JP2020148870A - 感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び感放射線性酸発生剤 - Google Patents
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Abstract
Description
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体と、[B]酸発生剤とを含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[C]酸拡散制御剤、[D]溶媒及び/又は[A]重合体よりもフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率が大きい第2重合体(以下、「[E]重合体」ともいう)を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有していてもよい。
[A]重合体は、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有する重合体である。[A]重合体は、構造単位(I)以外に、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位(以下、「構造単位(II)ともいう」)、アルコール性水酸基を含む構造単位(以下、「構造単位(III)ともいう」)及び/又はフェノール性水酸基を含む構造単位(以下、「構造単位(IV)ともいう」)を有することが好ましく、上記構造単位(I)〜(IV)以外のその他の構造単位を有していてもよい。[A]重合体は、各構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
構造単位(I)は、酸解離性基を含む構造単位である。[A]重合体が構造単位(I)中に酸解離性基を有することで、露光により[B]酸発生剤から発生する酸の作用により露光部において酸解離性基が解離し、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差異が生じることにより、レジストパターンを形成することができる。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の脂環式不飽和炭化水素基などが挙げられる。
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造等の飽和脂環構造、
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、ノルボルネン構造等の不飽和脂環構造などが挙げられる。
これらの中で、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘキセン構造又はアダマンタン構造が好ましい。
構造単位(II)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(II)を有することで現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。また、レジストパターンと基板との密着性をより向上させることができる。
構造単位(III)は、アルコール性水酸基を含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(III)を有することで現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。また、レジストパターンと基板との密着性をより向上させることができる。
構造単位(IV)は、フェノール性水酸基を含む構造単位である。「フェノール性水酸基」とは、ベンゼン環に直結するヒドロキシ基に限らず、芳香環に直結するヒドロキシ基全般を指す。後述するレジストパターン形成方法における露光工程で照射する放射線として、KrFエキシマレーザー光、EUV、電子線等を用いる場合には、[A]重合体が構造単位(IV)を有することで、露光光に対する感度をより高めることができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。
その他の構造単位としては、例えば非酸解離性の炭化水素基を含む構造単位(以下、「構造単位(V)」ともいう)等が挙げられる。非酸解離性の炭化水素基としては、例えば−COO−のオキシ基に結合する2級の鎖状炭化水素基、2級の脂環式炭化水素基等が挙げられる。[A]重合体がその他の構造単位を有する場合、その他の構造単位の含有割合の上限としては、30モル%が好ましく、20モル%がより好ましい。上記含有割合の下限としては、例えば1モル%である。
GPCカラム:東ソー(株)の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本及び「G4000HXL」1本
溶出溶媒 :テトラヒドロフラン
流量 :1.0mL/分
試料濃度 :1.0質量%
試料注入量 :100μL
カラム温度 :40℃
検出器 :示差屈折計
標準物質 :単分散ポリスチレン
[B]酸発生剤は、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(B)ともいう」)を含む。化合物(B)は、放射線の照射により酸を発生する物質である。放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、EUV、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。化合物(B)から発生した酸により[A]重合体が有する酸解離性基が解離してカルボキシ基又はフェノール性水酸基が生じ、[A]重合体の現像液への溶解性が変化するため、当該感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成することができる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロノナン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環の飽和脂環構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環の不飽和脂環構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造、ヘキサシクロテトラデカン構造等の多環の飽和脂環構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環の不飽和脂環構造等が挙げられる。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状のアルキル基;
i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐状のアルキル基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
[C]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生剤等から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を制御する効果を奏する。また、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上すると共に、レジストとしての解像度がより向上する。さらに、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。当該感放射線性樹脂組成物における[C]酸拡散制御体の含有形態としては、低分子化合物(以下、適宜「[C]酸拡散制御剤」ともいう)の形態でも、[A]重合体等の重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、通常、[D]溶媒を含有する。[D]溶媒は、少なくとも[A]重合体、[B]酸発生剤及び所望により含有される任意成分を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
酢酸n−ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
γ−ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
酢酸プロピレングリコール等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
[E]重合体は、[A]重合体よりもフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率が大きい重合体である。
構造単位(F)としては、例えば下記式(f−1)等が挙げられる。
その他の任意成分としては、例えば界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物は、その他の任意成分をそれぞれ1種又は2種以上含有していてもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生剤及び必要に応じて、[C]酸拡散制御体、[D]溶媒、[E]重合体等の任意成分を所定の割合で混合し、好ましくは得られた混合物を孔径0.2μm以下のメンブランフィルターでろ過することにより調製することができる。
当該レジストパターン形成方法は、基板に直接又は間接に当該感放射線性樹脂組成物を塗工する工程(以下、「塗工工程」ともいう)と、上記塗工工程により形成されたレジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)とを備える。
本工程では、基板に直接又は間接に当該感放射線性樹脂組成物を塗工する。これによりレジスト膜が形成される。基板としては、例えばシリコンウエハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知のもの等が挙げられる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。塗工方法としては、例えば回転塗工(スピンコーティング)、流延塗工、ロール塗工等が挙げられる。塗工した後に、必要に応じて、塗膜中の溶媒を揮発させるため、プレベーク(PB)を行ってもよい。PBの温度の下限としては、60℃が好ましく、80℃がより好ましい。上記温度の上限としては、150℃が好ましく、140℃がより好ましい。PBの時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。上記時間の下限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。形成されるレジスト膜の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。上記平均厚みの上限としては、1000nmが好ましく、500nmがより好ましい。
本工程では、上記塗工工程により形成されたレジスト膜を露光する。この露光は、フォトマスクを介して(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)露光光を照射することにより行う。露光光としては、目的とするパターンの線幅等に応じて、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、EUV、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中でも、遠紫外線、EUV又は電子線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、EUV又は電子線がより好ましく、ArFエキシマレーザー光又はEUVがさらに好ましい。なお、露光量等の露光条件は、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類、露光光の種類等に応じて適宜選定することができる。
本工程では、上記露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像工程における現像方法は、アルカリ現像液を用いるアルカリ現像であっても、有機溶媒含有現像液を用いる有機溶媒現像であってもよい。
当該感放射線性酸発生剤は、上記(1)で表される化合物を含む。当該感放射線性酸発生剤は、上述の当該感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。当該感放射線性酸発生剤は、上述の[B]酸発生剤として説明している。
重合体のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、東ソー(株)のGPCカラム(「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、及び「G4000HXL」1本)を使用し、以下の条件により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
溶出溶媒 :テトラヒドロフラン
流量 :1.0mL/分
試料濃度 :1.0質量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器 :示差屈折計
標準物質 :単分散ポリスチレン
重合体の13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子(株)の「JNM−Delta400」)を用いて行った。
各実施例及び各比較例における各重合体の合成で用いた単量体を以下に示す。なお、以下の合成例においては特に断りのない限り、質量部は使用した単量体の合計質量を100質量部とした場合の値を意味し、モル%は使用した単量体の合計モル数を100モル%とした場合の値を意味する。
単量体(M−1)、単量体(M−2)及び単量体(M−10)を、モル比率が40/15/45(モル%)となるよう2−ブタノン(200質量部)に溶解し、開始剤としてAIBN(2モル%)を添加して単量体溶液を調製した。反応容器に2−ブタノン(100質量部)を入れ、30分窒素パージした後、反応容器内を80℃とし、撹拌しながら上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。冷却した重合溶液をメタノール(2000質量部)中に投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末をメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を得た(収率:80%)。重合体(A−1)のMwは8700であり、Mw/Mnは1.49であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−1)、(M−2)及び(M−10)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ39.9モル%、14.3モル%及び45.8モル%であった。
下記表1に示す種類及び配合割合の単量体を用いたこと以外は合成例1と同様にして、重合体(A−2)〜重合体(A−11)を合成した。得られた重合体の各構造単位の含有割合(モル%)、収率(%)及び物性値(Mw及びMw/Mn)を下記表1に合わせて示す。なお、下記表1における「−」は、該当する単量体を使用しなかったことを示す。
単量体(M−3)、単量体(M−18)及び単量体(M−12)を、モル比率が60/30/10(モル%)となるよう1−メトキシ−2−プロパノール(200質量部)に溶解し、開始剤としてAIBN(5モル%)を添加して単量体溶液を調製した。反応容器に1−メトキシ−2−プロパノール(100質量部)を入れ、30分窒素パージした後、反応容器内を80℃とし、撹拌しながら上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。冷却した重合溶液をヘキサン(2000質量部)中に投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末をヘキサンで2回洗浄した後、ろ別し、1−メトキシ−2−プロパノール(300質量部)に溶解した。次いで、メタノール(500質量部)、トリエチルアミン(50質量部)及び超純水(10質量部)を加え、撹拌しながら70℃で6時間加水分解反応を実施した。反応終了後、残溶媒を留去し、得られた固体をアセトン(100質量部)に溶解し、水(500質量部)の中に滴下して樹脂を凝固させ、得られた固体をろ別し、50℃で13時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−12)を得た(収率:78%)。重合体(A−12)のMwは5500であり、Mw/Mnは1.55であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−3)、(M−18)及び(M−12)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ59.4モル%、32.1モル%及び8.5モル%であった。
下記表2に示す種類及び配合割合の単量体を用いたこと以外は合成例12と同様にして、重合体(A−13)〜重合体(A−15)を合成した。得られた重合体の各構造単位の含有割合(モル%)、収率(%)及び物性値(Mw及びMw/Mn)を下記表2に合わせて示す。
単量体(M−12)及び単量体(M−14)を、モル比率が30/70(モル%)となるよう2−ブタノン(200質量部)に溶解し、開始剤としてAIBN(3モル%)を添加して単量体溶液を調製した。反応容器に2−ブタノン(100質量部)を入れ、30分窒素パージした後、反応容器内を80℃とし、撹拌しながら上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。溶媒をアセトニトリル(400質量部)に置換した後、ヘキサン(100質量部)を加えて撹拌しアセトニトリル層を回収する作業を3回繰り返した。溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換することで、重合体(E−1)の溶液を得た(収率:72%)。重合体(E−1)のMwは6500であり、Mw/Mnは1.81であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−12)及び(M−14)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ31.3モル%及び68.7モル%であった。
下記表3に示す種類及び配合割合の単量体を用いたこと以外は合成例16と同様にして、重合体(E−2)を合成した。得られた重合体の各構造単位の含有割合(モル%)、収率(%)及び物性値(Mw及びMw/Mn)を下記表3に合わせて示す。
[合成例18](酸発生剤(B−1)の合成)
反応容器に3−ブロモ−2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸22.2mmol、ジフェニルメタノール28.9mmol、ジシクロヘキシルカルボジイミド28.9mmol及びテトラヒドロフラン50gを加えた。50℃で5時間撹拌後、水を加えて希釈させたのち、酢酸エチルを加えて抽出し、有機層を分離した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製することで、エステル誘導体を良好な収率で得た。
前駆体を適宜変更したこと以外は合成例18と同様にして、下記式(B−2)〜(B−19)で表される化合物を合成した(以下、式(B−2)〜(B−19)で表される化合物をそれぞれ「化合物(B−2)」〜「化合物(B−19)」又は「酸発生剤(B−2)」〜「酸発生剤(B−19)」と記載する場合がある。)。
各感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[A]重合体、[E]重合体及び[B]酸発生剤以外の成分を以下に示す。
b−1〜b−15:下記式(b−1)〜(b−15)で表される化合物
C−1〜C−5:下記式(C−1)〜(C−5)で表される化合物
D−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
D−2:シクロヘキサノン
D−3:γ−ブチロラクトン
D−4:乳酸エチル
[実施例1]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)14.0質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C−5)2.3質量部、[E]重合体としての(E−1)5.0質量部、並びに[D]溶媒としての(D−1)2240質量部、(D−2)960質量部及び(D−3)30質量部を混合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過することにより、感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
下記表4に示す種類及び含有量の各成分を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感放射線性樹脂組成物(J−2)〜(J−33)及び(CJ−1)〜(CJ−15)を調製した。
12インチのシリコンウエハ上に、スピンコーター(東京エレクトロン(株)の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚さ105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に上記スピンコーターを使用して上記調製したArF露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却することにより、平均厚さ90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に対し、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(ASML社の「TWINSCAN XT−1900i」)を用い、NA=1.35、Annular(σ=0.8/0.6)の光学条件にて、40nmスペース、105nmピッチのマスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で60秒間PEBを行った。その後、有機溶媒現像液として酢酸n−ブチルを用いて上記レジスト膜を有機溶媒現像し、現像後に水で洗浄し、さらに乾燥させることでネガ型のレジストパターン(40nmラインアンドスペースパターン)を形成した。また、マスクパターンを代えたこと以外は上述の操作と同様にして、ネガ型のレジストパターン(40nmホール、105nmピッチ)を形成した。
上記ArF露光用感放射線性樹脂組成物を用いて形成したレジストパターンについて、感度、LWR性能及びCDU性能を下記方法に従って評価した。その結果を下記表5に示す。なお、レジストパターンの測長には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ(株)の「CG−5000」)を用いた。
上記ArF露光用感放射線性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成において、40nmラインアンドスペースパターンを形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm2)とした。感度は、25mJ/cm2以下の場合は「良好」と、25mJ/cm2を超える場合は「不良」と評価した。
上記感度の評価で求めた最適露光量を照射して40nmラインアンドスペースパターンを形成するようにマスクサイズを調整して、レジストパターンを形成した。形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅のばらつきを計500点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、この3シグマ値をLWR(nm)とした。LWRは、その値が小さいほど、ラインのがたつきが小さく良好であることを示す。LWR性能は、4.5nm以下の場合は「良好」と、4.5nmを超える場合は「不良」と評価した。
40nmホール、105nmピッチのレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。500nmの範囲でホール径を16点測定してその平均値を求め、その平均値を任意のポイントで計500点測定し、その測定値の分布から1シグマ値を求め、これをCDU(nm)とした。CDUは、その値が小さいほど、長周期でのホール径のばらつきが小さく良好であることを示す。CDU性能は、4.9nm以下の場合は「良好」と、4.9nmを超える場合は「不良」と評価した。
[実施例34]
[A]重合体としての(A−12)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)20.0質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C−1)3.2質量部、[E]重合体としての(E−2)3.0質量部、並びに[D]溶媒としての(D−1)4280質量部及び(D−4)1830質量部を混合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過することにより、感放射線性樹脂組成物(J−34)を調製した。
下記表6に示す種類及び含有量の各成分を用いたこと以外は実施例34と同様にして、感放射線性樹脂組成物(J−35)〜(J−45)及び(CJ−16)〜(CJ−22)を調製した。
12インチのシリコンウエハ上に、スピンコーター(東京エレクトロン(株)の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚さ105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に上記スピンコーターを使用して上記調製したEUV露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、130℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却することにより、平均厚さ55nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に対し、EUV露光装置(ASML社の「NXE3300」)を用い、NA=0.33、照明条件:Conventional s=0.89、マスク:imecDEFECT32FFR02にて露光した。露光後、120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液として2.38質量%のTMAH水溶液を用いて上記レジスト膜をアルカリ現像し、現像後に水で洗浄し、さらに乾燥させることでポジ型のレジストパターン(32nmラインアンドスペースパターン)を形成した。
上記EUV露光用感放射線性樹脂組成物を用いて形成したレジストパターンについて、感度及びLWR性能を下記方法に従って評価した。その結果を下記表7に示す。なお、レジストパターンの測長には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ(株)の「CG−5000」)を用いた。
上記EUV露光用感放射線性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成において、32nmラインアンドスペースパターンを形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm2)とした。感度は、35mJ/cm2以下の場合は「良好」と、35mJ/cm2を超える場合は「不良」と評価した。
上記感度の評価で求めた最適露光量を照射して32nmラインアンドスペースのパターンを形成するようにマスクサイズを調整して、レジストパターンを形成した。形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅のばらつきを計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、この3シグマ値をLWR(nm)とした。LWRは、その値が小さいほど、ラインのがたつきが小さく良好であることを示す。LWR性能は、3.8nm以下の場合は「良好」と、3.8nmを超える場合は「不良」と評価した。
Claims (10)
- 上記環構造が、環員数10の橋かけ環構造でない請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記環構造が、橋かけ環構造でない請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1)におけるR1が、置換若しくは非置換の炭素数12〜40の1価の脂環式炭化水素基、置換若しくは非置換の炭素数12〜40の1価の芳香族炭化水素基、又は下記式(2)で表される基である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 酸拡散制御体をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 基板に直接又は間接に請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を塗工する工程と、
上記塗工工程により形成されたレジスト膜を露光する工程と、
上記露光されたレジスト膜を現像する工程と
を備えるレジストパターン形成方法。 - 上記環構造が、環員数10の橋かけ環構造でない請求項7に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記環構造が、橋かけ環構造でない請求項7又は請求項8に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1)におけるR1が、置換若しくは非置換の炭素数12〜40の1価の脂環式炭化水素基、置換若しくは非置換の炭素数12〜40の1価の芳香族炭化水素基、又は下記式(2)で表される基である請求項7、請求項8又は請求項9に記載の感放射線性樹脂組成物。
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