以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態に係る作業指示システム11は、組立作業の対象物である部品の三次元設計データに基づく立体モデルと、三次元設計データの属性情報の少なくとも一部と、属性情報に含まれている所定の部品情報に対応づけられている関連情報とを作業指示画面として、作業者へ提供する。さらに、作業指示システム11は、対象物の部品が配線である場合に、配線の組立作業の説明に使用する立体モデルを第1の所定操作が可能に表示することにより、一瞥ではわかりにくい配線の組立作業方法を作業者へ伝える。
図1〜図9を用いて第1実施例を説明する。図1は、作業改善支援システム1の全体概要を示す説明図である。作業改善支援システム1は、作業指示システム11と作業分析システム12を備える。これに代えて、作業改善支援システム1は、作業指示システム11を含む情報処理システムと呼ぶこともできる。
作業改善支援システム1は、作業現場2で組立作業する作業者に対して作業指示画面300を提供すると共に、作業者の作業結果を収集して分析する。後述する他の実施例では、作業改善支援システム1は、作業分析結果および/または作業者からの連絡に基づいて、作業指示画面を修正することもできる。
作業改善支援システム1は、例えば、少なくとも一つの計算機を用いて構成することができる。作業改善支援システム1を実現するコンピュータシステムの一例は、図2で後述する。
先に作業現場2について説明する。作業現場2は、少なくとも一つのセル21を含んでいる。セル21では、作業者Wが作業指示端末23に表示された作業手順にしたがって、製品25を生産する。
ここでは、セル生産方式を例に挙げて説明するが、これに限らず、ライン方式、ダイナミックセル方式に適用してもよい。また、本実施形態の作業現場2は、いわゆる多品種少量生産に向いているが、少品種大量生産や少品種少量生産にも適用可能である。
セル21には、作業者Wによる作業の状況を監視するためのカメラ24が少なくとも一つ設置されている。カメラ24は、作業状況のみならず、セル21の周囲の状況を監視してもよい。
セル21またはセル21の近傍には、RFID(Radio Frequency IDentifier)タグ26から情報を読み出すRFIDリーダ22が設けられている。ここで、RFIDタグ26は、例えば、作業者Wが持つ作業タグ26−1と、製品25に設けられる製品タグ26−2とに分けることができる。
作業タグ26−1は、さらに、作業者Wの識別情報を格納する作業者タグと、作業者の配置先のセル(配置先工程)を示す作業指導票タグとに分けることができる(いずれも図示せず)。RFIDリーダ22は、作業タグ26−1から、作業者を特定する識別情報と、セル(工程)を特定する識別情報とを読み出す。作業改善支援システム1は、RFIDリーダ22の読み取った情報に基づいて、どのセル21にどの作業者が配置されているかを把握できる。また、製品タグ26−2から製品25に関する情報を取得することで、製品25の現在位置や製造履歴等を把握することもできる。
「ディスプレイ装置」の一例としての作業指示端末23は、そのセル21での作業手順を作業者へ教示する作業指示画面300を表示する。作業指示画面300は、「第1表示領域」の例である第1ペイン310と、「第2表示領域」の例である第2ペイン320と、「第3表示領域」の例である第3ペイン330とを含む。
第1ペイン310には、組立対象製品25の立体モデル311と、組立対象部品28の立体モデル312とが表示される。ここでは、部品として、ケーブル、リード線、ハーネスなどの配線28を挙げる。作業手順の対象となる部品28の立体モデル312は、他の部品と区別がつくように強調表示することができる。強調表示のために、例えば、他の部品と色彩を変える、線を太くする、点滅させる等の手法を採用することができる。
作業者は、第1ペイン310に表示された配線312の接続位置、取付け位置、通過位置などを確認するために、立体モデル311,312に対して所定の操作(第1の所定操作)を行うことができる。
所定の操作には、例えば、製品の立体モデル311を回転させたり、製品の立体モデル311の一部を透明にしたり、製品の立体モデル311に含まれる他の部品を消去したり、製品の立体モデル311のうち配線の立体モデル312が接続されている箇所または通過する箇所などを拡大表示または縮小表示したりする操作が、含まれる。
配線以外の他の部品の場合、例えば、液晶ディスプレイ、シーケンサ、リレー、スイッチ、電源装置などの立体モデルは、配線に比べて組立作業は複雑ではなく、一瞥して理解可能であるため、所定の操作(第2の所定操作)は限定されている。非配線部品の立体モデルに対しては、回転操作などの限られた操作のみ許可することができる。
第2ペイン320には、製品25の三次元設計データに含まれる属性情報のうち少なくとも一部(例えば、製品25に組み付ける部品の属性情報の一部)が表示される。
第3ペイン330には、属性情報に所定の部品コードが含まれている場合に、その部品コードに対応づけられている関連情報が表示される。所定の部品コードは「所定の部品情報」の例である。関連情報には、例えば、作業上の注意事項と、対象製品へ対象部品を組み付ける際に必要な所定の道具に関する情報と、対象製品または対象製品に関連する他の部品に関する情報とのいずれか一つを含むことができる。後述の実施例で明らかとなるように、関連情報が存在しない場合も考えられ、その場合は作業指示画面300に第3ペイン330は設けられない。
作業者は、一つの作業手順を完了すると、作業指示画面300上において、その作業手順の完了を示す完了ボタンまたは次の作業手順の表示を要求する次ボタン(いずれも不図示)を操作する。作業改善支援システム1は、作業指示端末23(作業指示画面300)への操作を監視することにより、各セル21での作業手順の進捗状況をリアルタイムで把握することができる。なお、後述する他の実施例では、配線の組立作業に使用する工具(例えば自動ドライバ)の動作状況を監視することにより、配線の組立作業が完了したことを自動的に検出する。
作業者Wは、作業者端末27を持つこともできる。作業者端末27は、例えば、会社の支給する携帯電話(いわゆるスマートフォンを含む)や携帯情報端末である。作業者端末27は、例えば、眼鏡型または時計型のようないわゆるウェアラブル端末として構成されてもよい。作業者端末27または作業指示端末23の少なくともいずれかをAR(Augmented Reality)端末として構成してもよい。
作業改善支援システム1の構成を説明する。作業改善支援システム1は、上述の通り、作業指示システム11と、作業分析システム12とを含む。先に作業指示システム11について説明する。
作業指示システム11は、各セル21において作業者Wへ提供する作業指示画面300を生成する。作業指示システム11は、例えば、3DCADデータ記憶部111と、組立順序記憶部112と、組立順序登録部113と、作業指示生成部114と、作業指示表示部115と、作業指示管理テーブル116とを備える。
3DCADデータ記憶部111は、図外の三次元CADシステムの出力した三次元設計データ(3DCADデータ)を記憶する。
組立順序記憶部112は、3DCADデータから自動的にまたは手動で生成される組立順序に関する情報を記憶する。組立順序情報とは、製品25を製造する際に、どの部品をどの順番でどこに取り付けるかを示す情報である。
組立順序登録部113は、組立順序記憶部112に記憶された組立順序情報のうち、対象物である製品25の組立についての作業指示に用いる組立順序情報を登録する。
作業指示生成部114は、組立順序登録部113に登録された組立順序情報と、作業指示管理テーブル116に記憶された属性情報および関連情報とから、作業指示画面300に表示する作業指示コンテンツを生成する。
本実施例では、上述の通り、作業指示コンテンツのうち、配線の組立作業についてのコンテンツと、配線以外の部品の組立作業についてのコンテンツとでは、作業者が行うことのできる操作の種類(回転、拡大、縮小、透過など)が相違する。製品25の離れた箇所を複雑な経路を介して接続する配線の技術的特殊性に鑑み、配線の組立作業について作業者が必要な情報を容易かつ十分に確認できるように、立体モデル311,312に対する操作の種類を豊富に用意している。
作業指示表示部115は、作業指示生成部114で生成された作業指示コンテンツのデータを生成して作業指示端末23へ送信することにより、作業指示端末23に作業指示画面300を表示させる。
なお、上述の機能111〜116の全てが作業改善支援システム1内に設けられている必要はない。例えば、3DCADデータ記憶部111と組立順序記憶部112は、システム1の外部に設けられてもよい。
作業分析システム12について説明する。作業分析システム12は、各セル21での各作業者Wの作業結果を監視して分析する。作業分析システム12は、例えば、作業状況監視部121と、生産実績管理部122と、生産計画管理部123と、作業者管理部124と、作業分析部125とを備える。さらに、作業分析システム12は、作業解析者などのユーザが作業分析システム12との間で情報を交換するためのユーザインターフェース装置(不図示)を有する。
なお、これら機能121〜125の全ての実体が作業改善支援システム1内に設けられている必要はない。例えば、作業状況監視部121、生産実績管理部122、生産計画管理部123、作業者管理部124は、作業改善支援システム1の外部に設け、それら外部機能121〜124から必要な情報のみを作業分析部125へ送信してもよい。
作業状況監視部121は、各工程のRFIDリーダ22がRFIDタグ26から読み取った識別情報と、作業指示端末23への作業者による操作とに基づいて、各セル21での作業の進捗状況を監視し、生産実績管理部122へ送信する。
生産実績管理部122は、作業状況監視部121からのデータに基づいて、セル(工程)毎の生産実績を管理する。
生産計画管理部123は、作業現場2の生産計画を管理する。生産計画管理部123は、生産現場全体の生産計画と、セル別の生産計画とをそれぞれ管理する。
作業者管理部124は、例えば、各作業者の作業員番号、氏名、勤務形態、勤務時間、担当した工程の履歴、各セルで必要とされるスキルの有無などを管理する。作業タグ26−1には、作業者管理部124で管理される情報が書き込まれる。
作業分析部125は、生産実績管理部122で管理する各セルの生産実績データと生産計画管理部123で管理する各セル別生産計画とに基づいて、各セルでの作業状況を解析する。例えば、作業分析部125は、各作業の実績値(作業時間)と目標値(目標作業時間)とから、ボトルネック作業が発生しているか等を解析することができる。
作業工程の改善を担当する生産管理責任者などのユーザは、作業分析部125の分析結果に基づいて、作業効率を改善するための策を立案することができる。立案された対策は、検証後に、作業手順指示情報として採用され、作業指示画面300に反映される。
図2は、作業改善支援システム1を実現するコンピュータシステムの一例である。コンピュータシステム1000は、例えば、作業指示システムサーバ1001と、作業分析システムサーバ1002と、3DCADシステム1003と、データベースサーバ1004と、ユーザ管理サーバ1005とを通信ネットワークCN1を介して接続することにより構成される。さらに、作業指示システムサーバ1001および作業分析システムサーバ1002は、通信ネットワークCN2を介して、各セル21の作業指示端末23にも接続されている。
作業指示システムサーバ1001は、作業指示システム11を実現するサーバである。作業指示システムサーバ1001は、例えば、マイクロプロセッサ(CPUと略記)10011、メモリ10012、記憶装置10013、ユーザインターフェース装置10014、通信部10015といったコンピュータ資源を有する。マイクロプロセッサ10011が、記憶装置10013に格納されたコンピュータプログラムをメモリ10012に読み込んで実施することにより、作業指示システム11としての機能が実現する。
作業分析システムサーバ1002は、作業分析システム12を実現するサーバである。作業分析システムサーバ1002も、マイクロプロセッサやメモリなどのコンピュータ資源(いずれも不図示)を有する。図示せぬマイクロプロセッサが図示せぬコンピュータプログラムを実行することにより、作業分析システム12としての機能が実現する。図2では、作業指示システムサーバ1001と作業分析システムサーバ1002とをそれぞれ別々の物理計算機として構成するかのように示すが、これに代えて、サーバ1001,1002を仮想計算機として構成し、一つの物理計算機上に設けてもよい。
3DCADシステム1003は、製品25および製品25を構成する各部品の三次元設計データを生成して出力する計算機である。データベースサーバ1004は、作業現場2からのデータなどを格納する。ユーザ管理サーバ1005は、作業改善支援システム1を使用するユーザ(例えばシステム管理者、分析担当者、作業指示作成者、設計者など)を管理する。
図3は、作業指示管理テーブル116の例を示す。作業指示管理テーブル116は、作業指示の内容を管理する。作業指示管理テーブル116は、例えば、製品毎に用意されている。
作業指示管理テーブル116は、例えば、製品名1161と、製造番号1162と、作業手順番号1163と、部品コード1164と、属性情報1165と、関連情報1166とを含む。管理テーブル116は、図3に示した項目以外の項目を含んでもよいし、図3に示した項目の一部を備えなくてもよい。管理テーブル116は、一つのテーブルから構成される必要はなく、複数のテーブルから構成することもできる。
製品名1161は、製品の名称または型番である。製造番号1162は、製品を識別する情報である。作業手順番号1163は、例えば作業名のように、作業手順を識別する情報である。部品コード1164は、組立作業対象の部品を識別する情報である。
属性情報1165は、3DCADデータの属性情報である。属性情報としては、例えば、部品コードで特定される部品の名称、その部品を製造した部署を識別する情報、その部品を組立作業に用いる数量、その部品のCADデータを特定する情報などがある。部品コードも属性情報の一つであるが、図3では便宜上、部品コードと属性情報とを分けて表示している。
関連情報1166は、属性情報に所定の部品を特定する情報(部品コード)が含まれている場合に、その所定の部品情報に予め対応づけられている所定の情報である。関連情報としては、図7で後述するように、例えば、作業上の注意事項331と、作業対象の部品に関連する他の部品に関する情報332と、作業対象の部品の組立作業に使用する工具に関する情報333と、その他の情報334とがある。その他の情報334は、例えば、製品25についての一般的注意事項、製品25を構成する複数の部品に適用される一般的情報を含むことができる。工具に関する情報333には、組立作業に使用する工具を特定する情報と、その工具の設定値(締め付けトルクなど)とが含まれる。
図4は、作業指示生成処理のフローチャートである。作業指示システム11は、製品ごとに(S11)、以下の各ステップS12〜S18を実行する。
作業指示システム11は、対象の製品25の3DCADデータを3DCADデータ記憶部111から取得する(S12)。さらに、作業指示システム11は、3DCADデータ等を解析することにより得られた組立順序情報のうち、組立順序登録部113に登録された組立順序情報を取得する(S13)。
作業指示システム11は、作業手順ごとに(S14)、ステップS15〜S18を実行する。すなわち、作業指示システム11は、ステップS12で取得した3DCADデータに基づいて、作業対象の部品の3Dモデル(立体モデル)を描画する画像データを生成する(S15)。
製品25に含まれる各部品のうち、配線のみを3Dモデルの画像データとして生成し、配線以外の部品を二次元画像データとして生成することもできる。配線の場合は、例えば、接続先の位置および配線を引き回す経路などを作業者が容易に確認できるように、3Dモデルとして描画され、回転や拡大縮小などの操作が可能であることが好ましい。
これに対し、スイッチ、ボタン、コントローラ、リレー、表示パネル、電源装置などの配線以外の部品の場合は、通常、その取付位置は製品25の特定の位置に限られており、一目で視認できる。したがって、非配線部品の場合は、二次元画像で説明すれば足り、3Dモデルは必要とされないことも考えられる。そこで例えば、所定の経験を積んだ熟練作業者の場合は、配線についてのみ3Dモデルを用いて組立作業方法を説明し、熟練していない作業者の場合は、全ての部品について3Dモデルを用いて組立作業方法を説明することもできる。以下では、全ての部品について3Dモデルの画像データを生成する例を述べるが、上述の通り、非配線部品の場合は2Dモデルの画像データ(二次元画像データ)を生成してもよい。
作業指示システム11は、ステップS12で取得した3DCADデータに含まれている部品コードに基づいて、部品名や必要数量、製造部署などの属性情報を作業指示管理テーブル116から取得する(S16)。
作業指示システム11は、3DCADデータに含まれている部品コードに基づいて、作業指示管理テーブル116から関連情報を取得する(S17)。
作業指示システム11は、ステップS15で生成した3D画像データと、ステップS16で取得した属性情報と、ステップS17で取得した関連情報を元にして、作業指示画面300に表示するための作業指示コンテンツを生成し、保存する(S18)。
本実施例において、作業指示コンテンツは、対象物である部品が配線の場合と非配線の場合とで、作業者Wに可能な操作が異なる。さらには、配線の場合は3Dモデルを用いて作業者に組立作業を説明し、非配線部品の場合は2Dモデルを用いて作業者に組立作業を説明することもできる。
図5は、配線の組立作業を作業現場2で確認する処理を示すフローチャートである。作業指示端末23の作業指示画面300に、組立作業の対象物である配線28と製品25の半製品とが3Dモデルとして表示される(S21)。対象物である配線を容易に識別できるように、配線は強調表示される(S21)。
作業者Wは、作業指示画面300の第1ペイン310に表示された3Dモデルに対し指先で触れることにより、例えば、回転(S22、S23)、拡大(S24、S25)、縮小(S26、S27)、透過(S28、S29)といった所定の操作(「第1の所定操作」の一例)を行うことができる。
すなわち例えば、製品25の表側にある接続先と製品25の裏側にある接続先とを配線で接続する場合、作業者は、3Dモデルを回転させて(S22:YES、S23)、表側の接続先と裏側の接続先とをそれぞれ確認する。また例えば、部品の入り組んだ箇所に配線を通す必要がある場合、作業者は、入り組んだ箇所を拡大表示させることにより(S24:YES)、どこからどのように配線を通すか確認する(S25)。さらに例えば、配線の引き回しの全体を確認する場合、作業者は、配線全体が見えるように縮小表示させることにより(S26:YES)、配線の引き回しの全体を確認する(S27)。さらに例えば、配線が他の部品の裏を通過して設けられる場合、作業者は、その部品を透過表示させることにより(S28:YES)、隠された部分を確認する(S29)。
図6は、配線以外の部品を作業現場2で確認する処理を示すフローチャートである。配線以外の部品(非配線部品)の3Dモデルは、作業指示画面300の第1ペイン310に表示される(S41)。作業者は、非配線部品の設けられた半製品のモデルを指先で触れることにより、拡大表示または縮小表示させることができる(S42,S43)。これらの拡大表示と縮小表示とは、「第2の所定操作」の一例である。
非配線部品の場合、その取付け位置および取付け方法は、配線とは異なりわかりやすいため、作業者による画面の確認方法を制限している。上述の通り、非配線部品の場合は、3Dモデルではなく、2Dモデルすなわち二次元画像を用いて組立作業の方法を説明してもよい。
図7は、作業指示画面300の例を示す。上述の通り、作業指示画面300は、作業指示端末23の画面に表示される。作業指示画面300は、画面中央部に位置する第1ペイン310と、第1ペイン310の下側に位置する第2ペイン320と、第1ペイン310の右側に位置する第3ペイン330とを備える。
第1ペイン310には、製品25の立体モデル(3Dモデル)311と、作業手順の対象とする部品(ここでは配線)の立体モデル312とが表示されている。作業対象の部品の立体モデル312は、その位置や形状が他の部品と区別がつくように、強調表示することができる。
第2ペイン320には、作業手順の対象とする部品の属性情報が表形式で表示される。部品の属性情報は、例えば、番号321、部品名322、部署名323、数量324、備考325を含むことができる。
第3ペイン330には、立体モデル311,312および属性情報だけでは作業者へ伝えることのできない情報が関連情報として表示される。関連情報は、例えば、製造上のこつ(ノウハウ)や注意点などの注意事項331と、対象部品に関連する他の部品の情報332と、対象部品の組付作業に使用する工具の情報333と、その他の情報334の全部または一部を含めることができる。
関連部品情報332は、例えば、対象部品の作業に際して関連する部品に対する注意点などを含む。その他の情報334は、製品25の納入先などに応じて記載される情報であり、納入先に応じて項目を適宜カスタマイズすることができる。
作業者は、作業に取りかかる前に、作業指示端末23に表示された作業指示画面300の内容を確認する。作業者は、どのような点に注意して作業すべきか等を事前に確認してから、作業に取りかかる。ここで、経験の浅い作業者は、各ペイン310〜330に表示される全ての情報を目視して確認することが要求されるが、熟練の作業員であれば、必ずしも全ての情報を目視確認する必要はない。経験により作業手順を覚えていることが多いためである。そこで、本実施例では、関連情報331〜334のうち、少なくとも一部の情報の表示を抑制できるようにしている。表示を抑制するとは、例えば、関連情報の項目名だけを表示し、作業者が項目名を操作した場合に詳細を表示させる場合を示している。つまり、関連情報の全てを最初から第3ペイン330に表示せずに、作業者の必要に応じて表示させることができる。これにより、限られた表示サイズを有効に利用して、より多くの情報を作業者へ提供することができる。
図8は、作業指示画面300の他の例である。図8では、第1ペイン310に、非配線部品の3Dモデルと製品25の半製品の3Dモデルとが表示されている。
図9は、組立作業を説明する3Dモデルを模式的に示す例である。製品の3Dモデル311には、配線の3Dモデル312(1)と、非配線部品の3Dモデル312(2)〜(4)とが表示されている。
図9に示す配線のモデル312(1)は、例えば、両端の接続先箇所A1,A2と、他部品312(4)を通過する箇所A3と、他部品312(2)により隠される箇所A4とを含む。
作業者は、図9に示すような3Dモデル311,312を回転表示、拡大表示、縮小表示、透過表示させることにより、配線の組立方法を確認することができる。
このように構成される本実施例によれば、製品25および作業対象部品28の立体モデル311,312を表示する第1ペイン310と、部品の属性情報を表示する第2ペイン320と、所定の部品コードに対応づけられた関連情報を表示する第3ペイン330を備える作業指示画面300を作業者へ提供することができる。これにより、作業者は、作業手順の内容を立体的に把握することができると共に、注意点などの立体モデルでは伝えにくい情報を確認することができる。この結果、本実施例によれば、作業手順の理解を促進して作業性を向上できるとともに、製造品質のばらつきをおさえることもできる。
さらに本実施例によれば、製品25内をわかりにくい複雑な経路で引き回される配線について、3Dモデルを介して容易に確認することができるため、配線の組立作業を効率よく確認して理解することができ、作業性が向上する。
さらに本実施例では、配線の組立作業の場合は3Dモデルを使用し、非配線部品の組立作業の場合は2Dモデルを使用することもできる。このため本実施例によれば、対象物の技術的性質に応じて、詳細な説明画面と簡略化された説明画面とを使い分けることができ、コンピュータ資源を効率よく使用して作業指示システム11を実現できる。
図13〜図15を用いて第5実施例を説明する。本実施例では、作業者が組立作業中に気づいた点を電子メール400で設計者等へフィードバックできるようにすることで、作業指示画面300の改善に役立てる。
図13は、本実施例による作業指示画面300aの例である。作業者は、作業手順に示された通りに作業をしている間に、改善点または不具合点に気づくことがある。以下では、不具合点に気づいた場合を例に挙げて説明する。
例えば、作業者は、対象部品の取り付けに際して、他の部品と干渉するおそれがあることに気づいたり、組み付けにくい等の問題に気づいたりした場合、立体モデル311,312上の問題箇所を指先などでマークする。
特に、配線作業の場合は、離れた箇所同士を接続すること、部品と部品の間を縫うように引き回す必要があること、狭い隙間から工具を差し入れる場合があること、線材が柔らかいために途中を支持する必要があること、といった技術的性質を持つ。したがって、作業現場2での実際の配線作業中に、作業指示に対する問題点(改善点)に気づくことがある。本実施例では、作業現場2で気づいた改善点を上流工程へフィードバックする。
本実施例では、作業指示端末23はタッチパネルを備えているのが好ましい。しかし、タッチパネルに限らず、問題点(改善点)の箇所を立体モデル上で特定できる装置であればよい。
作業者は、問題箇所をマークした後に、テキストメッセージまたは音声メッセージを付加することにより電子メール400を生成させ、予め登録された宛先に送信させる。作業者は、仮想キーボードや物理キーボードからテキストメッセージを書き込んだり、作業指示端末23に設けられたマイク(不図示)から音声を録音したりできる。このように構成される電子メール400は、例えば、問題箇所の画像と、メッセージと、作業者の識別情報と、作業手順番号等を含む。
図14は、作業現場2で発見された不具合を作業指示画面300から電子メール400として関係者へ通知する処理を示すフローチャートである。
上述の通り、不具合に気づいた作業者は、第1ペイン310に表示された立体モデル上で問題箇所をマークする。作業指示システム11は、作業者からの入力操作に基づいて、問題箇所を特定し(S61)、電子メール400に管理情報を付加する(S62)。管理情報とは、不具合解析に必要な書誌的事項であり、例えば、作業者ID、作業手順番号、部品コード等である。作業者は、不具合の発生箇所を立体モデル上で簡単に指定することができ、報告の作業性が向上する。
さらに作業指示システム11は、作業者から入力されたメッセージを電子メール400に追加する(S63)。作業指示システム11は、作業者が電子メールの送信を指示したことを検出すると(S64:YES)、電子メール400を事前に登録された所定の宛先へ送信する(S65)。
所定の宛先としては、例えば、作業現場2の責任者や、製品25の設計者、作業指示コンテンツの作成者を挙げることができる。本実施例では、各作業現場2で発見された不具合を現場責任者へいったん集め、現場責任者が必要と判断した場合に設計者などへ電子メール400を転送する。
すなわち現場責任者は、自分の使用する端末27により電子メール400を受信すると(S71)、設計者などへ転送すべきであるか判断する。現場責任者の端末27は、転送指示が入力されたことを検知すると(S72:YES)、ステップS31で受信した電子メール400を設計者等へ転送する(S73)。
作業者から作業指示画面300を介して送信された電子メール400を直接設計者へ送らずに、いったん現場責任者に集めることにより、無駄な電子メール400が設計者へ送られるのを抑制する。作業者の発見した不具合が、作業者の勘違いや未熟さ等に起因する場合もあるためである。
製品25の設計者(および/または作業指示コンテンツの作成者)は、現場責任者の端末27から転送された電子メール400をパーソナルコンピュータ等の端末(不図示)で受信し(S81)、確認する。受信した電子メール400は、例えばデータベースサーバ1004で管理される。
図15は、作業指示コンテンツを修正する処理を示すフローチャートである。ここでは、設計者端末が作業指示コンテンツを修正する場合を説明する。
設計者端末は、作業分析システム12から作業分析結果を取得する(S91)。設計者端末は、データベースサーバ1004にアクセスすることにより、不具合報告があったか確認する(S92)。不具合報告がある場合(S92:YES)、設計者端末は不具合を報告する電子メール400をデータベースサーバ1004から取得する(S93)。
設計者端末は、作業分析結果と不具合報告とから、作業指示コンテンツの内容を修正すべきか判断する(S94)。
例えば、作業分析結果から抽出されるボトルネック作業と、不具合の報告された作業手順とが一致する場合、その作業手順の改善のために作業指示コンテンツを修正すべきであると判定することができる。ボトルネック作業とは、例えば、作業完了に要する時間が目標値よりも長い作業である。
作業時間が長くなるのは、作業者の熟練度等によっても異なるが、作業指示の伝え方に改善点があるのかもしれない。この場合、例えば、見落としやすい周辺の部品との関係や、間違えやすい工具などについての注意事項を新規に作成し、関連情報に含める。これに対し、製品25の設計に改善点が存在する場合は、設計データを見直して修正することができる。
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例によれば、作業者は、作業中に気づいた点を作業指示画面300から報告することができるため、作業現場2での気づきを簡単に収集することができる。そして、本実施例では、作業分析システム12での作業分析結果と作業現場2からの報告とに基づいて、作業指示コンテンツを修正することができるため、より一層わかりやすい作業指示画面300を作業者へ提供することができる。これにより、組立作業の作業性を改善でき、ボトルネック作業の発生を抑制することができる。本実施例は、第1〜第4実施例のいずれにも適用することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。上述の実施形態において、添付図面に図示した構成例に限定されない。本発明の目的を達成する範囲内で、実施形態の構成や処理方法は適宜変更することが可能である。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれる。さらに特許請求の範囲に記載された構成は、特許請求の範囲で明示している組合せ以外にも組み合わせることができる。