JP2020151720A - 液冷ジャケットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、ジャケット本体の開口部を封止する封止体3とで構成され、ジャケット本体と封止体3とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、本接合工程において、設定移動ルートよりもさらに封止体3の表面側に終了位置EP1を設定し、突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、回転ツールFを終了位置EP1に移動させつつ先端側ピンF3を徐々に上昇させ終了位置EP1で封止体3から回転ツールFを離脱させることを特徴とする。【選択図】図14
Description
本発明は、液冷ジャケットの製造方法に関する。
例えば、特許文献1には、液冷ジャケットの製造方法が開示されている。図27は、従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。従来の液冷ジャケットの製造方法では、アルミニウム合金製のジャケット本体101の段差部に設けられた段差側面101cと、アルミニウム合金製の封止体102の側面102cとを突き合わせて形成された突合せ部J10に対して摩擦攪拌接合を行うというものである。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールF40の連結部41を離間させて攪拌ピンF42のみを突合せ部J10に挿入して摩擦攪拌接合を行っている。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールF40の回転中心軸Zを突合せ部J10に重ねて相対移動させるというものである。
ここで、ジャケット本体101は複雑な形状となりやすく、例えば、4000系アルミニウム合金の鋳造材で形成し、封止体102のように比較的単純な形状のものは、1000系アルミニウム合金の展伸材で形成するというような場合がある。このように、アルミニウム合金の材種の異なる部材同士を接合して、液冷ジャケットを製造する場合がある。このような場合は、ジャケット本体101の方が封止体102よりも硬度が高くなることが一般的であるため、図27のように摩擦攪拌接合を行うと、攪拌ピンF42が封止体102側から受ける材料抵抗に比べて、ジャケット本体101側から受ける材料抵抗が大きくなる。そのため、回転ツールF40の攪拌ピンF42によって異なる材種をバランスよく攪拌することが困難となり、接合後の塑性化領域に空洞欠陥が発生し接合強度が低下するという問題がある。
また、図27に示すように、攪拌ピンF42を突合せ部J10から離脱させる際、所定の深さとなるまで鉛直方向に攪拌ピンF42を離脱させるため、摩擦攪拌の終了位置における摩擦熱が過大となる。これにより、当該終了位置において、ジャケット本体101側の金属が封止体102側に混入しやすくなり、接合不良の一因となるという問題がある。
このような観点から、本発明は、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状のピン段差部が形成されており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記封止体の側面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記周壁部の前記端面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記封止体の側面に接触させた状態で前記突合せ部よりも封止体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記封止体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルートよりもさらに前記封止体の表面側に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。
また、本発明は、底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状のピン段差部が形成されており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記封止体の側面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記周壁部の前記端面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記封止体の側面に接触させた状態で前記突合せ部よりも封止体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記封止体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。
かかる製造方法によれば、封止体と先端側ピンとの摩擦熱によって突合せ部の主として封止体側の第二アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、突合せ部において周壁部と封止体とを接合することができる。また、先端側ピンの外周面をジャケット本体の周壁部にわずかに接触させるに留めるため、ジャケット本体から封止体への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、突合せ部においては主として封止体側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。また、回転ツールを移動させながら先端側ピンを徐々に離脱させることにより、局所的に摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。これにより、摩擦攪拌の終了位置において、ジャケット本体の第一アルミニウム合金が封止体側に混入するのを防ぐことができる。また、基端側ピンの外周面を封止体の側面に接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、バリの発生を防ぐことができる。
また、前記本接合工程において、前記先端側ピンの外周面と前記周壁部の前記端面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸を封止体側に傾斜させることが好ましい。
かかる製造方法によれば、先端側ピンと周壁部とをバランスよく接触させることができる。
また、前記本接合工程では、所定の回転速度で前記回転ツールを回転させて摩擦攪拌を行い、前記本接合工程において前記先端側ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることが好ましい。
かかる製造方法によれば、摩擦攪拌をより好適に行うことができる。
また、前記載置工程では、前記ジャケット本体の側面よりも前記封止体の側面の方が外側となるように、前記ジャケット本体と前記封止体とを形成することが好ましい。
かかる製造方法によれば、接合部の金属不足を防ぐことができる。
また、本発明は、底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状のピン段差部が形成されており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記ジャケット本体の側面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記封止体の前記裏面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記ジャケット本体の側面に接触させた状態で前記突合せ部よりもジャケット本体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記ジャケット本体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルートよりも前記ジャケット本体の底面側に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記ジャケット本体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。
また、本発明は、底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状の段差部が形成されており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記ジャケット本体の側面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記封止体の前記裏面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記ジャケット本体の側面に接触させた状態で前記突合せ部よりもジャケット本体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記ジャケット本体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記ジャケット本体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。
かかる製造方法によれば、ジャケット本体と先端側ピンとの摩擦熱によって突合せ部の主としてジャケット本体側の第二アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、突合せ部において周壁部と封止体とを接合することができる。また、先端側ピンの外周面を封止体にわずかに接触させるに留めるため、封止体からジャケット本体への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、突合せ部においては主としてジャケット本体側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。また、回転ツールを移動させながら先端側ピンを徐々に離脱させることにより、局所的に摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。これにより、摩擦攪拌の終了位置において、封止体の第一アルミニウム合金がジャケット本体側に混入するのを防ぐことができる。また、基端側ピンの外周面をジャケット本体の周壁部の側面に接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、バリの発生を防ぐことができる。
また、前記本接合工程において、前記先端側ピンの外周面と前記封止体の前記裏面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸をジャケット本体側に傾斜させることが好ましい。
かかる製造方法によれば、先端側ピンと封止体とをバランスよく接触させることができる。
また、前記本接合工程では、所定の回転速度で前記回転ツールを回転させて摩擦攪拌を行い、前記本接合工程において前記先端側ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることが好ましい。
かかる製造方法によれば、摩擦攪拌をより好適に行うことができる。
また、前記載置工程では、前記封止体の側面よりも前記ジャケット本体の側面の方が外側となるように、前記ジャケット本体及び前記封止体を形成することが好ましい。
かかる製造方法によれば、接合部の金属不足を防ぐことができる。
本発明に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。まずは、本実施形態に係る接合方法で用いる回転ツールについて説明する。回転ツールは、摩擦攪拌接合に用いられるツールである。図1に示すように、回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されており、基軸部F1と、基端側ピンF2と、先端側ピンF3とで主に構成されている。基軸部F1は、円柱状を呈し、摩擦攪拌装置の主軸に接続される部位である。
基端側ピンF2は、基軸部F1に連続し、先端に向けて先細りになっている。基端側ピンF2は、円錐台形状を呈する。基端側ピンF2のテーパー角度Aは適宜設定すればよいが、例えば、135〜160°になっている。テーパー角度Aが135°未満であるか、又は、160°を超えると摩擦攪拌後の接合表面粗さが大きくなる。テーパー角度Aは、後記する先端側ピンF3のテーパー角度Bよりも大きくなっている。図2に示すように、基端側ピンF2の外周面には、階段状のピン段差部F21が高さ方向の全体に亘って形成されている。ピン段差部F21は、右回り又は左回りで螺旋状に形成されている。つまり、ピン段差部F21は、平面視して螺旋状であり、側面視すると階段状になっている。本第一実施形態では、回転ツールFを左回転させるため、ピン段差部F21は基端側から先端側に向けて右回りに設定している。
なお、回転ツールFを右回転させる場合は、ピン段差部F21を基端側から先端側に向けて左回りに設定することが好ましい。これにより、ピン段差部F21によって塑性流動材が先端側に導かれるため、被接合金属部材の外部に溢れ出る金属を低減することができる。ピン段差部F21は、段差底面F21aと、段差側面F21bとで構成されている。隣り合うピン段差部F21の各頂点F21c,F21cの距離X1(水平方向距離)は、後記する段差角度C及び段差側面F21bの高さY1に応じて適宜設定される。
段差側面F21bの高さY1は適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜0.4mmで設定されている。高さY1が0.1mm未満であると接合表面粗さが大きくなる。一方、高さY1が0.4mmを超えると接合表面粗さが大きくなる傾向があるとともに、有効段差部数(被接合金属部材と接触しているピン段差部F21の数)も減少する。
段差底面F21aと段差側面F21bとでなす段差角度Cは適宜設定すればよいが、例えば、85〜120°で設定されている。段差底面F21aは、本実施形態では水平面と平行になっている。段差底面F21aは、ツールの回転軸から外周方向に向かって水平面に対して−5°〜15°内の範囲で傾斜していてもよい(マイナスは水平面に対して下方、プラスは水平面に対して上方)。距離X1、段差側面F21bの高さY1、段差角度C及び水平面に対する段差底面F21aの角度は、摩擦攪拌を行う際に、塑性流動材がピン段差部F21の内部に滞留して付着することなく外部に抜けるとともに、段差底面F21aで塑性流動材を押えて接合表面粗さを小さくすることができるように適宜設定する。
図1に示すように、先端側ピンF3は、基端側ピンF2に連続して形成されている。先端側ピンF3は円錐台形状を呈する。先端側ピンF3の先端は回転軸に対して垂直な平坦面F4になっている。先端側ピンF3のテーパー角度Bは、基端側ピンF2のテーパー角度Aよりも小さくなっている。図2に示すように、先端側ピンF3の外周面には、螺旋溝F31が刻設されている。螺旋溝F31は、右回り、左回りのどちらでもよいが、本第一実施形態では回転ツールFを左回転させるため、基端側から先端側に向けて右回りに刻設されている。
なお、回転ツールFを右回転させる場合は、螺旋溝F31を基端側から先端側に向けて左回りに設定することが好ましい。これにより、螺旋溝F31によって塑性流動材が先端側に導かれるため、被接合金属部材の外部に溢れ出る金属を低減することができる。螺旋溝F31は、螺旋底面F31aと、螺旋側面F31bとで構成されている。隣り合う螺旋溝F31の頂点F31c,F31cの距離(水平方向距離)を長さX2とする。螺旋側面F31bの高さを高さY2とする。螺旋底面F31aと、螺旋側面F31bとで構成される螺旋角度Dは例えば、45〜90°で形成されている。螺旋溝F31は、被接合金属部材と接触することにより摩擦熱を上昇させるとともに、塑性流動材を先端側に導く役割を備えている。
回転ツールFは、適宜設計変更が可能である。図3は、本発明の回転ツールの第一変形例を示す側面図である。図3に示すように、第一変形例に係る回転ツールFAでは、ピン段差部F21の段差底面F21aと段差側面F21bとのなす段差角度Cが85°になっている。段差底面F21aは、水平面と平行である。このように、段差底面F21aは水平面と平行であるとともに、段差角度Cは、摩擦攪拌中にピン段差部F21内に塑性流動材が滞留して付着することなく外部に抜ける範囲で鋭角としてもよい。
図4は、本発明の回転ツールの第二変形例を示す側面図である。図4に示すように、第二変形例に係る回転ツールFBでは、ピン段差部F21の段差角度Cが115°になっている。段差底面F21aは水平面と平行になっている。このように、段差底面F21aは水平面と平行であるとともに、ピン段差部F21として機能する範囲で段差角度Cが鈍角となってもよい。
図5は、本発明の回転ツールの第三変形例を示す側面図である。図5に示すように、第三変形例に係る回転ツールFCでは、段差底面F21aがツールの回転軸から外周方向に向かって水平面に対して10°上方に傾斜している。段差側面F21bは、鉛直面と平行になっている。このように、摩擦攪拌中に塑性流動材を押さえることができる範囲で、段差底面F21aがツールの回転軸から外周方向に向かって水平面よりも上方に傾斜するように形成されていてもよい。上記の回転ツールの第一〜第三変形例によっても、下記の実施形態と同等の効果を奏することができる。
[第一実施形態]
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。第一実施形態に係る液冷ジャケット1は、図6に示すように、ジャケット本体2と封止体3とで構成されている。液冷ジャケット1は、内部に流体を流通させて、配置される発熱体を冷却する機器である。ジャケット本体2と封止体3とは摩擦攪拌接合で一体化される。以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面を意味する。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。第一実施形態に係る液冷ジャケット1は、図6に示すように、ジャケット本体2と封止体3とで構成されている。液冷ジャケット1は、内部に流体を流通させて、配置される発熱体を冷却する機器である。ジャケット本体2と封止体3とは摩擦攪拌接合で一体化される。以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面を意味する。
ジャケット本体2は、底部10及び周壁部11で主に構成されている。ジャケット本体2は、本実施形態では第一アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第一アルミニウム合金は、例えば、JISH5302 ADC12(Al-Si-Cu系)等のアルミニウム合金鋳造材を用いている。
底部10は、矩形を呈する板状部材である。周壁部11は、底部10の周縁部から矩形枠状に立ち上がる壁部である。周壁部11の角は直角でもよいが、本実施形態では丸面取り加工が施されている。底部10及び周壁部11で凹部13が形成されている。なお、本実施形態のジャケット本体2は一体形成されているが、例えば、周壁部11を分割構成としてシール部材で接合して一体化してもよい。
封止体3は、ジャケット本体2の開口部を封止する板状部材である。封止体3の角は直角でもよいが、本実施形態では丸面取り加工が施されている。封止体3は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、本実施形態では第二アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第二アルミニウム合金は、第一アルミニウム合金よりも硬度の低い材料である。第二アルミニウム合金は、例えば、JIS A1050,A1100,A6063等のアルミニウム合金展伸材で形成されている。
次に、本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。
準備工程は、ジャケット本体2及び封止体3を準備する工程である。ジャケット本体2及び封止体3は、製造方法については特に制限されないが、ジャケット本体2は、例えば、ダイキャストで成形する。封止体3は、例えば押出成形により成形する。
載置工程は、図7に示すように、ジャケット本体2に封止体3を載置する工程である。載置工程によって、周壁部11の端面11aと、封止体3の裏面3bとが突き合わされて突合せ部J1が形成される。突合せ部J1は、封止体3の周囲に沿って平面視矩形状に形成される。周壁部11の側面11cと、封止体3の側面3cとは面一になる。なお、ジャケット本体2と封止体3とは溶接又は摩擦攪拌等により仮接合してもよい。
本接合工程は、図8及び図9に示すように、回転ツールFを用いて突合せ部J1を摩擦攪拌接合する工程である。まず、突合せ部J1よりも封止体3の表面3a側に「設定移動ルートL1」(一点鎖線)を設定する。設定移動ルートL1は、後記する本接合工程において、突合せ部J1を接合するために必要な回転ツールFの移動ルートである。設定移動ルートL1については追って詳述する。
図9に示すように、本接合工程では、開始位置SP1から中間点S1までの押入区間と、設定移動ルートL1上の中間点S1から一周廻って中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP1までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌接合する。中間点S1,S2は、設定移動ルートL1上に設定されている。開始位置SP1は、封止体3の側面3cにおいて、設定移動ルートL1よりも封止体3の表面3a側に設定されている。本実施形態では、開始位置SP1と中間点S1とを結ぶ線分と、設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となる位置に設定している。
本接合工程の押入区間では、図10及び図11に示すように、開始位置SP1から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、封止体3の側面3cに対して回転中心軸Zを垂直にしつつ、左回転させた先端側ピンF3を開始位置SP1に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、図11に示すように、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように先端側ピンF3を徐々に押し入れていく。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを設定移動ルートL1に移動させながら徐々に下降させていく。
また、押入区間においては、回転ツールFを移動させつつ、進行方向後方から見た場合(図12参照)に回転ツールFの回転中心軸Zを封止体3側に徐々に傾斜させ、中間点S1に達した際に、先端側ピンF3の外周面と周壁部11の端面11aとが平行となるように設定する。また、中間点S1に達した際に、先端側ピンF3の外周面と周壁部11の端面11aとがわずかに接触するように設定する。さらに、基端側ピンF2の外周面と封止体3の側面3cとが接触するように設定する。そして、回転ツールFの傾斜角度を維持した状態で、そのまま本区間の摩擦攪拌接合に移行する。
先端側ピンF3の外周面と周壁部11の端面11aとの接触代(オフセット量)Nは、例えば、0<N≦1.0mmの間で設定し、好ましくは0<N≦0.85mmの間で設定し、より好ましくは0<N≦0.65mmの間で設定する。
設定移動ルートL1は、図12に示すように、先端側ピンF3の平坦面F4の中心F5が通過する軌跡を示している。つまり、設定移動ルートL1は、突合せ部J1の周方向において、周壁部11の端面11aと先端側ピンF3の外周面とを平行にしつつ両者がわずかに接触するように設定されている。本区間においては、上方から見た場合(側面11c側から見た場合)に、平坦面F4の中心F5が、設定移動ルートL1と重なるように回転ツールFを移動させる。なお、先端側ピンF3の「所定の深さ」は、適宜設定すればよく、例えば、塑性流動材が凹部13の内部に流入しない範囲で設定する。
先端側ピンF3の外周面と周壁部11の端面11aとが接触しないように設定すると、突合せ部J1の接合強度が低くなる。一方、先端側ピンF3の外周面と周壁部11の端面11aとの接触代Nが1.0mmを超えるとジャケット本体2の第一アルミニウム合金が、封止体3側に大量に混入して接合不良となるおそれがある。
本区間では、図12のように回転ツールFの傾斜状態を維持し、設定移動ルートL1に沿って一周させる。図13に示すように、回転ツールFを一周させて先端側ピンF3が中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、図14に示すように、中間点S2から終了位置EP1に向かうまでの間に先端側ピンF3を徐々に上方に移動させて、終了位置EP1で封止体3から先端側ピンF3を離脱させる。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを終了位置EP1に移動させながら封止体3から離間する方向に徐々に引抜いていく。また、回転ツールFの回転中心軸Zの傾斜を徐々に元に戻し、終了位置EP1では回転中心軸Zと封止体3の側面3cとが垂直となるようにする。終了位置EP1は、終了位置EP1と中間点S2とが結ぶ線分と設定移動ルートL1とでなす角度が鈍角となる位置に設定する。回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域W1が形成される。
以上説明した本実施形態における液冷ジャケットの製造方法によれば、封止体3と先端側ピンF3との摩擦熱によって突合せ部J1の主として封止体3側の第二アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、突合せ部J1において封止体3の裏面3bと周壁部11の端面11aとを接合することができる。
また、先端側ピンF3の先端側ピンF3の外周面を周壁部11の端面11aにわずかに接触させるに留めるため、ジャケット本体2から封止体3への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、突合せ部J1においては主として封止体3側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。つまり、本接合工程では、先端側ピンF3の回転中心軸Zに対して一方側と他方側で、先端側ピンF3が受ける材料抵抗の不均衡を極力少なくすることができる。これにより、塑性流動材がバランス良く摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。
また、本接合工程において、回転ツールFを傾けなくてもよいが、本実施形態のように周壁部11の端面11aに対して傾斜させることにより、周壁部11と回転ツールFとが過度に接触するのを防ぐことができる。また、本接合工程において、先端側ピンF3の外周面と周壁部11の端面11aとが平行となるように、回転ツールFの回転中心軸Zを封止体3側に傾斜させることで、先端側ピンF3と周壁部11とをバランスよく接触させることができる。
また、本実施形態では、本接合工程において、基端側ピンF2の外周面と封止体3の側面3cとを接触させ、塑性流動材を押さえながら摩擦攪拌を行うため、バリの発生を抑制することができる。また、基端側ピンF2の外周面で塑性流動材を押えることができるため、接合表面(封止体3の側面3c)に形成される段差凹溝を小さくすることができるとともに、段差凹溝の脇に形成される膨出部を無くすか若しくは小さくすることができる。また、基端側ピンF2の階段状のピン段差部F21は浅く、かつ、出口が広いため、塑性流動材を段差底面F21aで押えつつ塑性流動材がピン段差部F21の外部に抜けやすくなっている。そのため、基端側ピンF2で塑性流動材を押えても基端側ピンF2の外周面に塑性流動材が付着し難い。よって、接合表面粗さを小さくすることができるとともに、接合品質を好適に安定させることができる。
また、本接合工程の押入区間では、開始位置SP1から設定移動ルートL1と重複する位置まで回転ツールFを移動させつつ所定の深さとなるまで先端側ピンF3を徐々に押入することにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止して摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
同様に、本接合工程の離脱区間では、設定移動ルートL1から終了位置EP1まで回転ツールFを移動させつつ所定の深さから先端側ピンF3を徐々に上昇させて離脱させることにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止して摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
これらにより、設定移動ルートL1上で摩擦熱が過大となり、ジャケット本体2から封止体3へ第一アルミニウム合金が過剰に混入して接合不良となるのを防ぐことができる。
同様に、本接合工程の離脱区間では、設定移動ルートL1から終了位置EP1まで回転ツールFを移動させつつ所定の深さから先端側ピンF3を徐々に上昇させて離脱させることにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止して摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
これらにより、設定移動ルートL1上で摩擦熱が過大となり、ジャケット本体2から封止体3へ第一アルミニウム合金が過剰に混入して接合不良となるのを防ぐことができる。
また、本接合工程において、開始位置SP1及び終了位置EP1の位置は適宜設定すればよいが、開始位置SP1と設定移動ルートL1とのなす角度、終了位置EP1と設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となるように設定することにより、中間点S1,S2で回転ツールFの移動速度が低下することなくスムーズに本区間又は離脱区間に移行することができる。これにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止又は移動速度が低下することにより、摩擦熱が過大となることを防ぐことができる。なお、上方から見て回転ツールFの軌跡が円弧を描くように開始位置SP1から設定移動ルートL1に回転ツールFを移動させてもよい。同様に、上方から見て回転ツールFの軌跡が円弧を描くように設定移動ルートL1から終了位置EP1に回転ツールFを移動させてもよい。
また、本実施形態の本接合工程では、回転ツールFの回転方向及び進行方向は適宜設定すればよいが、回転ツールFの移動軌跡に形成される塑性化領域W1のうち、ジャケット本体2側(突合せ部J1側)がシアー側となり、封止体3側がフロー側となるように回転ツールFの回転方向及び進行方向を設定した。ジャケット本体2側がシアー側となるように設定することで、突合せ部J1の周囲における先端側ピンF3による攪拌作用が高まり、突合せ部J1における温度上昇が期待でき、突合せ部J1において封止体3と周壁部11とをより確実に接合することができる。
なお、シアー側(Advancing side)とは、被接合部に対する回転ツールの外周の相対速度が、回転ツールの外周における接線速度の大きさに移動速度の大きさを加算した値となる側を意味する。一方、フロー側(Retreating side)とは、回転ツールの移動方向の反対方向に回転ツールが回動することで、被接合部に対する回転ツールの相対速度が低速になる側を言う。
また、ジャケット本体2の第一アルミニウム合金は、封止体3の第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材料になっている。これにより、液冷ジャケット1の耐久性を高めることができる。また、ジャケット本体2の第一アルミニウム合金をアルミニウム合金鋳造材とし、封止体3の第二アルミニウム合金をアルミニウム合金展伸材とすることが好ましい。第一アルミニウム合金を例えば、JISH5302 ADC12等のAl−Si−Cu系アルミニウム合金鋳造材とすることにより、ジャケット本体2の鋳造性、強度、被削性等を高めることができる。また、第二アルミニウム合金を例えば、JIS A1000系又はA6000系とすることにより、加工性、熱伝導性を高めることができる。
また、本接合工程においては、突合せ部J1の全周を摩擦攪拌接合できるため、液冷ジャケットの気密性及び水密性を高めることができる。また、本接合工程の終端部分において、回転ツールFが中間点S1を完全に通過してから終了位置EP1に向かうようにする。つまり、本接合工程によって形成された塑性化領域W1の各端部同士をオーバーラップさせることにより、より気密性及び水密性を高めることができる。
なお、本接合工程では、回転ツールFの回転速度を一定としてもよいが、可変させてもよい。本接合工程の押入区間において、開始位置SP1における回転ツールFの回転速度をV1とし、本区間における回転ツールFの回転速度をV2とすると、V1>V2としてもよい。回転速度のV2は、設定移動ルートL1における予め設定された一定の回転速度である。つまり、開始位置SP1では、回転速度を高く設定しておき、押入区間内で徐々に回転速度を低減させながら本区間に移行してもよい。
また、第一本接合工程の離脱区間において、本区間における回転ツールFの回転速度をV2、終了位置EP1において離脱させるときの回転ツールFの回転速度をV3とすると、V3>V2としてもよい。つまり、離脱区間に移行したら、終了位置EP1に向けて徐々に回転速度を上げながら封止体3から回転ツールFを離脱させてもよい。回転ツールFを封止体3に押し入れる際又は封止体3から離脱させる際に、前記のように設定することで、押入区間又は離脱区間時における少ない押圧力を、回転速度で補うことができるため、摩擦攪拌を好適に行うことができる。
[第一実施形態の変形例]
次に、第一実施形態の変形例について説明する。図15は、第一実施形態の変形例に係る本接合工程における中間点S1付近を進行方向後方から見た断面図である。図15に示すように、当該変形例では、封止体3Aの側面3cが、周壁部11の側面11cよりも外側に位置している点で第一実施形態と相違する。
次に、第一実施形態の変形例について説明する。図15は、第一実施形態の変形例に係る本接合工程における中間点S1付近を進行方向後方から見た断面図である。図15に示すように、当該変形例では、封止体3Aの側面3cが、周壁部11の側面11cよりも外側に位置している点で第一実施形態と相違する。
封止体3Aは、ジャケット本体2よりも一回り大きく形成されている。これにより、ジャケット本体2に封止体3Aを載置すると、封止体3の側面3cが周壁部11の側面11cよりも外側に位置する。つまり、図15に示すように、回転ツールFの進行方向後方側から見ると、封止体3の側面3cは、周壁部11の側面11cよりも上方に位置する。当該変形例によれば、周壁部11の側面11cよりも封止体3Aの側面3cの方が外側となるように設定することで、本接合工程の際に、接合部が金属不足となるのを防ぐことができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。第二実施形態では、図16〜19に示すように、本接合工程における開始位置SP1及び終了位置EP1の位置をいずれも設定移動ルートL1上に設定する点で第一実施形態と相違する。第二実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
次に、本発明の第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。第二実施形態では、図16〜19に示すように、本接合工程における開始位置SP1及び終了位置EP1の位置をいずれも設定移動ルートL1上に設定する点で第一実施形態と相違する。第二実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。準備工程及び載置工程は、第一実施形態と同一である。
本接合工程では、図16に示すように、開始位置SP1を設定移動ルートL1上に設定する。本接合工程では、開始位置SP1から中間点S1までの押入区間と、設定移動ルートL1上の中間点S1から一周廻って中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP1(図13参照)までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌する。
押入区間では、図16及び図17に示すように、開始位置SP1から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、封止体3の側面3cに対して回転中心軸Zを垂直となるようにしつつ、左回転させた先端側ピンF3を開始位置SP1に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように先端側ピンF3を徐々に押し入れていく。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを設定移動ルートL1に移動させながら徐々に下降させていく。
また、押入区間においては、回転ツールFを移動させつつ、進行方向後方から見た場合(図18参照)に回転ツールFの回転中心軸Zを封止体3側に徐々に傾斜させ、中間点S1に達した際に、先端側ピンF3の外周面と周壁部11の端面11aとが平行となるように設定する。また、中間点S1に達した際に、先端側ピンF3の外周面と周壁部11の端面11aとがわずかに接触するように設定する。さらに、基端側ピンF2の外周面と封止体3の側面3cとが接触するように設定する。そして、回転ツールFの傾斜角度を維持した状態で、そのまま本区間の摩擦攪拌接合に移行する。先端側ピンF3の外周面と周壁部11の端面11aとの接触代(オフセット量)N及び設定移動ルートL1の設定は第一実施形態と同一である。
本区間では、図18のように回転ツールFの傾斜状態を維持し、設定移動ルートL1に沿って一周させる。図19に示すように、回転ツールFを一周させて先端側ピンF3が中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、図20に示すように、中間点S2から終了位置EP1に向かうまでの間に先端側ピンF3を徐々に上方に移動させて、終了位置EP1で封止体3から先端側ピンF3を離脱させる。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを終了位置EP1に移動させながら徐々に引抜いていく。終了位置EP1は、設定移動ルートL1上に設定されている。回転ツールFの回転中心軸Zの傾斜を徐々に元に戻し、終了位置EP1では回転中心軸Zと封止体3の側面3cとが垂直となるようにする。
以上説明した第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によっても第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。第二実施形態のように本接合工程における開始位置SP1及び終了位置EP1は、設定移動ルートL1上に設定してもよい。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。第三実施形態では、ジャケット本体2を第二アルミニウム合金で形成し、封止体3を第二アルミニウム合金よりも硬度の高い第一アルミニウム合金で形成する点で主に第一実施形態と相違する。本実施形態では、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
次に、本発明の第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。第三実施形態では、ジャケット本体2を第二アルミニウム合金で形成し、封止体3を第二アルミニウム合金よりも硬度の高い第一アルミニウム合金で形成する点で主に第一実施形態と相違する。本実施形態では、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
図21に示すように、第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。準備工程及び載置工程は、ジャケット本体2及び封止体3の金属の材種を除いて第一実施形態と同一である。本接合工程では、右回転させた回転ツールFを開始位置SP2に挿入し、突合せ部J1に対して摩擦攪拌接合を行う。
図21に示すように、本接合工程では、開始位置SP2から中間点S1までの押入区間と、設定移動ルートL1上の中間点S1から周壁部11の廻りを一周して中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP2(図23参照)までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌する。
設定移動ルートL1は、突合せ部J1よりも底部10側に設定されている。開始位置SP2は、周壁部11の側面11cにおいて、設定移動ルートL1よりもさらに底部10側に設定されている。中間点S1,S2は、設定移動ルートL1上に設定されている。本実施形態では、開始位置SP2と中間点S1とを結ぶ線分と、設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となるように設定している。
押入区間では、開始位置SP2から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、周壁部11の側面11cに対して垂直となるように回転中心軸Zを設定しつつ、右回転させた先端側ピンF3を開始位置SP2に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように先端側ピンF3を徐々に押し入れていく。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを設定移動ルートL1に移動させながら徐々に下降させていく。
また、押入区間においては、回転ツールFを移動させつつ、進行方向後方から見た場合(図22参照)に回転ツールFの回転中心軸Zをジャケット本体2の底部10側に徐々に傾斜させ、中間点S1に達した際に、先端側ピンF3の外周面と封止体3の裏面3bとが平行となるように設定する。また、中間点S1に達した際に、先端側ピンF3の外周面と封止体3の裏面3bがわずかに接触するように設定する。さらに、基端側ピンF2の外周面と周壁部11の側面11cとが接触するように設定する。そして、その傾斜角度を維持した状態で、そのまま本区間の摩擦攪拌接合に移行する。先端側ピンF3の外周面と封止体3の裏面3bとの接触代(オフセット量)N及び設定移動ルートL1の設定は第一実施形態と同一である。
図22及び図23に示すように、本区間では、上方から見た場合(側面11c側から見た場合)に、平坦面F4の中心F5が、設定移動ルートL1と重なるように回転ツールFを移動させる。本実施形態の本接合工程では、回転ツールFを右回転させ、進行方向左側に封止体3が位置するようにする。つまり、本接合工程では、突合せ部J1側がシアー側となるように回転ツールFの回転方向及び進行方向を設定する。
図23に示すように、回転ツールFを周壁部11の廻りに一周させて、先端側ピンF3が中間点S1を通過して中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、中間点S2から終了位置EP2に向かうまでの間に先端側ピンF3を徐々に上方に移動させて、終了位置EP2で封止体3から先端側ピンF3を離脱させる。また、回転ツールFの回転中心軸Zの傾斜を徐々に元に戻し、終了位置EP2では回転中心軸Zと周壁部11の側面11cとが垂直となるようにする。終了位置EP2は、終了位置EP2と中間点S2とが結ぶ線分と設定移動ルートL1とでなす角度が鈍角となる位置に設定する。回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域W1が形成される。
以上説明した第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法においても、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。また、第三実施形態のように、ジャケット本体2を第二アルミニウム合金で形成し、封止体3を第二アルミニウム合金よりも硬度の高い第一アルミニウム合金で形成してもよい。
[第三実施形態の変形例]
次に、第三実施形態の変形例について説明する。図24は、第三実施形態の変形例に係る本接合工程を進行方向後方から見た断面図である。図24に示すように、当該変形例では、ジャケット本体2Aの周壁部11の側面11cが、封止体3の側面3cよりも外側に位置している点で第三実施形態と相違する。
次に、第三実施形態の変形例について説明する。図24は、第三実施形態の変形例に係る本接合工程を進行方向後方から見た断面図である。図24に示すように、当該変形例では、ジャケット本体2Aの周壁部11の側面11cが、封止体3の側面3cよりも外側に位置している点で第三実施形態と相違する。
ジャケット本体2Aは、封止体3よりも一回り大きく形成されている。これにより、ジャケット本体2Aに封止体3を載置すると、周壁部11の側面11cが封止体3の側面3cよりも外側に位置する。つまり、図24に示すように、回転ツールFの進行方向後方側から見ると、周壁部11の側面11cは、封止体3の側面3cよりも上方に位置する。当該変形例によれば、封止体3の側面3cよりも、周壁部11の側面11cの方が外側となるように設定することで、本接合工程の際に、接合部が金属不足となるのを防ぐことができる。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。第四実施形態では、図25,26に示すように、本接合工程における開始位置SP2及び終了位置EP2の位置をいずれも設定移動ルートL1上に設定する点で第三実施形態と相違する。第四実施形態では、第三実施形態と相違する部分を中心に説明する。
次に、本発明の第四実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。第四実施形態では、図25,26に示すように、本接合工程における開始位置SP2及び終了位置EP2の位置をいずれも設定移動ルートL1上に設定する点で第三実施形態と相違する。第四実施形態では、第三実施形態と相違する部分を中心に説明する。
第四実施形態に係る液冷ジャケットの製造では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。準備工程及び載置工程は、ジャケット本体2及び封止体3の金属の材種を除いて第一実施形態と同一である。第四実施形態では、第三実施形態と同様に、ジャケット本体2を第二アルミニウム合金で形成し、封止体3を第二アルミニウム合金よりも硬度の高い第一アルミニウム合金で形成する。設定移動ルートL1は、第三実施形態と同様に突合せ部J1よりも底部10側に設定する。
本接合工程では、図25及び図26に示すように、開始位置SP2を設定移動ルートL1上に設定する。本接合工程では、開始位置SP2から中間点S1までの押入区間と、設定移動ルートL1上の中間点S1から一周廻って中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP2(図26参照)までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌接合する。
押入区間では、開始位置SP2から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、周壁部11の側面11cに対して回転中心軸Zを垂直となるようにしつつ、右回転させた先端側ピンF3を開始位置SP2に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように先端側ピンF3を徐々に押し入れていく。
また、押入区間においては、回転ツールFを移動させつつ、進行方向後方から見た場合に回転ツールFの回転中心軸Zを周壁部11側に徐々に傾斜させ、中間点S1に達した際に、先端側ピンF3の外周面と封止体3の裏面3bとが平行となるように設定する。また、中間点S1に達した際に、先端側ピンF3の外周面と封止体3の裏面3bとがわずかに接触するように設定する。先端側ピンF3の外周面と封止体3の裏面3bとの接触代(オフセット量)N及び設定移動ルートL1の設定は第三実施形態と同一である。さらに、基端側ピンF2の外周面を周壁部11の側面11cに接触させる。そして、その傾斜角度を維持した状態で、そのまま本区間の摩擦攪拌接合に移行する。
図26に示すように、回転ツールFを一周させて先端側ピンF3が中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、中間点S2から終了位置EP2に向かうまでの間に先端側ピンF3を徐々に上方に移動させて、設定移動ルートL1上に設定された終了位置EP2で周壁部11から先端側ピンF3を離脱させる。また、回転ツールFの回転中心軸Zの傾斜を徐々に元に戻し、終了位置EP2では回転中心軸Zと周壁部11の側面11cとが垂直となるようにする。
以上説明した第四実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によっても第三実施形態と略同等の効果を奏することができる。第四実施形態のように本接合工程における開始位置SP2及び終了位置EP2は、設定移動ルートL1上に設定してもよい。
1 液冷ジャケット
2 ジャケット本体
3 封止体
F 回転ツール
F2 基端側ピン
F3 先端側ピン
F4 平坦面
J1 突合せ部
SP1 開始位置
SP2 開始位置
EP1 終了位置
EP2 終了位置
W1 塑性化領域
2 ジャケット本体
3 封止体
F 回転ツール
F2 基端側ピン
F3 先端側ピン
F4 平坦面
J1 突合せ部
SP1 開始位置
SP2 開始位置
EP1 終了位置
EP2 終了位置
W1 塑性化領域
Claims (14)
- 底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、
前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、
摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、
前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状のピン段差部が形成されており、
前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、
回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記封止体の側面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記周壁部の前記端面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記封止体の側面に接触させた状態で前記突合せ部よりも封止体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記封止体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、
前記本接合工程において、前記設定移動ルートよりもさらに前記封止体の表面側に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。 - 前記本接合工程において、前記先端側ピンの外周面と前記周壁部の前記端面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸を封止体側に傾斜させることを特徴とする請求項1に記載の液冷ジャケットの製造方法。
- 前記本接合工程では、所定の回転速度で前記回転ツールを回転させて摩擦攪拌を行い、
前記本接合工程において前記先端側ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液冷ジャケットの製造方法。 - 底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、
前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、
摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、
前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状のピン段差部が形成されており、
前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、
回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記封止体の側面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記周壁部の前記端面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記封止体の側面に接触させた状態で前記突合せ部よりも封止体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記封止体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、
前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。 - 前記本接合工程において、前記先端側ピンの外周面と前記周壁部の前記端面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸を封止体側に傾斜させることを特徴とする請求項4に記載の液冷ジャケットの製造方法。
- 前記本接合工程では、所定の回転速度で前記回転ツールを回転させて摩擦攪拌を行い、
前記本接合工程において前記先端側ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液冷ジャケットの製造方法。 - 前記載置工程では、前記ジャケット本体の側面よりも前記封止体の側面の方が外側となるように、前記ジャケット本体と前記封止体とを形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
- 底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、
前記ジャケット本体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、
摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、
前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状のピン段差部が形成されており、
前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、
回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記ジャケット本体の側面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記封止体の前記裏面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記ジャケット本体の側面に接触させた状態で前記突合せ部よりもジャケット本体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記ジャケット本体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、
前記本接合工程において、前記設定移動ルートよりも前記ジャケット本体の底面側に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記ジャケット本体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。 - 前記本接合工程において、前記先端側ピンの外周面と前記封止体の前記裏面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸をジャケット本体側に傾斜させることを特徴とする請求項8に記載の液冷ジャケットの製造方法。
- 前記本接合工程では、所定の回転速度で前記回転ツールを回転させて摩擦攪拌を行い、
前記本接合工程において前記先端側ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の液冷ジャケットの製造方法。 - 底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、
前記ジャケット本体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、
摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、
前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状の段差部が形成されており、
前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、
回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記ジャケット本体の側面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記封止体の前記裏面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記ジャケット本体の側面に接触させた状態で前記突合せ部よりもジャケット本体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記ジャケット本体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、
前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記ジャケット本体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。 - 前記本接合工程において、前記先端側ピンの外周面と前記封止体の前記裏面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸をジャケット本体側に傾斜させることを特徴とする請求項11に記載の液冷ジャケットの製造方法。
- 前記本接合工程では、所定の回転速度で前記回転ツールを回転させて摩擦攪拌を行い、
前記本接合工程において前記先端側ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の液冷ジャケットの製造方法。 - 前記載置工程では、前記封止体の側面よりも前記ジャケット本体の側面の方が外側となるように、前記ジャケット本体及び前記封止体を形成することを特徴とする請求項8乃至13のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
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JP2019049658A JP2020151720A (ja) | 2019-03-18 | 2019-03-18 | 液冷ジャケットの製造方法 |
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