JP2020148870A - 感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び感放射線性酸発生剤 - Google Patents

感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び感放射線性酸発生剤 Download PDF

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Abstract

【課題】露光光に対する感度が良好であり、LWR性能及びCDU性能に優れる感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び感放射線性酸発生剤の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、酸解離性基を含む構造単位を有する重合体と、感放射線性酸発生剤とを含有し、上記感放射線性酸発生剤が下記式(1)で表される化合物を含む感放射線性樹脂組成物。下記式(1)中、R1は、環構造を含む置換又は非置換の炭素数12〜40の1価の炭化水素基である。nは、0又は1である。Am+は、m価の感放射線性オニウムカチオンである。mは、1又は2である。【選択図】なし

Description

本発明は、感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び感放射線性酸発生剤に関する。
リソグラフィーによる微細加工に用いられる感放射線性樹脂組成物は、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)等の遠紫外線、極端紫外線(EUV)等の電磁波、電子線等の荷電粒子線などの放射線の照射により露光部に酸を発生させ、この酸を触媒とする化学反応により露光部と未露光部との現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成する。
かかる感放射線性組成物には、露光光に対する感度が良好であることに加え、線幅の均一性を示すLWR(Line Width Roughness)性能及び長周期で線幅のばらつきを示すCDU(Critical Dimention Uniformity)性能が要求される。これらの要求に対しては、感放射線性樹脂組成物に用いられる重合体、酸発生剤、その他の成分の種類や分子構造等が検討され、さらにその組み合わせについても詳細に検討されている(特開2014−149409号公報及び国際公開第2015/174215号参照)。
しかしながら、レジストパターンの微細化が線幅40nm以下のレベルまで進展している現状にあっては、上記性能の要求レベルはさらに高まり、上記従来の感放射線性樹脂組成物では、これらの要求を満足させることはできていない。
特開2014−149409号公報 国際公開第2015/174215号
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、露光光に対する感度が良好であり、LWR性能及びCDU性能に優れる感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び感放射線性酸発生剤を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、酸解離性基を含む構造単位を有する重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)と、感放射線性酸発生剤(以下、「[B]酸発生剤」ともいう)とを含有し、上記感放射線性酸発生剤が下記式(1)で表される化合物を含む感放射線性樹脂組成物である。
Figure 2020148870
(式(1)中、Rは、環構造を含む置換又は非置換の炭素数12〜40の1価の炭化水素基である。nは、0又は1である。Am+は、m価の感放射線性オニウムカチオンである。mは、1又は2である。)
「酸解離性基」とは、カルボキシ基又はフェノール性水酸基の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。「環構造」には、脂環構造及び芳香環構造が含まれる。「炭素数」とは、炭化水素基を構成する炭素原子数をいう。「炭化水素基」には、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。この「炭化水素基」は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基をいい、直鎖状炭化水素基及び分岐鎖状炭化水素基の両方を含む。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基をいい、単環の脂環式炭化水素基及び多環の脂環式炭化水素基の両方を含む。但し、脂環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基をいう。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環構造を含んでいてもよい。「環員数」とは、環構造を構成する原子数をいい、多環の場合は、この多環を構成する原子数をいう。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、基板に直接又は間接に当該感放射線性樹脂組成物を塗工する工程と、上記塗工工程により形成されたレジスト膜を露光する工程と、上記露光されたレジスト膜を現像する工程とを備えるレジストパターン形成方法である。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、上記式(1)で表される化合物を含む感放射線性酸発生剤である。
本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法によれば、露光光に対する感度が良好であり、LWR性能及びCDU性能に優れるレジストパターンを形成することができる。本発明の感放射線性酸発生剤は、当該感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。したがって、これらは、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイスの加工プロセス等に好適に用いることができる。
<感放射線性樹脂組成物>
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体と、[B]酸発生剤とを含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[C]酸拡散制御剤、[D]溶媒及び/又は[A]重合体よりもフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率が大きい第2重合体(以下、「[E]重合体」ともいう)を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有していてもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、露光光に対する感度が良好であり、LWR性能及びCDU性能に優れる。当該感放射線性樹脂組成物が上記構成を備えることで、上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、当該感放射線性樹脂組成物に含有される[B]酸発生剤が、上記式(1)で表される化合物を含むことにより、酸発生剤により発生する酸の酸性度が高くなるため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解度の差が大きくなること等が考えられる。以下、各成分について説明する。
<[A]重合体>
[A]重合体は、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有する重合体である。[A]重合体は、構造単位(I)以外に、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位(以下、「構造単位(II)ともいう」)、アルコール性水酸基を含む構造単位(以下、「構造単位(III)ともいう」)及び/又はフェノール性水酸基を含む構造単位(以下、「構造単位(IV)ともいう」)を有することが好ましく、上記構造単位(I)〜(IV)以外のその他の構造単位を有していてもよい。[A]重合体は、各構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、酸解離性基を含む構造単位である。[A]重合体が構造単位(I)中に酸解離性基を有することで、露光により[B]酸発生剤から発生する酸の作用により露光部において酸解離性基が解離し、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差異が生じることにより、レジストパターンを形成することができる。
構造単位(I)としては、例えば下記式(2−1A)、式(2−1B)、式(2−2A)、式(2−2B)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1A)、(I−1B)、(I−2A)、(I−2B)」ともいう)、アセタール構造を含む構造単位(以下、「構造単位(I−3)」ともいう)等が挙げられる。なお、構造単位(I−1A)〜(I−2B)において、カルボキシ基又はフェノール性水酸基に由来するオキシ酸素原子に結合する−CR又は−R(OR)が酸解離性基である。
Figure 2020148870
上記式(2−1A)及び(2−1B)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造若しくは環員数5〜20の脂肪族複素環構造の一部である。
上記式(2−2A)及び(2−2B)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、水素原子若しくは炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに合わせられRが結合する炭素原子及びこの炭素原子に隣接する酸素原子と共に構成される環員数4〜20の脂肪族複素環構造の一部である。
、R、R、R、R及びRで表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の脂環式不飽和炭化水素基などが挙げられる。
炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
及びRが互いに合わせられ構成される環員数5〜20の脂肪族複素環構造としては、例えばブチロラクトン構造、バレロラクトン構造等のラクトン構造などが挙げられる。
及びR又はR及びRが互いに合わせられ構成される環員数3〜20の脂環構造としては、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造等の飽和脂環構造、
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、ノルボルネン構造等の不飽和脂環構造などが挙げられる。
これらの中で、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘキセン構造又はアダマンタン構造が好ましい。
及びRが互いに合わせられ構成される環員数5〜20の脂肪族複素環構造としては、例えばオキサシクロブタン構造、オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造等の飽和酸素含有複素環構造;オキサシクロブテン構造、オキサシクロペンテン構造、オキサシクロヘキセン構造等の不飽和酸素含有複素環構造などが挙げられる。
としては、構造単位(I)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子又はメチル基が好ましい。
としては、水素原子、アルキル基又はアリール基が好ましい。
及びRとしては、アルキル基又は脂環式飽和炭化水素基が好ましい。
構造単位(I)としては、上記構造単位(I−1A)が好ましい。
[A]重合体が構造単位(I)を有する場合、構造単位(I)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、25モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、70モル%が好ましく、65モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましく、55モル%が特に好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の露光光に対する感度をより高めることができ、その結果、LWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(II)を有することで現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。また、レジストパターンと基板との密着性をより向上させることができる。
構造単位(II)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2020148870
Figure 2020148870
Figure 2020148870
Figure 2020148870
上記式中、RL1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
上記構造単位(II)としては、ラクトン構造又はスルトン構造を含む構造単位が好ましい。
[A]重合体が構造単位(II)を有する場合、構造単位(II)の含有割合の下限としては、[A]重合体における全構造単位に対して、10モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、25モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、75モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましく、65モル%が特に好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、[A]重合体は現像液への溶解性をさらに程度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能及びCDU性能をさらに向上させることができる。また、レジストパターンと基板との密着性をさらに向上させることができる。
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、アルコール性水酸基を含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(III)を有することで現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。また、レジストパターンと基板との密着性をより向上させることができる。
構造単位(III)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2020148870
上記式中、RL2は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
[A]重合体が構造単位(III)を有する場合、構造単位(III)の含有割合の下限としては、[A]重合体における全構造単位に対して、1モル%が好ましく、5モル%がより好ましい。上記含有割合の上限としては、30モル%が好ましく、20モル%がより好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、[A]重合体は現像液への溶解性をさらに適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能及びCDU性能をさらに向上させることができる。また、レジストパターンと基板との密着性をさらに向上させることができる。
[構造単位(IV)]
構造単位(IV)は、フェノール性水酸基を含む構造単位である。「フェノール性水酸基」とは、ベンゼン環に直結するヒドロキシ基に限らず、芳香環に直結するヒドロキシ基全般を指す。後述するレジストパターン形成方法における露光工程で照射する放射線として、KrFエキシマレーザー光、EUV、電子線等を用いる場合には、[A]重合体が構造単位(IV)を有することで、露光光に対する感度をより高めることができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。
構造単位(IV)としては、例えば下記式(P)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2020148870
上記式(P)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、単結合、−O−、−COO−又は−CONH−である。Arは、環員数6〜20のアレーンから(p+q+1)個の芳香環上の水素原子を除いた基である。pは、0〜10の整数である。pが1の場合、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基又はハロゲン原子である。pが2以上の場合、複数のRは同一又は異なり、炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲン原子であるか、又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素鎖と共に構成される環員数4〜20の環構造の一部である。qは、1〜11の整数である。但し、p+qは11以下である。
としては、構造単位(IV)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
としては、単結合又は−COO−が好ましく、単結合がより好ましい。
Arを与える環員数6〜20のアレーンとしては、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ピレン等が挙げられる。これらの中で、ベンゼン又はナフタレンが好ましく、ベンゼンがより好ましい。
としては、炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環員数4〜20の環構造としては、例えばシクロヘキサン構造、シクロシクロヘキセン構造造等の脂環構造などが挙げられる。
pとしては、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
qとしては、1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。
構造単位(IV)としては、例えば下記式(P−1)〜(P−12)で表される構造単位(以下、「構造単位(IV−1)〜(IV−12)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2020148870
上記式(P−1)〜(P−12)中、Rは、上記式(P)と同義である。
これらの中で、構造単位(IV−1)又は(IV−7)が好ましい。
[A]重合体が構造単位(IV)を有する場合、構造単位(IV)の含有割合の下限としては、[A1]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、25モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、50モル%が好ましく、45モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましく、35モル%が特に好ましい。構造単位(IV)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。
[その他の構造単位]
その他の構造単位としては、例えば非酸解離性の炭化水素基を含む構造単位(以下、「構造単位(V)」ともいう)等が挙げられる。非酸解離性の炭化水素基としては、例えば−COO−のオキシ基に結合する2級の鎖状炭化水素基、2級の脂環式炭化水素基等が挙げられる。[A]重合体がその他の構造単位を有する場合、その他の構造単位の含有割合の上限としては、30モル%が好ましく、20モル%がより好ましい。上記含有割合の下限としては、例えば1モル%である。
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の下限としては、2000が好ましく、3000がより好ましく、4000がさらに好ましく、5000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、30000が好ましく、20000がより好ましく、15000がさらに好ましく、10000が特に好ましい。[A]重合体のMwを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の塗工性を向上させることができ、その結果、LWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)の上限としては、3.00が好ましく、2.50がより好ましく、2.00がさらに好ましく、1.75が特に好ましい。上記比の下限としては、通常1.00であり、1.10が好ましい。
なお、本明細書における重合体のMw及びMnは、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
GPCカラム:東ソー(株)の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本及び「G4000HXL」1本
溶出溶媒 :テトラヒドロフラン
流量 :1.0mL/分
試料濃度 :1.0質量%
試料注入量 :100μL
カラム温度 :40℃
検出器 :示差屈折計
標準物質 :単分散ポリスチレン
[A]重合体は、例えば各構造単位を与える単量体を、公知の方法で重合することにより合成することができる。
当該感放射線性樹脂組成物の[D]溶媒以外の全成分における[A]重合体の含有割合の下限としては、50質量%が好ましく、60質量%がより好ましく、70質量%がさらに好ましく、80質量%が特に好ましい。
<[B]酸発生剤>
[B]酸発生剤は、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(B)ともいう」)を含む。化合物(B)は、放射線の照射により酸を発生する物質である。放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、EUV、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。化合物(B)から発生した酸により[A]重合体が有する酸解離性基が解離してカルボキシ基又はフェノール性水酸基が生じ、[A]重合体の現像液への溶解性が変化するため、当該感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成することができる。
酸が酸解離性基を解離させる温度の下限としては、80℃が好ましく、90℃がより好ましく、100℃がさらに好ましい。上記温度の上限としては、130℃が好ましく、120℃がより好ましく、110℃がさらに好ましい。酸が酸解離性基を解離させる時間の下限としては10秒が好ましく、1分がより好ましい。上記時間の上限としては、10分が好ましく、2分がより好ましい。
Figure 2020148870
式(1)中、Rは、環構造を含む置換又は非置換の炭素数12〜40の1価の炭化水素基である。nは、0又は1である。Am+は、m価の感放射線性オニウムカチオンである。mは、1又は2である。
における環構造としては、例えば脂環構造、芳香環構造等が挙げられる。
脂環構造としては、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロノナン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環の飽和脂環構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環の不飽和脂環構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造、ヘキサシクロテトラデカン構造等の多環の飽和脂環構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環の不飽和脂環構造等が挙げられる。
芳香環構造としては、例えばベンゼン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造、アントラセン構造、クリセン構造、トリフェニレン構造、テトラフェン構造、ピレン構造、ビフェニル構造、フルオレン構造等が挙げられる。
上記環構造としては、単環の飽和脂環構造、多環の飽和脂環構造又は芳香環構造が好ましい。また、上記環構造としては、環員数10の橋かけ環構造でないことが好ましく、橋かけ環構造でないことがより好ましい。
は、1の環構造のみを含んでいてもよいし、2以上の環構造を含んでいてもよい。
が有する水素原子の一部又は全部は置換基で置換されていてもよい。Rが置換基を有する場合、Rにおける環構造の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよいし、上記環構造以外の部分の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルキルカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホンアミド基、オキソ基などの炭化水素基でない基が挙げられる。
nとしては、1が好ましい。
mとしては、1が好ましい。
としては、置換若しくは非置換の炭素数12〜40の1価の脂環式炭化水素基、置換若しくは非置換の炭素数12〜40の1価の芳香族炭化水素基、又は下記式(2)で表される基が好ましい。
Figure 2020148870
上記式(2)中、Rは、置換若しくは非置換の環員数3〜20の1価の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の環員数6〜20の1価の芳香族炭化水素基である。sは、1〜3の整数である。sが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。Rは、置換又は非置換の炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基である。tは、0〜2の整数である。tが2の場合、2つのRは互いに同一又は異なる。s+tは3以下である。Rは、単結合又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基である。但し、式(2)で表される基の合計炭素数は12〜40である。*は、上記式(1)の−O−又は−C(=O)−に結合する部位を示す。
炭素数12〜40の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば上記式(1)の環構造として例示した脂環構造を含む脂環式炭化水素基等が挙げられる。
炭素数12〜40の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば上記式(1)の環構造として例示した芳香環構造を含む芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数12〜40の1価の脂環式炭化水素基又は炭素数12〜40の1価の芳香族炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換基で置換されていてもよい。これらの基が置換基を有する場合、これらの基における環構造の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよいし、上記環構造以外の部分の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば上記式(1)のRが置換基を有する場合の置換基として例示した炭化水素基でない基が挙げられる。
で表される環員数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば上記式(1)の環構造として例示した脂環構造から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
で表される環員数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば上記式(1)の環構造として例示した芳香環構造から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
で表される環員数3〜20の1価の脂環式炭化水素基又は環員数6〜20の1価の芳香族炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換基で置換されていてもよい。これらの基が置換基を有する場合、これらの基における環構造の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよいし、上記環構造以外の部分の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば上記式(1)のRが置換基を有する場合の置換基として例示した炭化水素基でない基が挙げられる。
で表される炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
で表される炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば上記式(1)のRが置換基を有する場合の置換基として例示した炭化水素基でない基が挙げられる。
で表される炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基としては、例えばRで表される炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基として例示した鎖状炭化水素基から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
で表される炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば上記式(1)のRが置換基を有する場合の置換基として例示した炭化水素基でない基が挙げられる。
上記式(2)で表される基の合計炭素数の下限は12である。上記合計炭素数の上限は、40であり、35が好ましく、30がより好ましく、25がさらに好ましい。なお、「合計炭素数」とは、上記式(2)で表される基を構成する炭素原子数を意味する。上記合計炭素数を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の露光光に対する感度、並びにLWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。
化合物(B)としては、例えば下記式(1−1)〜(1−19)で表される化合物(以下、「化合物(1−1)〜(1−19)ともいう」)等が挙げられる。
Figure 2020148870
上記式(1−1)〜(1−19)中、Aは、1価の感放射線性オニウムカチオンである。A2+は、2価の感放射線性オニウムカチオンである。
上記式(1)におけるmが1である場合、Aで表される1価の感放射線性オニウムカチオンとしては、例えば下記式(r−a)で表されるカチオン(以下、「カチオン(r−a)」ともいう)、下記式(r−b)で表されるカチオン(以下、「カチオン(r−b)」ともいう)、下記式(r−c)で表されるカチオン(以下、「カチオン(r−c)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2020148870
上記式(r−a)中、RB3及びRB4は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。b3は、0〜11の整数である。b3が1の場合、RB5は、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子である。b3が2以上の場合、複数のRB5は互いに同一又は異なり、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基若しくはハロゲン原子であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素鎖と共に構成される環員数4〜20の環構造の一部である。nbbは、0〜3の整数である。
B3、RB4及びRB5で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に2価のヘテロ原子含有基を含む1価の基(g)、上記炭化水素基及び基(g)が有する水素原子の一部又は全部をヘテロ原子含有基で置換した1価の基等が挙げられる。
B3及びRB4としては、炭素数1〜20の1価の非置換の炭化水素基又は水素原子が置換基により置換された炭化水素基が好ましく、炭素数6〜18の1価の非置換の芳香族炭化水素基又は水素原子が置換基により置換された芳香族炭化水素基がより好ましく、置換又は非置換のフェニル基がさらに好ましく、非置換のフェニル基が特に好ましい。
B3及びRB4として表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基が有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、置換若しくは非置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基、−OSO−RBk、−SO−RBk、−ORBk、−COORBk、−O−CO−RBk、−O−RBk2−COORBk、−RBk2−CO−RBk又は−S−RBkが好ましい。RBkは、炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。RBk2は、単結合又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。
B5としては、置換若しくは非置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基、−OSO−RBk、−SO−RBk、−ORBk、−COORBk、−O−CO−RBk、−O−RBk2−COORBk、−RBk2−CO−RBk又は−S−RBkが好ましい。RBkは、炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。RBk2は、単結合又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。
上記式(r−b)中、b4は、0〜9の整数である。b4が1の場合、RB6は、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子である。b4が2以上の場合、複数のRB6は互いに同一又は異なり、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基若しくはハロゲン原子であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素鎖と共に構成される環員数4〜20の環構造の一部である。b5は、0〜10の整数である。b5が1の場合、RB7は、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子である。b5が2以上の場合、複数のRB7は互いに同一又は異なり、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基若しくはハロゲン原子であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子若しくは炭素鎖と共に構成される環員数3〜20の環構造の一部である。nb2は、0〜3の整数である。RB8は、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。nb1は、0〜2の整数である。
B6及びRB7としては、置換若しくは非置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基、−ORBk、−COORBk、−O−CO−RBk、−O−RBk2−COORBk又は−RBk2−CO−RBkが好ましい。RBkは、炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。RBk2は、単結合又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。
上記式(r−c)中、b6は、0〜5の整数である。b6が1の場合、RB9は、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子である。b6が2以上の場合、複数のRB9は互いに同一又は異なり、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基若しくはハロゲン原子であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素鎖と共に構成される環員数4〜20の環構造の一部である。b7は、0〜5の整数である。b7が1の場合、RB10は、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子である。b7が2以上の場合、複数のRB10は互いに同一又は異なり、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基若しくはハロゲン原子であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素鎖と共に構成される環員数4〜20の環構造の一部である。
B9及びRB10としては、置換若しくは非置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基、−OSO−RBk、−SO−RBk、−ORBk、−COORBk、−O−CO−RBk、−O−RBk2−COORBk、−RBk2−CO−RBk、−S−RBk又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造が好ましい。RBkは、炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。RBk2は、単結合又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。
B5、RB6、RB7、RB9及びRB10で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状のアルキル基;
i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐状のアルキル基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
B8で表される2価の有機基としては、例えば上記式(r−a)のRB3、RB4及びRB5として例示した炭素数1〜20の1価の有機基から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
B5、RB6、RB7、RB9及びRB10で表される炭化水素基が有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。これらの中で、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
B5、RB6、RB7、RB9及びRB10としては、非置換の直鎖状若しくは分岐状の1価のアルキル基、1価のフッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO−R又は−SO−Rが好ましく、フッ素化アルキル基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。
式(r−a)におけるb3としては、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。nbbとしては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。式(r−b)におけるb4としては、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。b5としては、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。nb2としては、2又は3が好ましく、2がより好ましい。nb1としては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。式(r−c)におけるb6及びb7としては、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
としては、これらの中で、カチオン(r−a)又は(r−c)が好ましく、カチオン(r−a)がより好ましい。
上記式(1)におけるmが2である場合、A2+で表される2価の感放射線性オニウムカチオンとしては、例えば下記式(r−d)で表されるカチオン(以下、「カチオン(r−d)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2020148870
上記式(r−d)中、RB11は、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。RB12及びRB13は、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の有機基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合するS−RB11−Sと共に構成される環員数4〜20の環構造の一部である。b8は、0〜9の整数である。b8が1の場合、RB14は、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子である。b8が2以上の場合、複数のRB14は互いに同一又は異なり、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基若しくはハロゲン原子であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素鎖と共に構成される環員数4〜20の環構造の一部である。b9は、0〜9の整数である。b9が1の場合、RB15は、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子である。b9が2以上の場合、複数のRB15は互いに同一又は異なり、炭素数1〜20の1価の有機基、ヒドロキシ基、ニトロ基若しくはハロゲン原子であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素鎖と共に構成される環員数4〜20の環構造の一部である。nb3は、0〜2の整数である。nb4は、0〜2の整数である。
B11で表される2価の有機基としては、例えば上記式(r−a)のRB3、RB4及びRB5として例示した炭素数1〜20の1価の有機基から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
B12及びRB13で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば上記式(r−a)のRB3、RB4及びRB5として例示した炭素数1〜20の1価の有機基等が挙げられる。
B14及びRB15で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば上記式(r−b)のRB6として例示した炭素数1〜20の1価の有機基等が挙げられる。
B11としては、炭素数1〜20の2価の非置換の炭化水素基が好ましい。
B12及びRB13としては、炭素数1〜20の1価の非置換の炭化水素基が好ましい。
B14及びRB15としては、非置換の直鎖状又は分岐状の1価のアルキル基、1価のフッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO−RBk3及び−SO−RBk3が好ましく、フッ素化アルキル基及び非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。RBk3は、炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
b8としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。nb3としては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。b9としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。nb4としては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
[B]酸発生剤の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましく、10質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、50質量部が好ましく、40質量部がより好ましく、30質量部がさらに好ましく、20質量部が特に好ましい。[B]酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物は、露光光に対する感度をより向上させることができ、LWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。[B]酸発生体は、1種又は2種以上を含有することができる。
<[C]酸拡散制御体>
[C]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生剤等から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を制御する効果を奏する。また、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上すると共に、レジストとしての解像度がより向上する。さらに、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。当該感放射線性樹脂組成物における[C]酸拡散制御体の含有形態としては、低分子化合物(以下、適宜「[C]酸拡散制御剤」ともいう)の形態でも、[A]重合体等の重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[C]酸拡散制御剤としては、例えば窒素原子含有化合物、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基等が挙げられる。
窒素原子含有化合物としては、例えばトリペンチルアミン、トリオクチルアミン等のアミン化合物、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド基含有化合物、尿素、1,1−ジメチルウレア等のウレア化合物、ピリジン、N−(ウンデシルカルボニルオキシエチル)モルホリン、N−t−ペンチルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン等の含窒素複素環化合物などが挙げられる。
光崩壊性塩基としては、例えば露光により分解するオニウムカチオンと弱酸のアニオンとを含む化合物等が挙げられる。光崩壊性塩基は、露光部において、オニウムカチオンが分解して生じるプロトンと、弱酸のアニオンとから弱酸が発生するので、酸拡散制御性が低下する。
光崩壊性塩基としては、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020148870
当該感放射線性樹脂組成物が[C]酸拡散制御剤を含有する場合、[C]酸拡散制御剤の含有量の下限としては、[A]重合体成分100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、20質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物が[C]酸拡散制御剤を含有する場合、[C]酸拡散制御剤の含有量の下限としては、[B]酸発生剤100モル%に対して、1モル%が好ましく、5モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、250モル%が好ましく、150モル%がより好ましく、100モル%がさらに好ましい。
[C]酸拡散制御剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の露光光に対する感度、LWR性能及びCDU性能をより向上させることができる。[C]酸拡散制御体は、1種又は2種以上を含有することができる。
<[D]溶媒>
当該感放射線性樹脂組成物は、通常、[D]溶媒を含有する。[D]溶媒は、少なくとも[A]重合体、[B]酸発生剤及び所望により含有される任意成分を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
[D]溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば
酢酸n−ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
γ−ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
酢酸プロピレングリコール等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらの中で、エステル系溶媒又はケトン系溶媒が好ましく、多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒、モノカルボン酸エステル系溶媒、ラクトン系溶媒又は環状ケトン系溶媒がより好ましく、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン又はシクロヘキサノンがさらに好ましい。[D]溶媒は、1種又は2種以上を含有することができる。
当該感放射線性樹脂組成物が[D]溶媒を含有する場合、[D]溶媒の含有割合の下限としては、50質量%が好ましく、60質量%がより好ましく、70質量%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、99.9質量部が好ましく、99.5質量部が好ましく、99質量部がさらに好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物が[D]溶媒を含有する場合、[D]溶媒の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、100質量部が好ましく、500質量部がより好ましく、1000質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、20000質量部が好ましく、15000質量部がより好ましく、10000質量部がさらに好ましい。
<[E]重合体>
[E]重合体は、[A]重合体よりもフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率が大きい重合体である。
ベース重合体となる重合体より疎水性が高い重合体は、レジスト膜表層に偏在化する傾向があり、[E]重合体は[A]重合体よりもフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率が大きいため、この疎水性に起因する特性により、レジスト膜表層に偏在化する傾向がある。その結果、当該感放射線性樹脂組成物によれば、液浸露光時における酸発生剤、酸拡散制御剤等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、当該感放射線性樹脂組成物によれば、この[E]重合体の疎水性に起因する特性により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角を所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、当該感放射線性樹脂組成物によれば、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が大きくなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。当該感放射線性樹脂組成物は、このように[E]重合体を含有することにより、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。また、当該感放射線性樹脂組成物は、[E]重合体を含有することにより、欠陥の発生が抑制されたレジストパターンを形成することができる。
[E]重合体のフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率の下限としては、1質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましい。上記質量含有率の上限としては、60質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、40質量%がさらに好ましい。フッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率を上記範囲とすることで、[E]重合体のレジスト膜における偏在化をより適度に調整することができる。なお、重合体のフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率は、13C−NMRスペクトル測定により重合体の構造を求め、その構造から算出することができる。
[E]重合体がフッ素原子を含む重合体の場合、[D]重合体におけるフッ素原子の含有形態は特に限定されず、主鎖、側鎖及び末端のいずれに結合するものでもよいが、フッ素原子を含む構造単位(以下、「構造単位(F)」ともいう)を有することが好ましい。
[構造単位(F)]
構造単位(F)としては、例えば下記式(f−1)等が挙げられる。
Figure 2020148870
上記式(f−1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Gは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−COO−、−SONH−、−CONH−又は−OCONH−である。Rは、炭素数1〜6の1価のフッ素化鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基である。
上記Rとしては、構造単位(f−1)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Gとしては、−COO−、−SONH−、−CONH−又は−OCONH−が好ましく、−COO−がより好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜6の1価のフッ素化鎖状炭化水素基としては、一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。
上記Rで表される炭素数4〜20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基としては、一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された炭素数4〜20の単環又は多環の炭化水素基が挙げられる。
としては、フッ素化鎖状炭化水素基が好ましく、2,2,2−トリフルオロエチル基又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基がより好ましく、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基がさらに好ましい。
[E]重合体が構造単位(F)を有する場合、構造単位(F)の含有割合の下限としては、[E]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、100モル%が好ましく、90モル%がより好ましく、80モル%がさらに好ましい。構造単位(F)の含有割合を上記範囲とすることで、[E]重合体のフッ素原子の質量含有率をさらに適度に調整することができる。
[E]重合体は、アルコール性水酸基を含む構造単位を有することが好ましい。アルコール性水酸基を含む構造単位としては、例えば上記[A]重合体の構造単位(III)として例示した構造単位等が挙げられる。[E]重合体がアルコール性水酸基を含む構造単位を有する場合、その構造単位の含有割合の下限としては、[E]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物が[E]重合体を含有する場合、[E]重合体の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましく、2質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、20質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましく、7.5質量部が特に好ましい。当該感放射線性樹脂組成物は[D]重合体を1種又は2種以上含有していてもよい。
[E]重合体は、上述した[A]重合体と同様の方法で合成することができる。
[E]重合体のGPCによるMwの下限としては、1000が好ましく、3000がより好ましく、4000がさらに好ましく、5000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、50000が好ましく、20000がより好ましく、10000がさらに好ましく、8000が特に好ましい。
[E]重合体のGPCによるMnに対するMwの比(Mw/Mn)の比の上限としては、5.00が好ましく、3.00がより好ましく、2.50がさらに好ましく、2.00が特に好ましい。上記比の下限としては、通常1.00であり、1.20が好ましい。
<その他の任意成分>
その他の任意成分としては、例えば界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物は、その他の任意成分をそれぞれ1種又は2種以上含有していてもよい。
界面活性剤は、塗工性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、KP341(信越化学工業(株))、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学(株))、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ(株))、メガファックF171、同F173(以上、DIC(株))、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム(株))、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業(株))等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、2質量部が好ましい。上記含有量の下限としては、例えば0.1質量部である。
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生剤及び必要に応じて、[C]酸拡散制御体、[D]溶媒、[E]重合体等の任意成分を所定の割合で混合し、好ましくは得られた混合物を孔径0.2μm以下のメンブランフィルターでろ過することにより調製することができる。
当該感放射線性樹脂組成物は、アルカリ現像液を用いるポジ型パターン形成用にも、有機溶媒含有現像液を用いるネガ型パターン形成用にも用いることができる。
当該感放射線性樹脂組成物は、ArFエキシマレーザー光を露光するArF露光用にも、極端紫外線(EUV)を露光するEUV露光用にも、電子線を露光する電子線露光用にも好適に用いることができる。
<レジストパターン形成方法>
当該レジストパターン形成方法は、基板に直接又は間接に当該感放射線性樹脂組成物を塗工する工程(以下、「塗工工程」ともいう)と、上記塗工工程により形成されたレジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)とを備える。
当該レジストパターン形成方法によれば、上述の当該感放射線性樹脂組成物を用いているので、露光光に対する感度が良好であり、LWRが小さいレジストパターンを形成することができる。以下、各工程について説明する。
[塗工工程]
本工程では、基板に直接又は間接に当該感放射線性樹脂組成物を塗工する。これによりレジスト膜が形成される。基板としては、例えばシリコンウエハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知のもの等が挙げられる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。塗工方法としては、例えば回転塗工(スピンコーティング)、流延塗工、ロール塗工等が挙げられる。塗工した後に、必要に応じて、塗膜中の溶媒を揮発させるため、プレベーク(PB)を行ってもよい。PBの温度の下限としては、60℃が好ましく、80℃がより好ましい。上記温度の上限としては、150℃が好ましく、140℃がより好ましい。PBの時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。上記時間の下限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。形成されるレジスト膜の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。上記平均厚みの上限としては、1000nmが好ましく、500nmがより好ましい。
[露光工程]
本工程では、上記塗工工程により形成されたレジスト膜を露光する。この露光は、フォトマスクを介して(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)露光光を照射することにより行う。露光光としては、目的とするパターンの線幅等に応じて、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、EUV、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中でも、遠紫外線、EUV又は電子線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、EUV又は電子線がより好ましく、ArFエキシマレーザー光又はEUVがさらに好ましい。なお、露光量等の露光条件は、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類、露光光の種類等に応じて適宜選定することができる。
上記露光の後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行い、レジスト膜の露光された部分において、露光により[B]酸発生剤等から発生した酸による[A]重合体が有する酸解離性基の解離を促進させることが好ましい。このPEBによって、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性の差異を増大させることができる。PEBの温度の下限としては、50℃が好ましく、80℃がより好ましく、90℃がさらに好ましい。上記温度の上限としては、180℃が好ましく、130℃がより好ましい。PEBの時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましく、30秒がさらに好ましい。上記時間の上限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましく、100秒がさらに好ましい。
[現像工程]
本工程では、上記露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像工程における現像方法は、アルカリ現像液を用いるアルカリ現像であっても、有機溶媒含有現像液を用いる有機溶媒現像であってもよい。
アルカリ現像の場合、現像に用いるアルカリ現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等が挙げられる。これらの中で、TMAH水溶液が好ましく、2.38質量%TMAH水溶液がより好ましい。
有機溶媒現像の場合、有機溶媒含有現像液としては、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等の有機溶媒、上記有機溶媒を含有する溶媒等が挙げられる。上記有機溶媒としては、例えば上述の[D]溶媒として例示した溶媒の1種又は2種以上等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶媒又はケトン系溶媒が好ましい。エステル系溶媒としては、酢酸エステル系溶媒が好ましく、酢酸n−ブチルがより好ましい。ケトン系溶媒としては、鎖状ケトンが好ましく、2−ヘプタノンがより好ましい。現像液中の有機溶媒の含有量の下限としては、80質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましく、99質量%が特に好ましい。現像液中の有機溶媒以外の成分としては、例えば水、シリコンオイル等が挙げられる。
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
当該レジストパターン形成方法により形成されるパターンとしては、例えばラインアンドスペースパターン、ホールパターン等が挙げられる。
<感放射線性酸発生剤>
当該感放射線性酸発生剤は、上記(1)で表される化合物を含む。当該感放射線性酸発生剤は、上述の当該感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。当該感放射線性酸発生剤は、上述の[B]酸発生剤として説明している。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
重合体のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、東ソー(株)のGPCカラム(「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、及び「G4000HXL」1本)を使用し、以下の条件により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
溶出溶媒 :テトラヒドロフラン
流量 :1.0mL/分
試料濃度 :1.0質量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器 :示差屈折計
標準物質 :単分散ポリスチレン
13C−NMR分析]
重合体の13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子(株)の「JNM−Delta400」)を用いて行った。
<[A]重合体及び[E]重合体の合成>
各実施例及び各比較例における各重合体の合成で用いた単量体を以下に示す。なお、以下の合成例においては特に断りのない限り、質量部は使用した単量体の合計質量を100質量部とした場合の値を意味し、モル%は使用した単量体の合計モル数を100モル%とした場合の値を意味する。
Figure 2020148870
[合成例1](重合体(A−1)の合成)
単量体(M−1)、単量体(M−2)及び単量体(M−10)を、モル比率が40/15/45(モル%)となるよう2−ブタノン(200質量部)に溶解し、開始剤としてAIBN(2モル%)を添加して単量体溶液を調製した。反応容器に2−ブタノン(100質量部)を入れ、30分窒素パージした後、反応容器内を80℃とし、撹拌しながら上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。冷却した重合溶液をメタノール(2000質量部)中に投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末をメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を得た(収率:80%)。重合体(A−1)のMwは8700であり、Mw/Mnは1.49であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−1)、(M−2)及び(M−10)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ39.9モル%、14.3モル%及び45.8モル%であった。
[合成例2〜11](重合体(A−2)〜重合体(A−11)の合成)
下記表1に示す種類及び配合割合の単量体を用いたこと以外は合成例1と同様にして、重合体(A−2)〜重合体(A−11)を合成した。得られた重合体の各構造単位の含有割合(モル%)、収率(%)及び物性値(Mw及びMw/Mn)を下記表1に合わせて示す。なお、下記表1における「−」は、該当する単量体を使用しなかったことを示す。
Figure 2020148870
[合成例12](重合体(A−12)の合成)
単量体(M−3)、単量体(M−18)及び単量体(M−12)を、モル比率が60/30/10(モル%)となるよう1−メトキシ−2−プロパノール(200質量部)に溶解し、開始剤としてAIBN(5モル%)を添加して単量体溶液を調製した。反応容器に1−メトキシ−2−プロパノール(100質量部)を入れ、30分窒素パージした後、反応容器内を80℃とし、撹拌しながら上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。冷却した重合溶液をヘキサン(2000質量部)中に投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末をヘキサンで2回洗浄した後、ろ別し、1−メトキシ−2−プロパノール(300質量部)に溶解した。次いで、メタノール(500質量部)、トリエチルアミン(50質量部)及び超純水(10質量部)を加え、撹拌しながら70℃で6時間加水分解反応を実施した。反応終了後、残溶媒を留去し、得られた固体をアセトン(100質量部)に溶解し、水(500質量部)の中に滴下して樹脂を凝固させ、得られた固体をろ別し、50℃で13時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−12)を得た(収率:78%)。重合体(A−12)のMwは5500であり、Mw/Mnは1.55であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−3)、(M−18)及び(M−12)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ59.4モル%、32.1モル%及び8.5モル%であった。
[合成例13〜15](重合体(A−13)〜重合体(A−15)の合成)
下記表2に示す種類及び配合割合の単量体を用いたこと以外は合成例12と同様にして、重合体(A−13)〜重合体(A−15)を合成した。得られた重合体の各構造単位の含有割合(モル%)、収率(%)及び物性値(Mw及びMw/Mn)を下記表2に合わせて示す。
Figure 2020148870
[合成例16](重合体(E−1)の合成)
単量体(M−12)及び単量体(M−14)を、モル比率が30/70(モル%)となるよう2−ブタノン(200質量部)に溶解し、開始剤としてAIBN(3モル%)を添加して単量体溶液を調製した。反応容器に2−ブタノン(100質量部)を入れ、30分窒素パージした後、反応容器内を80℃とし、撹拌しながら上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。溶媒をアセトニトリル(400質量部)に置換した後、ヘキサン(100質量部)を加えて撹拌しアセトニトリル層を回収する作業を3回繰り返した。溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換することで、重合体(E−1)の溶液を得た(収率:72%)。重合体(E−1)のMwは6500であり、Mw/Mnは1.81であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−12)及び(M−14)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ31.3モル%及び68.7モル%であった。
[合成例17](重合体(E−2)の合成)
下記表3に示す種類及び配合割合の単量体を用いたこと以外は合成例16と同様にして、重合体(E−2)を合成した。得られた重合体の各構造単位の含有割合(モル%)、収率(%)及び物性値(Mw及びMw/Mn)を下記表3に合わせて示す。
Figure 2020148870
<[B]酸発生剤の合成>
[合成例18](酸発生剤(B−1)の合成)
反応容器に3−ブロモ−2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸22.2mmol、ジフェニルメタノール28.9mmol、ジシクロヘキシルカルボジイミド28.9mmol及びテトラヒドロフラン50gを加えた。50℃で5時間撹拌後、水を加えて希釈させたのち、酢酸エチルを加えて抽出し、有機層を分離した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製することで、エステル誘導体を良好な収率で得た。
上記エステル誘導体にアセトニトリル:水(1:1(質量比))の混合液を加えて1M溶液とした後、亜ジチオン酸ナトリウム28.5mmolと炭酸水素ナトリウム42.9mmolを加え、70℃で4時間反応させた。アセトニトリルで抽出し溶媒を留去した後、アセトニトリル:水(3:1(質量比))の混合液を加え0.5M溶液とした。過酸化水素水24.2mmol及びタングステン酸ナトリウム1.43mmolを加え、50℃で7時間加熱攪拌した。アセトニトリルで抽出し溶媒を留去することでスルホン酸化合物を得た。上記スルホン酸化合物にトリフェニルスルホニウムクロリド8.13mmolを加え、水:ジクロロメタン(1:3(質量比))の混合液を加えることで0.5M溶液とした。室温で3時間激しく撹拌した後、ジクロロメタンを加えて抽出し、有機層を分離した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒留去することで、下記式(B−1)で表される化合物(以下、「化合物(B−1)」又は「酸発生剤(B−1)」と記載する場合がある。)を良好な収率で得た。以下に、化合物(B−1)の合成スキームを示す。
Figure 2020148870
[合成例19〜36](酸発生剤(B−2)〜酸発生剤(B−19)の合成)
前駆体を適宜変更したこと以外は合成例18と同様にして、下記式(B−2)〜(B−19)で表される化合物を合成した(以下、式(B−2)〜(B−19)で表される化合物をそれぞれ「化合物(B−2)」〜「化合物(B−19)」又は「酸発生剤(B−2)」〜「酸発生剤(B−19)」と記載する場合がある。)。
Figure 2020148870
<感放射線性樹脂組成物の調製>
各感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[A]重合体、[E]重合体及び[B]酸発生剤以外の成分を以下に示す。
[[B]酸発生剤((B−1)〜(B−19)以外の酸発生剤]
b−1〜b−15:下記式(b−1)〜(b−15)で表される化合物
Figure 2020148870
[[C]酸拡散抑制剤]
C−1〜C−5:下記式(C−1)〜(C−5)で表される化合物
Figure 2020148870
[[D]溶媒]
D−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
D−2:シクロヘキサノン
D−3:γ−ブチロラクトン
D−4:乳酸エチル
[ArF露光用感放射線性樹脂組成物の調製]
[実施例1]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)14.0質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C−5)2.3質量部、[E]重合体としての(E−1)5.0質量部、並びに[D]溶媒としての(D−1)2240質量部、(D−2)960質量部及び(D−3)30質量部を混合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過することにより、感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
[実施例2〜33及び比較例1〜15]
下記表4に示す種類及び含有量の各成分を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感放射線性樹脂組成物(J−2)〜(J−33)及び(CJ−1)〜(CJ−15)を調製した。
Figure 2020148870
<ArF露光用感放射線性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成>
12インチのシリコンウエハ上に、スピンコーター(東京エレクトロン(株)の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚さ105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に上記スピンコーターを使用して上記調製したArF露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却することにより、平均厚さ90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に対し、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(ASML社の「TWINSCAN XT−1900i」)を用い、NA=1.35、Annular(σ=0.8/0.6)の光学条件にて、40nmスペース、105nmピッチのマスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で60秒間PEBを行った。その後、有機溶媒現像液として酢酸n−ブチルを用いて上記レジスト膜を有機溶媒現像し、現像後に水で洗浄し、さらに乾燥させることでネガ型のレジストパターン(40nmラインアンドスペースパターン)を形成した。また、マスクパターンを代えたこと以外は上述の操作と同様にして、ネガ型のレジストパターン(40nmホール、105nmピッチ)を形成した。
<評価>
上記ArF露光用感放射線性樹脂組成物を用いて形成したレジストパターンについて、感度、LWR性能及びCDU性能を下記方法に従って評価した。その結果を下記表5に示す。なお、レジストパターンの測長には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ(株)の「CG−5000」)を用いた。
[感度]
上記ArF露光用感放射線性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成において、40nmラインアンドスペースパターンを形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm)とした。感度は、25mJ/cm以下の場合は「良好」と、25mJ/cmを超える場合は「不良」と評価した。
[LWR性能]
上記感度の評価で求めた最適露光量を照射して40nmラインアンドスペースパターンを形成するようにマスクサイズを調整して、レジストパターンを形成した。形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅のばらつきを計500点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、この3シグマ値をLWR(nm)とした。LWRは、その値が小さいほど、ラインのがたつきが小さく良好であることを示す。LWR性能は、4.5nm以下の場合は「良好」と、4.5nmを超える場合は「不良」と評価した。
[CDU性能]
40nmホール、105nmピッチのレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。500nmの範囲でホール径を16点測定してその平均値を求め、その平均値を任意のポイントで計500点測定し、その測定値の分布から1シグマ値を求め、これをCDU(nm)とした。CDUは、その値が小さいほど、長周期でのホール径のばらつきが小さく良好であることを示す。CDU性能は、4.9nm以下の場合は「良好」と、4.9nmを超える場合は「不良」と評価した。
Figure 2020148870
表5の結果から明らかなように、実施例の感放射線性樹脂組成物は、ArF露光に用いた場合、感度、LWR性能及びCDU性能が良好であったのに対し、比較例では、各特性が実施例に比べて劣っていた。したがって、実施例の感放射線性樹脂組成物をArF露光に用いた場合、高い感度でLWR性能及びCDU性能が良好なレジストパターンを形成することができる。
[極端紫外線(EUV)露光用感放射線性樹脂組成物の調製]
[実施例34]
[A]重合体としての(A−12)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)20.0質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C−1)3.2質量部、[E]重合体としての(E−2)3.0質量部、並びに[D]溶媒としての(D−1)4280質量部及び(D−4)1830質量部を混合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過することにより、感放射線性樹脂組成物(J−34)を調製した。
[実施例35〜45及び比較例16〜22]
下記表6に示す種類及び含有量の各成分を用いたこと以外は実施例34と同様にして、感放射線性樹脂組成物(J−35)〜(J−45)及び(CJ−16)〜(CJ−22)を調製した。
Figure 2020148870
<EUV露光用感放射線性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成>
12インチのシリコンウエハ上に、スピンコーター(東京エレクトロン(株)の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚さ105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に上記スピンコーターを使用して上記調製したEUV露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、130℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却することにより、平均厚さ55nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に対し、EUV露光装置(ASML社の「NXE3300」)を用い、NA=0.33、照明条件:Conventional s=0.89、マスク:imecDEFECT32FFR02にて露光した。露光後、120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液として2.38質量%のTMAH水溶液を用いて上記レジスト膜をアルカリ現像し、現像後に水で洗浄し、さらに乾燥させることでポジ型のレジストパターン(32nmラインアンドスペースパターン)を形成した。
<評価>
上記EUV露光用感放射線性樹脂組成物を用いて形成したレジストパターンについて、感度及びLWR性能を下記方法に従って評価した。その結果を下記表7に示す。なお、レジストパターンの測長には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ(株)の「CG−5000」)を用いた。
[感度]
上記EUV露光用感放射線性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成において、32nmラインアンドスペースパターンを形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm)とした。感度は、35mJ/cm以下の場合は「良好」と、35mJ/cmを超える場合は「不良」と評価した。
[LWR性能]
上記感度の評価で求めた最適露光量を照射して32nmラインアンドスペースのパターンを形成するようにマスクサイズを調整して、レジストパターンを形成した。形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅のばらつきを計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、この3シグマ値をLWR(nm)とした。LWRは、その値が小さいほど、ラインのがたつきが小さく良好であることを示す。LWR性能は、3.8nm以下の場合は「良好」と、3.8nmを超える場合は「不良」と評価した。
Figure 2020148870
表7の結果から明らかなように、実施例の感放射線性樹脂組成物は、EUV露光に用いた場合、感度及びLWR性能が良好であったのに対し、比較例では、各特性が実施例に比べて劣っていた。
本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法によれば、露光光に対する感度が良好であり、LWR性能及びCDU性能に優れるレジストパターンを形成することができる。本発明の感放射線性酸発生剤は、当該感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。したがって、これらは、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイスの加工プロセス等に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 酸解離性基を含む構造単位を有する重合体と、
    感放射線性酸発生剤と
    を含有し、
    上記感放射線性酸発生剤が下記式(1)で表される化合物を含む感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2020148870
    (式(1)中、Rは、環構造を含む置換又は非置換の炭素数12〜40の1価の炭化水素基である。nは、0又は1である。Am+は、m価の感放射線性オニウムカチオンである。mは、1又は2である。)
  2. 上記環構造が、環員数10の橋かけ環構造でない請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
  3. 上記環構造が、橋かけ環構造でない請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
  4. 上記式(1)におけるRが、置換若しくは非置換の炭素数12〜40の1価の脂環式炭化水素基、置換若しくは非置換の炭素数12〜40の1価の芳香族炭化水素基、又は下記式(2)で表される基である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2020148870
    (式(2)中、Rは、置換若しくは非置換の環員数3〜20の1価の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の環員数6〜20の1価の芳香族炭化水素基である。sは、1〜3の整数である。sが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。Rは、置換又は非置換の炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基である。tは、0〜2の整数である。tが2の場合、2つのRは互いに同一又は異なる。s+tは3以下である。Rは、単結合又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基である。但し、式(2)で表される基の合計炭素数は12〜40である。*は、上記式(1)の−O−又は−C(=O)−に結合する部位を示す。)
  5. 酸拡散制御体をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
  6. 基板に直接又は間接に請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を塗工する工程と、
    上記塗工工程により形成されたレジスト膜を露光する工程と、
    上記露光されたレジスト膜を現像する工程と
    を備えるレジストパターン形成方法。
  7. 下記式(1)で表される化合物を含む感放射線性酸発生剤。
    Figure 2020148870
    (式(1)中、Rは、環構造を含む置換又は非置換の炭素数12〜40の1価の炭化水素基である。nは、0又は1である。Am+は、m価の感放射線性オニウムカチオンである。mは、1又は2である。)
  8. 上記環構造が、環員数10の橋かけ環構造でない請求項7に記載の感放射線性樹脂組成物。
  9. 上記環構造が、橋かけ環構造でない請求項7又は請求項8に記載の感放射線性樹脂組成物。
  10. 上記式(1)におけるRが、置換若しくは非置換の炭素数12〜40の1価の脂環式炭化水素基、置換若しくは非置換の炭素数12〜40の1価の芳香族炭化水素基、又は下記式(2)で表される基である請求項7、請求項8又は請求項9に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2020148870
    (式(2)中、Rは、置換若しくは非置換の環員数3〜20の1価の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の環員数6〜20の1価の芳香族炭化水素基である。sは、1〜3の整数である。sが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。Rは、置換又は非置換の炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基である。tは、0〜2の整数である。tが2の場合、2つのRは互いに同一又は異なる。s+tは3以下である。Rは、単結合又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基である。但し、式(2)で表される基の合計炭素数は12〜40である。*は、上記式(1)の−O−又は−C(=O)−に結合する部位を示す。)

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