JP2020145375A - 熱電モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄膜型の熱電モジュールの熱電性能を維持しつつ、バルク型の熱電モジュール並みの厚みを有するフレキシブルな熱電モジュールを提供する。【解決手段】熱電モジュール100は、P型薄膜熱電素子11およびN型薄膜熱電素子12を備える最下層基板1上に、P型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22を備える中間層基板2が積層して構成される。P型薄膜熱電素子11上にP型薄膜熱電素子21が積層し、N型薄膜熱電素子12上にN型薄膜熱電素子22が積層して、P型薄膜熱電素子11とN型薄膜熱電素子12とが電気的に接続されることで熱電変換素子が形成される。最下層基板1および中間層基板2のそれぞれは、熱電モジュール100を複数の短冊状領域に分ける切り欠き10a,20a,30aを有し、熱電変換素子は短冊状領域のそれぞれに形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、熱電変換素子を用いた熱電モジュールによる発電デバイスに関するものである。
P型のバルクの熱電素子とN型のバルクの熱電素子とをΠ型接続したバルク型の熱電変換モジュール(以下「熱電モジュール」という)が知られている。バルク型の熱電モジュールとしては、熱電性能指数Zが1程度のものが実用化されている。ここで、無次元性能指数ZTは、ZT=(Sσ/κ)Tとして表すことができる(Sはゼーベック係数、σは導電率、κは熱伝導率、Tは絶対温度である)。一方、薄膜型の熱電モジュールは、IoT(Internet of Things)等の独立電源として小規模な電力用電源として利用されている。
例えば下記の特許文献1に開示された熱電発電システムとしての熱電モジュールは、微小な熱電素子チップを樹脂薄膜等からなる2枚のフレキシブル基板上の実装ランドに高密度に実装して構成されている。また、熱電モジュールを湾曲配管の形状に沿わせることを可能にするために、2枚のフレキシブル基板の片方に、フレキシブル性を持たせるための複数のスリットが設けられている。
特開2016−207995号公報
薄膜型の熱電モジュールは、結晶構造を制御することで熱伝導率を小さくでき、また、導電率には影響しない材料を用いることで高いZTが得られる。しかし、薄膜型の熱電モジュールに大きな温度差を与えることは困難であり、薄膜型の熱電モジュールの高い発電性能を十分に利用できていないのが現状である。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、薄膜型の熱電モジュールの熱電性能を維持しつつ、バルク型の熱電モジュール並みの厚みを持つ、フレキシブルな熱電モジュールを提供することを目的とする。
本発明に係る熱電モジュールは、P型薄膜熱電素子およびN型薄膜熱電素子を備える複数の基板が、前記P型薄膜熱電素子同士、前記N型薄膜熱電素子同士が接続するように積層され、前記P型薄膜熱電素子と前記N型薄膜熱電素子とが電気的に接続されて構成される熱電変換素子を備える熱電モジュールであって、複数の前記基板のそれぞれに形成され、前記熱電モジュールを複数の短冊状領域に分ける切り欠きと、複数の前記短冊状領域のそれぞれに形成された前記熱電変換素子と、を備える。
本発明に係る熱電モジュールは、P型薄膜熱電素子およびN型薄膜熱電素子を備える複数の基板で構成されているため、薄膜型の熱電モジュールの熱電性能を有する。また、それら複数の基板のそれぞれが複数の短冊状領域に分割されているため、当該熱電モジュールは、例えば円筒状の配管の表面に沿って変形させて配設できるフレキシブル性を有し、高い発電性能が得られる。また、当該熱電モジュールは、複数の基板が積層されて成るため厚みを大きくできる。よって、熱電変換素子に大きな温度差を与えることができ、それによっても高い発電性能が得られる。
本発明の実施の形態1に係る熱電モジュールの断面図である。 本発明の実施の形態1に係る熱電モジュールの上面図である。 本発明の実施の形態1に係る熱電モジュールの分解斜視図である。 最下層基板の上面図である。 最下層基板のポリイミド基板の上面図である。 中間層基板の上面図である。 中間層基板のポリイミド基板の上面図である。 最上層基板の下面図である。 最上層基板のポリイミド基板の下面図である。 最下層基板の製造方法を説明するための図である。 中間層基板の製造方法を説明するための図である。 最上層基板の製造方法を説明するための図である。 切り欠きおよび伸長部の形状の例を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る熱電モジュールの組み立て方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態1における熱電変換素子の接続方法を示す上面図である。 本発明の実施の形態2における熱電変換素子の接続方法を示す上面図である。
<実施の形態1>
図1、図2および図3は、本発明の実施の形態1に係る熱電モジュール100の構成を示す図であり、それぞれ熱電モジュール100の断面図、上面図および分解斜視図である。
図1および図3のように、熱電モジュール100は、高温側となる最下層の基板1と、低温側となる最上層の基板3と、その間に挟まれた複数の中間層の基板2とが積層して構成されている。以下、最下層の基板1を「最下層基板1」、中間層の基板2を「中間層基板2」、最上層の基板3を「最上層基板3」という。
まず、最下層基板1の構成について説明する。図1のように、最下層基板1は、絶縁性基板であるポリイミド基板10と、ポリイミド基板10上に形成された複数の電極パターン13と、各電極パターン13上に形成されたP型薄膜熱電素子11およびN型薄膜熱電素子12とを備えている。電極パターン13の材料としては、例えば銅などの導電材料を用いることができる。P型薄膜熱電素子11およびN型薄膜熱電素子12の材料としては、例えばBi−Teを主成分とする熱電材料を用いることができる。また、P型薄膜熱電素子11およびN型薄膜熱電素子12の表面には、半田の拡散を防止する拡散防止膜(例えばNi膜など)が形成されていてもよい。
最下層基板1の上面図を図4に、ポリイミド基板10の上面図を図5に示す。図5のように、ポリイミド基板10には、ポリイミド基板10を複数の短冊状の領域(以下「短冊状領域」という)に分ける切り欠き10aが形成されている。ただし、切り欠き10aはポリイミド基板10を完全には分割しておらず、隣り合う短冊状領域の間は、ポリイミド基板10の切り欠き10aが途切れた部分10bで繋がっている。当該部分10bは、幅が細く、外力によって伸びやすくなっている。以下、当該部分10bを「伸長部10b」という。また、ポリイミド基板10の四隅には、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3を重ね合わせる際の位置決めに用いられる位置決め穴10cが形成されている。
図4のように、電極パターン13は、ポリイミド基板10の短冊状領域のそれぞれに形成されている。また、各電極パターン13上には、一対のP型薄膜熱電素子11およびN型薄膜熱電素子12が形成されている。各電極パターン13上のP型薄膜熱電素子11とN型薄膜熱電素子12とは、電極パターン13を通して電気的に接続される。
次に、中間層基板2の構成について説明する。図1のように、中間層基板2は、絶縁性基板であるポリイミド基板20と、ポリイミド基板20上に形成されたP型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22とを備えている。P型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22の材料としては、例えばBi−Teを主成分とする熱電材料を用いることができる。また、P型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22の表面には、半田の拡散を防止する拡散防止膜(例えばNi膜など)が形成されていてもよい。
中間層基板2の上面図を図6に、ポリイミド基板20の上面図を図7に示す。図7のように、ポリイミド基板20は、最下層基板1のポリイミド基板10(図5)と同様の形状を有している。すなわち、ポリイミド基板20には、ポリイミド基板20を複数の短冊状領域に分ける切り欠き20aが形成されている。ただし、切り欠き20aはポリイミド基板20を完全には分割しておらず、隣り合う短冊状領域の間は、ポリイミド基板20の切り欠き20aが途切れた部分20bで繋がっている。当該部分20bは、幅が細く、外力によって伸びやすくなっている。以下、当該部分20bを「伸長部20b」という。また、ポリイミド基板20の四隅には、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3を重ね合わせる際の位置決めに用いられる位置決め穴20cが形成されている。
図6のように、P型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22は、ポリイミド基板20の短冊状領域のそれぞれに形成されている。P型薄膜熱電素子21は、中間層基板2を最下層基板1に重ねたときに、最下層基板1のP型薄膜熱電素子11に対応する位置に配置される。また、N型薄膜熱電素子22は、中間層基板2を最下層基板1に重ねたときに、最下層基板1のN型薄膜熱電素子12に対応する位置に配置される。また、ポリイミド基板20には、P型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22に対応する部分のそれぞれに、ポリイミド基板20を貫通する貫通孔20dが、P型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22よりも小さいサイズで形成されており、各貫通孔20dにはペースト状の半田23が埋め込まれている。
この構成により、最下層基板1上に中間層基板2を重ね合わせると、図1のように、最下層基板1のP型薄膜熱電素子11と中間層基板2のP型薄膜熱電素子21との間、および、最下層基板1のN型薄膜熱電素子12と中間層基板2のN型薄膜熱電素子22との間が、半田23を介して接続される。また、複数の中間層基板2を重ね合わせると、上下に重なる中間層基板2間のP型薄膜熱電素子11同士およびN型薄膜熱電素子12同士が、半田23を通して接続される。よって、図1のように、最下層基板1上に複数の中間層基板2を積層すると、縦方向に直列接続したP型薄膜熱電素子11および複数のP型薄膜熱電素子21と、縦方向に直列接続したN型薄膜熱電素子12および複数のN型薄膜熱電素子22とが、最下層基板1の電極パターン13を介して接続されて成る熱電変換素子が、複数個形成される。
次に、最上層基板3の構成について説明する。図1のように、最上層基板3は、絶縁性基板であるポリイミド基板30と、ポリイミド基板30の下面に形成された電極パターン31と、電極パターン31の下面に形成された半田32とを備えている。電極パターン31の材料としては、例えば銅などの導電材料を用いることができる。
最上層基板3の下面図を図8に、ポリイミド基板30の下面図を図9に示す。図9のように、ポリイミド基板20は、最下層基板1のポリイミド基板10(図5)および中間層基板2のポリイミド基板20(図7)と同様の形状を有している。すなわち、ポリイミド基板30には、ポリイミド基板30を複数の短冊状領域に分ける切り欠き30aが形成されている。ただし、切り欠き30aはポリイミド基板30を完全には分割しておらず、隣り合う短冊状領域の間は、ポリイミド基板30の切り欠き30aが途切れた部分30bで繋がっている。当該部分30bは、幅が細く、外力によって伸びやすくなっている。以下、当該部分30bを「伸長部30b」という。また、ポリイミド基板30の四隅には、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3を重ね合わせる際の位置決めに用いられる位置決め穴30cが形成されている。
図8のように、電極パターン31は、ポリイミド基板30の短冊状領域のそれぞれに形成されている。電極パターン31は、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3が積層されたとき、同じ短冊状領域に形成される複数の熱電素子が直列に接続されるように、隣り合う熱電変換素子のP型薄膜熱電素子21とN型薄膜熱電素子22とに跨がって配置される。一部の電極パターン31は、ポリイミド基板20から突出して、外部接続用の端子部31aとして機能する。
また、電極パターン31上には、P型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22と接続する部分に半田32が形成されている。なお、図8では、理解を助けるため、P型薄膜熱電素子21と接続する半田32には「P」の文字、N型薄膜熱電素子22と接続する半田32には「N」の文字を付している。図8では「P」と「N」の配列が図4および図6とは逆になっているが、これは、図4および図6が上面図であるのに対し、図8は下面図であるためである。
以上のように、熱電モジュール100は、最下層基板1と、複数の中間層基板2と、最上層基板3とが積層して構成され、縦方向に直列接続したP型薄膜熱電素子11および複数のP型薄膜熱電素子21と、縦方向に直列接続したN型薄膜熱電素子12および複数のN型薄膜熱電素子22とが、最下層基板1の電極パターン13を介して接続されて成る熱電変換素子を備える。また、熱電モジュール100は、切り欠き10a,20a,30aによって複数の短冊状領域に分けられており、熱電変換素子は短冊状領域のそれぞれに複数個形成される。また、同じ短冊状領域に形成された複数の熱電変換素子は、最上層基板3の電極パターン31を介して直列に接続される。
以下、ポリイミド基板10の製造方法について説明する。最初に、最下層基板1の製造方法を説明する。まず、図10(a)のような平板状のポリイミド基板10を用意する。続いて、ポリイミド基板10の上に銅などから成る金属プレートを貼り付け、当該金属プレートをエッチング等の手法を用いてパターニングすることで、図10(b)のように、ポリイミド基板10上に電極パターン13を形成する。そして、スパッタ等の手法により、図10(c)のように、電極パターン13の上にP型薄膜熱電素子11およびN型薄膜熱電素子12を形成する。P型薄膜熱電素子11およびN型薄膜熱電素子12上に、Ni等からなる拡散防止膜を形成してもよい。
その後、プレス機などを用いて、平板状のポリイミド基板10を図4に示した形状に型抜きすることで、ポリイミド基板10に、切り欠き10a、伸長部10bおよび位置決め穴10cを形成する。以上の工程により、最下層基板1が完成する。
次に、中間層基板2の製造方法を説明する。まず、図11(a)のような平板状のポリイミド基板20を用意する。続いて、スパッタ等の手法により、図11(b)のように、ポリイミド基板20の上にP型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22を形成する。P型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22上に、Ni等からなる拡散防止膜を形成してもよい。
その後、ポリイミド基板20を裏返し、ポリイミド基板20を裏側からエッチングすることで、図11(c)のように、ポリイミド基板20のP型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22に対応する位置に貫通孔20dを形成する。貫通孔20dは、P型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22よりも小さいサイズで形成する。このとき貫通孔20dには、P型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22の裏面が露出される。
そして、スクリーン印刷等の手法により、図11(d)に示すように、貫通孔20d内に、ペースト状の半田23を埋め込み形成する。半田23を埋め込む前に、貫通孔20d内に露出したP型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22の裏面に、Ni等からなる拡散防止膜を形成してもよい。
その後、プレス機などを用いて、平板状のポリイミド基板20を図6に示した形状に型抜きすることで、ポリイミド基板20に、切り欠き20a、伸長部20bおよび位置決め穴20cを形成する。以上の工程により、中間層基板2が完成する。
次に、最上層基板3の製造方法を説明する。まず、図12(a)のような平板状のポリイミド基板30を用意する。続いて、ポリイミド基板30の上に銅などから成る金属プレートを貼り付け、当該金属プレートをエッチング等の手法を用いてパターニングすることで、図12(b)のように、ポリイミド基板30上に電極パターン31を形成する。さらに、エッチングなどの手法により、ポリイミド基板30の両端を除去することで、図12(c)に示すように、電極パターン31の一部をポリイミド基板30から突出させる。このときポリイミド基板30から露出した電極パターン31の部分が、外部接続のための端子部31aとなる。電極パターン31となる金属プレートの表面に、酸化防止と半田の拡散防止のために、Ni膜を形成してもよい。
そして、スクリーン印刷等の手法により、図12(d)のように、電極パターン31上にペースト状の半田32を形成する。半田32は、最下層基板1を中間層基板2の上に重ねたときに電極パターン31と型薄膜熱電素子21およびN型薄膜熱電素子22とが接続する部分に形成される。
その後、プレス機などを用いて、平板状のポリイミド基板30を図8に示した形状に型抜きすることで、ポリイミド基板30に、切り欠き30a、伸長部30bおよび位置決め穴30cを形成する。以上の工程により、最上層基板3が完成する。なお、図12(c)を用いて説明したポリイミド基板30のエッチング工程と、図12(d)を用いて説明した半田32の形成工程とは、どちらが先に行われてもよい。
本実施の形態では、電力取り出し用の配線を電極パターン31に取り付ける作業を容易にする目的で、電極パターン31の一部にポリイミド基板30から突出した端子部31aを設けた。しかし、電力取り出し用の配線を電極パターン31に取り付け可能であれば、端子部31aは必ずしも設けなくてよい。端子部31aを設けない場合、図12(c)を用いて説明したポリイミド基板30のエッチング工程は省略してもよい。
また、本実施の形態では、伸長部10b,20b,30bが図13(a)のように屈曲した形状となるように、切り欠き10a,20a,30aを形成したが、伸長部10b,20b,30bの形状はどのようなものでもよい。例えば、図13(b)のように、屈曲の向きが互いに異なる伸長部10b,20b,30bを組み合わせてもよいし、図13(c)のように、伸長部10b,20b,30bは直線状でもよい。ただし、伸長部10b,20b,30bは、熱電変換素子が形成される短冊状領域よりも外力によって伸びやすくする必要があるため、伸長部10b,20b,30bの幅は、短冊状領域の幅よりも十分に細くする必要がある。
次に、完成した最下層基板1、中間層基板2、最上層基板3を用いて熱電モジュール100を組み立てる。図14は、その組み立て方法を説明するための図である。ここでは、円筒状の配管に取り付けるための熱電モジュール100を形成するものとする。
まず、配管の外形と同様に湾曲した山型の表面形状を持つ下金型41を用意する。そして、下金型41の上に、最下層基板1と、複数の中間層基板2と、最上層基板3とを、この順に重ねて設置する。このとき、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3の向きは、切り欠き10a,20a,30aが、下金型41の円筒の軸方向に延在するように定められる。
また、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3を下金型41上に設置する際、下金型41に設けられた位置決めピン43を、位置決め穴10c,20c,30cに通す。それにより、最下層基板1のP型薄膜熱電素子11、中間層基板2のP型薄膜熱電素子21および最上層基板3の半田32が重なり、且つ、最下層基板1のN型薄膜熱電素子12、中間層基板2のN型薄膜熱電素子22および最上層基板3の半田32が重なるように、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3が位置合わせされる。
位置決めピン43は、下金型41の表面に対してほぼ垂直に立設しているため、上層の基板ほど、横方向(配管の周方向)に引っ張られる。よって、最下層基板1の伸長部10bよりも、中間層基板2の伸長部20bが長く伸び、複数の中間層基板2の伸長部20bは上層のものほど長く伸び、最上層基板3の伸長部30bは最も長く伸びる。
つまり、上層の基板ほど、切り欠きの幅が広くなる。すなわち、最下層基板1の切り欠き10aの幅よりも、中間層基板2の切り欠き20aの幅の方が広く、複数の中間層基板2の切り欠き20aは上層のものほど幅が広く、最上層基板3の切り欠き30aは最も幅が広くなる。よって、図14のように、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3それぞれの短冊状領域は、その幅が積層前とほぼ同じに維持され、下金型41の表面に対してほぼ垂直に積層される。
その後、最上層基板3の上から上金型42を被せ、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3を下金型41と上金型42とで挟み込む。このとき、伸長部10b,20b,30bは切断されてもよい。
そして、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3を下金型41と上金型42とで挟んだ状態で、上金型42と下金型41を加熱する。それにより、最下層基板1は、下金型41の表面(円筒状の曲面)に沿って湾曲するとともに、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3で構成される熱電モジュール100が、下金型41および上金型42にフィットした形状に成型される。それと同時に、半田23および半田32が溶融し、上下に重なるP型薄膜熱電素子11,21が接合され、上下に重なるN型薄膜熱電素子12,22が接合される。その後、下金型41および上金型42を冷却して半田23および半田32を固化する。
最後に、図15のように、端子部31aに配線50を、半田などを用いて接合する。本実施の形態では、隣り合う短冊状領域の熱電変換素子を互いに逆向きにしており、隣り合う短冊状領域の熱電変換素子を、配線50を用いて直列に接続している。その結果、熱電モジュール100に構成される熱電変換素子は全て直列に接続されるため、熱電モジュール100の出力電圧を高くすることができる。
以上のように、実施の形態1に係る熱電モジュール100を構成する最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3のそれぞれは、複数の短冊状領域に分割されており、隣り合う短冊状領域の間は伸びやすい形状の伸長部10b,20b,30bによって繋がっている。そのため、最下層基板1、中間層基板2および最上層基板3は、容易に曲面状に変形できる。従って、熱電モジュール100は、例えば円筒状の配管の表面に沿って変形させて配設できるフレキシブル性を有し、それにより熱伝達ロスが低減されて高い発電性能が得られる。また、短冊状領域は、伸長部10b,20b,30bに比べて変形しにくいため、熱電モジュール100を変形させたときに短冊状領域の熱電変換素子にかかる応力を低減でき、熱電モジュール100の信頼性が向上する。
さらに、一般的な薄膜型の熱電変換素子には大きな温度差を与えることは困難であるが、実施の形態1の熱電モジュール100では、複数のP型薄膜熱電素子およびN型薄膜熱電素子を積層することでバルク相当の厚みを形成しているため、熱電変換素子に大きな温度差を与えることができ、それによっても高い発電性能が得られる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、図15に示したように、隣り合う短冊状領域の熱電変換素子を互いに逆向きに形成し、全ての熱電変換素子を直列に接続することによって高い出力電圧を得た。しかし、熱電変換素子を全て直列に接続すると、いずれかの熱電変換素子に断線が生じると熱電モジュール100の出力電圧はゼロになる。
そこで、実施の形態2では、図16のように、隣り合う短冊状領域の熱電変換素子を同じにし、その両端を配線50で繋ぐことで、隣り合う短冊状領域の熱電変換素子を並列に接続させる。この構成によれば、いずれかの熱電素子に断線が生じたとしても、出力電圧を維持することができる、熱電モジュール100の信頼性向上に寄与できる。
実施の形態2の熱電モジュール100は、P型薄膜熱電素子11,21およびN型薄膜熱電素子12,22の配列が異なることを除いて、実施の形態1と同様の構成である。そのため、実施の形態2の熱電モジュール100は、実施の形態1と同様の製造方法で形成することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
100 熱電モジュール、1 最下層基板、2 中間層基板、3 最上層基板、10,20,30 ポリイミド基板、10a,20a,30a 切り欠き、10b,20b,30b 伸長部、10c,20c,30c 位置決め穴、20d 貫通孔、11,21 P型薄膜熱電素子、12,22 N型薄膜熱電素子、23,32 半田、13,31 電極パターン、31a 端子部、41 下金型、42 上金型、43 位置決めピン、50 配線。

Claims (12)

  1. P型薄膜熱電素子およびN型薄膜熱電素子を備える複数の基板が、前記P型薄膜熱電素子同士、前記N型薄膜熱電素子同士が接続するように積層され、前記P型薄膜熱電素子と前記N型薄膜熱電素子とが電気的に接続されて構成される熱電変換素子を備える熱電モジュールであって、
    複数の前記基板のそれぞれに形成され、前記熱電モジュールを複数の短冊状領域に分ける切り欠きと、
    複数の前記短冊状領域のそれぞれに形成された前記熱電変換素子と、
    を備える熱電モジュール。
  2. 前記基板はポリイミドにより形成されている、
    請求項1に記載の熱電モジュール。
  3. 最下層の基板は、円筒状の曲面に沿うように湾曲し、
    複数の前記基板の切り欠きは、前記円筒の軸方向に延在し、
    複数の前記基板の切り欠きの幅は、上層の基板ほど広い、
    請求項1または請求項2に記載の熱電モジュール。
  4. 上下に重なる前記基板間の前記P型薄膜熱電素子同士および前記N型薄膜熱電素子同士は、前記基板を貫通する貫通孔に埋め込まれた半田を通して接続されている、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱電モジュール。
  5. 前記P型薄膜熱電素子または前記N型薄膜熱電素子と前記半田との間に、前記半田の拡散を防止する拡散防止膜が形成されている、
    請求項4に記載の熱電モジュール。
  6. 複数の前記短冊状領域のそれぞれに、直列接続された複数の前記熱電変換素子が形成されている、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の熱電モジュール。
  7. 異なる前記短冊状領域の前記熱電変換素子同士が直列に接続されている、
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の熱電モジュール。
  8. 異なる前記短冊状領域の前記熱電変換素子同士が並列に接続されている、
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の熱電モジュール。
  9. 複数の基板上にP型薄膜熱電素子およびN型薄膜熱電素子を形成する工程と、
    複数の前記基板に切り欠きを形成する工程と、
    前記P型薄膜熱電素子、前記N型薄膜熱電素子および切り欠きが形成された複数の前記基板を、前記P型薄膜熱電素子同士、前記N型薄膜熱電素子同士が重なるように積層する工程と、
    積層された複数の前記基板を、湾曲した形状の上下の金型で挟み込んで加熱することで、複数の前記基板の成型および接合を行う工程と、
    を備える熱電モジュールの製造方法。
  10. 前記基板はポリイミドにより形成されている、
    請求項9に記載の熱電モジュールの製造方法。
  11. 前記切り欠きを形成する工程において、複数の前記基板を積層する工程で複数の前記基板を位置合わせするための位置決め穴が、複数の前記基板に形成される、
    請求項9または請求項10に記載の熱電モジュールの製造方法。
  12. 積層する前の複数の前記基板の前記P型薄膜熱電素子および前記N型薄膜熱電素子に対応する位置に、半田が埋め込まれた貫通孔を形成する工程をさらに備え、
    複数の前記基板の成型および接合を行う工程で、前記半田が溶融されることによって、上下に重なる前記基板間の前記P型薄膜熱電素子同士および前記N型薄膜熱電素子同士が接合される
    請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の熱電モジュールの製造方法。
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