JP2020142992A - 新規カロテノイド及び該カロテロイドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規カロテノイド及び該カロテロイドの製造方法である。【解決手段】ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群、ゼアキサンチンエポキシ化酵素遺伝子及び子葉特異的葉緑体新生因子遺伝子を宿主に導入して発現させると、式(1)で表されるカロテノイドが生産されることを見出した。【選択図】なし

Description

本発明は、新規カロテノイド及び該カロテロイドの製造方法に関する。
カロテノイドは、すべての光合成生物、及び一部の細菌、カビ、酵母などが生産する黄〜橙〜赤色の天然色素である。現在までに、自然界から750種以上のカロテノイドが単離・同定されている。このうち、我々に最も身近な光合成生物である、農作物や花卉などの高等植物由来のカロテノイドについても多数報告されている。一方、高等植物が共通に持つカロテノイドは、光合成器官である葉のカロテノイドである(非特許文献1)。この生合成経路を、化学構造とともに図1に示した。これらのカロテノイドうち、明確な色を持つものは、Lycopene(リコペン;リコピンとも呼ばれる)以降の生合成経路である。なお、これらの中で商業化されているカロテノイドの比率は高く、Lycopene、β-Carotene(β-カロテン)、α-Carotene(α-カロテン)、Lutein(ルテイン)、Zeaxanthin(ゼアキサンチン)、β-Cryptoxanthin(β-クリプトキサンチン)が相当し、健康に良い効果(機能性)が報告されている(非特許文献2)。図1のカロテノイドに限らず機能性が期待される多くのカロテノイド(以下、機能性カロテノイドと記載)は、一般に製造コストがかかるため高価である。近年、カロテノイドを微生物、特に、大腸菌(Escherichia coli)や出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)等の宿主で安価に生産するためのバイオテクノロジー研究が盛んに行われてきた。
大腸菌や出芽酵母は、元々はカロテノイド生産能を持たないが、カロテノイド前駆体のFPP(farnesyl diphosphate;ファルネシル二リン酸)は持っているので、FPPから下流のカロテノイド生合成遺伝子群を導入すれば問題ない。しかしながら、図1の葉由来カロテノイドの中だけでなく、機能性カロテノイド全体で言っても、微生物宿主で効率的に作れるものは、Lycopene、β-Carotene、Zeaxanthinくらいに限られているのが現状であった。その大きな理由は、これら3つのカロテノイドは、高等植物だけでなく、大腸菌と同じ綱(class)に属する土壌細菌Pantoea ananatisをはじめとする一部の微生物でも生産しているので、これらのカロテノイド生合成遺伝子群(crt遺伝子群)を利用することができるからである。なお、これらのcrt遺伝子群がコードするCrt酵素の機能は、図1において括弧で示されている。
一方、葉由来の他のカロテノイドの中でも商業化されていないもの、すなわち、Antheraxanthin(アンテラキサンチン)、Violaxanthin(ビオラキサンチン)、Neoxanthin(ネオキサンチン)については、大腸菌や出芽酵母など微生物宿主での効率的生産は困難であった。なお、微生物宿主の中で大腸菌においてのみ、リンドウ(Gentiana lutea)の花由来のZEP(zeaxanthin epoxidase;ゼアキサンチンエポキシ化酵素)遺伝子(GlZEP)といった植物由来ZEP遺伝子を利用して、AntheraxanthinやViolaxanthinの生合成に成功したという報告はある(非特許文献3、非特許文献2)。しかし現在では、種々の植物由来の多くのZEP遺伝子が大腸菌でさえ機能しない(機能発現しない)ことがわかっている。たとえば、ケイソウ(珪藻;Phaeodactylum tricornutum)のZEP遺伝子は大腸菌で機能発現しなかった(非特許文献4)。
本発明のもう一方の構成要素であるCYO1(cotyledon-specificchloroplast biogenesis factor)は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)で子葉の葉緑体形成に必要なシャペロン用因子として発見された、タンパク質disulfide isomeraseである(非特許文献5)。以後、シロイヌナズナ由来のCYO1をAtCYO1、これをコードする遺伝子をAtCYO1と記載する。
特許第6348530号
三沢典彦, 生物工学 93: 403-406, 2015 久保亜希子, 佐原健彦, 竹村美保, 三沢典彦, スマートセルインダストリー −微生物細胞を用いた物質生産の展望−, 第3編 産業応用へのアプローチ, 第8章 植物由来カロテノイドの微生物生産, pp.195-205, シーエムシー出版 C. Zhu et al, Biochimica etBiophysica Acta (BBA), 1625:305-308, 2003, https://doi.org/10.1016/S0167-4781(03)00017-4 M. Dambek et al, Journalof Experimental Botany, 63:5607-5612, 2012. H. Shimada et al, The PlantCell, 19: 3157–3169, 2007, DOI: https://doi.org/10.1105/tpc.107.051714 M. Takemura et al, TetrahedronLetters, 56:6063-6065, 2015.
本発明が解決しようとする課題は、新規カロテノイド及び該カロテロイドの製造方法である。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った結果、ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群、ゼアキサンチンエポキシ化酵素遺伝子及び子葉特異的葉緑体新生因子(cotyledon-specific chloroplast biogenesis factor)遺伝子を宿主に導入して発現させると、下記式(1)で表される新規カロテノイドが生産されることを見出し、課題を解決するに至った。
例えば、crtEcrtBcrtIcrtYcrtZ遺伝子(たとえばPantoea ananatis由来)、及びZEP遺伝子(たとえばCaZEP)に加えて、CYO1遺伝子(たとえばAtCYO1)を大腸菌に導入して発現させると、新規カロテノイドが生産されること、さらに、IDI{isopentenyl diphosphate (IPP) isomerase}をコードする遺伝子(IDI)、及び電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子及び/又はNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子を共に導入して共発現させると、該新規カロテノイドが、より効率的に生産される。
より詳しくは、本発明者らは、以下の組換え大腸菌から抽出したカロテノイドを分析することにより、アンテラキサンチン、ビオラキサンチン、及び新規カロテノイドが効率的に生産されることを見出した。すなわち、Haematococcus pluvilias由来のIDI遺伝子、及びPantoea ananatis由来のcrtEcrtBcrtIcrtYcrtZ遺伝子を含むプラスミドpACHP-Zeaが導入されゼアキサンチンを生産する大腸菌に、パプリカ(赤ピーマン;Capsicum annuum)由来のゼアキサンチンエポキシ化酵素CaZEP、シロイヌナズナ由来のシャペロンタンパク質AtCYO1、Nostoc sp. PCC7120由来の電子伝達系タンパク質NsRF、及びBacillus subtillis由来のNADPH再生系タンパク質Gdhをコードする遺伝子を導入することにより、植物の希少カロテノイドであるアンテラキサンチン、ビオラキサンチンをそれぞれ、全カロテノイド20.1%のレベルで生産できること、さらには新規カロテノイドを効率生産することを見出した。
上記の結果はまた、発明者にとっても驚くべき、且つ、予想できない内容であった。それは、高等植物の子葉の葉緑体形成に必要なシャペロン用因子として発見された、タンパク質disulfide isomeraseをコードする遺伝子(CYO1遺伝子)が大腸菌内で機能し、新規カロテノイドの生産を手助けしたということである。さらに、本新規カロテノイドが脂肪細胞に対して強い分化誘導活性を持つといった生理機能を有することは全く予想できないとのことであった。
本発明は以下の通りである。
1.式(1)又は式(1A’)で表されるカロテノイド。
2.前項1に記載のカロテノイドを含む、抗酸化剤。
3.前項1に記載のカロテノイドを含む、脂質過酸化抑制剤。
4.前項1に記載のカロテノイドを含む、一重項酸素消去剤。
5.前項1に記載のカロテノイドを含む、脂質細胞分化誘導剤。
6.以下の(A)又は(B)の遺伝子又は遺伝子群を導入した組換え細胞:
(A)
(1)ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群、
(2)ゼアキサンチンエポキシ化酵素遺伝子、及び
(3)シャペロンとして働くタンパク質をコードする遺伝子
又は、
(B)
(1)ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群、及び、
(2)ゼアキサンチンエポキシ化酵素遺伝子。
7.さらに、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子を導入した、前項6に記載の組換え細胞。
8.さらに、電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子及び/又はNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子を導入した、前項6又は7に記載の組換え細胞。
9.前記シャペロンとして働くタンパク質をコードする遺伝子が子葉特異的葉緑体新生因子(cotyledon-specificchloroplast biogenesis factor)遺伝子である、前項6〜8のいずれか1に記載の組換え細胞。
10.前項6〜9のいずれか1に記載の組換え細胞を培養して得られる培養物又は菌体からカロテノイドを得ることを特徴とする、カロテノイドの製造方法。
11.前項6〜9のいずれか1に記載の組換え細胞を培養して得られる培養物又は菌体から式(1)又は式(1A’)で表されるカロテノイド、アンテラキサンチン及びビオラキサンチンのいずれか1以上を得る、又は、アンテラキサンチン及びビオラキサンチンのいずれか1以上を得ることを特徴とする、カロテノイドの製造方法。
12.前記細胞が大腸菌である、前項6〜9のいずれか1に記載の組換え細胞。
13.前記細胞が大腸菌である、前項10又は11に記載のカロテノイドの製造方法。
本発明により、式(1)で表されるカロテロイド、アンテラキサンチン及びビオラキサンチンのいずれか1以上を合成できる製造方法を提供することができる。
植物の葉におけるカロテノイドの生合成経路及び各種カロテノイド生合成酵素の機能を示す図である。 なお、アンテラキサンチン、ビオラキサンチンを生合成する大腸菌の例としては、GGPP合成酵素(GGPP synthase;CrtE)、フィトエン合成酵素(phytoene synthase;CrtB)、フィトエン不飽和化酵素(phytoene desaturase;CrtI)、 リコペンβ-環化酵素(lycopene β-cyclase;CrtY)、β-カロテン水酸化酵素(β-carotene hydroxylase;CrtZ)の各酵素をコードする5種類の遺伝子、及びゼアキサンチンエポキシ化酵素(ZEP)をコードする遺伝子が、少なくとも全て共導入され発現した遺伝子組換え大腸菌が必要である。 遺伝子組換え大腸菌から抽出されたカロテノイドのHPLC分析結果を示す図である。(A) pACHP-Zea, pUC-CaZEPが導入された遺伝子組換え大腸菌A。(B) pACHP-Zea,pUC-CaZEP, RSF-NsRF-AtCYO1, CDF-gdhが導入された遺伝子組換え大腸菌E。(C) ビオラキサンチン標品。(D) 後述の実施例により大腸菌により生産及び精製され、各種機器分析により同定された新規カロテノイド6’-ヒドロキシ-3’-ジデヒドロルテイン精製品(標品)。(E) 遺伝子組換え大腸菌Eのビオラキサンチンのピークの吸収波長。(F) 遺伝子組換え大腸菌Eの新規カロテノイド6’-ヒドロキシ-3’-ジデヒドロルテインのピークの吸収波長。(G) ビオラキサンチン標品の吸収波長。(H) 新規カロテノイド6’-ヒドロキシ-3’-ジデヒドロルテイン標品の吸収波長。ピーク1:ビオラキサンチン、ピーク2:新規カロテノイド6’-ヒドロキシ-3’-ジデヒドロルテイン。 新規カロテノイド6’-ヒドロキシ-3’-ジデヒドロルテインの推測される生合成経路の図である。 大腸菌形質転換用ベクター、 (A) pUC18, (B)RSFDuet-1, (C) CDFDuet-1の構造を示す図である。 大腸菌形質転換用プラスミド、 (A) pUC-CaZEP,(B)RSFD-NsRF-AtCYO1, (C)CDF-gdhの構造を示す図である。 新規カロテノイドのA:1H-NMR (CDCl3中)、B: 13C-NMR (CDCl3中) を示す図である。 新規カロテノイドのA:zeaxanthin構造部分、B:β−イオノン環部分の構造、C:確定した全体構造を示す図である。 化合物1のラット脳脂質過酸化抑制活性。 化合物1の1O2消去活性。 化合物1の3T3-L1細胞分化誘導活性。
本発明は、カロテノイド、特にアンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び式(1)で表されるカロテノイドの製造方法に関する。本発明の製造方法は、大腸菌や出芽酵母など微生物宿主に特定の遺伝子及び/又は遺伝子群を導入することにより上記カロテノイドを製造できる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
(ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群)
大腸菌や出芽酵母は、カロテノイド前駆体のFPP産生能を有するが、ゼアキサンチン産生能を有しない。したがって、ファルネシル二リン酸からゼアキサンチン(Zeaxanthin)を合成する必要がある。ゼアキサンチンは、土壌細菌Pantoea ananatisやPantoea agglomerans等のゼアキサンチン産生微生物由来のカロテノイド生合成遺伝子群(crt遺伝子群)を利用することによりファルネシル二リン酸から産生できる。
本発明でのcrt遺伝子群とは、crtE、crtB、crtI、crtY、crtZのいずれか1以上、2以上、3以上、4以上又は全部を含む。
(イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(IDI遺伝子))
イソペンテニル二リン酸イソメラーゼは、大腸菌や出芽酵母のFPP産生過程において、イソペンテニル二リン酸(イソペンテニルピロリン:IPP)をジメチルアリル二リン酸(DMAPP)に変換する。IDI遺伝子は、crt遺伝子群と共に発現させることによりカロテノイドを効率的に製造することが可能である。
イソペンテニル二リン酸イソメラーゼによりIPPとジメチルアリル二リン酸(DMAPP)の量比が調整される(特許文献1)。イソペンテニル二リン酸イソメラーゼには互いに構造が異なる、1型(type 1)と2型(type 2)のものが存在している。2型のIDI遺伝子は、α-プロテオバクテリア綱又はγ-プロテオバクテリア綱に属するカロテノイド産生細菌が有するカロテノイド生合成遺伝子群(carotenoidbiosynthesis gene cluster)の中に時々一緒に存在している(三沢典彦, オレオサイエンス 9 (9): 385-391, 2009)。1型、2型にかかわらず、IDI遺伝子をカロテノイドやセスキテルペンといったテルペンの生合成遺伝子と共に大腸菌に導入して発現させると、IDI遺伝子を導入しない場合と比べて、テルペンの生産量が上昇することがわかっている(S. Kajiwara,P.D. Fraser, K. Kondo and N. Misawa, Biochem J., 324, 421-426. 1997)。
(ゼアキサンチンエポキシ化酵素 をコードする遺伝子)
ゼアキサンチンをエポキシ化しビオラキサンチンを合成するのに必要な酵素遺伝子については、上述したように、ゼアキサンチンエポキシ化酵素をコードする遺伝子が好適である。ゼアキサンチンエポキシ化酵素遺伝子として、パプリカ(Capsicum annuum)から単離されたZEPCaZEP)などが知られている。好ましくは、少なくともゼアキサンチンエポキシ化酵素を用いる。より好ましくは、パプリカから単離されたZEPをコードする遺伝子配列を用いる。しかし必ずしもこれと同じ遺伝子配列を用いる必要はなく、他の生物由来のゼアキサンチンエポキシ化酵素を用いてもよい。
ゼアキサンチンエポキシ化酵素をコードする遺伝子としては、パプリカから単離されたZEP(配列番号2に記載のアミノ酸配列又は配列番号2に記載のアミノ酸配列と相同性がアミノ酸配列の全体で70%以上、好ましくは80%、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上同一であるアミノ酸配列でありかつゼアキサンチンをエポキシ化しビオラキサンチンを合成する活性を有する)をコードする遺伝子が好ましく、このような遺伝子として、例えば、配列番号1の塩基配列を含むDNAがより好ましい。
また、ゼアキサンチンエポキシ化酵素をコードする遺伝子として、配列番号1の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつゼアキサンチンをエポキシ化しビオラキサンチンを合成する活性を有するポリペプチドをコードするDNAも、好適に用いられる。また、このようなDNA配列として、配列番号1の塩基配列からなるDNAと通常約90%以上、好ましくは約95%、より好ましくは約98%以上の配列同一性を有し、かつゼアキサンチンをエポキシ化しビオラキサンチンを合成する活性を有するポリペプチドをコードするDNAが好適に用いられる。
(カロテノイド合成に必要な遺伝子群)
本発明のカロテノイドの製造方法に必要な遺伝子又は遺伝子群を以下に例示するが、特に限定されない。
<アンテラキサンチン及びビオラキサンチン>
(1)ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群
(2)ゼアキサンチンからアンテラキサンチン、さらにはビオラキサンチンを合成する酵素であるゼアキサンチンエポキシ化酵素をコードする遺伝子(ゼアキサンチンエポキシ化酵素遺伝子)
<式(1)で表されるカロテノイド>
(1)ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群
(2)ゼアキサンチンエポキシ化酵素遺伝子
(3)シャペロンとして働くタンパク質をコードする遺伝子
例えば、子葉特異的葉緑体新生因子(cotyledon-specificchloroplast biogenesis factor)遺伝子を挙げることができ、好ましくはAtCYO1である。
さらに、本発明では、好ましくは、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子並びに/又は電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子とNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子を宿主に導入する。
(シャペロンタンパク質をコードする遺伝子)
ゼアキサンチンエポキシ化酵素を活性化する可能性が高く、さらに式(1)で表されるカロテノイドを合成するのに必要なタンパク質遺伝子については、上述したように、シャペロンタンパク質をコードするCYO1遺伝子が好適である。シャペロンタンパク質遺伝子として、シロイヌナズナから単離されたAtCYO1などが知られている。好ましくは、少なくともシャペロンタンパク質を用いる。より好ましくは、シロイヌナズナから単離されたAtCYO1をコードする遺伝子配列を用いる。しかし必ずしもこれと同じ遺伝子配列を用いる必要はなく、他の生物由来のシャペロンタンパク質を用いてもよい。
シャペロンタンパク質をコードする遺伝子としては、シロイヌナズナから単離されたAtCYO1(配列番号4に記載のアミノ酸配列又は配列番号4に記載のアミノ酸配列と相同性がアミノ酸配列の全体で70%以上、好ましくは80%、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上同一であるアミノ酸配列でありかつゼアキサンチンエポキシ化酵素の活性を制御する活性を有する)をコードする遺伝子が好ましく、このような遺伝子として、例えば、配列番号3の塩基配列を含むDNAがより好ましい。
また、シャペロンタンパク質をコードする遺伝子として、配列番号3の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつゼアキサンチンエポキシ化酵素の活性を制御する活性を有するポリペプチドをコードするDNAも、好適に用いられる。また、このようなDNA配列として、配列番号3の塩基配列からなるDNAと通常約90%以上、好ましくは約95%、より好ましくは約98%以上の配列同一性を有し、かつゼアキサンチンエポキシ化酵素の活性を制御する活性を有するポリペプチドをコードするDNAが好適に用いられる。
(電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子)
電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子として、Nostoc sp. strain PCC7120から単離されたNsRF (NsRED & NsFER) やPseudomonas putida から単離されたcamABcamA & camB)などが知られている。本発明に用いることができる電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子は、特に限定されず、例えば、他の生物由来の電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子を用いてもよい。
電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子としては、Nostoc sp. strain PCC7120から単離されたNsRF(NsRED及びNsFER)をコードする遺伝子が好ましい。
NsRED(配列番号6に記載のアミノ酸配列又は配列番号6に記載のアミノ酸配列と相同性がアミノ酸配列の全体で70%以上、好ましくは80%、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上同一であるアミノ酸配列でありかつ電子を伝達する活性を有する)をコードする遺伝子として、例えば、配列番号5の塩基配列を含むDNAがより好ましい。
NsFER(配列番号8に記載のアミノ酸配列又は配列番号8に記載のアミノ酸配列と相同性がアミノ酸配列の全体で70%以上、好ましくは80%、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上同一であるアミノ酸配列でありかつ電子を伝達する活性を有する)をコードする遺伝子として、例えば、配列番号7の塩基配列を含むDNAがより好ましい。
また、電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子として、配列番号5からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ電子を伝達する活性を有するポリペプチドをコードするDNA及び/又は配列番号7からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ電子を伝達する活性を有するポリペプチドをコードするDNAも、好適に用いられる。また、このようなDNA配列として、配列番号5の塩基配列からなるDNAと通常約90%以上、好ましくは約95%、より好ましくは約98%以上の配列同一性を有し、かつ電子を伝達する活性を有するポリペプチドをコードするDNA及び/又は配列番号7の塩基配列からなるDNAと通常約90%以上、好ましくは約95%、より好ましくは約98%以上の配列同一性を有し、かつ電子を伝達する活性を有するポリペプチドをコードするDNAが好適に用いられる。
(NADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子)
NADPH再生系タンパク質遺伝子として、枯草菌(Bacillus subtilis)から単離されたgdhや大腸菌から単離されたzwfなどが知られている。好ましくは、少なくともNADPH再生系タンパク質を用いる。より好ましくは、Bacillus subtilisから単離されたGdhや大腸菌から単離されたZwfをコードする遺伝子配列を用いる。しかし必ずしもこれと同じ遺伝子配列を用いる必要はなく、他の生物由来のNADPH再生系タンパク質を用いてもよい。
NADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子としては、Bacillus subtilisから単離されたGdh(配列番号10に記載のアミノ酸配列又は配列番号10に記載のアミノ酸配列と相同性がアミノ酸配列の全体で70%以上、好ましくは80%、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上同一であるアミノ酸配列でありかつNADPHを再生する活性を有する)をコードする遺伝子が好ましく、このような遺伝子として、例えば、配列番号9の塩基配列を含むDNAがより好ましい。
また、NADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子として、配列番号9の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつNADPHを再生する活性を有するポリペプチドをコードするDNAも、好適に用いられる。また、このようなDNA配列として、配列番号9の塩基配列からなるDNAと通常約90%以上、好ましくは約95%、より好ましくは約98%以上の配列同一性を有し、かつNADPHを再生する活性を有するポリペプチドをコードするDNAが好適に用いられる。
(遺伝子)
本明細書において、遺伝子(DNA分子)とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖及びアンチセンス鎖という各1本鎖DNAを包含する趣旨であり、またその長さに制限されるものではない。
したがって、本発明のアミノ酸配列をコードする遺伝子(ポリヌクレオチド)には、特に言及しない限り、ゲノムDNAを含む2本鎖DNA及びcDNAを含む1本鎖DNA(センス鎖)並びに該センス鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(アンチセンス鎖)及び合成DNA、それらの断片のいずれもが含まれる。
(式(1)で表されるカロテノイド)
本発明は、下記の式(1)で表されるカロテノイド(4-hydroxy-4-((1E,3E,5E,7E,9E,11E,13E,15E,17E)-18-(4-hydroxy-2,6,6-trimethylcyclohex-1-en-1-yl)-3,7,12,16-tetramethyloctadeca-1,3,5,7,9,11,13,15,17-nonaen-1-yl)-3,5,5-trimethylcyclohex-2-enone)も対象とする。式(1)で表されるカロテノイドは、本発明のカロテノイドの製造方法により得られる。
式(1)で表されるカロテノイドは、6’-ヒドロキシ-3’-ジデヒドロルテインを包含する。6’-ヒドロキシ-3’-ジデヒドロルテインは、式(1A)で表されるカロテノイド、式(1A’)で表されるカロテノイド及び式(1B)で表されるカロテノイド、又は、式(1A)で表されるカロテノイド及び式(1B)で表されるカロテノイドを包含する。
本明細書において、式(1)で表されるカロテノイドは、下記の式(1A)で表されるカロテノイド((S)-4-hydroxy-4-((1E,3E,5E,7E,9E,11E,13E,15E,17E)-18-((R)-4-hydroxy-2,6,6-trimethylcyclohex-1-en-1-yl)-3,7,12,16-tetramethyloctadeca-1,3,5,7,9,11,13,15,17-nonaen-1-yl)-3,5,5-trimethylcyclohex-2-enone)を包含する。式(1A)で表されるカロテノイドは、本発明のカロテノイドの製造方法により得られる。
本明細書において、式(1)で表されるカロテノイドは、下記の式(1A’)で表されるカロテノイド(4-hydroxy-4-((1E,3E,5E,7E,9E,11E,13E,15E,17E)-18-((R)-4-hydroxy-2,6,6-trimethylcyclohex-1-en-1-yl)-3,7,12,16-tetramethyloctadeca-1,3,5,7,9,11,13,15,17-nonaen-1-yl)-3,5,5-trimethylcyclohex-2-enone)を包含する。式(1A’)で表されるカロテノイドは、本発明のカロテノイドの製造方法により得られる。
本明細書において、式(1){好ましくは、式(1B)}で表されるカロテノイドは、下記の式(1B)で表されるカロテノイド((S)-4-hydroxy-4-((1E,3E,5E,7E,9E,11E,13E,15E,17E)-18-((R)-4-hydroxy-2,6,6-trimethylcyclohex-1-en-1-yl)-3,7,12,16-tetramethyloctadeca-1,3,5,7,9,11,13,15,17-nonaen-1-yl)-3,5,5-trimethylcyclohex-2-enone)を包含する。式(1B)で表されるカロテノイドは、本発明のカロテノイドの製造方法により得られる。
本発明は式(1)で表されるカロテノイドを含む、下記の剤も対象とする:
式(1)で表されるカロテノイドを含む抗酸化剤、
式(1)で表されるカロテノイドを含む脂質過酸化抑制剤、
式(1)で表されるカロテノイドを含む一重項酸素消去剤、及び
式(1)で表されるカロテノイドを含む脂質細胞分化誘導剤。
式(1)で表されるカロテノイドを含有する剤は、医薬製剤の製造法として自体公知の方法(例、日本薬局方記載の方法等)に従って、本発明化合物を単独で、または薬理学的に許容される担体と混合して製造できる。
式(1)で表されるカロテノイドを含有する剤中の含有量は、剤全体の0.01〜100重量%であり、例えば0.01〜0.1重量%、0.1〜1重量%、1〜10重量%、10〜50重量%、50〜90重量%、90〜100重量%であってもよい。
該剤の投与量は、投与対象、投与経路、疾患、症状などにより異なるが、例えば、経口投与する場合、1日当たり、式(1)で表されるカロテノイドを有効成分として0.01〜100mg/kg体重、0.1〜50mg/kg体重、1〜20mg/kg体重であってもよい。1日当たり複数回、例えば2〜3回に分けて投与してもよい。
式(1)で表されるカロテノイドは、式(1)で表されるカロテノイドを含む飲食品とすることが可能である。例えば、飲食品へ添加・配合することにより抗酸化効果、脂質過酸化抑制効果、一重項酸素消去効果、脂質細胞分化効果を持った食用組成物(例えば、健康食品等)として利用することも可能である。飲食品中の式(1)で表されるカロテノイドの含有量及び該飲食品の摂取量は、式(1)で表されるカロテノイドを含有する剤に準じる。
(本発明のカロテノイドの製造方法)
本発明のカロテノイドの製造方法は、以下の(1)〜(2)又は(1)〜(3)の遺伝子又は遺伝子群を導入した組換え細胞を培養する工程を含む。
(1)ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群
(2)ゼアキサンチンエポキシ化酵素遺伝子
(3)シャペロンとして働くタンパク質をコードする遺伝子
前記組換え細胞は、好ましくは、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子並びに/又は電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子又はNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子、より好ましくは電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子及びNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子をさらに導入した組換え細胞である。
また、本発明のカロテノイドの製造方法の別の態様として、無細胞系(コムギ胚芽等)等を使用して、上記の(1)〜(3)又は(1)〜(2)の遺伝子又は遺伝子群、好ましくは上記の(1)〜(3)又は(1)〜(2)の遺伝子又は遺伝子群に加えて、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子並びに/又は電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子及び/又はNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子を発現する工程を含んでもよい。
(本発明の組換え細胞)
本発明の組換え細胞は、ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群、ゼアキサンチンエポキシ化酵素の遺伝子、及び子葉特異的葉緑体新生因子遺伝子を導入した組換え細胞であり、好ましくはイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子又はNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子(より好ましくは電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子及びNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子)をさらに導入した組換え細胞である。
本発明の組換え細胞は、アンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び式(1)で表されるカロテノイドのいずれか1以上を産生できる。
本発明の組換え細胞は、好ましくはアンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び式(1)で表されるカロテノイドを産生できる。
アンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び/又は式(1)で表されるカロテノイド、を産生する組換え細胞は、具体的には、下記を例示できるが、特に限定されない。
(1)ゼアキサンチンエポキシ化酵素をコードする遺伝子(ZEP遺伝子)、ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群及びイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(IDI遺伝子)、シャペロンタンパク質をコードする遺伝子、電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子及びNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子が導入された組換え細胞。
(2)ゼアキサンチンエポキシ化酵素をコードする遺伝子(ZEP遺伝子)、ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群及びイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(IDI遺伝子)、シャペロンタンパク質をコードする遺伝子及び電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子が導入された組換え細胞。
(3)ゼアキサンチンエポキシ化酵素をコードする遺伝子(ZEP遺伝子)、ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群及びイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(IDI遺伝子)、シャペロンタンパク質をコードする遺伝子及びNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子が導入された組換え細胞。
(4)ゼアキサンチンエポキシ化酵素をコードする遺伝子(ZEP遺伝子)、ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群及びイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(IDI遺伝子)及びシャペロンタンパク質をコードする遺伝子が導入された組換え細胞。
ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群及びIDI遺伝子を持つ組換え細胞としては、例えばゼアキサンチン産生能を持つ組換え細胞が挙げられ、ゼアキサンチン産生能を持つ組換え細胞としては、例えばプラスミドpACHP-Zeaを有する組換え細胞が挙げられる。
細胞(宿主)としては、大腸菌、昆虫系、酵母系、植物細胞系等の細胞を使用することができる。
各細胞の場合に導入する合成酵素遺伝子の好ましい組み合わせは、以下の通りである。
大腸菌:IDIcrtE、crtB、crtI、crtY、crtZ、ZEP、AtCYO1、NsRF、gdh
酵母系:IDIcrtE、crtB、crtI、crtY、crtZ、ZEP、AtCYO1、NsRF、gdh
昆虫系:IDIcrtE、crtB、crtI、crtY、crtZ、ZEP、AtCYO1、NsRF、gdh
植物系:IDI、ZEP、AtCYO1、NsRF、gdh
加えて、パーティクルガンによる葉緑体の形質転換により葉緑体内に、直接、外来遺伝子を導入し発現させる場合は、イソペンテニル二リン酸(IPP)イソメラーゼ(1型及び/又は2型)遺伝子を共発現させることにより、目的のカロテノイド生産量が向上することができると考えられる。
これらの中で特に好ましいのは、idicrtE、crtB、crtI、crtY、crtZ、ZEP、AtCYO1、NsRF及びgdhを導入した組換え大腸菌である。
(大腸菌形質転換ベクター)
前記アンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び/又は式(1)で表されるカロテノイドを合成する酵素遺伝子は、公知の方法により、例えば、大腸菌に導入される。大腸菌への外来性遺伝子の導入方法は特に限定されず、例えば、導入したい外来性遺伝子を、公知の方法により適当なプロモータとターミネータの利用により発現する形にして大腸菌の形質転換用ベクターに挿入してプラスミドを作製し、該プラスミドを大腸菌の細胞に導入すればよい。複数の遺伝子を導入する場合、それらの遺伝子は、1つの形質転換用ベクターにより導入されてもよく、それぞれ異なる形質転換用ベクターにより導入されてもよい。
大腸菌の形質転換用ベクターは、導入遺伝子の数や種類等により適宜選択すればよいが、大腸菌のタンパク質発現用ベクター等が好ましく、例えば、pUC18やRSFDuet-1(図4)等が挙げられる。また、プロモータは、大腸菌中で発現できるものであればいずれを用いてもよい。例えば、T7プロモータ、lacZプロモータ、tacプロモータ等が挙げられる。中でも、導入した遺伝子が大腸菌において高発現することが好ましいことから、tacプロモータがより好ましい。また、導入した遺伝子が大腸菌において一過的に発現することが好ましい場合は、誘導プロモータを用いることが好ましく、IPTG等による誘導型T7プロモータ等がより好ましい。ターミネータとしては、導入する遺伝子等により適宜選択することができるが、例えば、T7ターミネータ、rrnBターミネータ等が挙げられる。
また、大腸菌形質転換ベクターにより目的とする外来性遺伝子(例えば、Idiをコードする遺伝子等)が導入された大腸菌細胞を効率よく選抜するために、各種選抜マーカー遺伝子を用いてもよい。選抜マーカー遺伝子は、特に限定されず、自体公知のものを用いてよい。例えば、薬剤耐性を付与する遺伝子を選抜マーカーとして用い、この選抜マーカー遺伝子と前記ビオラキサンチンの生合成に関わる遺伝子とを含むプラスミド等を大腸菌形質転換ベクターとして大腸菌細胞に導入することが好ましい。これによって選抜マーカー遺伝子の発現から効率良く外来性遺伝子が導入された大腸菌細胞を選抜することができる。このような選抜マーカー遺伝子として、例えば、各種の薬剤耐性遺伝子等が挙げられる。より具体的には、例えば、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子等が挙げられる。また、該選抜マーカー遺伝子の上流及び下流には、該遺伝子を発現するためのプロモータ及びターミネータを有することが好ましい。
大腸菌の形質転換用ベクター、及びこれを用いた大腸菌の形質転換法は、公知のものを用いることができる。一例として、ビオラキサンチンを合成する酵素遺伝子を大腸菌に導入するために発明者らが用いた大腸菌形質転換用ベクターを図3に示した。大腸菌の形質転換用ベクターのクローニング部位に、発現させたい外来遺伝子を導入すればよい。プロモータやターミネータは大腸菌で機能するものを用いればよいが、例として、T7プロモータとT7ターミネータを挙げることができる。さらに、プロモータとターミネータに囲まれた薬剤耐性遺伝子を形質転換のマーカー遺伝子として一緒に用いることが好ましい。
(大腸菌の形質転換と遺伝子組換え大腸菌の取得)
大腸菌の形質転換は、公知の方法により行うことができる。例えば、導入したい外来遺伝子や選抜マーカー遺伝子(薬剤耐性遺伝子など)を適当なプロモータとターミネータの利用により発現する形にしたDNA断片を作製し、該DNA断片を熱ショック法等により導入すればよい。遺伝子が導入された大腸菌は、薬剤により選抜することにより得られる。
大腸菌に導入した外来性遺伝子が遺伝子組換え大腸菌において発現していることは、例えば、ノザンブロッティング、RT-PCR、ウェスタンブロッティング等の方法により確認することができる。また、該大腸菌においてビオラキサンチンが産生されていることは、例えば、HPLC分析等の方法により確認することができる。
(遺伝子組換え大腸菌のアンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び/又は式(1)で表されるカロテノイドを製造するための使用)
本発明は、該遺伝子組換え大腸菌から、アンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び/又は式(1)で表されるカロテノイドを製造するための使用も包含する。遺伝子組換え大腸菌やその作製方法等の好ましい態様は、上述した通りであり、ゼアキサンチンエポキシ化酵素、電子伝達系タンパク質、NADPH再生系タンパク質、シャペロンタンパク質の各酵素をコードする遺伝子群のうち、そのすべて、または一部の遺伝子群を、ゼアキサンチン生産大腸菌(イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ、GGPP合成酵素、フィトエン合成酵素、リコペン合成酵素、 リコペンβ環化酵素、βカロテン水酸化酵素をコードする遺伝子群を持つ)に導入した遺伝子組換え大腸菌が好ましい。
各遺伝子及びその好ましい態様は、上述した通りである。
作出した遺伝子組換え大腸菌を、通常、培養することにより、該大腸菌内にビオラキサンチン及び/又は式(1)で表されるカロテノイドが産生される。遺伝子組換え大腸菌の培養方法は、特に限定されない。
例えば、遺伝子組換え大腸菌には、アンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び/又は式(1)で表されるカロテノイドが含まれる。このため公知の抽出方法により、アンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び/又は式(1)で表されるカロテノイドが得られる。
以下に具体例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(アンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び式(1)で表されるカロテノイド生産用プラスミドの作製)
アンテラキサンチン、ビオラキサンチン及び式(1)で表されるカロテノイド生産用プラスミドを作製した。詳細は以下の通りである。
パプリカ由来のZEP遺伝子(CaZEP)の配列は、大腸菌のコドン使用頻度に適した塩基配列に改変したものを用いて作成した。作成した配列を配列番号1に示す。AtCYO1遺伝子の配列はシロイヌナズナのcDNAより増幅した。増幅した配列を、配列番号3に示す。Nostoc sp. PCC7120由来の電子伝達タンパク質NsREDとNsFERをコードする遺伝子(NsRF)の配列は、Nostoc sp. PCC7120のcDNAより増幅した。増幅した配列を、配列番号5に示す。Bacillus subtilisのGdhをコードするgdh遺伝子の配列は、Bacillus subtilusのcDNAより増幅した。増幅した配列を、配列番号9に示す。AtCYO1, NsRF, gdh,の塩基配列(配列番号1、3、5、9)はそれぞれ、DDBJアクセッション番号SCO2_ARATH, FENR_NOSS1とFER1_NOSS1, G4EZZ9_BACIUから入手することができる。
大腸菌形質転換用ベクターとして、pUC18(図4A)、RSFDuet-1(図4B)、CDFDuet-1(図4C)を用いた。EcoRIおよびBamHIで切断したCaZEP断片を切り出し、ベクターpUC18のEcoRI- BamHI部位に挿入し、プラスミドpUC-CaZEPを作製した(図5A)。NcoIおよびBamHIで切断したNostoc sp. PCC7120のNsRF断片を切り出し、ベクターRSFDuet-1のNcoI-BamHI部位に挿入し、プラスミドRSFD-NsRFを作製した。さらに、NdeIおよびKpnIで切断したシロイヌナズナのAtCYO1断片を切り出し、RSFD-camABのNdeI-KpnI部位に挿入し、プラスミドRSFD-NsRF-AtCYO1を作製した (図5B)。NcoIおよびSalIで切断したGdh断片を、ベクターCDFDuet-1のNcoI-SalI部位に挿入し、プラスミドCDFD-Gdhを作製した(図5C)。
表1にPCR増幅に用いたプライマーを示す。CaZEPはCaZEPFとCaZEPR、NsRFはNsRFFとNsRFRR、gdhはgdhFとgdhR、AtCYO1はAtCYO1FとAtCYO1Rを用いた。
(大腸菌の形質転換及び組換え大腸菌によるカロテノイド生産)
実施例1で作製したプラスミドpUC-CaZEP(図5A)、RSFD-NsRF-AtCYO1 (図5B)およびCDFD-gdh (図5C)を用いて、ゼアキサンチン及び式(1)で表されるカロテノイド生産大腸菌を公知の方法により形質転換した。詳細は、以下の通りである。
ゼアキサンチン大腸菌{pACHP-Zeaを持つJM101(DE3)}を、SOB培地(2%バクトトリプトン、0.5%イーストイクストラクト、10 mM NaCl、2.5 mM KCl、10 mM MgCl2、10 mM MgSO4)で培養した後、TBバッファー(10 mM PIPES (pH6.7), 15 mM CaCl2,250 mM KCl, 55 mM MnCl2・4H2O)で処理した。そして、実施例1で作製したプラスミドを組み合わせて、処理した大腸菌と混合し、氷上で静置した。42℃の熱ショックをかけた後、SOC培地で培養し、薬剤含有培地に撒いた。一晩培養後、出てきた薬剤耐性コロニーを、形質転換大腸菌(遺伝子組換え大腸菌)として得た。薬剤(抗生物質)としては、クロラムフェニコール(33mg/L)、スペクチノマイシン(100mg/L)、アンピシリン(40 mg/L)とカナマイシン(40 mg/L) を培地に加えた。
(組換え大腸菌によるカロテノイド生産)
土壌細菌Pantoea ananatis由来のcrtE(GGPP合成酵素)、crtB (フィトエン合成酵素)、crtI(フィトエン不飽和化酵素)、crtY (リコペンβ-環化酵素)、crtZ (β-カロテン水酸化酵素) 遺伝子、及び緑藻Haematococcus pluvialis由来のIDI(IPP イソメラーゼ)遺伝子(idiと記載することもある)の発現用プラスミドpACHP-Zea(非特許文献6)に加えて、パプリカ(赤ピーマン;Capsicum annuum)由来のZEP(ゼアキサンチンエポキシ化酵素;zeaxanthinepoxidase;CaZEP)酵素をコードする遺伝子の発現用プラスミドが同時に導入された大腸菌Aを作製した。この(遺伝子)組換え大腸菌Aが生産したメインのカロテノイドはゼアキサンチンであり、アンテラキサンチン、ビオラキサンチンの生産量は微量ではあったが製造されていることを確認した(表2)。
一方、シロイヌナズナ由来のAtCYO1(シャペロン)、Nostoc sp. PCC7120由来の電子伝達系タンパク質 (NsRF)、Bacillus subtilis由来のNADPH再生系タンパク質 (Gdh) をコードする遺伝子の発現用プラスミドがさらに導入された大腸菌Eを作製した。この組換え大腸菌Eでは、ビオラキサンチンならびにアンテラキサンチンが検出され、両者の生産量は全カロテノイドのいずれも20.1%を占めていた。
また、AtCYO1遺伝子に加えて電子伝達系あるいはNADPH再生系タンパク質遺伝子を導入した大腸菌G, Hではビオラキサンチンとアンテラキサンチンが検出されたが、その生産量は大腸菌Eに比べて半分以下だった。一方、AtCYO1, 電子伝達系、NADPH再生系遺伝子のいずれかを単独で導入した大腸菌F, B, Cでは、ビオラキサンチン及びアンテラキサンチンを微量検出した。また、AtCYO1を含まず、電子伝達系とNADPH再生系の両方を導入した大腸菌Dでは、ビオラキサンチン及びアンテラキサンチンを微量検出した。
表2は、遺伝子組換え大腸菌により生産されたカロテノイド組成の比較を示す。大腸菌E、F、G、Hでは新規カロテノイド6’-ヒドロキシ-3’-ジデヒドロルテインが検出されたが、大腸菌A、B、C、Dでは検出されなかったので、新規カロテノイドを生産するにはAtCYO1の働きが必要であることを確認した。なお、表2では非特許文献6に示された分析方法により簡易定量化しかしていないが、新規カロテノイドを生産するためのAtCYO1の働きは、電子伝達系又は/及びNADPH再生系タンパク質との共存により、その機能が効率的に発揮されることを確認した。特に、AtCYO1遺伝子に加えて、電子伝達系及びNADPH再生系タンパク質遺伝子との共存組換え大腸菌Eによる新規カロテノイドは6’-ヒドロキシ-3’-ジデヒドロルテインの生産量は高く、カロテノイド全体の16.8%であった。
(組換え大腸菌からカロテノイドの抽出とHPLC分析)
実施例2で得た遺伝子組換え大腸菌を37℃、2YT(2 x YT)培地(1.6%バクトトリプトン、1%イーストイクストラクト、0.5% NaCl)で培養した。その際に、培地は試験管に10 mL入れたものを1本用い、抗生物質を、クロラムフェニコール(33mg/L)、スペクチノマイシン(100mg/L)、アンピシリン(40 mg/L)とカナマイシン(40 mg/L) を培地に加えた。OD600が0.4-0.6になるまで培養した後、0.05 mMのIPTGを加え、20℃で2晩培養した。培養した菌液を遠心分離し、菌体を得た。菌体にメタノールを加え、よく懸濁した後、1 M Tris (pH7.5)と1 M NaCl溶液を加えた。さらにクロロホルムを加え、よく懸濁した後、遠心分離を行った。カロテノイド抽出液(クロロホルム層)を回収した。
上記の抽出溶液をエバポレーターで濃縮乾固した後、酢酸エチルに溶解し、それぞれのカロテノイド成分をHPLCにより分離し、精製した。
HPLCの条件:
HPLCカラム TSKgel ODS-80Ts 4.6×150 mm, 5μm
移動層0-5分 メタノール/水(95:5)、5-10分 メタノール/水(95:5)からメタノール/テトラヒドロフラン(7:3)への勾配、10-18分 メタノール/テトラヒドロフラン(7:3)、18分以降 メタノール/水(95:5)、流速 1.0 ml/min、検出 マックスプロット(280-550nm)
各カロテノイドの組成はHPLCのピーク面積より求めた。また、各ピーク化合物の同定は、標品の保持時間との比較、および吸収曲線の比較により行った。
プラスミドpACHP-Zea(非特許文献6)が導入されゼアキサンチンを合成する大腸菌(ゼアキサンチン産生大腸菌)に、3つのプラスミドpUC-CaZEP、pRSF-NsRF-AtCYO1及びCDF-gdhを導入した遺伝子組換え大腸菌Eにより生産されたカロテノイドのHPLC分析を行った。その結果を図2に示した。
(組換え大腸菌により生産されたカロテノイドの同定)
組換え大腸菌Eが生産したカロテノイドについて、非特許文献6に記載された方法又は以下の方法によって培養し、各種カロテノイド毎にそれぞれ分取して精製し、UV-VIS及びFAB MS分析を行い、必要に応じて、1H-NMR、13C-NMR、及びCD分析を行った。これらの機器分析により各種カロテノイドの同定を行った(各スペクトルデータは後記)。
(新規カロテノイド同定のための組換え大腸菌Eの培養方法)
組換え大腸菌Eを以下の培養方法で培養した。
(1)組換え大腸菌Eを100 mLの2-YT(Amp:100 μg/mL、Cm:100 μg/mL、km:100 μg/mL、Sp:100 μg/mLを含む)中に植菌し、30℃で一晩前培養した。
(2)前培養液を100 mLの2-YT(Amp:100 μg/mL、Cm:100 μg/mL、km:100 μg/mL、Sp:100 μg/mL、IPTG:50 μg/mLを含む)中に10%(v/v)植菌し、20℃で二晩培養した。
(組換え大腸菌Eにより生産されるカロテノイドの分析)
生産されたカロテノイドは培養上清には存在せず、組換え大腸菌Eの菌体に含有されていたため、培養の完了した組み換え大腸菌培養液 (2 L)を遠心処理し (7000 rpm, 15 min)、菌体を回収した。各遠心管にCH2Cl2-MeOH (1 : 1)の溶液50 mlを加え、超音波菌体破砕しながら室温にて5分抽出した (× 3回)。(本抽出で含有される黄色色素はすべて抽出された。)抽出液は濾過後合一し、いったん濃縮乾固した。その後200 mlのEtOAcに溶解し、等量のH2Oと分液漏斗中で振盪して分画した。黄色色素の含まれるEtOAc層を濃縮乾固後 (0.14 g)、シリカゲルTLCにて分析した結果、CH2Cl2-diethylether (4 : 1)の展開溶媒で、Rf 0.7−0.2に5種類以上の黄色スポット(=カロテノイド類)が検出された。そこでシリカゲルカラム{CHROMATOREX FL60D, 20 mm × 200 mm、溶媒CH2Cl2:diethylether (6 : 1)}で展開して、溶出されるカロテノイドを集めて粗分画画分とした (45.3 mg)。これを次にシリカゲルHPLC { Cosmosil 5SL 10 mm × 250 mm, 10 mm × 250 mm、溶媒CH2Cl2:diethylether (4 : 1)、流速3.0 ml/min}で展開した。
(組換え大腸菌Eにより生産される新規カロテノイドの同定)
シリカゲルHPLCにおいて保持時間12 minについては、当研究室で確立しているカロテノイドライブラリーには該当するものがなかったので、同条件で保持時間12 minのピーク(以降、化合物1とする)のHPLC分取を行い、0.06 mgの純品を得ることができた。
化合物1をMeOHに溶解し、HRESI-MSを測定した。その結果、(M+Na)+イオンピークがm/z 605.40498に観測され、1の分子式はC40H54O3と決定された {calcd. for 605.40570(C40H54O3Na)}。次に1の1H-NMR (図6A), 13C-NMR (図6B)を化合物1がよく溶解し、他のカロテノイドとの比較に便利なCDCl3中で測定した。
まず、1H, 13C-NMRでは、それぞれ52個の1H, 40個の13Cシグナルが観測され、これにより化合物は非対称 (asymmetric) なカロテノイドであることが明らかとなった。
次に1の1H-1H DQF COSYスペクトル、HMQCスペクトル、HMBCスペクトルを測定し、化合物1に存在する部分構造を詳細に解析した。
まず1H-NMR, 13C-NMR,1H-1H DQF COSY、HMQC, HMBCスペクトルを詳細に解析していくと、図7Aに示すようにC-1〜C-20までの非対称構造の半分についてはzeaxanthin構造であることが確定した。報告されているzeaxanthinの1H, 13C-NMR化学シフト値は、1で観測されているピークのC-1〜C-20とよく一致した。
次に残りの半分であるC-1’〜C-20’について測定スペクトルの解析を進めた。その結果、残り構造のオレフィン (C-7’〜C-15’)及びここに結合したメチル基 (C-19’, C-20’)については (all E) 構造が維持されていることが、オレフィンメチンのJHH値及びメチル貴の13C化学シフト値より判明した。一方、β-イオノン環部分の構造はzeaxanthinとは異なることが明らかとなったので、β-イオノン環部分の構造解析を進めることとした。
1のHMBCスペクトルにおいて、 β-イオノン環のC-1’に結合したメチル基であるH-16’ (dH 1.02), H-17’ (dH 1.10)からは、C-1’ (dC 41.6), C-2’ (dC 49.8), C-6’ (dC 79.8)に対して1H-13C遠隔スピン結合が観測された(図7B)。
またC-5’に結合したH-16’ (dH 1.91)からはC-4’ (dC 126.8), C-5’ (dC 162.9), C-6’ に対して1H-13C遠隔スピン結合が観測された。さらにH-2’ (dH 2.23, dH 2.48)からはC-1’, C-2’, C-4’及びdC 198.1のケトンに対して1H-13C遠隔スピン結合が観測された。この結果、1のもう一方の末端構造もC-1’〜C-6’からなる6員環構造を取っており、C-3’がケトンであることが判明した。
またHMBCスペクトルでは、オレフィン構造のH-7’ (dH 5.72)からC-6’に対しても1H-13C遠隔スピン結合が観測されており (図7B)、オレフィン構造と6員環がC-6’ – C-7’で結合していることが判明した。
この時点で1の構造で不明で残っているのは、C-6’に結合した置換基 図7B中のX) のみであるが、1の分子式と既に明らかになっている構造に存在するC, H, Oの数を考慮すると、X=OHであることが確定し、この結果、化合物1の構造は図7Cに示すように一義的に決定された。
なお、ここまでのNMRスペクトル解析ではC-6’に結合したOH基の立体は議論できないが、1は遺伝子組換えで生産された化合物であることから、1の生合成中間体では、zeaxanthin epoxidase (ZEP)の作用でC-6’にOH基が導入されたはずであるので、紙面の裏側に配向していると判断される。化合物1はCAS data baseに登録の無い、新規化合物であった。カロテノイドの命名法のルールを適用すると、化合物1の名称は、6’-hydroxy-3’-didehydro-lutein(6’-ヒドロキシ-3’-ジデヒドロルテイン)となる。
なお、参考までに、新規カロテノイドのアンテラキサンチンからの推定上の代謝経路を図3に示した。
参考のため、化合物1のアサインされた各1H, 13C NMR化学シフトを表3として示す。
(新規カロテノイドの機能性試験)
実施例4で単離された化合物1の各種機能を解析した。
(化合物1の抗酸化活性)
化合物1の抗酸化活性について、ラット脳脂質過酸化抑制活性、一重項酸素消去活性を用いて検討した。
(ラット脳脂質過酸化抑制活性)
脂質の酸化の進行により生じるマロンジアルデヒド(MDA)の量を測定し、脂質の酸化の進行度合いから化合物1の脂質過酸化抑制活性を評価した。
アッセイは基本的にディスポカルチャーチューブ (φ13 mm×100 mm) 中で行うこととした。
(1)100mMリン酸緩衝液 (pH 7.4)0.6 ml中に、被検試料(実施例4で単離された化合物1)のメタノール溶液0.05 ml、1 mMアスコルビン酸0.1 ml(終濃度100 μM)、及びH2O 0.05 mlを添加した。コントロールとして、被検試料のメタノール溶液の代わりにメタノール溶液を0.05 ml添加した。
(2)37℃で5分間のプレインキュベーションを行った後、2.5 % (w∕v)ラット脳ホモジネートを0.2 ml添加することで反応を開始させ、37 ℃で1時間、振盪しながらインキュベートを行った。
(3)その後、0.2 N塩酸中に20% (w∕v)トリクロロ酢酸、0.5% (w∕v) 2-チオバルビツール酸(TBA)を含む混合液1 mlを上記反応液に添加することで反応を停止した。
(4)これを100 ℃で30分間煮沸処理して発色させ、冷却後、3000 rpmで10 分間遠心分離した。
(5)遠心分離上清について、MDAとTBAの反応生成物が極大吸収を持つ532 nmでの吸光度 (Abs 532) を測定し、MDA量を求めた。
なお、ラット脳ホモジネートは市販の凍結ラット脳をテフロン(登録商標)ホモジナイザーにて、氷冷下67mMリン酸緩衝液 (pH 7.4) 中で5分ほどホモジナイズすることにより調製した。これを10%(w/v)となるように同緩衝液で希釈してから、2 mlずつ15 ml容ファルコンチューブに分注し、使用時まで−80℃で冷凍保存した。使用時に5 ℃の冷蔵庫中で解凍を行い、ここに6 mlのリン酸緩衝液(pH 7.4)を加えて、2.5%(w/v)ラット脳ホモジネートを作製した。
(6)過酸化脂質生成抑制率(脂質過酸化抑制率)は、以下の式に従って求めた。
(過酸化脂質生成抑制率(%))={1―(T―B)∕(C―B)}×100
T:薬物処置群のA532
C:コントロール群(メタノール処置群)のA532
B:無反応群(ブランク群)のA532
各種濃度における化合物の過酸化脂質抑制率から、脂質過酸化を50%抑制するのに必要な化合物の濃度をIC50 値として算出し、これをラット脳脂質過酸化抑制活性として表した。
本実施例では、ラット脳脂質を加えないものをブランクとし、これの532 nmにおける吸光度を0.00とした。本アッセイ系ではコントロール(薬剤無添加条件)の532 nmにおける吸光度 (O.D.)は、平均するとおよそ0.37程度であった。
(結果)
化合物1のラット脳脂質過酸化抑制活性の結果を図8に示す。化合物1のIC50値は 2.5 μM であった。従って試験した化合物1は、生体脂質過酸化抑制活性を有していることが明らかとなった。ポジティブコントロールとして用いたβ-caroteneは72 μMであった。また、astaxanthinは100 μMでも抑制活性を示さなかった。
(一重項酸素消去活性)
一重項酸素によって産生する酸化リノール酸の量を測定した。
(1)ディスポカルチャーチューブに0.025 mMメチレンブルー溶液80 μl、0.24 Mリノール酸溶液100 μl、サンプル溶液40 μl(以上すべてEtOH溶液)、EtOH180 μlを加えて(計400 μl)よく撹拌した。
(2)EtOHの蒸発を抑えるためにビー玉をチューブに乗せた状態で、蛍光灯の下で3時間光照射を行い、一重項酸素を発生させた。なお光照射量が一定になるように実験は発泡スチロール箱中で行い、蛍光灯スタンドとサンプルの距離は17 cm程度となるように設定した。実験は3連で行い、その平均値をデータとして用いた。
(3)3時間後、反応液120 μlを別のチューブに移し、ここに3,480 μlのEtOHを加えた希釈液(=30倍希釈)について、λ235 nmの吸光度(Abs235)を測定し、一重項酸素によって産生した酸化リノール酸量を求めた。
(4)サンプルの1O2消去率は、式 {100−(S−B2)/(C−B1)}×100を計算することによって求めた。
ここで、S (sample)は光照射・サンプル添加でのA235を、C (Control)は光照射・サンプル無添加でのA235を、B1 (Blank1)は光無照射・サンプル無添加でのA235を、B2 (Blank2)は光無照射・サンプル添加でのA235を示す。Controlの吸光度は1.2、Blankの吸光度は0.3程度であった。
(5)各化合物に対する評価はC, B1, B2はシングル、Sは各濃度3連で行った。得られたデータ(Sについては得られた吸光度の平均値)を用いて、縦軸阻害%、横軸化合物濃度とする回帰直線を求め、ここからIC501O2によるリノール酸酸化を50%阻害する濃度)を求めた。
実験は、吸収極大波長における吸光度と分子吸光係数(ε,mM-1cm-1)から算出した各サンプルの物質量をもとに調整した1 μM, 10 μM, 100 μM液(最終濃度)について3連で実施した。ポジティブコントロールには、自然界に広く分布するカロテノイドであるβ-carotene、astaxanthinを用いた。IC50は作成した回帰直線を用いて算出した。
(結果)
図9に化合物1の1O2消去活性の結果を示す。IC50値はそれぞれ、化合物1 3.2 μM、 β-carotene 12 μM、astaxanthin 1.2 μMであった。化合物1は、ポジティブコントロールであるastaxanthinと比較し、弱い活性しか示さなかったが、β-caroteneと比較すると強い活性を示した。
(化合物1の脂肪細胞分化誘導活性)
脂肪細胞の分化を誘導する化合物(例: PPARg agonist)には、血糖値を下げ糖尿病を改善する作用が期待される。そこでこのような作用を化合物1が有するかどうかを、mouse 3T3-L1細胞の分化誘導実験を用いて検討した。分化程度の定量にはoil red染色を用いた。有意差検定を行うため、すべて3連(triplicate)の実験として実施した。
(細胞培養)
(1)継代数10以下の3T3-L1細胞を4.0 x106 cell/wellとなるように12 well plateにまきこんだ(DMEM + 10%Bovine Calf Serm, BCS)。
(2)表4に示す実験スケジュールで培地交換し、実施例4で単離された化合物1(最終濃度2.5 mM、5.0 mM、10 mM)又はポジティブコントロールとしてロシグリタゾン(最終濃度10 nM、1000 nM)をDMSOに溶解したサンプルを培地1 mLに対して1 μL添加し、Oil red O染色に用いた。各濃度3連で実施した。
ロシグリタゾン(rosiglitazone)は、代表的なPPARg agonistとして知られ、糖尿病の薬としても使用されている。
分化誘導培地Iの組成は、DMEM + 10%Fetalcalf serum(FBS), insulin(6 μg/mL), 0.6 μM dexamthazone, 0.5mM IBMXであり、分化誘導培地IIの組成は、DMEM + 10%FBS, insulin(6 μg/mL)である。
(Oil red O染色)
(1)OilRed O(和光、病理研究用、コードNo. 154-02072)30 mgと100 % isopropanol10 mLを50 mLファルコンコンチューブに入れ、30秒間ボルテックスをした。その中から9 mLを別のファルコンチューブに移しMilliQ waterを6 mL加えて遠心し、静置して溶けきらないOil Red O粉末を沈殿させた。その後、0.45 μmフィルターを通し、濾過した。濾過後の液は長時間(約2時間)空気中にさらすと結晶が析出してくることがあるので、当日用意した。
(2)培養した3T3-L1細胞の培地を吸引除去し、PBS(−)(1 mL/well)で2回細胞を洗浄した。
(3)4%Paraformaldehyde Phosphate Buffer Solution(PFA)(和光、組織固定用、コードNo. 163-20145) を1 mLずつwellに入れ、45分間室温で放置した。
(4)4%PFAを吸引除去し、PBS(−)(1 mL/well)で2回洗浄した。その後、60 % isopropanol(1mL/well)を加えて5分間室温で放置した。
(5)作成済みのOil red O染色液を1 mLずつ入れ、10分間室温で放置し染色した。染色液を吸引除去し、60 % isopropanol(1 mL/well)で1回洗浄して吸引除去した。
(6)さらにPBS(−)(1 mL/well)で2回洗浄し、PBS(−)中で顕微鏡観察した。
(7)観察後、PBS(−)を吸引除去し、100 % isopropanol(1 mL/well)を加えて30分ほど放置してからピペッティングを行い、染色液を溶解させた。ここから200 μLを96穴プレートに移し、マイクロプレートリーダーで492 nmの吸光度を測定した。
サンプルを含まないDMSOのみ添加した群の吸光度平均値をコントロール値(C)とし、測定したサンプルの各濃度の吸光度の平均値(T)からCを引いて、Cで割った数値((T-C)/C)を吸光度の増加率とし、有意に増加率が1より大きいものを分化誘導活性ありと判定した(図10中、**印がついたものは有意差あり)。統計処理は全てのデータにおいて、一元配置分散分析及び多重比較を行った。統計的有意性はP < 0.05で示した。
(結果)
実験結果を図10に示す。化合物1は2.5 &#8211; 10 μMの範囲で濃度依存的に3T3-L1細胞の脂肪細胞分化誘導活性を示し、5.0 μM以上において有意に脂肪細胞分化誘導活性を示した。
加えて、最も有効な濃度での誘導活性の強さはポジティブコントロールとして用いたロシグリタゾンに匹敵する強さであった。
本発明では、式(1)で表されるカロテノイド、アンテラキサンチン及びビオラキサンチンのいずれか1以上を合成できる製造方法を提供することができる。

Claims (13)

  1. 式(1)又は式(1A’)で表されるカロテノイド。
  2. 請求項1に記載のカロテノイドを含む、抗酸化剤。
  3. 請求項1に記載のカロテノイドを含む、脂質過酸化抑制剤。
  4. 請求項1に記載のカロテノイドを含む、一重項酸素消去剤。
  5. 請求項1に記載のカロテノイドを含む、脂質細胞分化誘導剤。
  6. 以下の(A)又は(B)の遺伝子又は遺伝子群を導入した組換え細胞:
    (A)
    (1)ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群、
    (2)ゼアキサンチンエポキシ化酵素遺伝子、及び
    (3)シャペロンとして働くタンパク質をコードする遺伝子
    又は、
    (B)
    (1)ファルネシル二リン酸からゼアキサンチンを合成する酵素の遺伝子又は遺伝子群、及び、
    (2)ゼアキサンチンエポキシ化酵素遺伝子。
  7. さらに、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子を導入した、請求項6に記載の組換え細胞。
  8. さらに、電子伝達系タンパク質をコードする遺伝子及び/又はNADPH再生系タンパク質をコードする遺伝子を導入した、請求項6又は7に記載の組換え細胞。
  9. 前記シャペロンとして働くタンパク質をコードする遺伝子が子葉特異的葉緑体新生因子(cotyledon-specificchloroplast biogenesis factor)遺伝子である、請求項6〜8のいずれか1に記載の組換え細胞。
  10. 請求項6〜9のいずれか1に記載の組換え細胞を培養して得られる培養物又は菌体からカロテノイドを得ることを特徴とする、カロテノイドの製造方法。
  11. 請求項6〜9のいずれか1に記載の組換え細胞を培養して得られる培養物又は菌体から式(1)又は式(1A’)で表されるカロテノイド、アンテラキサンチン及びビオラキサンチンのいずれか1以上を得る、又は、アンテラキサンチン及びビオラキサンチンのいずれか1以上を得ることを特徴とする、カロテノイドの製造方法。
  12. 前記細胞が大腸菌である、請求項6〜9のいずれか1に記載の組換え細胞。
  13. 前記細胞が大腸菌である、請求項10又は11に記載のカロテノイドの製造方法。
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