JP2020143837A - 換気口端末部材、及び、建物 - Google Patents
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Abstract
Description
当該換気口端末部材は、フード部が外壁面よりも外側に突出するように建物の上下階の外壁の換気孔にそれぞれ取付けられ、上下階の各換気口端末部材が、垂直線上に位置されることが多い。
当該建物においては、降雨等の後に、上階の換気口端末部材から水滴が落下して下階の換気口端末部材のフード部の天板の上に衝突した際に、水滴落下衝突音が生じ、当該水滴落下衝突音が固体伝播音として居室内に伝播する。
当該水滴落下衝突音の低下対策を施した換気口端末部材としては、例えば、フード部の天板の上に弾性支持体を介して水滴受板が設けられた構造のものが知られている(特許文献1参照)。
当該構成の場合、水滴受板の中央板部の表面に水滴が衝突した際の振動が水滴受板の中央板部の周縁の部分で増幅して周辺板部を介して空間に放射されるため、長く響く金属音が発生してしまい、当該音が不快な音と感じられる場合があるという課題があった。
本願発明は、水滴受板の中央板部に水滴が衝突した際に発生する音の響きを低減できる換気口端末部材等を提供するものである。
また、周辺板部は、水滴受板の中央板部に水滴が衝突した際にオクターブ1kHz〜4kHz帯域の振動を放射するように、中央板部より延長する方向の長さ寸法及び板厚寸法が設定され、制振材は、周辺板部の1kHz〜4kHz帯域の振動を抑制することを特徴とする。
また、中央板部は水平方向に延在して水滴を受ける表面を有し、周辺板部は中央板部の表面より傾斜して下る傾斜表面を有し、制振材は周辺板部の傾斜表面の裏面に接着されたことを特徴とする。
また、制振材は、ゴムアスファルトを用いて形成されたものを用いたことを特徴とする。
本発明に係る換気口端末部材によれば、制振材が周辺板部に取付けられた構成としたので、水滴受板の中央板部に水滴が衝突した際に、周辺板部から空間に放射される振動を抑制でき、水滴受板の中央板部に水滴が衝突した際に発生する音の響きを低減できる。
また、本発明に係る建物は、上述したいずれかの換気口端末部材のフード部及び水滴受板が外壁面よりも外側に突出するように当該換気口端末部材が外壁に設けられた建物であって、建物の上下階の外壁に設けられた各換気口端末部材の各水滴受板の中央板部の表面が、垂直線上に位置されたので、上階の換気口端末部材から水滴が落下して下階の換気口端末部材の水滴受板の中央板部に衝突した際に生じる音の響きを低減できるようになる。
図1乃至図6に示すように、実施形態に係る換気口端末部材1は、建物90の外壁91に建物90の内外に連通するように形成された換気孔92に挿入される筒部2と、建物90の外壁面93より建物90の外側に突出するフード部3と、フード部3の天板32の上に板状の弾性支持体4を介して設けられた水滴受板5と、制振材6とを備え、水滴受板5は、上方から落下する水滴Wを受ける中央板部51と、中央板部51の周辺に設けられて振動を放射する周辺板部とを備え、制振材6が周辺板部に取付けられた構成とした。
また、弾性支持体4におけるフード部3の天板32及び水滴受板5と接していない部分に貫通孔(スリット)Xが設けられており、かつ、水滴受板5と弾性支持体4とで構成される防振体の一次固有振動数f0が、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように設定されている。
当該換気口端末部材1の筒部2、フード部3、水滴受板5は、例えば金属板により形成される。
尚、本明細書においては、換気口端末部材1の上、下、左、右、前、後は、図1,図2に示した方向と定義して説明する。
即ち、フード部3は、換気口端末部材1が換気孔92に取付けられることによって、下部の室外側通風孔36、及び、室内側通風孔37を介して、建物90の内側から建物90の外側に、又は、建物90の外側から建物90の内側に空気が流通可能となる。
また、室外側通風孔36、及び、室内側通風孔37のうち、少なくとも、一方の通風孔はガラリ38(図1参照)に形成されている。
尚、筒部2の外周面には、例えば図外の板ばねが設けられており、当該筒部2が換気孔92内に押し込まれて当該板ばねが換気孔92の内面にばね弾性によって押し付けられることによって、換気口端末部材1が換気孔92に固定され、当該固定された状態で、フード部3の後板35の上縁、左縁、右縁と外壁面93との隙間にシーリング材等の隙間充填剤が充填されることにより、換気口端末部材1が換気孔92に取付けられる。
水切部39は、例えば、フード部3の後板35において室外側通風孔36よりも下方に突出した部分により形成された奥板39aと、奥板39aの下端側の左右の側縁より突出する突出片39b,39bと、奥板39aの下端及び左右の突出片39b,39bの下端より前方下方に傾斜して突出する傾斜片39cと、傾斜片39cの左右の側縁より上方に立ち上がるように設けられた左右の規制片39d,39dとを備えた構成である。
当該水切部39を備えたので、フード部3の板面を伝って流れてくる水滴が傾斜片39cを介して外壁面93の前側に流下して、下階の換気孔92に取付けられた換気口端末部材1の水滴受板5の表面(上面)に落下するので、水滴が外壁面93を伝って流れ落ちることを防止でき、外壁面93に水跡が付いてしまうことを防止できる。
図1に示すように、例えば、水滴受板5の表面は、寄棟の頂上部がフード部3の天板32の長方形よりも一回り小さい相似な長方形の平面状となった屋根形状に形成される。
そして、水滴受板5は、中央板部51の表面を構成する長方形の中心5Cが、フード部3の天板32の板面と直交して当該天板32の表面を構成する長方形の中心を通過する垂直線V上に位置されるように、弾性支持体4を介してフード部3の天板32の上に設けられる。
当該建物90においては、上階に取付けられた換気口端末部材1のフード部3の板面を伝って水切部39に流れてくる水が水切部39の傾斜片39cの前端を介して下階に取付けられた換気口端末部材1の水滴受板5の表面(上面)に落下する。
即ち、水滴受板5は、中央板部51は水平方向に延在して水滴を受ける表面を有し、周辺板部は中央板部51の表面より傾斜して下る傾斜表面を有するように構成されている。
尚、制振材6としては、例えば、ゴムアスファルトを用いて形成されたものを用いた。具体的には、商品名「RAシート」(宇部興産株式会社製)を制振材6として用いた。当該RAシートは、ゴムアスファルトで含浸したポリエステル長繊維不織布基材とアスファルト粘着層とを圧着加工して形成された自己粘着層タイプのシートであり、成分比は、アスファルト55〜65%、石油系炭化水素5.0〜15%、その他25〜35%である。
尚、天板32の下面とナット42との間、端板部61の下面とナット42との間には、例えば、平座金43及びばね座金44が設置される。
具体的には、図7,図8に示すように、貫通孔Xは、板ばね60の延長方向に沿って左の立ち上がり板部63及び傾斜板部64の全域に亘って延長する左の貫通孔Xと、板ばね60の延長方向に沿って右の立ち上がり板部63及び傾斜板部64の全域に亘って延長する右の貫通孔Xとにより構成される。
また、左の貫通孔X及び右の貫通孔Xは、立ち上がり板部63及び傾斜板部64の前後幅方向の中央側に設けられる。換言すれば、左の貫通孔X及び右の貫通孔Xは、貫通孔Xの前側側縁X1と立ち上がり板部63及び傾斜板部64の前側縁60aとの間の板幅aと、貫通孔Xの後側側縁X2と立ち上がり板部63及び傾斜板部64の後側縁60bとの間の板幅aとが等しくなるように、立ち上がり板部63及び傾斜板部64の前後幅方向の中央側に形成されている。
尚、図7,図9において、符号56は、水滴受板5の中央板部51の左右両側に形成されたボルト挿通孔、図7,図8において、符号57は、板ばね60の中央板部62及び端板部61,61に形成されたボルト挿通孔である。
f0:防振体の一次固有振動数(Hz)
m:水滴受板の質量(kg)
k:弾性支持体のばね定数(N/m)
そこで、このような場合は、水滴受板5の質量を大きくすることによって、防振体の一次固有振動数f0を目標値(例えば、オクターブバンドの16Hz以上で63Hz以下)に設定すればよい。
例えば、水滴受板5の板厚を厚くしたり、あるいは、水滴受板5の裏面(下面)に、錘、補強板等の質量体を付加することにより、水滴受板5の質量を大きくして、防振体の一次固有振動数f0を目標値(例えば、オクターブバンドの16Hz以上で63Hz以下)に設定すればよい。
共同住宅の給気孔に取付けた換気口端末部材の各試験体の水滴受板の中央板部の表面(上面)に水滴が落下する状況を模擬した実験を簡易無響室内で行った。
実験設備は以下のとおりである。
足場の下部に内径900mm角の箱(内部をグラスウールで吸音処理した箱)を設置し、箱の正面中央の位置の外側に換気口端末部材の試験体を設置するとともに、内側にレジスター(内側換気口)を設置した。レジスターは樹脂製のプッシュタイプとし、実験時は「開」の状態とした。
共同住宅の一般的な階高を想定し,換気口端末部材の水滴受板の中央板部の表面に高さ3mの位置からスポイトを使って水滴を落下させた。
水滴落下衝突音の測定は、マイクロホンを箱内部の中心の位置に設置し、水滴落下衝突音の1/3オクターブバンド音圧レベルを測定した。各試験体の水滴受板の中央板部の表面への水滴の落下回数は、1試験体に対し50回とし、外部からの影響の小さい40回のデータの平均値を測定値とした。
・制振材あり=実施形態の換気口端末部材1
・制振材なし=実施形態の換気口端末部材1から制振材6を除去した換気口端末部材
である。
尚、制振材ありの試験体の設計値は、水滴受板5の質量=143g、弾性支持体4のばね定数k=16.1N/mmとした。
また、制振材なしの試験体の設計値は、水滴受板5の質量=141g、弾性支持体4のばね定数k=16.1N/mmとした。
また、各換気口端末部材の試験体の材質、寸法等は、以下のとおりである。
共通部分=筒部、フード部、水滴受板の材質=ステンレス鋼SUS304、水滴受板5の短辺40mm、長辺150mm、長辺縁側周辺板部52の幅寸法12mm、長辺縁側周辺板部52の板厚寸法1.2mmとした。
実験に用いた換気口端末部材の各試験体において、水滴受板5の中央板部51の表面(上面)に水滴が衝突した際に、長辺縁側周辺板部52が空間に放射する固有振動数は、2kHz帯域である。
図10(a)に、制振材なしの試験体の水滴受板5の中央板部51の表面に水滴が衝突した際に発生した音の2kHz帯域の時系列波形を示す。
図10(b)に、制振材ありの試験体の水滴受板5の中央板部51の表面に水滴が衝突した際に発生した音の2kHz帯域の時系列波形を示す。
図10(c)に、各試験体の水滴受板5の中央板部51の表面に水滴が衝突した際に発生した音の周波数分析結果を示す。
一方、図10(b)から明らかなように、制振材ありの試験体の場合、水滴受板5の中央板部51の表面に水滴が衝突した際に発生した音は0.15秒程度で減衰していることがわかる。
即ち、制振材ありの試験体の場合、水滴受板5の中央板部51の表面に水滴が衝突した際に、長辺縁側周辺板部52,52の振動を抑制できて、長辺縁側周辺板部52,52を介して空間に放射される振動を抑制でき、音の響きを低減できることが判明した。
即ち、制振材ありの試験体の場合、制振材なしの試験体と比べて、水滴受板5の中央板部51の表面に水滴が衝突した際に発生する音の周波数ピークの音圧レベルも低減できることが判明した。
そこで、実施形態では、長辺縁側周辺板部52,52の傾斜表面の裏面に制振材6を接着して、当該制振材6と長辺縁側周辺板部52とを一体化させた構成とし、水滴受板5の中央板部51の表面に水滴が衝突した際の長辺縁側周辺板部52,52の振動を抑制するようにしたことで、長辺縁側周辺板部52,52の振動を抑制できて、長辺縁側周辺板部52,52から空間に放射される振動を低減できるので、長く響く金属音の発生を防止できるととともに、音の周波数ピークの音圧レベルも低減できるようになった。
また、制振材6を、周辺板部の表面(上面)に貼り付けても良い。
また、接着剤以外のもので、制振材6が周辺板部に取付けられた構成としてもよい。
また、換気口端末部材1のフード部3の天板32や水滴受板5の形状は矩形でなくてもよい。
例えば、上記では、水滴を受ける長方形板状の中央板部51と、当該中央板部の周辺に設けられた長辺縁側周辺板部52及び短辺縁側周辺板部53とを備えた構成の水滴受板5を例示したが、長方形板状以外の形、例えば、長円板状に形成された中央板部と、当該中央板部の周辺に設けられた周辺板部とを備え、制振材6が当該周辺板部に取付けられた水滴受板を備えた構成の換気口端末部材としてもよい。
また、換気口端末部材1は、開口部が、フード部3の下部のみでなく、フード部3の側面、正面に設けられた構成であってもよい。また、開口部にネットが張られた構成のものであってもよい。
また、換気口端末部材1は、筒部2を備えずに、外壁に直接取り付けられる構成のものであってもよい。
例えば、貫通孔Xは、板状の弾性支持体4の延長方向に沿って延長する複数の長孔(スリット)が板状の弾性支持体4の板幅方向に沿って所定間隔を隔てて並ぶように形成された構成、あるいは、板状の弾性支持体4の板幅方向に沿って延長する複数の長孔(スリット)が板状の弾性支持体4の延長方向に沿って所定間隔を隔てて並ぶように形成された構成、あるいは、円孔や矩形孔等の複数の個別孔が板状の弾性支持体4の延長方向に沿って所定間隔を隔てて並ぶように形成された構成、円孔や矩形孔等の複数の個別孔が板状の弾性支持体4にパンチングメタルのようにランダムに形成された構成等であってもよい。
32 フード部の天板、51 中央板部、52 長辺縁側周辺板部(周辺板部)、
90 建物、91 外壁、92 換気孔、93 外壁面。
Claims (5)
- 建物の外壁に形成された換気孔に取付けられる換気口端末部材であって、
建物の外壁面より建物の外側に突出するフード部と、フード部の天板の上に弾性支持体を介して設けられた水滴受板と、制振材とを備え、
水滴受板は、水滴を受ける中央板部と、中央板部の周辺に設けられた周辺板部とを備え、
制振材が周辺板部に取付けられたことを特徴とする換気口端末部材。 - 周辺板部は、水滴受板の中央板部に水滴が衝突した際にオクターブ1kHz〜4kHz帯域の振動を放射するように、中央板部より延長する方向の長さ寸法及び板厚寸法が設定され、
制振材は、周辺板部の1kHz〜4kHz帯域の振動を抑制することを特徴とする請求項1に記載の換気口端末部材。 - 中央板部は水平方向に延在して水滴を受ける表面を有し、周辺板部は中央板部の表面より傾斜して下る傾斜表面を有し、制振材は周辺板部の傾斜表面の裏面に接着されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の換気口端末部材。
- 制振材は、ゴムアスファルトを用いて形成されたものを用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の換気口端末部材。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された換気口端末部材のフード部及び水滴受板が外壁面よりも外側に突出するように当該換気口端末部材が外壁に設けられた建物であって、
建物の上下階の外壁に設けられた各換気口端末部材の各水滴受板の中央板部の表面が、垂直線上に位置されたことを特徴とする建物。
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