設計及び仕様並びに第1装置によって締結しようとする部材の形状及び構造並びに材料等に応じて適宜定められる。
また、第1装置は、複数の板状部材が重なり合う部分である積層部にパンチを打ち込んでパンチの先端面とダイスの頂面との間に当該積層部を挟むことにより複数の板状部材を締結するように構成されている。積層部を構成する板状部材の数は、複数(即ち、2つ以上)であれば特に限定されないが、典型的には2つである。また、個々の板状部材の厚み及び材料等についても特に限定されないが、典型的には個々の板状部材は金属板である。
積層部にパンチを打ち込んでパンチの先端面とダイスの頂面との間に当該積層部を挟む動作は、所定の位置に固定されたダイスにパンチを近接させることによって達成してもよく、或いは所定の位置において積層部を挟むようにパンチ及びダイスの双方を互いに近接させることによって達成してもよい。尚、パンチとダイスとを近接させたり離反させたりするための駆動装置及び付随する機構等については、当業者に周知であるので、ここでの説明は省略される。
更に、第1装置においては、ダイスの底面に形成された凸部の頂面が凹面として形成されており、パンチの先端面とダイスの頂面との間の距離は頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されている。先端面と頂面との間の距離が頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されている限り、凹面として形成される頂面の具体的な形状は、特に限定されない。尚、ここで言う「パンチの先端面とダイスの頂面との間の距離」は、パンチとダイスとが近接・離反する方向におけるパンチの先端面とダイスの頂面との間の距離である。
ここで、第1装置の1つの具体例につき、図面を参照しながら、より詳しく説明する。図1の(a)は、第1装置が備えるパンチの構成の一例を示す模式的な側面図であり、(b)は、(a)に示したパンチ110の先端部111の太い破線によって囲まれた部分の拡大図である。図1に例示したパンチ110の先端部111には、曲率半径がr1である球面として先端面112が形成されているが、上述した要件を満たす限り、先端面112の形状はこれに限定されず、例えば、球面以外の曲面であってもよく、或いは平面であってもよい。
次に、図2の(a)は、第1装置が備えるダイスの構成の一例を示す模式的な斜視図であり、(b)は、(a)に示したダイス120の先端部の模式的な正面図である。また、(c)は、ダイス120の軸を含む平面によるダイス120の断面図であり、(d)は、(c)に示したダイス120の先端部の太い破線によって囲まれた部分の拡大図である。(c)及び(d)に示すように、ダイス120の先端部には、パンチ110側に開口するキャビティ121が形成されている。また、キャビティ121の内部には、キャビティ121の底面から(第1装置に組み込まれた状態において)パンチ110に向かって隆起する凸部122が形成されている。更に、凸部122の先端部には、(第1装置に組み込まれた状態において)パンチ110の先端面112に対向する面である頂面123が形成されている。
上述した従来装置201が備える凸部222の頂面223は平面として形成されているのに対し、第1装置101が備える凸部122の頂面123は凹面として形成されている。これにより、詳しくは後述するように、上述した従来装置201においては先端面212と頂面223との間の距離は頂面223上の何れの位置においても一定であるのに対し、第1装置101においては先端面112と頂面123との間の距離は頂面123の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されている。
次に、図3は、パンチ110及びダイス120が第1装置101に組み込まれた状態を示す模式的な部分断面斜視図であり、図4は、図3に示したパンチ110及びダイス120の共通の軸AXに垂直な方向からパンチ110及びダイス120を観察した場合における模式的な部分断面側面図である。図1乃至図4に示すように、典型的には、パンチ110及びダイス120はそれぞれ略円柱状の外観を有し、第1装置において同軸状に(即ち、共通の軸AXを有するように)配置される。尚、以下の説明においては「パンチ110」という呼称が使用されるが、図3及び図4においてはパンチ110の先端部111以外の部分は省略されている。
図3及び図4に示す例においては、パンチ110はパンチホルダ113の中央に形成された円柱状の空間に収容され、図示しない駆動装置によって駆動されて、軸AXの方向に沿ってダイス120に近接したり離反したりするように構成されている。また、ダイス120の先端部は、中央部120aと周縁部120bとによって構成されている。中央部120aはキャビティ121の底辺及び凸部122を構成しており、周縁部120bはキャビティ121の側面及び周縁部並びにダイス120の外周面を構成している。しかしながら、中央部120aと周縁部120bとは必ずしも別部材として構成されている必要は無く、中央部120aと周縁部120bとからなる連続的な一体物としてダイス120が構成されていてもよい。
図3及び図4に示す第1装置101においては、パンチ110側の板状部材である第1部材301及びダイス120側の板状部材である第2部材302からなる積層体が、パンチホルダ113とダイス120の周縁部120bとの間に挟まれて固定されている。そして、上述した駆動装置によってパンチ110の先端部111が第1部材301側から打ち込まれ、第1部材301及び第2部材302からなる積層体がパンチ110の先端面112とダイス120の頂面123との間に挟まれる。これにより、第1部材301と第2部材302とがメカニカルクリンチ工法によって締結される。
図5は、図4において太い破線によって囲まれた部分の拡大図であり、上記のような構成を有する第1装置101においてメカニカルクリンチ工法によって第1部材301と第2部材302とが締結される過程を(a)から(e)までの5つの状況に分けて段階的に表している。(a)はパンチホルダ113とダイス120の周縁部120bとの間に固定されている第1部材301にパンチ110の先端部111が当接したときの状況を表す。次に、(b)は、先端部111がダイス120のキャビティ121に向かって更に押し込まれて第1部材301及び第2部材302からなる積層体を湾曲させた結果、第2部材302がダイス120の頂面123に接触するようになったときの状況を表す。従って、(a)から(b)までの期間においては、第1部材301及び第2部材302からなる積層体は曲げ加工に付されている。
次に、(c)は、先端部111が更に押し込まれて第1部材301及び第2部材302からなる積層体に凹部が形成されつつある状況を表す。この状況下における積層体は、曲げ加工に加えて、先端部111の押し込みにより積層部を潰して径方向における外側へと塑性流動させる所謂「張り出し加工」にも付されている。次に、(d)は、先端部111が更に押し込まれて張り出し加工が更に進行し、第1部材301が第2部材302の中に入り込んで互いに噛み合っている部分であるインターロック部が形成される直前の状況を表す。最後に、(e)は、パンチ110の先端部111の打ち込みが完了し、インターロック部が形成されている状況を表す。
上述したように、第1装置101においては、ダイス120の頂面123は凹面として形成されており、パンチ110の先端面112とダイス120の頂面123との間の距離は頂面123の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されている。これにより、図5の(a)から(d)に示したパンチ110が打ち込まれる過程において、ダイス120側の板状部材である第2部材302の径方向における外側への塑性流動が抑制されるので、パンチ110の打ち込みに伴って第2部材302が潰れる量も減少する。その分、パンチ110側の板状部材である第1部材301がパンチ110の打ち込みに伴って潰れる量が増大し、第1部材301の径方向における外側への塑性流動が促進される。
上記の結果、凹部側面における第1部材301の局所的な延伸が抑制されるため、第1部材301の厚みが低下したり第1部材301が破断したりする問題が低減される。また、インターロック量も大きくなるので、第1部材301と第2部材302との締結力も大きくなる。
〈効果〉
以上のように、第1装置によれば、凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥を低減しつつ、複雑な構成及び/又は制御を必要とすること無く、単純な構成により、リベット等の他部材を使用せず、板状部材の塑性変形のみによって板状部材同士の締結力を増大させることができる。
〈第1装置が備えるダイスの頂面の具体例〉
上述したように、第1装置においては、ダイスの底面に形成された凸部の頂面が凹面として形成されており且つパンチの先端面とダイスの頂面との間の距離が頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されている限り、ダイスの頂面の具体的な形状は、特に限定されない。
例えば、図6の(a)に示すように、第1装置が備えるダイスの凸部122の頂面123は、凹状の曲面として形成されていてもよい。この場合、頂面123は、図6の(b)に示すように、特定の曲率半径r2を有する凹状の球面として形成されていてもよい。或いは、第1装置が備えるダイスの凸部122の頂面123は、図6の(c)に示すように、特定の円錐角θ2を有する凹状の円錐面として形成されていてもよい。尚、本明細書において「円錐角」とは、円錐面の頂点を通る軸を含む平面による当該円錐面の断面における2つの母線がなす角を意味する。
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る板状部材のメカニカルクリンチ装置(以降、「第2装置」と称呼される場合がある)の種々の実施形態について説明する。
上述した図1に例示したパンチ110の先端部111においては、曲率半径がr1である球面として先端面112が形成されている。しかしながら、上述したように、パンチの先端面とダイスの頂面との間の距離が頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されている限り、パンチの先端面の形状はこれに限定されず、例えば、球面以外の曲面であってもよく、或いは平面であってもよい。
しかしながら、凹部側面における第1部材の薄肉化及び/又は破断を低減したりインターロック量を大きくしたりして第1部材と第2部材との締結力を増大させる観点からは、パンチの打ち込みに伴う第1部材の径方向における外側への塑性流動を促進して凹部側面における第1部材の局所的な延伸を低減することがより好ましい。
〈第2装置の構成〉
そこで、第2装置は、上述した第1装置であって、パンチの先端面が凸面として形成されている、板状部材のメカニカルクリンチ装置である。
上述したように、第1装置においては、ダイスの底面に形成された凸部の頂面が凹面として形成されており且つパンチの先端面とダイスの頂面との間の距離が頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されている。これにより、第2部材の径方向における外側への塑性流動が抑制され、パンチの打ち込みに伴って第2部材が潰れる量も減少する。その分、パンチの打ち込みに伴って第1部材が潰れる量が増大し、第1部材の径方向における外側への塑性流動が促進される。これに加えて、第2装置においては、パンチの先端面が凸面として形成されているので、パンチの打ち込みに伴う第1部材の径方向における外側への塑性流動が更に促進される。
〈効果〉
以上のように、第2装置によれば、パンチの打ち込みに伴う第1部材の径方向における外側への塑性流動が更に促進される。その結果、凹部側面における第1部材の局所的な延伸が更に低減され、凹部側面における第1部材の薄肉化及び/又は破断が更に低減され且つインターロック量が更に増大されるので、第1部材と第2部材との締結力を更に増大させることができる。
〈第2装置が備えるパンチの先端面の具体例〉
上述したように、第2装置においては、パンチの先端面が凸面として形成されている。図7は、第2装置が備えるパンチの先端面の形状の具体例を示す模式的な断面図であり、図1の(b)と同様に、パンチ110の先端部111の模式的な拡大図である。第2装置が備えるパンチ110の先端面112は、例えば、図7の(a)に示すように、凸状の曲面として形成されていてもよい。この場合、先端面112は、図7の(b)に示すように、特定の曲率半径r1を有する凸状の球面として形成されていてもよい。或いは、第2装置が備えるパンチ110の先端面112は、図7の(c)に示すように、特定の円錐角θ1を有する凹状の円錐面として形成されていてもよい。尚、本明細書において「円錐角」とは、円錐面の頂点を通る軸を含む平面による当該円錐面の断面における2つの母線がなす角を意味する。
尚、図8の(a)に示すように、パンチ110の先端面112が凸状の球面として形成されており且つダイス120の頂面123が凹状の球面として形成されている場合、先端面112の曲率半径r1が頂面123の曲率半径r2よりも大きいように構成する必要がある。これにより、前述した「パンチの先端面とダイスの頂面との間の距離は頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなる」という本発明装置の要件を満たすことができ、所期の効果を達成することができる。
また、図8の(b)に示すように、パンチ110の先端面112が凸状の円錐面として形成されており且つダイス120の頂面123が凹状の円錐面として形成されている場合、先端面112の円錐角θ1が頂面123の円錐角θ2よりも大きいように構成する必要がある。これにより、前述した「パンチの先端面とダイスの頂面との間の距離は頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなる」という本発明装置の要件を満たすことができ、所期の効果を達成することができる。
ところで、上記のようにパンチの先端面を凸面として形成する場合、パンチの先端面を平面として形成する場合に比べて、先端面の加工が複雑になり、製造コストの増大に繋がる虞がある。従って、ダイスの底面に形成された凸部の頂面が凹面として形成されており且つパンチの先端面とダイスの頂面との間の距離が頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されていることにより、十分な効果が達成される場合は、パンチの先端面が平面として形成されていてもよい。
メカニカルクリンチ工法における凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥の低減及びインターロック量の増大における本発明の効果を確認する。具体的には、本発明に係るメカニカルクリンチ装置及び従来技術に係るメカニカルクリンチ装置を用いて、異なる材料によって構成される2枚の金属板を締結し、それぞれのインターロック部の断面を観察した。
〈メカニカルクリンチ装置の構成〉
本発明の実施例に係るメカニカルクリンチ装置(以降、「実施例装置」と称呼される場合がある)においては、図1乃至図5、図6の(b)、図7の(b)、及び図8の(a)に示したように、パンチの先端面が凸状の球面として形成されており且つダイスの頂面が凹状の球面として形成されている。実施例装置において、パンチの先端面の曲率半径r1は11mmであり、ダイスの頂面の曲率半径r2は9mmである。これにより、パンチの先端面とダイスの頂面との間の距離が、頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されている。
一方、従来技術の比較例に係るメカニカルクリンチ装置(以降、「比較例装置」と称呼される場合がある)においては、図14乃至図16に示したように、パンチの先端面及びダイスの頂面が互いに平行な平面として形成されている。即ち、比較例装置においては、頂面上の何れの位置においても、パンチの先端面とダイスの頂面との間の距離が一定である。
〈第1部材及び第2部材〉
パンチ側に配置される板状部材である第1部材としては、1.0mmの厚み及び590MPaの引張強度を有する高張力鋼板を採用した。一方、ダイス側に配置される板状部材である第2部材としては、2.0mmの厚みを有するアルミニウム合金(A6061−T6)の板材を採用した。
上記のように、第1部材(高張力鋼板)に比べて第2部材(アルミニウム合金板)の方がより軟らかく且つより厚いため、第1部材に比べて第2部材の方がパンチの打ち込みに伴う塑性流動を生じ易い。従って、上記板状部材の組み合わせは、前述したような凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥がより顕著となる組み合わせに該当する。
〈メカニカルクリンチ工法による第1部材と第2部材との締結〉
上述した実施例装置及び比較例装置を用いて、上述した第1部材と第2部材とをメカニカルクリンチ工法によって締結した。実施例装置においては図5を参照しながら説明したように締結過程が進行し、比較例装置においては図18を参照しながら説明したように締結過程が進行したものと考えられる。
〈第1部材と第2部材との締結部分の断面観察〉
上記のようにして形成された第1部材(高張力鋼板)と第2部材(アルミニウム合金板)との締結部分(パンチの打ち込みによって形成される凹部及びその周辺の部分)をパンチ及びダイスの共通の軸AXを含む平面に沿って切断し、断面の顕微鏡写真を撮影した。図9は実施例装置によって形成された第1部材と第2部材との締結部分を表す模式的な断面図であり、図10は比較例装置によって形成された第1部材と第2部材との締結部分を表す模式的な断面図である。
上述した第1部材と第2部材との組み合わせについては、実施例装置及び比較例装置の何れによる締結部位においても、凹部側面における第1部材の破断は認められず、インターロック部が形成された(太い破線によって囲まれた領域を参照)。しかしながら、図9と図10との比較から明らかであるように、凹部側面における第1部材の厚みT及びインターロック量Lについては、実施例装置による締結部位の方が、比較例装置の何れによる締結部位に比べて、より大きいことが確認された。
これは、ダイスの底面に形成された凸部の頂面が凹面として形成されており且つパンチの先端面とダイスの頂面との間の距離が頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように実施例装置が構成されていることに起因するものと考えられる。更に、実施例装置においては、パンチの先端面が凸状の球面として形成されており且つダイスの頂面が凹状の球面として形成されている。これにより、パンチの打ち込みに伴う第1部材の径方向における外側への塑性流動が更に促進されるため、凹部側面における第1部材の局所的な延伸が更に低減され、凹部側面における第1部材の薄肉化が更に低減され且つインターロック量が更に増大されたものと考えられる。
〈効果〉
以上のように、本発明に係る実施例装置によれば、従来技術に係る比較例装置に比べて、凹部側面における第1部材の薄肉化を低減し且つインターロック量を増大させることができるので、第1部材と第2部材との締結力を更に増大させることができる。即ち、本発明によれば、凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥を低減しつつ、複雑な構成及び/又は制御を必要とすること無く、単純な構成により、リベット等の他部材を使用せず、板状部材の塑性変形のみによって板状部材同士の締結力を増大させることができる。
〈概要〉
実施例2においては、実施例1と同様のメカニカルクリンチ装置(即ち、実施例装置及び比較例装置)を用いて、異なる材料によって構成される2枚の金属板を締結し、それぞれのインターロック部の断面を観察した。但し、実施例2においては、パンチ側に配置される板状部材である第1部材として、1.0mmの厚み及び1180MPaの引張強度を有する超高張力鋼板を採用した。一方、ダイス側に配置される板状部材である第2部材としては、実施例1と同様の2.0mmの厚みを有するアルミニウム合金(A6061−T6)の板材を採用した。
上記のように、実施例2においては、実施例1における第1部材(高張力鋼板)よりも硬い第1部材(超高張力鋼板)を採用した。従って、実施例1に比べて、パンチの打ち込みに伴う塑性流動の生じ易さにおける第1部材と第2部材との差がより大きい。従って、実施例2においては、実施例1に比べて、本発明と従来技術との差がより明確に発現されるものと期待される。
〈第1部材と第2部材との締結部分の断面観察〉
実施例1と同様の締結過程によって形成された第1部材(超高張力鋼板)と第2部材(アルミニウム合金板)との締結部分をパンチ及びダイスの共通の軸AXを含む平面に沿って切断し、断面の顕微鏡写真を撮影した。図11は実施例装置によって形成された第1部材と第2部材との締結部分を表す模式的な断面図であり、図12は比較例装置によって形成された第1部材と第2部材との締結部分を表す模式的な断面図である。
図11に示すように、実施例装置による締結部位においては、超高張力鋼板を第1部材として採用した実施例1に比べて、凹部側面における第1部材の厚みT及びインターロック量Lがより小さい。しかしながら、実施例装置による締結部位においては、凹部側面における第1部材の破断を生ずること無くインターロック部が形成され(太い破線によって囲まれた領域を参照)、第1部材と第2部材とが良好に締結された。一方、比較例装置による締結部位においては、図12に示すように、凹部側面における第1部材の破断が生じてしまった。このような破断が生ずると、第1部材と第2部材との締結力が低下する。
〈効果〉
以上のように、パンチの打ち込みに伴う塑性流動の生じ易さにおける第1部材と第2部材との差がより大きい場合においても、本発明に係る実施例装置によれば、凹部側面における第1部材の薄肉化及び破断を低減し且つインターロック量を増大させることができるので、第1部材と第2部材との締結力を更に増大させることができる。即ち、本発明によれば、凹部側面における板状部材の厚みの低下又は割れ若しくは切れ等の欠陥を低減しつつ、複雑な構成及び/又は制御を必要とすること無く、単純な構成により、リベット等の他部材を使用せず、板状部材の塑性変形のみによって板状部材同士の締結力を増大させることができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
101…メカニカルクリンチ装置(本発明)、110…パンチ(本発明)、111…先端部(本発明)、112…先端面(本発明)、113…パンチホルダ(本発明)、120…ダイス(本発明)、120a…中央部(本発明)、120b…周縁部(本発明)、121…キャビティ(本発明)、122…凸部(本発明)、123…頂面(本発明)、201…メカニカルクリンチ装置(従来技術)、210…パンチ(従来技術)、211…先端部(従来技術)、212…先端面(従来技術)、213…パンチホルダ(従来技術)、220…ダイス(従来技術)、220a…中央部(従来技術)、220b…周縁部(従来技術)、221…キャビティ(従来技術)、222…凸部(従来技術)、223…頂面(従来技術)、301…第1部材、302…第2部材、AX…軸、r1…曲率半径(先端面)、r2…曲率半径(頂面)、θ1…円錐角(先端面)、及びθ2…円錐角(頂面)。

Claims (12)

  1. 近接・離反自在に対向するパンチ及びダイスを備え、
    前記パンチの先端部には、前記ダイスに対向する面である先端面が形成されており、
    前記ダイスの先端部には、前記パンチ側に開口するキャビティが形成されており、
    前記キャビティの内部には、前記キャビティの底面から前記パンチに向かって隆起する凸部が形成されており、
    前記凸部の先端部には、前記先端面に対向する面である頂面が形成されており、
    複数の板状部材が重なり合う部分である積層部に前記パンチを打ち込んで前記先端面と前記頂面との間に前記積層部を挟むことにより複数の前記板状部材を締結するように構成された、板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記頂面は凹面として形成されており、
    前記先端面と前記頂面との間の距離は、前記頂面の中心から径方向において外側へ向かうほど小さくなるように構成されている、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  2. 請求項1に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記頂面は、凹状の曲面として形成されている、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  3. 請求項2に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記頂面は、凹状の球面として形成されている、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  4. 請求項1に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記頂面は、凹状の円錐面として形成されている、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記先端面は、凸面として形成されている、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  6. 請求項5に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記先端面は、凸状の曲面として形成されている、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  7. 請求項6に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記先端面は、凸状の球面として形成されている、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  8. 請求項5に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記先端面は、凸状の円錐面として形成されている、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  9. 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記先端面は、平面として形成されている、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  10. 請求項3に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記先端面は、凸状の球面として形成されており、
    前記先端面の曲率半径r1は前記頂面の曲率半径r2よりも大きい、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  11. 請求項4に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記先端面は、凸状の円錐面として形成されており、
    前記先端面の円錐角θ1は前記頂面の円錐角θ2よりも大きい、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
  12. 請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載された板状部材のメカニカルクリンチ装置であって、
    前記凸部は、凹状の頂面を有する截頭錐体として形成されている、
    板状部材のメカニカルクリンチ装置。
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