JP2020150816A - 水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物、それを用いたベーカリー製品用ミックス粉、ベーカリー製品、及びベーカリー製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水不溶性食物繊維含有粉末が持つ、独特のクセがある風味をマスキングすることができ、また、生地としたときにしまりを抑制し、粘度を安定させることができる水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物を提供する。【解決手段】水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物は、油脂と、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ソルビタン脂肪酸エステル、及び有機酸モノグリセリドから選ばれた1種類又は2種類以上の乳化剤とを含有する。乳化剤としては、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ソルビタンモノラウレート、及びクエン酸モノオレートから選ばれた1種類又は2種類以上が好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、例えば、ベーカリー製品において糖質含有量を制限する目的で用いられる水不溶性食物繊維含有粉末のクセがある風味をマスキングし、該粉末を用いた生地に生じるしまりを抑制することができる水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物、それを用いたベーカリー製品用ミックス粉、ベーカリー製品、及びベーカリー製品の製造方法に関する。
近年、一般的な健康志向を反映して、あるいは糖尿病患者などの糖質制限が課せられる人々のために、ベーカリー製品においても糖質含有量を制限することのできる素材や技術が提案されている。
また、食物繊維は栄養学的には5大栄養素(糖質、脂質、タンパク質、ミネラル、ビタミン)に加え、第6の栄養素といわれ、便通改善、動脈硬化、胆石の予防等の働きが認められており積極的な摂取が求められている。さらにベーカリー製品において、アレルギー対応として小麦を使用しない素材が求められており、小麦の代替として注目されている。
例えば、特許文献1には、小麦ふすま、グルテン及びアルギン酸エステルを含む生地原料を用いてパン生地を作製する工程を有する、パン類の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、焙煎ふすま及び焙煎ぬかのうちの少なくとも一種と、小麦たんぱくと、失活処理を施した大豆粉と、増粘安定剤としてのペクチンとを含有することを特徴とする食品素材が記載されている。
しかしながら、特許文献1、2等で用いられている小麦ふすま、ぬか等の食物繊維含有素材には、ふすま臭、ぬか臭などの独特のクセがあるので、そのような素材を用いたベーカリー製品は満足できる風味ではなかった。また、食物繊維含有素材は吸水量が多いので、生地としたときに経時的にしまってしまい、粘度が安定しないという問題点もあった。
よって、本発明の目的は、水不溶性食物繊維含有粉末が持つ、独特のクセがある風味をマスキングすることができ、また、生地としたときにしまりを抑制し、粘度を安定させることができる水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物、それを用いたベーカリー製品用ミックス粉、ベーカリー製品、及びベーカリー製品の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、所定の油脂組成物を水不溶性食物繊維含有粉末に添加し、該粉末をコーティングすることで水不溶性食物繊維含有粉末が持つ、独特のクセがある風味をマスキングすることができ、また、生地としたときにしまりを抑制し、粘度を安定させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の1つは、油脂と、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ソルビタン脂肪酸エステル、及び有機酸モノグリセリドから選ばれた1種類又は2種類以上の乳化剤とを含有することを特徴とする水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物を提供するものである。
本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物によれば、水不溶性食物繊維含有粉末が持つ、独特のクセがある風味をマスキングし、素材自体の風味を向上させることができる。また、水不溶性食物繊維含有粉末を含有するベーカリー等の生地のしまりを抑制し、粘度を安定させることができる。
本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物においては、前記乳化剤が、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ソルビタンモノラウレート、及びクエン酸モノオレートから選ばれた1種類又は2種類以上であることが好ましい。
本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物においては、前記水不溶性食物繊維含有粉末の、水で膨潤して流動化する吸水量が、当該粉末重量の1.5〜20倍であることが好ましい。
また、本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物においては、前記油脂は液状油であることが好ましい。
更に、本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物においては、前記乳化剤は、ジグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレートであることが好ましい。
更に、本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物においては、前記油脂100質量部に対して前記乳化剤を0.1〜6.0質量部含有することが好ましい。
また、本発明のもう1つは、水不溶性食物繊維含有粉末と、上記記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物とを含有することを特徴とするベーカリー製品用ミックス粉を提供するものである。
本発明のベーカリー製品用ミックス粉によれば、水不溶性食物繊維含有粉末が持つ、独特のクセがある風味をマスキングし、素材自体の風味を向上させることができる。また、ベーカリー生地のしまりを抑制し、粘度を安定させることができる。
本発明のベーカリー製品用ミックス粉においては、前記水不溶性食物繊維含有粉末100質量部に対して前記油脂組成物を10〜600質量部含有することが好ましい。
また、本発明のベーカリー製品用ミックス粉においては、前記水不溶性食物繊維含有粉末の、水で膨潤して流動化する吸水量が当該粉末重量の1.5〜20倍である水不溶性食物繊維含有粉末であることが好ましい。
更に、本発明のもう1つは、上記記載のベーカリー製品用ミックス粉を原料とするベーカリー製品を提供するものである。
本発明のベーカリー製品によれば、水不溶性食物繊維含有粉末が持つ、独特のクセがある風味がマスキングされ、素材自体の風味が向上したベーカリー製品を得ることができる。
更に、本発明のもう1つは、水不溶性食物繊維含有粉末、上記記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物、及び他の原料を混合して生地を作成し、成形し、焼成することを特徴とするベーカリー製品の製造方法を提供するものである。
本発明のベーカリー製品の製造方法によれば、水不溶性食物繊維含有粉末が持つ、独特のクセがある風味がマスキングされ、素材自体の風味が向上したベーカリー製品を得ることができる。また、ベーカリー生地のしまりを抑制し、粘度を安定させることができるので生産性に優れている。
本発明のベーカリー製品の製造方法においては、前記水不溶性食物繊維含有粉末と、上記記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物とを予め混合してから、他の原料と混合することが好ましい。
また、本発明のベーカリー製品の製造方法においては、前記水不溶性食物繊維含有粉末の、水で膨潤して流動化する吸水量が当該粉末重量の1.5〜20倍である水不溶性食物繊維含有粉末であることが好ましい。
更に、本発明のベーカリー製品の製造方法においては、前記水不溶性食物繊維含有粉末100質量部に対して前記油脂組成物を10〜600質量部添加することが好ましい。
本発明によれば、水不溶性食物繊維含有粉末が持つ、独特のクセがある風味をマスキングし、素材自体の風味を向上させることができる。また、水不溶性食物繊維含有粉末を含有するベーカリー等の生地のしまりを抑制し、粘度を安定させることができる。
本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物に用いられる油脂としては、食用に適するものであれば特に限定されず、例えば、なたね油、ヤシ油、パーム油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、こめ油、大豆油、ヒマワリ油、パーム軟質油、パーム核油等の植物性油脂;ラード、牛脂、乳脂、魚油等の動物性油脂;及びそれらの水素添加油、分別油、エステル交換油等が挙げられる。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物に用いられる油脂は、液状油であることが好ましい。なお、本発明において、液状油とは、室温(20℃)で液状である油脂のことを意味する。
本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物に用いられる乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ソルビタン脂肪酸エステル、及び有機酸モノグリセリドから選ばれた1種類又は2種類以上が用いられる。
乳化剤としては、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ソルビタンモノラウレート、及びクエン酸モノオレートから選ばれた1種類又は2種類以上が好ましく、ジグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレートであることがより好ましい。
乳化剤としては、ジグリセリン脂肪酸エステルが最も好ましい。ジグリセリン脂肪酸エステルを用いることで、水不溶性食物繊維含有粉末に対する加水量を効果的に低減させることができると共に、水不溶性食物繊維含有粉末が持つ、独特のクセがある風味を十分にマスキングすることができる。また、ジグリセリン脂肪酸エステルとポリグリセリン縮合リシノレートを併用することが更に好ましく、それによって、生地のしまりを抑制し独特のクセがある風味を十分にマスキングすることができる。
本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物における乳化剤の含有量は、油脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜6.0質量部であり、より好ましくは0.5〜5.0質量部である。乳化剤の含有量が0.1質量部未満であると本発明の効果が得られない傾向にあり、6.0質量部を超えると生地の粘度が低下する傾向がある。
本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物が対象とする水不溶性食物繊維含有粉末としては、例えば、セルロース、結晶セルロース、リグニン、キチン、及びキトサン等の水不溶性食物繊維自体の粉末;おから、ココア、ふすま(小麦ふすま、大麦ふすま、ライ麦ふすま、オーツ麦ふすま等)、大豆、小豆、インゲン豆、エンドウ豆、サトウキビ、竹、アーモンド、柑橘類の果皮(シトラス)、ヨモギ、しそ、パセリ、アボガド、グリーンピース、モロヘイヤ、オクラ、ゆり根、きな粉、ゴボウ、紅茶、及び抹茶等の水不溶性食物繊維を含む素材の粉末が挙げられる。
また、このような水不溶性食物繊維含有粉末としては、水で膨潤して流動化する吸水量(又は吸水率)が、好ましくは当該粉末重量の1.5〜20倍、より好ましくは2〜20倍である水不溶性食物繊維含有粉末を用いてもよい。
ここで、水不溶性食物繊維含有粉末の、水で膨潤して流動化する吸水量の測定方法は以下のとおりである。すなわち、カップ中の1gの水不溶性食物繊維含有粉末に水を1gずつ添加しながら混合する。水不溶性食物繊維含有粉末が吸水膨潤して、カップを45度に傾けたとき、流動状になる直前の加水量(水不溶性食物繊維含有粉末の質量の倍数)を水で膨潤して流動化する吸水量とした。なお、測定時の温度は室温(20℃)とした。
なお、本明細書における「粉末」には顆粒も含まれるものとする。また、水不溶性食物繊維含有粉末の平均粒子径は、特に限定されないが、1〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましい。ここで、平均粒子径は、レーザー回折/散乱式(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」)で測定したメジアン径(D50)を意味する。
本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物は、上記に記載したような水不溶性食物繊維含有粉末と混合することで、該粉末の表面をコーティングすることが好ましい。この場合、水不溶性食物繊維含有粉末の表面へのコーティング方法としては、該粉末に該油脂を添加し混合する方法、該油脂組成物に該粉末を添加し混合する方法、がより好ましく採用される。
本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物を水不溶性食物繊維含有粉末の表面にコーティングすることにより、該粉末が持つ独特のクセのある風味をマスキングし、素材自体の風味を向上させることができる。また、該粉末の吸水を抑制し、水不溶性食物繊維含有粉末に対する加水量を低減させることができる。
また、本発明の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物をコーティングした水不溶性食物繊維含有粉末は、生地にしたときの吸水が抑制されるので、生地のしまりが抑制され、粘度を安定させることができる。このため、ベーカリー製品用ミックス粉やベーカリー製品に好適に用いることができる。
このようなベーカリー製品用ミックス粉は、水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物と水不溶性食物繊維含有粉末とを原料として含有する。この場合、該粉末100質量部に対して該油脂組成物を10〜1000質量部含有することが好ましく、40〜600質量部含有することがより好ましい。該油脂組成物の含有量が10質量部未満であると本発明の効果が乏しくなる傾向にあり、1000質量部を超えると、ベタついたり、ダマになったりする傾向がある。
ベーカリー製品用ミックス粉は上記原料の他に、例えば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、とうもろこし粉等の穀粉類、でん粉、糖類、乳成分、卵成分、増粘多糖類、酵素製剤、食塩、炭酸カルシウム等の無機塩類、ビタミン類、イースト、イーストフード、膨張剤、着色料、香料等の他の原料を含有しても良い。また本発明の効果を損なわない範囲で前記以外の乳化剤を含有しても良い。
また、本発明のベーカリー製品は、水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物と水不溶性食物繊維含有粉末とを原料として用いて公知の方法で製造することができるが、該粉末と該油脂組成物とを予め混合し、該粉末の表面を該油脂組成物でコーティングしてから他の原料と混合することが好ましい。
このようなベーカリー製品は、水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物と水不溶性食物繊維含有粉末とを原料として含有する。この場合、該粉末100質量部に対して該油脂組成物を10〜1000質量部含有することが好ましく、40〜600質量部含有することがより好ましい。該油脂組成物の含有量が10質量部未満であると本発明の効果が乏しくなる傾向にあり、1000質量部を超えると製造工程中で生地がベタついたり、原料混合中にダマが発生したりする傾向がある。
なお、本発明において、ベーカリー製品とは、食パン、フランスパン、菓子パン、ナン、フォカッチャ、イングリッシュマフィン、テーブルロール、バンズ、ベーグル、デニッシュ、ポンデケージョ、ピザ、トルティーヤ、中華まん、蒸しパン、ペストリー、スポンジケーキ、バターケーキ、パウンドケーキ、ホットケーキ、マドレーヌ、蒸しケーキ、パイ、タルト、ドーナツ、ビスケット、クラッカー、プレッツェル、ボーロ、どら焼き、饅頭のようなパン・菓子類等を指し、イースト発酵の有無は問わない。
本発明のベーカリー製品は上記ベーカリー製品用ミックス粉の他に、例えば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、とうもろこし粉等の穀粉類、でん粉、糖類、乳成分、卵成分、増粘多糖類、酵素製剤、食塩、炭酸カルシウム等の無機塩類、ビタミン類、イースト、イーストフード、膨張剤、着色料、香料等の他の原料を含有しても良い。また本発明の効果を損なわない範囲で前記以外の乳化剤を含有しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
<試験例1>
(1)水不溶性食物繊含有粉末用油脂組成物の調製
表1に示す配合で油脂(比較例1−1〜1−3)、及び水不溶性食物繊含有粉末用油脂組成物(実施例1−1〜1−11)を調製した。
(1)水不溶性食物繊含有粉末用油脂組成物の調製
表1に示す配合で油脂(比較例1−1〜1−3)、及び水不溶性食物繊含有粉末用油脂組成物(実施例1−1〜1−11)を調製した。
表1中、ポエムDO100V、L300、及びポエムK37Vは理研ビタミン株式会社製、サンソフトQ−18D、及びサンソフトNo.818Rは太陽化学株式会社製のものであり、いずれも商品名である。
(2)加水量の確認
おからパウダー(超微粉、有限会社ユウテック製)又は全脂大豆粉(商品名、日清オイリオグループ株式会社製)1gに、油脂又は上記で調製した水不溶性食物繊含有粉末用油脂組成物を、おからパウダーに対しては0.6g、全脂大豆粉に対しては0.5g混合した後、水を徐々に添加混合し、混合物が流動状になる加水量(g)を確認した。なお、用いたおからパウダーの吸水量は6.0、全脂大豆粉の吸水量は3.0であった。なお、吸水量は前述した方法で測定した値である。
おからパウダー(超微粉、有限会社ユウテック製)又は全脂大豆粉(商品名、日清オイリオグループ株式会社製)1gに、油脂又は上記で調製した水不溶性食物繊含有粉末用油脂組成物を、おからパウダーに対しては0.6g、全脂大豆粉に対しては0.5g混合した後、水を徐々に添加混合し、混合物が流動状になる加水量(g)を確認した。なお、用いたおからパウダーの吸水量は6.0、全脂大豆粉の吸水量は3.0であった。なお、吸水量は前述した方法で測定した値である。
この結果を表2に示した。表2に示すように、油脂の添加により、おからパウダー及び全脂大豆粉の加水量をやや抑えることができたが(比較例1−1〜1−3)、本発明の水不溶性食物繊含有粉末用油脂組成物の添加により、加水量をさらに抑えることができた(実施例1−1〜1−11)。
<試験例2>
(1)おからドーナツの作成
表3に示す配合のおからドーナツ原料をホイッパーでミキシングした後、約10分間生地をねかしてドーナツ生地を作成した。あらかじめ離型油を塗布したリング状の型にドーナツ1個当たり約50gずつ生地を絞った。その後、下天板を敷いて170〜180℃で18〜19分間焼成した。
(1)おからドーナツの作成
表3に示す配合のおからドーナツ原料をホイッパーでミキシングした後、約10分間生地をねかしてドーナツ生地を作成した。あらかじめ離型油を塗布したリング状の型にドーナツ1個当たり約50gずつ生地を絞った。その後、下天板を敷いて170〜180℃で18〜19分間焼成した。
表3中、油脂は、比較例2−2では液状油(菜種白絞油)、実施例2−1では試験例1で調製した実施例1−6の水不溶性食物繊含有粉末用油脂組成物(以下、「油脂組成物」ともいう。)、実施例2−2では試験例1で調製した実施例1−9の油脂組成物を用いた。また、表3中、ホットケーキミックスは、家庭用の「ホットケーキミックス」(商品名、日清フーズ株式会社製)を用いた。「ラブール」は月島食品工業株式会社製のマーガリンである。
(2)評価方法
上記で作成したドーナツを専門パネラー5名にて試食し、おから風味及び食感(しとり感、飲み込み易さ)について、下記基準に従って評価を行った。なお、しとり感とは、湿り気があり、飲み込み易いことをいう。
上記で作成したドーナツを専門パネラー5名にて試食し、おから風味及び食感(しとり感、飲み込み易さ)について、下記基準に従って評価を行った。なお、しとり感とは、湿り気があり、飲み込み易いことをいう。
・おから風味
4点:ほとんどしない
3点:弱い
2点:やや弱い
1点:比較例2−1と同等
0点:比較例2−1よりもおから独特の風味が強い
・食感
4点:非常にしとり感がある
3点:しとり感がある
2点:ややしとり感がある
1点:比較例2−1と同等
0点:比較例2−1よりもしとり感がない
なお、おから未使用のドーナツは「3点」である。
4点:ほとんどしない
3点:弱い
2点:やや弱い
1点:比較例2−1と同等
0点:比較例2−1よりもおから独特の風味が強い
・食感
4点:非常にしとり感がある
3点:しとり感がある
2点:ややしとり感がある
1点:比較例2−1と同等
0点:比較例2−1よりもしとり感がない
なお、おから未使用のドーナツは「3点」である。
(3)結果
結果を表4に示した。
結果を表4に示した。
表4に示すように、油脂組成物を用いた実施例2−1、2−2のドーナツでは、おから独特のクセがある風味が弱く、油脂組成物によりマスキングされていることがわかった。また、ドーナツにしとり感があり、飲み込み易い食感であることがわかった。 油脂組成物を用いていない比較例2−1、2−2のドーナツでは、おから風味が感じられ、また、パサつきが感じられた。
なお、ドーナツ水分量は、ドーナッツの表面を取り除いたものをフードプロセッサーで粉砕し、油分水分測定装置(CEM社製、商品名「TURBO SMART SYSTEM5」)で水分を測定した。
<試験例3>
(1)チョコドーナツ生地の作成
表5に示す配合のチョコドーナツ原料をホイッパーでミキシングした後、約10分間生地をねかしてドーナツ生地を作成した。
(1)チョコドーナツ生地の作成
表5に示す配合のチョコドーナツ原料をホイッパーでミキシングした後、約10分間生地をねかしてドーナツ生地を作成した。
表5中、油脂は、比較例3−2では液状油、実施例3−1では実施例1−6の油脂組成物、実施例3−2では実施例1−9の油脂組成物を用いた。
(2)評価方法
上記で作成したドーナツ生地の粘度(単位:cp)の変化を確認した。具体的には、スピンドルS95・回転数20rpmに設定したB型粘度計(ブルックフィールド社製)を使用し、カップに充填して所定時間静置した生地を、20秒間回転させて測定した。
上記で作成したドーナツ生地の粘度(単位:cp)の変化を確認した。具体的には、スピンドルS95・回転数20rpmに設定したB型粘度計(ブルックフィールド社製)を使用し、カップに充填して所定時間静置した生地を、20秒間回転させて測定した。
(3)結果
結果を表6に示した。
結果を表6に示した。
表6に示すように、油脂組成物を用いた実施例3−1のドーナツ生地では、時間が経過しても生地の粘度はほぼ変化がなく、安定していることがわかった。実施例3−2のドーナツ生地では、時間の経過とともに粘度が減少し、生地が緩んでいくことがわかった。
油脂組成物を用いていない比較例3−1、3−2のドーナツ生地では、時間の経過とともに生地の粘度が増加し、生地がしまっていくことがわかった。
<試験例4>
(1)ブランロールパンの作成
表7に示す配合のブランロールパン原料を混捏し、ロールパン生地を調製した。得られた生地は、80gずつ分割して成形し、20分ベンチタイムを取った後、38℃、相対湿度80%、60分のホイロを取った後、190〜210℃のオーブンで9分焼成した。
(1)ブランロールパンの作成
表7に示す配合のブランロールパン原料を混捏し、ロールパン生地を調製した。得られた生地は、80gずつ分割して成形し、20分ベンチタイムを取った後、38℃、相対湿度80%、60分のホイロを取った後、190〜210℃のオーブンで9分焼成した。
表7中、油脂は、比較例4−2では液状油、実施例4−1では実施例1−6の油脂組成物、実施例4−2では実施例1−9の油脂組成物を用いた。また、表7中、ウイートブランは日清製粉株式会社製(商品名ウイートブランMP)、マーガリンは月島食品工業株式会社製(商品名ブレッドベースマーガリン)のものを用いた。
(2)評価方法
上記で作成したブランロールパンを専門パネラー5名にて試食し、ブラン風味について、下記基準に従って評価を行った。食感は試験例2と同様に評価を行った。
上記で作成したブランロールパンを専門パネラー5名にて試食し、ブラン風味について、下記基準に従って評価を行った。食感は試験例2と同様に評価を行った。
・ブラン風味
4点:ほとんどしない
3点:弱い
2点:やや弱い
1点:比較例4−1と同等
0点:比較例4−1よりもブラン独特の風味が強い
4点:ほとんどしない
3点:弱い
2点:やや弱い
1点:比較例4−1と同等
0点:比較例4−1よりもブラン独特の風味が強い
(3)結果
結果を表8に示した。
結果を表8に示した。
表8に示すように、油脂組成物を用いた実施例4−1、4−2のブランロールパンでは、ブラン独特のクセがある風味が弱く、油脂組成物によりマスキングされていることがわかった。また、しとり感があり、飲み込み易い食感であることがわかった。 油脂組成物を用いていない比較例4−1、4−2のブランロールパンでは、ブラン風味が感じられ、また、パサつきが感じられた。
Claims (14)
- 油脂と、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ソルビタン脂肪酸エステル、及び有機酸モノグリセリドから選ばれた1種類又は2種類以上の乳化剤とを含有することを特徴とする水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物。
- 前記乳化剤が、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ソルビタンモノラウレート、及びクエン酸モノオレートから選ばれた1種類又は2種類以上である、請求項1に記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物。
- 前記水不溶性食物繊維含有粉末の、水で膨潤して流動化する吸水量が、当該粉末重量の1.5〜20倍である、請求項1又は2に記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物。
- 前記油脂は液状油である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物。
- 前記乳化剤は、ジグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物。
- 前記油脂100質量部に対して前記乳化剤を0.1〜6.0質量部含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物。
- 水不溶性食物繊維含有粉末と、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物とを含有することを特徴とするベーカリー製品用ミックス粉。
- 前記水不溶性食物繊維含有粉末100質量部に対して前記油脂組成物を10〜1000質量部含有する、請求項7に記載のベーカリー製品用ミックス粉。
- 前記水不溶性食物繊維含有粉末の、水で膨潤して流動化する吸水量が、当該粉末重量の1.5〜20倍である、請求項7又は8に記載のベーカリー製品用ミックス粉。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載のベーカリー製品用ミックス粉を原料とするベーカリー製品。
- 水不溶性食物繊維含有粉末、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物、及び他の原料を混合して生地を作成し、成形し、焼成することを特徴とするベーカリー製品の製造方法。
- 前記水不溶性食物繊維含有粉末と、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水不溶性食物繊維含有粉末用油脂組成物とを予め混合してから、他の原料と混合する、請求項11に記載のベーカリー製品の製造方法。
- 前記水不溶性食物繊維含有粉末の、水で膨潤して流動化する吸水量が当該粉末重量の1.5〜20倍である水不溶性食物繊維含有粉末である、請求項11又は12に記載のベーカリー製品の製造方法。
- 前記水不溶性食物繊維含有粉末100質量部に対して前記油脂組成物を10〜1000質量部添加する、請求項11〜13のいずれか1項に記載のベーカリー製品の製造方法。
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